(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-16
(45)【発行日】2022-09-28
(54)【発明の名称】ラクトフェリン/アルブミン融合タンパク質及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C12N 15/62 20060101AFI20220920BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20220920BHJP
C07K 14/765 20060101ALI20220920BHJP
C07K 14/79 20060101ALI20220920BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20220920BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20220920BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20220920BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20220920BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20220920BHJP
A01K 67/027 20060101ALI20220920BHJP
A61K 38/40 20060101ALI20220920BHJP
A61K 38/38 20060101ALI20220920BHJP
A61K 47/64 20170101ALI20220920BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220920BHJP
C12P 21/02 20060101ALI20220920BHJP
C12N 15/14 20060101ALN20220920BHJP
【FI】
C12N15/62 Z ZNA
C07K19/00
C07K14/765
C07K14/79
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A01K67/027
A61K38/40
A61K38/38
A61K47/64
A61P35/00
C12P21/02 C
C12N15/14
(21)【出願番号】P 2018547775
(86)(22)【出願日】2017-10-27
(86)【国際出願番号】 JP2017038866
(87)【国際公開番号】W WO2018079702
(87)【国際公開日】2018-05-03
【審査請求日】2020-10-26
(31)【優先権主張番号】P 2016212077
(32)【優先日】2016-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017044893
(32)【優先日】2017-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】520328970
【氏名又は名称】株式会社S&Kバイオファーマ
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100135943
【氏名又は名称】三橋 規樹
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 淳
(72)【発明者】
【氏名】加賀谷 伸治
【審査官】福澤 洋光
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-117717(JP,A)
【文献】特開2010-138160(JP,A)
【文献】特開2010-215522(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/62
C07K 19/00
C07K 14/765
C07K 14/79
C12N 15/63
C12N 1/15
C12N 1/19
C12N 1/21
C12N 5/10
A01K 67/027
A61K 38/40
A61K 38/38
A61K 47/64
A61P 35/00
C12P 21/02
C12N 15/14
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)ヒト血清アルブミン(HSA)又はヒト血清アルブミンの断片もしくはペプチドと、
(2)ラクトフェリン又はラクトフェリンの生物活性断片との融合タンパク質であって、
(LF-s-Y)n 又は (Y-s-LF)n
〔式中、LFはラクトフェリン又はラクトフェリンの生物活性断片、Yはヒト血清アルブミンもしくはヒト血清アルブミンの断片を含むタンパク質又はペプチド、sは0~10個の任意のアミノ酸の配列、nは1~10の整数を表す〕
で表され、SEQ ID NO: 7又は14に示すアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつラクトフェリンの生物活性を保持する融合タンパク
質。
【請求項2】
(LF-s-Y)n
で表される請求項1に記載の融合タンパク
質。
【請求項3】
(Y-s-LF)n
で表される請求項1に記載の融合タンパク
質。
【請求項4】
SEQ ID NO: 7に示すアミノ酸配列からなる、請求項1に記載の融合タンパク
質。
【請求項5】
SEQ ID NO: 14に示すアミノ酸配列からなる、請求項1に記載の融合タンパク
質。
【請求項6】
前記融合タンパク
質が、天然又は遺伝子組換え型ラクトフェリンの50%以上の鉄キレート能を保持している、請求項1~5のいずれか一項に記載の融合タンパク
質。
【請求項7】
前記融合タンパク
質は、ラクトフェリン受容体及びアルブミン受容体からなる群より選択される少なくとも1つの受容体を介して細胞に取り込まれるものである、請求項1~6のいずれか一項に記載の融合タンパク
質。
【請求項8】
前記融合タンパク
質が、天然又は遺伝子組換え型ラクトフェリンと比べてペプシン耐性が向上したものである、請求項1~7のいずれか一項に記載の融合タンパク
質。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の融合タンパク
質をコードする核酸分子。
【請求項10】
請求項9記載の核酸分子を含む発現ベクター。
【請求項11】
請求項10記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
【請求項12】
請求項9記載の核酸分子を含む非ヒト遺伝子組換え動物。
【請求項13】
請求項1~8のいずれか一項に記載の融合タンパク
質によって改善される疾患の治療剤。
【請求項14】
請求項1~8のいずれか一項に記載の融合タンパク
質及び担体を含む、医薬組成物。
【請求項15】
腫瘍の治療のための、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記腫瘍が肺癌である、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
請求項1~8のいずれか一項に記載の融合タンパク
質の製造方法であって、この融合タンパク
質をコードする遺伝子を含む宿主細胞を培養して融合タンパク質を発現させ、この宿主細胞又はその培地から融合タンパク
質を回収することを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ラクトフェリン/アルブミン融合タンパク質及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ラクトフェリンは、主に哺乳動物の乳汁中に存在し、好中球、涙、唾液、鼻汁、胆汁、精液などにも見出されている、分子量約80,000の糖タンパク質である。ラクトフェリンは、鉄を結合することから、トランスフェリンファミリーに属する。ラクトフェリンの生理活性としては、抗菌作用、鉄代謝調節作用、細胞増殖活性化作用、造血作用、抗炎症作用、抗酸化作用、食作用冗進作用、抗ウイルス作用、ビフィズス菌生育促進作用、抗がん作用、がん転移阻止作用、トランスロケーション阻止作用などが知られている。さらに、ラクトフェリンが脂質代謝改善作用、鎮痛・抗ストレス作用、アンチエイジング作用を有することも明らかにされている(非特許文献1、非特許文献2)。
【0003】
このように、ラクトフェリンは、多様な機能を示す生理活性タンパク質であり、健康の回復または増進のため、医薬品や食品などの用途に使用されることが期待されており、ラクトフェリンを含む食品は既に市販されている。ラクトフェリンを経口的に投与した場合、注射剤よりも投与対照に対する負担が少なく、また、ラクトフェリン受容体が小腸粘膜に存在することが知られており、最近、小量のラクトフェリンが腸管から体内に取り込まれて、生物活性を発現していることが明らかにされている(非特許文献3)。しかし、ラクトフェリンは、経口的に摂取した場合、胃液中に存在する酸性プロテアーゼのペプシンにより加水分解を受け、ペプチドに分解されるため、経口摂取されたラクトフェリン分子は大部分が腸管まで到達することができない(非特許文献4)。そのため、ラクトフェリンの持つ生物活性を増進する為には、ラクトフェリンが、胃液中でのペプシンによる加水分解を受けない状態で腸管まで到達することが重要である。このような方法には、腸溶化のための製剤的な処理、例えば、低pHで溶けず、中性付近で溶解する成分を含有する腸溶層によるコーティング等が知られるが(特許文献1)、これらの製剤処理には煩雑な工程が必要であるという欠点がある。
【0004】
また、ラクトフェリン自体を注射剤とした場合には、ラクトフェリンが血中で分解し、さらに速やかに肝臓に集積するため、血中安定性の低さが報告されている。そのため、血中安定性を上げたIgGのFc領域を結合させた融合タンパク質が医薬品として利用されており、ラクトフェリンにおいても同様な技術が開発されている(特許文献2)。
また、血中安定性を上げる方法としてIgGのFc領域を融合させる以外に、血清アルブミン融合タンパク質が開発され(非特許文献5、非特許文献6)、上市もされている。血清アルブミンは分子量約66,000のタンパク質で、血清タンパク質の約6割を占め、血清中のタンパク質で最も含有量の高いタンパク質である。血管中の血清アルブミンの機能は、保水による血管浸透圧の制御であるが、脂肪酸やホルモン、薬物などを結合し、必要な組織に輸送する働きも持つ。また、成人は、一日当たり9グラム前後作られ、約4割が血管に、残り6割が血管外に分布している。
【0005】
さらに、血清アルブミンは腫瘍に対して集積性があるため、パクリタキセルのような高分子化合物を結合させた抗がん活性を高めた医薬品も上市されている。このように血清アルブミン融合タンパク質は、血中安定性だけではなく、腫瘍組織への選択的輸送が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2015-027981
【文献】特許第5855239
【非特許文献】
【0007】
【文献】Pharmaceuticals (Basel). 2016 Sep 27;9(4). pii: E61.Lactoferrin from Milk
【文献】Nutraceutical and Pharmacological Properties. Giansanti F, Panella G, Leboffe L, Antonini G.
【文献】Suzuki YA, Shin K, Lonnerdal B. Biochemistry. 2001 Dec 25;40(51):15771-9.
【文献】Ono T, Morishita S, Fujisaki C, Ohdera M, Murakoshi M, Iida N, Kato H, Miyashita K, Iigo M, Yoshida T, Sugiyama K, Nishino H.Br J Nutr. 2011 Jan;105(2):200-11.
【文献】Malin Bern , Kine Marita Knudsen Sand , Jeannette Nilsen, Inger Sandlie, Jan Terje Andersen, Journal of Controlled Release 211 (2015) 144-162)
【文献】Sleep D, Cameron J, Evans LR. Biochim Biophys Acta. 2013 Dec;1830(12):5526-34.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、臨床的有用性の高いラクトフェリン融合タンパク質及びその製造方法等を提供することを目的とする。さらに、本発明は、天然ラクトフェリンの生物活性を保持し体内寿命が有意に延長されており、天然ラクトフェリン及び遺伝子組換え型ラクトフェリンよりも臨床的有用性に優れるラクトフェリン融合タンパク質及びその製造方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
即ち、本発明は、以下の融合タンパク質および方法を提供する。
(1) (i)ヒト血清アルブミン(HSA)又はヒト血清アルブミンの断片もしくはペプチドと、
(ii)ラクトフェリン又はラクトフェリンの生物活性断片もしくはペプチドとの融合タンパク質であって、
(LF-s-Y)n 又は (Y-s-LF)n
〔式中、LFはラクトフェリン又はラクトフェリンの生物活性断片もしくはペプチド、Yはヒト血清アルブミンもしくはヒト血清アルブミンの断片を含むタンパク質又はペプチド、sは0~10個の任意のアミノ酸の配列、nは1~10の整数を表す〕
で表される融合タンパク質、又はその改変体。
(2)(LF-s-Y)n
で表される前記(1)に記載の融合タンパク質、又はその改変体。
(3)(Y-s-LF)n
で表される上記(1)に記載の融合タンパク質、又はその改変体。
(4) SEQ ID NO: 7に示すアミノ酸配列を含む、上記(1)に記載の融合タンパク質、又はその改変体。
(5) SEQ ID NO: 14に示すアミノ酸配列を含む、上記(1)に記載の融合タンパク質、又はその改変体。
(6) 前記融合タンパク質又はその改変体が、天然又は遺伝子組換え型ラクトフェリンの50%以上の鉄キレート能を保持している、前記(1)~(5)のいずれかに記載の融合タンパク質、又はその改変体。
(7) 前記融合タンパク質又はその改変体は、ラクトフェリン受容体及びアルブミン受容体からなる群より選択される少なくとも1つの受容体を介して取り込まれるものである、前記(1)~(6)のいずれかに記載の融合タンパク質、又はその改変体。
(8) 前記融合タンパク質又はその改変体が、天然又は遺伝子組換え型ラクトフェリンと比べてペプシン耐性が向上したものである、前記(1)~(7)のいずれかに記載の融合タンパク質、又はその改変体。
(9) 前記(1)~(8)のいずれかに記載の融合タンパク質又はその改変体をコードする核酸分子。
(10) 前記(9)に記載の核酸分子を含む発現ベクター。
(11) 前記(10)に記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
(12) 前記(9)に記載の核酸分子を含む非ヒト遺伝子組換え動物。
(13) 前記(1)~(8)のいずれかに記載の融合タンパク質又はその改変体によって改善される疾患の治療剤。
(14) 前記(1)~(8)のいずれかに記載の融合タンパク質又はその改変体及び担体を含む、医薬品組成物。
(15)
腫瘍の治療のための、前記(15)に記載の医薬組成物。
(16)
前記腫瘍が肺癌である、前記(16)に記載の医薬組成物。
(17) 前記(1)~(8)のいずれかに記載の融合タンパク質又はその改変体の製造方法であって、この融合タンパク質又はその改変体をコードする遺伝子を含む宿主細胞を培養して融合タンパク質を発現させ、この宿主細胞又はその培地から融合タンパク質又はその改変体を回収することを含む方法。
(18)治療有効量の(1)に記載の融合タンパク質又はその改変体を患者に投与することを含む、腫瘍の治療方法。
(19)前記腫瘍が肺癌である、(18)に記載の方法。
(20)腫瘍の治療に用いるための(1)に記載の融合タンパク質又はその改変体。
(21)前記腫瘍が肺癌である、(20)に記載の融合タンパク質又はその改変体。
(22)腫瘍の治療のための医薬組成物の製造における、(1)に記載の融合タンパク質又はその改変体の使用。
(23)前記腫瘍が肺癌である、(22)に記載の使用。
【0010】
本発明の融合タンパク質又はその改変体(以下、「融合タンパク質等」と表記することがある)は、ラクトフェリンが有する鉄の結合能が保持されており、少なくとも鉄結合能に基づくラクトフェリンの重要な生物活性が保持されている。また、生体学的利用能(bioavailability)、プロテアーゼに対する抵抗性を有しているため、体内で長時間にわたって生物活性を発揮することができる。さらに、本発明の融合タンパク質は、胃でのペプシンによる消化分解を受けにくくなるという特徴を有する。そのため、さらなる腸溶化のための製剤的な処理、例えば、低pHで溶けず、中性付近で溶解する成分を含有する腸溶層によるコーティング等を行わなくても、充分に腸内に到達しうる。
【0011】
ラクトフェリンは、安全性が非常に高く、多様な生物活性を有する。そのため、本発明により、有効な治療薬がない疾患又は症状の治療薬又は予防薬として、さらに有利に適用が可能となる。例えば、本発明の融合タンパク質は、生活習慣病(動脈硬化、高コレステロール血症、高脂血症、高血圧、糖尿病、脂肪肝など)、がん(発がん予防、がんの二次予防、転移抑制、制癌剤の作用増強など)、自己免疫疾患(シェーグレン症候群によるドライアイ及びドライマウス、リウマチ性関節炎、悪性関節リウマチ、膠原病、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、全身性紅斑性狼蒼など)、精神神経疾患(痴呆、アルツハイマー病、パーキンソン病、テンカン、うつ病、ヒキコモリ、統合失調症、各種ストレス性疾患、更年期障害など)、肝炎(各種ウイルス性肝炎、非アルコール性肝炎、肝硬変など)、炎症性腸疾患(潰蕩性大腸炎、クローン病など)、過敏性腸症候群、前立腺肥大、頻尿、不眠症、便秘などへ適応を拡大できる。さらに、ラクトフェリンは、抗菌・抗ウイルス作用及び免疫能賦活作用があるので、本発明の融合タンパク質又はそれを含む医薬品組成物は、各種感染症及びそれに基づく炎症、例えば、ヘリコパクター・ピロリ菌の胃粘膜感染、歯周病、歯槽膿漏、口臭、口腔カンジダ症、口内炎、口角炎、鼻炎、食道炎、胆嚢炎、尿路感染症、臆感染症、水虫、ニキビ、ヘルペス属ウイルスの感染症、老人性肺炎、術後感染症などへの適用も可能であり、また、抗生物質の作用を増強する作用がある。一方、ラクトフェリンは免疫的な寛容をもたらす作用もあり、本発明の融合タンパク質又はそれを含む医薬品組成物は、花粉症、アトピー性皮膚炎、脂漏症、蕁麻疹等のアレルギー性疾患にも適用可能である。注目すべきことは、ラクトフェリンには鉄キレート作用に基づく強い抗酸化ストレス作用があり、本発明の融合タンパク質又はそれを含む医薬品組成物は、ウィルソン病、劇症肝炎などや、肌や眼の抗加齢・若返り作用、加齢性黄斑変性症、糖尿病性網膜症、粘膜上皮細胞の角化抑制・若返り作用などへの適用も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】シグナル配列を含むヒトラクトフェリン(hLF)cDNAと、PCR法で作製したヒト血清アルブミン(HSA)cDNAを融合させたhLF-HSA融合タンパク質発現ベクター(pOptiVEC/hLF-HSA)の作製概略図である。
【
図2】シグナル配列を含むヒト血清アルブミン(HSA)cDNAと、PCR法で作製したヒトラクトフェリン (hLF)cDNAを融合させたHSA-hLF融合タンパク質発現ベクター(pOptiVEC/HSA-hLF)の作製概略図である。
【
図3】ヘパリンセファロース6FFによるhLF-HSA融合タンパク質の精製を示す図である。
【
図4】ヘパリンセファロース6FFによるHSA-hLF融合タンパク質の精製を示す図である。
【
図5】Aspergillus由来の組換え型hLF(rhLF)、ヒト血清アルブミン(HSA)、hLF-HSA、HSA-hLF融合タンパク質のCDスペクトルを示す。
【
図6】Aspergillus由来の組換え型hLF(rhLF)、ヒト血清アルブミン(HSA)、hLF-HSA、HSA-hLF融合タンパク質の熱安定性をCDスペクトルで解析した図である。
【
図7】Aspergillus由来の組換え型hLF(rhLF)、ヒト血清アルブミン(HSA)、hLF-HSA、HSA-hLF融合タンパク質のペプシン耐性を、SDS-PAGEで解析した図である。
【
図8】Aspergillus由来の組換え型hLF(rhLF)、ヒト血清アルブミン(HSA)、hLF-HSA、HSA-hLF融合タンパク質のペプシン耐性をSDS-PAGEで解析したのち[
図7]、バンド濃度をデンシトメーターで解析後、グラフ化したものである。
【
図9】蛍光標識したAspergillus由来の組換え型hLF(rhLF)、hLF-HSA、HSA-hLF融合タンパク質のヒト小腸上皮様細胞Caco-2への細胞内取り込みを、共焦点レーザースキャン顕微鏡で解析した図である。
【
図10】Aspergillus由来の組換え型hLF(rhLF)、hLF-HSA、HSA-hLF融合タンパク質のヒト小腸上皮様細胞Caco-2への細胞内取り込みを、hLFに対するポリクローナル抗体を用いたウエスタンブロット法で解析した図である。
【
図11】Aspergillus由来の組換え型hLF(rhLF)、hLF-HSA、HSA-hLF融合タンパク質をヒト小腸上皮様細胞Caco-2へ取り込ませ、その後の細胞外放出をhLFに対するポリクローナル抗体を用いたウエスタンブロット法で解析した図である。
【
図12】hLF-HSA、HSA-hLF両融合タンパク質のラットにおける血中安定性を示す図である(rhLFはShiga, Yら Eur J Pharm Sci. Vol.67, 136-143, 2015より引用)。
【
図13】hLF-HSA、HSA-hLF両融合タンパク質のラットにおける半減期、AUC値を示す図である。グラフ中の数値は、hLFの値を基準として、hLF-HSA、HSA-hLF両融合タンパク質の相対値を示している。
【
図14】hLF-HSA、HSA-hLFの低分化型ヒト肺腺ガン細胞に対する抗腫瘍活性を示す図である。
【
図15】融合タンパク質の共有結合による抗腫瘍効果への影響を示す図である。
【
図16】hLF-HSA、HSA-hLFの分化型ヒト肺腺ガン細胞に対する抗腫瘍活性を示す図である。
【
図17】hLF-HSA、HSA-hLFのヒト肺正常細胞に対する活性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこの実施の形態のみに限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施をすることができる。
なお、本明細書において引用した全ての文献、および公開公報、特許公報その他の特許文献は、参照として本明細書に組み込むものとする。また、本明細書は、2016年10月28日に出願された本願優先権主張の基礎となる日本国特許出願(特願2016-212077号)及び2017年3月9日に出願された本願優先権主張の基礎となる日本国特許出願(特願2017-044893号)の明細書及び図面に記載の内容を包含する。
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこの実施の形態のみに限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施をすることができる。なお、本明細書において引用した全ての文献、および公開公報、特許公報その他の特許文献は、参照として本明細書に組み込むものとする。なお、特に断りがない限り、本願明細書において、アミノ酸配列は、N末端からC末端の方向で表記し、ヌクレオチド配列は5’末端から3’末端方向に表記する。
また、本願において、「約」とは、当該用語に続く数値の±10%、±5%、±3%、±2%、±1%の範囲を意味するものとする。
【0015】
本発明のラクトフェリン又はラクトフェリンの生物活性断片もしくはペプチドとの融合タンパク質は以下の一般式で表される。
(LF-s-Y)n 又は (Y-s-LF)n 式I
式I中において、LFはラクトフェリン又はラクトフェリンの生物活性断片もしくはペプチド、Yはヒト血清アルブミンもしくはヒト血清アルブミンの断片を含むタンパク質又はペプチドを表し、sは0~10個の任意のアミノ酸の配列表し、ここでnは1~10の整数を表す。また(LF-s-Y)はhLFをN末端側にHSAをC末端側に位置するように融合させたタンパク質を表し、(Y-s-LF)はHSAをN末端側にhLFをC末端側に位置するように融合させたタンパク質を表す。
【0016】
(LF-s-Y)n 型の融合タンパク質は、SEQ ID NO: 7に示すアミノ酸配列か、或いはSEQ ID NO: 7のアミノ酸配列と90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.1%以上、99.2%以上、99.3%以上、99.4%以上、99.5%以上、99.6%以上、99.7%以上、99.8%以上、または99.9%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む又はからなるタンパク質が挙げられる。ある実施形態では、(LF-s-Y)n 型の融合タンパク質は、SEQ ID NO: 7に示すアミノ酸配列からなるタンパク質である。
【0017】
(Y-s-LF)n 型の融合タンパク質は、SEQ ID NO: 14に示すアミノ酸配列か、或いはSEQ ID NO: 14のアミノ酸配列と90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.1%以上、99.2%以上、99.3%以上、99.4%以上、99.5%以上、99.6%以上、99.7%以上、99.8%以上、または99.9%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む又はからなるタンパク質が挙げられる。ある実施形態では、(Y-s-LF)n 型の融合タンパク質は、SEQ ID NO: 14に示すアミノ酸配列からなるタンパク質である。
【0018】
本発明の融合タンパク質は、ヒト血清アルブミン(HSA)もしくはヒト血清アルブミンの断片と、ラクトフェリン又はラクトフェリンの生物活性断片もしくはペプチドとを含む、生物学的に活性な融合タンパク質である。
【0019】
ヒト血清アルブミン(HSA)
本発明の融合タンパク質において、アルブミンは、アルブミン全長、あるいはアルブミンの部分ペプチドを使用し、生体に対して適合可能又は薬理学的に不活性であればよい。アルブミンは、ヒト及び種々の動物(ウシ、ウマ、ブ夕、ヒツジ、ヤギ、ラクダ等)由来のものや、鶏卵由来由来のものを用いることができるが、好ましくはヒト血清アルブミン(HSA)が好ましい。ヒト血清アルブミンのアミノ酸配列(GenBank: AAA98797.1、SEQ ID NO: 2)及びCDS配列(GenBank: M12523.1、SEQ ID NO: 1)は公知である。
本発明において使用される場合、ヒト血清アルブミンは天然の配列(SEQ ID NO: 2)と同一であってもよく、また、変異を有していてもよい。また、変異を有するヒト血清アルブミンとしては、SEQ ID NO: 2のアミノ酸配列と90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.1%以上、99.2%以上、99.3%以上、99.4%以上、99.5%以上、99.6%以上、99.7%以上、99.8%以上、または99.9%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質が挙げられる。上記配列同一性の数値は一般的に大きい程好ましい。ヒト血清アルブミンの断片もしくはペプチドとしては、SEQ ID NO: 2のアミノ酸配列の10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、または90%以上を占める配列からなるものを用いることができる。
【0020】
ラクトフェリン
本発明で用いるラクトフェリンは、ヒト及び種々の動物(ウシ、ウマ、ブ夕、ヒツジ、ヤギ、ラクダ等)から得られる天然のラクトフェリンと同一のアミノ酸配列を有していてもよいし、目的とするラクトフェリンの生理活性を有する限りにおいて、一部のアミノ酸が欠失、付加、置換した変異を有していてもよい。ヒトのラクトフェリンの(GenBank: AAN75578.2、SEQ ID NO: 4)及びCDS配列(GenBank: AY178998.2、SEQ ID NO: 3)は公知である。ラクトフェリンの機能的(生物活性を有する)断片、ペプチドは、種々のものが公知であり(例えば、「プログラム・抄録集第2回臨床ラクトフェリンシンポジウム2009」、21~ 27頁(島崎敬一))などの文献の記載をもとに、必要に応じて設計することができる。変異を有するラクトフェリンを用いる場合、SEQ ID NO: 4のアミノ酸配列と90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.1%以上、99.2%以上、99.3%以上、99.4%以上、99.5%以上、99.6%以上、99.7%以上、99.8%以上、または99.9%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質が挙げられる。上記配列同一性の数値は一般的に大きい程好ましい。
【0021】
本発明の融合タンパク質等に関して、ラクトフェリンの生理活性とは、抗菌作用、鉄代謝調節作用、細胞増殖活性化作用、造血作用、抗炎症作用、抗酸化作用、食作用充進作用、抗ウイルス作用、ビフィズス菌生育促進作用、抗がん作用、がん転移阻止作用、トランスロケーション阻止作用、脂質代謝改善作用、鎮痛作用、抗ストレス作用などを含む広範な生理活性を意味する。これらの作用によって、生活習慣病(例えば、高コレステロール血症、高脂血症など)、疼痛管理(がん性疼痛、神経因性疼痛など)、膠原病(シェーグレン症候群によるドライアイ及びドライマウス、リウマチ性関節炎など)、歯周病、C型肝炎などを含む、多くの疾患又は症状の治療(改善を含む)及び予防が可能である。ラクトフェリンの生物活性断片もしくはペプチドとしては、SEQ ID NO: 4のアミノ酸配列の10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、または90%以上を占める配列からなるものを用いることができる。ラクトフェリンの生物活性断片もしくはペプチドとしては、より好ましくはSEQ ID NO: 4のアミノ酸配列の10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、または90%以上を占める連続するアミノ酸配列からなるものを用いることができる。
【0022】
特に、本発明の融合タンパク質は、天然ラクトフェリン(又は天然と同等の配列を有する組換え型ラクトフェリン)と同等の鉄キレート(結合)能を有している。具体的には、後述する実施例の方法で測定して天然ラクトフェリン(又は天然と同等の配列を有する組換え型ラクトフェリン)の鉄結合能を100%とした場合に、本発明の融合タンパク質等は、少なくとも50%以上(例えば約50%~約150%又は約50%~約120%)の鉄結合能を保持しており、好ましい態様においては、本発明の融合タンパク質等は、天然ラクトフェリン(又は天然と同等の配列を有する組換え型ラクトフェリン)の約70%~約100%又はそれ以上(例えば約70%~約150%又は約70%~約120%)、さらには約90%以上に相当する鉄結合能を有する。なお、鉄結合能は、実施例に記載した方法又はそれと同等の方法によって測定する場合、土2%、土5%、土10%、または、土20%程度の誤差がありうる。
【0023】
本発明において使用されるヒト血清アルブミンは、ヒトラクトフェリンと融合させた状態から分解しにくいものが良い。また、ヒトラクトフェリンをN末端側にヒト血清アルブミンをC末端側に位置するように融合させたタンパク質であるhLF-HSAの方であっても、ヒト血清アルブミンをN末端側にヒトラクトフェリンをC末端側に位置するように融合させたタンパク質であるHSA-hLFでもよい。少なくとも、hLF-HSAは熱安定性やペプシン消化耐性に優れる特性を有する。
【0024】
スペーサー配列
本発明の融合タンパク質は、さらに、付加的なアミノ酸配列を含んでいてもよい。ヒト血清アルブミンと、ラクトフェリン又はラクトフェリンの生物活性断片もしくはペプチドとの聞に、スペーサー配列として適切な長さの任意のアミノ酸配列を有することができる。スペーサー配列( s )は、例えば0~10個、又は0~5個の任意のアミノ酸の配列であることができる。その他の付加的な配列は、スペーサー配列のような立体構造上の利点を提供するものであってもよく、また、例えばシグナルペプチドや精製に利用されるタグ配列のように、何らかの機能を融合タンパク質に与えるものであってもよい。
【0025】
本発明の融合タンパク質は、小腸において、ラクトフェリン受容体、及びアルブミン受容体からなる群より選択される少なくとも1つの公知の受容体を介して取り込まれると考えられる(Malin Bern , Kine Marita Knudsen Sand , Jeannette Nilsen, Inger Sandlie, Jan Terje Andersen, Journal of Controlled Release 211 (2015) 144-162)。
【0026】
本発明の融合タンパク質等は、遺伝子組換えにより製造することができる。所望のアミノ酸配列を有するラクトフェリン遺伝子とヒト血清ラクトフェリンの遺伝子とを、常法により連結し、所望の宿主細胞において発現させるのに必要なその他の要素を含む発現ベクターを構築し、このベクターを宿主細胞に導入して融合タンパク質を発現させ、発現された融合タンパク質を細胞又は培地から回収することができる(文献:Shiga, Yら Eur J Pharm Sci. Vol.67, 136-143, 2015)。
【0027】
本発明の融合タンパク質等をコードする核酸分子は、公知の配列及び標準的な遺伝子操作技術によって設計し、作製することができる(文献:Ikuta, SらJ Control Release vol.147, 17-23, 2010)。ラクトフェリン及びヒト血清アルブミンをコードする遺伝子は、公知の核酸又はアミノ酸配列に基づくプローブを用いて、一般に利用可能な種々のゲノムライブラリー又はcDNAライブラリーからクローニングしたり、ボリメラーゼ連鎖反応(PCR)法によって合成することにより、得ることができる。これらの遺伝子に所望の改変を加えたり変異を導入してもよい。
【0028】
核酸分子を複製するために使用する宿主細胞及びベクター系、及び融合タンパク質を発現させるために使用する宿主及びベクター系は、公知の多数の真核細胞(哺乳乳動物細胞、植物細胞、酵母、昆虫細胞など)及び原核細胞(細菌など)の系から適宜選択して使用することができる。本発明の融合タンパク質を発現させるためのベクターは、ラクトフェリン又はラクトフェリンの生物活性断片もしくはペプチドをコードする配列及びヒト血清アルブミンをコードする配列(又は、ヒト血清アルブミンをコードする配列及びラクトフェリン又はラクトフェリンの生物活性断片もしくはペプチドをコードする配列)に加えて、一般に、作動可能に連結された状態で、転写プロモーター、分泌シグナルペプチド配列、転写ターミネータ一、ポリAシグナルなどの要素を含み、さらに通常、薬剤耐性遺伝子などの選択マーカーを含む。
【0029】
これらのベクターを用いて、公知の種々の技術にしたがって宿主細胞を形質転換することができる。
【0030】
本発明の融合タンパク質は、遺伝子組換え植物及び遺伝子組換え動物を製造することによって、これらの動物及び植物に産生させることができる。例えば、ヒツジ、ヤギなどの非ヒト動物のゲノムに本発明の融合タンパク質をコードする核酸分子を組み込むことにより、本発明の融合タンパク質を乳汁中に分泌させるようにすることができる。また、植物に組み込むことによって本発明の融合タンパク質等を産生する有用植物を製造することもできる(例えば特表2004-528022号公報)。
【0031】
本発明の融合タンパク質は、本発明の発現ベクターで形質転換された宿主細胞の培地などから、硫酸アンモニウム沈殿、ゲルろ過、イオン交換クロマトグラフィー及びアフィニティークロマトグラフィーなどの種々のクロマトグラフィー技術を適宜用いて単離精製することができる。特に好ましい精製方法としては、イオン交換クロマトグラフィーが挙げられる。
【0032】
本発明の融合タンパク質は、ラクトフェリンの生物活性を充分に保持しているので、単独で、又は他の薬剤と組合せて、ラクトフェリンが有効である疾患の予防又は治療剤として、投与することができる。また、本発明の融合タンパク質は、製剤学の分野で公知の各種の担体、治療上不活性な基剤及び/又は添加物を配合することによって、所望の剤型の医薬品組成物とすることができる。便宜上、本発明に関して医薬品又は医薬品組成物というときは、投与対象が人の場合のほか、動物である場合(即ち、獣医薬等)も含む。このような医薬品組成物に含有させることができる各種成分及び剤型は当業者には充分に公知である。
【0033】
ペプシン耐性
本発明の融合タンパク質は、ペプシン耐性の向上したものである。ペプシンは、胃液の主要なタンパク質分解酵素であるので、ペプシン耐性を向上させることにより、胃において消化されにくい融合タンパク質を提供することができる。ペプシン耐性は、公知の手法により測定することができる。例えば、適宜濃度を調整したタンパク質溶液にペプシン溶液を添加して、消化させた後、SDS-PAGE法などのゲル電気泳動法などにより、消化されたタンパク質を検出または、計量することにより、ペプシン耐性を測定することができる(Yasuhiro Nojima, Yosuke Suzuki, Kazuhiro Yoshida, Fumiko Abe, Tuneo Shiga, Takashi Takeuchi, Akihiko Sugiyama, Hirohiko Shimizu, and Atsushi Sato, Pharmaceutical Research, Vol. 26, No. 9, September 2009 2125-2132)。例えば、上記ペプシン処理をした後に、ゲル電気泳動法により、顕著な分解産物が観察されなかった場合を、ペプシン耐性があるとすることができる。また、融合タンパク質が、天然又は遺伝子組み換え型ラクトフェリンと比べ、ペプシン処理による、タンパク質分解産物が減少した場合を、ペプシン耐性が向上したとすることができる。
【0034】
抗腫瘍活性
本発明の融合タンパク質は、抗腫瘍活性を有する。ここで抗腫瘍活性とは、腫瘍細胞の増殖を阻害する活性を言う。抗腫瘍活性は、本明細書において抗腫瘍効果と称する場合もある。
本発明の融合タンパク質の抗腫瘍活性は、本発明の融合タンパク質の存在下(サンプル群)及び非存在下(対照群)で同数の腫瘍細胞の培養を開始し、一定期間後(例えば24時間後、48時間後、72時間後)にサンプル群の腫瘍細胞数が対照群の腫瘍細胞数よりも少なくなっていることにより確認することができる。
ここで腫瘍とは、良性腫瘍又は悪性腫瘍のいずれでもよい。このような腫瘍の例としては、(1)骨肉腫や軟部組織肉腫等の肉腫、(2)乳癌腫、肺癌腫、膀胱癌腫、甲状腺癌腫、前立腺癌腫、結腸癌腫、結腸直腸癌腫、膵臓癌腫、胃癌腫、肝臓癌腫、子宮癌腫、子宮頸癌腫、卵巣癌腫等の癌腫、(3)ホジキンや非ホジキンリンパ腫等のリンパ腫、(4)神経芽細胞腫、(5)メラノーマ、(6)ミエローマ、(7)ウィルムス腫瘍、(8)急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性リンパ性白血病(ALL)及び慢性リンパ性白血病(CLL)等の白血病、(9)グリオーマ、(10)網膜芽細胞腫等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。ある実施態様では、腫瘍は肺癌種であり、さらには肺腺癌である。また、腫瘍細胞は分化型、低分化型、未分化型のいずれであってもよいが、ある実施形態では分化型及び低分化型に対して特に強い抗腫瘍効果を示す。
【0035】
興味深いことに、本発明の融合タンパク質は、HSA又はrhLFを単独投与した場合よりも顕著な抗腫瘍活性を有する。また、HSAとrhLFを共有結合させずに併用した場合と比べ、HSAとrhLFが共有結合した本発明の融合タンパク質はより高い抗腫瘍活性を示す。さらに、本発明の融合タンパク質は、腫瘍細胞に選択的に細胞増殖作用を示し、正常細胞には細胞増殖作用を示さない。このため、本発明の融合タンパク質は、副作用を生じない、あるいは生じたとしても低い副作用で抗腫瘍活性を生じることが分かる。
【0036】
本発明は、さらに、治療有効量の本発明の融合タンパク質又はその改変体を患者に投与することを含む、腫瘍の治療方法を提供する。また、本発明は、腫瘍の治療に用いるための本発明の融合タンパク質又はその改変体を提供する。また、本発明は、腫瘍の治療のための医薬組成物の製造における、本発明の融合タンパク質又はその改変体の使用を提供する。ここで、「治療有効量」、「患者」及び「投与」
【0037】
医薬組成物
本発明は、本発明の融合タンパク質を含む、ラクトフェリン関連疾患を治療するための医薬組成物を提供する。
ここでラクトフェリン関連疾患には、生活習慣病(動脈硬化、高コレステロール血症、高脂血症、高血圧、糖尿病、脂肪肝など)、がん(発がん予防、がんの二次予防、転移抑制、制癌剤の作用増強など)、自己免疫疾患(シェーグレン症候群によるドライアイ及びドライマウス、リウマチ性関節炎、悪性関節リウマチ、膠原病、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、全身性紅斑性狼蒼など)、精神神経疾患(痴呆、アルツハイマー病、パーキンソン病、テンカン、うつ病、ヒキコモリ、統合失調症、各種ストレス性疾患、更年期障害など)、疼痛緩和(モルヒネ等のオピオイド増強作用、がん性疼痛、神経因性疼痛、ヘルペス後疼痛、線維筋痛症、術後疼痛、舌痛症、生理痛、歯痛、関節痛、更年期障害など)、肝炎(各種ウイルス性肝炎、非アルコール性肝炎、肝硬変など)、炎症性腸疾患(大腸性潰瘍炎、クローン病など)、過敏性腸症候群、前立腺肥大、頻尿、不眠症、便秘等が挙げられ、さらに、ラクトフェリンのウイルス作用及び免疫能賦活作用に基づいて治療され得る、ヘリコバクター・ピロリ菌の胃粘膜感染、歯周病、歯槽膿漏、口臭、口腔カンジダ症、口内炎、口角炎、鼻炎、食道炎、胆嚢炎、尿路感染症、膣感染症、水虫、ニキビ、ヘルペス属ウイルスの感染症、老人性肺炎、術後感染症、さらにはラクトフェリンの免疫寛容作用に基づいて治療可能な花粉症、アトピー性皮膚炎、脂漏症、蕁麻疹等のアレルギー性疾患が挙げられる。ラクトフェリン関連疾患のさらなる例としては、ラクトフェリンの抗酸化ストレス作用に基づいて治療可能な、ウィルソン病、劇症肝炎などや、肌や眼の抗加齢・若返り作用、加齢性黄斑変性症、糖尿病性網膜症が含まれる。
また、本発明は、本発明の融合タンパク質を含む、腫瘍を治療するための医薬組成物を提供する。腫瘍については上で述べたとおりである。
【0038】
患者は、哺乳動物であれば特に限定されないが、好ましくはヒトである。ここで、患者には胎児が含まれる。
【0039】
「投与」は、本発明の融合タンパク質が患者の体内に送達されることを意味する。投与経路は特に限定されず、経口投与又は非経口投与のいずれであってもよく、非経口投与であれば、静脈内投与、腹腔内投与、筋肉注射、経皮投与、点鼻投与、舌下投与、局所投与のいずれであってもよい。
【0040】
本発明の組成物は、有効成分である本発明の融合タンパク質を治療上有効量で含み得る。ここで、「治療上有効量」とは、その量の有効成分を対象に投与することにより、治療対象となる疾患の症状が、当該有効成分を投与しない場合と比較して、軽減する場合及び悪化しない量を指し、予防において有効な量という意味をも包含する。
例えば、経口投与の場合、治療上有効量は、ラクトフェリン又はラクトフェリンの生物活性断片もしくはペプチドの量として0.001~10 g/kg/日、0.005~10 g/kg/日、0.01~10 g/kg/日、0.01~5 g/kg/日とすることができる。ヒトに投与する場合、一般的には、治療上有効量として、一日あたりラクトフェリン又はラクトフェリンの生物活性断片もしくはペプチドの量として10 mg~15,000 mg、10 mg~12,000 mg、10 mg~10,000 mg、20 mg~10,000 mg、20 mg~8,000 mg、30 mg~8,000 mg、30 mg~6,000 mgの量である。また、経皮投与の場合、治療上有効量は、ラクトフェリン又はラクトフェリンの生物活性断片もしくはペプチドの量として0.001~10 g/kg/日、0.005~10 g/kg/日、0.01~10 g/kg/日、0.01~5 g/kg/日とすることができる。ヒトに投与する場合、一般的には、治療上有効量として、一日あたりラクトフェリン又はラクトフェリンの生物活性断片もしくはペプチドの量として10 mg~15,000 mg、10 mg~12,000 mg、10 mg~10,000 mg、20 mg~10,000 mg、20 mg~8,000 mg、30 mg~8,000 mg、30 mg~6,000 mgの量である。このような一日あたりの用量を一度にまたは分割して、治療を必要とする患者に投与することができる。
なお、本発明の組成物の投与量及び投与頻度は、対象の種、体重、性別、年齢、疾患の進行度、投与経路といった種々の要因に依存して変化するが、医師、獣医師、歯科医師又は薬剤師等の当業者であれば、それぞれの要因を考慮して投与量を決定することができる。
上記の治療上有効量、投与量及び投与頻度は、典型的な数値を列挙したものであり、これを超える数値又は下回る数値であっても治療効果を奏する場合も十分に考えられる。従って、上記の治療上有効量、投与量及び投与頻度を超える数値又は下回る数値であっても、本発明の組成物の治療上有効量、投与量及び投与頻度として包含される。
【0041】
本発明の融合タンパク質等を含む治療剤又は医薬品組成物の有効投与量は、治療又は予防すべき疾患又は症状の種類や程度、投与対象の状態、剤型、投与経路などによって異なり、公知の有効ラクトフェリン量やアルブミン量を目安に適宜選択することができる。
【実施例】
【0042】
実施例1:ヒトラクトフェリン(hLF)とヒト血清アルブミン(HSA)との融合タンパク質の作製
ヒトラクトフェリン(hLF)とヒト血清アルブミン(HSA)との融合タンパク質については、hLFをN末端側にHSAをC末端側に位置するように融合させたタンパク質をhLF-HSA、逆にHSAをN末端側にhLFをC末端側に位置するように融合させたタンパク質をHSA-hLF、と命名した。また、本明細書中で、rhLFとは、Aspergillus由来の組換え型hLFを意味する。
【0043】
1. hLF-HSA発現ベクターの構築
シグナル配列を含むhLF cDNA断片は、公知のDHFR欠損チャイニーズハムスター卵巣由来細胞(CHO[DG44])用発現ベクターpOptiVEC/hLF-dFc(Shiga, Yら Eur J Pharm Sci. Vol.67, 136-143, 2015)をXho IとBamH Iで消化することで調製した。
【0044】
一方、ヒトHSA cDNAは、ベクターpPIC9-HSA-trx (Ikuta, SらJ Control Release vol.147, 17-23, 2010)を鋳型として、フォーワード側プライマーとして、BamHI-c-HSA(73-92)(5’-CGCGGATCCCGATGCACACAAGAGTGAGGT-3’: SEQ ID NO: 5) [上流に下線部BamH Iサイトを導入])、リバース側プライマーとして、NotI-HSA(1830-1811(5’-AAGGAAAAAAGCGGCCGCTTATAAGCCTAAGGCAGCTT-3’: SEQ ID NO: 6)[3’末端側に下線部Not Iサイトを導入]を用い、DNA合成酵素は「PrimeStar(登録商標) HS(premix)」(商品名、タカラバイオ社製)を使用して、HSA cDNAをPCR法で取得した。得られたDNA断片は、BamH IとNot Iで消化することにより、ヒトHSAのDNA断片を切り出した。
【0045】
以前に報告しているDHFR欠損チャイニーズハムスター卵巣由来細胞(CHO[DG44])用発現ベクターpOptiVEC-MCS(Shiga, Yら Eur J Pharm Sci. Vol.67, 136-143, 2015)をXho IとNot Iで消化し、上記Xho I/BamH I消化ヒトhLF cDNA断片と、BamH I/Not I消化ヒトHSA cDNA断片をT4 DNA ligase(ニッポンジーン社製)を用いて3点ライゲーションすることで、CHO(DG44)安定発現株用ベクターpOptiVEC/hLF-HSAを作製した(
図1)。得られたhLF-HSA融合領域の塩基配列は、ジデオキシ法シークエンシングで確認した。融合タンパク質HSA-hLF発現ベクターであるp OptiVEC/hLF-HSAがコードするヒト血清アルブミン(HSA)/ヒトラクトフェリン(hLF)融合タンパク質のアミノ酸配列を、hLF-HSA配列(SEQ ID NO: 7)として示す。このhLF-HSA配列において、それぞれ、アミノ酸番号1~711(SEQ ID NO: 8)はシグナル配列を含むヒトラクトフェリン(hLF)、アミノ酸番号712~713(配列 Asp-Pro)はスペーサー、アミノ酸番号714~1298(SEQ ID NO: 9)はヒト血清アルブミン(HSA)のアミノ酸配列である。
【0046】
2.HSA-hLF発現ベクターの構築
シグナル配列を含むHSA cDNAは、ヒト肝癌由来細胞株であるHepG2からTotal RNAを抽出し、そのTotal RNAを鋳型としたRT-PCR法で取得した。HepG2は10% ウシ胎児血清(FBS)を含むD-MEM(low glucose)培地(和光純薬社製)で培養した。1x106cells分のHepG2細胞から、RNA 抽出用試薬ISOGEN(商品名、ニッポンジーン社製)を用いて、Total RNAを抽出した。その方法は試薬に添付されているプロトコールに従った。得られた2μg分のTotal RNAを鋳型として、オリゴdTプライマー (oligo (dT)15、プロメガ社製)、逆転写酵素 (ReverTra Ace、商品名、東洋紡社製)を用いてTotal cDNAを合成した。その方法は試薬に添付されているプロトコールに従った。HSA cDNA断片は、得られたTotal cDNAを鋳型としたPCR法により取得した。フォーワード側プライマーとして、N-EcoRI-HSA(5’-CGGAATTCATGAAGTGGGTAACCTTTAT-3’: SEQ ID NO: 10;[開始コドンであるATGの上流に下線部EcoR Iサイトを導入])、リバース側プライマーとして、HSA-XhoI-C(5’-CCGCTCGAGTAAGCCTAAGGCAGCTTGAC-3’: SEQ ID NO: 11)[3’末端側に下線部Xho Iサイトを導入]を用い、DNA合成酵素は「PrimeStar(登録商標) HS(premix)」(商品名、タカラバイオ社製)を使用して、HSA cDNAを増幅した。得られたDNA断片に、rTaq DNA polymerase (商品名、東洋紡社製)でAを付加し、「pGEM-T(登録商標) Easyベクター」(商品名、プロメガ社製)にTAクローニングした。HSA cDNAの塩基配列は、ジデオキシ法シークエンシングで確認した。その後、このベクターをEcoR IとXho Iで消化することにより、シグナル配列を含むヒトHSAのDNA断片を切り出した。
【0047】
一方、hLF cDNA断片は、公知のhLF cDNA全長配列含むベクター「pBSIILfAL」 (Shiga, Yら Eur J Pharm Sci. Vol.67, 136-143, 2015) を鋳型として、フォーワード側プライマーとして、S_LFex_XhoI_ATG(5’-CTCGAGATGGGCCGTAGGA-3’ :SEQ ID NO: 12)[上流に下線部Xho Iサイトを導入])、リバース側プライマーとして、hLF reverse (Not-hLF-2136R)(5’-GCGGCCGCTTACTTCCTGAGGAACTCAC-3’ :SEQ ID NO: 13)[3’末端側に下線部Not Iサイトを導入]を用い、DNA合成酵素は「PrimeStar HS(premix)」(商品名、タカラバイオ社製)を使用して、hLF cDNAを増幅した。得られたDNA断片に、rTaq DNA polymerase (商品名、東洋紡社製)でAを付加し、「pGEM(登録商標)-T Easyベクター」(商品名、プロメガ社製)にTAクローニングした。hLF cDNAの塩基配列は、ジデオキシ法シークエンシングで確認した。その後、このベクターをXho IとNot Iで消化することにより、ヒトhLF cDNA断片を切り出した。
【0048】
以前に報告しているDHFR欠損チャイニーズハムスター卵巣由来細胞(CHO[DG44])用発現ベクターpOptiVEC-MCS(Shiga, Yら Eur J Pharm Sci. Vol.67, 136-143, 2015)をEcoR IとNot Iで消化し、上記EcoR I/Xho I消化ヒトHSA cDNA断片と、Xho I/Not I消化ヒトhLF cDNA断片を、T4 DNA ligase (ニッポンジーン社製)を用いて3点ライゲーションすることで、CHO(DG44)安定発現株用ベクターpOptiVEC/HSA-hLFを作製した(
図2)。
【0049】
融合タンパク質HSA-hLF発現ベクターであるpOptiVEC/HSA-hLFがコードするヒト血清アルブミン(HSA)/ヒトラクトフェリン(hLF)融合タンパク質のアミノ酸配列を、HSA-hLF配列(SEQ ID NO: 14)として示す。このHSA-hLF配列において、アミノ酸番号1~609(SEQ ID NO: 15)はシグナル配列を含むヒト血清アルブミン(HSA)、アミノ酸番号610~612(配列Leu-Glu-Met)はスペーサー、アミノ酸番号613~1304(SEQ ID NO: 16)はヒトラクトフェリン(hLF)のアミノ酸配列である。
【0050】
3. hLF-HSA、HSA-hLF融合タンパク質安定発現細胞株の樹立
hLF-HSA、HSA-hLF融合タンパク質の安定発現細胞株構築のために、CHO細胞の一種であるDHFR欠損チャイニーズハムスター卵巣由来細胞(DG44)を用いた。DHFRとは、ジヒドロ葉酸還元酵素であり、核酸の生合成には必須である。DHFRのアンタゴニストであるメトトレキサート(MTX)の存在下で細胞を培養すると、DHFRの産生が阻害される。その際、細胞は生き残るためにDHFR遺伝子を増幅し、DHFR遺伝子の近傍に存在する遺伝子も増幅されるために、その遺伝子のタンパク質発現が増幅することが知られている。このようにして、目的とするタンパク質を高発現させることが可能である。
【0051】
1、2で作製した発現ベクターpOptiVEC/hLF-HSA、およびpOptiVEC/HSA-hLF、は効率的に細胞へ導入するために、制限酵素PvuIで消化して直鎖状にした。エレクトロポレーションは、Bio-Rad社製Gene Pulser Xcell(登録商標)で行った。CHO(DG44)細胞は、10% FBSを含むリボヌクレオシド、デオキシリボヌクレオシド含有α-MEM培地(製品番号21444、ナカライテスク社製)にて培養した。細胞4.0×105cells分を遠心し、上清除去後、50μlのPBSに懸濁した。この細胞懸濁液をエレクトロポレーション用2mmギャップキュベット(ネッパジーン社製)に移し、直鎖状にしたpOptiVEC/hLF-HSA、およびpOptiVEC/HSA-hLFを約13μg 分(PBS 50μlに懸濁)添加した。この混合液を、『電圧160V、液量100μl、パルス幅15msec、間隔0s、波形square wave』の条件で電気パルスをかけ、その後2分間静置した。即座に混合液100μl全量を、10% FBSを含むリボヌクレオシド、デオキシリボヌクレオシド含有α-MEM培地5mlに添加した。遠心分離(200×g、2分間)して、ペレットを再び1mlの10% FBSを含むリボヌクレオシド、デオキシリボヌクレオシド含有α-MEM培地に懸濁後、細胞培養用12wellプレートに移した。5% CO2、37℃で2日間培養した後、培地を10% FBSを含むリボヌクレオシド、デオキシリボヌクレオシド不含MEMα培地(製品番号135-15175、和光純薬社製)に交換して培養を続けた。生育した細胞は、12wellプレートからT75cm2フラスコにスケールアップして培養した。次にメトトレキサート(MTX、和光純薬社製)による遺伝子増幅を行った。T75cm2フラスコで培養している細胞が、フラスコ面積の80%以上になるまで培養した後、細胞をトリプシン/EDTAで剥がし、最終的に10 mlの50 nM MTXと10% FBSを含むリボヌクレオシド、デオキシリボヌクレオシド不含MEMα培地に懸濁した。T75cm2フラスコに、この細胞懸濁液1mlと、新しい9mlの50nM MTXと10% FBSを含むリボヌクレオシド、デオキシリボヌクレオシド不含MEMα培地を加えて、80% confluentまで培養した。MTXの濃度を500nM、1μM、2μM、3μM、4μMと段階的に上げて、同様の培養を行い、hLF-HSA、HSA-hLF融合タンパク質高発現細胞株を樹立した。hLF-HSA、HSA-hLF融合タンパク質高発現細胞株は、それぞれDG44(hLF-HSA)細胞、DG44(HSA-hLF)細胞と命名した。
【0052】
4. hLF-HSA、HSA-hLF融合タンパク質の大量発現
大量発現は、175cm2のTフラスコ(グライナー社製)を用いた静置培養で行った。DG44(hLF-HSA)細胞、およびDG44(HSA-hLF)は、10%FBSを含むリボヌクレオシド、デオキシリボヌクレオシド不含MEMα培地(和光純薬社製)で70%confluentになるまで培養した。培地上清を除去し、付着している細胞をPBSで洗浄した後、「Hybridoma Serum Free Medium」(商品名、Invitrogen社)を30ml加えて37℃、5%CO2で4日間培養した。4日後、培養上清液を50 ml遠沈菅に移し、10,000×gで10分間遠心して上清を保存容器に移した。細胞には新しい「Hybridoma Serum Free Medium」(商品名、Invitrogen社)を30ml加えて、37℃、5%CO2で更に4日間培養して、培養上清を調製した。培養後、細胞を遠心分離で取り除き、得られた培養上清には最終濃度0.02%のアジ化ナトリウムを加え、4℃にて保存した。
【0053】
5. hLF-HSA、HSA-hLF融合タンパク質の精製
精製には、大量発現で得られたhLF-HSA、HSA-hLF融合タンパク質を含む培地上清(最終濃度0.02%アジ化ナトリウムを含む)をそのまま使用した。ヒトラクトフェリン(hLF)は、ヘパリンに強く結合する性質が知られているため、Heparin Sepharose 6 Fast Flow(商品名、GEヘルスケア社)を用いるアフィニティー精製で、hLF-HSA、HSA-hLF融合タンパク質の精製を行った。「Heparin Sepharose 6 Fast Flow」(商品名、GEヘルスケア社)2 ml分を「Poly-Prep Chromatography Columns」(商品名、バイオラッド社)に充填して、5カラム容量(CV)分の10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH 7.0)で平衡化した。10℃にて、培養上清500mL分を還流させる形で、Heparin Sepharose 6 Fast Flowと接触させて、融合タンパク質を「Heparin Sepharose 6 Fast Flow」に吸着させた。還流後、還流させていた培養上清は素通り画分として回収した。融合タンパク質を吸着させたヘパリン担体を含む「Poly-Prep Chromatography Columns」を、「UV DETECTOR」(東京理化器械社、280nmの吸光度を測定)、マイクロチューブポンプ(東京理化器械社)と接続し、ポンプの流速を1ml/minに設定し、10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)を流して担体を洗浄した。「UV DETECTOR」の280nmの吸光度が上昇し始めた時点から、排出液を回収した(洗浄画分)。この回収は280nmの吸光度が0になるまで続けた。その後、溶液を0.5M NaClを含む10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)に換えて同様の操作を行った(0.5M NaCl溶出画分)。さらに、溶液を2M NaClを含む10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)に換えて同様の操作を行った(2M NaCl溶出画分)。回収した各溶出液は、4℃にて保存した。各画分溶液12μlに非還元の4×サンプル緩衝液を4μl混合し、95℃で5分間熱処理を行い、7.5%SDS-PAGEで解析した。バンドの染色にはCBBを用いた。hLF-HSA融合タンパク質の精製結果を
図3、HSA-hLF融合タンパク質の精製結果を
図4に示す。両融合タンパク質とも、素通り画分、および洗浄画分にはバンドは見られず、0.5M NaCl溶出画分に、約140kDaの融合タンパク質のバンドが認められる。2M NaCl溶出画分にはバンドが認められないことから、Heparin Sepharose 6 Fast Flowに吸着した両融合タンパク質は、0.5M NaClで完全に溶出されることがわかった。4.に記載の方法で発現させた場合、hLF-HSA、HSA-hLF融合タンパク質はともに、1Lの培養上清から精製タンパク質として約10~15mg分得られることがわかった。
【0054】
実施例2:hLF-HSA融合タンパク質の鉄結合能の測定
ラクトフェリン(LF)は分子量8万の非ヘム性の鉄結合性糖タンパク質で、Nローブ、Cローブと呼ばれる二つの領域からなり、炭酸イオン(CO3
2-)存在下でタンパク質1分子当たり2個の鉄イオン(Fe3+)を可逆的にキレート結合する能力を有する(Andersonら., Nature, 344, 784-78 (1990))。まず、4.、5.で調製したhLF-HSA、HSA-hLF両融合タンパク質に結合している脱鉄操作前の鉄イオン(Fe3+)量を、和光純薬社製「Fe C-テストワコー」で測定した。その結果、hLF換算タンパク質1mgあたりhLF-HSAは1302ng、HSA-hLFは1161ngのFe3+が結合しており、これはタンパク質1分子当たり2個の鉄イオン(Fe3+)が結合した場合の理論値(hLF 1mgあたりFe3+が約1400ng結合する)にほぼ近い値であった。したがって、両hLF-HSA、HSA-hLF融合タンパク質は鉄イオンと結合する能力を有していることが示された。さらに以下の方法で、hLF-HSA融合タンパク質の鉄結合能を測定した。調製した各融合タンパク質から、10mM HCl(pH 2.0)と0.1% EDTAを含むリン酸バッファー(pH7.5)を用いて鉄イオン(Fe3+)を遊離させ、アポ(apo)型ラクトフェリン(鉄除去型ラクトフェリン)を調製した。次いで炭酸イオン(CO3
2-)存在下で鉄イオン(Fe3+)を付加させた鉄再結合ラクトフェリンを調製した。鉄除去型ラクトフェリン及び鉄再結合ラクトフェリンの鉄含量及びタンパク質濃度を測定し、hLFタンパク質1mg(HSA融合タンパク質の場合は、分子量を用いて算出したhLF換算で1mg)あたりに結合している鉄の結合量を算出した。
【0055】
具体的には、Aspergillus由来の組換え型hLF(rhLF)、ヒト血清アルブミン(HSA、和光純薬社製)、hLF-HSA融合タンパク質を10mM HCl(pH 2.0)に対して24時間透析、さらに0.1%EDTAと150mM NaClを含む100mMリン酸バッファー(pH7.5) に対して24時間透析することで脱鉄を行った。脱鉄して得られたサンプルは鉄除去型ラクトフェリンとした。鉄の再結合は、上記、塩酸とEDTAによる脱鉄後、0.001%クエン酸鉄アンモニウム、50mM炭酸水素ナトリウム及び150mM NaClを含むリン酸バッファー(pH 7.5)に対して24時間透析、150mM NaClを含む50mMリン酸バッファー(pH 6.6) に対して24時間の透析を1回行うことで、鉄再結合ラクトフェリンとした。タンパク質に結合している鉄イオンは、血清鉄測定キット「Fe C-テストワコー」(商品名、和光純薬社製)を用いて測定した。鉄の結合能は、ブラッドフォード法で定量したhLFタンパク質1mg(HSA融合タンパク質の場合は、分子量を用いて算出したhLF換算で1mg)あたりに結合する鉄の結合量として算出した。hLF-HSA融合タンパク質は、rhLFと比較して100%の鉄結合能を保持していた。
【表1】
【0056】
実施例3:CDスペクトルを用いたhLF-HSA、HSA-hLF融合タンパク質の熱安定性の検討
HSA-hLF、hLF-HSA融合タンパク質の熱安定性を、円偏光二色性(CD)スペクトルで解析した。円偏光二色性(CD)スペクトルとは、物質にある波長をあてた場合の右円偏光と左円偏光の吸収の差を測定する方法で、タンパク質の二次構造の有無や種類、含量を推定することが可能である。
まず、PBS(-)に0.1mg/mlで懸濁したAspergillus由来の組換え型hLF(rhLF)、ヒト血清アルブミン(HSA、和光純薬社製)、hLF-HSA、HSA-hLF融合タンパク質を用意して、25℃で、波長200nm~250nmのCDスペクトルを測定した(円二色性分散計J-1500使用、日本分光社製)。その結果を、
図5に示す。HSA-hLF、hLF-HSA両融合タンパク質の二次構造が確認され、hLF とHSAとの融合により、hLFの二次構造に大きな変化は起こっていないことが確認された。次に、各タンパク質の熱安定性を調べた。タンパク質溶液の温度を低温から高温へ変化させながらCDスペクトルを測定すると、ある温度で[θ]が上昇し一定の値を取る。この現象は、熱によりタンパク質の変性が起きて、二次構造が変化することに起因している。熱安定性を観察する場合は、一般に測定する波長は225nm付近を用いる。PBS(-)に0.1mg/mlで懸濁したAspergillus由来の組換え型hLF(rhLF)、ヒト血清アルブミン(HSA、和光純薬社製)、hLF-HSA、HSA-hLF融合タンパク質を用意して、30~90℃まで1℃ずつ上昇させながら、波長225nmのCDスペクトルを測定した(円二色性分散計J-1500使用、日本分光社製)。二次構造が変化した際の変性温度 (Tm値)は、日本分光社の熱変性解析プログラムSpectra Manager Ver.2を用いて算出した。なお、hLFに結合する鉄量が多いほど、高い熱安定性を示すことが報告されているため (Spreedhara, A. et al., Biometals 23, 1159-1170, 2010)、測定に使用したサンプルの鉄含有量を「Fe C-テストワコー」(商品名、和光純薬社製)を用いて測定した。その結果、各サンプルは、rhLF:1222ng/mg、hLF-HSA:1302ng/mg、HSA-hLF 1161ng/mgとほぼ同じ量の鉄を結合していた。各タンパク質の熱安定性の結果を
図6に示す。各タンパク質の変性温度(Tm値)は、rhLF:90℃以上、HSA:61.6℃、hLF-HSA:82.2℃、HSA-hLF:64.5℃であり、両融合タンパク質のTm値はrhLFより低下したが、hLF-HSA融合タンパク質はHSA-hLFと比較して、高い熱安定性を保持していた。
【0057】
実施例4:HSA-hLF、hLF-HSA融合タンパク質のペプシンに対する消化耐性
1.2mg/mlの濃度に調整した各タンパク質溶液(Aspergillus由来の組換え型hLF(rhLF)、ヒト血清アルブミン(HSA、和光純薬社製)、hLF-HSA、HSA-hLF融合タンパク質)35μl、10mM HCl(pH 2.0)40.6μlを混合して、37℃で5分間静置した。その後、8.4μlの200ng/mlペプシン溶液(和光純薬社製のブタ胃由来のペプシンを10mM HCl(pH 2.0)に溶解)を添加して、消化反応を開始した。経時的に反応サンプル12μlを回収し、あらかじめ用意しておいた還元4xSample Buffer (0.1 M Tris-HCl(pH6.8)、8% SDS、40% Glycerol、20%2-Mercaptoethanol、0.1%BPB)4μlに加え、消化反応を停止させた。その後、サンプルは95℃で5分間熱処理を行い、そのうちの4 μlを7.5% SDS-PAGEで泳動した。ゲルはCBBで染色した。
図7は、左から順に、各タンパク質にペプシンを加えずに37℃で0、5、10、20、40、80分間静置反応させたサンプル (Pepsin(-)と表記)、各タンパク質にペプシンを加えて37℃で0、5、10、20、40、80分間静置反応させたサンプル(Pepsin(+)と表記)の泳動結果である。染色したバンドの濃さを数値化するためのソフトウエアであるCS Analyzer(ATTO社製)を用いて、各バンドの濃さを解析した。各タンパク質の消化時間0分におけるバンドの濃さを100%として、相対濃度をグラフ化した(
図8)。コントロールであるhLFは5分間以内で完全に分解されたのに対して、hLF-HSAとHSA-hLFの両融合タンパク質は消化耐性を示した。ペプシンによる各タンパク質の消化分解半減期は、hLFは5分以内、HSAは3.1分、hLF-HSAは80分以上、HSA-hLFは9.3分と算出され、特にhLF-HSAはペプシンに対して顕著な消化耐性を示した。
【0058】
実施例5:ヒト小腸上皮様細胞Caco-2への細胞内取り込み、細胞外放出
LFは完全な分子の形で腸管から取り込まれ、完全な分子の形で胸管リンパ液へ移行し、その後大静脈から全身へ移行することが知られている(Takeuchiら, Exp Physiol., Vol.89, 263-270, 2004)。またヒト小腸上皮様細胞Caco-2へのLFの細胞内取り込み、および細胞外放出は、LFの腸管吸収を模倣する現象であると考えられている。そこで、Aspergillus由来の組換え型hLF(rhLF)、hLF-HSA、HSA-hLF融合タンパク質を蛍光プローブで標識して、Caco-2細胞と反応させ、細胞内に取り込まれた様子を共焦点レーザースキャン顕微鏡で観察した。また、各非標識タンパク質をCaco-2細胞へ取り込ませて、その後Caco-2細胞のcell lysateを調製し、各タンパク質の細胞内での状態をLFに対するポリクローナル抗体を用いたウエスタンブロット法で解析した。さらに、各非標識タンパク質をCaco-2細胞へ取り込ませた後、細胞から放出される各タンパク質をhLFに対するポリクローナル抗体を用いたウエスタンブロット法で解析した。
【0059】
1.共焦点レーザースキャン顕微鏡による細胞内とり込み観察
各タンパク質は蛍光プローブであるAlexa Fluor(登録商標)488 (Thermo Fisher Scientific社製)で標識した。1mg のAlexa Fluor(登録商標)488にDMSO 100μlを加え、その後、1M NaHCO3を加えた各タンパク質とAlexa Fluor(登録商標)488をモル比1:10で混合して、室温で、1 時間反応させた。反応後、反応液を1×PBS(-)に対して24時間透析を行い、タンパク質に結合しなかったフリーのAlexa Fluor(登録商標) 488を除去して、Alexa Fluor(登録商標)488標識タンパク質とした。
【0060】
Caco-2細胞を12well plateに細胞濃度5×10
4cells/mlになるように撒き込み、37℃,5% CO
2で2日おきに培地交換しながら1週間培養した。Caco-2細胞にPBS(-)を500μl/well加えて、3回洗浄を行い、培地成分を完全に取り除いた。次に、PBS(-)に懸濁したAlexa標識済みの各タンパク質を15μg/well加えて、4℃と37℃で1時間反応させた。37℃反応では、ATP合成阻害剤であるNaN
3を終濃度0.2%で添加した場合と、非標識ウシラクトフェリン(bLF)を150μg添加した場合も合わせて行った。1時間後、Alexa標識済みの各タンパク質を取り除き、冷却したPBS(-)を500μl/well加えて、1回洗浄を行った。洗浄後、0.25% Trypsin/EDTAを200 μl/well加えて、室温で3分間反応させ、細胞をプレートから剥がした。細胞を遠心チューブに全量回収して、冷却したPBS(-)で洗浄後、4% PFA/PBS(-)で15分間処理することで、細胞を固定した。再び冷却したPBS(-)で洗浄し、PBS(-)に懸濁させた1μg/mlビスベンズイミド(Bisbenzimide H33258 Trihydrochloride、和光純薬社製)溶液を200μl/tube加えて、室温で30分間反応させ、核を染色した。細胞を冷却したPBS(-)で洗浄後、全量を8well chamber plateに移し、共焦点レーザースキャン顕微鏡LSM510(Carl Zeiss社製)で取り込みの蛍光を観察した。その結果、rhLF及びhLF-HSA、HSA-hLF融合タンパク質は4℃条件下ではCaco2細胞へ取り込まれないが(
図9の4℃)、37℃条件下ではCaco2細胞へ取り込まれていることが確認された(
図9の37℃)。また37℃における取り込みは、ATP合成阻害剤であるNaN
3(
図9のNaN
3)
、および標識タンパク質の100倍量の未標識bLFの添加により完全に阻害されたことから(
図9の100倍量bLF)、この細胞内取り込みはレセプター介在性であり、hLF-HSA、HSA-hLF融合タンパク質は、LFの取り込みルートで細胞内に取り込まれることが示唆された。すなわち、hLF-HSA、HSA-hLF融合タンパク質は、Caco2細胞で発現しているラクトフェリン受容体、又はアルブミン受容体のいずれか1つ以上の受容体を介して取り込まれたものと考えられる。
【0061】
2.ポリクローナル抗hLF抗体を用いたウエスタンブロット法による細胞内とり込み解析
Caco-2細胞を12well plateに細胞濃度5×10
4cells/mlになるように撒き込み、37℃,5% CO
2で2日おきに培地交換しながら1週間培養した。Caco-2細胞にPBS(-)を500μl/well加えて、3回洗浄を行い、培地成分を完全に取り除いた。次に、PBS(-)に懸濁した各タンパク質を15μg/well加えて、4℃と37℃で1時間反応させた。反応後、冷却したPBS(-)を500μl/well加えて、3回洗浄を行った。洗浄後、0.25%Trypsin/1mM EDTAを用いてplateから細胞を剥がして、細胞を1.5ml遠心チューブに回収した。冷却したPBS(-)を 500μl/ml加えて細胞を洗浄し、その後、200×g,2分間,4℃で遠心を行うことで細胞を回収した。この洗浄操作を3回行い、最終的に、細胞には100 μlの冷却したLysis buffer(1% Triton X-100とプロテインインヒビターを含むPBS(-)溶液)を添加して、4℃で30分間反応させることで、細胞を破壊した。その後、18,700×g,15分間,4℃で遠心を行い、上清をcell lysateとして回収した。10%SDS-PAGEに、1レーンあたり36μg 分の各cell lysateを非還元状態で泳動した。泳動後、常法に従い、各レーンのタンパク質をニトロセルロース ブロッテイングメンブレン(Protran(登録商標) Premium 0.45μm NC、GEヘルスケア社製)へ転写し、1次抗体としてHuman Lactoferrin antibody(Rabbit polyclonal、A80-144A、Betheyl社製)、2次抗体としてAnti Rabbit IgG(Fc),Monoclonal Antibody, Peroxidase Conjugated,016-23943、和光純薬社製)を反応させた。バンドの検出は化学発光法(イムノゼータ、和光純薬社製)で行った。その結果、37℃で細胞内に取り込まれたrhLFは、コントロールであるrhLFと同じ位置に、完全な分子として検出された。一方、4℃で細胞と反応させたrhLFは、37℃で細胞と反応させた場合より検出されるバンドが薄かった(
図10左、rhLF)。rhLFと同様に、37℃で細胞内に取り込まれたhLF-HSAは、コントロールであるhLF-HSAと同じ位置に、完全な分子として検出された。一方、4℃で細胞と反応させたhLF-HSAは、37℃で細胞と反応させた場合より検出されるバンドが薄かった(
図10中央、hLF-HSA)。以上の結果からhLF-HSAは、rhLFと同様に完全な形でCaco2細胞へ取り込まれることが確認された。一方、約140kDaの分子量であるHSA-hLFは、37℃で細胞と反応させた場合、主に約80kDaの位置にバンドが検出された(
図10右、HSA-hLF)。これは、HSA-hLFが細胞内に取り込まれる際、HSAとhLFとの結合部位が分解され、80kDaであるhLFが抗hLF抗体により検出されたものと推察される。したがって、HSA-hLFは、Caco2細胞へ取り込まれると分解することが判明した。
【0062】
3.ポリクローナル抗hLF抗体を用いたウエスタンブロット法による細胞外放出解析
Caco-2細胞を12well plateに細胞濃度5×10
4 cells/mlになるように撒き込み、37℃,5%CO
2で2日おきに培地交換しながら1週間培養した。Caco-2細胞にPBS(-)を500μl/well加えて、3回洗浄を行い、培地成分を完全に取り除いた。次に、PBS(-)に懸濁した各タンパク質を15 μg/well加えて、37℃で1時間反応させた。反応後、冷却したPBS(-)を 500 μl/well加えて、3回洗浄を行った。洗浄後、0.25% Trypsin/1mM EDTAを用いてplateから細胞を剥がして、細胞を1.5ml遠心チューブに回収した。冷却したPBS(-)を1ml加えて細胞を3回洗浄し、その後、200×g,2分間,4℃で遠心を行うことで細胞を回収した(3回目の洗浄液は、ウエスタンブロット法で解析した)。D-MEM培地(和光純薬社製)を200μl加えて、37℃で30、60、120分間反応させ、培地中に各タンパク質を放出させた。培地は6000rpmで10分間遠心を行い、上清をhLFに対するポリクローナル抗体を用いたウエスタンブロット法で解析した。ウエスタンブロット法は上記細胞内取り込みに記載した方法で行った。結果を
図11に示す。rhLFは80kDaの完全な形で培地中に放出された。またhLF-HSAは、rhLFと同様に完全な形で培地中に放出された。一方、細胞内取り込みにおいて、HSAとhLFとの結合部位の分解が示唆されたHSA-hLFは、分解したhLFのみが培地中に放出された。
【0063】
実施例6:hLF-HSAとHSA-hLF両融合タンパク質のラットを用いた血中安定性の検討
8週齢のWistar系ラット(雄)5頭に、ペントバルビタールナトリウムによる麻酔下にて、外頸静脈に採血用カニューレを留置した。大腿静脈内注射により、hLF換算で1mg/kg体重となるようhLF-HSAとHSA-hLF両融合タンパク質を投与した。投与前及び投与後1、5、10、15、30、60、120、180、240分後に外頸静脈に留置したカニューレから採血し、血漿中のhLF濃度はELISA(「AssayMax Human Lactoferrin ELISA kit」、Assaypro社製)により測定した。なお、予備検討により、採血時に使用した抗凝固剤であるEDTA、及び血漿は、このELISA測定に影響を及ぼさないことを確認している。
まず、ブラッドフォード法により濃度既知であるhLF-HSAとHSA-hLF両融合タンパク質を用いて、各検量線を作成した。hLF-HSAとHSA-hLF両融合タンパク質は、0.24~15.0ng/mlで直線性が得られたので、この範囲に測定値が入るように各血漿サンプルを希釈してタンパク質濃度を測定した。
【0064】
得られた結果を、以前に同じ方法で測定したrhLFの血中濃度プロファイルと合わせて
図12に示す。投与前はhLF-HSA、HSA-hLF両融合タンパク質投与群ともに血中からLFは検出されなかった。投与後15分までは、rhLFの血中濃度が高かったが、その後は急速に濃度が低下して、融合タンパク質の血中濃度が高くなった。特にHSA-hLFの血中濃度が高かった。
統計解析ソフトウエア「GraphPad Prism(登録商標) 4」(GraphPad Software社)を用いて、血中半減期と時間曲線下面積(area under the curve、AUC)を算出した。Aspergillus由来の組換え型hLF投与群の半減期は12.6分であるのに対し、hLF-HSA、HSA-hLF両融合タンパク質投与群の半減期はそれぞれ64分、404分とhLF投与群の約5.1倍、32.1倍に延長した(
図13)。AUCについては、hLF-HSA、HSA-hLF両融合タンパク質投与群では、hLF投与群の約1.8倍、4.2倍に増加という血中安定性の著しい向上を示した。
【0065】
In vitroでのペプシン消化耐性、およびCDスペクトルによる熱安定性解析の結果、hLF-HSA、HSA-hLF両融合タンパク質はrhLFと比較して、分子の安定性向上を示した。特にHSA-hLFに比べて、hLF-HSAは大幅な分子の安定性向上を示した。一方、In vivoでは、hLF-HSA、HSA-hLF両融合タンパク質はrhLFと比較して、血中安定性向上を示した。特にhLF-HSA に比べて、HSA-hLF融合タンパク質の大幅な血中安定性向上が示された。以上の結果は、HSAの融合させる位置、すなわち、hLFのN末端側かC末端側に融合させることによるその効果は、予測が難しいことを示している。
【0066】
実施例7:hLF-HSA、HSA-hLF融合タンパク質の鉄結合能の測定(チオシアン酸ナトリウムとEDTAによる脱鉄と鉄再結合)
4.、5.で示した方法で調製したhLF-HSA、HSA-hLF両融合タンパク質、さらにrhLFに結合している脱鉄操作前の鉄イオン(Fe
3+)量を、和光純薬社製「Fe C-テストワコー」で測定すると、hLF換算タンパク質1mgあたりhLF-HSAは1207ng、HSA-hLFは819ng、rhLFは1966ngのFe
3+が結合していた。HSA-hLFは酸性状態では沈殿してしまうために、6.で示した塩酸を用いる脱鉄方法は適さない。そこで、中性条件下で脱鉄する方法として、カオトロピック塩であるチオシアン酸ナトリウムを用いる方法を試みた。 rhLF、hLF-HSA、HSA-hLF両融合タンパク質溶液に最終濃度で5 Mになるようにチオシアン酸ナトリウム、最終濃度で0.1% になるようにEDTAを添加して、室温で16時間インキュベートした。その後、150mM NaClを含む50 mMリン酸バッファー(pH 6.6) に対して24時間透析することで脱鉄を行った。鉄の再結合は脱鉄後、0.001%クエン酸鉄アンモニウム、50mM炭酸水素ナトリウム及び150mM NaClを含むリン酸バッファー(pH 7.5)に対して24時間透析、150mM NaClを含む50mMリン酸バッファー(pH 6.6) に対して24時間の透析を1回行うことで、鉄再結合ラクトフェリンとした。タンパク質に結合している鉄イオンは、血清鉄測定キット「Fe C-テストワコー」(商品名、和光純薬社製)を用いて測定した。鉄の結合能は、ブラッドフォード法で定量したhLFタンパク質1mg(HSA融合タンパク質の場合は、分子量を用いて算出したhLF換算で1mg)あたりに結合する鉄の結合量として算出した。その結果を表に示す。rhLFの結合活性を100%とすると、rhLF-HSA、rHSA-hLF融合タンパク質は147%、69.5%の鉄結合能を示した。
【表2】
【0067】
実施例8:低分化型ヒト肺腺ガン細胞に対するHSA融合タンパク質の抗腫瘍作用
低分化型ヒト肺腺ガン細胞株PC-14 は(株)免疫生物研究所(IBL)より購入して、10% FBSを含むRPMI-1640(和光純薬社製)で培養した。細胞培養用96 well plateに0.1% ブタゼラチン(岩城硝子社製)溶液を100 μl/well加えて1時間静置し、plateをゼラチンコートした。PC-14を10% FBSを含むRPMI-1640培地に2.5×10
4 cells/mlになるように懸濁して、200 μl/wellで細胞を撒き、37℃、5% CO
2で一晩培養した。rhLF、ヒト血清アルブミン(HSA、和光純薬社製)、hLF-HSA、HSA-hLF融合タンパク質を10% FBSを含むRPMI-1640(和光純薬社製)を用いて0、5、10 μM (HSA-hLFは0、5 μM)となるように調製した。Plateに接着した細胞の培地を捨てて、調製した各タンパク質溶液を100 μl/wellで加え、37℃、5% CO
2で96時間培養した。その後、Cell Counting Kit-8 (同仁化学社製)を加え37℃、5% CO
2で2時間発色させた。発色後、450 nmにおける吸光度により細胞増殖を評価した。細胞増殖は、培地にタンパク質を加えない場合の吸光度を100%とした場合の相対値(n=2の平均値)で示した(
図14)。10 μM HSAで多少の細胞増殖阻害が観察されたが、rhLFでは細胞増殖阻害は観察されなかった。一方、hLF-HSA、HSA-hLF融合タンパク質では顕著な細胞増殖阻害が認められ、特にHSA-hLFはhLF-HSA と比較して強い細胞増殖阻害を示した。以上のことから、HSA融合によるhLFの抗腫瘍作用の増強が示された。
【0068】
実施例9:融合タンパク質の共有結合による抗腫瘍効果への影響
次にこの抗腫瘍作用の増強には、HSAとrhLFの共存が必要なのか、それとも両分子が共有結合により融合されていることが必要であるのかを明らかとするために、HSAとrhLFの両方を各成分が10 μMの濃度となるように同じウエルに加えて、実施例8と同様の方法でPC-14細胞の増殖を評価した。ただし、今回は各タンパク質を細胞に加え72時間培養し、その後、Cell Counting Kit-8 (同仁化学社製)で2時間発色させた。細胞増殖は、培地にタンパク質を加えない場合の吸光度を100%とした場合の相対値(n=3,平均値±標準偏差 SD)で示した(
図15)。10 μM HSA単体、10 μM rhLF単体を加えた場合に多少の細胞増殖阻害が観察されたが、HSAとrhLFの両者を各成分が10 μMの濃度で同じウエルに加えた場合では、10 μM HSA単体、10 μM rhLF単体の場合と同様に増殖阻害をほとんど示さなかった。一方、融合タンパク質ではhLF-HSA及びHSA-hLFのいずれにも顕著な細胞増殖阻害が認められ、特にHSA-hLFはhLF-HSA と比べても強い細胞増殖阻害を示した。このことから、hLFの抗腫瘍作用の増強には、hLFにHSAを共有結合で融合させることが必要であることが示された。
【0069】
実施例10:分化型ヒト肺腺ガン細胞に対するHSA融合タンパク質の抗腫瘍作用
分化型ヒト肺腺ガン細胞株PC-9は(株)免疫生物研究所 (IBL)より購入して、10% FBSを含むRPMI-1640(和光純薬社製)で培養した。細胞培養用96 well plateに0.1% ブタゼラチン(岩城硝子社製)溶液を100 μl/well加えて1時間静置し、plateをゼラチンコートした。PC-9を10% FBSを含むRPMI-1640培地に2.5×10
4 cells/mlになるように懸濁して、200 μl/wellで細胞を撒き、37℃、5% CO
2で一晩培養した。rhLF、ヒト血清アルブミン(HSA、和光純薬社製)、hLF-HSA、HSA-hLF融合タンパク質を10% FBSを含むRPMI-1640(和光純薬社製)を用いて0、5、10 μM (HSA-hLFは0、5 μM)となるように調製した。Plateに接着した細胞の培地を捨てて、調製した各タンパク質溶液を100 μl/wellで加え、37℃、5% CO
2で72時間培養した。その後、Cell Counting Kit-8 (同仁化学社製)を加え37℃、5% CO
2で2時間発色させた。発色後、450 nmにおける吸光度により細胞増殖を評価した。細胞増殖は、培地にタンパク質を加えない場合の吸光度を100%とした場合の相対値(n=3,平均値±標準偏差 SD)で示した(
図16)。10 μM HSA、10 μM rhLFでは細胞増殖阻害は観察されなかったが、hLF-HSA、HSA-hLF融合タンパク質では顕著な細胞増殖阻害が認められ、特にHSA-hLFはhLF-HSA と比較して強い細胞増殖阻害を示した。以上のことから、本発明の融合タンパク質は分化型のヒト肺腺ガン細胞に対しても抗腫瘍作用を有することが確認された。
【0070】
実施例11:ヒト肺正常細胞に対するHSA融合タンパク質の作用
次にhLF-HSA、HSA-hLF融合タンパク質のヒト肺正常細胞株WI-38への影響を調べた。WI-38 はJCRB細胞バンクより購入して、10% FBSを含むD-MEM low glucose(和光純薬社製)で培養した。細胞培養用96 well plateに0.1% ブタゼラチン(岩城硝子社製)溶液を100 μl/well加えて1時間静置し、plateをゼラチンコートした。WI-38を10% FBSを含むD-MEM low glucose培地に2.5×10
4 cells/mlとなるように懸濁して、200 μl/wellで細胞を撒き、37℃、5% CO
2で一晩培養した。10% FBSを含むD-MEM low glucose(和光純薬社製)を用いてrhLF、HSA、hLF-HSA融合タンパク質は10 μM 、HSA-hLFは5 μMとなるようにタンパク質溶液を調製した。Plateに接着した細胞の培地を捨てて、調製した各タンパク質溶液を100 μl/wellで加え、37℃、5% CO
2で72時間培養した。その後、Cell Counting Kit-8(同仁化学社製)を加え37℃、5% CO
2で2時間発色させた。発色後、450 nmにおける吸光度により細胞増殖を評価した。細胞増殖は、培地にタンパク質を加えない場合の吸光度を100%とした場合の相対値(n=3の平均値 ± 標準偏差)で示した(
図17)。10 μM hLF-HSAで細胞の増殖促進が観察されたが、10 μM rhLF、HSA、5 μM HSA-hLFでは細胞増殖阻害はまったく観察されなかった。以上のことから、HSA融合によりhLFの抗腫瘍作用が増強されること、さらにその抗腫瘍作用は正常細胞では示されないことが明らかとなった。
したがって、本発明の融合タンパク質は抗腫瘍活性を示しながらも、副作用を生じない、あるいは生じたとしても低い副作用に留まることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、大幅に分子安定性が向上したヒトラクトフェリン(hLF)-ヒト血清アルブミン(HSA)融合タンパク質を提供する。本発明は、さらに正常細胞ではなく腫瘍細胞に対して特異的に抗腫瘍作用を示すヒトラクトフェリン(hLF)-ヒト血清アルブミン(HSA)融合タンパク質を提供する。
SEQUENCE LISTING
<110> NRL Pharma Inc
<120> lactorerrin/albumin fusion protein and method of producing them
<130> G1649WO
<150> JP 2016-212077
<151> 2016-10-28
<150> JP 2017-044893
<151> 2017-03-09
<160> 16
<170> PatentIn version 3.5
<210> 1
<211> 1830
<212> DNA
<213> Homo sapiens
<220>
<221> CDS
<222> (1)..(1830)
<400> 1
atg aag tgg gta acc ttt att tcc ctt ctt ttt ctc ttt agc tcg gct 48
Met Lys Trp Val Thr Phe Ile Ser Leu Leu Phe Leu Phe Ser Ser Ala
1 5 10 15
tat tcc agg ggt gtg ttt cgt cga gat gca cac aag agt gag gtt gct 96
Tyr Ser Arg Gly Val Phe Arg Arg Asp Ala His Lys Ser Glu Val Ala
20 25 30
cat cgg ttt aaa gat ttg gga gaa gaa aat ttc aaa gcc ttg gtg ttg 144
His Arg Phe Lys Asp Leu Gly Glu Glu Asn Phe Lys Ala Leu Val Leu
35 40 45
att gcc ttt gct cag tat ctt cag cag tgt cca ttt gaa gat cat gta 192
Ile Ala Phe Ala Gln Tyr Leu Gln Gln Cys Pro Phe Glu Asp His Val
50 55 60
aaa tta gtg aat gaa gta act gaa ttt gca aaa aca tgt gtt gct gat 240
Lys Leu Val Asn Glu Val Thr Glu Phe Ala Lys Thr Cys Val Ala Asp
65 70 75 80
gag tca gct gaa aat tgt gac aaa tca ctt cat acc ctt ttt gga gac 288
Glu Ser Ala Glu Asn Cys Asp Lys Ser Leu His Thr Leu Phe Gly Asp
85 90 95
aaa tta tgc aca gtt gca act ctt cgt gaa acc tat ggt gaa atg gct 336
Lys Leu Cys Thr Val Ala Thr Leu Arg Glu Thr Tyr Gly Glu Met Ala
100 105 110
gac tgc tgt gca aaa caa gaa cct gag aga aat gaa tgc ttc ttg caa 384
Asp Cys Cys Ala Lys Gln Glu Pro Glu Arg Asn Glu Cys Phe Leu Gln
115 120 125
cac aaa gat gac aac cca aac ctc ccc cga ttg gtg aga cca gag gtt 432
His Lys Asp Asp Asn Pro Asn Leu Pro Arg Leu Val Arg Pro Glu Val
130 135 140
gat gtg atg tgc act gct ttt cat gac aat gaa gag aca ttt ttg aaa 480
Asp Val Met Cys Thr Ala Phe His Asp Asn Glu Glu Thr Phe Leu Lys
145 150 155 160
aaa tac tta tat gaa att gcc aga aga cat cct tac ttt tat gcc ccg 528
Lys Tyr Leu Tyr Glu Ile Ala Arg Arg His Pro Tyr Phe Tyr Ala Pro
165 170 175
gaa ctc ctt ttc ttt gct aaa agg tat aaa gct gct ttt aca gaa tgt 576
Glu Leu Leu Phe Phe Ala Lys Arg Tyr Lys Ala Ala Phe Thr Glu Cys
180 185 190
tgc caa gct gct gat aaa gct gcc tgc ctg ttg cca aag ctc gat gaa 624
Cys Gln Ala Ala Asp Lys Ala Ala Cys Leu Leu Pro Lys Leu Asp Glu
195 200 205
ctt cgg gat gaa ggg aag gct tcg tct gcc aaa cag aga ctc aag tgt 672
Leu Arg Asp Glu Gly Lys Ala Ser Ser Ala Lys Gln Arg Leu Lys Cys
210 215 220
gcc agt ctc caa aaa ttt gga gaa aga gct ttc aaa gca tgg gca gta 720
Ala Ser Leu Gln Lys Phe Gly Glu Arg Ala Phe Lys Ala Trp Ala Val
225 230 235 240
gct cgc ctg agc cag aga ttt ccc aaa gct gag ttt gca gaa gtt tcc 768
Ala Arg Leu Ser Gln Arg Phe Pro Lys Ala Glu Phe Ala Glu Val Ser
245 250 255
aag tta gtg aca gat ctt acc aaa gtc cac acg gaa tgc tgc cat gga 816
Lys Leu Val Thr Asp Leu Thr Lys Val His Thr Glu Cys Cys His Gly
260 265 270
gat ctg ctt gaa tgt gct gat gac agg gcg gac ctt gcc aag tat atc 864
Asp Leu Leu Glu Cys Ala Asp Asp Arg Ala Asp Leu Ala Lys Tyr Ile
275 280 285
tgt gaa aat caa gat tcg atc tcc agt aaa ctg aag gaa tgc tgt gaa 912
Cys Glu Asn Gln Asp Ser Ile Ser Ser Lys Leu Lys Glu Cys Cys Glu
290 295 300
aaa cct ctg ttg gaa aaa tcc cac tgc att gcc gaa gtg gaa aat gat 960
Lys Pro Leu Leu Glu Lys Ser His Cys Ile Ala Glu Val Glu Asn Asp
305 310 315 320
gag atg cct gct gac ttg cct tca tta gct gct gat ttt gtt gaa agt 1008
Glu Met Pro Ala Asp Leu Pro Ser Leu Ala Ala Asp Phe Val Glu Ser
325 330 335
aag gat gtt tgc aaa aac tat gct gag gca aag gat gtc ttc ctg ggc 1056
Lys Asp Val Cys Lys Asn Tyr Ala Glu Ala Lys Asp Val Phe Leu Gly
340 345 350
atg ttt ttg tat gaa tat gca aga agg cat cct gat tac tct gtc gtg 1104
Met Phe Leu Tyr Glu Tyr Ala Arg Arg His Pro Asp Tyr Ser Val Val
355 360 365
ctg ctg ctg aga ctt gcc aag aca tat gaa acc act cta gag aag tgc 1152
Leu Leu Leu Arg Leu Ala Lys Thr Tyr Glu Thr Thr Leu Glu Lys Cys
370 375 380
tgt gcc gct gca gat cct cat gaa tgc tat gcc aaa gtg ttc gat gaa 1200
Cys Ala Ala Ala Asp Pro His Glu Cys Tyr Ala Lys Val Phe Asp Glu
385 390 395 400
ttt aaa cct ctt gtg gaa gag cct cag aat tta atc aaa caa aat tgt 1248
Phe Lys Pro Leu Val Glu Glu Pro Gln Asn Leu Ile Lys Gln Asn Cys
405 410 415
gag ctt ttt gag cag ctt gga gag tac aaa ttc cag aat gcg cta tta 1296
Glu Leu Phe Glu Gln Leu Gly Glu Tyr Lys Phe Gln Asn Ala Leu Leu
420 425 430
gtt cgt tac acc aag aaa gta ccc caa gtg tca act cca act ctt gta 1344
Val Arg Tyr Thr Lys Lys Val Pro Gln Val Ser Thr Pro Thr Leu Val
435 440 445
gag gtc tca aga aac cta gga aaa gtg ggc agc aaa tgt tgt aaa cat 1392
Glu Val Ser Arg Asn Leu Gly Lys Val Gly Ser Lys Cys Cys Lys His
450 455 460
cct gaa gca aaa aga atg ccc tgt gca gaa gac tat cta tcc gtg gtc 1440
Pro Glu Ala Lys Arg Met Pro Cys Ala Glu Asp Tyr Leu Ser Val Val
465 470 475 480
ctg aac cag tta tgt gtg ttg cat gag aaa acg cca gta agt gac aga 1488
Leu Asn Gln Leu Cys Val Leu His Glu Lys Thr Pro Val Ser Asp Arg
485 490 495
gtc acc aaa tgc tgc aca gaa tcc ttg gtg aac agg cga cca tgc ttt 1536
Val Thr Lys Cys Cys Thr Glu Ser Leu Val Asn Arg Arg Pro Cys Phe
500 505 510
tca gct ctg gaa gtc gat gaa aca tac gtt ccc aaa gag ttt aat gct 1584
Ser Ala Leu Glu Val Asp Glu Thr Tyr Val Pro Lys Glu Phe Asn Ala
515 520 525
gaa aca ttc acc ttc cat gca gat ata tgc aca ctt tct gag aag gag 1632
Glu Thr Phe Thr Phe His Ala Asp Ile Cys Thr Leu Ser Glu Lys Glu
530 535 540
aga caa atc aag aaa caa act gca ctt gtt gag ctc gtg aaa cac aag 1680
Arg Gln Ile Lys Lys Gln Thr Ala Leu Val Glu Leu Val Lys His Lys
545 550 555 560
ccc aag gca aca aaa gag caa ctg aaa gct gtt atg gat gat ttc gca 1728
Pro Lys Ala Thr Lys Glu Gln Leu Lys Ala Val Met Asp Asp Phe Ala
565 570 575
gct ttt gta gag aag tgc tgc aag gct gac gat aag gag acc tgc ttt 1776
Ala Phe Val Glu Lys Cys Cys Lys Ala Asp Asp Lys Glu Thr Cys Phe
580 585 590
gcc gag gag ggt aaa aaa ctt gtt gct gca agt caa gct gcc tta ggc 1824
Ala Glu Glu Gly Lys Lys Leu Val Ala Ala Ser Gln Ala Ala Leu Gly
595 600 605
tta taa 1830
Leu
<210> 2
<211> 609
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 2
Met Lys Trp Val Thr Phe Ile Ser Leu Leu Phe Leu Phe Ser Ser Ala
1 5 10 15
Tyr Ser Arg Gly Val Phe Arg Arg Asp Ala His Lys Ser Glu Val Ala
20 25 30
His Arg Phe Lys Asp Leu Gly Glu Glu Asn Phe Lys Ala Leu Val Leu
35 40 45
Ile Ala Phe Ala Gln Tyr Leu Gln Gln Cys Pro Phe Glu Asp His Val
50 55 60
Lys Leu Val Asn Glu Val Thr Glu Phe Ala Lys Thr Cys Val Ala Asp
65 70 75 80
Glu Ser Ala Glu Asn Cys Asp Lys Ser Leu His Thr Leu Phe Gly Asp
85 90 95
Lys Leu Cys Thr Val Ala Thr Leu Arg Glu Thr Tyr Gly Glu Met Ala
100 105 110
Asp Cys Cys Ala Lys Gln Glu Pro Glu Arg Asn Glu Cys Phe Leu Gln
115 120 125
His Lys Asp Asp Asn Pro Asn Leu Pro Arg Leu Val Arg Pro Glu Val
130 135 140
Asp Val Met Cys Thr Ala Phe His Asp Asn Glu Glu Thr Phe Leu Lys
145 150 155 160
Lys Tyr Leu Tyr Glu Ile Ala Arg Arg His Pro Tyr Phe Tyr Ala Pro
165 170 175
Glu Leu Leu Phe Phe Ala Lys Arg Tyr Lys Ala Ala Phe Thr Glu Cys
180 185 190
Cys Gln Ala Ala Asp Lys Ala Ala Cys Leu Leu Pro Lys Leu Asp Glu
195 200 205
Leu Arg Asp Glu Gly Lys Ala Ser Ser Ala Lys Gln Arg Leu Lys Cys
210 215 220
Ala Ser Leu Gln Lys Phe Gly Glu Arg Ala Phe Lys Ala Trp Ala Val
225 230 235 240
Ala Arg Leu Ser Gln Arg Phe Pro Lys Ala Glu Phe Ala Glu Val Ser
245 250 255
Lys Leu Val Thr Asp Leu Thr Lys Val His Thr Glu Cys Cys His Gly
260 265 270
Asp Leu Leu Glu Cys Ala Asp Asp Arg Ala Asp Leu Ala Lys Tyr Ile
275 280 285
Cys Glu Asn Gln Asp Ser Ile Ser Ser Lys Leu Lys Glu Cys Cys Glu
290 295 300
Lys Pro Leu Leu Glu Lys Ser His Cys Ile Ala Glu Val Glu Asn Asp
305 310 315 320
Glu Met Pro Ala Asp Leu Pro Ser Leu Ala Ala Asp Phe Val Glu Ser
325 330 335
Lys Asp Val Cys Lys Asn Tyr Ala Glu Ala Lys Asp Val Phe Leu Gly
340 345 350
Met Phe Leu Tyr Glu Tyr Ala Arg Arg His Pro Asp Tyr Ser Val Val
355 360 365
Leu Leu Leu Arg Leu Ala Lys Thr Tyr Glu Thr Thr Leu Glu Lys Cys
370 375 380
Cys Ala Ala Ala Asp Pro His Glu Cys Tyr Ala Lys Val Phe Asp Glu
385 390 395 400
Phe Lys Pro Leu Val Glu Glu Pro Gln Asn Leu Ile Lys Gln Asn Cys
405 410 415
Glu Leu Phe Glu Gln Leu Gly Glu Tyr Lys Phe Gln Asn Ala Leu Leu
420 425 430
Val Arg Tyr Thr Lys Lys Val Pro Gln Val Ser Thr Pro Thr Leu Val
435 440 445
Glu Val Ser Arg Asn Leu Gly Lys Val Gly Ser Lys Cys Cys Lys His
450 455 460
Pro Glu Ala Lys Arg Met Pro Cys Ala Glu Asp Tyr Leu Ser Val Val
465 470 475 480
Leu Asn Gln Leu Cys Val Leu His Glu Lys Thr Pro Val Ser Asp Arg
485 490 495
Val Thr Lys Cys Cys Thr Glu Ser Leu Val Asn Arg Arg Pro Cys Phe
500 505 510
Ser Ala Leu Glu Val Asp Glu Thr Tyr Val Pro Lys Glu Phe Asn Ala
515 520 525
Glu Thr Phe Thr Phe His Ala Asp Ile Cys Thr Leu Ser Glu Lys Glu
530 535 540
Arg Gln Ile Lys Lys Gln Thr Ala Leu Val Glu Leu Val Lys His Lys
545 550 555 560
Pro Lys Ala Thr Lys Glu Gln Leu Lys Ala Val Met Asp Asp Phe Ala
565 570 575
Ala Phe Val Glu Lys Cys Cys Lys Ala Asp Asp Lys Glu Thr Cys Phe
580 585 590
Ala Glu Glu Gly Lys Lys Leu Val Ala Ala Ser Gln Ala Ala Leu Gly
595 600 605
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<220>
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<222> (1)..(2136)
<400> 3
atg aaa ctt gtc ttc ctc gtc ctg ctg ttc ctc ggg gcc ctc gga ctg 48
Met Lys Leu Val Phe Leu Val Leu Leu Phe Leu Gly Ala Leu Gly Leu
1 5 10 15
tgt ctg gct ggc cgt agg aga agg agt gtt cag tgg tgc acc gta tcc 96
Cys Leu Ala Gly Arg Arg Arg Arg Ser Val Gln Trp Cys Thr Val Ser
20 25 30
caa ccc gag gcc aca aaa tgc ttc caa tgg caa agg aat atg aga aga 144
Gln Pro Glu Ala Thr Lys Cys Phe Gln Trp Gln Arg Asn Met Arg Arg
35 40 45
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Val Arg Gly Pro Pro Val Ser Cys Ile Lys Arg Asp Ser Pro Ile Gln
50 55 60
tgt atc cag gcc att gcg gaa aac agg gcc gat gct gtg acc ctt gat 240
Cys Ile Gln Ala Ile Ala Glu Asn Arg Ala Asp Ala Val Thr Leu Asp
65 70 75 80
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Gly Gly Phe Ile Tyr Glu Ala Gly Leu Ala Pro Tyr Lys Leu Arg Pro
85 90 95
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Val Ala Ala Glu Val Tyr Gly Thr Glu Arg Gln Pro Arg Thr His Tyr
100 105 110
tat gcc gtg gct gtg gtg aag aag ggc ggc agc ttt cag ctg aac gaa 384
Tyr Ala Val Ala Val Val Lys Lys Gly Gly Ser Phe Gln Leu Asn Glu
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Leu Gln Gly Leu Lys Ser Cys His Thr Gly Leu Arg Arg Thr Ala Gly
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Trp Asn Val Pro Ile Gly Thr Leu Arg Pro Phe Leu Asn Trp Thr Gly
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tgt gcg ggg aca ggg gaa aac aaa tgt gcc ttc tcc tcc cag gaa ccg 624
Cys Ala Gly Thr Gly Glu Asn Lys Cys Ala Phe Ser Ser Gln Glu Pro
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Tyr Phe Ser Tyr Ser Gly Ala Phe Lys Cys Leu Arg Asp Gly Ala Gly
210 215 220
gac gtg gct ttt atc aga gag agc aca gtg ttt gag gac ctg tca gac 720
Asp Val Ala Phe Ile Arg Glu Ser Thr Val Phe Glu Asp Leu Ser Asp
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Lys Phe Gln Leu Phe Gly Ser Pro Ser Gly Gln Lys Asp Leu Leu Phe
305 310 315 320
aag gac tct gcc att ggg ttt tcg agg gtg ccc ccg agg ata gat tct 1008
Lys Asp Ser Ala Ile Gly Phe Ser Arg Val Pro Pro Arg Ile Asp Ser
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Gly Leu Tyr Leu Gly Ser Gly Tyr Phe Thr Ala Ile Gln Asn Leu Arg
340 345 350
aaa agt gag gag gaa gtg gct gcc cgg cgt gcg cgg gtc gtg tgg tgt 1104
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Gln Val Ser Thr Pro Thr Leu Val Glu Val Ser Arg Asn Leu Gly Lys
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Val Gly Ser Lys Cys Cys Lys His Pro Glu Ala Lys Arg Met Pro Cys
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Ala Glu Asp Tyr Leu Ser Val Val Leu Asn Gln Leu Cys Val Leu His
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Leu Val Asn Arg Arg Pro Cys Phe Ser Ala Leu Glu Val Asp Glu Thr
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<213> Artificial Sequence
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<223> primer
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Thr Asn Leu Lys Lys Cys Ser Thr Ser Pro Leu Leu Glu Ala Cys Glu
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Phe Leu Arg Lys
690
【配列表】