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特許7142941接触フラップを含む化学機械的研磨装置用キャリアヘッド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-16
(45)【発行日】2022-09-28
(54)【発明の名称】接触フラップを含む化学機械的研磨装置用キャリアヘッド
(51)【国際特許分類】
   B24B 37/30 20120101AFI20220920BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20220920BHJP
【FI】
B24B37/30 E
H01L21/304 622K
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019537375
(86)(22)【出願日】2017-09-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-23
(86)【国際出願番号】 KR2017009627
(87)【国際公開番号】W WO2018143530
(87)【国際公開日】2018-08-09
【審査請求日】2020-09-04
(31)【優先権主張番号】10-2017-0014667
(32)【優先日】2017-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518311809
【氏名又は名称】カン,ジューン モ
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】カン,ジュン モ
【審査官】城野 祐希
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2014-0067325(KR,A)
【文献】特表2001-513451(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 37/30
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触フラップを含む化学機械的研磨装置用キャリアヘッドであって、
ベースと;
前記ベースの下部に連結され、基板収容面である外部面と、前記外部面の反対側の内部面と、を備えた基板収容部材と;
前記基板収容部材の内側において前記ベースの下部に連結される連結部と、前記連結部から下方に延在するフラップ側部と、前記フラップ側部の下端から側方向に延在する接触部と、を備え、環状の開放構造を有する少なくとも一つの接触フラップと;
前記ベースの下部に連結され、前記少なくとも一つの接触フラップに隣接し、且つ前記接触部の延在方向の反対側に配置される少なくとも一つの障壁構造と;を含み、
前記少なくとも一つの障壁構造は、前記少なくとも一つの接触フラップの膨張を限定することで、前記接触部が流体の圧力によって前記内部面に密着することにより、前記接触フラップを壁とする加圧チャンバが形成されるように構成されるキャリアヘッド。
【請求項2】
前記少なくとも一つの接触フラップは、可撓性材料からなることを特徴とする請求項1に記載のキャリアヘッド。
【請求項3】
前記側方向は、内側方向、外側方向のいずれか一方であることを特徴とする請求項1に記載のキャリアヘッド。
【請求項4】
前記側方向は、内側及び外側の両方の方向であることを特徴とする請求項1に記載のキャリアヘッド。
【請求項5】
前記基板収容部材は、前記内部面から高さ方向に延在する少なくとも一つの環状隔壁部をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のキャリアヘッド。
【請求項6】
前記少なくとも一つの隔壁部は、前記少なくとも一つの接触フラップとペアを組んで側壁として作用することにより環状の加圧チャンバが形成されることを特徴とする請求項5に記載のキャリアヘッド。
【請求項7】
化学機械的研磨装置のキャリアヘッド用接触フラップであって、
基板収容部材との接触面を提供する下面と、前記下面の反対側表面である上面と、を備えた環状の接触部と;
前記上面から高さ方向に延在するフラップ側部と;
前記フラップ側部の上端から側方向に延在する連結部と;を含み、
前記上面と前記フラップ側部とが出会う少なくとも一つのコーナに突出構造が形成されることを特徴とする接触フラップ。
【請求項8】
前記突出構造は、ステップ形状であることを特徴とする請求項7に記載の接触フラップ。
【請求項9】
前記突出構造は、斜面を含むことを特徴とする請求項7に記載の接触フラップ。
【請求項10】
前記突出構造は、曲面を含むことを特徴とする請求項7に記載の接触フラップ。
【請求項11】
前記突出構造の幅は2mm~14mmであり、高さは1mm~7mmであることを特徴とする請求項7に記載の接触フラップ。
【請求項12】
化学機械的研磨装置のキャリアヘッド用接触フラップであって、
基板収容部材との接触面を提供する下面と、前記下面の反対側表面である上面と、を備えた環状の接触部と;
前記上面の内縁または外縁のいずれか一方から高さ方向に延在するフラップ側部と;
前記フラップ側部の上端から側方向に延在するが、前記フラップ側部を基準として前記接触部の延在方向とは逆方向に延在する連結部と;を含む接触フラップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学機械的研磨装置に係り、さらに詳細には、研磨工程時に基板に研磨圧力を印加する接触フラップを含むキャリアヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体やガラス基板の製造及び集積回路の製造工程時に所定のステップに基板表面を研磨(polishing)または基板表面を平坦化(planarization)する必要性が増大している。このような必要性によって化学機械的研磨(Chemical Mechanical Polishing:CMP)工程が広く使用されている。
【0003】
基板の化学機械的研磨は、一般的にプラテン(platen)上に研磨パッド(pad)を貼り付け、キャリアヘッド(carrier head)と呼ばれる基板収容機構に基板を装着した後、スラリーを研磨パッドに塗布しながら、プラテンとキャリアヘッドとを同時に回転させて、研磨パッドと基板との間の摩擦を起こすことにより行われる。
【0004】
キャリアヘッドは、回転軸から動力を伝達され、キャリアヘッドの構成に必要な部品を収容する空間を提供するベース(base)、ベース下部に連結されて基板を収容して回転させる基板収容部材、及び研磨工程中に基板の側面を支持することにより基板の離脱を防止する止め輪(retaining ring)などで構成されている。研磨時、基板は可撓膜(flexible membrane)からなる基板収容部材を介して研磨圧力を印加されるが、基板全体にわたって均一な研磨圧力が印加されるとしても、研磨される膜の性質、研磨パッド、またはスラリーに応じて基板の特定の領域で(例えば、基板の真ん中または端縁)研磨速度が異なる場合がある。このような場合には、良い研磨均一度を維持するために、基板の所定の領域で研磨圧力を独立して制御することにより、各領域の研磨速度を補正する必要がある。
【0005】
図1は、従来のキャリアヘッド(韓国公開特許10-2006-0044770号)の断面を概略的に示す。キャリアヘッドは、ベース104と、基板10を収容して加圧する可撓膜108と、止め輪110と、を含む。可撓膜108は、基板10を収容する面から上方に延在する外周部分124と、フラップ(flap)形状の環状隔壁部128a、128bと、を含む。隔壁部128a、128bは、可撓膜108を同心円状に区画し、これにより、外周部分124及び隔壁部128a、128bがベース104の下部に連結されると、中心チャンバ106a、中間チャンバ106b及び外郭チャンバ106cが形成される。これらの加圧チャンバ106a、106b、106cに通路112a、112b、112cを介して独立して圧力を印加することにより、基板10の各領域に印加される圧力を変化させることができる。しかし、従来の技術では、フラップ形状の隔壁部の数が増加するにつれて、可撓膜の作製が難しくなり、チャンバ間の圧力差により、隔壁部が分岐した箇所で研磨均一度が急激に悪くなるという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】

【文献】韓国公開特許10-2006-0044770号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記のような従来技術の問題を解決するためのものであり、その目的は、化学機械研磨時に、基板の所定領域にそれぞれ独立した研磨圧力を印加することができる接触フラップを含む化学機械的研磨装置用キャリアヘッドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を解決するための本発明の実施例に係る接触フラップを含む化学機械的研磨装置用キャリアヘッドは、ベースと;前記ベースの下部に連結され、基板収容面である外部面と、前記外部面の反対側の内部面と、を備えた基板収容部材と;前記基板収容部材の内側において前記ベースの下部に連結される連結部と、前記連結部から下方に延在するフラップ側部と、前記フラップ側部の下端から側方向に延在する接触部と、を備えた少なくとも一つの接触フラップと;前記ベースの下部に連結され、前記少なくとも一つの接触フラップに隣接して配置される少なくとも一つの障壁構造と;を含み、前記少なくとも一つの障壁構造は、前記少なくとも一つの接触フラップの膨張を限定することで、前記接触部が流体の圧力によって前記内部面に密着するように構成される。
【0009】
本発明の実施例に係る化学機械的研磨装置のキャリアヘッド用接触フラップは、基板収容部材との接触面を提供する下面と、前記下面の反対側表面である上面と、を備えた環状の接触部と;前記上面から高さ方向に延在するフラップ側部と;前記フラップ側部の上端から側方向に延在する連結部と;を含み、前記上面と前記フラップ側部とが出会う少なくとも一つのコーナに突出構造が形成されることを特徴とする。
【0010】
本発明の他の実施例に係る化学機械的研磨装置のキャリアヘッド用接触フラップは、基板収容部材との接触面を提供する下面と、前記下面の反対側表面である上面と、を備えた環状の接触部と;前記上面の内縁または外縁のいずれか一方から高さ方向に延在するフラップ側部と;前記フラップ側部の上端から側方向に延在するが、前記フラップ側部を基準として前記接触部の延在方向とは逆方向に延在する連結部と;を含む。
【0011】
本発明のまた他の実施例に係る化学機械的研磨装置のキャリアヘッド用接触フラップは、基板収容部材との接触面を提供する下面と、前記下面の反対側表面である上面と、を備えた環状の接触部と;前記上面のうち、内縁と外縁との間の表面から高さ方向に延在するフラップ側部と;前記フラップ側部の上端から側方向に延在するが、前記フラップ側部を基準として内側方向または外側方向のいずれか一方に延在する連結部と;を含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明の化学機械的研磨装置用キャリアヘッドは、基板収容部材が隔壁部によって区画されなくても、基板の所定の領域にそれぞれ独立した研磨圧力を印加することができ、これにより領域の境界での研磨均一度の急激な変化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】

図1】従来のキャリアヘッドを概略的に示す断面図である。
図2】本発明の一実施例に係る化学機械的研磨装置用キャリアヘッドの断面図である。
図3】接触フラップの斜視断面図である。
図4】接触フラップの部分断面図である。
図5】接触フラップの動作を説明するための部分断面図である。
図6】接触フラップの他の実施例を示す部分断面図である。
図7】接触フラップのまた他の実施例を示す部分断面図である。
図8】接触フラップのまた他の実施例を示す部分断面図である。
図9】接触フラップのまた他の実施例を示す部分断面図である。
図10】本発明の他の実施例に係るキャリアヘッドの断面図である。
図11】本発明のまた他の実施例に係るキャリアヘッドの断面図である。
図12】本発明のまた他の実施例に係るキャリアヘッドの断面図である。
図13】接触フラップのまた他の実施例とこれを応用したキャリアヘッドの断面図である。
図14】接触フラップのまた他の実施例とこれを応用したキャリアヘッドの断面図である。
図15】接触フラップのまた他の実施例とこれを応用したキャリアヘッドの断面図である。
図16】接触フラップのまた他の実施例とこれを応用したキャリアヘッドの断面図である。
図17】接触フラップのまた他の実施例を示す断面図である。
図18】突出構造の圧力分散機能を説明するためのキャリアヘッドの部分断面図、及び底板の位置に応じた圧力値を示すグラフである。
図19】突出構造の他の例を示す接触フラップの断面図である。
図20】本発明のまた他の実施例に係るキャリアヘッドの断面図である。
図21】本発明のまた他の実施例に係るキャリアヘッドの断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付した図面を参照して、本発明に係る好適な実施例を挙げることにより、本発明を詳細に説明する。しかし、本発明は、以下に開示される実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で実施可能であり、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものである。図面での構成要素は、説明の便宜のためにその大きさが誇張されることがある。
【0015】
明細書全体にわたって基板収容部材などある構成要素が他の構成要素の「下部」に連結されると言及されるときは、前記ある構成要素が他の構成要素の「下部」に接触して直接的に連結されてもよく、これらの間にまた他の構成要素が存在して、ある構成要素はまた他の構成要素に連結されてもよいものと理解されてもよい。一方、ある構成要素が他の構成要素の「下部に直接的に」に連結されると言及されるときは、これらの間にまた他の構成要素が存在していないと解釈される。同じ参照番号は同じ構成要素を意味する。また、「下部に」または「上に」及び「下部に」または「下に」などの相対的な用語は、図面で図解されるように、他の要素についてのある要素の関係を記述するためにここで使われる。相対的な用語は、図面に描かれた方向に加えて、構成要素の他の方向を含むことを意図すると理解され得る。例えば、図面において構成要素が裏返る(turned over)と、他の構成要素の上部の面上に存在すると描写される構成要素は、前記他の要素の下部の面上に方向を有するようになる。したがって、一例として挙げた「上部に」という用語は、図面の特定の方向に依存して、「上部に」及び「下部に」の方向を両方とも含むことができる。
【0016】
図2は、本発明の一実施例に係る接触フラップ700を含む化学機械的研磨装置用キャリアヘッド900の断面図である。化学機械的研磨装置用キャリアヘッド900は、回転軸110から動力を伝達されるベース(base)100をもとに構成されている。まず、ベース100の下部に止め輪(retaining ring)120が装着されるが、止め輪120は、研磨工程中、基板(図示せず)の離脱を防止する役割をする。また、前記ベース100の下部に連結され、止め輪120の内側に基板収容部材600が装着される。
【0017】
基板収容部材600は、底板610、外周部620、締結部650を含む。底板610は、基板収容部材の外部面612と基板収容部材の内部面614とにより定義される2つの面を備えており、底板610の大きさ及び形状は、概ね研磨される基板(図示せず)の形状及び大きさに従う。外部面612は、基板を受け入れ搬送するのに必要な基板収容面であり、内部面614は、前記外部面612の反対側表面であって、流体の圧力が印加される面である。外周部620は、底板610の端縁から高さ方向に延在する部分である。図2における外周部620は、底板610に垂直な形状を有するが、外周部は、底板610と必ずしも垂直である必要はなく、底板610に対して垂直成分を含み、延在してベース100との連結に必要なスペースを提供すればよい。締結部650は、外周部620から延在してベース100の下部に連結される部分であって、好ましくはフラップ(flap)形状を呈し、先端部にOリング(O-ring)構造652を設け、確実にシーリング(sealing)することができる。
【0018】
基板収容部材600の内側においてベース100の下部に接触フラップ700の連結部730が連結され、フラップ側部720が連結部730から下方に延在し、接触部710がフラップ側部720の下部から内側方向に延在し、基板収容部材の内部面614と接触するようになる。内側方向は、基板収容部材600の中心に向いている方向であり、外側方向は、この中心から遠ざかる方向であると定義される。接触フラップ700とベース100の下部との連結は、金属またはプラスチックからなるクランプ570をボルト(図示せずに)としてベース100に締結することにより行われる。
【0019】
接触フラップ700と隣接する外郭に障壁構造530が配置されてベース100の下部に連結されると、障壁構造530が接触フラップ700を取り囲む形になる。障壁構造530の配置は、接触部710の延在方向によって決定されるが、図2に示すように接触部710が内側方向に延在すると、障壁構造530は、フラップ側部720を基準として、その反対側である外側に配置される。障壁構造530は、金属やプラスチックなどの実質的に剛性(substantially rigid)材料からなることが望ましい。障壁構造530もまたボルト(図示せず)を用いてベース100の下部に締結されてもよい。
【0020】
流体通路310を介して印加された圧力P2による接触フラップ700の膨張が障壁構造530によって限定されると、接触710が流体圧力によって基板収容部材の内部面614に密着するようになる。内部面614と密着すると、接触フラップ700を壁とする、すなわち境界とする、加圧チャンバである中央チャンバ300が形成される。中央チャンバ300外郭には、流体通路210を介してP1の圧力が印加された外郭チャンバ200が形成される。
【0021】
図3は、接触フラップ700の一実施例を示す斜視断面図である。接触フラップ700は、接触部710、フラップ側部720及び連結部730を含む。接触フラップ700は、全体的に環状を呈し、一側断面を見ると、「コ」字状をしている。接触フラップ700は、開放構造を有し、連結部730がベース100の下部に連結されても流体を閉じ込めることができる加圧チャンバを単独で形成することはできなく、基板収容部材600と結合して加圧チャンバを形成する。
【0022】
図4は、接触フラップ700の部分断面図である。接触部710は、基板収容部材600との接触面を提供する下面712と、下面712の反対側の上面714と、を備える。接触部710の延在長さLは、好ましくは3mm以上である。フラップ側部720は、接触部の上面714から高さ方向に延在し、ベース100との連結に必要なスペースを提供する。フラップ側部720は、接触部710に必ずしも垂直である必要はなく、強固な接触のために、図4に示したφが90°~120°の値を有することが望ましい。連結部730は、フラップ側部720の上端から側方向に延在することができ、ベース100に連結される部分である。連結部730の端部に、シーリング(sealing)を確実にするためにOリング構造732を形成することができる。接触フラップ700は、可撓性材料で成形されることが好ましい。可撓性材料としてはゴムを使用することができ、このゴムには、シリコンゴム、クロロプレンゴムまたはエチレンプロピレンゴムなどがある。Oリング構造732を除いた接触フラップ700の厚さは、接触部710が0.3mm~6mmの値を、そしてフラップ側部720及び連結部730が0.3mm~3mmの値をそれぞれ有することができる。
【0023】
図5は、接触フラップ700の動作を説明するための部分断面図である。中央チャンバ300内の流体圧力P2が外郭チャンバ200の圧力P1よりも大きい場合、中央チャンバ300内の流体は、直線の矢印で示されているように、フラップ側部720を側方向に、また接触部710を下方向に動くようにする。このとき、障壁構造530がフラップ側部720と接触し、基板収容部材底板610が接触部710と接触することにより、それらの動きを限定する。接触フラップ700は、図示したように、障壁構造530と底板610との間の隙間(kで表示)の間に部分膨張することができ、部分膨張の度合いは隙間kの大きさ及び接触フラップ700の厚さなどにより調節することができる。隙間の間に部分膨張した部分が復元しようとする力、流体の圧力及び障壁構造530の反作用力などがバランスを取れば、部分膨張は停止し、接触部710は、底板610の内部面614に密着するようになる。すると、中央チャンバ300の流体圧力P2が外郭チャンバ200の流体圧力P1よりも大きくても、中央チャンバ300から外側チャンバ200に流体が流れることができる隙間がなくなり、中央チャンバ300は、接触フラップ700を壁とする加圧チャンバとなる。一方、外郭チャンバ200の流体圧力P1が中央チャンバ300の流体圧力P2よりも大きい場合、前記のような、接触部710と基板収容部材の内部面614との間で密着が起こらないので、流体は、外郭チャンバ200から中央チャンバ300に流れることができる。
【0024】
したがって、前記図2及び図5を参照すると、本発明の実施例に係る接触フラップ700を含む化学機械的研磨装置用キャリアヘッドは、ベース100と;前記ベース100の下部に連結され、基板収容面である外部面612と、前記外部面612の反対側の内部面614と、を備えた基板収容部材600と;前記基板収容部材600の内側において前記ベース100の下部に連結される連結部730と、前記連結部730から下方に延在するフラップ側部720と、前記フラップ側部720の下端から側方向に延在する接触部710と、を備えた少なくとも一つの接触フラップ700と;前記ベース100の下部に連結され、前記少なくとも一つの接触フラップ700に隣接して配置される少なくとも一つの障壁構造530と;を含み、前記少なくとも一つの障壁構造530は、前記少なくとも一つの接触フラップ700の膨張を限定することで、前記接触部710が流体の圧力によって前記内部面614に密着するように構成される。
【0025】
図6は、接触フラップ760の他の実施例を示す部分断面図である。前記図5では、障壁構造530と基板収容部材600との間の隙間kの間に部分膨張した接触フラップ700が示されているが、このような部分膨張は、加圧の領域を変化させ、接触フラップ700の寿命を短くすることができる。したがって、図6に示すように、接触部の上面714とフラップ側部720とが出会うコーナに突出構造740を形成して隙間への部分膨張を抑制することができる。突出構造740は、図示したように、ステップ(step)形状を呈してもよいが、このとき、幅sは2mm~14mmの値を有し、高さhは1mm~7mmの値を有してもよい。突出構造740は、接触フラップ760と同じ材質であることが好ましく、接触フラップ760の成形時に同時に成形されてもよい。
【0026】
図7は、接触フラップ761のまた他の実施例を示す部分断面図であり、突出構造741は、斜面を含んでいてもよい。また、図示してはいないが、突出構造は、曲面を含んでいてもよい。このように突出構造741が、単一の表面によって形状が規定される場合、突出構造741の幅sと高さhは、図示したように、コーナにおいて突出構造741が接触部710及びフラップ側部720とそれぞれ出会う箇所までの距離として定義されてもよい。
【0027】
したがって、前記図6及び図7を参照すると、本発明の一実施例に係る化学機械的研磨装置のキャリアヘッド用接触フラップ760、761は、基板収容部材との接触面を提供する下面712と、前記下面712の反対側表面である上面714と、を備えた環状の接触部710と;前記上面714からの高さ方向に延在するフラップ側部720と;前記フラップ側部720の上部から側方向に延在する連結部730と;を含み、前記上面714と前記フラップ側部720とが出会う少なくとも一つのコーナに突出構造740、741が形成されることを特徴とする。
【0028】
図8は、接触フラップ762のまた他の実施例を示す部分断面図であり、連結部734が、フラップ側部720から延在するフラップ形状ではなく、フラップ側部720の先端に枠形状に成形されている。このような連結部734は、上下に締めてシリング(sealing)することなく、バンドなどで側方向に締めてシーリングすることができ、狭いスペースで利用することができるという利点がある。
【0029】
図9は、接触フラップ700の別の実施例を示す部分断面図であり、フラップ側部720に溝722が形成されている。フラップ側部720の円周面に沿って形成された溝722は、フラップ側部720が簡単に折れるのに役に立つ。これは、中央チャンバ300及び外郭チャンバ200に真空が印加されて基板収容部材の底板610が持ち上がるとき、抵抗を少なく受けるように助けることができる。図面には1つの溝722だけを示したが、複数の溝を形成することもできる。
【0030】
図10は、本発明のまた他の実施例に係るキャリアヘッド900の断面図である。外郭チャンバ200の流体圧力P1が中央チャンバ300の流体圧力P2よりも大きい場合には、接触部710’が外側方向に延在した接触フラップ764を利用しなければ流体が外郭チャンバ200から中央チャンバ300に流れることを抑制することができない。接触部710’が外側方向に延在したため、障壁構造532は、接触部710’の延在方向の反対側である内側に位置する。また、クランプ572は、上述した図2とは異なり、外側に位置する。
【0031】
図11は、本発明のまた他の実施例に係るキャリアヘッド900の断面図であり、ベース100の突出部が障壁構造132として作用する場合を示す。この場合にも、障壁構造132の位置は、接触部710’が延在する方向の反対側である。
【0032】
図12は、本発明のまた他の実施例に係るキャリアヘッド900の断面図であり、2つの接触フラップ700、764が、障壁構造534に装着された後、ベース100の下部に連結されている。このように2つの接触フラップ700、764の間にある障壁構造534は、2つの接触部710、710’の延在方向と同時に反対側に配置される形態をとる。接触部710が内側に延在した接触フラップ700は、中央チャンバ300から外側チャンバ200への流体の流れを抑制し、接触部710’が外側に延在した接触フラップ764は、逆方向への流体の流れを抑制することができる。したがって、図示のキャリアヘッド900では、外郭チャンバ200の圧力P1と中央チャンバ300の圧力P2との相対的な大きさに関係なく、あるチャンバから他のチャンバへの流体の流れは抑制される。
【0033】
図13及び図14は、接触フラップ766のまた他の実施例とこれを応用したキャリアヘッド900の断面図である。まず、図13は、接触部710と連結部730’の延在方向がフラップ側部720を基準として互いに反対方向になっている接触フラップ766を示す。図示してはいないが、フラップ側部720は、接触部710の内縁から高さ方向に延在し、連結部は、接触部710の延在方向とは反対方向である内側方向に延在してもよい。また、図示してはいないが、上面714とフラップ側部720とが出会うコーナに前述の図6または図7の突出構造740、741が形成されてもよい。図14は、前記接触フラップ766と、接触部及び連結部の延在方向が同一である接触フラップ764と、を同時に装着したキャリアヘッド900を示す。図示したように、接触フラップ764、766は、一つの障壁構造536と1つのクランプ572とによってベース100の下部に連結されてもよい。
【0034】
したがって、前記図13及び図14を参照すると、本発明のまた他の実施例に係る化学機械的研磨装置のキャリアヘッド用接触フラップ766は、基板収容部材との接触面を提供する下面712と、前記下面712の反対側表面である上面714と、を備えた環状の接触部710と;前記上面714の内縁または外縁のいずれか一方から高さ方向に延在するフラップ側部720と;前記フラップ側部720の上端から側方向に延在するが、前記フラップ側部720を基準として前記接触部710の延在方向とは逆方向に延在する連結部730’と;を含む。
【0035】
図15及び図16は、接触フラップ768のまた他の実施例とこれを応用したキャリアヘッド900の断面図である。まず、図15を参照すると、フラップ側部720は、接触部716の上面718のうち内縁と外縁との間(例えば、2つの縁の中間箇所)の表面から高さ方向に延在し、連結部730は、フラップ側部720の上端から内側方向に延在する。図示してはいないが、連結部730は、外側方向に延在してもよい。したがって、接触部716は、フラップ側部720を基準として内側及び外側の両方に延在した接触部の部分716’、716”に分けられる。内側に延在した接触部の部分716’は、内側から外側への流体の流れを抑制するために作用し、外側に延在した接触部の部分716”は、外側から内側への流体の流れを抑制するために作用する。図面では、2つの接触部の部分716’、716”がフラップ側部720を基準として対称になっているが、2つの接触部の部分は、厚さまたは延在長さなどを異ならせてもよい。図16は、前記接触フラップ768が、2つの障壁構造538、540により締結された後、ベース100の下部に連結されていることを示す。このように、1つの接触フラップ768のみを用いても、両方向に延在した接触部716及び障壁構造538、540を持つため、2つのチャンバ200、300において両方向への流体の流れを抑制することができる。
【0036】
したがって、前記図15及び16を参照すると、本発明のまた他の実施例に係る化学機械的研磨装置のキャリアヘッド用接触フラップ768は、基板収容部材との接触面を提供する下面717と、前記下面717の反対側表面である上面718と、を備えた環状の接触部716と;前記上面718のうち内縁と外縁との間の表面から高さ方向に延在するフラップ側部720と;前記フラップ側部720の上端から側方向に延在するが、前記フラップ側部720を基準として内側方向または外側方向のいずれか一方に延在する連結部730と;を含む。
【0037】
図17は、接触フラップのまた他の実施例を示す断面図であり、フラップ側部720と接触部716の上面718が出会うコーナに突出構造742、744が形成されている。接触部716が、フラップ側部720を基準として内側及び外側の両方に延在した接触部の部分716’、716”に分けられるので、上面718もまた上面内側部分718’と上面外側部分718”とに分けられてもよい。図面では、互いに対称的なステップ形状の突出構造742、744が形成されているが、上面内側部分718’と上面外側部分718”とがフラップ側部720と出会うそれぞれのコーナに、異なる形状と大きさを有する他の突出構造が形成されてもよく、また、いずれか一方のコーナにのみ突出構造が形成されてもよい。突出構造742、744は、前述の図6の場合と同様に、障壁構造と基板収容部材との間の隙間で生じる部分膨張を抑制することができる。
【0038】
図18は、全幅が2wである突出構造742、744の圧力分散機能を説明するためのキャリアヘッドの部分断面図、及び底板610の位置に応じた圧力値を示すグラフである。まず、図18aを参照すると、Zone 1として表示された外郭チャンバ200にP1の圧力が印加され、Zone 2として表示された中央チャンバ300にP2の圧力が印加される。これらの圧力は、底板610に直接的に伝達されるか、または接触部716’、716”と突出構造742、744を介して底板に伝達される。まず、外郭チャンバ200の圧力P1が突出構造744の上面に作用すると、この圧力P1は底板610に向かって降りながら隣りの突出構造742に分散される。その結果、外郭チャンバ200からの圧力は、底板610が位置に応じて、図18bのグラフZ1 Effectのように変わる。同様に、中央チャンバ300の圧力P2が突出構造742の上面に印加されると、このP2は底板610に向かって降りながら隣りの突出構造744に分散される。その結果、中央チャンバ300からの圧力は、底板610の位置に応じて、図18bのグラフZ2 Effectのように変わる。したがって、底板610が最終的に受ける圧力は、底板610にかかるすべての圧力を合算した値であるため、図18cのグラフZ1+Z2 Effectのように変わる。すなわち、底板610が受ける圧力は、突出構造742、744のため、外郭チャンバ200であるZone 1から中央チャンバ300であるZone 2に変わるとき、緩やかに変わる可能性がある。
【0039】
図19は、突出構造746、748の他の例を示す接触フラップ772の断面図である。突出構造746、748は、図示したように、斜面を呈しているが、このような斜面に印加された圧力は、フラップ側部720を渡って反対側の接触部に直接的に伝達されてもよい。例えば、外側突出構造748の斜面に印加された圧力は、内側突出構造746及び内側接触部の部分716’にも作用するようになる。したがって、斜面(例えば、傾斜角45°)を有する突出構造が、緩やかな圧力変化を誘導するために効果的であり得る。突出構造の形状は、ステップ形状及び斜面形状のほか、曲面を含んでいてもよく、その形状と大きさは、膨張抑制と圧力分散効果を考慮して決定することが望ましい。
【0040】
したがって、前記図17及び図19を参照すると、本発明のまた他の実施例に係る化学機械的研磨装置のキャリアヘッド用接触フラップ770、772は、基板収容部材との接触面を提供する下面717と、前記下面の反対側表面である上面718と、を備えた環状の接触部716と;前記上面718からの高さ方向に延在するフラップ側部720と;前記フラップ側部720の上部から側方向に延在する連結部730と;を含み、前記上面718と前記フラップ側部720とが出会う少なくとも一つのコーナに突出構造742、744、746、748が形成されることを特徴とする。
【0041】
図20は、本発明のまた他の実施例に係る化学機械的研磨装置用キャリアヘッド900の断面図である。2つの接触フラップ772A、772B及び4つの障壁構造538A、540A、538B、540Bによって外郭チャンバ200、中央チャンバ300及び中間チャンバ400を形成することができ、流体通路210、310、410を介してそれぞれのチャンバ200、300、400にP1、P2およびP3の圧力を独立して印加することができる。このように接触フラップ及び障壁構造を用いて、基板収容部材の底板610の所定の領域に圧力を独立して印加することができ、これは、研磨時に収容されている基板(図示せず)にもそのまま作用して、各領域の研磨速度調整に利用されてもよい。
【0042】
したがって、図20を参照すると、本発明のまた他の実施例に係る接触フラップ772A、772Bを含む化学機械的研磨装置用キャリアヘッド900は、ベース100と;前記ベース100の下部に連結され、基板収容面である外部面612と、前記外部面612の反対側の内部面614と、を備えた基板収容部材600と;前記基板収容部材600の内側において前記ベース100の下部に連結される連結部730A、730Bと、前記連結部730A、730Bから下方に延在するフラップ側部720A、720Bと、前記フラップ側部720A、720Bの下端から側方向に延在する接触部716A、716Bと、を備えた少なくとも一つの接触フラップ772A、772Bと;前記ベース100の下部に連結され、前記少なくとも一つの接触フラップ772A、772Bに隣接して配置される少なくとも一つの障壁構造538A、540A、538B、540Bと;を含み、前記少なくとも一つの障壁構造538A、540A、538B、540Bは、前記少なくとも一つの接触フラップ772A、772Bの膨張を限定することで、前記接触部716A、716Bが流体の圧力によって前記内部面614に密着するように構成される。
【0043】
図21は、本発明のまた他の実施例に係る化学機械的研磨装置用キャリアヘッド900の断面図である。基板収容部材602は、底板610の内部面614から高さ方向に延在した環状隔壁部622をさらに含んでいてもよい。図示したように、隔壁部622の端部をクランプ140でベース100の下部に連結すると、隔壁部622を壁とする中央チャンバ302が形成される。これらの基板収容部材602は、図1に示す従来の技術による基板収容部材であって、隔壁部622により囲まれた加圧チャンバ(例えば、中央チャンバ)302が形成されるだけでなく、隔壁部622と本発明の接触フラップとがペアを組んで側壁に作用することにより、加圧チャンバが形成されてもよい。例えば、図21に示すように、流体通路410にP3の圧力が印加されると、隔壁部622は内側壁として作用し、外郭に位置した接触フラップ772Bは、内部面614に密着することで外側壁として作用して、環状の加圧チャンバ402が形成される。図21では、1つの隔壁部622が一つの接触フラップ772Bの内側に位置するが、キャリアヘッドは、複数の隔壁部と複数の接触フラップとを含んでいてもよく、隔壁部が接触フラップの外側に位置してもよい。
【発明を実施するための形態】
【0044】
発明を実施するための形態は、上述した「発明を実施するための最良の形態」で十分説明されているので、省略することとする。
【産業上の利用可能性】
【0045】
半導体やガラス基板の製造および集積回路の製造時に必要な化学機械的研磨工程に利用することができる。
図1
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