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特許7142949ゴミ収集経路ナビゲーションシステム及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-16
(45)【発行日】2022-09-28
(54)【発明の名称】ゴミ収集経路ナビゲーションシステム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/34 20060101AFI20220920BHJP
   G08G 1/0969 20060101ALI20220920BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20220920BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20220920BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20220920BHJP
【FI】
G01C21/34
G08G1/0969
G09B29/00 A
G09B29/10 A
G06Q50/10
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020053734
(22)【出願日】2020-03-25
(65)【公開番号】P2021156581
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2021-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】515207710
【氏名又は名称】株式会社BIOISM
(74)【代理人】
【識別番号】100121371
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 和人
(72)【発明者】
【氏名】高橋 幸司
【審査官】田中 純一
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-247523(JP,A)
【文献】特開2003-089427(JP,A)
【文献】特開2004-101447(JP,A)
【文献】特開2017-030888(JP,A)
【文献】特開平10-049547(JP,A)
【文献】特開2009-174887(JP,A)
【文献】特開2007-132735(JP,A)
【文献】特開2001-261107(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00 - 21/36
G01C 23/00 - 25/00
G08G 1/00 - 99/00
G09B 23/00 - 29/14
G06Q 10/00 - 10/10
G06Q 30/00 - 30/08
G06Q 50/00 - 50/20
G06Q 50/26 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイと、ユーザからの入力を受け付ける入力手段と、現在位置を検出する位置検出手段と、を具備する車載用端末を備えた、塵芥車のゴミ収集経路の経路案内を行うゴミ収集経路ナビゲーションシステムであって、
塵芥車のゴミ収集経路の経路情報を記憶するルート情報記憶手段と、
塵芥車のゴミを降荷する降荷場の位置情報を記憶する降荷場情報記憶手段と、
前記ディスプレイの画面上に、前記位置検出手段で検出された現在位置周辺の地図画像及び現在位置を示すマークを表示する地図表示手段と、
前記地図画像上に前記ルート情報記憶手段に記憶された前記ゴミ収集経路を表示し経路案内を行うゴミ収集経路案内手段と、
前記入力手段より降荷離脱指示が入力された場合、前記位置検出手段により検出される現在位置を離脱位置とし、前記離脱位置から前記降荷場情報記憶手段に記憶された降荷場の位置までの地図上の経路である降荷案内経路を計算し、該降荷案内経路を前記地図画像上に表示し経路案内を行う降荷離脱処理手段と、
前記入力手段により復帰指示が入力された場合、前記離脱位置又は前記ゴミ収集経路上の前記離脱位置より後にある最初のゴミステーションの位置を復帰位置とし、前記位置検出手段により検出される現在位置から前記復帰位置までの地図上の経路である復帰案内経路を計算し、該復帰案内経路を前記地図画像上に表示し経路案内を行うとともに、前記位置検出手段で検出される現在位置が前記復帰位置に到達すると、前記ゴミ収集経路案内手段による経路案内に切り替えるルート復帰処理手段と、を備えたことを特徴とするゴミ収集経路ナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記ルート復帰処理手段は、前記入力手段からの入力により前記ゴミ収集経路上の前記復帰位置が指定された場合には、前記位置検出手段により検出された現在位置から指定された該復帰位置までの地図上の復帰案内経路を計算し、該復帰案内経路を前記地図画像上に表示し経路案内を行うとともに、前記位置検出手段で検出された現在位置が前記復帰位置に到達すると、前記復帰位置以降の前記ゴミ収集経路を表示し、前記ゴミ収集経路案内手段による経路案内に切り替えることを特徴とする請求項1記載のゴミ収集経路ナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記入力手段より非常離脱指示が入力された場合、前記位置検出手段により検出される現在位置を離脱位置とし、その後前記入力手段により入力される前記ゴミ収集経路上の特定の地点、又は前記ゴミ収集経路上の前記ゴミステーションのうち前記離脱位置よりも後にある最初のゴミステーションの位置を復帰位置とし、前記離脱位置から前記復帰位置までの地図上の経路であって、前記ゴミ収集経路とは異なる経路である非常離脱経路を計算し、該非常離脱経路を前記地図画像上に表示し経路案内を行うとともに、前記位置検出手段で検出される現在位置が前記復帰位置に到達すると、前記ゴミ収集経路案内手段による経路案内に切り替える非常離脱処理手段、を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載のゴミ収集経路ナビゲーションシステム。
【請求項4】
ディスプレイと、ユーザからの入力を受け付ける入力手段と、現在位置を検出する位置検出手段と、を具備する車載用端末により読み込ませて実行することにより、前記車載用端末を請求項1乃至3の何れか一記載のゴミ収集経路ナビゲーションシステムとして機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴミ収集業務において、ゴミ収集ルートに沿って塵芥車の経路案内を行うゴミ収集ルートナビゲーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各自治体の清掃局が主体となって行われるゴミ収集業務において、カーナビゲーション装置のようなナビゲーションシステムを利用する技術が開発されてきている。掛かる技術としては、特許文献1~3に記載のものが公知である。
【0003】
特許文献1記載のナビゲーション装置は、地図情報を記憶する地図情報記憶手段(11)、管理対象物の管理情報を記憶する管理情報記憶手段(12)、地図情報記憶手段に記憶した地図情報を元に管理情報記憶手段に管理情報を入力する管理情報入力手段(13)、管理情報記憶手段から複数の管理対象物を抽出する巡回先抽出手段(14)、巡回先抽出手段によって抽出した複数の管理対象物のXY座標を元に巡回経路を算出する巡回経路算出手段(22)、巡回経路を案内する地図画像や音声等を出力する出力手段(23)、出力手段に地図画像や音声等を出力するための制御を行う地図表示制御手段(24)、及びGPS等によって現在位置を取得する現在位置取得手段(25)を備えたものである(仝文献図1参照)。このナビゲーション装置は、巡回先抽出手段(14)によって巡回先を自動的に抽出し、巡回経路算出手段(22)により巡回経路を自動算出させることで、多数の目的地(巡回先)の設定の手間を省き、効率的なナビゲーションを可能としている。また、管理対象物をゴミ収集場所とし、この管理情報を管理情報記憶手段(12)に入力しておき、ゴミ収集場所の地区、ゴミの量、およびゴミの種類等の要因によりゴミ収集スケジュールを作成し、このゴミ収集スケジュールに従って巡回先抽出手段(14)により巡回先となるゴミ収集場所を抽出するようにすることで、ゴミ収集業務についてこのナビゲーション装置を適用できるとされている(仝文献〔0054〕-〔0056〕参照)。
【0004】
特許文献2に記載のナビゲーション装置は、GPSにより車両の現在位置を連続して取得したGPS軌跡を地図イメージ上に表示するタッチパネル端末を有し、任意の一の地点1を出発地点とし、任意の他の地点2を到着地点として地点1と地点2の固有所定区間だけの走行軌跡(GPS軌跡)を新規道路ネットワークデータに変換してSDカード内の専用フォルダに保存する(仝文献〔0018〕参照)。ナビゲーションを行う際には、タッチパネル端末の複合ナビゲーション手段でGPSにより現在位置を連続して取得したGPS軌跡(新規道路ネットワークデータ)を地図イメージ上に表示するとともに、既存地図に基づく経路(既存道路ネットワークデータ)に基づく経路設定を行う既存ナビゲーション手段の連動を行い、新規道路ネットワークデータと既存道路ネットワークデータとの複合化を行う(仝文献〔0020〕参照)。これにより、通常のナビゲーション方式では対応することができない様々なルート表示を可能とすることができると記載されている(仝文献〔0010〕)。また、このナビゲーション装置をゴミ収集車の巡回に適用する事例が記載されている(仝文献〔0034〕参照)。
【0005】
特許文献2には、車線レベル車両ルート指定およびナビゲーション装置であって、交通流内の個々の車両のマイクロシミュレーションを行う、シミュレーションモジュールと、前記シミュレーションモジュールによって判定される、起点から目的地までの候補経路に沿って予測される状況を評価し、前記候補経路に沿って使用が推奨される車線および関連付けられた車線レベル操縦を判定する、車線レベルルートオプティマイザとを備える、車線レベル車両ルート指定およびナビゲーション装置が記載されている。また、推奨される候補経路は、配達またはサービスまたは緊急対応車両に提供される、あるいは避難計画のために、もしくはゴミ収集車または郵便配達車または除雪車等の車両のルートを指定するために使用されてもよい旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2000-205885号公報
【文献】特開2015-224958号公報
【文献】特表2016-513805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
実際のゴミ収集業務においては、ゴミ収集業務を行う塵芥車は、予め決められた巡回ルート(ゴミ収集ルート)を巡回しながら、ゴミ収集ルートに沿って設けられたゴミ集積所(ゴミステーション)に出されたゴミを収集してゆき、最終的にゴミ収集ルート上の全てのゴミステーションに出されたゴミを処分場に運搬する。この場合、ゴミ収集ルートは、予め決定されており、ナビゲーション装置において改めて計算する必要はない。また、ゴミ収集ルートは、一般の道路以外の通路(例えば、駐車場内、工場その他の施設の敷地内、私道、狭い路地、公園内の通路など)を経由するケースも屡々あり、そのような通路は通常のナビゲーション装置の道路ネットワークデータには登録されていないため、ルートの自動計算自体が困難である。従って、ゴミ収集ルートに沿った案内経路のデータは予め作成し保存されているものを読み出して使用する必要がある。
【0008】
一方、ゴミ収集ルートに沿ってゴミ収集業務を行っている途中で、塵芥車が満載になった場合には、一旦、積載したゴミを処分場に運搬して降荷した後、再度ゴミ収集ルートに復帰してゴミ収集業務を継続する。この場合、塵芥車の運転手は、ゴミ収集業務が完了したゴミステーションの位置(収集済位置)を記憶又は記録しておき、処分場でゴミを降荷した後に、ゴミ収集業務が完了した場所まで引き返す必要が生じる。このような場合、上記従来のナビゲーションシステムでは、収集済位置において、まず、ナビゲーションシステムの地点登録機能(一般のナビゲーションシステムで周知の地点登録機能)を利用して、運転手がゴミ収集業務が完了した位置を登録しておき、ゴミを降荷する処分場を地図上から検索して目的地を処分場に変更した後、ルート案内を利用して処分場に向かい、処分場に到着しゴミを降荷した後に、目的地を先に登録した位置を目的地に設定してルート案内を利用して収集済位置に向かい、収集済位置に到着すると、案内ルートを元のゴミ収集ルートに戻す、といった操作が必要となり、非常に煩雑である。また、運転手が地点登録を忘れた場合には、運転手の記憶に基づき地図上の収集済位置を探して指定する必要がありさらに煩雑である。さらに、運転手が地点登録を忘れ且つ収集済位置を忘れた場合には、どのゴミステーションまでゴミ収集業務を完了したかを調べる必要が生じ、さらなる作業効率の低下を招く。
【0009】
同様に、ゴミ収集ルート上で渋滞や事故などにより一部の区間が通行できない場合には、案内経路をゴミ収集ルートの経路から、一般のナビゲーション装置の自動ルート作成により計算される経路に切り替えて、通行できない区間を迂回した後、再び案内経路をゴミ収集ルートの経路に戻すという操作が必要となり、非常に煩雑である。
【0010】
そこで、本発明の目的は、巡回ゴミ収集業務に於けるゴミ収集ルートの経路案内を行うナビゲーションシステムにおいて、従来よりも業務上の操作性及び利便性を高めたゴミ収集経路ナビゲーションシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るゴミ収集経路ナビゲーションシステムの第1の構成は、ディスプレイと、ユーザからの入力を受け付ける入力手段と、現在位置を検出する位置検出手段と、を具備する車載用端末を備えた、塵芥車のゴミ収集経路の経路案内を行うゴミ収集経路ナビゲーションシステムであって、
塵芥車のゴミ収集経路の経路情報を記憶するルート情報記憶手段と、
塵芥車のゴミを降荷する降荷場の位置情報を記憶する降荷場情報記憶手段と、
前記ディスプレイの画面上に、前記位置検出手段で検出された現在位置周辺の地図画像及び現在位置を示すマークを表示する地図表示手段と、
前記地図画像上に前記ルート情報記憶手段に記憶された前記ゴミ収集経路を表示し経路案内を行うゴミ収集経路案内手段と、
前記入力手段より降荷離脱指示が入力された場合、前記位置検出手段により検出される現在位置を離脱位置とし、前記離脱位置から前記降荷場情報記憶手段に記憶された降荷場の位置までの地図上の経路である降荷案内経路を計算し、該降荷案内経路を前記地図画像上に表示し経路案内を行う降荷離脱処理手段と、
前記入力手段により復帰指示が入力された場合、前記離脱位置又は前記ゴミ収集経路上の前記離脱位置より後にある最初のゴミステーションの位置を復帰位置とし、前記位置検出手段により検出される現在位置から前記復帰位置までの地図上の経路である復帰案内経路を計算し、該復帰案内経路を前記地図画像上に表示し経路案内を行うとともに、前記位置検出手段で検出される現在位置が前記復帰位置に到達すると、前記ゴミ収集経路案内手段による経路案内に切り替えるルート復帰処理手段と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、ゴミ収集ルートに沿ってゴミ収集業務を行っている途中で塵芥車が満載になった場合、入力手段により降荷離脱指示を入力すると、降荷離脱処理手段は、現在位置(離脱位置)から、予め降荷場情報記憶手段に記憶されている降荷場の位置までの降荷案内経路を計算し、降荷案内経路を案内経路として降荷場までのナビゲーション(経路案内)を行う。また、降荷場に於いて塵芥車のゴミを降荷した後に、入力手段により復帰指示を入力すると、ルート復帰処理手段は、離脱位置又はゴミ収集経路上の離脱位置より後にある最初のゴミステーションの位置を復帰位置とし、現在位置から復帰位置までの復帰案内経路を計算し、該復帰案内経路を案内経路として復帰位置までのナビゲーション(経路案内)を行う。そして、復帰位置に到達すると、もとのゴミ収集経路を案内経路とするゴミ収集経路案内手段によるナビゲーション(経路案内)に切り替える。これにより、ゴミ収集業務途中の塵芥車の満載時に、離脱位置の記録や目的地の変更やルート案内の変更を自動で簡易且つ素早く行うことが可能となり、業務上の操作性及び利便性を高めることができる。
【0013】
本発明に係るゴミ収集経路ナビゲーションシステムの第2の構成は、前記第1の構成に於いて、前記ルート復帰処理手段は、前記入力手段からの入力により前記ゴミ収集経路上の前記復帰位置が指定された場合には、前記位置検出手段により検出された現在位置から指定された該復帰位置までの地図上の復帰案内経路を計算し、該復帰案内経路を前記地図画像上に表示し経路案内を行うとともに、前記位置検出手段で検出された現在位置が前記復帰位置に到達すると、復帰位置以降のゴミ収集経路を表示し、前記ゴミ収集経路案内手段による経路案内に切り替えることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、例えば、ゴミ収集業務を行っている途中で塵芥車が満載になりゴミを降ろすために降荷場へ運搬している間に、応援に出動した他の塵芥車が離脱位置より先のゴミ収集経路の区間に対してゴミ収集業務を行ったような場合には、応援の塵芥車がまだゴミ収集業務を行っていないゴミ収集経路上の地点を復帰地点とすることができる。
【0015】
本発明に係るゴミ収集経路ナビゲーションシステムの第3の構成は、前記第1又は2の構成に於いて、前記入力手段より非常離脱指示が入力された場合、前記位置検出手段により検出される現在位置を離脱位置とし、その後前記入力手段により入力される前記ゴミ収集経路上の特定の地点、又は前記ゴミ収集経路上の前記ゴミステーションのうち前記離脱位置よりも後にある最初のゴミステーションの位置を復帰位置とし、前記離脱位置から前記復帰位置までの地図上の経路であって、前記ゴミ収集経路とは異なる経路である非常離脱経路を計算し、該非常離脱経路を前記地図画像上に表示し経路案内を行うとともに、前記位置検出手段で検出される現在位置が前記復帰位置に到達すると、前記ゴミ収集経路案内手段による経路案内に切り替える非常離脱処理手段、を備えたことを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、ゴミ収集ルート上で渋滞や事故などの非常事由により一部の区間の通行が困難な場合には、非常離脱処理手段により、迂回ルート(非常離脱経路)への移行と迂回後のゴミ収集経路への復帰を自動で簡易且つ素早く行うことが可能となり、業務上の操作性及び利便性を高めることができる。
【0017】
また、本発明に係るプログラムは、ディスプレイと、ユーザからの入力を受け付ける入力手段と、現在位置を検出する位置検出手段と、を具備する車載用端末により読み込ませて実行することにより、前記車載用端末を前記第1乃至3の何れか一の構成のゴミ収集経路ナビゲーションシステムとして機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によれば、ゴミ収集ルートでのゴミ収集業務途中に塵芥車が満載になった場合、降荷場への案内経路の切り替えや、元のゴミ収集ルートへの復帰のための案内経路の切り替えが自動で簡易且つ素早く行うことが可能となり、業務上の操作性及び利便性を高めることができる。また、ゴミ収集ルート上で渋滞や事故などの非常事由により一部の区間の通行が困難な場合にも、迂回ルート(非常離脱経路)への移行と迂回後のゴミ収集経路への復帰を自動で簡易且つ素早く行うことが可能となり、業務上の操作性及び利便性を高めることができる。これにより、ゴミ収集業務の作業性の向上、作業時間の短縮化に資することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施例1に係るゴミ収集経路ナビゲーションシステムのハードウェア的な構成を表す図である。
図2図1のゴミ収集経路ナビゲーションシステムの機能構成を表すブロック図で或る。
図3図2の各データベースの構成を表すER図(IDEF1X記法)である。
図4】実施例1のゴミ収集経路ナビゲーションシステムの動作全体の流れを表すフローチャートである。
図5】ゴミ収集ルートの地図及びステーションリストの表示画面の一例を示す図である。
図6】定常ルート案内処理の動作の流れを表すフローチャートである。
図7】終了予定時刻表示処理の動作の流れを表すフローチャートである。
図8】終了予定時刻更新処理の動作の流れを表すフローチャートである。
図9】搬入案内処理の動作の流れを表すフローチャートである。
図10】降荷場選択リストの表示画面の一例を示す図である。
図11】降荷時ルート離脱処理の動作の流れを表すフローチャートである。
図12】(a)降荷時待機中の車載用端末2の表示画面、及び(b)復帰地点選択画面の一例を示す図である。
図13】復帰地点選択処理の動作の流れを表すフローチャートである。
図14】非常時ルート離脱処理の動作の流れを表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0021】
(1)用語の定義
最初に、本明細書で使用する主要な用語を以下の通りに定義する。
【0022】
「通路」(passage)とは、自動車が通行可能なとおりみちをいう。「通路」には、一般の道路の他、公園道・園路、広場、駐車場、敷地内の自動車が通行可能なスペース等を含まれる。「道路」(road)とは、一般交通の用に供する通路をいい、高速自動車国道、一般国道、都道府県道、市町村道、私道、里道、農道、林道等が含まれる。「ゴミ降荷場」(garbage unloading site)とは、ゴミ収集工程に於いて収集されたゴミを降ろす場所をいい、ゴミ処分場、埋立地等である。「塵芥車」(garbage truck)とは、ゴミを収集してゴミ降荷場まで運搬する目的に特化した業務用車両をいう。「ゴミステーション」(garbage station)とは、ゴミ出し者からゴミ収集業者にゴミの受け渡しを行う際に一時的にゴミを置くように指定された場所(ゴミ置き場、ゴミ集積所)をいう。「ゴミ収集ルート」(garbage-collecting route)とは、塵芥車が各ゴミステーションでのゴミの収集業務を行いながら歴巡する連続する通路の順列をいう。「ステーション名」(station name)とはゴミステーションの名称をいう。「ステーション座標」(station coordinate)とは、ゴミステーションの経緯度表現された位置座標(経緯座標)をいう。「ステーション属性」(station attribute)とは、ゴミステーションに出すことが指定されたゴミの種類(可燃ごみ、不燃ごみ、資源物、粗大ごみ、がれき類等)、収集日(曜日)などのゴミステーションに関する付加的な情報をいう。「ステーション情報」(station information)とは、ゴミステーションに関する情報であって、ステーション座標、ステーション名、及びステーション属性を含む情報をいう。「受託者」(trustee)とは、ゴミ収集業務を受託するゴミ収集業者をいう。
【0023】
「ノード」(node)(「頂点」,「節点」)とは、点と線分からなる図形における点をいう。「エッジ」(edge)(「辺」,「枝」)とは、点と線分からなる図形における2つの点間を結ぶ線分をいう。「グラフ」(graph)とは、ノードと2つのノードを結ぶエッジからなる集合をいう。「経路」(walk)とは、グラフにおいて、ある2つのノードを結ぶノードと辺の順列をいう。「小道」(trail)とは、経路のうち、その経路の途中でエッジが重複しないものをいう。「パス」(path)とは、小道のうち、その小道の途中でノードが重複しないものをいう。「ノード座標」(node coordinate)とは、ノードに対して与えられる座標値をいう。「案内経路」(guide walk)とは、道順案内を行う経路をいう。「収集経路」(collecting walk)とは、収集ルートグラフ上のゴミ収集時の移動の経路をいう。「降荷案内経路」(unloading guide walk)とは、現在位置から降荷場の位置までの地図上の経路をいう。「復帰案内経路」(return guide walk)とは、現在位置から収集経路上の復帰位置までの地図上の経路をいう。「収集経路情報」(collecting walk information)とは、収集経路を構成する収集経路ノードのノード座標の順序列で構成される情報をいう。「ステーションリスト情報」(station list information)とは、収集経路上のゴミステーションのステーション情報の順序列で構成される情報をいう。「収集ルート情報」(collecting route information)とは、ゴミ収集ルートの属性情報(名称、ゴミ区分を含む情報)及び収集パス情報をいう。「作業車軌跡情報」(working truck tracking information)とは、作業車の移動軌跡を表す座標点の順序列で構成される情報をいう。移動軌跡を表す座標点を「軌跡点」、隣接する軌跡点を結ぶ直線を「軌跡線」という。(図5(b)参照)「ゴミ収集業務」(garbage collection task)とは、廃棄物処理の工程の一つであって、ゴミとなるものが出される場所から、ゴミに対して何らかの処理又は処分が行われる場所へと、ゴミを運搬する業務をいう。ゴミ収集業務には、塵芥車で収集経路を歴巡し、収集経路に沿って設置された各ゴミステーションに出されたゴミの収集を行う「ステーション収集」と、ゴミを排出する工場、事業所、施設などのそれぞれを塵芥車で戸別に訪問してまわりゴミの収集を行う「戸別収集」とがある。ステーション収集に係るゴミ収集ルートを「ステーション収集ルート」、戸別収集に係るゴミ収集ルートを「戸別収集ルート」という。
【0024】
(2)システム構成
図1は、本発明の実施例1に係るゴミ収集経路ナビゲーションシステムのハードウェア的な構成を表す図である。本実施例のゴミ収集経路ナビゲーションシステムは、管理サーバ1、及び一乃至複数の車載用端末2により構成され、各車載用端末2は、通信回線3を介して管理サーバ1と接続されている。管理サーバ1は、一般的な汎用コンピュータである。また、各車載用端末2は、タブレット,スマートフォン等の携帯情報端末(Personal Digital Assistant:PDA)やカーナビゲーション装置等のポータブルナビゲーションデバイス(Portable Navigation Device:PND)であり、ディスプレイ、入力装置(タッチパネル、キーボタン、マイク等)、GNSS(Global Navigation Satellite System:全球測位衛星システム)受信装置、通信回線3との間での通信インタフェースを備えたものが用いられる。
【0025】
図2は、図1のゴミ収集経路ナビゲーションシステムの機能構成を表すブロック図である。図2において、管理サーバ1は、地図情報データベース101、ステーション情報データベース102、降荷場情報データベース103、ルート情報データベース104、業務情報管理データベース105、受託者情報管理データベース106、軌跡情報管理データベース107、予想時間計算部111、データベース管理部112、通信インタフェース部113を備えている。これらの各機能ブロックは、管理サーバ1にプログラムを読み込ませて実行することにより、管理サーバ1内に機能モジュールとして構成される。
【0026】
地図情報データベース101は、地図に関する情報を記憶・管理するデータベースである。ステーション情報データベース102は、各ゴミステーションに関する情報を記憶・管理するデータベースである。降荷場情報データベース103は、各降荷場に関する情報を記憶・管理するデータベースである。ルート情報データベース104は、塵芥車のゴミ収集ルートに関する情報を記憶・管理するデータベースである。業務情報管理データベース105は、各受託者のゴミ収集業務の進行情報に関する情報を記憶・管理するデータベースである。受託者情報データベース106は、受託者に関する情報を記憶・管理するデータベースである。軌跡情報管理データベース107は、過去の作業車のゴミ収集業務時の移動軌跡に関する情報を記憶・管理するデータベースである。
【0027】
予想時間計算部111は、指定されたゴミ収集ルートについて、業務情報管理データベース105又は軌跡情報管理データベース107に保存された過去の塵芥車の該ゴミ収集ルートにおける歴巡時間に基づき、該ゴミ収集ルートの予想歴巡時間を算出する処理を行うモジュールである。データベース管理部112は、地図情報データベース101,ステーション情報データベース102,降荷場情報データベース103,ルート情報データベース104,業務情報管理データベース105,受託者情報管理データベース106,軌跡情報管理データベース107に対するデータの入出力管理処理を行うモジュールである。通信インタフェース部113は、通信回線3との間のデータ通信処理を行うモジュールである。
【0028】
車載用端末2は、車載端末記憶部201、ディスプレイ202、スピーカ203、入力装置204、GNSS受信部205、制御部206、ダウンロード部207、通信インタフェース部208を備えている。これらの各機能ブロックは、車載用端末2にプログラムを読み込ませて実行することにより、車載用端末2内に機能モジュールとして構成される。
【0029】
車載端末記憶部201は、車載用端末2において管理サーバ1から取得される各種データ及び車載用端末2において生成される各種データを記憶するモジュールである。ディスプレイ202は、画像情報を出力する表示装置である。スピーカ203は、音声情報を出力する音声出力装置である。入力装置204は、車載用端末2へデータと制御信号を入力するために使われるハードウェア機器であり、キーボード、タッチペン、マウス、タッチパネルディスプレイの入力部などである。尚、本実施例では、一例として、車載用端末2にはタブレット型端末を用いた例を説明することとし、ディスプレイ202及び入力装置204としてタッチパネルディスプレイを用いた例を説明する。GNSS受信部205は、GNSS(全球測位衛星システム)の複数の衛星から発信された電波を受信して現在位置を測位するモジュールである。制御部206は、車載端末記憶部201におけるゴミ収集経路ナビゲーション動作の動作制御を行うモジュールである。通信インタフェース部208は、通信回線3との間のデータ通信処理を行うモジュールである。
【0030】
制御部206は、DL/UL部210、地図表示部211、現在位置取得部212、ルート計算部213、ルート表示部214、ステーションリスト表示部215、音声ガイド出力部216、ゴミ収集経路案内部218、業務情報更新部219、予想時間計算部220、降荷時ルート離脱処理部221、非常時ルート離脱処理部222、ルート復帰処理部223、初期設定部224を備えている。
【0031】
DL/UL部210は、管理サーバ1から各種データのダウンロードをして車載端末記憶部201に保存し、また車載端末記憶部201に保存された各種データを管理サーバ1にアップロードする処理を行うモジュールである。地図表示部211は、ディスプレイ202の画面上に、GNSS受信部205で測位された現在位置周辺の地図画像を表示する処理を行うモジュールである。現在位置取得部212は、GNSS受信部205で測位された現在位置を取得してディスプレイ202の画面上に表示される地図画像上に現在位置を示すマークを表示する処理を行うモジュールである。
【0032】
ルート計算部213は、GNSS受信部205で測位された現在位置から設定される目的地点までの地図上の案内経路を計算する処理を行うモジュールである。ルート表示部214は、ディスプレイ202の画面上に、案内経路を表示する処理を行うモジュールである。ステーションリスト表示部215は、ディスプレイ202の画面上に、現在選択中のゴミ収集ルート上のゴミステーションのリスト(以下「ステーションリスト」という。)を表示する処理を行うモジュールである。音声ガイド出力部216は、GNSS受信部205で測位された現在位置に応じて、設定された案内経路に沿った道順案内(ナビゲーション)のための音声ガイドをスピーカ203から出力する処理を行うモジュールである。ゴミ収集経路案内部218は、地図画像上にゴミ収集経路を表示し経路案内を行う処理を行うモジュールである。業務情報更新部219は、ゴミ収集経路上の或るゴミステーションについて、入力装置204により収集済に変更する旨の入力がされた場合に、車載端末記憶部201に記憶された該ゴミステーションに係る業務実施情報を収集済とするとともに、ディスプレイ202の画面上のステーションリストの該ゴミステーションの表示を収集済とする処理を行うモジュールである。予想時間計算部220は、ルート計算部213が計算した案内経路を辿歴する場合の所要時間を計算する処理を行うモジュールである。
【0033】
降荷時ルート離脱処理部221は、入力装置204より降荷離脱指示が入力されたとき、その時点で現在位置取得部212により取得された現在位置から車載端末記憶部201に記憶されたゴミ降荷場の位置までの降荷案内経路を計算し、該降荷案内経路を案内経路に設定して地図画像上に表示する処理を行うモジュールである。ここで、「降荷離脱指示」とは、ユーザにより入力装置204から入力される指示であって、塵芥車からゴミ降荷場へ収集したゴミを降荷する指示である。
【0034】
非常時ルート離脱処理部222は、入力装置204より非常離脱指示が入力されたとき、入力装置204により入力されるゴミ収集経路上の特定の地点、又はステーションリスト上のゴミステーションのうち最後に業務実施情報が収集済に変更されたゴミステーションの次のゴミステーションの位置を復帰位置に設定し、その時点で現在位置取得部212により取得された現在位置から該復帰位置までの地図上の経路であって、ゴミ収集経路とは異なる非常離脱経路を計算し、該非常離脱経路を案内経路に設定して地図画像上に表示するとともに、現在位置取得部212で取得される現在位置が復帰位置に到達すると、復帰位置以降のゴミ収集経路を案内経路に設定して地図画像上に表示する処理を行うモジュールである。ここで、「非常離脱指示」とは、ユーザにより入力装置204から入力される指示であって、非常時(塵芥車がゴミ収集経路を運行する際に支障となる突発的な事象(例えば、交通事故や渋滞等)が生じた時)において塵芥車の運行経路をゴミ収集経路から離脱させる指示である。
【0035】
ルート復帰処理部223は、入力装置204により復帰指示が入力されたとき、その時点で現在位置取得部212により取得された現在位置から、ゴミ収集経路上のゴミステーションのうち最後に業務実施情報が収集済に変更されたゴミステーションの次のゴミステーションの位置、又は入力装置204からの入力により指定されるゴミ収集経路上の特定の復帰地点の位置を復帰位置に設定し、その時点で現在位置取得部212により取得された現在位置から該復帰位置までの復帰案内経路を計算し、該復帰案内経路を前記地図画像上に表示するとともに、現在位置取得部212で取得される現在位置が該復帰位置に到達すると、該復帰位置以降のゴミ収集経路を案内経路に設定して地図画像上に表示する処理を行うモジュールである。ここで、「復帰指示」とは、ユーザにより入力装置204から入力される指示であって、塵芥車をゴミ収集経路へ復帰させる指示である。
【0036】
初期設定部224は、後述の初期設定処理を実行するモジュールである。
【0037】
(3)データベース構成
図3は、図2の各データベースの構成を表すER図(IDEF1X記法)である。地図情報データベース101は、道路ネット情報テーブル101a及び地図画像情報テーブル101bを備えている。地図情報は、基本の地図に複数の層(レイヤ)を重ねて1つの地図画面を構成するレイヤ構造とされており、このレイヤには、基本の地図の画像情報(背景地図画像情報)を格納する基本地図画像レイヤ、及び道路ネットワークの情報である道路ネット情報を格納する道路レイヤが含まれる。背景地図画像情報は、地図の全範囲を一定面積の矩形状地理的区域の図葉(sheet)に分割し、それぞれの図葉の背景地図画像の集合として構成されている。道路ネット情報は、基本的に道路網グラフとして表現され、この道路網グラフの各道路ノードに対しノード座標が特定され、各道路エッジに対し道路属性情報が特定されたものである。道路ネット情報テーブル101aは、道路レイヤ内の道路ネット情報を格納するテーブルであり、道路ネットワークを構成する各単位道路パスの識別番号を格納する“道路パスID”フィールド、該単位道路パスを構成するノード座標の順列を格納する“道路パス情報”フィールド、及び該単位道路パスの属性(道路種類(国道、県道等)、道路名称、走行レーン情報等)を格納する“道路属性情報”フィールドを備えている。地図画像情報テーブル101bは、基本地図画像レイヤ内の背景地図画像情報を格納するテーブルであり、背景地図画像情報を構成する各図葉の識別番号を格納する“図葉ID”フィールド、該図葉を構成する基本地図画像の情報を格納する“図葉画像情報”フィールド、該図葉の位置情報を格納する“図葉位置情報”フィールドを備えている。
【0038】
ステーション情報データベース102は、ゴミステーション情報テーブル102aを備えている。ゴミステーション情報テーブル102aは、各ゴミステーションに関する情報を格納するテーブルであり、各ゴミステーションの識別番号を格納する“ステーションID”フィールド、該ゴミステーションの名称を格納する“ステーション名”フィールド、該ゴミステーションの位置座標(経緯座標)を格納する“ステーション座標”フィールド、該ゴミステーションの属性情報を格納する“ステーション属性”フィールド、該ゴミステーションが属するゴミ収集ルートの収集ルートIDを格納する“収集ルートID”フィールドを備えている。ここで、ゴミステーションの属性情報には、指定されたゴミの種類、収集曜日などの付加的情報等が含まれる。ゴミステーション情報テーブル102aのレコードの情報が「ステーション情報」である。
【0039】
降荷場情報データベース103は、降荷場情報テーブル103aを備えている。降荷場情報テーブル103aは、各ゴミ降荷場に関する情報を格納するテーブルであり、各ゴミ降荷場の識別番号を格納する“降荷場ID”フィールド、該ゴミ降荷場の名称を格納する“降荷場名”フィールド、該ゴミ降荷場の位置座標(経緯座標)を格納する“降荷場座標”フィールド、該ゴミ降荷場の属性情報を格納する“降荷場属性”フィールドを備えている。ここで、ゴミ降荷場の属性情報には、ゴミ降荷場で処分されるゴミの種類、開場曜日などの付加的情報等が含まれる。降荷場情報テーブル103aのレコードの情報を「降荷場情報」と呼ぶ。
【0040】
ルート情報データベース104は、ルート情報テーブル104a及び音声ガイド情報テーブル104bを備えている。ルート情報テーブル104aは、各ゴミ収集ルートに関する情報を格納するテーブルであり、ゴミ収集ルートの識別番号を格納する“収集ルートID”フィールド、該ゴミ収集ルートの名称を格納する“ルート名称”フィールド、該ゴミ収集ルートのゴミ区分を格納する“ごみ区分”フィールド、該ゴミ収集ルートを構成する収集経路ノードのノード座標の順序列を格納する“収集経路情報”フィールド、該ゴミ収集ルート上のゴミステーションのステーション情報の順序列を格納する“ステーションリスト”フィールド、該ゴミ収集ルートに係る受託者の受託者IDを格納する“受託者ID”フィールドを備えている。ルート情報テーブル104aのレコードの情報が「収集ルート情報」である。音声ガイド情報テーブル104bは、それぞれのゴミ収集ルート上の音声ガイドに関する情報を格納するテーブルであり、音声ガイド情報の識別番号を格納する“ガイドID”フィールド、該音声ガイド情報が属するゴミ収集ルートの収集ルートIDを格納する“収集ルートID”フィールド、該音声ガイド情報が出力される地点(音声ガイド点)の位置座標(経緯座標)を格納する“ガイド地点”フィールド、該音声ガイド情報に係るガイド音声コンテンツを格納する“音声コンテンツ”フィールドを備えている。音声ガイド情報テーブル104bのレコードの情報を「音声ガイド情報」と呼ぶ。
【0041】
業務情報データベース105は、業務情報テーブル105aを備えている。業務情報テーブル105aは、各受託者のゴミ収集業務の業務遂行に関する情報を格納するテーブルであり、各レコードには、各ゴミステーションについて受託者がゴミ収集業務を遂行した日時に関する情報が格納される。業務情報テーブル105aは、各業務情報の識別番号を格納する“業務情報ID”フィールド、該業務情報に係るゴミステーションの識別番号を格納する“ステーションID”フィールド、該業務情報に係る受託者の識別番号を格納する“ステーションID”フィールド、及びゴミ収集業務が遂行された日時の情報を格納する“実施日時”フィールドを備えている。音声ガイド情報テーブル104bのレコードの情報を「業務遂行情報」と呼ぶ。
【0042】
受託者情報データベース106は、受託者情報テーブル106aを備えている。受託者情報テーブル106aは、ゴミ収集業務を受託する受託者に関する情報を格納するテーブルであり、各受託者の識別番号を格納する“受託者ID”フィールド、該受託者の氏名又は名称を格納する“受託者名”フィールドを備えている。受託者情報テーブル106aのレコードの情報を「受託者情報」と呼ぶ。
【0043】
軌跡情報管理データベース107は、軌跡情報テーブル107aを備えている。軌跡情報テーブル107aは、過去の作業車のゴミ収集業務時の移動軌跡に関する情報(作業車軌跡情報)を格納するテーブルであり、各移動軌跡の識別番号を格納する“軌跡ID”フィールド、該移動軌跡の開始日時を格納する“開始日時”フィールド、該移動軌跡の終了日時を格納する“終了日時”フィールド、該移動軌跡の(軌跡点座標(経緯座標),軌跡点時刻)の系列を格納する“軌跡点列情報”フィールド、該移動軌跡に係るゴミ収集ルートの収集ルートIDを格納する“収集ルートID”フィールド、該移動軌跡に係る受託者の受託者IDを格納する“受託者ID”フィールド、該移動軌跡に係るゴミ区分を格納する“ゴミ区分”フィールドを備えている。ここで、「ゴミ区分」とは、ゴミの分別区分をいい、例えば、可燃ゴミ、不燃ゴミ(缶・ビン)、資源ゴミ等の区分である。
【0044】
(4)システム動作
以上のように構成された本実施例のゴミ収集経路ナビゲーションシステムについて、以下その動作を説明する。
(4.1)全体動作
図4は、実施例1のゴミ収集経路ナビゲーションシステムの動作全体の流れを表すフローチャートである。本実施例のゴミ収集経路ナビゲーションシステムは、車載用端末2が塵芥車に搭載され又は塵芥車を運転するユーザに携帯され、車載用端末2によりユーザに対してゴミ収集経路のナビゲーションを行う。このゴミ収集経路ナビゲーションシステムにおける車載用端末2の動作は、図4に示す通り、(i)初期設定セッション(S101~S103)、(ii)開始回送ルート案内セッション(S104~S106)、(iii)ゴミ収集ルート案内セッション(S107~S116)、(iv)終了回送ルート案内セッション(S117)の4つの子セッションから構成され、これら4つの子セッションを合わせたものが1つのゴミ収集ルートセッションとされている。図3の軌跡情報テーブル107aにおける軌跡情報レコードは、1つのゴミ収集ルートセッションに対して1つの軌跡情報レコードが作成される。
【0045】
最初に車載用端末2には、図3の地図情報データベース101、各ゴミ収集ルートの(収集ルートID,ルート名称,ゴミ区分,受託者ID)の組であるゴミ収集ルート項目情報のリストである“ゴミ収集ルート項目リスト”、及び各受託者の(受託者ID,受託者名)のリストである“受託者リスト”が予めダウンロードされ車載端末記憶部201に保存されている。まず、車載用端末2において、初期設定部224はディスプレイ202にゴミ収集ルートの選択メニュー画面を表示し、ユーザは、当該選択メニュー画面から入力装置204によりゴミ収集ルートを選択し、初期設定部224は選択されたゴミ収集ルートの収集ルートIDをゴミ収集ルート項目リストから取得する(S101)。このゴミ収集ルートの選択メニュー画面においては、受託者リストに登録された受託者名及びゴミ区分の選択用リストが表示され、ユーザはまず受託者名及びゴミ区分を選択する。初期設定部224は選択された受託者名の受託者IDを受託者リストから取得し、該受託者ID及び選択されたゴミ区分に対応するゴミ収集ルート項目情報をゴミ収集ルート項目リストから抽出して、選択メニュー画面に抽出されたルート名称の選択用リストを表示する。ユーザは、この選択用リストから、これからゴミ収集業務を遂行するルート名称を選択する。初期設定部224は選択されたルート名称の収集ルートIDをゴミ収集ルート項目リストから取得する。
【0046】
次いで、車載用端末2のDL/UL部210は、初期設定部224により選択されたゴミ収集ルートの収集ルートIDをルートデータ送信要求に付加して管理サーバ1に送信する(S102)。管理サーバ1のデータベース管理部112は、ルートデータ送信要求を受信すると、該ルートデータ送信要求に付加された収集ルートIDに対する新たな軌跡情報レコードRTを軌跡情報テーブル107aに生成し、該収集ルートIDに対する収集ルート情報をルート情報テーブル104aから抽出し、該収集ルートIDに対する音声ガイド情報を音声ガイド情報テーブル104bから抽出して“音声ガイド情報リスト”を生成し、該収集ルートIDに対するステーション情報をゴミステーション情報テーブル102aから抽出して“ステーション情報リスト”を生成する。また、当該ゴミ収集ルートのゴミ区分に対応するゴミ降荷場の降荷場情報を降荷場情報テーブル103aから抽出して“降荷場情報リスト”を生成する。そして、生成された{収集ルート情報,音声ガイド情報リスト,ステーション情報リスト,降荷場情報リスト}を、ルートデータ送信要求を送信した車載用端末2へ配信する(S301)。初期設定部224は、配信された{収集ルート情報,音声ガイド情報リスト,ステーション情報リスト,降荷場情報リスト}を受信して、車載端末記憶部201に保存する(S102)。車載用端末2の現在位置取得部212は、GNSS受信部205により測位される現在位置を取得し、地図表示部211は該現在位置の周辺の地図画像をディスプレイ202に表示する。ゴミ収集経路案内部218は、受信した収集ルート情報に係る収集経路情報に基づき、選択されたゴミ収集ルートの収集経路を地図画像上に追加する。ステーションリスト表示部215は、受信した収集ルート情報に含まれる“ステーションリスト”フィールド及びそれに関するステーション情報リストに基づき、選択されたゴミ収集ルートに係るゴミステーションを地図画像上に追加するとともに、ディスプレイ202に表示された地図画像の領域の横の領域に、ゴミ収集ルート上のゴミステーションを収集経路に沿って並べたリストであるステーションリストを表示する(S103)。これにより、初期設定セッションが終了し、開始回送ルート案内セッションに移行する。
【0047】
図5に、ゴミ収集ルートの地図画像及びステーションリストの表示画面の一例を示す。図5(a)は表示画面内の各表示領域の配置を示す図、図5(b)はステーションリスト表示領域に表示されるステーションリストの一例を示す図、図5(c)は地図画像表示領域に表示される地図画像の一例を示す図である。図5(a)において、表示画面300の中央部の左寄りに地図画像表示領域301が配置され、その右側にステーションリスト表示領域302が配置され、地図画像表示領域301及びステーションリスト表示領域302の上側に属性情報表示領域303が配置され、ステーションリスト表示領域302の下側に送信ボタン304が配置され、ステーションリスト表示領域302の上側に業務進捗カウンタ表示領域305及び業務終了時刻表示領域306が配置されている。地図画像表示領域301の左下側には、降荷離脱ボタン307、非常離脱ボタン308、及びログオフボタン309が配置されている。
【0048】
地図画像表示領域301には、地図画像、収集経路、ゴミステーションの位置を示すマーク(ステーションマーク)、現在位置を示すマーク(現在位置マーク)などが表示される。この地図画像はユーザが指でスワイプ又はフリックすることで表示領域が自在にシフトするようにされている。ステーションリスト表示領域302には、選択したゴミ収集ルート上のステーションリストが表示される。このステーションリストはユーザが指で上下にスワイプ又はフリックすることで表示範囲が自在にスクロールするようにされている。属性情報表示領域303には、受託者の用いる塵芥車の車両番号、ゴミ収集ルートに係るゴミ区分、ゴミ収集ルートの名称などの属性情報が表示される。送信ボタン304は、ゴミステーションに関してゴミ収集業務を遂行した際に業務が完了した旨の業務情報を送信する際などの送信指示の入力に使用される。業務進捗カウンタ表示領域305には、業務進捗カウンタ((収集済のステーション数)/(全ステーション数))が表示される。業務終了時刻表示領域306には、後述の終了予定時刻表示処理で予想計算される業務終了時刻が表示される。降荷離脱ボタン307は、ゴミ収集ルートの途中で塵芥車の搭載ゴミが満載となった場合に搭載ゴミをゴミ降荷場に降荷する際の降荷離脱指示を入力するボタンである。非常離脱ボタン308は、ゴミ収集ルートの途中で何らかの非常事由により迂回経路とる必要が生じた場合に非常離脱指示を入力するボタンである。ログオフボタン309は、ゴミ収集業務の完了指示を入力するボタンである。
【0049】
ステーションリスト表示領域302には、図5(b)に示すようなステーションリストが表示される。ステーションリスト表示領域302には、ゴミ収集ルートに沿って存在するゴミステーションのステーション情報レコードが表示されるステーション表示欄302aが縦列して表示されている。各ステーション情報レコードのステーション表示欄302a内には、ステーション名、ステーション番号、及び業務遂行状態が表示されている。尚、「ステーション番号」は、ゴミ収集ルートに沿ったステーション情報レコードに係るゴミステーションの順番号である。「業務遂行状態」は、ステーション情報レコードに係るゴミステーションのゴミ収集業務が未完了(未収集)か完了(収集済)かの何れかの状態を示す。
【0050】
地図画像表示領域301には、図5(c)に示したように、基本となる地図画像に重ねて、選択したゴミ収集ルートの収集経路(太実線)、開始回送経路(太点線)、収集経路上の各ゴミステーションの位置を示すステーションマーク(四角形)、現在位置を示す現在位置マーク(三角形内包円)などが表示される。ここで、「開始回送経路」とは、現在位置からゴミ収集ルートの収集経路の始点に至る経路をいう。この開始回送経路に関しては、後述のステップS104で説明する。
【0051】
尚、収集経路は、一般的なカーナビゲーション装置に於ける案内経路とは異なり、道路以外の通路(駐車場、狭い路地、工場の敷地内など)を経由する経路や、一旦行き止まりの路地に進入した後に折り返したりするような経路(例えば、図5(c)の区間lの経路など)も含まれることが特徴である。従って、このようにイレギュラな収集経路は、一般的なカーナビゲーション装置で行われているような自動計算によって求めることは出来ないため、予め作成され管理サーバ1のルート情報データベース104に保存されているものが、ダウンロードして使用される。
【0052】
また、ゴミ収集ルートの収集経路を歴巡してゴミ収集を行うゴミ収集業務には、収集経路に沿って設置された各ゴミステーションに出されたゴミの収集を行う「ステーション収集」の他に、各工場、事業所、施設などを戸別に訪問してゴミの収集を行う「戸別収集」がある。戸別収集の場合には、ゴミ収集ルートの収集経路上にゴミステーションは存在しないため、ステーションリストは空欄となる。
【0053】
図4に戻って、次に、車載用端末2のルート計算部213は、現在位置取得部212が取得する現在位置から、選択されたゴミ収集ルートに係る収集経路の始点に至る開始回送経路を計算し、ルート表示部214は開始回送経路をディスプレイ202に表示された地図画像に追加表示するとともに、開始回送経路を現在の案内経路(以下「カレント案内経路」という。)に設定する(S104)。尚、開始回送経路については、現在、一般的なカーナビゲーション装置で使用されている方法と同様に、道路ネットワークデータの用いたルートコスト最小化の手法などを使用することができる。次いで、車載用端末2は、現在位置取得部212が取得する現在位置が収集経路の始点に到達するまで、次の定常ルート案内処理(図6参照)の反復による経路案内を行う(S105,S106)。
【0054】
図6に、定常ルート案内処理の動作の流れを示す。定常ルート案内処理では、まず、車載用端末2の現在位置取得部212は、GNSS受信部205により測位される現在位置の経緯座標を取得し(S121)、地図画像上の現在位置に現在位置マークを移動する(S122)。次に、現在位置取得部212は、現在位置の経緯座標及び現在時刻を管理サーバ1へ送信する。管理サーバ1のデータベース管理部112は、(現在位置の経緯座標,現在時刻)を受信すると(S311)、これを軌跡情報テーブル107aの軌跡情報レコードRTの“軌跡点列情報”フィールドに追加し、軌跡情報レコードRTを更新する(S312)。次いで、音声ガイド出力部216は、現在位置が、音声ガイド情報リストに含まれる何れかの音声ガイド情報の音声ガイド地点であれば、スピーカ203により音声ガイドの出力を行い(S124,S125)、1回分の定常ルート案内処理を終了する。
【0055】
尚、本実施例のゴミ収集経路ナビゲーションシステムでは、案内経路は、一般にイレギュラな収集経路であり、またその用途もゴミ収集業務に特化しているため、音声ガイド情報の音声コンテンツも、通常のナビゲーション装置のもととは異なったものとされている。具体的には、例えば、「垣根裏にありますので、注意してください。」、「壁裏にありますので、注意してください。」、「集積所の蓋をするように、注意してください。」、「ネットをかけないように、注意してください。」、「路地奥にあるので、バックで収集してください。」、「路地奥にあるので、奥でUターンしてください。」のような音声コンテンツが用いられる。
【0056】
図4に戻って、現在位置取得部212が取得する現在位置が収集経路の始点に到達すると(S107)、ゴミ収集経路案内部218は、カレント案内経路を、選択されたゴミ収集ルートの収集経路に切り替え、終了予定時刻表示処理(図7参照)を実行して該ゴミ収集ルートの業務終了時刻teを計算し、業務終了時刻表示領域306(図5参照)に表示する(S108)。これにより、開始回送ルート案内セッションが終了し、ゴミ収集ルート案内セッションに移行する。このとき、ゴミ収集経路案内部218は、ステーションリスト表示領域302に表示されるステーションリストの先頭のステーション表示欄302aを選択状態とする。
【0057】
図7は、終了予定時刻表示処理の動作の流れを表すフローチャートである。終了予定時刻表示処理(S108)においては、ゴミ収集経路案内部218は、まず、管理サーバ1に対してルート歴巡時間送信要求を送信する(S131)。管理サーバ1の予想時間計算部111は、ルート歴巡時間送信要求を受信すると、軌跡情報管理データベース107に保存されている過去の当該ゴミ収集ルートの軌跡情報に基づき、当該ゴミ収集ルートの予測所要時間を計算し、算出した予測所要時間を車載用端末2に送信する(S321)。この場合、予想時間計算部111は、軌跡情報テーブル107aに保存された各軌跡情報レコードのうち、現在のゴミ収集ルートセッションの収集ルートIDの軌跡情報レコードであって、現在の月・曜日と同一月・同一曜日のものを抽出し、抽出した各軌跡情報レコードの軌跡点列情報から、ゴミ収集ルートの収集経路の各ゴミステーションから終点までの所要時間の平均を計算し、これをこの収集経路の予想所要時間{Te(i,Ns)|i=1,…,Ns-1}(Nsはステーションリストのゴミステーションの数,Te(i,Ns)はi番目のゴミステーションから最後(Ns番目)のゴミステーションまでの予想所要時間)とする。車載用端末2のゴミ収集経路案内部218は、管理サーバ1から予測所要時間{Te(i,Ns)|i=1,…,Ns-1}を受信すると(S131)、予測所要時間Te(1,Ns)を現時刻tcに加算した時刻te=tc+Te(1,Ns)を業務終了時刻表示領域306(図5参照)に表示する(S132)。
【0058】
尚、ゴミ収集ルートが戸別収集ルートであった場合には、ゴミ収集ルート上にはゴミステーションはなく、ステーションリストは空であるので、ステップS131において、予想時間計算部111は、抽出した各軌跡情報レコードの軌跡点列情報から、ゴミ収集ルートの収集経路の始点から終点までの所要時間の平均を計算し、これをこの収集経路の予想所要時間Te(L)(Lは収集経路の総距離)とする。そして、ステップS132において、車載用端末2のゴミ収集経路案内部218は、予測所要時間Te(L)を現時刻tcに加算した時刻te=tc+Te(L)を業務終了時刻表示領域306(図5参照)に表示する。
【0059】
図4に戻って、次に、ゴミ収集経路案内部218は、図6の定常ルート案内処理を一回実行する(S109)。これにより、現在位置・時刻が管理サーバ1に送信され、軌跡点列情報として軌跡情報テーブル107aに保存される。
【0060】
次に、ユーザにより送信ボタン304が選択(タップ)された場合(S110)、次の終了予定時刻更新処理が実行され(S111)、ステップS109の処理に戻る。図8に、ステップS111における終了予定時刻更新処理の動作のフローチャートを示す。
【0061】
図8において、現在のゴミ収集ルートがステーション収集ルートの場合(S141)、まず、業務情報更新部219は、ステーションリスト表示領域302の現在選択されているゴミステーションS(i)を収集済とし、(現時刻(実施日時),該ゴミステーションS(i)のステーションID)を該ゴミステーションS(i)の収集時刻情報として管理サーバ1に送信した後、ステーションリストの次のゴミステーションS(i+1)を選択状態とする(S142)。管理サーバ1のデータベース管理部112は、収集時刻情報を受信すると、これを業務情報テーブル105aに格納する。次いで、車載用端末2の予想時間計算部220は、先に受信した予想所要時間{Te(i,Ns)|i=1,…,Ns-1}と現時刻tcから、ステーションリストの最後のゴミステーションS(Ns)に到達する予想時刻te=tc+Te(i,Ns)を算出し、ディスプレイ202上の業務終了時刻表示領域306の表示を算出した予想時刻teに更新する。
【0062】
一方、図8において、現在のゴミ収集ルートが戸別収集ルートの場合(S141)、車載用端末2の予想時間計算部220は、現在位置からゴミ収集ルートの収集経路の終点までの収集経路に沿った距離Liを計算し、現在位置から終点までの予想所要時間Te(Li)をTe(Li)=Te(L)×Li/L(Lは収集経路の総距離)により算出し、収集経路の終点に到達する予想時刻te=tc+Te(Li)を算出し、ディスプレイ202上の業務終了時刻表示領域306の表示を算出した予想時刻teに更新する(S144)。
【0063】
図4に戻って、次に、ユーザにより降荷離脱ボタン307が選択(タップ)(即ち、降荷離脱指示が入力)された場合(S112)、車載用端末2は、後述の降荷時ルート離脱処理((4.3)参照)を実行し(S113)、その後、ステップS109の処理に戻る。尚、この降荷時ルート離脱処理は、ゴミ収集ルートの途中で塵芥車の搭載ゴミが満載となった場合に搭載ゴミをゴミ降荷場に降荷する際に実行される。
【0064】
次に、ユーザにより非常離脱ボタン308が選択(タップ)(即ち、非常離脱指示が入力)された場合(S114)、車載用端末2は、後述の非常時ルート離脱処理((4.4)参照)を実行し(S115)、その後、ステップS109の処理に戻る。尚、この非常時ルート離脱処理は、ゴミ収集ルートの途中で何らかの非常事由により迂回経路とる必要が生じた場合に実行される。
【0065】
次に、ゴミ収集ルートの収集経路での収集業務が全て完了したか(即ち、ゴミ収集ルートの終点において送信ボタン304が選択(タップ)され終了予定時刻更新処理(S111)が完了したか)か否かを判定し(S116)、収集業務が全て完了していない場合にはステップS109の処理に戻る。また、収集業務が全て完了した場合には、車載用端末2は、後述の搬入案内処理((4.2)参照)を実行し降荷場までの経路案内を行う(S117)。そして、現在位置取得部212が取得する現在位置が降荷場の位置に到達すると、車載用端末2は管理サーバ1へ、ゴミ収集ルートの収集業務が降荷作業まで全て完了したことを通知する収集ルート完了通知を送信し(S118)、管理サーバ1のデータベース管理部112は、収集ルート完了通知を受信すると(S302)、該ゴミ収集ルートに対する軌跡情報レコードの更新を終了してゴミ収集ルートセッションを完了する(S303)。その後、車載用端末2は、ゴミ収集業務を継続するか否かの選択メニューをディスプレイ202に表示し(S119)、該選択メニューからゴミ収集業務を継続する旨の選択がされた場合には、ステップS101の処理に戻り、ゴミ収集業務を継続しない旨の選択がされた場合には終了する。
【0066】
(4.2)搬入案内処理
図9は、搬入案内処理の動作の流れを表すフローチャートである。搬入案内処理では、まず、降荷時ルート離脱処理部221は、ステップS102で受信して車載端末記憶部201に保存されている降荷場情報リストを読み出して、現在のゴミ収集ルートに係るゴミ種別に対応した降荷場の選択リストをディスプレイ202に表示する(S151)。図10に、降荷場選択リストの表示画面の一例を示す。降荷場選択リストの表示画面では、降荷場情報リストに含まれる各降荷場の選択ボタン321、並びにキャンセルボタン322及びOKボタン323が配置されている。ユーザは、この表示画面において選択ボタン321によって目的地の降荷場を選択し、OKボタン323によって選択を確定する(S152)。尚、降荷場情報リストに含まれる降荷場情報が1つの場合には、自動的にその降荷場情報に係る降荷場が選択され、ステップS151,S152は省略される。
【0067】
次に、降荷場が選択されると、降荷時ルート離脱処理部221は、ルート計算部213により現在位置から降荷場までの案内経路である降荷案内経路を決定する(S153)。尚、降荷案内経路の決定については、現在、一般的なカーナビゲーション装置で使用されている方法と同様に、道路ネットワークデータの用いたルートコスト最小化の手法などを使用することができる。次いで、降荷時ルート離脱処理部221はカレント案内経路を降荷案内経路に設定し、車載用端末2は、現在位置取得部212が取得する現在位置が目的地である降荷場の位置に到達するまで、図6の定常ルート案内処理の反復による経路案内を行う(S154,S155)。そして、現在位置取得部212が取得する現在位置が降荷場の位置に到達すると(S155)、搬入案内処理を終了する。
【0068】
(4.3)降荷時ルート離脱処理
次に、図4のステップS111における降荷時ルート離脱処理について説明する。図11は、降荷時ルート離脱処理の動作の流れを表すフローチャートである。図4のステップS112において、ユーザにより降荷離脱ボタン307が選択(タップ)されると、車載用端末2の降荷時ルート離脱処理部221は、まず、(4.2)で説明した搬入案内処理を実行し、選択された降荷場までの経路案内を行う(S161)。塵芥車が降荷場に到着すると、降荷場に於いて塵芥車に積載されたゴミの降荷作業が行われる。降荷作業が行われている間は、車載用端末2は待機状態となる(S162)。図12(a)に、降荷時待機中の車載用端末2の表示画面の一例を示す。降荷時待機中においては、ディスプレイ202の表示画面上には、図5(a)の降荷離脱ボタン307及び非常離脱ボタン308の代わりに、ナビ復帰ボタン310が表示される。このナビ復帰ボタン310は、降荷作業の終了後にゴミ収集ルートの収集経路に復帰する復帰指示を入力するボタンである。
【0069】
降荷作業が完了し、ステップS162に於いてナビ復帰ボタン310により復帰指示が入力されると、ルート復帰処理部223は、次のような復帰地点選択処理を行う(S163)。図13は、復帰地点選択処理の動作の流れを表すフローチャートである(尚、ここでは、ゴミ収集ルートはステーション収集ルートの場合を示す)。復帰地点選択処理においては、まずルート復帰処理部223は、図12(b)に示した様な復帰地点選択画面をディスプレイ202に表示する(S171)。復帰地点選択画面では、復帰地点を次のゴミステーションに指定する[次のステーション]ボタン、復帰地点をステーションリストから選択する特定のゴミステーションに指定する[復帰ステーション選択]ボタン、及び、復帰地点を地図上の収集経路上の任意の点に指定する[地点選択]ボタンが表示されている。ユーザは、これらのボタンから、復帰地点を選択する。[次のステーション]が選択された場合には(S172)、ルート復帰処理部223は、復帰地点を降荷離脱処理以前で最後にゴミ収集をしたゴミステーションの次のゴミステーションの位置に設定する(S173)。[復帰ステーション選択]が選択された場合には(S174)、ルート復帰処理部223は、その後ユーザによりステーションリスト表示領域302のステーションリストから選択される特定のゴミステーションの位置に、復帰地点を設定する(S175)。[地点選択]が選択された場合には(S176)、ルート復帰処理部223は、その後ユーザにより地図画像表示領域301の収集経路上で指定される特定の地点に、復帰地点を設定する(S177)。
【0070】
尚、現在のゴミ収集ルートが戸別収集ルートの場合には、図12(b)の復帰地点選択画面においては、[次のステーション]ボタン及び[復帰ステーション選択]ボタンの代わりに、復帰地点を離脱地点に指定する選択指示を入力する[離脱地点復帰]ボタンが表示される。そして、[離脱地点復帰]ボタンが選択された場合には、ルート復帰処理部223は、復帰地点を降荷離脱処理によりゴミ収集ルートの収集経路を離脱した地点の位置に設定することになる。
【0071】
図11に戻って、次に、ルート復帰処理部223は、その時点で現在位置取得部212により取得される現在位置から復帰地点までの案内経路である復帰案内経路を決定する(S153)。尚、復帰案内経路の決定については、現在、一般的なカーナビゲーション装置で使用されている方法と同様に、道路ネットワークデータの用いたルートコスト最小化の手法などを使用することができる。次いで、ルート復帰処理部223はカレント案内経路を復帰案内経路に設定し、車載用端末2は、現在位置取得部212が取得する現在位置が目的地である復帰地点に到達するまで、図6の定常ルート案内処理の反復による経路案内を行う(S165,S166)。そして、現在位置取得部212が取得する現在位置が復帰地点に到達すると(S156)、ルート復帰処理部223は、カレント案内経路をゴミ収集ルートの収集経路に切り替えて(S157)、降荷時ルート離脱処理を終了する。
【0072】
以上のように、本実施例のゴミ収集経路ナビゲーションシステムでは、ゴミ収集ルートの途中で塵芥車の搭載ゴミが満載となった場合に搭載ゴミをゴミ降荷場に降荷する際に、従来のようにゴミ降荷場の住所などから目的地を探す手間をかけることなく、ゴミ降荷場への経路案内に簡単に切り替えることができ、また降荷場で塵芥車からゴミを降荷した後に、もとのゴミ収集ルートへ復帰する際の復帰経路案内へも簡単に切り替えることができる。従って、使い勝手がよくゴミ収集業務を円滑に実施することができる。
【0073】
(4.4)非常時ルート離脱処理
次に、図4のステップS114における非常時ルート離脱処理について説明する。図14は、非常時ルート離脱処理の動作の流れを表すフローチャートである。
図4のステップS114において、ユーザにより非常離脱ボタン308が選択(タップ)されると、車載用端末2の非常時ルート離脱処理部222は、まず、図13で説明した復帰地点選択処理を実行し、復帰地点の位置の決定を行う(S181)。次に、非常時ルート離脱処理部222は、現在位置取得部212によりその時点での現在位置を取得し、その現在位置から復帰地点の位置までの地図上の経路であって、ゴミ収集経路とは異なる経路である非常離脱経路の候補を幾つか計算する(S182)。次に、ユーザとの対話処理により、計算された非常離脱経路の候補の中から一の非常離脱経路を選択し、選択された非常離脱経路をカレント案内経路に設定する(S183)。そして、車載用端末2は、現在位置取得部212が取得する現在位置が目的地である復帰地点に到達するまで、図6の定常ルート案内処理の反復による経路案内を行う(S184,S185)。そして、現在位置取得部212が取得する現在位置が復帰地点に到達すると(S185)、非常時ルート離脱処理部222は、カレント案内経路をゴミ収集ルートの収集経路に切り替えて(S186)、非常時ルート離脱処理を終了する。
【符号の説明】
【0074】
1 管理サーバ
2 車載用端末
3 通信回線
101 地図情報データベース
101a 道路ネット情報テーブル
101b 地図画像情報テーブル
102 ステーション情報データベース
102a ゴミステーション情報テーブル
103 降荷場情報データベース
103a 降荷場情報テーブル
104 ルート情報データベース
104a ルート情報テーブル
104b 音声ガイド情報テーブル
105 業務情報管理データベース
105a 業務情報テーブル
106 受託者情報管理データベース
106a 受託者情報テーブル
107 軌跡情報管理データベース
107a 軌跡情報テーブル
111 所要時間計算部
112 データベース管理部
113 通信インタフェース部
201 車載端末記憶部
202 ディスプレイ
203 スピーカ
204 入力装置
205 GNSS受信部
206 制御部
208 通信インタフェース部
210 DL/UL部
211 地図表示部
212 現在位置取得部
213 ルート計算部
214 ルート表示部
215 ステーションリスト表示部
216 音声ガイド出力部
218 ゴミ収集経路案内部
219 業務情報更新部
220 予想時間計算部
221 降荷時ルート離脱処理部
222 非常時ルート離脱処理部
223 ルート復帰処理部
224 初期設定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14