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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-16
(45)【発行日】2022-09-28
(54)【発明の名称】天井用目地装置
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/68 20060101AFI20220920BHJP
   E04B 9/00 20060101ALI20220920BHJP
【FI】
E04B1/68 100A
E04B9/00 R
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021163835
(22)【出願日】2021-10-05
【審査請求日】2021-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000110365
【氏名又は名称】ドーエイ外装有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
(74)【代理人】
【識別番号】100194261
【弁理士】
【氏名又は名称】栢原 崇行
(72)【発明者】
【氏名】後藤 英夫
【審査官】沖原 有里奈
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-151842(JP,A)
【文献】特開2019-007181(JP,A)
【文献】特開2014-208943(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/62-1/99
E04B 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
目地部を介して設けられた一方と他方の躯体間の天井部分の前記目地部を塞ぐ天井用目地装置において、
前記一方の躯体に一端部が支持部材を介して支持され、前記一端部とは反対側の他端部が上下方向に位置変位可能な可動目地プレートと、前記他方の躯体に基端部が固定的に設けられ、該基端部から延在する突出端部が前記可動目地プレートの他端部と略当接するように設けられた固定目地プレートと、前記固定目地プレートの少なくとも前記突出端部に設けられ、前記目地部が狭くなった場合に前記可動目地プレートの他端部を上方へ変位させる押し上げ傾斜部と、前記一方の躯体側に設けられ、かつ前記可動目地プレートの他端部が水平状態よりも下方へ変位することを防止する可動目地プレート保持手段と、前記一方の躯体側に設けられ、かつ前記可動目地プレートの他端部が前記押し上げ傾斜部に押し上げられ上方へ変位した場合に、前記可動目地プレートの一端部側を上方へ変位させる目地プレート変位機構とで構成され、前記可動目地プレートの他端部には、前記押し上げ傾斜部と接触する接触部が設けられ、
前記目地プレート変位機構は、各下端部側が可動目地プレートの上面部に所要間隔を有して接続する複数本のワイヤーと、滑車を介して前記複数本のワイヤーの上端部側が接続するおもりとで構成され、
地震時、前記接触部が前記押し上げ傾斜部に乗り上がり地震による揺れ動きを吸収する天井用目地装置。
【請求項2】
目地部を介して設けられた一方と他方の躯体間の天井部分の前記目地部を塞ぐ天井用目地装置において、
前記一方の躯体に一端部が支持部材を介して支持され、前記一端部とは反対側の他端部が上下方向に位置変位可能な可動目地プレートと、前記他方の躯体に基端部が固定的に設けられ、該基端部から延在する突出端部が前記可動目地プレートの他端部と略当接するように設けられた固定目地プレートと、前記固定目地プレートの少なくとも前記突出端部に設けられ、前記目地部が狭くなった場合に前記可動目地プレートの他端部を上方へ変位させる押し上げ傾斜部と、前記一方の躯体側に設けられ、かつ前記可動目地プレートの他端部が水平状態よりも下方へ変位することを防止する可動目地プレート保持手段と、前記一方の躯体側に設けられ、かつ前記可動目地プレートの他端部が前記押し上げ傾斜部に押し上げられ上方へ変位した場合に、前記可動目地プレートの一端部側を上方へ変位させる目地プレート変位機構とで構成され、前記可動目地プレートの他端部には、前記押し上げ傾斜部と接触する接触部が設けられ、
前記目地プレート変位機構は、前記可動目地プレートの一端部側に一端部が接続され、前記可動目地プレートの他端部に他端部が接続され、前記可動目地プレートの他端部が上方へ変位すると、前記可動目地プレートの一端部を上方へ変位させるリンク機構であり、
地震時、前記接触部が前記押し上げ傾斜部に乗り上がり地震による揺れ動きを吸収する天井用目地装置。
【請求項3】
前記固定目地プレートの他端部付近の底面には、前記可動目地プレート側へ突出するカバー板が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の天井用目地装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は目地部を介して設けられた左右の躯体間の天井部分の目地部を塞ぐ天井用目地装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の天井用目地装置としては「目地部を介して建てられた左右の建物の一方の建物の天井部位の躯体に取付けられていると共に、前記目地部側へ突出し、かつ先端部が順次低くなる傾斜部に形成された固定目地カバーと、この固定目地カバーの傾斜部の先端部に先端部が位置し、後端部が前記左右の建物の他方の建物の目地部側の躯体に位置して、前記目地部を覆う可動目地カバーと、この可動目地カバーの後端部の上部位置の、前記他方の建物の目地部側の躯体に固定あるいは前後方向にスライド移動可能に取付けられた複数個の係合ピンを有する支承レールと、前記可動目地カバーの後端部に下端部が固定あるいはヒンジ部材を介して取付けられ、上端部が前記支承レールの複数個の係合ピンと上下移動および回動できるように係合あるいは上下移動できるように取付けられた可動目地カバーを水平状態に支持し、かつ地震で目地部が狭くなると、前記固定目地カバーの傾斜部の先端部で前記可動目地カバーの先端部が上方へ押し上げられるように回動し、前記固定目地カバーの先端部に支持されている前記可動目地カバーの支持部が可動目地カバーの先端部側の重量が大きくなる位置になると水平となるように可動目地カバーを回動させるように支持させることができる可動目地カバー支持部材とからなることを特徴とする天井用目地カバー装置」(特許文献1参照)が知られている。
【0003】
しかし、このような天井用目地装置では、可動目地カバーの底面が固定目地カバーに擦れてしまい、目地カバーの底面が傷ついてしまうという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5862963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、可動目地プレートの底面に傷等が生じることを防止できる天井用目地装置を提供することを目的としている。
【0006】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載された天井用目地装置は、目地部を介して設けられた一方と他方の躯体間の天井部分の前記目地部を塞ぐ天井用目地装置において、前記一方の躯体に一端部が支持部材を介して支持され、前記一端部とは反対側の他端部が上下方向に位置変位可能な可動目地プレートと、前記他方の躯体に基端部が固定的に設けられ、該基端部から延在する突出端部が前記可動目地プレートの他端部と略当接するように設けられた固定目地プレートと、前記固定目地プレートの少なくとも前記突出端部に設けられ、前記目地部が狭くなった場合に前記可動目地プレートの他端部を上方へ変位させる押し上げ傾斜部と、前記一方の躯体側に設けられ、かつ前記可動目地プレートの他端部が水平状態よりも下方へ変位することを防止する可動目地プレート保持手段と、前記一方の躯体側に設けられ、かつ前記可動目地プレートの他端部が前記押し上げ傾斜部に押し上げられ上方へ変位した場合に、前記可動目地プレートの一端部側を上方へ変位させる目地プレート変位機構とで構成され、前記可動目地プレートの他端部には、前記押し上げ傾斜部と接触する接触部が設けられ、前記目地プレート変位機構は、各下端部側が可動目地プレートの上面部に所要間隔を有して接続する複数本のワイヤーと、滑車を介して前記複数本のワイヤーの上端部側が接続するおもりとで構成され、地震時、前記接触部が前記押し上げ傾斜部に乗り上がり地震による揺れ動きを吸収する天井用目地装置。
【0008】
請求項2に記載の天井用目地装置は、目地部を介して設けられた一方と他方の躯体間の天井部分の前記目地部を塞ぐ天井用目地装置において、前記一方の躯体に一端部が支持部材を介して支持され、前記一端部とは反対側の他端部が上下方向に位置変位可能な可動目地プレートと、前記他方の躯体に基端部が固定的に設けられ、該基端部から延在する突出端部が前記可動目地プレートの他端部と略当接するように設けられた固定目地プレートと、前記固定目地プレートの少なくとも前記突出端部に設けられ、前記目地部が狭くなった場合に前記可動目地プレートの他端部を上方へ変位させる押し上げ傾斜部と、前記一方の躯体側に設けられ、かつ前記可動目地プレートの他端部が水平状態よりも下方へ変位することを防止する可動目地プレート保持手段と、前記一方の躯体側に設けられ、かつ前記可動目地プレートの他端部が前記押し上げ傾斜部に押し上げられ上方へ変位した場合に、前記可動目地プレートの一端部側を上方へ変位させる目地プレート変位機構とで構成され、前記可動目地プレートの他端部には、前記押し上げ傾斜部と接触する接触部が設けられ、前記目地プレート変位機構は、前記可動目地プレートの一端部側に一端部が接続され、前記可動目地プレートの他端部に他端部が接続され、前記可動目地プレートの他端部が上方へ変位すると、前記可動目地プレートの一端部を上方へ変位させるリンク機構であり、地震時、前記接触部が前記押し上げ傾斜部に乗り上がり地震による揺れ動きを吸収することを特徴とする
【0009】
【0010】
請求項3に記載の天井用目地装置の前記固定目地プレートの他端部付近の底面には、前記可動目地プレート側へ突出するカバー板が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)請求項1及び請求項2に記載された発明においては、可動目地プレートの他端部が前記固定目地プレートの傾斜部に押し上げられ上方へ変位した場合に、前記可動目地プレートの一端部側を上方へ変位させる目地プレート変位機構により、接触部のみが固定目地プレートの上面に触れるので、可動目地プレートの底面部分が擦れることを確実に防止することができる。
(2)請求項3に記載の発明も前記(1)と同様な効果が得られるとともに、接触部等を隠すことができ、天井部分の美観を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1乃至図9は本発明の第1の実施形態を示す説明図である。
図10乃至図13は本発明の第2の実施形態を示す説明図である。
図14乃至図16は本発明の第3の実施形態を示す説明図である。
図1】第1の実施形態の天井用目地装置の平面図。
図2図1の2-2線に沿う断面図。
図3】支持部材の説明図。
図4】可動目地プレートの説明図。
図5】目地プレート変位機構の説明図。
図6】固定目地プレートの説明図。
図7】地震で目地部が少し狭くなった状態の動作説明図。
図8】地震で目地部が狭くなった状態の動作説明図。
図9】地震で目地部が広くなった状態の動作説明図。
図10】第2の実施形態の天井用目地装置の平面図。
図11図10の11-11線に沿う断面図。
図12】地震で目地部が狭くなった状態の動作説明図。
図13】地震で目地部が広くなった状態の動作説明図。
図14】第3の実施形態の天井用目地装置の平面図。
図15図14の15-15線に沿う断面図。
図16】地震で目地部が狭くなった状態の動作説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
なお、本明細書では図1を基準として左右方向、前(図面上方)後(図面下方)方向という。また、図2を基準として上(図面上方)下(図面下方)方向、左(一方の躯体3の左、図面では左方)、右(一方の躯体3の右、図面では右方)という。
【0014】
また、本発明において躯体とは、建物、道路、スラブ、エレベーターシャフト等の目地プレートを設置可能な建造物をいい、出入口とはドアや扉の設けられた出入口だけではなく、人や車両等が通行できる通路も含むものである。
【0015】
図1乃至図9に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は目地部2を介して設けられた一方と他方の躯体3、4間に設置され、天井部分の目地部2を塞ぐ天井用目地装置である。
【0016】
図1及び図2に示すように、天井用目地装置1は、一方の躯体3の壁面3aに一端部5aが支持部材6を介して取り付けられるとともに、その他端部5bに底部側の角が鈍角となる傾斜部7が形成され、上下方向に位置変位可能な可動目地プレート5と、前記他方の躯体4に取付け或いは設置用の基端部8aが固定的に設けられ、前記基端部8aから一方の躯体3側へ延在する突出端部8bが前記可動目地プレート5の他端部5bと多少の間隙を有して又は有しないで略当接するように設けられた固定目地プレート8と、前記固定目地プレート8の上面の一部又は全体に、少なくとも突出端部8bに設けられ、地震時、前記目地部2が狭くなった場合に前記可動目地プレート5の他端部5bを上方へ変位させる押し上げ傾斜部9と、前記一方の躯体側に設けられ、かつ前記可動目地プレート5の他端部5bが水平状態よりも下方へ変位することを防止する可動目地プレート保持手段10と、同様に前記一方の躯体側に設けられ、かつ前記可動目地プレート5の他端部5bが前記押し上げ傾斜部9に押し上げられ上方へ変位した場合に、前記可動目地プレート5の一端部5a側を上方へ変位させる目地プレート変位機構11とで構成されている。実施形態では、地震時、前記可動目地プレート5の他端部5bは、前記押し上げ傾斜部9に乗り上がり、可動目地プレート5の底面(本実施形態では、化粧部材15)が押し上げ傾斜部9に接触することなく地震による揺れ動きを吸収することが可能である。
【0017】
なお、略当接するとは、ぴったりと当接している状態及び取付態様によっては若干の隙間が介在している状態をいうものである。
【0018】
一方の躯体3の壁面3aには支持部材6が固定されており、この支持部材6を介して可動目地プレート5が一方の躯体3に取り付けられる。
支持部材6は、図3に示すように、本実施形態では、アングル状の金具が前後方向に設けられている。
【0019】
可動目地プレート5は、図4に示すように、本実施形態では可動目地プレート本体14と、この可動目地プレート本体14の底面に一体的に設けられた化粧部材15とで構成されている。この可動目地プレート本体14の取付端部側には、前記取付ピン13がそれぞれ挿入される左右方向に長孔状のピン挿入孔16が形成されている。
【0020】
したがって、前記ピン挿入孔16は、取付ピン13と対応する位置にそれぞれ形成されていることから、このピン挿入孔16に取付ピン13を挿入して一方の躯体3に取付けることにより、可動目地プレート5の全体が上下方向に変位可能となると共に、左右方向に長孔状のピン挿入孔16を用いることにより、可動目地プレート5の他端部を上方へ変位(回動)させることもできる。付言すると、可動目地プレート5全体として斜め状態となることが可能となる。ところで、本実施形態では板状の可動目地プレート本体14を用いたが、フレームの内側が格子状に形成された可動目地プレート本体14と、この可動目地プレート本体14の底面に設けられた化粧部材15とで可動目地プレート5を構成してもよいし、化粧部材を有しない目地プレートや、その他の公知の目地プレートを用いることができる。
【0021】
また、可動目地プレート5の他端部には底部側の角が鈍角となる傾斜部7が形成されており、この鈍角となる角部に接触部17としてのローラー17ーが設けられている。なお、ローラー17の取付位置としては、押し上げ傾斜部9に押し上げられた際に、可動目地プレート5の底面が押し上げ傾斜部9に接触しないような位置であればよい。この接触部17は、ローラー等の転動部材を用いることが望ましいが、可動目地プレート5の底面が押し上げ傾斜部9に接触することを防止できるものであればよい。好ましくは可動目地プレート5の底面よりも若干下方へ突出するように設けられていることが望ましいが、例えば前記傾斜部7のみで可動目地プレート5の底面が押し上げ傾斜部9に接触しないような形状となる場合には、前記傾斜部7の鈍角となる角部を接触部17としてもよい。
【0022】
可動目地プレート5の他端部5bを傾斜部7とし、角部又は一端部5a側の部位等の他端部付近の底面に接触部17を設けることにより、地震による揺れ動きによって目地部2が狭くなった場合にも、可動目地プレート5の底面(本実施形態では化粧部材15)が固定目地プレート8の押し上げ傾斜部9に接触することなく、接触部17のみが押し上げ傾斜部9に接触するため、可動目地プレート5の底面の擦り傷を防止するとともに、スムーズに揺れ動きを吸収することができる。
【0023】
可動目地プレート5は、通常時においては、可動目地プレート本体14の他端部付近が前記支持金具12の水平部12bに支持され、その先端部側が可動目地プレート保持手段10によって支持されるので、略水平状態で保持される。
【0024】
本実施形態では通常時においては、後述するカバー板18によっても可動目地プレート5の他端部が支持されている。
【0025】
可動目地プレート保持手段10は、本実施形態においては、可動目地プレート5よりも上方の一方の躯体3に設けられたアーム部19と、このアーム部19に一端部が固定されるとともに、接続端部としての他端部が可動目地プレート5(可動目地プレート本体14)の上面に固定された複数個のワイヤーやチェーン等の保持具20とで構成されている。なお、本実施形態では、アーム状の部材をアーム部19として一方の躯体3に固定しているが、一方の躯体3の一部を突出させ、この突出した部位に保持具20を設けてもよい。また、アーム部19等を設けず、一方の躯体3の壁面3a等にワイヤー等の保持具20で接続して可動目地プレート保持手段10としてもよい。
【0026】
この保持具20は、可動目地プレート5が略水平状態となるような長さに形成される。本実施形態ではアーム部19を介して保持具20を可動目地プレート5に固定しているが、アーム部19を用いずに保持具20の一端部を一方の躯体の壁面に固定して可動目地プレート保持手段10としてもよい。
【0027】
なお、保持具20の固定位置は、可動目地プレート5が略水平状態を維持できる位置であればよく、先端部付近に取付けてもよい。
【0028】
また、可動目地プレート5の上部(例えば上面)には目地プレート変位機構11のワイヤー23、25が固定されている。
【0029】
目地プレート変位機構11は、各下端部側が可動目地プレートの上面部に所要間隔を有して接続する複数本のワイヤー23、25と、滑車21、24を介して前記複数本のワイヤー23、25の上端部側が接続するおもり22とで構成されており、本実施形態では、一方の躯体3の左右方向に2つ設けられており、例えば図5に示すように、接続端部としての一端部が可動目地プレート5の一端部5a側の上面に固定され、一方の滑車21を介して接続端部としての他端部がおもり22に固定された一方のワイヤー23と、接続端部としての一端部が可動目地プレート5の他端部5b側の上面に固定され、他方の滑車24を介して、接続端部としての他端部が前記おもり22に固定された他方のワイヤー25とで構成されている。また、可動目地プレート5の一端部側には、前記おもり22よりも重い重量部26が設けられている。なお、滑車21、24は、一方の躯体3に取付具(図示せず)等を介して取り付けられている。
【0030】
このおもり22は可動目地プレート5よりも軽く、かつ、可動目地プレート5の一端部が押し上げ傾斜部9により上方へ押し上げられた際に、可動目地プレート5の他端部を上方へ持ち上げる(可動目地プレート5の他端部側より重い)程度の重量を有している。
可動目地プレート5の一端部5a側に設けられた重量部26は、本実施形態では、可動目地プレート5の一端部5a側の上面に設けられたおもり等の重量物を重量部26としている。このように重量物26を一端部5a側に固定してもよいし、例えば可動目地プレート5の一端部5a側のみ中実の板材を用い、可動目地プレート5の一端部5aを除く部分をフレーム状にする等により重量部26を構成してもよい。
【0031】
目地プレート変位機構11は、可動目地プレート5の一端部が押し上げ傾斜部9により上方へ押し上げられると、一方のワイヤー23がたるむとともに、重量部26の重量が接触部17を介して押し上げ傾斜部9に支持され、おもり22の重量が可動目地プレート5の他端部5bよりも重い状態となり、たるみ分だけおもり22が下方へ変位する。このとき、他方のワイヤー25は張った状態であるので、おもり22が下方へ変位した距離だけ上方へ持ち上げられる。おもり22は、この状態で、可動目地プレート5が略水平又はわずかに可動目地プレート5の他端部側が下方へ傾いている状態となるような重量に設定する。この目地プレート変位機構11は前後方向に複数個設けることが望ましく、本実施形態では、前後方向に2つ設けている。
【0032】
他方の躯体4の壁面4aには、例えば、ブラケット等(図示せず)により、固定目地プレート8が固定的に取り付けられている。
【0033】
固定目地プレート8は、図6に示すように、本実施形態では矩形板状に形成されており、その一端部8aは、他方の躯体4の壁面4aに固定されている。そして、その底面は略水平状態で、化粧板等の化粧部材15が設けられており、可動目地プレート5の底面と略面一となるように取り付けられている。
【0034】
なお、化粧部材15は板状の化粧部材を用いてもよいし、シート状のものを可動目地プレート5や固定目地プレート8の底面に貼り付けてもよい。
固定目地プレート8の上面には、押し上げ傾斜部9を有しており、この押し上げ傾斜部9の先端部は、より傾斜が急な急斜面9aとなるように形成するとよい。
【0035】
付言すると、この押し上げ傾斜部9は、地震時の最大揺れ動き幅を考慮して、可動目地プレート5がスライド移動する部位のみを傾斜状とすればよく、可動目地プレート5がスライド移動しない部位については傾斜状としなくてもよい。すなわち、押し上げ傾斜部9は、地震時の最大揺れ動き幅を考慮して、その一部又は全体を傾斜状とする。
【0036】
カバー板18は本実施形態では固定目地プレート8の先端部に固定された板状の部材で、可動目地プレート5側へ突出した部位は、可動目地プレート5の他端部5bを支持するとともに、可動目地プレート5と固定目地プレート8の略当接部分をカバーしている。
【0037】
地震によって左右の躯体3、4の間の目地部2が少し狭くなるように揺れ動いた場合には、図7に示すように、可動目地プレート5の傾斜部7が固定目地プレート8の急斜面9aにより押し上げられ、可動目地プレート5が斜め状態となるとともに、接触部17が固定目地プレート8の急斜面9aに接触する。
【0038】
さらに左右の躯体3、4の間の目地部2が狭くなると、図8に示すように、接触部17は、急斜面9aと連続する押し上げ傾斜部9上に乗り上がり、押し上げ傾斜部9上を左右方向にスライド移動し、一時的に可動目地プレート5の一端部側が上方へ持ち上げられ斜め状態となる。
【0039】
そうすると、目地プレート変位機構11の一方のワイヤー23がたるみ、たるみ分だけおもり22が下方へ変位し、可動目地プレート5の他端部が上方へ持ち上げられる。
このような作用により、可動目地プレート5の底面が固定目地プレート8に接触することなく揺れ動きを吸収する。
【0040】
また、地震による揺れ動きが終了し、通常状態(図1等の状態)に復帰すると、可動目地プレート5はおもり22の重量に抗して下方へ変位し、可動目地プレート保持手段10及び支持部材6の水平部12bにより略水平な状態となり、通常状態に復帰する。
地震によって左右の躯体3、4の間の目地部2が広くなるように揺れ動いた場合には、図9に示すように、可動目地プレート5と固定目地プレート8が離間するように移動し、地震による揺れ動きを吸収する。
【0041】
なお、可動目地プレート5は可動目地プレート保持手段10により支持されているので、水平状態から下方へ回動することなく、水平状態を保ったまま左右方向にスライド移動できる。
【0042】
[発明を実施するための異なる形態]
次に、図10乃至図16に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0043】
図10乃至図13に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、可動目地プレート5の一端部側の一端部が接続され、前記可動目地プレート5の他端部に他端部が接続され、前記可動目地プレート5の一端部が上方へ変位すると、可動目地プレート5の他端部を上方へ変位させるリンク機構を目地プレート変位機構11Aとして用いた点で、このような天井用目地装置1Aにしても、前記本発明を実施するための第2の形態と同様な作用効果が得られる。
【0044】
具体的には、目地プレート変位機構11Aは、可動目地プレート5の上面に一端部が固定され、上下方向に変位可能な第1のリンク部材27と、前記第1のリンク部材27の他端部に一端部が枢支された第2のリンク部材28と、前記第2のリンク部材28の他端部に下端部付近が枢支された第3のリンク部材29と、前記第1のリンク部材27の一端部付近に一端部が枢支され、前記第2のリンク部材28の中間部付近に他端部が枢支される第4のリンク部材30とで構成される。
【0045】
第1のリンク部材27は、本実施形態では、略垂直方向に延在するように設けられ、一方の躯体3に設けられたガイド部材31により、上下方向に変位可能に設けられている。この第1のリンク部材27の他端部には枢支ピン32で第2のリンク部材28が枢支されている。
【0046】
第2のリンク部材28は、一端部が前記第1のリンク部材27の他端部と、他端部が前記第3のリンク部材29の一端部と枢支ピン32により枢支されている。この第2のリンク部材28は、図面上右下がりとなるように接続されている。
【0047】
第3のリンク部材29は、可動目地プレート5の上面に一端部が固定されるとともに、この一端部付近に前記第2のリンク部材28の他端部が枢支ピン32により枢支されている。また、第3のリンク部材29は、略垂直方向に延在するように設けられ、一方の躯体3に設けられたガイド部材31により、上下方向に変位可能に設けられている。
【0048】
第4のリンク部材30は、第1のリンク部材27の一端部付近にその一端部が枢支され、第2のリンク部材28の略中間部付近に他端部が枢支されている。
なお、本実施形態では、4つのリンク部材を用いてリンク機構11Aを形成してが、より多くのリンク部材を用いてリンク機構11Aを形成してもよいし、いずれかのリンク部材を省略してもよい。
【0049】
地震によって左右の躯体3、4の間の目地部2が狭くなるように揺れ動いた場合、図13に示すように接触部17が、急斜面9aと連続する押し上げ傾斜部9上を左右方向にスライド移動し、一時的に可動目地プレート5の一端部側が上方へ持ち上げられ斜め状態となる。
【0050】
そうすると、目地プレート変位機構11Aの第1のリンク部材27がガイド部材31にガイドされ上方へ略垂直に変位する。これにより第2のリンク部材28及び第3のリンク部材29がガイド部材31にガイドされ上方へ略垂直に変位することで、可動目地プレート5の他端部が上方へ持ち上げられる。第4のリンク部材30を備えることにより、第2のリンク部材28の中間部付近を上方へ押し上げることもできるので、確実に第2のリンク部材28及び第3のリンク部材29を上方へ位置変位させることができる。
【0051】
なお、ガイド部材31に第1のリンク部材27や第3のリンク部材29が挿入されるが、ガイド部材31の内部とリンク部材27、29との間にはわずかに間隙を有することが望ましい。これにより、可動目地プレート5が押し上げ傾斜部9により押し上げられる際に、一時的にやや傾斜状態となることができ、スムーズに押し上げ傾斜部9に乗り上げることができる。
【0052】
図14乃至図16に示す本発明を実施するための第3の形態において、前記本発明を実施するための第2の形態と主に異なる点は、可動目地プレート5の一端部側の一端部が接続され、前記可動目地プレート5の他端部にその他端部が接続され、前記可動目地プレート5の一端部が上方へ変位すると、可動目地プレート5の他端部を上方へ変位させる正面視略コ字状に接続されたリンク機構を目地プレート変位機構11Bとして用いた点で、このような天井用目地装置1Bにしても、前記本発明を実施するための第2の形態と同様な作用効果が得られる。
【0053】
本実施形態では、第2のリンク部材28を略水平に配置し、その他端部を第3のリンク部材29の上端部(他端部)に接続することにより、正面視略下向きコ字状の目地プレート変位機構11Bを構成している。
【0054】
本実施形態では、この第1のリンク部材27、第2のリンク部材28及び第3のリンク部材29を固定的に接続する又はガイド部材31の遊びを少ない状態(第1のリンク部材27及び第3のリンク部材29が略垂直に摺動する状態)とすることが望ましい。そのように設けることにより、可動目地プレート5の他端部5bが押し上げ傾斜部9に押し上げられた際に、一端部5aを確実に上方へ位置変位させることができる。
【0055】
なお、本発明の実施形態では、固定目地プレートの他端部及び可動目地プレートの他端部を傾斜部に形成したが、目地部が狭くなった時に固定目地プレートの他端部及び可動目地プレートの他端部が接触しない形状であれば、例えば曲面状等、どのような形状に形成してもよい。
また、カバー板を設けないものとしてもよい。
【0056】
第2及び第3実施形態では、可動目地プレートの他端部が押し上げ傾斜部に押し上げられた際の衝撃を吸収するために、正面視略N字状や正面視略コ字状に接続したリンク機構を目地プレート変位機構として用いているが、この様な形状に接続した角パイプや角材等を目地プレート変位機構として用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は天井用目地装置を製造する産業で利用される。
【符号の説明】
【0058】
1、1A、1B:天井用目地装置、 2:目地部、
3:一方の躯体、 4:他方の躯体、
5:可動目地プレート、 6:支持部材、
7:傾斜部、 8:固定目地プレート、
9:押し上げ傾斜部、 10:可動目地プレート保持手段、
11、11A、11B:目地プレート変位機構、
12:支持金具、
13:取付ピン、 14:可動目地プレート本体、
15:化粧部材、 16:ピン挿入孔、
17:接触部、 18:カバー板、
19:アーム部、 20:保持具、
21:一方の滑車、 22:おもり、
23:一方のワイヤー、 24:他方の滑車、
25:他方のワイヤー、 26:重量部、
27:第1のリンク部材、 28:第2のリンク部材、
29:第3のリンク部材 30:第4のリンク部材、
31:ガイド部材 32:枢支ピン。
【要約】      (修正有)
【課題】可動目地プレートの底面に傷等が生じることを防止できる天井用目地装置を提供すること。
【解決手段】目地部2を介して設けられた一方と他方の躯体間の天井部分の目地部2を塞ぐ天井用目地装置1において、上下方向に位置変位可能な可動目地プレート5と、可動目地プレート5と略当接するように設けられた固定目地プレート8と、目地部2が狭くなった場合に可動目地プレート5を上方へ変位させる押し上げ傾斜部9と可動目地プレート5が水平状態よりも下方へ変位することを防止する可動目地プレート保持手段と、可動目地プレート5が押し上げられ上方へ変位した場合に、可動目地プレート5を上方へ変位させる目地プレート変位機構とで構成され、可動目地プレート5には、押し上げ傾斜部9と接触する接触部が設けられ、地震時、接触部が押し上げ傾斜部9に乗り上がり地震による揺れ動きを吸収することを特徴とする。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16