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特許7142975戸袋走行レールセット、戸袋走行レールセット設置方法、および戸袋走行レール調整方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-16
(45)【発行日】2022-09-28
(54)【発明の名称】戸袋走行レールセット、戸袋走行レールセット設置方法、および戸袋走行レール調整方法
(51)【国際特許分類】
   E05D 15/06 20060101AFI20220920BHJP
   E05F 1/16 20060101ALI20220920BHJP
【FI】
E05D15/06 125C
E05F1/16 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021168184
(22)【出願日】2021-10-13
【審査請求日】2021-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】592048176
【氏名又は名称】ケージーパルテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119389
【弁理士】
【氏名又は名称】門脇 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】後藤 正
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-63732(JP,A)
【文献】実開平2-143480(JP,U)
【文献】実開昭58-32869(JP,U)
【文献】実開昭49-142446(JP,U)
【文献】国際公開第2015/129494(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D 1/00-15/58
E05F 1/00-17/00
E06B 1/00-11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
引戸が収納される戸袋の内側に位置して前記引戸を長さ方向に走行させる内側レールと、前記戸袋の外側に位置して前記引戸を露出して前記長さ方向に走行させる外側レールと、を備える戸袋走行レールセットであって、
前記戸袋の内側で天面に固定して前記内側レールを戸尻側で保持するレールベースと、
前記内側レールに保持され、前記レールベースから前記外側レールまで位置して前記外側レールに保持されるガイドジョイントと、を備え、
前記内側レールは、前記長さ方向と交差する幅方向の両端で下垂して前記引戸を走行させる一対の内側下垂側部と、一対の前記内側下垂側部を相互に連結して棚状に位置する内側棚状部と、前記内側棚状部の上方で前記天面に接する内側レール頂部と、前記内側レール頂部の前記幅方向の中央の前記長さ方向で窓状に開口した内側開口部と、前記内側開口部と前記内側棚状部との間で中央に向けて開口する内側水平溝と、を備え、
前記外側レールは、前記幅方向の両端で下垂して前記引戸を走行させる一対の外側下垂側部と、一対の前記外側下垂側部を相互に連結して棚状に位置する外側棚状部と、前記外側棚状部の上方で前記天面に接する外側レール頂部と、前記外側レール頂部の前記幅方向の中央の前記長さ方向で窓状に開口した外側開口部と、前記外側開口部と前記外側棚状部との間で中央に向けて開口する外側水平溝と、を備え、
前記レールベースは、前記内側開口部から露出し、ベース締結穴を介してベース締結部材によって前記天面に固定されるベース頂部と、前記幅方向の両端に前記ベース頂部に対して下方に段差を有するベース段差部と、を備え、
前記ガイドジョイントは、前記戸袋の内側では、前記幅方向の断面が前記レールベースと同一形状であり、前記内側開口部から露出し、前記天面に対向するジョイント頂部を備え、前記戸袋の外側では、内側から続く前記ジョイント頂部の前記幅方向の両端から下方へ伸びて前記外側水平溝に掛けられるジョイント脚部を備え、
前記内側レールは、前記ベース段差部に前記内側水平溝が嵌め込まれて保持され、前記戸袋の内側の前記ガイドジョイントは、前記レールベースに続いて前記内側レールに嵌め込まれて保持され、前記戸袋の外側の前記ガイドジョイントは、前記ジョイント頂部から下方に続く前記ジョイント脚部が前記外側水平溝に掛けられて位置決めされる、
ことを特徴とする戸袋走行レールセット。
【請求項2】
請求項1に記載の戸袋走行レールセットであって、
前記内側レール頂部、前記外側レール頂部、前記ベース頂部、および前記ジョイント頂部は、前記天面に当接する面一である、
ことを特徴とする戸袋走行レールセット。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の戸袋走行レールセットであって、
前記レールベースは、少なくとも2か所に、前記天面に向き合う前記ベース締結穴と、前記ベース締結部材と、を備え、前記ベース締結部材は、前記レールベースの前記内側棚状部に向き合うベース下面に対して前記天面の側に位置する、
ことを特徴とする戸袋走行レールセット。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一つに記載の戸袋走行レールセットであって、
前記外側棚状部は、戸先側で前記天面に向き合う外側締結穴と、前記外側締結穴を介して前記天面に連結される外側締結部材と、を備える、
ことを特徴とする戸袋走行レールセット。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか一つに記載の戸袋走行レールセットであって、
前記内側レールは、前記引戸が有する引戸クローザーを機能させる内トリガーを前記内側棚状部に備える、
ことを特徴とする戸袋走行レールセット。
【請求項6】
請求項5に記載の戸袋走行レールセットであって、
前記外側レールは、前記引戸クローザーを機能させる外トリガーを前記外側棚状部に備える、
ことを特徴とする戸袋走行レールセット。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか一つに記載の戸袋走行レールセットであって、
前記内側レールは、前記レールベースとの間の隙間を調整するスペーサーを前記内側棚状部に備える、
ことを特徴とする戸袋走行レールセット。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか一つに記載の戸袋走行レールセットであって、
前記ガイドジョイントは、前記ジョイント脚部の間の前記ジョイント頂部の中央に位置して前記天面に向き合うジョイント締結穴を備え、
前記外側レールは、前記ジョイント締結穴に位置合わせされ、前記外側棚状部の下方から挿入されたジョイント締結部材を介して前記天面に連結される、
ことを特徴とする戸袋走行レールセット。
【請求項9】
請求項1から請求項8までのいずれか一つに記載の戸袋走行レールセットであって、
前記内側下垂側部は、前記幅方向の中央に向けて下端から枝状に突き出て前記引戸を位置決めする内位置決め端を備え、前記外側下垂側部は、前記幅方向の中央に向けて下端から枝状に突き出て前記引戸を位置決めする外位置決め端を備え、
前記内側棚状部は、一対の前記内側下垂側部と平行に下面から筋状に突き出て前記長さ方向に位置する一対の内筋状部を備え、前記外側棚状部は、一対の前記外側下垂側部と平行に下面から筋状に突き出て前記長さ方向に位置する一対の外筋状部を備える、
ことを特徴とする戸袋走行レールセット。
【請求項10】
引戸が収納される戸袋の内側に位置して前記引戸を長さ方向に走行させる内側レールと、前記戸袋の外側に位置して前記引戸を露出して前記長さ方向に走行させる外側レールと、を備える戸袋走行レールセットを天面に設置する戸袋走行レールセット設置方法であって、
前記戸袋走行レールセットは、請求項1から請求項9までのいずれか一つに記載の戸袋走行レールセットであり、
前記内側レールを前記戸尻側で保持する前記レールベースを前記戸袋の内側の前記天面に固定する第1工程と、
前記内側レールを前記レールベースに嵌め込む第2工程と、
前記ガイドジョイントを前記レールベースに続けて前記内側レールに嵌め込む第3工程と、
前記戸袋の外側に位置する前記ガイドジョイントの先端に前記外側レールを嵌め込み、前記外側レールを前記天面に固定する第4工程と、を備える、
ことを特徴とする戸袋走行レールセット設置方法。
【請求項11】
請求項10に記載の戸袋走行レールセット設置方法によって設置された前記戸袋走行レールセットが有する前記内側レールの不具合を調整する戸袋走行レール調整方法であって、
前記第4工程で設置された前記外側レールを前記天面から取り外す第5工程と、
前記第3工程で設置された前記ガイドジョイントを前記内側レールから引き出す第6工程と、
前記第2工程で設置された前記内側レールを前記レールベースから引き出す第7工程と、
引き出した前記内側レールの不具合を調整する第8工程と、を備える、
ことを特徴とする戸袋走行レール調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引戸が収納される戸袋の内側に位置する内側レールと、戸袋の外側に位置する外側レールを備える戸袋走行レールセット、この戸袋走行レールセットを設置する戸袋走行レールセット設置方法、および内側レールの不具合を調整する戸袋走行レール調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
戸袋に引戸を収納する引戸クローザーが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に開示された技術は、戸袋の外側にある外側レール、戸袋の内側にある内側レール、および戸袋内に配置されたトリガが一体にされたトリガ一体プレートを備える引戸クローザーセットである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-176331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に係る技術では内側レールおよび外側レールに加えてトリガを一体にされたトリガ一体プレートが必要になるという課題があった。
本出願人は、戸袋の内側に内側レール、戸袋の外側に外側レールを備える戸袋走行レールセットについて種々検討を進めた。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、戸袋を維持したままで内側レールを戸袋から取り出して内側レールが有するレール部材の不具合に対して処置できる戸袋走行レールセットを提供することを目的とする。
また、本発明は、本発明に係る戸袋走行レールセットを設置する戸袋走行レールセット設置方法を提供することを他の目的とする。
また、本発明は、戸袋走行レールセットが有する内側レールの不具合を戸袋の除去なしで解消する戸袋走行レール調整方法を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る戸袋走行レールセットは、引戸が収納される戸袋の内側に位置して前記引戸を長さ方向に走行させる内側レールと、前記戸袋の外側に位置して前記引戸を露出して前記長さ方向に走行させる外側レールと、を備える戸袋走行レールセットであって、前記戸袋の内側で天面に固定して前記内側レールを戸尻側で保持するレールベースと、前記内側レールに保持され、前記レールベースから前記外側レールまで位置して前記外側レールに保持されるガイドジョイントと、を備え、前記内側レールは、前記長さ方向と交差する幅方向の両端で下垂して前記引戸を走行させる一対の内側下垂側部と、一対の前記内側下垂側部を相互に連結して棚状に位置する内側棚状部と、前記内側棚状部の上方で前記天面に接する内側レール頂部と、前記内側レール頂部の前記幅方向の中央の前記長さ方向で窓状に開口した内側開口部と、前記内側開口部と前記内側棚状部との間で中央に向けて開口する内側水平溝と、を備え、前記外側レールは、前記幅方向の両端で下垂して前記引戸を走行させる一対の外側下垂側部と、一対の前記外側下垂側部を相互に連結して棚状に位置する外側棚状部と、前記外側棚状部の上方で前記天面に接する外側レール頂部と、前記外側レール頂部の前記幅方向の中央の前記長さ方向で窓状に開口した外側開口部と、前記外側開口部と前記外側棚状部との間で中央に向けて開口する外側水平溝と、を備え、前記レールベースは、前記内側開口部から露出し、ベース締結穴を介してベース締結部材によって前記天面に固定されるベース頂部と、前記幅方向の両端に前記ベース頂部に対して下方に段差を有するベース段差部と、を備え、前記ガイドジョイントは、前記戸袋の内側では、前記幅方向の断面が前記レールベースと同一形状であり、前記内側開口部から露出し、前記天面に対向するジョイント頂部を備え、前記戸袋の外側では、内側から続く前記ジョイント頂部の前記幅方向の両端から下方へ伸びて前記外側水平溝に掛けられるジョイント脚部を備え、
前記内側レールは、前記ベース段差部に前記内側水平溝が嵌め込まれて保持され、前記戸袋の内側の前記ガイドジョイントは、前記レールベースに続いて前記内側レールに嵌め込まれて保持され、前記戸袋の外側の前記ガイドジョイントは、前記ジョイント頂部から下方に続く前記ジョイント脚部が前記外側水平溝に掛けられて位置決めされる、ことを特徴とする。
したがって、本発明に係る戸袋走行レールセットは、戸袋走行レールセットは、戸袋を維持したままで内側レールを戸袋から取り出して内側レールが有するレール部材の不具合に対して処置できる。
【0006】
また、本発明の一実施の形態に係る戸袋走行レールセットでは、前記内側レール頂部、前記外側レール頂部、前記ベース頂部、および前記ジョイント頂部は、前記天面に当接する面一である、ことを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態に係る戸袋走行レールセットでは、前記レールベースは、少なくとも2か所に、前記天面に向き合う前記ベース締結穴と、前記ベース締結部材と、を備え、前記ベース締結部材は、前記レールベースの前記内側棚状部に向き合うベース下面に対して前記天面の側に位置する、ことを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態に係る戸袋走行レールセットでは、前記外側棚状部は、戸先側で前記天面に向き合う外側締結穴と、前記外側締結穴を介して前記天面に連結される外側締結部材と、を備える、ことを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態に係る戸袋走行レールセットでは、前記内側レールは、前記引戸が有する引戸クローザーを機能させる内トリガーを前記内側棚状部に備える、ことを特徴とを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態に係る戸袋走行レールセットでは、前記外側レールは、前記引戸クローザーを機能させる外トリガーを前記外側棚状部に備える、ことを特徴を特徴とする。
また、本発明の一実施の形態に係る戸袋走行レールセットでは、前記内側レールは、前記レールベースとの間の隙間を調整するスペーサーを前記内側棚状部に備える、ことを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態に係る戸袋走行レールセットでは、前記ガイドジョイントは、前記ジョイント脚部の間の前記ジョイント頂部の中央に位置して前記天面に向き合うジョイント締結穴を備え、前記外側レールは、前記ジョイント締結穴に位置合わせされ、前記外側棚状部の下方から挿入されたジョイント締結部材を介して前記天面に連結される、ことを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態に係る戸袋走行レールセットでは、前記内側下垂側部は、前記幅方向の中央に向けて下端から枝状に突き出て前記引戸を位置決めする内位置決め端を備え、前記外側下垂側部は、前記幅方向の中央に向けて下端から枝状に突き出て前記引戸を位置決めする外位置決め端を備え、前記内側棚状部は、一対の前記内側下垂側部と平行に下面から筋状に突き出て前記長さ方向に位置する一対の内筋状部を備え、前記外側棚状部は、一対の前記外側下垂側部と平行に下面から筋状に突き出て前記長さ方向に位置する一対の外筋状部を備える、ことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る戸袋走行レールセット設置方法は、引戸が収納される戸袋の内側に位置して前記引戸を長さ方向に走行させる内側レールと、前記戸袋の外側に位置して前記引戸を露出して前記長さ方向に走行させる外側レールと、を備える戸袋走行レールセットを天面に設置する戸袋走行レールセット設置方法であって、前記戸袋走行レールセットは、本発明に係る戸袋走行レールセットであり、前記内側レールを前記戸尻側で保持する前記レールベースを前記戸袋の内側の前記天面に固定する第1工程と、前記内側レールを前記レールベースに嵌め込む第2工程と、前記ガイドジョイントを前記レールベースに続けて前記内側レールに嵌め込む第3工程と、前記戸袋の外側に位置する前記ガイドジョイントの先端に前記外側レールを嵌め込み、前記外側レールを前記天面に固定する第4工程と、を備える、ことを特徴とする。
したがって、本発明に係る戸袋走行レールセット設置方法は、戸袋を維持した状態で内側レールの取り外しができるので内側レールの不具合を効率的に調整(交換)できる。
また、本発明に係る戸袋走行レール調整方法は、本発明に係る戸袋走行レールセット設置方法によって設置された前記戸袋走行レールセットが有する前記内側レールの不具合を調整する戸袋走行レール調整方法であって、前記第4工程で設置された前記外側レールを前記天面から取り外す第5工程と、前記第3工程で設置された前記ガイドジョイントを前記内側レールから引き出す第6工程と、前記第2工程で設置された前記内側レールを前記レールベースから引き出す第7工程と、引き出した前記内側レールの不具合を調整する第8工程と、を備える、ことを特徴とする。
したがって、本発明に係る戸袋走行レール調整方法は、戸袋をそのままの状態で内側レールを戸袋の外側へ引き出すので、内側レールの不具合を効率良く調整しやすい。したがって、引戸クローザーを信頼性良く機能させやすい。

【発明の効果】
【0008】
本発明に係る戸袋走行レールセットは、戸袋を維持したままで内側レールを戸袋から取り出して内側レールが有するレール部材の不具合に対して処置できるという効果を奏する。
また、本発明に係る戸袋走行レールセット設置方法は、戸袋を維持した状態で内側レールの取り外しができるので内側レールの不具合を効率的に調整できるという効果を奏する。
また、本発明に係る戸袋走行レール調整方法は、内側レールの不具合を効率良く調整しやすいという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態1に係る戸袋走行レールセットにおける戸袋の内側に位置する内側レール、レールベースおよびガイドジョイントの配置側面を透視的に示す透視側面図である。
図2図1に示した戸袋走行レールセットにおける戸袋の外側に位置する外側レールおよびガイドジョイントの配置側面を透視的に示す透視側面図である。
図3図1に示した内側レールおよびレールベースに係る矢符号SF3における幅方向の断面であり、レールベースの天面に対する締結状態およびレールベースに保持された内側レールを拡大して示す拡大断面図である。
図4図1に示した内側レール、レールベースおよび内トリガーに係る矢符号SF4における幅方向の断面であり、内側レール、レールベースおよび内トリガーを拡大して示す拡大断面図である。
図5図1に示した内側レール、レールベースおよびスペーサーに係る矢符号SF5における幅方向の断面であり、内側レール、レールベースおよびスペーサーを拡大して示す拡大断面図である。
図6図1に示した内側レールおよびガイドジョイントに係る矢符号SF6における幅方向の断面であり、内側レールおよびガイドジョイントを拡大して示す拡大断面図である。
図7図2に示した外側レールおよびガイドジョイントに係る矢符号SF7における幅方向の断面であり、外側レールの天面に対する締結状態およびガイドジョイントを拡大して示す拡大断面図である。
図8図2に示した外側レールおよび外トリガーに係る矢符号SF8における幅方向の断面であり、外側レールおよび外トリガーの天面に対する締結状態を拡大して示す拡大断面図である。
図9図2に示した外側レールに係る矢符号SF9における幅方向の断面であり、外側レールの天面に対する締結状態を拡大して示す拡大断面図である。
図10図1に示した内側レールに位置する内トリガーに係る矢符号SF4における引戸クローザーおよび引戸の走行中の相対位置を模式的に示す模式配置断面図である。
図11図1および図2に示した戸袋走行レールセットを設置する設置方法において、レールベースを天面に設置した後、レールベースに内側レールを嵌め込む直前の状態を斜視で示す組み立て工程図である。
図12図11の工程の後、内側レールにガイドジョイントを嵌め込む直前の状態を斜視で示す組み立て工程図である。
図13図12の工程の後、戸袋の内側に位置する内側レールに続けて戸袋の外側に位置する外側レールを天面に設置する直前の状態を斜視で示す組み立て工程図である。
図14図13の工程の後の完成状態を斜視で示す組み立て完成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面(図1ないし図14)を参照して説明する。
[実施の形態1]
以下、図面(図1ないし図14)を参照して本発明の実施の形態1、実施の形態2について説明する。
[実施の形態1](図1図10
図1ないし図10を参照して、本発明の実施の形態1に係る戸袋走行レールセット1について説明する。
図1は、本発明の実施の形態1に係る戸袋走行レールセット1における戸袋7の内側に位置する内側レール10、レールベース30およびガイドジョイント40の配置側面を透視的に示す透視側面図である。
図2は、図1に示した戸袋走行レールセット1における戸袋7の外側に位置する外側レール20およびガイドジョイント40の配置側面を透視的に示す透視側面図である。
なお、ガイドジョイント40は、図1(内側レール10)と図2(外側レール20)との間で連続した単体である。内側レール10は、図1(戸袋7の内側)にのみ位置し、外側レール20は、図2(戸袋7の外側)のみに位置する。
図1図2は、戸袋走行レールセット1の長さ方向DLにおける配置状況を模式的に示すので、各部の詳細は、矢符号SF3~SF9に基づく図3図9を参照して説明する。また、戸袋走行レールセット1と引戸5との関連は、図10で示す。
【0011】
図3は、図1に示した内側レール10およびレールベース30に係る矢符号SF3における幅方向DWの断面であり、レールベース30の天面9に対する締結状態およびレールベース30に保持された内側レール10を拡大して示す拡大断面図である。
図4は、図1に示した内側レール10、レールベース30および内トリガー52に係る矢符号SF4における幅方向DWの断面であり、内側レール10、レールベース30および内トリガー52を拡大して示す拡大断面図である。
図5は、図1に示した内側レール10、レールベース30およびスペーサー19に係る矢符号SF5における幅方向DWの断面であり、内側レール10、レールベース30およびスペーサー19を拡大して示す拡大断面図である。
図6は、図1に示した内側レール10およびガイドジョイント40に係る矢符号SF6における幅方向DWの断面であり、内側レール10およびガイドジョイント40を拡大して示す拡大断面図である。
【0012】
図7は、図2に示した外側レール20およびガイドジョイント40に係る矢符号SF7における幅方向DWの断面であり、外側レール20の天面9に対する締結状態およびガイドジョイント40を拡大して示す拡大断面図である。
図8は、図2に示した外側レール20および外トリガー53に係る矢符号SF8における幅方向DWの断面であり、外側レール20および外トリガー53の天面9に対する締結状態を拡大して示す拡大断面図である。
図9は、図2に示した外側レール20に係る矢符号SF9における幅方向DWの断面であり、外側レール20の天面9に対する締結状態を拡大して示す拡大断面図である。
図10は、図1に示した内側レール10に位置する内トリガー52に係る矢符号SF4における引戸クローザー50および引戸5の走行中の相対位置を模式的に示す模式配置断面図である。なお、図10では、内側レール10に対する引戸5および引戸クローザー50を示すが、外側レール20に対しても同様であるので、外側レール20の場合は図示を省略する。
【0013】
本発明の実施の形態1に係る戸袋走行レールセット1は、引戸5が収納される戸袋7の内側に位置して引戸5を長さ方向DLに走行させる内側レール10と、戸袋7の外側に位置して引戸5を露出して長さ方向DLに走行させる外側レール20と、を備える(図1図2)。
戸袋走行レールセット1は、戸袋7の内側で天面9に固定して内側レール10を戸尻側DEで保持するレールベース30と、内側レール10に保持され、レールベース30から外側レール20まで位置して外側レール20に位置決めされるガイドジョイント40と、を備える(図1図2)。
レールベース30は、ベース締結穴34hを介して天面9に連結されるベース締結部材34によって天面9に固定される。本実施の形態では、ベース締結部材34は、3個の場合が例示されるが少なくとも2個あれば天面9に対して確実に位置決め固定できる。レールベース30は、戸袋7の内側に位置する内側レール10を保持する。内側レール10は、スペーサー19、内トリガー52を予め保持した状態でレールベース30に嵌め込まれる(図1)。
戸袋7の外側に位置する外側レール20は、外側締結部材25により天面9に固定される。外側レール20は、併せて、外トリガー53を備え、戸尻側DEの端でガイドジョイント40を保持する(図2)。戸袋7から外へ飛び出したガイドジョイント40は、ジョイント締結部材44によって天面9に位置決め固定される。外側レール20は、戸先側DFで、外側締結穴25hを介して天面9に連結される外側締結部材25によって天面9に連結される。外トリガー53は、外トリガー締結具53sによって天面9に固定される外側レール20に固定される。
なお、図1図2では、内側レール10が有する内側下垂側部12および外側レール20が有する外側下垂側部22を透視的に示す。
【0014】
内側レール10(図3図6)は、長さ方向DLと交差する幅方向DWの両端で下垂して引戸5を走行させる一対の内側下垂側部12と、一対の内側下垂側部12を相互に連結して棚状に位置する内側棚状部14と、内側棚状部14の上方で天面9に接する内側レール頂部16と、内側レール頂部16の幅方向DWの中央の長さ方向DLで窓状に開口した内側開口部18と、内側開口部18と内側棚状部14との間で中央に向けて開口する内側水平溝17と、を備える(図3)。
外側レール20(図7図9)は、幅方向DWの両端で下垂して引戸5を走行させる一対の外側下垂側部22と、一対の外側下垂側部22を相互に連結して棚状に位置する外側棚状部24と、外側棚状部24の上方で天面9に接する外側レール頂部26と、外側レール頂部26の幅方向DWの中央の長さ方向DLで窓状に開口した外側開口部28と、を備える。
【0015】
レールベース30(図3図5)は、内側開口部18から露出し、ベース締結穴34hを介してベース締結部材34によって天面9に固定されるベース頂部32と、幅方向DWの両端にベース頂部32に対して下方に段差を有するベース段差部33と、を備える。
ガイドジョイント40(図6図7)は、戸袋7の内側では、幅方向DWの断面がレールベース30と同一形状であり(図4図6)、内側開口部18から露出し、天面9に対向するジョイント頂部42を備え、戸袋7の外側では、内側から続くジョイント頂部42の幅方向DWの両端から下方へ伸びて外側水平溝27に掛けられるジョイント脚部43を備える(図7)。
内側レール10は、ベース段差部33に内側水平溝17が嵌め込まれて保持され、戸袋7の内側のガイドジョイント40は、レールベース30に続いて内側レール10に嵌め込まれて保持され、戸袋7の外側のガイドジョイント40は、ジョイント頂部42から下方に続くジョイント脚部43が外側水平溝27に掛けられて位置決めされる。
【0016】
戸袋走行レールセット1の一方として戸袋7の内側に位置する内側レール10は、戸袋7の内側で天面9に固定したレールベース30に保持されるので、安定した戸袋用のレール構造を構成する。また、戸袋走行レールセット1の他方として戸袋7の外側に位置する外側レール20は、内側レール10に位置決めされてレールベース30に続くガイドジョイント40を介して内側レール10と相互に位置決めされ、戸袋走行レールセット1を構成する。
内側レール10は、内側棚状部14と、内側レール頂部16と、内側水平溝17と、内側開口部18とを備え、予め天面9に固定されるレールベース30は、ベース頂部32と、ベース段差部33とを備える。これにより、ベース頂部32は、内側開口部18を位置決めし、ベース段差部33は、内側水平溝17を保持するので、戸袋7の内側で、内側レール10はレールベース30に位置決め固定される。
ガイドジョイント40は、戸袋7の内側ではレールベース30の断面構造と同一形状の断面構造であるのでレールベース30に続けて内側レール10に嵌め込まれて位置決めされる。
外側レール20は、外側棚状部24と、外側レール頂部26と、外側水平溝27と、外側開口部28とを備える。
【0017】
レールベース30は、天面9に当接された状態でベース締結部材34を介して天面9に連結される。ベース締結部材34は、ベース締結穴34hに嵌め込まれて、ベース下面36に対して天面9の側に凹んだ状態となる。このため、内側レール10は、レールベース30に容易に嵌め込まれやすい。なお、ベース締結部材34は、平ネジが好ましい。
レールベース30は、少なくとも2か所に、天面9に向き合うベース締結穴34hと、ベース締結穴34hを介して天面9に連結されるベース締結部材34と、を備え、ベース締結部材34は、レールベース30の内側棚状部14に向き合うベース下面36に対して天面9側に凹んで位置する。
レールベース30は、天面9に向き合うベース締結穴34hを介して天面9に連結されるベース締結部材34によって固定される。また、ベース締結部材34は、レールベース30のベース下面36に対して天面9の側に凹んで位置する。このため、レールベース30は、確実に天面9に固定され、内側レール10は、レールベース30に対して円滑に嵌め込まれて確実に保持される。
ベース締結部材34は、レールベース30に嵌め込まれて、ベース締結部材34(頭部)はレールベース30の内側棚状部14に向き合うベース下面36に対して天面9側に凹んだ状態となる。
【0018】
ガイドジョイント40は、戸袋7の外側に続くジョイント頂部42の幅方向DWの両端の下方にジョイント脚部43を備え、ジョイント脚部43は、外側開口部28に嵌め込まれ、外側水平溝27に掛けられて位置決めされ保持される。
したがって、天面9に固定されたレールベース30は、内側レール10を位置決め固定し、内側レール10は、レールベース30に続くガイドジョイント40を保持する。ガイドジョイント40は、内側レール10に対して外側レール20を位置決めする。
これにより、内側レール10および外側レール20は、引戸5を走行させる戸袋走行レールセット1を構成し、天面9に設置された状態で、引戸5を高い精度で安定して走行させる。
また、内側レール10は、外側レール20を取り外し、更にガイドジョイント40を順次取り外した後、戸袋7を維持した状態で内側レール10に引き出し外力を作用させてレールベース30から外して外へ引き出せる。したがって、内側レール10が有するレール部材(例えば、内トリガー52)の不具合に対して戸袋7を外さずに処置できる。
すなわち、戸袋走行レールセット1は、戸袋7を維持したままで内側レール10を戸袋7から取り出して内側レール10が有するレール部材の不具合に対して処置できる。
【0019】
内側レール頂部16、外側レール頂部26、ベース頂部32、およびジョイント頂部42は、天面9に当接する面一であることが好ましい。
内側レール頂部16、外側レール頂部26、ベース頂部32、およびジョイント頂部42は、面一である。このため、レールベース30、内側レール10、ガイドジョイント40、および外側レール20は、互いに高い精度で天面に当接して位置決めされやすい。
また、内側レール10の不具合を処置するとき、内側レール10の戸袋7の外側への移動、内側レール10の移動の前段階に実施されるガイドジョイント40の内側レール10からの取り外し、および外部レールの天面9からの取り外しは、容易に施されやすい。
内側下垂側部12は、幅方向DWの中央に向けて下端から枝状に突き出て引戸5を位置決めする内位置決め端12pを備え(図3図6)、外側下垂側部22は、幅方向DWの中央に向けて下端から枝状に突き出て引戸5を位置決めする外位置決め端22pを備える(図7図9)。
内側棚状部14は、一対の内側下垂側部12と平行に下面から筋状に突き出て長さ方向DLに位置する一対の内筋状部14pを備え(図3図6)、外側棚状部24は、一対の外側下垂側部22と平行に下面から筋状に突き出て長さ方向DLに位置する一対の外筋状部24pを備える(図7図9)。
内位置決め端12pおよび外位置決め端22pは、内側下垂側部12および外側下垂側部22の中央で開口を備えるので、引戸5を位置決めよく走行させる。また、クローザーを内包して機能を有効に発揮させる。
内筋状部14pおよび外筋状部24pは、内側棚状部14および外側棚状部24の下面で所定形状の溝状になるので、内トリガー52、外トリガー53、スペーサー19、外側締結部材25、ジョイント締結部材44、外トリガー締結具53sを嵌め込んで位置決めし、高い精度で位置決めを施しやすい。
【0020】
内側レール10は、引戸5が有する引戸クローザー50を機能させる内トリガー52を内側棚状部14に備える(図4図10)。
内側レール10は、戸尻側DEに引戸クローザー50を機能させる内トリガー52を内側棚状部14に備えるので、ソフトクローザーは、確実に動作しやすい。また、内トリガー52に不具合が発生した場合、内側レール10を戸袋7から取り出して内トリガー52の処置をしやすい。
内側棚状部14は、内トリガー52を嵌め込むための内トリガー穴14hを備える。内トリガー52は、内トリガー穴14hに内トリガー締結具52sで固定される。内トリガー締結具52sは、カシメ金具が好ましい。内トリガー52は、一対の内筋状部14pの間に位置決めされる。
内側レール10は、レールベース30との間の隙間を調整するスペーサー19を内側棚状部14に備える(図5)。
内側レール10は、レールベース30との間の隙間を調整するスペーサー19を備えるので、内側レール10とレールベース30と相関配置を安定化し、内側レール10を走行する引戸5の走行性を向上しやすい。スペーサー19は、内側棚状部14に位置するスペーサー穴19hに嵌め込まれる。
【0021】
ガイドジョイント40は、一対に位置するジョイント脚部43の間のジョイント頂部42の中央に位置して天面9に向き合うジョイント締結穴44hを備え、外側レール20は、ジョイント締結穴44hに位置合わせされ、外側棚状部24の下方から挿入されたジョイント締結部材44を介して天面9に連結される(図7)。このため、外側レール20およびガイドジョイント40は高い精度で位置決めされ、内側レール10と外側レール20の間の円滑な連結性を維持する。
ジョイント締結部材44は、平ネジが好ましい。なお、外側棚状部24の下方から挿入されるジョイント締結部材44は、外側締結穴25hと同様の穴が予め外側棚状部24に形成してあることが好ましい。
【0022】
外側棚状部24は、戸先側DFで天面9に向き合う外側締結穴25hと、外側締結穴25hを介して天面9に連結される外側締結部材25と、を備える(図9)。
外側棚状部24は、外側締結穴25hを介して天面9に連結される外側締結部材25によって固定される。また、外側締結部材25は、外側棚状部24に埋め込まれ、外側締結部材25は、外側棚状部24に対して天面9の側に凹んだ状態となるので引戸5の走行を円滑にできる。外側レール20は、外側締結部材25によって確実に天面9に固定される。
外側締結部材25(頭部)は、外側棚状部24の厚みの範囲内に収容されるので、引戸5の走行は、円滑にできる。外側締結部材25は、平ネジが好ましい。
外側レール20は、引戸クローザー50を機能させる外トリガー53を外側棚状部24に備える(図8図10)。
外側レール20は、戸先側DFに引戸クローザー50を機能させる外トリガー53を外側棚状部24に備えるので、ソフトクローザー機能が確実に動作しやすい。
外側棚状部24は、外トリガー53を固定するための外トリガー穴24hを備える。外トリガー53は、外トリガー穴24h(外側棚状部24)を介して外トリガー締結具53sにより天面9に固定される。これにより、外トリガー53は、外側棚状部24に固定されるので処理が簡単になりやすい。
外トリガー53は、戸袋7の外側に位置するので、外トリガー締結具53sを用いて容易に取り付け、取り外しができる。外トリガー締結具53sは、平ネジが好ましい。外トリガー53は、一対の外筋状部24pの間に位置決めされる。
【0023】
[実施の形態2](図11図14図3図10
図11ないし図14を参照して、本発明の実施の形態2に係る戸袋走行レールセット設置方法および戸袋走行レール調整方法について説明する。いずれも実施の形態1で説明した戸袋走行レールセット1に係る方法である。したがって、実施の形態1の戸袋走行レールセット1に適用した符号は本実施の形態でもそのまま適用する。
なお、戸袋走行レール調整方法については、戸袋走行レールセット設置方法に対して逆の工程を適用することから戸袋走行レールセット設置方法に係る図をそのまま援用する。したがって、戸袋走行レール調整方法に関する具体的な図は省略される。
本実施の形態に係る戸袋走行レールセット1は、内側レール10を戸袋7の内側で締結しないでレールベース30に嵌め込んだ形態とし、戸袋7を外さずに内側レール10を戸袋7の外側へ取り出せる構成としたものである。つまり、戸袋7の内側では内側レール10を挟持して保持するレールベース30を天面9に締結し、レールベース30に内側レール10を保持させたものである。
本実施の形態に係る戸袋走行レールセット設置方法は、引戸5が収納される戸袋7の内側に位置して引戸5を長さ方向DLに走行させる内側レール10と、戸袋7の外側に位置して引戸5を露出して長さ方向DLに走行させる外側レール20と、を備える戸袋走行レールセット1を天面9に設置する方法に係る。また、戸袋走行レールセット1は、実施の形態1に係る戸袋走行レールセット1のいずれか一つに係る(図3図10)。
【0024】
図11は、図1および図2に示した戸袋走行レールセット1を設置する設置方法において、レールベース30を天面9に設置した後、レールベース30に内側レール10を嵌め込む直前の状態を斜視で示す組み立て工程図である。
本実施の形態に係る戸袋走行レールセット設置方法は、内側レール10を戸尻側DEで保持するレールベース30を戸袋7の内側の天面9に固定する第1工程と、レールベース30に内側レール10を嵌め込む第2工程(図上矢印方向)と、を備える。
レールベース30は、ベース締結部材34によって天面9に予め固定される(第1工程)(図3)。レールベース30は、3カ所のベース締結部材34によって固定されるので安定した状態で設置される。なお、締結箇所は、3カ所に限らず、少なくとも2か所の締結で正確に固定できる。
レールベース30は、戸尻側DEから戸先側DFの戸袋7の入口に対して戸袋7の外から内側レール10を嵌め込みできるところまで位置する。例えば、長さ方向DLにおいて、内側レール10の長さに対してレールベース30の長さは略7割~8割程度が適用される。レールベース30と戸袋7の入口との間の間隔は、レールベース30に内側レール10を差し込める程度の隙間(距離)があれば良い。
なお、レールベース30は、戸袋7の戸尻側DEに寄せて配置される。
内側レール10は、レールベース30へ挿入される前に予めスペーサー19(図5)および内トリガー52(図4)が設定される。スペーサー19は、内側棚状部14が有するスペーサー穴19hを介して内側棚状部14(内側レール10)へ装着される。内トリガー52は、内側棚状部14が有する内トリガー穴14hを介して内トリガー締結具52sによりカシメ加工で内側棚状部14(内側レール10)に取り付けられる(図4)。
【0025】
図12は、図11の工程の後、内側レール10にガイドジョイント40を嵌め込む直前の状態を斜視で示す組み立て工程図である。ガイドジョイント40は、レールベース30と同じ断面を備えているので(図5図6)、内側レール10に対して嵌め込まれる。
レールベース30に続けて挿入されるガイドジョイント40の戸袋7の内側に位置する部分の幅方向DWの断面構造は、レールベース30の断面構造と同一形状を有するので、ガイドジョイント40は、内側レール10(内側水平溝17)に嵌め込まれる。これにより、ガイドジョイント40は、内側レール10と相互に噛み合わせた状態で保持される。
すなわち、戸袋走行レールセット設置方法は、ガイドジョイント40をレールベース30に続けて内側レール10に嵌め込む第3工程を備える。
ガイドジョイント40の先端は、戸袋7の外側へ露出し、天面9へ締結されるジョイント締結部材44を通すジョイント締結穴44hを備える(図7)。
【0026】
図13は、図12の工程の後、戸袋7の内側に位置する内側レール10に続けて戸袋7の外側に位置する外側レール20を天面9に設置する直前の状態を斜視で示す組み立て工程図である。
図14は、図13の工程の後の完成状態を斜視で示す組み立て完成図である。
戸袋7の外側に位置する外側レール20は、2か所の外側締結部材25によって天面9へ固定される。外側締結部材25は、外側棚状部24が有する外側締結穴25hを介して天面9に連結されるので、外側レール20は、確実に天面9に固定される(図9)。
外側レール20は、戸尻側DEの先端にジョイント締結部材44が配置される。ジョイント締結部材44は、ガイドジョイント40が有するジョイント締結穴44hに位置合わせされ、ジョイント締結穴44hを介して天面9に連結される(図7)。
これにより、内側レール10および外側レール20の双方にわたる可動片としてのガイドジョイント40は、内側レール10および外側レール20の双方に対して位置決め固定されるので戸袋走行レールセット1の直線性を向上させ、引戸5の走行性を向上させる。
外側レール20は、更に外トリガー締結具53sを備える。外トリガー締結具53sは、外側棚状部24に位置する外トリガー穴24hを介して天面9に連結される。このため、外トリガー53は、外側レール20に装着される(図8)。
つまり、戸袋走行レールセット設置方法は、戸袋7の外側に位置するガイドジョイント40の先端に外側レール20を嵌め込み、外側レール20を天面9に固定する第4工程を備える(図13)。
外側レール20は、内側レール10に連続して戸袋7の外側に固定され、戸袋走行レールセット設置方法は工程を終了し、図14の完成状態が得られる。
【0027】
本実施の形態に係る戸袋走行レールセット設置方法は、上記したとおり、第1工程から第4工程までを備えるので、戸袋走行レールセット1を天面9へ設置できる。また、戸袋7の内外にわたって戸袋走行レールセット1を効果的に効率よく設置するので、引戸クローザー50を有効に機能させ、信頼性を向上させやすい。また、戸袋7を維持した状態で内側レール10の取り外しができるので内側レール10の不具合を効率的に調整できる。
なお、第1工程は、戸袋7を設ける前の状態で施される。第2工程以降は、戸袋7の有無は設置工程としての問題を生じない。内側レール10は、戸袋7の内側で戸尻側DEから入口まで位置するので、固定したレールベース30へ外側から確実に嵌め込まれる。つまり、第2工程は、内側レール10を確実に戸袋7の内側へ配置する。
第3工程は、ガイドジョイント40をレールベース30に突き当てるまで内側レール10へ嵌め込んで、ガイドジョイント40の先端のジョイント締結穴44hを露出させる。第4工程で、ジョイント締結穴44hを介してジョイント締結部材44を天面9へ連結する。外側締結部材25、外トリガー締結具53sは、ジョイント締結部材44と同様に天面9へ連結されるので外側レール20は、確実に天面9に固定される。
【0028】
次に戸袋走行レールセット設置方法および戸袋走行レールセット1の有効性を更に活用した戸袋走行レール調整方法について説明する。なお、戸袋走行レール調整方法の主要構成は、戸袋走行レールセット設置方法と関連するので、工程番号は設置方法からの連番として記載する。
本実施の形態に係る戸袋走行レール調整方法は、上記した本実施の形態に係る戸袋走行レールセット設置方法によって設置された戸袋走行レールセット1が有する内側レール10の不具合を調整する。
すなわち、戸袋走行レール調整方法は、第4工程で設置された外側レール20を天面9から取り外す第5工程と、第3工程で設置されたガイドジョイント40を内側レール10から取り外す第6工程と、第2工程で設置された内側レール10をレールベース30から取り外す第7工程と、取り外した内側レール10の不具合を調整する第8工程と、を備える。
戸袋走行レール調整方法は、内側レール10の不具合を調整することから、戸袋走行レールセット設置方法の逆順で内側レール10を戸袋7から取り出して実行される。
【0029】
第5工程では、第4工程で設置された外側レール20を取り外す。外側レール20を固定している外側締結部材25、ジョイント締結部材44、外トリガー締結具53sを外側レール20から取り除くと、外側レール20は、天面9から外れる。
第6工程では、第3工程で設置されたガイドジョイント40を外側レール20から取り外す。ガイドジョイント40を天面9に固定していたジョイント締結部材44は既に外されている。このため、ガイドジョイント40は戸袋7の外側ではフリー状態であり、戸袋7の内側では内側レール10(内側水平溝17)に挟まれている。したがって、引出方向に外力を作用させて容易に取り外せる。
第7工程では、第2工程でレールベース30に取り付けられた内側レール10をレールベース30から取り外す。ベース締結部材34で天面9に固定されたレールベース30に対して、幅方向DWにおけるレールベース30の先端のベース段差部33は、内側レール10の内側水平溝17に嵌め込まれた状態であり、外部から引出方向に外力を作用させて容易に取り外せる。
第8工程では、取り外した内側レール10の不具合(例えば、内トリガー52の不具合)を検知し、内トリガー52を取り換える。
調整を終えた内側レール10は、戸袋走行レールセット設置方法における第1工程によって再度内側レール10をレールベース30に嵌め込む。以上で戸袋走行レール調整方法は、終了する。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、戸袋走行レールセットを備える戸袋引戸装置において、戸袋を維持した状態で、内側レールの不具合を処理できるので、戸袋引戸装置の不具合に対して有効に利用できる。
【符号の説明】
【0031】
1 戸袋走行レールセット
5 引戸
7 戸袋
9 天面
10 内側レール
12 内側下垂側部
12p 内位置決め端
14 内側棚状部
14h 内トリガー穴
14p 内筋状部
16 内側レール頂部
17 内側水平溝
18 内側開口部
19 スペーサー
19h スペーサー穴
20 外側レール
22 外側下垂側部
22p 外位置決め端
24 外側棚状部
24h 外トリガー穴
24p 外筋状部
25 外側締結部材
25h 外側締結穴
26 外側レール頂部
27 外側水平溝
28 外側開口部
30 レールベース
32 ベース頂部
33 ベース段差部
34 ベース締結部材
34h ベース締結穴
36 ベース下面
40 ガイドジョイント
42 ジョイント頂部
43 ジョイント脚部
44 ジョイント締結部材
44h ジョイント締結穴
50 引戸クローザー
52 内トリガー
52s 内トリガー締結具
53 外トリガー
53s 外トリガー締結具
DE 戸尻側
DF 戸先側
DL 長さ方向
DW 幅方向

【要約】      (修正有)
【課題】戸袋を維持したままで内側レールが有するレール部材の不具合に対して処置できる戸袋走行レールセット、戸袋走行レールセット設置方法、および戸袋走行レール調整方法を提供する。
【解決手段】戸袋7の内側に位置して引戸を長さ方向DLに走行させる内側レール10と、戸袋7の外側に位置して引戸を露出して長さ方向DLに走行させる外側レールと、戸袋7の内側で天面9に固定して内側レール10を戸尻側DEで保持するレールベース30と、内側レール10に保持され、レールベース30から外側レール20まで位置して外側レールに位置決めされるガイドジョイント40と、を備える。レールベース30は、ベース締結穴34hを介して天面9に連結されるベース締結部材34によって天面9に固定される。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14