(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-16
(45)【発行日】2022-09-28
(54)【発明の名称】崩壊区間用電柱組立装置及び施工方法
(51)【国際特許分類】
E04H 12/34 20060101AFI20220920BHJP
H02G 1/02 20060101ALI20220920BHJP
【FI】
E04H12/34
H02G1/02
(21)【出願番号】P 2021575240
(86)(22)【出願日】2020-12-16
(86)【国際出願番号】 CN2020136948
(87)【国際公開番号】W WO2021223446
(87)【国際公開日】2021-11-11
【審査請求日】2021-12-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521550208
【氏名又は名称】中▲鉄▼九局集▲団▼▲電▼▲務▼工程有限公司
【氏名又は名称原語表記】CHINA RAILWAY NO.9 GROUP ELECTRICAL ENGINEERING CO., LTD
【住所又は居所原語表記】No.36-5 Shenglibeijie Street, Heping District, Shenyang city, Liaoning, P.R.China
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】弁理士法人キュリーズ
(72)【発明者】
【氏名】王 大▲偉▼
(72)【発明者】
【氏名】冀 ▲暁▼▲瑩▼
(72)【発明者】
【氏名】▲趙▼ ▲剛▼
(72)【発明者】
【氏名】▲斉▼ 孟星
(72)【発明者】
【氏名】徐 士彬
(72)【発明者】
【氏名】邱 ▲暁▼▲傑▼
(72)【発明者】
【氏名】程 爽
【審査官】中嶋 久雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-061177(JP,A)
【文献】特開2003-339106(JP,A)
【文献】実開平07-003237(JP,U)
【文献】特開平11-148253(JP,A)
【文献】中国実用新案第203569959(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第111943103(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 12/34
H02G 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電柱を設けるための基礎ピットの両側の地上基礎において対応して設置される張力ペイオフマシンおよびウインチを含み、
前記張力ペイオフマシンは、
第1牽引綱が巻かれる牽引綱軸と、
ペイオフマシンベースであって、前記牽引綱軸が、ペイオフマシン軸により前記ペイオフマシンベースに回転可能に取り付けられ、前記ペイオフマシン軸回りに回転し、前記第1牽引綱に対して繰り出しまたは巻き取りを行うペイオフマシンベースと、
前記牽引綱軸の端部に位置し、前記牽引綱軸の回転に一定の張力を与えることができるセルフロック機構と、
を含み、
前記ウインチには第2牽引綱が設けられ、
前記第1牽引綱と前記第2牽引綱は、いずれも前記電柱に固定的に接続され、前記牽引綱軸で前記第1牽引綱を締め、且つ前記ウインチで前記第2牽引綱を締めることにより、前記電柱を前記基礎ピットにおいて垂直状態に調整し、
前記電柱の底部を安定化する電柱の固定治具をさらに含み、前記電柱の固定治具は、複数の前後が順次接続される固定山形鋼を含み、各前記固定山形鋼の外側には、滑動山形鋼が摺接され、前記滑動山形鋼には、歯付きベルトが設けられ、各前記滑動山形鋼に合わせて操作ロッドが設けられ、前記操作ロッドの底部には、前記歯付きベルトと噛合接続される伝動歯が設けられ、前記操作ロッドは、固定山形鋼と回転接続され、
前記操作ロッドの頂部には、前記電柱と固着接続される固定盤が設けられ、前記固定盤は、固定ボルトで固着される2つの半円形止め輪を含み、2つの半円形止め輪には、前記操作ロッドに対応する取り付け孔が設けられ、
前記固定山形鋼には、前記滑動山形鋼の配置方向に沿ってガイドカバーが設けられ、前記滑動山形鋼は、前記ガイドカバー内に摺動し、
前記固定山形鋼の上部の前記歯付きベルトと対応する箇所には、固定板が設けられ、前記固定板には、ストッパドリフトボルトが設けられ、前記操作ロッドは、前記ストッパドリフトボルトを通した後、前記固定山形鋼に回転接続される、
ことを特徴とする崩壊区間用電柱組立装置。
【請求項2】
内歯セクションおよび外歯セクションを含むレバーベルトをさらに含み、前記内歯セクションと外歯セクションは、それぞれ、前記レバーベルトの内外両側に設けられ、前記レバーベルトを前記電柱の外側に囲むと、前記内歯セクションと外歯セクションが噛み合い、前記内歯セクションの自由端にレバー貫入穴が設けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の崩壊区間用電柱組立装置。
【請求項3】
基礎ピットには、前記電柱の正確に滑り込むのを補助する滑り板が設けられ、前記滑り板は、断面がv型折板であり、底部に円弧ガイドセクションが設けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の崩壊区間用電柱組立装置。
【請求項4】
前記電柱の底部には、回転ベースが設けられ、前記回転ベースの上面には、周方向に沿って複数のL型折板が均等に分布され、前記L型折板の折り曲げ角は90°より小さく、前記回転ベースの下面には、複数の異径スクレーパーが周方向に沿って均等に分布される、
ことを特徴とする請求項1に記載の崩壊区間用電柱組立装置。
【請求項5】
前記L型折板上の前記回転ベースの上面から離れる一端の外側に摩擦ガスケットが設けられる、
ことを特徴とする請求項4に記載の崩壊区間用電柱組立装置。
【請求項6】
前記セルフロック機構は、前記ペイオフマシン軸の一側に軸受を介して同軸に固定される調整歯盤を含み、前記調整歯盤の外側に周方向に沿って複数のセルフロック歯が均等に分布され、前記セルフロック歯は、同じ方向に配置されている斜角歯であり、前記調整歯盤の外側の前記ペイオフマシンベースに張力歯盤が固定設置され、前記張力歯盤は、前記調整歯盤と同軸に配置され、前記張力歯盤の周方向に沿って複数の張力歯ストッパ穴が均等に分布され、前記張力歯ストッパ穴の内に、平行ピンを介して軸方向に沿って張力歯が摺接され、前記張力歯は、前記セルフロック歯の数に応じて設置され、前記張力歯の張出端の端面が凸球形状であり、前記張力歯は、前記セルフロック歯の傾斜面上で摺動する、
ことを特徴とする請求項1に記載の崩壊区間用電柱組立装置。
【請求項7】
前記張力歯盤の外側中心に張力調整穴が設けられ、張力均圧盤は調整ボルトを介して前記張力調整穴に合わせて接続され、前記張力均圧盤の内側には、複数の前記張力歯に対応して設けられた均圧歯が均等に分布され、前記均圧歯は、前記張力歯ストッパ穴に伸入し、前記均圧歯と前記張力歯との間に圧縮ばねが設けられ、前記圧縮ばねと前記張力歯との接触する箇所に圧力センサが設けられ、調整ボルトを介して、前記均圧歯が前記張力歯ストッパ穴に伸入する深さを制御することによって、前記圧縮ばねの圧力を制御し、前記張力歯と前記セルフロック歯との間の圧力を増加させ、前記圧力センサは、張力ディスプレイに電気的に接続され、前記張力ディスプレイは、前記張力ペイオフマシンのリアルタイムの張力値を表示し、前記ウインチの第2牽引綱の引張力が前記張力ペイオフマシンの第1牽引綱の引張力よりも大きい場合、前記張力ペイオフマシンが綱を繰り出し、
前記張力歯と前記張力歯ストッパ穴との間に2つの対応する平行ピンが設けられる、
ことを特徴とする請求項6に記載の崩壊区間用電柱組立装置。
【請求項8】
前記調整歯盤の内側には第1歯車盤が同軸に設けられ、前記第1歯車盤の外縁の前記セルフロック歯と対応する箇所に複数の第2歯車盤が噛合配置され、前記第2歯車盤は、前記セルフロック歯と同軸に接続され、且つ前記セルフロック歯の回転を制御し、前記第1歯車盤の内側には、セルフロック歯調整盤および前記セルフロック歯調整盤の回転を制御する調整ハンドルが固定的に接続され、第1牽引綱を巻く必要がある場合には、前記調整ハンドルを上向きに90°回転し、前記セルフロック歯調整盤および前記第1歯車盤がそれにつれて90°回転し、このとき、前記第2歯車盤が歯車の伝達で180°回転し、これにより、前記セルフロック歯が180°回転するように制御され、前記セルフロック機構のセルフロック機能を解除し、前記張力ペイオフマシンは逆方向に巻き取る、
ことを特徴とする請求項7に記載の崩壊区間用電柱組立装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の崩壊区間用電柱組立装置を採用し、
電柱を設ける箇所に基礎ピットを掘削し、基礎ピットの断面は二等辺三角形であり、二等辺三角形の底辺の垂直二等分線は電柱の架空線路の中心と重ね合わせ、二等辺三角形の2つの等辺は斜め掘削方式を採用して行い、地面層に掘削し、2つの傾斜面の夾角は滑り板の開口角度以上であり、基礎底部が崩壊層まで掘削すると、掘削を停止し、基礎底部を平坦に修理する、基礎ピットを掘削するステップS1と、
電柱を基礎ピットに吊り下げし、且つ底部に回転ベースを取り付け、まず、回転ベースの上部にあるL型折板を電柱の底部に挿入し、次に、回転ベースの上部固定盤と下部固定盤を接続ボルトで接続し、上部固定盤と下部固定盤との間に緩衝領域を形成させ、基礎ピットの頂角に滑り板を入れ、電柱は、二等辺三角形の開口の基礎ピットから滑り板と組み合わせて基礎ピットの底部の基準点に正確に落下する、電柱の輸送及び回転ベースの取り付けを行うステップS2と、
固定式グラウンドアンカーで2つの張力ペイオフマシンとウインチを固定し、地面に対して垂直とし、且つ夾角は互いに120°であり、地面との水平夾角は45°以下とするステップS3と、
張力ペイオフマシンの牽引綱とウインチの牽引綱を、いずれも電柱の頂部から2~2.5メートルの位置にしっかりとラッシングして、ウインチの第2牽引綱を締め、電柱が滑り板の方向に沿って基礎ピットに滑り込み、垂直状態に近づくまで調整して、オートロック巻上機に対して5~10°傾斜する、電柱を組立するステップS4と、
3つの固定山形鋼をボルトで接続し、必要に応じてボルトの長さを調整することによって治具が電柱の底部に落下することを保証し、操作ロッドの頂部が、取り付け孔を通して固定盤を貫入した後、操作ロッドの頂部にロッドナットを取り付けて締め、2つの半円形止め輪を固定ボルトで固定し、固定治具を電柱に沿って電柱の底部に落下させ、操作ロッドの頂部を地面から露出させ、作業員は、操作ロッドの方向を調整することにより、滑動山形鋼の地面下への深さを制御し、滑動山形鋼が完全に突出した後、電柱を垂直状態に調整する、固定治具を取り付けるステップS5と、
電柱の地面から上へ約1.3mの箇所にレバーベルトを一周に囲み、レバーのヘッドは、レバー貫入穴により貫入し、緩衝ガスケットに押し、この時、内外の滑り止め歯が噛み合い、レバーにより時計回り方向に電柱を回転し、この時、電柱は、回転ベースの異径スクレーパーの作用で地下に入り込み、電柱の地面への入り込みの深さが所定の標準に達した時、回転を停止する、電柱の深さを調整するステップS6と、
電柱の基礎を埋め戻して締め固め、組立が完成するステップS7と、を含む、
ことを特徴とする崩壊区間用電柱組立施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道電力専門の施工技術分野に属し、特に、崩壊区間用電柱組立装置及び施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の10kVの鉄道電力供給ラインは、一般的に、スルーラインと自動閉鎖ラインに分けられ、スルーラインと自動閉鎖ラインは、それぞれ、鉄道の両側にあり、一般的に、鉄道境界のエッジに沿って敷設されている。
【0003】
経路の選択はある程度制限されているため、低地の泥だらけの道路セクションや柔らかい土壌セクションに遭遇することがよくある。この場合、電柱の基礎ピットの掘削が完成した直後に電柱を組み立てる必要がある。そうしないと、道路が崩壊し、または、標準の深さまで掘る前に崩壊が生じる場合がある。車両およびクレーンが入りにくいため、電柱の組み立てが非常に困難にならせて、上記開示された技術案において、いずれも、車とクレーンの入りが必要であり、大量の人力および物資を投じてようやく完成することができるのが必要である。
【0004】
従って、上記従来技術の不足に対する改善技術案を提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、上記従来技術に存在する問題を解決又は緩和するために、崩壊区間用電柱組立装置及び施工方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を実現するために、本発明は下記のような技術案を提供する。
【0007】
本発明は、基礎ピットの両側の地上基礎において対応して設置される張力ペイオフマシン(tension pay-off machine)およびウインチを含む、崩壊区間用電柱組立装置を提供する。
【0008】
前記張力ペイオフマシンは、
第1牽引綱が巻かれる牽引綱軸と、
ペイオフマシンベースであって、前記牽引綱軸が、ペイオフマシン軸により前記ペイオフマシンベースに回転可能に取り付けられ、前記ペイオフマシン軸周りに回転し、前記第1牽引綱に対して繰り出しまたは巻き取りを行うペイオフマシンベースと、
前記牽引綱軸の端部に位置し、前記牽引綱軸の回転に一定の張力を与えることができるセルフロック機構と、を含む。
前記ウインチには第2牽引綱が設けられる。
前記第1牽引綱と前記第2牽引綱は、いずれも前記電柱に固定的に接続され、前記牽引綱軸で前記第1牽引綱を締め、且つ前記ウインチで前記第2牽引綱を締めることにより、前記電柱を前記基礎ピットにおいて垂直状態に調整する。
【0009】
本発明の実施例は、崩壊区間用電柱組立装置の施工方法をさらに提供し、前記実施例のいずれか一項に記載の崩壊区間用電柱組立装置を採用し、前記施工方法は、
電柱を設ける箇所に基礎ピットを掘削し、基礎ピットの断面は二等辺三角形であり、二等辺三角形の底辺の垂直二等分線は電柱の架空線路の中心と重ね合わせ、二等辺三角形の2つの等辺は斜め掘削方式を採用して行い、地面層に掘削し、2つの傾斜面の夾角は滑り板の開口角度以上であり、基礎底部が崩壊層まで掘削すると、掘削を停止し、基礎底部を平坦に修理する、基礎ピットを掘削するステップS1と、
電柱を基礎ピットに電柱を吊り下げし、且つ底部に回転ベースを取り付け、まず、回転ベースの上部にあるL型折板を電柱の底部に挿入し、次に、回転ベースの上部固定盤と下部固定盤を接続ボルトで接続し、上部固定盤と下部固定盤との間に緩衝領域を形成させ、基礎ピットの頂角に滑り板を入れ、電柱は、二等辺三角形の開口の基礎ピットから滑り板と組み合わせて基礎ピットの底部の基準点に正確に落下する、電柱の輸送及び回転ベースの取り付けを行うステップS2と、
固定式グラウンドアンカーで2つの張力ペイオフマシンとウインチを固定し、地面に対して垂直し、且つ夾角は互いに120°であり、地面との水平夾角は45°以下とするステップS3と、
張力ペイオフマシンの牽引綱とウインチの牽引綱を、いずれも電柱の頂部から2~2.5メートルの位置にしっかりとラッシングして、ウインチの第2牽引綱を締め、電柱が滑り板の方向に沿って基礎ピットに滑り込み、垂直状態に近づくまでに調整して、オートロック巻上機に対し5~10°傾斜する、電柱を組立するステップS4と、
3つの固定山形鋼をボルトで接続し、必要に応じてボルトの長さを調整することによって、治具が電柱の底部に落下することを保証し、操作ロッドの頂部が、取り付け孔を通して固定盤を貫入した後、操作ロッドの頂部にロッドナットを取り付けて締め、2つの半円形止め輪を固定ボルトで固定し、固定治具を電柱に沿って電柱の底部に落下させ、操作ロッドの頂部を地面から露出させ、作業員は、操作ロッドの方向を調整することにより、滑動山形鋼の地面下への深さを制御し、滑動山形鋼が完全に突出した後、電柱を垂直状態に調整する、固定治具を取り付けるステップS5と、
電柱の地面から上へ約1.3mの箇所にレバーベルトを一周に囲み、レバーのヘッドは、レバー貫入穴により貫入し、緩衝ガスケットに押し、この時、内外の滑り止め歯が噛み合い、レバーにより時計回り方向に電柱を回転し、この時、電柱は、回転ベースの異径スクレーパーの作用で地下に入り込み、電柱の地面下への入り込みの深さが下標準に達した時、回転を停止する、電柱の深さを調整するステップS6と、
電柱の基礎を埋め戻して締め固め、組立が完成するステップS7と、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明が提供した技術案は、最も近い先行技術と比べ、以下の有益な効果を奏する。
本発明に係る電柱組立装置及び方法は、崩壊区間用電柱の基礎ピットの掘削深さが不足であること、および、機械的支援がない場合に電柱組立が困難であることを解決する。
【0011】
1、本発明では、基礎ピットの形状とV型滑り板を組み合わせることにより、電柱を基礎ピットの定点位置に正確に滑り込ませることができる。前記滑り板のアークセグメントは、緩衝作用を果たし、電柱への損傷を防止し、基礎ピットの二等辺三角形のピットの開口形状とV型滑り板の特徴に合わせて電柱の底部の移動経路を制御し、電柱の底部を組立過程において基準点に正確に落下させる。
【0012】
2、本発明の回転ベースは、電柱の底部を固定するとともに、電柱が回転する場合に電柱直下の基礎に対して掘り土及び排土を行うことができ、これにより電柱の基礎の深さを増やせる。
【0013】
3、本発明における固定治具は、電柱の底部の安定性をさらに高め、電柱が傾斜することを防止する。
【0014】
4、本発明では、レバーベルトと回転ベースを組み合わせ、電柱自体に損傷を与えない同時に、レバーベルトの回転によって回転ベースを駆動し、電柱の底部を下向きに深くさせ、電柱の基礎の深さを増すことができる。
【0015】
5、本発明は、複数の対称に配置されたセルフロック式の張力ペイオフマシンを採用して電柱の定力牽引を実現し、電柱の組立過程において力受けを均一にさせ、電柱が線路から離れて繰り出しが傾斜することを防止する。
【0016】
6、本発明の張力ペイオフマシンは、繰り出し過程および巻き取り過程中に一方向にのみ回転可能であり、張力歯を通じる凸球形先端がセルフロック歯の斜面のみに摺動し、逆方向に回転する時に、張力歯とセルフロック歯が互いに制限することにより、繰り出し過程および巻き取り過程に張力ペイオフマシンが一方向のみに回転可能であることを実現し、繰り出し過程及び巻き取り過程においていずれもセルフロック機能を有する。
【0017】
本発明は、電源およびクレーン機械がない場合に電柱の組立を実現し、同じ組立効果を達成し、人件費および機械的コストを節約し、同時に電柱施工過程における安全性および組立の品質を保証する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本願の一部を構成する明細書の図面は、本発明への更なる理解を提供するため用いられ、本発明の模式的な実施例及びその説明は、本発明への解釈のために用いられ、本発明に不適当な限定するものではない。
【
図1】本発明の施工プロセスのフローグラフである。
【
図3】
図2における基礎の掘削の構造模式図である。
【
図5】本発明における回転ベースの立体構造分解図である。
【
図7】
図2における張力ペイオフマシンの立体構造模式図である。
【
図8】
図2における張力ペイオフマシンの別の立体構造模式図である。
【
図9】
図2における張力ペイオフマシンのさらに別の立体構造模式図である。
【
図10】
図7の繰り出し状態におけるセルフロック歯と張力歯の構造模式図である。
【
図11】
図7の巻き取り状態におけるセルフロック歯および張力歯の構造模式図である。
【
図12】
図2における固定治具の立体構造模式図である。
【
図13】
図2における固定治具の別の立体構造模式図である。
【
図14】本発明におけるレバーベルトの展開図である。
【
図15】
図14におけるレバーベルトが使用する状態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1~15に示すように、本発明は、崩壊区間用電柱組立装置および施工方法が開示され、
図2に示すように、崩壊区間用電柱組立装置は、電柱2の底部に配置された回転ベース4と、電柱2に合わせて基礎ピットに滑り込む滑り板3と、電柱2の底部を安定化するための固定治具6と、を含み、電柱2の一側の地上基礎に2つの張力ペイオフマシン5が設けられ、電柱2の他側において張力ペイオフマシン5に対応する箇所にウインチ1が設けられ、張力ペイオフマシン5とウインチ1がいずれもグラウンドアンカーで固定し、電柱2が滑り板3によって基礎ピットに滑り込んだ後、張力ペイオフマシン5の第1牽引綱とウインチ1の第2牽引綱とを電柱2にラッシングし、電柱2を垂直状態に調整する。
【0020】
回転ベース4は、
図2、
図5及び
図6に示すように、同軸に配置された上部固定盤401と下部固定盤402を含み、上部固定盤401の中心に取り付け孔が設けられ、下部固定盤402の中心に下盤穿孔軸が設けられ、下盤穿孔軸が取り付け孔に挿入された後に2つの可動盤の間が同軸に設定することが保証されており、2つの可動盤の間の縦方向のずれを行って、回転ベース4の安定性に影響を与えることが防止される。上部固定盤401および下部固定盤402の周囲に複数の接続ボルト403を介して固定的に接続され、下部固定盤402の他側には複数の異径スクレーパー404が周方向に沿って均等に分布(配置)され、異径スクレーパー404は固定軸405を介して下部固定盤402に固定的に接続される。
【0021】
上部固定盤401の他側には、周方向に沿って複数のL型折板406が分布され、L型折板406は、水平板と垂直板とを含み、水平板と垂直板との夾角が90°未満であり、L型折板406の水平板には長尺の凹槽が設けられ、凹槽の底部にはU型口が設けられ、接続ボルト403はU型口を通してから下部固定盤402に接続され、下部固定盤402には、接続ボルト403に対応するねじ穴が設けられており、接続ボルト403の頂部とナットは、U型口上部の凹溝に配置されており、L型折板406の揺れに影響を与えない。L型折板406の垂直板が電柱2の底部に伸入した後、水平板が電柱2の重力作用で押圧され、水平板と垂直板との夾角が90度未満であるため、垂直板の頂部が径方向に沿って外向きにずれており、摩擦ガスケット407と電柱2との内部摩擦力を増加させるために、垂直板の端部の外側にいずれも摩擦ガスケット407が設けられる。
【0022】
さらに、接続ボルト403は短いねじボルトを採用し、接続ボルト403のねじ長さは280mmであり、L型折板406は十分な可動空間を有するようにして、且つ異径スクレーパー404が硬い岩に削られると、接続ボルト403を介して接続された上部固定盤401と下部固定盤402との間に緩衝地領域が形成され、電柱2に直接損傷を与えない。
【0023】
さらに、上部固定盤401と下部固定盤402との接触面には、いずれも滑り止め歯408が設けられており、回転ベース4が取り付けられた後、電柱の重力作用で、上部固定盤401と下部固定盤402との間の滑り止め歯408の噛み合わせ力が高まり、さらに電柱が回転する時に異径スクレーパー404の回転が駆動される。
【0024】
滑り板3は、
図2と
図4に示すように、v型断面を採用し、滑り板3の底部には円弧ガイドセクション301が設けられており、円弧ガイドセクション301が電柱2を基礎ピットに滑り込む際に緩衝作用を果たす。
【0025】
固定治具6は、
図2、
図12、及び
図13に示すように、複数の前後が順次接続される固定山形鋼601を含み、各固定山形鋼601の外側には、滑動山形鋼602が摺接され、滑動山形鋼602の外側には歯付きベルト603が設けられ、各滑動山形鋼602に合わせて上方に張り出す操作ロッド604が設けられ、操作ロッド604の底部には、歯付きベルト603と噛合接続された伝動歯605が設けられ、固定山形鋼601の上部の歯付きベルト603と対応する箇所には、固定板606が設けられ、固定板606には、ストッパドリフトボルト607が設けられ、操作ロッド604は、ストッパドリフトボルト607を通した後、固定山形鋼601に回転接続される。
【0026】
さらに、滑動山形鋼602の滑動軌道を制限するために、固定山形鋼601には、滑動山形鋼602の配置方向に沿ってガイドカバー608が設けられ、滑動山形鋼602は、ガイドカバー608内に摺動する。
【0027】
さらに、前記操作ロッド604の頂部には、電柱2と固着接続されるための固定盤609が設けられ、固定盤609は、固定ボルト610で固着される2つの半円形止め輪を含み、2つの半円形止め輪には、操作ロッド604に対応する取り付け孔が設けられる。
【0028】
張力ペイオフマシン5は、
図7から
図9に示ように、張力ペイオフマシンベース501を含み、張力ペイオフマシンベース501にブラケットを介して牽引綱軸502が取り付けられ、牽引綱軸502は、ペイオフマシン軸510によって回転を制御して繰り出しまたは巻き取りを行い、張力ペイオフマシン5は、セルフロック機構をさらに含む。
【0029】
セルフロック機構は、ペイオフマシン軸510の一側に軸受を介して同軸に固定される調整歯盤511を含み、調整歯盤511の外側に周方向に沿って複数のセルフロック歯512が均等に分布され、セルフロック歯512は、同じ方向に配置されている斜角歯である。
【0030】
調整歯盤511の外側のペイオフマシンベース501に張力歯盤503が固定設置され、張力歯盤503は、調整歯盤511と同軸に配置され、張力歯盤503の周方向に沿って複数の張力歯ストッパ穴508が均等に分布され、張力歯ストッパ穴508の内に、平行ピンを介して軸方向に張力歯513が摺接され、張力歯513は、セルフロック歯512の数に応じて設置され、前記張力歯513の張出端の端面が凸球形状であり、前記張力歯513は、セルフロック歯512の傾斜面上で摺動する。
【0031】
張力歯盤503の外側中心に張力調整穴504が設けられ、張力均圧盤505は調整ボルト506を介して張力調整穴504に合わせて接続され、張力均圧盤505の内側には、複数の張力歯513に対応して設けられた均圧歯507が均等に分布され、均圧歯507は、張力歯ストッパ穴508に伸入し、均圧歯507と張力歯513との間に圧縮ばね514が設けられ、圧縮ばね514と張力歯513との接触する箇所に圧力センサが設けられ、調整ボルト506を介して、均圧歯507が張力歯ストッパ穴508に伸入する深さを制御することによって、圧縮ばね514の圧力を制御し、張力歯513とセルフロック歯512との間の圧力を増加させ、圧力センサは、張力ディスプレイ509に電気的に接続され、張力ディスプレイ509の内部に圧力センサに電力を供給する電池パックがあり、張力ディスプレイ509は、張力ペイオフマシン5のこの時点の張力値を表示し、ウインチ1の第2牽引綱の引張力が張力ペイオフマシン5の第1牽引綱の引張力よりも大きい場合、張力ペイオフマシン5が綱を繰り出し、
図10に示すように、セルフロック歯512の斜面設置のため、張力ペイオフマシン5は、綱を張力方向に伸ばして繰り出すことができるが、逆方向に回転できないようにする。
【0032】
さらに、張力歯513がペイオフ過程で回転するのを防止するために、前記張力歯513と張力歯ストッパ穴508との間には、2つの対応する平行ピンが設けられる。
【0033】
さらに、張力ペイオフマシンが巻き取り機能を同時に満たすように、調整歯盤511の内側には第1歯車盤515が同軸に設けられ、第1歯車盤515の外縁のセルフロック歯512と対応する箇所に複数の第2歯車盤516が噛合配置され、第2歯車盤516は、セルフロック歯512の回転を制御し、第1歯車盤515の内側には、セルフロック歯調整盤517およびセルフロック歯調整盤517の回転を制御する調整ハンドル518が固定的に接続され、第1牽引綱を巻く必要がある場合には、調整ハンドル518を上向きに90°回転し、セルフロック歯調整盤517および第1歯車盤515がそれにつれて90°回転し、このとき、第2歯車盤516が歯車の伝達で180°回転し、これにより、セルフロック歯512が180°回転するように制御され、
図11に示すように、セルフロック機構のセルフロック機能を解除し、張力ペイオフマシン5は、逆方向に綱を巻き取り、正方向に綱を繰り出すことができない。
【0034】
さらに、セルフロック機構の全体は、ハウジングの内部に設けられ、外部環境が、セルフロック機構の内部構造に損傷とその効果に影響を与えるのを防ぐ。
【0035】
前記張力ディスプレイ509は、この時点の張力ペイオフマシン5の張力値を表示することができ、2つの張力ペイオフマシン5の張力を一致させることにより、電柱2の定力牽引を実現し、電柱2が組立時に均一に力を受け、電柱2が線路から離れて繰り出しが傾斜することを防止し、電柱の組立過程の安定性を高める。
【0036】
さらに、回転ベース4の使用に合わせるために、レバーベルト7をさらに含み、
図14および15に示すように、レバーベルト7は内歯セクション701および外歯セクション702を含み、内歯セクション701及び外歯セクション702は、それぞれレバーベルト7の内外両側に設けられ、内歯セクション701の自由端にレバー貫入穴703が設けられ、前記レバーベルト7を電柱2の外側に囲むと、その内歯セクション701と外歯セクション702とが密着に噛み合ってから円周に囲まれる。レバーベルト7に内歯セクション701と外歯セクション702のジグザグ(鋸歯状)設計が設けられ、且つ、レバーベルト7の押圧程度を保証できる前提で、電柱2の直径に応じて周長を自動調整することができ、同時に電柱2表面との摩擦力を高めることができる。
【0037】
さらに、レバー8を用いて電柱2を回転させると、レバーベルト7の外側のレバー作用支点に弾性緩衝ガスケット704が設けられ、前記弾性緩衝ガスケット704は、緩衝作用を果たすことができ、電柱2の表面への損傷を防止することができる。
【0038】
レバー8により電柱2を時計回りに回転して、このとき、電柱2は、回転ベース4の異径スクレーパー404の作用で電柱が地下に入り込み、電柱2の地面への入り込みの深さが所定の標準に達したら、回転を停止する。
【0039】
図1に示すように、崩壊区間用電柱組立装置の施工方法であって、前記実施例のいずれか一項に記載の崩壊区間用電柱組立装置を採用して施工し、前記施工方法は、
図3に示すように、電柱2を設ける箇所に基礎ピットを掘削し、前記基礎ピットの断面は二等辺三角形であり、前記二等辺三角形の底辺の垂直二等分線は、架空線路の中心と重ね合わせて、二等辺三角形の2つの等辺が斜め掘削方式を採用して行い、地面層10に掘削し、2つの傾斜面夾角は滑り板3の開口角度以上であり、基礎9底部が崩壊層11まで掘削すると、掘削を停止し、基礎9底部を平坦に修理し、すなわち掘削を完了する、基礎ピットを掘削するステップS1と、
電柱2を基礎近傍に搬送し、電柱の底部が二等辺三角形の底辺方向に向き、滑り板3は、二等辺三角形の頂角位置に配置されて基礎9内に挿入され、三角形の斜辺の夾角方向に沿って、電柱2を滑り板3の上方に置き、且つ底部に回転ベース4を取り付け、
まず、回転ベース4の上部にあるL型折板406を電柱2の底部に挿入し、次に、回転ベース4の上部固定盤401と下部固定盤402を接続ボルト403で接続し、接続ボルト403のねじ長さは280mmであり、摩擦部材に十分な可動スペースを有するようにして、電柱2の重力作用で、L型折板406と電柱2との内部摩擦力及び上下盤の滑り止め歯408の噛み合い力が高まり、さらに電柱2が回転する時に異径スクレーパー404の回転を駆動し、
回転ベース4の取り付けが完了した後、滑り板3の上方に電柱2を配置し、電柱2は、基礎ピットの形状と滑り板3の構造特徴に合わせて、電柱2の底部の移動経路を制御して、電柱2の底部が組立時に基準点に正確に落下する、電柱2を輸送及び回転ベース4の取り付けを行うステップS2と、
電柱2の一側の地上基礎には2つの張力ペイオフマシン5が設けられ、電柱2の他側の張力ペイオフマシン5に対応する箇所にウインチ1が設けられ、セルフロック式の張力ペイオフマシン5とウインチ1をグラウンドアンカーで固定し、周方向に沿って2つの張力ペイオフマシン5とウインチ1が均等に分布され、3本の牽引綱の間の夾角は120°であり、ペイオフマシン5の第1牽引綱と地面との水平夾角は45°以下とし、セルフロック式の張力ペイオフマシン5は一定の張力を与えることができ、張力調整ボルト506を調整することにより、2つのセルフロック式の張力ペイオフマシン5が等しい引張力を提供することが保証されるステップS3と、
2つの張力ペイオフマシン5とウインチ1の牽引綱を電柱の頂部から2~2.5メートルの位置にしっかりとラッシングして、ウインチ1の第2牽引綱を締め、電柱2を滑り板の方向に沿って基礎ピットに滑り込ませ、垂直状態に近づくまでに調整して、オートロック巻上機に対して5~10°傾斜する、電柱2を組立するステップS4と、
3つの固定山形鋼601をボルトで接続し、必要に応じてボルトの長さを調整することによって、固定治具が電柱2の底部に落ちることを保証し、操作ロッド604の頂部が、固定盤609を貫入した後、操作ロッド604の頂部にロッドナット611を締め、2つの半円形止め輪を固定ボルト610で固定して、固定治具6を電柱2に沿って電柱の底部に落下させ、固定治具6の底面を基礎9の底面と面一にし、同時に操作ロッド604の頂部を地面から露出させ、作業員は、操作ロッド604の方向を調整することにより、滑動山形鋼602の地面下への深さを制御し、滑動山形鋼602が完全に突出した後、電柱2を垂直状態に調整し、
さらに、滑動山形鋼602と固定山形鋼601とは相対的にスライド可能であり、スライド経路は、固定カバー608によって制限され、固定カバー608と固定山形鋼601とは一体構造となっている、固定治具6を取り付けるステップS5と、
電柱2の地面から上へ約1.3mの箇所にレバーベルト7を一周に囲み、レバー8のヘッドは、レバー貫入穴703により貫入し、緩衝ガスケット704に押し、この時、内歯セクション701と外歯セクション702とが噛み合って円周に囲まれた後、レバー8により時計回り方向に電柱2を回転し、この時、電柱2は、回転ベース4の異径スクレーパー404の作用で地下に入り込み、電柱2の地面への入り込みの深さが所定の標準に達した時、回転を停止する、電柱2の深さを調整するステップS6と、
電柱の基礎を埋め戻して圧縮する、組立が完成するステップS7と、を含む。
【符号の説明】
【0040】
1 ウインチ
2 電柱
3 滑り板
301 円弧ガイドセクション
4 回転ベース
401 上部固定盤
402 下部固定盤
403 接続ボルト
404 異径スクレーパー
405 固定軸
406 L型折板
407 摩擦ガスケット
408 滑り止め歯
5 張力ペイオフマシン
501 張力ペイオフマシンベース
502 牽引綱軸
503 張力歯盤
504 張力調整穴
505 張力均圧盤
506 調整ボルト
507 均圧歯
508 張力歯ストッパ穴
509 張力ディスプレイ
510 ペイオフマシン軸
511 調整歯盤
512 セルフロック歯
513 張力歯
514 圧縮ばね
515 第1歯車盤
516 第2歯車盤
517 セルフロック歯調整盤
518 調整ハンドル
6 固定治具
601 固定山形鋼
602 滑動山形鋼
603 歯付きベルト
604 操作ロッド
605 伝動歯
606 固定板
607 ストッパドリフトボルト
608 ガイドカバー
609 固定盤
610 固定ボルト
611 ナット
7 レバーベルト
701 内歯セクション
702 外歯セクション
703 レバー貫入穴
704 弾性緩衝ガスケット
8 レバー
9 基礎
10 地面層
11 崩壊層