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特許7142997生体情報演算システム、サーバ、及び生体情報演算方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-16
(45)【発行日】2022-09-28
(54)【発明の名称】生体情報演算システム、サーバ、及び生体情報演算方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/02 20060101AFI20220920BHJP
   G16H 10/40 20180101ALI20220920BHJP
【FI】
A61B5/02 310Z
G16H10/40
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022063154
(22)【出願日】2022-04-05
【審査請求日】2022-04-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520339242
【氏名又は名称】SSST株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】倉沢 進太郎
(72)【発明者】
【氏名】千野 駿
【審査官】湊 和也
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-145930(JP,A)
【文献】国際公開第2017/188099(WO,A1)
【文献】特許第6864894(JP,B1)
【文献】特許第6918394(JP,B1)
【文献】特許第6899609(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/02-5/03
G16H 10/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの生体情報を評価する生体情報演算システムであって、
前記ユーザの脈波の特徴を含むセンサデータを取得する取得部と、
前記センサデータから検証データを抽出する抽出部と、
前記検証データに基づき、前記センサデータの計測精度を示す検証結果を生成する検証部と、
前記センサデータから抽出された評価データに基づき、前記センサデータに対する前記生体情報を生成する生成部と、
前記計測精度を特定するための検証分類情報が複数記憶されたデータベースと、
を備え、
前記検証部は、複数の前記検証分類情報のうち少なくとも1つを参照し、前記検証データに基づく前記検証結果を生成し、
前記評価データは、前記検証データとは異なるデータを示し、前記脈波の特徴を含むこと
を特徴とする生体情報演算システム。
【請求項2】
前記生成部は、前記検証結果を前記生体情報に紐づけることを含むこと
を特徴とする請求項1記載の生体情報演算システム。
【請求項3】
前記生成部は、前記検証結果に基づき、生成する前記生体情報の種類を特定することを含むこと
を特徴とする請求項1又は2記載の生体情報演算システム。
【請求項4】
前記データベースには、前記評価データから前記生体情報を生成する際に用いられる分類情報が、前記検証分類情報毎に記憶され、
前記生成部は、前記検証分類情報に対応する前記分類情報を参照し、前記評価データに基づく前記生体情報を生成すること
を特徴とする請求項記載の生体情報演算システム。
【請求項5】
前記取得部、前記抽出部、及び前記検証部を含む生体情報演算装置と、
前記生成部を含むサーバと、
をさらに備え、
前記生成部は、前記生体情報演算装置から送信された前記センサデータを受信し、前記センサデータから前記評価データを抽出し、前記評価データに基づき生成した前記生体情報を、前記生体情報演算装置に送信すること
を特徴とする請求項1又は2記載の生体情報演算システム。
【請求項6】
請求項に記載された生体情報演算システムに用いられること
を特徴とするサーバ。
【請求項7】
ユーザの生体情報を評価する生体情報演算システムであって、
前記ユーザの前記生体情報の特徴を含むセンサデータを取得する取得部と、
前記センサデータから検証データを抽出する抽出部と、
前記検証データに基づき、前記センサデータの計測精度を示す検証結果を生成する検証部と、
前記センサデータから抽出され、前記検証データとは異なる評価データに基づき、前記センサデータに対する前記生体情報を生成する生成部と、
前記計測精度を特定するための検証分類情報が複数記憶されたデータベースと、
を備え
前記検証部は、複数の前記検証分類情報のうち少なくとも1つを参照し、前記検証データに基づく前記検証結果を生成すること
を特徴とする生体情報演算システム。
【請求項8】
ユーザの生体情報を評価する生体情報演算方法であって、
前記ユーザの脈波の特徴を含むセンサデータを取得する取得ステップと、
前記センサデータから検証データを抽出する抽出ステップと、
前記検証データの計測精度を示す検証結果を生成する検証ステップと、
前記センサデータから抽出された評価データに基づき、前記センサデータに対する前記生体情報を生成する生成ステップと、
を備え、
前記検証ステップは、前記計測精度を特定するための複数の検証分類情報のうち少なくとも1つを参照し、前記検証データに基づく前記検証結果を生成し、
前記評価データは、前記検証データとは異なるデータを示し、前記脈波の特徴を含むこと
を特徴とする生体情報演算方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体情報演算システム、サーバ、及び生体情報演算方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生体情報を測定したときの測定状態を判断する方法として、例えば特許文献1のような生体情報検出装置が提案されている。
【0003】
特許文献1では、生体情報を所定時間測定する生体センサと、生体センサの出力をA/D変換してサンプリングデータを得るA/D変換手段と、サンプリングデータを記憶する記憶手段と、記憶手段に記憶されているサンプリングデータを周波数解析して、解析結果を記憶部に記憶する周波数解析手段と、記憶手段に記憶されている周波数解析結果から生体状態値を算出する生体状態値算出手段と、記憶手段に記憶されている周波数解析結果からSN比を算出するSN比算出手段と、SN比が所定のしきい値を超えているか否かに基づいて生体状態値の信頼性を判定する判定手段と、信頼性の判定結果と生体状態値とを関連つけて記憶する測定データ保存手段とを備える旨が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2005-323734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1では、サンプリングデータの周波数解析結果から、生体状態値及びSN比(signal-noise ratio)を算出し、信頼性の判定等を実施する旨が開示されている。即ち、特許文献1に開示された信頼性の判定は、生体状態値を算出する際のデータにおけるSN比を、判定対象とすることを前提としている。この場合、生体状態値を算出する際に影響する周波数の特徴が、SN比の低下要因として認識される可能性がある。このため、例えば実際には信頼性の高い生体状態値に対しても、信頼性の低い生体状態値と判定される恐れがある。
【0006】
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、生体情報を生成する際の計測精度を明確にすることができる生体情報演算システム、サーバ、及び生体情報演算方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明に係る生体情報演算システムは、ユーザの生体情報を評価する生体情報演算システムであって、前記ユーザの脈波の特徴を含むセンサデータを取得する取得部と、前記センサデータから検証データを抽出する抽出部と、前記検証データに基づき、前記センサデータの計測精度を示す検証結果を生成する検証部と、前記センサデータから抽出された評価データに基づき、前記センサデータに対する前記生体情報を生成する生成部と、前記計測精度を特定するための検証分類情報が複数記憶されたデータベースと、を備え、前記検証部は、複数の前記検証分類情報のうち少なくとも1つを参照し、前記検証データに基づく前記検証結果を生成し、前記評価データは、前記検証データとは異なるデータを示し、前記脈波の特徴を含むことを特徴とする。
【0008】
第2発明に係る生体情報演算システムは、第1発明において、前記生成部は、前記検証結果を前記生体情報に紐づけることを含むことを特徴とする。
【0010】
発明に係る生体情報演算システムは、第1発明又は第2発明において、前記生成部は、前記検証結果に基づき、生成する前記生体情報の種類を特定することを含むことを特徴とする。
【0014】
発明に係る生体情報演算システムは、第発明において、前記データベースには、前記評価データから前記生体情報を生成する際に用いられる分類情報が、前記検証分類情報毎に記憶され、前記生成部は、前記検証分類情報に対応する前記分類情報を参照し、前記評価データに基づく前記生体情報を生成することを特徴とする。
【0017】
発明に係る生体情報演算システムは、第1発明又は第2発明において、前記取得部、前記抽出部、及び前記検証部を含む生体情報演算装置と、前記生成部を含むサーバと、をさらに備え、前記生成部は、前記生体情報演算装置から送信された前記センサデータを受信し、前記センサデータから前記評価データを抽出し、前記評価データに基づき生成した前記生体情報を、前記生体情報演算装置に送信することを特徴とする。
【0018】
発明に係るサーバは、第発明に記載された生体情報演算システムに用いられることを特徴とする。
【0019】
発明に係る生体情報演算システムは、ユーザの生体情報を評価する生体情報演算システムであって、前記ユーザの前記生体情報の特徴を含むセンサデータを取得する取得部と、前記センサデータから検証データを抽出する抽出部と、前記検証データに基づき、前記センサデータの計測精度を示す検証結果を生成する検証部と、前記センサデータから抽出され、前記検証データとは異なる評価データに基づき、前記センサデータに対する前記生体情報を生成する生成部と、前記計測精度を特定するための検証分類情報が複数記憶されたデータベースと、を備え、前記検証部は、複数の前記検証分類情報のうち少なくとも1つを参照し、前記検証データに基づく前記検証結果を生成することを特徴とする。
【0020】
発明に係る生体情報演算方法は、ユーザの生体情報を評価する生体情報演算方法であって、前記ユーザの脈波の特徴を含むセンサデータを取得する取得ステップと、前記センサデータから検証データを抽出する抽出ステップと、前記検証データの計測精度を示す検証結果を生成する検証ステップと、前記センサデータから抽出された評価データに基づき、前記センサデータに対する前記生体情報を生成する生成ステップと、を備え、前記検証ステップは、前記計測精度を特定するための複数の検証分類情報のうち少なくとも1つを参照し、前記検証データに基づく前記検証結果を生成し、前記評価データは、前記検証データとは異なるデータを示し、前記脈波の特徴を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
第1発明~第発明によれば、検証部は、検証データに基づき、検証結果を生成する。また、生成部は、評価データに基づき、生体情報を生成する。また、評価データは、検証データとは異なるデータを示す。即ち、検証結果は、生体情報を生成する際に用いられる評価データとは異なるデータに基づき生成される。このため、生体情報を生成する際に影響するデータの特徴に依らず、センサデータの計測精度を検証結果として生成することができる。これにより、生体情報を生成する際の計測精度を明確にすることが可能となる。
また、第1発明~第7発明によれば、検証部は、複数の検証分類情報のうち少なくとも1つを参照し、検証データに基づく検証結果を生成する。このため、検証結果を生成する際、検証データの特徴に応じて最適な生成方法を実施することができる。これにより、検証結果の精度向上を図ることが可能となる。
【0022】
また、第1発明~第発明によれば、評価データは、検証データとは異なるデータを示し、脈波の特徴を含む。このため、スペクトル等を用いた生体情報の生成に比べて、皮膚の色等のような不要な情報が混在し難い。これにより、高精度な生体情報の生成を実現することが可能となる。
【0023】
特に、第2発明によれば、生成部は、検証結果を生体情報に紐づける。このため、生体情報を生成する際に用いたセンサデータの計測精度を明確にできるほか、生体情報が信頼できるか否かを容易に判断することができる。これにより、生体情報の信頼度を向上させることが可能となる。
【0025】
特に、第発明によれば、生成部は、検証結果に基づき、生成する生体情報の種類を特定する。このため、センサデータの計測精度に適した種類の生体情報を容易に生成することができる。これにより、生体情報演算システムの用途を拡張することが可能となる。
【0029】
特に、第発明によれば、生成部は、検証結果に対応する分類情報を参照し、評価データに基づく生体情報を生成する。このため、検証分類情報毎に最適な生体情報の生成を実施することができる。これにより、生体情報の精度向上を図ることが可能となる。
【0032】
特に、第発明によれば、サーバの生成部は、生体情報演算装置から送信されたセンサデータを受信し、センサデータから評価データを抽出し、評価データに基づき生成した生体情報を、生体情報演算装置に送信する。即ち、センサデータに対する生成情報の生成は、サーバで実施する。このため、生体情報演算装置に対し、生体情報を生成する際の負荷を低減させることができる。これにより、生体情報演算装置の利便性を向上させることが可能となる。
【0033】
特に、第発明によれば、サーバは、生体情報演算システムに用いられる。これにより、生体情報演算装置の利便性を向上させるためのサーバを実現することが可能となる。
【0034】
発明によれば、検証ステップは、検証データに基づき、検証結果を生成する。また、生成ステップは、評価データに基づき、生体情報を生成する。また、評価データは、検証データとは異なるデータを示す。即ち、検証結果は、生体情報を生成する際に用いられる評価データとは異なるデータに基づき生成される。このため、生体情報を生成する際に影響するデータの特徴に依らず、センサデータの計測精度を検証結果として生成することができる。これにより、生体情報を生成する際の計測精度を明確にすることが可能となる。
また、第8発明によれば、検証ステップは、複数の検証分類情報のうち少なくとも1つを参照し、検証データに基づく検証結果を生成する。このため、検証結果を生成する際、検証データの特徴に応じて最適な生成方法を実施することができる。これにより、検証結果の精度向上を図ることが可能となる。
【0035】
また、第発明によれば、評価データは、検証データとは異なるデータを示し、脈波の特徴を含む。このため、スペクトル等を用いた生体情報の生成に比べて、皮膚の色等のような不要な情報が混在し難い。これにより、高精度な生体情報の生成を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1図1は、第1実施形態における生体情報演算システムの一例を示す模式図である。
図2図2は、第1実施形態における生体情報演算システムの動作の一例を示す模式図である。
図3図3(a)は、検証データの一例を示す模式図であり、図3(b)~図3(d)は、検証データを抽出する際に用いられる処理の例を示す模式図である。
図4図4(a)及び図4(b)は、検証データの他の例を示す模式図である。
図5図5(a)は、評価データの一例を示す模式図であり、図5(b)は、評価データを抽出する際に用いられる処理の例を示す模式図である。
図6図6(a)及び図6(b)は、検証分類情報の例を示す模式図である。
図7図7(a)及び図7(b)は、分類情報の例を示す模式図である。
図8図8(a)及び図8(b)は、検証分類情報と分類情報との関係の例を示す模式図である。
図9図9(a)は、生体情報演算装置の構成の一例を示す模式図であり、図9(b)は、生体情報演算装置の機能の一例を示す模式図である。
図10図10(a)及び図10(b)は、センサの一例を示す模式図である。
図11図11は、第1実施形態における生体情報演算システムの動作の一例を示すフローチャートである。
図12図12は、第1実施形態における生体情報演算システムの動作の第1変形例を示す模式図である。
図13図13は、第1実施形態における生体情報演算システムの動作の第2変形例を示す模式図である。
図14図14は、第2実施形態における生体情報演算システムの動作の一例を示す模式図である。
図15図15は、第3実施形態における生体情報演算システムの動作の一例を示す模式図である。
図16図16は、第4実施形態における生体情報演算システムの動作の一例を示す模式図である。
図17図17は、第5実施形態における評価データの一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施形態における生体情報演算システム、サーバ、及び生体情報演算方法の一例について、図面を参照しながら説明する。
【0038】
(第1実施形態:生体情報演算システム100)
図1は、第1実施形態における生体情報演算システム100の一例を示す模式図である。
【0039】
生体情報演算システム100は、ユーザの生体情報を評価するために用いられる。生体情報演算システム100は、ユーザの脈波の特徴を含むセンサデータから、センサデータの計測精度を示す検証結果、及び生体情報の生成を実現できる。なお、「生体情報」とは、例えば脈波から推定できる血液の特徴や、体の特徴等を示す。
【0040】
生体情報演算システム100は、例えば図1に示すように、生体情報演算装置1を備え、例えばセンサ5及びサーバ4の少なくとも何れかを備えてもよい。生体情報演算装置1は、例えば通信網3を介してセンサ5やサーバ4と接続される。
【0041】
生体情報演算システム100では、例えば図2に示すように、生体情報演算装置1が、センサ5等により生成されたセンサデータを取得する。センサデータは、特定の期間に計測され、ユーザの脈波の特徴を含むデータを示す。
【0042】
その後、生体情報演算装置1は、取得した1つのセンサデータから、検証データ及び評価データを抽出する。検証データは、センサデータの計測精度を特定するための特徴を含む。評価データは、検証データとは異なるデータを示す。即ち、生体情報演算装置1は、検証データ及び評価データを抽出する際、1つのセンサデータに対し、それぞれ異なる処理を実施する。
【0043】
評価データは、例えばセンサデータを取得したユーザの脈波の特徴を含む。この場合、スペクトル等を用いた生体情報の生成に比べて、皮膚の色等のような不要な情報が混在し難い。これにより、高精度な生体情報の生成を実現することが可能となる。
【0044】
次に、生体情報演算装置1は、検証データに基づく検証結果を生成する。この際、例えば検証データにおけるノイズに対する信号強度の比(S/N比)を算出した結果が、検証結果として生成される。検証結果は、例えば「S/N=15」等のような算出結果を示すほか、「バラつき=20%」のような一定期間における振幅形状のバラつき度合い等の算出結果を示してもよく、用途に応じて任意に設定できる。
【0045】
また、生体情報演算装置1は、評価データに基づき、センサデータに対する生体情報を生成する。生体情報を生成するタイミングは、検証結果を生成するタイミングの前後や同じタイミングでもよく、用途に応じて任意に設定できる。
【0046】
生体情報として、例えば血中二酸化炭素の特徴が生成される。なお、「血中二酸化炭素の特徴」とは、ユーザの血液に含まれる二酸化炭素の程度を示す。血中二酸化炭素の特徴として、例えば血中二酸化炭素分圧(PaCO)の値が用いられるほか、血中二酸化炭素の溶存濃度や、血液に含まれる重炭酸・バイカーボネート(HCO )の濃度が用いられてもよく、状況に応じて血液のpHを考慮した値が用いられてもよい。
【0047】
上記のほか、例えば生体情報として、血糖値、血圧、酸素飽和度、乳酸値、脈拍数、呼吸数、ストレスレベル、血管年齢等のような、脈波から推定できる特徴が生成されてもよい。なお、「脈波から推定できる特徴」とは、上述した項目に対応する値を示すほか、上述した項目の傾向や、基準値からの乖離度合いを示してもよい。
【0048】
生体情報演算装置1は、例えばデータベースに記憶された分類情報を参照し、評価データに基づく生体情報を生成する。分類情報は、例えば評価データを入力データとした関数等の演算手段を示す。
【0049】
上記のような生体情報演算システム100によれば、検証結果は、生体情報を生成する際に用いられる評価データとは異なるデータに基づき生成される。このため、生体情報を生成する際に影響するデータの特徴に依らず、センサデータの計測精度を検証結果として生成することができる。これにより、生体情報を生成する際の計測精度を明確にすることが可能となる。
【0050】
以下、上述した各構成に関する詳細を説明する。
【0051】
<センサデータ>
センサデータは、ユーザの脈波の特徴を示すデータを含むほか、例えば脈波以外の特徴を示すデータを含む。センサデータは、例えば測定時間に対する振幅を示すデータを示し、用途やセンサデータの生成条件に応じたフィルタ処理を実施することで、センサデータから検証データ及び評価データを抽出することができる。
【0052】
センサデータは、ひずみセンサ、ジャイロセンサ、光電容積脈波(PPG)センサ、圧力センサ等の公知のセンサにより生成することができる。センサデータは、デジタル信号のほか、例えばアナログ信号でもよい。なお、センサデータを生成する際の測定時間は、例えば脈波の1~20周期分の測定時間であり、センサデータの処理方法や、データ通信方法等の条件に応じて、任意に設定することができる。特に、例えばひずみセンサのように、スペクトル計測とは異なる原理のセンサを用いることで、皮膚の色等のような不要な情報を排除することができる。
【0053】
<検証データ>
検証データは、例えば図3(a)に示すように、横軸の時間(例えば[msec])、及び縦軸の周波数(Hz)に対して信号強度(振幅)を色で示した3次元のデータで抽出すことができる。なお、検証データとして、例えば図4(a)及び図4(b)に示すように、横軸の時間に対して縦軸の振幅を示す2次元のデータで抽出されてもよく、例えば横軸の周波数に対して縦軸の強度を示す2次元のデータで抽出されてもよい。
【0054】
検証データとして、例えば図3(b)に示すように、センサデータに対してフーリエ変換(例えば短時間フーリエ変換)を実施し、時間波形データから変換された結果(検証データA)が抽出される。検証データとして、例えばスペクトログラムのような3次元のデータが抽出される。検証データとして3次元のデータを用いることで、2次元のデータに比べてパラメータが多くなるため、多角的な計測精度の検証が可能となる。これにより、検証結果の精度向上を図ることが可能となる。
【0055】
検証データは、例えば1秒~60秒程度の時間、及び0.1Hz~2,000Hz程度の周波数を示し、対象時間中の最大値で正規化した0~1の信号強度を示すほか、センサデータの内容に応じて任意に設定できる。なお、検証データは、スペクトログラム等に基づく画像データ形式で用いられるほか、例えば数値、行列、又はヒストグラム等の形式で用いられてもよい。
【0056】
検証データとして、例えば図3(c)に示すように、センサデータに対し、フィルタリング処理(フィルタ処理)を実施した結果(検証データB)が抽出されてもよい。この場合、検証データは、時間軸毎の振幅を示す数値の形式で用いられるほか、例えば画像データで用いられてもよい。
【0057】
検証データを抽出する際のフィルタ処理では、例えばユーザの脈波に相当する周波数帯域(例えば0.5~5.0Hz)を除いた周波数帯域を抽出するための処理が実施される。ここで、ユーザの脈波に相当する周波数帯域は、ユーザの体調等の健康状態に影響を受け易い傾向を示す。このため、センサデータに対し、ユーザの脈波に相当する周波数帯域を除く処理を実施することで、健康状態に起因するデータのバラつきを抑制した検証データを抽出することができる。これにより、検証結果の精度向上を図ることが可能となる。
【0058】
なお、検証データとして、例えば図3(d)に示すように、フィルタ処理及びフーリエ変換を実施してもよい。これにより、更なる認識精度の向上を図ることが可能となる。また、検証データを抽出する際、フィルタ処理やフーリエ変換を実施せずに、センサデータの少なくとも一部が抽出されてもよい。
【0059】
<評価データ>
評価データは、生体情報を生成するためのデータを示す。評価データは、例えば図5(a)に示すように、ユーザの脈波の特徴を含む。評価データは、例えばユーザの脈波に基づく速度脈波又は加速度脈波に相当するデータを示し、特定の周期(例えば1周期)に対する振幅を示す。
【0060】
評価データは、センサデータを生体情報演算装置1等によって処理(前処理)を実施することで抽出される。評価データは、センサデータに対し、検証データとは異なる処理を実施して抽出される。
【0061】
評価データは、例えば図5(b)に示すように、センサデータに対して複数の処理を実施することで抽出される。図5(b)に示す各処理(フィルタ処理、微分、分割、規格化)については、公知の処理技術が用いられる。センサデータに対する処理は、例えば生成する生体情報の種類に応じて任意に設定することができる。センサデータから評価データを抽出する際、例えば上述した各処理の少なくとも1つの処理のほか、公知の処理技術を用いることができる。なお、評価データは、例えばセンサデータから抽出された検証データに対し、任意の処理を実施することで抽出してもよい。
【0062】
<検証分類情報>
例えば生体情報演算システム100は、検証分類情報を参照し、検証データに基づく検証結果を生成してもよい。検証分類情報は、例えば検証データを入力データとして、検証結果を出力データとして算出する関数を示す。例えば検証分類情報として、検証データにおけるS/N比を算出するための公知の関数が用いられる。
【0063】
検証分類情報は、例えば図6(a)に示すように、参照用検証データと、参照用検証結果とを含んでもよい。例えばそれぞれ計測精度の種類や度合いが異なる複数の検証分類情報(例えば検証分類情報A、検証分類情報B、検証分類情報C)が、データベースに記憶される。
【0064】
参照用検証データは、上述した検証データと同種のデータを示し、例えば過去に取得されたセンサデータから抽出される。このため、参照用検証データは、検証データと比較可能であり、各データが同一、類似、又は非類似の判定を定量的に実施することができる。なお、検証データと、参照用検証データとを比較する方法として、例えばマッチング処理等の公知の処理技術が用いられる。
【0065】
参照用検証結果は、参照用検証データに対する計測精度を示し、例えばS/N比(例えば図6(a)の参照用検証結果A、及び参照用検証結果B)や、振幅形状のバラつき(例えば図6(a)の参照用検証結果C)を示す。参照用検証結果は、参照用検証データと紐づけられた状態で、データベースに記憶される。なお、例えばセンサ5の出荷時に、初期情報として参照用検証データ、及び計測精度を登録するように設定してもよい。
【0066】
参照用検証データ、及び参照用検証結果は、それぞれ予め取得され、検証分類情報としてデータベースに記憶される。このため、生体情報演算システム100では、検証データと、参照用検証データとを比較した結果から、センサデータの計測精度を検証することができる。なお、生体情報演算システム100では、例えば複数の検証分類情報を参照し、複数の参照用検証結果に類似する可能性を検証結果として示してもよい。
【0067】
検証分類情報は、例えば図6(b)に示すように、複数の検証学習用データを用いて構築されてもよい。この場合、検証学習用データは、参照用検証データ、及び参照用検証結果を含む。検証分類情報は、例えば計測精度の種類(例えばS/N比、振幅形状のバラつき等)毎に、複数構築してもよい。
【0068】
検証分類情報は、例えば参照用検証データと、参照用検証結果との相関関係を示す関数である。検証分類情報は、例えば参照用検証データを説明変数とし、参照用検証結果を目的変数として、回帰分析等により解析し、その解析結果に基づいて生成される検量モデルを示してもよい。この場合、検証分類情報は、例えば検量モデルを定期的に更新することができる。
【0069】
上述した回帰分析の方法として、例えばPLS(Partial Least Squares)回帰分析、SIMCA(Soft Independent Modeling of Class Analogy)法を利用した回帰分析等のような、公知の方法が用いられる。
【0070】
検証分類情報は、例えば複数の検証学習用データを用いた機械学習により構築された、学習済みモデルを含んでもよい。学習済みモデルは、例えばCNN(Convolutional Neural Network)等のニューラルネットワークモデルを示すほか、SVM(Support vector machine)等を示す。また、機械学習として、例えば深層学習を用いることができる。
【0071】
<分類情報>
分類情報は、例えば図7(a)に示すように、参照用評価データと、参照データとを含む。例えば参照データの特徴毎に異なる複数の分類情報(例えば分類情報Aは血糖値、分類情報B及び分類情報Cは血中二酸化炭素分圧の値)が、データベースに記憶される。
【0072】
参照用評価データは、上述した評価データと同種のデータを示し、例えば過去に抽出されたセンサデータから抽出される。このため、参照用評価データは、評価データと比較可能であり、各データが同一、類似、又は非類似の判定を定量的に実施することができる。なお、評価データと、参照用評価データとを比較する方法として、例えばマッチング処理等の公知の処理技術が用いられる。
【0073】
参照データは、上述した生体情報と同種のデータを含む。参照データは、例えば生体情報の対象(例えば血糖値、二酸化炭素分圧の値等)を特定するデータを含んでもよい。参照データは、参照用評価データと紐づけられた状態で、データベースに記憶される。
【0074】
参照用評価データ、及び参照データは、それぞれ予め取得され、分類情報としてデータベースに記憶される。このため、生体情報演算システム100では、評価データと、参照用評価データとを比較した結果から、評価データに基づく生体情報を生成することができる。なお、生体情報演算システム100では、例えば複数の分類情報を参照し、評価データに最も近い参照用評価データに紐づく参照データを用いて、生体情報として生成してもよい。
【0075】
分類情報は、例えば図7(b)に示すように、複数の学習用データを用いて構築されてもよい。この場合、学習用データは、参照用評価データ、及び参照データを含む。分類情報は、例えば生体情報の種類(例えば血糖値、血圧等)毎に、複数構築してもよい。
【0076】
分類情報は、例えば参照用評価データと、参照データとの相関関係を示す関数である。分類情報は、例えば参照用評価データを説明変数とし、参照データを目的変数として、回帰分析等により解析し、その解析結果に基づいて生成される検量モデルを示してもよい。この場合、分類情報は、例えば検量モデルを定期的に更新することができる。なお、回帰分析の方法として、上述した回帰分析の方法と同様に、公知の方法を用いることができる。
【0077】
分類情報は、例えば複数の学習用データを用いた機械学習により構築された、学習済みモデルを含んでもよい。学習済みモデル及び機械学習は、上述した検証分類情報と同様の内容を用いることができる。
【0078】
学習済みモデルを構築する際、例えば参照用検証結果を含んだ学習用データを用いてもよい。この場合、評価データ及び検証結果に基づき、生体情報を生成することができる。
【0079】
分類情報は、例えば図8(a)に示すように、検証分類情報毎に複数構築されてもよい。この場合、検証結果に応じた分類情報を参照することができ、計測精度毎に最適な生体情報を容易に生成することができる。なお、例えば図8(b)に示すように、複数の検証分類情報に対し、1つの分類情報が構築されてもよい。
【0080】
参照用評価データは、例えば以下の方法により取得される。
【0081】
例えば、被検者にセンサ5等を装着させ、脈波の特徴を含むセンサデータ(学習用センサデータ)を生成する。そして、学習用センサデータに対して処理を実施することで、参照用評価データを抽出することができる。なお、参照用評価データは、生体情報演算システム100のユーザから取得するほか、例えばユーザとは別のユーザから取得してもよい。即ち、上述した被検者は、生体情報演算システム100のユーザであるほか、ユーザ以外を対象としてもよく、特定又は不特定の多数でもよい。
【0082】
参照用評価データは、例えば評価データを取得する際に利用するセンサ5等の種類、センサデータの生成条件、及びセンサデータに対する処理条件と同様の内容によって取得されることが好ましい。例えば上記3つの内容を統一することで、生体情報を生成する際の精度を飛躍的に向上させることが可能となる。
【0083】
また、参照用評価データは、参照用検証データとは異なる方法やユーザを対象としたデータを含んでもよい。この場合、特定のユーザからは取得が困難なデータを、参照用評価データとして用いることができる。これにより、評価データから生体情報を生成できる範囲を広げることが可能となる。
【0084】
参照データは、例えば以下の方法により取得される。
【0085】
例えば、被検者にセンサ5等を装着させて学習用センサデータを生成する際、被検者の血中二酸化炭素の特徴等のような生体情報を計測する。これにより、参照用評価データに紐づく参照データを取得することができる。この場合、生体情報を計測するタイミングは、学習用センサデータを生成するタイミングと同時が好ましいが、例えば1~10分程度前後するタイミングでもよい。
【0086】
参照データは、公知の計測装置を用いて計測される。例えば血中二酸化炭素濃度の特徴を計測する場合、計測装置として、経皮血液ガスモニタTCM5(ラジオメーターバーゼル社製)等の装置が用いられる。例えば血中乳酸量を計測する場合、計測装置として、ラクテート・プロ2(アークレイ株式会社製)等の公知の装置が用いられる。例えば酸素飽和度を計測する場合、計測装置として、PULSOX-Neo(コニカミノルタ株式会社製)等の公知の装置が用いられる。
【0087】
<データベース>
データベースには、検証分類情報が記憶されるほか、例えば分類情報が記憶されてもよい。データベースには、例えば検証分類情報や、分類情報の構築に用いられた複数の検証学習用データや、複数の学習用データが記憶されてもよい。データベースは、例えば生体情報演算装置1又はサーバ4等に保存される。
【0088】
<生体情報演算装置1>
生体情報演算装置1は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)、携帯電話、スマートフォン、タブレット型端末、ウェアラブル端末等の電子機器を示し、例えばユーザの操作に基づいて、通信網3を介して通信可能な電子機器を示す。なお、生体情報演算装置1は、センサ5を内蔵してもよい。以下、生体情報演算装置1として、PCが用いられる場合の一例を説明する。
【0089】
図9(a)は、生体情報演算装置1の構成の一例を示す模式図であり、図9(b)は、生体情報演算装置1の機能の一例を示す模式図である。
【0090】
生体情報演算装置1は、例えば図9(a)に示すように、筐体10と、CPU(Central Processing Unit)101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、保存部104と、I/F105~107とを備える。各構成101~107は、内部バス110により接続される。
【0091】
CPU101は、生体情報演算装置1全体を制御する。ROM102は、CPU101の動作コードを格納する。RAM103は、CPU101の動作時に使用される作業領域である。
【0092】
保存部104は、検証分類情報や分類情報が記憶されたデータベースのほか、センサデータ等の各種情報が保存される。保存部104として、例えばHDD(Hard Disk Drive)のほか、SSD(Solid State Drive)等のデータ保存装置が用いられる。なお、例えば生体情報演算装置1は、図示しないGPU(Graphics Processing Unit)を有してもよく、上記の代替として公知の電子部品を備えてもよい。
【0093】
I/F105は、通信網3を介して、必要に応じてサーバ4やセンサ5等との各種情報の送受信を行うためのインターフェースである。I/F106は、入力部108との情報の送受信を行うためのインターフェースである。入力部108として、例えばキーボードが用いられ、生体情報演算装置1のユーザ等は、入力部108を介して、各種情報、又は生体情報演算装置1の制御コマンド等を入力する。I/F107は、表示部109との各種情報の送受信を行うためのインターフェースである。表示部109は、保存部104に保存された各種情報、又は評価結果等を表示する。表示部109として、ディスプレイが用いられ、例えばタッチパネル式の場合、入力部108と一体に設けられる。
【0094】
図9(b)は、生体情報演算装置1の機能の一例を示す模式図である。生体情報演算装置1は、取得部11と、抽出部12と、検証部13と、生成部14と、出力部15と、記憶部16とを備える。なお、図9(b)に示した各機能は、CPU101が、RAM103を作業領域として、保存部104等に記憶されたプログラムを実行することにより実現される。
【0095】
<取得部11>
取得部11は、ユーザの脈波の特徴を含むセンサデータを取得する。取得部11は、例えばセンサ5等からセンサデータを取得する。取得部11がセンサデータを取得するタイミングは、任意に設定することができる。
【0096】
<抽出部12>
抽出部12は、センサデータから検証データを抽出する。抽出部12は、取得部11により取得されたセンサデータに対し、上述した処理(例えば図3(b)~図3(d)に示した処理)のうち何れかの処理を実施し、検証データを抽出する。
【0097】
なお、抽出部12は、取得部11により取得されたセンサデータのうち一部を用いて、検証データを抽出してもよい。また、抽出部12は、例えば取得部11により取得されたセンサデータの少なくとも一部に対して特別な処理を実施せずに、検証データとして抽出してもよい。
【0098】
<検証部13>
検証部13は、例えば予め設定された関数を参照し、検証データから算出された値を検証結果として生成する。検証部13は、例えば検証分類情報を参照し、検証データに基づく検証結果を生成してもよい。この場合、検証部13は、例えばマッチング処理等の公知の処理技術を用いて、検証分類情報に含まれる参照用検証データと、検証データとを比較した結果を、検証結果として生成してもよい。
【0099】
検証部13は、例えば図4(a)に示すように、検証データにおけるS/N比に基づき、検証結果を生成してもよい。この場合、検証部13は、例えば予め設定された閾値と、S/N比とを比較した結果を、検証結果として生成してもよい。なお、検証結果として、例えばS/N比が一定以上の場合(例えば図4(a)では、S/N比がA以上)には「良」とし、一定未満の場合には「悪」とする等の分類結果が用いられてもよく、分類結果は用途に応じて任意に設定できる。
【0100】
検証部13は、例えば図4(b)に示すように、検証データにおける周期毎の振幅の変動度合いに基づき、検証結果を生成してもよい。この場合、検証部13は、例えば予め設定された周期毎に検証データを分割し、分割された複数のデータにおける振幅のバラつきを算出した結果を、検証結果として生成してもよい。上記のほか、例えば検証部13は、検証データの振幅に対し、予め設定された基準データとの乖離度合い(即ちバラつき)を、検証結果として生成してもよい。なお、検証結果として、例えば振幅のバラつきが一定未満(例えば図4(b)では、バラつきがB未満)の場合には「良」とし、一定以上の場合には「悪」とする等の分類結果が用いられてもよく、分類結果は用途に応じて任意に設定できる。
【0101】
検証部13は、例えば図6(a)に示すような複数の検証分類情報を参照し、検証結果を生成してもよい。この場合、センサデータの計測精度として、各検証分類情報を踏まえて検証結果に反映させることができる。なお、検証部13は、複数の検証分類情報のうち、少なくとも1つを参照して検証結果を生成してもよい。
【0102】
検証部13は、例えば複数の検証学習用データにより構築された検証分類情報を参照し、検証データに基づく検証結果を生成する。この場合、1つの検証分類情報のみを用いて、検証データから複数種類の計測精度を示す判定結果を生成することができる。このため、計測精度の種類毎に検証分類情報を準備する必要が無く、検証分類情報を保存する際の容量を削減することが可能となる。
【0103】
<生成部14>
生成部14は、センサデータから評価データを抽出する。また、生成部14は、抽出した評価データに基づき、センサデータに対する生体情報を生成する。
【0104】
生成部14は、取得部11により取得されたセンサデータに対し、上述した処理(例えば図5(b)に示した処理)のうち何れかの処理を実施し、評価データを抽出する。なお、生成部14は、取得部11により取得されたセンサデータのうち一部を用いて、評価データを抽出してもよい。
【0105】
生成部14は、例えば取得したセンサデータに対し、フィルタリング処理(フィルタ処理)を実施する。フィルタ処理では、例えば0.5~5.0Hzのバンドパスフィルタが用いられる。これにより、生成部14は、ユーザの脈波に相当するデータ(脈波データ)を抽出することができる。脈波データは、例えば速度脈波、加速度脈波、又は容積脈波に相当するデータを示し、センサの種類や用途に応じて任意に設定できる。
【0106】
なお、バンドパスフィルタのフィルタ範囲は、用途に応じて任意に設定することができるが、検証データを抽出する際に設定されたフィルタ範囲とは異なる。このため、センサデータの計測精度に必要な情報を極力排除でき、脈波の特徴に影響するデータを際立たせることができる。これにより、生体情報を生成する際の精度を向上させることが可能となる。
【0107】
生成部14は、例えば脈波データに対し、微分処理を実施する。なお、微分処理では、1回微分のほか2回以上の微分が実施されてもよい。
【0108】
生成部14は、例えば微分データに対し、分割処理を実施する。分割処理では、用途に応じて任意の周期(例えば周期の正数倍)毎に、微分データを分割することができる。
【0109】
例えば分割処理において、分割した各分割データにおけるデータ量が、それぞれ異なる場合がある。この場合、生成部14は、最も少ないデータ量の分割データを特定し、他の分割データに対して、データ量の削減(トリミング)を実施してもよい。これにより、各分割データにおけるデータ量を統一することができ、各分割データにおけるデータの対比が容易になる。
【0110】
上記のほか、例えば分割データの時間軸に対応する値を対象に規格化処理を実施してもよい。規格化処理では、例えば時間軸に対応する値の最小値を0とし、最大値を1とした規格化が実施される。これにより、各分割データにおけるデータの対比が容易になる。
【0111】
生成部14は、例えばデータ量の削減、又は規格化を実施した複数の分割データにおける平均を算出(平均処理)し、分割データとしてもよい。
【0112】
生成部14は、分割データに対し、規格化処理を実施する。規格化処理では、振幅に対応する値を対象に、規格化されたデータ(規格化データ)が生成される。規格化処理では、例えば振幅の最低値を0とし、振幅の最高値を1とした規格化が実施される。生成部14は、例えば規格化データを評価データとして取得する。
【0113】
生成部14は、上述した各処理を順次実施するほか、脈波から生体情報を生成する際に実施される公知の処理を実施することができる。
【0114】
生成部14は、例えば分類情報を参照し、評価データに基づく生体情報を生成する。生成部14は、例えばマッチング処理等の公知の処理技術を用いて、分類情報に含まれる参照用評価データと、評価データとを比較した結果から、生体情報を生成する。例えば生成部14は、参照用評価データと、評価データとを比較した結果を、予め設定された閾値を用いて評価する。その結果、閾値よりも結果が低い場合には、参照データとは乖離している旨を示す情報を生体情報として生成し、閾値よりも結果が高い場合には、参照データに近い旨を示す情報を生体情報として生成してもよい。
【0115】
生成部14は、例えば図7(a)に示すような複数の分類情報を参照し、生体情報を生成してもよい。この場合、各分類情報のうち、最も評価データに類似する分類情報を特定し、分類情報に含まれる参照データを、生体情報として生成する。
【0116】
生成部14は、例えば図7(b)に示すような、複数の学習用データにより構築された分類情報を参照し、評価データに基づく生体情報を生成する。この場合、生成する生体情報の種類が異なる場合においても、1つの分類情報のみを用いて生体情報を生成することができる。このため、生体情報の種類毎に分類情報を準備する必要が無く、分類情報を保存する際の容量を削減することが可能となる。
【0117】
生成部14は、例えば生体情報に基づく評価結果を生成してもよい。生成部14は、例えば保存部104等に予め記憶された表示用のフォーマットを用いて、生体情報についてユーザが理解できる形式に変換した評価結果を生成してもよい。
【0118】
評価結果は、例えば生体情報のほか、例えば予め設定された閾値との比較結果を含んでもよい。評価結果は、例えば時系列に沿った複数の生体情報に基づき導出した値を含んでもよい。評価結果には、例えば「健康」、「運動が必要」、「無酸素性運動中」等のような、ユーザの健康状態、健康維持に繋がる助言、運動能力の傾向に対する評価を示す情報が含まれてもよい。これにより、複数の生体情報毎の経時変化を容易に把握することができる。例えば評価結果を出力することで、ユーザの生体情報を把握することができる。
【0119】
<出力部15>
出力部15は、生体情報を出力するほか、例えば評価結果を出力してもよい。出力部15は、表示部109に生体情報等を出力するほか、例えばサーバ4やセンサ5等のような生体情報演算装置1以外の電子機器に生体情報等を出力してもよい。
【0120】
<記憶部16>
記憶部16は、保存部104に保存されたデータベース等の各種データを、必要に応じて取出す。記憶部16は、各構成11~15により取得、抽出、又は生成された各種データを、必要に応じて保存部104に保存する。
【0121】
<通信網3>
通信網3は、生体情報演算装置1に対し、サーバ4、センサ5等が通信接続するためのインターネット網等である。通信網3は、例えば生体情報演算装置1とセンサ5とを通信接続する第1通信網と、生体情報演算装置1とサーバ4とを通信接続する第2通信網とを含んでもよい。
【0122】
通信網3は、生体情報演算システム100を一定の狭いエリア内で運用する場合には、LAN(Local Area Network)等で構成されてもよい。また、通信網3は、いわゆる光ファイバ通信網で構成されてもよい。また、通信網3は、有線通信網に限定されるものではなく、無線通信網で実現されてもよく、用途に応じて任意に設定できる。
【0123】
<サーバ4>
サーバ4は、通信網3を介して送られてきた生体情報等の各種情報を保存し、蓄積する。サーバ4は、生体情報演算装置1からの要求に基づき、通信網3を介して蓄積された情報を生体情報演算装置1へと送信する。
【0124】
サーバ4は、例えば複数の生体情報演算装置1と接続され、各生体情報演算装置1から生体情報等の各種情報を取得し、一括して保存してもよい。なお、サーバ4は、上述した生体情報演算装置1の備える各機能のうち、少なくとも一部の機能を備えてもよい。
【0125】
例えばサーバ4は、上述した生体情報演算装置1に記憶されたデータベース等が記憶されてもよい。また、サーバ4は、上述した抽出部12、検証部13、生成部14の少なくとも何れかを含んでもよい。上記の場合、生体情報演算装置1の保存部104には、データベースが記憶されなくてもよいほか、抽出部12、検証部13、生成部14の少なくとも何れかを含まなくてもよい。
【0126】
<センサ5>
センサ5は、センサデータを生成する。センサ5は、例えば図10(a)に示すように、検出部6を備える。センサ5は、検出部6を介してユーザの脈波を検出可能な位置に装着され、例えばリストバンド55に固定される。
【0127】
検出部6は、ユーザの脈波を検出可能な公知の検出装置が用いられる。検出部6として、例えばファイバブラッググレーティング(FBG)センサ等のひずみセンサ、ジャイロセンサ、脈波信号測定のための1つ以上の電極、光電容積脈波(PPG)センサ、圧力センサ、及び光検出モジュールの少なくとも何れかが用いられる。検出部6は、例えば複数配置されてもよい。
【0128】
なお、センサ5は、衣服に埋め込まれてもよい。また、センサ5を装着するユーザは、人間のほか、犬や猫等のペットを対象としてもよく、例えば牛や豚等の家畜、魚等の養殖を対象としてもよい。
【0129】
センサ5は、例えば図10(b)に示すように、取得部50と、通信I/F51と、メモリ52と、命令部53とを備え、各構成がそれぞれ内部バス54で接続される。
【0130】
取得部50は、検出部6を介してユーザの脈波の特徴を含む振幅等を測定し、センサデータを生成する。取得部50は、例えば生成したセンサデータを、通信I/F51、又はメモリ52へと送信する。
【0131】
通信I/F51は、通信網3を介して、センサデータ等の各種データを生体情報演算装置1やサーバ4に送信する。また、通信I/F51は、通信網3と接続するための回線制御回路や、生体情報演算装置1やサーバ4との間でデータ通信を行うための信号変換回路等が、実装されている。通信I/F51は、内部バス54からの各種命令に変換処理を施して、これを通信網3側へ送出するとともに、通信網3からのデータを受信した場合には、これに所定の変換処理を施して内部バス54へ送信する。
【0132】
メモリ52は、取得部50から送信されたセンサデータ等の各種データを保存する。メモリ52は、例えば通信網3を介して接続される他の端末装置から命令を受けることにより、保存したセンサデータ等の各種データを、通信I/F51へ送信する。
【0133】
命令部53は、センサデータを取得するための操作ボタンやキーボード等を含み、例えばCPU等のプロセッサを含む。命令部53は、センサデータの取得の命令を受け付けた場合に、これを取得部50に通知する。この通知を受けた取得部50は、センサデータを取得する。なお、例えば命令部53は、センサデータから検証データ又は評価データを抽出する処理を実施してもよい。
【0134】
(第1実施形態:生体情報演算システム100の動作)
次に、本実施形態における生体情報演算システム100の動作の一例について説明する。図11は、本実施形態における生体情報演算システム100の動作の一例を示すフローチャートである。
【0135】
生体情報演算システム100は、例えば生体情報演算装置1内にインストールされた生体情報演算プログラムを介して実行する。即ち、ユーザは、生体情報演算装置1、又はセンサ5を操作し、生体情報演算装置1にインストールされている生体情報演算プログラムを通じて、センサデータからユーザの生体情報を生成することができる。
【0136】
生体情報演算システム100の動作は、取得ステップS110と、抽出ステップS120と、検証ステップS130と、生成ステップS140とを備え、例えば保存ステップS150を備えてもよい。
【0137】
<取得ステップS110>
取得ステップS110は、ユーザの脈波の特徴を含むセンサデータを取得する。例えばセンサ5の取得部50は、検出部6を介してユーザの脈波の特徴を含む振幅を測定し、センサデータを生成する。取得部50は、通信I/F51、及び通信網3を介して、センサデータを生体情報演算装置1へ送信する。生体情報演算装置1の取得部11は、センサ5からセンサデータを受信することで、センサデータを取得する。
【0138】
取得部11は、例えば記憶部16を介し、取得したセンサデータを保存部104に保存する。なお、取得部11がセンサ5からセンサデータを取得する頻度等の条件は、用途に応じて任意に設定することができる。例えば取得部11は、予め設定された周期でセンサデータを取得する。
【0139】
<抽出ステップS120>
抽出ステップS120は、センサデータから検証データを抽出する。例えば抽出部12は、センサデータに対し、図3(b)~図3(d)に示したフィルタ処理やフーリエ変換等の処理を実施し、検証データを抽出する。抽出部12は、例えば時間毎の振幅を示す2次元のデータのほか、スペクトログラムのような3次元のデータを、検証データとして抽出してもよい。
【0140】
<検証ステップS130>
検証ステップS130は、例えば検証分類情報を参照し、検証データに基づく検証結果を生成する。例えば検証部13は、上述した各種方法を用いて、判定結果を生成する。
【0141】
<生成ステップS140>
生成ステップS140は、例えば図2に示すように、評価データ抽出ステップS141と、生体情報生成ステップS142とを含む。評価データ抽出ステップS141は、センサデータから評価データを抽出する。生体情報生成ステップS142は、評価データに基づく生体情報を生成する。
【0142】
評価データ抽出ステップS141では、例えば生成部14が、センサデータに対し、図5(b)に示したフィルタ処理、微分等の各種処理を実施し、評価データを抽出する。生成部14は、例えば脈波に対応する時間及び振幅の2次元データを、評価データとして抽出する。なお、生成部14は、例えば3次元データを評価データとして抽出してもよい。
【0143】
生体情報生成ステップS142では、例えば生成部14が、分類情報を参照し、評価データに基づく生体情報を生成する。生成部14は、例えば分類情報を用いずに、評価データに含まれる振幅の特徴から直接生体情報を生成してもよい。例えば生成部14は、評価データのピーク間隔を脈拍数として算出した結果を、生体情報として生成する。
【0144】
なお、生体情報は、特定の値を示すほか、例えば誤差範囲(例えば「○○±2mmHg」等)を含んでもよい。また、例えば生成部14は、生体情報に基づき、上述した評価結果を生成してもよい。
【0145】
<保存ステップS150>
保存ステップS150は、例えば保存部104又はサーバ4に、生体情報を保存する。例えば出力部15は、記憶部16を介して、生体情報を保存部104に保存する。上記のほか、例えば出力部15は、生体情報をサーバ4に出力する。これにより、サーバ4は、生体情報を保存することができる。
【0146】
なお、出力部15は、例えば生体情報が生成される度にサーバ4へ送信するほか、複数の生体情報を一度にサーバ4へ送信してもよく、生体情報の送信条件は任意に設定することができる。また、保存ステップS150では、例えば生体情報の代わりに、評価結果を保存してもよい。
【0147】
これにより、生体情報演算システム100の動作が終了する。なお、各ステップを実施する頻度や順番は、用途に応じて任意に設定できる。
【0148】
生体情報演算システム100は、例えば上述した各ステップS110~S150の少なくとも何れかをサーバ4で実施してもよい。この場合、通信網3を介して、生体情報演算装置1とサーバ4との間で各種情報を送受信するための処理が含まれる。
【0149】
例えば図12に示すように、生成ステップS140がサーバ4において実施される場合、取得ステップS110には、生体情報演算装置1からサーバ4に対し、センサデータの送信が実施される。また、生成ステップS140には、サーバ4から生体情報演算装置1に対し、生体情報の送信が実施される。なお、生体情報演算装置1とサーバ4との間における各種情報の送受信は、公知の技術を用いて実現することができる。
【0150】
例えば図13に示すように、取得ステップS110が生体情報演算装置1において実施され、抽出ステップS120、検証ステップS130、及び生成ステップS140がサーバ4において実施されてもよい。この場合、サーバ4は、生体情報演算装置1から送信されたセンサデータを受信する。
【0151】
サーバ4の抽出部は、センサデータから検証データを抽出する。そして、サーバ4の検証部は、例えばサーバ4に記憶された検証分類情報又は関数を参照し、検証データに基づく検証結果を生成する。
【0152】
また、サーバ4の生成部は、センサデータから評価データを抽出し、評価データに基づく生体情報を生成する。そして、サーバ4の生成部は、生成した生体情報を、生体情報演算装置1に送信する。その後、生体情報演算装置1は生体情報を受信し、表示部109等に生体情報を表示する。
【0153】
このように、各ステップS110~150のうち少なくとも何れかをサーバ4にて実施することで、生体情報演算装置1の負荷を低減させることが可能となる。特に、検証ステップS130をサーバ4にて実施することで、検証結果を生成する際の検証分類情報を、サーバ4内で管理することができる。これにより、例えばセンサ5毎の特徴に起因する計測精度の違いを、予め把握することができる。なお、後述する各実施形態においてもサーバ4にて実施できる点、及び効果は同様のため、説明を省略する。
【0154】
本実施形態によれば、検証部13は、検証データに基づき、検証結果を生成する。また、生成部14は、評価データに基づき、生体情報を生成する。また、評価データは、検証データとは異なるデータを示す。即ち、検証結果は、生体情報を生成する際に用いられる評価データとは異なるデータに基づき生成される。このため、生体情報を生成する際に影響するデータの特徴に依らず、センサデータの計測精度を検証結果として生成することができる。これにより、生体情報を生成する際の計測精度を明確にすることが可能となる。
【0155】
また、本実施形態によれば、評価データは、検証データとは異なるデータを示し、脈波の特徴を含む。このため、スペクトル等を用いた生体情報の生成に比べて、皮膚の色等のような不要な情報が混在し難い。これにより、高精度な生体情報の生成を実現することが可能となる。
【0156】
また、本実施形態によれば、抽出部12は、第1周波数情報を用いて、センサデータから検証データを抽出する。また、生成部14は、第2周波数情報を用いて、センサデータから評価データを抽出する。また、第1周波数情報は、第2周波数情報を除いた周波数を含む。即ち、検証データとして、評価データの特徴が含まれないデータが抽出される。このため、ユーザの生活状態等に影響を受け易いデータを除いた部分を、検証データとして用いることができる。これにより、検証結果を生成する際の精度向上を図ることが可能となる。
【0157】
また、本実施形態によれば、検証データは、スペクトログラムを示す。また、評価データは、脈波に対応する2次元データを示す。このため、それぞれ最適なデータ種類に基づき、検証結果及び生体情報を生成することができる。これにより、検証結果及び生体情報の精度向上を図ることが可能となる。
【0158】
また、本実施形態によれば、検証部13は、複数の検証分類情報のうち少なくとも1つを参照し、検証データに基づく検証結果を生成する。このため、検証結果を生成する際、検証データの特徴に応じて最適な生成方法を実施することができる。これにより、検証結果の精度向上を図ることが可能となる。
【0159】
また、本実施形態によれば、生成部14は、検証結果に対応する分類情報を参照し、評価データに基づく生体情報を生成する。このため、検証分類情報毎に最適な生体情報の生成を実施することができる。これにより、生体情報の精度向上を図ることが可能となる。
【0160】
また、本実施形態によれば、検証部13は、検証データにおけるノイズに対する信号強度の比に基づき、検証結果を生成する。このため、検証結果として、計測方法に起因する情報に加えて、センサ起因等のような定常的に影響し得る情報も含めることができる。これにより、検証結果を踏まえた生体情報の精度向上を図ることが可能となる。
【0161】
また、本実施形態によれば、検証部13は、検証データにおける周期毎の振幅の変動度合いに基づき、検証結果を生成する。このため、検証結果として、突発的な計測条件の変動に起因する情報を含めることができる。これにより、検証結果を踏まえた生体情報の精度向上を図ることが可能となる。
【0162】
また、本実施形態によれば、サーバ4の生成部は、生体情報演算装置1から送信されたセンサデータを受信し、センサデータから評価データを抽出し、評価データに基づき生成した生体情報を、生体情報演算装置1に送信する。即ち、センサデータに対する生成情報の生成は、サーバ4で実施する。このため、生体情報演算装置1に対し、生体情報を生成する際の負荷を低減させることができる。これにより、生体情報演算装置1の利便性を向上させることが可能となる。
【0163】
また、本実施形態によれば、サーバ4は、生体情報演算システム100に用いられる。これにより、生体情報演算装置1の利便性を向上させるためのサーバ4を実現することが可能となる。
【0164】
(第2実施形態:生体情報演算システム100)
次に、第2実施形態における生体情報演算システム100の一例について説明する。上述した実施形態と、第2実施形態との違いは、検証結果と、生体情報とを紐づける点である。なお、上述した実施形態と同様の内容については、説明を省略する。
【0165】
本実施形態における生体情報演算システム100では、例えば図14に示すように、生体情報生成ステップS142において、生体情報が検証結果に紐づけられる。例えば生成部14は、生体情報を生成したあと、検証部13により生成された検証結果を生体情報に紐づけることを含む。生成部14は、例えば生体情報と検証結果とを紐づけた結果を含む評価結果を生成してもよい。なお、生体情報と検証結果とを紐づける方法は、公知の方法を用いることができ、用途に応じて任意に設定できる。
【0166】
本実施形態によれば、生成部14は、検証結果を生体情報に紐づける。このため、生体情報を生成する際に用いたセンサデータの計測精度を明確にできるほか、生体情報が信頼できるか否かを容易に判断することができる。これにより、生体情報の信頼度を向上させることが可能となる。
【0167】
(第3実施形態:生体情報演算システム100)
次に、第3実施形態における生体情報演算システム100について説明する。上述した実施形態と、本実施形態との違いは、生体情報の生成が、検証結果に依存する点である。なお、上述した実施形態と同様の内容については、説明を省略する。
【0168】
本実施形態における生体情報演算システム100では、例えば図15に示すように、生成ステップS140は、検証結果に基づき、生体情報を生成するか否かを選択することを含む。例えば生成部14は、検証部13により生成された検証結果と、予め設定された生成条件とを比較し、生体情報を生成するか否かを選択する。なお、検証結果と生成条件とを比較する方法として、マッチング処理等のような公知の技術が用いられる。
【0169】
生成条件は、例えば検証結果と同種のデータを示す。例えば検証結果がS/N比を示すデータである場合、生成条件として、S/N比を示すデータが用いられる。これにより、生成部14は、検証結果と生成条件とが一致、又は検証結果が生成条件以上の場合等に、生体情報を生成することができる。なお、生成条件は、例えばデータベース等に記憶される。
【0170】
なお、生成ステップS140では、生成条件に基づき、生体情報生成ステップS142を実施するか否かを選択するほか、評価データ抽出ステップS141を実施するか否かを選択してもよい。何れの場合においても、生体情報の生成を、判定結果に依存させることができる。
【0171】
例えば図12に示すように、生体情報演算装置1の検証部13において検証ステップS130を実施し、生成部14において検証結果と生成条件とを比較してもよい。この場合、検証結果と生成条件に応じて、センサデータをサーバ4に送信するか否かを設定することができる。これにより、サーバ4側に不要なセンサデータを送信する必要が無い。従って、サーバ4に蓄積されるデータ容量の負荷を低減することが可能となる。
【0172】
本実施形態によれば、生成部14は、検証結果に基づき、生体情報を生成するか否かを選択する。このため、センサデータの計測精度に応じて、不要な生体情報の生成を抑制することができる。これにより、用途に沿った良質の生体情報を効率的に生成することが可能となる。
【0173】
(第4実施形態:生体情報演算システム100)
次に、第4実施形態における生体情報演算システム100の一例について説明する。上述した実施形態と、第4実施形態との違いは、生成する生体情報の種類が、検証結果に依存する点である。なお、上述した実施形態と同様の内容については、説明を省略する。
【0174】
本実施形態における生体情報演算システム100では、例えば図16に示すように、生成ステップS140は、検証結果に基づき、生成する生成情報の種類を特定する。例えば生成部14は、検証部13により生成された検証結果と、予め設定された特定条件とを比較し、生体情報の種類を選択する。なお、検証結果と特定条件とを比較する方法として、マッチング処理等のような公知の技術が用いられる。
【0175】
特定条件は、例えば検証結果と同種のデータを含む。例えば検証結果がS/N比を示すデータである場合、特定条件として、S/N比を示すデータが用いられる。これにより、生成部14は、例えば検証結果が特定条件以上の場合、及び特定条件未満の場合において、それぞれ異なる種類の生体情報を生成することができる。なお、特定条件の数や生体情報の種類については、用途に応じて任意に設定することができる。なお、特定条件は、例えばデータベース等に記憶される。
【0176】
なお、生成ステップS140では、特定条件に基づき、生体情報生成ステップS142において生成する生体情報の種類を特定するほか、評価データ抽出ステップS141において、センサデータに対して実施する処理を特定してもよい。この場合、生成される生体情報に適した評価データを容易に抽出することができる。これにより、生体情報の精度向上を図ることが可能となる。
【0177】
本実施形態によれば、生成部14は、検証結果に基づき、生成する生体情報の種類を特定する。このため、センサデータの計測精度に適した種類の生体情報を容易に生成することができる。これにより、生体情報演算システム100の用途を拡張することが可能となる。
【0178】
(第5実施形態:生体情報演算システム100)
次に、第5実施形態における生体情報演算システム100の一例について説明する。上述した実施形態と、第5実施形態との違いは、センサデータの特徴が異なる点である。なお、上述した実施形態と同様の内容については、説明を省略する。
【0179】
本実施形態における生体情報演算システム100では、センサデータとして、特定の波長領域に対応する分光データが用いられる。分光データは、1ヶ所を対象としたデータのほか、線状領域(一次元)又は面状領域(二次元)を対象としたデータを示してもよい。分光データは、例えば特定の時間に亘り取得された複数のデータを含んでもよい。
【0180】
分光データは、対象の吸収スペクトルを示すほか、透過スペクトル等を示してもよく、用途に応じて任意に設定することができる。分光データとして、例えば可視光から赤外光の波長帯域のうち、計測対象に応じて任意の波長領域を設定することができる。
【0181】
センサデータを生成するセンサ5として、公知の光センサが用いられ、例えばCCD(charge-coupled device)等の撮像素子が用いられてもよい。センサ5は、例えば回折格子を含んでもよい。
【0182】
検証データは、例えば予め設定された波長範囲の分光データを示す。この場合、例えば検証部13は、分光データにおけるS/N比を算出し、検証結果として生成する。上記のほか、検証部13は、例えば分光データにおける分解能を算出し、検証結果として生成してもよい。なお、分解能を算出する対象となるスペクトルは、用途に応じて任意に設定することができる。
【0183】
評価データは、例えば図17に示すように、分光データから抽出された生体情報の特徴を含むデータを示し、例えばラクテート、アラニン、エタノール、グルコース等を示す。この場合、分光データには、例えば上記生体情報の特徴を示す吸収波長(例えばグルコースの濃度:1130nm~1500nm程度)の強度が含まれ、この波長領域の強度を評価データとして抽出することで、評価データに基づく生体情報を生成することができる。
【0184】
本実施形態によれば、センサデータは、分光データを示す。このため、公知の分光処理等を用いて、結果を生成することができる。これにより、生体情報演算システム100の導入を容易に実現することが可能となる。
【0185】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。このような新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0186】
1 :生体情報演算装置
3 :通信網
4 :サーバ
5 :センサ
6 :検出部
10 :筐体
11 :取得部
12 :抽出部
13 :検証部
14 :生成部
15 :出力部
16 :記憶部
50 :取得部
51 :通信I/F
52 :メモリ
53 :命令部
54 :内部バス
55 :リストバンド
100 :生体情報演算システム
101 :CPU
102 :ROM
103 :RAM
104 :保存部
105 :I/F
106 :I/F
107 :I/F
108 :入力部
109 :表示部
110 :内部バス
S110 :取得ステップ
S120 :抽出ステップ
S130 :検証ステップ
S140 :生成ステップ
S141 :評価データ抽出ステップ
S142 :生体情報生成ステップ
S150 :保存ステップ
【要約】
【課題】生体情報を生成する際の計測精度を明確にすることができる生体情報演算システム、サーバ、及び生体情報演算方法を提供する。
【解決手段】ユーザの生体情報を評価する生体情報演算システム100であって、前記ユーザの脈波の特徴を含むセンサデータを取得する取得部と、前記センサデータから検証データを抽出する抽出部と、前記検証データに基づき、前記センサデータの計測精度を示す検証結果を生成する検証部と、前記センサデータから抽出された評価データに基づき、前記センサデータに対する前記生体情報を生成する生成部と、を備える。前記評価データは、前記検証データとは異なるデータを示し、前記脈波の特徴を含む。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17