(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-16
(45)【発行日】2022-09-28
(54)【発明の名称】ハンドル装置
(51)【国際特許分類】
E05B 1/00 20060101AFI20220920BHJP
【FI】
E05B1/00 311G
(21)【出願番号】P 2018083186
(22)【出願日】2018-04-24
【審査請求日】2021-03-05
(73)【特許権者】
【識別番号】390037028
【氏名又は名称】美和ロック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【氏名又は名称】北村 周彦
(72)【発明者】
【氏名】児島 龍一
(72)【発明者】
【氏名】玉井 久範
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】実開昭58-099450(JP,U)
【文献】特開2017-115506(JP,A)
【文献】実開昭55-118851(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00
E05C 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラッチ錠を有する扉面に取り付けられるハンドル装置であって、
前記扉面に固定される第1台座と、
前記第1台座から所定間隔を空けて前記扉面に固定される第2台座と、
一端部が前記第1台座に固定され、他端部が前記第2台座に固定され、前記第1台座と前記第2台座とを連結するグリップハンドルと、
該グリップハンドルに対して近接離間する方向に平行移動可能に設けられるハンドラッチと、
前記第1台座と前記第2台座の少なくともいずれか一方の台座に設けられ、前記ハンド
ラッチの平行移動に伴って動作するラッチレバーと、
前記グリップハンドルと前記ハンドラッチとを連結し、前記ハンドラッチの平行移動に伴って揺動するシンクロバーと、
前記ハンドラッチを前記グリップハンドルから離間する方向へ付勢する付勢機構と、
を備え、
前記シンクロバーは、第1支軸を介して互いに回動可能に連結される第1アーム及び第2アームを備え、前記第1アーム及び前記第2アームは、第2支軸を介して前記ハンドラッチに対して回動可能に支持されると共に、第3支軸を介して前記グリップハンドルに回動可能に支持され、
前記第1支軸は前記グリップハンドルと前記
ハンドラッチとにより囲まれた空間の中央部に配置され、前記第2支軸は該空間の両端部に配置され、前記第3支軸は前記第1支軸と前記第2支軸の中間位置に配置されていることを特徴とするハンドル装置。
【請求項2】
ラッチ錠を有する扉面に取り付けられるハンドル装置であって、
前記扉面に固定される第1台座と、
前記第1台座から所定間隔を空けて前記扉面に固定される第2台座と、
一端部が前記第1台座に固定され、他端部が前記第2台座に固定され、前記第1台座と前記第2台座とを連結するグリップハンドルと、
該グリップハンドルに対して近接離間する方向に平行移動可能に設けられるハンドラッチと、
前記第1台座と前記第2台座の少なくともいずれか一方の台座に設けられ、前記ハンド
ラッチの平行移動に伴って動作するラッチレバーと、
前記グリップハンドルと前記ハンドラッチとを連結し、前記ハンドラッチの平行移動に伴って揺動するシンクロバーと、
前記ハンドラッチを前記グリップハンドルから離間する方向へ付勢する付勢機構と、
を備え、
前記シンクロバーは、第1支軸を介して互いに回動可能に連結される第1アーム及び第2アームを備え、前記第1アーム及び前記第2アームは、第2支軸を介して前記ハンドラッチに対して回動可能に支持されると共に、第3支軸を介して前記グリップハンドルに回動可能に支持され、
前記第1支軸は前記グリップハンドルと前記
ハンドラッチとにより囲まれた空間の中央部に配置され、前記第3支軸は該空間の両端部に配置され、前記第2支軸は前記第1支軸と前記第
3支軸の中間位置に配置されていることを特徴とするハンドル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラッチ錠によって閉止状態を保持する扉面に取り付けられるハンドル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、扉の閉止状態(仮締まり状態)を保持するための錠構造として、所謂「ラッチ錠」が周知である。このラッチ錠は、扉から突出させたラッチボルト等のラッチを、扉枠等に設けられたストライクに係合させることで、扉の閉止状態を保持するものである。
【0003】
従来のラッチ錠としては、扉面に固定されるハンドルと、ハンドルに対して上端部を支点として回転可能に支持されるレバーと、扉の木口に対して進退可能なラッチボルトと、を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この種のラッチ錠では、レバーが押圧又は牽引操作されていないと、扉の木口からのラッチボルトの退避が規制されることで扉の閉止状態が保持される一方、レバーが押圧又は牽引操作されると、扉の木口からのラッチボルトの退避が可能となることで扉を開放できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した従来のラッチ錠では、レバーが、ハンドルの上端部を支点として回転可能に支持されていると共にハンドルの上端部から中央に亘る部分に配設されている。そのため、扉を開放させる場合、レバーの下端部分を把持して押圧又は牽引操作する必要があり、ハンドルのレバーの操作性を向上させることが難しいという問題がある。
【0006】
本発明は、上記した課題を解決すべくなされたものであり、操作性の向上を図ることができると共に、操作位置によって良好な操作感が変わることのないハンドル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するため、本発明は、ラッチ錠を有する扉面に取り付けられるハンドル装置であって、前記扉面に固定される第1台座と、前記第1台座から所定間隔を空けて前記扉面に固定される第2台座と、一端部が前記第1台座に固定され、他端部が前記第2台座に固定され、前記第1台座と前記第2台座とを連結するグリップハンドルと、該グリップハンドルに対して近接離間する方向に平行移動可能に設けられるハンドラッチと、前記第1台座と前記第2台座の少なくともいずれか一方の台座に設けられ、前記ハンドラッチの平行移動に伴って動作するラッチレバーと、前記グリップハンドルと前記ハンドラッチとを連結し、前記ハンドラッチの平行移動に伴って揺動するシンクロバーと、前記ハンドラッチを前記グリップハンドルから離間する方向へ付勢する付勢機構と、を備えていることを特徴とする。
【0008】
また、上記した本発明に係るハンドル装置において、前記シンクロバーは、第1支軸を介して互いに回動可能に連結される第1アーム及び第2アームを備え、前記第1アーム及び前記第2アームは、第2支軸を介して前記ハンドラッチに対して回動可能に支持されると共に、第3支軸を介して前記グリップハンドルに回動可能に支持されることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ハンドラッチに対する操作位置によって良好な操作感が変わることがなく、操作性の向上を図ることができる等、種々の優れた効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施の形態に係るハンドル装置の外観を正面側から示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係るハンドル装置の外観を背面側から示す斜視図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係るハンドル装置の内部機構を示す分解斜視図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係るハンドル装置の内部機構を示す背面図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係るハンドル装置の内部機構を背面側から示す斜視図である。
【
図6】本発明の実施の形態に係るハンドル装置の内部機構の解錠操作時の状態を背面側から示す斜視図である。
【
図7】本発明の実施の形態に係るハンドル装置においてアームブラケットを外した状態の内部機構を背面側から示す斜視図である。
【
図8】本発明の実施の形態に係るハンドル装置においてアームブラケットを外した状態の内部機構の解錠操作時の状態を背面側から示す斜視図である。
【
図9】本発明の実施の形態に係るハンドル装置の付勢機構を背面側から示す斜視図である。
【
図10】本発明の実施の形態に係るハンドル装置の別の実施例の外観を正面側から示す斜視図である。
【
図11】本発明の実施の形態に係るハンドル装置の別の実施例の外観を背面側から示す斜視図である。
【
図12】本発明の実施の形態に係るハンドル装置のさらに別の実施例を示す模式図である。
【
図13】本発明の実施の形態に係るハンドル装置のさらに別の実施例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態に係るハンドル装置について説明する。まず、
図1~
図9を参照しながら、本発明の実施の形態に係るハンドル装置1について説明する。ここで、ハンドル装置1の外観を正面側から示す斜視図、
図2はハンドル装置1の外観を背面側から示す斜視図、
図3はハンドル装置1の内部機構を示す分解斜視図、
図4はハンドル装置1の内部機構を示す背面図、
図5はハンドル装置1の内部機構を背面側から示す斜視図、
図6はハンドル装置1の内部機構の解錠操作時の状態を背面側から示す斜視図、
図7はハンドル装置1においてアームブラケット40を外した状態の内部機構を背面側から示す斜視図、
図8はハンドル装置1においてアームブラケット40を外した状態の内部機構の解錠操作時の状態を背面側から示す斜視図、
図9はハンドル装置1の付勢機構70を背面側から示す斜視図である。
【0012】
なお、以下の実施の形態の説明では、ハンドル装置1を上下方向の向きで扉面に取り付ける場合について説明しているが、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限り、これらの形態に限定されるものではない。
【0013】
図1及び
図2に示されているように、ハンドル装置1は、扉面に固定される上側の第1台座2と、第1台座2から下方に所定間隔を空けて扉面に固定される下側の第2台座3と、第1台座2と第2台座3とを連結するグリップハンドル座4と、グリップハンドル座4の内面(扉側の面)に沿って設けられるハンドラッチカバー5と、を備えており、ハンドラッチカバー5はグリップハンドル座4に対して近接離間する方向に平行移動可能に設けられている。
【0014】
図5~
図9に示されているように、第1台座2には、ラッチレバー6が枢軸7を支点に回動可能に設けられている。ラッチレバー6は、略直角に屈曲したL字形状を有しており、上側の一方の端部が枢軸7に支持されている。ラッチレバー6の略直角に屈曲した部分には丸孔(図示省略)が形成され、該丸孔に後述するステー26のピン39が嵌合している。ラッチレバー6の他方の端部は、第1の台座2から扉側に突出し、該扉の木口に対してラッチボルト(図示省略)を進退させる作動片(図示省略)に係合可能となっている。
【0015】
図3に良く示されているように、グリップハンドル座4は、上下方向に細長い直線的な板状を成しており、中央部から上下両端部に掛けて徐々に幅広となるように左右両側面が僅かに湾曲して形成されている。グリップハンドル座4の上下端部には、上側円形穴8a及び下側円形穴8bが形成されている。グリップハンドル座4の上端部は上側円形穴8aからビス9a(
図1参照)をねじ込むことで第1台座2に固定され、グリップハンドル座4の下端部は下側円形穴8bからビス9b(
図1参照)をねじ込むことで第2台座3に固定される。これにより、第1台座2と第2台座3の間には、グリップハンドル座4と扉面との間に操作空間が形成される。
【0016】
図3に良く示されているように、グリップハンドル座4の内面には、上側円形穴8aと下側円形穴8bとの間に、上下方向に細長い収容凹部12が形成されている。収容凹部12の内部には、上下方向に細長い溝部13がさらに形成され、溝部13の中央部の一側面には切欠凹部14が形成されている。
【0017】
収容凹部12には、溝部13の上端部及び下端部のそれぞれ外側にアームブラケット支持部15が形成されている。各アームブラケット支持部15は、矩形板状に突設され、その中央にネジ孔16が形成されている。また、収容凹部12には、溝部13の下方に圧縮バネ支持部17が突設され、圧縮バネ支持部17の周囲に周溝18が形成されている。さらに、グリップハンドル座4の内面には、上側円形穴8aの周りに複数の第1台座支持部19が突設され、下側円形穴8bの周りに複数の第2台座支持部20が突設されている。
【0018】
図3に良く示されているように、ハンドラッチカバー5は、収容凹部12側が開放された上下方向に細長い箱状に形成されている。ハンドラッチカバー5は、収容凹部12に対向するように上下方向に細長く形成される把持部21と、把持部21の上下左右の外周縁からグリップハンドル座4側に延設される外周側部22と、により構成されている。
【0019】
把持部21の上端部と下端部には、それぞれ、円形状の小孔23と、小孔23を挟んで左右に一対で対向するように形成される上下に細長いスリット孔24と、が形成されている。ハンドラッチカバー5の外周縁部22は、収容凹部12に嵌合可能に形成されており、ハンドラッチカバー5が収容凹部12に嵌合することで、ハンドラッチカバー5と収容凹部12とにより囲まれた上下方向に細長い空間が形成される。ハンドラッチカバー5の内部には、ステー26が固定されており、ハンドラッチカバー5とステー26により、ハンドラッチが構成されている。
【0020】
図3に良く示されているように、ステー26は、上下に細長い形状を有して前記空間に収容されるステー本体部27と、本体部27の上端部及び下端部において左右のスリット孔24を貫通して扉側(
図3における上方)に延出する左右一対のスライダー部28,29と、により構成されている。ステー本体部27には、溝部13に嵌合可能なステー嵌合片30が設けられており、ステー嵌合片30は溝部13の底面に垂直な板状部材により形成されている。ステー嵌合片30の中央部31は外側に屈曲し、溝部13の切欠凹部14に係合可能に形成されている。中央部31の頂部には突起部32が形成され、突起部32はハンドラッチカバー5の把持部21の内面に形成される係合凹部(図示省略)に係合可能となっている。
【0021】
ステー嵌合片30の上端部及び下端部には、それぞれ、軸孔38が形成されている。ステー嵌合片30の上端部及び下端部の頂部には、ステー嵌合片30に直交するように平坦部33が形成されている。各平坦部33には、把持部21の小孔23に対応する位置にそれぞれネジ孔34が形成されており、各小孔23を介してネジ孔34にネジ35(
図9参照)を螺挿することでステー26がハンドラッチカバー5に固定されるようになっている。また、各平坦部33の側部には、それぞれ、アームブラケット支持部15のネジ孔16に対応する位置に、半円形状の切欠部36が形成されている。これにより、ステー26がグリップハンドル座4側に平行移動した時に、アームブラケット40をグリップハンドル座4に固定するネジ47に平坦部33が干渉する虞がない。
【0022】
上下の左右一対のスライダー部28,29は、上下の平坦部33の左右側部からそれぞれ扉側に延出するように形成されている。各スライダー部28,29には、それぞれ、軸穴37が形成され、上側の軸穴37にピン39が貫通している。
【0023】
ハンドラッチカバー5と収容凹部12とにより囲まれた空間には、アームブラケット40が設けられており、グリップハンドル座4とアームブラケット40により、グリップハンドルが構成されている。
図3に良く示されているように、アームブラケット40には、溝部13に嵌合するアームブラケット嵌合片41が設けられており、アームブラケット嵌合片41は溝部13の底面に垂直な板状部材により形成されている。アームブラケット嵌合片41の中央部には、位置決め用の凸部42が外側に突出するように形成されており、凸部42は溝部13の側面に形成される位置決め凹部(図示省略)に係合可能となっている。アームブラケット嵌合片41には、凸部42と上端部及び下端部との各中間位置に軸孔43がそれぞれ形成されている。また、アームブラケット嵌合片41の底部には、軸孔43に対応する2箇所の位置に突起部44が形成されており、突起部44は溝部13の底面に形成される位置決め凹部(図示省略)に係合可能となっている。
【0024】
アームブラケット嵌合片40の上端部及び下端部には、それぞれ、アームブラケット嵌合片40に直交するように、矩形状の固定片45が形成されている。各固定片45には、アームブラケット支持部15のネジ孔16に対応する位置にそれぞれ小孔46が形成されており、各小孔46を介してネジ孔16にネジ47(
図4~
図8参照)を螺挿することでアームブラケット40がグリップハンドル座4に固定されるようになっている。
【0025】
ハンドラッチカバー5と収容凹部12とにより囲まれた空間には、ステー嵌合片30とアームブラケット40との間にシンクロバー50が設けられている。シンクロバー50は、グリップハンドル座4に沿って上下方向に細長い形状を有し、溝部13に嵌合可能に形成されている。シンクロバー50は、第1支軸51を介して互いに回動可能に連結される上側の第1アーム52と下側の第2アーム53とにより構成されている。
【0026】
図3に良く示されているように、第1アーム52は、上下に細長い形状を有し、溝部13の底面に垂直な平板状部材により形成されている。第1アーム52の下端部には、第1支軸51用の軸孔54が形成されている。第1アーム52の上端部には、ステー嵌合片30の軸孔38に対応する位置に軸孔55が形成されている。第1アーム52の中央部には、アームブラケット嵌合片41の軸孔43に対応する位置に軸孔56が形成されている。第1アーム52は、軸孔38及び55に挿通される第2支軸57(
図5~
図8参照)によりステー26に対して揺動可能に設けられている。また、第1アーム52は、軸孔43及び56に挿通される第3支軸58(
図5~
図9参照)によりアームブラケット40に対して揺動可能に設けられている。
【0027】
第2アーム53は、上下に細長い形状を有し、溝部13の底面に垂直な平板状部材により形成されている。第2アーム53の上端部には、ステー嵌合片30側に屈曲する段差部59が形成され、段差部59に第1支軸51用の軸孔60が形成されている。段差部59は、ステー嵌合片30の中央部31により形成された凹部61(
図4参照)内に収容されるようになっている。第2アーム53の下端部には、ステー嵌合片30の軸孔38に対応する位置に軸孔62が形成されている。第2アーム53の中央部には、アームブラケット嵌合片41の軸孔43に対応する位置に軸孔63が形成されている。第2アーム53は、軸孔38及び62に挿通される第2支軸57(
図5~
図8参照)によりステー26に対して揺動可能に設けられている。また、第2アーム53は、軸孔43及び63に挿通される第3支軸58(
図5~
図9参照)によりアームブラケット40に対して揺動可能に設けられている。
【0028】
ハンドル装置1には、ハンドラッチカバー5をグリップハンドル座4から離間する方向へ付勢する付勢機構70が設けられている。
図9に示されているように、付勢機構70には、第1台座2側に設けられる捩りコイルバネ71と、第2台座3側に設けられる圧縮バネ72と、が設けられている。捩りコイルバネ71は、第1台座2の枢軸7とステー26の上側のスライダー部28のピン39との間に掛け渡されており、ステー26を介してハンドラッチカバー5をグリップハンドル座4から離間する方向に付勢している。一方、圧縮バネ72は、グリップハンドル座4の圧縮バネ支持部17に周設されると共に周溝18に嵌設され、圧縮バネ72の頂部がステー26の内面に当接することで、ステー26を介してハンドラッチカバー5をグリップハンドル座4から離間する方向に付勢している。
【0029】
次に、上記した構成を備えた本発明の実施の形態に係るハンドル装置1の作用について説明する。
【0030】
上記した構成を備えたハンドル装置1において、扉が閉止されている時、ハンドラッチカバー5及びステー26は、
図1、2、5、及び7に示されているように、捩りコイルバネ71及び圧縮バネ72の付勢力によって、グリップハンドル座4から離間する方向に付勢され、ステー嵌合片30は溝部13から退避した姿勢となる。これにより、ラッチレバー6は作動片(図示省略)に係合し、ラッチ錠のラッチボルト(図示省略)が扉の木口から退避するのを規制する。この時、
図7に良く示されているように、第1アーム52と第2アーム53の連結部分は溝部13に進入した姿勢となり、第1アーム52の上端部及び第2アーム53の下端部は溝部13から退避した姿勢となる。
【0031】
この状態から、扉を開放するためにハンドラッチカバー5の把持部21を把持してグリップハンドル座4に近接する方向に牽引操作すると、
図6及び
図8に示されているように、ステー26は、捩りコイルバネ71及び圧縮バネ72の付勢力に抗して、
図6及び
図8中の矢印方向に平行移動する。このステー26の平行移動に伴って、上下のスライダー部28,29がグリップハンドル座4の近接方向にスライドすることで、ラッチレバー6は枢軸7を支点に
図6及び
図8中の時計回り方向に回動する。これにより、ラッチレバー6が前記作動片を押し下げることで、前記ラッチボルトは扉の木口から退避可能な状態となる。
【0032】
このようにハンドラッチカバー5を牽引操作すると、第1アーム52が第3支軸58を支点に
図6及び
図8中の反時計回り方向に回動すると共に第2アーム53は第3支軸58を支点に
図6及び
図8中の時計回り方向に回動する。これにより、第1アーム52と第2アーム53の連結部分がグリップハンドル座4から離間する方向に移動して溝部13から退避すると共に、第1アーム52の上端部及び第2アーム53の下端部がグリップハンドル座4に近接する方向に移動して溝部13に進入し、シンクロバー50は揺動する。
【0033】
このようにハンドラッチカバー5及びステー26の平行移動に伴ってシンクロバー50が揺動するため、ハンドラッチカバー5のどの部分を把持して牽引操作しても、操作感が変わることがない。また、例えラッチボルトに所定の側圧が加えられた場合であっても、ハンドラッチカバー5のどの部分を操作してもラッチ錠を確実に解錠させることができるため、操作性の向上を図ると共に操作の信頼性を高めることができる。
【0034】
また、上記した本発明の実施の形態に係るハンドル装置1は、シンプルな構造のハンドラッチカバー5のシンクロ機構を採用しているため、高精度で複雑な部品を必要としない。したがって、組立て作業性の向上を図ることができると共に、ローコスト化を図ることができる。
【0035】
なお、上記した本発明の実施の形態に係るハンドル装置1は、上下方向に細長い直線的な形態を有しているが、本発明は必ずしもこの形態に限定されるものではない。すなわち、例えば、
図10及び
図11に示されているように、グリップハンドル座81が全体的に湾曲した形態のハンドル装置80としても良く、又、取り付ける方向も横向きとしても良い。
【0036】
また、上記した本発明の実施の形態では、グリップハンドル座4(グリップハンドル)の両端部はビス9a,9bにより第1台座2および第2台座3に固定されているが、この場合の「固定」は、グリップハンドル座4(グリップハンドル)と第1台座2および第2台座3とが一体に形成されている場合をも含むものと定義する。
【0037】
また、上記した本発明の実施の形態では、付勢機構70は、第1台座2側に捩りコイルバネ71を設け、第2台座3側に圧縮バネ72を設けているが、本発明は必ずしもこの形態に限定されるものではない。すなわち、例えば、同一の捩りコイルバネ71を第1台座2および第2台座3側に設けても良いし、同一の圧縮バネ72を第1台座2および第2台座3側に設けても良い。
【0038】
さらに、シンクロバー50は上記した実施の形態に限定されるものではなく、例えば、
図12および
図13に示されているように、シンクロバー50が、第1支軸51を介して互いに回動可能に連結される第1アーム52及び第2アーム53を備え、第1アーム52および第2アーム53が、第2支軸57を介してハンドラッチ(
図12及び
図13ではハンドラッチカバー5)に対して回動可能に支持されると共に、第3支軸58を介してグリップハンドル(
図12及び
図13ではグリップハンドル座4)に回動可能に支持されていれば良い。
【0039】
図12の変形例では、第1アーム52と第2アーム53とが中央部の第1支軸51を介して互いに回動可能に連結され、第1アーム52および第2アーム53の各端部がそれぞれ第2支軸57または第3支軸58を介してハンドラッチカバー5またはグリップハンドル座4に対して摺動且つ回動可能に支持されている。また、
図13の変形例では、第1アーム52と第2アーム53とが端部の第1支軸51を介して互いに回動可能に連結され、第1アーム52および第2アーム53の中央部と端部がそれぞれ第2支軸57または第3支軸58を介してハンドラッチカバー5またはグリップハンドル座4に対して摺動且つ回動可能に支持されている。なお、
図12および
図13において、第1アーム52と第2アーム53は、第1支軸51と第2支軸57と第3支軸58のうちの少なくとも2箇所で摺動且つ回動可能に支持されていれば、図示した形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0040】
1 ハンドル装置
2 第1台座
3 第2台座
4 グリップハンドル座(グリップハンドル)
5 ハンドラッチカバー(ハンドラッチ)
6 ラッチレバー
26 ステー(ハンドラッチ)
40 アームブラケット(グリップハンドル)
50 シンクロバー
51 第1支軸
52 第1アーム
53 第2アーム
57 第2支軸
58 第3支軸
70 付勢機構
80 ハンドル装置
81 グリップハンドル座