(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-16
(45)【発行日】2022-09-28
(54)【発明の名称】表示制御装置および表示制御方法
(51)【国際特許分類】
H04B 1/16 20060101AFI20220920BHJP
H04H 20/12 20080101ALI20220920BHJP
G01R 23/16 20060101ALI20220920BHJP
【FI】
H04B1/16 C
H04H20/12
G01R23/16 E
(21)【出願番号】P 2017219541
(22)【出願日】2017-11-14
【審査請求日】2020-09-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【氏名又は名称】鵜飼 健
(72)【発明者】
【氏名】福島 竜也
【審査官】佐藤 敬介
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/178340(WO,A1)
【文献】特表2010-533870(JP,A)
【文献】国際公開第2012/081170(WO,A1)
【文献】特開2008-072267(JP,A)
【文献】特開2001-292436(JP,A)
【文献】特開平04-351027(JP,A)
【文献】特開昭60-172848(JP,A)
【文献】米国特許第07003414(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/16
H04H 20/12
G01R 23/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動放送局から通信衛星を経由して送信された
オーダワイヤ信号の周波数スペクトルを、モニタ画面から表示させるための周波数スペクトル表示制御部と、
予め割り当てられた複数の周波数帯域を、互いに識別可能なように前記モニタ画面から表示させる周波数帯域表示制御部
とを備え
、
前記周波数スペクトル表示制御部は、前記オーダワイヤ信号に付加された情報に基づいて、各周波数帯域に属する周波数スペクトルに応じた付加情報を決定し、前記付加情報を、前記モニタ画面から表示させる、表示制御装置。
【請求項2】
前記周波数帯域表示制御部は、前記複数の周波数帯域の各々を、隣接する周波数帯域と異なる色またはコントラストで、前記モニタ画面から表示させる、請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
プロセッサによって実施される表示制御方法であって、
前記プロセッサが、移動放送局から通信衛星を経由して送信された
オーダワイヤ信号の周波数スペクトルを、モニタ画面から表示させ、
前記プロセッサが、予め割り当てられた複数の周波数帯域を、互いに識別可能なように前記モニタ画面から表示さ
せ、
前記プロセッサが、前記オーダワイヤ信号に付加された情報に基づいて、各周波数帯域に属する周波数スペクトルに応じた付加情報を決定し、前記付加情報を、前記モニタ画面から表示させる、表示制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、移動放送局から送信された各信号の周波数スペクトルを、モニタ画面から表示させるための表示制御装置および表示制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビ業界では、現場に赴いた移動放送局から、通信衛星を経由して報道素材伝送や中継を行うSNG(Satellite News Gathering)システムが広く用いられている。
【0003】
通信衛星を用いる通信は、移動放送局から直接、映像や音声などの情報を通信衛星へ送り、通信衛星を経由して、放送事業者の本局のような固定放送局へ送る仕組みになっている。このため中継ぎのための中継点をわざわざ設ける必要がない。
【0004】
通信衛星は地上から見上げる角度(仰角)が高く、また通信衛星にアクセスするためのアンテナは、鋭い指向性と高い利得を持っているので、障害物が無ければ、アンテナを通信衛星に向けて、簡単に通信衛星に搭載されているトランスポンダにアクセスすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、通信衛星に搭載できるトランスポンダの数には限りがあり、SNGに使用できる回線数は少ない。また通信衛星の打ち上げや維持管理等には莫大な費用がかかり、これを利用する放送事業者は回線使用料としてかなりの経済的負担を強いられることになるため、1社が単独でその回線を長時間、占有使用することは現実的ではない。
【0007】
そこで、各放送事業者でトランスポンダを効率よく共同利用するための統制センタを設け、トランスポンダの運用が一元的に管理されている。
【0008】
これによって、移動放送局からTVキャリア信号を送信する場合には、統制センタによって割り当てられた周波数帯域(「チャンネル」ともいう)の使用を遵守することが要求される。
【0009】
しかしながら、近年、テレビ局によって使用されるチャンネル数は増加の一途を辿っており、割り当てる周波数の余裕も少なくなっていることから、同じ周波数を、偏波方式(H偏波、V偏波)を変えることによって使用するなどの工夫が求められている。
【0010】
このような状況であるから、割り当てられた周波数から少しでもずれた周波数を使用すると、他のTV放送に対する妨害波となり、混信をもたらすなど、深刻な状況をもたらす。
【0011】
このため、各放送事業者の本局では、保有する各移動放送局が使用している周波数が、割り当てられた通りの周波数を使用していることを確認するために、スペクトルアナライザを用いて、各移動放送局から送信されたTVキャリア信号を確認している。
【0012】
しかしながら、近年では、伝送技術の進歩により、TVキャリアのロールオフの低下も進んでおり、TVキャリア信号の波形は、矩形波に近づいている。このため、周波数帯域において隣接しているTVキャリア信号同士の境界が分かりにくくなっている。
【0013】
このように、割り当てられた周波数帯域を、移動放送局が正しく使用しているか否かを確認することは容易ではなくなりつつある。
【0014】
本発明が解決しようとする課題は、移動放送局から送信された信号が、正しい周波数帯域を使用しているか否かを容易に確認することができる表示制御装置および表示制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するために、本発明では、以下のような手段を講じる。
【0016】
実施形態の表示制御装置は、移動放送局から通信衛星を経由して送信されたオーダワイヤ信号の周波数スペクトルを、モニタ画面から表示させるための周波数スペクトル表示制御部と、予め割り当てられた複数の周波数帯域を、互いに識別可能なように前記モニタ画面から表示させる周波数帯域表示制御部とを備え、周波数スペクトル表示制御部は、オーダワイヤ信号に付加された情報に基づいて、各周波数帯域に属する周波数スペクトルに応じた付加情報を決定し、付加情報を、モニタ画面から表示させる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態の表示制御装置が適用されるシステムの構成例を示す機能ブロック図である。
【
図2】本実施形態の表示制御装置の構成例を示すブロック図である。
【
図3】割当情報の一例を示すTVキャリア信号用の割当テーブルである。
【
図4】割当情報の一例を示すオーダワイヤ信号用の割当テーブルである。
【
図5】TVキャリア信号を表示するためのモニタ画面における表示例を示す模式図である。
【
図6】オーダワイヤ信号を表示するためのモニタ画面における表示例を示す模式図である。
【
図7】TVキャリア信号の周波数スペクトルが表示されたモニタ画面の表示例を示す模式図である。
【
図8】オーダワイヤ信号の周波数スペクトルが表示されたモニタ画面の表示例を示す模式図である。
【
図9】本発明の実施形態の表示制御装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図10】オーダワイヤ信号の周波数スペクトルが表示されたモニタ画面の表示例を示す模式図である(周波数帯域を区別せずに表示された例)。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の実施形態の表示制御方法が適用された表示制御装置を図面を参照して説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施形態の表示制御装置が適用されるシステムの構成例を示す機能ブロック図である。
【0020】
1つまたは複数の移動放送局8は、通信衛星9を経由して、システム10へ向けて信号を送信する。
【0021】
この信号の周波数帯域幅は、例えば12GHzであり、TVキャリア信号のみならず、オーダワイヤ信号をも含む。
【0022】
オーダワイヤ信号とは、TVキャリア信号よりも、周波数帯域幅が非常に狭く、TVキャリア信号以外に構築されている音声連絡線である。移動放送局8と放送事業者の本局との間で音声連絡がなされる場合、オーダワイヤ信号が使用される。
【0023】
システム10は、放送事業者の本局のような固定放送局に設けられており、通信衛星9からの信号を、アンテナ12において受信する。
【0024】
アンテナ12は、この信号を受信機14へ出力する。
【0025】
受信機14によって受信された信号は、必要に応じて偏波(例えば、V偏波またはH偏波)処理された後に、周波数デバイダ16へ出力される。
【0026】
周波数デバイダ16は、受信機14から出力された信号から、1つのチャンネルの周波数帯域のTVキャリア信号を取り出すために、例えば12GHzを1GHzへ分割するように、この信号を周波数分割する。そして、この周波数分割によって取り出された信号を、スペクトルアナライザ18およびオーダワイヤモデム19へ出力する。
【0027】
スペクトルアナライザ18は、周波数デバイダ16から出力された信号に対してスペクトル分析を行い、その分析結果である、スペクトル分析されたTVキャリア信号aを、表示制御装置20へ出力する。なお、スペクトルアナライザ18は1つに限定されず、複数設けるようにしても良い。複数設けた場合、複数のチャンネルの周波数帯域のTVキャリア信号を、同時にスペクトル分析することができる。
【0028】
オーダワイヤモデム19は、周波数デバイダ16から出力された信号から、オーダワイヤ信号bを抽出し、オーダワイヤ信号bを、表示制御装置20へ出力する。
【0029】
図2は、本実施形態の表示制御装置20の構成例を示すブロック図である。
【0030】
表示制御装置20は、入出力インターフェースユニット30、制御ユニット40、および記憶ユニット50を備えている。
【0031】
入出力インターフェースユニット30は、スペクトルアナライザ18から出力されたTVキャリア信号aと、オーダワイヤモデム19から出力されたオーダワイヤ信号bとを受信し、制御ユニット40へ出力する。また、ユーザインターフェース(UI)72を介してなされたユーザからの指示情報cを、制御ユニット40へ出力する。また、制御ユニット40から出力された表示指示情報dまたは表示指示情報e、および表示指示情報f1と表示指示情報f2とを受信し、モニタ画面70へ出力する。
【0032】
記憶ユニット50は、記憶媒体として、例えばSSD(Solid State Drive)やHDD(Hard Disk Drive)等の随時書き込みおよび読み出しが可能な不揮発性メモリを使用しており、本実施形態を実施するために使用する記憶領域として、周波数割当情報記憶部52を備えている。
【0033】
制御ユニット40は、コンピュータを構成するCPU(Central Processing Unit)およびプログラムメモリを有し、本実施形態を実施するために必要な制御機能として、周波数スペクトル表示制御部42および周波数帯域表示制御部44を備えている。なお、これらの制御機能はいずれも上記プログラムメモリに記憶されたプログラムを上記CPUに実行させることにより実現される。
【0034】
周波数スペクトル表示制御部42は、入出力インターフェースユニット30から出力されたTVキャリア信号aをモニタ画面70から表示させるための表示指示情報dを生成する。また、入出力インターフェースユニット30から出力されたオーダワイヤ信号bをモニタ画面70から表示させるための表示指示情報eを生成する。そして、入出力インターフェースユニット30から出力された指示情報cに従って、表示指示情報dまたは表示指示情報eの何れかを入出力インターフェースユニット30へ出力する。例えば、指示情報cが、TVキャリア信号aを表示せよとの指示であれば表示指示情報dを、オーダワイヤ信号bを表示せよとの指示であれば表示指示情報eを、入出力インターフェースユニット30へ出力する。
【0035】
周波数割当情報記憶部52は、割り当てられた周波数帯域に関する割当情報gを記憶している。
【0036】
図3および
図4は、割当情報gの一例を示す割当テーブルg1および割当テーブルg2である。
【0037】
割当テーブルg1は、TVキャリア信号aのための割当情報gの例であり、割当テーブルg2は、オーダワイヤ信号bのための割当情報gの例である。これら割当テーブルg1、g2では、モニタ画面70から、各周波数帯域(チャンネル)を表示するための色のパターンを定義している。
【0038】
例えば、割当テーブルg1では、チャンネル1は、中心周波数1036.825MHzを中心として±2.72MHzの幅の周波数帯域を、紫色で表示するように定義されている。
【0039】
なお、割当テーブルg1、g2では、チャンネル毎に異なる色で表示するように定義されているが、本発明は、このような表示パターンに限定されるものではなく、少なくとも隣接するチャンネルが異なる色で表示されるように定義しても良い。この場合、表示に用いられる色は最低2色となる。また、隣接するチャンネルを異なるコントラストで表示するように定義しても良い。あるいは、隣接するチャンネルを交互に白黒反転で表示するように定義しても良い。
【0040】
周波数帯域表示制御部44は、周波数割当情報記憶部52に記憶された割当テーブルg1によって指定されたように、TVキャリア信号aのための表示指示情報f1を作成する。また、周波数割当情報記憶部52に記憶された割当テーブルg2によって指定されたように、オーダワイヤ信号bのための表示指示情報f2を作成する。そして、これら表示指示情報f1、f2を入出力インターフェース30へ出力する。
【0041】
これに応じて入出力インターフェース30は、表示指示情報f1、f2をモニタ画面70へ出力する。これによって、モニタ画面70からは、
図5および
図6に示されるように、割当テーブルg1および割当テーブルg2によってなされた定義に従って、各チャンネルが、指定された周波数帯域毎に、色分け表示されるようになる。説明のために、
図5および
図6は、まだ信号波形が表示されていない状態を示しており、
図5はTVキャリア信号aを表示するためのモニタ画面70における表示例を示す模式図であり、
図6は、オーダワイヤ信号bを表示するためのモニタ画面70における表示例を示す模式図である。これらは何れも、縦軸は信号強度を、横軸は周波数を示す。
【0042】
また、入出力インターフェースユニット30は、周波数スペクトル表示制御部42から出力された表示指示情報d、eを、モニタ画面70へ出力する。
【0043】
モニタ画面70は、表示指示情報dが出力された場合には、表示指示情報dに従って、
図5に示すグラフ上に、TVキャリア信号aの周波数スペクトルを表示する。
【0044】
図7は、TVキャリア信号aの周波数スペクトルが表示されたモニタ画面70の表示例を示す模式図である。
【0045】
なお、モニタ画面70には、TVキャリア信号aの周波数スペクトルに加えて、例えば、チャンネル番号、局名、伝送モード、マージン等の付加情報Hを適宜表示しても良い。
【0046】
付加情報Hを表示するためには、例えば、移動放送局8が、信号を送信する前に、オーダワイヤ信号bの中に、周波数帯域毎の発局名、伝送モード、マージン等の付加情報を予め含めておく。そして、このような信号が、移動放送局8からシステム10へ送信されることによって、周波数スペクトル表示制御部42は、オーダワイヤ信号bから、付加情報を取得し、モニタ画面70から表示させる。
【0047】
なお、
図7において、チャンネル1よりも低周波数側に見られる波形は、オーダワイヤ信号bの集合である。前述したように、オーダワイヤ信号bは、TVキャリア信号aよりも、周波数帯域幅が非常に狭い。したがって、表示制御装置20は、オーダワイヤ信号bの周波数スペクトルを精細に表示するために、モニタ画面70へ表示指示情報eを出力する。
【0048】
モニタ画面70は、表示指示情報eに従って、
図6に示すように、
図5の横軸レンジが拡大されたグラフ上に、
図8に示すように、オーダワイヤ信号bの周波数スペクトルを表示する。
【0049】
図8は、オーダワイヤ信号bの周波数スペクトルが表示されたモニタ画面の表示例を示す模式図である。
【0050】
図8に示す例では、オーダワイヤ信号bの周波数スペクトルが、チャンネル毎に色分け表示された周波数帯域に含まれることが示されている。なお、各チャンネルに存在する2つのパルスは、アップリンクおよびダウンリンクによる音声連絡によるパルスである。異なる色を跨ぐパルスが無いことを視覚的に認識できるので、オーダワイヤ信号bの伝送のために、割り当てられた周波数帯域が正しく使用されていることが容易に確認される。
【0051】
なお、オーダワイヤ信号bのための周波数帯域の割り当ては、放送事業者毎に委ねられている。このため、
図8の例に示すように、必ずしもチャンネル番号順に割り当てられる訳ではないことや、例えばチャンネル1とチャンネル4との間に未使用の周波数帯域があるように、周波数帯域が不連続的に使用される場合もある。
【0052】
次に、以上のように構成した本実施形態の表示制御装置20の動作について説明する。
【0053】
移動放送局8から送信される信号が、割り当てられた正しい周波数帯域を使用しているかを確認するために、例えば放送事業者の本局のような固定放送局に設けられたシステム10では、1つまたは複数の移動放送局8から送信された信号が、通信衛星9を経由してアンテナ12によって受信される。
【0054】
この信号は、アンテナ12から受信機14へ出力され、必要に応じて偏波(例えば、V偏波またはH偏波)処理された後に、周波数デバイダ16へ出力され、必要に応じて周波数分割された後に、スペクトルアナライザ18およびオーダワイヤモデム19へ出力される。
【0055】
スペクトルアナライザ18では、周波数デバイダ16から出力された信号に対してスペクトル分析が行われ、その分析結果である、スペクトル分析されたTVキャリア信号aが、表示制御装置20へ出力される。
【0056】
オーダワイヤモデム19では、周波数デバイダ16から出力された信号から、オーダワイヤ信号bが抽出され、表示制御装置20へ出力される。
【0057】
図9は、本発明の実施形態の表示制御装置20の動作例を示すフローチャートである。
【0058】
スペクトルアナライザ18によって出力されたTVキャリア信号a、およびオーダワイヤモデム19によって出力されたオーダワイヤ信号bは、入出力インターフェースユニット30を介して、周波数スペクトル表示制御部42によって受信される(S1)。
【0059】
周波数スペクトル表示制御部42では、入出力インターフェースユニット30から出力されたTVキャリア信号aを、モニタ画面70から表示させるための表示指示情報dが生成される。また、入出力インターフェースユニット30から出力されたオーダワイヤ信号bを、モニタ画面70から表示させるための表示指示情報eが生成される(S2)。
【0060】
次に、ユーザが、ユーザインターフェース(UI)72から、モニタ画面70から、TVキャリア信号aを表示するのか、あるいはオーダワイヤ信号bを表示するのかを指示するための入力を行う。この入力に応じて、ユーザインターフェース(UI)72によって指示情報cが生成され、入出力インターフェースユニット30を経由して、周波数スペクトル表示制御部42へ出力される(S3)。
【0061】
周波数スペクトル表示制御部42では、指示情報cが、TVキャリア信号aを表示せよとの指示であれば表示指示情報dが、オーダワイヤ信号bを表示せよとの指示であれば表示指示情報eが、入出力インターフェースユニット30を経由して、モニタ画面70へ出力される(S4)。
【0062】
モニタ画面70では、表示指示情報dが出力された場合には、TVキャリア信号aの周波数スペクトルが表示される。一方、表示指示情報eが出力された場合には、オーダワイヤ信号bの周波数スペクトルが表示される(S5)。
【0063】
ステップS6では、ステップS4およびステップS5を繰り返す場合、ステップS4へ移動し、繰り返す必要のない場合、処理を終了する。この繰り返しによって、例えば、ステップS4においてTVキャリア信号aを表示するように指示し、ステップS5においてTVキャリア信号aの周波数スペクトルが表示された場合であっても、次回においては、ステップS4においてオーダワイヤ信号bを表示するように指示し、ステップS5においてオーダワイヤ信号bの周波数スペクトルが表示されるようになる。
【0064】
なお、上記各ステップとは独立して、周波数帯域表示制御部44では、周波数割当情報記憶部52に記憶された割当テーブルg1によって指定されたように、TVキャリア信号aのための表示指示情報f1が作成されている。また、周波数割当情報記憶部52に記憶された割当テーブルg2によって指定されたように、オーダワイヤ信号bのための表示指示情報f2も予め作成されている。そして、これら表示指示情報f1、f2が、入出力インターフェース30を経由してモニタ画面70へ出力されている。
【0065】
これによって、モニタ画面70からは、割当テーブルg1および割当テーブルg2によってなされた定義に従って、各チャンネルが、指定された周波数帯域毎に、色分け表示されるようになる。
【0066】
図7には、モニタ画面70から、TVキャリア信号aの周波数スペクトルが表示された表示例が示されている。この例によれば、チャンネル1からチャンネル4まではパルスの立ち上がりはないので、チャンネル1からチャンネル4までは、何れの移動放送局8によっても使用されてないことが分かる。一方、チャンネル5および6ではパルスが立ち上がっているので、使用されていることが分かる。
【0067】
また、
図7では、チャンネル5の開始においてパルスの立ち上がりが観察され、チャンネル5とチャンネル6との境界においてパルスの谷が観察され、チャンネル6の終了においてパルスが立ち下がりが観察される。これによって、隣接するチャンネルを妨害することなく、チャンネル5の周波数と、チャンネル6の周波数とが、正しく使用されていることが分かる。もしも隣接するチャンネルの境界を跨ぐようなパルスが観察された場合には、周波数が正しく使用されていないことが分かる。
【0068】
また、
図8には、モニタ画面70から、オーダワイヤ信号bの周波数スペクトルが表示された例が示されている。
図8でもまた、各チャンネルが属する周波数帯域が、異なる色で表示される。
【0069】
図8では、隣接するチャンネルの境界を跨ぐパルスは観察されないこと、チャンネル番号が表示されていない未使用の周波数帯域にパルスは見られないことから、オーダワイヤ信号bもまた、割り当てられた正しい周波数帯域を使用していることが分かる。
【0070】
前述したように、オーダワイヤ信号bのための周波数帯域に割り当ては、放送事業者毎に委ねられており、
図8の例に示すように、必ずしもチャンネル番号順に配置されていないことや、例えばチャンネル1とチャンネル4との間に未使用の周波数帯域があるように、周波数帯域が不連続的に使用される場合もある。したがって、
図10のように、仮にチャンネル毎の識別をしない画面しか表示されない場合、オペレータが、
図10のような画面を見ながら、どの波形がどのチャンネルに属するのかを逐一確認することは、極めて煩わしい作業であるのみならず、誤判断の可能性も高くなる。
【0071】
しかしながら、本実施形態によれば、
図7および
図8のように、チャンネルが色分けられ、識別可能に表示されるので、例えば
図8に示すようなオーダワイヤ信号bのように、周波数帯域が不規則かつ複雑に割り当てられているような信号に対しても、正しい周波数帯域を使用しているか否かを容易に判定することが可能となる。
【0072】
上述したように、本実施形態の表示制御方法が適用された表示制御装置20によれば、上記のような作用により、正しい周波数帯域が使用されていることを容易に確認することが可能となる。
【0073】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0074】
8 移動放送局、9 通信衛星、10 システム、12 アンテナ、14 受信機、
16 周波数デバイダ、18 スペクトルアナライザ、19 オーダワイヤモデム、
20 表示制御装置、30 入出力インターフェース、40 制御ユニット、
42 周波数スペクトル表示制御部、44 周波数帯域表示制御部、
50 記憶ユニット、52 周波数割当情報記憶部、70 モニタ画面、
72 ユーザインターフェース。