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特許7143078電気装置、電子装置、機械装置又は同様の装置を収容したハウジング用の換気改善機器
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  • 特許-電気装置、電子装置、機械装置又は同様の装置を収容したハウジング用の換気改善機器 図1
  • 特許-電気装置、電子装置、機械装置又は同様の装置を収容したハウジング用の換気改善機器 図2
  • 特許-電気装置、電子装置、機械装置又は同様の装置を収容したハウジング用の換気改善機器 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-16
(45)【発行日】2022-09-28
(54)【発明の名称】電気装置、電子装置、機械装置又は同様の装置を収容したハウジング用の換気改善機器
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/02 20060101AFI20220920BHJP
【FI】
H05K5/02 L
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2017543775
(86)(22)【出願日】2016-02-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-04-12
(86)【国際出願番号】 IB2016050787
(87)【国際公開番号】W WO2016132269
(87)【国際公開日】2016-08-25
【審査請求日】2019-02-06
【審判番号】
【審判請求日】2021-11-18
(31)【優先権主張番号】MI2015A000227
(32)【優先日】2015-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】510058575
【氏名又は名称】ジヴエッセ ソチエタ ぺル アチオーニ
(74)【代理人】
【識別番号】100082887
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 利春
(74)【代理人】
【識別番号】100181331
【弁理士】
【氏名又は名称】金 鎭文
(74)【代理人】
【識別番号】100183597
【弁理士】
【氏名又は名称】比企野 健
(72)【発明者】
【氏名】スカグリアリーニ マルコ
【合議体】
【審判長】瀧内 健夫
【審判官】恩田 春香
【審判官】棚田 一也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/156887(WO,A1)
【文献】特開2015-32476(JP,A)
【文献】特開2004-328931(JP,A)
【文献】特開2007-20110(JP,A)
【文献】特開2014-120579(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102006062044(DE,A1)
【文献】独国特許出願公開第102010025979(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R16/00-17/02
H02B 1/00- 1/38
H02B 1/54- 7/08
H05K 5/00- 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気装置、電子装置、機械装置、電気機械装置又は同様の装置、例えば自動車のヘッドランプを収容したハウジング又は電気ユニット若しくは電気部品のハウジングの換気機器(1)であって、前記換気機器は、閉鎖部分(5)によって第1の端(4)が閉じられた円筒状の外壁(3)を有する硬質の本体(2)を備え、前記円筒状の外壁(3)は、ハウジングに面する第2の端(7)が開いており、前記硬質の本体(2)は、内側円筒状部分(10)を備え、内側円筒状部分は、硬質の本体の前記閉鎖部分(5)から枝分かれになっており、締まり嵌めによって前記内側円筒状部分(10)に連結されて前記硬質の本体(2)内の内側円筒状部分によって保持された少なくとも部分的に変形する材料からなる内部筒状部材(15)を収容しており、前記内側円筒状部分(10)は、前記円筒状の外壁(3)と平行に、硬質の本体(2)の第2の端(7)まで延び、内側円筒状部分(10)と円筒状の外壁(3)との間には、変形しない、時間が経っても換気の一定した流れをもたらすことのできる中間スペース(12)があり、前記内部筒状部材(15)は、硬質の本体(2)の閉鎖部分(5)の近くに第1の端(14)を有し、前記内部筒状部材(15)の前記第1の端(14)は、連続的な自由面を有するフィルタ膜(25)を有しており、内部筒状部材は、前記ハウジングに面する第2の開口端(17)を有しており、前記内部筒状部材(15)は、ハウジングの内部と前記フィルタ膜との間に、空気が前記ハウジングからフィルタ膜(25)の全面を横切って通ることができるような筒状の連絡部を構成する中空の内部部分を有しており、内部筒状部材(15)の第1の端(14)と閉鎖部分(5)との間には、スペース(13)が形成され、このスペースは、前記内側円筒状部分(10)の前記閉鎖部分(5)の近くに設けられたスロット(22)を通じて前記中間スペース(12)と連通しており、そのため、空気が前記スペース(13)から前記中間スペース(12)に進入して円筒状の外壁の第2の開口端(7)から出ることができる換気機器において、
フィルタ膜(25)又は前記内部管状部材(15)の第1の端(14)と硬質の本体(2)の閉鎖部分(5)との間には、1.5~2.5mmの間隔(D)があり、前記内部筒状部材(15)の前記硬質の本体(2)への過度挿入の防止手段(50、21)が設けられ、前記挿入の時に前記間隔(D)を保つことができるようになっており、前記防止手段(50、21)は、スロット(22)を全面的に開放された状態に維持し、空気の流れと硬質の本体(2)に進入してスペース(13)に溜まった水の流出を妨げないようにすることができ、
前記防止手段(50、21)が、前記閉鎖部分(5)から前記内部筒状部材(15)に向かって突出する複数の突起(21)と、前記内部筒状部材(15)の外側に設けられた鍔部(50)であって、前記硬質の本体(2)内で内側に突出した少なくとも1個の内側円筒状部分(10)の自由端(10A)と突き当たることにより作用できる鍔部(50)とを含み、前記内部筒状部材(15)の硬質の本体(2)への過度挿入を防止して前記間隔(D)を維持することができ、
前記突起(21)は、前記スロット(22)の前でなく横に配置されることを特徴とする換気機器。
【請求項2】
硬質の本体の前記閉鎖部分(5)から枝分かれし、前記内部筒状部(15)を収容する内側円筒状部分(10)を備え、内部筒状部は、締まり嵌めによって前記内側円筒状部分(10)に取り付けられて内側円筒状部分によって前記硬質の本体(2)内に保持され、前記取り付けが行われると、鍔部(50)が前記内側円筒状部分(10)の自由端(10A)に衝合できることを特徴とする請求項1に記載の換気機器。
【請求項3】
前記内部筒状部材が、天然ゴム若しくは合成ゴム又は同等の変形する材料からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の換気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主請求項の公知要件事項部に記載の電気装置、機械装置、電子装置、電気機械装置又は同様の装置を収容したハウジングの換気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
こうした換気機器は、WO2013/156887号に開示されている。
【0003】
知られているように、電気部品又は電子部品(例えば、自動車における光学ユニット又はヘッドランプ)或いは機械部品(例えば、変速機、油圧トランスミッションシステム、窓操作システム又はワイパーユニット)を収容したハウジングの換気機器が、自動車産業又は乗物全般において広く用いられている。こうしたハウジングにおいては、容器内の空間と外部環境との間の圧力を等しくする必要がある。
【0004】
これらの換気機器は、雨又は水たまり又は車両若しくは車両のエンジンの洗浄に由来する水が、前記容器又はハウジング内に進入するのを制限するように構成されていることも知られている。例えば、実質的に円筒状の本体が挿入される、一端が閉じておりもう一方の端が開いた円筒状のカバー部材を備えた換気機器が、ヨーロッパ特許第1102002号から公知である。空気の通路が、前記円筒状のカバー部材の内壁と、内側の実質的に円筒状の本体の外壁との間、及び円筒状のカバー部材の下面と、内側の実質的に円筒状の本体の下端との間に形成される。複数の突起が、内側の実質的に円筒状の本体の外周面に沿って所定の間隔で配置されており、前記内側の実質的に円筒状の本体が、円筒状のカバー部材に取り付けられていない時には、内側の実質的に円筒状の本体の(突起を含む)外径は、円筒状のカバー部材自体の外径よりも大きく、内側の実質的に円筒状の本体が、円筒状のカバー部材に挿入されると、内側の実質的に円筒状の本体の突起は、前記円筒状のカバー部材の内壁と、内側の実質的に円筒状の本体が円筒状のカバー部材内で所定の位置に固定されて空気の通路が突起の間に形成されるように接触する。
【0005】
前記円筒状のカバー部材内における内側の実質的に円筒状の一端において、疎水性の膜を、内側の実質的に円筒状の本体に取り付けてもよい。
【0006】
本願出願人名義のWO2013/156887号は、上記タイプのハウジング換気機器を開示しており、前記ハウジング換気機器は、円筒状の外壁を有する硬質の本体を備え、硬質の本体は、閉鎖部材によって第1の端が閉じており、前記円筒状の外壁は、ハウジングに連結される第2の端が開いている。この硬質の本体は、少なくとも部分的に変形する材料からなる内部ユニットを収容しており、内部ユニットは、硬質の本体を閉鎖する部材の近くにありフィルタ膜を支持する第1の端を有し、前記部材の第2の端は、開いていてハウジングに面している。前記部材を収容し、締まり嵌めによって前記部材に連結されて、前記部材を硬質の本体内に保持する内部円筒状部分が、閉鎖部材から分岐している。
【0007】
内部円筒状部分には、閉鎖部材の近くにスロットが設けられている。これらのスロットの前には、肩状部が設けられており、肩状部は、説明されているように、換気機器に進入することのある水滴が、フィルタ膜に衝突したり、フィルタ膜を傷めたり、又は何らかの形で換気機器の換気機能に障害を与えたりするのを防止する。
【0008】
この解決策は、上述のようなハウジングの換気にとって最適な機器を提示している。
【0009】
しかしながら、こうした換気機器が、市販前又はこうした換気機器をヘッドランプのハウジングに取り付けた後に受けてきた、極端な条件で使用される或る機能試験においては、硬質の本体内のフィルタ膜と閉鎖部材との間に水がたまることがあることが分かっている。これは、たとえ上述のようにスロットの前に肩状部が設けられていても生じる。
【0010】
この水の貯留は、毛管効果(又は同様の物理的効果)によるものであり、上述の換気機器が取り付けられるハウジングの換気の有効性に対する明らかな影響を伴う、上述の換気機器の換気特性の低下を引き起こす。
【0011】
この問題は、言及も示唆もされてこなかったので、公知の解決策によっても上記の特許明細書によっても取り組まれてこなかったが、上述の換気機器が使用されている時には、重要である。
【0012】
ドイツ特許出願公開第102006062044号は、ハウジング、特にモータ、変速機のハウジング、容器又は同様の物の内部空間と外側との間の圧力を平衡化する圧力平衡化装置に関するものである。この圧力平衡化装置は、外側に向かって延びる円筒状構造体の環状の端面に取り付けられた圧力平衡化膜を備えている。円筒状構造体は、換気流路を備え、外側に向かって延びてハウジングの壁からの突出部を構成している。この突出部は、圧力平衡化膜が取り付けられる端面によって、湾曲したドーム形の形態に輪郭が定められている。保護カバーが、円筒状構造体の上方で、圧力平衡化膜に対して間隔をあけた距離において、外側に向かって延びている。
【0013】
この特許明細書は、保護カバーが、圧力平衡化膜の上方で、毛管効果によって圧力平衡化膜自体の上に水が集積するのを防止する距離にわたって延びていることを開示している。特に、湾曲したドーム形状が、圧力平衡化膜上に水が集積するのを防止する効果を有している。また、保護カバーは、(圧力平衡化膜とオーバーラップする)ディスク形構造体とディスク形構造体から突出し、平衡化しなければならないハウジングの構成要素の壁に圧接した複数のリブを有している。したがって、前記圧力平衡化膜と圧力平衡化膜を支持する円筒状構造体に対して側方に配置される開口部が、リブの間に設けられる。
【0014】
この公知の解決策は、この先行技術においては、フィルタ膜の表面が、支持構造体によって部分的に塞がれているという点で、連続的な自由面を有するフィルタ膜を支持する変形する材料からなる内部部材を収納する硬質の本体を有する換気機器を開示していない。これは、換気機器の稼働性能を限定する。
【0015】
これに加え、この公知の解決策は、ドーム形のフィルタ膜(及びフィルタ膜を支持する対応する支持構造体)と、それらの側方にある開口部を利用して、保護カバーとフィルタ膜との間に水が集積するのを防止している。しかしながら、具体的には、上記の開口部が保護カバーにあるため、水が、圧力平衡化機器に入り込み、フィルタ膜や、徐々にフィルタ膜の機能性を制限することのある物に、直接ぶつかることがある。したがって、検討しているこの先行技術の明細書では、圧力平衡化機器の外側からの因子に対するフィルタ膜の保護が不十分である。
【0016】
日本国特許出願公開第2015032476号は、ランプ構造においてランプハウジングとレンズとにより形成される灯室の内外の通気性を生じさせることにより灯室内の曇りを防止するとともに、灯室内への虫の侵入を防止又は抑制するのに適した構造を開示している。この先行技術文献によれば、灯室がランプハウジングとレンズにより構成されている場合に、呼吸穴構造が、灯室内と外部との間の連通をもたらす空気通路を形成する。空気通路の内部には、虫忌避剤及び殺虫剤の少なくとも一方を含む材料からなるフィルタ部材が備わっている。
【0017】
この文献は、フィルタ膜の使用を開示しておらず、複数の穴が穿孔された構造体の使用を開示している。しかしながら、複数の穴が穿孔された構造体の外部からの水は、これらの穴を通過し得る。そのため、この先行技術における解決策は、水がこれらの穴に入り込むのを防止することに使用するのに相応しくない。
【0018】
さらに、検討しているこの文献は、本発明における換気機器の構造的特徴とは異なる構造的特徴を有する構造体を開示している。
【0019】
ヨーロッパ特許出願公開第1939523号は、筒状部品、通気フィルタ、及びカバー部品を有する通気部材を開示している。筒状部品がカバー部品に嵌め込まれた取り付けられた状態では、カバー部品の底部と通気フィルタとの間及びカバー部品の側壁部と筒状部品の胴部との間に、通気路として機能する間隙が形成される。通気フィルタの厚さ方向に垂直な面内方向に関するフィルタ側開口部の開口面積が、面内方向に関する接続側開口部の開口面積よりも大きい。
【0020】
この通気ユニットは、本発明が関する構造とは異なる構造を有しており、特に、少なくとも部分的に変形する材料からなる筒状ユニットが取り付けられる硬質の内部円筒状部分を有していない。これに加え、空気は、硬質の外側要素と変形する材料からなる内側要素(逆に、変形する材料からなる外側要素と硬質の内側要素のこともある)の間を通って循環するので、この公知の通気ユニットを構成するこれらの外側及び内側要素の間の距離が、所定の相対的間隔を確実に維持することは不可能であるという結果になる。すると、フィルタ膜とフィルタ膜の上方にある通気ユニットの部分との間に十分な間隔を確実に維持することはできないということになる。したがって、フィルタ膜と前記フィルタ膜の上方にある通気ユニットの部分との間の空間又は空洞に水を吸い込む毛管効果を確実に防止することも、通気ユニットに入ることのある水の素早い外部への流れを確実に生じさせることも不可能である。
【0021】
問題の特許出願明細書に記載の1実施の形態では、通気要素の内側部分が、長さhだけ外側部分から突出していることも記載されている。前記通気ユニットを、通気要素用の換気しなければならないハウジングに取り付けると、このハウジングと前記外側部分との間に、水滴が通気ユニット及び通気ユニットの(追加的に、内側部分に直接設けられる)通気流路に入るのを防止するのに十分な、適当な間隔が生じる。
【0022】
したがって、上記で引用した記載に照らして、当業者が、フィルタ膜とフィルタ膜の上方にある外側部分の一部との間に適当な間隔を設けて維持することにより、前記フィルタ膜とフィルタ膜の上方にある外側部分の一部との間に、水が吸い込まれて溜まるのを防止することを考えることはないであろう。それ故、この問題は、通気ユニットの外側部分が内側部分を超えて突出している長さに働きかけることによって、別の方法で解決されたのである。
【0023】
ヨーロッパ特許出願公開第1903843号は、防水ケーシングに収容された電子部品、例えば、内燃エンジンの作動を制御する制御ユニットを開示している。この防水ケーシングは、ベースとカバーからなっており、これらは水を通さない態様で互いに連結されている。防水ケーシングの内側と外側との間の空気の連通を可能にする通気フィルタが、カバーの外面に設けられた取り付け面に装着されている。取り付け面は、カバーの外面から持ち上がっており、通気フィルタのフランジに面する平面を有している。この平面は、通気フィルタの通気孔の高さと比較して小さい。通気フィルタのフランジに面する取り付け面の平面は、通気孔の高さと比較して小さいので、通気孔は、取り付け穴に残っている水の表面張力ためにこの水によって塞がれるのが防止される。
【0024】
この場合には、通気要素(通気フィルタ)を取り付けたハウジングが取り付けられた表面に関する解決策によって、水が通気孔にとどまるのを防止している。
【0025】
通気要素の内部構成要素の特有の構造に関連する、通気要素若しくは通気要素の通気孔内への水の進入及び/又は通気要素若しくは通気要素の通気孔内での水の貯留を防止する可能性に関し、何等の言及もなく、推測できることも何もない。
【0026】
ドイツ実用新案出願公開第9115939号は、ハウジングを有する換気機器が取り付けられた壁によって閉じられたハウジングを有する電気スイッチ装置、特に自動車用の電気スイッチ装置を開示している。換気機器内の膜が、換気機器自体のカバーによって保護されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
本発明の目的は、上記の問題を克服する、特に自動車分野における、電気装置、機械装置、電気機械装置又は同様の装置を収容したハウジングの換気機器を提供することである。
【0028】
特に、本発明の一つの目的は、使用の際に信頼性があり、素早く簡単に製造することのできる上記のタイプの要素を提供することである。
【0029】
本発明の他の目的は、上記の問題を確実に克服しながら、全体的に自動的な態様で組み立てることのできる上記のタイプの要素を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0030】
これらの目的及び当業者にとって明らかになるであろう目的は、電気装置、電子装置、機械装置、電気機械装置又は同様の装置、例えば自動車のヘッドランプを収容したハウジング又は電気ユニット若しくは電気部品のハウジングの換気機器であって、前記換気機器は、閉鎖部分によって第1の端が閉じられた円筒状の外壁を有する硬質の本体を備え、前記円筒状の外壁は、ハウジングに面する第2の端が開いており、前記硬質の本体は、内側円筒状部分を備え、内側円筒状部分は、硬質の本体の前記閉鎖部分から枝分かれになっており、締まり嵌めによって前記内側円筒状部分に連結されて前記硬質の本体内の内側円筒状部分によって保持された少なくとも部分的に変形する材料からなる内部筒状部材を収容しており、前記内側円筒状部分は、前記円筒状の外壁と平行に、硬質の本体の第2の端まで延び、内側円筒状部分と円筒状の外壁との間には、変形しない、時間が経っても換気の一定した流れをもたらすことのできる中間スペースがあり、前記内部筒状部材は、硬質の本体の閉鎖部分の近くに第1の端を有し、前記内部筒状部材の前記第1の端は、連続的な自由面を有するフィルタ膜を有しており、内部筒状部材は、前記ハウジングに面する第2の開口端を有しており、前記内部筒状部材は、ハウジングの内部と前記フィルタ膜との間に、空気が前記ハウジングからフィルタ膜の全面を横切って通ることができるような筒状の連絡部を構成する中空の内部部分を有しており、内部筒状部材の第1の端と閉鎖部分との間には、スペースが形成され、このスペースは、前記内側円筒状部分の前記閉鎖部分の近くに設けられたスロットを通じて前記中間スペースと連通しており、そのため、空気が前記スペースから前記中間スペースに進入して円筒状の外壁の第2の開口端から出ることができる換気機器において、フィルタ膜又は前記内部管状部材の第1の端と硬質の本体の閉鎖部分との間には、1~4mmの間隔があり、前記内部筒状部材の前記硬質の本体への過度挿入の防止手段が設けられ、前記挿入の時に前記間隔を保つことができるようになっており、前記防止手段は、スロットを全面的に開放された状態に維持し、空気の流れと硬質の本体に進入してスペースに溜まった水の流出を妨げないようにすることができることを特徴とする換気機器によって達成される。
【0031】
本発明がより良く理解されるよう、純粋に非限定の例示として、以下の図面を提示する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明による換気機器の1実施の形態の分解図である。
図2】別の角度から見た図1の換気機器の分解図を示している。
図3】換気機器が組み立てられた状態の、図1の線3-3に沿う断面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1図3を参照すると、これらの図面は、電気装置、電子装置、機械装置、電気機械装置又は同様の装置(図示せず)を収容したハウジング用の換気機器1を示している。この換気機器1は、プラスチック又は焼結材料からなる硬質の本体2を備え、硬質の本体は、第1の端4が実質的に平坦な閉鎖部分5によって閉じられていて前記ハウジングに面する第2の端7が開いている円筒状部分3を有している。この閉鎖部分5は、円筒状部分3と一体になっているのが好ましい。
【0034】
内側円筒状部分10が、閉鎖部分5の(硬質の本体2に関して)内側の面8から突出しており、内側円筒状部分は、自由端10Aが硬質の本体2の第2の端7まで延び、前記閉鎖部分5と一体に形成されている。したがって、この内側円筒状部分10は、硬質の本体2の一部分である。
【0035】
以下に説明するように、硬質の本体2内のスペース12は、硬質の本体2の内側円筒状部分10内に軸線を同じくして挿入され、内側円筒状部分による締まり嵌めによって硬質の本体2内に保持された円筒状部材15の第1の端14と閉鎖部分5の内側の面8との間に位置するスペース又は空間13と、連通している。この円筒状部材15は、変形する材料、例えば天然ゴム若しくは合成ゴム又は同等の材料からなり、硬質の本体2から突出した第2の端17を有している。この円筒状部材は、筒形のものであり、(円筒状部材15内の内部導管30によって構成される)筒状連絡部を通じたハウジングと膜との間の連通を、空気が前記ハウジングから膜を通ってスペース又は空間13に進むことができる態様で、もたらしている。
【0036】
可動な円筒状部材15は、変形する材料からなっているので、円筒状部材は、(円筒状部材と前記硬質の本体との間の遊隙及びゆとりを占めながら)硬質の本体2に容易に挿入して固定することができ、換気しなければならないハウジングに容易に取り付けることができる。変形する材料は、円筒状部材がハウジングに取り付けられる場所における封止ももたらす。
【0037】
円筒状部材15の第1の端14は、硬質の本体2の閉鎖部分5に対応して位置しているが、閉鎖部分から間隔を置いており、そのため、閉鎖部分と前記第1の端との間に、前記スペース又は空間13が形成される。円筒状部材15の第1の端14が突き当たる、複数個の突起21が、閉鎖部分の内側の面8から隆起しており、前記閉鎖部分5が、確実に円筒状部材15から間隔を置いて位置するようになっている。突起21は、硬質の本体2の円筒状部分10内で、円筒状部材15と接している。
【0038】
説明したように、間隙又は中間スペース12は、スペース又は空間13と連通している。この連通は、上記の円筒状部分10に設けられた、2個の隣接する突起21の間にあるのが好ましいスロット22を通じて生じるものである。したがって、突起21は、スロットの前に位置していない。
【0039】
第1の端14において、円筒状部材15は、それ自体は公知の疎水性の材料からなる膜25を支持しており(この疎水性の膜は、前記第1の端14の外側に位置してもよく、第1の端に組み込まれていてもよい)、一方、換気機器1は、円筒状部材の第2の端17を通じて、換気しなければならないハウジングに取り付けられる。説明したように、この連結は、前記円筒状部材15の変形する材料によって、より容易に行われる。
【0040】
疎水性の膜25は、平坦でも、連続面を有する他の形状のものでもよく、一連の凹凸を有するもの、例えば、凹んだ面(例えば、先端が内側の面8に面する先細りの面)でも、凸状でもよい。疎水性の膜は、疎水性の膜を少なくとも部分的に占めている何等かの物体によって塞がれていない連続的な自由面を有している。
【0041】
換気に際しては、換気機器1が取り付けられたハウジングの空気は、円筒状部材15の内部導管30を通り、疎水性の膜25の全面を通って、そこからスペース13に入る。スロット22を通って、空気は中間スペース12に入り、硬質の本体の第2の端7を通って、硬質の本体2から出る。間隙又は中間スペース12が、2個の硬質部分(壁3及び円筒状部分10)によって構成されているので、この間隙又は中間スペースは、変形することなく、換気の一定した流れを確保している。この流れは、突起21が、それらのスロット22の前でなく横に配置されているので(例えば、図1を参照)、スロットを自由に通ることもできる。したがって、これらの突起は、空気がスロット22を自由に通り抜けるのを妨げない。
【0042】
これに加え、この空気の流れは、常に硬質の部分(壁3と内側円筒状部分10)の間にあるので、流量を正確に計算することができ、硬質の本体2を適切に設計することにより確保することができる。
【0043】
換気機器1が取り付けられるハウジングは、湿気に晒されることや、水にまみれることがある。こうした状況は、例えば、前記ハウジングが、使用の際に風雨に晒される自動車の光学ユニットであるような状況である。これらの条件下では、硬質の本体2の外側から中間スペース12を経由してスペース13に水滴を引き込む毛管効果(又は同様の効果)により、疎水性の膜25と閉鎖部分5の内側の面8との間に水たまりが形成されることがある。
【0044】
換気機器1の簡単な構造を維持しながら、スペース又は空間13が、前記毛管効果をできるだけ防止するような適切な体積を有し、その体積を維持する態様で、円筒状部材15を内側円筒状部分10内において適切な場所に配置する固定手段を備えることにより、この問題を克服している。
【0045】
より詳細には、空間13は、内側の面8と疎水性の膜25又は円筒状部材15の第1の端14との間の間隔Dによって定まる体積を有しており、この間隔は、1~4mm、好ましくは1.5~2.5mmである。上記の間隔は、水又は蒸気が、硬質の本体2の外側からスペース12を通って吸い込まれるのを防止する(間隔Dが1.5~2.5mmの場合)又は少なくとも大幅に制限する(前記寸法よりも広い範囲の場合)間隔であり、また、スペース又は空間13に入った水滴が、このスペース又は空間内にとどまるのを防止する間隔である。この後者の作用は、突起21によって前が遮られておらず閉じられてもいないスロット22があることによっても補強されている。スロット22は、十分に開いているので、水が流出する助けになることができる。水は、チャンバ13を出る運動中、突起21がスロット22の横側にあるため道筋が突起21によって塞がれていないので、何物とも接触しない。これに加え、スペース又は空間13内の水は、(遮られていない)スロットを通ってスペース12に吸い戻されることにより放出される。
【0046】
スペーサ手段すなわち変形する円筒状部材15の硬質の本体2(好ましくは、硬質の本体の内側円筒状部分10)への過度挿入の防止手段を設け、この間隔が、確実に内側の面8と疎水性の膜25との間にできるようにしている。これらの防止手段は、内側円筒状部分10に設けても硬質の本体2に設けてもよく、何れにしても、スロット22を遮られていない状態に保つものである。
【0047】
図1図3に示す好ましい実施の形態では、変形する円筒状部材は、変形する円筒状部材が前記内側円筒状部分10に挿入された時に、内側円筒状部分10の自由端10Aに突き当たる外側鍔部50を、第2の端17の近傍に備えている。鍔部50は、前記第2の端17から間隔を置いて位置しており、円筒状部材15が内側円筒状部分10に挿入された時に、疎水性の膜25が、閉鎖部分5の内側の面8から所望の距離に配置され、空気と硬質の本体2に入った水が、スロット22を自由に通るように保っている。これは、挿入が手で行われても自動的に行われても、その通りである。
【0048】
これに加え、換気機器1は、説明したように、公知の解決策よりもコストが安く、公知の解決策と比較して製造時間が短いので、こうした公知の解決策が解決していない上記の問題を解決するものである。
本発明の種々の実施の形態を説明してきたが、上記の説明を考慮するとさらに別の実施の形態が可能であり、これらのさらに別の実施の形態は、以下の特許請求の範囲の範囲内に入るものとみなされるべきである。
図1
図2
図3