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  • 特許-表示装置、及び表示装置の製造方法 図1
  • 特許-表示装置、及び表示装置の製造方法 図2
  • 特許-表示装置、及び表示装置の製造方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-16
(45)【発行日】2022-09-28
(54)【発明の名称】表示装置、及び表示装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20220920BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20220920BHJP
【FI】
G09F9/00 350Z
G09F9/00 313
G09F9/00 338
G09F9/00 302
H04N5/64 571Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018057896
(22)【出願日】2018-03-26
(65)【公開番号】P2019168637
(43)【公開日】2019-10-03
【審査請求日】2021-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】フォルシアクラリオン・エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神保 三四郎
(72)【発明者】
【氏名】高木 実
【審査官】小野 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-068549(JP,A)
【文献】特表2013-541723(JP,A)
【文献】特開2013-008225(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0063433(US,A1)
【文献】特開2009-109855(JP,A)
【文献】特開2009-086187(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0070601(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00-46
G02F 1/13-1/141
1/15-1/19
H01L 27/32
51/50
H05B 33/00-33/28
H04N 5/64-5/655
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルと、前記表示パネルに透明接着剤で貼り合わされる前面パネルとを備える表示装置において、
前記表示パネルの側面を覆う金属ベゼルと、
前記表示パネルと前記前面パネルとの間に介挿される複数のスペーサとを有し、
前記表示パネルは、TFT基板と、
CF基板と、
前記表示パネルの前面側で一辺において前記CF基板から張り出す前記TFT基板の部分に配置される電子部品と、を備え、
前記表示装置の前面視で、前記金属ベゼルと、前記CF基板とが離間して配置され、
前記複数のスペーサは、前記表示装置の前面視で、前記金属ベゼルと、前記CF基板との隙間を覆い、前記表示パネルと前記前面パネルとの間にて前記表示パネルの表示領域に対応する空間を囲い、全ての前記スペーサによって、前記透明接着剤の外部への流出を遮る流出抑制材、及び、前記透明接着剤の厚さを調整する部材を構成し、
前記透明接着剤は、前記空間内を埋めており、
前記電子部品は、前記表示装置の前面視で、前記金属ベゼルと、前記CF基板との間に配置されて、1つの前記スペーサと、前記前面パネルとによって前面側が覆われ、
前記スペーサは、前記電子部品の少なくとも一部を覆う部分が金属製であり、前記電子部品の放射ノイズを遮蔽し、
残りの前記スペーサは、前記電子部品を覆うスペーサよりも狭い幅を備え、
全ての前記スペーサは、金属箔の片面に接着層を有する樹脂フィルムである
ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記スペーサは、前記表示領域の周囲に沿って複数配置されるいずれかのスペーサの間に、前記空間を前記スペーサ外の空間に連通させる隙間を有していることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記前面パネルは、前記表示パネルの表示領域に対応する箇所のタッチ位置を検出する前面パネルを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記スペーサは、金属箔の少なくとも片面に接着層を設けた部材であることを特徴とする請求項1乃至3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記スペーサは、当該表示装置の前面視で、前記電子部品の全体と重なることを特徴とする請求項1乃至4に記載の表示装置。
【請求項6】
表示パネルと、前記表示パネルに透明接着剤で貼り合わされる前面パネルとを備える表示装置の製造方法において、
前記表示パネルの側面を覆う金属ベゼルを設け、
前記表示パネルが備えるTFT基板と、CF基板とにおいて、前記表示パネルの前面側で一辺において前記CF基板から張り出す前記TFT基板の部分に電子部品を配置し、
前記表示装置の前面視で、前記金属ベゼルと、前記CF基板とを離間して配置し、
前記表示パネルと前記前面パネルとの間に、前記表示装置の前面視で、前記金属ベゼルと、前記CF基板との隙間を覆い、前記表示パネルの表示領域に対応する空間を囲う複数のスペーサを介挿して、全ての前記スペーサによって、前記透明接着剤の外部への流出を遮る流出抑制材、及び、前記透明接着剤の厚さを調整する部材を構成し、
前記スペーサが囲う前記空間を前記透明接着剤で埋め、
前記表示装置の前面視で、前記金属ベゼルと、前記CF基板との間に配置した前記電子部品の前面側を1つの前記スペーサと、前記前面パネルとによって覆い、
前記スペーサは、前記電子部品の少なくとも一部を覆う部分が金属製であり、前記電子部品の放射ノイズを遮蔽し、
残りの前記スペーサは、前記電子部品を覆うスペーサよりも狭い幅を備え、
全ての前記スペーサは、金属箔の片面に接着層を有する樹脂フィルムであることを特徴とする表示装置の製造方法。
【請求項7】
前記スペーサは、前記表示領域の周囲に沿って複数配置されるいずれかのスペーサの間に、前記空間を前記スペーサ外の空間に連通させる隙間を設けて配置されていることを特徴とする請求項6に記載の表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、及び表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表示パネル等の表示パネルの前面に、タッチパネルや加飾パネルといった前面パネルを装着した表示装置が知られている。この表示パネルと前面パネルとの間の隙間を、OCR(Optical Clear Resin)等の透明接着剤で埋めるオプティカルボンディング技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-164633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1は、表示パネルの表示面側の周縁を覆う枠部を有するベゼルを設け、前面パネルと表示パネルとの間にベゼルを挟んだ構成である。さらに、ベゼルの開口端の全周に沿って樹脂部材を形成し、樹脂部材に囲われた表示領域にOCRを充填し、ベゼルと前面パネルを接着材で接着した構成にし、樹脂部材でOCRの流出を防止している。
しかし、この構成は、前面パネルと表示パネルとの間に挟むベゼルが必須であり、このベゼルの内側に樹脂部材を形成した後に、OCRを充填する作業及びベゼルと前面パネルを接着する作業が必要であり、構成等が煩雑である。
本発明は、表示パネルと前面パネルとの間のベゼルを必須とせず、簡易な構成でOCRの流出等を抑制可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、表示パネルと、前記表示パネルに透明接着剤で貼り合わされる前面パネルとを備える表示装置において、前記表示パネルの側面を覆う金属ベゼルと、前記表示パネルと前記前面パネルとの間に介挿される複数のスペーサとを有し、前記表示パネルは、TFT基板と、CF基板と、前記表示パネルの前面側で一辺において前記CF基板から張り出す前記TFT基板の部分に配置される電子部品と、を備え、前記表示装置の前面視で、前記金属ベゼルと、前記CF基板とが離間して配置され、前記複数のスペーサは、前記表示装置の前面視で、前記金属ベゼルと、前記CF基板との隙間を覆い、前記表示パネルと前記前面パネルとの間にて前記表示パネルの表示領域に対応する空間を囲い、全ての前記スペーサによって、前記透明接着剤の外部への流出を遮る流出抑制材、及び、前記透明接着剤の厚さを調整する部材を構成し、前記透明接着剤は、前記空間内を埋めており、前記電子部品は、前記表示装置の前面視で、前記金属ベゼルと、前記CF基板との間に配置されて、1つの前記スペーサと、前記前面パネルとによって前面側が覆われ、前記スペーサは、前記電子部品の少なくとも一部を覆う部分が金属製であり、前記電子部品の放射ノイズを遮蔽し、残りの前記スペーサは、前記電子部品を覆うスペーサよりも狭い幅を備え、全ての前記スペーサは、金属箔の片面に接着層を有する樹脂フィルムであることを特徴とする。
【0006】
本発明は、上記表示装置において、前記スペーサは、前記表示領域の周囲に沿って複数配置されるいずれかのスペーサの間に、前記空間を前記スペーサ外の空間に連通させる隙間を有していることを特徴とする。
【0008】
本発明は、上記表示装置において、前記前面パネルは、前記表示パネルの表示領域に対応する箇所のタッチ位置を検出する前面パネルを含むことを特徴とする。
【0009】
本発明は、上記表示装置において、前記スペーサは、金属箔の少なくとも片面に接着層を設けた部材であることを特徴とする。
【0010】
本発明は、上記表示装置において、前記スペーサは、当該表示装置の前面視で、前記電子部品の全体と重なることを特徴とする。
【0011】
本発明は、表示パネルと、前記表示パネルに透明接着剤で貼り合わされる前面パネルとを備える表示装置の製造方法において、前記表示パネルの側面を覆う金属ベゼルを設け、前記表示パネルが備えるTFT基板と、CF基板とにおいて、前記表示パネルの前面側で一辺において前記CF基板から張り出す前記TFT基板の部分に電子部品を配置し、前記表示装置の前面視で、前記金属ベゼルと、前記CF基板とを離間して配置し、前記表示パネルと前記前面パネルとの間に、前記表示装置の前面視で、前記金属ベゼルと、前記CF基板との隙間を覆い、前記表示パネルの表示領域に対応する空間を囲う複数のスペーサを介挿して、全ての前記スペーサによって、前記透明接着剤の外部への流出を遮る流出抑制材、及び、前記透明接着剤の厚さを調整する部材を構成し、前記スペーサが囲う前記空間を前記透明接着剤で埋め、前記表示装置の前面視で、前記金属ベゼルと、前記CF基板との間に配置した前記電子部品の前面側を1つの前記スペーサと、前記前面パネルとによって覆い、前記スペーサは、前記電子部品の少なくとも一部を覆う部分が金属製であり、前記電子部品の放射ノイズを遮蔽し、残りの前記スペーサは、前記電子部品を覆うスペーサよりも狭い幅を備え、全ての前記スペーサは、金属箔の片面に接着層を有する樹脂フィルムであることを特徴とする。
【0012】
本発明は、上記表示装置の製造方法において、前記スペーサは、前記表示領域の周囲に沿って複数配置されるいずれかのスペーサの間に、前記空間を前記スペーサ外の空間に連通させる隙間を設けて配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、表示パネルと前面パネルとの間のベゼルを必須とせず、簡易な構成でOCRの流出等を抑制できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る表示装置を前面から見た図である。
図2】表示装置の分解斜視図である。
図3図1のIII-III断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る表示装置10を前面から見た図である。また、図2は、表示装置10の分解斜視図である。
図1及び図2に示すように、表示装置10は、表示パネル11と、表示パネル11の前面側に配置される前面パネル12とを備えている。なお、図1では、説明の便宜上、前面パネル12の輪郭を二点鎖線で示している。
本実施形態の表示パネル11は、液晶ディスプレイであり、前面側に表示面21Aを有する矩形状の液晶セル21と、液晶セル21の背面側に配置されるバックライトユニット22と、金属ベゼル23と、背面パネル24とを備え、全体として矩形の平板形状に形成されている。また、表示面21Aは、画像等が表示される矩形状の表示領域21Xと、この表示領域21Xの周囲を囲む非表示領域21Yとを有している。
液晶セル21は、いずれも矩形状ガラス製であるTFT(Thin Film Transistor)基板25と、CF(Color Filter)基板26とを備えている。TFT基板25とCF基板26とは、液晶を挟み込んで一体に設けられており、CF基板26が液晶セル21の前面側(表示面21A側に相当)に配置されている。また、TFT基板25の背面には偏光板27が配置され、CF基板26の前面には偏光板28が配置されている。
TFT基板25は、一辺においてCF基板26から張り出す部分を有し、この張り出した部分における液晶セル21の前面側には、液晶セル21を駆動するための複数の駆動用部品29が間隔を空けて配置されている。駆動用部品29は、液晶ドライバIC等である。なお、TFT基板25に配置される部品は、駆動用部品29に限らず、他の電子部品であっても良い。これらの駆動用部品29や液晶セル21には、FPC(Flexible Printing Circuit)30から外部の電力や映像信号等が供給される。
【0016】
バックライトユニット22は、表示パネル11と略同様の矩形の平板形状に形成され、表示面21Aを照明する照明光を照射する。
金属ベゼル23は、枠状の金属部材であり、液晶セル21とバックライトユニット22の側面を全周に亘って覆っている。なお、金属ベゼル23の材料は、金属に限らず、樹脂等の有機材料やセラミック等の無機材料であってもよい。
背面パネル24は、金属製の矩形状部材であり、バックライトユニット22の背面を覆っている。なお、背面パネル24の材料は、金属に限らず、樹脂等の有機材料やセラミック等の無機材料であってもよい。
【0017】
前面パネル12は、表示パネル11の表示面21Aを前面側から覆う透明の平板部材で形成され、前面パネル12を介して外部から表示面21Aの表示領域21Xを視認可能にするとともに、表示面21Aの非表示領域21Yと重なる領域に黒色等の化粧印刷が施され、非表示領域21Yを目隠しする加飾パネルである。
なお、前面パネル12には、ユーザによる表示領域21Xに対応する領域のタッチ操作を検出するタッチパネルを用いてもよい。
この前面パネル12は、表示パネル11との間に複数のスペーサ31を介挿した状態で表示パネル11に重ねて配置される。
【0018】
複数のスペーサ31は、金属製であり、より具体的には、金属箔の片面に、接着層31A(図3)を有する樹脂フィルムを貼り付けた構成である。このスペーサ31は、金属箔の反対側の面に接着層31Aを有し、前面パネル12等に容易に貼り付けることができる。例えば、このスペーサ31には、アルミテープ等の公知の金属テープと同様の構造が採用される。また、公知の金属テープをスペーサ31に採用してもよい。なお、スペーサ31の片面だけを接着層にする構造に限定されず、スペーサ31の両面を接着層にしてもよい。この場合、スペーサ31を前面パネル12と表示パネル11の両方に貼り付けることが可能になる。
【0019】
本構成では、直線状の金属テープを、液晶セル21の全四辺のそれぞれの長さと略同じ長さで切断し、各金属テープを4つのスペーサ31として、液晶セル21の各辺の近傍にて各辺に沿って貼り付けている。
貼り付けた状態では、図1に示すように、表示装置10の前面視で、各スペーサ31は、駆動用部品29の全体に重なるとともに、各スペーサ31が互いに隙間αを空けて配置される。これにより、表示領域21Xの4つの角部に対応する位置に隙間αが形成される。
【0020】
図3は、図1のIII-III断面図である。
本構成では、表示パネル11と前面パネル12との間がOCR40によって満たされ、当該OCR40によって、表示パネル11に前面パネル12が貼り合わせられる。このOCR40に、表示装置10の表示に寄与する光学特性(例えば屈折率)等を有する材料を使用することによって、表示装置10の表示性能等を向上させることが可能になる。
【0021】
ここで、スペーサ31は、表示面21Aの表示領域21Xの周囲に存在する非表示領域21Yに貼り付けられ、表示領域21Xの表示を妨げない。
【0022】
表示パネル11と前面パネル12との間には、スペーサ31の厚さに対応する空間V(図3中、高さdで示す隙間に相当)が形成されるので、このスペーサ31の厚さ調整によって表示パネル11と前面パネル12との間の空間Vの高さdを調整でき、つまり、OCR40の厚さを調整できる。
また、スペーサ31は、図2及び図3に示すように、駆動用部品29を表示装置10の前面側から覆うので、金属製のスペーサ31により駆動用部品29の放射ノイズを遮蔽し、表示装置10の前面側の電磁波を低減できる。また、外来ノイズが駆動用部品29に到来する事態も、金属製のスペーサ31により遮蔽できるので、駆動用部品29等の誤動作も抑制できる。さらに、スペーサ31は、上述の通り駆動用部品29の放射ノイズを遮蔽できるため、前面パネル12にタッチパネルを用いた場合には、このタッチパネルへの放射ノイズの影響も抑制可能である。
なお、図1及び図2に示すように、駆動用部品29を覆う箇所に配置されるスペーサ31は、放射ノイズを遮蔽するための十分な幅を有しているが、他のスペーサ31は、より狭い幅であってもよい。また、表示装置10の前面側の電磁波を低減でき、駆動用部品29等の誤動作も抑制できるのであれば、スペーサ31は、当該駆動用部品29の一部だけを覆っていてもよい。
【0023】
次に、表示装置10の製造方法について説明する。
まず、前面パネル12に各スペーサ31を貼り付ける(第1工程)。この第1工程の際、各スペーサ31は、上記したように、液晶セル21の全四辺のそれぞれに沿って配置され、且つ、表示装置10の前面視で、駆動用部品29の全体と重なるように、表示領域21Xの周囲に存在する非表示領域21Yに貼り付けられる。
また、各スペーサ31の間にはそれぞれ隙間αが形成されるので、これら隙間αによって、表示パネル11と前面パネル12との間の空間Vと、外部の空間とを連通させることができる。
【0024】
次いで、前面パネル12の面の内、各スペーサ31によって囲まれた範囲内に、空間Vを満たすために十分な量のOCR40を供給する(第2工程)。
【0025】
次いで、あらかじめ組み立てられた表示パネル11を、表示面21Aを前面パネル12に対向させた状態で前面パネル12に積層する(第3工程)。積層された表示パネル11によって、OCR40が押し付けられ、前面パネル12の面の内、各スペーサ31によって囲まれた範囲の全体に広がる。そして、空間Vは、OCR40によって満たされ、OCR40が硬化することによって、表示パネル11と、前面パネル12とが貼り合わされる。この第3工程の際、各スペーサ31は、OCR40の外部への流出を遮る流出抑制材(ダム材とも称する)として機能し、OCR40の外部への流出を抑制する。
【0026】
空間Vの高さdは、一枚のスペーサ31の厚さに相当するので、高さdが過度に大きくならず、また、スペーサ31の厚さ調整によって高さdを容易に調整可能である。
本実施形態のスペーサ31は、上述の通り金属箔と樹脂フィルムとで形成されているため、空間Vの高さdを微小量に調整できる。これによって、表示パネル11と、前面パネル12とをより接近させて貼り合わせることができ、表示面21Aの表示領域21Xの視認性を向上できる。
このため、空間Vを埋める作業(オプティカルボンディング)を容易化でき、製造の容易化、及び不良品の発生率の低下等を図り易くなる。
【0027】
さらに、各スペーサ31の間には隙間αが形成されているので、オプティカルボンディングによってOCR40を充填する際に、表示パネル11と前面パネル12との間の空気を容易に外に逃がすことができる。これによっても、空間Vを埋める作業を容易化できる。
以上により、表示パネル11と前面パネル12とが組み立てられ、これらを一体に有するデバイスである表示装置10が製造される。
【0028】
ところで、表示装置10の製造後に、前面パネル12又は表示パネル11等から微量な空気、ガス、又は水分等が漏れ出ることによって、前面パネル12と表示パネル11との間に気泡等が発生するおそれがある。
本構成では、各スペーサ31の間に隙間αが形成されているので、各隙間αから、前面パネル12と表示パネル11との間に存在する空気、ガス及び水分等を外部へ放出することができる。したがって、気泡等の発生を抑制できる。
【0029】
以上説明したように、本実施形態では、表示パネル11と、表示パネル11にOCR40で貼り合される前面パネル12との間に介挿されるスペーサ31を有し、スペーサ31は、表示パネル11と前面パネル12との間にて表示面21Aの表示領域21Xに対応する空間Vを囲っており、OCR40は、空間V内を埋めている。
これにより、スペーサ31が空間Vを設けるための部材、及びOCR40の外部への流出を抑制する流出抑制材としても機能し、これらを別々に設ける場合と比べて構成が簡易化するとともに部品点数が低減される。したがって、前面パネルと表示パネルとの間に挟むベゼルを設け、このベゼルの内側に樹脂部材を形成した後にOCRを充填する作業及びベゼルと前面パネルを接着する作業が必要な特許文献1に記載の構成等と比べて、簡易な構成にできる。つまり、表示パネルと前面パネルとの間のベゼル等を必須せず、簡易な構成でOCRの流出等を抑制可能になる。
しかも、スペーサ31による表示パネル11と前面パネル12との間の空間Vの高さdを抑えることができるので、表示装置10の薄型化に有利となり、且つ、オプティカルボンディングの作業を容易化でき、OCR40の使用量も抑えることができる。
【0030】
また、本実施形態では、スペーサ31は、表示領域21Xの周囲に沿って複数配置され、スペーサ31の間に、スペーサ31内の空間Vとスペーサ31外の空間とを連通する隙間αを設けている。これによって、オプティカルボンディングによってOCR40を充填する際に、表示パネル11と前面パネル12との間の空気を容易に外に逃がすことができ、空間Vを埋める作業を容易化できる。
また、各隙間αから、前面パネル12と表示パネル11との間に存在する空気、ガス及び水分等を外部へ放出することができる。したがって、気泡等の発生を抑制できる。
【0031】
また、本実施形態では、スペーサ31は、金属製であり、液晶セル21の周囲には、電子部品が配置され、液晶セル21の前面側に配置された複数の駆動用部品29の少なくとも一部を覆って、当該駆動用部品29の放射ノイズを遮蔽する。これによって、スペーサ31がOCR40の外部への流出を抑制する流出抑制材、及び電磁シールドとして機能し、これらを別々に設ける場合と比べて構成が簡易化するとともに部品点数が低減される。
【0032】
なお、表示装置10の前面パネル12として、表示面21Aの表示領域21Xに対応する箇所のタッチ位置を検出するためのタッチパネルを備えることが可能である。金属製のスペーサ31により駆動用部品29の放射ノイズを遮蔽できるため、タッチパネルへの放射ノイズの影響を抑制できる。
【0033】
また、本実施形態では、各スペーサ31は、片面に接着層31Aを設けた部材としている。これによって、各スペーサ31の取り付けが容易である。
【0034】
また、本実施形態では、各スペーサ31は、表示装置10の前面視で、駆動用部品29全体と重なっている。これによって、表示装置10の前面側への放射ノイズを効果的に遮断できるとともに、外来ノイズの駆動用部品29への影響を効果的に回避できる。
【0035】
また、本実施形態の表示装置10の製造工程では、表示パネル11と前面パネル12との間に、表示面21Aの表示領域21Xに対応する空間Vを囲うスペーサ31を介挿し、当該スペーサ31が囲う空間VをOCR40で埋めている。これによって、OCR40を介して表示パネル11を貼り合わせる工程において、各スペーサ31はOCR40の外部への流出を遮る流出抑制材として機能し、OCR40の外部への流出を抑制できる。
また、空間Vの高さdは、一枚のスペーサ31の厚さに相当するので、高さdが過度に大きくならず、また、スペーサ31の厚さ調整によって高さdを容易に調整可能である。このため、空間Vを埋める作業を容易化でき、表示装置10の製造の容易化、及び不良品の発生率の低下等を図り易くなる。
【0036】
また、本実施形態の表示装置10の製造工程では、スペーサ31は、表示領域21Xの周囲に沿って複数配置され、各スペーサ31の間には、空間Vとスペーサ31外の空間に連通させる隙間αを設けて配置されている。これによって、OCR40を介して表示パネル11を貼り合わせる工程において、表示パネル11と前面パネル12との間の空気を容易に外に逃がすことができ、空間Vを埋める作業を容易化できる。また、各隙間αから、前面パネル12と表示パネル11との間に存在する空気、ガス及び水分等を外部へ放出し、OCR40の内部における気泡等の発生を抑制できる。
【0037】
なお、上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様の例示であり、本発明の要旨の範囲において任意に変形、及び応用が可能である。
例えば、表示パネル11に液晶ディスプレイを使用する場合を説明したが、有機EL、電子ペーパー、プラズマ等の技術を適用した公知の表示パネルを広く使用可能である。
また、スペーサ31は、金属箔に代えて金属板を用いたものでもよい。また、金属の種類はノイズを遮断可能なものであればよい。また、駆動用部品29を覆う箇所以外に配置されるスペーサ31は、電磁シールドとしての機能を持たない樹脂等の部材を用いてもよい。さらに、駆動用部品29を覆うスペーサ31は、当該駆動用部品29を覆う部分のみが金属製で、他の部分が電磁シールドとしての機能を持たない樹脂等の部材で形成されていてもよい。
また、本実施形態の表示装置10の前面パネル12は、加飾パネル又はタッチパネルとしたが、これらを併用してもよい。すなわち、前面パネル12として配置したタッチパネルの周縁等に装飾を付与する加飾パネルをさらに配置してもよい。また、加飾パネルに代えて、表示パネル11を保護する保護パネルを設けるようにしてもよい。
また本実施形態では、OCR40を用いたが、例えばOCA(Optical Clear Adhensive)と呼ばれるフィルム状の粘着シート等の公知の透明接着剤を広く適用可能である。
【符号の説明】
【0038】
10 表示装置
11 表示パネル
12 前面パネル
21 液晶セル
21A 表示面
21X 表示領域
21Y 非表示領域
22 バックライトユニット
23 金属ベゼル
24 背面パネル
25 TFT基板
26 CF基板
27、28 偏光板
29 駆動用部品(電子部品)
30 FPC
31 スペーサ
31A 接着層
40 OCR
V 空間
d 高さ
α 隙間
図1
図2
図3