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特許7143112OVJPプリンティングにおける位置調節のための静電容量センサ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-16
(45)【発行日】2022-09-28
(54)【発明の名称】OVJPプリンティングにおける位置調節のための静電容量センサ
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/24 20060101AFI20220920BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20220920BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20220920BHJP
   C23C 14/12 20060101ALI20220920BHJP
   H01L 51/40 20060101ALN20220920BHJP
【FI】
C23C14/24 U
H05B33/14 A
H05B33/10
C23C14/24 C
C23C14/12
H01L21/368 L
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018089399
(22)【出願日】2018-05-07
(65)【公開番号】P2019007078
(43)【公開日】2019-01-17
【審査請求日】2020-11-06
(31)【優先権主張番号】62/501,912
(32)【優先日】2017-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/968,166
(32)【優先日】2018-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503055897
【氏名又は名称】ユニバーサル ディスプレイ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】ブルーノ・ケルスショット
(72)【発明者】
【氏名】ロナルド・スティーブンス
(72)【発明者】
【氏名】エリック・コスタース
(72)【発明者】
【氏名】ロン・アスジェス
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・イー・クイン
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー・マグロウ
【審査官】宮崎 園子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0101711(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0208036(US,A1)
【文献】特開2013-24701(JP,A)
【文献】特開2009-53183(JP,A)
【文献】特開2017-103213(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/24
H01L 51/50
H05B 33/10
H01L 51/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
OVJPプリントヘッドと;
前記OVJPプリントヘッドと物理的に接続され、前記OVJPプリントヘッドの下に配置されている基板上の電極トレースを用いて配置されている第1の静電容量センサと;
前記OVJPプリントヘッド及び前記基板の相対位置を調節するように構成されるステージ位置アジャスタと;
前記第1の静電容量センサ及び前記ステージ位置アジャスタとシグナル連通し、前記第1の静電容量センサによって提供されるシグナルに基づき、制御シグナルを前記ステージ位置アジャスタに提供するように構成される処理回路と、
を含むことを特徴とする有機蒸気ジェット印刷(OVJP)装置。
【請求項2】
前記ステージ位置アジャスタが、前記基板に対して前記OVJPプリントヘッドを動かす請求項1に記載のOVJP装置。
【請求項3】
前記ステージ位置アジャスタが、前記OVJPプリントヘッドに対して前記基板を動かす請求項1に記載のOVJP装置。
【請求項4】
前記第1の静電容量センサが、第1の共通バスと接続されている第1の複数の導電性電極を含む第1のコームを含む請求項1に記載のOVJP装置。
【請求項5】
前記第1の静電容量センサが、第2の共通バスに接続されている第2の複数の導電性電極を含む第2のコームを更に含み、前記第2の複数の導電性電極が前記第1の複数の導電性電極と櫛歯状となっている(interdigitated)請求項4に記載のOVJP装置。
【請求項6】
前記第1のコーム及び前記第2のコームと電気連通し、前記第1及び第2のコームのそれぞれに励磁シグナルを提供するように構成される1つ以上の電流源を更に含み、前記第1及び第2のコームに提供される前記励磁シグナルが同調している請求項5に記載のOVJP装置。
【請求項7】
前記OVJPプリントヘッドに物理的に接続され、前記基板上の電極トレースを用いて配置されている第2の静電容量センサを更に含む請求項1に記載のOVJP装置。
【請求項8】
前記第2の静電容量センサが、第1の共通バスに接続されている第1の複数の導電性電極を含む第1のコームを含む請求項7に記載のOVJP装置。
【請求項9】
前記第2の静電容量センサが、第2の共通バスと接続されている第2の複数の導電性電極を含む第2のコームを更に含み、前記第2の複数の導電性電極は、前記第1の複数の導電性電極と櫛歯状となっている請求項8に記載のOVJP装置。
【請求項10】
前記第2の静電容量センサが、第2の共通バスに接続されている第2の複数の導電性電極を含む第2のコームを更に含み、前記第2の静電容量センサが、前記第1の静電容量センサの1つのコームの長さの範囲内、前記第1の静電容量センサに対して側方向にずれて配置される請求項8に記載のOVJP装置。
【請求項11】
前記OVJPプリントヘッドが、前記第1の静電容量センサと前記第2の静電容量センサとの間に位置されている請求項7に記載のOVJP装置。
【請求項12】
前記第1の静電容量センサが、前記基板を横切る前記OVJPプリントヘッドの印刷動作方向に対して前記OVJPプリントヘッドの前方に位置されている請求項11に記載のOVJP装置。
【請求項13】
前記OVJPプリントヘッドが操作されて、前記基板上に材料を堆積する間、前記処理回路が前記ステージ位置アジャスタを操作し、前記基板上に配置されている電極トレースと位置を合わせて前記OVJPプリントヘッドを維持する請求項1に記載のOVJP装置。
【請求項14】
前記処理回路が、リアルタイム閉ループフィードバックシステムを提供し、前記基板上に配置されている電極トレースと位置を合わせて前記OVJPプリントヘッドを維持する請求項1に記載のOVJP装置。
【請求項15】
OVJPプロセスを介して、基板上に材料を堆積する方法であって、前記方法が、
OVJPプリントヘッドが操作されて、前記基板上に材料を堆積することと;
前記OVJPプリントヘッドと物理的に接続され、前記基板上の電極トレースを用いて配置されている第1の静電容量センサから第1のシグナルを受け取ることと;
前記シグナルに応答して、前記OVJPプリントヘッド及び前記基板の相対位置を調節し、前記基板上の電極トレースと位置を合わせて前記OVJPプリントヘッドを維持することと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
前記OVJPプリントヘッドの前記相対位置を調節する工程が、前記基板に対して前記OVJPプリントヘッドを動かすこと、前記OVJPプリントヘッドに対して前記基板を動かすこと、又はそれらの組合せを含む請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の静電容量センサが、第1の共通バスと接続されている第1の複数の導電性電極を含む第1のコームを含む請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の静電容量センサが、第2の共通バスと接続されている第2の複数の導電性電極を含む第2のコームを更に含み、前記第2の複数の導電性電極が、前記第1の複数の導電性電極と櫛歯状となっている請求項17に記載のOVJP装置。
【請求項19】
前記第1及び第2のコームに励磁シグナルを提供し、前記励磁シグナルが同調している請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記OVJPプリントヘッドと物理的に接続され、前記基板上の電極トレースを用いて配置されている第2の静電容量センサから第2のシグナルを受け取ることと;
前記第1のシグナル及び前記第2のシグナルの両方に応答して、前記OVJPプリントヘッド及び前記基板の前記相対位置を調節し、前記基板上の電極トレースと位置を合わせて、前記OVJPプリントヘッドを維持することを更に含む請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、その開示内容の全体を参照によって援用する、2017年5月5日出願の米国特許仮出願第62/501,912号の非仮出願であって、それらに対する優先権を主張する。
【0002】
本発明は、有機発光ダイオードなどのデバイス、及びそれらで又はそれらによって作製される、及び/又はそれらを含む有機発光ダイオードなどのデバイスを作製するためのシステム及び技術に関する。
【背景技術】
【0003】
有機材料を利用する光電子デバイスは、いくつもの理由から、次第に望ましいものとなりつつある。そのようなデバイスを作製するために使用される材料の多くは比較的安価であるため、有機光電子デバイスは無機デバイスを上回るコスト優位性の可能性を有する。加えて、柔軟性等の有機材料の固有の特性により、該材料は、フレキシブル基板上での製作等の特定用途によく適したものとなり得る。有機光電子デバイスの例は、有機発光ダイオード/デバイス(OLED)、有機光トランジスタ、有機光電池及び有機光検出器を含む。OLEDについて、有機材料は従来の材料を上回る性能の利点を有し得る。例えば、有機発光層が光を放出する波長は、概して、適切なドーパントで容易に調整され得る。
【0004】
OLEDはデバイス全体に電圧が印加されると光を放出する薄い有機膜を利用する。OLEDは、フラットパネルディスプレイ、照明及びバックライティング等の用途において使用するためのますます興味深い技術となりつつある。数種のOLED材料及び構成は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、特許文献1、特許文献2及び特許文献3において記述されている。
【0005】
リン光性発光分子の1つの用途は、フルカラーディスプレイである。そのようなディスプレイの業界標準は、「飽和(saturated)」色と称される特定の色を放出するように適合された画素を必要とする。特に、これらの標準は、飽和した赤色、緑色及び青色画素を必要とする。若しくは、OLEDは、白色光を照射するように設計することができる。従来の、白色バックライトからの液晶ディスプレイ発光は、吸収フィルタを用いてフィルタリングされ、赤色、緑色、及び青色発光を生成する。同様の技術は、OLEDでも用いられることができる。白色OLEDは、単一のEMLデバイス又は積層体構造のいずれかであることができる。色は、当技術分野において周知のCIE座標を使用して測定することができる。
【0006】
本明細書において使用される場合、用語「有機」は、有機光電子デバイスを製作するために使用され得るポリマー材料及び小分子有機材料を含む。「小分子」は、ポリマーでない任意の有機材料を指し、且つ「小分子」は実際にはかなり大型であってよい。小分子は、いくつかの状況において繰り返し単位を含み得る。例えば、長鎖アルキル基を置換基として使用することは、「小分子」クラスから分子を排除しない。小分子は、例えばポリマー骨格上のペンダント基として、又は該骨格の一部として、ポリマーに組み込まれてもよい。小分子は、コア部分上に構築された一連の化学的シェルからなるデンドリマーのコア部分として役立つこともできる。デンドリマーのコア部分は、蛍光性又はリン光性小分子発光体であってよい。デンドリマーは「小分子」であってよく、OLEDの分野において現在使用されているデンドリマーはすべて小分子であると考えられている。
【0007】
本明細書において使用される場合、「頂部」は基板から最遠部を意味するのに対し、「底部」は基板の最近部を意味する。第一層が第二層「の上に配置されている」と記述される場合、第一層のほうが基板から遠くに配置されている。第一層が第二層「と接触している」ことが指定されているのでない限り、第一層と第二層との間に他の層があってもよい。例えば、間に種々の有機層があるとしても、カソードはアノード「の上に配置されている」と記述され得る。
【0008】
本明細書において使用される場合、「溶液プロセス可能な」は、溶液又は懸濁液形態のいずれかの液体媒質に溶解、分散若しくは輸送することができ、且つ/又は該媒質から堆積することができるという意味である。
【0009】
配位子は、該配位子が発光材料の光活性特性に直接寄与していると考えられる場合、「光活性」と称され得る。配位子は、該配位子が発光材料の光活性特性に寄与していないと考えられる場合には「補助」と称され得るが、補助配位子は、光活性配位子の特性を変化させることができる。
【0010】
本明細書において使用される場合、当業者には概して理解されるであろう通り、第一の「最高被占分子軌道」(HOMO)又は「最低空分子軌道」(LUMO)エネルギー準位は、第一のエネルギー準位が真空エネルギー準位に近ければ、第二のHOMO又はLUMOエネルギー準位「よりも大きい」又は「よりも高い」。イオン化ポテンシャル(IP)は、真空準位と比べて負のエネルギーとして測定されるため、より高いHOMOエネルギー準位は、より小さい絶対値を有するIP(あまり負でないIP)に相当する。同様に、より高いLUMOエネルギー準位は、より小さい絶対値を有する電子親和力(EA)(あまり負でないEA)に相当する。頂部に真空準位がある従来のエネルギー準位図において、材料のLUMOエネルギー準位は、同じ材料のHOMOエネルギー準位よりも高い。「より高い」HOMO又はLUMOエネルギー準位は、「より低い」HOMO又はLUMOエネルギー準位よりもそのような図の頂部に近いように思われる。
【0011】
本明細書において使用される場合、当業者には概して理解されるであろう通り、第一の仕事関数がより高い絶対値を有するならば、第一の仕事関数は第二の仕事関数「よりも大きい」又は「よりも高い」。仕事関数は概して真空準位と比べて負数として測定されるため、これは「より高い」仕事関数が更に負であることを意味する。頂部に真空準位がある従来のエネルギー準位図において、「より高い」仕事関数は、真空準位から下向きの方向に遠く離れているものとして例証される。故に、HOMO及びLUMOエネルギー準位の定義は、仕事関数とは異なる慣例に準ずる。
【0012】
OLEDについての更なる詳細及び上述した定義は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる特許文献4において見ることができる。
【発明の概要】
【0013】
実施形態によれば、有機発光ダイオード/デバイス(OLED)も提供される。前記OLEDは、アノードと、カソードと、前記アノードと前記カソードとの間に配置された有機層と、を含むことができる。実施形態によれば、前記有機発光デバイスは、消費者製品、電子部品モジュール、及び/又は照明パネルから選択される1つ以上のデバイスに組み込まれる。
【0014】
実施形態によれば、OVJPプリントヘッドと、前記OVJPプリントヘッドと物理的に接続されている静電容量センサと、前記OVJPプリントヘッド及び前記OVJPプリントヘッドの下に配置されている基板の相対位置を調節するように構成されるステージ位置アジャスタと、前記第1の静電容量センサ及び前記ステージ位置アジャスタとシグナル連通し、前記第1の静電容量センサによって提供されるシグナルに基づき、制御シグナルを前記ステージ位置アジャスタに提供するように構成される処理回路と、を含む有機蒸気ジェット印刷(OVJP)装置が提供される。前記ステージ位置アジャスタは、前記基板に対して前記OVJPプリントヘッドを動かすことができる、前記プリントヘッドに対して前記基板を動かすことができる、又はそれらの組合せを行うことができる。2つのセンサが使用される場合など、複数の静電容量センサが用いられることができる。幾つかの実施形態においては、センサは、OVJPプリントヘッドの一方の端部で、前記基板を横切った運動方向に対して前記OVJPプリントヘッドの前及び/又は後ろに、又はそれらの組合せに位置されることができる。前記プリントヘッドは、前記静電容量センサシグナルに基づいて操作中に動かされ、前記基板上に配置される1つ以上のトレースとの位置合わせを維持することができる。前記処理回路は、前記基板上の前記トレースと位置を合わせて前記OVJPプリントヘッドを維持するリアルタイム及び/又は閉ループフィードバックを提供することができる。
【0015】
実施形態においては、OVJPプロセスを介して基板上に材料を堆積する方法が提供され、前記方法は、OVJPプリントヘッドが操作されて、前記基板上に材料を堆積することと、前記OVJPプリントヘッドと物理的に接続されている第1の静電容量センサから第1のシグナルを受け取ることと、前記シグナルに応答して、前記OVJPプリントヘッド及び前記基板の相対位置を調節し、前記基板上のトレースと位置を合わせて前記OVJPプリントヘッドを維持することと、を含む。前記OVJP装置は、先に記載された方法の一部又は全部において、及び本明細書で更に詳細に開示されるように操作されることができる。例えば、前記OVJPプリントヘッドの前記相対位置を調節する工程は、前記基板に対して前記OVJPプリントヘッドを動かすこと、前記OVJPプリントヘッドに対して前記基板を動かすこと、又はそれらの組合せによって行われることができる。前記装置は、先に記載された及び本明細書中に開示される1つ又は2つのコームセンサなど、本明細書中に開示される1つ以上の静電容量センサを含むことができ、それらは同調して駆動され、先に記載された及び本明細書中に開示される1つ以上の制御部品にセンサシグナルを提供することができる。
【0016】
本明細書中に開示され、本明細書中に開示される実施形態で使用される静電容量センサは、共通バスに接続されている複数の導電性電極を含むコームから形成されることができる。幾つかの実施形態においては、本明細書中に開示される静電容量センサは、前記第1の複数の電極の前記共通バスとは異なる第2の共通バスと接続されている他の複数の導電性電極を含むことができ、前記第2の複数の電極は、前記第1の複数の電極と櫛歯状となっている(interdigitated)。幾つかの構成においては、コームは、比較的近接して置かれることができるが、直に接して櫛歯状になることはない。例えば、前記第2のコームは、アセンブリ及び基板の移動方向に対して第1より1つの電極幅分後方に配置され、側方向に並べられている場合コームが櫛歯状になるように前記第1から側方向にずれていることができる。2つのコームは、前記OVJP装置の操作中、同調して駆動されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本明細書中で開示される実施形態を用いて作製されることができる有機発光デバイスの例を示す。
【0018】
図2図2は、本明細書中で開示される実施形態を用いて作製されることができる別の電子輸送層を有さない、反転された有機発光デバイスの例を示す。
【0019】
図3図3は、本明細書中に開示される実施形態における、作製に好適な赤色、緑色、及び青色のサブピクセルを有する例示的なOLEDアレイのバックプレーンを示す。
【0020】
図4図4は、本明細書中に開示される実施形態における静電容量位置センサの例を示す。
【0021】
図5図5は、本明細書中に開示される実施形態における単一のコームを有する静電容量位置センサの例を示す。
【0022】
図6図6は、本明細書中に開示される実施形態における2つの櫛歯状になったコームを有する静電容量位置センサの例を示す。
【0023】
図7図7は、本明細書中に開示される実施形態におけるOVJPマイクロノズルアレイの上に装着された静電容量位置センサの対を示す。
【0024】
図8図8は、本明細書中に開示される実施形態におけるマイクロノズルアレイから離れたプリントヘッドの前後に装着された静電容量位置センサの対を示す。
【0025】
図9図9は、本明細書中に開示される実施形態における誘電体のラインに対する位置を決定するために用いられる静電容量位置センサの例を示す。
【0026】
図10図10は、本明細書中に開示される実施形態における基板とセンサとの間の側方位置及び法線距離を測定することができる静電容量位置センサを示す。
【0027】
図11図11は、本明細書中に開示される実施形態における静電容量位置センサ及び関連するシグナル処理エレクトロニクスの回路図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
概して、OLEDは、アノード及びカソードの間に配置され、それらと電気的に接続された少なくとも1つの有機層を含む。電流が印加されると、アノードが正孔を注入し、カソードが電子を有機層(複数可)に注入する。注入された正孔及び電子は、逆帯電した電極にそれぞれ移動する。電子及び正孔が同じ分子上に局在する場合、励起エネルギー状態を有する局在電子正孔対である「励起子」が形成される。光は、励起子が緩和した際に、光電子放出機構を介して放出される。いくつかの事例において、励起子はエキシマー又はエキサイプレックス上に局在し得る。熱緩和等の無輻射機構が発生する場合もあるが、概して望ましくないとみなされている。
【0029】
初期のOLEDは、例えば、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第4,769,292号において開示されている通り、その一重項状態から光を放出する発光分子(「蛍光」)を使用していた。蛍光発光は、概して、10ナノ秒未満の時間枠で発生する。
【0030】
ごく最近では、三重項状態から光を放出する発光材料(「リン光」)を有するOLEDが実証されている。参照によりその全体が組み込まれる、Baldoら、「Highly Efficient Phosphorescent Emission from Organic Electroluminescent Devices」、395巻、151~154、1998;(「Baldo-I」)及びBaldoら、「Very high-efficiency 緑色 有機発光デバイスs based on electrophosphorescence」、Appl.Phys.Lett.、75巻、3号、4~6(1999)(「Baldo-II」)。リン光については、参照により組み込まれる米国特許第7,279,704号5~6段において更に詳細に記述されている。
【0031】
図1は、有機発光デバイス100を示す。図は必ずしも一定の縮尺ではない。デバイス100は、基板110、アノード115、正孔注入層120、正孔輸送層125、電子ブロッキング層130、発光層135、正孔ブロッキング層140、電子輸送層145、電子注入層150、保護層155、カソード160、及びバリア層170を含み得る。カソード160は、第一の導電層162及び第二の導電層164を有する複合カソードである。デバイス100は、記述されている層を順に堆積させることによって製作され得る。これらの種々の層の特性及び機能並びに材料例は、参照により組み込まれるUS7,279,704、6~10段において更に詳細に記述されている。
【0032】
これらの層のそれぞれについて、更なる例が利用可能である。例えば、フレキシブル及び透明基板-アノードの組合せは、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第5、844、363号において開示されている。p-ドープされた正孔輸送層の例は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2003/0230980号において開示されている通りの、50:1のモル比でm-MTDATAにF-TCNQをドープしたものである。発光材料及びホスト材料の例は、参照によりその全体が組み込まれるThompsonらの米国特許第6,303,238号において開示されている。n-ドープされた電子輸送層の例は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2003/0230980号において開示されている通りの、1:1のモル比でBPhenにLiをドープしたものである。参照によりその全体が組み込まれる米国特許第5,703,436号及び同第5,707,745号は、上を覆う透明の、導電性の、スパッタリング蒸着したITO層を持つMg:Ag等の金属の薄層を有する複合カソードを含むカソードの例を開示している。ブロッキング層の理論及び使用は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第6,097,147号及び米国特許出願公開第2003/0230980号において更に詳細に記述されている。注入層の例は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2004/0174116号において提供されている。保護層についての記述は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2004/0174116号において見ることができる。
【0033】
図2は、反転させたOLED200を示す。デバイスは、基板210、カソード215、発光層220、正孔輸送層225、及びアノード230を含む。デバイス200は、記述されている層を順に堆積させることによって製作され得る。最も一般的なOLED構成はアノードの上に配置されたカソードを有し、デバイス200はアノード230の下に配置されたカソード215を有するため、デバイス200は「反転させた」OLEDと称されることがある。デバイス100に関して記述されたものと同様の材料を、デバイス200の対応する層において使用してよい。図2は、いくつかの層が如何にしてデバイス100の構造から省略され得るかの一例を提供するものである。
【0034】
図1及び2において例証されている単純な層構造は、非限定的な例として提供されるものであり、本発明の実施形態は多種多様な他の構造に関連して使用され得ることが理解される。記述されている特定の材料及び構造は、事実上例示的なものであり、他の材料及び構造を使用してよい。機能的なOLEDは、記述されている種々の層を様々な手法で組み合わせることによって実現され得るか、又は層は、設計、性能及びコスト要因に基づき、全面的に省略され得る。具体的には記述されていない他の層も含まれ得る。具体的に記述されているもの以外の材料を使用してよい。本明細書において提供されている例の多くは、単一材料を含むものとして種々の層を記述しているが、ホスト及びドーパントの混合物等の材料の組合せ、又はより一般的には混合物を使用してよいことが理解される。また、層は種々の副層を有してもよい。本明細書における種々の層に与えられている名称は、厳しく限定することを意図するものではない。例えば、デバイス200において、正孔輸送層225は正孔を輸送し、正孔を発光層220に注入し、正孔輸送層又は正孔注入層として記述され得る。一実施形態において、OLEDは、カソード及びアノードの間に配置された「有機層」を有するものとして記述され得る。有機層は単層を含んでいてよく、又は、例えば図1及び2に関して記述されている通りの異なる有機材料の多層を更に含んでいてよい。
【0035】
参照によりその全体が組み込まれるFriendらの米国特許第5,247,190号において開示されているもののようなポリマー材料で構成されるOLED(PLED)等、具体的には記述されていない構造及び材料を使用してもよい。更なる例として、単一の有機層を有するOLEDが使用され得る。OLEDは、例えば、参照によりその全体が組み込まれるForrestらの米国特許第5,707,745号において記述されている通り、積み重ねられてよい。OLED構造は、図1及び2において例証されている単純な層構造から逸脱してよい。例えば、基板は、参照によりその全体が組み込まれる、Forrestらの米国特許第6,091,195号において記述されている通りのメサ構造及び/又はBulovicらの米国特許第5,834,893号において記述されている通りのくぼみ構造等、アウトカップリングを改良するための角度のついた反射面を含み得る。
【0036】
別段の規定がない限り、種々の実施形態の層のいずれも、任意の適切な方法によって堆積され得る。有機層について、好ましい方法は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第6,013,982号及び同第6,087,196号において記述されているもの等の熱蒸着、インクジェット、参照によりその全体が組み込まれるForrestらの米国特許第6,337,102号において記述されているもの等の有機気相堆積(OVPD)、並びに参照によりその全体が組み込まれる米国特許第7,431,968号において記述されているもの等の有機気相ジェットプリンティング(OVJP)による堆積を含む。他の適切な堆積法は、スピンコーティング及び他の溶液ベースのプロセスを含む。溶液ベースのプロセスは、好ましくは、窒素又は不活性雰囲気中で行われる。他の層について、好ましい方法は熱蒸着を含む。好ましいパターニング法は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第6,294,398号及び同第6,468,819号において記述されているもの等のマスク、冷間圧接を経由する堆積、並びにインクジェット及びOVJD等の堆積法のいくつかに関連するパターニングを含む。他の方法を使用してもよい。堆積する材料は、特定の堆積法と適合するように修正され得る。例えば、分枝鎖状又は非分枝鎖状であり、且つ好ましくは少なくとも3個の炭素を含有するアルキル及びアリール基等の置換基は、溶液プロセシングを受ける能力を増強するために、小分子において使用され得る。20個以上の炭素を有する置換基を使用してよく、3~20個の炭素が好ましい範囲である。非対称構造を持つ材料は、対称構造を有するものよりも良好な溶液プロセス性を有し得、これは、非対称材料のほうが再結晶する傾向が低くなり得るからである。溶液プロセシングを受ける小分子の能力を増強するために、デンドリマー置換基が使用され得る。
【0037】
本発明の実施形態に従って製作されたデバイスは、バリア層を更に含んでいてよい。バリア層の1つの目的は、電極及び有機層を、水分、蒸気及び/又はガス等を含む環境における有害な種への損傷性暴露から保護することである。バリア層は、基板、電極の上、下若しくは隣に、又はエッジを含むデバイスの任意の他の部分の上に堆積し得る。バリア層は、単層又は多層を含んでいてよい。バリア層は、種々の公知の化学気相堆積技術によって形成され得、単相を有する組成物及び多相を有する組成物を含み得る。任意の適切な材料又は材料の組合せをバリア層に使用してよい。バリア層は、無機若しくは有機化合物又は両方を組み込み得る。好ましいバリア層は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第7,968,146号、PCT特許出願第PCT/US2007/023098号及び同第PCT/US2009/042829号において記述されている通りの、ポリマー材料及び非ポリマー材料の混合物を含む。「混合物」とみなされるためには、バリア層を構成する前記のポリマー及び非ポリマー材料は、同じ反応条件下で及び/又は同時に堆積されるべきである。ポリマー材料対非ポリマー材料の重量比は、95:5から5:95の範囲内となり得る。ポリマー材料及び非ポリマー材料は、同じ前駆体材料から作成され得る。一例において、ポリマー材料及び非ポリマー材料の混合物は、ポリマーケイ素及び無機ケイ素から本質的になる。
【0038】
本発明の実施形態にしたがって作製されたデバイスは、種々の電気製品又は中間部品に組み込まれることができる多種多様な電子部品モジュール(又はユニット)に組み込まれることができる。このような電気製品又は中間部品としては、エンドユーザーの製品製造者によって利用されることができるディスプレイスクリーン、照明デバイス(離散的光源デバイス又は照明パネル等)が挙げられる。このような電子部品モジュールは、駆動エレクトロニクス及び/又は電源を任意に含むことができる。本発明の実施形態にしたがって作製されたデバイスは、組み込まれた1つ以上の電子部品モジュール(又はユニット)を有する多種多様な消費者製品に組み込まれることができる。OLEDの有機層に本開示の化合物を含むOLEDを含む消費者製品が開示される。このような消費者製品は、1つ以上の光源及び/又は1つ以上のある種の表示装置を含む任意の種類の製品を含む。このような消費者製品の幾つかの例としては、フラットパネルディスプレイ、コンピュータモニター、メディカルモニター、テレビ、掲示板、屋内若しくは屋外照明及び/又は信号送信用のライト、ヘッドアップディスプレイ、完全又は部分透明ディスプレイ、フレキシブルディスプレイ、レーザープリンター、電話、モバイル電話、タブレット、ファブレット、パーソナルデジタルアシスタント(PDAs)、ウェアラブルデバイス、ラップトップコンピュータ、デジタルカメラ、カムコーダー、ビューファインダー、マイクロディスプレイ(対角で2インチ未満のディスプレイ)、3-Dディスプレイ、バーチャルリアリティ又は拡張現実ディスプレイ、車両、共に並べた多重ディスプレイを含むビデオウォール(video walls)、劇場又はスタジアムのスクリーン、及び看板を含む。パッシブマトリックス及びアクティブマトリックスを含む種々の制御機構を使用して、本発明に従って製作されたデバイスを制御することができる。デバイスの多くは、摂氏18度から摂氏30度、より好ましくは室温(摂氏20~25度)等、ヒトに快適な温度範囲内での使用が意図されているが、この温度範囲外、例えば、摂氏-40度~80度で用いることもできる。
【0039】
本明細書において記述されている材料及び構造は、OLED以外のデバイスにおける用途を有し得る。例えば、有機太陽電池及び有機光検出器等の他の光電子デバイスが、該材料及び構造を用い得る。より一般的には、有機トランジスタ等の有機デバイスが、該材料及び構造を用い得る。
【0040】
幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、可撓性があること、丸めることができること、折ることができること、伸ばすことができること、曲げることができることからなる群から選択される1つ以上の特性を有する。幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、透明又は半透明である。幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、カーボンナノチューブを含む層を更に含む。
【0041】
幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、遅延蛍光発光体を含む層を更に含む。幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、RGB画素配置又は白色及びカラーフィルタ画素配置を含む。幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、モバイルデバイス、ハンドヘルドデバイス、又はウェラブルデバイスである。幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、10インチ未満の対角線又は50平方インチ未満の面積を有するディスプレイパネルである。幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、少なくとも10インチの対角線又は少なくとも50平方インチの面積を有するディスプレイパネルである。幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、照明パネルである。
【0042】
発光領域の幾つかの実施形態においては、前記発光領域は、ホストを更に含む。
【0043】
幾つかの実施形態においては、前記化合物は、発光ドーパントであることができる。幾つかの実施形態においては、前記化合物は、リン光、蛍光、熱活性化遅延蛍光、即ちTADF(E型遅延蛍光とも言われる)、三重項-三重項消滅、又はこれらの過程の組合せを介して、発光を生成することができる。
【0044】
本明細書において開示されるOLEDは、消費者製品、電子部品モジュール、及び照明パネルの1つ以上に組み込まれることができる。前記有機層は、発光層であることができ、幾つかの実施形態においては、前記化合物は、発光ドーパントであることができ、他の実施形態においては、前記化合物は、非発光ドーパントであることができる。
【0045】
前記有機層は、ホストを含むこともできる。幾つかの実施形態においては、2つ以上のホストが好ましい。幾つかの実施形態においては、使用される前記ホストは、a)双極性(bipolar)材料、b)電子輸送材料、c)正孔輸送材料、又はd)電荷輸送の役割がほとんどないワイドバンドギャップ材料であることができる。幾つかの実施形態においては、前記ホストは、金属錯体を含むことができる。前記ホストは、無機化合物であることができる。
他の材料との組合せ
【0046】
有機発光デバイス中の特定の層に有用として本明細書において記述されている材料は、デバイス中に存在する多種多様な他の材料と組み合わせて使用され得る。例えば、本明細書において開示されている発光性ドーパントは、多種多様なホスト、輸送層、ブロッキング層、注入層、電極、及び存在し得る他の層と併せて使用され得る。以下で記述又は参照される材料は、本明細書において開示されている化合物と組み合わせて有用となり得る材料の非限定的な例であり、当業者であれば、組み合わせて有用となり得る他の材料を特定するための文献を容易に閲覧することができる。
【0047】
様々な材料が、様々な発光及び非発光層、並びに本明細書中に開示されている配置に用いられることができる。好適な材料の例は、その開示内容の全体を参照によって援用する、米国特許出願公開第2017/0229663号に開示される。
【0048】
伝導性(導電性)ドーパント:
電荷輸送層は、伝導性ドーパントでドープされ、電荷キャリアの密度を大きく変え、それによりその伝導性を変えることとなる。伝導性は、マトリックス材料中の電荷キャリアを生成することで、又はドーパントのタイプに応じて増加され、半導体のフェルミ準位における変化も達成することができる。正孔輸送層は、p型伝導性ドーパントでドープされることができ、n型伝導性ドーパントは、電子輸送層中に用いられる。
HIL/HTL:
【0049】
本発明の実施形態において使用される正孔注入/輸送材料は特に限定されず、その化合物が正孔注入/輸送材料として典型的に使用されるものである限り、任意の化合物を使用してよい。
EBL:
【0050】
電子ブロキング層(EBL)は、発光層から出る電子及び/又は励起子の数を減らすために使用されることができる。デバイス中のそのようなブロッキング層の存在は、ブロッキング層を欠く同様のデバイスと比較して、大幅に高い効率及び/又はより長い寿命をもたらし得る。また、ブロッキング層を使用して、OLEDの所望の領域に発光を制限することもできる。幾つかの実施形態においては、EBL材料は、EBLインターフェースに最も近接した発光体よりも高いLUMO(真空準位により近い)及び/又は高い三重項エネルギーを有する。幾つかの実施形態においては、EBL材料は、EBLインターフェースに最も近接したホストの1つ以上よりも高いLUMO(真空準位により近い)及び/又は高い三重項エネルギーを有する。1つの態様においては、EBL中に用いられる前記化合物は、下記に記載されるホストの1つとして、同じ分子又は同じ官能基を含む。
ホスト:
【0051】
本発明の有機ELデバイスの発光層は、発光材料として少なくとも金属錯体を含むことが好ましく、前記金属錯体をドーパント材料として用いるホスト材料を含んでいてもよい。前記ホスト材料の例は、特に限定されず、ホストの三重項エネルギーがドーパントのものより大きい限り、任意の金属錯体又は有機化合物を使用してよい。三重項の基準が満たされれば、いずれのホスト材料もいずれのドーパントと共に用いられてもよい。
HBL:
【0052】
正孔ブロッキング層(HBL)を使用して、発光層から出る正孔及び/又は励起子の数を低減させることができる。デバイス中のそのようなブロッキング層の存在は、ブロッキング層を欠く同様のデバイスと比較して大幅に高い効率及び/又はより長い寿命をもたらし得る。また、ブロッキング層を使用して、OLEDの所望の領域に発光を制限することもできる。幾つかの実施形態においては、HBL材料は、HBLインターフェースに最も近接した発光体よりも低いHOMO(真空準位から更に離れて)及び/又は高い三重項エネルギーを有する。幾つかの実施形態においては、HBL材料は、HBLインターフェースに最も近接したホストの1つ以上よりも低いHOMO(真空準位から更に離れて)及び/又は高い三重項エネルギーを有する。
ETL:
【0053】
電子輸送層(ETL)は、電子を輸送することができる材料を含み得る。電子輸送層は、真性である(ドープされていない)か、又はドープされていてよい。ドーピングを使用して、伝導性を増強することができる。ETL材料の例は特に限定されず、電子を輸送するために典型的に使用されるものである限り、任意の金属錯体又は有機化合物を使用してよい。
電荷発生層(CGL)
【0054】
タンデム型、又は積層型のOLED中で、CGLは、性能において重要な役割を果たし、それぞれ、電子及び正孔の注入ためのn-ドープ層及びp-ドープ層からなる。電子及び正孔は、前記CGL及び電極から供給される。前記CGL中の消費された電子及び正孔は、それぞれカソード及びアノードから注入された電子及び正孔によって再び満たされ、その後バイポーラ電流が徐々に安定した状態に達する。典型的なCGL材料は、輸送層で用いられるn型及びp型伝導性ドーパントを含む。
【0055】
先に開示したように、OLEDデバイスを作製するための技術の1つのタイプは、有機蒸気ジェット印刷(OVJP)である。OVJPによって、シャドウマスク又は液体溶媒を用いることなく、ディスプレイにそれぞれ赤色、緑色、及び青色のOLEDサブピクセルの発光層の同時成長及びパターニングを可能にする。OVJPは、プリントヘッドによって形成された有機蒸気の噴出物を基板上に噴出する。有機材料が凝縮する位置は、プリントヘッド及び基板の相対位置に依存する。したがって、プリントヘッドのデポジタ(depositor)は、基板上のサブピクセル電極に合わせられる。典型的には、位置合わせは、望ましいプリンティング公差を達成するためのサブピクセル幅の画分内(fraction)になるようにすることが望ましい。噴出物が中心からずれている場合、例えば、堆積装置と基板との間の意図しない相対運動のために、様々な望ましくない状況が生じることがある。例えば、得られたフィルムは、サブピクセルに亘って不均一な膜厚を有することがある、又は噴出物は、隣接するサブピクセルの上を覆うことがある。
【0056】
例えば、現世代55’’クラス超高解像度OLEDのTVは、50μmサブピクセルを特徴とし、一般的に、±5μmの位置合わせ精度を必要とすることが考えられる。公差は解像度と逆比例するため、8Kディスプレイでは更に高い精度が要求される。
【0057】
OVJP堆積システムを有機材料が堆積される基板と適切に合わせるために、光学的基準(optical fiducials)などの従来の方法を用いて、基板をステージ座標系に向けることができる。しかしながら、そのような技術は、「開ループ」技術であり、即ち、堆積中において不整列になるシステムを修正するためのフィードバック機構がない。例えば、従来の光学的技術においては、OVJP堆積システムは、堆積プロセスの開始時に基板の位置及び配向を記憶し、それを用いて基板とステージ座標との間の変換体を規定する。その後、システムは、基板座標系において、デポジタに対して一連の既知量だけステージを動かすことによってプリントされる各サブピクセル又は他の部品を配置する。この方法は、比較的小さい基板には許容可能に良好に働くが、大きいステージ及び基板に対しては、不確実性が増す。したがって、このような技術は、典型的には、約500mm以上の基板には、好適ではない。
【0058】
一般的には、その動作範囲が増加すると、従来のOVJP系におけるステージ動作の再現性は減少する傾向にあることが知られている。一般的には、基板内における形成要素(features)のクラスター間の位置調節公差は、基板のサイズと共に大きくなる。その結果、個々の形成要素は、隣接するものに対し正しく位置されることができるが、累積誤差が、より大きな規模における全体的な不正確さをもたらすことがある。更に、OVJP堆積システムは、通常、プリントヘッドの下の基板内において、温度勾配を引き起こす。このことは、熱膨張によって基板がステージに対する位置を変えることがある。
【0059】
より大きな規模において堆積精度及び速度を維持しながら、この問題、及びOVJP堆積に関する他の起こりうる問題を解決するために、本明細書中に開示される閉ループ位置検知技術及びシステムを用いることができる。本明細書中に開示される閉ループ位置センサは、プリンティングが行われている間、基板上の形成要素に対するプリントヘッドの位置を監視し、修正することを可能にする。これは、初期の光学的な位置合わせを連続的に修正させることを可能にし、それによって、プリンティグを止める及び/又はプリンティグの休止中におけるOVJP堆積システムを再調整する必要なく、堆積中のプリンティグ精度を維持する。
【0060】
幾つかの実施形態においては、本明細書中に開示されているOVJP堆積技術と共に用いられる閉ループセンサは、少なくとも1つの軸において、正確に相対位置を測定することができる。OVJPによってプリントされる構造は、通常、基板上の電極の列に対して、例えば5μm以内など比較的厳しい公差に位置されるべきである堆積された材料の平行ラインのアレイを含むが、そのような厳しい公差に保持されるための長さを必要としない。即ち、一般的には、比較的高精度の測定の単一の軸及びディスプレイ又は同じようなデバイスの表面上の堆積のみが、許容できる性能に必要とされる。例えば、OVJPの典型的な適用は、図3に示されるRGBピクセルのセットの堆積である。赤色(301)、緑色(302)、及び青色(303)薄膜発光材料のストライプは、ディスプレイバックプレーンなど基板上のOLEDのブランケット薄膜輸送層及び/又は他の層に亘ってプリントされる。ストライプは、電流を提供する、バックプレーン上の電極の列304と並び、3つの異なる色のOLEDサブピクセルを形成する。隣接する赤色、緑色、及び青色サブピクセルのセットは、フルカラーピクセル305を形成する。図中の6つのピクセルのそれぞれは、点線によってオフセットされる。所定の色のサブピクセルが同一ライン上になるようにピクセルが並べられる場合、図3に示されるRGBパターンは、ストライプとして印刷されることができる。サブピクセルのラインに垂直な方向306に沿った印刷されたストライプの配置は、ストライプの長さ307よりもより重大になる。同一線上のサブピクセルの電極は、多くの場合、平行な導電トレース308を覆い、その辺縁は、破線によって図3に示される。本明細書中に開示されているように、これらのトレースに対しその位置を追跡することができるプリントヘッドは、基板に対して正しい位置にとどまり、図3に示されるように、発光材料及び/又は他の有機材料のラインを堆積することが決定されてきた。
【0061】
図4は、本明細書中に開示されるOVJP堆積システムの例を示す。OVJPは、熱的プロセスであり、プリントヘッドは、一般的には、300℃超の温度で維持される。OVJP堆積プロセスは、真空チャンバ401など制御された環境内で行われる。本明細書中に開示される実施形態によれば、位置センサ402は、OVJPプリントヘッド403上に装着される。位置センサ402によって得られたセンサ情報に基づいて、基板405に対するノズル403の正しい位置をより簡単に決定できるように、OVJPノズル又はマイクロノズルアレイ404と近接して位置センサを装着することが望ましいことがある。
【0062】
OVJP技術においては、チャンバ内において部品から、特にプリント領域に最も近い部品から、ガス放出を最小化する又は除去することが一般的には望ましい。したがって、センサ402は、高温でも顕著に脱気しないことが望ましい。
【0063】
少なくとも幾つかの静電容量センサは、十分に高い温度で動くことができ、非脱気材料によって作製されることができ、明細書中に開示されるOVJPシステム及び技術のための好適なセンサを提供することができることが本開示において決定されてきた。機械的に、本明細書中に開示される実施形態と共に使用するための好適な静電容量センサは、比較的高い電気抵抗によって、接地された(grounded)ターゲットから分離されている電極を含んでいればよい。
【0064】
例えば、図4を参照すると、ターゲットは、基板405であることができ、基板405に対して可動である移動ステージ406上にとどまることができる。電極を励磁し、帰還シグナルを解釈するために用いられるエレクトロニクス407は、チャンバ401の外に配置されることができ、その場合、電気的に遮蔽されたケーブル407及び密閉されたフィードスルー408を通ってセンサと接続されることができる。
【0065】
図5は、その上に材料が堆積される基板に向かったOVJP堆積アセンブリ(不図示)から見下ろした、本明細書中に開示される実施形態における静電容量距離センサの上部概略図を示す。センサは、導電性電極ストライプ501のアレイのものを含むことができる。前記ストリップ(strips)は、薄膜メタルからなることができ、まとめてコームと呼ばれる。そのようなコームのストライプは、電気めっき、物理蒸着、エアロゾルプリンティングなどを含む好適な技術によってによって堆積されることができる。コームは、プラスチック、ガラス、セラミックなど、又はそれらの組合せからなる電気絶縁性層502の上に配置されている。適切な薄膜金属被覆の例としては、e-ビーム蒸発又は他の好適な蒸着技術によって、コーム上に順次堆積された200ÅのTi、300ÅのPt、10,000ÅのAu、又は他の層を含む。コーム及び絶縁層は、OVJPプリントヘッドと共に移動し、プリントヘッド又は共通の支持体アセンブリと物理的に接続されることができる。
【0066】
電極501は、順にシグナルプロセッサに接続されている中心バス電極503によって接続されることができる。先に開示されるように、シグナルプロセッサは、堆積チャンバの外にあることができ、遮断ケーブルなどを介して電極アセンブリ501/503に接続されることができる。
【0067】
電極は、その上にOVJP堆積システムが並べられ、材料を堆積する基板と対向する。静電容量は、基板における導電性トレース504とコームの重なりによって生成される。コーム501/503及び導電性トレース504が同じ物理的期間を有する場合、互いを覆うときに、静電容量シグナルは最大化され、コームの電極がトレース間のギャップを覆うときに、静電容量シグナルは最小化される。基板トレースに対するコームの位置は、その後、ある期間内に決定されることができる。
【0068】
図6は、複数の櫛歯状になったコームを含む、本明細書中に開示される実施形態における他の静電容量距離センサの上部概略図を示す。具体的には、この配置においては、2つの櫛歯状になったコーム601は、各コームからの電極が、コームの下でトレース501を跨るように並べられる。2つのコームのそれぞれは、別々のバス602に接続されている。したがって、この配置は、互いに電気的に絶縁された別個のバスと電気的に接続された2つのコーム部品を含む。下にあるトレースに対して望ましい位置に位置されているときに、各コームが下にあるトレースから同じ距離で位置されているストライプを含むようにコームが配置されるので、コームがトレースと適切に並べられているときに、2つのコームのそれぞれからの静電容量シグナルは、同じである。幾つかの構成においては、コームは、直接櫛歯状にならないことがあるが、直接櫛歯状になった構成と十分に同じに動作し、匹敵するセンサ結果を達成することができる。例えば、第2のコームは、OVJPプリントヘッド及び基板の相対運動方向に対して、第1のコームに近接ではあるが、それに続き置かれることができる。第2のコームは、第1の1つのコーム長さの範囲内であることができるが、第1のコームから側方向にずれていることができ、それによって互いに覆われているときに、2つのコームは、櫛歯状になった構造を形成する。
【0069】
先に開示されるように、図6に示されるセンサは、本明細書中に開示される実施形態におけるOVJP堆積装置に物理的に接続されることができる、又は本明細書中に開示される実施形態におけるOVJP堆積装置と同時に動くことができる。堆積装置がトレースを横切って動くと、1つのコームの静電容量は増加し、センサが片方に動くので、他は減少する。例えば、図6に示されるようにセンサに接続されている堆積装置が、トレースと並行方向に動くと(即ちページの上部又は下部に向かって)、コームとトレースとの間の同じ位置合わせが維持される限り、各コームのために測定された静電容量は、一定のままである。例えば、図6に示される配置において左にコームが動き、その後上部コーム電極のより小さい表面領域(surface area)が下にあるトレースの上に配置される(即ち、下にあるトレースと合わせられる)と、上部コームの静電容量は減少する。同様に、下部コーム電極の表面領域が、トレースの上に配置されると、下部コーム電極の静電容量が増加する。シグナル、又は静電容量の変化によって生成されたシグナルは、その後、ステージのフィードバック制御及びそれによる基板とOVJP堆積装置の相対位置を駆動するために用いられることができ、それによって印刷ヘッドは、トレースに平行な有機材料のストライプをプリントしながら、トレースに垂直に、正確に中央にあるままである。即ち、図6に示される二つのコームの使用は、比較測定を可能にし、コームと基板との間の距離から側方位置測定を分離する追加の利点を有する。複数のコームが用いられるので、静電容量の変化は、センサから離れて遠くに(即ち、z方向に)動く基板によるものなのか、又は側方(y方向)運動による位置合わせの外に来る基板及びセンサによるものかを決定することができる。
【0070】
OVJP堆積プロセス中の連続的な位置合わせを達成するために、1つ以上のステージ位置アジャスタを用いて、その上に材料が堆積されている基板及びOVJPプリントヘッドの相対位置を調節することができる。例えば、モータ、アクチュエータ、及び/又は同様の部品は、処理回路によって駆動され、図5~10に示されるものなど、1つ以上の静電容量センサから得られる位置データに基づいてプリントヘッドの相対位置を調節することができる。具体的な例としては、図7~9に示される配置は、先に開示されるように静電容量位置センサによって生成される位置シグナルに応答して、1つ以上のモータ、ベルトドライブなどによって、基板を横切って側方向に動かされることができるハウジング上に装着されることができる。
【0071】
幾つかの実施形態においては、本明細書中に開示されるコームにおける個々のストライプ電極のための典型的な寸法は、幅が10~30μm、長さが0.5~1.5mmの範囲にある。電極が幅約20μm及び長さ1.0mmであることが好ましいことがある。電極は、約10~75μmの平面上に位置されることができ、幾つかの実施形態においては、好ましくは約30~70μm、より好ましくは50μm、基板の上及びそれに並行して位置されることができる。本明細書中で開示される利点及び配置は、特定の数の電極を有することに依存しないが、各コームは100以上のストライプ電極を有することができる。幾つかの実施形態においては、電極の数が、その上に材料が堆積されるトレースの数又はトレースの数の有意な画分(fraction)と同じであることが望ましいことがある。例えば、トレースカラムの数の1/5、1/4、1/2、又はそれ以上を有することが望ましいことがある。Gen5又はより大きいガラス基板を用いた大量生産の堆積システムにおいて、トレースの数は、カラムの数よりも更に小さいことができ、それによってより小さいセンサがプリントヘッドに沿って周期的置かれることができる。
【0072】
平行な平板キャパシタの静電容量Cは、下記式によって求められる。
【化1】
式中、εはプレート間の材料の誘電率、Aはプレートの重なりの面積、dはプレート間の距離である。したがって、100個のストライプ電極コームは、典型的な基板上に約0.35pFの静電容量を生成する。この静電容量は、個々の電極で直接測定することができる、又は先に開示したように、バスを使用してコームにおける電極の静電容量を測定することができる。その上にコームが配置されている基板上にコーム電極及びトレースによって形成される「キャパシタ」の静電容量は、本明細書中では、コームの静電容量又はコームで測定された又はコームによって生成された静電容量と呼ばれることができる。
【0073】
図11は、本明細書中に開示される実施形態に係る櫛歯状になったコームセンサによって生成されたシグナルを処理するのに好適な例示的な回路を示す。交流シグナル1101は、各センサ1102の各コーム電極に供給されることができる。最も正確なセンサシグナルを得るために、2つのコーム電極を互いに同調して駆動することが好ましいことがある。センサは、先に開示したように、キャパシタとして挙動する。適切な大きさの抵抗器1103がそれらとAC電源との間に配置されている場合、抵抗器及びキャパシタはローパスフィルタとして作用する。各フィルタは、その静電容量に応じた量だけシグナルを減衰させる。各キャパシタからのシグナルは、2つのシグナルが差動増幅器1105によって比較される前に、プリアンプ1104によって増幅されることができる。差動増幅器は、2つのシグナル間の差を拡大し、それによって本明細書において先に開示したように、基板トレースを追跡することができる十分な情報を取り出す。特に、正の電圧シグナルは、一方向の補正値(correction)と他方向の負のシグナルとを示唆しており、それによって、本明細書中で開示されたシステムは、前述のようにデポジタが基板に対して移動した方向を決定することを可能にする。
【0074】
ロックイン増幅器1106、ローパスフィルタと直列の整流器、又は当業者に理解されるような他の部品などのデバイスを用いて、シグナルは、更に処理されることができる。電圧出力1107が生成されることができ、これは、先に開示された閉ループシステムにおけるOVJPプロセスを制御するために記録され、用いられる。具体的な例として、基板トレースを50%重ねたときに、各コームは、0.125pFの静電容量を有すると仮定すると、600kΩの抵抗器が2MHzのシグナルをフィルタリングするのに適している。より一般的には、ローパスフィルタのカットオフ周波数fは、f=1/(2πRC)で求められ、式中Rはシグナル源とコームとの間の抵抗器の抵抗であり、Cはコームと基板との間の静電容量である。ローパスフィルタを通って入ったシグナルは、カットオフ周波数を超えると急激に減衰される。したがって、コームがほぼカットオフ周波数で励磁されると、生成するシグナルは、静電容量が増加するにつれて顕著に弱くなり、静電容量が減少すると強くなる。したがって、システムの幾何学的制約内で、コームが可能な最大の静電容量を有することが望ましく、各コームのカットオフ周波数が都合の良い値になるように、抵抗Rは、選択されることができる。
【0075】
幾つかの実施形態においては、初期光学位置合わせを用いて、本明細書中で開示される静電容量センサのステージ上の適切な基板位置及び配向を決定することができる。初期の位置が決定されると、プリントヘッド及び基板は、互いに対して初期開ループ移動させる。トレースに垂直な更なる移動は、先に開示したように閉ループ制御を受ける。即ち、初期の位置合わせの後に、本明細書中で開示される静電容量センサを用いて、所望の相対位置を維持する閉ループシステムにおける基板及びOVJPプリントヘッドの相対位置情報を提供することができる。これは、基板における不規則性を補正しながら、位置調節誤差を防止する。センサを用いて、前述のように基板トレースに平行なパスを探すことができる。
【0076】
幾つかの実施形態においては、高シグナルと低シグナルのサイクルが各移動に対してカウントされ、垂直方向の正味の変位を追跡するために使用されるエンコーダと類似した方法で、本明細書中に開示される静電容量センサ及び関連するシステムを用いることができる。通常の動作においては、先に開示されるように、シグナルを用いて、プリントヘッドの垂直運動を制御することができ、それによって基板に対する垂直運動がなく、シグナルは一定のままである。正味の変位を追跡することによって、動いている基板の任意の角度の位置合わせミスが追跡され、その後、本明細書中で開示された位置調節技術を使用するなどの機械的調節によって補正されることができる。
【0077】
先に開示したように、本明細書中で開示されるセンサは、一般的には、OVJPプリントヘッド上に、又はそれに対してしっかりと取り付けられる。したがって、印刷作業中において、OVJPデポジタに対する位置は変わらない。図7及び図8は、本明細書中に開示されるセンサ及びOVJP装置の例示的な配置を示す。本明細書中に開示される実施形態の精神及び範囲から逸脱することなく、他の配置が用いられることができることが理解される。図7は、デポジタ703から既知の距離で、静電容量センサ701がマイクロノズルアレイ702に直接装着されているシステムの概略図を示す。図7の図は、基板に向かう堆積装置の上からのものである。このような配置は、任意の適切な微細加工技術を用いて達成されることができる。具体的な例として、センサのコームは、従来のマイクロノズルアレイのバルクシリコンからの寄生容量を減少させるために、独立した酸化膜上に堆積させることができる。更に、又はそれに加えて、追加の距離、他の絶縁部品、他の材料などを用いて、寄生容量、コームのショートなど、OVJPシステムの他のものからの任意の望ましくない影響からセンサを更に保護することができる。
【0078】
図8は、1つ以上のセンサ801がリンケージ802によってプリントヘッドに取り付けられることができる他の例示的な配置を示す。リンケージ802は、マイクロノズルアレイに対するコームの位置合わせを可能にするように十分に調節可能なことがある。更に、又はそれに加えて、マイクロノズルアレイの位置は、センサに対して調節可能なことがある。例えば、圧電性モータを用いて、センサとマイクロノズルアレイとを互いに向けるために必要とされる小さな位置補正を行うことができる。このような配置は、OVJP堆積システムの他の部品に対する静電容量センサの相対位置のより細かい制御及び/又は連続的な調節を可能にすることがある。図8の配置は、2つのセンサ801を含み、プリントヘッド702及び基板の相対的な移動方向に対して、1つは、プリントヘッド702の前にあり、もう1つは、プリントヘッド702の後ろにある。すなわち、図8に示される例は、典型的には、ページの上下方向、すなわち基板上のトレースに平行な方向に移動する。これにより、マイクロノズル及び基板トレースの平行度が非常に高い精度で測定されることが可能になる。更に、先行する又は後続するセンサのいずれかが依然として基板上のトレース上に位置され、それによって先に開示される位置合わせデータを更に提供することができるので、プリントヘッドを基板上のトレースのエッジに移動させることが可能である。
【0079】
静電容量センサを用いて、導電性基板とコームとの間の誘電性材料の存在を検出することもできる。図9は、ITO等の連続導電性膜901で被覆された例示的な基板の概略図を示す。導電性膜は、例えば、フォトリソグラフィ又は同様のプロセスによって形成されることができる露出された領域(bare regions)910を除いてどこでもフォトレジストなどの誘電性材料で被覆される。導電性パスは、これらの露出された領域に存在するので、それらの上に堆積された薄膜デバイスのための電極として作用する。誘電性材料801で覆われている領域では、露出された領域910よりも、コームと基板との間の静電容量がわずかに高い。したがって、2つのコームセンサを用いて、前の場合において、電子トレースを検出するのと類似した方法で、整列された(neat)導電性膜上の電極列に、マイクロノズルアレイが、正しく跨っているかどうかを決定することができる。したがって、本明細書で使用される静電容量センサの配置を用いて、そのような基板上の装置の位置合わせを測定し、調節することができる。
【0080】
幾つかの実施形態においては、本明細書中で開示される静電容量検出配置及び技術を用いて、OVJPプリントヘッドと基板との間の浮上高さの間隔を決定することもできる。例えば、図10は、単一の平面内に配列された位置及び浮上高センサの組合せの概略図を示す。2つのコームセンサ構成1001は、図6に関して先に開示されたものと同じである。電極1002を用いて、電極の領域における測定された静電容量に基づいて、電極自体と基板の導電性要素との間のギャップを測定することができる。電極は、長方形であることができ、個々のコーム電極よりも大きくてもよい。具体的には、例えば先に開示されるトレースの存在によって、OVJP基板は、一般的には均一に導電性ではないので、検出可能となるようにその静電容量が基板の代表的なものによって十分に影響され、それと一致する(coincident)導電性領域が位置によって変化しない十分に大きい面積を浮上高さセンサが有することが望ましいことがある。したがって、静電容量における任意の検出された変化は、全体的ではないにしても、少なくとも主としては浮上高さセンサ電極と基板との間の間隔dにおける変化によるものである。したがって、幾つかの実施形態においては、追加の電極1002の全表面積は、櫛歯状の10個のコームピリオド(periods)の面積と少なくとも等しいことが有用なことがある。浮上高さセンサは、図7に関して記載されたものと類似の方法で、マイクロノズルアレイの両端部に置かれることができる。マイクロノズルアレイの各側からの別々の浮上高さの読み取り値をアクティブ制御システムに入力して、アレイが基板の面に対して傾けられていないことを確実にすることができる。これに代えて、又はそれに加えて、本明細書中で開示される1つ以上の浮上高さセンサの使用は、基板が完全に平坦でない基板に対して、例えば、デポジタを基板の配向に傾けることによって、OVJPデポジタの位置を調節するために用いられることができる。そのような使用は、その開示内容の全体を参照によって援用される米国特許出願第15/968,009号に更に詳細に記載されている。
【0081】
浮上高さセンサ電極は、先に開示したように、上部及び下部のコームのバスから電気的に分離されている専用バス1003を有することができる。
【0082】
本明細書中で開示される実施形態は、材料を基板上に堆積させるシステムの動作中を含む、従来のOVJPシステムで達成可能なOVJP堆積システムより、更に正確で効率的な位置調節を可能にする。注目すべきことに、サブピクセル操作のための基板上に既に存在している電極トレースを用いて、本明細書中に開示される静電容量センサ配置を達成することができるので、本明細書中に開示されるシステム及び技術は、基板における追加の材料又は部品に依存しない。本明細書中に開示される実施形態は、リアルタイムフィードバックループで操作されて、OVJP堆積システム及びその上に材料を堆積している基板の所望の位置合わせを維持することができる。本明細書中で使用されるように、センサから処理システムへ進むための静電容量測定に要する時間及びOVJPプリントヘッドの位置を調節する1つ以上の機械部品を操作する処理システムなど、システム内のシグナル伝搬及び処理に固有の遅延以外に遅延が起こらない場合に、プロセスは、「リアルタイム」と考えられる。本明細書中で開示される全ての動作は、人間の介入又は調節を必要とせずに、コンピュータ化された処理システムによって完全に自動的に実行されることもできる。例えば、本明細書中で開示された実施形態は、人間の介入を必要とせずに、印刷プロセス中にOVJPプリントヘッド位置のリアルタイム調節を提供することができる。
【0083】
導電性トレースの使用のために、本明細書中に開示される実施形態は、特に、並列(side-by-side)RGBデバイス、即ち、赤色、緑色、及び青色サブピクセルの隣接する列を用いるデバイスの製造によく適していることができる。しかしながら、それらは、OVJPプリントヘッドを基板の所望の領域に合わせるのに用いられることができる、基板上に同様のトレースを含む他の構造及び配置と共に用いられることができる。例えば、本明細書中で開示される様々な例に示される平行線以外のトレース配置が用いられることができる。
【0084】
本明細書において記述されている種々の実施形態は、単なる一例としてのものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではないことが理解される。例えば、本明細書において記述されている材料及び構造の多くは、本発明の趣旨から逸脱することなく他の材料及び構造に置き換えることができる。したがって、特許請求されている通りの本発明は、当業者には明らかとなるように、本明細書において記述されている特定の例及び好ましい実施形態からの変形形態を含み得る。なぜ本発明が作用するのかについての種々の理論は限定を意図するものではないことが理解される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0085】
【文献】米国特許第5,844,363号明細書
【文献】米国特許第6,303,238号明細書
【文献】米国特許第5,707,745号明細書
【文献】米国特許第7,279,704号明細書
【符号の説明】
【0086】
100 有機発光デバイス
110 基板
115 アノード
120 正孔注入層
125 正孔輸送層
130 電子ブロッキング層
135 発光層
140 正孔ブロッキング層
145 電子輸送層
150 電子注入層
155 保護層
160 カソード
162 第一の導電層
164 第二の導電層
170 バリア層
200 反転させたOLED、デバイス
210 基板
215 カソード
220 発光層
225 正孔輸送層
230 アノード
301 赤色
302 緑色
303 青色
304 電極の列
305 フルカラーピクセル
306 垂直な方向
307 ストライプの長さ
308 導電トレース
401 チャンバ
402 位置センサ
403 OVJPプリントヘッド
404 マイクロノズルアレイ
405 基板
406 移動ステージ
407 エレクトロニクス
408 フィードスルー
501 電極(図5
501 トレース(図6
502 電気絶縁性層
503 中心バス電極
504 トレース(図5
601 コーム
602 バス
701 静電容量センサ
702 マイクロノズルアレイ
703 デポジタ
801 センサ
802 リンケージ
901 連続導電性膜
910 露出された領域(bare regions)
1001 コームセンサ構成
1002 電極
1003 専用バス
1101 交流シグナル
1102 センサ
1103 抵抗器
1104 プリアンプ
1105 差動増幅器
1106 ロックイン増幅器
1107 電圧出力

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11