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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-16
(45)【発行日】2022-09-28
(54)【発明の名称】防火ダンパー
(51)【国際特許分類】
   A62C 2/14 20060101AFI20220920BHJP
   A62C 3/00 20060101ALI20220920BHJP
   F24F 13/15 20060101ALI20220920BHJP
【FI】
A62C2/14
A62C3/00 A
F24F13/15 J
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018137002
(22)【出願日】2018-07-20
(65)【公開番号】P2020010976
(43)【公開日】2020-01-23
【審査請求日】2021-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】390022666
【氏名又は名称】協立エアテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(72)【発明者】
【氏名】井川 直道
(72)【発明者】
【氏名】野口 昌孝
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】実開昭52-120498(JP,U)
【文献】実開昭56-012735(JP,U)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0072527(KR,A)
【文献】韓国登録特許第10-1533333(KR,B1)
【文献】特開2014-149129(JP,A)
【文献】米国特許第04290554(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 2/14
A62C 3/00
F24F 13/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気フード内の排気ダクトの入り口に設置される取付枠と、前記取付枠に取り付けられるダンパー本体と、前記ダンパー本体を前記取付枠に着脱可能に固定する固定機構と、を備えた防火ダンパーであって、
前記ダンパー本体が、
前記取付枠に装着され排気経路を形成する枠状部材と、
前記枠状部材内の排気流路に複数の支軸を介して回動可能に配置された複数のシャッター部材と、
複数の前記シャッター部材の回動動作を同期させる連接部材と、
前記シャッター部材を閉止方向に付勢する弾性部材と、
前記シャッター部材を開放状態に保持するロック手段と、
前記ダンパー本体近傍が設定温度を超えると前記ロック手段を解除する起動手段と、を備え、
前記連接部材及び前記弾性部材を、前記排気流路の外部であって且つ前記排気流路から隔離された状態に形成された側室部内に配置し、
前記側室部は、前記本体の側面部分を構成するケーシング側面板に沿って横断面コ字状のカバー部材を取り付けることによって形成され、前記側室部の正面部分及び背面部分は、それぞれ、前記ダンパー本体の正面部分及び背面部分を構成するケーシング正面板、ケーシング背面板によって閉塞された防火ダンパー。
【請求項2】
複数の前記弾性部材を複数の異なる位置に配置した請求項1記載の防火ダンパー。
【請求項3】
前記固定機構は、当該固定機構の解除操作に伴い、前記ダンパー本体の少なくとも一部を前記取付枠から離隔する方向へ移動させる分離機構を備えた請求項1または2記載の防火ダンパー。
【請求項4】
前記シャッター部材の支軸が、
当該支軸が前記枠状部材を貫通する管体部と、
前記管体部の一方の端部と連続状態で前記枠状部材の内側に位置する管体圧潰部と、
前記管体部の他方の端部と連続状態で前記枠状部材の外側に位置するとともに前記管体部と交差する方向に折曲したL字状管体圧潰部と、を有する請求項1~3の何れかの項に記載の防火ダンパー。
【請求項5】
前記ダンパー本体が、複数の構成部材の少なくとも一部をネジ機構で連結することによって形成された請求項1~4の何れかの項に記載の防火ダンパー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、厨房に設置される排気フードの排気ダクトの入り口に取り付けられる防火ダンパーに関する。
【背景技術】
【0002】
建物内の厨房で火災が発生したときに、火炎が排気フードの排気ダクトを経由して広がるのを防止するため、排気フードの排気ダクトの入り口には防火ダンパーが取り付けられている。一般に、防火ダンパーは、火災発生時の熱を感知して、排気ダクトの入り口を閉止する機能を有し、従来、様々な構造、機能を有するものが提案されているが、本発明に関連するものとして、例えば、特許文献1に記載された「排煙装置の防火ダンパー」などがある。
【0003】
前記「排煙装置の防火ダンパー」は、両端中央部が軸支されて開閉移動自在となった遮断板を備えた器体を排煙路内に配設し、遮断板を閉塞状態に付勢する戻しばね部材のばね力に抗して遮断板を開状態で保持する保持部材を器体に設け、この保持部材を遮断板の回動軸線上において遮断板の回動軸と直交するように立設配置された歯車体と、器体より突設された係止部材とで構成し、設定温度で分離する先部側半体と基部側半体とで構成される係止部材を器体と歯車体との間に架設し、先部側半体に設けられた係止部を歯車体のラチェット歯車部に係止して成るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平8-299485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された「排煙装置の防火ダンパー」においては、排煙路内に配設される角筒状の器体の内部に開閉自在な複数の遮蔽板が設けられ、これらの遮蔽板の開閉動作を連動させる連動金具並びに各遮蔽板を閉塞状態に付勢する戻しばね部材が器体の内部に配置されている。
【0006】
従って、前記防火ダンパーにおいては、器体の内部に配置された複数の遮蔽板だけでなく、連動金具及び戻しばね部材が、当該器体の内部を通過する油煙に曝されることとなり、油煙中に含まれる油脂が連動金具や戻しばね部材に付着し、火災発生時の作動不良(遮蔽板の閉塞作動不良)を誘発する可能性がある。
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、油煙中に含まれる油脂の付着に起因する動作不良が発生し難い防火ダンパーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る防火ダンパーは、排気フード内の排気ダクトの入り口に設置される取付枠と、前記取付枠に取り付けられるダンパー本体と、前記ダンパー本体を前記取付枠に着脱可能に固定する固定機構と、を備えた防火ダンパーであって、
前記ダンパー本体が、
前記取付枠に装着され排気経路を形成する枠状部材と、
前記枠状部材内の排気流路に複数の支軸を介して回動可能に配置された複数のシャッター部材と、
複数の前記シャッター部材の回動動作を同期させる連接部材と、
前記シャッター部材を閉止方向に付勢する弾性部材と、
前記シャッター部材を開放状態に保持するロック手段と、
前記ダンパー本体近傍が設定温度を超えると前記ロック手段を解除する起動手段と、を備え、
前記連接部材及び前記弾性部材を、前記排気流路の外部であって且つ前記排気流路から隔離された状態に形成された側室部内に配置し、
前記側室部は、前記本体の側面部分を構成するケーシング側面板に沿って横断面コ字状のカバー部材を取り付けることによって形成され、前記側室部の正面部分及び背面部分は、それぞれ、前記ダンパー本体の正面部分及び背面部分を構成するケーシング正面板、ケーシング背面板によって閉塞されたことを特徴とする。
【0009】
このような構成とすれば、排気流路を通過する排気中に含まれる油脂成分が連接部材や弾性部材に付着するのを回避することができ、連接部材や弾性部材の固着を防止することができるので、非常時(火炎発生時)のシャッター部材の閉止動作不良を防止することができ、防火ダンパーの信頼性が向上する。また、火災発生時、弾性部材が火炎に直接曝されるのを回避することができるので、シャッター部材の閉止力を維持することができる。
【0010】
前記防火ダンパーにおいては、複数の前記弾性部材を複数の異なる位置に配置することが望ましい。
【0011】
このような構成とすれば、排気中の油脂成分の付着に起因する弾性部材の付勢機能(シャッター部材の閉止機能)の低下(喪失)により、シャッター部材の閉止動作が阻害されるのを防止することができる。
【0012】
前記防火ダンパーにおいては、前記固定機構は、当該固定機構の解除操作に伴い、前記ダンパー本体の少なくとも一部を前記取付枠から離隔する方向へ移動させる分離機構を備えたものであることが望ましい。
【0013】
このような構成とすれば、排気流路を通過する排気中に含まれる油脂成分が、取付枠とダンパー本体との隙間に付着して両者の分離が困難となっているような場合においても、固定機構の解除操作を行うことにより、ダンパー本体の少なくとも一部が取付枠から離れるので、ダンパー本体の取り外し作業が容易となり、メンテナンス性が向上する。
【0014】
前記防火ダンパーにおいては、
前記シャッター部材の支軸が、
当該支軸が前記枠状部材を貫通する管体部と、
前記管体部の一方の端部と連続状態で前記枠状部材の内側に位置する管体圧潰部と、
前記管体部の他方の端部と連続状態で前記枠状部材の外側に位置するとともに前記管体部と交差する方向に折曲したL字状管体圧潰部と、を有するものであることが望ましい。
【0015】
このような構成とすれば、管状の材料にプレス加工、曲げ加工を施すことにより、前記シャッター部材との連結部分、並びに、前記シャッター部材の動作を同期させる前記連接部材との連結部分を兼備した、シャッター部材の支軸を形成することができるので、部品点数の削減を図ることができる。
【0016】
前記防火ダンパーにおいては、前記ダンパー本体が、複数の構成部材の少なくとも一部をネジ機構で連結することによって形成されたものであることが望ましい。
【0017】
このような構成とすれば、ねじ機構を構成するネジやビスをゆるめることにより、ダンパー本体を複数の構成部材に分解することができるので、ダンパー本体の角隅部分や狭い隙間部分などに付着した油脂成分の清掃除去が容易となり、清掃の徹底を図ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明により、油煙中に含まれる油脂の付着に起因する動作不良が発生し難い防火ダンパーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態である防火ダンパーが開放状態にあるときの一部省略斜視図である。
図2図1に示す防火ダンパーの分解斜視図である。
図3図1中の矢線A方向から見た防火ダンパーの底面図である。
図4図1中の矢線B方向から見た防火ダンパーの平面図である。
図5図4中の矢線Xで示す部分の一部省略斜視図である。
図6図1中の矢線C方向から見た防火ダンパーの正面図である。
図7図1中の矢線D方向から見た防火ダンパーの背面図である。
図8図1中の矢線E方向から見た防火ダンパーの右側面図である。
図9図1中の矢線F方向から見た防火ダンパーの左側面図である。
図10図4中のG-G線における断面図である。
図11図4中のH-H線における断面図である。
図12】側面カバーを取り外した状態における防火ダンパーの左側面図である。
図13図1に示す防火ダンパーが閉止状態にあるときの一部省略斜視図である。
図14図1に示す防火ダンパーを構成する固定機構の機能説明図である。
図15図1に示す防火ダンパーにおいて取付枠に対するダンパー本体の着脱過程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図1図15に基づいて、本発明の実施形態である防火ダンパー1について説明する。
【0021】
図1図4に示すように、防火ダンパー1は、排気フード内の排気ダクトの入り口(図示せず)に設置される取付枠2と、取付枠2に取り付けられるダンパー本体3と、ダンパー本体3を取付枠2に着脱可能に固定する固定機構であるクレセント錠6並びに蝶番状係合部7と、を備えている。
【0022】
図1図4並びに図10図12に示すように、ダンパー本体3は、取付枠2に装着され排気経路Rを形成する四角形状の枠状部材30と、枠状部材30内の排気流路Rに複数の支軸31を介して回動可能に配置された複数のシャッター部材32と、複数のシャッター部材32の回動動作を同期させる連接部材33と、シャッター部材32を閉止方向Sに付勢する弾性部材であるバネ34と、シャッター部材32を開放状態に保持するロック手段であるラチェット部材35及びフック部36を有する温度ヒューズ37と、を備えている。温度ヒューズ37は、ダンパー本体3近傍が設定温度を超えるとロック手段を解除する起動手段である。
【0023】
図11に示すように、連接部材33及び弾性部材34は、排気流路Rの左右外側部に、それぞれケーシング側面板38bによって排気流路Rから隔離された状態に形成された側室部40内に配置されている。側室部40は、ダンパー本体3の左右側面部分を構成するケーシング側面板38bに沿って横断面コ字状のカバー部材39を取り付けることによって形成されている。側室部40の正面部分及び背面部分は、それぞれ、ダンパー本体3の正面部分並びに背面部分を構成するケーシング正面板38a、ケーシング背面板38cによって閉塞されている。
【0024】
図4図5図11に示すように、シャッター部材32の支軸31は、支軸31が枠状部材30のケーシング側面板38b及びストッパー部材41を貫通する管体部31aと、管体部31aの一方の端部31bと連続状態で枠状部材30の内側に位置する管体圧潰部31cと、管体部31aの他方の端部31dと連続状態で枠状部材30の外側に位置するとともに管体部31aと直角に交差する方向に折曲したL字状管体圧潰部31eと、を有している。
【0025】
図5に示すように、ケーシング側面板38bの内面には断面L字状のストッパー部材41が取り付けられている。シャッター部材32が閉鎖したとき、シャッター部材32の両縁部がストッパー部材41に当接する。ケーシング側面板38bには、支軸31の管体圧潰部31cが通過可能なサイズの長孔38dが、長径方向を垂直方向に向けた状態で開設されている。ストッパー部材41には、支軸31の管体部31aが貫通可能な内径を有する丸孔部42aと、丸孔部42aの下方と連続するとともに支軸31の管体圧潰部31cが通過可能なサイズを有する四角孔部42bとを備えた開口部42が開設されている。長孔38dと開口部42とはその一部が連通するように配置され、この連通部分を支軸31の管体部31aが回転自在に貫通している。
【0026】
図3図4に示すように、枠状部材30の内側に位置する支軸31の管体圧潰部31cはシャッター部材32の端部に固定され、図11図12に示すように、枠状部材30の外側の側室部40内に位置する支軸31のL字状管体圧潰部31eは軸体43を介して連接部材33に軸支されている。
【0027】
図6に示すように、クレセント錠6は、取付枠2の正面板2aに支軸6aを介して回動可能に取り付けられたクレセント部材6bと、ダンパー本体3のケーシング正面板38aに取り付けられた係止ピン6cと、を有している。クレセント部材6bを支軸6a中心に正転・逆転させると、クレセント部材6bに設けられた円弧状切欠き部6dが係止ピン6cに係合・離脱する。クレセント部材6bの円弧部6eから支軸6aまでの距離Tは、円弧状切欠き部6dの開口端側に向かって連続的に増大している。
【0028】
クレセント部材6bを支軸6a中心に反時計方向に回動させ、クレセント部材6bの円弧状切欠き部6dの開口端側から行き止まり部側に向かって係止ピン6cを嵌め込むと、後述する蝶番状係合部7との連携作用により、ダンパー本体3が取付枠2に固定される。
【0029】
図7図10に示すように、蝶番状係合部7は、取付枠2の背面板2cの長手方向に沿って取り付けられた断面がJ字状の溝状部材71と、ダンパー本体3のケーシング背面板38cの長手方向に沿って取り付けられた断面が鉤形状の吊り部材72とを備え、後述するように蝶番的な機能を有している。吊り部材72が溝状部材71に引き掛かるように係合することにより、前述したクレセント錠6との連携作用により、ダンパー本体3が取付枠2に固定される。
【0030】
図1に示すように、平常時の防火ダンパー1においては、ロック手段(ラチェット部材35とフック部36との係合機構)により複数のシャッター部材32が互いに平行に起立した状態(開放状態)に保たれているため、調理中に排気フードの下方で発生した油煙や水蒸気などは排気経路Rを通過して排気ダクトを経由して排出される。
【0031】
一方、火災が発生し、ダンパー本体3近傍が設定温度を超えると、図10に示す温度ヒューズ37が溶断するので、フック部36によるラチェット部材35に対する拘束が解除され、図12(a)に示すように開放状態にあった複数のシャッター部材32はバネ34の付勢力により、図12(b)及び図13に示すように、全て閉鎖した状態となる。これにより、排気流路R(図1参照)は閉鎖された状態となるので、火災発生に伴う火炎が排気ダクトに流入するのを防止することができる。
【0032】
図11図12に示すように、本実施形態の防火ダンパー1においては、連接部材33及びばね(弾性部材)34を排気流路Rの外部に位置する側室部40内に配置しているため、排気流路Rを通過する排気中に含まれる油脂成分が連接部材33やばね34に付着するのを回避し、連接部材33やばね34が固着することを防止することができる。従って、非常時(火炎発生時)のシャッター部材32の閉止動作不良を防止することができ、防火ダンパー1の信頼性が向上する。また、火災発生時、ばね34が火炎に直接曝されるのを回避することができるので、シャッター部材32の閉止力を維持することができる。
【0033】
防火ダンパー1においては、複数のばね34を排気流路Rの左右側部に設けた複数の側室部40内に配置しているため、排気中の油脂成分の付着に起因するばね34の付勢機能(シャッター部材32の閉止機能)の低下(喪失)により、シャッター部材32の閉止動作が阻害されるのを防止することができる。
【0034】
防火ダンパー1においては、取付枠2に対するダンパー本体3の固定機構の一部を構成するクレセント錠6は、図6に基づいて説明したような構造を有している。従って、図14(a)に示すようにロック状態にあるクレセント錠6を解除するために、クレセント部材6bを支軸6a中心に時計方向に回転操作すると、これに伴い、円弧部6e(図6参照)が係止ピン6cを連続的に下方へ押圧していく。これにより、図14(b),(c)に示すように、取付枠2とダンパー本体3とが分離して隙間Kが生じ、この隙間Kが徐々に広がっていく。
【0035】
従って、クレセント部材6bを上限まで回動させ、係止ピン6cから離脱させた後は、図15に示すように、ダンパー本体3を蝶番状係合部7中心に回動させた後、蝶番状係合部7を分離すれば、ダンパー本体3を取付枠2から取り外すことができる。
【0036】
このように、排気流路Rを通過する排気中に含まれる油脂成分が、取付枠2とダンパー本体3との隙間に付着して両者の分離が困難となっているような場合においても、クレセント錠6の解除操作を行うことにより、これに伴ってダンパー本体3の正面部分が取付枠2から離れるので、ダンパー本体3の取り外し作業が容易であり、メンテナンス性も良好である。
【0037】
防火ダンパー1においては、図5図11図12に基づいて説明したように、シャッター部材32の支軸31が、管体部31aと、管体圧潰部31cと、L字状管体圧潰部31eとを有している。従って、管状の材料にプレス加工、曲げ加工を施すことにより、シャッター部材32との連結部分(管体圧潰部31c)、並びに、シャッター部材32の動作を同期させる連接部材33との連結部分(L字状管体圧潰部31e)を兼備した、シャッター部材32の支軸31を形成することができ、部品点数の削減を図ることができる。
【0038】
防火ダンパー1においては、ダンパー本体3は複数の構成部材をネジ機構で連結することによって形成されている。例えば、図2に示すように、ダンパー本体3を構成するカバー部材39は複数のネジN1を用いてケーシング正面板38a、ケーシング背面板38cに固定され、ケーシング側面板38bは複数のネジN2を用いてケーシング正面板38a、ケーシング背面板38cに固定されている。また、図3図4に示すように、支軸31の管体圧潰部31cは複数のネジN3によってシャッター部材32に連結されている。
【0039】
なお、図示していないが、図2中の枠状部材30の左側のカバー部材39は右側のカバー部材39と同様に複数のネジN1を用いてケーシング正面板38a、ケーシング背面板38cに固定され、図2中の枠状部材30の右側のケーシング側面板38b(図示せず)は、左側のケーシング側面板38bと同様に複数のネジN2を用いてケーシング正面板38a、ケーシング背面板38cに固定されている。
【0040】
このような構成とすれば、ネジN1,N2,N3をゆるめることにより、ダンパー本体3を複数の構成部材に分解することができるので、ダンパー本体3の角隅部分や狭い隙間部分などに付着した油脂成分の清掃除去作業が容易であり、清掃の徹底を図ることができる。なお、ネジ機構で連結する部分は、前述したネジN1,N2,N3による連結部分に限定するものではないので、その他の構成部材についてもネジ機構で連結する構造を採用することができる。
【0041】
なお、図1図15に基づいて説明した防火ダンパー1は、本発明に係る防火ダンパーの一例を示すものであり、本発明に係る防火ダンパーは前述した防火ダンパー1に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明に係る防火ダンパーは、建物内の厨房の防火設備の一部として、建設業などの産業分野において広く利用することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 防火ダンパー
2 取付枠
2a 正面板
2c 背面板
3 ダンパー本体
6 クレセント錠
6a,31 支軸
6b クレセント部材
6c 係止ピン
6d 円弧状切欠き部
6e 円弧部
30 枠状部材
31a 管体部
31b,31d 端部
31c 管体圧潰部
31e L字状管体圧潰部
32 シャッター部材
33 連接部材
34 ばね(弾性部材)
35 ラチェット部材
36 フック部
37 温度ヒューズ
38a ケーシング正面板
38b ケーシング側面板
38c ケーシング背面板
38d 長孔
39 カバー部材
40 側室部
41 ストッパー部材
42 開口部
42a 丸孔部
42b 四角孔部
43 軸体
71 溝状部材
72 吊り部材
N1,N2,N3 ねじ
K 隙間
R 排気流路
S 閉止方向
T 距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15