(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-16
(45)【発行日】2022-09-28
(54)【発明の名称】仮想通貨システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/06 20120101AFI20220920BHJP
G06Q 20/38 20120101ALI20220920BHJP
【FI】
G06Q20/06 300
G06Q20/38 300
(21)【出願番号】P 2018149104
(22)【出願日】2018-08-08
(62)【分割の表示】P 2016222327の分割
【原出願日】2016-11-15
【審査請求日】2019-11-15
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 配布日: 平成28年7月21日 配布場所: 会津大学 公開者: 株式会社三菱総合研究所 配布日: 平成28年8月9日 配布場所: ソラミツ株式会社 本社 公開者: 株式会社三菱総合研究所
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591115475
【氏名又は名称】株式会社三菱総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【氏名又は名称】大野 浩之
(72)【発明者】
【氏名】奥村 拓史
【審査官】貝塚 涼
(56)【参考文献】
【文献】特許第5858507(JP,B1)
【文献】特開2011-065249(JP,A)
【文献】特開2012-064005(JP,A)
【文献】特開2004-086486(JP,A)
【文献】国際公開第2004/036471(WO,A1)
【文献】特開2005-316521(JP,A)
【文献】特開2001-202470(JP,A)
【文献】特開2006-350877(JP,A)
【文献】特開2002-324151(JP,A)
【文献】特開2003-141403(JP,A)
【文献】特開2015-185155(JP,A)
【文献】FinTechが示す決済ビジネスの可能性,CardWave,日本,株式会社カード・ウェーブ,2015年12月25日,第28巻,第6号,第16-17頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力部から入力された現金に関する現金情報を、前記現金情報における現金の価値よりも高い価値からなる仮想通貨に変換し、登録されている事業主だけが手数料0円又は一定の手数料で仮想通貨を現金化でき、仮想通貨の価値が所定の期限が到来した時点で0%になるように管理する管理装置を備え、
前記管理装置は、消費者のカテゴリ毎に異なる減価情報を用いて、時間経過にしたがって前記仮想通貨の価値を減少させることを特徴とする仮想通貨システム。
【請求項2】
入力部から入力された現金に関する現金情報を、前記現金情報における現金の価値よりも高い価値からなる仮想通貨に変換し、登録されている事業主だけが手数料0円又は一定の手数料で仮想通貨を現金化でき、仮想通貨の価値が所定の期限が到来した時点で0%になるように管理する管理装置を備え、
前記管理装置は、消費者のカテゴリ毎に異なる変換率を用いて前記現金情報を前記
仮想通貨に変換することを特徴とする仮想通貨システム。
【請求項3】
前記管理装置は、所定の口座への入金を確認する又は設置端末における現金による支払いを確認することで、ある利用者が端末で利用できる仮想通貨を付与することを特徴とする請求項1又は2に記載の仮想通貨システム。
【請求項4】
入力部から入力された現金に関する現金情報を、前記現金情報における現金の価値よりも高い価値からなる仮想通貨に変換し、同一額の現金を仮想通貨に変換した場合でも、消費者のカテゴリに応じて、現金の価値と仮想通貨の価値との差額が異なる値になるように変換し、期間に関する情報に基づいて仮想通貨の価値を100%から0へと減少させるように管理する管理装置を備えることを特徴とする仮想通貨システム。
【請求項5】
入力部から入力された現金に関する現金情報を、前記現金情報における現金の価値よりも高い価値からなる仮想通貨に変換し、登録されている事業主だけが手数料0円又は一定の手数料で仮想通貨を現金化でき、仮想通貨の価値が所定の期限が到来した時点で0%になるように管理し、
消費者のカテゴリ毎に異なる減価情報を用いて、時間経過にしたがって前記仮想通貨の価値を減少させる管理装置。
【請求項6】
入力部から入力された現金に関する現金情報を、前記現金情報における現金の価値よりも高い価値からなる仮想通貨に変換し、登録されている事業主だけが手数料0円又は一定の手数料で仮想通貨を現金化でき、仮想通貨の価値が所定の期限が到来した時点で0%になるように管理し、
消費者のカテゴリ毎に異なる変換率を用いて前記現金情報を前記
仮想通貨に変換する管理装置。
【請求項7】
入力部から入力された現金に関する現金情報を、前記現金情報における現金の価値よりも高い価値からなる仮想通貨に変換し、同一額の現金を仮想通貨に変換した場合でも、消費者のカテゴリに応じて、現金の価値と仮想通貨の価値との差額が異なる値になるように変換し、期間に関する情報に基づいて仮想通貨の価値を100%から0へと減少させるように管理する管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮想通貨を利用する仮想通貨システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、仮想通貨を利用することが試みられている。地域振興券等のような仮想通貨は一度使用されると、回収されて、再度使用されないような運用が取られていることが多い。この点、市役所等の公共機関のホームページ内の仮想空間において、仮想通貨を利用することも考えられており、それに伴う課題解決も試みられている(特許文献1参照)。
【0003】
近年では、このような仮想空間での利用だけではなく、実際に仮想通貨を利用することも試みられている。一例としては、ビットコインと呼ばれる仮想通貨が日常生活で利用することも構想されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
他方、経済活動を活発化すること、特に地域振興については従来から様々な手法が取られている。
【0006】
本発明は、経済活動を活発化するという仮想通貨の新たな利用方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様による仮想通貨システムは、
現金ポイント情報を入力する入力部と、
前記入力部から入力された現金に関する前記現金ポイント情報を仮想通貨に関する仮想通貨情報に変換し、前記仮想通貨情報を管理する管理装置と、
を備え、
前記管理装置が、時間経過にしたがって前記仮想通貨の価値を減少させ、
前記仮想通貨情報における仮想通貨の価値は、前記現金ポイント情報が現金情報である場合には前記現金情報における現金の価値よりも高くなってもよい。
【0008】
本発明の一態様による仮想通貨システムにおいて、
前記管理装置は、第一消費者カテゴリに属する消費者に対しては第一変換率を用いて前記現金ポイント情報を前記仮想通貨情報に変換し、第二消費者カテゴリに属する消費者に対しては第二変換率を用いて前記現金ポイント情報を前記仮想通貨情報に変換してもよい。
【0009】
本発明の一態様による仮想通貨システムにおいて、
前記管理装置は、第一消費者カテゴリに属する消費者に対しては第一減価情報を用いて前記仮想通貨情報における仮想通貨の価値を減少させ、第二消費者カテゴリに属する消費者に対しては第二減価情報を用いて前記仮想通貨情報における仮想通貨の価値を減少させてもよい。
【0010】
本発明の一態様による仮想通貨システムにおいて、
前記第一消費者カテゴリに属する消費者は国内消費者であり、
前記第二消費者カテゴリに属する消費者は国外消費者であり、
前記管理装置は、前記国内消費者に対しては第一減価情報を用いて前記仮想通貨情報における仮想通貨の価値を減少させ、前記国外消費者に対しては第二減価情報を用いて前記仮想通貨情報における仮想通貨の価値を減少させ、
前記第二変換率は前記第一変換率よりも大きくなり、
前記第二減価情報に基づく仮想通貨の価値の減少率は、前記第一減価情報に基づく仮想通貨の価値の減少率よりも大きくなってもよい。
【0011】
本発明の一態様による仮想通貨システムにおいて、
前記第一消費者カテゴリに属する消費者は国内消費者であり、
前記第二消費者カテゴリに属する消費者は国外消費者であり、
前記国内消費者に対しては、前記仮想通貨情報における仮想通貨の価値を時間経過とともに段階的に減少させ、
前記国外消費者に対しては、一定期間経過した際に前記仮想通貨情報における仮想通貨の価値を0に減少させてもよい。
【0012】
本発明の一態様による仮想通貨システムにおいて、
前記管理装置は、手数料に関する手数料情報を用いて、前記仮想通貨情報を前記現金ポイント情報に変換してもよい。
【0013】
本発明の一態様による仮想通貨システムにおいて、
前記管理装置は、事業主に対しては事業主手数料情報を用いて前記仮想通貨情報を前記現金ポイント情報に変換し、消費者に対しては消費者手数料情報を用いて前記仮想通貨情報を前記現金ポイント情報に変換し、
前記事業主手数料情報に基づく手数料は、前記消費者手数料情報に基づく手数料よりも安くてもよい。
【0014】
本発明の一態様による仮想通貨システムにおいて、
前記仮想通貨は予め設定された地域でのみ利用可能となってもよい。
【0015】
本発明の一態様による仮想通貨システムにおいて、
ブロックチェーンを利用してもよい。
【0016】
本発明の一態様による仮想通貨システムにおいて、
前記管理装置は、前記現金ポイント情報として前記現金情報を用いる場合には現金変換率を用いて前記現金情報を前記仮想通貨情報に変換し、前記現金ポイント情報としてポイント情報を用いる場合にはポイント変換率を用いて前記ポイント情報を前記仮想通貨情報に変換してもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明において、現金ポイント情報が現金情報である場合には、当該現金情報を仮想通貨情報に変換する際に仮想通貨情報における仮想通貨の価値が現金情報における現金の価値よりも高く設定されている態様を採用することで、現金を仮想通貨に変換することを促進することができる。また、時間の経過とともに仮想通貨の価値を減少させる態様を採用した場合には、仮想通貨の消費を促すことができる。このため、消費者による消費行動を促すことができ、経済活性化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態による仮想通貨システムの概要を説明するための概略ブロック図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態において、仮想通貨の価値が減少する態様の一例を示したグラフである。
【
図3】
図3は、本発明の実施の形態において、仮想通貨の価値が減少する態様の別の例を示したグラフである。
【
図4】
図4は、本発明の実施の形態において、仮想通貨の価値が減少する態様のさらに別の例を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
実施の形態
《構成》
以下、本発明に係る情報処理装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。ここで、
図1乃至
図4は本発明の実施の形態を説明するための図である。
【0020】
図1に示すように、本実施の形態の仮想通貨システムは、現金情報を入力する入力部10と、入力部10から入力された現金に関する現金情報を仮想通貨に関する仮想通貨情報に変換し、仮想通貨情報を管理する管理装置100と、を有してもよい。また、入力部10と管理装置100とはインターネットを介して接続されてもよい。本実施の形態では、現金ポイント情報として、主に現金に関する現金情報を用いて説明するが、これに限られることはない。現金ポイント情報として、企業等が発行するポイントに関するポイント情報を用いてもよい。現金ポイント情報がポイント情報である場合には、仮想通貨情報における仮想通貨の価値がポイント情報におけるポイントの価値以上になっていてもよい。「仮想通貨の価値」及び「ポイントの価値」というのは、それぞれ、現金に換算したときの価値を意味する。つまり、同額の商品を購入できる「仮想通貨の価値」と「ポイントの価値」とは同じ価値であることを意味し、より高額の商品を購入できる場合には、当該価値が高いことを意味する。
【0021】
管理装置100は、予め設定された変換率に基づき現金情報を仮想通貨情報に変換し、仮想通貨情報は時間経過にしたがって仮想通貨の価値を減少させてもよい。仮想通貨情報における仮想通貨の価値は現金情報における現金の価値よりも高くなってもよい。本実施の形態では、管理装置100が一つのコンピュータであることを前提として説明するが、これに限られることはなく、管理装置100が複数のコンピュータから構成されてもよい。また、複数のコンピュータは同じ場所に載置されてもよいし、別々の場所に載置されてもよい。また、複数のコンピュータは異なる主体によって所有又は管理されてもよい。現金情報は、実際に現金を入金したり口座振り込みしたりすることで入力されてもよいし、クレジットカード等のカード決済によって入力されてもよい。
【0022】
入力部10は、パソコン、スマートフォン、タブレット端末等といった任意端末11であってもよいし、所定の場所に設置された設置端末12であってもよい。入力部10がパソコン、スマートフォン、タブレット端末等といった任意端末11である場合には、当該任意端末11から所定の口座に入金が行われ、その入金が確認でき次第、仮想通貨が消費者に提供されてもよいし、任意端末11から入力されたクレジットカード等のカード情報が確認でき次第、仮想通貨が消費者に提供されてもよい。入力部10が所定の場所に設置された設置端末12である場合には、当該設置端末12から現金やクレジットカード等によって支払いが行われ、その結果として、仮想通貨情報が記録されるようにしてもよい。
【0023】
仮想通貨情報は、パソコン、スマートフォン、タブレット端末等といった任意端末11からアクセスできる管理装置100の後述する記憶部140に記録されてもよいし、ICカード15が発行されて、当該ICカード15に記録されてもよい。パソコン、スマートフォン、タブレット端末等といった任意端末11は、消費者が所有している必要はなく、
自治体から貸し出された端末であってもよいし、空港等で業者から貸し出されたものであってもよい。
【0024】
図1に示すように、管理装置100は、様々な情報を記録する記録部140と、端末11,12等とインターネットを介して通信を行う通信部110と、操作者が操作を行う操作部120と、記録部140に記録された情報等を表示する表示部130と、現金情報を仮想通貨情報に変換したり、逆に仮想通貨情報を現金情報に変換したりする変換部160と、これらの各部を制御する制御部150とを有してもよい。
【0025】
仮想通貨は予め設定された地域でのみ利用可能となってもよい。例えば、A県のみで利用可能となってもよいし、B市のみで利用可能となってもよい。または、関東圏や近畿圏といった一定の地域群のみで利用可能となってもよい。
【0026】
また、ブロックチェーンを利用してもよい。ブロックチェーンとは、インターネット上の複数のコンピュータで取引の記録を互いに共有し、検証し合いながら正しい記録を鎖(チェーン)のようにつないで蓄積するものである。ブロックチェーンを採用することで、導入コストを抑えることでき、本実施の形態による仮想通貨システムの導入を促すことができる点で有益である。また、仮想通貨システムにおいて、疑似的なマイニングを行い、一番になった利用者に予め定まった額(価値)の仮想通貨を与えるようにしてもよい。このような態様を採用することで、仮想通貨システムの利用者に対して一定の確率で自動的に仮想通貨が与えられることになる。このため、仮想通貨を利用しようというインセンティブを消費者等に与えることを期待できる。例えば仮想通貨システムが地域通貨として利用される場合には、利用者の母体が小さくなるので、より高い確率で仮想通貨が与えられることになる。このため、より一層、仮想通貨を利用しようというインセンティブを消費者等に与えることを期待できる。
【0027】
管理装置100が現金情報を仮想通貨情報に変換する際には、仮想通貨情報における仮想通貨の価値は現金情報における現金の価値よりも高くなってもよいし、低くなってもよい。仮想通貨情報における仮想通貨の価値を現金情報における現金の価値よりも高くする場合には、いわゆるプレミアム価値が付けられることになる。一例としては、変換する現金の価値を「1」とした場合に、変換された仮想通貨の価値は「1+p」(0%<p≦50%)となってもよく、さらに具体的な例として「p」は10%~30%であってもよい。
【0028】
時間の経過とともに仮想通貨の価値を減少させる際には、一定の減価率で減少させてもよい。一例としては、現金から仮想通貨に変換した際の仮想通貨の価値を「1」とした場合には、「t」だけの期間経過した仮想通貨の価値は「(1-d)×t」(0%<d≦100%)となってもよい。「t」としては、1週間、1ヶ月、1年といった任意の期間を採用することができる。仮想通貨の価値が減少する場合には、例えば日付が変わるごとに連続的に減少してもよいし、例えば1週間、1ヶ月等の一定期間が経過する度に断続的に減少してもよい(
図2参照)。
【0029】
管理装置100は、第一消費者カテゴリに属する消費者に対しては第一変換率を用いて現金情報を仮想通貨情報に変換し、第二消費者カテゴリに属する消費者に対しては第二変換率を用いて現金情報を仮想通貨情報に変換してもよい。この場合、第二変換率は第一変換率よりも大きくなってもよい。
【0030】
管理装置100は、第一消費者カテゴリに属する消費者に対しては第一減価情報を用いて仮想通貨情報における仮想通貨の価値を減少させ、第二消費者カテゴリに属する消費者に対しては第二減価情報を用いて仮想通貨情報における仮想通貨の価値を減少させてもよ
い。この場合、第二減価情報による価値の減少率(減価率)は、第一減価情報による価値の減少率(減価率)よりも大きくなってもよい。
【0031】
第二変換率は第一変換率よりも大きくなり、第二減価情報に基づく仮想通貨の価値の減少率は第一減価情報に基づく仮想通貨の価値の減少率よりも大きくなってもよい一例としては、次のような態様を挙げることができる。第二消費者カテゴリに属する消費者に対しては、p=50%とし、tを2週間とし、dを100%としてもよい。この場合には、プレミアムとして50%の価値が付くが、2週間後にはその価値が0となってしまう(
図3参照)。他方、第一消費者カテゴリに属する消費者に対しては、p=20%とし、tを1ヶ月とし、dを10%としてもよい。この場合には、プレミアムとして20%の価値が付き、1ヶ月を経過するごとに、10%ずつ価値が減っていき、10ヶ月後にはその価値が0となってしまう(
図2参照)。
【0032】
管理装置100は、手数料に関する手数料情報を用いて、仮想通貨情報を現金情報に変換してもよい。この場合には、一定の金額の手数料で仮想通貨情報を現金情報に変換してもよいし、価格帯ごとに異なる手数料で仮想通貨情報を現金情報に変換してもよいし、予め定まった手数料率で仮想通貨情報を現金情報に変換してもよい。価格帯ごとに異なる手数料で仮想通貨情報を現金情報に変換する場合には、例えば1000円未満であれば仮想通貨換算で手数料として100円かかり、1000円以上5000円未満であれば仮想通貨換算で手数料として500円かかり、5000円以上であれば仮想通貨換算で手数料として1000円かかるようにしてもよい。予め定まった手数料率で仮想通貨情報を現金情報に変換する場合には、変換する仮想通貨の価値を「1」とした場合には、変換された現金の価値は「1-q」(0%≦q≦10%)となってもよい。
【0033】
現金を仮想通貨に変換し、当該仮想通貨を現金に変換することだけで不当な利益が発生しないように、現金を仮想通貨に変換することによって得られるプレミアム価値よりも、仮想通貨を現金に変換するために必要な手数料は大きくなってもよい。また、仮想通貨を一定額以上消費しない場合には、仮想通貨を現金に変換できないようにしてもよい。
【0034】
管理装置100は、第一消費者カテゴリに属する消費者に対しては第一手数料情報を用いて仮想通貨情報を現金情報に変換し、第二消費者カテゴリに属する消費者に対しては第二手数料情報を用いて仮想通貨情報を現金情報に変換してもよい。この場合、第二手数料情報による手数料は、第一手数料情報による手数料よりも高くなってもよい。また、第二消費者カテゴリに属する消費者(例えば国外消費者)に対しては、仮想通貨情報を現金情報に変換することができないようになっていてもよい。
【0035】
管理装置100は、事業主に対しては事業主手数料情報を用いて仮想通貨情報を現金情報に変換し、消費者に対しては消費者手数料情報を用いて仮想通貨情報を現金情報に変換してもよい。事業主手数料情報に基づく手数料は、消費者手数料情報に基づく手数料よりも安くてもよい。一例としては、事業主手数料情報に基づく手数料は0円であってもよい。また、一定期間中の一定回数については事業主手数料情報に基づく手数料は0円であり、当該一定回数を超えた場合には手数料が発生してもよい。一例としては、一週間に1回又は一ヶ月に4回までは手数料が0円であるが、当該頻度を超えた場合には、消費者が仮想通貨情報を現金情報に変換するのと同じ手数料(消費者手数料情報に基づく手数料)で、事業主が仮想通貨情報を現金情報に変換できるようにしてもよい。
【0036】
また、事業主手数料情報で仮想通貨情報を現金情報に変換できる事業主を、当該仮想通貨を利用できる地域に存在する事業主に限定してもよい。このような事業主は、管理装置100に予め登録されて管理されてもよい。このように登録された情報は記録部140で記録されることになる。
【0037】
また、事業主手数料情報で仮想通貨情報を現金情報に変換できる事業主は、当該事業主を主体として現金を仮想通貨に変換できないようにしてもよい。このような態様を採用することで、現金を仮想通貨に変換し、当該仮想通貨を現金に変換することだけで不当な利益が発生しないようにすることができる。
【0038】
仮想通貨に関する上記「p」(プレミアム率)、「t」(減価期間)、「d」(減価率)、「q」(手数料率)といった各種の情報は、地域ごとに変わってもよい。例えば、α県における「p」はβ県における「p」よりも大きいが、一定期間に対するα県における「d」はβ県における「d」よりも大きく、α県における「q」もβ県における「q」よりも大きくなってもよい。
【0039】
また、現金ポイント情報として現金情報を用いる場合とポイント情報を用いる場合とで変換率を異ならせてもよい。一例としては、管理装置100は、現金ポイント情報として現金情報を用いる場合には現金変換率を用いて当該現金情報を仮想通貨情報に変換し、現金ポイント情報としてポイント情報を用いる場合にはポイント変換率を用いて当該ポイント情報を仮想通貨情報に変換するようにしてもよい。そして、ポイント変換率は現金変換率よりも大きくなってもよいし、小さくなってもよい。
【0040】
ポイント変換率を現金変換率よりも大きくする場合には、消費者が企業等の発行するポイントをより積極的に仮想通貨に変換するようにすることを期待できる。また、消費者が、企業等の発行するポイントをより集めようとすることも期待できる。ポイント変換率を現金変換率よりも小さくする場合であっても、消費者は、現金ではなくポイントを仮想通貨に変換し、有効に利用したいと考えることもある。この場合でも、消費者が企業等の発行するポイントを集めようとすることを期待できる。なお、ポイント変換率を一例としては80%~130%の範囲に定めるようにしてもよい。また別の例としては、仮想通貨情報における仮想通貨の価値がポイント情報におけるポイントの価値以上になるようにして、ポイント変換率を100%~130%の範囲に定めるようにしてもよい。
【0041】
《作用・効果》
次に、上述した構成からなる本実施の形態による作用・効果であって、未だ説明していないものを中心に説明する。「構成」で説明していない構成であっても「作用・効果」で用いたいずれの構成も本件発明では採用することができる。
【0042】
本実施の形態において、現金情報を仮想通貨情報に変換する際に、仮想通貨情報における仮想通貨の価値が現金情報における現金の価値よりも高く設定している態様を採用した場合には、現金を仮想通貨に変換することを促進することができる。また、時間の経過とともに仮想通貨の価値を減少させる態様を採用した場合には、仮想通貨の消費を促すことができる。このため、消費者による消費行動を促すことができ、経済活性化を図ることができる。とりわけ、予め設定された地域においてのみ仮想通貨を利用できる場合には、当該地域の活性化を期待することができ、ひいては、当該地域への観光客の誘致を期待できる。
【0043】
第一消費者カテゴリに属する消費者に対しては第一変換率を用いて現金情報を仮想通貨情報に変換し、第二消費者カテゴリに属する消費者に対しては第二変換率を用いて現金情報を仮想通貨情報に変換する態様を採用した場合には、消費者の属するカテゴリに応じて変換率を変えることができ、柔軟な運用を行うことができる。例えば、対象となっている地域で利用した仮想通貨の実績額が大きい消費者に対しては、当該実績額の低い消費者と比較して高い変換率で現金情報を仮想通貨情報に変換するようにしてもよい。このような態様を採用することで、消費者の当該地域へのリピート率を上げることを期待できる。な
お、利用した仮想通貨の実績額が大きい消費者としては、一例として、一定期間中に閾値以上の仮想通貨を利用した消費者を挙げることができる。
【0044】
第一消費者カテゴリに属する消費者に対しては第一減価情報を用いて仮想通貨情報における仮想通貨の価値を減少させ、第二消費者カテゴリに属する消費者に対しては第二減価情報を用いて仮想通貨情報における仮想通貨の価値を減少させる態様を採用した場合には、消費者の属するカテゴリに応じて仮想通貨の減価する量や割合を変えることができ、柔軟な運用を行うことができる。例えば、対象となっている地域で利用した仮想通貨の実績額が大きい消費者に対しては、当該実績額の低い消費者と比較して減価率を低く設定してもよい。また、現金情報を仮想通貨情報に変換する変換率(プレミアム率)が相対的に高い消費者に対しては、現金情報を仮想通貨情報に変換する変換率(プレミアム率)が相対的に低い消費者と比較して、減価率を高く設定してもよい。また、消費者自身が、現金情報を仮想通貨情報に変換する変換率(プレミアム率)を高くする代わりに減価率を高くし、現金情報を仮想通貨情報に変換する変換率(プレミアム率)を低くする代わりに減価率を低くすることを選択できるようにしてもよい。また、仮想通貨の価値が0になる期間に応じて現金情報を仮想通貨情報に変換する変換率が予め設定されていてもよく、消費者が変換率と仮想通貨の価値が0になる期間とを考慮して、変換率及び仮想通貨の価値が0になる期間を選択できるようにしてもよい。
【0045】
手数料に関する手数料情報を用いて仮想通貨情報を現金情報に変換する態様を採用した場合には、仮想通貨情報を現金情報に変換することを一定程度抑止できる。このため、仮想通貨の利用を促すことができる。特に予め設定された地域においてのみ仮想通貨を利用できる場合には、当該地域での仮想通貨の利用を促すことを期待でき、地域活性化を期待できる。
【0046】
第一消費者カテゴリに属する消費者に対しては第一手数料情報を用いて仮想通貨情報を現金情報に変換し、第二消費者カテゴリに属する消費者に対しては第二手数料情報を用いて仮想通貨情報を現金情報に変換する態様を採用した場合には、消費者の属するカテゴリに応じて手数料の額や割合を変えることができ、柔軟な運用を行うことができる。例えば、対象となっている地域で利用した仮想通貨の実績額が大きい消費者に対しては、当該実績額の低い消費者と比較して手数料の額や割合を低く設定してもよい。また、現金情報を仮想通貨情報に変換する変換率(プレミアム率)が相対的に高い消費者に対しては、現金情報を仮想通貨情報に変換する変換率(プレミアム率)が相対的に低い消費者と比較して、手数料の額や割合を高く設定してもよい。また、消費者自身が、現金情報を仮想通貨情報に変換する変換率(プレミアム率)を高くする代わりに手数料の額や割合を高くし、現金情報を仮想通貨情報に変換する変換率(プレミアム率)を低くする代わりに手数料の額や割合を低くすることを選択できるようにしてもよい。第二消費者カテゴリに属する消費者(例えば国外消費者)に対して仮想通貨情報を現金情報に変換することができない態様を採用した場合には、仮想通貨の利用を促すことができることに加え、消費される額を予め予想できる点でも有益である。
【0047】
また、第一消費者カテゴリに属する消費者を国内消費者とし、第二消費者カテゴリに属する消費者を国外消費者とした場合には、国外消費者を誘致するための手法と国内消費者を誘致するための手法を変えることができる点で有益である。一般的に、国外消費者は1週間や2週間といった期間だけ滞在することから、第二変換率を第一変換率よりも大きくする代わりに、第二減価情報に基づく仮想通貨の価値の減少率を第一減価情報に基づく仮想通貨の価値の減少率よりも大きくするようにし、仮想通貨を利用することを促すようにしてもよい。一例としては、変換率(プレミアム率)を50%のように極めて高く設定する代わりに、予定滞在期間を経過した時点で仮想通貨の価値を0とするように設定してもよい。また、国内消費者に対しては、
図2に示すように、仮想通貨情報における仮想通貨
の価値を時間経過とともに段階的に減少させるのに対して、国外消費者に対しては、
図3に示すように、一定期間経過した際に前記仮想通貨情報における仮想通貨の価値を0に減少させてもよい。
【0048】
仮想通貨の価値を時間経過とともに段階的に減少させる際には、減少させる割合は同一であってもよいし異なっていてもよい。仮想通貨の価値を異なる割合で減少させる場合には、t
1までの間はd
1の割合で減少させ、t
1以降についてはd
2(>d
1)の割合で減少
させるようにし、時間が経過すると(大幅に)減少率が大きくなるようにしてもよい(
図4参照)。このような態様を採用することで、一定期間t
1が経過する前に、仮想通貨を
使用することを消費者に強く促すことができる。とりわけ特定の地域のみで仮想通貨を利用できる態様を採用した場合には、このような態様を採用することで、一定期間t
1が経
過する前に当該地域を再び訪れることを強く促すことができる点で有益である。
【0049】
事業主に対しては事業主手数料情報を用いて仮想通貨情報を現金情報に変換し、消費者に対しては消費者手数料情報を用いて仮想通貨情報を現金情報に変換する態様を採用した場合には、事業主と消費者との間で手数料の額や割合を変えることができ、柔軟な運用を行うことができる。特に事業主の場合に手数料の額や割合を低く設定することで、仮想通貨を利用できる加盟店を増やすことを期待できる。事業主が手数料を支払わない態様を採用した場合には、税金上の処理も簡便にすることができる点で有益である。
【0050】
最後になったが、上述した実施の形態の記載及び図面の開示は、特許請求の範囲に記載された発明を説明するための一例に過ぎず、上述した実施の形態の記載又は図面の開示によって特許請求の範囲に記載された発明が限定されることはない。また、出願当初の請求項の記載はあくまでも一例であり、明細書、図面等の記載に基づき、請求項の記載を適宜変更することもできる。
【符号の説明】
【0051】
10 入力部
11 任意端末(入力部)
12 設置端末(入力部)
15 ICカード
100 管理装置
110 通信部
120 操作部
130 表示部
140 記録部
150 制御部
160 変換部