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特許7143143シート給送装置、シート給送装置の制御方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-16
(45)【発行日】2022-09-28
(54)【発明の名称】シート給送装置、シート給送装置の制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B65H 3/52 20060101AFI20220920BHJP
   B65H 7/02 20060101ALI20220920BHJP
【FI】
B65H3/52 330B
B65H7/02
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018149180
(22)【出願日】2018-08-08
(65)【公開番号】P2020023390
(43)【公開日】2020-02-13
【審査請求日】2021-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000104652
【氏名又は名称】キヤノン電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002767
【氏名又は名称】特許業務法人ひのき国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 善
【審査官】松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-250862(JP,A)
【文献】特開平06-009110(JP,A)
【文献】特開2016-020279(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00-3/68
B65H 5/06
B65H 7/00-7/20
B65H 43/00-43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送路に沿って給送する給送ローラと、
前記給送ローラとの間にニップを形成し、前記給送ローラによって給送されるシートとそれ以外のシートとを分離するための分離ローラと、
前記搬送路における前記給送ローラよりも前記搬送路の下流側に配置され、シートが到達したことを検知する第1シート検知センサと、
前記給送ローラよりも前記搬送路の下流側で、且つ、前記第1シート検知センサよりも前記搬送路の上流側に位置し、前記シートを搬送する第1搬送ローラと、
前記第1搬送ローラよりも前記搬送路の下流側で、且つ、前記第1シート検知センサよりも前記搬送路の上流側に位置し、前記シートを搬送する第2搬送ローラと、
前記第1搬送ローラよりも前記搬送路の下流側で、且つ、前記第2搬送ローラよりも前記搬送路の上流側に位置し、前記シートが到達したことを検知する第3シート検知センサと、前記給送ローラの回転を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記第1シート検知センサによって先行するシートの後端の到達が検知された後で前記給送ローラによる後続のシートの給送を開始する場合に、前記給送ローラを第1給送速度に制御し
記後続のシートの先端が前記給送ローラと前記分離ローラとのニップを超えたと判定した場合に、前記給送ローラを前記第1給送速度よりも高速の第2給送速度に制御
前記第3シート検知センサによってシート先端の到達が検知された場合に、前記給送ローラの回転を停止する、ことを特徴とするシート給送装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1シート検知センサによって前記先行するシートの後端の到達が検知されてから所定の時間が経過した場合に、前記後続のシートの先端が前記ニップを超えたと判定することを特徴とする請求項1に記載のシート給送装置。
【請求項3】
シートを搬送路に沿って給送する給送ローラと、
前記給送ローラとの間にニップを形成し、前記給送ローラによって給送されるシートとそれ以外のシートとを分離するための分離ローラと、
前記搬送路における前記給送ローラよりも前記搬送路の下流側に配置され、シートが到達したことを検知する第1シート検知センサと、
前記給送ローラよりも前記搬送路の下流側で、且つ、前記第1シート検知センサよりも前記搬送路の上流側に位置し、前記シートを搬送する第1搬送ローラと、
前記第1搬送ローラよりも前記搬送路の下流側で、且つ、前記第1シート検知センサよりも前記搬送路の上流側に位置し、前記シートを搬送する第2搬送ローラと、
前記第1搬送ローラよりも前記搬送路の下流側で、且つ、前記第2搬送ローラよりも前記搬送路の上流側に位置し、前記シートが到達したことを検知する第3シート検知センサと、
前記給送ローラの回転を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記第1シート検知センサによって先行するシートの後端の到達が検知された後で前記給送ローラによる後続のシートの給送を開始する場合に、前記給送ローラを第1給送速度に制御し
ート積載台に積載された後続のシートが給送されてから該シートの先端が前記ニップを超えるまでの時間に相当する時間が経過した場合に、前記給送ローラを前記第1給送速度よりも高速の第2給送速度に制御
前記第3シート検知センサによってシート先端の到達が検知された場合に、前記給送ローラの回転を停止する、ことを特徴とするシート給送装置。
【請求項4】
前記ニップよりも前記搬送路の下流側で、且つ、前記第1搬送ローラよりも前記搬送路の上流側に位置し、前記シートが到達したことを検知する第2シート検知センサを有し、
前記制御部は、前記第2シート検知センサによってシート先端の到達が検知された場合に前記給送ローラを前記第2給送速度に制御することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項5】
シート積載台に積載されたシートの上方に配置され、該シートを前記給送ローラに供給するピックアップローラを有することを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項6】
前記給送ローラよりも前記搬送路の下流側で、且つ、前記第1搬送ローラよりも前記搬送路の上流側に位置し、前記シートが到達したことを検知する第4シート検知センサと、を有し、
前記制御部は、前記第1シート検知センサによって前記先行するシートの後端の到達を検知して前記給送ローラの駆動を再開した後、予め設定された待機時間を経過しても前記第4シート検知センサにおいて前記後続のシートの先端の到達が検知されない場合には、前記ピックアップローラによるシートの供給を行い、前記待機時間を経過する前に前記第4シート検知センサにおいて前記後続のシートの先端の到達が検知された場合には、前記ピックアップローラによるシートの供給を行わないように制御することを特徴とする請求項に記載のシート給送装置。
【請求項7】
薄紙搬送モードと、通常搬送モードを有し、
シートを搬送路に沿って給送する給送ローラと、
前記給送ローラとの間にニップを形成し、前記給送ローラによって給送されるシートとそれ以外のシートとを分離するための分離ローラと、
前記給送ローラの回転を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、薄紙搬送モードの実行時においては、前記薄紙搬送モードの実行時において、シート先端が前記給送ローラと前記分離ローラとのニップを超えるまでの間、前記給送ローラを第1給送速度に制御し、シート先端が前記ニップを超えた後、前記給送ローラを前記第1給送速度よりも高速の第2給送速度に制御
前記通常搬送モードの実行時においては、前記給送ローラの駆動開始時に、前記第2給送速度で制御する、ことを特徴とするシート給送装置。
【請求項8】
シートを搬送路に沿って給送する給送ローラと、前記給送ローラとの間にニップを形成し、前記給送ローラによって給送されるシートとそれ以外のシートとを分離するための分離ローラと、前記搬送路における前記給送ローラよりも前記搬送路の下流側に配置され、シートが到達したことを検知する第1シート検知センサと、前記給送ローラよりも前記搬送路の下流側で、且つ、前記第1シート検知センサよりも前記搬送路の上流側に位置し、前記シートを搬送する第1搬送ローラと、前記第1搬送ローラよりも前記搬送路の下流側で、且つ、前記第1シート検知センサよりも前記搬送路の上流側に位置し、前記シートを搬送する第2搬送ローラと、前記第1搬送ローラよりも前記搬送路の下流側で、且つ、前記第2搬送ローラよりも前記搬送路の上流側に位置し、前記シートが到達したことを検知する第3シート検知センサと、前記給送ローラの回転を制御する制御部と、を備えるシート給送装置の制御方法であって、
前記制御部が、前記第1シート検知センサによって先行するシートの後端の到達が検知された後で前記給送ローラによる後続のシートの給送を開始する場合に、前記給送ローラを第1給送速度に制御するステップと、
前記制御部が、前記後続のシートの先端が前記給送ローラと前記分離ローラとのニップを超えたと判定した場合に、前記給送ローラを前記第1給送速度よりも高速の第2給送速度に制御するステップと、
前記制御部が、前記第3シート検知センサによってシート先端の到達が検知された場合に、前記給送ローラの回転を停止するステップと
を有することを特徴とするシート給送装置の制御方法。
【請求項9】
シートを搬送路に沿って給送する給送ローラと、前記給送ローラとの間にニップを形成し、前記給送ローラによって給送されるシートとそれ以外のシートとを分離するための分離ローラと、前記搬送路における前記給送ローラよりも前記搬送路の下流側に配置され、シートが到達したことを検知する第1シート検知センサと、前記給送ローラよりも前記搬送路の下流側で、且つ、前記第1シート検知センサよりも前記搬送路の上流側に位置し、前記シートを搬送する第1搬送ローラと、前記第1搬送ローラよりも前記搬送路の下流側で、且つ、前記第1シート検知センサよりも前記搬送路の上流側に位置し、前記シートを搬送する第2搬送ローラと、前記第1搬送ローラよりも前記搬送路の下流側で、且つ、前記第2搬送ローラよりも前記搬送路の上流側に位置し、前記シートが到達したことを検知する第3シート検知センサと、前記給送ローラの回転を制御する制御部と、を備えるシート給送装置の制御方法であって、
前記制御部が、前記第1シート検知センサによって先行するシートの後端の到達が検知された後で前記給送ローラによる後続のシートの給送を開始する場合に、前記給送ローラを第1給送速度に制御するステップと、
前記制御部が、シート積載台に積載された後続のシートが給送されてから該シートの先端が前記ニップを超えるまでの時間に相当する時間が経過した場合に、前記給送ローラを前記第1給送速度よりも高速の第2給送速度に制御するステップと、
前記制御部が、前記第3シート検知センサによってシート先端の到達が検知された場合に、前記給送ローラの回転を停止するステップと
を有することを特徴とするシート給送装置の制御方法。
【請求項10】
薄紙搬送モードと、通常搬送モードを有し、シートを搬送路に沿って給送する給送ローラと、前記給送ローラとの間にニップを形成し、前記給送ローラによって給送されるシートとそれ以外のシートとを分離するための分離ローラと、前記給送ローラの回転を制御する制御部と、を備えるシート給送装置の制御方法であって、
前記制御部が、前記薄紙搬送モードの実行時において、シート先端が前記給送ローラと前記分離ローラとのニップを超えるまでの間、前記給送ローラを第1給送速度に制御するステップと、
前記制御部が、前記シート先端が前記ニップを超えた後、前記給送ローラを前記第1給送速度よりも高速の第2給送速度に制御するステップと、
前記制御部が、前記通常搬送モードの実行時においては、前記給送ローラの駆動開始時に、前記第2給送速度で制御するステップと、
を有することを特徴とするシート給送装置の制御方法。
【請求項11】
コンピュータを、請求項1~のいずれか1項に記載の制御部として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを給送可能なシート給送装置における負荷に弱い原稿、例えば薄紙、伝票、古紙(歴史書)、既にしわになっている原稿、既に折れている原稿、破れている原稿等の給送技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のシート給送装置では、複数枚のシートを連続的に給紙する場合、シートを1枚給紙する毎にピックアップローラ(例えば後述する図1における4)をシート取込位置に移動させてシートに接触させて回転させ、その後、退避位置に移動させる動作を繰り返していた。しかし、シートが腰の弱い薄紙等である場合、分離ローラ対(例えば図1における6,7)とピックアップローラとの間でジャムが発生することがあった。
【0003】
このような薄紙等のシートのジャム対策として、特許文献1が提案されている。
特許文献1では、先に給送されたシートの後端をレジスト前センサ(例えば後述する図1における32)が検知した後、特定時間を経過しても、レジスト前センサが次のシートの先端を検知しない場合に、ピックアップローラをシートに接触させて回転させる。これにより、ピックアップローラの使用を最小限にしてシートを給送する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平6-9110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の技術は、薄紙等のように剛度(以下「コシ」又は「腰」と記す)が弱いシートのジャム対策に一定の効果があった。一方、分離ローラ対を構成する給送ローラにシートが巻き込まれてしまい、ジャムが発生してしまう場合もあった。
このように、従来の技術では、給紙するシートが腰の弱い薄紙等の場合に給紙ローラにおけるジャムが発生することがあるという課題があった。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものである。本発明は、給紙するシートが腰の弱い薄紙等であっても、給紙の際のジャムを生じ難くすることができる仕組みを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記に鑑み、シートを搬送路に沿って給送する給送ローラと、前記給送ローラとの間にニップを形成し、前記給送ローラによって給送されるシートとそれ以外のシートとを分離するための分離ローラと、前記搬送路における前記給送ローラよりも前記搬送路の下流側に配置され、シートが到達したことを検知する第1シート検知センサと、前記給送ローラよりも前記搬送路の下流側で、且つ、前記第1シート検知センサよりも前記搬送路の上流側に位置し、前記シートを搬送する第1搬送ローラと、前記第1搬送ローラよりも前記搬送路の下流側で、且つ、前記第1シート検知センサよりも前記搬送路の上流側に位置し、前記シートを搬送する第2搬送ローラと、前記第1搬送ローラよりも前記搬送路の下流側で、且つ、前記第2搬送ローラよりも前記搬送路の上流側に位置し、前記シートが到達したことを検知する第3シート検知センサと、前記給送ローラの回転を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1シート検知センサによって先行するシートの後端の到達が検知された後で前記給送ローラによる後続のシートの給送を開始する場合に、前記給送ローラを第1給送速度に制御し、前記後続のシートの先端が前記給送ローラと前記分離ローラとのニップを超えたと判定した場合に、前記給送ローラを前記第1給送速度よりも高速の第2給送速度に制御前記第3シート検知センサによってシート先端の到達が検知された場合に、前記給送ローラの回転を停止する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、給紙するシートが腰の弱い薄紙等であっても、給紙の際のジャムを生じ難くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係るシート給送装置を備えるシート搬送装置の部分断面図。
図2】シート搬送装置の主要部の構成を概略的に示す模式図。
図3】第1実施形態の薄紙モードにおける制御動作を説明するフローチャート。
図4】第1実施形態のレジスト前センサとピックアップローラの動作の一例を示すタイミングチャート。
図5】ピックアップローラをシートに接触させた後のシートに対する接触圧の変化を例示するグラフ。
図6】第1実施形態に係る給送される原稿の先端並びに給送ローラ対の位置関係の一例を示す模式図。
図7】第1実施形態の薄紙モードにおける給送ローラの制御動作を説明するフローチャート。
図8】第1実施形態のシート積載台上のシート、給送ローラ、原稿の先端部分の位置並びにピックアップローラの給送速度の関係を説明する図。
図9】第1実施形態の他の態様に係る給送ローラと薄紙モード用の光学センサの位置関係を説明する図。
図10】第1実施形態の他の態様に係る薄紙モードにおける給送ローラの制御動作を説明するフローチャート。
図11】第2実施形態に係るシート給送装置を適用可能なシート搬送装置の構成の一部を概略的に示す部分断面図。
図12】第2実施形態におけるピックアップローラ、給送ローラ及びレジストローラ対の動作並びにレジスト前センサ及びレジスト中センサの検知状態の関係の一例を示すタイミングチャート。
図13】第2実施形態におけるピックアップローラ、給送ローラ及びレジストローラ対の動作並びにレジスト前センサ及びレジスト中センサの検知状態の関係の一例を示す模式図。
図14】第2実施形態におけるピックアップローラ、給送ローラ及びレジストローラ対の動作並びにレジスト前センサ及びレジスト中センサの検知状態の関係の一例を示す模式図。
図15】第2実施形態におけるピックアップローラ、給送ローラ及びレジストローラ対の動作並びにレジスト前センサ及びレジスト中センサの検知状態の関係の一例を示す模式図。
図16】第2実施形態におけるピックアップローラ、給送ローラ及びレジストローラ対の動作並びにレジスト前センサ及びレジスト中センサの検知状態の関係の一例を示す模式図。
図17】第2実施形態におけるピックアップローラ、給送ローラ及びレジストローラ対の動作並びにレジスト前センサ及びレジスト中センサの検知状態の関係の一例を示す模式図。
図18】第2実施形態におけるピックアップローラ、給送ローラ及びレジストローラ対の動作並びにレジスト前センサ及びレジスト中センサの検知状態の関係の一例を示す模式図。
図19】第2実施形態におけるピックアップローラ、給送ローラ及びレジストローラ対の動作並びにレジスト前センサ及びレジスト中センサの検知状態の関係の一例を示す模式図。
図20】給送ローラ、レジスト前センサ及びレジストローラの位置並びに給送ローラの給送速度及びレジストローラの搬送速度の関係を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔第1実施形態〕
まず、本発明の第1実施形態に係るシート給送装置を含むシート搬送装置について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るシート給送装置を備えるシート搬送装置(画像読取装置)の構成を概略的に示す部分断面図である。
図2は、図1のシート搬送装置の主要部の構成を概略的に示す模式図である。
ここでは、一例として本発明のシート搬送装置を画像読取装置に適用する場合について説明するが、シートに対して印刷を行う印刷装置(プリンタ等)、あるいは画像読取装置と印刷装置を組み合わせた複合機などの原稿搬送系を持つ装置など、各種のシート搬送装置に適用可能である。
【0011】
図1及び図2に示すように、本実施形態のシート搬送装置200は、シート取込装置(シート給送装置)101を備える。
シート積載台(シート載置台)1にはシートが複数枚積載されており、シート積載台1は昇降自在に構成されている。シート積載台駆動モータ2は、シート積載台1を昇降させる。シート検知センサ3は、シート積載台1に積載されたシートがシート取込位置にあることを検知する。シート積載検知センサ12は、シート積載台1のシート積載面1aにシートが積載されていることを検知する。また、原稿跳ね上げ検知センサ35は、シート積載面1aに直交する方向に並ぶ複数のセンサを備え、シート積載台1に積載されているシートの跳ね上がりを検知する。例えば、原稿跳ね上げ検知センサ35は、ステイプル留め等された原稿がシート積載台1に積載されて給紙された場合になどに生じる原稿の跳ね上がりを検知することができる。これにより、ステイプル留め等された原稿の給紙を中止するなどの制御が可能となる。
【0012】
シートピックアップ部の一例としてのピックアップローラ4(取込手段)は、シート積載台1上のシートをシート積載台1から送り出す。ピックアップローラ駆動モータ5は、ピックアップローラ4を、シートを取り込む方向(取込方向)に回転させる。図2に示す状態は、シート上面がシート取込位置にあり、ピックアップローラ4を回転させればシートの取り込みが始まる状態である。また、ピックアップローラ4は、図2のシート取込位置、及び、シート取込位置よりも上方の退避位置(不図示)に、不図示の駆動部によって駆動されて移動可能である。ピックアップローラ4は、シートを取り込む際にはシート取込位置に移動され、取り込みが終わったら退避位置に移動される。図1の例では、ピックアップローラ4は、ピックアップローラ4よりも搬送方向の下流側に設けられたピックアップローラの回転中心64を中心に回動する。このため、ピックアップローラ4がシートに接触した際にシートを搬送方向に押し出し易い構成になっている。
【0013】
ピックアップローラ4の回転指示と、シート取込位置と退避位置の移動指示は、制御部45により行われる。制御部45は、図示しないCPU、ROM、RAM等を有し、CPUがROMに格納されたプログラムを実行することにより各種制御を実現する。また、ピックアップローラ4は、後述する分離ローラ対42による分離給送が確実に行われるための補助的な役割を担っている。シート積載台1上のシートをピックアップローラ4によって分離ローラ対42のニップ部へ送り込めば、分離ローラ対42による分離給送は確実に行える。
【0014】
分離ローラ対42において、給送ローラ6は、給送モータ8によってシートを搬送方向下流側に給送する方向(給送方向)に回転するよう駆動されている。分離ローラ7は、シートを搬送方向上流側に押し戻す方向に回転する回転力を、不図示のトルクリミッタ(スリップクラッチ)を介して、分離モータ9から常時受けている。
【0015】
給送ローラ6と分離ローラ7との間にシートが1枚存在するときは、上述のトルクリミッタが伝達する分離ローラ7がシートを上流側に押し戻す方向の回転力の上限値より、給送ローラ6によって下流側に送られるシートと分離ローラ7との間の摩擦力によってシートが下流側に給送される方向への回転力が上回る。このため、分離ローラ7は、給送ローラ6に追従して回転する(連れ回りする)。
【0016】
一方、給送ローラ6と分離ローラ7との間にシートが複数枚存在するときは、分離ローラ7はシートを上流側に押し戻す方向の回転をローラ軸から受け、最も上位のシート以外が下流側に搬送されないようにしている。
【0017】
このように、給送ローラ6がシートを下流側に給送する作用と、分離ローラ7のシートを下流側に搬送されないようにする作用とによって、シートが重なって給送ローラ6と分離ローラ7との間に形成されるニップ部(給送ローラ6と分離ローラ7との接触部分)に送り込まれた場合でも、最も上のシートのみ下流側に給送され、それ以外のシートは下流側に搬送されないようになる。これにより、重なったシートが分離給送される。
【0018】
給送ローラ6と分離ローラ7とは、一対の分離ローラ対42(シート分離部)を構成する。なお、本実施形態では、分離ローラ対42を使用しているが、分離ローラ対42の代わりに分離ローラと給送ローラのどちらか一方をベルトにした、分離ベルトローラ対を使用してもよい。また、分離ローラを分離パッドに置き換え、シートに当接することで下流側へ複数枚のシートが搬送されることを防ぐようにしてもよい。また、分離ローラ7を回転させずに分離パッドのようにシートに当接させるように使用してもよい。
【0019】
このように構成されたピックアップローラ4、給送ローラ6、分離ローラ7などからなるシートピックアップ部によって、シート積載台1に積載されたシートが1枚ずつに分離されて、シート搬送装置200内部に取り込まれる。
【0020】
また、分離されたシートが通過する位置(すなわち分離ローラ対42の下流側)に重送検知センサ30を備えることで、シート分離部によってシートが一枚ずつに分離できているかを検知することができる。本実施形態においては、重送検知センサ30として超音波の送受信部を用いた検出装置を用いており、搬送路を跨いだ送受信部間における超音波の減衰量によって重送を検知することができる。なお、重送検知センサ30は、搬送路の所定位置(超音波の送受信部間に対応する位置)に到達したシートを検知するセンサとしても利用可能である。
【0021】
搬送モータ10は、分離後のシートを、画像読取センサ14、15によってシートの画像の読み取りが行われる画像読取位置まで搬送し、さらに排出位置まで搬送するため、その他のローラ(シート搬送部)を駆動する。また、搬送モータ10は、シートの読み取りに最適な速度や、シートの解像度等の設定に応じてシートの搬送速度を変更できるよう各ローラを駆動する。
【0022】
ニップ隙間調整モータ11は、給送ローラ6と分離ローラ7との隙間、或いは分離ローラ7に対してシートを介して給送ローラ6が圧接する圧接力(ニップ圧)を調整する。これにより、シートの厚みに適合した隙間、或いは圧接力が調整され、シートを分離することができる。
【0023】
レジストクラッチ19は、搬送モータ10の回転駆動力をレジストローラ18(シート搬送部)に伝達、又は当該伝達を遮断する。レジストローラ17、18で構成される第1レジストローラ対の回転を停止することにより、給送されるシートの先端をレジストローラ対のニップ部に突き当てて、シートの斜行を補正する。
【0024】
レジストローラ20、21で構成される第2レジストローラ対、搬送ローラ22、23で構成される搬送ローラ対、搬送ローラ24、25で構成される搬送ローラ対、排紙ローラ26、27で構成される排紙ローラ対は、シートを排出積載部44に搬送する。排紙センサ16は、搬送されたシートの通過を検知する。排紙センサ16がシートの後端を検知した後に排紙ローラ対(26,27)の回転速度を遅くする排紙ブレーキをかけることで、排紙されたシートが飛び出す事を防止し、排紙整列性を向上させることができる。上ガイド板40と下ガイド板41との2つのガイド板は、分離ローラ対、レジストローラ対、各搬送ローラ対及び排紙ローラ対により搬送されるシートを案内する。
【0025】
レジスト前センサ32(第4シート検知センサ)は、レジストローラ対(17、18)の上流側に配設され、給送されるシートを検知する。レジスト後センサ34(第1シート検知センサ)は、レジストローラ対(20、21)の下流側に配設され、搬送されるシートを検知する。さらに、レジスト中センサ33(第3シート検知センサ)は、レジストローラ対(17、18)の下流側で且つレジストローラ対(20、21)の上流側に配設され、搬送されるシートを検知する。
【0026】
レジスト後センサ34によってシートが検知されると、制御部45によって画像読取センサ14、15に対し画像の読み取り指示が出され、搬送されるシートの画像が読み取られる。なお、14a、15aは、プラテンローラである。画像読取センサ14、15によって読み取られたシートの画像は、不図示のインターフェース部を介して情報処理装置などの外部装置に対して送信される。
【0027】
以下、図3を参照して、第1実施形態の制御部45にて行われる、薄紙モード(予め定められた特定のモード)実行時におけるピックアップローラ4の制御動作の一例を説明する。
図3は、第1実施形態の制御部45にて行われる、薄紙モード(「薄紙搬送モード」ともいう)における制御動作の一例を説明するフローチャートである。すなわち、このフローチャートに示す処理は、制御部45の図示しないCPUがROMに格納されたプログラムを実行することにより実現される。なお、薄紙モードは、図示しない操作部、又は、シート搬送装置200と通信可能に接続される情報処理装置(パーソナルコンピュータ等)から設定可能である。
【0028】
制御部45は、薄紙モードの給送動作を開始すると、給送ローラ6を駆動させ、時間の測定を開始する(測定時間(TIME)=0)(S101)。
次にS102において、制御部45は、レジスト前センサ32をチェックし、レジスト前センサ32がシート先端を検知したか否かを判定する。
【0029】
レジスト前センサ32がシート先端を検知していないと判定した場合(S102でNoの場合)、制御部45は、S103に処理を進める。
S103において、制御部45は、測定時間(TIME)が特定時間(TS)を超えたか否かを判定する。測定時間(TIME)が特定時間(TS)を超えていないと判定した場合(S103でNoの場合)、制御部45は、S102に処理を戻す。
【0030】
一方、測定時間(TIME)が特定時間(TS)を超えたと判定した場合(S103でYesの場合)、すなわち測定時間(TIME)が特定時間(TS)になってもレジスト前センサ32によりシート先端が検知されない場合、制御部45は、S104に処理を進める
【0031】
S104において、制御部45は、ピックアップローラ4をシート取込位置に移動しシートに接触させる。
さらにS105において、制御部45は、後述する特定時間(TD)経過後に、ピックアップローラ4を回転させる。これによって、ピックアップローラ4がシートを給送ローラ6へ給送する。
【0032】
次にS106において、制御部45は、再び時間の測定を開始する(測定時間(TIME)=0)。
そしてS107において、制御部45は、レジスト前センサ32をチェックし、シート先端がレジスト前センサ32により検知されたか否かを判定する。
【0033】
レジスト前センサ32がシート先端を検知していないと判定した場合(S107でNoの場合)、制御部45は、S110に処理を進める。
S110において、制御部45は、測定時間(TIME)がエラー時間(TOUT)を超えたか否かを判定する。測定時間(TIME)がエラー時間(TOUT)を超えていないと判定した場合(S110でNoの場合)、制御部45は、S107に処理を戻す。
【0034】
一方、測定時間(TIME)がエラー時間(TOUT)を超えたと判定した場合(S110でYesの場合)、すなわち測定時間(TIME)がエラー時間(TOUT)になってもレジスト前センサ32によりシート先端が検知されない場合、制御部45は、S111に処理を進める。すなわち、ピックアップローラ4を取込位置に移動して回転させたにも拘らず、エラー時間になってもシート先端が検知されない、すなわち、シートの給送エラー(例えばジャムの発生)であると判定している。
制御部45は、ピックアップローラ4を退避位置に移動し(S111)、ピックアップローラ4の回転を停止させ(S112)、本フローチャートの処理をエラー終了する。
【0035】
一方、上記S107において、レジスト前センサ32がシート先端を検知したと判定した場合(S107でYesの場合)、制御部45は、S108に処理を進める。
制御部45は、ピックアップローラ4を退避位置に移動し(S108)、ピックアップローラ4の回転を停止させ(S109)、S113に移行する。
【0036】
また、上記S102において、レジスト前センサ32がシート先端を検知したと判定した場合(S102でYesの場合)、制御部45は、S113に移行する。この場合、ピックアップローラ4は接触位置に移動せず退避位置のままとする。すなわち、ピックアップローラ4を駆動しなくても、レジスト前センサ32にシート先端が到達している状況である。この状況は、その前に給紙したシートとの間に生じる摩擦や静電気によってシートが給送ローラ6まで到達した後にその前に給紙したシートが給送ローラ6を抜けた後で給送ローラ6によって搬送されて少なくともレジスト前センサ32まで到達している状況である。このときにはピックアップローラ4による給紙は不要であり、シートに対してピックアップローラ4を当接させることによるダメージを防ぐために、ピックアップローラ4を退避位置のままにしている。
【0037】
S102又はS107においてレジスト前センサ32によりシートの先端が検知されたと判定した場合、制御部45は、S113に処理を進める。S113において、制御部45は、レジスト後センサ34によりシートの先端が検知された後の所定のタイミングで、画像読取センサ14、15に対し画像の読み取り指示を出し、画像読取センサ14、15によるシートの読取動作を行わせる。その間、制御部45は、レジスト前センサ32によるシートの後端検知を監視する(S114)。レジスト前センサ32がシート後端を検知していないと判定した場合(S114でNoの場合)、制御部45は、S113に処理を戻す。
【0038】
一方、レジスト前センサ32がシート後端を検知したと判定した場合(S114でYesの場合)、制御部45は、S115に処理を進める。なお、制御部45は、レジスト後センサ34によりシートの後端が検知された後の所定のタイミングで上記S113の読取動作を終了させる。
【0039】
S115において、制御部45は、シート積載台1にシートがあるか否かをチェックする。シート積載台1にシートがあると判定した場合(S115でYesの場合)、すなわち次のシートがある場合、制御部45は、S101に処理を戻す。
一方、シート積載台1にシートがないと判定した場合(S115でNoの場合)、すなわち次のシートがない場合、制御部45は、本フローチャートの処理を終了する。なお、終了する前に、特定時間(TS)以上の時間を待ってレジスト前センサ32によってシートが検知された場合にS113に進み、シートが検知されなかった場合に終了するようにすることが好ましい。
【0040】
図4は、第1実施形態におけるレジスト前センサ32とピックアップローラ4の動作の一例を示すタイミングチャートである。
図4(a)は、測定時間(TIME)が特定時間(TS)を超えても(TIME>TS)レジスト前センサ32がシートの先端を検知しない場合の例に対応する。この場合、ピックアップローラ4が接触位置に移動して特定時間(TD)後に回転し、シートを給送ローラ6へ送り込む。これにより、ピックアップローラ4の接触圧により惹起されるジャムの発生を防止する。
【0041】
図4(b)は、測定時間(TIME)が特定時間(TS)内にあるとき(TIME<TS)レジスト前センサ32がシートの先端を検知した場合の例に対応する。この場合、ピックアップローラ4は接触位置に移動せず退避位置のままとなる。このため、ピックアップローラ4の接触圧により惹起されるジャムは生じない。なお、図4(b)では測定時間(TIME)のカウントを始める前のレジスト前センサ32の出力はOFFとしている。これは、測定時間(TIME)のカウントの開始前はレジスト前センサ32自体を駆動しておらず、出力がOFFになっていることを示している。一方、レジスト前センサ32を常時駆動している場合には、測定時間(TIME)のカウントを始める前から次のシートがレジスト前センサ32に到達していることがあり、レジスト前センサ32としてはONが出力されることも想定される。その場合、測定時間(TIME)のカウント開始時にそれを確認し、図3のS102でYesと判定しても良い。なお、レジスト前センサ32は、搬送路の一方側(一例として、下ガイド板41)に配置された光源からの照射光が対向する他方側(一例として、上ガイド板40)に配置された導光部材によって再度一方側に返ってくる光を受光部によって受光することでシートを検出している。従って、センサ位置にシートがある場合には照射光が遮光されるため、受光部における受光レベルはLレベルとなる。本実施形態においては、受光レベルがLレベルの際に出力がONとなるように構成されている。一方、センサ位置にシートがない場合には照射光が遮光されずに返ってくるため、受光部における受光レベルはHレベルとなる。本実施形態においては、受光レベルがHレベルの際に出力がOFFとなるように構成されている。これは、本実施形態における他のセンサにおいても同様である。
【0042】
なお、本実施形態では、図4(a)の場合における給紙時間の短縮、図4(b)の場合におけるシート検知の確実性等を考慮して、特定期間(TS)を例えば1秒に設定している。しかし、特定期間(TS)は1秒に限定されるものではない。
【0043】
また、図5は、ピックアップローラ4をシートに接触させた後のシートに対する接触圧の変化を例示するグラフである。
図5に示すように、ピックアップローラ4のシートへの接触開始から時間TCが経過するまでは、ピックアップローラ4のシートへの接触圧が変化している。接触圧が強い時はシート同士の摩擦力も強くなるため、時間TCが経過するまでにピックアップローラ4の回転を開始してしまうとシートの連れ入りが起こりやすく、給紙ジャムが発生しやすかった。
それに対し本実施形態においては、ピックアップローラをシートに接触させてから回転させるまでの特定時間(TD)は、図5に示した接触圧変化時間(TC)よりも長い時間を設定して回転を開始しており、その時間は例えば0.2秒に設定している。しかし、特定時間(TD)は0.2秒に限定されるものではない。
【0044】
なお、図3のS108とS109、S111とS112や図4では、ピックアップローラ4を退避位置に移動してから回転を停止するよう制御しているが、退避動作と回転停止は同時としてもよい。また、順番を入れ替え、回転を停止してから退避動作を行ってもよい。しかし、回転を停止してから退避するまでの間はピックアップローラ4の押付圧によってシート同士の摩擦力が増しており連れ入りが起こり易くなってしまうので、退避してから回転を停止する、もしくは同時にする方がジャム防止効果は高くなる。
【0045】
以上のように、第1実施形態は、レジスト前センサが先に分離給送されたシートの後端を検知した後、待機時間(TS)を経過しても次のシートの先端を検知しない場合に、ピックアップローラをシート積載台上に積載されたシートに当接させる位置に移動し、TD経過後にピックアップローラを回転させることと、レジスト前センサがシートの先端を検知した後に、ピックアップローラをシートに当接させない位置に退避させ、回転を停止することを特徴とする。このような構成により、薄紙等の給紙のジャム対策としてピックアップローラのシート接触と回転開始のタイミングを制御し、さらなるジャム対策を行うことにより、給紙するシートが腰の弱い薄紙等であっても、給紙の際のジャムを生じ難くすることができる。
【0046】
なお、レジスト前センサ32の代わりにレジスト中センサ33を用いて、ピックアップローラ4の移動及び回転を制御する構成でもよい。すなわち、レジスト中センサ33が先に分離給送されたシートの後端を検知した後、待機時間(TS)を経過しても次のシートの先端を検知しない場合に、ピックアップローラ4をシート積載台上に積載されたシートに当接させる位置に移動し、TD経過後にピックアップローラ4を回転させることと、レジスト中センサ33がシートの先端を検知した後に、ピックアップローラ4をシートに当接させない位置に退避させ、回転を停止するようにしてもよい。
【0047】
なお、本実施形態のシート搬送装置200は、上述した薄紙モードとは異なる普通紙モード(「通常搬送モード」ともいう)を有し、これらのモードを図示しない操作パネルや、シート搬送装置200と接続される情報処理装置(例えばパーソナルコンピュータ)から選択設定可能である。そして、制御部45は、薄紙モードとは異なる普通紙モードが設定されている状態において、複数枚のシートを連続給送する場合には、ピックアップローラ4をシート積載台1上に積載されたシートに当接させたまま、ピックアップローラ4の回転と停止を行って複数枚のシートを連続給送するように制御するものとする。
【0048】
<給送ローラに対する巻き込み対策>
ここで、本実施形態で説明したシート給送装置101によって薄紙の搬送を開始した場合に、給送ローラ6に対してシートが巻き込まれてしまうことで、給送ローラ6においてシートのジャムが発生してしまうことがあった。特に薄紙モードを適用した場合などに、コシの弱い薄紙が給送ローラ6へ巻き込まれ易く、以下では、それを防ぐための効果的な制御について説明する。
【0049】
図6は、第1実施形態に係る給送される原稿の先端並びに給送ローラ対の位置関係の一例を示す模式図である。
図6(a)は、原稿先端が給送ローラ6と分離ローラ7との間に形成されるニップ部に到達した状態を示す。
図6(b)は、原稿先端が給送ローラ6と分離ローラ7との間に形成されるニップ部を通過した状態を示す。
【0050】
図7は、第1実施形態の制御部45にて行われる、薄紙モードにおける給送制御動作の一例を説明するフローチャートである。この制御はコシの弱い薄紙が給送ローラ6に到達した際にシートの先端が給送ローラ6に巻き込まれないようにするためのものである。また、このフローチャートに示す処理は、制御部45の図示しないCPUがROMに格納されたプログラムを実行することにより実現される。なお、図7に示す制御と上述した図3に示した制御はとともに1つの給送動作の中で行われるものである。
【0051】
制御部45は、薄紙モードの給送動作を開始すると搬送ローラを駆動する。以後搬送ローラは駆動し続けるように制御される。
次に、制御部45は、時間の測定を開始する(測定時間(TIME)=0)(S201)。
さらに、制御部45は、給送ローラ6を給送ローラ6にシートが巻き込まれない程度の第1給送速度V3(低速)で駆動する(S202)。制御部45は、シートの先端がシート積載台1から給送されてから給送ローラ6と分離ローラ7との間に形成されるニップ部を通過する所定時間T3まで(TIME<T3)の間、給送ローラ6を第1給送速度V3で駆動し続ける。
【0052】
そして、制御部45は、所定時間T3の経過を待つ(S203)。
所定時間T3を経過したと判定した場合(S203でYesの場合)、制御部45は、シートの先端が給送ローラ6と分離ローラ7との間に形成されるニップ部を通過したと判断し、給送ローラ6を第2給送速度V4(高速)に切り替えて駆動する(S204)。第2給送速度V4(高速)は、第1給送速度V3(低速)より高速であり、例えば、レジストローラ17、18、20、21を駆動する搬送速度に等しいか、搬送速度に近似した略同等の速度である。
【0053】
その後、制御部45は、レジスト中センサ33にシート先端が到達したことを検知したか否かを監視する(S205)。レジスト中センサ33にシート先端が到達したことを検知していないと判定した場合(S205でNoの場合)、制御部45は、上記S205の監視を継続する。そして、レジスト中センサ33にシート先端が到達したことを検出したと判定した場合(S205でYesの場合)、制御部45は、S206以降に処理を進める。
制御部45は、給送モータ8の駆動を停止し(S206)、給送ローラ6の駆動制御のためのカウントTIMEを「0」に戻して、時間の測定を停止する(S207)。
【0054】
次に、制御部45は、レジスト後センサ34にシート先端が到達したことを検知したか否かを監視する(S208)。レジスト後センサ34がシート先端が到達したことを検知していない場合(S208でNoの場合)、上記S208の監視を継続する。
そして、レジスト後センサ34にシート先端が到達したことを検知した場合(S208でYesの場合)、制御部45は、所定のタイミングで画像読取センサ14,15による画像読取動作を開始する(S209)。
【0055】
その後、制御部45は、レジスト後センサ34にシート後端が到達したか否かを監視する(S210)。レジスト後センサ34がシート後端の到達を検知していない場合(S210でNoの場合)、制御部45は、S209の画像読取動作を継続する。
【0056】
そして、レジスト後センサ34がシート後端の到達を検知した場合(S210でYesの場合)、制御部45は、S211に処理を進める。
S211において、制御部45は、シート積載台1にシートがあるか否かをチェックする。シート積載台1にシートがあると判定した場合(S211でYesの場合)、すなわち次のシートがある場合、制御部45は、S201に処理を戻す。
一方、シート積載台1にシートがないと判定した場合(S211でNoの場合)、すなわち次のシートがない場合、制御部45は、本フローチャートの処理を終了する。
【0057】
以上のように、レジスト後センサ34によってシートの後端の到達が検知された後で給送ローラ6の駆動を再開する場合に、給送ローラ6を第1給送速度に制御する。さらに、該シートの後続のシートの先端が給送ローラ6と分離ローラ7とのニップを超えたと判定した場合に、給送ローラ6を第1給送速度よりも高速の第2給送速度に制御する。このような制御により、給紙するシートが腰の弱い薄紙等であっても、給紙の際の給送ローラにシートが巻き込まれてしまう等のジャムを生じ難くすることができる。
【0058】
なお、S210においては、レジスト後センサ34によってシート後端の到達を検知する代わりに、レジスト中センサ33やレジスト前センサ32によってシート後端の到達を検知した場合に、S211に処理を進めるようにしても良い。これらの場合、レジスト後センサ34によってシート後端の到達を検知する場合に比べて、シート間隔を狭くすることができる。
また、本実施形態では、レジスト中センサ33とレジスト後センサ34を設け、これらを用いて上述の制御を行う構成について説明したが、上述の制御を1つのセンサで行ってもよい。例えばレジスト中センサ33を省略する構成とし、レジスト後センサ34を用いて上述の制御を行ってもよい。この場合、S205ではレジスト後センサ34がシート先端を検知した場合にS206に処理を進めるようにし、S208の処理は省略するものとする。
【0059】
以下に給送ローラ6が第1の給送速度V3(低速)となるように給送モータ8を駆動する時間(T3)のの決定方法について図8を参照しながら説明する。
図8は、シート積載台1上のシート(原稿)、給送ローラ6、原稿の先端部分の位置並びにピックアップローラ4の給送速度の関係を説明する図である。
【0060】
ピックアップローラ4によって原稿を給送速度V5で給送する場合、原稿の先端部分(原稿の先端から長さXの部分)が、給送ローラ6と分離ローラ7との間に形成されるニップ部分を通過するために要する時間に相当する所定時間T3の最大時間は次のように算出される。図8のようにシート積載台1に積載されている原稿の先端から給送ローラ6までの距離をDとすると、所定時間T3は「T3=(D+X)/V5」で算出できる。原稿の先端部分の長さXは、例えば給送ローラ6の周径の1/4程度としてもよい。なお、ここでは、給送ローラ6と分離ローラ7とのニップ部分の位置は、給送ローラ6の軸の中心位置として設定している。
【0061】
以上の説明では、レジスト後センサ34による先行するシートの後端検知からT3経過したことを検知したタイミングで、給送ローラ6の駆動速度をV3からV4に変更する構成について説明した。しかし、所定時間T3の経過の他の例として、図8に示した「D+X」だけ給送ローラ6でシート搬送するための給送モータ8の駆動パルスをカウントした場合に、所定時間T3経過したとして給送ローラ6の駆動速度をV3からV4に変更してもよい。
【0062】
なお、第1給送速度V3(低速)は、例えば、給送ローラ6を回転駆動する給送モータ8が立ち上がりでオーバーシュートが生じても、給送ローラ6の周速が第2給送速度V4(高速)程度となる設定速度とする。なお、この設定速度は実験等により予め求められたものである。
また、第1給送速度V3とピックアップローラ4による給送速度V5は同等に設定してもよい。
なお、制御部45は、普通紙モードが設定されている状態では、給送ローラ6の駆動開始時に、給送ローラ6を第2給送速度V4(高速)で制御する。
【0063】
なお、積載されている原稿が原稿同士の摩擦によって複数枚同時に給紙され、ピックアップローラ4を通過することで、次に給紙する予定の原稿が既に給送ローラ6と分離ローラ7とのニップ部に近い位置に存在する、いわゆる連れ入り状態となる場合がある。この場合には、上述のように、上記の所定時間T3で速度変更を実施すると、すぐに原稿の先端部分が給送ローラ6と分離ローラ7とのニップ部を通過してしまう。すなわち、この場合には、原稿の先端部が上記ニップ部を通過して速度V4に切り替え可能なタイミングであっても、所定時間T3経過するまで速度V3で給送し続け、スループットが低下してしまう場合がある。
【0064】
以下、この点を考慮した本実施形態の他の態様について説明する。
図9は、原稿の搬送方向に対して給送ローラ6と並列する位置に薄紙モード用の光学センサである薄紙搬送用レジストセンサ65(第2シート検知センサ)を配置する構成を例示する図である。
図9(a)は、原稿先端が給送ローラ6と分離ローラ7との間に形成されるニップ部に到達した状態を示す。
図9(b)は、原稿先端が給送ローラ6と分離ローラ7との間に形成されるニップ部を通過し薄紙搬送用レジストセンサ65に到達した状態を示す。
【0065】
また、この態様における給送制御動作を図10に示す。
図10は、第1実施形態の他の態様において制御部45にて行われる、薄紙モードにおける給送制御動作の一例を説明するフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、制御部45の図示しないCPUがROMに格納されたプログラムを実行することにより実現される。なお、図7と同じステップについては同じステップ番号を付してある。なお、図10に示す制御と上述した図3に示した制御はとともに1つの給送動作の中で行われるものである。
【0066】
この態様では、原稿が給送ローラ6を通過するタイミングを薄紙搬送用レジストセンサ65により正確に検知することができる。図10では、制御部45は、給送ローラ6を第1給送速度V3(低速)で駆動した(S202)後、S212に処理を進める。
S212において、制御部45は、薄紙搬送用レジストセンサ65が原稿の先端を検知したか否かを監視する。そして、まだ薄紙搬送用レジストセンサ65が原稿の先端を検知していないと判定した場合(S212でNoの場合)、制御部45は、S212の監視を継続する。
【0067】
一方、薄紙搬送用レジストセンサ65が原稿の先端を検知したと判定した場合(S212でYesの場合)、制御部45は、S204に処理を進める。S204以降の処理については、図7と同一であるので説明を省略する。
このように、薄紙搬送用レジストセンサ65が原稿の先端を検知したことに基づいて、制御部45が給送ローラ6の駆動速度を第1給送速度V3から第2給送速度V4に変更する。この構成により、より効果的に薄紙搬送用の速度制御を実施することが可能となる。なお、好ましくは、原稿の先端部が給送ローラ6と分離ローラ7とで形成されるニップ部を抜けたことを光学センサによって検知すべく、光学センサの検知位置が給送ローラ6と分離ローラ7とで形成されるニップ部の位置よりも下流側であることが好ましい。
【0068】
また、薄紙搬送用レジストセンサ65は、光学センサ以外の検知センサであってもよく、例えば給紙部に原稿の移動量を検出可能なトラッキングセンサを配置して原稿の先端を検知することでも同様の効果を得ることができる。
【0069】
なお、S212においては、薄紙搬送用レジストセンサ65による原稿先端の検知の代わりに、レジスト前センサ32による原稿先端の検知に応じて、給送ローラ6の駆動速度をV3からV4に変更するようにしてもよい。
また、薄紙搬送用レジストセンサ65による原稿先端の検知の代わりに、重送検知センサ30による原稿の検知に応じて、給送ローラ6の駆動速度をV3からV4に変更するようにしてもよい。
また、分離ローラ対42の下流の搬送路両側等に斜行センサ(例えば原稿搬送方向に2列に並ぶ複数の光学センサから構成される)を有する装置の場合、該斜行センサで原稿が検知された場合に、給送速度を切り替えるようにしてもよい。
すなわち、分離ローラ対42の下流に設けられるいずれかのセンサで原稿が検知された場合に、給送速度を切り替えるようにしてもよく、センサの種類はどのような検知方式のセンサでもよい。
【0070】
さらに、図6図8で示した態様と、図9図10で示した他の態様とを組み合わせてもよい。例えば、制御部45は、レジスト後センサ34による先行するシートの後端検知からT3経過するまでのタイミングと、薄紙搬送用レジストセンサ65による後続するシートの検知のタイミングのいずれか早いタイミングで、給送ローラ6の駆動速度をV3からV4に変更するようにしてもよい。
【0071】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態では、給送ローラ6(分離ローラ7)の駆動をON/OFFする実施形態について説明する。なお、給送ローラ6(分離ローラ7)の駆動をON/OFFするタイミングで、レジストローラ対(17、18)の駆動をON/OFFしてもよい。以下、給送ローラ6及び分離ローラ7の駆動のON/OFFする場合についても、単に給送ローラ6の駆動をON/OFFすると記載する。
図11は、本発明の第2実施形態に係るシート給送装置を適用可能なシート搬送装置(画像読取装置)の構成の一部を概略的に示す部分断面図である。なお、図1等と同一のものには同一の符号を付してある。
【0072】
図11において、レジストローラ対(20、21)は、レジストローラ対(17、18)の下流側に配設されている。レジスト中センサ33(第3シート検知センサ)は、レジストローラ対(17、18)の下流側で且つ、レジストローラ対(20、21)の上流側に配設され、搬送されるシートを検知する。レジスト後センサ34は、レジストローラ対(20、21)の下流側で且つ、画像読取センサ14、15の上流側に配設され、搬送されるシートを検知する。
【0073】
図12は、第2実施形態におけるピックアップローラ、給送ローラ(及びレジストローラ対)の動作並びにレジスト前センサ及びレジスト中センサの検知状態の関係の一例を示すタイミングチャートである。
また、図13図16は、第2実施形態におけるピックアップローラ、給送ローラ及びレジストローラ対の動作並びにレジスト前センサ及びレジスト中センサの検知状態の関係の一例を示す模式図である。なお、図12の(0)~(11)と同一の状態には同一の符号を付してある。以下の一連の流れを説明する。
【0074】
まず、給送ローラ6及びレジストローラ(17、18、20、21)を駆動し(図13(0))、ピックアップローラ4を接触位置に移動して(図13(1))、特定時間(TD)経過後に回転し(図13(2))、シートを給送ローラ6へ送り込む。シート先端がレジスト前センサ32に到達すると(図13(3))、ピックアップローラ4を退避位置に移動し(図14(4))回転を停止する(図14(4)’)。そして、シート先端がレジスト中センサ33に到達すると(図14(5))、給送ローラ6を停止する(図14(6))。そして、シート後端がレジスト前センサ32を通過し(図15(7))(その時刻を「t0」とする)、t1経過後(図15(8))に給送ローラ6を回転する。その後、シート後端がレジスト中センサ33を通過する(図15(8)’)。また、時刻t0からt2(好ましくはt2>t1+L/V1)経過後に(図15(9))、ピックアップローラ4を接触位置に移動して(図15(10))、特定時間(TD)経過後に回転し(図16(11))、次のシートを給送ローラ6へ送り込む。なお、後述する図20に示すように、給送ローラ6によるシートの搬送速度をV1、給送ローラ6からレジスト前センサ32までの距離をLとすると、上述したt2は好ましくは「t2>t1+L/V1」である。
【0075】
なお、上述のt1経過後からt2経過するまでの間((8)から(9)まで)にレジスト前センサ32で次のシートの先端が検知された場合、ピックアップローラ4を接触位置に移動させることなく、(図14(5))に示すようにシート先端がレジスト中センサ33に到達するのを待機する。以下、この例について図17図19を用いて詳細に説明する。
図17図19は、第2実施形態におけるピックアップローラ、給送ローラ及びレジストローラ対の動作並びにレジスト前センサ及びレジスト中センサの検知状態の関係の一例を示す模式図であり、t2経過するまでの間にレジスト前センサ32で次のシートの先端が検知される場合に対応する。
【0076】
上述した図13図16で示した例と同様に、図17図19に示すように、まず給送ローラ6及びレジストローラ(17、18、20、21)を駆動し(図17(0))、ピックアップローラ4を接触位置に移動して(図17(1))、特定時間(TD)経過後に回転し(図17(2))、1枚目のシートを給送ローラ6へ送り込む。1枚目のシート先端がレジスト前センサ32に到達すると(図17(3))、ピックアップローラ4を退避位置に移動し(図18(4))回転を停止する(図18(4)’)。なお本例は、図18に示すように、(4)の時点で、シート間の摩擦や静電気等により、1枚目のシートに連れられて2枚目のシートが給紙され、給送ローラ6のニップ部に到達している場合に対応する。ただし、分離ローラ7により1枚目のシートと2枚目のシートは分離され重送されないようになっている。その後、1枚目のシート先端がレジスト中センサ33に到達すると(図18(5))、給送ローラ6を停止する(図18(6))。さらに、1枚目のシート後端がレジスト前センサ32を通過し(図19(7))(その時刻を「t0」とする)、t1経過後(図19(8))に給送ローラ6を回転する。これにより、2枚目のシートの給送が給送ローラ6により開始される。その後、1枚目のシート後端がレジスト中センサ33を通過する(図19(8)’)。さらに本例の場合、時刻t0からt2経過前に、レジスト前センサ32で2枚目のシートの先端が検知される(図19(8)’’)。この場合、上述したように、ピックアップローラ4を接触位置に移動させることなく、(図18(5))において2枚目のシート先端がレジスト中センサ33に到達するのを待機するように動作制御する。
【0077】
以上、図12図13図16及び図17図19に示したように、シートがレジスト中センサ33を通過してからシート後端がレジスト前センサ32を通過後に所定時間(t1)経過するまでの間、給送ローラ6を停止することで、先に給送されるシートと次に給送されるシートとの搬送間隔を開けることができる。これにより、先に給送されたシートの排紙速度が遅くなった場合でも、次に給送されるシートに追突される事を防止するだけのシート間隔を開けることができる。この場合、本例は一例であり、例えば、給送ローラ6を停止するタイミングとして、レジスト中センサ33にシート先端が到達した時刻から所定時間待ってから給送ローラ6を停止してもよく、所望のシート間隔が得られるタイミングで給送ローラ6を停止すればよい。
【0078】
なお、給送ローラ6を停止しない構成の場合、シート後端がレジスト前センサ32を通過してからピックアップローラ4を接触位置に移動開始するまでの時間t2をt2’例えば「t2’>(L-V1×(L/V2))/V1」とし、上述した給送ローラ6を停止する構成の場合の「t2>t1+L/V1」より、少し短くすることが可能である。
図20は、給送ローラ6、レジスト前センサ32及びレジストローラ17,18の位置並びに給送ローラ6の給送速度及びレジストローラの搬送速度の関係を説明する図である。
【0079】
給送ローラ6が常時回転している場合、ピックアップローラ4を後続のシートに降下させるまでの待ち時間の最低条件は以下のようになる。
1枚目のシートの給送に連れられて2枚目のシートが給送ローラ6まで到達している場合、1枚目のシートがレジスト前センサ32を抜けた時点で、2枚目のシートは給送ローラ6の位置から「V1×(L/V2)」だけ進んでいる位置に存在する。よって、その位置から2枚目のシートが給送速度V1でレジスト前センサ32の位置まで送られる時間「(L-V1×(L/V2))/V1」だけ待てば、上述の2枚目のシートは、レジスト前センサ32に到達するはずである。よって、この時間「(L-V1×(L/V2))/V1」を、ピックアップローラ4を後続のシートに降下させるまでの待ち時間の最低条件とすることができる。
【0080】
なお、上述した各種データの構成及びその内容はこれに限定されるものではなく、用途や目的に応じて、様々な構成や内容で構成されていてもよい。
以上、一実施形態について示したが、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記憶媒体等としての実施態様をとることが可能である。具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用しても良いし、また、一つの機器からなる装置に適用しても良い。
また、上記各実施形態を組み合わせた構成も全て本発明に含まれるものである。
【0081】
〔その他の実施形態〕
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても、1つの機器からなる装置に適用してもよい。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形(各実施形態の有機的な組合せを含む)が可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。即ち、上述した各実施形態及びその変形例を組み合わせた構成も全て本発明に含まれるものである。
【0082】
また、本発明においては、例えば図7のS206などに示すように、シートの先端がレジスト中センサ33に到達した時点で給送モータ8を停止するように制御しているが、これに限られない。給送ローラ6は、その内部に取り付けられたワンウェイクラッチなどの作用によって原稿に連れ回りするように構成できるが、長尺原稿を搬送する場合などには、給送モータ8を停止すると、連れ回りする給送ローラが抵抗となって原稿が傷みやすくなることがある。この場合には、レジスト中センサ33にシートの先端が到達した場合に、給送ローラ6をレジストローラ20、21と同等の速度(V4よりも高速)に制御することによって長尺原稿に対する給送ローラ6からの負荷を低減できる。この場合、レジスト前センサ32や、薄紙搬送用レジストセンサ65によってシートの後端を検知した時点で給送ローラ6の回転を停止するように給送モータを停止してもよい。
【0083】
なお、図1図2のシート給送装置101では、昇降可能なシート積載台に積載されたシートに対して、シート積載台の上方に配置されたピックアップローラが上側から接触して、シート束の上側から順にシートを給送ローラに供給する構成について説明した。しかし、例えば傾斜を有するシート積載台に積載されたシートに対して、シート積載台の下方に配置されたピックアップローラが下側から接触して、シート束の下側から順にシートを給送ローラに供給する構成のシート給送装置であっても本発明を適用可能である。
【符号の説明】
【0084】
1 シート積載台
4 ピックアップローラ
6 給送ローラ
7 分離ローラ
17、18、20、21 レジストローラ(搬送ローラ)
32 レジスト前センサ(第4シート検知センサ)
33 レジスト中センサ(第3シート検知センサ)
34 レジスト後センサ(第1シート検知センサ)
65 薄紙搬送用レジストセンサ(第2シート検知センサ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20