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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-16
(45)【発行日】2022-09-28
(54)【発明の名称】コーヒーメーカー
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/44 20060101AFI20220920BHJP
   A47J 31/42 20060101ALI20220920BHJP
   A47J 31/10 20060101ALI20220920BHJP
【FI】
A47J31/44 196
A47J31/42
A47J31/10
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018189614
(22)【出願日】2018-10-05
(65)【公開番号】P2020058404
(43)【公開日】2020-04-16
【審査請求日】2021-08-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000109325
【氏名又は名称】ツインバード工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】特許業務法人牛木国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100080089
【弁理士】
【氏名又は名称】牛木 護
(74)【代理人】
【識別番号】100161665
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 知之
(74)【代理人】
【識別番号】100188994
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 裕介
(72)【発明者】
【氏名】吉田 勝彦
【審査官】川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-135279(JP,A)
【文献】特開2005-185510(JP,A)
【文献】特開2008-113972(JP,A)
【文献】特開平5-154055(JP,A)
【文献】特開平6-339431(JP,A)
【文献】実開昭54-91381(JP,U)
【文献】実開昭56-1525(JP,U)
【文献】実開昭56-148329(JP,U)
【文献】実開昭57-135325(JP,U)
【文献】実開平5-95427(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2018/0168390(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/00-31/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、この本体に設けられるミルと、このミルの排出口の下方に配置される抽出具と、この抽出具に湯を供給するためのノズル体とを有して構成されるコーヒーメーカーにおいて、
前記排出口が前記抽出具の中央部の上方に位置し、前記ノズル体が、前記排出口を中心に回動可能に設けられる環状のノズル本体と、このノズル本体の下部に設けられる吐出口とを有すると共に、前記ノズル本体を回動させるための電動機を有することを特徴とするコーヒーメーカー。
【請求項2】
前記吐出口が回動中心の方向に傾斜することを特徴とする請求項1記載のコーヒーメーカー。
【請求項3】
前記本体に対し着脱可能なガイド環を有し、このガイド環により前記ノズル本体が前記本体に装着されると共に、前記ガイド環に案内されて前記ノズル本体が回動するように構成されることを特徴とする請求項1記載のコーヒーメーカー。
【請求項4】
前記排出口の下方にコーヒー粉の分散手段が設けられることを特徴とする請求項1記載のコーヒーメーカー。
【請求項5】
前記分散手段が前記ノズル本体の下部に設けられて、このノズル本体と共に回動可能に構成されることを特徴とする請求項4記載のコーヒーメーカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミルを有するドリップ式のコーヒーメーカーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のコーヒーメーカーとしては、外装ケース(本願発明の本体に相当する)内に粉砕部(本願発明のミルに相当する)が設けられ、この粉砕部のコーヒー粉排出口の下方に抽出部(本願発明の抽出具に相当する)が設けられると共に、この抽出部に湯を注ぐ出湯口(本願発明のノズル体)が前記粉砕部のコーヒー粉排出口に隣接して設けられるコーヒーメーカーが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、本体内にミル部(本願発明のミルに相当する)が設けられ、このミル部の通路部(本願発明のコーヒー粉排出口に相当する)の下方に抽出部(本願発明の抽出具に相当する)が設けられると共に、湯が前記通路部を通って前記抽出部に注がれるコーヒーメーカーも知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-125252号公報
【文献】特開2016-214437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ハンドドリップによってコーヒーを美味しく淹れるために、幾つかの方法が提案されている。何れの淹れ方でも、共通して、抽出具内のコーヒー粉に湯を均等に掛けるように、また、抽出具内のコーヒー粉が平らになるようにされる。これらの条件をコーヒーメーカーで再現することができれば、美味しいコーヒーを淹れることができると期待される。
【0005】
しかしながら、前者のようなコーヒーメーカーでは、出湯口がコーヒー粉排出口の隣に設けられるため、抽出部内の偏った位置に湯が注がれることになり、この結果、コーヒーを良好に入れることが難しいという問題があった。また、コーヒー粉が抽出部内で山状になることで、コーヒーを良好に淹れることが難しいという問題もあった。一方、後者のようなコーヒーメーカーでは、通路部の形状を工夫することで抽出部の中央に湯を注ぐことが可能ではあるが、コーヒー粉が抽出部内で山状になるばかりでなく、コーヒー粉が抽出部内で偏った貯まり方をすることで、コーヒーを良好に入れることが難しいという問題があった。
【0006】
本発明は以上の問題点を解決し、抽出具内のコーヒー粉に湯を均等に注いで美味しいコーヒーを淹れることができるコーヒーメーカーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に記載のコーヒーメーカーは、本体と、この本体に設けられるミルと、このミルの排出口の下方に配置される抽出具と、この抽出具に湯を供給するためのノズル体とを有して構成されるコーヒーメーカーにおいて、前記排出口が前記抽出具の中央部の上方に位置し、前記ノズル体が、前記排出口を中心に回動可能に設けられる環状のノズル本体と、このノズル本体の下部に設けられる吐出口とを有すると共に、前記ノズル本体を回動させるための電動機を有するものである。
【0008】
また、本発明の請求項2に記載のコーヒーメーカーは、請求項1において、前記吐出口が回動中心の方向に傾斜するものである。
【0009】
また、本発明の請求項3に記載のコーヒーメーカーは、請求項1において、前記本体に対し着脱可能なガイド環を有し、このガイド環により前記ノズル本体が前記本体に装着されると共に、前記ガイド環に案内されて前記ノズル本体が回動するように構成されるものである。
【0010】
また、本発明の請求項4に記載のコーヒーメーカーは、請求項1において、前記排出口の下方にコーヒー粉の分散手段が設けられるものである。
【0011】
更に、本発明の請求項5に記載のコーヒーメーカーは、請求項4において、前記分散手段が前記ノズル本体の下部に設けられて、このノズル本体と共に回動可能に構成されるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1に記載のコーヒーメーカーは、以上のように構成することにより、吐出口から吐出された湯が前記抽出具内で均等に回し掛けされることで、コーヒーが良好に抽出され、美味しいコーヒーを淹れることができる。
【0013】
なお、前記吐出口が回動中心の方向に傾斜することにより、前記ミルが設けられたコーヒーメーカーであっても、前記抽出具の中央部に湯を回し掛けすることで、コーヒーをより良好に抽出して美味しいコーヒーを淹れることができる。
【0014】
また、前記本体に対し着脱可能なガイド環を有し、このガイド環により前記ノズル本体が前記本体に装着されると共に、前記ガイド環に案内されて前記ノズル本体が回動することにより、前記ノズル本体を簡単に外して手入れすることができるばかりでなく、前記ノズル本体を容易にガイドすることができる。
【0015】
また、前記排出口の下方にコーヒー粉の分散手段が設けられることにより、コーヒー粉が前記ドリッパー内で山状にならないように均等に貯められ、これにより、コーヒーをより良好に抽出して美味しいコーヒーを淹れることができる。
【0016】
更に、前記分散手段が前記ノズル本体の下部に設けられて、このノズル本体と共に回動可能に構成されることにより、コーヒーをより良好に抽出して美味しいコーヒーを淹れることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施例1を示すコーヒーメーカーの縦断面図である。
図2】同上、ノズル本体周りの断面図である。
図3】同上、ノズル本体周りの側面図である。
図4】同上、コーヒーメーカー斜視図である。
図5】同上、右側面図である。
図6】同上、一部を切り欠いた正面図である。
図7】同上、上側から見たノズル体周りの斜視図である。
図8】同上、下側から見たノズル体周りの斜視図である。
図9】同上、要部の縦断面図である。
図10】同上、下から見たガイド環の斜視図である。
図11】同上、ノズル本体の要部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施例1】
【0019】
以下、本発明の実施例1について、図1図11に基づいて説明する。1は、電動ミル付きのコーヒーメーカーである。このコーヒーメーカー1の本体たるケース本体2は、後側の立設部3と、この立設部3の下部と一体的に設けられた基部4と、前記立設部3の上部と一体的に設けられた前側の庇部5とを備える。そして、これら立設部3と基部4と庇部5は、それぞれ合成樹脂からなる。また、前記基部4の前部は、載置部4Aとなる。そして、前記立設部3には、貯水部6が設けられる。
【0020】
前記貯水部6の底部には、図1に示すように、前記貯水部6内の水を加熱する加熱手段7が設けられる。また、前記ケース本体2には、前記加熱手段7により加熱して得られた湯を、抽出具としてのドリッパー8に送る送湯手段9が設けられる。なお、この送湯手段9としては、ポンプ等が例示される。
【0021】
また、前記ドリッパー8は、前記庇部5の下方に配置される。そして、前記ドリッパー8内には、抽出具としてのペーパーフィルター10が交換可能に配置される。
【0022】
前記載置部4Aは、上方が開口すると共に、この開口を塞ぐように、略平面状の加熱板11が設けられる。そして、この加熱板11の下面には、ヒーター12が熱的に接して設けられる。
【0023】
前記加熱板11上には、飲料サーバー13が着脱可能に載置される。この飲料サーバー13は、上方が開口した耐熱ガラス製の容器本体14と、この容器本体14の側板に取り付けられた合成樹脂製の把持部15と、前記容器本体14の上部開口を覆う合成樹脂製の蓋体16とを備える。
【0024】
前記立設部3の前方には、前記載置部4Aの飲料サーバー13の上方に、上からミル17と、ノズル体たる湯供給部18と、抽出具たる前記ドリッパー8と、前記飲料サーバー13とが配置される。また、前記ミル17は、前記ケース本体2の取付凹部19に対して着脱可能に取り付けられる。なお、前記取付凹部19は前記庇部5の上面前側に形成される。更に、前記湯供給部18は、前記庇部5の下部側に位置する。
【0025】
前記ケース本体2には、導電材料からなる接触部材たる導電レバー21が設けられる。そして、前記ドリッパー8は、導電材料、好ましくは導電性合成樹脂から構成される。前記ドリッパー8は、図1に示すように、前記ミル17からコーヒー粉が供給される位置で前記導電レバー21に接触する。一方、前記ケース本体2には、電荷を一時的に貯める貯電部材たる導電材料製の底板22が設けられる。この例では、前記底板22はステンレス板により構成される。そして、この底板22は、導線23を介して前記導電レバー21と電気的に接続される。なお、前記底板22は平板状をなし、前記ケース本体2の外面に露出する。
【0026】
また、ステンレス製の前記底板22は、前記ケース本体2を構成する合成樹脂より比重が大きいので、錘になる。このため、前記コーヒーメーカー1を安定して設置することができる。
【0027】
前記底板22は、図1に示すように、ケース本体2の底面を構成する。そして、前記底板22と前記導電レバー21とは、前述したとおり、前記導線23により電気的に接続される。
【0028】
前記ミル17は、コーヒー豆を粉砕するものである。そして、前記ミル17は、上部に投入口24を有するホッパー25を備えると共に、前記投入口24を開閉するミル蓋体26を備える。また、前記ホッパー25にはコーヒー豆が投入され、このコーヒー豆は、シューター部27に送られる。このシューター部27に送られたコーヒー豆は、ミルモーター35により回転させられるミルスクリュー29により回転刃30と固定刃31との間に向けて送られる。更に、コーヒー豆は、前記回転刃30と固定刃31との間で挽かれて、前記コーヒー粉(挽き豆)となる。なお、本実施例のミル17は、金属製円板からなる前記回転刃30と固定刃31を用いる臼歯式であるが、ブレードが回転してコーヒー豆を挽くタイプのミルであっても良い。
【0029】
また、前記ミル17の下部には落下口32が一体に設けられ、この落下口32から前記コーヒー粉が前記ドリッパー8内に落下供給される。なお、前記落下口32は円筒状である。
【0030】
前記ミルモーター35は、前記ケース本体2に内蔵される。前記ミルモーター35により回転駆動するミル駆動ギア36は、前記取付凹部19に臨んで設けられると共に、前記駆動ギアに噛合するミル従動ギア37がミル17に設けられる。そして、前記ミル17を前記取付凹部19に着脱することにより、前記ミル駆動ギア36とミル従動ギア37の噛合と噛合解除とが行われる。
【0031】
また、前記ミル17には、前記コーヒー粉の粉砕度合(粒度)を調整する粒度調整手段38が設けられ、操作部である回転式のダイヤル39を有する。前記粒度調整手段38は、前記回転刃30の前面と固定刃31の後面との間隔を調整することにより、コーヒー粉の粉砕度合を調整するものである。そして、前記ダイヤル39を回転させることにより、前記回転刃30の前面と固定刃31の後面との間隔を調整することができる。
【0032】
前記載置部4Aの前部には、斜めの前面部41が設けられる。この前面部41には、前記コーヒーメーカー1を使用する際に操作されるスイッチ42が複数配置される。また、図4などに示すように、前記載置部4Aの右側面には、電源のオン・オフを操作する電源スイッチ43が配置され、家庭用電源によりコーヒーメーカー1が駆動する。
【0033】
前記落下口32が前記ドリッパー8の中央部の上方に位置する。また、ノズル体たる前記湯供給部18は、前記落下口32を中心に回動可能に設けられる環状のノズル本体51と、このノズル本体51の下部に設けられる吐出口52とを有すると共に、前記ノズル本体51を回動させるための電動機たるモーター53を有する。
【0034】
図2図7及び図8などに示すように、前記ケース本体2には、前記湯供給部18を取り付けるための合成樹脂製の取付ベース54が設けられる。この取付ベース54は、本体の一部を構成する。そして、この取付ベース54に、前記ノズル本体51が着脱可能で且つ回動可能に設けられる。
【0035】
前記取付ベース54の底板は、前記ノズル本体51を着脱可能に取り付ける板状で大径な主底板55と、板状で小径な副底板56とを一体に備える。これら一体の主底板55と副底板56の周囲には周壁部57が設けられる。そして、前記副底板56上には駆動ギア58が配置される。また、前記主底板55には、前記ノズル本体51を装着する円形の装着孔59が開口する。なお、前記取付ベース54は、前記周壁部57の上縁が前記庇部底板5Kに当接した状態で、該庇部底板5Kに固定される。
【0036】
前記ノズル本体51は、図2等に示すように、一側が他側より僅かに低くなるように斜設された円環状の底板部61と、この底板部61の周囲から上方に突設された下周壁部62と、この下周壁部62の上縁に周設された挿入鍔部63と、この挿入鍔部63の上面から上方に突設され前記下周壁部62に比べて径大な上周壁部64と、これら下周壁部62と上周壁部64との間に設けられた段部65と、前記上周壁部64の外面と前記挿入鍔部63の外面に一体に設けられた複数の歯部66から構成された従動ギア67とを備える。なお、この従動ギア67の回転中心は縦方向をなす。
【0037】
前記挿入鍔部63は、後述するガイド環75を介して前記装着孔59に回動可能に支持される。これによって、前記ノズル本体51は、前記ミル17の前記落下口32を中心として回動する。また、前記底板部61の中心には、前記落下口32に対応して、透孔68が穿設され、この透孔68には中央筒部69が突設される。そして、前記ノズル本体51内には、湯が供給される湯受け空間70が設けられる。なお、湯受け空間70には、前記中央筒部69の上端まで湯を入れることができる。また、図1において、符号Sは、前記ドリッパー8,前記落下口32の中心であり、その中心Sは前記ノズル本体51の回動中心でもある。
【0038】
図8などに示すように、前記ノズル本体51の前記底板部61には、複数のノズル71,71A,71Bが一体に形成される。これらノズル71,71A,71Bには、それぞれ前記吐出口52が設けられる。これらの吐出口52は、前記ノズル本体51の回動中心Sに向けて斜設される。
【0039】
この例では、3個のノズル71,71A,71Bが、前記底板部61に、中心Sを中心とした周方向に等間隔で近接して配置され、更に、3個のノズル71,71A,71Bが前記底板部61の径方向にずらして配置される。即ち、3個のノズル71,71A,71Bは前記中心Sから異なる位置にある。具体的には、周方向に隣り合うノズル71,71Aは、周方向一方側のノズル71が周方向他方側のノズル71Aよりも中心Sから離れた位置にある。同様に、周方向に隣り合うノズル71A,71Bは、周方向一方側のノズル71Aが周方向他方側のノズル71Bよりも中心Sから離れた位置にある。なお、複数の71,71A,71Bは、ノズル本体51の中心Sに対して、90°以内の範囲に配置される。
【0040】
また、前記各ノズル71,71A,71Bは、図2及び図8等に示すように、前記底板部61の一側に配置される。従って、前記ノズル本体51の前記湯受け空間70に湯を供給すると、その湯が少量になっても、前記底板部61の傾斜により前記各ノズル71,71A,71Bへと湯が集まる。なお、複数のノズル71,71A,71Bの吐出口52,52,52は、前記回動中心Sに対して、同じ角度をなして斜設される。
【0041】
従って、後述するように、前記ノズル本体51が回転している状態で、複数の前記ノズル71,71A,71Bから吐き出された湯は、前記ドリッパー8の中心から異なる位置に落下する。即ち、複数の前記ノズル71,71A,71Bから吐き出された湯は、前記回動中心Sを中心とした同心円を描く。従って、前記ドリッパー8に均一に湯を供給することができる。
【0042】
図1等に示すように、前記ノズル本体51は前記庇部5の庇部底板5Kの下部に配置され、前記取付ベース54は前記庇部底板5Kの下面に固定される。なお、上述したように、前記取付ベース54の周壁部57が前記庇部底板5Kの下面に当接した状態で前記取付ベース54が前記ケース本体2に取り付けられており、図2に示すように、前記周壁部57に比べて、前記ノズル本体51の上周壁部64は僅かに低く形成される。このため、前記ノズル本体51の回転時に、その上周壁部64が前記庇部底板5Kに接触することはない。一方、取付状態で、前記ノズル本体51の高さ位置は、前記庇部底板5Kの下面により規定される。
【0043】
また、図9に示すように、前記庇部底板5Kには、送液供給部たる湯供給筒部74が一体に設けられる。この湯供給筒部74は前記庇部底板5Kを貫通し、その下端74Kが前記湯受け空間70の上方に位置する。更に、前記湯供給筒部74の上端と前記送湯手段9とが送液路(図示せず)により接続され、前記湯供給筒部74に、前記送湯手段9から前記送液路を通して湯が送られる。このように、前記湯供給筒部74は前記送液路の一部を構成する。
【0044】
前記本体の一部を構成する前記取付ベース54は、これに対し着脱可能なガイド環75を備える。このガイド環75により、前記ノズル本体51が前記取付ベース54に装着されると共に、前記ガイド環75に案内されて前記ノズル本体51が前記取付ベース54に対し回動可能に取り付けられる。
【0045】
前記ガイド環75は、板状の環本体76と、この環本体76の内端から上方に突出した周壁部77とを一体に有し、断面略L字形をなす。また、前記周壁部77は、その上端を湾曲状に形成した湾曲上端部77Wを有する。この湾曲上端部77Wにより、前記挿入鍔部63の下面が線接触状態で支持される。そして、前記ノズル本体51の回転時に、前記湾曲上端部77Wと前記挿入鍔部63とが摺動すると共に、前記周壁部77の摺動受部たる内周面77Nに、前記ノズル本体51の前記下周壁部62の外面が部分的に摺動する。そして、前記環本体76が前記装着孔59内に嵌った状態で、前記ガイド環75が前記取付ベース54に取り付けられる。
【0046】
図10に示すように、前記ガイド環75には、複数(4個)の係止突片78が外方に突出される。この係止突片78を挿通する挿通溝79が、前記取付ベース54の前記装着孔59の縁に凹設される。そして、図9に示すように、前記装着孔59の縁の周囲における前記主底板55の上面に、前記係止突片78の下面が係止する。このように、複数の係止突片78を備えた前記ガイド環75と前記装着孔59により、前記ノズル本体51を前記取付ベース54に着脱自在に取り付ける回動式の取付手段が構成される。
【0047】
図2及び図8に示すように、前記主底板55の前側の下面には操作用凹部81が形成される。また、前記ガイド環75には、操作部たる操作レバー82が一体に設けられる。そして、前記ガイド環75を前記取付ベース54に取り付けた状態で、前記操作レバー82は、前記操作用凹部81に配置される。また、この操作用凹部81の周方向中央には、係止用の突起83が下向きに突設される。即ち、前記操作用凹部81において、前記操作レバー82が前記突起83の一方側にある状態が係止状態であり、前記突起83の他方側にある状態が係止解除状態である。なお、係止解除状態では、前記ガイド環75が前記取付ベース54から取り外される。
【0048】
従って、前記装着孔59内に前記ノズル本体51を配置すると共に、前記駆動ギア58に従動ギア67を歯合した状態で、前記挿通溝79に前記係止突片78を合わせ、前記ガイド環75を前記ノズル本体51の前記下周壁部62に外嵌するように嵌め入れると、前記係止突片78が前記挿通溝79に挿通し、前記操作レバー82が係止解除位置に嵌る。ここから前記突起83を乗り越えるようにして前記操作レバー82を一方側に回すと、前記係止突片78が前記主底板55の上面に係止する。これにより、前記ノズル本体51が前記ケース本体2及び取付ベース54からなる本体に固定状態で取り付けられる。
【0049】
一方、前記ガイド環75を取り外す場合は、前記突起83の高さ分だけ前記操作レバー82を僅かに押し下げ、前記ガイド環75を他方側に回すことにより、前記係止突片78が前記挿通溝79に位置合わせされ、前記ガイド環75をケース本体2から取り外すことができる。このように前記突起83があるため、不用意に前記ガイド環75が前記取付ベース54から外れることがない。また、前記ガイド環75を取り外した後、前記ノズル本体51を取り外し、洗浄などを行うことができる。
【0050】
前記駆動ギア58は、前記副底板56上に配置され、前記ノズル本体51の前記従動ギア67に歯合する。前記駆動ギア58の回転軸58Aに前記モーター53が接続され、このモーター53が前記ケース本体2に固定される。この場合、前記モーター53は前記庇部底板5Kの上面に固定され、前記回転軸58Aは前記庇部底板5Kに挿通される。
【0051】
図9に示すように、前記庇部底板5Kの上面には複数のボス部85が設けられ、このボス部85に方形の接続筒取付体86が固定される。そして、この接続筒取付体86には、接続筒87が一体に設けられる。また、この接続筒87には、前記ミル17の前記落下口32が着脱可能に挿入接続される。そして、前記ミル17を前記取付凹部19に取り付けることにより、前記接続筒87内に前記落下口32が挿入接続される。
【0052】
また、前記接続筒87の下方には、この接続筒87の下端を開閉するシャッター91が設けられる。このシャッター91は板片状をなし、前記庇部底板5Kの上面に沿って水平方向に進退して前記落下口32を開閉する。このために、前記シャッター91には前記接続筒87に連通する透孔91Tが穿設される。また、図9に示すように、前記庇部底板5Kの上面には前記シャッター91を案内する案内枠部92が設けられる。
【0053】
前記ケース本体2は、前記シャッター91を駆動するためのシャッター駆動手段93を備える。このシャッター駆動手段93は、図3及び図7に示すように、前記シャッター91の端部に一体に設けられたカムフォロア94と、モーター95と、円柱状の回転体96と、カムとしての偏心軸体97とを有して構成される。前記カムフォロア94は、前記シャッター91の進退方向と直交する方向に長い長孔形状の枠体からなる。なお、前記シャッター91は、前記コーヒーメーカー1の左斜め前から右斜め後に進退する。
【0054】
前記モーター95は、前記カムフォロア94の上方に設けられる。前記モーター95は、減速機を内蔵したものであり、その駆動軸95Jが下向きとなるように縦設される。そして、前記駆動軸95Jに、前記回転体96が設けられる。更に、この回転体96の下部に、前記偏心軸体97が一体に設けられる。この偏心軸体97は、前記回転体96の回動中心からずれて配置されると共に、前記カムフォロア94内に配置される。
【0055】
そして、図3及び図7は、前記シャッター91が前進して前記接続筒87と前記シャッター91の透孔91Tが連通することで、前記接続筒87が開成された状態であり、前記偏心軸体97が左斜め前側にある。ここから前記モーター95が駆動して前記偏心軸体97が180°回転すると、前記偏心軸体97が右斜め後側に後退する。これに伴い、前記カムフォロア94と一体のシャッター91が後退して前記接続筒87と前記シャッター91の透孔91Tとの位置がずれ、前記接続筒87が閉成する。
【0056】
また、前記シャッター駆動手段93は、前記シャッター91の前進位置と後退位置を検出する検出手段を備える。この検出手段は、一対のスイッチ98,98と、スイッチ作動部たる一対の作動凹部99,99とを備える。一対の前記作動凹部99,99は、一対の前記スイッチ98,98に対応して、前記回転体96の側面に設けられる。また、一対の前記作動凹部99,99は、前記シャッター91が前進位置にあるとき、一方の前記スイッチ98の作動子98Sがオンで他方の前記スイッチ98の作動子98Sがオフになり、且つ、前記シャッター91が後退位置にあるとき、一方の前記スイッチ98の作動子98Sがオフで他方の前記スイッチ98の作動子98Sがオンになるように設けられる。このように、どちらのスイッチ98,98の作動子98S,98Sがオフになるかによって、前記シャッター91が前進位置にあるか後退位置にあるかを検出する。
【0057】
詳述すると、前記シャッター91が前記落下口32を開成した前進位置で、前記モーター95が駆動されると、オフになっていた他方の前記スイッチ98がオンになる。なお、オンになっていた一方の前記スイッチ98はオンのままである。そして、前記シャッター91が後退位置に来ると、オンになっていた一方の前記スイッチ98がオフになる。これにより、前記シャッター91により前記落下口32が閉成されたことが検知され、前記モーター95が停止する。一方、前記シャッター91が前記落下口32を閉成した後退位置で、前記モーター95が駆動されると、オフになっていた一方の前記スイッチ98がオンになる。なお、オンになっていた他方の前記スイッチ98はオンのままである。そして、前記シャッター91が前進位置に来ると、オンになっていた他方の前記スイッチ98がオフになる。これにより、前記シャッター91により前記落下口32が開成されたことが検知され、前記モーター95が停止する。
【0058】
排出口たる前記落下口32の下方には、コーヒー粉の分散手段101が設けられる。なお、図1図2図5及び図6では前記分散手段101を図示省略している。図3及び図8に示すように、前記分散手段101は、前記落下口32の下方に配置する板状の分散部102と、この分散部102を前記ノズル本体51に固定する固定部103とを一体に有する。前記分散部102は、略楕円形をなし、先端側(ノズル本体51の一側)が僅かに低くなるように斜設される。そして、前記分散部102には、前記落下口32から落下するコーヒー粉が当たって分散する。
【0059】
また、前記分散部102の基端側には、この分散部102の幅より狭い前記固定部103の横部103Aが設けられる。そして、前記横部103Aの後端と前記固定部103の縦部103Bにより、前記分散部102が前記ノズル本体51の下面に固定される。このようにして、前記分散手段101は前記ノズル本体51の下部に設けられる。
【0060】
また、図1に示すように、装着状態の前記ドリッパー8と前記ノズル本体51との間には、隙間105が設けられる。そして、この隙間105から、前記ドリッパー8内のコーヒー粉に湯が注がれて膨らむ様子を見せる演出効果が得られる。
【0061】
図1に示すように、前記飲料サーバー13の蓋体16には、前記ドリッパー8の下部を装着する装着受け部106が設けられる。また、前記ドリッパー8の下部側には、前記蓋体16の前記装着受け部106に装着する装着部107が設けられる。そして、前記蓋体16の装着受け部106に、前記ドリッパー8の下部の装着部107を遊嵌することにより、前記飲料サーバー13に前記ドリッパー8を安定して装着することができる。
【0062】
また、前記容器本体14の底板部108には、該容器本体14より径小なリング状の段差部109が下方に膨出形成され、この段差部109が遊嵌するリング状の内縁枠110が、前記加熱板11の上面に突出形成される。したがって、前記加熱板11の上面に前記飲料サーバー13を載置すると、前記内縁枠110内に前記段差部109が嵌り、前記飲料サーバー13の水平位置が位置決めされる。
【0063】
前記ドリッパー8は、導電材料たる導電性合成樹脂からなり、図1などに示すように、前後方向に細長く形成された底板部111と、この底板部111の周囲から上方に向かって略テーパー状に拡大形成された側板部112と、この側板部112の上縁前部に設けられた横方向の把持部113とを一体に備える。なお、前記把持部113は板片状をなす。
【0064】
図4等に示すように、前記側板部112の内周には、複数のリブ部114が周方向に間隔をおいて突出形成される。このように、複数の前記リブ部114を縦設することにより、前記ペーパーフィルター10の外周は、前記側板部112に密着することなく、複数の前記リブ部114に部分的に接触する。
【0065】
図1に示すように、前記底板部111には、抽出されたコーヒー液が落下する複数の透孔115が穿設される。これら複数の透孔115は、前記蓋体16にドリッパー8を装着した状態で、前記蓋体16の中央開口部16Aに連通する。
【0066】
前記透孔115の下端は、前記底板部111の下面から下方に突出した筒部116の内部に形成される。このように、前記筒部116を設けることにより、前記透孔115を落下するコーヒー液が前記底板部111の下面に回り込むことなく、前記筒部116の下端から下方へ落下する。
【0067】
前記導電レバー21は、金属製の線材を略U字形に屈曲して形成される。詳述すると、前記導電レバー21は、縦方向の左右の腕部121,121の下端を湾曲状の横部122により連結し、それら左右の腕部121,121の縦方向中央に屈曲部123,123を設けて形成される。この結果、前記導電レバー21は、正面視で略コ字形であり、側面視で略へ字状である。そして、図2に示す前記導電レバー21の待機位置で、前記腕部121,121の上部が略垂直な縦方向になると共に、前記腕部121,121の下部が斜め前向きになるように構成される。
【0068】
また、前記庇部5の庇部底板5Kの後側には、前記導電レバー21が遊挿配置された開口部124が設けられる。この開口部124の近傍において、左右方向の枢軸部(図示せず)により、前記導電レバー21が前記ケース本体2に揺動可能に枢着される。なお、前記開口部124には、前記腕部121,121の上部が挿通され、これらの腕部121,121の上端側が前記ケース本体2内に配置される。
【0069】
そして、図1に示す前記ドリッパー8の装着状態では、このドリッパー8に押された前記導電レバー21は、下部側が後方に移動するように回動し、前記横部122が前記ドリッパー8の側板部112の外面に当接する。一方、前記腕部121は前記ドリッパー8に当接しない。
【0070】
そして、前記コーヒーメーカー1は、前記電源スイッチ43がオンであっても、前記導電レバー21が待機位置にある場合、前記ミル17,サーバー加熱手段たる前記ヒーター12及び前記送湯手段9が作動しないように制御される。一方、前記導電レバー21がドリッパー装着位置にある場合、電気で駆動する装置の全てを駆動することができる。
【0071】
前記導電レバー21の上端には、固定手段たるビス(図示せず)により、前記導線23の一端が連結される。また、前記導線23の他端は、固定手段たるビス132とナット133により、前記底板22の上面に連結される。このように、前記導線23は、前記ケース本体2に内蔵される。また、前記底板22は、前記ケース本体2の底面全体を構成するように広く形成される。そして、前記底板22の前後左右には、合成樹脂製の脚部134が設けられる。なお、前記導線23は、導電レバー21を可動にする程度の可撓性を有する。
【0072】
図2などに示すように、左右の前記腕部121,121の上部には、合成樹脂製のホルダー135が外嵌される。このホルダー135は、ビスにより前記腕部121,121に固定される。なお、前記導線23は前記腕部121,121に電気的に接続される。
【0073】
また、前記開口部124には、シリコンゴムやエラストマー樹脂等からなるシール部材136が設けられ、このシール部材136に前記左右の前記腕部121,121が挿通される。この結果、左右の前記腕部121,121に、水密状態で前記開口部124に挿通されると共に、前記シール部材136が弾性変形することにより揺動可能となる。
【0074】
また、前記導電レバー21を待機位置側に回動付勢する付勢手段たるコイルスプリング(図示せず)が設けられる。なお、前記ホルダー135がケース本体2側のストッパ(図示せず)に当接することにより、前記導電レバー21のそれ以上の揺動が阻止されるので、前記導電レバー21が待機位置に位置決めされる。
【0075】
また、前記ケース本体2には、接触検知スイッチ139が設けられる。前記導電レバー21が図2に示す待機位置にある場合、前記ホルダー135の検知部135Aの凹部に前記接触検知スイッチ139の作動子139Sが当接して、前記スイッチ139がオフ状態となる。この結果、前記接触検知スイッチ139により、前記導電レバー21が待機位置であることが検知される。一方、前記導電レバー21が図1の実線に示す、前記ドリッパー8の装着位置にある場合、前記導電レバー21が揺動し、前記作動子139Sが前記検知部135Aの凸部に押されて、前記接触検知スイッチ139がオンになる。この結果、前記接触検知スイッチ139により、前記導電レバー21が装着位置であることが検知される。このように、前記導電レバー21は、前記ドリッパー8の有無、即ち、前記蓋体16に前記ドリッパー8が装着された状態で、前記飲料サーバー13が前記加熱板11に載せられたか、を検知する検知手段を兼ねる。
【0076】
上述したように、前記導電レバー21は、待機位置と装着位置との間で揺動する。この際、前記シール部材136が変形することにより、前記開口部124における水密性が確保されるので、該開口部124からケース本体2の内部に湯気や埃が侵入することが防止される。
【0077】
次に、前記コーヒーメーカー1の使用方法の一例について説明する。まず、使用者は、前記電源スイッチ43をオンにする。次に、使用者は、前記ドリッパー8内に前記ペーパーフィルター10をセットすると共に、前記ドリッパー8を飲料サーバー13の蓋体16に装着する。この場合、前記蓋体16の装着受け部106に、前記ドリッパー8の下部の装着部107を遊嵌させることにより、前記飲料サーバー13に前記ドリッパー8を安定して装着することができる。
【0078】
そして、使用者は、前記ドリッパー8を装着した前記飲料サーバー13を、前記庇部5の下方へ前側から後側に向かって水平に差し入れ、前記飲料サーバー13を前記載置部4Aの加熱板11上に載置する。このように前記ドリッパー8を装着位置にセットすると、このドリッパー8に導電レバー21が接触した後、この導電レバー21が装着位置に揺動し、これを前記スイッチ139が検出する。この結果、前記ミル17,前記ヒーター12及び前記送湯手段9が作動可能な状態となる。
【0079】
また、使用者は、前記ミル17にコーヒー豆を投入する前に、前記ダイヤル39を操作して好みの粒度に調整しておく。そして、前記貯水部6内に、抽出するコーヒー液の杯数に応じた量の水を入れる。更に、前記ミル17のミル蓋体26を外し、前記投入口24から前記ホッパー25内に所定量のコーヒー豆を入れる。なお、この段階では、前記シャッター91が前記落下口32を塞いだ状態であり、前記ミル17とドリッパー8内とが連通していない。
【0080】
そして、使用者が前記スイッチ42を操作すると、以下の動作が順次行われる。まず、前記シャッター駆動手段93が、前記落下口32を開く方向に、前記シャッター91を移動させる。これによって、前記落下口32が開き、前記ミル17が前記ドリッパー8内と連通する。次に、前記ミル17が作動する。このミル17を作動させるために、前記ミルモーター35が回転駆動すると、前記シューター部27内のコーヒー豆が、前記ミルスクリュー29により前記回転刃30と固定刃31との間に向けて送られ、これらの回転刃30と固定刃31との間で挽かれてコーヒー粉(挽き豆)となる。そして、このコーヒー粉が、前記落下口32から前記ドリッパー8にセットされた前記ペーパーフィルター10内に落下供給される。
【0081】
前記落下口32からコーヒー粉が落下供給される前に、前記モーター53が駆動し、前記ノズル本体51が回転する。すると、回転する分散部102の上にコーヒー粉が落下し、分散部102の先端側及び周囲からコーヒー粉が分散して落下する。そして、前記ノズル本体51が回転することで、前記分散手段101も回転するので、コーヒー粉が均等に分散して前記ペーパーフィルター10内に貯められる。これによって、前記ペーパーフィルター10の中心が高くなる山状にコーヒー粉が貯まることなく、凹凸が緩和された状態で貯まることになる。
【0082】
また、前記ミル17の作動と同時に、前記加熱手段7への通電を開始する。これによって、前記貯水部6内の水が加熱されて湯となる。次に、前記ミル17がコーヒー豆を全て挽き終わったことを検知すると、このミル17を停止させると共に、前記シャッター駆動手段93により、前記落下口32を閉じる方向に前記シャッター91を移動させる。なお、前記ミルモーター35に流れる電流を検知することで、コーヒー豆を挽き終わったか否かを判断することができる。また、前記モーター53を停止させることで、前記ノズル本体51の回転を停止させる。なお、この時点で、前記貯水部6内の水は未だ湯になっていない。
【0083】
次に、前記貯水部6内の水が、コーヒー液の抽出に適した所定温度(85~90℃)の湯になったことが、温度センサ(図示せず)により検知されると、前記加熱手段7へ供給する電力を停止させる。そして、前記送湯手段9が作動して前記ドリッパー8へ第一回目の給湯を行う。
【0084】
前記送湯手段9が作動して前記ドリッパー8へ給湯を行う前に、前記モーター53が再び駆動し、ノズル本体51が一定速度で回転する。前記ノズル本体51の回転中、前記貯水部6内の湯が、前記送湯手段9により前記送液路を介して前記湯供給筒部74から前記湯供給部18のノズル本体51内の湯受け空間70に供給される。この湯受け空間70に供給された湯は、回転する前記ノズル本体51に設けられた複数の前記ノズル71,71A,71Bの吐出口52から斜め内側下方に向かって吐き出され、前記ドリッパー8内のコーヒー粉に均一に回し掛けされる。また、複数のノズル71,71A,71Bの吐出口52,52,52が前記ノズル本体51の径方向にずらして配置されているため、湯は、前記ドリッパー8内のコーヒー粉に対し同心円状に回し掛けされる。従って、前記ドリッパー8の中央部において、径方向にも均一に湯が供給される。そして、所定時間経過後、前記送湯手段9が停止して第一回目の送湯が終了する。同時に、前記モーター53を停止させることで、前記ノズル本体51の回転を停止させる。この第一回目の送湯により、前記ペーパーフィルター10内のコーヒー粉は蒸らされる。
【0085】
第一回目の送湯終了から所定蒸らし時間経過すると、蒸らし工程が終了する。そして、この蒸らし工程が終了した後、前記送湯手段9が作動して、前記ドリッパー8へ第二回目の送湯を行う。なお、前述した通り、前記貯水部6内の水の量が、抽出するコーヒー液の杯数に応じた量であるので、前記貯水部6内の全ての湯を前記ドリッパー8に供給すれば、所定の杯数のコーヒー液が得られることになると共に、前記貯水部6内が空になる。また、第二回目の送湯の際にも、前記ノズル本体51が回転し、湯が前記吐出口52から吐き出され、前記ドリッパー8内のコーヒー粉に対し同心円状に均一に回し掛けされる。なお、前記ノズル本体51の回転速度は、5~10回転/分程度である。これにより、前記ドリッパー8にセットされたペーパーフィルター10に貯められたコーヒー粉の中央部に湯を均等に注ぐことができるので、コーヒー液を良好に抽出して美味しいコーヒー液を得ることができる。なお、前記ドリッパー8において抽出されたコーヒー液は、前記ドリッパー8の透孔115と前記飲料サーバー13の蓋体16の中央開口部16Aを通過して、前記飲料サーバー13内に貯められる。また、第二回目の送湯と同時に、前記ヒーター12への通電を開始する。これによって、前記加熱板11に載置された前記飲料サーバー13及びこれに貯められたコーヒー液が保温される。なお、前記ヒーター12への通電は、通電開始から所定時間(例えば30分間)である。そして、前記貯水部6内の湯が全て前記ドリッパー8に送られて送湯が完了した後、前記モーター53を停止させることで、前記ノズル本体51は回転を停止する。
【0086】
前記ミル17の回転刃30と固定刃31とによりコーヒー豆を粉砕することで、前記コーヒー粉が帯電する。なお、前記コーヒー粉の粒子は、同じ極性に帯電する。即ち、コーヒー粉の粒子同士が電気的に反発した状態となる。この結果、前記コーヒー粉が前記落下口32から落下する際、前記隙間105からドリッパー8の外側にこぼれ易くなる。
【0087】
これに対して、装着位置の前記ドリッパー8に前記導電レバー21が接しているため、前記ペーパーフィルター10内に落下した前記コーヒー粉の電荷は、前記ペーパーフィルター10から前記ドリッパー8と前記導電レバー21と導線23を経て底板22に移動して、これに貯められる。なお、この底板22に貯められた電荷は、徐々に外部に自然放電される。この結果、前記ペーパーフィルター10内に貯められたコーヒー粉は、帯電していない状態となる。従って、前記落下口32から落下してくる前記コーヒー粉は、前記ペーパーフィルター10内に貯められたコーヒー粉によって反発されることがない。このため、前記コーヒー粉が前記ドリッパー8から漏れ難くすることができる。なお、前記ペーパーフィルター10の材質である紙は、僅かに電気を通すことができるので、導電材料と見なすことができる。このため、前記コーヒー粉の電荷は、前記ペーパーフィルター10から前記ドリッパー8を介して前記導電レバー21に逃がすことができる。
【0088】
なお、落下中のコーヒー粉の粒子同士は、未だ帯電しているため、広がりながら落下することになる。しかしながら、前述したとおり、落下中のコーヒー粉と前記ペーパーフィルター10内に貯められたコーヒー粉は反発しない。即ち、落下中のコーヒー粉が広がる電気的な要素は、落下中のコーヒー粉自体の電荷のみである。従って、下方からの反発力がないため、落下中のコーヒー粉の広がりが抑えられる。このため、前記隙間105の距離が適正であれば、広がって落下するコーヒー粉を前記ペーパーフィルター10で十分受けることができるので、前記コーヒー粉が前記ドリッパー8から漏れ難くすることができる。
【0089】
一方、コーヒー豆が接触する前記回転刃30と固定刃31又はその周辺の部材は、コーヒー粉と逆の極性に帯電する。しかしながら、周囲の物体との間で電荷の授受が行われることで、長期的に、電気的中性に戻る。
【0090】
以上のように本実施例は、本体たるケース本体2と、このケース本体2に設けられるミル17と、このミル17のコーヒー粉の排出口たる落下口32の下方に配置される抽出具たるドリッパー8と、このドリッパー8に湯を供給するためのノズル体たる湯供給部18とを有して構成されるコーヒーメーカー1において、前記落下口32が前記ドリッパー8の中央部の上方に位置し、前記湯供給部18が、前記落下口32を中心に回動可能に設けられる環状のノズル本体51と、このノズル本体51の下部に設けられる吐出口52とを有すると共に、前記ノズル本体51を回動させるための電動機たるモーター53を有するから、吐出口52から吐出された湯が前記ドリッパー8内で均等に回し掛けされることで、コーヒーが良好に抽出され、美味しいコーヒーを淹れることができる。
【0091】
また、湯が前記ドリッパー8の中央部に落下するよう、前記吐出口52が回動中心Sの方向に傾斜するものであるから、前記ミル17が設けられたコーヒーメーカー1であっても、前記ドリッパー8の中央部に湯を回し掛けすることで、コーヒーをより良好に抽出して美味しいコーヒーを淹れることができる。
【0092】
また、前記本体たるケース本体2に対し着脱可能なガイド環75を有し、このガイド環75により前記ノズル本体51が前記ケース本体2に装着されると共に、前記ガイド環75に案内されて前記ノズル本体51が回動するように構成されるものであるから、前記ノズル本体51を簡単に外して手入れすることができるばかりでなく、前記ノズル本体51を容易にガイドすることができる。
【0093】
また、前記排出口たる落下口32の下方にコーヒー粉の分散手段101が設けられるものであるから、コーヒー粉が前記ドリッパー8内で山状にならないように均等に貯められ、これにより、コーヒーをより良好に抽出して美味しいコーヒーを淹れることができる。
【0094】
更に、前記分散手段101が前記ノズル本体51の下部に設けられて、このノズル本体51と共に回動可能に構成されるものであるから、このノズル本体51と共に回動可能に構成されることにより、コーヒーをより良好に抽出して美味しいコーヒーを淹れることができる。
【0095】
以下、実施例上の効果について説明する。前記ノズル本体51の周壁部たる上周壁部64の外周に複数の歯部66を設けることにより、ノズル本体51に従動ギア67を一体に形成したから、構造簡易にして駆動ギア58に歯合する従動ギア67を設けることができる。また、前記ノズル本体51は、中心Sを挟んだ一側が他側より僅かに低くなるように斜設された円環状の底板部61を備え、一側に複数の吐出口52が設けられ、特に、前記ノズル本体51の中心に対して、90°以内の範囲に配置されるから、前記ノズル本体51の前記湯受け空間70の湯量が少なくなっても、前記底板部61の傾斜によりノズル71,71A,71Bへと湯が集り、これによりノズル本体51内の湯を残さず、吐出口52から注ぐことができる。更に、複数のノズル71,71A,71Bの吐出口52,52,52は、前記中心Sからの距離が異なる位置に配置されると共に、前記回動中心Sに対して同じ角度で斜設されるから、ノズル本体51が回転する状態で、複数のノズル71,71A,71Bから吐き出された湯が、ドリッパー8の中心Sから異なる位置に同心円状に落下するため、ドリッパー8に均一に湯を供給することができる。また、前記ノズル本体51の湯受け空間70の上部が開口し、この湯受け空間70に湯供給筒部74から湯を供給することで、前記ノズル71の吐出口52には送湯手段9の圧力が直接加わらないから、吐出口52から湯をやさしく注ぐようにドリッパー8に供給することができる。
【0096】
前記ガイド環75が、前記周壁部77の上端を湾曲状に形成した湾曲上端部77Wを有し、この湾曲上端部77Wに前記挿入鍔部63が摺動すると共に、前記周壁部77の摺動受部たる内周面77Nに、前記ノズル本体51の前記下周壁部62の外面が部分的に摺動することにより、回転する前記ノズル本体51を安定して支持することができる。また、前記ガイド環75により、本体を構成する前記取付ベース54に前記ノズル本体51を装着する装着手段を備え、この装着手段が、前記取付ベース54に対して前記ガイド環75を回動して着脱する手段であるから、ガイド環75の着脱作業が容易となる。更に、前記操作レバー82を配置する操作用凹部81を、本体を構成する取付ベース54に設け、その操作用凹部81に係合用の突起83を設けたから、不用意にガイド環75が外れることを防止できる。
【0097】
また、本体たるケース本体2と、このケース本体2に取り付けられたミル17と、このミル17によって挽かれた豆を受ける抽出具としてのドリッパー8及びペーパーフィルター10とを有するコーヒーメーカー1において、前記ケース本体2に導電材料からなる接触部材たる導電レバー21が設けられ、前記ドリッパー8が導電材料により構成され、このドリッパー8が前記導電レバー21に接触すると共に、前記ケース本体2に電荷を一時的に貯める貯電部材たる底板22が設けられ、この底板22が前記導電レバー21と電気的に接続されるものであり、前記ミル17によって挽かれて帯電したコーヒー粉が前記ペーパーフィルター10に接触すると、前記コーヒー粉の電荷が前記ペーパーフィルター10から前記ドリッパー8及び前記導電レバー21を経て前記底板22に移動した後、この底板22から外部に自然放電される。この結果、コーヒー粉同士が反発し難くすることができるので、落下するコーヒー粉がドリッパー8から漏れ難くすることができる。また、前記ドリッパー8が導電性合成樹脂で構成されるものであり、抽出に適した形状のドリッパー8を容易に形成することができる。この場合、例えばドリッパー8の内部には、リブ部114が形成され、構造上の理由から、金属製の場合、プレスにしても鋳造にしても、製作が難しく、コストも高くなる。これに対して、抽出に適した形状のドリッパー8を樹脂成型により安価に製造することができる。また、接触部材たる前記導電レバー21が、前記ドリッパー8の有無を検知する検知手段を兼ねるものであり、部品の増加を抑えながら、前記コーヒーメーカー1を正常に作動させることができる。
【0098】
また、前記容器本体14の底板部108に、この底板部108より径小なリング状の段差部109が下方に膨出形成され、この段差部109が遊嵌するリング状の内縁枠110が前記ヒーター12の上面に突出形成され、載置状態で前記容器本体14の段差部109が前記ヒーター12側の内縁枠110に囲まれるから、前記加熱板11に前記飲料サーバー13を位置決め状態で載置することができ、この飲料サーバー13に装着した前記ドリッパー8を、前記導電レバー21により確実に検出することができる。また、前記ドリッパー8と前記庇部5の庇部底板5Kとの間に隙間105が設けられているから、前記ドリッパー8内のコーヒー粉に湯が注がれて膨らむ様子を見ることができる。更に、前記導電レバー21が待機位置にある状態では、前記ミル17,サーバー加熱手段たるヒーター12及び送湯手段9が作動しないから、前記ドリッパー8及び飲料サーバー13を装着しない状態での誤操作を防止できる。また、前記導電レバー21は金属丸棒を略U字形に屈曲形成してなるから、構造簡易にして安価に製造できる。
【0099】
更に、前記蓋体16の装着受け部106に、前記ドリッパー8の下部の装着部107を遊嵌することにより、前記飲料サーバー13に前記ドリッパー8を安定して装着することができる。また、前記底板22を、前記ケース本体2を構成する合成樹脂より比重が大きいステンレス製とすることにより、前記底板22が錘になるため、安定してコーヒーメーカー1を設置することができる。更に、前記底板部111の下面から下方に筒部116を突設し、この筒部116に透孔115が穿設されるから、前記筒部116によって前記透孔115を落下するコーヒー液が前記底板部111の下面に回り込むことなく、前記筒部116の下端から下方へ落下せしめることができる。
【0100】
また、前記庇部5の庇部底板5Kに設けられた前記開口部124に、前記シール部材136を設けたから、前記開口部124に前記導電レバー21を可動に設けながら、前記ケース本体2内への湯気や埃などの侵入を前記シール部材136により防止することができる。更に、前記ドリッパー8の装着状態で、このドリッパー8と庇部5との間に前記隙間105が設けられるから、前記加熱板11上への前記飲料サーバー13の出し入れを容易に行うことができる。また、接触部材たる前記導電レバー21が断面円形の金属線材で構成されると共に、本体たる前記ケース本体2に対し可動に設けられるものであり、前記導電レバー21を細い形状に形成することができ、この結果、前記導電レバー21を設けるために前記ケース本体2に形成される隙間たる前記開口部124を狭くして、仮に前記シール部材136が無くても、前記ドリッパー8から前記ケース本体2内に入る湯気の量を少なくすることができる。
【0101】
なお、本発明は以上の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変実施が可能である。例えば、実施例では、ノズル本体に従動ギアを設け、この従動ギアと歯合する駆動ギアを電動機により回動してノズル本体を回動するようにしたが、ギアの歯合以外でも、ローラやベルトなどを用いて電動機の回転をノズル本体に伝達するようにしてもよい。また、ガイド環の装着には、螺子・バヨネットなどの他の回転式の取付構造を用いてもよく、回転式以外の装着構造でもよい。更に、上記実施例では、ドリッパーは飲料サーバーに載せられるが、ドリッパーを本体に取り付けてもよく、例えば、ドリッパーを収納ケース内に収納し、この収納ケースの左右方向一側を縦方向の枢軸により本体に回動可能に取り付け、前記収納ケースを前記ドリッパーと共に回動することにより、前記本体に対して出没自在に設けても良い。また、上記実施例では、ミルは臼式のものを示したが、ブレード式のミルであっても良い。更に、上記実施例では、導電レバーが待機位置にある状態では、ミル,サーバー加熱手段たるヒーター及び送湯手段が作動しないようにしたが、装置全体が作動しないようにしても良い。また、ノズル本体には複数(3個)の吐出口を設けたが、吐出口の数は2個や4個以上でもよい。更に、例えば実施例で示した排出口たる落下口の下方に斜めの筒部を設け、この筒部からコーヒー粉が抽出具に落下する場合などには、排出口の下方であって、コーヒー粉が落下する筒部の真下に分散手段を設ければよい。
【符号の説明】
【0102】
1 コーヒーメーカー
2 ケース本体(本体)
8 ドリッパー(抽出具)
13 飲料サーバー
17 ミル
18 湯供給部(ノズル体)
32 落下口(排出口)
51 ノズル本体
52 吐出口
53 モーター(電動機)
54 取付ベース(本体)
75 ガイド環
101 分散手段
S 中心
図1
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