(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-16
(45)【発行日】2022-09-28
(54)【発明の名称】対の圧着片を有するハウジングを備えた同軸ケーブルコネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 24/38 20110101AFI20220920BHJP
【FI】
H01R24/38
(21)【出願番号】P 2018239702
(22)【出願日】2018-12-21
【審査請求日】2021-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】390005049
【氏名又は名称】ヒロセ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】羽賀 悠人
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-006012(JP,A)
【文献】特開2018-006312(JP,A)
【文献】米国特許第6416357(US,B1)
【文献】特開2012-109046(JP,A)
【文献】特開2017-220336(JP,A)
【文献】特許第6379403(JP,B2)
【文献】特開2017-069223(JP,A)
【文献】特許第5947885(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 24/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子と、
前記端子を支持するハウジングと、
前記ハウジングの外部を覆う外部導体シェルと、
を備え、
前記端子は、前記ハウジングから露出した接続部を有しており、
前記外部導体シェルは、前記接続部に接続された同軸ケーブルに向かって変形可能に設けられた第1のかしめ部と第2のかしめ部を、前記接続部に接続された前記同軸ケーブルの一端側から他端側に向かって前記同軸ケーブルの軸線方向に沿ってこれらの順に互いに離間された状態で有しており、
前記第1のかしめ部は、前記軸線方向において前記接続部の対応位置に位置付けられ、前記軸線方向において前記第2のかしめ部に接近する側に突出した突出部を有し、
前記第2のかしめ部は、前記突出部に対応して、前記軸線方向において前記第1のかしめ部から遠ざかる側に窪んだ窪み部を有することを特徴とする同軸ケーブルコネクタ。
【請求項2】
前記第1のかしめ部と前記第2のかしめ部はそれぞれ、前記接続部に接続された同軸ケーブルに向かって変形可能に設けられた対のかしめ片から成り、
前記対のかしめ片を形成しているかしめ片はそれぞれ、前記接続部を挟んで対向する各側に、前記接続部に接続された同軸ケーブルに向かって変形されたときに相手かしめ片と突き合わされる突合せ面を有し、
前記対のかしめ片の少なくともいずれか一方の突合せ面に、前記接続部に接続された同軸ケーブルに向かって前記対のかしめ片を変形させたときに相手かしめ片の突合せ面に設けた凹部と噛み合う凸部が設けられている、請求項1に記載の同軸ケーブルコネクタ。
【請求項3】
前記接続部を挟んで対向する一方の側であって、且つ、前記第1のかしめ部と前記第2のかしめ部が互いに隣接する側において、前記第1のかしめ部の一方のかしめ片の突合せ面には前記凸部が設けられ、前記第2のかしめ部の一方のかしめ片の突合せ面には前記凹部が設けられ、
前記接続部を挟んで対向する他方の側であって、且つ、前記第1のかしめ部と前記第2のかしめ部が互いに隣接する側において、前記第1のかしめ部の他方のかしめ片の突合せ面には前記凹部が設けられ、前記第2のかしめ部の他方のかしめ片の突合せ面には前記凸部が設けられている、請求項2に記載の同軸ケーブルコネクタ。
【請求項4】
前記対のかしめ片を構成するかしめ片をそれぞれ、前記接続部に接続された同軸ケーブルに向かって変形したときに、前記凸部と前記凹部が、前記接続部の対応位置にて、前記同軸ケーブルの軸線の周方向に互いに噛み合わされる、請求項2又は3に記載の同軸ケーブルコネクタ。
【請求項5】
前記対のかしめ片を構成するかしめ片をそれぞれ、前記接続部に接続された同軸ケーブルに向かって変形したときに、前記接続部を挟んで対向する一方の側と他方の側とを結ぶ幅方向における前記第1のかしめ部の長さが、前記幅方向における前記第2のかしめ部の長さより大きく、前記第1のかしめ部と前記第2のかしめ部との間に、前記軸線方向において段部が形成されている、請求項1乃至4のいずれかに記載の同軸ケーブルコネクタ。
【請求項6】
前記外部導体シェルの第1のかしめ部と第2のかしめ部は、一枚の金属板から形成されている、請求項1乃至5のいずれかに記載の同軸ケーブルコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同軸ケーブルコネクタ、特に、対の圧着片を有するハウジングを備えた同軸ケーブルコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許6379403号(特許文献1)に、従来の同軸ケーブルコネクタの一例が示されている。この同軸ケーブルコネクタは、主に、端子と、端子を支持するハウジングと、ハウジングの少なくとも一部を覆う外部導体シェルを備える。端子の一部は、相手同軸ケーブルコネクタの端子と接触させる接触部として、また、同軸ケーブルの芯線が接続される接続部として、ハウジングから露出した状態で設けられている。ハウジングは、接続部を形成する設置面を挟んで対向する各側に、折部を中心に設置面に向かって回動可能に設けられた対の圧着片を有する。圧着片を設置面に向かって回動させることにより、設置面に設置された同軸ケーブルの芯線を設置面に対して圧着し、結線することができる。圧着や結線は、例えば、外部導体シェルの一部をカシメることにより、当該一部との当接を通じて圧着片を回動させることによって行うことができる。
【0003】
外部導体シェルは、それぞれが対を成す、前側カシメ部、中間カシメ部、及び後側カシメ部を含む。これら前側カシメ部、中間カシメ部、及び後側カシメ部は、一端側において接続部に接続された同軸ケーブルに向かって変形可能であって、同軸ケーブルの一端側から他端側に向かってこれらの順に互いに隣接した状態で設けられている。ここで前側カシメ部は、主に圧着片をかしめるために、中間カシメ部は、主に外部導体をかしめるために、後側カシメ部は、主に絶縁被覆をかしめるために、それぞれ使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
同軸ケーブルコネクタの高周波特性を向上させるため、特に、同軸ケーブルの芯線は、外部導体シェルによって完全に覆うのが好ましい。しかしながら、特許文献1等の従来の構成においては、芯線及び絶縁体の多くの部分が外部導体シェル又は外部導体(編組)から露出した構造を有していた。
【0006】
本願発明はこのような従来技術における問題点を解決するためになされたものであり、特に、同軸ケーブルの芯線付近を外部導体シェルによって覆う領域を増やした同軸ケーブルコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の同軸ケーブルコネクタは、端子と、前記端子を支持するハウジングと、前記ハウジングの外部を覆う外部導体シェルと、を備え、前記端子は、前記ハウジングから露出した接続部を有しており、前記外部導体シェルは、前記接続部に接続された同軸ケーブルに向かって変形可能に設けられた第1のかしめ部と第2のかしめ部を、前記接続部に接続された前記同軸ケーブルの一端側から他端側に向かって前記同軸ケーブルの軸線方向に沿ってこれらの順に互いに離間された状態で有しており、前記第1のかしめ部は、前記軸線方向において前記接続部の対応位置に位置付けられ、前記軸線方向において前記第2のかしめ部に接近する側に突出した突出部を有し、前記第2のかしめ部は、前記突出部に対応して、前記軸線方向において前記第1のかしめ部から遠ざかる側に窪んだ窪み部を有することを特徴とする同軸ケーブルコネクタことを特徴として有している。
この構成によれば、突出部と窪み部とを利用して、特に、同軸ケーブルの芯線付近を外部導体シェルによって覆う領域を増やした同軸ケーブルコネクタが提供される。
【0008】
上記態様の同軸ケーブルコネクタにおいて、前記第1のかしめ部と前記第2のかしめ部はそれぞれ、前記接続部に接続された同軸ケーブルに向かって変形可能に設けられた対のかしめ片から成り、前記対のかしめ片を形成しているかしめ片はそれぞれ、前記接続部を挟んで対向する各側に、前記接続部に接続された同軸ケーブルに向かって変形されたときに相手かしめ片と突き合わされる突合せ面を有し、前記対のかしめ片の少なくともいずれか一方の突合せ面に、前記接続部に接続された同軸ケーブルに向かって前記対のかしめ片を変形させたときに相手かしめ片の突合せ面に設けた凹部と噛み合う凸部が設けられていてもよい。
【0009】
また、上記態様の同軸ケーブルコネクタにおいて、前記接続部を挟んで対向する一方の側であって、且つ、前記第1のかしめ部と前記第2のかしめ部が互いに隣接する側において、前記第1のかしめ部の一方のかしめ片の突合せ面には前記凸部が設けられ、前記第2のかしめ部の一方のかしめ片の突合せ面には前記凹部が設けられ、前記接続部を挟んで対向する他方の側であって、且つ、前記第1のかしめ部と前記第2のかしめ部が互いに隣接する側において、前記第1のかしめ部の他方のかしめ片の突合せ面には前記凹部が設けられ、前記第2のかしめ部の他方のかしめ片の突合せ面には前記凸部が設けられていてもよい。
【0010】
更に、上記態様の同軸ケーブルコネクタにおいて、前記対のかしめ片を構成するかしめ片をそれぞれ、前記接続部に接続された同軸ケーブルに向かって変形したときに、前記凸部と前記凹部が、前記接続部の対応位置にて、前記同軸ケーブルの軸線の周方向に互いに噛み合わされてもよい。
【0011】
また、上記態様の同軸ケーブルコネクタにおいて、前記対のかしめ片を構成するかしめ片をそれぞれ、前記接続部に接続された同軸ケーブルに向かって変形したときに、前記接続部を挟んで対向する一方の側と他方の側とを結ぶ幅方向における前記第1のかしめ部の長さが、前記幅方向における前記第2のかしめ部の長さより大きく、前記第1のかしめ部と前記第2のかしめ部との間に、前記軸線方向において段部が形成されていてもよい。
【0012】
また、上記態様の同軸ケーブルコネクタにおいて、前記外部導体シェルの第1のかしめ部と第2のかしめ部は、一枚の金属板から形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、特に、同軸ケーブルの芯線付近を外部導体シェルによって覆う領域を増やした同軸ケーブルコネクタが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明による同軸ケーブルコネクタの斜視図である。
【
図2】
図1の同軸ケーブルコネクタの平面図である。
【
図3】
図1の同軸ケーブルコネクタの側面図である。
【
図4】
図1の同軸ケーブルコネクタの分解斜視図である。
【
図5】外部導体シェルの製造工程の一部を示す図である。
【
図6】金属板を折り曲げて
図4の状態とした外部導体シェルの側面図である。
【
図7】配置面に配置された同軸ケーブルに対して対のかしめ片をかしめる直前の状態を示した斜視図である。
【
図9】
図5に示した一方の隙間の部分拡大図である。
【
図10】
図5に示した他方の隙間の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
添付図面を参照しつつ、本発明の好適な一つの実施形態について説明する。ここでは特に、いわゆるライトアングル型の同軸コネクタを説明するが、本発明は、これに限定されるものではなく、例えば、垂直型のケーブルコネクタにも適用することもできる。
【0016】
図1に、本発明による同軸ケーブルコネクタ1の斜視図を、
図2に、その平面図を、
図3に、その側面図を、
図4に、その分解斜視図を、それぞれ示す。同軸ケーブルコネクタ1は、嵌合方向「β」において相手同軸コネクタ(図示されていない)と嵌合可能である。
【0017】
同軸ケーブルコネクタ1は、導電性の端子20と、端子20を支持する絶縁性のハウジング40と、ハウジング40と同軸ケーブル(図示されていない)の外部の少なくとも一部を覆う外部導体シェル70を備える。
【0018】
端子20は、同軸ケーブルコネクタ1に固定される同軸ケーブル9の軸線方向「α」に沿って所定の長さを有する。同軸ケーブル9は、従来一般の同軸ケーブルと同じ構造、即ち、最外殻から中心に向かって、絶縁被覆91、外部導体(編組)93、絶縁体95、芯線97を有する。芯線97は、同軸ケーブル9の一端にて露出している。端子20の先端側には、相手同軸コネクタの中心端子と接触させる接触部25が設けられている。接触部25の一部25aは、相手同軸コネクタとの接触側に向って立ち上げられており、相手同軸コネクタの中心端子を中心に挟み込むことができる対の弾性片として形成されている。端子20の後端側には、同軸ケーブル9の一端にて露出させた芯線97と接続される接続部24が設けられている。接続部24の表面には、同軸ケーブルの芯線97が設置される設置面21が形成されている。接触部25と接続部24の間には、嵌合方向「β」において段差を有し且つ幅方向「γ」に拡がる幅広の段部23が設けられている。嵌合方向「β」に段差を設けることにより、一体成形されたハウジング40において、端子20の後端側(24)を前端側(25)よりも同軸ケーブルに接近させ、その一方で、端子20の前端側(25)を後端側(24)よりも外部導体シェル70の配置面85に近接させるようになっている。
【0019】
外部導体シェル70は、略矩形の一枚の板状金属を打ち抜き、折り曲げることによって形成されている。
図5に、外部導体シェルの製造工程の一部、更に言えば、板状金属を打ち抜いた直後の状態を平面図で示す。外部導体シェル70は、主に、ハウジング40や同軸ケーブル9が配置される配置面85と、この配置面85の先端側に設けられた略円筒状の嵌合部72と、更に、複数のかしめ部、更に詳細には、軸線方向「α」において接続部24の対応位置に位置付けられた囲み部80と、接続部24に接続された同軸ケーブル9の一端側から他端側に向かって軸線方向「α」に沿って互いに離間された状態で配置された外部導体圧着部83、及び外被圧着部84を含む。この図から明らかなように、外部導体シェル70に含まれる各部は、打ち抜きを行う略矩形の金属板の範囲内に収まるため、金属板の多くの部分を有効に活用することができ、材料費を安価にすることができる。
図6に、
図5の金属板を折り曲げて
図4の状態とした外部導体シェル70の側面図、更に言えば、かしめる直前の外部導体シェル70の側面図を示す。この状態としたとき、囲み部80、外部導体圧着部83、及び外被圧着部84はそれぞれ、同一板面状の配置面85を基準に「β」方向へ延びている。「β」方向において、囲み部80の大きさは、同軸ケーブル9の絶縁体95のそれより小さく、また、外部導体圧着部83の大きさは、囲み部80のそれより大きく、外部導体圧着部83の大きさは、外被圧着部84のそれより大きい。このような寸法関係とすることにより、同軸ケーブルの径に合わせて電気的な整合が容易になる。
【0020】
相手同軸コネクタとの嵌合時に、嵌合部72は、相手同軸コネクタの円筒シェル(図示されていない)と接続される。相手同軸コネクタの円筒シェルは、外部導体シェル70の嵌合部72とハウジング40の嵌合部42との間に形成された隙間73に挿入される。
【0021】
3つのかしめ部の囲み部(第1のかしめ部)80、外部導体圧着部(第2のかしめ部)83、及び外被圧着部84は、それぞれ、接続部24に接続された同軸ケーブル9に向かって変形可能に設けられた対のかしめ片、即ち、囲み片80A、80B、外部導体圧着片83A、83B、外被圧着片84A、84Bから成る。
図7は、配置面85に配置された同軸ケーブル9に対して、囲み片80A、80B、外部導体圧着片83A、83B、外被圧着片84A、84Bをかしめる直前の状態を示した斜視図、
図8は、その平面図である。ここで「A」、「B」の各文字は、左右の各側を示している(以下、同様)。
【0022】
各対を構成するかしめ片は、配置面85を挟んで対向する各側に、言い換えれば、接続部24(設置面21)を挟んで対向する各側に、それぞれ配置されている。囲み片80A、80Bは、主に、ハウジング40の圧着片50A、50Bをかしめて、同軸ケーブルの芯線97を固定するためのもの、外部導体圧着片83A、83Bは、主に、同軸ケーブル9の外部導体93をかしめるためのもの、外被圧着片84A、84Bは、主に、同軸ケーブル9の絶縁被覆91をかしめるためのものである。外部導体シェル70に同軸ケーブル9が配置されたとき、同軸ケーブル9の芯線97は、端子20の設置面21に設置されるとともに囲み片80A、80Bに対応する位置に位置付けられ、同軸ケーブル9の外部導体93は、外部導体圧着片83A、83Bに対応する位置に位置付けられ、また、同軸ケーブル9の絶縁被覆91は、外被圧着片84A、84Bに対応する位置に位置付けられる。各対を構成するかしめ片は、それぞれの位置において、同軸ケーブル9に向かって「θ
A」又は「θ
B」方向に変形され、該同軸ケーブル9に対してかしめられる。尚、
図4及び
図6に示す状態とする際に囲み片80A、80Bを折り曲げる位置と、同軸ケーブル9に対してかしめる際にそれらを絞り曲げする位置は若干異なる。
図5に、囲み片80A、80Bを折り曲げる位置を外部導体圧着片83A、83Bを折り曲げる位置とともに一点鎖線で示し、また、囲み片80A、80Bを絞り曲げする位置を二点鎖線で示す。
【0023】
囲み部80は、対の囲み片80A、80Bを折り曲げて回動させたときに相手囲み片と突き合わされる突合せ面81A、81B(
図4、
図7、
図8において、「α」方向と「γ」方向によって形成される面)を含む。
同様に、外部導体圧着部83は、対の外部導体圧着片83A、83Bを同様に回動させたときに相手外部導体圧着片と突き合わされる突合せ面86A、86Bを含む。
【0024】
対の囲み片80A、80Bの少なくともいずれか一方の突合せ面81A、81Bに、対の囲み片80A、80Bを同様に回動させたときに囲み片80A、80Bの突合せ面81A、81Bに設けた凸部93A、93Bと噛み合う凹部94A、94Bが設けられている。図示の例では、突合せ面81Aに、凸部93A、凹部94A、及び凸部93Aが、これらの順に計3個、これに対応して、突合せ面81Bに、凹部94B、凸部93B、及び凹部94Bが、これらの順に計3個、それぞれ、軸線方向「α」に沿って交互に設けられている。これら凹部や凸部の数は特に限定されるものではなく、突合せ面81A、81Bのそれぞれに、凹部又は凸部のいずれか一方を1つだけ、また、凹部及び凸部を複数設けてもよい。
【0025】
同様に、対の外部導体圧着片83A、83Bの少なくともいずれか一方の突合せ面86A、86Bに、対の外部導体圧着片83A、83Bを回動させたときに外部導体圧着片83A、83Bの突合せ面86A、86Bに設けた凸部91A、91Bと噛み合う凹部92A、92Bが設けられている。図示の例では、突合せ面86Aに、凹部92A、凸部91A、及び凹部92Aが、これらの順に計3個、これに対応して、突合せ面86Bに、凸部91B、凹部92B、及び凸部91Bが、これらの順に計3個、それぞれ、軸線方向「α」に沿って交互に設けられている。これら凹部や凸部の数は特に限定されるものではなく、突合せ面86A、86Bのそれぞれに、凹部又は凸部のいずれか一方を1つだけ、また、凹部及び凸部を複数設けてもよい。
【0026】
図2によく示されるように、これら囲み片80A、80B、及び、外部導体圧着片83A、83Bをそれぞれ、接続部24に接続された同軸ケーブル9に向かって変形したとき、囲み片80A、80Bにおいては、囲み片80Aの突合せ面81Aに設けた、凸部93A、凹部94A、及び凸部93Aが、囲み片80Bの突合せ面81Bに設けた、凹部94B、凸部93B、及び凹部94Bと、また、外部導体圧着片83A、83Bにおいては、外部導体圧着片83Aの突合せ面86Aに設けた、凹部92A、凸91A、及び凹部92Aが、外部導体圧着片83Bの突合せ面86Bに設けた、凸部91B、凹部92B、及び凸部91Bと、それぞれ、同軸ケーブル9の軸線の周方向「θ」における接続部24の対応位置にて噛み合わされる。尚、これらの凹凸は互いに噛み合わされるように構成されていればよく、囲み片80Aの突合せ面81Aに設けた凹凸の順番と、囲み片80Bの突合せ面81Bに設けた凹凸の順番を入れ替えてもよい。同様に、外部導体圧着片83Aの突合せ面86Aに設けた凹凸の順番と、外部導体圧着片83Bの突合せ面86Bに設けた凹凸の順番を入れ替えてもよい。
【0027】
各対を構成するかしめ片を、それぞれの位置において、同軸ケーブル9に向かって変形し、同軸ケーブル9に対してかしめたとき、接続部24を挟んで対向する一方の側「A」と他方の側「B」とを結ぶ幅方向「γ」における囲み部80の幅「m」は、幅方向「γ」における外部導体圧着部83の幅「n」より大きく、囲み部80と外部導体圧着部83との間に、軸線方向「α」において段部90が形成される。この段部90は、同軸ケーブル9の芯線97と他の部分の径との違いによって生じ得る。
【0028】
囲み片80A、80Bと外部導体圧着片83A、83Bはそれぞれ、囲み部80と外部導体圧着部83が互いに隣接する側に、凸部(93A、91B)と凹部(92A、94B)の組を有する。
更に言えば、囲み片80A、80Bと外部導体圧着片83A、83Bが互いに隣接する側であって、且つ、接続部24を挟んで対向する一方の側「A」において、囲み片80Aの突合せ面81Aには、凸部93Aが設けられ、一方、外部導体圧着片83Aの突合せ面86Aには、凹部92Aが設けられている。
また、当該隣接する側であって、且つ、接続部24を挟んで対向する他方の側「B」において、囲み片80Bの突合せ面81Bには、凹部94Bが設けられ、外部導体圧着片83Aの突合せ面86Bには、凸部91Bが設けられている。
【0029】
同軸ケーブルコネクタの高周波特性を向上させるため、特に、同軸ケーブル9の芯線97や絶縁体95を外部導体シェル70によって完全に覆うのが好ましい。しかしながら、芯線97を覆う部分と外部導体(編組)93や絶縁体95を覆う部分との間に、同軸ケーブルの径の相違によって段部90が形成されるため、また、金属板を打ち抜くにあたり、囲み片80A、80Bと外部導体圧着片83A、83Bとの間に打ち抜きによって相応の大きさの隙間89A、89Bが生じてしまうため、絶縁体95との境目付近において、芯線97が露出してしまうおそれがある。芯線97の露出を防ぐため、本実施形態では、囲み片80A、80Bに、軸線方向「α」において外部導体圧着部83に接近する側に突出した突出部80aA、80aBを設け、一方、外部導体圧着部83に、これらの突出部80aA、80aBに対応して、軸線方向「α」において囲み部80から遠ざかる側に窪んだ窪み部83aA、83aBを設けている。この結果、本実施形態では、
図2によく示されるように、軸線方向「α」において、突出部80aA、80aB、特に、それらの後方の端部が、編組93の前端93aの近傍に位置することとなり、外部信号の影響を受け易い同軸ケーブル9の絶縁体95の多くの部分を外部導体シェル70によって覆うことができる。
【0030】
更に詳細には、囲み片80A、80Bと外部導体圧着片83A、83Bが互いに隣接する側であって、且つ、接続部24を挟んで対向する一方の側「A」において、囲み片80Aの凸部93Aは、軸線方向「α」において外部導体圧着片83Aに接近する側に突出した突出部80aAを有し、一方、外部導体圧着片83Aは、突出部80aAに対応して、軸線方向「α」において囲み片80Aから遠ざかる側に窪んだ窪み部83aAを有し、同様に、囲み片80A、80Bと外部導体圧着片83A、83Bが互いに隣接する側であって、且つ、接続部24を挟んで対向する他方の側「B」において、囲み片80Bの凹部94Bは、軸線方向「α」において外部導体圧着片83Bに接近する側に突出した突出部80aBを有し、一方、外部導体圧着片83Bは、突出部80aBに対応して、軸線方向「α」において囲み片80Bから遠ざかる側に窪んだ窪み部83aBを有する。尚、これら突出部80aA、80aBと窪み部83aA、83aBはそれぞれ、段部90に対応して一部を切欠いた形状を有する。このような構成とすることにより、囲み片80A、80Bと外部導体圧着片83A、83Bとの間に生じる隙間を芯線97から遠い側、即ち、外部に露出させても影響が小さい絶縁体95の側にずらして、芯線97の露出を防ぎ、高周波特性を向上させている。
【0031】
図9、
図10に、
図5の部分拡大図を示す。
図9は、隙間89B周辺の部分拡大図、一方、
図10は、隙間89A周辺の部分拡大図である。
【0032】
図9に示すように、隙間89Bは、側方において開放され且つ「α」方向において比較的小さな幅を有する小溝101B、「γ」方向において小溝101Bの奥で閉じており「α」方向において比較的大きな幅を有する大溝102B、「γ」方向において最奥に形成された傾斜面103B、小溝101Bと大溝102Bを連結する2つの連結部、更に詳細には、「α」方向において前側に位置する、囲み片80Bによって形成された比較的長い連結部105B、及び、「α」方向において後側に位置する、外部導体圧着片83Bによって形成された比較的短い連結部106Bを含む。
【0033】
図10に示すように、隙間89Aも同様に、小溝101A、大溝102A、傾斜面103A、連結部105A、及び、連結部106Aを含む。隙間89Aでは、小溝101Aが、大溝102Aよりも大きな幅を有するものとなっているが、これは、隙間89Bでは凸部91Bが設けられているのに対し、隙間89Aでは凹部92Aを設けたことによって小溝101Aが途中で途切れているためである。前述したように、囲み片80Aの突合せ面81Aに設けた凹凸の順番と、囲み片80Bの突合せ面81Bに設けた凹凸の順番を入れ替えてもよく、従って、実質的には、隙間89Aにおいても、隙間89Bと同様に、実質的には、仮想線aで示した幅を有する小溝101Aが設けられていると考えることもできる。
【0034】
図5に示した金属板を「γ」方向に拡大し縮小するように描かれた一対の一点鎖線に沿って絞り曲げて、
図4や
図6に示す状態としたとき、最奥の傾斜面103Bは、後方下がりの傾斜となり、板の破断面は上方を向く。また、傾斜面103Bは、「α」方向と「γ」方向によって形成される面において、中心に向かって傾斜し、同軸ケーブルの中心導体との距離を近づけて囲み部80から外部導体圧着部83に向けて縮径している。この状態にある傾斜面103Bの前端103aの「β」方向における高さ位置は、囲み片80A、80Bとの間で同じ起立位置とされている。また、この状態の傾斜面103Bの後端103bの「β」方向における高さ位置は、外部導体圧着片83A、83Bとの間で同じ起立位置に設定されており、それぞれのかしめが正確に可能となる。
【0035】
ハウジング40は、主に、略立方形状を有する本体部44と、本体部44の先端側に設けた円筒状の嵌合部42、更に、本体部44の後端側に設けた設置部43、更に、対を成す圧着片50A、50Bを備える。これらの各部は、樹脂モールドによって端子20と一体成型されている。但し、一体成型後も、端子20の一部、例えば、接触部25の少なくとも一部(弾性片25a等)と、接続部24の少なくとも一部(設置面21)は、外部に露出したままである。
【0036】
嵌合部42は、相手同軸コネクタとの接触側に向って突出する部分であって、その中心に設けた窪み48に、端子20の接触部25が配置されている。嵌合部42は、相手同軸コネクタとの嵌合時に相手同軸コネクタの円筒シェルの内部に挿入され、これに伴い、嵌合部42の中心に配置された接触部25に円筒シェルの中心に配置された中心端子が挿入、接触される。
【0037】
対の圧着片50A、50Bは、設置面21を挟んで対向する各側に設けられており、それぞれ、同軸ケーブルの軸線方向「α」に沿う折部55A、55Bを中心として、設置面21に向かって、即ち、図示「θ
A」、「θ
B」方向に、回動可能とされている。これらの圧着片50A、50Bはそれぞれ、対の圧着片50A、50Bを回動させたときに設置面21と対向する対向面51A、51B(
図2、4、7等において、「α」方向と「β」方向によって形成される面)と、同様に対の圧着片50A、50Bを回動させたときに相手圧着片と突き合わされて衝突する突合せ面52A、52B(
図2、4、7等において、「α」方向と「γ」方向によって形成される面)を含む。ここで、対の圧着片50A、50Bを回動させたときに設置面21と対向面51A、51Bとが対向する対向方向は、実質的に、同軸ケーブルコネクタ1と相手同軸コネクタとが嵌合する嵌合方向「β」と同じである。突合せ面52A、52Bの少なくとも一部同士を衝突させることにより、対向方向「β」において設置面21と対向面51A、51Bとの間に挟み込まれた同軸ケーブルの芯線97が、突合せ面52A、52Bの隙間から漏れ出ることを効果的に防止することができる。
【0038】
対向面51A、51Bには、それぞれ、設置面21の側に突出した突出部51aA、51aBが、折部55A、55Bと交差する方向「β(又はγ)」に沿って設けられている。突出部51aA、51aBを設けることにより、これら突出部51aA、51aBを設けた部分においては、設置面21に対する対向面51A、51Bの押圧力を強化することができる。
【0039】
設置面21には、対向面51A、51Bに向かって突出する突出部21aを設けてもよい。突出部21aを設けることにより、対向面51A、51Bに対する設置面21の押圧力を強化することができる。
【0040】
対の圧着片50A、50Bの少なくともいずれか一方の突合せ面52A、52Bに、対の圧着片50A、50Bを回動させたときに相手圧着片50B、50Aの突合せ面52B、52Aに設けた凸部53B、53Aと噛み合う凹部54A、54Bが設けられている。凸部53B、53Aと凹部54A、54Bは、それぞれ、突合せ面52A、52Bの突合せ側において互いに衝突し得るように設けられていてもよい。
【0041】
図示の例では、突合せ面52Aに、凸部53A、凹部54A、及び、凸部53Aが、これらの順に計3個、これに対応して、突合せ面52Bに、凹部54B、凸部53B、及び、凹部54Bが、これらの順に計3個、それぞれ、折部55A、55Bの方向「α」に沿って交互に設けられている。これら凹部や凸部の数は特に限定されるものではなく、突合せ面52A、52Bのそれぞれに、凹部又は凸部のいずれか一方を1つだけ、また、凹部及び凸部を複数設けてもよい。
【0042】
凹部54A、54Bの、対向面51A、51Bとは反対の面側に、それぞれ、覆い部60A、60Bが設けられている。これらの覆い部60A、60Bは、対の圧着片50A、50Bを回動させて、凹部54A、54Bと凸部53B、53Aを噛み合わせたときに、凹部と凸部の噛み合わせ部を上部から覆い、且つ、突合せ面52A、52Bの突合せ側において互いに衝突し得る。これら覆い部60A、60Bを設けたことにより、噛み合わせ部に沿って生じ得る隙間を閉じて、隙間からの粉塵等の流入を防止することができ、これにより、コネクタの接触信頼性を高めることができる。
【0043】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、種々の変更が可能であることは勿論である。従って、本発明の請求項の範囲には、当業者が通常行う種々の変形例が含まれる。
【符号の説明】
【0044】
1 同軸ケーブルコネクタ
9 同軸ケーブル
20 端子
21 設置面
24 接続部
25 接触部
40 ハウジング
50A、50B 圧着片
70 外部導体シェル
80A、80B 囲み片(第1のかしめ片)
80aA、80aB 突出部
81A、81B 突合せ面
83A、83B 外部導体圧着片(第2のかしめ片)
83aA、83aB 窪み部
86A、86B 突合せ面
90 段部