(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-16
(45)【発行日】2022-09-28
(54)【発明の名称】温度偏差特性が改善された基板加熱装置
(51)【国際特許分類】
H05B 3/74 20060101AFI20220920BHJP
C23C 14/50 20060101ALI20220920BHJP
C23C 16/46 20060101ALI20220920BHJP
F27D 11/02 20060101ALI20220920BHJP
H05B 3/10 20060101ALI20220920BHJP
【FI】
H05B3/74
C23C14/50 E
C23C16/46
F27D11/02 A
H05B3/10 A
H05B3/10 Z
(21)【出願番号】P 2018508663
(86)(22)【出願日】2016-09-30
(86)【国際出願番号】 KR2016010960
(87)【国際公開番号】W WO2017061734
(87)【国際公開日】2017-04-13
【審査請求日】2019-08-01
【審判番号】
【審判請求日】2021-07-29
(31)【優先権主張番号】10-2015-0139849
(32)【優先日】2015-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520139620
【氏名又は名称】ミコ セラミックス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】ジュン チュル ホ
(72)【発明者】
【氏名】チェ ジン ユン
(72)【発明者】
【氏名】チェ ユン ホ
【合議体】
【審判長】平城 俊雅
【審判官】間中 耕治
【審判官】槙原 進
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-272805(JP,A)
【文献】実開昭61-39870(JP,U)
【文献】特開平7-335357(JP,A)
【文献】特開2004-6242(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/02 - 3/86
C23C 14/50
C23C 16/46
H01L 21/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を加熱する基板加熱装置であって、
基板を支持する胴体部、
前記胴体部の内部領域に位置する第1発熱体、
前記内部領域を囲む外部領域に位置する第2発熱体、
前記胴体部の内部領域を横切って前記第2発熱体に電流を送給する第3発熱体、及び
前記第2発熱体と前記第3発熱体とを電気的に接続する連結部材を含んで構成され、
前記第2発熱体、前記第3発熱体及び前記連結部材はいずれも同一材質で構成され、
前記第3発熱体を構成するワイヤーの直径は、前記第2発熱体を構成するワイヤーの直径より厚く、
前記連結部材は、前記第2発熱体及び前記第3発熱体を構成する互いに直径が異なるワイヤーを締まりばめして固定する開口を含み、
前記基板加熱装置の中間領域及び前記中間領域と垂直した領域に関して、前記胴体部の中心点を通過する前記中間領域の中心軸での前記第1発熱体及び前記第3発熱体の発熱による表面温度の平均値は、
前記第3発熱体間の離隔距離または前記第3発熱体と前記第1発熱体との間の離隔距離を調節することにより前記中間領域と垂直した領域の中心軸での表面温度の平均値と実質的に同じであ
り、
前記胴体部の中心点に対して前記中間領域と対称をなす対称領域に関して、前記中間領域の前記第1発熱体は、前記対称領域の前記第1発熱体と実質的に同じ対称構造を有する、基板加熱装置。
【請求項2】
基板を加熱する基板加熱装置であって、
基板を支持する胴体部、
前記胴体部の内部領域に位置する第1発熱体、
前記内部領域を囲む外部領域に位置する第2発熱体、及び
前記胴体部の内部領域を横切って前記第2発熱体に電流を送給する第3発熱体を含んで構成され、
前記第2発熱体と前記第3発熱体とは同一材質の一つのワイヤーで構成され、前記第2発熱体と前記第3発熱体との連結部分はテーパリング(tapering)形状を有し、
前記第3発熱体を構成するワイヤーの直径は、前記第2発熱体を構成するワイヤーの直径より厚く、
前記基板加熱装置の中間領域及び前記中間領域と垂直した領域に関して、前記胴体部の中心点を通過する前記中間領域の中心軸での前記第1発熱体及び前記第3発熱体の発熱による表面温度の平均値は、
前記第3発熱体間の離隔距離または前記第3発熱体と前記第1発熱体との間の離隔距離を調節することにより前記中間領域と垂直した領域の中心軸での表面温度の平均値と実質的に同じであ
り、
前記胴体部の中心点に対して前記中間領域と対称をなす対称領域に関して、前記中間領域の前記第1発熱体は、前記対称領域の前記第1発熱体と実質的に同じ対称構造を有する、基板加熱装置。
【請求項3】
基板を加熱する基板加熱装置であって、
基板を支持する胴体部、
前記胴体部の内部領域に位置する第1発熱体、
前記内部領域を囲む外部領域に位置する第2発熱体、及び
前記胴体部の内部領域を横切って前記第2発熱体に電流を送給する第3発熱体を含んで構成され、
前記第2発熱体と前記第3発熱体とは同一材質で構成され、
前記第2発熱体と前記第3発熱体との連結部分は溶接(welding)を利用して接合され、
前記第3発熱体を構成するワイヤーの直径は、前記第2発熱体を構成するワイヤーの直径より厚く、
前記基板加熱装置の中間領域及び前記中間領域と垂直した領域に関して、前記胴体部の中心点を通過する前記中間領域の中心軸での前記第1発熱体及び前記第3発熱体の発熱による表面温度の平均値は、
前記第3発熱体間の離隔距離または前記第3発熱体と前記第1発熱体との間の離隔距離を調節することにより前記中間領域と垂直した領域の中心軸での表面温度の平均値と実質的に同じであ
り、
前記胴体部の中心点に対して前記中間領域と対称をなす対称領域に関して、前記中間領域の前記第1発熱体は、前記対称領域の前記第1発熱体と実質的に同じ対称構造を有する、基板加熱装置。
【請求項4】
前記第3発熱体は前記胴体部の中心点を含む中心領域から前記外部領域に前記内部領域を横切る中間領域に位置し、
前記中間領域には前記第1発熱体が位置しない、請求項1~3のいずれか1項に記載の基板加熱装置。
【請求項5】
前記胴体部の中心点を通過する前記中間領域の中心軸を基準に、前記第1発熱体、前記第2発熱体及び前記第3発熱体は対称の形状をなす、請求項4に記載の基板加熱装置。
【請求項6】
前記胴体部の中心点を基準に前記中間領域と対称をなす対称領域に対し、
前記胴体部の中心点を通過する前記中間領域の中心軸での前記第1発熱体及び前記第3発熱体の発熱による表面温度の平均値は、
前記胴体部の中心点を通過する前記対称領域の中心軸での前記第1発熱体の発熱による表面温度の平均値と対比して所定の誤差範囲内にある、請求項4に記載の基板加熱装置。
【請求項7】
前記胴体部の中心点を基準に前記中間領域と対称をなす対称領域に対し、
前記胴体部の中心点を通過する前記中間領域の中心軸での前記第1発熱体及び前記第3発熱体の発熱による表面温度の最大値と最小値との差は、
前記胴体部の中心点を通過する前記対称領域の中心軸での前記第1発熱体の発熱による表面温度の最大値と最小値との差より小さいかまたは同じである、請求項4に記載の基板加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板加熱装置に関し、より具体的には、基板加熱装置の内部領域に位置する第1発熱体、外部領域に位置する第2発熱体、及び前記内部領域を横切って第2発熱体に電力を伝達する第3発熱体を含んで構成され、前記第3発熱体を構成するワイヤーの直径を前記第2発熱体を構成するワイヤーの直径より厚くすることにより、前記第3発熱体の発熱によって過熱領域が発生することを抑制できる基板加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、フラットディスプレイパネルあるいは半導体素子を製造するためには、ガラス基板やフレキシブル基板または半導体基板等の基板上に誘電体層及び金属層を含む一連の層を順次積層しパターニングする工程を経ることになる。この時、前記誘電体層及び金属層等の一連の層は、化学気相蒸着(Chemical Vapor Deposition、CVD)や物理気相蒸着(Physical Vapor Deposition、PVD)等の工程によって前記基板上に蒸着される。
【0003】
この時、前記層を均一に形成するためには前記基板を均一な温度で加熱しなければならず、前記基板を加熱し支持するために基板加熱装置が用いられる。前記基板加熱装置は、前記基板上に形成される誘電体層または金属層のエッチング工程(etching process)、感光膜(photo resistor)の焼成工程等で基板を加熱するために用いられる。
【0004】
さらに、近来に入って半導体素子の配線微細化と半導体基板の精密な熱処理の必要性により、前記基板加熱装置の温度偏差を減らせる方案に対する要求が持続している。特に、基板加熱装置の中心区域に、発熱体を内蔵するセラミック等からなる胴体部を支持する支持部が位置して熱容量が大きくなる等の問題により、基板加熱装置の各領域に同一の熱量が供給されても領域別に温度偏差が発生するようになる。
【0005】
それに対し、
図1に示すように、前記基板加熱装置を内部領域(
図1の(B)領域)と外部領域(
図1の(C)領域)に分けて領域別に基板の加熱を制御することにより、内部領域(
図1の(B)領域)と外部領域(
図1の(C)領域)間の温度偏差を減らせる技術が試みられた。しかし、この場合、前記外部領域(
図1の(C)領域)の発熱体に電流を供給するための導電体での発熱によって前記導電体に対応する特定領域(
図1の(A)領域)が過熱するという問題が生じうる。例えば、
図2には、前記内部領域を横切って外部領域の発熱体に電力を伝達する導電体での発熱によって前記導電体に対応する特定領域(
図2の(A)領域)が過熱する場合の温度偏差を示している。
【0006】
それにより、前記基板装置を内部領域と外部領域に分けて加熱を制御し、且つ、前記外部領域の発熱体に電流を供給する導電体での発熱によって特定領域が過熱するという問題を解決できる方案が求められているが、未だにそれに対する適切な代案が提示されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記のような従来技術の問題点を解決するために導き出されたものであり、基板加熱装置を内部領域及び外部領域を含む複数の領域に分けて領域別に加熱を制御し、且つ、前記外部領域の発熱体に電流を供給する導電体による発熱によって特定領域が過熱することを防止できる基板加熱装置を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、基板加熱装置を内部領域、外部領域及び前記内部領域を横切る中間領域を含む複数の領域に分けて領域別に加熱し、且つ、前記中間領域の導電体による発熱による基板加熱の不均一性を最小化できる基板加熱装置を提供することを目的とする。
【0009】
なお、本発明は、前記外部領域の発熱体及びそれに電流を供給する導電体の連結構造における熱的、構造的な安定性を改善できる構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するための本発明の一側面による基板加熱装置は、基板を加熱する基板加熱装置であって、基板を支持する胴体部、前記胴体部の内部領域に位置する第1発熱体、前記内部領域を囲む外部領域に位置する第2発熱体、及び前記胴体部の内部領域を横切って前記第2発熱体に電流を伝達する第3発熱体を含んで構成され、前記第3発熱体を構成するワイヤーの直径は、前記第2発熱体を構成するワイヤーの直径より厚いことを特徴とする。
【0011】
ここで、前記第2発熱体と前記第3発熱体は一つのワイヤーで構成され、前記第2発熱体と前記第3発熱体との連結部分はテーパリング(tapering)形状を有してもよい。
【0012】
また、前記第2発熱体と前記第3発熱体との連結部分は溶接(welding)を利用して接合されてもよい。
【0013】
なお、前記第2発熱体と前記第3発熱体を電気的に接続する連結部材をさらに含み、前記第2発熱体と前記第3発熱体及び前記連結部材はいずれも同一材質で構成されてもよい。
【0014】
この時、前記連結部材は、前記第2発熱体及び前記第3発熱体を構成する互いに直径が異なるワイヤーを締まりばめして固定する開口を含んでもよい。
【0015】
また、前記第3発熱体は前記胴体部の中心点を含む中心領域から前記外部領域に前記内部領域を横切る中間領域に位置し、前記中間領域には前記第1発熱体が位置しなくてもよい。
【0016】
ここで、前記胴体部の中心点を通過する前記中間領域の中心軸を基準に、前記第1発熱体、前記第2発熱体及び前記第3発熱体は対称の形状をなしてもよい。
【0017】
また、前記胴体部の中心点を基準に前記中間領域と対称をなす対称領域に対し、前記胴体部の中心点を通過する前記中間領域の中心軸での前記第1発熱体及び前記第3発熱体の発熱による表面温度の平均値は、前記胴体部の中心点を通過する前記対称領域の中心軸での前記第1発熱体の発熱による表面温度の平均値と対比して所定の誤差範囲内にあってもよい。
【0018】
なお、前記胴体部の中心点を基準に前記中間領域と対称をなす対称領域に対し、前記胴体部の中心点を通過する前記中間領域の中心軸での前記第1発熱体及び前記第3発熱体の発熱による表面温度の最大値と最小値との差は、前記胴体部の中心点を通過する前記対称領域の中心軸での前記第1発熱体の発熱による表面温度の最大値と最小値との差より小さいかまたは同じであってもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、基板加熱装置を内部領域及び外部領域を含む複数の領域に分けて領域別に加熱を制御し、且つ、外部領域に位置する第2発熱体に電流を供給する第3発熱体のワイヤーの直径を前記第2発熱体のワイヤーの直径より厚くすることにより、前記第3発熱体による発熱によって特定領域が過熱することを抑制することができる。
【0020】
また、本発明は、基板加熱装置を内部領域、外部領域及び前記内部領域を横切る中間領域を含む複数の領域に分けて領域別に加熱し、且つ、前記中間領域での第3発熱体による発熱量と前記第2発熱体の発熱量の和を所定範囲に調節することにより、前記中間領域の導電体による発熱による基板加熱の不均一性を最小化することができる。
【0021】
なお、本発明は、前記外部発熱体及び中間発熱体と同一の材質で構成された連結体を用いて前記外部発熱体と中間発熱体を連結することにより、前記基板加熱装置の製作過程及び基板工程中における加熱に応じた温度変化にも熱的、構造的な安定性を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明に関する理解を助けるために詳細な説明の一部として含まれる添付図面は本発明に関する実施形態を提供し、詳細な説明と共に本発明の技術的思想を説明する。
【
図1】従来技術に応じた基板加熱装置を上面方向から投射した図である。
【
図2】従来技術に応じた基板加熱装置における不均一な加熱によって特定領域が過熱する場合を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る基板加熱装置の構造に対する例示図である。
【
図4】本発明の一実施形態として第3発熱体のワイヤー直径に応じた発熱量の変化を示す表である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る基板加熱装置における特定領域での過熱が解消された場合を示す図である。
【
図6a】本発明の一実施形態に係る基板加熱装置における第2発熱体と第3発熱体とを連結する連結部の構造を例示する図である。
【
図6b】本発明の一実施形態に係る基板加熱装置における第2発熱体と第3発熱体とを連結する連結部の構造を例示する図である。
【
図7】本発明の一実施形態として基板加熱装置の中間領域での発熱量と対称領域での発熱量の偏差を減らす場合を説明するための図である。
【
図8】本発明の一実施形態として基板加熱装置の中間領域での発熱量と前記中間領域と垂直した領域での発熱量の偏差を減らす場合を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、様々な変換を加えてもよく、種々の実施形態を有しても良いところ、以下では、特定の実施形態を添付された図面に基づいて詳細に説明することにする。
【0024】
本発明を説明するにおいて、関連の公知技術に関する具体的な説明が本発明の要旨を不要に濁す恐れがあると判断される場合にはその詳細な説明を省略する。
【0025】
第1、第2等の用語は様々な構成要素を説明するのに用いられるが、前記構成要素は前記用語によって限定されるものではなく、前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的としてのみ用いられる。
【0026】
以下では、本発明に係る基板加熱装置の例示的な実施形態を、添付された図面を参照して詳細に説明する。
【0027】
前述したように、基板加熱装置の熱的均一性を高めるために、基板加熱装置の領域を内部領域と外部領域を含む複数の領域に分けて加熱をする場合、前記内部領域を横切って外部領域の発熱体に電力を伝達するための導電体での発熱によって特定領域が過熱するという問題が生じうる。
【0028】
それに対し、本発明では、基板加熱装置の内部領域に位置する第1発熱体、外部領域に位置する第2発熱体、及び前記内部領域を横切って第2発熱体に電力を伝達する第3発熱体を含んで構成され、前記第3発熱体を構成するワイヤーの直径を前記第2発熱体を構成するワイヤーの直径より厚くすることにより、前記第3発熱体の発熱によって過熱領域が発生することを抑制できる基板加熱装置を開示する。
【0029】
図3には、本発明の一実施形態に係る基板加熱装置300の構造が例示されている。
図3に示すように、本発明の一実施形態に係る基板加熱装置300は、基板を支持する胴体部(図示せず)、前記胴体部の内部領域に位置する第1発熱体310、前記内部領域を囲む外部領域に位置する第2発熱体320、及び前記胴体部の内部領域を横切って前記第2発熱体320に電流を伝達する第3発熱体330を含んで構成され、この時、前記第3発熱体330を構成するワイヤーの直径を前記第2発熱体320を構成するワイヤーの直径より厚くすることにより、前記第3発熱体330の抵抗値を下げ、さらには前記第3発熱体330での発熱を抑制して前記第3発熱体330の発熱によって特定領域が過熱することを防止できるようになる。
【0030】
ここで、前記基板加熱装置300にはガラス基板、フレキシブル(flexible)基板、半導体基板等の基板が載置して、化学気相蒸着(Chemical Vapor Deposition、CVD)や物理気相蒸着(Physical Vapor Deposition、PVD)等の工程によって誘電体層及び金属層を含む一連の層が積層されてパターニングする工程を経るようになる。この時、前記基板加熱装置300においては、工程で求められる所定の温度で前記基板を均一に加熱する。
【0031】
前記基板加熱装置300の胴体部(図示せず)は、その用途や用いられる工程に応じてセラミックや金属等を用いて構成され、前記胴体部にはプラズマ工程等で用いられる高周波電極(図示せず)等と共に前記基板を加熱するための発熱体が含まれることができる。さらに、前記基板加熱装置300には、前記胴体部の上面に基板を載置させるか、または外部にアンローディング(unloading)するリフトピンが動けるように複数のピンホール(図示せず)が形成されることもできる。
【0032】
また、高温の工程での安定性等のために前記基板加熱装置300の胴体部をセラミック材質で構成することができ、この時に用いられるセラミックはAl2O3、Y2O3、Al2O3/Y2O3、ZrO2、AlC、TiN、AlN、TiC、MgO、CaO、CeO2、TiO2、BxCy、BN、SiO2、SiC、YAG、Mullite、AlF3等であってもよく、前記セラミックのうち2以上が複合的に用いられてもよい。
【0033】
なお、前記発熱体は、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、ニオブ(Nb)、チタニウム(Ti)またはこれらの合金を用いて形成されることができる。
【0034】
図3(b)に示すように、従来技術に応じ、通常、同一直径の一つのワイヤーを用いて前記第2発熱体320と前記第3発熱体330を構成することにより、多少容易に前記基板加熱装置を複数の領域に分けて加熱する構造を構成することができる。しかし、この場合、外部領域の第2発熱体320の加熱のために電力を印加する場合、前記第3発熱体330においても前記第2発熱体320と同様に発熱が発生し、前記第3発熱体330が位置する中間領域が過熱する問題が発生しうる。
【0035】
特に、前記第3発熱体330による発熱に加えて、前記中間領域に近接する第1発熱体310での発熱が加えられて、前記中間領域がさらに加熱し、それにより、
図2のように特定領域が過熱して熱的均一性(thermal uniformity)が大幅に悪くなるという問題が発生する。
【0036】
それに対し、前記第1発熱体310での発熱による影響を減らすために、前記第1発熱体310を前記第3発熱体330から離隔させる方案も考慮することができる。しかし、この場合、各領域に対する電力の印加状態に応じて、前記第3発熱体330が位置する中間領域での発熱量が、前記胴体部の中心点を基準に前記中間領域と対称をなす対称領域(例えば、
図7における中間領域(C)に対する対称領域は(D)となる)での発熱量と大きく異なりうるため、場合によっては、却って基板加熱装置の熱的均一性(thermal uniformity)が悪くなりうる。
【0037】
したがって、前記中間領域での第1発熱体310の構造とそれに対応する対称領域での第1発熱体310の構造は可能な限り同一の対称構造をなすことが好ましく、前記第3発熱体330の配線等のために完全な対称構造を構成することはできないとしても最大限に類似した構造に構成することが好ましい。
【0038】
したがって、前記第1発熱体310の対称構造を最大限に維持し、且つ、前記第3発熱体330での発熱量を減らすことがより好ましい接近方案となる。それにより、本発明では、
図3(c)に示すように、前記第3発熱体330を構成するワイヤーの直径(X+Y)を第2発熱体320を構成するワイヤーの直径(X)より大きくして抵抗値を減らすことにより、前記第3発熱体330による発熱を抑制するようにした。
【0039】
また、本発明の一実施形態に係る基板加熱装置300における前記第3発熱体330は前記胴体部の中心点を含む中心領域(
図7におけるC2を含む所定の領域)から前記外部領域方向に前記内部領域を横切る中間領域に位置し、この時、前記中間領域には前記第1発熱体310が位置しないようにすることにより、前記第1発熱体310と前記第3発熱体330が重なって配置されることを防止し、互いに離隔して配置されるようにして、前記第1発熱体310及び前記第3発熱体330の発熱が重なる効果を低減させることが好ましい。
【0040】
なお、本発明の一実施形態に係る基板加熱装置300は必ずしも
図3(a)に示すように基板加熱装置の領域を内部領域及び外部領域の二つの領域にのみ分割して構成しなければならないものではなく、前記内部領域及び外部領域を含むが、その他に一つ以上の領域をさらに含めて複数の領域で構成されてもよい。
【0041】
また、前記胴体部の中心点を通過する前記中間領域の中心軸(例えば、
図7のC1-C2)を基準に、前記第1発熱体310、前記第2発熱体320及び前記第3発熱体330が対称の形状をなすようにすることにより、本発明の一実施形態に係る基板加熱装置300が前記中心軸を基準に対称的な熱的分布を有するようにすることができ、さらに前記基板加熱装置300の熱的均一性をさらに改善することができる。
【0042】
図4には、本発明の一実施形態により、第3発熱体330を構成するワイヤーの直径を異にし、且つ、それに応じたワイヤーの抵抗値及び発熱量を算出した表が示されている。
図4に示すように、第3発熱体330を構成するワイヤーの直径が0.50mmである場合、ワイヤーの抵抗値は0.030オーム(Ohm)となり、前記ワイヤーに14.5Aの電流を印加する場合、前記ワイヤーは6.27Wの発熱量を示すことが分かる。
【0043】
それに対し、前記第3発熱体330を構成するワイヤーの直径が1.00mmである場合、ワイヤーの抵抗値は0.007オーム(Ohm)となり、前記ワイヤーに14.5Aの電流を印加する場合、前記ワイヤーは1.57Wの発熱量を示すため、前記ワイヤーの直径が0.50mmから1.00mmに二倍に増えることにより、抵抗値と発熱量が各々約1/4レベルに落ちることを確認することができる。
【0044】
それと同様に、前記第3発熱体330を構成するワイヤーの直径が0.5mmから0.70mmに約1.4倍に増えることにより、抵抗値と発熱量が各々約1/2レベルに落ちることを確認することができる。
【0045】
したがって、前記ワイヤーの直径を増やすことによって前記ワイヤーによる発熱量を減少させることができ、さらに前記ワイヤーの直径を無制限に増やすことはできないため、前記ワイヤーの直径及び前記ワイヤー間の離隔距離、前記第1発熱体310による発熱等を考慮して、前記第3発熱体330が位置する中間領域での発熱量が他領域での発熱量に近接するように調節することが好ましい。
【0046】
図5には、本発明の一実施形態に係る基板加熱装置300における特定領域での過熱が抑制されて熱的均一性が改善された場合が示されている。
図5(a)に示すように、中間領域の第3発熱体330による発熱を適切に抑制できない場合、中間領域に発熱量が集中して過熱する場合があるが、本発明の一実施形態に係る基板加熱装置300においては、前記第3発熱体330を構成するワイヤーの直径を前記第2発熱体320を構成するワイヤーの直径より厚くすることにより、前記第3発熱体330の抵抗値を下げ、前記第3発熱体330による発熱を抑制して、
図5(b)に示すように前記中間領域での過熱の発生を効果的に抑制できることが分かる。
【0047】
図6aには、本発明の一実施形態に係る基板加熱装置300における第2発熱体320と第3発熱体330とを連結する連結部の構造を例示する図が示されている。先ず、
図6(a)に示すように、本発明の一実施形態として、前記第2発熱体320はXの直径を有し、前記第3発熱体330はX+Yの直径を有する、互いに異なる直径を有する別個のワイヤーで構成されることができる。したがって、
図6a(b)に示すように、前記第2発熱体320と前記第3発熱体330とを連結させる連結部材340を用いて前記第2発熱体320と前記第3発熱体330とを連結させることができる。
【0048】
この時、前記連結部材340は、前記第2発熱体320及び前記第3発熱体330を構成する互いに直径が異なるワイヤーを締まりばめして固定する開口を含んで構成されることができる。さらに、前記第2発熱体320、前記第3発熱体330及び前記連結部材340はいずれも同一材質で構成されることもできる。
【0049】
それにより、前記第2発熱体320、前記第3発熱体330及び前記連結部材340は、セラミックの焼結等、本発明の一実施形態に係る基板加熱装置300の製作工程や、基板に対する化学気相蒸着(CVD)等、基板処理工程における高温環境等においても安定的に結合構造を維持することができる。
【0050】
さらに、本発明の一実施形態に係る基板加熱装置300において、前記連結部材340が必ずしも使われなければならないことではない。より具体的な例を挙げて
図6b(c)に示すように、前記互いに異なる直径を有する第2発熱体320と前記第3発熱体330を一つのワイヤーで構成し、且つ、前記第2発熱体320と前記第3発熱体330との連結部分はテーパリング(tapering)形状を有するようにすることもできる。この場合、前記第2発熱体320と前記第3発熱体330との連結部分での熱的、構造的な安定性がさらに改善されることができるため、非常に高い高温または反復的な熱的環境の変化にもより安定的に連結構造を維持できるようになる。または、
図6b(d)に示すように、互いに異なる直径を有する別個の前記第2発熱体320と前記第3発熱体330との連結部分を溶接(welding)等を利用して接合させることもできる。
【0051】
図7においては、本発明の一実施形態として、基板加熱装置300の中間領域(
図7における(C)領域)での発熱量と対称領域(
図7における(D)領域)での発熱量の偏差を減らす構造を説明している。すなわち、前記基板加熱装置300において、胴体部の中心点(例えば、
図7のC2地点)を基準に前記中間領域と対称をなす対称領域に対し、前記胴体部の中心点を通過する前記中間領域の中心軸(
図7のC1-C2)での前記第1発熱体310及び前記第3発熱体330の発熱による表面温度の平均値は、前記胴体部の中心点を通過する前記対称領域の中心軸(
図7のC2-C3)での前記第1発熱体310の発熱による表面温度の平均値と対比して所定の誤差範囲内にあるようにすることができる。例えば、前記誤差範囲は、前記基板加熱装置300を用いて基板に対する工程を進行するにおいて、前記工程で求められる温度偏差条件を満たせる範囲であるか、または、前記基板加熱装置300において前記中間領域を除いた残りの領域に現れる温度偏差範囲より小さい範囲等であってもよい。このために、前記中間領域での中心軸周辺の第3発熱体330の直径、前記第3発熱体330間の離隔距離、前記第3発熱体330と前記第1発熱体310との間の離隔距離等を調節することができる。
【0052】
それにより、前記中間領域の中心軸での温度及び前記対称領域の中心軸での表面温度の平均値を同一にすることにより、本発明の一実施形態に係る基板加熱装置300の熱的均一性を改善することができる。
【0053】
または、本発明の他の実施形態として、基板加熱装置300は、前記胴体部の中心点を通過する前記中間領域(
図7における(C)領域)の中心軸(
図7のC1-C2)での前記第1発熱体310及び前記第3発熱体330の発熱による表面温度の最大値と最小値との差を、前記胴体部の中心点を通過する前記対称領域(
図7における(D)領域)の中心軸(
図7のC2-C3)での前記第1発熱体310の発熱による表面温度の最大値と最小値との差より小さくするかまたは同じにすることにより、本発明の一実施形態に係る基板加熱装置300の熱的均一性を改善することもできる。
【0054】
図8においては、本発明の一実施形態として、基板加熱装置300の中間領域(
図8における(C)領域)での発熱量と前記中間領域と垂直した領域(
図8における(E)領域)での発熱量の偏差を減らす構造を説明している。先ず、前記基板加熱装置300での中間領域と前記中間領域に対する垂直領域に対し、前記胴体部の中心点を通過する前記中間領域の中心軸(
図8のC1-C2)での前記第1発熱体310及び前記第3発熱体330の発熱による表面温度の平均値を、前記中心領域に対する垂直領域の中心軸(
図8のC2-C4)での前記第1発熱体310の発熱による表面温度の平均値と実質的に同一になるようにすることができる。このために、前記中間領域での中心軸周辺の第3発熱体330の直径、前記第3発熱体330間の離隔距離、前記第3発熱体330と前記第1発熱体310との間の離隔距離等を調節することができる。
【0055】
それにより、前記中間領域の中心軸での温度及び前記中間領域に対する垂直領域の中心軸での表面温度の平均値を同一にすることにより、本発明の一実施形態に係る基板加熱装置300の熱的均一性を改善することができる。
【0056】
または、本発明の他の実施形態として、基板加熱装置300は、前記胴体部の中心点を通過する前記中間領域(
図8における(C)領域)の中心軸(
図8のC1-C2)での前記第1発熱体310及び前記第3発熱体330の発熱による表面温度の最大値と最小値との差を、前記中間領域に対する垂直領域(
図8における(E)領域)の中心軸(
図8のC2-C4)での前記第1発熱体310の発熱による表面温度の最大値と最小値との差より小さくするかまたは同じにすることにより、本発明の一実施形態に係る基板加熱装置300の熱的均一性を改善することもできる。
【0057】
以上の説明は本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎず、本発明が属する技術分野で通常の知識を有した者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲内で様々な修正及び変形が可能である。したがって、本発明に記載された実施形態は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく説明するためのものであって、このような実施形態に限定されるものではない。本発明の保護範囲は以下の特許請求の範囲によって解釈しなければならず、それと同等な範囲内にある全ての技術思想は本発明の権利範囲に含まれるものとして解釈しなければならない。