(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-16
(45)【発行日】2022-09-28
(54)【発明の名称】エトポシドプロドラッグで処置可能な癌の診断方法
(51)【国際特許分類】
G01N 33/573 20060101AFI20220920BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20220920BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220920BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220920BHJP
C07H 17/04 20060101ALI20220920BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20220920BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20220920BHJP
A61K 31/7048 20060101ALI20220920BHJP
【FI】
G01N33/573 A
A61K45/00
A61P35/00
A61P43/00 123
C07H17/04 CSP
A61P1/16
A61P1/00
A61K31/7048
(21)【出願番号】P 2018545366
(86)(22)【出願日】2017-02-24
(86)【国際出願番号】 EP2017054297
(87)【国際公開番号】W WO2017144648
(87)【国際公開日】2017-08-31
【審査請求日】2020-02-13
(32)【優先日】2016-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】522164075
【氏名又は名称】セルアクト ファーマ ジーエムビーエイチ
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【氏名又は名称】庄司 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100224786
【氏名又は名称】大島 卓之
(72)【発明者】
【氏名】ナラン・ウトゥク
【審査官】草川 貴史
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-525287(JP,A)
【文献】国際公開第2012/167255(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0108484(US,A1)
【文献】GUANG Xu、外4名,Human carboxylesterase 2 is commonly expressed in tumor tissue and is correlated with activation of irinotecan,Clin Cancer Res,2002年08月,Vol.8,No.8,Page.2605-2611
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48-33/98
A61K 45/00
A61P 35/00
A61P 43/00
C07H 17/04
A61P 1/16
A61P 1/00
A61K 31/7048
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
癌を有する患者を診断および/または階層化するインビトロ法であって、
該患者から得られた腫瘍サンプルにおけるカルボキシルエステラーゼ2(CES2)発現
のレベルを決定する手順
を含み、
腫瘍サンプルにおけるCES2発現の欠如が、
CAP7.1を用いた患者の処置の有効性の欠如のリスクを示し、そして、
腫瘍サンプルにおけるCES2発現が、
CAP7.1を用いた患者の処置が有効であることを示し、
癌が、胆管癌(BTC)または結腸直腸癌である、
方法。
【請求項2】
癌患者が
CAP7.1を用いた処置に対する応答者であるかを評価するインビトロ法であって、
該患者から得られた腫瘍サンプルにおけるCES2発現
のレベルを決定する手順
を含み、
腫瘍サンプルにおけるCES2発現が、患者が
CAP7.1を用いた処置に対する応答者であることを示し、
癌が、胆管癌(BTC)または結腸直腸癌である、
方法。
【請求項3】
腫瘍隣接組織が健常組織である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
CAP7.1を用いた癌患者の処置をモニタリングするインビトロ法であって、
処置中の癌患者から得られた尿サンプルにおける
CAP7.1と
エトポシドの比(
CAP7.1:
エトポシド=尿比 UR)を決定することを含み、
対照または基準値と比較して減少したURが、処置に対する応答を示し、
CAP7.1を用いた処置を継続すべきであることを示し、
癌が、胆管癌(BTC)または結腸直腸癌である、
方法。
【請求項5】
患者由来の腫瘍サンプルにおけるCES2発現
のレベルを決定する手順をさらに含む、請求項
4に記載の方法。
【請求項6】
処置が患者への
CAP7.1の投与を含む、請求項
4または5に記載の方法。
【請求項7】
患者の癌処置
用医薬組成物であって、
該医薬組成物が
CAP7.1を含み、
該
処置が
a.請求項2
または3に記載の方法により、癌患者が
CAP7.1を用いた処置に対する応答者であるか否かを評価すること、および
b.(i)患者が
CAP7.1を用いた処置に対する応答者ではないことについて減少したリスクを有するならば、
CAP7.1を用いて癌患者を処置すること
(ii)患者が
CAP7.1を用いた処置に対する応答者ではないことについて増大したリスクを有するならば、
CAP7.1と異なる処置を含む処置レジメンを用いて癌患者を処置すること
を含み、
癌が、胆管癌(BTC)または結腸直腸癌である、
医薬組成物。
【請求項8】
患者の癌処置
用医薬組成物であって、
該医薬組成物がCAP7.1を含み、
該処置が、
a.治療有効量の
CAP7.1を患者に投与すること、
b.患者から尿サンプルを取得すること、
c.尿サンプルにおける
CAP7.1と
エトポシドの尿比を決定すること
を含み、
癌が、胆管癌(BTC)または結腸直腸癌である、
医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は患者がエステルプロドラッグの処置に感受性であるか否を評価するための診断および治療方法に関する。本発明の方法は、化学療法剤のエステルプロドラッグを用いた処置成功の評価についての予測値としての、腫瘍サンプルにおけるカルボキシルエステラーゼ2(CES2)発現の分析を含む。あるいは、本発明は処置感受性を評価するための別の予測値としてのプロドラッグと活性治療剤の尿比の分析を含む方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
説明
多くの癌処置について、処置成功は個々の患者で異なる。これらのばらつきは特定の化学療法剤に対する癌疾患の先天的または後天的耐性によることがある。多剤耐性腫瘍細胞は長期治療後に化学療法剤に対して耐性となる。耐性は内因性または後天的耐性であり得て、癌処置の失敗となる主な寄与因子として知られている。臨床薬物耐性はしばしば、様々な構造的に多様な薬剤に対するデノボ耐性として、または以前の化学療法において使用されたことがない化学療法剤に対して獲得された交差耐性として特徴付けられる多剤耐性(MDR)表現型として存在する。
【0003】
薬剤耐性の根底にある細胞学的根拠は十分には理解されていないが、その獲得に寄与するいくつかの因子が特定されている。これらは薬剤排出機序、増大された薬剤不活性化(例えばグルタチオン-S-トランスフェラーゼおよびアルキル化剤耐性)、薬剤標的変異(トポイソメラーゼ変異)、変更されたDNA修復およびアポトーシス耐性(p53変異、bcl-2過剰発現など)を含む。
【0004】
多くの薬剤はシトクロームP450(CYP)アイソザイムにより代謝される。いくつかの薬剤は、それらの標的部位に到達するかまたは中央循環において特定の量に達する前に、消化器(Gl)管、肝臓および/または中央循環においてエステラーゼ酵素により急速に分解されて治療効果をもたらす。薬物の吸収薬物動態を評価するために、2つの薬物動態パラメーター、すなわち、血漿濃度-時間曲線下面積(AUC)およびピーク血漿濃度(Cmax)が一般に使用される。しかしながら、中央循環における吸収動態の改善の程度および薬物の利用可能性(すなわち、バイオアベイラビリティ)は主に薬物のAUCを用いることにより評価される。治療的に活性ではあるが吸収が乏しいいくつかの薬物の吸収動態および経口バイオアベイラビリティは、Gl管からより容易に吸収されるそれらのエステルプロドラッグの合成により改善され得る。エステルプロドラッグはエステル部分を有するプロドラッグである。吸収されると、エステルプロドラッグはエステラーゼの作用のもと、加水分解されて活性薬物を生成する。プロドラッグは癌処置において、活性化合物のバイオアベイラビリティを強化するために使用される。しかしながら、全ての患者が同一の変換効率で投与されたプロドラッグをその活性形態に変換するとは限らない。
【0005】
胆管癌(BTC)は、全ての消化器癌の3%および全ての原発性肝臓癌の15%を占める新生物である。過去20年間で、BTCの発生率は、主に肝内形態の増加により上昇している(Khan, S. A. et al., "Cholangiocarcinoma", Lancet, 366:1303-14 (2005); Patel, T. et al., "Cholangiocarcinoma", Nat Clin Pract Gastroentel Hepatol, 3:33-42 (2006))。タイ北部は最も高い発生率を有する(Shaib, Y. et al., "The epidemiology of holangiocarcinoma", Semin Liver Dis, 24:115-125 (2004))。治癒の唯一の可能性は完全な外科的切除である。完全な切除のために、初期診断が重要であるが、困難である。マージンフリー切除を行っても、5年生存率はわずか20%~40%である(Jarmagin, W. R., et al., "Surgical management of cholangiocarcinoma", Semin Liver Dis, 24:18 (2004); Gores, G. J., "Cholangocarcinoma: current concepts and insight", Hepatology, 37:961-969 (2003))。切除不能な疾患は通常、6か月~1年生存期間を示す(Jarmagin, W. R., et al., "Surgical management of cholangiocarcinoma", Semin Liver Dis, 24:18 (2004))。BTC患者のほぼ3分の1が、切除には遅すぎる。したがって、BTCの初期での診断方法を確立する必要がある。
【0006】
現在、BTCの診断は、臨床症状を有する患者におけるコンピュータ断層撮影法または超音波検査または内視鏡的逆行性胆管造影(ERC)としての胆道の画像に頼る。ERCによるブラシ細胞診は組織診断を可能とするが、BTCの線維形成性のため、感受性が乏しい(Gores, G. J., "Cholangocarcinoma: current concepts and insight", Hepatology, 37:961-969 (2003); Abu-Hamda, E. M., et al., "Endoscopic management of cholagiocarcinoma", Semin Liver Dis, 4:165-175 (2004))。結果的に、臨床医はしばしば、悪性腫瘍の診断の他の手掛かりを明らかにし、腫瘍マーカーはより多くの情報を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、プロドラッグの使用を含む治療の処置成功を予測するための方法が当分野において必要である。本発明はまた、胆管癌患者について処置成功を評価するためのより良好な診断を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
CAP7.1の分子標的は、エトポシドと同様、DNA酵素トポイソメラーゼIIである。CAP7.1のより好ましい治療効果および副作用プロファイルについて想定される理由は、プロドラッグ変換に有益である開列酵素、カルボキシルエステラーゼ2(CES2) (Utkuら、未発表)が、胆管腫瘍のような特定の組織において主に発現することである。プロドラッグCAP7.1は、肝臓を通過する間におよび腸肝再循環後に結腸において、CES2により、その親部分に優先的に変換される。BTCを含む様々な胃腸腫瘍の免疫組織学染色が、どのようにして腫瘍および非腫瘍腸組織内のCES2の空間的発現がCAP7.1の治療効果に影響を及ぼすかという問題に取り組むために実施された。
【0009】
消化器腫瘍におけるCES2の発現の分析により、プロドラッグ変換の重要なチェックポイントとして肝臓組織および末梢血単核細胞を明らかとした。胆管癌は肝臓内(肝臓内BTC)または肝臓の閉鎖された領域(肝臓外BTC)に由来すため、肝臓におけるCES2発現は、腫瘍環境の近接での薬物蓄積に寄与しうるためBTCにおけるCAP7.1の使用に有益である。
【0010】
しかしながら、腫瘍内のCES2発現は不均一であり、いくつかの場合には、腫瘍に隣接する組織における発現よりも低い。腫瘍細胞それ自体に加えて、免疫細胞はいくつかの腫瘍のすぐ近辺に浸潤し、高レベルのCES2を発現することが示された。したがって、ある患者において、腫瘍に隣接する非腫瘍組織はCES2の関連する供給源であり得る。生検において全ての患者が腫瘍内浸潤を示したわけではなかった。肝臓内のCES介在性初回通過効果は、エステラーゼ活性依存性生物活性薬物の全身利用可能性に大幅に寄与し得るが、主な腫瘍特異的効果はその腫瘍内放出により介在されるときもまた、増大され得る。これは、腫瘍組織における腫瘍浸潤リンパ球もしくは肝臓におけるCES2の発現と独立しておよび/またはそれに加えて、それぞれの薬物の蓄積をもたらす。
【0011】
臨床的にいえば、CES2+BTC症例は、1)局所薬物レベルの増大、2)CES+リンパ球および3)胆管腫瘍周辺のCES2+肝臓組織というCAP7.1での治療から数倍の利益を得るはずである。
【0012】
したがって、
a.患者の腫瘍サンプルの提供、
b.腫瘍サンプルにおけるカルボキシルエステラーゼ2(CES2)発現の決定
の手順を含む、癌を有する患者を診断および/または階層化する方法により、上記の問題は初めて解決され、
ここで、腫瘍サンプルにおけるCES2発現の欠如は患者が化学療法剤のエステルプロドラッグを用いた処置により利益を得ないとのリスクを示し、そして
腫瘍サンプルにおけるCES2発現は、患者が化学療法剤のエステルプロドラッグを用いた処置により利益を得ることを示す。
【0013】
別の態様において、本発明は
a.患者の腫瘍サンプルの提供、
b.腫瘍サンプルにおけるカルボキシルエステラーゼ2(CES2)発現の決定
の手順を含む、患者が化学療法剤のエステルプロドラッグを用いた処置に対する応答者であるかを評価する方法を含み、
ここで、腫瘍サンプルにおけるCES2発現は、患者が化学療法剤のエステルプロドラッグを用いた処置に対する応答者であることを示す。
【0014】
本明細書で使用される用語「癌」とは、制御されていないまたは調節不全の細胞増殖、減少した細胞分化、周辺組織に浸潤する不適切な能力および/または異所性部位で新たな増殖を確立する能力により特徴付けられる細胞障害をいう。用語「癌」は、限定されないが、固形腫瘍および血液腫瘍を含む。用語「癌」は、皮膚、組織、臓器、骨、軟骨、血液および血管の疾患を包含する。用語「癌」はさらに、原発性および転移性癌を包含する。
【0015】
固形腫瘍の非限定的な例は、膵臓癌;膀胱癌;結腸直腸癌;胆管癌、転移性乳癌を含む乳癌;アンドロゲン依存性およびアンドロゲン非依存性前立腺癌を含む前立腺癌;例えば、転移性腎細胞癌を含む腎臓癌;肝臓癌;例えば、非小細胞肺癌(NSCLC)、気管支肺胞癌(BAC)および肺腺癌を含む肺癌;例えば、進行性上皮または原発性腹膜癌を含む卵巣癌;子宮頸癌;胃癌;食道癌;頭頸癌;例えば、頭頸部の扁平上皮癌を含む胸腺癌;例えば、悪性黒色腫を含む皮膚癌;転移性神経内分泌腫瘍を含む神経内分泌癌;例えば、神経膠腫、未分化乏突起神経膠腫、成人多形性グリア芽細胞腫、および成人未分化星状細胞腫を含む脳腫瘍;神経芽腫、骨癌;軟組織肉腫;および甲状腺癌を含む。
【0016】
血液系腫瘍の非限定的な例は、移行期CMLおよび慢性期CML(CML-BP)を含む急性骨髄白血病(AML);慢性骨髄白血病(CML);急性リンパ芽球性白血病(ALL);慢性リンパ性白血病(CLL);ホジキン病(HD);濾胞性リンパ腫およびマントル細胞リンパ腫を含む非ホジキンリンパ腫(NHL);B細胞リンパ腫;T細胞リンパ腫;多発性骨髄腫(MM);ワルデンストレームマクログロブリン血症;不応性貧血(RA)、環状鉄芽球を伴う不応性貧血(RARS)、芽球増加を伴う不応性貧血(RAEB)および形質転換(RAEB-T)におけるRAEBを含む骨髄異形成症候群(MDS);ならびに骨髄増殖性症候群を含む。
【0017】
しかしながら、本発明の好ましい実施態様はCES2陽性である胃腸癌に関する。最も好ましいのは胆管癌(BTC)である。
【0018】
本発明の状況において、腫瘍サンプルは、好ましくは腫瘍細胞のサンプルである。しかしながら、本発明の状況において、用語「腫瘍サンプル」はさらに、組織に隣接する腫瘍のサンプルもまた、含むべきである。その理由は、本発明が、一部患者の腫瘍隣接組織がCES2発現レベルの上昇を示すことを示すためである。サンプルの性質は癌のタイプによって変化し、血液もしくは血清サンプルから組織サンプルの範囲に至ることがある。好ましいものは生検により得られた組織サンプル、特に胆管癌に関する実施態様である。
【0019】
腫瘍サンプルにおけるCES2発現レベルは、好ましくは免疫学的に、好ましくは抗体染色により決定される。しかしながら、本発明はまた、限定されないが質量スペクトル法またはPCRに基づく技術のようなCES2発現の検出のための方法を使用し得る。CES2の発現レベルは、腫瘍がCES2を発現するかしないか、または腫瘍が減少または増大したCES2発現を有するかを評価するために、対照または基準と比較され得る。例えば、対照または基準値はCES2陰性基準腫瘍サンプルにおけるCES2発現の所定値である。
【0020】
本明細書で使用される「プロドラッグ」は、対象の体内で代謝変換され、したがって活性部分を遊離する薬物分子の化学誘導体(薬学的に活性な成分)を意味する。用語「エステルプロドラッグ」は、したがって、対象の体内で加水分解のような変換をうけて活性薬物を遊離する薬学的に活性な成分の不活性なエステル形態(すなわち-CO-OR;ここでRは有機置換基である)として理解される。エステルプロドラッグは、好ましくはCES2によって変換される。
【0021】
プロドラッグは、好ましい実施態様において、エトポシドプロドラッグ、例えば式I:
【化1】
〔式中、
XはO、NHおよびSから成る群から選択され、
nは0、1または2であり、
R
1およびR
2は独立して、H、メチルおよびエチルからなる群から選択されるか、または一体となってCR
3R
4を形成し、
ここで、R
3およびR
4はH、メチルおよびエチルである〕
を有する化合物、またはそれらのプロドラッグ、誘導体溶媒和物もしくは塩である。
【0022】
好ましくは、本発明のプロドラッグは
【化2】
から選択される。好ましくは、本発明の化合物はCAP7.1である。
【0023】
ある好ましい態様において、本発明はまた、本明細書に開示される方法における使用のための上記プロドラッグを提供する。
【0024】
本発明の別の態様はさらに、処置において癌患者から得られた尿サンプル中の化学療法剤のエステルプロドラッグと化学療法剤の比(プロドラッグ:活性化合物=尿比 URを決定する方法を含む、癌患者における化学療法剤のエステルプロドラッグを用いた処置をモニタリングする方法に関し、ここで、対照または基準値と比較して減少したURは、処置に対する応答およびエステルプロドラッグを用いた処置を継続するべきであることを示す。
【0025】
この状況における基準または対照値とは、化学療法剤のエステルプロドラッグを用いた処置に応答しない患者におけるURをいう。
【0026】
ある別の態様において、本発明はさらに、処置において癌患者から得られた尿サンプル中の化学療法剤のエステルプロドラッグと化学療法剤の比(プロドラッグ:活性化合物=尿比 UR)を決定する方法を含む、癌患者における化学療法剤のエステルプロドラッグを用いた処置をモニタリングする方法に関し、ここで、対照または基準値と比較して増大したURは、患者が処置に対する非応答者であることおよびエステルプロドラッグを用いた処置を中断すべきであることを示す。
【0027】
この態様において、この状況における基準または対照値は化学療法剤のエステルプロドラッグを用いた処置に応答する患者におけるURを参照する。
【0028】
URを決定するために、処置はエステルプロドラッグの患者への投与の手順を含む。
【0029】
いくつかの実施態様において、患者のサンプルにおける低いUR(10未満、より好ましくは5未満、より好ましくは4未満、3未満、2未満、1未満、0.9未満、0.8未満、0.7未満、0.6未満、0.5未満、0.4未満、0.3未満、0.2未満、0.1未満、好ましくは0.09未満、0.08未満、0.07未満、0.06未満、最も好ましくは0.05未満)は、処置に対する応答およびエステルプロドラッグを用いた処置を継続するべきであることを示す。
【0030】
いくつかの実施態様において、患者のサンプルにおける0.5未満のURは、処置に対する応答およびエステルプロドラッグを用いた処置を継続するべきであることを示す。
【0031】
いくつかの実施態様において、患者のサンプルにおける0.1未満、好ましくは0.05未満のURは、処置に対する応答およびエステルプロドラッグを用いた処置を継続するべきであることを示す。
【0032】
本明細書に記載の発明の方法は、好ましい実施態様において、インビボ法またはエキソビボ法である。
【0033】
本発明により患者から得られた尿サンプルは、好ましくは特定の期間で回収された尿サンプルである。例えば、いくつかの実施態様において期間は少なくとも12時間、好ましくは少なくとも24時間である。
【0034】
URの決定に加えて、本発明はまた、URの決定および患者由来の腫瘍サンプルにおけるCES2の発現を決定する手順の両方を含む方法を提供する。CES2発現およびURの組合せの予測値は両マーカーについての単独予測値より極めて高い。
【0035】
本発明の別の態様はさらに、
a.本願発明の何れかの方法により、癌患者が化学療法剤のエステルプロドラッグに対する応答者であるかどうかを評価すること、および
b.(i)患者が化学療法剤のエステルプロドラッグを用いた処置に対する応答者ではないことについて減少したリスクを有するならば、癌患者を化学療法剤のエステルプロドラッグを用いて処置すること、または
(ii)患者が化学療法剤のエステルプロドラッグを用いた処置に対する応答者ではないことについて増大したリスクを有するならば、癌患者を化学療法剤のエステルプロドラッグと異なる処置を含む処置レジメンを用いて処置すること
を含む、患者の癌を処置する方法に関する。
【0036】
化学療法剤のエステルプロドラッグは、好ましくはエトポシドのエステルプロドラッグ、好ましくはCAP7.1である。癌は上記定義のとおりであるか、または好ましくは胆管癌(BTC)である。
【0037】
さらなる態様は、
a.治療有効量の化学療法剤のエステルプロドラッグを患者に投与すること、
b.患者由来の尿サンプルを取得すること、
c.尿サンプル中の化学療法剤のエステルプロドラッグと化学療法剤の尿比を決定すること
を含む、患者の癌を処置する方法に関する。
【0038】
対照または基準値と比較して減少した尿比は、患者の癌が化学療法剤のエステルプロドラッグに感受性であることを示す。好ましくは、対照または基準値と比較して減少した尿比は、化学療法剤のエステルプロドラッグの投与または副作用を避けるための薬量の調整を含む処置を継続することを示し、またはここで対照または基準値と比較して増大した尿比は、化学療法剤のエステルプロドラッグの投与を含む処置を中断することを示す。
【0039】
本明細書に記載の発明の状況において、用語「患者」は、動物またはヒトをいうものとする。好ましくは、動物患者は哺乳動物、より好ましくは、ウシ亜科動物、ウマ、ニワトリ、ブタ、ヒツジ、ヤギなどのような家畜、またはイヌ、ネコ、トリ、齧歯類などのようなペット動物である。最も好ましくは、患者はヒト患者である。
【0040】
多様な検査結果、放射線結果または臨床結果のいずれかが達成されるならば、疾患または障害を有する患者への化合物、製品および/または医薬組成物の患者への投与は成功であると考えられる。例えば、疾患または障害に関連する1以上の症状が軽減され、減少し、阻害されるまたは次の段階に、すなわち、悪い段階に進行しないとき、投与は成功であると考えられる。障害が、寛解が見られるかまたは次の段階に、すなわち、悪い段階に進行しないとき、投与は成功であると考えられる。好ましくは、本明細書に記載の発明の状況において、癌細胞亜集団の増殖の量、数または速度が減少するかまたは減弱するとき、処置の成功が達成される。このような結果は、処置された患者に処置後の癌再発またはさらなる転移の形成を避けるためのより良い機会を与える。
【0041】
本明細書に記載の発明にかかる癌はまた、結腸直腸癌であり得る。
【0042】
さらに、本発明の別の態様において、
a.患者の腫瘍組織のサンプルおよび/または患者における腫瘍に(直接)隣接する健常組織のサンプルを提供すること
b.患者の前記腫瘍組織の前記サンプルの、腫瘍組織細胞または腫瘍組織浸潤白血球におけるCES2の発現レベルを決定すること、および/または
c.患者における腫瘍に隣接する健常組織の前記サンプルの、健常組織細胞および/または健常組織浸潤白血球におけるCES2の発現レベルを決定すること
;および
d.患者の腫瘍組織の前記サンプルの腫瘍組織または腫瘍組織浸潤白血球において、対照と比較してCES2が発現するか、または有意に多く発現するならば、および/または患者の腫瘍に隣接する健常組織の前記サンプルの健常組織細胞および/または健常組織浸潤白血球において、対照と比較してCES2が発現するか、または有意に多く発現するならば、治療有効量の化学療法剤のエステルプロドラッグを患者に投与すること;または
患者の腫瘍組織の前記サンプルの腫瘍組織または腫瘍組織浸潤白血球において、対照と比較してCES2が発現しないか、または有意に低く発現するならば、および/または患者の腫瘍に隣接する健常組織の前記サンプルの健常組織細胞および/または健常組織浸潤白血球において、対照と比較してCES2が発現しないか、または有意に低く発現するならば、治療有効量のエステルプロドラッグではない化学療法剤を患者に投与すること
を含む、固形腫瘍疾患を処置する方法が提供される。
【0043】
また、
a.患者の腫瘍組織のサンプルおよび/または患者における腫瘍に(直接的に)隣接する健常組織のサンプルを提供する手順
b.患者の前記腫瘍組織の前記サンプルの、腫瘍組織細胞または腫瘍組織浸潤白血球におけるCES2の発現レベルを決定する手順、および/または
c.患者における腫瘍に隣接する健常組織の前記サンプルの、健常組織細胞および/または健常組織浸潤白血球におけるCES2の発現レベルを決定する手順
;および
d.患者の腫瘍組織の前記サンプルの腫瘍組織または腫瘍組織浸潤白血球において、対照と比較してCES2が発現するか、または有意に多く発現するならば、および/または患者の腫瘍に隣接する健常組織の前記サンプルの健常組織細胞および/または健常組織浸潤白血球において、対照と比較してCES2が発現するか、または有意に多く発現するならば、治療有効量の化学療法剤のエステルプロドラッグが患者に対する処置として決定される;または
患者の腫瘍組織の前記サンプルの腫瘍組織または腫瘍組織浸潤白血球において、対照と比較してCES2が発現しないか、または有意に低く発現するならば、および/または患者の腫瘍に隣接する健常組織の前記サンプルの健常組織細胞および/または健常組織浸潤白血球において、対照と比較してCES2が発現しないか、または有意に低く発現するならば、治療有効量のエステルプロドラッグではない化学療法剤が患者に対する処置として決定される手順
を含む、固形腫瘍を有する患者に対する処置を決定するための方法も提供される。
【0044】
固形腫瘍疾患は、好ましくは結腸直腸癌(CRC)である。
【0045】
本明細書に記載のように、好ましい実施態様において、化学療法剤のエステルプロドラッグはCAP7.1またはその誘導体もしくは塩もしくは溶媒和物である。
【0046】
いくつかの実施態様において患者の組織サンプルを提供することは、腫瘍組織および/または隣接する健常組織を伴う切除を含む。
【0047】
本明細書に記載の発明の状況において、腫瘍に隣接する組織のサンプルは、好ましくは固有層の細胞を含む、好ましくは少なくとも1つの腫瘍組織を直接囲んでいる(接触している)非腫瘍細胞を含む。
【0048】
いくつかの実施態様において、CES2の発現は免疫組織化学的に、好ましくは♯ab64867ウサギポリクローナル抗体(Abcam、ケンブリッジ、イギリス)のようなCES2特異的抗体により決定される。CES2発現の等級付けは、この節で説明することができる。CES2発現の等級付けは、好ましい実施態様において、本発明の実施例に記載のように実施される。
【0049】
上の2つの本発明の方法の他の好ましい実施態様において、CES発現は、本明細書に記載の独創的な処置または治療決定を行うために、腫瘍組織および/または隣接する健常組織に浸潤する白血球において決定される。
【0050】
用語「白血球」とは、好中球、好酸球、好塩基球、単球を含む顆粒球およびB細胞およびT細胞を含むリンパ球および特に断らない限り、血小板をいう。いくつかの好ましい実施態様において、本発明の状況における用語「白血球」は、形質細胞に関する。
【0051】
本発明は、添付の図面および配列表を参照して以下の実施例においてこれよりさらに説明されるが、それに限定されるものではない。本発明の目的のために、本明細書で引用される全ての文献は、それらの全体における参照により、本明細書に包含させる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】CES2組織染色:A:CAP7応答患者;B:CAP7非応答患者。
【
図2】CAP7.1で処置された対象群の尿比:1=UR<0.0416およびCES+の疾患対象および部分応答を有する患者;2=UR>0.0416およびCES+であるまたは決定していない、SDを有する患者3=UR>0.0416およびCES-/+であるまたは決定していない、PDを有する患者。
【
図3】CES発現の採点。(A)正常組織の切片または(B)段階的CRC由来のTMAスポットを、免疫組織化学により、CES2に対して染色した(褐色);ヘマトキシリンで染色した核(青)。(A)腺窩を有する上皮性細胞における強い発現を伴う正常結腸における特徴的なCES-2分布。(B)0点:全ての腫瘍細胞がCES-2を発現していない;5点:腫瘍細胞の約20%において強いCES-2発現;6点:腫瘍細胞の最大90%において中程度のCES-2発現;7点:腫瘍細胞の最大90%において強いCES-2発現;8点:腫瘍細胞の90%以上において中程度のCES-2発現。代表図;元の倍率x100。バーは100μmを表す。
【
図4】CRCにおけるCES-2発現。種々のグレードのCRCを有する患者に由来する腫瘍および正常結腸組織を、免疫組織化学により、CES-2について染色した。腫瘍および上皮性細胞のCES-2発現を採点した。(A)腫瘍グレードG2(n=10)およびG3(n=4)の切除されたCRC組織に由来するCES-2発現の点数。平均+/-SDを伴う散布図。(B)腫瘍グレードG1(n=4)、G2(n=47)およびG3(n=35)に由来するCRC組織のTMAスポットからのCES-2発現の点数。平均+/-SDを伴う散布図。
【
図5】CRCにおける腫瘍組織内および周辺のCES2+細胞の細胞型および局在化。CES-2発現については免疫組織化学、または種々の細胞型についてはタンパク質を、グレード2のCRCを有する患者から切除されたCRC腫瘍組織のサンプルを用いて実施した。ヘマトキシリンを用いて核を染色した。(A)正常組織領域または(B、C)腫瘍領域をCES-2に対して染色し、矢印は多数のCES-2+細胞を示す。腫瘍組織を(D)CD11b+免疫細胞(赤)、(E)MPO+好中球(赤)、(F)CD20+B細胞(赤)およびCD3+T細胞(褐色)、(G)CD163+マクロファージ(赤)およびCES-2+細胞(青)または(H)CD138+形質細胞(赤)およびCD68+マクロファージ(褐色)に対して染色した。グレード2~3のCRCを有する患者(n=10)についての代表図;元の倍率x100。バーは100μmを表す。
【
図6】CRC由来の腸組織におけるCES-2+形質細胞。(A、B)CRC患者由来の正常結腸組織または(C、E)CRC腫瘍組織を免疫蛍光により(A、C)CES-2(赤)およびCD138(緑)に対してまたは免疫組織化学により(B、D、E)CES-2(褐色)およびMUM-1(赤)に対して染色した。DAPI(A、C)またはヘマトキシリン(B、D、E)を用いて核を染色し、青色になった。グレード2~3のCRCを有する患者(n=10)についての代表図;元の倍率x400。バーは20μmを表す。
【0053】
応答者=患者が治療的利益を示し、少なくとも2周期のCAP7.1を与えられる。
【実施例】
【0054】
プロドラッグCAP7.1は活性なエトポシドへの変換を必要とするため、局所的および全身的なCES2発現がCAP7.1の有効性および安全性についての決定因子であり得る。
【0055】
CES2タンパク質発現のIHC評価は、CAP7.1の応答および耐性の予測をもたらす可能性があり、市販後調査における患者階層化に利用されることがある。CAP7.1:エトポシドの尿比(UR)の評価は、薬物レベルを最適化するための薬物の治療モニタリングを潜在的に支持し得る、BTCを有する患者におけるCAP7.1の代謝についての情報を提供し得る。
【0056】
CAP7.1のエトポシドへの変換における主な決定要因は、ヒトカルボキシルエステラーゼ、特にCES2である。したがって、腫瘍部位におけるCES2によるCAP7.1のエトポシドへの変換は、特に腫瘍において強く発現するCES2を有する患者に利益を提供し得る。さらに、全身変換率もまた重要であり得る。
【0057】
したがって、全身発現を評価するための腫瘍および末梢単核細胞(PBMC)における発現を評価するために、腫瘍生検におけるCES2発現を測定することが提案される。さらに、CAP7.1およびエトポシドの尿比はCAP7.1のエトポシドへの全身変換に対する指標を提供する。
【0058】
実施例1:CES2腫瘍発現はCAP7.1治療成功と相関する
新たな治験プロトコルにおいて、仮説を試験するために腫瘍組織サンプルのCES2の染色を導入した。したがって、CAP7.1で処置された7名の患者およびBSC対照としての1名の患者に由来するデータがBTC腫瘍におけるCES2+発現について利用可能である(表1)。
【表1】
【0059】
腫瘍サンプルのCES2染色を
図1に示す。
図1Aは、CAP7.1処置に応答する患者において高いCES2発現が観察されるが、非応答応答患者において低いCES2発現が観察されることを示す(
図1B)。
【0060】
実施例2:第I相および第II相試験におけるCAP7.1およびエトポシドの尿薬物分析
24時間尿採取物におけるCAP7.1のエトポシドへの変換およびCAP7.1:エトポシドの尿比(UR)に関する第I相および第II相データの評価を行った。URおよびCES2発現に関して、CAP7.1に対するSD(安定な疾患)およびPR(部分応答)応答を含む疾患制御された患者およびCAP7.1に対する非応答者(進行性疾患を有する患者(PD))についての尿回収データを評価した。結果を
図2に示す:URは高いCES2発現を有するCAP7.1に応答する対象が2つの群に分類され、一方は低いURを有し、もう一方は高いURを有する。
【0061】
低いURを有する群は、0.00716(0.0121)の中央値(範囲)を有した。この群の75%四分位数は0.0416であった。したがって、URが0.0416未満の高いCES2発現を有するあらゆる応答者は低UR対象に分類し、CES2発現は高いがURがUR0.0146以上の応答者は高UR対象として分類した。
【表2】
【0062】
表2から理解できるように、低い尿比を有する対象はCAP7.1応答者である可能性が極めて高い。
【0063】
実施例3:腫瘍細胞におけるCES-2発現は結腸直腸癌における腫瘍グレードと相関しない。
近年の免疫組織化学的分析は、CRCにおいて広範なCES-2発現を示す[5、6]。基本レベルのCES発現についてより多くの情報を得るために、免疫組織化学を用いて手術の切除領域に由来する非炎症性結腸組織を分析した。上皮性細胞におけるCES-2発現は、表面上皮において最も高い発現を伴う正常ヒト結腸において腺窩とともに増大したが、発現は腺窩の基部で完全に減少したことが明らかになった(
図3B)。これはCES-2発現が上皮性細胞分化中に増大したことを示す。
【0064】
グレードG2およびG3のCRC腫瘍サンプル由来の少数の患者サンプル(n=14)を用いた初期の試験は、CES-2発現スコアおよび腫瘍グレードの間に顕著な相関を示さなかった(マン・ホイットニー検定;
図4A)。86患者を表すマイクロアレイ由来の86サンプル(盲腸:n=8、結腸:n=56、直腸:n=22)スクリーニングは、腫瘍グレードに対する顕著な相関を有さない0~8のCES-2発現スコアであった(クラスカル-ウォリス検定;
図4B)。このように、腫瘍細胞内のCES-2の発現レベルは腫瘍の状態と関連しなかった。
【0065】
TMAサンプルは腫瘍内の1つの位置にのみ由来するため、スコア0のサンプルが対応する切除された腫瘍組織のより広い領域におけるCES-2発現パターンの代表例であることを確認することが重要であった。TMAおよび切除された腫瘍組織のより広い領域に由来する同一のCES-2発現スコアが明らかになったのはCRC症例のわずか半分である(示さず)。いくつかの腫瘍はCES-2タンパク質を全く有さないため、可能性のある代償メカニズムとしてCES-1の発現について試験した。試験されたTMA(n=86)由来の全ての腫瘍および切除された腫瘍組織のより広い領域にスポット(n=14)はCES-1について陰性であった。さらに、試験された盲腸、結腸および直腸のNECは、CES-1およびCES-2の両方について陰性であった(示さず)。
【0066】
CRCにおいて、CES-2発現もまた、単一の腫瘍内で不均一であった。したがって、腫瘍の外科的切除の間に回収された正常結腸組織および全グレードのCRC腫瘍との間のCES-2発現を比較するために、患者適合サンプル(n=41)に焦点を当てた。上皮性細胞スコア5~8の範囲の中程度から強いCES-2発現を示す。CRCにおける上皮性細胞由来の腫瘍細胞と比較して、CES-2の全体の発現は正常上皮性細胞において顕著に高かった(ウィルコクソンの符号順位検定でp=0.0323)。
【0067】
実施例4:腫瘍発現CES-2の直近における免疫細胞。
CRC手術から離れた非癌領域から採取した固有層のサンプルの試験は、中程度の白血球浸潤、および多数の白血球がCES-2を強く発現したことを示した(
図5A)。いくつかの腫瘍において、癌障害の直近を囲む組織は散剤的なCES-2+細胞(
図5B)を示すのみであったが、他の腫瘍において組織は重度に浸潤された(
図5C)。腫瘍周辺の組織におけるCES-2+細胞の数は腫瘍細胞におけるCES-2発現レベルと独立した。腫瘍に直接浸潤する白血球は常にCES-2について陰性であるが、腫瘍の近くに位置する白血球におけるCES-2発現は、一貫して高い(
図5B、C)。CD11b+骨髄細胞(
図5D)、MPO+好中球(
図5E)、CD3+T細胞およびCD20+B細胞(
図5F)、CD163+マクロファージ(
図5G)ならびにCD68+マクロファージおよびCD138+形質細胞(
図5H)に注目した腫瘍周辺組織の免疫組織化学的分析は、様々な型の白血球の存在を明らかにした。
【0068】
実施例5:腫瘍近辺における形質細胞は、CRCにおけるCES-2の産生に寄与する。
血漿細胞区画に特異的に対処するために、組織は血漿および上皮細胞において発現するCES-2およびCD138[15]およびそして大部分は形質細胞の核および細胞質で発現するMUM1[16]についてそれぞれ共染色した。蛍光(
図6A、C)および明視野顕微鏡(
図6B、D、E)により、CRCを有する患者由来の結腸組織(
図4A、B)およびCRC近辺における結腸組織(
図6C、D)の固有層におけるCES-2の産生として、形質細胞を確認した。全てのCES-2+細胞は形質細胞であったが、全ての形質細胞がCES-2を発現したわけではなかった;CES-2を含まない形質細胞もまた、腫瘍周辺組織において存在した(
図6E)。
【0069】
これらの観察は腫瘍の直近の形質細胞が、イン・サイチュでCESの酵素活性の重要な供給源であることを示した。
【0070】
材料および方法
ヒト組織および血液サンプル。以下の保管されたホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)サンプルを、Charite-Universitaetsmedizin, Zentrale Biomaterialbank (ZeBanC; http://biobank.charite.de/service/) (ベルリン、ドイツ)の組織バンクから得た:大腸の神経内分泌癌(NEC) (盲腸、n=2;結腸、n=3;直腸、n=2)、クローン病(CD、n=4)または潰瘍性大腸炎(UC、n=5)を有する、組織マイクロアレイを含むCRCを有する患者由来の腸組織;肝細胞(HCC、n=5)または胆管細胞癌(CCC、n=6)を有する患者由来の肝臓組織;CRCを有する患者由来の正常結腸組織。ヘマトキシリン/エオシン(H&E)染色後に評価した正常な腸形態学を有する切除余白から採取した正常組織。健常なドナー由来の全体血液サンプルを白血球除去輸血からのろ過から得た。試験はCharite-Universitaetsmedizin Berlinにより承認された(登録番号EA1-157-13)。
【表3】
【0071】
組織病理。CES-1に対する特異的抗体(クローンEP1376Y;Biozol Diagnostica、エヒング、ドイツ)またはCES-2に対する特異的抗体(#ab64867、ウサギポリクローナル抗体;Abcam;ケンブリッジ、イギリス)とインキュベートする前に、保管した患者サンプルの薄切片(1~2μm)をH&E染色するかまたは熱誘発性回復した。これらをジアミノベンジジン(DAB;Dako)を色原体としてEnVision+ HRP System(#K4011;Dako、Glostrup、Denmark)を用いて可視化した。核をヘマトキシリンで対比染色し、グリセロールゼラチンとスライドカバーに納める(いずれもMerck、ダルムシュタット、ドイツ)。画像取得のために、AxioImager Z1顕微鏡(Carl Zeiss MicroImaging、イェーナ、ドイツ)を使用した。全ての評価は盲検法で実施された。
【0072】
組織サンプルにおけるCES発現を評価するために、CES発現腫瘍細胞の発現レベルおよび割合を追加し、以下のように全体スコア2~8を作り出した:発現レベル - 1、低い発現;2、中程度の発現;3、強い発現。割合 - 1、<10%;2、10~30%;3、31~60%;4、61~90%;5、>90%(
図3)。
【0073】
CES-2+白血球の検出のために、二重内因性酵素ブロック試薬(Dako)を用いて内因性アルカリホスファターゼ(AP)をブロックする前に、切片を熱誘発性エピトープ検索手順に供した。洗浄後、切片を抗CES-2抗体とインキュベートし、その後ビオチニル化抗ウサギ-ヤギ抗体(Dianova、ハンブルグ、ドイツ)およびAP-標識ストレプトアビジン(Dako)とインキュベートした。VECTOR Blue基質キット(#SK-5300;Vector Laboratories、バーリンゲーム、アメリカ合衆国)を用いてAPを可視化した。その後タンパク質を圧力釜により不活性化させ、切片をCD3(クローンM-20;Santa Cruz、サンディエゴ、アメリカ合衆国)、CD11b(クローンEP1345Y;Abcam)、CD20(クローンL26;Dako)、CD68 (クローンPG M1;Dako)、CD138(クローンMI15;Dako)、CD163(クローン10D6;Leica Biosystems、ヌスロッホ、ドイツ)またはMPO(#A0389、ウサギポリクローナル抗体;Dako)に対して特異的な抗体とインキュベートし、その後ビオチニル化二次抗体(抗ヤギ、抗マウスまたは抗ウサギ;Life Technologies、カールスバッド、アメリカ合衆国)およびAP標識ストレプトアビジン(Dako)とインキュベートした。色原体FastRed(Dako)を用いてAPを可視化した。核を上記のように対比染色し、スライドカバーに納め、AxioImager Z1顕微鏡を用いて画像を取得した。FastRedおよびVECTOR Blueは両方とも蛍光性であるため、共発現もまた、蛍光顕微鏡(放出ピーク:Red/560nm、VECTOR Blue/680nm)を用いて検出した。CES-2発現形質細胞の免疫組織化学的検出のために、二重内因性酵素ブロック試薬(Dako)を用いて内因性APをブロックする前に、切片を熱誘発性エピトープ検索手順に供した。その後抗MUM1(クローンMUM1p、Dako)、LSABTM+、Dako REALTM Detection System(#K5005、Dako)とインキュベートした。発色後、タンパク質を圧力釜により不活性化させ、ペルオキシダーゼブロック溶液(Dako)により内因性ペルオキシダーゼをブロックした。切片を抗CES-2、EnVision+ HRP SystemおよびDABとインキュベートした。核をヘマトキシリンで対比染色し、グリセロールゼラチンとスライドカバーに納める。さらに、CES-2およびCD138の対比染色のために、免疫組織化学および蛍光を組み合わせた。二重内因性酵素ブロック試薬(Dako)を用いて内因性APをブロックする前に、切片を熱誘発性エピトープ検索手順に供した。洗浄後、切片を抗CES-2抗体とインキュベートし、その後ビオチニル化抗ウサギ-ヤギ抗体(Dianova)およびAP-標識ストレプトアビジン(Dako)とインキュベートした。LSABTM+、Dako REALTM Detection Systemを用いてAPを可視化した。その後タンパク質を圧力釜により不活性化させ、抗CD138(クローンMI15;Dako)、ビオチニル化抗マウス二次抗体およびAlexa488-標識ストレプトアビジン(Invitrogen)とインキュベートした。DAPI(Sigma-Aldrich、セントルイス、アメリカ合衆国)を用いて核を対比染色し、切片をFluoromount G(BIOZOL、エヒング、ドイツ)でカバーした。陰性対照は一次抗体を除いて上のように実施した。
【0074】
ヒト細胞株。ヒト細胞株は、American Type Culture Collection (ATCC; Bethesda、アメリカ合衆国)またはGerman Collection of Microorganisms and Cell Cultures (DSMZ;ブラウンシュヴァイク、ドイツ)から得た。バーキットリンパ腫由来Raji細胞(ATCC CCL86)およびT細胞白血病由来Jurkat細胞(DSMZ ACC282)をリンパ芽について;汎発性組織球性リンパ腫U937細胞(ATCC CRL1593)および慢性骨髄性白血病由来K562細胞(ATCC CCL243)を骨髄について;結腸直腸腺癌由来HT-29細胞 (ATCC HTB38)および胚腎臓由来HEK293細胞(ATCC CRL1573)上皮性細胞についてのモデルとして使用した。全ての細胞株10%胎児ウシ血清(Linaris、ベッティンゲン、ドイツ)、2mmol/L L-グルタミンおよび1mmol/Lピルビン酸ナトリウム(いずれもBiochrom、ベルリン、ドイツより)を添加したRPMI1640(Gibco;Life Technologies、ダルムシュタット、ドイツ)から成る標準的な培養培地で維持した。週に2回継代するために、細胞をトリプシン(0.25%)/エチレンジアミン四酢酸(1mmol/L、Life Technologies)で分離した。マイコプラズマ特異的ポリメラーゼ連鎖反応(VenorGEM;Biochrom)を用いて細胞を日常的に試験し、陽性細胞を廃棄した。先に記載したように標準的な培養物から分離した細胞(2x108)をホルムアルデヒドで固定しパラフィンブロックに回収した[14]。
【0075】
末梢血単核細胞(PBMC)。製造者の指示に従って、Ficoll密度勾配遠心分離(ρ=1.078g/mL;GE Healthcare、フランクフルト、ドイツ)を用いてPBMCを調製した。免疫細胞化学のために、Shandonサイトスピン遠心分離(Thermo Fisher Scientific、ウォルサム、アメリカ合衆国)を用いて、2x105の新たに調製したPBMCを回転させて、スライドを調製した。
【0076】
定量リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(PCR)。特に断らない限り、試薬はLife Technologiesから購入した。RNApure(Peqlab、Erlangen、ドイツ)により調製されたPBMCおよび細胞株(5 10x106)に由来する総RNA(1μg)は、cDNA逆転写キットを用いて逆転写した。mRNA発現は、以下の遺伝子発現アッセイ:CES1(#Hs00275607_m1)、CES2(#Hs01077945_m1)およびグリセルアルデヒド3-ホスフェートデヒドロゲナーゼ(GAPDH;#Hs99999905_m1)およびTaqMan(登録商標) Universal PCR Master Mix in a StepOne Plus(登録商標)デバイス(全てApplied Biosystems、Foster City、アメリカ合衆国)を用いたTaqMan(登録商標)PCRにより評価した。定量化のために、各転写についての参照配列をpCR2.1 TOPO(Invitrogen、フローニンゲン、オランダ)にクローニングし、102~109のコピーまでを標準曲線に使用した。CES-1およびCES-2の発現をGAPDHに関して定量化した。
【0077】
統計。統計試験のために、ソフトウェアGraphPad Prism 6(Prism Software、サンディエゴ、アメリカ合衆国)を使用した。P値≦0.05が有意であると考えられる。
【0078】
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