(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-16
(45)【発行日】2022-09-28
(54)【発明の名称】エアロゾル発生システム用の流体透過性ヒーター組立品および流体透過性ヒーター組立品のための平面導電性フィラメント配列
(51)【国際特許分類】
H05B 3/10 20060101AFI20220920BHJP
A24F 40/46 20200101ALI20220920BHJP
H05B 3/42 20060101ALI20220920BHJP
【FI】
H05B3/10 A
A24F40/46
H05B3/42
(21)【出願番号】P 2018562085
(86)(22)【出願日】2017-05-22
(86)【国際出願番号】 EP2017062251
(87)【国際公開番号】W WO2017207320
(87)【国際公開日】2017-12-07
【審査請求日】2020-05-08
(32)【優先日】2016-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ミロノフ オレク
(72)【発明者】
【氏名】ジノヴィク イハル ニコラエヴィチ
【審査官】吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/117701(WO,A1)
【文献】特開2006-225182(JP,A)
【文献】特開2012-169109(JP,A)
【文献】特表平11-512224(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/10
A24F 40/46
H05B 3/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生システム用の流体透過性ヒーター組立品のための導電性平面フィラメント配列であって、前記平面フィラメント配列は、
中央部分と2つの側部を備え、前記2つの側部は前記中央部分の両側に配置され、前記中央部分は前記フィラメント配列の加熱領域を画定し、前記側部は前記フィラメント配列の電気接点領域を画定しており、
前記中央部分および前記2つの側部はそれぞれ複数の開口部を含み、前記中央部分の前記複数の開口部は前記中央部分の開口面積を画定し、側部それぞれの前記複数の開口部は前記側部の開口面積を画定しており、
前記中央部分の総面積
に対する前記中央部分
の前記開口面積の割合は、前記
2つの側部の一方の総面積
に対する前記
2つの側部
の一方の前記開口面積の割合よりも大きい、導電性平面フィラメント配列。
【請求項2】
前記中央部分の前記総面積
に対する前記中央部分
の前記開口面積の前記割合と前記2つの側部の一方の前記総面積
に対する前記
2つの側部
の一方の前記開口面積の前記割合の比は、1.1~30の間である、請求項1に記載の平面フィラメント配列。
【請求項3】
前記中央部分の前記開口面積は、前記中央部分の総面積の40パーセント~90パーセントの間であり、
前記2つの側部のそれぞれの前記開口面積は、前記2つの側部の総面積のそれぞれの、3パーセントよりも大きく、40パーセントよりも小さい、請求項1または2に記載の平面フィラメント配列。
【請求項4】
移行部分は、前記2つの側部のそれぞれと前記中央部分との間に配置され、移行部分それぞれは、開口面積を画定する複数の開口部を含み、前記移行部分にわたる前記開口面積の分布は、前記側部と前記中央部分との間で変化する、請求項1~3のいずれか1項に記載の平面フィラメント配列。
【請求項5】
前記2つの側部の一方から前記中央部分にわたって前記2つの側部の他方に延在する中央長手方向領域を含み、前記中央長手方向領域の内側の前記中央部分の総面積
に対する前記中央長手方向領域の内側の前記中央部分
の開口面積の割合は、前記中央長手方向領域の外側の前記中央部分の総面積
に対する前記中央長手方向領域の外側の前記中央部分
の開口面積の割合未満である、請求項1~4のいずれか1項に記載の平面フィラメント配列。
【請求項6】
前記フィラメント配列はメッシュ配列であり、前記2つの側部は第一の側部および第二の側部を含み、前記中央部分のメッシュと前記第一および第二の側部のメッシュはそれぞれメッシュ密度を含み、前記中央部分の前記メッシュ密度は前記第一および第二の側部のそれぞれの前記メッシュ密度よりも低い、請求項1~5のいずれか1項に記載の平面フィラメント配列。
【請求項7】
メッシュ密度勾配は、前記第一の側部と前記中央部分との間に、および前記中央部分と前記第二の側部との間に位置する、請求項6に記載の平面フィラメント配列。
【請求項8】
前記メッシュは織物であり、前記フィラメント配列の織り方向に、一定の数のフィラメントが前記フィラメント配列の全長に沿って相互に横並びに配置される、請求項6または7のいずれか1項に記載の平面フィラメント配列。
【請求項9】
前記2つの側部の一方から前記中央部分にわたって前記2つの側部の他方まで延在する中央長手方向領域を含み、前記メッシュは織物であり、前記フィラメント配列の織り方向で、前記中央長手方向領域の外側よりも前記中央長手方向領域内により多くのフィラメントが配置される、請求項6~8のいずれか1項に記載の平面フィラメント配列。
【請求項10】
エアロゾル発生システム用の流体透過性ヒーター組立品であって、前記流体透過性ヒーター組立品は、請求項1~9のいずれか1項に記載の導電性平面フィラメント配列、および、
前記平面フィラメント配列を電気的に接触させるための第一の接点および第二の接点を含み、長手方向軸は前記第一の接点と前記第二の接点との間に画定され、
中心面Scは、前記長手方向軸に垂直であって前記長手方向軸上に配置される2点において前記長手方向軸と交差する2線の間に延在する、前記ヒーター組立品の領域であり、前記2点のうちの一方は第一の接点から40パーセントに等しい距離に位置し、前記2点のうちの他方は前記第一の接点から前記第一および前記第二の接点間の距離の60パーセントに等しい距離に位置し、
第一の側面S1は、前記長手方向軸に垂直であって前記第一の接点と、前記長手方向軸上に配置され、前記第一の接点から前記第一および前記第二の接点間の距離の20パーセントに等しい距離に位置する点において前記長手方向軸と交差する2線の間に延在する、前記ヒーター組立品の領域であり、
第二の側面S2は、前記長手方向軸に垂直であって前記第二の接点と、前記長手方向軸上に配置され、前記第一の接点から前記第一および前記第二の接点間の距離の80パーセントに等しい距離に位置する点において前記長手方向軸と交差する2線の間の、前記ヒーター組立品の領域であり、
前記中心面Scは、開口面積ScOAを画定する複数の開口部を含み、前記第一の側面S1は開口面積S1OAを画定する複数の開口部を含み、前記第二の側面S2は開口面積S2OAを画定する複数の開口部を含み、
前記中心面の総面積
に対する前記中心面
の前記開口面積の割合ScOA/Scは、第一の側面の総面積
に対する前記第一の側面
の前記開口面積の割合S1OA/S1よりも大きく、
前記中心面の総面積
に対する前記中心面
の前記開口面積の割合ScOA/Scは、前記第二の側面の総面積
に対する前記第二の側面
の前記開口面積の割合S2OA/S2よりも大きい、エアロゾル発生システム用の流体透過性ヒーター組立品。
【請求項11】
中心抵抗Rcは前記長手方向軸に沿った前記中心面の電気抵抗であり、第一の抵抗R1は前記長手方向軸に沿った前記第一の側面S1の電気抵抗であり、第二の抵抗R2は前記長手方向軸に沿った前記第二の側面S2の電気抵抗であり、
前記中心抵抗Rcと前記第一の抵抗R1の比Rc/R1は2~400の間であり、前記中心抵抗Rcと前記第二の抵抗R2の比Rc/R2は2~400の間である、請求項10に記載のヒーター組立品。
【請求項12】
前記第一の接点と前記第二の接点との間の電気抵抗に対応する総抵抗Rtは0.5オーム~4オームの間であり、前記中心抵抗Rcは0.5オームよりも高く、前記第一の抵抗R1および前記第二の抵抗R2はそれぞれ100オームより低い、請求項11に記載のヒーター組立品。
【請求項13】
前記中心面の前記総面積
に対する前記中心面
の前記開口面積の前記割合ScOA/Scと前記
第一の側面の前記総面積
に対する前記第一の側面
の前記開口面積の前記割合S1OA/S1の比は、1.1~30の間であり、前記中心面の前記総面積
に対する前記中心面
の前記開口面積の前記割合ScOA/Scと前記第二の側面の前記総面積
に対する前記第二の側面
の前記開口面積の前記割合S2OA/S2の比は、1.1~30の間である、請求項10~12のいずれか1項に記載のヒーター組立品。
【請求項14】
前記中心面の前記開口面積ScOAは、前記中心面の総面積の40%~90%の間であり、
前記2つの側面のそれぞれの前記開口面積S1OA、S2OAは、前記2つの側面の総面積のそれぞれの3パーセントよりも大きく、40パーセントよりも小さい、請求項10~13のいずれか1項に記載のヒーター組立品。
【請求項15】
前記長手方向軸に垂直であって長手方向軸上に配置される2点において前記長手方向軸と交差する2線の間に延在する、前記ヒーター組立品の領域である、第一の移行面であって、前記2点のうちの一方は前記第一の接点から20パーセントに等しい距離に位置し、前記2点のうちの他方は前記第一の接点から前記第一および前記第二の接点間の距離の40パーセントに等しい距離に位置する、第一の移行面と、
前記長手方向軸に垂直であって前記長手方向軸上に配置される2点において前記長手方向軸と交差する2線の間に延在する、前記ヒーター組立品の領域である、第二の移行面であって、前記2点のうちの一方は前記第一の接点から60パーセントに等しい距離に位置し、前記2点のうちの他方は前記第一の接点から前記第一および前記第二の接点間の距離の80パーセントに等しい距離に位置する、第二の移行面と、をさらに備え、
前記第一の移行面は開口面積T1OAを画定する複数の開口部を含み、前記第二の移行面は開口面積T2OAを画定する複数の開口部を含み、
前記第一の移行面の総面積
に対する前記第一の移行面
の前記開口面積の割合T1OA/T1と前記第一の側面の総面積
に対する前記第一の側面
の前記開口面積の割合S1OA/S1の比は、1~30の間であり、
前記第二の移行面の前記総面積
に対する前記第二の移行面
の前記開口面積の前記割合T2OA/T2と前記第二の側面の前記総面積
に対する前記第二の側面
の前記開口面積の前記割合S2OA/S2の比は、1~30の間である、請求項10~14のいずれか1項に記載のヒーター組立品。
【請求項16】
基体を通る開口部を含む前記基体であって、
前記導電性平面フィラメント配列は前記基体の前記開口部上に延在する、基体、および
前記平面フィラメント配列を前記基体に取り付けるファスナー、を備える、請求項10~15のいずれか1項に記載のヒーター組立品。
【請求項17】
電気的に作動するエアロゾル発生システムであって、
エアロゾル発生装置および液体エアロゾル形成基体を含むカートリッジと、
請求項10~16のいずれか1項に記載の流体透過性ヒーター組立品、または、
請求項1~9のいずれか1項に記載の平面フィラメント配列を含む流体透過性ヒーター組立品と、を備え、
前記カートリッジは、開口部を有するハウジングを含み、前記ヒーター組立品は前記カートリッジの前記ハウジングの前記開口部にわたって延在し、
前記エアロゾル発生装置は、前記カートリッジを受けるためのくぼみを画定する本体、電源、および前記電源を前記ヒーター組立品に接続するための電気接点を含む、電気的に作動するエアロゾル発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生システム用の流体透過性ヒーター組立品およびこうした流体透過性ヒーター組立品のための導電性平面フィラメント配列に関連する。
【背景技術】
【0002】
流体透過性ヒーターおよび対応するヒーターの性能を改善しうる、こうした流体透過性ヒーターのためのフィラメント配列を有することが望ましい。具体的には、最適化された接触性能および加熱性能を有する、ヒーター組立品およびフィラメント配列を有することが望ましい。
【発明の概要】
【0003】
本発明の一態様によれば、エアロゾル発生システム用の流体透過性ヒーター組立品のための、好ましくは、本発明による、また本明細書に定義される通りのヒーター組立品のための導電性平面フィラメント配列が提供されている。平面フィラメント配列は、中央部分と2つの側部を含み、2つの側部は中央部分の両側に配置される。中央部分はフィラメント配列の加熱領域を画定し、側部はフィラメント配列の電気接点領域を画定する。中央部分と2つの側部はそれぞれ複数の開口部を含み、複数の開口部それぞれは、中央部分の開口面積と、2つの側部のそれぞれの開口面積とを画定している。中央部分の開口面積を含む中央部分の総面積の割合は、側部の開口面積を含む側部の一方の総面積の割合よりも大きい。
【0004】
中央部分の開口面積を含む中央部分の総面積の割合は、側部の開口面積を含む側部のそれぞれの総面積の割合よりも大きくてもよい。中央部分の開口面積を含む中央部分の総面積の割合は、側部の開口面積を含む側部の両方の総面積の割合よりも大きくてもよい。
【0005】
中央部分の開口面積を含む中央部分の総面積の割合と側部の開口面積を含む2つの側部の一方の総面積の割合の比は、1.1~30の間でありうる。中央部分の開口面積を含む中央部分の総面積の割合と側部の開口面積を含む2つの側部の一方の総面積の割合の比は、2~28の間、例えば、2~15の間または15~28の間でありうる。
【0006】
本発明の別の態様によれば、エアロゾル発生システム用の流体透過性ヒーター組立品のための、好ましくは、本発明による、また本明細書に定義される通りのヒーター組立品のための導電性平面フィラメント配列が提供されている。平面フィラメント配列は、中央部分と2つの側部を含み、2つの側部は中央部分の両側に配置される。中央部分はフィラメント配列の加熱領域を画定し、側部はフィラメント配列の電気接点領域を画定する。中央部分と2つの側部はそれぞれ複数の開口部を含み、複数の開口部それぞれは、中央部分の開口面積と、2つの側部のそれぞれの開口面積とを画定している。中央部分の開口面積と2つの側部の一方の開口面積の比は、1.1~30の間である。中央部分の開口面積と2つの側部の一方の開口面積の比は、2~28の間、例えば、2~15の間または15~28の間であることが好ましい。
【0007】
中央部分の開口面積は、中央部分の総面積の約40パーセント~約90パーセントの間でありうる。中央部分の開口面積は、約50パーセント~約80パーセントの間であることが好ましく、約50~約70パーセントの間であることがより好ましい。
【0008】
2つの側部のそれぞれの開口面積は、0よりも大きく、そして、2つの側部の総面積のそれぞれの、約3パーセントよりも大きく、約40パーセントよりも小さくてもよい。側部のそれぞれの開口面積は、約5パーセントよりも大きく約35パーセントよりも小さいことが好ましく、約20パーセントよりも小さいことがより好ましく、例えば、2つの側部のそれぞれの開口面積は、約5パーセント~約15パーセントの間である。
【0009】
フィラメント配列の中央部分は、フィラメント配列のサイズの約20%上に延在、またはこれを含むが、フィラメント配列のサイズの最大約60パーセントまで延在しうる、と画定される。側部は、フィラメント配列のサイズの約20パーセント上に延在、またはこれを含むが、フィラメント配列のサイズの最大約40パーセントまで延在しうる、と画定される。したがって、例えば、約65パーセント~約85パーセントの大きな開口面積を有するフィラメント配列の加熱領域に対応する中央部分は、フィラメント配列のサイズの約20%まで低減されうる。フィラメント配列の残りのサイズは、例えば、それぞれ約5パーセント~約10パーセントの間の小さな開口面積を有する側部としうるが、ここでは加熱が発生しないか、またはほとんど加熱が生じない。また、フィラメント配列の残りのサイズは、側部および、以下でより詳細に説明されるように側部と中央部分との間に配置される移行部分でありうる。
【0010】
本発明の別の態様によれば、エアロゾル発生システム用の流体透過性ヒーター組立品が提供されている。流体透過性ヒーター組立品は、導電性平面フィラメント配列と、平面フィラメント配列を電気的に接触させるための第一の接点および第二の接点とを含む。長手方向軸は、第一の接点と第二の接点との間に画定される。ヒーター組立品において、中心面Scは、長手方向軸に垂直であって長手方向軸上に配置される2点において長手方向軸と交差する2線の間に延在する、ヒーター組立品の領域であり、2点のうちの一方は第一の接点から40パーセントに等しい距離に位置し、2点のうちの他方は第一の接点から第一および第二の接点間の距離の60パーセントに等しい距離に位置する。第一の側面S1は、長手方向軸に垂直であって、第一の接点と、長手方向軸上に配置され、第一の接点から第一および第二の接点間の距離の20パーセントに等しい距離に位置する点において長手方向軸と交差する、2線の間に延在する、ヒーター組立品の領域である。第二の側面S2は、長手方向軸に垂直であって第二の接点と、長手方向軸上に配置され、第一の接点から第一および第二の接点間の距離の80パーセントに等しい距離に位置する点において長手方向軸と交差する2線の間のヒーター組立品の領域である。
【0011】
中心面Scは、開口面積ScOAを画定する複数の開口部を含み、第一の側面S1は開口面積S1OAを画定する複数の開口部を含み、第二の側面S2は開口面積S2OAを画定する複数の開口部を含む。
【0012】
中心面の開口面積を含む中心面の総面積の割合は、第一の側面の開口面積を含む第一の側面の総面積の割合よりも大きく、中心面の開口面積を含む中心面の総面積の割合は、第二の側の開口面積を含む第二の側面の総面積の割合よりも大きい。
【0013】
中心面の開口面積を含む中心面の総面積の割合と第一の側面の開口面積を含む中心面の総面積の割合の比ScOA/S1OAは、1.1~30の間であってもよく、中心面の開口面積を含む中心面の総面積の割合と第二の側面の開口面積を含む第二の側面の総面積の割合の比ScOA/S2OAは、1.1~30の間であってもよい。
【0014】
本発明の別の態様によれば、エアロゾル発生システム用の流体透過性ヒーター組立品が提供されている。流体透過性ヒーター組立品は、導電性平面フィラメント配列と、平面フィラメント配列を電気的に接触させるための第一の接点および第二の接点とを含む。長手方向軸は、第一の接点と第二の接点との間に画定される。ヒーター組立品において、中心面Scは、長手方向軸に垂直であって長手方向軸上に配置される2点において長手方向軸と交差する2線の間に延在する、ヒーター組立品の領域であり、2点のうちの一方は第一の接点から40パーセントに等しい距離に位置し、2点のうちの他方は第一の接点から第一および第二の接点間の距離の60パーセントに等しい距離に位置する。第一の側面S1は、長手方向軸に垂直であって、第一の接点と、長手方向軸上に配置され、第一の接点から第一および第二の接点間の距離の20パーセントに等しい距離に位置する点において長手方向軸と交差する、2線の間に延在する、ヒーター組立品の領域である。第二の側面S2は、長手方向軸に垂直であって第二の接点と、長手方向軸上に配置され、第一の接点から第一および第二の接点間の距離の80パーセントに等しい距離に位置する点において長手方向軸と交差する2線の間のヒーター組立品の領域である。
【0015】
中心面Scは、開口面積ScOAを画定する複数の開口を含み、第一の側面S1は開口面積S1OAを画定する複数の開口部を含み、第二の側面S2は開口面積S2OAを画定する複数の開口部を含む。中心面の開口面積と第一の側面の開口面積の比ScOA/S1OAは、1.1~30の間であり、中心面の開口面積と第二の側面の開口面積の比ScOA/S2OAは、1.1~30の間である。中心面の開口面積と第一の側面または第二の側面の比ScOA/S1OA、またはScOA/S2OAは、2~28の間、例えば、2~15の間または15~28の間であることが好ましい。
【0016】
中心面の開口面積ScOAの、中心面の総面積の約40パーセント~約90パーセントの間でありうる。中心面における開口面積は、約50パーセント~約80パーセントの間であることが好ましく、約50%~約70%の間であることがより好ましい。
【0017】
ヒーター組立品は、長手方向軸の長さに沿って、フィラメント配列に対して一定の幅を有しうる。ヒーター組立品は、長手方向軸の長さに沿って可変の幅を有してもよい。これらの場合、開口面積を計算する目的のために、ヒーター組立品は、長手方向軸から最も遠くにある、フィラメント配列の点を通過する、長手方向軸に平行な2線の間の長方形の領域であるとみなされる。これによって、ヒーター組立品の狭い部分におけるフィラメント配列の欠如は、開口面積として数えられる。
【0018】
原則として、特定の値に関連して「約」という用語が本明細書全体を通して使用される時はいつでも、「約」という用語に続く値は、技術的な考慮事項のため、厳密に正確なその特定の値を持つ必要はないと理解される。ただし、特定の値に関連して使用される「約」という用語は常に、用語「約」に続く特定の値を含み、かつ明示的に開示するものと理解される。
【0019】
2つの側面のそれぞれの開口面積S1OA、S2OAは、0よりも大きく、2つの側面の総面積のそれぞれの約3パーセントよりも大きく、約40パーセントよりも小さくてもよい。側面のそれぞれの開口面積は、約5パーセントよりも大きく約35パーセントよりも小さいことが好ましく、約20パーセントよりも小さいことがより好ましく、例えば、2つの側面のそれぞれの開口面積は、約5パーセント~約15パーセントの間である。
【0020】
加熱の大部分は、ヒーター組立品の中央面において2つの接点間で起こりうる。わずかな加熱が側面で起こりうる。
【0021】
この加熱領域および側部または接触領域領域のサイズの変動性は、ヒーター組立品の、特にヒーター組立品のフィラメント配列のサイズを変化、特に拡大することを可能にするが、ただし変化は、特に加熱領域の拡大においてそれほど大きくない。このことは、エアロゾル発生装置の電力システムに過度な要求を課さないために必要であるか望ましい場合がある。
【0022】
中心面の開口面積が提供され、ヒーター組立品の中心面を通る液体を、加熱されたフィラメント配列によって加熱して蒸発させる必要がある場合がある。
【0023】
中心面の開口面積は、複数の開口部によって形成される。複数の開口部は、流体が開口部に入り込み、流体の直接かつ効率的な加熱を可能にするように最適化されたサイズおよび分布を有することが好ましい。
【0024】
側面の複数の開口部の形態の開口面積は、ヒーター組立品の性能に有益でありうることが分かっている。各側面の開口面積は、中心面の開口面積よりも小さい。ただし、側面の開口面積は、例えば側面の総面積の約3パーセントの最小値、および側面の総面積の約40パーセントよりも小さい値を有しうる。
【0025】
上記で画定された範囲で、中心面の開口面積と側面の開口面積の開口面積比を提供することで、ヒーター組立品の抵抗性加熱およびフィラメント配列の接触の観点から、ヒーター組立品の性能が最適化されることが分かっている。
【0026】
側面における小さなまたは少ない開口面積は、この側面はヒータのフィラメント配列の接触部分として使用されるが、例えばフィラメント配列の中央部分について好ましいメッシュ等の、例えば低密度を有するメッシュに比較して、これらの側面の電気接点に有益な影響を及ぼしうる。
【0027】
さらに、側面の複数の開口部は、ヒーター組立品からの液体の漏れを制限しうる。一般的に、液体は液体貯蔵リザーバ、例えばタンクシステムまたはカートリッジからヒーター組立品に供給される。液体は、中心面の複数の開口部の中へと入り込み、ここで液体は加熱されて気化される。
【0028】
液体は、例えば毛細管力を介して、ヒーター基体とフィラメント配列の側部との間をヒーターの半径方向外側に流れる傾向がある。この影響は、従来のフィラメント配列におけるように箔を接触部分として使用するときに相当なものとなる場合がある。
【0029】
複数の開口部を側面に提供することで、液体が開口部の中へと入り、よって側面内に維持されうる。
【0030】
本発明のヒーター組立品では、漏れが防止または低減されうる。
【0031】
中心面の開口面積と側面、特に2つの側面内の制限された開口面積の特定の比を有することは、中心面から側面への放熱を制限するというさらなる便益を有する。これによって、熱はヒーター組立品の中心に維持され、ここで蒸発が生じうる。ヒーターまたはそれぞれのエアロゾル発生装置の全体的な電力消費は制限されうる。さらに、ヒーター組立品の側面に存在する可能性のある任意の外側被覆材料は熱による影響を受けにくい。
【0032】
ヒーター組立品は、長手方向軸に垂直であって長手方向軸上に配置される2点において長手方向軸と交差する2線の間に延在する、ヒーター組立品の領域である、第一の移行面をさらに備えてもよく、2点のうちの一方は第一の接点から約20パーセントに等しい距離に位置し、2点のうちの他方は第一の接点から第一および第二の接点間の距離の約40パーセントに等しい距離に位置する。ヒーターは、長手方向軸に垂直であって長手方向軸上に配置される2点において長手方向軸と交差する2線の間に延在する、ヒーター組立品の領域である、第二の移行面をさらに備えてもよく、2点のうちの一方は第一の接点から約60パーセントに等しい距離に位置し、2点のうちの他方は第一の接点から第一および第二の接点間の距離の約80パーセントに等しい距離に位置する。第一の移行面は、開口面積T1OAを画定する複数の開口部を含み、第二の移行面は、開口面積T2OAを画定する複数の開口部を含む。
【0033】
第一の移行面の開口面積を含む第一の移行面の総面積の割合と第一の側面の開口面積を含む第一の側面の総面積の割合の比T1OA/S1OAは、1~30の間としてもよく、第二の移行面の開口面積を含む第二の移行面の総面積の割合と第二の側面の開口面積を含む際にの側面の総面積の割合の比T2OA/S2OAは、1~30の間としてもよい。
【0034】
第一の移行面の開口面積と第一の側面の開口面積の比T1OA/S1OAは、1~30の間であり、第二の移行面の開口面積と第二の側面の開口面積の比T2OA/S2OAは、1~30の間である。第一の移行面と第一の表面の開口面積の、または第二の移行面と第二の表面の開口面積の比T1OA/S1OAまたはT2OA/S2OAは、2~28の間、例えば、2~15の間または15~28の間であることが好ましい。
【0035】
移行面は、2つの側面のそれぞれと中心面との間に配置されうる。各移行面は、例えば、側面の開口面積から中心面の開口面積の範囲の、例えば勾配である開口面積を含みうる。移行面を提供することによって、例えばメッシュフィラメントのメッシュ密度勾配によって実現される、例えば開口面積の勾配を提供することによって、メッシュにわたる電力分布の、または電気抵抗の滑らかな移行、およびヒーター組立品におけるそれぞれの抵抗加熱が達成されうる。
【0036】
移行面は小さな開口面積を含みうるが、移行面の開口面積の量は、中心面の開口面積よりも側面の開口面積に近い。したがって、メッシュ配列では、移行面が側面のメッシュ密度に近い高いメッシュ密度を含みうる。こうした移行面では、加熱はほとんど生じず、加熱は中心面に集められている。
【0037】
加熱領域を拡大するために、移行面は、中心面の開口面積に類似またはこれと同一の、大きな開口面積を含んでもよい。
【0038】
第一および第二の移行面は、それぞれヒーター組立品の2つの接点間で、フィラメント配列のサイズの約20パーセント上に延在しうる。
【0039】
本発明のヒーター組立品では、中心抵抗Rcは長手方向軸に沿った中心面の電気抵抗であり、第一の抵抗R1は長手方向軸に沿った第一の側面の電気抵抗であり、第二の抵抗R2は長手方向軸に沿った第二の側面の電気抵抗である。抵抗と第一の抵抗の比Rc/R1は、2~400の間であってもよく、中心抵抗と第二の抵抗の比Rc/R2は、2~400の間であってもよい。
【0040】
中心抵抗と第一の抵抗の比Rc/R1は、2~300の間であることが好ましく、40~200の間であることがより好ましい。
【0041】
中心抵抗と第二の抵抗の比Rc/R2は、2~300の間であることが好ましく、40~200の間であることがより好ましい。ヒーター組立品は、第一の接点と第二の接点間の電気抵抗に対応する総抵抗Rtを含む。
【0042】
中心抵抗と総抵抗の比Rc/Rtは、少なくとも0.3または0.4、好ましくは、0.5または0.6または0.7に対応することが好ましい。
【0043】
第一の抵抗と総抵抗の比R1/Rtは、0.005~0.125の間であることが好ましく、0.01を超えることが好ましく、0.01~0.1の間がより好ましく、0.05~0.1の間がさらにより好ましい。
【0044】
第二の抵抗と総抵抗の比R2/Rtは、0.005~0.125の間であることが好ましく、0.01を超えることが好ましく、0.01~0.1の間がより好ましく、0.05~0.1の間がさらにより好ましい。
【0045】
中心抵抗Rcは、第一および第二の接点間の、ヒーター組立品の総電気抵抗の少なくとも50パーセントに対応することが好ましい。第一および第二の抵抗はそれぞれ、総電気抵抗の約13パーセントの最大、および総電気抵抗Rtの約0.5パーセントの最小に対応することが好ましい。
【0046】
中心抵抗は、総抵抗Rtの最大約99パーセントまでに対応しうる。中心抵抗は、約80パーセント~約98パーセントに対応することが好ましく、総抵抗Rtの約90パーセント~約95パーセントであることがより好ましい。フィラメント配列の1つの選択された部分におけるこうした高い電気抵抗は、この加熱領域におけるフィラメントの標的を定めた加熱と、蒸発させるエアロゾル形成流体の効率的な蒸発を可能にする。
【0047】
比較的低い第一および第二の抵抗R1、R2を含む第一および第二の接点間の領域は、ヒーター組立品の電気接点領域を画定する。接触領域は、フィラメント配列の接触領域を流れる電流を熱に変換しないように、または実質的に変換しないように設計される。比較的高い中心抵抗を含む、第一および第二の接点間の中央領域は、ヒーター組立品の加熱領域を画定する。
【0048】
上記で画定された範囲の、中心抵抗と第一および第二の抵抗との間の電気抵抗比、特に、総電気抵抗のそれぞれの約13パーセントの最大に、そして同時に、総電気抵抗の約0.5パーセントの最小に対応する、第一および第二の接点に近い低い電気抵抗は、ヒーター組立品の性能に有益であることが分かっている。
【0049】
接点に近い低電気抵抗は、加熱領域の電気抵抗よりもずっと小さいことが好ましい。また、接点に近い電気抵抗は、所定の最小を有してもよい。
【0050】
接点に近い低電気抵抗は、例えば、低メッシュ密度を有するメッシュ、例えば、フィラメント配列の加熱領域に好ましいメッシュ等を含む、フィラメント配列を含むヒーター組立品に比べて、ヒーター組立品の電気接点に有益な影響を及ぼしうる。さらに、低電気抵抗は、加熱が望まれる、より中心の加熱領域への加熱用電流の良好な輸送を提供する。一方で、中心抵抗と第一および第二の抵抗の特定の比、特に、接触領域に最小電気抵抗を有することは、加熱領域から接触領域への放熱を制限するという利点を有する。これによって、熱がヒーター組立品の中央部分または中心面に維持され、ここで蒸発が生じうる。ヒーターまたはそれぞれのエアロゾル発生装置の全体的な電力消費は制限されうる。さらに、一般的にはポリマー材料である、接触領域に存在する可能性のある外側被覆材料は、熱による影響を受けにくい。
【0051】
本発明のヒーター組立品は、約0.5オーム~約4オームの間の総抵抗Rtを有してもよく、約0.8オーム~約3オームの間がより好ましく、約約2.5オームがさらにより好ましい。
【0052】
中心面の中心抵抗Rcは、約0.5オームより高いことが好ましく、約1オームよりも高いことがより好ましく、約2オームであることがさらにより好ましい。
【0053】
第一の側面の第一の抵抗R1は約100mオームよりも低いことが好ましく、約50mオームよりも低いことがより好ましく、例えば、第一の抵抗は約5mオーム~約25mオームの間である。第一の抵抗は約3mオームよりも高いことが好ましく、約5mオームよりも高いことがより好ましい。
【0054】
第二の側面の第二の抵抗R2は、約100mオームよりも低いことが好ましく、約50mオームよりも低いことがより好ましく、例えば、抵抗は約5mオーム~約25mオームの間である。第二の抵抗は、約3mオームよりも高いことが好ましく、約5mオームよりも高いことがより好ましい。
【0055】
導電性平面フィラメント配列の一部の実施形態では、フィラメント配列の中央部分は、ヒーター組立品の中心面と同一としてもよい。フィラメント配列の側部は、ヒーター組立品の側面と同一としてもよい。ただし、フィラメント配列上の接点の位置に従って、接点間の距離は、全体的な長手方向の延長部分またはフィラメント配列の長さよりも小さい。
【0056】
接点間の距離は、フィラメント配列の全長と等しくてもよい。一般的に、2つの接点間の距離は、フィラメント配列の全長よりも短い。接点を越えて長手方向に延在するフィラメント配列の残りの部分の仕様は、側面の仕様に、そして本明細書に記載される通り、特に抵抗および開口面積に関して等しいか類似していることが好ましい。
【0057】
フィラメント配列の側部の開口面積はそれぞれ、中央部分の開口面積よりも小さい。ただし、側部の開口面積はまた、側部の総面積の約3パーセントの最大値、および側部の総面積の約40パーセントよりも小さい値を有する。
【0058】
複数の開口部の形態の開口面積、接触領域における開口面積に対する加熱領域の開口面積の比に関連するフィラメント配列の利点については、本発明のヒーター組立品に関連して既に説明した。
【0059】
複数の開口部を側部に提供することによって、接触部分の外側被覆も容易となる。外側被覆は一般に、例えば薄い接触箔または緩いメッシュを使用する時の、接触部分の安定性の目的で使用される。側部または側部の少なくとも一部分は、例えば耐熱ポリマーで外側被覆されてもよい。外側被覆は、個々のフィラメントの変位またはフィラメント端がほどけることを防止しうる。側部の外側被覆によって、側部の安定性が向上しうる。これにより、ヒーター組立品を組み立てる時のフィラメント配列の取り付けが容易になりうる。このことはまた、フィラメント配列の形態および形状を維持することを容易にしうる。こうして、フィラメント配列を使用したヒーターの再現性および信頼性が改善されうる。
【0060】
外側被覆材料は、本発明の流体透過性ヒーターでの使用に適切な任意の材料としうる。外側被覆材料は、例えば、高温(約300°を超える)に耐えることができる材料、例えば、ポリイミドまたは、例えばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの熱可塑性プラスチックであってもよい。
【0061】
本発明のフィラメント配列において、外側被覆材料は、側部の開口部の中に入り込みうる。開口部は、例えば、フィラメント配列にマイクロチャネルを形成しうる。したがって、フィラメント配列の材料と外側被覆材料との間の接続が向上しうる。開口面積の低い値、特に小さなサイズの開口部は、外側被覆材料が側部内に維持されて、流れ出ないよう加えて支持しうる。
【0062】
本発明によるフィラメント配列により、外側被覆された側部によっても、漏れが防止または低減されうる。外側被覆された側部の表面は平面ではないため、表面の凹凸が液体保持として機能しうる。
【0063】
「平面の」フィラメント配列という用語は、本明細書全体を通して実質的に二次元の位相幾何学的マニホールドの形態であるフィラメント配列または平面のヒーター組立品を意味するために使用される。従って、平面フィラメント配列および平面のヒーター組立品は、実質的に第三の寸法よりも大きい表面に沿って二次元的に延在する。特に、その表面内での二次元的な平坦なフィラメント配列の寸法は、表面に対して垂直の第三の寸法よりも少なくとも5倍大きい。平面フィラメント配列および平面のヒーター組立品の例は、2つの実質的に平行な架空表面間の構造であって、ここでこれらの2つの架空表面間の距離は、実質的にその表面内の延長部分よりも小さい。一部の好ましい実施形態において、平面フィラメント配列および平面のヒーター組立品は平坦である。その他の実施形態において、平面フィラメント配列および平面のヒーター組立品は一つ以上の寸法に沿って曲がっており、例えばドーム形状またはブリッジ形状を形成する。
【0064】
平面フィラメント配列は、平面の発熱体で使用されることが好ましく、製造中に簡単に取り扱うことができ、丈夫な構造を提供する。
【0065】
「フィラメント」という用語は、本明細書全体を通して、2つの電気接点間に配置された電気的な経路を意味するために使用される。フィラメントは任意に、いくつかの経路またはフィラメントにそれぞれ枝分かれ・分岐させてもよく、またはいくつかの電気的な経路から一つの経路に合流させてもよい。フィラメントは丸型、正方形、平坦型、またはその他の任意の断面形状を有してもよい。フィラメントは、真っ直ぐな様式または曲がった様式で配置されてもよい。
【0066】
「フィラメント配列」という用語は、本明細書全体で1つの、または好ましくは複数のフィラメントの配置を意味するために使用される。フィラメント配列は、例えば相互に並列に配列された、フィラメントのアレイであってもよい。フィラメントはメッシュを形成しうることが好ましい。メッシュは織物または不織布であってもよい。フィラメント配列は、約0.5マイクロメートル~約500マイクロメートルの間の厚さを有することが好ましい。フィラメント配列は、例えば、平行または交差した導電性フィラメントのアレイの形態としうる。フィラメントは、例えば、エッチング加工されてフィラメントまたは中央部分、ならびに側部または中心面および側面のそれぞれにおける開口部を画定する導電性の箔、例えば、ステンレス鋼スチール箔から形成された、電気接点と一体型として形成されうる。
【0067】
フィラメント配列の中央部分は常に、フィラメント配列の2つの側部間に配置される。中央部分は、2つの側部間の中間に配置されることが好ましい。例えば長方形形状のフィラメント配列などの、横断方向の延長部分よりも長い長手方向の延長部分を有するフィラメント配列では、中央部分も長手方向または長方形の形状を有する。次に、2つの側部は、中央部分の2つの両側に隣接して、そして中央部分によって互いに分離されて配置されうる。例えば、より環状のフィラメント配列では、2つの側部が中央に配置された中央部分と中央に配置された中央部分から環状のフィラメント配列の周囲に延在するギャップとによって互いに分離されうる。
【0068】
フィラメント配列の中央部分における開口面積の比または開口面積の値は、所望の蒸発結果に従って、または例えば、ヒーター組立品またはヒーター組立品が併用されるエアロゾル発生装置のパラメータに従って画定されて選択されうる。例えば、中央部分における開口面積の値、または中央部分の複数の開口部の開口部の数、サイズおよび配置は、蒸発させる液体に従って(粘性、蒸発温度、蒸発した物質の量等)選択されうる。
【0069】
フィラメント配列の2つの側部の開口面積の比または開口面積の値は、フィラメント配列を通した加熱状況に従って、またはヒーター基体へのフィラメント配列の接触方法またはヒーター組立品の接触方法に従って選択されうる。2つの側部における開口面積の値は、例えば、使用される外側被覆材料に従って(流れ速度、外側被覆中の温度等)選択されうる。
【0070】
側部の複数の開口部は、2つの側部のそれぞれにわたって均一かつ規則的に配置されうる。
【0071】
側部の複数の開口部は、側部のそれぞれにわたって不規則に配置されてもよい。例えば、より多くのまたはより長い開口部が端領域に提供されてもよく、より小さなまたはより少ない開口部が側部の中央領域に提供されてもよい。
【0072】
2つの側部における開口部の量および分布は、中央部分に対して同一または対称的としてもよい。ただし、2つの側部の開口部の量および分布は、2つの側部において異なっていてもよい。印加される電圧の観点からの、フィラメント配列の配列に従って(側部は接地または電圧に接続される)、わずかに異なる局所的な加熱があってもよい。側部における開口部の異なる量、または、例えば異なるワイヤ密度は、加熱における差異を平らにし、およびひいてはフィラメント配列にわたる温度変動を均衡させるのに使用されうる。フィラメント配列の加熱領域全体にわたる一貫した加熱が、こうして支持されうる。
【0073】
ヒーター組立品の中心面の開口面積の比または開口面積の値は、所望の蒸発結果に従って、または例えば、ヒーター組立品またはヒーター組立品が併用されるエアロゾル発生装置のパラメータに従って画定されかつ選択されうる。例えば、中心面の開口面積の値、または中心面の複数の開口部の開口部の数、サイズおよび配列は、蒸発させる液体に従って(粘性、蒸発温度、蒸発した物質の量等)選択されうる。
【0074】
ヒーター組立品の2つの側面の開口面積の比または開口面積の値は、フィラメント配列を通した加熱状況に従って、またはヒーター基体へのフィラメント配列の接触方法またはヒーター組立品の接触方法に従って選択されうる。2つの側面の開口面積の値はまた、例えば、使用される外側被覆材料に従って(流れ速度、外側被覆中の温度等)選択されうる。
【0075】
側面の複数の開口部は、2つの側面のそれぞれにわたって均一かつ規則的に配置されうる。
【0076】
側面の複数の開口部は、側面のそれぞれにわたって不規則に配置されてもよい。例えば、より多くのまたはより長い開口部が端領域に提供されてもよく、より小さなまたはより少ない開口部が側面の中央領域に提供されてもよい。
【0077】
2つの側面における開口部の量および分布は、中心面に対して同一または対称的としてもよい。ただし、2つの側面の開口部の量および分布は、2つの側面において異なっていてもよい。側面における開口部の異なる量、または、例えば異なるワイヤ密度は、中心面の加熱における差異を平らにし、およびひいてはヒーター総面積にわたる温度変動を均衡させるのに使用されうる。フィラメント配列の少なくとも中央面にわたる一貫した加熱が、こうして支持されうる。
【0078】
平面フィラメント配列では、移行部分は、2つの側部のそれぞれと中央部分との間に配置されうる。各移行部分は、例えば、側部の開口面積から中央部分の開口面積の範囲の勾配である、開口面積を画定する複数の開口部を含む。移行部分にわたる開口面積の分布は、側部と中央部分との間で変化しうる。移行部分を提供することによって、例えばメッシュフィラメントのメッシュ密度勾配によって実現される、例えば開口面積の勾配を提供することによって、メッシュにわたる電力分布の、または電気抵抗の滑らかな移行、およびそれぞれの加熱が達成されうる。
【0079】
移行部分は、サイズ、開口面積、および物理的特性において、ヒーター組立品の移行面に対応しうる。
【0080】
フィラメント配列の側部から側部に延在する方向が、フィラメント配列の長手方向と画定され、移行部分がそれぞれ2つの側部と中央部分との間に配置される場合、移行部分の延長部分は、長手方向に沿ったフィラメント配列の長手方向の延長部分の合計の約20パーセントである。
【0081】
平面フィラメント配列およびヒーター組立品はまた、例えば、ヒーター組立品またはフィラメント配列それぞれの、長手方向軸または長手方向に対する、中央部分または中央面、側部または側面、および移行部分または移行面の1つまたは全てにおける例えば開口部の数やサイズなどの、開口面積における変化を含んでもよい。
【0082】
フィラメント配列は、例えば、2つの側部の一方から2つの側部の他方に延在する中央長手方向領域を含みうる。ヒーター組立品は、例えば、2つの側面の一方から、移行面、中央面、第二の移行面にわたって、2つの側部の他方に延在する中央長手方向領域を含みうる。そこでは、開口面積を含む中央長手方向領域の内側の中央部分の総面積の割合は、開口面積を含む中央長手方向領域の外側の中央部分の総面積の割合未満でありうる。そこでは、中央長手方向領域における開口面積は、中央長手方向領域の外側の開口面積未満でありうる。例えば、より多くまたはより長い開口部が、中央の長手方向領域よりもフィラメント配列に沿った端領域に配置されうる。例えば、メッシュ密度は、フィラメント配列に沿った横方向の長手方向領域におけるよりも中央の長手方向領域において高くてもよい。これによって、電力分布は、中央部分または中央面の中央領域に集められうる。こうした特定の電力分布は、例えば、平面フィラメント配列によって実現しうるが、ここでフィラメント配列の長手方向には、中央長手方向領域の外側よりも中央長手方向領域内により多くのフィラメントが配置される。
【0083】
平面フィラメント配列は、例えば、有孔シートとしうる。有孔シートの中央部分は、複数の開口部によって互いに分離したまたは離れた複数のヒーターフィラメントを含みうる。有孔シートの側部はそれぞれ、複数の開口部を含む。
【0084】
開口部は、例えば、化学エッチングまたはレーザー処理によって製造されうる。
【0085】
平面フィラメント配列は、例えば、メッシュ配列としてもよく、ここで中央部分のメッシュと第一および第二の側部のメッシュはそれぞれメッシュ密度を有する。中央部分におけるメッシュ密度は、第一および第二の側部のそれぞれにおけるメッシュ密度よりも低い。メッシュのフィラメント間の隙間は、中央部分の開口面積と2つの側部のそれぞれの開口面積を画定する。
【0086】
メッシュ配列は、メッシュの異なる部分を製造するのに異なる織りモードを適用して織ることで製造されうる。これによって、メッシュの単一の帯または連続バンドが、側部および中央部分、または中心面および2つの側面において異なる密度のメッシュを有して製造されうる。連続的に製造されたメッシュバンドは、適切なサイズにされたメッシュの帯に切断されうる。
【0087】
フィラメント配列は、低コストで、信頼性があり、かつ再現可能な方法で製造されてもよい。フィラメント配列は、個々のフィラメント配列の部分を必要とすることなく、1つの製造工程で製造されうる。
【0088】
メッシュ配列では、メッシュ密度勾配は、第一の部分と中央部分との間に、および中央部分と第二の側部との間に位置してもよい。これらのメッシュ勾配は、中央部分と側部との間の移行部分を表す。
【0089】
メッシュは、織物メッシュとしてもよい。中央部分および中心面のメッシュは、中央部分または中心面のメッシュの縦糸開口部と同じサイズを有する横糸開口部を含みうる。これによって、中央部分と中心面に規則的な正方形の開口部を有するメッシュが製造されうる。
【0090】
2つの側部および側面のメッシュは、0よりも大きな横糸開口部と縦糸の無い開口部とを含みうる。これによって、側部および側面のメッシュに、非常に小さな、規則的に配置された開口部が製造されうる。
【0091】
フィラメント配列の織り方向に、同じ数の(縦糸)フィラメントがフィラメント配列の全長に沿って相互に横並びに配置されることが好ましい。これらの実施形態では、連続的な縦糸フィラメントが、少なくとも第一の側面から第二の側面まで延在することが好ましく、中央部分上の一方の側部から中央部分をわたって第二の側部まで、全配列に沿って延在することがより好ましい。この方法によって、メッシュ配列が製造されうるが、ここで2つの側部における縦糸開口部は、中央部分の縦糸開口部と等しく、または、2つの側部の縦糸開口部は、中心面の縦糸開口部と等しい。
【0092】
フィラメント配列はメッシュ配列であることが好ましい。
【0093】
フィラメント配列のフィラメントに関し、フィラメント配列の製造に、および加熱されるのに適切な任意の導電性材料が使用されうる。
【0094】
フィラメント配列の好ましい材料は、金属合金、および炭素繊維を含む、金属である。炭素繊維は、金属またはその他の担体材料に添加されて、フィラメントの抵抗性を変化させうる。
【0095】
フィラメント直径は、約8マイクロメートル~約50マイクロメートルの間の範囲にあってもよく、約10マイクロメートル~約30マイクロメートルの間が好ましく、約12マイクロメートル~約20マイクロメートルの間、例えば約16マイクロメートルがさらに好ましい。
【0096】
メッシュの側部は、圧縮されてもよい。これによって、メッシュ、およびひいてはフィラメント配列の側部の個々のフィラメント間の電気接点が改善されうる。
【0097】
中央部分または中心面における開口部のサイズは、例えば、約25マイクロメートル~約75マイクロメートルの間の長さおよび幅または直径、例えば、約60~約80マイクロメートルの間の長さおよび幅または直径を有してもよい。
【0098】
側部または側面における開口部のサイズは、例えば、約0.5マイクロメートル~約75マイクロメートルの間の長さおよび幅を有しうる。側部および側面における開口部のサイズは、例えば、長さが約0.5マイクロメートルに対して減少する時に、最大約75マイクロメートルまでの幅を有することが好ましい。側部および側面における開口部のサイズは、約5マイクロメートル~約50マイクロメートルの間、または開口面積に対応する直径を有することが好ましい。
【0099】
平面フィラメント配列の中央部分は、例えば、約5mm2~約35mm2の範囲の、例えば、約10mm2~約30mm2の範囲の、例えば、約25mm2のサイズを有しうる。中央部分は、長方形、好ましくは、例えば、約5x5mm2の実質的に正方形の形態を有することが好ましい。放熱は、およそ同じ長さおよび幅を有する部分において低く維持されうる。
【0100】
ヒーター組立品の中心面は、例えば、約5mm2~約35mm2の間の範囲の、例えば、約10mm2~約30mm2の範囲の、例えば、約25mm2のサイズを有してもよい。中心面は、長方形、好ましくは、例えば、約5x5mm2の実質的に正方形の形態を有することが好ましい。放熱は、およそ同じ長さおよび幅を有する表面において低く維持されうる。
【0101】
本明細書を通して値が述べられる時はいつでも、その値が明示的に開示されることが理解される。しかし、値は技術的考慮のために厳密に特定の値ではなくてもよいことも理解される。
【0102】
フィラメント配列の側部は、例えば、約3mm2~約15mm2の間の範囲の、例えば、約5mm~約10mm2の間の範囲の、例えば、約5mm2~約10mm2のサイズを有しうる。
【0103】
ヒーター組立品の側面は、例えば、約3mm2~約15mm2の間の範囲の、例えば、約5mm2~約10mm2の間の範囲の、例えば、約5mm2、または約10mm2のサイズを有しうる。
【0104】
側部および側面は、帯、例えば、約5x(1-2)mm2の長方形の帯の形態を有することが好ましい。
【0105】
接触部分または側部および側面のサイズは、それぞれ、ヒーター組立品を電源に接続するのに使用される、例えばポゴピンによる接触である、コネクターとの良好な接触を提供するように適合されうる。
【0106】
中央部分の複数の開口部の開口部の数は、例えば、1mm2当たり約5~約100開口部の間の範囲であってもよく、1mm2当たり約15~約70開口部の間、例えば、1mm2当たり約40開口部であることが好ましい。
【0107】
中心面の複数の開口部の開口部の数は、例えば、1mm2当たり約5~約100開口部の間の範囲であってもよく、1mm2当たり約15~約70開口部の間であることが好ましく、例えば、1mm2当たり約40開口部である。
【0108】
側部における複数の開口部の開口部の数は、例えば、1mm2当たり約20~約400開口部の間の範囲であってもよく、1mm2当たり約50~約350開口部の間、例えば、1mm2当たり約300~約350開口部であることが好ましい。
【0109】
側面の複数の開口部の開口部の数は、例えば、1mm2当たり約20~約400開口部の間の範囲であってもよく、1mm2当たり約50~約350開口部の間、例えば、1mm2当たり約300~約350開口部であることが好ましい。
【0110】
フィラメント配列は、前処理されてもよい。前処理は、例えば、フィラメント表面の表面特性を変える、化学的または物理的処理であってもよい。例えば、好ましくは中央部分または中心面のみにおいて、フィラメント表面がフィラメントの湿潤性を向上させるために処理されてもよい。増大した湿潤性は、電子気化装置、いわゆるeリキッドに一般的に使用される液体について特に好ましいことが分かっている。eリキッドは一般的に、グリセロールやプロピレングリコールなどのエアロゾル形成体を含む。液体は、風味剤またはニコチンを追加的に含みうる。
【0111】
本発明の加熱されたフィラメント配列によって蒸発されるエアロゾル形成液体は、少なくとも1つのエアロゾル形成体と液体添加剤を含む。
【0112】
エアロゾル形成液体は水を含んでもよい。
【0113】
液体添加剤は、液体風味または液体刺激物質のうちのいずれか一つまたは任意の組み合わせであってもよい。液体風味は、例えばたばこ風味、たばこ抽出物、果実風味、またはコーヒー風味を含んでもよい。液体添加剤は、例えばスイート系の液体(例えば、バニラ、キャラメル、およびココアなど)、ハーブ液、スパイス系の液体、または刺激的な液体(例えば、カフェイン、タウリン、ニコチン、もしくは食品業界で使用される公知の他の刺激剤を含有する液体)であってもよい。
【0114】
平面フィラメント配列は、約0.5オーム~約4オームの間の、より好ましくは約0.8オーム~約3オームの間の、さらにより好ましくは約2.5オームの総電気抵抗を有しうる。
【0115】
中央部分の電気抵抗は、約0.5オームよりも高いことが好ましく、1オームよりも高いことがより好ましく、約2オームであることがさらにより好ましい。
【0116】
第一および第二の側部のそれぞれの電気抵抗は、約100mオームよりも低いことが好ましく、約50mオームよりも低いことがより好ましく、例えば、抵抗は約5mオーム~約25mオームの間である。第一および第二の側部のそれぞれの電気抵抗は、約3mオームよりも高いことが好ましく、約5mオームよりも高いことがより好ましい。
【0117】
全フィラメント配列にわたる開放構造のために、フィラメント配列の抵抗は、例えば、全フィラメント配列にわたって同一のメッシュ密度を有する均一なメッシュがヒーター組立品に取り付けられるか、または、フィラメント配列が接点として2つの側部金属プレートを備えるメッシュから成る、従来のメッシュフィラメントとは異なっている。側部に画定される開口面積のために、フィラメント配列にわたる抵抗は、フィラメント配列の接触および加熱の観点から、ならびに、組立品およびフィラメント配列を含むヒーター組立品の使用の観点から、最適化されうる。
【0118】
本発明のフィラメント配列は、その抵抗によって特徴付けられうる。接触領域における抵抗は、接点として金属プレートを使用する時よりも高いが、例えば、中央加熱部分に使用されるメッシュ密度に従って、加熱領域において同一またはより高くてもよい。
【0119】
有利には、エアロゾル発生システム用の流体透過性ヒーター組立品は、基体を通る開口部を含む基体を備える。本発明による、また本明細書に記載される通りの導電性平面フィラメント配列は、基体の開口部上に延在する。ヒーター組立品は、平面フィラメント配列を基体に取り付けるためのファスナーをさらに備える。
【0120】
ファスナーはそれ自体に導電性があり、フィラメント配列を通して加熱用電流を供給するための電気接点として機能しうる。
【0121】
ファスナーは、化学的または機械的ファスナーとしうる。フィラメント配列は、例えば、結合または接着によって基体に取り付けられてもよい。
【0122】
ファスナーは、クランプ、ネジまたはフォームロッキング(form-locking)ファスナーなどの機械的ファスナーであることが好ましい。クランプおよびフィラメント配列をヒーター基体にクランプするためにクランプを使用する平面のヒーター組立品は、国際特許公報WO2015/117701.号に詳細に記載されている。本明細書においてこの国際特許公報WO2015/117701号が参照され、該公報で使用および記載されるヒーター組立品およびクランプに関してその内容が本明細書に援用される。
【0123】
ファスナーは、上述のファスナーのうちの1つまたは組み合わせとしうる。
【0124】
ヒーター組立品は、平面のヒーター組立品であることが好ましく、抵抗加熱可能な流体透過性の平面のヒーター組立品であることが好ましい。
【0125】
本発明によれば、電気的に作動するエアロゾル発生システムも提供されている。システムは、エアロゾル発生装置と、液体エアロゾル形成基体を含むカートリッジとを備える。システムは、本発明による、また本明細書に記載される通りの流体透過性ヒーター組立品、または液体エアロゾル形成基体を加熱するための、本発明による、また本明細書に記載される通りの平面フィラメント配列を含む流体透過性ヒーター組立品をさらに備える。
【0126】
カートリッジは、開口部を有するハウジングを備え、ヒーター組立品はカートリッジのハウジングの開口部にわたって延在する。エアロゾル発生装置は、カートリッジを受けるためのくぼみを画定する本体と、電源と、フィラメント配列を加熱するために電源をヒーター組立品に接続するための電気接点とを備える。
【0127】
カートリッジは、少なくともエアロゾル形成体と液体添加剤を含む液体を含むことが好ましい。
【0128】
エアロゾル発生システムの特徴および利点は、本発明によるフィラメント配列に関連して、さらに、本発明によるヒーター組立品に関連して説明されている。
本発明を実施形態に関してさらに説明し、それらの実施形態を下記の図面によって例示する。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【
図2】
図2は、メッシュ配列を有するヒーター組立品の分解図である。
【
図3】
図3は、組み立てられた
図2のメッシュヒーター組立品を示す。
【
図4】
図4は、メッシュ配列を有するヒーター基体を示す。
【
図6】
図6は、メッシュ配列の移行部分と接触部分の拡大図である。
【
図7】
図7は、メッシュヒーターの錫めっき接触部分を示す。
【
図8】
図8は、メッシュ配列の別の実施形態の概略図である。
【
図9】
図9は、フィラメント配列、例えば
図1のフィラメント配列上の2つの接点間のヒーター組立品のメッシュ密度の概略図である。
【
図9a】
図9aは、例えば
図1のフィラメント配列のメッシュ密度の概略図である。
【
図10】
図10は、ヒーター組立品上の抵抗分布の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0130】
図1には、抵抗加熱可能な平面の流体透過性ヒーターのためのメッシュ配列1が示されている。メッシュ配列は、長さ101(Lf)を有する長方形形状を有し、第一の側部2、中央部分3および第二の側部4を含む。第一および第二の側部2、4は、中央部分3の両側に配置される。中央部分は、メッシュ配列の主要加熱領域となるよう設計される。
図1において、メッシュフィラメントの3つの部分は長方形形状を有し、2つの側部2、4は同一のサイズを有する。
【0131】
第一および第二の側部2、4を画定するメッシュは、中央部分3を画定するメッシュよりも高い密度を有する。側部のメッシュ密度は、同一であることが好ましい。側部のメッシュは、メッシュのフィラメント間の隙間の合計によって形成される、好ましくは第一および第二の側部のそれぞれの総面積の20パーセント未満の開口面積を有する。したがって、第一および第二の側部2、4において、開口面積はそれぞれ、最大で1mm2であり、第一および第二の側部のそれぞれのサイズ合計は約5mm2であることが好ましい。側部または接触部分は、それぞれ、接点28、48で示されるように1スポットにおいて、例えばポゴピンによって接触されうる。接点28、48上に、電圧が印加される。側部2、4の間を流れる電流は、その高い中心抵抗に従って中央部分3におけるメッシュフィラメントの抵抗加熱を引き起こす。
【0132】
図1aには、
図1におけるのと同一のメッシュ配列1が示されている。ヒーター組立品に配置され、接点28、48で接触する時、フィラメント配列の領域は、それぞれ第一の接点28と第二の接触48との間の距離の20パーセント上に延在するヒーター表面を画定する。
【0133】
長手方向軸100は、第一および第二の接点28、48間に画定され、この長手方向軸は、フィラメント配列1の中央長手方向軸に対応する。長手方向軸100に沿って、ヒーター表面の抵抗が測定される(以下をさらに参照)。
【0134】
第一の表面11は、第一の接点28から、長手方向軸に沿った第一および第二の接点28、48間の距離の20パーセント上を、第二の接点の方向へと延在する。
【0135】
第一の移行面12は、長手方向軸に沿って第一および第二の接点28、48間の距離の20パーセント~40パーセントの間に延在する。
【0136】
中心面13は、長手方向軸に沿って、第一および第二の接点28、48間の距離の40パーセント~60パーセントの間に延在する。
【0137】
第二の移行面14は、長手方向軸に沿って、第一および第二の接点28、48間の距離の60パーセント~80パーセントの間に延在する。
【0138】
第二の側面15は、第一の接点から第二の接点の方向へと計算して、長手方向軸に沿って第一および第二の接点28、48間の距離の80パーセント~100パーセントの間に延在する。
【0139】
中心面13は、その全表面にわたって低いメッシュ密度を含む。
【0140】
第一および第二の側面11、15は、その全面にわたって高いメッシュ密度を含む。
【0141】
第一および第二の移行面12、14は、高いメッシュ密度の部分と低いメッシュ密度の部分とを含む。
【0142】
図2および
図3は、メッシュ配列を有する平面の流体透過性ヒーター組立品のセットアップの一例の概略図である。
図2のヒーターの分解図では、電気的に絶縁された基体50、ヒーター要素およびメッシュ配列1の形態のフィラメント配列および2つの金属シート6が示されている。メッシュシートは、例えば、コネクター、例えば接触ピンの電気接点を変えるための、メッシュ配列1の側部20を備えた、錫のシートであってもよい。
【0143】
基体50は、円形のディスクの形態を有し、中央に配置された開口部51を含む。基体は、対角線上に互いに対向して配置される2つの穿孔52を基体に含む。穿孔52は、ヒーター組立品を、例えばエアロゾル発生装置に位置付けおよび取り付けるために機能しうる。
【0144】
メッシュ配列1は、中央部分3と、
図2および3に示す実施形態では、2つのPEEK外側被覆された側部20とを備える。メッシュ配列は、中央に配置された四角形の形態の開口部51上および基体50上に配置される。メッシュ配列の中央部分3全体は、開口部51上に位置するようになる。2つの側部20、特に、PEEKで外側被覆され、錫めっきされた(金属シート6で覆われた)側部の部分は、基体50上に位置するようになる。
【0145】
中央部分3の横方向の両側面上に開口部51の開口部分511が形成されるように、中央部分3のメッシュの幅は開口部51の幅よりも小さい。開口部分は、メッシュによって覆われない。錫めっきされた側部の密度の高いメッシュは、メッシュ自体よりもより平面の接触領域24を形成する。接触領域24は、ヒーター組立品の基体50の上面に平行に配置される。接触領域24は、例えば電池からの電気コネクターによってヒーター組立品を接触させるためである。
【0146】
図3は、
図2のヒーター組立品を組み立てた状態で示す。メッシュ配列1は、機械的手段、または例えば接着剤によって基体50に取り付けられうる。
【0147】
図4は、メッシュ配列1が取り付けられたヒーター基体50を示す。メッシュ配列は、ヒーター組立品の接触領域24に高密度メッシュを、ヒーター組立品の加熱領域を画定する間に低密度メッシュを有する長方形のメッシュの帯である。
【0148】
このことは、
図4の詳細な拡大図である
図5においてよりはっきりと見えうる。メッシュ配列の中央部分の低密度メッシュは、一のマイクロメートル範囲、例えば70マイクロメートルの長方形の隙間30を有する。16マイクロメートルのフィラメントのワイヤ直径では、中央部分の開口面積は、中央部分の総面積の約75パーセントを覆う。
【0149】
メッシュ配列の側部2の高密度メッシュは、約0.1マイクロメートルx5マイクロメートルの、小さな隙間21を有する。16マイクロメートルフィラメント直径では、側部の開口面積は、側部のそれぞれの総面積の約3パーセントを覆う。
【0150】
メッシュ配列は、異なる織りモードで一つの部品として製造されている。
【0151】
一つの織り方向におけるフィラメントの量は、全フィラメント配列にわたって同一である。織り方向は、フィラメント配列の縦糸方向に対応し、この縦糸方向は、メッシュ配列における主要な電流フロー方向に対応する。ただし、横糸方向(縦糸方向に垂直)のフィラメントの織り密度は、側部2において増強されている。横糸方向におけるフィラメント間の距離は、側部分2、4において0まで低減されうる。
【0152】
図4および5のメッシュでは、側部2と中央部分3との間に移行部分が存在しない。製造モードに従って、移行部分はメッシュ密度の密度勾配を含みうる。こうした密度勾配は、中央部分の低密度のメッシュから側部の高密度のメッシュへと滑らかに変化し、その逆も同様であることが好ましい。
【0153】
図6では、中央部分3と圧縮された側部22との間に小さな移行部分32が示されている。
【0154】
側部22における高密度メッシュは圧縮されて、メッシュの個々のフィラメント間の電気接点を改善している。縦糸フィラメント35間のフィラメントからフィラメントの距離は約25マイクロメートル~75マイクロメートルの間であり、
図6では約70マイクロメートルである。横糸フィラメント36のフィラメントからフィラメントの距離は0である。側部の開口面積は、織りを通してフィラメント配列を製造することによって生成される。
【0155】
側部22の電気接点を改善するために、圧縮された側部22の最外部分は、
図7に示すように錫めっき61である。
【0156】
図8は、第一の側部2、中間の中央部分3、および対向する第二の側部4を有する、メッシュ配列1を示す。2つの側部2、4におけるメッシュ密度は、中央部分3におけるメッシュ密度よりも高い。メッシュ配列1は、メッシュ配列1の長手方向軸に沿って配置される長手方向の中央部分38を含む。この長手方向の中央部分38におけるメッシュ密度は、メッシュ配列の横方向の側部領域37の外側よりも高い。長手方向の中央部分38は、メッシュ配列1の全幅の約50%~60%の幅を有する。
【0157】
中央部分の中央領域33における高いメッシュ密度は、この領域における高い電力密度をもたらし、主要加熱ゾーンを中央部分3のこの中央領域33に集める。メッシュ配列の異なる領域における異なるメッシュ密度のために、最も高い電力密度は、中央部分3の中間または中央領域33にある。中央部分3の横方向の領域37における低密度領域は、比較的高い抵抗を有する。中央部分3の幅にわたる電力密度曲線を、線85で示す。
【0158】
側部2、4は、比較的低い抵抗を有する高密度メッシュ接触パッドを形成する。電気接点は、側部2、4の中心にあることが好ましく、電気抵抗は側部において最も低い。
【0159】
図面に示す実施例は一般に、同じサイズかつ同じメッシュ密度または密度分布を有する対称的な側部を有する。こうした実施形態は、ヒーター組立品の製造および対称的な配列を簡略化する。ただし、非対称なメッシュ配列部分とメッシュ勾配は、メッシュフィラメントにおける所望の電力分布状況を達成するために容易に提供されうる。
【0160】
図9では、ヒーター組立品、例えば、
図1aのメッシュ配列を含むヒーター組立品の開口面積分布が示されている。垂直軸(O[%])は、フィラメント配列の異なる表面における開口面積を示す。水平軸(L[%])は、第一の接点から第二の接点までの長手方向軸100上の位置を示す。
【0161】
第一の表面11では、開口面積S1OAは低く、
図9では5パーセントと示されている。中央面13では、開口面積ScOAは高く、
図9では60パーセントと示されている。第二の表面15でも、開口面積S2OAは低く、
図9では、第一の表面11にあるように5パーセントと示されている。
【0162】
第一の移行面12では、開口面積は移行面12の長さにわたって変化する。移行面の第一の開口面積T1OAは、第一の表面の開口面積S1OAと同一である。第一の移行面の開口面積T1OAは、中心面の開口面積ScOAの高さと同じである。
【0163】
中心面13と第二の表面15との間に配置される第二の移行面14は、中心面13に対して第一の移行面12と対称的である。第二の移行面14では、開口面積T2OAもまた、移行面14の長さにわたって変化する。まず、第二の移行面の第一の開口面積T2OAは、中心面の開口面積ScOAと同一である。次に、第二の移行面の開口面積は、第二の側面の開口面積S2OAと同じ高さである。
【0164】
フィラメント配列は、それぞれフィラメント配列の長手方向軸100に沿って20パーセント上に延在する、2つの表面11、15、2つの移行面12、14、および中心面13を有するものと画定される。
【0165】
図9では、フィラメント配列、例えば
図1のメッシュ配列の開口面積分布が示されている。垂直軸は、フィラメント配列の異なる部分の開口面積を示す。水平軸(Lf[%])は、フィラメント配列の長さLfに沿った長手方向軸上の位置を示す。
【0166】
第一の側部2において、開口面積P1OAは低く、
図9では5パーセントと示されている。中央部分3において、開口面積PcOAは高く、
図9では60パーセントと示されている。第二の側部4においても、開口面積P2OAは低く、
図9では第一の側部2におけるように5パーセントと示されている。
【0167】
フィラメント配列は、2つの側部2、4および中央部分3を有すると画定される。側部分はそれぞれ、フィラメント配列のサイズの約25パーセント上に延在し、中央部分はフィラメント配列の約50パーセントまで延在する。
【0168】
図10において、0%の位置における第一の接点と100%の位置における第二の接点との間の、ヒーター組立品の長手方向軸100に沿った抵抗分布の一例の概略図が示されている。垂直軸は、最大でヒーター組立品の総抵抗Rtまでの、ヒーター組立品の抵抗(R)を示す。水平軸(L[%])は、第一の接点から第二の接点の長手方向軸上の位置を示す。
【0169】
図10の実施例において、ヒーター組立品は、0における第一の接点から第二の接点へ、長手方向軸に沿って20パーセント上に存在する、第一の抵抗R1を含む。第一の移行抵抗R1tpは、長手方向軸に沿って20パーセント~40パーセントの間に存在する。中心抵抗Rcは、長手方向軸40パーセント~60パーセントの間であって第一の接点の後に存在する。第二の移行抵抗R2tpは、長手方向軸に沿って60パーセント~80パーセントの間の点から、第一の接点の後に存在する。第二の抵抗は、80パーセント~100パーセント、すなわち、第一および第二の接点間で長手方向軸に沿ったヒーター組立品の最後の20パーセント上に存在する。
【0170】
ヒーター組立品は、第一および第二の接点において接触し、電流は、ヒーター組立品のフィラメント配列を通して流れることが可能である。
【0171】
第一の抵抗R1は、最大で、総抵抗Rtの13パーセントの最大まで、そして総抵抗Rtの0.5パーセントと同じ低さでありうる。
【0172】
第一および第二の移行抵抗R1tpおよびR2tpはそれぞれ、ヒーター組立品の移行面における過度の加熱を防止するために、中心抵抗よりも高くない。一般的に、第一および第二の移行抵抗R1tp、R2tpは、それぞれ、第一の抵抗R1と中心抵抗Rcとの間、または中心抵抗Rcと第二の抵抗R2との間の値を有する。中心抵抗Rcは、ヒーター組立品の総抵抗Rtの約50パーセントである。中心抵抗Rcは、総抵抗Rtの50パーセントよりも大きいことが好ましい。第二の抵抗は、最大で、総抵抗Rtの13パーセントの最大まで、そして総抵抗Rtの0.5パーセントと同じ低さでありうる。
【0173】
第一および第二の抵抗R1、R2、第一および第二の移行抵抗R1tp、R2tp、および中心抵抗Rcを足し合わせると、ヒーター組立品の総抵抗Rtとなる。
【0174】
抵抗分布から明らかとなるように、全てヒーター組立品の表面における同一または特定の抵抗状況を達成するために、フィラメント配列の側部は、例えばより小さく、またはより大きくてもよく、より多くのそしてより小さな、またはより少なくそしてより大きな開口部を有してもよく、より小さくて高いメッシュ密度を有していても、より大きくて低いメッシュ密度を有していてもよい。こうした変動は、フィラメント配列およびヒーター組立品の用途のさらなるフレキシビリティーを可能にする。例えば、それは、フィラメント配列およびヒーター組立品を、エアロゾル化する様々な液体、例えば、多少の粘性のある流体に適合させることが可能になる。
【0175】
フィラメント配列は、フィラメント配列を備えるヒーターを加熱することが可能な多少の電力を有する、異なるサイズのヒーターまたはエアロゾル発生装置に容易に適合されうる。