(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-16
(45)【発行日】2022-09-28
(54)【発明の名称】静電容量ベースの患者ライン妨害検出
(51)【国際特許分類】
A61M 1/28 20060101AFI20220920BHJP
【FI】
A61M1/28 130
A61M1/28 110
(21)【出願番号】P 2018568395
(86)(22)【出願日】2017-06-13
(86)【国際出願番号】 US2017037167
(87)【国際公開番号】W WO2018005076
(87)【国際公開日】2018-01-04
【審査請求日】2020-06-12
(32)【優先日】2016-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508180910
【氏名又は名称】フレセニウス メディカル ケア ホールディングス インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】クロウフォード、ウィリアム・スコット
(72)【発明者】
【氏名】オーライン、ロバート・マシュー
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0139996(US,A1)
【文献】特開2013-024574(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用デバイスの作動方法であって、
前記医療用デバイスのポンプが、固定体積流量で、流体を、前記医療用デバイスに接続された伸張性のある医療用チューブの第1の部分に供給または前記医療用チューブの前記第1の部分から回収することと、ここにおいて、前記医療用チューブにおける、前記医療用チューブの前記第1の部分と第2の部分との間の境界を画定する場所に、閉塞が存在し、
前記医療用デバイスの圧力センサが、固定体積流量で前記流体を供給または回収している間に、(i)前記医療用チューブの前記第1の部分に供給または前記医療用チューブの前記第1の部分から回収された前記流体の固定体積流量と(ii)前記閉塞とから結果としてもたらされる前記医療用チューブの前記第1の部分における前記流体の初期定常状態圧力を測定することと、
前記医療用チューブの前記第1の部分における前記流体の初期定常状態圧力の測定に応答して、前記固定体積流量での流体の供給または回収を停止するために前記ポンプが中断されることと、ここにおいて、前記ポンプは第1の時間で中断され、
前記圧力センサが、前記ポンプの中断に応答して、前記医療用チューブの前記第1の部分における前記流体が前記初期定常状態圧力から最終定常状態圧力に受動的に変化する間に、前記医療用チューブの前記第1の部分における前記流体の複数の圧力対時間値を測定することと、
制御ユニットが、(i)前記第1の時間と、(ii)前記複数の圧力対時間値と、(iii)前記初期定常状態圧力
と前記最終定常状態圧力と
の間の差と、を用いて
特性時定数を計算することにより、前記医療用チューブの前記第1の部分の長さを決定することと、を備える、
医療用デバイスの作動方法。
【請求項2】
前記医療用デバイスが透析機を備える、請求項1に記載の作動方法。
【請求項3】
前記透析機が腹膜透析(PD)機を備える、請求項2に記載の作動方法。
【請求項4】
前記第1の部分の前記長さは、前記医療用デバイスに接続された前記医療用チューブの近位端に対する前記閉塞の前記場所を表す、請求項1に記載の作動方法。
【請求項5】
前記医療用チューブの前記第1の部分に供給または前記医療用チューブの前記第1の部分から回収される前記流体は、前記閉塞によって少なくとも部分的に妨害される、請求項1に記載の作動方法。
【請求項6】
前記医療用チューブの前記第1の部分に供給または前記医療用チューブの前記第1の部分から回収される前記流体が前記閉塞によって少なくとも部分的に妨害されることは、前記医療用チューブ内の圧力の増加または低下を引き起こす、請求項5に記載の作動方法。
【請求項7】
前記医療用チューブの前記第1の部分に供給または前記医療用チューブの前記第1の部分から回収される前記流体が前記閉塞によって少なくとも部分的に妨害されることは、前記医療用チューブ内の伸張を引き起こす、請求項5に記載の作動方法。
【請求項8】
前記医療用チューブは、前記医療用チューブの遠位端にカテーテルを備える、請求項1に記載の作動方法。
【請求項9】
前記閉塞の決定された場所に少なくとも部分的に基づいて、前記閉塞の種類を推測することを備える、請求項1に記載の作動方法。
【請求項10】
前記閉塞の前記種類は、前記医療用チューブの挟み、前記医療用チューブ内のねじれ、前記医療用チューブ内の堆積物、および前記医療用チューブの遠位端にあるカテーテルの穴を妨害する堆積物、のうちの1つまたは複数を備える、請求項9に記載の作動方法。
【請求項11】
前記医療用チューブ内の堆積物または前記カテーテルの穴を妨害する堆積物のうちの少なくとも1つが大網脂肪を備える、請求項10に記載の作動方法。
【請求項12】
前記医療用チューブの前記第1の部分の前記長さを決定することは、(a)前記医療用チューブの寸法、(b)前記医療用チューブの材料組成、および(c)前記医療用チューブの前記第1の部分に供給または前記医療用チューブの前記第1の部分から回収される前記体積の流体、のうちの1つまたは複数を用いる、請求項1に記載の作動方法。
【請求項13】
医療用デバイスであって、
圧力センサと、
1つまたは複数のポンプと、
制御ユニットと、を備え、
前記制御ユニットが、
固定体積流量で、流体を、前記医療用デバイスのポートに接続された医療用チューブに供給または前記医療用チューブから回収するように前記1つまたは複数のポンプを動作させ、
前記圧力センサを用いて、前記1つまたは複数のポンプが前記流体を固定体積流量で供給または回収している間に、(i)前記医療用チューブに供給または前記医療用チューブから回収された前記流体の固定体積流量と(ii)前記医療用チューブにおける、前記医療用チューブの第1の部分と第2の部分との間の境界を画定する場所に存在する閉塞とから結果としてもたらされる前記医療用チューブの前記第1の部分における前記流体の初期定常状態圧力を測定し、
前記医療用チューブの前記第1の部分における前記流体の初期定常状態圧力の測定に応答して、前記固定体積流量での流体の供給または回収を停止するために前記1つまたは複数のポンプを第1の時間で中断し、
前記1つまたは複数のポンプの中断に応答して、前記圧力センサを用いて、前記医療用チューブの前記第1の部分における前記流体が前記初期定常状態圧力から最終定常状態圧力に受動的に変化する間に、前記医療用チューブの前記第1の部分における前記流体の複数の圧力対時間値を測定し、
(i)前記第1の時間と、(ii)前記複数の圧力対時間値と、(iii)前記初期定常状態圧力
と前記最終定常状態圧力と
の間の差と、を用いて
特性時定数を計算することにより、前記医療用チューブの前記第1の部分の長さを決定する、
ように構成される、医療用デバイス。
【請求項14】
前記医療用デバイスが透析機を備える、請求項13に記載の医療用デバイス。
【請求項15】
前記透析機がPD機を備える、請求項14に記載の医療用デバイス。
【請求項16】
前記医療用チューブの前記第1の部分の前記長さは、前記医療用チューブの近位端に対する前記閉塞の前記場所を表す、請求項13に記載の医療用デバイス。
【請求項17】
前記医療用チューブは、前記医療用チューブの遠位端にカテーテルを備える、請求項13に記載の医療用デバイス。
【請求項18】
前記医療用チューブの前記第1の部分の前記長さは、前記医療用チューブの近位端に対する前記閉塞の前記場所を表し、前記制御ユニットは、前記医療用チューブの前記閉塞の前記場所に少なくとも部分的に基づいて、前記閉塞の種類を推測するように構成される、請求項13に記載の医療用デバイス。
【請求項19】
前記制御ユニットは、(a)前記医療用チューブの寸法、(b)前記医療用チューブの材料組成、(c)前記医療用チューブの前記第1の部分に供給または前記医療用チューブの前記第1の部分から回収される前記体積の流体、のうちの1つまたは複数に基づいて、前記医療用チューブの前記第1の部分の前記長さを決定するように構成される、請求項13に記載の医療用デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、患者ライン内の妨害(blockage)を検出することに関する。
【背景技術】
【0002】
透析は、不十分な腎機能を有する患者を支援するために使用される治療である。2つの主要な透析方法が、血液透析および腹膜透析である。血液透析(「HD」)中、患者の血液が透析機(a dialysis machine)の透析器(a dialyzer)に通される一方で、透析溶液すなわち透析液も透析器に通される。透析器内の半透膜は、透析器内で血液を透析液から分離し、透析液と血流との間で拡散および浸透交換が行われることを可能にする。膜を越えたこれらの交換は、結果として、尿素およびクレアチニンのような溶質を含む排泄物の血液からの除去をもたらす。これらの交換はまた、血液中の、ナトリウムおよび水などの他の物質のレベルを調節する。このようにして、透析機は、血液を洗浄するための人工腎臓として機能する。
【0003】
腹膜透析(「PD」)中、患者の腹膜腔には、透析液が定期的に注入される。患者の腹膜の膜内層(membranous lining)は、拡散および浸透交換が溶液と血流との間で行われることを可能にする天然の半透膜として作用する。患者の腹膜を越えたこれらの交換は、結果として、尿素およびクレアチニンのような溶質を含む排泄物の血液からの除去をもたらし、血液中のナトリウムおよび水などの他の物質のレベルを調節する。
【0004】
PDサイクラーと呼ばれる自動PD機は、付き添う臨床スタッフなしに自宅で通常一晩中行うことができるようにPDプロセス全体を制御するように設計される。このプロセスは、連続的サイクラー支援PD(CCPD)と称される。多くのPDサイクラーは、透析液を患者の腹膜腔に自動的に注入し、滞留させ、患者の腹膜腔から排出するように設計される。治療は、典型的には数時間持続し、多くの場合、使用済みまたは使い終わりの透析液を出して腹膜腔を空にするための初期排出サイクルで始まる。シーケンスは次いで、交互に続く、充填フェーズ、滞留フェーズ、および排出フェーズの連続を経る。各フェーズはサイクルと呼ばれる。
【発明の概要】
【0005】
一態様において、方法は、医療用デバイスに接続された伸張性のある医療用チューブの第1の部分における流体の第1の圧力を測定することを含む。医療用チューブにおける、医療用チューブの第1の部分と第2の部分との間の境界を画定する場所に、閉塞が存在する。該方法はまた、ある体積の流体(a volume of fluid)を医療用チューブの第1の部分に供給または医療用チューブの第1の部分から回収することを含む。該方法はまた、医療用チューブの第1の部分における流体の第2の圧力を測定することを含む。該方法はまた、第2の圧力と第1の圧力との間の差に基づいて、医療用チューブの第1の部分の長さを決定することを含む。
【0006】
実装形態は、下記の特徴のうちの1つまたは複数を含みうる。
【0007】
いくつかの実装形態では、医療用デバイスは透析機を含む。
【0008】
いくつかの実装形態では、透析機は腹膜透析(PD)機を含む。
【0009】
いくつかの実装形態では、第1の部分の長さは、医療用デバイスに接続された医療用チューブの近位端に対する閉塞の場所を表す。
【0010】
いくつかの実装形態では、第1の圧力および第2の圧力は、医療用デバイスに接続された医療用チューブの近位端で圧力センサによって測定される。
【0011】
いくつかの実装形態では、流体は、閉塞によって少なくとも部分的に妨害される。
【0012】
いくつかの実装形態では、閉塞によって少なくとも部分的に流体が妨害されることは、医療用チューブ内の圧力の増加または低下を引き起こす。
【0013】
いくつかの実装形態では、閉塞によって少なくとも部分的に流体が妨害されることは、医療用チューブ内の伸張を引き起こす。
【0014】
いくつかの実装形態では、医療用チューブは、医療用チューブの遠位端にカテーテルを含む。
【0015】
いくつかの実装形態では、該方法は、閉塞の決定された場所に少なくとも部分的に基づいて、閉塞の種類を推測することを含む。
【0016】
いくつかの実装形態では、閉塞の種類は、医療用チューブの挟み、医療用チューブ内のねじれ、医療用チューブ内の堆積物、および医療用チューブの遠位端にあるカテーテルの穴を妨害する堆積物、のうちの1つまたは複数を含む。
【0017】
いくつかの実装形態では、堆積物は大網脂肪を含む。
【0018】
いくつかの実装形態では、該方法は、医療用チューブの寸法、医療用チューブの材料組成、および医療用チューブの第1の部分に供給または医療用チューブの第1の部分から回収される該体積の流体、のうちの1つまたは複数に基づいて、医療用チューブの第1の部分の長さを決定することを含む。
【0019】
いくつかの実装形態では、医療用チューブの第1の部分の長さの決定は、医療用チューブの流体静電容量に基づく。
【0020】
いくつかの実装形態では、該方法は、医療用チューブの第1の部分における流体の圧力の時間履歴を測定することを含む。
【0021】
いくつかの実装形態では、該方法は、該体積の流体が供給または回収されている間に、医療用チューブの第1の部分における流体の2つの圧力を測定することを含む。該方法はまた、2つの圧力の測定間の差および2つの圧力の測定間の経過時間量に基づいて、医療用チューブの第1の部分の長さを決定することを含む。
【0022】
いくつかの実装形態では、該方法は、該体積の流体の供給または回収が突然停止される前に、医療用チューブの第1の部分における流体の第3の圧力を測定することを含む。該方法はまた、該体積の流体の供給または回収が突然停止された後に、医療用チューブの第1の部分における流体の複数の圧力を経時的に測定することを含む。該方法はまた、複数の圧力の経時的な測定のうち、第3の圧力の測定と第4の圧力の測定との間の経過時間に基づいて、医療用チューブの第1の部分の長さを決定することを含む。
【0023】
別の態様において、方法は、経時的な体積流量で、流体を医療用デバイスに接続された伸張性のある医療用チューブに供給または医療用チューブから回収することを含む。医療用チューブは、流体容量素子によって分離された患者ライン領域およびカテーテル領域を含む。該方法はまた、患者ライン領域にある圧力センサによって、流体の経時的な複数の圧力を測定することを含む。該方法はまた、経時的な測定圧力に基づいて、医療用チューブにおける閉塞が患者ライン領域内またはカテーテル領域内に存在するかどうかを決定することを含む。
【0024】
実装形態は、下記の特徴のうちの1つまたは複数を含みうる。
【0025】
いくつかの実装形態では、医療用デバイスは透析機を含む。
【0026】
いくつかの実装形態では、透析機はPD機を含む。
【0027】
いくつかの実装形態では、経時的な体積流量は、突然停止された流体の投入工程または回収工程を含む。
【0028】
いくつかの実装形態では、経時的な体積流量は、流体の定常状態導入、流体の傾斜導入、流体の放物線状導入、および流体の循環的導入のうちの1つまたは複数を含む。
【0029】
いくつかの実装形態では、流体は、閉塞によって少なくとも部分的に妨害される。
【0030】
いくつかの実装形態では、閉塞によって少なくとも部分的に流体が妨害されることは、医療用チューブ内の圧力の増加または低下を引き起こす。
【0031】
いくつかの実装形態では、閉塞によって少なくとも部分的に流体が妨害されることは、医療用チューブ内の伸張を引き起こす。
【0032】
いくつかの実装形態では、医療用チューブは、医療用チューブの遠位端にあるカテーテル領域においてカテーテルを含む。
【0033】
いくつかの実装形態では、該方法は、閉塞の決定された場所に少なくとも部分的に基づいて、閉塞の種類を推測することを含む。
【0034】
いくつかの実装形態では、閉塞の種類は、医療用チューブの挟み、医療用チューブ内のねじれ、医療用チューブ内の堆積物、および医療用チューブの遠位端にあるカテーテル領域においてカテーテルの穴を妨害する堆積物、のうちの1つまたは複数を含む。
【0035】
いくつかの実装形態では、該方法は、経時的な体積流量、定常状態測定によって検出された患者ライン領域の流体抵抗、定常状態測定によって検出されたカテーテル領域の流体抵抗、経時的な測定圧力の過渡成分の測定によって検出された患者ライン領域の流体抵抗、経時的な測定圧力の過渡成分の測定によって検出されたカテーテル領域の流体抵抗、および経時的な測定圧力の過渡成分の特性周波数、のうちの1つまたは複数に基づいて、医療用チューブにおける閉塞が患者ライン領域内またはカテーテル領域内に存在するかどうかを決定することを含む。
【0036】
いくつかの実装形態では、流体容量素子は、医療用チューブ内の圧力によって伸張されるエラストマー材料を含む。
【0037】
いくつかの実装形態では、流体容量素子は、医療用チューブのエラストマーセグメントである。
【0038】
いくつかの実装形態では、流体容量素子は、医療用チューブの伸張性よりも実質的に大きい伸張性を有する。
【0039】
いくつかの実装形態では、流体容量素子は、付随的な圧力の増加に伴い、医療用チューブに対する追加の流体体積を記憶するように構成される。
【0040】
別の態様において、方法は、ある体積の流体を、医療用デバイスに接続された伸張性のある医療用チューブの第1の部分に供給または医療用チューブの第1の部分から回収することを含む。医療用チューブにおける、医療用チューブの第1の部分と第2の部分との間の境界を画定する場所に、閉塞が存在する。該方法はまた、該体積の流体が供給または回収されている間に、医療用チューブの第1の部分における流体の2つの圧力を測定することを含む。該方法はまた、2つの圧力の測定間の差および2つの圧力の測定間の経過時間量に基づいて、医療用チューブの第1の部分の長さを決定することを含む。
【0041】
実装形態は、下記の特徴のうちの1つまたは複数を含みうる。
【0042】
いくつかの実装形態では、医療用デバイスは透析機を含む。
【0043】
いくつかの実装形態では、透析機はPD機を含む。
【0044】
いくつかの実装形態では、第1の部分の長さは、医療用デバイスに接続された医療用チューブの近位端に対する閉塞の場所を表す。
【0045】
いくつかの実装形態では、2つの圧力は、医療用デバイスに接続された医療用チューブの近位端にある圧力センサによって測定される。
【0046】
いくつかの実装形態では、流体は、閉塞によって少なくとも部分的に妨害される。
【0047】
いくつかの実装形態では、閉塞によって少なくとも部分的に流体が妨害されることは、医療用チューブ内の圧力の増加または低下を引き起こす。
【0048】
いくつかの実装形態では、閉塞によって少なくとも部分的に流体が妨害されることは、医療用チューブ内の伸張を引き起こす。
【0049】
いくつかの実装形態では、医療用チューブは、医療用チューブの遠位端にカテーテルを含む。
【0050】
いくつかの実装形態では、該方法は、閉塞の決定された場所に少なくとも部分的に基づいて、閉塞の種類を推測することを含む。
【0051】
いくつかの実装形態では、閉塞の種類は、医療用チューブの挟み、医療用チューブ内のねじれ、医療用チューブ内の堆積物、および医療用チューブの遠位端にあるカテーテル領域においてカテーテルの穴を妨害する堆積物、のうちの1つまたは複数を含む。
【0052】
いくつかの実装形態では、該方法は、医療用チューブの寸法、医療用チューブの材料組成、および医療用チューブの第1の部分に供給または医療用チューブの第1の部分から回収される該体積の流体、のうちの1つまたは複数に基づいて、医療用チューブの第1の部分の長さを決定することを含む。
【0053】
いくつかの実装形態では、医療用チューブの第1の部分の長さの決定は、医療用チューブの流体静電容量に基づく。
【0054】
いくつかの実装形態では、2つの圧力の測定間の差および2つの圧力の測定間の経過時間量は、圧力波形のうちのある部分の傾きを含み、圧力波形の該部分は、該体積の流体が供給または回収されている時間に対応する。
【0055】
別の態様において、方法は、ある体積の流体を、医療用デバイスに接続された伸張性のある医療用チューブの第1の部分に供給または医療用チューブの第1の部分から回収することを含む。医療用チューブにおける、医療用チューブの第1の部分と第2の部分との間の境界を画定する場所に、閉塞が存在する。該方法はまた、該体積の流体の供給または回収が突然停止される前に、医療用チューブの第1の部分における流体の第1の圧力を測定することを含む。該方法はまた、該体積の流体の供給または回収が突然停止された後に、医療用チューブの第1の部分における流体の複数の圧力を経時的に測定することを含む。該方法はまた、経時的な複数の圧力の測定のうち、第1の圧力の測定と第2の圧力の測定との間の経過時間に基づいて、医療用チューブの第1の部分の長さを決定することを含む。
【0056】
実装形態は、下記の特徴のうちの1つまたは複数を含みうる。
【0057】
いくつかの実装形態では、医療用デバイスは透析機を含む。
【0058】
いくつかの実装形態では、透析機はPD機を含む。
【0059】
いくつかの実装形態では、第1の圧力の測定は初期定常状態圧力を表す。
【0060】
いくつかの実装形態では、該方法は、複数の圧力の測定のうち、最終定常状態圧力を特定することを含む。
【0061】
いくつかの実装形態では、第2の圧力の測定は、第1の圧力の測定と最終定常状態圧力の測定との間の差の約36.8%である。
【0062】
いくつかの実装形態では、第2の圧力の測定は、第1の圧力の測定と最終定常状態圧力の測定との間の差の約36.8%に、最終定常状態圧力の測定を加えたものである。
【0063】
いくつかの実装形態では、第1の部分の長さは、医療用デバイスに接続された医療用チューブの近位端に対する閉塞の場所を表す。
【0064】
いくつかの実装形態では、第1の圧力および第2の圧力は、医療用デバイスに接続された医療用チューブの近位端で圧力センサによって測定される。
【0065】
いくつかの実装形態では、流体は、閉塞によって少なくとも部分的に妨害される。
【0066】
いくつかの実装形態では、閉塞によって少なくとも部分的に流体が妨害されることは、医療用チューブ内の圧力の増加または低下を引き起こす。
【0067】
いくつかの実装形態では、閉塞によって少なくとも部分的に流体が妨害されることは、医療用チューブ内の伸張を引き起こす。
【0068】
いくつかの実装形態では、医療用チューブは、医療用チューブの遠位端にカテーテルを含む。
【0069】
いくつかの実装形態では、該方法は、閉塞の決定された場所に少なくとも部分的に基づいて、閉塞の種類を推測することを含む。
【0070】
いくつかの実装形態では、閉塞の種類は、医療用チューブの挟み、医療用チューブ内のねじれ、医療用チューブ内の堆積物、および医療用チューブの遠位端にあるカテーテルの穴を妨害する堆積物、のうちの1つまたは複数を含む。
【0071】
いくつかの実装形態では、堆積物は大網脂肪を含む。
【0072】
いくつかの実施態様において、該方法は、医療用チューブの寸法、医療用チューブの材料組成、および医療用チューブの第1の部分に供給または医療用チューブの第1の部分から回収される該体積の流体の体積流量、のうちの1つまたは複数に基づいて、医療用チューブの第1の部分の長さを決定することを含む。
【0073】
いくつかの実装形態では、医療用チューブの第1の部分の長さの決定は、医療用チューブの流体静電容量に基づく。
【0074】
別の態様において、医療用デバイスは、医療用デバイスのポートに接続された近位端を有する伸張性のある医療用チューブを含む。医療用チューブにおける、医療用チューブの第1の部分と医療用チューブの第2の部分との間の境界を画定する場所に、閉塞が存在する。医療用デバイスはまた、医療用チューブの近位端に圧力センサを含む。圧力センサは、医療用チューブの第1の部分における流体の第1の圧力を測定するように構成される。医療用デバイスはまた、ある体積の流体を医療用チューブの第1の部分に供給または医療用チューブの第1の部分から回収するように構成された1つまたは複数のポンプを含む。圧力センサは、医療用チューブの第1の部分における流体の第2の圧力を測定するように構成される。医療用デバイスはまた、第2の圧力と第1の圧力との間の差に基づいて医療用チューブの第1の部分の長さを決定するように構成されたプロセッサを含む。
【0075】
実装形態は、下記の特徴のうちの1つまたは複数を含みうる。
【0076】
いくつかの実装形態では、医療用デバイスは透析機を含む。
【0077】
いくつかの実装形態では、透析機はPD機を含む。
【0078】
いくつかの実装形態では、第1の部分の長さは、医療用チューブの近位端に対する閉塞の場所を表す。
【0079】
いくつかの実装形態では、医療用チューブは、医療用チューブの遠位端にカテーテルを含む。
【0080】
いくつかの実装形態では、プロセッサは、閉塞の決定された場所に少なくとも部分的に基づいて、閉塞の種類を推測するように構成される。
【0081】
いくつかの実装形態では、プロセッサは、医療用チューブの寸法、医療用チューブの材料組成、医療用チューブの流体静電容量、および医療用チューブの第1の部分に供給または医療用チューブの第1の部分から回収される該体積の流体、のうちの1つまたは複数に基づいて、医療用チューブの第1の部分の長さを決定するように構成される。
【0082】
別の態様において、医療用デバイスは、医療用デバイスのポートに接続された伸張性のある医療用チューブを含む。医療用チューブは、流体容量素子によって分離された患者ライン領域およびカテーテル領域を含む。医療用デバイスはまた、経時的な体積流量で医療用チューブに流体を供給または医療用チューブから流体を回収するように構成された1つまたは複数のポンプを含む。医療用デバイスはまた、患者ライン領域に圧力センサを含む。圧力センサは、流体の複数の圧力を経時的に測定するように構成される。医療用デバイスはまた、経時的な測定圧力に基づいて、医療用チューブ内の閉塞が患者ライン領域内またはカテーテル領域内に存在するかどうかを決定するように構成されたプロセッサを含む。
【0083】
実装形態は、下記の特徴のうちの1つまたは複数を含みうる。
【0084】
いくつかの実装形態では、医療用デバイスは透析機を含む。
【0085】
いくつかの実装形態では、透析機はPD機を含む。
【0086】
いくつかの実装形態では、経時的な体積流量は、突然停止された流体の投入工程または回収工程を含む。
【0087】
いくつかの実装形態では、医療用チューブは、医療用チューブの遠位端にあるカテーテル領域においてカテーテルを含む。
【0088】
いくつかの実装形態では、プロセッサは、閉塞の決定された場所に少なくとも部分的に基づいて、閉塞の種類を推測するように構成される。
【0089】
いくつかの実装形態では、プロセッサは、経時的な体積流量、定常状態測定によって検出された患者ライン領域の流体抵抗、定常状態測定によって検出されたカテーテル領域の流体抵抗、経時的な測定圧力の過渡成分の測定によって検出された患者ライン領域の流体抵抗、経時的な測定圧力の過渡成分の測定によって検出されたカテーテル領域の流体抵抗、および経時的な測定圧力の過渡成分の特性周波数、のうちの1つまたは複数に基づいて、医療用チューブにおける閉塞が患者ライン領域内またはカテーテル領域内に存在するかどうかを決定することを含む。
【0090】
いくつかの実装形態では、流体容量素子は、医療用チューブ内の圧力によって伸張されるエラストマー材料を含む。
【0091】
いくつかの実装形態では、流体容量素子は、医療用チューブのエラストマーセグメントである。
【0092】
いくつかの実装形態では、流体容量素子は、医療用チューブの伸張性よりも実質的に大きい伸張性を有する。
【0093】
いくつかの実装形態では、流体容量素子は、付随的な圧力の増加に伴い、医療用チューブに対する追加の流体体積を記憶するように構成される。
【0094】
別の態様において、医療用デバイスは、医療用デバイスのポートに接続された近位端を有する伸張性のある医療用チューブを含む。医療用チューブにおける、医療用チューブの第1の部分と医療用チューブの第2の部分との間の境界を画定する場所に、閉塞が存在する。医療用デバイスはまた、ある体積の流体を医療用チューブの第1の部分に供給または医療用チューブの第1の部分から回収するように構成された1つまたは複数のポンプを含む。医療用デバイスはまた、医療用チューブの近位端に圧力センサを含む。圧力センサは、該体積の流体が供給または回収されている間に、医療用チューブの第1の部分における流体の2つの圧力を測定するように構成される。医療用デバイスはまた、2つの圧力の測定間の差および2つの圧力の測定間の経過時間量に基づいて、医療用チューブの第1の部分の長さを決定するように構成されたプロセッサを含む。
【0095】
実装形態は、下記の特徴のうちの1つまたは複数を含みうる。
【0096】
いくつかの実装形態では、医療用デバイスは透析機を含む。
【0097】
いくつかの実装形態では、透析機はPD機を含む。
【0098】
いくつかの実装形態では、第1の部分の長さは、医療用チューブの近位端に対する閉塞の場所を表す。
【0099】
いくつかの実装形態では、医療用チューブは、医療用チューブの遠位端にカテーテルを含む。
【0100】
いくつかの実装形態では、プロセッサは、閉塞の決定された場所に少なくとも部分的に基づいて、閉塞の種類を推測するように構成される。
【0101】
いくつかの実装形態では、プロセッサは、医療用チューブの寸法、医療用チューブの材料組成、医療用チューブの流体静電容量、および医療用チューブの第1の部分に供給または医療用チューブの第1の部分から回収される該体積の流体、のうちの1つまたは複数に基づいて、医療用チューブの第1の部分の長さを決定するように構成される。
【0102】
いくつかの実装形態では、2つの圧力の測定間の差および2つの圧力の測定間の経過時間量は、圧力波形のうちのある部分の傾きを含む。圧力波形のうちの該部分は、該体積の流体が供給または回収されている時間に対応する。
【0103】
別の態様において、医療用デバイスは、医療用デバイスのポートに接続された近位端を有する伸張性のある医療用チューブを含む。医療用チューブにおける、医療用チューブの第1の部分と医療用チューブの第2の部分との間の境界を画定する場所に、閉塞が存在する。医療用デバイスはまた、ある体積の流体を医療用チューブの第1の部分に供給または医療用チューブの第1の部分から回収するように構成された1つまたは複数のポンプを含む。医療用デバイスはまた、医療用チューブの近位端に圧力センサを含む。圧力センサは、該体積の流体の供給または回収が突然停止される前に、医療用チューブの第1の部分における流体の第1の圧力を測定するか、または該体積の流体の供給または回収が突然停止された後に、医療用チューブの第1の部分における流体の複数の圧力を経時的に測定するように構成される。医療用デバイスはまた、経時的な複数の圧力の測定のうち、第1の圧力の測定と第2の圧力の測定との間の経過時間に基づいて、医療用チューブの第1の部分の長さを決定するように構成されたプロセッサを含む。
【0104】
実装形態は、下記の特徴のうちの1つまたは複数を含みうる。
【0105】
いくつかの実装形態では、医療用デバイスは透析機を含む。
【0106】
いくつかの実装形態では、透析機はPD機を含む。
【0107】
いくつかの実装形態では、プロセッサは、複数の圧力の測定のうち、最終定常状態圧力を特定するように構成される。
【0108】
いくつかの実装形態では、第2の圧力の測定は、第1の圧力の測定と最終定常状態圧力の測定との間の差の約36.8%に、最終定常状態圧力の測定を加えたものである。
【0109】
いくつかの実装形態では、第1の部分の長さは、医療用チューブの近位端に対する閉塞の場所を表す。
【0110】
いくつかの実装形態では、医療用チューブは、医療用チューブの遠位端にカテーテルを含む。
【0111】
いくつかの実装形態では、プロセッサは、閉塞の決定された場所に少なくとも部分的に基づいて、閉塞の種類を推測するように構成される。
【0112】
いくつかの実装形態では、プロセッサは、医療用チューブの寸法、医療用チューブの材料組成、医療用チューブの流体静電容量、および医療用チューブの第1の部分に供給または医療用チューブの第1の部分から回収される該体積の流体の体積流量、のうちの1つまたは複数に基づいて、医療用チューブの第1の部分の長さを決定するように構成される。
【0113】
実装形態は、下記の利点のうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0114】
いくつかの実装形態では、本明細書において記載されるシステムおよび技法は、医療用チューブ内の(たとえば、患者ライン内またはカテーテル内の)閉塞の場所を決定するために使用可能である。閉塞の種類は、決定された場所に基づいて推測可能である。透析機は、閉塞の存在を示すアラートを発すること、ならびに/または閉塞を取り除こうとして、および/もしくは過剰圧力条件を避けるために医療用チューブ内の流れを調節しようとして、透析機の1つまたは複数の動作パラメータを調整することを含む、特定の種類の閉塞に対処するための適切な応答を決定することができる。
【0115】
いくつかの実装形態では、透析機は、別個の圧力センサを必要とすることなく、透析機に内蔵された圧力センサを使用して閉塞の場所を決定するように構成される。
【0116】
本発明の他の態様、特徴、および利点は、記載および図面から、および特許請求の範囲から、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【
図2】使用中にPDカセットと連動するPDサイクラーの内表面を示すための、PDサイクラーのドアが開位置にある、
図1のPDシステムのPDサイクラーおよびPDカセットの斜視図。
【
図3】
図1のPDサイクラーの開いたカセットコンパートメントの斜視図。
【
図4】
図1のPDサイクラーのピストンヘッドに機械的に接続可能であるドーム形留め部材を含む、
図2のPDカセットの分解斜視図。
【
図5】完全に組み立てられた
図4のPDカセットの断面図。
【
図6】PDカセットの可撓性膜およびドーム形留め部材側からの、完全に組み立てられた
図4のPDカセットの斜視図。
【
図7】PDカセットの剛性基部側からの、完全に組み立てられた
図4のPDカセットの斜視図。
【
図8】
図1のPDシステムのPDサイクラーのカセットコンパートメント内のPDカセットの斜視図。
【
図9A】PD治療およびセットアップの異なる段階における、PDカセットがPDサイクラーのカセットコンパートメント内に配設された、
図1のPDシステムの概略断面図。
【
図9B】PD治療およびセットアップの異なる段階における、PDカセットがPDサイクラーのカセットコンパートメント内に配設された、
図1のPDシステムの概略断面図。
【
図9C】PD治療およびセットアップの異なる段階における、PDカセットがPDサイクラーのカセットコンパートメント内に配設された、
図1のPDシステムの概略断面図。
【
図9D】PD治療およびセットアップの異なる段階における、PDカセットがPDサイクラーのカセットコンパートメント内に配設された、
図1のPDシステムの概略断面図。
【
図9E】PD治療およびセットアップの異なる段階における、PDカセットがPDサイクラーのカセットコンパートメント内に配設された、
図1のPDシステムの概略断面図。
【
図9F】PD治療およびセットアップの異なる段階における、PDカセットがPDサイクラーのカセットコンパートメント内に配設された、
図1のPDシステムの概略断面図。
【
図9G】PD治療およびセットアップの異なる段階における、PDカセットがPDサイクラーのカセットコンパートメント内に配設された、
図1のPDシステムの概略断面図。
【
図10】患者ライン内に閉塞が存在する、患者に接続された
図1のPDサイクラーの概略図。
【
図11】閉塞が完全な流れ妨害を作る場合の、
図10の流体システムに類似した集中定数電気回路の表現。
【
図12】導管の加圧領域の流体静電容量C
fを決定するための例示的な実験システム。
【
図13】
図12のシステムの圧力センサによって測定された経時的な圧力の代表的グラフ。
【
図14】さまざまなクランプ距離に対する計算された流体静電容量C
fの代表的グラフ。
【
図15】流量制御および圧力測定のための構成要素を含む透析システムの概略図。
【
図16】
図15の圧力センサによってなされた経時的な圧力測定を含む圧力波形。
【
図17A】どのように特性時定数τが決定されるかを図示する、圧力対時間のプロットの例。
【
図17B】どのように特性時定数τが決定されるかを図示する、圧力対時間のプロットの例。
【
図17C】どのように特性時定数τが決定されるかを図示する、圧力対時間のプロットの例。
【
図18】患者に接続された
図1のPDサイクラーの概略図。
【
図19】
図18の流体システムに類似した集中定数電気回路の表現。
【
図20】コンピュータシステムおよび関連する構成要素の例。
【0118】
さまざまな図面における同様の参照符号は、同様の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0119】
透析機(たとえば、腹膜透析(PD)機)は、カテーテルを通じて患者にPD溶液を供給する伸張性のある材料から作製された患者ライン(たとえば、エラストマー患者ライン)の近位端に装着された圧力センサを含むことがある。治療中、患者ラインおよび/またはカテーテル内の異なる場所に閉塞が生じることがある。閉塞が存在している間に追加溶液の増分体積(incremental volume)ΔVfが患者ラインに供給されるとき、圧力の変化ΔP(たとえば、圧力上昇)が結果としてもたらされる。圧力の変化ΔPは、患者ラインの非閉塞部分の寸法および伸張性に依存する。圧力の変化ΔP、増分体積ΔVf、患者ラインの伸張性に関連する性質、および患者ラインのいくつかの寸法が既知の場合、閉塞の場所(たとえば、患者ラインポートと閉塞との間の距離x)が推測可能である。いくつかの種類の閉塞は、典型的には患者ラインの特定の部分で生じるので、閉塞の種類は、決定された場所に基づいて推測可能である。
【0120】
いくつかの実装形態では、溶液の追加体積が患者ラインに供給されている間の経時的な圧力測定の変化を測定することによって、閉塞の場所が決定可能である。いくつかの実装形態では、閉塞の場所は、溶液の追加体積が患者ラインに供給された後に圧力測定が所定の閾値未満に減衰するために必要とされる時間の量を測定することによって決定可能である。
【0121】
いくつかの実装形態では、患者ラインは、患者ライン領域と患者ラインのカテーテル領域との間に配置された流体容量素子(fluidic capacitive element)を含んでもよい。流体容量素子は、患者ライン自体のそれよりも実質的に大きい伸張性を有し得る。したがって、透析機と流体容量素子との間に生じる閉塞は、圧力センサに流体容量素子の影響を経験させることはなく、流体容量素子とカテーテルの先端との間に生じる閉塞は、圧力センサに流体容量素子の影響を経験させる。すなわち、流体容量素子は、生成された情報が特定関心領域に閉塞を局所化できるように戦略的に位置付けられ得る。たとえば、定常状態の測定および経時的な測定圧力の過渡(たとえば、変動)成分の測定を含む、経時的な複数の圧力測定の特性を解析することによって、患者ライン領域(たとえば、患者の外側)またはカテーテル領域(たとえば、患者の内部)において閉塞が存在するかどうかに関して決定がなされうる。
【0122】
図1は、カート104上に着座させられたPD機(全体的にPDサイクラーとも呼ばれる)102を含むPDシステム100を示す。
図2も参照すると、PD機102は、ハウジング106と、ドア108と、カセットインターフェース110と閉じられたドア108との間に形成されたカセットコンパートメント114内にカセット112が配設されるときに使い捨てPDカセット112と接触するカセットインターフェース110とを含む。ヒータトレイ116は、ハウジング106の上に位置付けられる。ヒータトレイ116は、透析液などのPD溶液のバッグ(たとえば、透析液の5リットルバッグ)を収容するようなサイズおよび形状にされる。PD機102はまた、タッチスクリーンディスプレイ118ならびに、たとえばPD治療のセットアップ、開始、および/または終了を可能にするために使用者(たとえば、介護者または患者)によって動作可能である追加の制御ボタン120などのユーザインターフェースを含む。
【0123】
透析液バッグ122は、カート104の側面上の指部から吊り下げられ、ヒータバッグ124は、ヒータトレイ116内に位置付けられる。透析液バッグ122およびヒータバッグ124はそれぞれ、透析液バッグライン126およびヒータバッグライン128を介してカセット112に接続される。透析液バッグライン126は、使用中に透析液を透析液バッグ122からカセット112に通すために使用可能であり、ヒータバッグライン128は、使用中に透析液をカセット112とヒータバッグ124との間で前後に通すために使用可能である。さらに、患者ライン130およびドレーンライン132はカセット112に接続される。患者ライン130は、カテーテル(たとえば、
図10のカテーテル1002)を介して患者の腹部に接続可能であり、使用中に透析液をカセット112と患者の腹膜腔との間で前後に通すために使用可能である。カテーテル1002は、取り付け具などのポート(
図10の1004)を介して患者ライン130に接続され得る。ドレーンライン132は、ドレーンまたはドレーン容器に接続可能であり、使用中に透析液をカセット112からドレーンまたはドレーン容器に通すために使用可能である。
【0124】
PD機102はまた、制御ユニット139(たとえば、プロセッサ)を含む。制御ユニット139は、タッチスクリーンディスプレイ118、制御パネル120、およびPDシステム100のさまざまな他の構成要素から信号を受信し、これらに信号を送信することができる。制御ユニット139は、PD機102の動作パラメータを制御することができる。いくつかの実装形態では、制御ユニット139は、Motorola,Inc.によって製造される、MPC823 PowerPCデバイスである。
【0125】
図3は、PD機102のカセットインターフェース110およびドア108のより詳細な図を示す。図示のように、PD機102は、ピストン133A、133Bを含み、カセットインターフェース110に形成されたピストンアクセスポート136A、136B内において軸方向に移動されうるピストンシャフト135A、135B(
図9A~Gに示されるピストンシャフト135A)に、ピストンヘッド134A、134Bが取り付けられている。ピストン133A、133B、ピストンヘッド134A、134B、およびピストンシャフト135A、135Bは、本明細書において、ポンプと呼ばれることがある。ピストンシャフト135A、135Bは、ピストンヘッド134A、134Bがピストンアクセスポート136A、136B内において軸方向内側および外側に移動するように、ピストン133A、133Bを軸方向内側および外側に移動させるように動作可能であるステッパモーターに接続される。ステッパモーターは親ねじを駆動し、親ねじが親ねじに沿って内側および外側にナットを移動させる。ステッパモーターは、ドライバモジュール(たとえば、
図15のドライバモジュール1538a、1538b)によって制御され得る。次に、ナットがピストン133A、133Bに接続され、それにより、ステッパモーターが親ねじを回転させると、ピストン133A、133Bを内側および外側に移動させる。ステッパモーターコントローラ(たとえば、
図14のマイクロコントローラ1436)は、ピストン133A、133Bを移動させるために、ステッパモーターの巻線を通じて駆動されるのに必要な電流を供給する。電流の極性は、ピストン133A、133Bが前進させられるか、または後退させられるかを決定する。いくつかの実装形態では、ステッパモーターは、1回転をするのに200のステップを必要とし、このことは、0.048インチの直線移動に相当する。
【0126】
PDシステム100はまた、親ねじの回転移動を測定するエンコーダ(たとえば、光学エンコーダ)を含む。ピストン133A、133Bの軸位置は、エンコーダによって決定されるように、親ねじの回転移動に基づいて決定可能である。それゆえ、エンコーダの測定は、ピストン133A、133Bのピストンヘッド134A、134Bを正確に位置付けるために使用可能である。
【0127】
以下に検討されるように、(
図2および
図4~
図7に示される)カセット112は、ドア108が閉じられると、PD機102のカセットコンパートメント114内に位置付けられ、PD機102のピストンヘッド134A、134Bは、ポンプ室138A、138Bの上にあるカセット112のドーム形留め部材161A、161Bにピストンヘッド134A、134Bが機械的に接続可能であるように、カセット112のポンプ室138A、138Bと位置合わせする。この配置の結果、治療中のピストンヘッド134A、134Bのカセット112の方への移動は、ポンプ室138A、138Bの体積を低下させ、透析液をポンプ室138A、138Bから押し出すことができるが、カセット112から離れるようなピストンヘッド134A、134Bの後退は、ポンプ室138A、138Bの体積を増加させ、透析液をポンプ室138A、138Bに吸い込ませることができる。
【0128】
図3に示されるように、カセットインターフェース110は、カセット112がカセットコンパートメント114内に位置付けられるときに(
図2、
図4、
図6、および
図7に示される)カセット112の圧力検知室163A、163Bと位置合わせする2つの圧力センサ151A、151Bを含む。カセット112の膜140の、圧力検知室163A、163Bの上にある部分は、真空圧を使用して圧力センサ151A、151Bに付着する。具体的には、カセット膜140の、圧力検知室163A、163Bの上にある部分を圧力センサ151A、151Bに対して強固に保持するために、圧力センサ151A、151Bのまわりの隙間がカセット膜140のそれらの部分に真空を伝える。圧力検知室163A、163B内の流体の圧力は、カセット膜140の、圧力検知室163A、163Bの上にある部分を、圧力センサ151A、151Bと接触させ、これらに圧力を印加する。
【0129】
圧力センサ151A、151Bは、検知室163A、163B内の流体圧力を測定することが可能な任意のセンサとすることができる。いくつかの実装形態では、圧力センサは、ソリッドステートシリコンダイアフラム注入ポンプ力/圧力トランスデューサである。そのようなセンサの一例は、Sensym Foxboro ICTによって製造された、Model1865力/圧力トランスデューサである。いくつかの実装形態では、力/圧力トランスデューサは、増加された電圧出力を供給するように修正される。力/圧力トランスデューサは、たとえば、0~5ボルトの出力信号を生じるように修正されてもよい。
【0130】
さらに
図3を参照すると、PD機102はまた、カセットインターフェース110内の膨張可能部材ポート144内に位置付けられた複数の膨張可能部材142を含む。膨張可能部材142は、カセット112がPD機102のカセットコンパートメント114内に位置付けられたときに、カセット112(
図4~
図6に示される)の押圧可能なドーム領域146と位置合わせする。
図3においては、1対の膨張可能部材142のみにラベルが付されているが、PD機102は、カセット112の押圧可能なドーム領域146の各々に関連付けられた膨張可能部材142を含むことが理解されるべきである。膨張可能部材142は、使用中に望ましいやり方で透析液にカセット112を通させる弁として機能する。特に、膨張可能部材142は、膨張されると、カセットインターフェース110の表面を越えて外側へ膨れてカセット112の押圧可能なドーム領域146と接触し、収縮されると、膨張可能部材ポート144へと後退してカセット112と接触しなくなる。カセット112上の関連付けられたドーム領域146を押下するために特定の膨張可能部材142を膨張させることによって、カセット112内における特定の流体流路が閉塞可能である。それゆえ、透析液は、ピストンヘッド134A、134Bを作動させることによってカセット112を通じてポンプ圧送可能であり、さまざまな膨張可能部材142を選択的に膨張および収縮させることによって、カセット112内の望ましい流路に沿って案内可能である。
【0131】
さらに
図3を参照すると、PD機102のカセットインターフェース110から配置用ピン148が延びる。ドア108が開位置にあるとき、カセット112は、カセット112の上部部分を配置用ピン148の下に位置付け、カセット112の下部部分をカセットインターフェース110の方へ押すことによって、カセットインターフェース110上に搭載可能である。カセット112は、ドア108がカセット112の上で閉じられることを可能にするために、配置用ピン148とカセットインターフェース110から延びるばね付勢型ラッチ150との間にしっかりと位置付けられたままであるような寸法とされる。配置用ピン148は、カセットコンパートメント114内におけるカセット112の適切な位置合わせが使用中に維持されることを保証する助けとなる。
【0132】
PD機102のドア108は、
図3に示されるように、ドア108が閉位置にあるときにピストン133A、133Bと実質的に位置合わせする円筒状の凹部152A、152Bを画定する。(
図4~
図7に示される)カセット112がカセットコンパートメント114内において位置付けられるとき、その内表面がポンプ室138A、138Bを部分的に画定するカセット112の中空の突出部154A、154Bが凹部152A、152Bに内嵌する。ドア108は、ドア108とカセットインターフェース110との間でカセット112を圧縮するために使用中に膨張されるパッドをさらに含む。パッドが膨張されると、ドア108の、凹部152A、152Bを形成する部分がカセット112の突出部154A、154Bを支持し、ドア108の平面状表面がカセット112の他の領域を支持する。ドア108は、膨張可能部材142によって印可される力を打ち消すことができ、それゆえ、カセット112上の押圧可能なドーム領域146を膨張可能部材142が作動させることを可能にする。ドア108とカセット112の中空の突出部154A、154Bとの係合は、ピストン133A、133Bがカセット112の流体ポンプ室138A、138Bと位置合わせすることをさらに保証するために、カセット112をカセットコンパートメント114内の望ましい固定位置に保持する助けとなることもできる。
【0133】
制御ユニット(
図1の139)は、圧力センサ151A、151Bに、ピストン133A、133Bを駆動するステッパモーター(たとえば、ステッパモーターのドライバ)に接続されており、また、ステッパモーターの親ねじの回転を監視するエンコーダに接続されており、それにより、制御ユニット139は、システムのそれらの構成要素から信号を受信し、それらに信号を送信することができる。制御ユニット139は、閉塞の存在などのなんらかの問題(complication)がPDシステム100内に存在するかどうかを決定するために、接続先の構成要素を監視する。
【0134】
図4は、カセット112の分解斜視図であり、
図5は、完全に組み立てられたカセット112の断面図であり、
図6および
図7はそれぞれ、組み立てられたカセット112の膜側から、および剛性基部側からの、斜視図である。
図4~
図6を参照すると、カセット112の可撓性膜140は、トレイ状の剛性基部156の周囲に取り付けられる。剛性ドーム形留め部材161A、161Bは、基部156の凹部領域162A、162B内に位置付けられる。ドーム形留め部材161A、161Bは、PD機102のピストンヘッド134A、134Bを受けるようなサイズおよび形状にされる。いくつかの実装形態では、ドーム形留め部材161A、161Bは、フランジ164A、164Bの外縁から測定されると、約1.5インチ~約2.5インチ(たとえば、約2.0インチ)の直径を有し、凹部領域162A、162Bの面積の約3分の2~約4分の3を占める。剛性ドーム形留め部材161A、161Bの環状フランジ164A、164Bは、膜140の内表面の、膜140内に形成された実質的に円形のアパーチャ166A、166Bを囲む部分に液密的に取り付けられる。剛性ドーム形留め部材161A、161Bの環状フランジ164A、164Bは、たとえば、膜140に熱的に接合される、またはこれに接着により接合されうる。膜140のアパーチャ166A、166Bは、使用中にピストンヘッド134A、134Bがドーム形留め部材161A、161Bと直接的に接触し、これに機械的に接続することが可能であるように、剛性ドーム形留め部材161A、161Bを露出させる。
【0135】
ドーム形留め部材161A、161Bの環状フランジ164A、164Bは、
図5に示されるように、径方向内側に延びる環状突出部168A、168Bと、ドーム形留め部材161A、161Bの側壁から径方向外側に延びる環状突出部176A、176Bとを形成する。ピストンヘッド134A、134Bがドーム形留め部材161A、161Bに機械的に接続されると、径方向内側突出部168A、168Bがピストンヘッド134A、134Bの摺動ラッチ145A、147Aの斜めの後部表面に係合し、ドーム形留め部材161A、161Bをピストンヘッド134A、134Bに堅固に固着する。膜140がドーム形留め部材161A、161Bに取り付けられているので、(たとえば、ピストン133A、133Bの往復運動に起因する)基部156の凹部領域162A、162Bへの、および凹部領域162A、162Bからのドーム形留め部材161A、161Bの移動は、可撓性膜140を、同様に基部156の凹部領域162A、162Bへと移動させ、また凹部領域162A、162Bから移動させる。この移動は、基部156の凹部領域162A、162Bと、ドーム形留め部材161A、161Bおよび膜140の、それら凹部領域162A、162Bの上にある部分との間に形成される流体ポンプ室138A、138Bから、流体が押し出され、流体ポンプ室138A、138Bへと吸い込まれることを可能にする。
【0136】
図4および
図6を参照して、一連の流体通路158を形成し、
図6に示される流体通路158の広がった部分(たとえば、実質的に円形の広がった部分)である、複数の押圧可能なドーム領域146を形成するために、ドア108とPD機102のカセットインターフェース110との間でカセット112が圧縮されるとき、一段高くなった隆起部167は、基部156の実質的に平坦な表面から可撓性膜140の内表面の方へ延び、それに接触する。流体通路158は、カセット112の入口/出口ポートとして機能するカセット112の流体ラインコネクタ160を、流体ポンプ室138A、138Bに流体的に接続する。前述のように、PD機102のさまざまな膨張可能弁部材142が使用中にカセット112に作用する。使用中には、透析液が流体通路158およびドーム領域146を通じてポンプ室138A、138Bへと流れ、またポンプ室138A、138Bから流れる。各押圧可能ドーム領域146では、膜140は、一段高くなった隆起部167がそれから延びる基部156の平面状表面と接触するように撓まされてもよい。そのような接触は、そのドーム領域146に関連付けられた通路158の領域に沿った透析液の流れを実質的に妨げる(たとえば、防ぐ)ことができる。それゆえ、カセット112を通る透析液の流れは、PD機102の膨張可能部材142を選択的に膨張させることによる押圧可能ドーム領域146の選択的な押圧を通して制御可能である。
【0137】
さらに
図4および
図6を参照すると、流体ラインコネクタ160は、カセット112の下縁に沿って位置付けられる。前述のように、カセット112内の流体通路158は、ポンプ圧送室138A、138Bから、さまざまなコネクタ160へと至る。コネクタ160は、カセット112の幅に沿って非対称的に位置付けられる。コネクタ160の非対称的な位置付けは、カセット112がカセットコンパートメント114内に適切に位置付けられ、カセット112の膜140がカセットインターフェース110に面することを保証する助けとなる。コネクタ160は、透析液バッグライン126、ヒータバッグライン128、患者ライン130、およびドレーンライン132の端部にある取り付け具を受けるように構成される。取り付け具の一端は、その各々のラインに挿入および接合可能であり、他端は、その関連付けられたコネクタ160に挿入および接合可能である。
図1および
図2に示されるように、透析液バッグライン126、ヒータバッグライン128、患者ライン130、およびドレーンライン132がカセットに接続されることを可能にすることによって、コネクタ160は、透析液が使用中にカセット112へと流れ、またカセット112から流れることを可能にする。ピストン133A、133Bが往復運動させられるので、膨張可能部材142は、流体がライン126、128、130、および132のいずれかからポンプ室138A、138Bのポート185A、185B、187A、および187Bのいずれかへと流れ、またその逆に流れることを可能にするために、選択的に膨張可能である。
【0138】
基部156の剛性は、カセット112をPD機102のカセットコンパートメント114内の定位置に保持し、ドーム形留め部材161A、161Bによって突出部154A、154Bに印可された力に応答して、また膨張可能部材142によって基部156の平面状表面に印可された力に応答して、基部156が撓曲および変形するのを防ぐ助けとなる。ドーム形留め部材161A、161Bはまた、流体ポンプ圧送プロセス中にポンプ室138A、138B内で発生する通常圧力の結果として変形しないのに十分なほどの剛性を有する。それゆえ、膜140の環状部分149A、149Bの変形または膨れは、ピストン133A、133Bの移動以外に、ポンプ圧送プロセス中にポンプ室138A、138Bの体積に影響を及ぼす唯一の要因であると仮定可能である。
【0139】
カセット112の基部156およびドーム形留め部材161A、161Bは、さまざまな比較的剛性の高い材料のいずれからも形成可能である。いくつかの実装形態では、カセット112のこれらの構成要素は、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスルホン、および他の医療用グレードプラスチック材料などの、1つまたは複数のポリマーから形成される。いくつかの実装形態では、これらの構成要素は、1つまたは複数の金属またはステンレス鋼などの合金から形成可能である。代替的に、これらの構成要素は、上記で述べたポリマーおよび金属のさまざまな異なる組み合わせから形成可能である。カセット112のこれらの構成要素は、機械加工技法と、成形技法と、鋳造技法とを含むさまざまな異なる技法のいずれを使用しても形成可能である。
【0140】
前述のように、膜140は、基部156の周囲に取り付けられ、またドーム形留め部材161A、161Bの環状フランジ164A、164Bに取り付けられる。膜140の、基部156の残りの部分の上にある部分は、典型的には、基部156に取り付けられない。むしろ、膜140のこれらの部分は、基部156の平面状表面から延びる一段高くなった隆起部165A、165B、および167の上にゆるく着座する。膜140を基部156の周囲に、またドーム形留め部材161A、161Bに取り付けるために、接着接合および熱的接合などのさまざまな取り付け技法のいずれも使用可能である。膜140の厚さおよび材料は、膨張可能部材142によって膜140に印可された力に応答して膜140が基部156の方へ撓曲するのに十分な可撓性を有するように選択される。いくつかの実装形態では、膜140は、厚さが約0.100ミクロン~約0.150ミクロンである。しかしながら、膜140を形成するために使用される材料の種類に応じて、さまざまな他の厚さも十分であり得る。
【0141】
膜140を形成するために、膨張可能部材142の移動に応答して膜140が裂けることなく撓むことを可能にする、さまざまな異なる材料のいずれをも使用可能である。いくつかの実装形態では、膜140は3層ラミネートを含む。いくつかの実装形態では、例えば、ラミネートの内層および外層は、60%のセプトン(登録商標)8004熱可塑性ゴム(すなわち、水添スチレン系ブロック共重合体)および40パーセントのエチレンからなる化合物で形成され、中間層は、25パーセントのタフテック(登録商標)H1062(SEBS:水添スチレン系熱可塑性エラストマー)、40パーセントのEngage(登録商標)8003ポリオレフィンエラストマー(エチレンオクテン共重合体)、および35パーセントのセプトン(登録商標)8004熱可塑性ゴム(すなわち、水添スチレン系ブロック共重合体)からなる化合物から形成される。膜は、代替的に、より多くの、または、より少ない層を含むことができ、および/または異なる材料から形成可能である。
【0142】
図8に示されるように、治療の前に、カセットインターフェース110を露出させるためにPD機102のドア108が開かれ、カセット112は、そのドーム形留め部材161A、161BがPD機102のピストン133A、133Bと位置合わせされ、その圧力検知室163A、163BがPD機102の圧力センサ151A、151Bと位置合わせされ、その押圧可能ドーム領域146がPD機102の膨張可能部材142と位置合わせされ、その膜140がカセットインターフェース110に隣接するように、位置付けられる。カセット112がカセットインターフェース110上に適切に位置付けられることを保証するために、カセット112は、配置用ピン148とカセットインターフェース110から延びるばね付勢型ラッチ150との間に位置付けられる。カセットの非対称的に位置付けられたコネクタ160は、間違った方向を向いた(たとえば、ドア108の方へ外側に向いた)膜140およびドーム形留め部材161A、161Bとともにカセット112が設置される可能性を低下させるキーイング(keying)特徴として機能する。追加的または代替的に、配置用ピン148は、膜140がドア108の方へ外側を向いている場合、カセット112が配置用ピン148と接触することができないように、突出部154A、154Bの最大突起よりも小さい寸法とされうる。ピストン133A、133Bは、典型的には、ピストン133A、133Bとドーム形留め部材161A、161Bとの間の干渉を避け、それにより、カセット112がカセットコンパートメント114内に位置付け可能である容易さを増大させるために、カセット112の設置中にピストンアクセスポート136A、136Bへと後退させられる。
【0143】
必要に応じてカセットインターフェース110上にカセット112を位置付けた後、ドア108が閉じられ、ドア108内の膨張可能パッドは、膨張可能パッドとカセットインターフェース110との間でカセット112を圧縮するために膨張される。このカセット112の圧縮は、(
図6に示される)閉じられた流体通路158およびドーム領域146を形成するために、カセット112の突出部154A、154Bをドア108の凹部152A、152B内に保持し、剛性基部156の平面状表面から延びる一段高くなった隆起部167に膜140を強固に押し付ける。
図1および
図2も手短に参照すると、患者ライン130は、次いでカテーテルを介して患者の腹部に接続され、ドレーンライン132がドレーンまたはドレーン容器に接続される。さらに、ヒータバッグライン128はヒータバッグ124に接続され、透析液バッグライン126は透析液バッグ122に接続される。この時点で、ピストン133A、133Bは、カセット112およびライン126、128、130、132のプライミングを可能にするために、カセット112のドーム形留め部材161A、161Bに結合可能である。ひとたびこれらの構成要素がプライミングされると、治療が開始可能である。
【0144】
以下で検討される
図9A~
図9Gは、セットアップ、プライミング、および治療という異なるステージ中のシステムの断面図である。これらの図は、セットアップ、プライミング、および治療中の、PD機102のピストン133Aとカセット112のポンプ室138Aとの間の相互作用に焦点を当てている。他のピストン133Bとポンプ室138Bとの間の相互作用は同一であり、それゆえ、別途詳細に記載されない。
【0145】
図9Aは、カセットインターフェース110のピストンアクセスポート136Aへと完全に後退させられたピストン133Aを示す。上で説明したように、カセット112は、PD機102のカセットコンパートメント114内に位置付けられ、PD機102のドア108内の膨張可能パッドは、カセット112がPD機102のカセットインターフェース110に強固に押し付けられるように膨張される。
【0146】
図9Bを参照すると、カセット112がPD機102のカセットコンパートメント114内に適切に設置され、適切なライン接続がなされている場合、ピストン133Aは、PD機102のピストンヘッド134Aをカセット112のドーム形留め部材161Aに機械的に接続するプロセスを開始するために前進させられる。ピストン133Aが前進させられると、摺動ラッチ145Aの斜めの前部表面188Aおよび摺動ラッチ147Aの斜めの前部表面191Aが、ドーム形留め部材161Aから径方向内側に延びる環状突出部168Aの後部表面と接触する。環状突出部168Aの後部表面は、ピストン133Aの長手方向軸にほぼ垂直である。
【0147】
ピストン133Aが引き続き前進すると、
図9Bに示されるように、ドーム形留め部材161Aは、剛性基部156の、凹部領域162Aを形成する部分の内表面と接触する。剛性基部156は、ドーム形留め部材161Aのさらなる前方移動を防ぐ。ドーム形留め部材161Aの周囲フランジ164Aに取り付けられた膜140はまた、前進するピストン133Aに起因して伸張し、凹部領域162Aへと移動する。ピストンヘッド134Aが引き続きドーム留め部材161Aに対して前進させられると、摺動ラッチ145A、147Aの斜めの前部表面188A、191Aの斜めの外形およびドーム形留め部材161Aの前方への動きに対して剛性基部156によって供給される抵抗に起因して、径方向内側に(すなわち、ピストン133Aの長手方向軸の方へ)摺動ラッチ145A、147Aが移動させられる。より具体的には、ドーム形留め部材161Aの環状突出部168Aの後部表面に対する摺動ラッチ145A、147Aの斜めの前部表面188A、191Aの摺動運動に起因して、摺動ラッチ145A、147Aの前方への動きは、前方および径方向内側への組み合わせの動きへと転換される。ラッチロック141Aの脚155A、157Aの外表面と脚155A、157Aのそれらの外表面に隣接して位置付けられ、これらと接触された摺動ラッチ145A、147Aの表面との嵌合された外形に起因して、摺動ラッチ145A、147Aの各々の径方向内側への移動は、次に、ピストンヘッド134Aのラッチロック141Aの前方移動を引き起こす。ラッチロック141Aのこの前方移動は、ピストンヘッド内のばね143Aによって抵抗される。
【0148】
図9Cは、ドーム形留め部材161Aから径方向内側に延びる環状突出部168Aを越えて摺動ラッチ145A、147Aが通ることを可能にするのに十分な距離径方向内側に摺動ラッチ145A、147Aが撓まされている接続プロセス中のある時点におけるピストンヘッド134Aを示す。この位置において、ピストン133Aの長手方向軸と実質的に平行である摺動ラッチ145A、147Aの外側周辺表面は、同じくピストン133Aの長手方向軸と実質的に平行であるドーム形留め部材161Aの環状突出部168Aの内表面と接触し、これに沿って摺動する。ばね143Aは、摺動ラッチ145A、147Aの径方向内側に撓まされた位置に起因して、さらに圧縮される。
【0149】
図9Dを参照すると、摺動ラッチ145A、147Aが環状突出部168Aを越えて通ると、ばね143Aは広がることが可能になる。ばね143Aの伸張は、ラッチロック141Aを後方へ移動させる。その結果、ラッチロック141Aの脚155A、157Aの外表面は、摺動ラッチ145A、147Aの、それに応じて角度がつけられた隣接表面と接触し、摺動ラッチ145A、147Aを、ドーム形留め部材161Aの突出部168Aの下の径方向外側に移動させる。摺動ラッチ145A、147Aの斜めの後部表面190A、193Aは、摺動ラッチ145A、147Aが径方向外側に移動するとドーム形留め部材161Aの後部の方へわずかに角度がつけられたドーム形留め部材161Aの突出部168Aの前部表面に沿って載る。摺動ラッチ145A、147Aが径方向外側に移動すると、摺動ラッチ145A、147Aは、突出部168Aの下に押し込まれる。
【0150】
図9Eは、摺動ラッチ145A、147Aがドーム形留め部材161A内の最大限外側に変位された位置に移動した場合における、ピストンヘッド134Aとドーム形留め部材161Aとの間の完了した機械的接続を図示する。この構成において、ドーム形留め部材161Aの突出部168Aは、ピストンヘッド134Aの後部部材137Aと摺動ラッチ145A、147Aとの間に効果的に挟まれ、ピストンヘッド134Aとドーム形留め部材161Aとの間の確実な係合をもたらす。ドーム形留め部材161Aに対するピストンヘッド134Aの確実な係合の結果として、ドーム形留め部材161Aに対するピストンヘッド134Aの滑動量は減少(たとえば、最小化)可能であり、それゆえ、精密なポンプ圧送が達成可能である。
【0151】
PD機102のピストンヘッド134Aをカセット112のドーム形留め部材161Aに機械的に結合した後、カセット112から、およびカセット112に接続されたさまざまなライン126、128、130、132から空気を除去するために、プライミング技法が行われる。カセット112とライン126、128、130、132とをプライミングするために、ピストン133Aおよび膨張可能部材142は、典型的には、ヒータバッグ124からドレーンに、および透析液バッグ122の各々からドレーンに、透析液をポンプ圧送するように動作される。透析液はまた、患者ライン内に捕捉された空気を患者ライン130の遠位端に位置付けられた疎水性フィルタから押し出すために、ヒータバッグ124から患者ライン130に(たとえば、重力によって)通される。
【0152】
プライミングが完了した後、患者ライン130が患者に接続され、以前の治療から患者の腹膜腔内に残された使い終わった透析液を排出するようにPD機102が動作される。使い終わった透析液を患者の腹膜腔から排出するために、PD機102の膨張可能部材142は、患者ライン130と(
図4に示される)ポンプ室138Aのポート187Aとの間に、開いた流体流路を作るように構成され、ピストン133Aは、
図9Fに示されるように、使い終わった透析液を患者の腹膜腔から患者ライン130を介してポンプ室138Aへと吸い込むために、後退させられる。ピストンヘッド134Aがドーム形留め部材161Aに機械的に接続され、ドーム形留め部材161Aがカセット112の膜140に取り付けられるので、ピストン133Aの後退は、ドーム形留め部材161Aおよび膜140の、ドーム形留め部材161Aに取り付けられた部分を後方に移動させる。その結果、ポンプ室138Aの体積が増加され、使い終わった透析液が、患者の腹膜腔からポンプ室138Aへと吸い込まれる。使い終わった透析液は、患者ライン130から圧力検知室163Aを通って移動し、次いで、ポート187Aを介してポンプ室138Aに入る。圧力センサ151Aは、このプロセス中に、ポンプ室138A内の圧力にほぼ等しい、圧力検知室163A内の圧力を監視することができる。
【0153】
図9Gを参照すると、透析液を患者の腹膜腔からポンプ室138Aへと吸い込んだ後、膨張可能部材142は、(
図4に示される)ポンプ室138Aのポート185Aとドレーンライン132との間に、開いた流体流路を作るように構成され、ピストン133Aを前進させ、ポンプ室138Aの体積を低下させることによって、透析液がポンプ室138Aからドレーンに押し出される。ピストン133Aは、典型的には、透析液の実質的にすべてがポート185Aを介して流体ポンプ室138Aから押し出されるように、ドーム形留め部材161Aが基部156の凹部領域の内表面と接触またはほぼ接触するまで、前進させられる。
【0154】
治療の患者排出フェーズ中、使い終わった透析液溶液を患者からポンプ室138Aへと吸い込むためにピストン133Aが後退させられる一方で、使い終わった透析液溶液をポンプ室138Bからドレーンに、およびその逆にポンプ圧送するためにピストン133Bが前進させられるように、ピストン133A、133Bは、典型的には、交互に動作される。
【0155】
患者充填フェーズを始めるために、膨張可能部材142は、ポンプ室138Aとヒータバッグライン128との間に透明な流体流路を作るように構成され、次いで、ピストン133Aは、
図9Fに示されるように、暖かい透析液をヒータバッグ124からポンプ室138Aへと吸い込むために後退させられる。暖かい透析液は、ヒータバッグ124からヒータバッグライン128を通って、ポート185Aを介してポンプ室へと移動する。
【0156】
次いで、
図9Gに示されるように、ポンプ室138Aと患者ライン130との間に透明な流体流路を作るように膨張可能部材142を構成し、ピストン133Aを前進させることによって、暖かい透析液が患者ライン130を介して患者の腹膜腔に送達される。暖かい透析液は、ポート187Aを介してポンプ室138Aを出て、患者の腹膜腔に到達する前に圧力検知室163Aを通って患者ライン130へと移動する。圧力センサ151Aは、このプロセス中に、ポンプ室138A内の圧力にほぼ等しい、圧力検知室163A内の圧力を監視することができる。
【0157】
治療の患者充填フェーズ中、暖かい透析液をヒータバッグ124からポンプ室138Aへと吸い込むためにピストン133Aが後退させられ、暖かい透析液をポンプ室138Bから患者に、およびその逆にポンプ圧送するためにピストン133Bが前進させられるように、ピストン133A、133Bは、典型的には、交互に動作される。所望の体積の透析液が患者にポンプ圧送されているとき、機械102は、患者充填フェーズから、長い時間期間にわたって透析液が患者の腹膜腔内にとどまることが可能となる滞留フェーズへと移行する。
【0158】
滞留期間中、毒素が患者の腹膜を横切り、患者の血液から透析液へと入る。透析液が患者内に滞留している際、PD機102は、その後のサイクルにおける患者への送達のために、新鮮な透析液を準備する。特に、PD機102は、加熱のために、新鮮な透析液を4つの満杯の透析液バッグ122のうちの1つからヒータバッグ124へとポンプ圧送する。これを行うために、PD機102のポンプは、ピストン133A、133Bに往復運動させるように作動され、PD機102の特定の膨張可能部材142は、その関連付けられたライン126を介して、選択された透析液バッグ122からカセット112の流体ポンプ室138A、138Bへと透析液が吸い込まれるように膨張される。次いで、透析液は、ヒータバッグライン128を介して、流体ポンプ室138A、138Bからヒータバッグ124へとポンプ圧送される。
【0159】
透析液が所望の時間期間にわたって患者内に滞留した後、使い終わった透析液は、上述したやり方で、患者からドレーンにポンプ圧送される。次いで、加熱された透析液は、ヒータバッグ124から患者にポンプ圧送され、所望の時間期間にわたって患者内に滞留する。これらのステップは、3つの残りの透析液バッグ122のうちの2つからの透析液とともに繰り返される。最後の透析液バッグ122からの透析液は、典型的には、患者に送達され、その後のPD治療まで患者内に残される。
【0160】
PD治療の完了後、ピストン133A、133Bは、ピストンヘッド134A、134Bをカセットのドーム形留め部材161A、161Bから接続解除するようなやり方で後退させられる。次いで、PD機102のドア108が開かれ、カセット112がカセットコンパートメント114から除去され、処分される。
【0161】
図10は、患者に接続されたPD機102の概略図を示す。患者ライン130の近位端は、ポート(たとえば、入口/出口)でPD機102に接続され、患者ライン130の遠位端は、カテーテル1002を介して患者の腹部に接続される。カテーテル1002は、ポート1004を介して患者ラインに接続される。患者ライン130は、PD機102内の作業圧力によって少なくとも部分的に伸張される伸張性および/または可撓性材料から作製されたチューブであってもよい。たとえば、患者ライン130は、PD機102内の正の作業圧力に応答して腫脹を発達させるポリマーのようなエラストマー材料から作製され得る。患者ライン130、ポート1004、およびカテーテル1002は、本明細書において、患者ライン-カテーテル導管、または単に導管と呼ばれることがある。圧力センサ151Aのうちの1つは、患者ライン130の近位端に(たとえば、PD機102に最も近い患者ライン130の端に)配置される。圧力センサ151Aは、患者ライン130内の圧力を測定するように構成される。いくつかの実装形態では、圧力センサ151Aは、課された圧力の関数として信号を生成するトランスデューサを含む。この信号は、測定圧力の大きさと符号とを示す。
【0162】
PD治療サイクル中に、導管内の異なる場所において閉塞が発生することがある。たとえば、患者ライン130がねじれたり挟まれたりすることがあり、カテーテル1002内の穴が(たとえば、大網脂肪により)閉塞されることがあり、または、何らかの場所で(たとえば、大網脂肪の堆積物から)患者ライン130が内部妨害を発現させることがある。PD機102は、閉塞が検出されたことに応答して、その動作を調整するように構成される。たとえば、制御ユニット139は、閉塞を取り除こうとして、および/または過剰圧力条件を避けるために患者ライン内の流れを調節しようとして、PD機102の1つまたは複数の動作パラメータを調整するように構成され得る。いくつかの実装形態では、制御ユニット139は、閉塞が検出されたことを示すアラートを供給するように構成され得る。たとえば、視覚的、触覚的、および/または可聴式アラートが、(たとえば、患者を呼び起こすために)患者に向けられてもよい。
【0163】
適切な反応を決定するために、PD機102は、存在する閉塞の種類を確かめるように構成される。いくつかの実装形態では、閉塞の種類は、導管内の閉塞の場所に基づいて推測可能である。たとえば、閉塞がカテーテル1002内で検出された場合、PD機102は、カテーテル1002内の穴が閉塞されている可能性があることを推測することができる。同様に、患者ライン130に沿ったどこかで閉塞が検出された場合、PD機102は、患者ライン130がねじれている、または挟まれていることを推測することができる。PD機102は、圧力センサ151Aの位置に対する閉塞の場所を決定するように構成される。閉塞の特定の場所は、適切な反応を決定するために、PD機102によって考慮可能である。
図10に示される例において、閉塞1008は、患者ライン130における、患者ラインポートおよび/または圧力センサ151Aから距離xのところに存在しており、これは、患者ライン130内のねじれまたは挟みを示し得る。
【0164】
治療中、溶液は患者ライン130を通って交換される(たとえば、移送される、搬送される等)。患者ライン130に供給または患者ライン130から回収されるPD溶液(たとえば、透析液)が閉塞に遭遇すると、患者ライン130は変形を発達させることがある。たとえば、溶液が患者に向かってポンプ圧送される(たとえば、溶液が注入される)場合、閉塞に遭遇する溶液に応答して患者ライン130の弾性材料が広がり、それにより結果として、患者ライン130内における体積および圧力の増加がもたらされる。溶液が患者からポンプ圧送される(たとえば、溶液が回収される)場合、患者ライン130の弾性材料が収縮することがあり、それにより結果として、患者ライン130内の体積および圧力の低下がもたらされる。導管の非閉塞部分(たとえば、患者ラインポートと閉塞1008との間の導管の部分、第1の部分と呼ばれることがある)の伸張性は測定可能であり、閉塞1008の場所は、測定された値から推測可能である。閉塞1008は、導管の第1の部分と導管の第2の部分(たとえば、導管の残り)との間の境界を画定し得る。伸展性自体は、とりわけ、導管1008の非閉塞部分の長さ(たとえば、患者ラインポートと閉塞1008との間の距離x)に起因するので、閉塞1008の場所を推測することが可能である。
【0165】
患者ラインポートと閉塞1008との間の導管の部分は、導管の非閉塞部分または導管の加圧部分と呼ばれることがある。導管の加圧部分の長さ(患者ラインポートと閉塞1008との間の距離x)は、導管を薄壁円筒状の圧力容器として近似することによって決定可能である。このような近似によれば、導管の壁における垂直応力は、以下の式1および式2に従って与えられる。
【0166】
【0167】
【0168】
ここで、
【0169】
【0170】
は方位(azimuthal)応力(たとえば、「フープ」応力)であり、
【0171】
【0172】
は縦応力であり、Pgは導管が経験する経壁圧(たとえば、導管の外部が大気圧に露出されたときの導管内部の流体のゲージ圧)であり、Dは導管の内径であり、wは導管の壁厚である。いくつかの実装形態(たとえば、導管が比較的厚い壁を有する実装形態)において、導管内の応力状態を決定することは、式1および式2に示される二軸応力に加えて、他の考慮を必要とすることがある。
【0173】
初期に溶液が充填される患者ライン130の管の閉じられた体積(closed volume)が、閉塞1008が存在する間に追加された溶液の増分体積ΔVfを有する場合、圧力の変化ΔP(たとえば、圧力上昇)が結果としてもたらされる。圧力の変化ΔPの大きさは、患者ライン130の非閉塞部分の寸法および伸張性に依存する。圧力の変化ΔP、増分体積ΔVf、患者ライン130の伸張性に関連する性質、および患者ライン130のいくつかの寸法が既知の場合、閉塞1008の場所(たとえば、患者ラインポートと閉塞1008との間の距離x)が推測可能である。圧力の変化ΔPの関数としての追加溶液の増分体積ΔVfは、以下の式3に従って与えられる。
【0174】
【0175】
ここで、Vf,iは患者ライン130の非閉塞部分の初期体積であり、
【0176】
【0177】
であり、Eyは患者ライン130の材料のヤング率(たとえば、エラストマーのヤング率)である。式3は、エラストマーのポアソン比が0.5であると仮定してもよく、これは、ゴム材料の典型的な値であり得る。式3は、式1および式2によって与えられる応力テンソルから導出されるものであり、管材料が等方性を有し、線形弾性性質を有すると仮定し得る。
【0178】
式3は、注入された溶液の所与の増分体積ΔVfに対して、結果として生じる圧力の上昇ΔPが、加圧領域Vf,iの初期体積に依存することを意味する。a<<1(たとえば、微小ひずみ近似(small strain approximation))という条件の場合、ΔPは
【0179】
【0180】
に比例する。このような状態は維持されることが期待される。保存的な例(たとえば、Eyが約0.01ギガパスカルの軟質ゴムの場合)においては、600ミリバールという比較的高いΔPおよびD=4mmおよびw=1mmという代表的な管寸法は、a=0.024をもたらし得る。それゆえ、期待される条件下では、式3は、以下の式4によって近似可能である。
【0181】
【0182】
また、式4を置き換えて以下の式5を生み出してもよい。
【0183】
【0184】
ここで、患者ライン130の加圧領域の流体静電容量(fluidic capacitance)Cfは、以下の式6によって与えられる。
【0185】
【0186】
式6において、
図10と同様に、xは患者ラインポートと閉塞1008との間の距離(たとえば、管の長さ)を表す。閉塞1008は、完全またはほぼ完全な閉塞であり得る。式6の他の因子は、均一な管の所与のサンプルに対して比較的一定である。式6は、流体静電容量C
fの測定が、患者ラインポートと閉塞1008との間の距離xの測定へと読み替え可能であることを示す。流体静電容量C
fは、PD機102の既存の構成要素(たとえば、圧力センサ151A)を使用して式5に従って測定可能であり、距離xは、次いで式6に従って決定可能である。このようにして、本明細書に記載された方法および技法は、既存のシステムにおいて容易に実施可能である。いくつかの実装形態では、流体静電容量C
fと、患者ラインポートと閉塞1008との間の距離xとの関係は、経験的に(たとえば、式6の直接的な使用によってではなく)評価可能である。
【0187】
患者ライン130の加圧領域の流体静電容量C
fを測定する方法を図示する助けとなるために、
図11は、完全な流れ妨害の場合の、
図10に示される流体システムに類似し得る集中定数(lumped-element)電気回路の表現を示す。部分的な流れ妨害の場合、第2の抵抗器が(たとえば、R
カテーテルではなく)R
妨害+R
下流を表し、集中定数電気回路は、
図19に示される表現と同様に見え得る。図示された回路における静電容量の測定は、既知の電荷をキャパシタに追加し、患者ラインポート(たとえば、位置「1」)での電位の結果的な変化を測定することによって行われてもよい。上述したように、既知の電荷を追加することと同等の流体測定は、溶液の既知の増分体積ΔV
fを患者ライン130に注入し、圧力の変化ΔPを測定することである。
【0188】
現実には、患者ライン130の図示された抵抗および静電容量は、(たとえば、個別素子(discrete elements)に集中される(lumped)のではなく)患者ライン130の全長にわたって分布される。この事実は、(たとえば、患者ライン130の弾性波およびひずみ速度に感度の高い弾性性質のような)他の効果に加えて、溶液の増分体積ΔV
fを注入した後に、患者ライン130内の圧力の過渡挙動(transient behavior)を引き起こし得る。いくつかの例においては、そのような過渡事象(transients)が鎮静化した後の圧力ΔPの変化を測定することは、流体静電容量C
fのより正確な測定につながり得る。
実験1
図12は、導管の加圧領域の流体静電容量C
fが決定可能である例示的な実験システム1200を示す。システム1200は、(たとえば、患者ラインを模倣する)チューブ1230および、ポート1204を介してチューブ1230に接続されたカテーテル1202を含む導管に、流体の既知の増分体積ΔV
fを注入するように構成される、シリンジポンプ1210を含む。この例において、チューブ1230は、約10フィートの長さを有し、シリンジポンプ1210は、プログラム可能なステッパモーターによって駆動された。カテーテル1202は、(たとえば、患者の代わりに)流体のリザーバ1212内に浸漬される。閉塞1208は、チューブ1230における、チューブ1230の近位端に位置付けられた圧力センサ1206からさまざまな距離xのところに存在する。この例においては、さまざまな距離xでチューブ1230を止血鉗子でクランプすることによって、閉塞が作られた。チューブ1230のクランプは、完全な閉塞を表す。
【0189】
シリンジポンプ1210により、比較的少ない既知の体積の蒸留水(たとえば、約0.33立方センチメートルのΔVf)が注入された。圧力センサ1206は、チューブ1230の近位端でのチューブ1230内の圧力を経時的に測定するように構成された。圧力測定は、注入前、注入中および注入後に行った。いくつかの実装形態では、圧力測定は、数百ヘルツまたは数千ヘルツ程度(たとえば、1~2kHz)の周波数で行われた。
【0190】
図13は、閉塞1208がx=339cmに位置付けられたときの、時間(秒)に対する、圧力センサ1206によって得られた圧力測定P(ミリバール)の代表的グラフを示す。圧力の変化ΔPは、過渡挙動が沈静化した後の圧力の純変化(net change)として測定された。この例において、圧力の変化ΔPは約75ミリバールであった。注入された流体の増分体積ΔV
fおよび圧力の変化ΔPが既知であることから、次いで、流体静電容量C
fが式5に従って決定された。この例において、流体静電容量C
fは、約4.4cc/バールであると決定された。
【0191】
実験は、次いで、閉塞1208の試験された距離xの各々に対して繰り返された。
図14は、クランプのさまざまな距離x(センチメートル)に対する計算された流体静電容量C
f(cc/バール)の代表的グラフを示す。
図14に示されるデータは、特定のシステムにおける閉塞までの距離xに対する流体静電容量C
fの「較正曲線(calibration curve)」を表す。データは、流体静電容量C
fが距離xと線形相関することを示す。この情報は、閉塞の場所の決定を精緻化するために使用可能である。すなわち、式5に従って決定された流体静電容量C
fを使用すると、式6は、対応する閉塞が特定の距離xに存在することを示し得る。しかし、この例では、閉塞までの実際の距離xが既知である。それゆえ、計算された距離xと実際の距離xとの間の誤差が記録可能であり、将来の決定のために(たとえば、閉塞の実際の距離xが未知である実験のために、考慮可能である。
【0192】
実験1は、溶液の増分体積ΔV
fが導管に供給(たとえば、投入)され、それにより結果として圧力増加がもたらされる「充填方向」の実装形態の観点から概ね記載されてきたが、導管から溶液が回収され、それにより結果として導管内の圧力低下がもたらされる「排出方向」の実装形態にも、同じ原理および数式が適用される。
実験2
式1~6の妥当性を裏付け、完全な閉塞の有無を試験する
図12の実験システム1200の較正曲線を決定するために、実験1が使用された。実験2は、部分的な閉塞の有無を試験するために内蔵の圧力センサ151Aを使用して、実際の透析機(たとえば、
図1~
図10のPD機102)内で実施される同様の技法について調べる。以下で記載される高度な試験が、現実のPD治療にさらに関連する結果を達成するために行われた。
【0193】
実験は主に、排出方向における流れに焦点を当てた。排出方向における流れに焦点を当てるという選定は、下記の理由でなされた。i)問題のある妨害の大半は、典型的に排出方向において生じる、ii)ポンプからのカセットフィルムの取り出し可能性に起因する、より高い困難の潜在性が排出方向において予測された、およびiii)充填方向における初期試験は、経験的に決定される必要があるであろう異なる較正曲線にもかかわらず、圧力対流れの同じパターンが取得可能であろうことを示唆した。
【0194】
図15は、導管の加圧領域の流体静電容量C
fが決定可能である透析システム1500の概略を示す。透析システム1500は、本明細書に記載された立証実験において使用される流れ制御および圧力測定のための追加の構成要素を含む。たとえば、透析システム1500は、典型的には患者との通常の使用のために透析システムに含まれなくてもよい追加の構成要素を含む。
【0195】
透析システム1500は、PD機102と、PD機102の中に収容されたPDカセット112と、患者ライン1530と、患者ライン1530の近位端に配置される圧力センサ151Aとを含む。患者ライン1530は、
図1および
図10に関して上述した患者ライン130と実質的に同様であってもよい。いくつかの実装形態では、患者ライン1530は、デュアル患者コネクタを有する10フィートの患者ラインであってもよい。この例において、PD機102は、コンピューティングデバイス1534およびArduino LLCによって製造された、Mega 2650マイクロコントローラなどのマイクロコントローラ1536によって制御される。いくつかの実装形態では、PD機102は、
図1に示される制御ユニット139などの、PD機102の制御ユニット(たとえば、プロセッサ)によって制御され得る。マイクロコントローラ1536は、ドライバモジュール1538a、1538bに動作可能に結合される。ドライバモジュール1538a、1538bは、Pololu Corporationによって製造された、DRV8825ステッパモータードライバモジュールであってもよい。
【0196】
マイクロコントローラ1536は、コンピューティングデバイス1534によって実行されるコードの指示で、指定された流れパターンを課すために、ドライバモジュール1538a、1538bにPD機102のポンプ(たとえば、
図2のピストン133A、133B)を動作させるようにドライバモジュール1538a、1538bを制御するように構成される。下記の種類の動きを達成するために、マイクロコントローラ1536およびドライバモジュール1538a、1538bは、ポンプにパルスストリームを供給した。すなわち、i)搭載リミットスイッチによって画定される「ホーム」位置に戻る、ii)フルステッパからマイクロステッパのさまざまな増分まで、使用者定義のステッパモードにおいて、指定された数のステップだけ前方に移動する、およびiii)使用者定義のステッパモードにおいて、指定された数のステップだけ後方に移動する。閉塞検出という目的のためには、いくつかの流れパターンが他よりもより望ましいと決定された。そのような望ましい流れパターンは、以下で記載されるシーケンスにおいてプログラムされた。
【0197】
部分的な閉塞を検出する能力は(たとえば、完全な閉塞を検出することと比較して)、完全な閉塞を検出するときには顕在化しない課題を提示する。典型的には、閉塞が制限的でないほど、その場所を決定するための方法の感度および特異度のための課題が大きくなる。PD機102内の部分的な閉塞を定量化するための関連基準は、排出問題および充填問題条件(Drain Complication and Fill Complication conditions)に由来する。排出問題および充填問題条件は、特定の時間期間にわたって流れを閾値未満に下落させるのに十分な流れ制限があるときに発生する。定常状態の流れ制限のモデルケースにおいては、排出問題を起こすであろう制限の閾値は、毎分約30ミリリットルの流れを駆動するために、(圧力センサ151Aにおいて測定された)約-200ミリバールの圧力を必要とするであろう閾値である。
【0198】
ポンプは、患者ライン1530と、カテーテル1502と、患者ライン1530をカテーテル1502に接続するポート1504とを含む患者ライン-カテーテル導管を通じて、流体をポンプ圧送させるように構成される。カテーテル1502は、Flex Neck Classicカテーテルであってもよい。カテーテル1502、ポート1504、および患者ライン1530の一部分は、(たとえば、患者の代わりに)たらいの水1512内に浸漬される。水は室温(たとえば、20~25℃)に保持された。水の自由表面は、重力の方向に対して、PDサイクラー102の圧力センサ151Aと同じ高さ(たとえば、±2センチメートル)で保たれた。閉塞1508は、患者ライン1530における、圧力センサ151Aからさまざまな距離xのところに設けられ、閉塞1508が導管の第1の部分(たとえば、加圧部分)と導管の第2の部分(たとえば、導管の残り)との間の境界を画定した。閉塞1508は、部分的な閉塞を表した。
【0199】
閉塞1508までの距離xは、導管の加圧領域(たとえば、PDサイクラー102と閉塞1508との間の患者ライン1530のセグメント)の流体静電容量Cfの測定から推測可能である。均一な機械的性質および断面寸法の管を有する(たとえば、このことは実際に概ね真である)患者ライン1530の場合、流体静電容量Cfは、「キャパシタ」を備える管の長さと比例関係にある。部分的な閉塞を通した流体の「漏れ」の特性時間(characteristic time)と比較して短い時間間隔の固定流量で流体を追加または回収することによって、いわゆるキャパシタを「充電」可能である。流体静電容量Cfは、次いでその定義上、伸張体積対圧力の傾きとして測定され得る。言い換えれば、2以上の圧力測定を回収または投入ストローク中に行うことができ、圧力対時間のプロットの傾きを決定することができ、閉塞1508までの距離xが決定可能である。
【0200】
式6は、流体静電容量Cfが閉塞までの距離xに比例すると期待される理論的根拠を提示しており、比例定数は、管性質および断面寸法の関数のみである。式5は、流体静電容量Cfの微分定義(differential definition)を提示するために、以下の式7に示されるように置き換え可能である。
【0201】
【0202】
流体の注入または除去の固定速度
【0203】
【0204】
の作用によるキャパシタの「充電」中、流体静電容量Cfは、以下の式8に従って決定可能である。
【0205】
【0206】
実験1の場合と同様に、患者ライン130の加圧領域の流体静電容量Cfがひとたび計算されると、閉塞までの距離xは、式6に従って決定可能である。
【0207】
実験2は、下記の一般的なステップを含み、さまざまな異なる距離での閉塞に対して行われた。
【0208】
1)固定かつ既知の体積流量で流れの短いバースト(たとえば、「ショートストローク」)を(充填方向試験のために)追加または(排出方向試験のために)回収するために、ポンプを使用する。
【0209】
2)圧力センサ151Aでの圧力対時間の変化率を検出および測定する。傾き推定を生じさせるデータの時間間隔は、圧力の特性減衰時間に比べて短くてもよい。
【0210】
3)式6~8を使用して有効流体静電容量Cfを計算する。
【0211】
4)流体静電容量Cfと閉塞までの距離xとの間の較正曲線を経験的に決定する。
【0212】
検出方法の潜在的な感度および特異性を調査するために、実験は、さまざまな距離xで、多数のカセットにわたって、異なる種類、度合いおよび場所の流れ制限(たとえば、閉塞)で行われた。感度および特異度は、検出方法の性能の統計的尺度である。真陽性率とも呼ばれる感度は、そのようなものとして正しく特定される正数の割合を測定する。この文脈において、感度は、(たとえば、特定の範囲内の距離xに対して)閉塞を正しく特定するシステムの能力に対応し得る。真陰性率とも呼ばれる特異度は、そのようなものとして正しく特定される負数の割合を測定する。この文脈において、特異度は、検出方法の精度(たとえば、決定された距離xの誤差限界)に対応し得る。
【0213】
PD機102の第1のポンプ(たとえば、ドライバモジュール1538aのうちの第1のものによって制御されるポンプ)によって、少量(たとえば、約0.33立方センチメートル)の水が患者ライン1530を通して固定速度(たとえば、毎秒4.4立方センチメートル)で排出方向に移動させられた。このストローク中、2つ以上の圧力値を測定し、式8での使用のために圧力対時間の傾きを検出するために、PD機102に内蔵され、患者ライン1530の近位端に配置される圧力センサ151Aを使用した。
【0214】
圧力は、初期には、PD機102の圧力センサ151Aと、圧力センサ151Aの下流に位置付けられた基準圧力トランスデューサ1540との両方を使用して測定された。PD機102に内蔵された圧力センサ151Aが必要分を達成できることを保障するために、別個の圧力測定を行った。たとえば、圧力センサ151Aは、カセット112の膜を通して患者ライン1530内の圧力を検出するように構成されており、さまざまな流体素子(fluidic elements)が、圧力センサ151Aと患者ライン1530の近位端との間に位置付けられる。これらの素子は、圧力測定の精度を損なう、および/または歪める潜在性を有し得ると考えられた。それゆえ、基準圧力トランスデューサ1540によってなされた測定は、圧力センサ151Aによってなされた測定の忠実度(fidelity)を検証するために使用された。高度の忠実度が認められ、基準圧力トランスデューサ1540は、アーチファクトの可能性を避けるために除去された。
【0215】
図16は、ショートストローク試験中に圧力センサ151Aによってなされた経時的な圧力測定を含む圧力波形1602を示す。圧力測定は、1kHzの周波数でサンプリングされた。この例において、排出臨界値の閉塞1508は、患者ライン1530に沿った距離x=220センチメートルのところに位置付けられた。測定圧力は、ポンプの動きの不在下では比較的安定しており、約t=1秒で始まる約75ミリ秒の持続時間を有するポンプストローク中に急速に降下すると見られる。ポンプの動きの急激な中断の後、患者ライン1530内の圧力は、(たとえば、部分的な閉塞の漏れに起因して)定常状態値へと徐々に戻る。式8に従って流体静電容量C
fを決定するために、ショートストローク中の圧力対時間曲線の傾きが評価可能である。ひとたび流体静電容量C
fが既知となると、次いで、その後のショートストローク試験中の圧力対時間曲線の傾きを評価することによって、(たとえば、導管の未知の位置での)閉塞の場所xが決定可能である。
【0216】
図16に示されるデータは、患者ライン1530に沿った距離x=220センチメートルのところに位置付けられた閉塞1508に対して、毎秒4.4ミリリットルの固定速度で、0.33立方センチメートルの投入水量で行われるショートストローク試験に対応する。データは、閉塞1508に対するさまざまな異なる距離xで、さまざまな他のカセット112/閉塞1508の構成に対しても取得された。各試験に対し、流体静電容量C
fを決定するためにショートストロークの主下方事象(main downward event)中の圧力対時間曲線の傾きが評価され、流体静電容量C
fが閉塞1508のさまざまな異なる距離xに相関された。相関データは、閉塞1508の場所の将来の決定を精緻化するための較正曲線を作るために使用可能である。このようにして、将来の距離xの計算を較正するために、式6に従って計算された距離xと試験中の閉塞1508の実際の距離xとの間の誤差が考慮可能である。
実験3
導管の加圧領域の流体静電容量C
fを決定する別の方法は、既知の体積流量での長い定常状態ストロークで、流体が導管に供給された後、または導管から回収された後、圧力測定が所定の閾値を下回って減衰するのに必要な時間量を測定することである。短い投入または回収ストローク中の圧力の変化を測定することによって、導管の加圧領域の流体静電容量C
fを決定するための技法について調べた実験2のように、実験3も、部分的な閉塞の有無を試験するために、内蔵の圧力センサ151Aを使用して、実際の透析機(たとえば、
図1~
図10のPD機102)において実施された。試験セットアップは、実験2に関して上述した、
図15に示されているものと実質的に同様にした。
【0217】
閉塞1508までの距離xは、導管の加圧領域(たとえば、PDサイクラー102と閉塞1508との間の患者ライン1530のセグメント、第1の部分とも呼ばれることがある)の流体静電容量Cfの測定から推測可能である。閉塞1508は、導管の第1の部分と導管の第2の部分(たとえば、導管の残り)との間の境界を画定し得る。均一な機械的性質および断面寸法の管を有する(たとえば、このことは実際に概ね真である)患者ライン1530の場合、流体静電容量Cfは、「キャパシタ」を備える管の長さと比例関係にある。上述したように、いわゆるキャパシタは、流体を追加または回収することによって「充電」可能である。キャパシタは、次いでポンプの流れの中断によって放電されてもよく、それゆえ、患者(たとえば、患者の腹膜腔)への、または患者からの流体を受動的に伝達する。流体静電容量Cfは、放電中に生じる圧力減衰の特性時間から推測し得る。
【0218】
一般に、特性時間とは、システムの反応時間スケールの指標の推定である。RC回路とそのオームの法則との流体的類似(fluidic analogy)という文脈において、特性時間は、キャパシタが初期値から最終(たとえば、漸近)値まで、1-1/eだけ(たとえば、約63.2%だけ)放電するのに必要な時間である。それゆえ、本明細書において探索されるRC回路との流体的類似に焦点を当てると、特性時間は、患者ライン1530内の圧力が初期圧力値から初期圧力値と最終圧力値との間の差の36.8%に変化するのに必要とされる時間である。特性時間は時定数τとして表現可能である。ひとたび特性時定数(characteristic time constant)τが既知となると、流体静電容量Cfが、そして次に閉塞までの距離xが、決定可能である。
【0219】
式6は、流体静電容量Cfが閉塞までの距離xに比例すると期待される理論的根拠を提示しており、比例定数は、管性質および断面寸法の関数のみである。流体静電容量Cfと特性時定数τとの関係は、以下の式9で表現される。
【0220】
【0221】
ここで、Rfは部分的な閉塞自体を表す流体抵抗である。流体抵抗Rfは、以下の式10に示されるように、オームの法則との流体的類似から推定し得る。
【0222】
【0223】
ここで、Qは課された体積流量であり、ΔPは、課された体積流量Q(たとえば、閉塞を越えた圧力降下)に応答した圧力の変化である。
【0224】
実験3は、下記の一般的なステップを含み、さまざまな異なる距離での閉塞に対して行われた。
【0225】
1)固定かつ既知の体積流量Qで流れを(充填方向試験のために)追加するため、または(排出方向試験のために)回収するためにポンプを使用し、この初期流れ事象中に達成される定常状態圧力を測定する。
【0226】
2)式10を使用して流体抵抗Rfを決定する。
【0227】
3)導管内の圧力の受動的減衰を可能にするために、突然流れを止め、圧力の減衰中の圧力対時間を測定する。
【0228】
4)圧力測定を使用して特性時定数τを決定する。
【0229】
5)式9を使用して流体静電容量Cfを計算する。
【0230】
6)式6を使用して、流体静電容量Cfと閉塞までの距離xとの間の較正曲線を経験的に決定する。
【0231】
検出方法の潜在的な感度および特異性を調査するために、実験は、さまざまな距離xで、多数のカセットにわたって、異なる種類、度合いおよび場所の流れ制限(たとえば、閉塞)で行われた。
【0232】
この例においては、充填方向試験について検討される。既知の体積流量Qでの長時間かつ定常状態のストローク(たとえば、「ロングストローク」と呼ばれることもある)において、ある体積の流体が患者ライン1530に供給される。ポンプストローク中、圧力センサ151Aによって測定されるように、患者ライン1530内において初期定常状態圧力P1が達せられる。初期定常状態圧力P1は、固定体積流量Qおよび閉塞1508の特性から結果としてもたらされる圧力を表す。初期定常圧力P1は、式10を使用して流体抵抗Rfを計算するために使用されるものであり、ここで、ΔPは、患者ライン1530における初期圧力(たとえば、ポンプストロークが始まる前)とポンプストローク中に達成される初期定常状態圧力P1との差である。いくつかの実装形態では、初期定常状態圧力P1は、ロングストロークが停止される直前、またはロングストロークが停止されるときに測定される。
【0233】
ポンプストロークの終わりで、患者ライン1530内における圧力の受動的な減衰を可能にするために、流れが突然停止される。圧力センサ151Aは、最終定常状態圧力Pfが達成されるまで(たとえば、減衰が完了し、圧力がもはや変化しなくなるまで)、圧力の減衰中に圧力測定を行う。いくつかの実装形態では、ポンプストロークは、初期定常状態圧力P1に達したと決定されるとすぐに、突然中断可能である。ひとたび初期定常状態圧力P1および最終定常状態圧力Pfが既知となると、特性時定数τが決定される。特性時定数τは、初期定常状態圧力P1の発生と、圧力の減衰中に行われた複数の圧力の測定のうちの1つの発生との間の経過時間である。
【0234】
図17A~
図17Cは、(たとえば、キャパシタとして作用する)患者ライン1530の加圧領域に対する特性時定数τがどのようにして決定可能であるかを図示する、圧力対時間のプロットの例を示す。
図17Aに示されるプロットは、投入(たとえば、「充填」)ストロークの間およびその後に行われる圧力測定を示す。たとえば、キャパシタの「充電」は、プロットにおいてt=0からt=t
1に対応する、流体が患者ライン1530に供給されるときに発生する。圧力は初期定常状態値P
1に達する。t=t
1で、流れが突然中断され、圧力が低下し始める(たとえば、キャパシタが放電を開始する)。圧力は、結果的に最終定常状態値P
fに達する。この例においては、最終定常状態値はゼロまたはほぼゼロである。初期定常状態値P
1および最終定常状態値P
fが既知となれば、初期定常状態値P
1と最終定常状態値P
fとの差の36.8%を表す圧力P
2が決定可能である。この圧力P
2は、1/e * (P
1-P
f)という値を有する。特性時定数τは、次いで、患者ライン1530内部の圧力がP
2に等しくなる時間を特定し、t
1とt
2との間の経過時間を決定することによって決定可能である。
【0235】
いくつかの実装形態では、最終定常状態圧力P
fはゼロでなくてもよい。
図17Bは、ゼロでない最終定常状態値P
fに近づく圧力測定のプロットを示す。例えば患者は、圧力センサ151Aとは異なる高さにあってもよく、それゆえ、患者ライン1530において流れがゼロの場合、ゼロでない静水圧が存在する。そのような場合、初期定常状態値P
1および最終定常状態値P
fとの間の差の36.8%を表す圧力P
2は、1/e * (P
1-P
f) + P
fという値を有する。特性時定数τは、次いで、患者ライン1530内部の圧力がP
2に等しくなる時間を特定し、t
1とt
2との間の経過時間を決定することによって決定可能である。
【0236】
いくつかの実装形態では、特性時定数τを決定する前の初期ステップとして、前ストロークでの流れゼロの時間平均値が圧力測定から減算され得る。このようにして、(たとえば、t=0での)開始圧力および最終定常状態圧力Pfの一方または両方が0ミリバールの値を有するように調整可能であり、それによって、特性時定数τの決定を単純化できる。
【0237】
患者ライン1530から流体を回収するときの特性時定数τを決定するために、同様の方法が使用可能である。
図17Cに示されるプロットは、回収(たとえば、「排出」)ストローク中およびその後に行われる圧力測定を示す。たとえば、キャパシタの「充電」は、プロットにおいて、t=0からt=t
1に対応する、流体が患者ライン1530から回収されるときに発生する。圧力は初期定常状態値P
1に達する。t=t
1で、流れが中断され、圧力が増加し始める(たとえば、キャパシタが放電を開始する)。圧力は結果的には、最終定常状態値P
fに達する。この例において、最終定常状態値はゼロまたはほぼゼロである。初期定常状態値P
1および最終定常状態値P
fが既知となれば、初期定常状態値P
1と最終定常状態値P
fとの差の36.8%を表す圧力P
2が決定可能である。この圧力P
2は、1/e * (P
1-P
f)という値を有する。特性時定数τは、次いで、患者ライン1530内部の圧力がP
2に等しくなる時間を特定し、t
1とt
2との間の経過時間を決定することによって決定可能である。最終定常状態圧力P
fがゼロでない実装形態では、特性時定数τは、
図17Bに関して上述したのと同様のやり方で決定可能である。
【0238】
ひとたび特性時定数τが決定されると、式9に従って流体静電容量Cfが計算される。次いで、式6に従って閉塞1508までの距離xが決定される。
【0239】
閉塞1508に対するさまざまな異なる距離xにあるさまざまな他のカセット112/閉塞1508の構成に対して同様の試験を行うことができる。各試験に対し、計算された流体静電容量C
fは、閉塞1508のさまざまな異なる距離xと相関可能である。相関データは、閉塞1508の場所の将来の決定を精緻化するための較正曲線を作るために使用可能である。このようにして、式6に従って計算された距離xと、試験中の閉塞1508の実際の距離xとの間の誤差が、将来の距離xの計算を較正するために考慮可能である。
実験4
いくつかの実装形態では、閉塞までの厳密な距離xを決定する代わりに、またはそれに加えて、閉塞の相対的な場所および/または一般的な場所を決定し得る。たとえば、導管の患者ライン領域(たとえば、患者の外側)またはカテーテル領域(たとえば、患者の内部)などの特定の関心領域において閉塞が存在するかどうかを決定するために、導管内の複数の圧力測定の特性が解析可能である。導管は、生成された情報が1つの領域または他の領域に閉塞を局所化することができるように、患者ライン領域とカテーテル領域との間に戦略的に位置付けられた流体容量素子を含んでもよい。決定された閉塞の領域に基づいて、閉塞の種類(たとえば、患者ライン内の挟み、カテーテルの閉塞等)が決定可能である。この決定は、PD機(
図1の102)の既存の構成要素(たとえば、圧力センサ151A)を使用して、検出手順における逆方向の流れを必要とせずに行ってもよい。
【0240】
図18は、患者に接続されたPD機102の概略図を示す。患者ライン1830の近位端は、ポート(たとえば、入口/出口)でPD機102に接続され、患者ライン1830の遠位端は、カテーテル1802を介して患者の腹部に接続される。カテーテル1002は、ポート1804を介して患者ラインに接続される。流体容量素子1810は、ポート1804に隣接する患者ライン1830の遠位端に位置付けられる。いくつかの例においては、流体容量素子1810は、他のどこかに位置付けられてもよい。患者ライン1830は、PD機102内の作業圧力によって少なくとも部分的に伸張される伸張性および/または可撓性材料から作製されたチューブであってもよい。たとえば、患者ライン1830は、PD機102内の正の作業圧力に応答して腫脹を発達させるポリマーのようなエラストマー材料から作製されてもよい。圧力センサ151Aは、患者ライン1830内の圧力を測定するように構成される。患者ライン1830、流体容量素子1810、ポート1804、およびカテーテル1802は、本明細書では患者ライン-カテーテル導管、または単に導管と呼ばれることがある。この例では導管が流体容量素子1810も含むことを除けば、導管は、
図10に関して上述したものと実質的に同様であってもよい。
【0241】
患者ライン1830のように、流体容量素子1810はまた、PD機102内の作業圧力によって少なくとも部分的に伸張される伸張性および/または可撓性の材料から作製されてもよい。たとえば、流体容量素子1810は、PD機102内の正の作業圧力に応答して腫脹を発達させるポリマーのようなエラストマー材料から作製されてもよい。いくつかの実装形態では、流体容量素子1810は、患者ライン1830の一部であってもよい(たとえば、患者ライン1830に一体化されたエラストマーセグメント)。流体容量素子1810は、患者ライン1830自体のそれよりも実質的に大きい伸張性を有し得る。たとえば、流体容量素子1810は、復元力によって生じられる局所的な液体圧力の付随的な増加に伴い、追加の流体体積を記憶する能力を有し得る。したがって、PD機102の患者ラインポートと流体容量素子1810との間に発生する閉塞は、圧力センサ151Aに流体容量素子1810の影響を経験させることはなく、流体容量素子1810とカテーテル1802の先端との間に生じる閉塞は、圧力センサ151Aに流体容量素子1810の影響を経験させる。
【0242】
PD治療サイクル中に、導管内の異なる場所に閉塞が発生することがある。たとえば、患者ライン1830が挟まれたりねじれたりすることがあり、カテーテル1802内の穴が(たとえば、大網脂肪により)閉塞されることがあり、または、患者ライン1830が、何らかの場所において(たとえば、大網脂肪の堆積物から)内部妨害を発現させることがある。PD機102は、
図10に関して上述したように、閉塞が検出されたことに応答して、その動作を調整するように構成される。PD機102による適切な応答は、閉塞の種類に依存してもよく、閉塞の種類は、閉塞が患者ライン領域(たとえば、患者ラインポートと流体容量素子1810との間)に発生するか、または、導管のカテーテル領域(たとえば、流体容量素子1810とカテーテル1802の先端との間)に発生するかに基づいて確かめてもよい。
【0243】
導管への流体容量素子1810の追加によって達成される効果を解析する方法を図示する助けとなるために、
図19は、
図18に示される流体システムに類似した集中定数電気回路の表示を示しており、ここで、Pは導管のさまざまな部分での圧力を指し、Qは導管のさまざまな部分での体積流量を指し、Rは流体抵抗(たとえば、患者ラインの流体抵抗成分R
ラインおよびカテーテルの流体抵抗成分R
カテーテルを含み、これらを総称してR
fとする)を指し、V
fは流体体積を指し、C
fは流体静電容量を指す。類似の電気回路に数学的類似性を引き出すことによって、流体力学的解析が行われうる。導管の分布領域上で発生する流体力学的効果が個別解析素子(たとえば、抵抗器またはキャパシタ)によって表される、集中定数解析が行われ得る。
【0244】
流体力学的集中定数解析のための電気回路の類似が表1に示され、表1の式と一致する物理的および数学的類似が表2に示される。
【0245】
【0246】
【0247】
表1の式の数学的解析を単純化するために、さまざまな仮定がなされ得るが、そのような仮定はあらゆる場合に必要とされる訳ではない。たとえば、容量効果は線形(linear)である(たとえば、記憶された流体体積に比例して圧力が増加する)と仮定し得る。流体抵抗Rfは、円形断面(たとえば、一定の半径r、長さl)の剛性ダクト内の完全発達層流の場合に適用され得るが、他の内部流れ状況の場合は、流体抵抗Rfに対する他の表現が適用され得る。一般的な場合(たとえば、乱流または剥離流を含む)においては、流体抵抗Rf自体が体積流量Qの関数である。動的粘度はμである。流体静電容量Cfの場合と同様に、流体抵抗Rfの一定値から結果として生じる線形性によって解析が単純化され得るが、そのような線形性は必要とされない。
【0248】
流体静電容量Cfは、記憶された流体体積ΔVfを量(quantity)で割ったものの変化、すなわち、後者が作用する面積Aで割った復元力ΔFの変化である。材料の性質および寸法を組み込んだ流体静電容量Cfの表現の形式は、流体容量素子1810の設計およびその(たとえば、エラストマー、空気圧、ばね等の)復元力のメカニズムに依存し得る。流体インダクタンスLfは、一定半径rおよび長さlの円形ダクトセグメント内の流体密度ρを有する流体に適用される。
【0249】
図19の回路は、誘導効果を無視し得る場合のためにインダクタなしで示されているが、適切であれば、誘導効果は数学モデルに組み込まれてもよい。回路挙動を支配する常微分方程式は、流体容量素子1810に記憶された時変流体体積V
f,2(t)の観点から、以下の式11で表現されるように記述可能である。
【0250】
【0251】
実験4の目的は、患者ライン領域内の圧力P1を(たとえば、患者ラインポートの近くで)経時的に測定することによって、導管Rカテーテルのカテーテル領域の流体抵抗の増加から、導管Rラインの患者ライン領域の流体抵抗の増加を区別することである。患者ライン領域内の経時的圧力P1(t)は、流体抵抗Rfの増加によって、そのような増加の場所に依存して、異なった影響を受ける。患者ライン領域とカテーテル領域との間の流体容量素子1810の設置により、以下の解析に示されるように、そのような区別を行うことが可能になる。
【0252】
指定された流れ波形Q1(t)が患者ライン1830に供給される。この例において、流れ波形Q1(t)は、既知であり、以下の式12に示されるような完全フーリエ変換によって表され得るように、周期的である。
【0253】
【0254】
式11は、流体抵抗Rfおよび流体静電容量Cfの値が一定であると仮定して、重ね合わせによって解くことができる。いくつかの例において、流体抵抗Rfおよび流体静電容量Cfの値が、一定ではないが、それぞれ流れおよび体積の反復可能な関数である場合には、数値的または実験的解析のような流れ波形Q1(t)に対する圧力Pの期待特性を決定するために、異なる方法を使用してもよい。重ね合わせの結果は、以下の式13に示されるように、サイクラーで測定された圧力P1(t)の予測を供給する。
【0255】
【0256】
式13において、回路ωoの特性周波数は、以下の式14によって与えられる。
【0257】
【0258】
式13は、サイクラーでの圧力P1(t)(たとえば、圧力センサ151Aによって測定される導管の患者ライン領域内の圧力)を、時間平均成分と過渡的(たとえば、変動)成分との和として表現する。時間平均成分は、導管の全流体抵抗Rfの関数、すなわち
【0259】
【0260】
である。ゆえに、患者ライン領域Rラインの流体抵抗またはカテーテル領域Rカテーテルの流体抵抗のいずれにおける等価増加も、
【0261】
【0262】
に等しく影響を及ぼす。それゆえ、圧力P1(t)の時間平均値は、流れ抵抗の急激な増加の場所を特定するために使用することができない。
【0263】
一方で、圧力P1(t)の過渡成分の検査は、カテーテル領域Rカテーテルの流体抵抗に対する患者ライン領域Rラインの流体抵抗の影響の分離を明らかにする。カテーテル領域Rカテーテルの流体抵抗の変化は、特性周波数ωoに影響を与える一方で、患者ライン領域Rラインの流体抵抗の変化は、それに影響を及ぼさない。逆に、患者ライン領域Rラインの流体抵抗の変化のみが、
【0264】
【0265】
および
【0266】
【0267】
の項を通じて、圧力P1(t)の過渡成分に影響を及ぼす。それゆえ、圧力P1(t)の過渡成分が測定され、期待特性と比較される場合、流れ抵抗の増加の場所が決定され得る。
【0268】
【0269】
および
【0270】
【0271】
の値は
【0272】
【0273】
の形状に依存しており、後者はポンプヘッド動作プロトコルの設計によって課せられることになるので、どの波形Q1(t)が最も具体的かつ高感度に抵抗増加の場所を明らかにするのかを決定することが有利である。ラプラス変換解析および実験データが、従うべき勧告を供給する。
【0274】
衝撃特性(impulsive character)の1つを含む、周期強制関数(periodic forcing function)および定数係数を有する(たとえば、式11のような)常微分方程式は、ラプラス変換の方法による解法のための良い候補である。解法は、式15~25に従って下記のように進行することができ、その結果は、前節においてフーリエ解析によって得られた結果を補完する。
【0275】
【0276】
【0277】
【0278】
ここで、
【0279】
【0280】
および
【0281】
【0282】
は、それぞれ、
【0283】
【0284】
および
【0285】
【0286】
のラプラス変換である。それゆえ、
【0287】
【0288】
ここで、Vf,2(t)は、以下の式18の逆ラプラス変換を行うことによって求められる。
【0289】
【0290】
【0291】
ここで、
【0292】
【0293】
であり、その逆ラプラス変換は
【0294】
【0295】
(式14参照)である。
【0296】
変換および畳み込み規則の線形的性質に従って式20を反転する(invert)ように進むと、
【0297】
【0298】
【0299】
となる。
【0300】
式22は、以下の回路式に従って導出された、測定圧力P1(t)についての式である式24に対し、入力を供給する。
【0301】
【0302】
【0303】
式24は、上記のフーリエ結果と同様ではあるが異なる数学的形式によって、カテーテル領域Rカテーテルの流体抵抗の変化に対する患者ライン領域Rラインの流体抵抗の変化の影響の分離を容量素子がどのように起こすかを実証する。
【0304】
流れ波形Q1(t)の形式に応じて、式22における積分は、解析的または数値的に評価され得る。いくつかの実装形態では、流れは、期待圧力波形を単純化し、応答時間の測定を隔離するように、プログラムされ得る。この例では、プログラムされたポンプヘッドの動きによって流れ波形Q1(t)が課されることになるため、最も有利かつ達成可能な流れ波形Q1(t)(たとえば、最も高い感度および特異性を結果としてもたらす流れ波形Q1(t))を調査することが適切であり得る。いくつかの例において、流れ波形Q1(t)の簡略化した場合は、特性周波数ωoの公称値(nominal value)よりもはるかに低い周波数を有する準方形波であってもよい。すなわち、流れ波形Q1(t)が単一の投入ステップを伴い、流れが突然停止すると、式24が以下の式25によって近似される期間が後に続いてもよい。
【0305】
【0306】
式25は、特性周波数ωoを測定するために、圧力P1の測定された時間応答がどのように使用し得るかを示す。ひとたび特性周波数ωoが既知となると、カテーテル領域Rカテーテルの流体抵抗の変化(または、その欠如等)を推測するために、式24が使用可能である。カテーテル領域Rカテーテルの流体抵抗の変化が、患者ライン領域Rラインの流体抵抗と、定常状態測定によって検出されたカテーテル領域Rカテーテルの流体抵抗との組み合わせの増加に等しい場合には、閉塞が導管のカテーテル領域(たとえば、カテーテル1802の閉塞)に位置付けられている可能性が高い。逆に、カテーテル領域Rカテーテルの流体抵抗の変化なしに、患者ライン領域Rラインの流体抵抗とカテーテル領域Rカテーテルの流体抵抗との組み合わせの増加が生じた場合には、導管の患者ライン領域(たとえば、患者ライン1830の挟み)内に閉塞が位置付けられている可能性が高い。
【0307】
いくつかの実装形態では、体積流量Qは他のやり方で課され得る、すなわち、流れ波形Q1(t)は他の形式を取り得る。たとえば、いくつかの実装形態では、流れ波形Q1(t)は、流体の定常状態導入、流体の傾斜導入、流体の放物線状導入、および/または流体の循環的導入を含むことができる。
【0308】
本明細書に記載される検出方法は、試験環境において実施されるものとして記載されることもあるが、患者ラインが透析治療を受けている患者に取り付けられているときには、(たとえば、
図10および
図18に示されるように)導管内の閉塞を検出するために同様の技法が採用可能である。たとえば、i)閉塞の距離x、および/またはii)閉塞が患者ライン領域または導管のカテーテル領域に配置されるかどうかの決定は、本明細書に記載の検出方法を使用して行ってもよい。次いで、決定された距離および/または場所に基づいて、閉塞の種類が推測可能である。
【0309】
透析システムは、腹膜透析(PD)システムであるとして概ね記載されたが、他の医療システムも本明細書に記載された技法を採用することができる。他の医療システムの例としては、血液透析システム、血液濾過システム、血液濾過透析システム、アフェレシスシステム、および心肺バイパスシステムがある。
【0310】
さまざまなパラメータを決定するための多数の式が上述されたが、いくつかの実装形態では、そのような式は、本明細書に記載されたシステムおよび技法、ならびに関連する測定および/または計算の理論的根拠を示すために使用される。いくつかの実装形態では、式の1つまたは複数の要素は、上に示したものとは異なっていてもよい。いくつかの実装形態では、経験的評価によって、1つまたは複数の値が決定され得る。たとえば、式6に関して上述したように、実際には、流体静電容量Cfと、患者ラインポートと閉塞との間の距離xとの関係は、経験的手段によって評価可能である。
【0311】
図20は、例示的なコンピュータシステム2000のブロック図である。たとえば、制御ユニット(
図1の139)、コンピューティングデバイス(
図15の1534)、および/またはマイクロコントローラ(
図15の1536)は、本明細書に記載されたシステム2000の例であってもよい。システム2000は、プロセッサ2010と、メモリ2020と、記憶デバイス2030と、入出力デバイス2040とを含む。構成要素2010、2020、2030、および2040の各々は、たとえば、システムバス2050を使用して相互接続可能である。プロセッサ2010は、システム2000内における実行のための命令を処理することが可能である。プロセッサ2010は、シングルスレッドプロセッサ、マルチスレッドプロセッサ、または量子コンピュータとすることができる。プロセッサ2010は、メモリ2020内または記憶デバイス2030上に記憶された命令を処理することが可能である。プロセッサ2010は、透析システムに透析機能を実行させるなどの動作を実行し得る。
【0312】
メモリ2020は、システム2000内の情報を記憶する。いくつかの実装形態では、メモリ2020はコンピュータ可読媒体である。メモリ2020は、たとえば、揮発性メモリユニットまたは不揮発性メモリユニットでありうる。いくつかの実装形態では、メモリ2020は、透析システムのポンプを本明細書において記載されるように動作させるための情報を記憶する。
【0313】
記憶デバイス2030は、システム2000に大容量記憶を供給することが可能である。いくつかの実装形態では、記憶デバイス2030は、非一時的なコンピュータ可読媒体である。記憶デバイス2030は、たとえば、ハードディスクデバイス、光ディスクデバイス、ソリッドデート(solid-date)ドライブ、フラッシュドライブ、磁気テープ、または何らかの他の大容量記憶デバイスを含んでもよい。記憶デバイス2030は代替的に、クラウド記憶デバイス、たとえば、ネットワーク上に分布され、ネットワークを使用してアクセスされる複数の物理記憶デバイスを含む論理記憶デバイスであってもよい。
【0314】
入出力デバイス2040は、システム2000に入出力動作を供給する。いくつかの実装形態では、入出力デバイス2040は、ネットワークインターフェースデバイス(たとえば、イーサネット(登録商標)カード)、シリアル通信デバイス(たとえば、RS-232 10ポート)、および/または無線インターフェースデバイス(たとえば、802.11カード、3G無線モデム、または4G無線モデム)のうちの1つまたは複数を含む。いくつかの実装形態では、入出力デバイス2040は、とりわけ、Wi-Fi、Bluetooth(登録商標)、および/または近距離無線通信(NFC)コンポーネントなどの、短距離ワイヤレス送受信コンポーネントを含んでもよい。いくつかの実装形態では、入出力デバイスは、入力データを受け取り、出力データを他の入出力デバイス、たとえば、キーボード、プリンタ、および(タッチスクリーンディスプレイ118のような)ディスプレイデバイスに送るように構成されたドライバデバイスを含む。いくつかの実装形態では、モバイルコンピューティングデバイス、モバイル通信デバイス、および他のデバイスが使用される。
【0315】
いくつかの実装形態では、システム2000はマイクロコントローラ(たとえば、
図15のマイクロコントローラ1536)である。マイクロコントローラは、単一の電子回路パッケージ内にコンピュータシステムの複数の要素を包含するデバイスである。たとえば、単一の電子回路パッケージは、プロセッサ2010と、メモリ2020と、記憶デバイス2030と、入出力デバイス2040とを包含しうるであろう。
【0316】
図20では、例示的な処理システムが記載されたが、上述した主題および機能的動作の実装形態は、他の種類のデジタル電子回路において、または本明細書に開示されている構造およびそれらの構造的等価物を含むコンピュータソフトウェア、ファームウェア、もしくはハードウェアにおいて、またはそれらのうちの1つまたは複数の組み合わせで、実施可能である。本明細書において記載される主題の実装形態は、1つまたは複数のコンピュータプログラム製品、すなわち、処理システムによって実行されるための、またはその動作を制御するために、有形のプログラム運搬物、たとえばコンピュータ可読媒体上で符号化されたコンピュータプログラム命令の1つまたは複数のモジュールとして実施可能である。コンピュータ可読媒体は、機械可読記憶デバイス、機械可読記憶基板、メモリデバイス、機械可読伝播信号をもたらす物質組成、またはそれらのうちの1つまたは複数の組み合わせとすることができる。
【0317】
「コンピュータシステム」という用語は、データを処理するためのあらゆる装置と、デバイスと、機械とを包含し得、例として、プログラム可能プロセッサ、コンピュータ、または複数のプロセッサもしくはコンピュータを含む。処理システムは、ハードウェアに加えて、当該コンピュータプログラムのための実行環境を作るコード、たとえば、プロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、またはこれらのうちの1つまたは複数の組み合わせを構成するコードを含みうる。
【0318】
コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、スクリプト、実行可能ロジック、またはコードとしても知られる)は、コンパイラ型もしくはインタープリタ型言語、または宣言型もしくは手続き型言語を含む任意の形式のプログラミング言語で記述可能であり、スタンドアロンプログラムとして、またはモジュール、コンポーネント、サブルーチン、もしくはコンピューティング環境において使用するのに適した他の単位として、を含む、任意の形式で配備可能である。コンピュータプログラムは、必ずしもファイルシステム内のファイルに対応しない。プログラムは、他のプログラムまたはデータ(たとえば、マークアップ言語文書内に記憶された1つまたは複数のスクリプト)を保持するファイルの一部分に、当該プログラム専用の単一のファイル内に、または複数の協調されたファイル(たとえば、1つまたは複数のモジュール、サブプログラム、またはコードの各部分を記憶するファイル)内に記憶可能である。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上で、または1つのサイトに配置された、もしくは複数のサイトにわたって分布され、通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータ上で実行されるために配備可能である。
【0319】
コンピュータプログラム命令およびデータを記憶するのに適したコンピュータ可読媒体は、あらゆる形式の不揮発性または揮発性メモリ、媒体およびメモリデバイスを含み、例としては、EPROM、EEPROM(登録商標)およびフラッシュメモリデバイス等の半導体メモリデバイスや、例えば内部ハードディスクもしくはリムーバブルディスクまたは磁気テープ等の磁気ディスクや、光磁気ディスクや、CD-ROMおよびDVD-ROMディスクを含む。プロセッサおよびメモリは、専用論理回路によって補完される、または専用論理回路内に組み込まれることができる。システムのコンポーネントは、デジタルデータ通信、たとえば、通信ネットワークの任意の形式または媒体によって相互接続が可能である。通信ネットワークの例としては、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)およびインターネット等のワイドエリアネットワーク(「WAN」)がある。
【0320】
本発明の多数の実装形態が記載された。それにもかかわらず、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、さまざまな修正がなされ得ることが理解されるであろう。したがって、他の実装形態は、下記の特許請求の範囲内にある。
以下に、本願出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1]
医療用デバイスに接続された伸張性のある医療用チューブの第1の部分における流体の第1の圧力を測定することと、ここにおいて、前記医療用チューブにおける、前記医療用チューブの前記第1の部分と第2の部分との間の境界を画定する場所に、閉塞が存在し、
ある体積の流体を前記医療用チューブの前記第1の部分に供給または前記医療用チューブの前記第1の部分から回収することと、
前記医療用チューブの前記第1の部分における前記流体の第2の圧力を測定することと、
前記第2の圧力と前記第1の圧力との間の差に基づいて、前記医療用チューブの前記第1の部分の長さを決定することと、を備える、
方法。
[C2]
前記医療用デバイスが透析機を備える、[C1]に記載の方法。
[C3]
前記透析機が腹膜透析(PD)機を備える、[C2]に記載の方法。
[C4]
前記第1の部分の前記長さは、前記医療用デバイスに接続された前記医療用チューブの近位端に対する前記閉塞の前記場所を表す、[C1]~[C3]のうちのいずれか1項に記載の方法。
[C5]
前記第1の圧力および前記第2の圧力は、前記医療用デバイスに接続された前記医療用チューブの近位端にある圧力センサによって測定される、[C1]~[C4]のうちのいずれか1項に記載の方法。
[C6]
前記流体は、前記閉塞によって少なくとも部分的に妨害される、[C1]~[C5]のうちのいずれか1項に記載の方法。
[C7]
前記閉塞によって少なくとも部分的に前記流体が妨害されることは、前記医療用チューブ内の圧力の増加または低下を引き起こす、[C6]に記載の方法。
[C8]
前記閉塞によって少なくとも部分的に妨害された前記流体は、前記医療用チューブ内の伸張を引き起こす、[C6]または[C7]に記載の方法。
[C9]
前記医療用チューブは、前記医療用チューブの遠位端にカテーテルを備える、[C1]~[C8]のうちのいずれか1項に記載の方法。
[C10]
前記閉塞の決定された場所に少なくとも部分的に基づいて、前記閉塞の種類を推測することを備える、[C1]~[C9]のうちのいずれか1項に記載の方法。
[C11]
前記閉塞の前記種類は、前記医療用チューブの挟み、前記医療用チューブ内のねじれ、前記医療用チューブ内の堆積物、および前記医療用チューブの遠位端にあるカテーテルの穴を妨害する堆積物、のうちの1つまたは複数を備える、[C10]に記載の方法。
[C12]
前記堆積物が大網脂肪を備える、[C11]に記載の方法。
[C13]
前記医療用チューブの寸法、前記医療用チューブの材料組成、および前記医療用チューブの前記第1の部分に供給または前記医療用チューブの前記第1の部分から回収される前記体積の流体、のうちの1つまたは複数に基づいて、前記医療用チューブの前記第1の部分の前記長さを決定することを備える、[C1]~[C12]のうちのいずれか1項に記載の方法。
[C14]
前記医療用チューブの前記第1の部分の前記長さの前記決定は、前記医療用チューブの流体静電容量に基づく、[C1]~[C13]のうちのいずれか1項に記載の方法。
[C15]
前記医療用チューブの前記第1の部分における前記流体の圧力の時間履歴を測定することを備える、[C1]~[C14]のうちのいずれか1項に記載の方法。
[C16]
前記体積の流体が供給または回収されている間に、前記医療用チューブの前記第1の部分における前記流体の2つの圧力を測定することと、
前記2つの圧力の測定間の差および前記2つの圧力の測定間の経過時間量に基づいて、前記医療用チューブの前記第1の部分の前記長さを決定することと、を備える、
[C1]~[C15]のうちのいずれか1項に記載の方法。
[C17]
前記体積の流体の前記供給または回収が突然停止される前に、前記医療用チューブの前記第1の部分における前記流体の第3の圧力を測定することと、
前記体積の流体の前記供給または回収が突然停止された後に、前記医療用チューブの前記第1の部分における前記流体の複数の圧力を経時的に測定することと、
前記複数の圧力の経時的な測定のうち、前記第3の圧力の測定と第4の圧力の測定との間の経過時間に基づいて、前記医療用チューブの前記第1の部分の前記長さを決定することと、を備える、
[C1]から[C15]のうちのいずれか1項に記載の方法。
[C18]
経時的な体積流量で、流体を医療用デバイスに接続された伸張性のある医療用チューブに供給または前記医療用チューブから回収することと、ここにおいて、前記医療用チューブは、流体容量素子によって分離された患者ライン領域およびカテーテル領域を含み、
前記患者ライン領域にある圧力センサによって、前記流体の経時的な複数の圧力を測定することと、
前記経時的な測定圧力に基づいて、前記医療用チューブにおける閉塞が前記患者ライン領域内または前記カテーテル領域内に存在するかどうかを決定することと、を備える、
方法。
[C19]
前記医療用デバイスが透析機を備える、[C18]に記載の方法。
[C20]
前記透析機がPD機を備える、[C19]に記載の方法。
[C21]
前記経時的な体積流量は、突然停止された流体の投入工程または回収工程を備える、[C18]~[C20]のうちのいずれか1項に記載の方法。
[C22]
前記経時的な体積流量は、流体の定常状態導入、流体の傾斜導入、流体の放物線状導入、および流体の循環的導入のうちの1つまたは複数を備える、[C18]~[C20]のうちのいずれか1項に記載の方法。
[C23]
前記流体は、前記閉塞によって少なくとも部分的に妨害される、[C18]~[C22]のうちのいずれか1項に記載の方法。
[C24]
前記閉塞によって少なくとも部分的に前記流体が妨害されることは、前記医療用チューブ内の圧力の増加または低下を引き起こす、[C23]に記載の方法。
[C25]
前記閉塞によって少なくとも部分的に妨害された前記流体は、前記医療用チューブ内の伸張を引き起こす、[C23]または[C24]に記載の方法。
[C26]
前記医療用チューブは、前記医療用チューブの遠位端にある前記カテーテル領域においてカテーテルを備える、[C18]~[C25]のうちのいずれか1項に記載の方法。
[C27]
前記閉塞の決定された場所に少なくとも部分的に基づいて、前記閉塞の種類を推測することを備える、[C18]~[C26]のうちのいずれか1項に記載の方法。
[C28]
前記閉塞の前記種類は、前記医療用チューブの挟み、前記医療用チューブ内のねじれ、前記医療用チューブ内の堆積物、および前記医療用チューブの遠位端にある前記カテーテル領域においてカテーテルの穴を妨害する堆積物、のうちの1つまたは複数を備える、[C27]に記載の方法。
[C29]
前記経時的な体積流量、定常状態測定によって検出された前記患者ライン領域の流体抵抗、定常状態測定によって検出された前記カテーテル領域の流体抵抗、前記経時的な測定圧力の過渡成分の測定によって検出された前記患者ライン領域の流体抵抗、前記経時的な測定圧力の前記過渡成分の測定によって検出された前記カテーテル領域の流体抵抗、および前記経時的な測定圧力の前記過渡成分の特性周波数、のうちの1つまたは複数に基づいて、前記医療用チューブにおける前記閉塞が前記患者ライン領域内または前記カテーテル領域内に存在するかどうかを決定することを備える、[C18]~[C28]のうちのいずれか1項に記載の方法。
[C30]
前記流体容量素子は、前記医療用チューブ内の圧力によって伸張されるエラストマー材料を備える、[C18]~[C29]のうちのいずれか1項に記載の方法。
[C31]
前記流体容量素子は、前記医療用チューブのエラストマーセグメントである、[C18]~[C30]のうちのいずれか1項に記載の方法。
[C32]
前記流体容量素子は、前記医療用チューブの伸張性よりも実質的に大きい伸張性を有する、[C18]~[C31]のうちのいずれか1項に記載の方法。
[C33]
前記流体容量素子は、付随的な圧力の増加に伴い、前記医療用チューブに対する追加の流体体積を記憶するように構成される、[C18]~[C32]のうちのいずれか1項に記載の方法。
[C34]
ある体積の流体を、医療用デバイスに接続された伸張性のある医療用チューブの第1の部分に供給または前記医療用チューブの前記第1の部分から回収することと、ここにおいて、前記医療用チューブにおける、前記医療用チューブの前記第1の部分と第2の部分との間の境界を画定する場所に、閉塞が存在し、
前記体積の流体が供給または回収されている間に、前記医療用チューブの前記第1の部分における前記流体の2つの圧力を測定することと、
前記2つの圧力の測定間の差および前記2つの圧力の測定間の経過時間量に基づいて、前記医療用チューブの前記第1の部分の長さを決定することと、を備える、
方法。
[C35]
前記医療用デバイスが透析機を備える、[C34]に記載の方法。
[C36]
前記透析機がPD機を備える、[C35]に記載の方法。
[C37]
前記第1の部分の前記長さは、前記医療用デバイスに接続された前記医療用チューブの近位端に対する前記閉塞の前記場所を表す、[C34]~[C36]のうちのいずれか1項に記載の方法。
[C38]
前記2つの圧力は、前記医療用デバイスに接続された前記医療用チューブの近位端にある圧力センサによって測定される、[C34]~[C37]のうちのいずれか1項に記載の方法。
[C39]
前記流体は、前記閉塞によって少なくとも部分的に妨害される、[C34]~[C38]のうちのいずれか1項に記載の方法。
[C40]
前記閉塞によって少なくとも部分的に前記流体が妨害されることは、前記医療用チューブ内の圧力の増加または低下を引き起こす、[C39]に記載の方法。
[C41]
前記閉塞によって少なくとも部分的に妨害された前記流体は、前記医療用チューブ内の伸張を引き起こす、[C39]または[C40]に記載の方法。
[C42]
前記医療用チューブは、前記医療用チューブの遠位端にカテーテルを備える、[C34]~[C41]のうちのいずれか1項に記載の方法。
[C43]
前記閉塞の決定された場所に少なくとも部分的に基づいて、前記閉塞の種類を推測することを備える、[C34]~[C42]のうちのいずれか1項に記載の方法。
[C44]
前記閉塞の前記種類は、前記医療用チューブの挟み、前記医療用チューブ内のねじれ、前記医療用チューブ内の堆積物、および前記医療用チューブの遠位端にあるカテーテル領域においてカテーテルの穴を妨害する堆積物、のうちの1つまたは複数を備える、[C43]に記載の方法。
[C45]
前記医療用チューブの寸法、前記医療用チューブの材料組成、および前記医療用チューブの前記第1の部分に供給または前記医療用チューブの前記第1の部分から回収される前記体積の流体、のうちの1つまたは複数に基づいて、前記医療用チューブの前記第1の部分の前記長さを決定することを備える、[C34]~[C44]のうちのいずれか1項に記載の方法。
[C46]
前記医療用チューブの前記第1の部分の前記長さの前記決定は、前記医療用チューブの流体静電容量に基づく、[C34]~[C45]のうちのいずれか1項に記載の方法。
[C47]
前記2つの圧力の測定間の前記差および前記2つの圧力の測定間の前記経過時間量は、圧力波形のうちのある部分の傾きを備え、前記圧力波形の前記部分は、前記体積の流体が供給または回収されている時間に対応する、[C34]~[C46]のうちのいずれか1項に記載の方法。
[C48]
ある体積の流体を、医療用デバイスに接続された伸張性のある医療用チューブの第1の部分に供給または前記医療用チューブの前記第1の部分から回収することを備え、ここにおいて、前記医療用チューブにおける、前記医療用チューブの前記第1の部分と第2の部分との間の境界を画定する場所に、閉塞が存在し、
前記体積の流体の前記供給または回収が突然停止される前に、前記医療用チューブの前記第1の部分における前記流体の第1の圧力を測定することと、
前記体積の流体の前記供給または回収が突然停止された後に、前記医療用チューブの前記第1の部分における前記流体の複数の圧力を経時的に測定することと、
前記経時的な複数の圧力の測定のうち、前記第1の圧力の測定と第2の圧力の測定との間の経過時間に基づいて、前記医療用チューブの前記第1の部分の長さを決定することと、を備える、
方法。
[C49]
前記医療用デバイスが透析機を備える、[C48]に記載の方法。
[C50]
前記透析機がPD機を備える、[C49]に記載の方法。
[C51]
前記第1の圧力の測定が初期定常状態圧力を表す、[C48]~[C50]のうちのいずれか1項に記載の方法。
[C52]
前記複数の圧力の測定のうち、最終定常状態圧力を特定することを備える、[C48]~[C51]のうちのいずれか1項に記載の方法。
[C53]
前記第2の圧力の測定は、前記第1の圧力の測定と前記最終定常状態圧力の測定との間の差の約36.8%である、[C52]に記載の方法。
[C54]
前記第2の圧力の測定は、前記第1の圧力の測定と前記最終定常状態圧力の測定との間の差の約36.8%に、前記最終定常状態圧力の測定を加えたものである、[C52]に記載の方法。
[C55]
前記第1の部分の前記長さは、前記医療用デバイスに接続された前記医療用チューブの近位端に対する前記閉塞の前記場所を表す、[C48]~[C54]のうちのいずれか1項に記載の方法。
[C56]
前記第1の圧力および前記第2の圧力は、前記医療用デバイスに接続された前記医療用チューブの近位端にある圧力センサによって測定される、[C48]~[C55]のうちのいずれか1項に記載の方法。
[C57]
前記流体は、前記閉塞によって少なくとも部分的に妨害される、[C48]~[C56]のうちのいずれか1項に記載の方法。
[C58]
前記閉塞によって少なくとも部分的に前記流体が妨害されることは、前記医療用チューブ内の圧力の増加または低下を引き起こす、[C57]に記載の方法。
[C59]
前記閉塞によって少なくとも部分的に妨害された前記流体は、前記医療用チューブ内の伸張を引き起こす、[C57]または[C58]に記載の方法。
[C60]
前記医療用チューブは、前記医療用チューブの遠位端にカテーテルを備える、[C48]~[C59]のうちのいずれか1項に記載の方法。
[C61]
前記閉塞の決定された場所に少なくとも部分的に基づいて、前記閉塞の種類を推測することを備える、[C48]から[C60]のうちのいずれか1項に記載の方法。
[C62]
前記閉塞の前記種類は、前記医療用チューブの挟み、前記医療用チューブ内のねじれ、前記医療用チューブ内の堆積物、および前記医療用チューブの遠位端にあるカテーテルの穴を妨害する堆積物、のうちの1つまたは複数を備える、[C61]に記載の方法。
[C63]
前記堆積物が大網脂肪を備える、[C62]に記載の方法。
[C64]
前記医療用チューブの寸法、前記医療用チューブの材料組成、および前記医療用チューブの前記第1の部分に供給または前記医療用チューブの前記第1の部分から回収される前記体積の流体の体積流量、のうちの1つまたは複数に基づいて、前記医療用チューブの前記第1の部分の前記長さを決定することを備える、[C48]~[C63]のうちのいずれか1項に記載の方法。
[C65]
前記医療用チューブの前記第1の部分の前記長さの前記決定は、前記医療用チューブの流体静電容量に基づく、[C48]~[C64]のうちのいずれか1項に記載の方法。
[C66]
医療用デバイスのポートに接続された近位端を有する伸張性のある医療用チューブであって、前記医療用チューブにおける、前記医療用チューブの第1の部分と前記医療用チューブの第2の部分との間の境界を画定する場所に、閉塞が存在する、医療用チューブと、
前記医療用チューブの前記近位端にある圧力センサであって、前記医療用チューブの前記第1の部分における流体の第1の圧力を測定するように構成された圧力センサと、
ある体積の流体を前記医療用チューブの前記第1の部分に供給または前記医療用チューブの前記第1の部分から回収するように構成された1つまたは複数のポンプであって、ここにおいて、前記圧力センサは、前記医療用チューブの前記第1の部分における前記流体の第2の圧力を測定するように構成されたポンプと、
前記第2の圧力と前記第1の圧力との間の差に基づいて前記医療用チューブの前記第1の部分の長さを決定するように構成されたプロセッサと、を備える、
医療用デバイス。
[C67]
前記医療用デバイスが透析機を備える、[C66]に記載の医療用デバイス。
[C68]
前記透析機がPD機を備える、[C67]に記載の医療用デバイス。
[C69]
前記第1の部分の前記長さは、前記医療用チューブの前記近位端に対する前記閉塞の前記場所を表す、[C66]~[C68]のうちのいずれか1項に記載の医療用デバイス。
[C70]
前記医療用チューブは、前記医療用チューブの遠位端にカテーテルを備える、[C66]~[C69]のうちのいずれか1項に記載の医療用デバイス。
[C71]
前記プロセッサは、前記閉塞の決定された場所に少なくとも部分的に基づいて、前記閉塞の種類を推測するように構成される、[C66]~[C70]のうちのいずれか1項に記載の医療用デバイス。
[C72]
前記プロセッサは、前記医療用チューブの寸法、前記医療用チューブの材料組成、前記医療用チューブの流体静電容量、および前記医療用チューブの前記第1の部分に供給または前記医療用チューブの前記第1の部分から回収される前記体積の流体、のうちの1つまたは複数に基づいて、前記医療用チューブの前記第1の部分の前記長さを決定するように構成される、[C66]~[C71]のうちのいずれか1項に記載の医療用デバイス。
[C73]
医療用デバイスのポートに接続された伸張性のある医療用チューブであって、流体容量素子によって分離された患者ライン領域およびカテーテル領域を備える、医療用チューブと、
経時的な体積流量で前記医療用チューブに流体を供給または前記医療用チューブから流体を回収するように構成された1つまたは複数のポンプと、
前記患者ライン領域にある圧力センサであって、前記流体の複数の圧力を経時的に測定するように構成された圧力センサと、
前記経時的な測定圧力に基づいて、前記医療用チューブにおける閉塞が前記患者ライン領域内または前記カテーテル領域内に存在するかどうかを決定するように構成されたプロセッサと、を備える、
医療用デバイス。
[C74]
前記医療用デバイスが透析機を備える、[C73]に記載の医療用デバイス。
[C75]
前記透析機がPD機を備える、[C74]に記載の医療用デバイス。
[C76]
前記経時的な体積流量は、突然停止された流体の投入工程または回収工程を備える、[C73]~[C75]のうちのいずれか1項に記載の医療用デバイス。
[C77]
前記医療用チューブは、前記医療用チューブの遠位端にある前記カテーテル領域においてカテーテルを備える、[C73]~[C76]のうちのいずれか1項に記載の医療用デバイス。
[C78]
前記プロセッサは、前記閉塞の決定された場所に少なくとも部分的に基づいて、前記閉塞の種類を推測するように構成される、[C73]~[C77]のうちのいずれか1項に記載の医療用デバイス。
[C79]
前記プロセッサは、前記経時的な体積流量、定常状態測定によって検出された前記患者ライン領域の流体抵抗、定常状態測定によって検出された前記カテーテル領域の流体抵抗、前記経時的な測定圧力の過渡成分の測定によって検出された前記患者ライン領域の流体抵抗、前記経時的な測定圧力の前記過渡成分の測定によって検出された前記カテーテル領域の流体抵抗、および前記経時的な測定圧力の前記過渡成分の特性周波数、のうちの1つまたは複数に基づいて、前記医療用チューブにおける前記閉塞が前記患者ライン領域内または前記カテーテル領域内に存在するかどうかを決定するように構成される、[C73]~[C78]のうちのいずれか1項に記載の医療用デバイス。
[C80]
前記流体容量素子は、前記医療用チューブ内の圧力によって伸張されるエラストマー材料を備える、[C73]~[C79]のうちのいずれか1項に記載の医療用デバイス。
[C81]
前記流体容量素子は、前記医療用チューブのエラストマーセグメントである、[C73]~[C80]のうちのいずれか1項に記載の医療用デバイス。
[C82]
前記流体容量素子は、前記医療用チューブの伸張性よりも実質的に大きい伸張性を有する、[C73]~[C81]のうちのいずれか1項に記載の医療用デバイス。
[C83]
前記流体容量素子は、付随的な圧力の増加に伴い、前記医療用チューブに対する追加の流体体積を記憶するように構成される、[C73]~[C82]のうちのいずれか1項に記載の医療用デバイス。
[C84]
医療用デバイスのポートに接続された近位端を有する伸張性のある医療用チューブであって、前記医療用チューブにおける、前記医療用チューブの第1の部分と前記医療用チューブの第2の部分との間の境界を画定する場所に、閉塞が存在する、医療用チューブと、
ある体積の流体を前記医療用チューブの前記第1の部分に供給または前記医療用チューブの前記第1の部分から回収するように構成された1つまたは複数のポンプと、
前記医療用チューブの前記近位端にある圧力センサであって、前記体積の流体が供給または回収されている間に、前記医療用チューブの前記第1の部分における前記流体の2つの圧力を測定するように構成された圧力センサと、
前記2つの圧力の測定間の差および前記2つの圧力の測定間の経過時間量に基づいて、前記医療用チューブの前記第1の部分の長さを決定するように構成されたプロセッサと、を備える、
医療用デバイス。
[C85]
前記医療用デバイスが透析機を備える、[C84]に記載の医療用デバイス。
[C86]
前記透析機がPD機を備える、[C85]に記載の医療用デバイス。
[C87]
前記第1の部分の前記長さは、前記医療用チューブの前記近位端に対する前記閉塞の前記場所を表す、[C84]~[C86]のうちのいずれか1項に記載の医療用デバイス。
[C88]
前記医療用チューブは、前記医療用チューブの遠位端にカテーテルを備える、[C84]~[C87]のうちのいずれか1項に記載の医療用デバイス。
[C89]
前記プロセッサは、前記閉塞の決定された場所に少なくとも部分的に基づいて、前記閉塞の種類を推測するように構成される、[C84]~[C88]のうちのいずれか1項に記載の医療用デバイス。
[C90]
前記プロセッサは、前記医療用チューブの寸法、前記医療用チューブの材料組成、前記医療用チューブの流体静電容量、および前記医療用チューブの前記第1の部分に供給または前記医療用チューブの前記第1の部分から回収される前記体積の流体、のうちの1つまたは複数に基づいて、前記医療用チューブの前記第1の部分の前記長さを決定するように構成される、[C84]~[C89]のうちのいずれか1項に記載の医療用デバイス。
[C91]
前記2つの圧力の測定間の前記差および前記2つの圧力の測定間の前記経過時間量は、圧力波形のうちのある部分の傾きを備え、前記圧力波形の前記部分は、前記体積の流体が供給または回収されている時間に対応する、[C84]~[C90]のうちのいずれか1項に記載の医療用デバイス。
[C92]
医療用デバイスのポートに接続された近位端を有する伸張性のある医療用チューブであって、前記医療用チューブにおける、前記医療用チューブの第1の部分と前記医療用チューブの第2の部分との間の境界を画定する場所に、閉塞が存在する、医療用チューブと、
ある体積の流体を前記医療用チューブの前記第1の部分に供給または前記医療用チューブの前記第1の部分から回収するように構成された1つまたは複数のポンプと、
前記医療用チューブの前記近位端にある圧力センサであって、
前記体積の流体の前記供給または回収が突然停止される前に、前記医療用チューブの前記第1の部分における前記流体の第1の圧力を測定し、
前記体積の流体の前記供給または回収が突然停止された後に、前記医療用チューブの前記第1の部分における前記流体の複数の圧力を経時的に測定する、ように構成された圧力センサと、
前記経時的な複数の圧力の測定のうち、前記第1の圧力の測定と第2の圧力の測定との間の経過時間に基づいて、前記医療用チューブの前記第1の部分の長さを決定するように構成されたプロセッサと、を備える、
医療用デバイス。
[C93]
前記医療用デバイスが透析機を備える、[C92]に記載の医療用デバイス。
[C94]
前記透析機がPD機を備える、[C93]に記載の医療用デバイス。
[C95]
前記プロセッサは、前記複数の圧力の測定のうち、最終定常状態圧力を特定するように構成される、[C92]~[C94]のうちのいずれか1項に記載の医療用デバイス。
[C96]
前記第2の圧力の測定は、前記第1の圧力の測定と前記最終定常状態圧力の測定との間の差の約36.8%に、前記最終定常状態圧力の測定を加えたものである、[C95]に記載の医療用デバイス。
[C97]
前記第1の部分の前記長さは、前記医療用チューブの前記近位端に対する前記閉塞の前記場所を表す、[C92]~[C96]のうちのいずれか1項に記載の医療用デバイス。
[C98]
前記医療用チューブは、前記医療用チューブの遠位端にカテーテルを備える、[C92]~[C97]のうちのいずれか1項に記載の医療用デバイス。
[C99]
前記プロセッサは、前記閉塞の決定された場所に少なくとも部分的に基づいて、前記閉塞の種類を推測するように構成される、[C92]~[C98]のうちのいずれか1項に記載の医療用デバイス。
[C100]
前記プロセッサは、前記医療用チューブの寸法、前記医療用チューブの材料組成、前記医療用チューブの流体静電容量、および前記医療用チューブの前記第1の部分に供給または前記医療用チューブの前記第1の部分から回収される前記体積の流体の体積流量、のうちの1つまたは複数に基づいて、前記医療用チューブの前記第1の部分の前記長さを決定するように構成される、[C92]~[C99]のうちのいずれか1項に記載の医療用デバイス。