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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-16
(45)【発行日】2022-09-28
(54)【発明の名称】車両用内装装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 9/02 20060101AFI20220920BHJP
   B60R 7/06 20060101ALI20220920BHJP
   H01H 13/14 20060101ALI20220920BHJP
【FI】
H01H9/02 E
B60R7/06 Z
H01H13/14 B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019007110
(22)【出願日】2019-01-18
(65)【公開番号】P2020119632
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-11-26
(73)【特許権者】
【識別番号】308013436
【氏名又は名称】小島プレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永田 卓嗣
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-010774(JP,U)
【文献】特開2002-063833(JP,A)
【文献】特開2009-241777(JP,A)
【文献】特開2001-308993(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 9/00 - 9/28
H01H 13/00 - 13/88
H01H 89/00 - 89/10
B60R 3/00 - 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用内装装置であって、
車室内に面するハウジングと、
前記ハウジングに対し回動可能に支持されるカバーと、を有し、
前記カバーは、
カバー本体部と、
前記カバー本体部における意匠面が前記ハウジングの車室内側の面に沿った閉位置と、該閉位置から車室内側に起き上って回動する開位置と、の間を回動させる軸部と、
前記意匠面とは反対側の裏面と前記軸部とを繋ぐアームと、
前記アームの一部から外方に向かって突出する係合部と、を有し、
前記ハウジングにおける車室内側の面とは反対の内面側には、
前記軸部を回動可能に支持する軸受部と、
前記係合部が前記軸部を中心として回動する回動軌跡に重なって接触する関係の被係合部と、を有し、
前記カバーは、
前記係合部が前記被係合部を通過する際に、前記係合部と前記被係合部の少なくともいずれか一方が弾性変形する構成により、前記閉位置と前記開位置との間を往復して回動可能とする車両用内装装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用内装装置であって、
前記カバー本体部における裏面と対向する位置には、押しボタンスイッチが配設されており、
前記裏面には、前記押しボタンスイッチに向かって突出する突起が設けられており、
前記カバー本体部の意匠面に対し、前記押しボタンスイッチに向かって所定の押圧力が及ぼされると前記カバー本体部の姿勢が変化して前記突起を介して押しボタンスイッチを押し込み可能とする車両用内装装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車両用内装装置であって、
前記アームの一部には、前記押圧力が及ぼされる際に撓む脆弱部が設けられている車両用内装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用内装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1のような車両用内装装置が知られている。係る車両用内装装置は、車室内に面するハウジングと、ハウジングに対し回動可能に支持されるカバーと、を有する。ここで、カバーの先端には爪部が設けられている。ハウジングには、係る爪部に対応する位置に孔部が設けられている。これにより、カバーは、爪部がハウジングの孔部に係止することで閉じ状態を保持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5283540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のような車両用内装装置は、カバーが開状態においてハウジングの孔部が露呈してしまう。そのため、部品点数を増やすことなく、カバーの開状態においてハウジングの意匠品質の更なる向上が望まれている。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、部品点数を増やすことなく、カバーの開状態においてハウジングの意匠品質の更なる向上を図る車両用内装装置とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する車両用内装装置は、車両用内装装置であって、車室内に面するハウジングと、前記ハウジングに対し回動可能に支持されるカバーと、を有し、前記カバーは、カバー本体部と、前記カバー本体部における意匠面が前記ハウジングの車室内側の面に沿った閉位置と、該閉位置から車室内側に起き上って回動する開位置と、の間を回動させる軸部と、前記意匠面とは反対側の裏面と前記軸部とを繋ぐアームと、前記アームの一部から外方に向かって突出する係合部と、を有し、前記ハウジングにおける車室内側の面とは反対の内面側には、前記軸部を回動可能に支持する軸受部と、前記係合部が前記軸部を中心として回動する回動軌跡に重なって接触する関係の被係合部と、を有し、前記カバーは、前記係合部が前記被係合部を通過する際に、前記係合部と前記被係合部の少なくともいずれか一方が弾性変形する構成により、前記閉位置と前記開位置との間を往復して回動可能とする。
【0007】
上記構成の1つの特徴及び利点は、カバーにおける係合部と、ハウジングにおける被係合部は、ハウジングにおける車室内側の面とは反対の内面側において配設されている。
そのため、従来のハウジングのように、カバーが係合する孔部を設けなくてもよい構成となり得る。よって、部品点数を増やすことなく、カバーの開状態においてハウジングの意匠品質の更なる向上を図る車両用内装装置とすることができる。
【0008】
上記 車両用内装装置は、前記カバー本体部における裏面と対向する位置には、押しボタンスイッチが配設されており、前記裏面には、前記押しボタンスイッチに向かって突出する突起が設けられており、前記カバー本体部の意匠面に対し、前記押しボタンスイッチに向かって所定の押圧力が及ぼされると前記カバー本体部の姿勢が変化して前記突起を介して押しボタンスイッチを押し込み可能とするものであってもよい。
【0009】
上記構成の1つの特徴及び利点は、カバーが閉位置の状態において、緊急的に押しボタンスイッチを押すことができる構成となる。
【0010】
上記 車両用内装装置は、前記アームの一部には、前記押圧力が及ぼされる際に撓む脆弱部が設けられているものであってもよい。
【0011】
上記構成の1つの特徴及び利点は、アームの一部には、押圧力が及ぼされる際に撓む脆弱部が設けられている。これにより、アームの構成を複雑にすることなくカバー本体部の姿勢を変化させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は上記各発明の手段をとることにより、部品点数を増やすことなく、カバーの開状態においてハウジングの意匠品質の更なる向上を図る車両用内装装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態に係る車両用内装装置の概要を示した正面図である。
図2】同車両用内装装置の分解斜視図である。
図3図1のIII-III線断面図である。
図4図3のIV部を拡大した断面図である。
図5】同車両用内装装置のカバーの全体斜視図である。
図6】同車両用内装装置のカバーの開状態を示した正面図である。
図7図1のVII-VII線断面図である。
図8図1のVIII-VIII線断面図である。
図9図1のIX-IX線断面図である。
図10図1のX-X線断面図である。
図11】同車両用内装装置のカバーの変形例を全体斜視図である。
図12】同車両用内装装置のカバーの変形例を適用した際の図9に対応した断面図である。
図13】同車両用内装装置のカバーの変形例を適用した際の図10に対応した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明を実施するための実施形態の一態様について、図1図13を用いて説明する。本実施形態では、車両用内装装置のうち、車両天井に取り付けられるオーバーヘッドコンソールに設けられる車両用緊急ボタンスイッチ装置を例示して説明する。なお、各図に示す上下、左右の方向性は、車両に着座した着座者から見た上下、左右の方向で統一して図示する。
【0015】
先ずオーバーヘッドコンソール10の全体構成の概略について説明する。オーバーヘッドコンソール10は、車両天井に取り付けられる装備品である。オーバーヘッドコンソール10には、図1に示すように車室内を照らす照明装置が設けられると共に、意匠面に車両用緊急ボタンスイッチ装置が設けられている。
【0016】
オーバーヘッドコンソール10は、図2、3に示すように概略、ボックスパネル11、基板12、案内パネル13(ハウジング)、意匠レンズ14、意匠パネル15、緊急通報用ボタン16(押しボタンスイッチ)、スイッチ17(押しボタンスイッチ)、ベゼル20(ハウジング)等が重なるように組み合わさって一体化されて車両天井に組み付けられている。なお、案内パネル13とベゼル20は、本発明における「ハウジング」に相当する。
【0017】
車室内に面するベゼル20には、ベゼル20に対し回動可能に支持されるカバー30を有している。係るカバー30は、ベゼル20の車室内側の面に沿った閉位置30a(図4、7参照)と、閉位置30aから車室内側に起き上って回動(下方に回動)する開位置30b(図4、8参照)との間を回動可能に支持されている。ベゼル20には、図3に示すように、緊急通報用ボタン16と、基板12と、スイッチ17とが取付けられている。緊急通報用ボタン16は、ベゼル20及び案内パネル13(ハウジング)に対し上下方向にスライド可動に取付けられている。緊急通報用ボタン16は、プッシュ式を例示するが、スライド式であってもよく、シーソー式であってもよい。緊急通報用ボタン16を操作することで、基板12上のスイッチ17が押され電気的にオンとなる。なお、緊急通報用ボタン16には、図1図6に示すように、意匠面に車の図柄が設けられていてもよい。
【0018】
ベゼル20は、たとえば樹脂製である。ベゼル20は、一部品構成であってもよく、複数部品構成であってもよい。ベゼル20は、図3、4に示すように、車室の天井面に車室側に突出して設けられる。また、ベゼル20の車室内側の面とは反対の内面21側には、後述するカバー30の軸部33を回動可能に支持する軸受部23と、カバー30の係合部35が軸部33を中心として回動する回動軌跡に重なって接触する関係の被係合部25とを有している。被係合部25は、軸受部23に隣接した位置において係合部35と係合可能な爪形状に構成されている。なお、本実施形態では、軸受部23が実内パネル13(ハウジング)に設けられ、被係合部25がベゼル20に設けられる態様を示した。しかしながら、軸受部23と被係合部25はハウジングである実内パネル13及びベゼル20の何れかに設けられていればよい。
【0019】
カバー30は、図5、6に示すように、たとえば樹脂製である。カバー30は、誤って使用者が緊急通報用ボタン16を操作してしまうことを防止するために設けられる蓋である。カバー30は、一部品構成であってもよく、複数部品構成であってもよい。なお、本実施形態では、カバー30が単一の部品構成であり、透明樹脂材料で構成される場合を示している。カバー30は、カバー本体部31と、軸部33と、アーム34と、係合部35とが主体的に構成される。
【0020】
カバー本体部31は、緊急通報用ボタン16を覆う平板状の部位である。カバー本体部31は、カバー本体部31における裏面31bと対向する位置に緊急通報用ボタン16が配設される関係で構成される。カバー本体部31における裏面31bには、緊急通報用ボタン16に向かって突出する突起32が設けられている。
【0021】
軸部33は、カバー本体部31における意匠面31aがベゼル20の車室内側の面に沿った閉位置30aと、閉位置30aから車室内側に起き上って回動する開位置30bと、の間を回動させる軸状の部位である。アーム34は、意匠面31aとは反対側の裏面31bと軸部33とを繋ぐ腕状の部位である。係合部35は、アーム34の一部から外方に向かって突出し、ベゼル20の被係合部25と係り合う部位である。本実施形態の係合部35は、アーム34の外表面から棒状に延出した角状に構成されている。アーム34の一部には、カバー本体部31の意匠面31aに対し、緊急通報用ボタン16に向かって所定の押圧力が及ぼされる際に撓む脆弱部36が設けられている。脆弱部36は、例えば、アーム34の軸の太さが一部だけ細くくびれた形状にすることにより構成される。これにより、上記押圧力が及ぼされる際に脆弱部36が先行して変形することでアーム34全体が撓む構成となり得る。
【0022】
次にオーバーヘッドコンソール10における車両用緊急ボタンスイッチ装置のカバー30の作動内容について説明する。カバー30は、通常状態において、カバー30の係合部35と、ベゼル20の被係合部25とが接触した状態で係り合った状態を保持することで、カバー本体部31の意匠面31aがベゼル20の車室内側の面に沿った閉位置30aに位置する。ここで、使用者が緊急通報用ボタン16を操作する際は、カバー本体部31の先端部に指を掛けて下方に操作力を及ぼす。そうすると、カバー30は、係合部35と被係合部25の少なくともいずれか一方が弾性変形することにより係合部35が被係合部25を通過して、閉位置30aから開位置30bに向かって回動する。
【0023】
また図9、10に示すように、カバー30が閉位置30aの状態において緊急的に緊急通報用ボタン16を押したいときは、カバー本体部31の意匠面31aに対し、緊急通報用ボタン16に向かって所定の押圧力を及ぼすことで、脆弱部36が変形することでカバー本体部31の姿勢が変化して突起32が緊急通報用ボタン16を押し込み可能な押し込み位置30cとなる。
【0024】
このように、本実施形態のオーバーヘッドコンソール10(車両用内装装置)によれば、カバー30における係合部35と、ベゼル20(ハウジング)における被係合部25は、ベゼル20における車室内側の面とは反対の内面側において配設されている。そのため、従来のベゼル20のように、カバー30が係合する孔部を設けなくてもよい構成となり得る。よって、部品点数を増やすことなく、カバー30の閉位置30aの状態においてベゼル20の意匠品質の更なる向上を図ることができる。
【0025】
また、カバー30が閉位置30aの状態において、緊急的に緊急通報用ボタン16(押しボタンスイッチ)を押すことができる構成となる。また、アーム34の一部には、押圧力が及ぼされる際に撓む脆弱部36が設けられている。これにより、アーム34の構成を複雑にすることなくカバー本体部31の姿勢を変化させることができる。
【0026】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されず、その他各種の形態で実施することができるものである。
【0027】
本実施形態の係合部35は、アーム34の外表面から棒状に延出した角状に構成されたものについて説明したが、これに限られない。例えば、図11~13に示す係合部135のように、アーム34の外表面から突出した突起状であってもよい。
【0028】
また、本実施形態の被係合部25は、軸受部23に隣接した位置において係合部35と係合可能な爪形状に構成されたものについて説明したが、これに限られない。例えば、図12、13に示す被係合部125のように、係合部135が軸部33を中心として回動する回動軌跡に重なって接触する関係であればよく、軸受部23に隣接しない位置に配設されてもよい。
【0029】
本実施形態では、車両用内装装置のうち、車両天井に取り付けられるオーバーヘッドコンソールに設けられる車両用緊急ボタンスイッチ装置を例示して説明した。しかしながらこれに限られず、車両用内装装置は、例えば、車両の内装部材であるインストルメントパネル、コンソールパネル等に配置される車両用緊急ボタンスイッチ装置等の車両用内装装置であってもよい。また、車両用内装装置は、カバーを有するものであれば、ヒーターコントロール装置、車両用小物入れ装置、車載用オーディオ装置、ナビゲーションシステム装置等であってもよい。
【符号の説明】
【0030】
10 オーバーヘッドコンソール(車両用内装装置)
11 ボックスパネル
12 基板
13 案内パネル(ハウジング)
14 意匠レンズ
15 意匠パネル
16 緊急通報用ボタン(押しボタンスイッチ)
17 スイッチ(押しボタンスイッチ)
20 ベゼル(ハウジング)
21 内面
23 軸受部
25 被係合部
30 カバー
30a 閉位置
30b 開位置
30c 押し込み位置
31 カバー本体部
31a 意匠面
31b 裏面
32 突起
33 軸部
34 アーム
35 係合部
36 脆弱部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13