(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-16
(45)【発行日】2022-09-28
(54)【発明の名称】電子部品ハンドリング装置及び電子部品試験装置
(51)【国際特許分類】
G01R 31/26 20200101AFI20220920BHJP
【FI】
G01R31/26 H
G01R31/26 Z
(21)【出願番号】P 2019096858
(22)【出願日】2019-05-23
【審査請求日】2022-01-06
(73)【特許権者】
【識別番号】390005175
【氏名又は名称】株式会社アドバンテスト
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】とこしえ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】加藤 康之
(72)【発明者】
【氏名】山田 祐也
(72)【発明者】
【氏名】高木 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】細貝 弘樹
【審査官】永井 皓喜
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-527764(JP,A)
【文献】特開2000-171520(JP,A)
【文献】特開2000-180503(JP,A)
【文献】特開2002-236140(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/26
G01R 31/28
H01L 21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
DUTをテストヘッドのソケットに押圧する移動手段を備えた電子部品ハンドリング装置であって、
前記移動手段は、
前記DUTに接触するプッシャと、
前記プッシャを介して前記DUTを加熱する加熱部と、を備え、
前記プッシャは、
内部空間と、
前記内部空間に連通した第1の流路と、を備えており、
前記テストヘッドから前記第1の流路を介して前記内部空間に流体が供給される電子部品ハンドリング装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電子部品ハンドリング装置であって、
前記プッシャは、前記テストヘッドに着脱可能に接続されて前記テストヘッドから前記流体を受け入れる第1の接続口を備え、
前記第1の流路は、前記第1の接続口と連通している電子部品ハンドリング装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電子部品ハンドリング装置であって、
前記プッシャは、
前記テストヘッドが有するソケットガイドに形成されたガイド孔に嵌合可能なガイドピンと、
前記ソケットガイドに形成された接続孔に嵌合可能な接続ピンと、を備えており、
前記第1の流路の少なくとも一部は、前記接続ピンの内部に設けられ、
前記第1の接続口は、前記接続ピンに形成されている電子部品ハンドリング装置。
【請求項4】
請求項3に記載の電子部品ハンドリング装置であって、
前記ガイドピンと前記ガイド孔の嵌合が前記接続ピンと前記接続孔の嵌合よりも先に開始するように、前記プッシャに接触した前記DUTと前記ソケットを対向させた時の前記ガイドピンと前記ガイド孔の間の距離が、前記接続ピンと前記接続孔の間の距離よりも短い前記電子部品ハンドリング装置。
【請求項5】
請求項2に記載の電子部品ハンドリング装置であって、
前記プッシャは、前記テストヘッドが有するソケットガイドに形成されたガイド孔に嵌合可能なガイドピンを備えており、
前記第1の流路の少なくとも一部は、前記ガイドピンの内部に設けられており、
前記第1の接続口は、前記ガイドピンに形成されている電子部品ハンドリング装置。
【請求項6】
請求項2~5のいずれか一項に記載の電子部品ハンドリング装置と、
ソケットと、前記ソケットの周囲に設けられたソケットガイドと、を備えたテストヘッドと、を備えた電子部品試験装置であって、
前記テストヘッドは、前記第1の接続口が着脱可能に接続される第2の接続口を有し、
前記第1の接続口は、前記移動手段によって前記DUTが前記ソケットに押圧される際に、前記第2の接続口に接続される電子部品試験装置。
【請求項7】
請求項6に記載の電子部品試験装置であって、
前記テストヘッドは、前記第2の接続口と連通している第2の流路を備え、
前記電子部品ハンドリング装置は、
前記流体を供給する供給装置と、
前記供給装置と前記第2の流路とを接続する第3の流路と、を備えた電子部品試験装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の電子部品試験装置であって、
前記プッシャは、
前記テストヘッドに着脱可能に接続されて前記テストヘッドへ流体を送る第3の接続口と、
一端が前記内部空間に連通すると共に、他端が前記第3の接続口と連通する第4の流路と、を備え、
前記テストヘッドは、
前記第3の接続口が着脱可能に接続される第4の接続口と、
一端が前記第4の接続口と連通すると共に、他端が大気中に開放された第5の流路と、を備え、
前記第3の接続口は、前記移動手段によって前記DUTが前記ソケットに押圧される際に、前記第4の接続口に接続され、
前記流体は、前記内部空間を通過した後、前記第4及び前記第5の流路を介して大気中に放出される電子部品試験装置。
【請求項9】
請求項6又は7に記載の電子部品試験装置であって、
前記プッシャは、前記内部空間に連通する一端を有すると共に、大気中に開放された他端を有する第4の流路を備え、
前記流体は、前記内部空間を通過した後、前記第4の流路を経由して大気中に放出される電子部品試験装置。
【請求項10】
請求項6~9のいずれか一項に記載の電子部品試験装置であって、
前記流体は、常温の空気である電子部品試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路素子等の被試験電子部品(DUT:Device Under Test)の試験に用いられる電子部品ハンドリング装置及び電子部品試験装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子部品検査装置として、ICチップを加熱及び冷却する機構を備え、ICチップの温度負荷試験を行うものが知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の検査装置では、ICチップを加熱するヒーターと、ICチップを冷却する蒸発器を備えている。しかしながら、冷媒供給配管が測定ロボットの内部に設けられているため、内部の配管の構造が複雑であり、測定ロボットのコストが増加してしまう場合がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、コスト低減を図ることができる電子部品ハンドリング装置及び電子部品試験装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]本発明に係る電子部品ハンドリング装置は、DUTをテストヘッドのソケットに押圧する移動手段を備えた電子部品ハンドリング装置であって、前記移動手段は、前記DUTに接触するプッシャと、前記プッシャを介して前記DUTを加熱する加熱部と、を備え、前記プッシャは、内部空間と、前記内部空間に連通した第1の流路と、を備えており、前記テストヘッドから前記第1の流路を介して前記内部空間に流体が供給される電子部品ハンドリング装置である。
【0007】
[2]上記発明において、前記プッシャは、前記テストヘッドに着脱可能に接続されて前記テストヘッドから前記流体を受け入れる第1の接続口を備え、前記第1の流路は、前記第1の接続口に連通していてもよい。
【0008】
[3]上記発明において、前記第1の接続口は、前記移動手段によって前期DUTが前記ソケットに押圧される際に、前記テストヘッドに接続されてもよい。
【0009】
[4]上記発明において、前記プッシャは、前記テストヘッドが有するソケットガイドに形成された第1のガイド孔に嵌合可能な第1のガイドピンと、前記ソケットガイドに形成された第1の接続孔に嵌合可能な第1の接続ピンと、を備えており、前記第1の流路の少なくとも一部は、前記第1の接続ピンの内部に設けられ、前記第1の接続口は、前記第1の接続ピンに形成されていてもよい。
【0010】
[5]上記発明において、前記第1のガイドピンと前記第1のガイド孔の嵌合が前記第1の接続ピンと前記第1の接続孔の嵌合よりも先に開始するように、前記プッシャに接触した前記DUTと前記ソケットを対向させた時の前記第1のガイドピンと前記第1のガイド孔の間の距離が、前記第1の接続ピンと前記第1の接続孔の間の距離よりも短くなっていてもよい。
【0011】
[6]上記発明において、前記プッシャは、前記テストヘッドが有するソケットガイドに形成された第1のガイド孔に嵌合可能な第1のガイドピンを備えており、前記第1の流路の少なくとも一部は、前記第1のガイドピンの内部に設けられており、前記第1の接続口は、前記第1のガイドピンに形成されていてもよい。
【0012】
[7]本発明に係る電子部品試験装置は、ソケットと、前記ソケットの周囲に設けられたソケットガイドと、を備えたテストヘッドと、を備えた電子部品試験装置であって、前記テストヘッドは、前記第1の接続口が着脱可能に接続される第2の接続口を有し、前記第1の接続口は、前記移動手段によって前記DUTが前記ソケットに押圧される際に、前記第2の接続口に接続されていてもよい。
【0013】
[8]上記発明において、前記第2の接続口は、前記ソケットガイドに形成された接続孔又はガイド孔であってもよい。
【0014】
[9]上記発明において、前記テストヘッドは、前記第2の接続口と連通している第2の流路を備えていてもよい。
【0015】
[10]上記発明において、前記第2の流路は、前記ソケットガイドの内部に設けられていてもよい。
【0016】
[11]上記発明において、前記電子部品ハンドリング装置は、前記流体を供給する供給装置と、前記供給装置と前記第2の流路とを接続する第3の流路と、を備えていてもよい。
【0017】
[12]上記発明において、前記プッシャは、前記テストヘッドに着脱可能に接続されて前記テストヘッドへ流体を送る第3の接続口と、一端が前記内部空間に連通すると共に、他端が前記第3の接続口と連通する第4の流路と、を備え、前記テストヘッドは、前記第3の接続口が着脱可能に接続される第4の接続口と、一端が前記第4の接続口と連通すると共に、他端が大気中に開放された第5の流路と、を備え、前記第3の接続口は、前記移動手段によって前記DUTが前記ソケットに押圧される際に、前記第4の接続口に接続され、前記流体は、前記内部空間を通過した後、前記第4及び前記第5の流路を介して大気中に放出されてもよい。
【0018】
[13]上記発明において、前記プッシャは、前記ソケットガイドに形成された第2のガイド孔に嵌合可能な第2のガイドピンと、前記ソケットガイドに形成された第2の接続孔に嵌合可能な第2の接続ピンと、を備えており、前記第4の流路の少なくとも一部は、前記第2の接続ピンの内部に設けられ、前記第3の接続口は、前記第2の接続ピンに形成されていてもよい。
【0019】
[14]上記発明において、前記第2のガイドピンと前記第2のガイド孔の篏合が前記第2の接続ピンと前記第2の接続孔の篏合よりも先に開始するように、前記プッシャに接触した前記DUTと前記ソケットを対向させた時の前記第2のガイドピンと前記第2のガイド孔の間の距離が、前記第2の接続ピンと前記第2の接続孔の間の距離よりも短くなっていてもよい。
【0020】
[15]上記発明において、前記プッシャは、前記テストヘッドが有するソケットガイドに形成された第2のガイド孔に嵌合可能な第2のガイドピンを備えており、前記第4の流路の少なくとも一部は、前記第2のガイドピンの内部に設けられており、前記第3の接続口は、前記第2のガイドピンに形成されていてもよい。
【0021】
[16]上記発明において、前記第4の接続口は、前記ソケットガイドに形成された接続孔又はガイド孔であってもよい。
【0022】
[17]上記発明において、前記第5の流路は、前記ソケットガイドの内部に設けられていてもよい。
【0023】
[18]上記発明において、前記プッシャは、前記内部空間に連通する一端を有すると共に、大気中に開放された他端を有する第4の流路を備え、前記流体は、前記内部空間を通過した後、前記第4の流路を経由して大気中に放出されてもよい。
【0024】
[19]上記発明において、前記流体は、常温の空気であってもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明では、流体をテストヘッドからプッシャに供給するので、移動手段の構造を単純化することができる。このため、電子部品ハンドリング装置及び電子部品試験装置のコスト低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態における電子部品試験装置の全体構成を示す概略断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態においてDUTをテストヘッドに押圧している状態を示す図であり、
図1のII部に対応する拡大断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態における電子部品試験装置の第1変形例を示す図であり、
図1のII部に対応する拡大断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態における電子部品試験装置の第2変形例を示す図であり、
図1のII部に対応する拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0028】
図1は本実施形態における電子部品試験装置の全体構成を示す概略断面図、
図2は
図1のII部の拡大断面図、
図3はDUTの試験の際にハンドラがDUTをテストヘッドに押圧している状態を示す図、
図4は本実施形態における電子部品試験装置の第1の変形例を示す図、
図5は本実施形態における電子部品試験装置の第2の変形例を示す図である。
【0029】
本実施形態における電子部品試験装置1は、DUT5の電気的特性を試験する装置である。試験対象であるDUT5の具体例としては、SoC(System on a chip)やロジック系のデバイスを例示することができる。なお、電子部品試験装置1の試験対象であるDUT5は、電子部品であれば特に上記に限定されず、例えば、メモリ系のデバイスであってもよい。
【0030】
この電子部品試験装置1は、
図1に示すように、DUT5を移動させるハンドラ2と、試験の際にDUT5に電気的に接続されるテストヘッド3と、DUT5の試験を実行するテスタ4と、を備えている。ハンドラ2は、DUT5を移動させてテストヘッド3のソケット32(後述)に押圧し、DUT5をテストヘッド3に接続する。その後、テスタ4は、テストヘッド3を介してDUT5に試験信号を送出してDUT5をテストし、当該試験結果に応じてDUT5を分類する。このハンドラ2は温度調節機構を有しており、ハンドラ2がDUT5に熱ストレスを印加しながら当該試験が実行される。
【0031】
本実施形態における電子部品試験装置1が本発明における「電子部品試験装置」の一例に相当し、本実施形態におけるハンドラ2が本発明における「電子部品ハンドリング装置」の一例に相当し、本実施形態におけるテストヘッド3が本発明における「テストヘッド」の一例に相当する。
【0032】
ハンドラ2は、
図1及び
図2に示すように、アーム20と、供給装置23と、供給路24と、を備えている。アーム20は、DUT5の移動手段であり、DUT5を保持してテストヘッド3のソケット32に移動させる。供給装置23は、テストヘッド3を介してプッシャ22に常温の空気を供給する装置である。供給路24は、供給装置23からテストヘッド3に空気を送るための配管である。
【0033】
アーム20は、ハンドラ2に設けられたレール(不図示)に支持されており、吸引配管201と、ヒーター21と、プッシャ22と、を備えている。吸引配管201は、プッシャ22の吸着パッド222(後述)がDUT5を保持するために空気を吸引する配管である。ヒーター21は、DUT5の試験の際にDUT5を加熱する。プッシャ22は、DUT5を保持し、DUT5をテストヘッド3のソケット32(後述)に押圧する。
【0034】
アーム20は、水平移動用のアクチュエータ(不図示)を備えており、このレールに従って前後左右に動くことが可能となっている。また、アーム20は、上下駆動用のアクチュエータ(不図示)を備えており、上下方向に移動することができる。また、アーム20の内部には、鉛直方向に沿って吸引配管201が形成されている。DUT5の試験の際には、DUT5を保持したアーム20が前後左右に移動し、テストヘッド3のソケット32(後述)の直上に移動する。その後、アーム20が下降することで、DUT5がテストヘッド3のソケット32(後述)に押圧される。本実施形態におけるアーム20が、本発明における「移動手段」の一例に相当する。
【0035】
ヒーター21は、アーム20の内部であり、プッシャ22の上方に設けられている。ヒーター21は、DUT5の試験の際に通電され、プッシャ22を介してDUT5を加熱する。ヒーター21としては、通電により加熱する電熱線等を例示することができる。本実施形態におけるヒーター21が、本発明における「加熱部」の一例に相当する。
【0036】
プッシャ22は、
図2に示すように、アーム20の下端に装着されており、本体部220と、一対のガイドピン225と、第1の接続ピン226と、第2の接続ピン228と、を備えている。本実施形態におけるプッシャ22が、本発明における「プッシャ」の一例に相当する。
【0037】
本体部220は、略ブロック形状の金属製の構成部品であり、DUT5を保持すると共に、ヒーター21が発した熱をDUT5に伝える機能を有している。本体部220は、
図2に示すように、吸引配管221と、吸着パッド222と、内部空間223と、放熱フィン224と、を備えている。
【0038】
吸引配管221は、プッシャ22の上下を貫通するように形成されている。吸引配管221の上端は、アーム20に形成された吸引配管201の下端と連通している。吸引配管221の下端は、吸着パッド222と連通している。
【0039】
吸着パッド222は、吸引配管221と連通して設けられ、本体部220の下面で開口している。この吸着パッド222から空気が吸引されることで、プッシャ22がDUT5を保持することができる。
【0040】
内部空間223は、本体部220の内部に設けられた空間である。この内部空間223には、DUT5の試験の際に、前述の供給装置23からテストヘッド3を介して空気が供給される。本実施形態における内部空間223が本発明における「内部空間」の一例に相当する。
【0041】
放熱フィン224は、
図2に示すように、内部空間223内に設けられている。特に限定されないが、本実施形態では、この放熱フィン224は、内部空間223の底面に立設され、当該底面から内部空間223に向かって突出している。この放熱フィン224は、供給装置23から供給された空気と熱交換し、ヒーター21からプッシャ22に加えられた熱を冷ますことで、プッシャ22を介してDUT5に加えられる熱を調節する機能を有している。
【0042】
ガイドピン225は、
図2及び
図3に示すように、本体部220の側面に設けられており、下方に向かって伸びている。このガイドピン225の下端の形状は、下方に向かうに従って細くなっている。このガイドピン225は、DUT5の試験の際、プッシャ22の下降に伴ってテストヘッド3のソケットガイド33のガイド孔331(後述)と嵌合する。これにより、テストヘッド3のソケット32(後述)に対してDUT5が位置決めされ、プッシャ22がDUT5をソケット32に正確に押圧することができる。
【0043】
なお、
図2において、ガイドピン225の個数は2個であるが、特にこれに限定されない。ガイドピン225の個数は、1個であってもよく、3個以上であってもよい。
【0044】
第1の接続ピン226は、
図2に示すように、本体部220の側面に取り付けられており、下方に向かって伸びている。第1の接続ピン226の先端には、第1の接続口226aが開口している。第1の接続ピン226は、
図3に示すように、DUT5をソケット32(後述)に押圧する際に、テストヘッド3のソケットガイド33の第1の接続孔332(後述)と着脱可能に接続される。
【0045】
なお、第1の接続ピン226の第1の接続口226aの位置は上記に限定されない。例えば、第1の接続口226aが第1の接続ピン226の側面に形成されていてもよい。
【0046】
第1の接続ピン226の内部には、通気路227が形成されている。通気路227の一端は、前述の内部空間223に連通している。通気路227の他端は、第1の接続口226aに連通している。また、
図3に示すように、第1の接続口226aがソケットガイド33の第1の接続孔332(後述)と接続されることで、通気路227の他端がソケットガイド33の通気路333(後述)と連通する。通気路227は、DUT5の試験の際に、供給装置23から供給される空気を受け入れる。
【0047】
本実施形態における第1の接続口226aが、本発明における「第1の接続口」の一例に相当し、本実施形態における通気路227が、本発明における「第1の流路」の一例に相当する。
【0048】
第2の接続ピン228は、
図2に示すように、本体部220の側面に取り付けられており、下方に向かって伸びている。第2の接続ピン228の先端には、第2の接続口228aが開口している。第2の接続ピン228は、
図3に示すように、DUT5の試験の際に、テストヘッド3のソケットガイド33の第2の接続孔334(後述)と着脱可能に接続される。
【0049】
なお、第2の接続ピン228の第2の接続口228aの位置は上記に限定されない。例えば、第2の接続口228aが第2の接続ピン228の側面に形成されていてもよい。
【0050】
第2の接続ピン228の内部には、通気路229が形成されている。通気路229の一端は、前述の内部空間223に連通している。通気路229の他端は、第2の接続口228aに連通している。また、
図3に示すように、第2の接続口228aがソケットガイド33の第2の接続孔334(後述)と接続されることで、通気路229の他端がソケットガイド33の通気路335(後述)と連通する。DUT5の試験の際に内部空間223に供給された空気は、放熱フィン224と熱交換を終えた後、通気路229を経由してテストヘッド3へ流れる。
【0051】
本実施形態における第2の接続口228aが本発明における「第3の接続口」の一例に相当し、本実施形態における通気路229が本発明における「第4の流路」の一例に相当する。
【0052】
ここで、本実施形態におけるガイドピン225は、
図2に示すように、ガイドピン225の下端が第1の接続ピン226の下端より下方に位置するように形成されている。
【0053】
すなわち、プッシャ22に保持されたDUT5とソケット32(後述)を対向させた際、ガイドピン225の下端とテストヘッド3のソケットガイド33のガイド孔331(後述)の間の距離D1が、第1の接続ピン226の下端とテストヘッド3のソケットガイド33の第1の接続孔332の間の距離D2よりも短くなっている(D1<D2)。従って、DUT5の試験時にプッシャ22が下方に移動する際、ガイドピン225とガイド孔331(後述)との接続が、第1の接続口226aと第1の接続孔332(後述)との接続よりも先に開始することとなる。
【0054】
これにより、テストヘッド3のソケット32(後述)に対するDUT5の位置決めがされた後に、第1の接続ピン226の第1の接続口226aとソケットガイド33の第1の接続孔332(後述)が接続するため、第1の接続口226aと第1の接続孔332(後述)の正確な接続が可能となる。
【0055】
また、本実施形態におけるガイドピン225は、ガイドピン225の下端が第2の接続ピン228の下端より下方に位置するように形成されている。
【0056】
すなわち、プッシャ22に保持されたDUT5とソケット32(後述)を対向させた際、ガイドピン225の下端とテストヘッド3のソケットガイド33のガイド孔331(後述)の間の距離D1が、第2の接続ピン228の下端とテストヘッド3のソケットガイド33の第2の接続孔334の間の距離D3よりも短くなっている(D1<D3)。従って、DUT5の試験時にプッシャ22が下方に移動する際、ガイドピン225とガイド孔331(後述)との接続が、第2の接続口228aと第2の接続孔334(後述)との接続よりも先に開始することとなる。
【0057】
これにより、テストヘッド3のソケット32(後述)に対するDUT5の位置決めがされた後に、第2の接続ピン228の第2の接続口228aとソケットガイド33の第2の接続孔334(後述)が接続するため、第2の接続口228aと第2の接続孔334(後述)の正確な接続が可能となる。
【0058】
供給装置23は、特に図示しないが、空気を供給するポンプと、流量を調節するバルブと、を備えている。本実施形態における供給装置23が、本発明における「供給装置」の一例に相当する。
【0059】
供給路24は、供給装置23とテストヘッド3を接続する配管である。具体的には、供給路24の一端は供給装置23と連通しており、供給路24の他端は、テストヘッド3のソケットガイド33の通気路333(後述)と連通している。DUT5の試験の際には、供給装置23から供給された空気が、供給路24を通り、テストヘッド3を経由してプッシャ22の内部空間223へ送られる。本実施形態における供給路24が、本発明における「第3の流路」の一例に相当する。
【0060】
テストヘッド3は、本体部31と、DUT5と接続するソケット32と、ソケットガイド33と、を備えている。本実施形態におけるソケット32が本発明における「ソケット」の一例に相当し、本実施形態におけるソケットガイド33が本発明における「ソケットガイド」の一例に相当する。
【0061】
本体部31は、
図1に示すように、ケーブル41を介してテスタ4に接続されており、DUT5の試験の際に、DUT5に試験信号を送出する。特に図示しないが、この本体部31には、ソケット32と電気的に接続されたピンエレクトロニクスカードが収納されている。
【0062】
ソケット32は、本体部31の上に設けられている。このソケット32は、DUT5の入出力端子51に対応するように配置された接触子321を有している。この接触子321としては、特に限定されないが、ポゴピン又は異方導電性ゴムシート等を例示することができる。プッシャ22によってDUT5の入出力端子51がソケット32の接触子321と接触することで、当該DUT5とソケット32が電気的に接続される。このソケット32を介して本体部31からDUT5へ試験信号が送出される。
【0063】
ソケットガイド33は、ソケット32の周囲に設けられており、ガイド孔331と、第1の接続孔332と、通気路333と、第2の接続孔334と、通気路335と、を備えている。このソケットガイド33は、DUT5の試験の際に、DUT5をソケット32に対して位置決めするための部材である。
【0064】
ガイド孔331は、ソケットガイド33の上面において、ガイドピン225に対応する位置に設けられている。このガイド孔331は、ガイドピン225と嵌合可能な形状を有しており、上方に向かって開口している。DUT5の試験において、DUT5がソケット32に押圧される際に、ガイドピン225がガイド孔331と嵌合することで、ソケット32に対してDUT5が位置決めされる。本実施形態におけるガイド孔331が、本発明における「ガイド孔」の一例に相当する。
【0065】
なお、
図2において、ガイド孔331の個数は2個であるが、特にこれに限定されない。ガイド孔331の個数は、プッシャ22のガイドピン225の個数に合わせて設けられる。
【0066】
第1の接続孔332は、ソケットガイド33の上面において、第1の接続ピン226と対応する位置に設けられている。この第1の接続孔332は、第1の接続ピン226と嵌合可能な形状を有しており、上方に向かって開口している。本実施形態における第1の接続孔332が、本発明における「第2の接続口」の一例に相当する。
【0067】
通気路333は、ソケットガイド33の内部に設けられている。通気路333の一端は、第1の接続孔332と連通している。また、通気路333の他端は、供給路24と連通している。
図3に示すように、第1の接続ピン226が第1の接続孔332と嵌合することで、通気路229と通気路333が連通する。本実施形態における通気路333が、本発明における「第2の流路」の一例に相当する。
【0068】
第2の接続孔334は、ソケットガイド33の上面において、第2の接続ピン228と対応する位置に設けられている。この第2の接続孔334は、第2の接続ピン228と嵌合可能な形状を有しており、上方に向かって開口している。本実施形態における第2の接続孔334が、本発明における「第4の接続口」の一例に相当する。
【0069】
通気路335は、ソケットガイド33の内部に設けられている。通気路335の一端は、第2の接続孔334と連通している。通気路335の他端は、大気中に開放されている。
図3に示すように、第2の接続ピン228が第2の接続孔334と嵌合することで、通気路229と通気路335が連通する。通気路229と通気路335が連通することで、DUT5の試験の際に内部空間223を通過した空気が、通気路335を経由して大気中に放出される。本実施形態における通気路335が、本発明における「第5の流路」の一例に相当する。
【0070】
以下に、本実施形態における電子部品試験装置1によるDUT5の試験の工程について、
図2及び
図3を参照しながら説明する。
【0071】
まず、
図2に示すように、ハンドラ2のプッシャ22が吸引配管221及び吸着パッド222から空気を吸引することでDUT5を吸着保持する。プッシャ22はアーム20によって移動され、ソケット32の直上に移動する。
【0072】
次に、プッシャ22がアーム20によって下降する。プッシャ22の下降に伴い、ガイドピン225がソケットガイド33のガイド孔331と嵌合する。これにより、ソケット32に対してDUT5が位置決めされる。
【0073】
次いで、プッシャ22の第1の接続ピン226がソケットガイド33の第1の接続孔332と嵌合し、第1の接続口226aが第1の接続孔332に接続される。同様に、第2の接続ピン228がソケットガイド33の第2の接続孔334と嵌合し、第2の接続口228aが第2の接続孔334に接続される。
【0074】
この際、本実施形態では、プッシャ22のガイドピン225の下端とソケットガイド33のガイド孔331の間の距離D1が、プッシャ22の第1の接続ピン226とソケットガイド33の第1の接続孔332の間の距離D2よりも短くなっている(D1<D2)。また、プッシャ22のガイドピン225の下端とソケットガイド33のガイド孔331の間の距離D1が、プッシャ22の第2の接続ピン228とソケットガイド33の第2の接続孔334の間の距離D3よりも短くなっている(D1<D3)。このため、ガイドピン225がガイド孔331と嵌合してDUT5がソケット32に対して位置決めされた後に、第1の接続ピン226が第1の接続孔332と嵌合すると共に、第2の接続ピン228が第2の接続孔334と嵌合する。
【0075】
次いで、
図3に示すように、プッシャ22に保持されたDUT5がソケット32に押圧され、DUT5の入出力端子51とソケット32の接触子321が接触する。また、プッシャ22の通気路227とソケットガイド33の通気路333が連通する。また、プッシャ22の通気路229とソケットガイド33の通気路335が連通する。
【0076】
次いで、ヒーター21に通電されDUT5の加熱が開始されると共に、供給装置23のバルブが開かれ、供給装置23から空気の供給が開始される。供給装置23から供給される空気は、供給路24、ソケットガイド33の通気路333、及び第1の接続ピン226の通気路227を経由してプッシャ22の内部空間223に供給される。なお、アーム20がDUT5を保持した時点でヒーター21への通電を開始してもよい。
【0077】
内部空間223に供給された空気は、放熱フィン224と熱交換を行い、ヒーター21によってプッシャ22の本体部220に加えられた熱を冷ます。これにより、DUT5に加えられる熱量が調節される。内部空間223で放熱フィン224と熱交換が行われた空気は、第2の接続ピン228の通気路229及びソケットガイド33の通気路335を経由して大気中に放出される。
【0078】
ヒーター21によってDUT5に熱ストレスが印加された状態で、テスタ4から出力された試験信号がソケット32の接触子321を介してDUT5に送出され、DUT5の試験が行われる。
【0079】
DUT5の試験後、プッシャ22がアーム20により上方に移動し、DUT5がソケット32から離れる。以上でDUT5の試験の工程が終了する。
【0080】
以上のように、本実施形態では、DUT5の試験の際、熱交換用の空気がソケットガイド33の通気路333及び第1の接続ピン226の通気路227を介してプッシャ22の内部空間223へ供給される。このため、空気供給用の他の通気路をアーム20の内部に設ける必要がなく、アーム20の構造を単純化することができる。これにより、電子部品試験装置1のコスト低減を図ることができる。
【0081】
因みに、ソケットガイド33を介さずに供給路24をプッシャ22に直接接続する方式も考えられる。しかしながら、この方式では、DUT5の品種交換の度に多大な手間と時間がかかるという問題がある。なぜなら、プッシャ22はDUT5の品種に応じて固有の形状を有しており、DUT5の品種交換の際には、それまで使用していたプッシャ22から供給路24を外して、プッシャ22を別のプッシャ(不図示)に交換した後、新たなプッシャに供給路24を接続しなおす必要があるためである。これに対し、本実施形態では、供給路24はソケットガイド33を介してプッシャ22に接続されているので、DUT5の品種交換に伴うプッシャ22の交換の度に供給路24を接続しなおす必要がなく、作業効率の向上を図ることができる。
【0082】
また、空気供給用の通気路がプッシャ22の本体部220の外部に設けられており、アーム20の内部を通過していないため、空気が内部空間223に到達する前に空気がヒーター21で加熱されてしまうことがない。これにより、内部空間223における放熱フィン224との熱交換効率の向上を図ることができる。
【0083】
また、内部空間223がDUT5の近傍に設けられており、DUT5の最近傍で空気と放熱フィン224の熱交換を行うことができる。このため、DUT5の温度変化に対する温度調節の応答性の向上及び熱交換率の向上を図ることができる。
【0084】
なお、以上に説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0085】
例えば、
図4に示すように、第1の接続ピン226とガイドピン225が一体となっていてもよい。また、第2の接続ピン228とガイドピン225が一体となっていてもよい。この場合、第1の接続口226aは、第1の接続ピン226と一体となったガイドピン225に形成されており、通気路227は、第1の接続ピン226と一体となったガイドピン225の内部に形成されている。また、第2の接続口228aは、第2の接続ピン228と一体となったガイドピン225に形成されており、通気路229は、第2の接続ピン228と一体となったガイドピン225の内部に形成されている。
【0086】
上記の場合、第1の接続ピン226と一体となったガイドピン225は、供給装置23から供給された空気を受け入れる機能を有すると共に、ガイドピンとしてテストヘッド3に対するプッシャ22の位置を決定する機能を有する。また、第2の接続ピン228と一体となったガイドピン225は、内部空間223を通過して空気をテストヘッド3に流す機能を有すると共に、第1の接続ピン226と同様にガイドピンとしての機能を有する。
【0087】
加えて、この場合、ソケットガイド33において、第1の接続孔332とガイド孔331が一体となっている。つまり、第1の接続孔332に第1の接続ピン226と一体となったガイドピン225が接続することで、ソケット32に対してDUT5が位置決めされると共に、通気路229と通気路333が連通する。また、第2の接続孔334とガイド孔331が一体となっている。つまり、第2の接続孔334に第2の接続ピン228と一体となったガイドピン225が接続することで、ソケット32に対してDUT5が位置決めされると共に、通気路229と通気路335が連通する。
【0088】
また、電子部品試験装置1の構造は、
図5に示すように、プッシャ22が第2の接続ピン228を有しておらず、テストヘッド3が第2の接続孔334を有していなくてもよい。この場合、プッシャ22の側面には、空気を放出するための放出口228’が開口している。放出口228’は、プッシャ22の内部空間223に連通している。DUT5の試験の際に内部空間223を通過した空気は、放出口228’から大気中に放出される。この
図5に示す変形例では、ハンドラ2がチャンバを有しないタイプである場合に、温度調節機構の構造の単純化を図ることができる。
【0089】
また、例えば、特に図示しないが、プッシャ22の接続ピンとソケットガイド33の接続孔の関係が逆になっていてもよい。すなわち、ソケットガイド33が空気供給用の接続ピンを有すると共に、プッシャ22が空気を受け入れるための接続孔を有し、これらが着脱可能に接続されてもよい。
【0090】
また、特に図示しないが、プッシャ22の接続ピンとソケットガイド33の接続孔が嵌合して接続するのではなく、互いに当接して接続されてもよい。すなわち、プッシャ22の接続ピンの接続口の開口部とソケットガイド33の接続孔の開口部が実質的に同じ形状を有してもよい。この場合、プッシャ22の接続ピンの開口部とソケットガイド33の接続孔の開口部が当接することで、接続ピンの通気路とソケットガイドの通気路が連通する。
【0091】
また、供給装置23からプッシャ22の内部空間223に供給される流体は、常温の空気に限られない。例えば、流体は空気以外の気体であってもよく、液体であってもよい。また、流体の温度は常温より高くてもよく、常温より低くてもよい。
【符号の説明】
【0092】
1…電子部品試験装置
2…ハンドラ
20…アーム
201…吸引配管
21…ヒーター
22…プッシャ
220…本体部
221…吸引配管
222…吸着パッド
223…内部空間
224…放熱フィン
225…ガイドピン
226…第1の接続ピン
226a…第1の接続口
227…通気路
228…第2の接続ピン
228a…第2の接続口
228’…放出口
229…通気路
23…供給装置
24…供給路
3…テストヘッド
31…本体部
32…ソケット
321…接触子
33…ソケットガイド
331…ガイド孔
332…第1の接続孔
333…通気路
334…第2の接続孔
335…通気路
4…テスタ
41…ケーブル
5…DUT
51…入出力端子