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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-16
(45)【発行日】2022-09-28
(54)【発明の名称】導電性接着剤組成物及びその方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 201/00 20060101AFI20220920BHJP
   C09J 9/02 20060101ALI20220920BHJP
   C09J 163/00 20060101ALI20220920BHJP
   H01B 1/22 20060101ALI20220920BHJP
   H01B 13/00 20060101ALI20220920BHJP
   C22C 28/00 20060101ALI20220920BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20220920BHJP
   H05K 3/32 20060101ALN20220920BHJP
【FI】
C09J201/00
C09J9/02
C09J163/00
H01B1/22 D
H01B13/00 Z
C22C28/00 B
C09J11/04
H05K3/32 B
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2019126571
(22)【出願日】2019-07-08
(65)【公開番号】P2020019940
(43)【公開日】2020-02-06
【審査請求日】2022-07-01
(31)【優先権主張番号】62/713,936
(32)【優先日】2018-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/277,772
(32)【優先日】2019-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】サラ・ジェイ・ヴェラ
(72)【発明者】
【氏名】グイキン・ソン
【審査官】本多 仁
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第107488416(CN,A)
【文献】特開2017-50273(JP,A)
【文献】特開2008-69316(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107488436(CN,A)
【文献】安田清和,可融金属微粒子含有樹脂による自己組織化導電性接着,日本接着学会講演要旨集,日本,2008年06月13日,Vol.46,Page.163-166
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
H01B 1/00-1/24
H01B 13/00-13/34
C22C 28/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
晶金属合金、アミン及び溶媒を含み、前記共晶金属合金が、60%~72%のガリウム、8%~18%のインジウム、及び14%~26%のスズを含む、導電性接着剤組成物又は吐出可能なインク接着剤組成物。
【請求項2】
前記アミンが、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシルアミン、N,N-ジメチルアミン、N,N-ジプロピルアミン、N,N-ジブチルアミン、N,N-ジペンチルアミン、N,N-ジヘキシルアミン、N,N-ジヘプチルアミン、N,N-ジオクチルアミン、N,N-ジノニルアミン、N,N-ジデシルアミン、N,N-ジウンデシルアミン、N,N-ジドデシルアミン、メチルプロピルアミン、エチルプロピルアミン、プロピルブチルアミン、エチルブチルアミン、エチルペンチルアミン、プロピルペンチルアミン、ブチルペンチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、1,2-エチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、プロパン-1,3-ジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルプロパン-1,3-ジアミン、ブタン-1,4-ジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルブタン-1,4-ジアミン、3-メトキシプロピルアミン、ペンタエチレンヘキサミン、2,2-(エチレンジオキシ)ジエチルアミン、テトラエチレンペンタミン、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の着剤組成物。
【請求項3】
前記アミンが、テトラエチレンペンタミンからなる、請求項2に記載の着剤組成物。
【請求項4】
前記溶媒が、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含む、請求項1に記載の着剤組成物。
【請求項5】
エポキシ樹脂をさらに含む、請求項1に記載の着剤組成物。
【請求項6】
前記共晶金属合金が、ガリウム、インジウム、及びスズからなる、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項7】
前記アミンが、テトラエチレンペンタミンを含み、及び前記溶媒が、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含む、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項8】
前記接着剤組成物が、共晶金属合金、アミン及び溶媒からなり、
前記アミンが、テトラエチレンペンタミンからなり、
前記溶媒が、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートからなり、及び
前記共晶金属合金が、ガリウム、インジウム、及びスズからなる、請求項7に記載の接着剤組成物。
【請求項9】
エポキシ樹脂をさらに含む、請求項7に記載の接着剤組成物。
【請求項10】
前記接着剤組成物が、共晶金属合金、アミン、溶媒及びエポキシ樹脂からなり、
前記アミンが、テトラエチレンペンタミンからなり、
前記溶媒が、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートからなり、及び
前記共晶金属合金が、ガリウム、インジウム、及びスズからなる、請求項9に記載の接着剤組成物。
【請求項11】
導電性接着剤組成物を調製するための方法であって、溶媒中で共晶合金をアミンと接触させて溶媒中に分散した共晶金属合金の液体金属粒子を調製することを含み、前記共晶金属合金が、60%~72%のガリウム、8%~18%のインジウム、及び14%~26%のスズを含む、方法。
【請求項12】
前記アミンが、テトラエチレンペンタミンを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記溶媒が、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
エポキシ樹脂と液体金属粒子を接触させることさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
請求項11に記載の方法に基づいて調製される、導電性接着剤組成物。
【請求項16】
前記共晶金属合金が、ガリウム、インジウム、及びスズからなる、請求項15に記載の導電性接着剤組成物。
【請求項17】
プリンテッドエレクトロニクスであって、フレキシブル基板と、複数の導電性端子と、共晶金属合金、アミン及び溶媒を含み、前記共晶金属合金が、60%~72%のガリウム、8%~18%のインジウム、及び14%~26%のスズを含み、導電性端子に隣接して配置される導電性接着剤組成物と、前記複数の導電端子が導電性接着剤組成物及び電子部品を介して互いに電気的に結合され、導電性接着剤組成物に隣接して配置される電子部品と、を含む、プリンテッドエレクトロニクス。
【請求項18】
前記複数の導電端子が導電性接着剤組成物及び電子部品を介してのみ互いに電気的に結合されている、請求項17に記載のプリンテッドエレクトロニクス。
【請求項19】
前記共晶金属合金が、ガリウム、インジウム、及びスズからなる、請求項17に記載のプリンテッドエレクトロニクス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
現在開示されている実施形態又は実施態様は、ハイブリッドエレクトロニクス及びプリンテッドエレクトロニクス用の導電性接着剤組成物に関する。
【0002】
プリンテッドエレクトロニクス産業は低コストの電子部品を提供し、かつ他の無生物の対象物に機能性を付加することを目的としている。しかし、プリンテッドエレクトロニクス業界はまだ初期段階にあり、したがって、従来のシリコン技術の標準に達することができない。そのため、従来のシリコン技術と低価格のプリントエレクトロニクスとを組み合わせたハイブリッドエレクトロニクスへの取組みが続けられてきた。例えば、ハイブリッドエレクトロニクスでは、シリコンベースのマイクロチップは常にプリント回路と電気的又は導電的に結合される。しかしながら、シリコンベースのマイクロチップをプリント回路に電気的に結合するために、導電性材料が常に必要とされる。従来のシリコン技術はロバストな相互接続(例えば、はんだボール、ワイヤボンディングなど)を利用してマイクロチップをプリント回路に結合するが、これらの従来の相互接続はハイブリッド技術を実現するには不十分である。
【0003】
上記に鑑みて、ハイブリッドエレクトロニクスでは、導電性接着剤がマイクロチップをプリント回路に結合するために常に利用される。従来の導電性接着剤は、接着剤ペーストとミクロンサイズの銀フレークのような導電性成分との混合物を含むことが多い。しかしながら、接着剤ペーストの粘度及び従来の導電性接着剤中の比較的大きなサイズの導電性成分は、これらの材料の吐出(例えば、エアロゾルジェット又はインクジェット印刷)又は印刷適性を妨げる。さらに、従来の導電性接着剤の硬化温度及び時間は、比較的低い硬化温度及び時間を必要とするポリマー又はプラスチック基板上でのそれらの適用を妨げることが多い。
【0004】
次に必要とされているのは、改良された導電性接着剤組成物及びその製造方法である。
【0005】
以下に、本教示の一つ又は複数の実施形態のいくつかの態様の基本的な理解を提供するために簡略化された概要を提示する。この概要は広範囲の概要ではなく、また本教示の主要な又は重要な要素を特定することも、本開示の範囲を描写することも意図されていない。むしろ、その主な目的は後で提示される詳細な説明の前置きとして、一つ又は複数の概念を簡略化された形態で単純に提示することである。
【0006】
本開示は共晶金属合金、アミン、及び溶媒を含む導電性接着剤組成物又は吐出可能なインク接着剤組成物を提供することができる。
【0007】
いくつかの例では、共晶金属合金はガリウム及びインジウムを含み得る。
【0008】
いくつかの例では、共晶金属合金は約72%~約84%のガリウム、及び約15%~約27%のインジウムを含み得る。
【0009】
いくつかの例では、共晶金属合金はスズをさらに含み得る。
【0010】
いくつかの例では、共晶金属合金は約60%~約72%のガリウム、約8%~約18%のインジウム、及び約14%~約26%のスズを含み得る。
【0011】
いくつかの例では、アミンはプロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシルアミン、N,N-ジメチルアミン、N,N-ジプロピルアミン、N,N-ジブチルアミン、N,N-ジペンチルアミン、N,N-ジヘキシルアミン、N,N-ジヘプチルアミン、N,N-ジオクチルアミン、N,N-ジノニルアミン、N,N-ジデシルアミン、N,N-ジウンデシルアミン、N,N-ジドデシルアミン、メチルプロピルアミン、エチルプロピルアミン、プロピルブチルアミン、エチルブチルアミン、エチルペンチルアミン、プロピルペンチルアミン、ブチルペンチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、1,2-エチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、プロパン-1,3-ジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルプロパン-1,3-ジアミン、ブタン-1,4-ジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルブタン-1,4-ジアミン、3-メトキシプロピルアミン、ペンタエチレンヘキサミン、2,2-(エチレンジオキシ)ジエチルアミン、テトラエチレンペンタミン、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0012】
いくつかの例では、アミンはテトラエチレンペンタミンからなり又はそれのみを含み得る。
【0013】
いくつかの例では、溶媒はプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含み得る。
【0014】
いくつかの例では、導電性接着剤組成物はエポキシ樹脂をさらに含み得る。
【0015】
本開示はまた、溶媒中で共晶金属合金をアミンと接触させ、溶媒中に分散した共晶金属合金の液体金属粒子を調製することを含む、導電性接着剤組成物を調製するための方法を提供し得る。
【0016】
いくつかの例では、共晶金属合金はガリウム及びインジウムを含み得る。
【0017】
いくつかの例では、共晶金属合金は約72%~約84%のガリウム、及び約15%~約27%のインジウムを含み得る。
【0018】
いくつかの例では、共晶金属合金はスズをさらに含み得る。
【0019】
いくつかの例では、共晶金属合金は約60%~約72%のガリウム、約8%~約18%のインジウム、及び約14%~約26%のスズを含み得る。
【0020】
いくつかの例では、アミンはテトラエチレンペンタミンを含み得る。
【0021】
いくつかの例では、溶媒はプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含み得る。
【0022】
いくつかの例では、方法はさらに液体金属粒子をエポキシ樹脂と接触させることを含んでもよい。
【0023】
本開示はまた、任意の前記方法に従って調製された導電性接着剤組成物を提供し得る。
【0024】
本開示はまた、プリンテッドエレクトロニクスを提供し得る。プリンテッドエレクトロニクスは、フレキシブル基板、複数の導電端子、導電端子に隣接して配置された導電性接着剤組成物を含み、ここで導電性接着剤組成物は共晶金属合金、アミン、溶媒、及び前記導電性接着剤組成物に隣接して配置された電子部品を含む。少なくとも一つの例では、複数の導電端子は、導電性接着剤組成物及び電子部品を介して互いに電気的に結合することができる。
【0025】
少なくとも一つの例では、複数の導電端子は、導電接着剤組成物及び電子部品を介してのみ互いに電気的に結合されている。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1A図1Aは、開示される一つ又は複数の実施形態に基づいて例示的な導電性接着剤組成物を使用して第一部品を第二部品と結合するための例示的な方法を示す。
図1B図1Bは、開示される一つ又は複数の実施形態に基づいて例示的な導電性接着剤組成物を使用して第一部品を第二部品と結合するための例示的な方法を示す。
図1C図1Cは、開示される一つ又は複数の実施形態に基づいて例示的な導電性接着剤組成物を使用して第一部品を第二部品と結合するための例示的な方法を示す。
図2A図2Aは、開示される一つ又は複数の実施形態に基づいて例示的な導電性接着剤組成物を使用して第一部品を第二部品と結合するための別の例示的な方法を示す。
図2B図2Bは、開示される一つ又は複数の実施形態に基づいて例示的な導電性接着剤組成物を使用して第一部品を第二部品と結合するための別の例示的な方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下の様々な典型的な態様の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その応用、又は用途を限定することを意図するものでは決してない。
【0028】
全体を通して使用されるとき、範囲は、その範囲内にあるそれぞれの及び全ての値を説明するための省略表現として使用される。範囲内の任意の値を範囲の終端として選択し得る。さらに、本明細書に引用された全ての参考文献はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。本開示における定義と引用文献の定義との間に矛盾がある場合には、本開示が優先する。
【0029】
他に特定されない限り、本明細書及び本明細書の他の箇所に表される全ての百分率及び量は重量百分率を指すと理解されるべきである。与えられた量は材料の有効重量に基づく。
【0030】
さらに、全ての数値は、示された値の「約」又は「およそ」であり、当業者によって予想される実験誤差及び変動を考慮に入れている。本明細書に開示される全ての数値及び範囲は、「約」がそれと共に使用されるかどうかにかかわらず、おおよその値及び範囲であると理解されるべきである。また、本明細書で使用される「約」という用語は、数値と併記される場合、±0.01%(両端を含む)、±0.1%(両端を含む)、±0.5%(両端を含む)、その数値の±1%(両端を含む)、その数値の±2%(両端を含む)、その数値の±3%(両端を含む)、その数値の±5%(両端を含む)、その数値の±10%(両端を含む)、又はその数値の±15%(両端を含む)である値を表すと理解されるべきである。本明細書に数値範囲が開示されている場合、その範囲内に含まれる任意の数値もまた具体的に開示されているとさらに理解されるべきである。
【0031】
本明細書で使用されるとき、語「又は」は包括的な演算子であり、文脈が明らかにそうでないことを指示しない限り、語「及び/又は」と同等である。語「~に基づいて」という用語は排他的なものではなく、文脈が明らかにそうではないと指示しない限り、記載されていない追加の要因に基づくことを可能にする。本明細書において、記載「A、B、及びCのうちの少なくとも一つ」は、A、B、又はCを含む実施形態、A、B、又はCの複数の例、又はA/B、A/C、B/C、A/B/B/、B/B/C、A/B/Cなどの組み合わせを含み、さらに、本明細書全体を通して、「a」、「an」、及び「the」の意味は複数の参照を含む。「内(in)」の意味は「内(in)」及び「上(on)」を含む。
【0032】
本発明者らは、驚くべきことにそして意外にも、液体金属の粒子が1μm未満の直径で単離されることを発見した。本発明者らはさらに、驚くべきことにそして意外にも、粒子が次にエアロゾルジェットプリンターを使用して印刷することができる導電性接着剤組成物に組み込まれることができることを発見した。
【0033】
本明細書に開示される実施形態は、吐出可能な導電性接着剤組成物などの導電性接着剤組成物であり、又はそれを含み得る。例えば、本明細書に開示される導電性接着剤組成物は、印刷可能な電子機器及び/又はプラスチック及び硬質基板に適したインクジェット印刷可能な導電性接着剤組成物であり得る。導電性接着剤組成物は、溶媒中に分散された一つ又は複数の共晶金属合金及び一つ又は複数のアミンを含み得る。例えば、導電性接着剤組成物は、ガリウム、インジウム、及び任意のスズの共晶金属合金、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶媒中に分散された一つ又は複数のアミンを含み得る。
【0034】
導電性接着剤組成物はエアロゾルジェット印刷を含む吐出用途での使用に適している可能性がある。導電性接着剤組成物はまた、ポリマー又はプラスチック基板を含むがこれらに限定されないさまざまな基板に適し得る。導電性接着剤組成物はまた、室温で空気安定性を有し得る。
【0035】
導電性接着剤組成物の粘度は大きく異なり得る。少なくとも一つの実施形態では、導電性接着剤組成物は25℃で約1000cP~約2500cPの粘度を有し得る。例えば、導電性接着剤組成物の粘度は約1000cP~約2500cP、約1200cP~約2200cP、約1500cP~約2000cP、又は約1600cP~約1800cPであり得る。別の実施形態では、導電性接着剤組成物は約3000cP未満、約2800cP未満、約2500cP未満、約2300cP未満、又は約2000cP未満の粘度を有し得る。
【0036】
導電性接着剤組成物は、約800S/cm~約2000S/cmの測定導電率を有し得る。例えば、導電性接着剤組成物は約800S/cm~約2000S/cm、約1000S/cm~約1800S/cm、又は約1200S/cm~約1500S/cmの測定導電率を有し得る。別の実施形態では、導電性接着剤組成物は約800S/cmより大きい、約900S/cmより大きい、約1000S/cmより大きい、約1100S/cmより大きい、又は約1200S/cmより大きい測定導電率を有し得る。
【0037】
導電性接着剤組成物は約1.0×10-4オームセンチメートル(Ω-cm)未満、約2.0×10-5オーム-cm未満、約1.25×10-5オーム-cm未満、約1.0×10-5オーム-cm未満、約8.0×10-6オーム-cm未満、約6.6×10-6オーム-cm未満、又は約5.0×10-6オーム-cm未満の抵抗率を有し得る。通常、抵抗は、約1.25×10-5オーム-cm~約6.6×10-6オーム-cm、約1.0×10-5オーム-cm~約8.0×10-6オーム-cmなどの、約2.0×10-5オーム-cm~約5.0×10-6オーム-cmであり得る。
【0038】
共晶合金
接着剤導電性組成物は一つ又は複数の共晶金属合金を含み得る。本明細書で使用されるとき、語又は表現は「合金」という語又は表現は、二つ以上の金属及び任意の一つ又は複数の非金属の、又は一つ又は複数の金属と一つ又は複数の非金属の固体又は液体混合物を指す。本明細書で使用されるとき、語又は表現「共晶」は、その成分の比率を変えることによって得られる、金属などの二つ以上の物質の合金又は溶液の最低融点を指すことがある。このように、共晶金属合金は単一の温度又は共晶点で融解する混合物であることが理解されるべきである。
【0039】
共晶金属合金は、基板上に接着剤導電性組成物を堆積させることができる、基板の融点よりも比較的低い共晶点を有し得る。例えば、基板はポリマー基板又はプラスチック基板(例えば、硬質又は軟質プラスチック基板)であり得、共晶金属合金はプラスチック基板よりも比較的低い融点を有し得る。少なくとも一つの実施形態では、共晶金属合金は室温で液体であり得る。例えば、共晶金属合金は室温より比較的低い融点又は共晶点を有し得る。例えば、共晶金属合金の融点は約30℃未満、約25℃未満、約20℃未満、又は約15℃未満であり得る。別の例では、共晶金属合金の融点は約10℃~約30℃、約15℃~約25℃、又は約20℃~約23℃であり得る。
【0040】
共晶金属合金はガリウム、インジウム、及び任意のスズを含み得る。共晶金属合金中に存在するガリウム、インジウム、及び任意のスズのそれぞれの量は大きく異なり得る。
【0041】
少なくとも一つの実施形態では、共晶金属合金はガリウム及びインジウムのみを含む。例えば、ガリウム及びインジウムを含む共晶金属合金は約72%~約84%、約74%~約82%、約76%~約80%、又は約78%のガリウムを含み得る。別の例では、ガリウム及びインジウムを含む共晶金属合金は約15%~約27%、約17%~約25%、約19%~約23%、又は約21%のインジウムを含み得る。さらに別の例では、ガリウム及びインジウムを含む共晶金属合金は約78.6%のガリウム及び約21.4%のインジウムを含み得る。例えば、共晶金属合金は、カナダのケベック州、モントリオールの5N Plusから入手可能なMETSPEC(登録商標)60である又はこれを含み得る。
【0042】
別の実施形態では、共晶金属合金はガリウム、インジウム、及びスズを含み得る。例えば、ガリウム、インジウム、及びスズを含む共晶金属合金は約60%~約72%、約62%~約70%、約64%~約68%、又は約66%のガリウムを含み得る。別の例では、ガリウム、インジウム、及びスズを含む共晶金属合金は、約8%~約18%、約10%~約16%、約12%~約14%、又は約13.5%のスズを含み得る。さらに別の例では、ガリウム、インジウム、及びスズを含む共晶金属合金は約14%~約26%、約16%~約24%、約18%~約22%、又は約20.5%のインジウムを含み得る。例示的な実施形態では、共晶金属合金は約66%のガリウム、約20.5%のインジウム、及び約13.5%のスズを含み得る。例えば、共晶金属合金はカナダのケベック州、モントリオールの5N Plusから入手可能なMETSPEC(登録商標)51である又はこれを含み得る。
【0043】
共晶金属合金は比較的高い表面張力を有する可能性がある。例えば、共晶金属合金の表面張力は、溶媒又は溶液中に分散したときに共晶金属合金が離散粒子を容易に形成及び/又は維持することができるように、十分に高い可能性がある。別の例では、共晶金属合金の表面張力は、溶媒又は溶液中に分散された離散粒子が室温又はそれぞれの融点を超えて流動しない又は容易に流動しないように、十分に高い可能性がある。例示的な実施形態では、本明細書でさらに説明されるように、外部刺激(例えば、圧力)が共晶金属合金の離散粒子に加えられてその流動を促進又は可能にすることができる。例えば、接着剤導電性組成物中の共晶金属合金の離散粒子の流動を促進又は可能にするために圧力が必要とされることがある。少なくとも一つの実施形態では、接着剤導電性組成物中の共晶金属合金の離散粒子の流動を促進又は可能にするために利用される唯一の外部刺激は圧力を加えることである。例えば、接着剤導電性組成物中の共晶金属合金の離散粒子は、フィールドの金属粒子でよく利用されるように、粒子を加熱することなく流動するように刺激され得る。
【0044】
少なくとも一つの実施形態では、共晶金属合金の表面張力は約300mN/m~約1500mN/mであり得る。例えば、共晶金属合金の表面張力は、約300mN/m~約1500mN/m、約500mN/m~約1400mN/m、約800mN/m~約1100mN/m、又は約900mN/m~約10000mN/mであり得る。別の実施形態では、共晶金属合金の表面張力は約400mN/mより大きい、約500mN/mより大きい、約600mN/mより大きい、約700mN/mより大きい、又は約800mN/mより大きくあり得る。
【0045】
上述したように、共晶金属合金は接着剤導電性組成物中に離散粒子を容易に形成し得る。共晶金属合金の離散粒子は、吐出によって容易に印刷又は堆積されるサイズを有し得る。共晶金属合金の離散粒子は約0.1μm~約0.5μmの粒度分布D50を有し得る。例えば、共晶金属合金の離散粒子は、約0.1μm~約0.5μm、約0.15μm~約0.45μm、約0.2μm~約0.4μm、又は約0.2μm~約0.35μmの粒度分布D50を有し得る。共晶金属合金の離散粒子は、約1μm未満、約0.9μm未満、約0.8μm未満、又は約0.7μm未満の粒度分布D90を有し得る。
【0046】
少なくとも一つの実施形態では、接着剤導電性組成物中に存在する共晶金属合金の量は大きく異なり得る。例えば、共晶金属合金は、約0.01重量%~約90重量%の量で接着剤導電性組成物中に存在し得る。例えば、共晶金属合金は、接着剤導電性組成物の総重量に基づいて約0.01重量%~約90重量%、約20重量%~約80重量%、約30重量%~約80重量%、約40重量%~約70重量%、又は約50重量%~約60重量%の量で接着剤導電性組成物中に存在し得る。別の例では、共晶金属合金は、約30重量%~約70重量%の量で接着剤導電性組成物中に存在し得る。例えば、共晶金属合金は、接着剤導電性組成物の総重量に基づいて約30重量%~約70重量%、約35重量%~約65重量%、約40重量%~約60重量%、約45重量%~約55重量%、又は約50重量%~約60重量%の量で接着剤導電性組成物中に存在し得る。
【0047】
アミン
接着剤導電性組成物は一つ又は複数のアミンを含み得る。一つ又は複数のアミンは、共晶金属合金又はその一つ又は複数の成分を安定化させることができる、又は安定化するように構成され得る。例示的なアミンは、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシルアミン、N,N-ジメチルアミン、N,N-ジプロピルアミン、N,N-ジブチルアミン、N,N-ジペンチルアミン、N,N-ジヘキシルアミン、N,N-ジヘプチルアミン、N,N-ジオクチルアミン、N,N-ジノニルアミン、N,N-ジデシルアミン、N,N-ジウンデシルアミン、N,N-ジドデシルアミン、メチルプロピルアミン、エチルプロピルアミン、プロピルブチルアミン、エチルブチルアミン、エチルペンチルアミン、プロピルペンチルアミン、ブチルペンチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、1,2-エチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、プロパン-1,3-ジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルプロパン-1,3-ジアミン、ブタン-1,4-ジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルブタン-1,4-ジアミン、3-メトキシプロピルアミン、ペンタエチレンヘキサミン、2,2-(エチレンジオキシ)ジエチルアミン、テトラエチレンペンタミン、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、及びそれらの混合物のようなオルガノアミンを含むがこれらに限定されない。例示的な実施形態では、接着剤導電性組成物はテトラエチレンペンタミンを含む。
【0048】
少なくとも一つの実施形態では、接着剤導電性組成物中に存在するアミンの量は大きく異なり得る。例えば、アミンは約0.01重量%~約90重量%の量で接着剤導電性組成物中に存在し得る。別の例では、アミンは、接着剤導電性組成物の総重量に基づいて約0.01重量%~約90重量%、約20重量%~約80重量%、約30重量%~約80重量%、約40重量%~約70重量%、又は約50重量%~約60重量%の量で接着剤導電性組成物中に存在し得る。
【0049】
少なくとも一つの実施形態では、アミンと共晶金属合金との重量比は、約0.1:1~約2:1、約0.5:1~約1.5:1、約0.75:1~約1.5:1、又は約1:1~約1.25:1であり得る。別の実施形態では、アミンと共晶金属合金との重量比は、約1:1~約5:1、約1.5:1~約4:1、約2:1~約3:1、又は約1:1~約1.2:1であり得る。
【0050】
エポキシ樹脂
接着剤導電性組成物は、その共晶金属合金粒子に圧力が加えられたときに接着剤導電性組成物中に形成された導電経路を維持することができる、又は維持するように構成される、任意の硬化性エポキシ樹脂を含み得る。例示的なエポキシ樹脂は、ビスフェノールA型ポリグリシジルエーテル、エポキシ基含有アクリル樹脂(例えば、グリシジル基含有アクリル樹脂)、非グリシジルエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ポリオールのさまざまなポリグリシジルエーテル(例えば、1,6-ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン及びトリメチロールエタン)、ポリカルボン酸のさまざまなポリグリシジルエステル(例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、トリメリット酸、及びピロメリット酸)、様々な脂環式エポキシ基含有化合物(例えば、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチルアジペート)、ヒドロキシアミド(例えば、トリグリシジルイソシアヌレート及びβ-ヒドロキシアルキルアミド)、又はそれらの混合物及び組み合わせを含むがこれらに限定されない。少なくとも一つの実施形態では、エポキシ樹脂はビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールホルムアルデヒド樹脂(ノボラック樹脂とも呼ばれる)、アクリル酸変性エポキシ、及び一つ又は複数の架橋剤を有する脂環式又は複素環系エポキシのうち一つ又は複数から選択され、ここで架橋剤はフェノール、アミン、及び無水物のうちのいずれか一つ又は複数を含み得る。
【0051】
少なくとも一つの実施形態では、エポキシ樹脂は芳香族部分を有するエポキシ樹脂である又はそれを含むがこれに限定されない。芳香族部分を有する代表的なグリシジルエーテルエポキシ樹脂は、塩基性触媒の存在下でビスフェノールAをエピクロロヒドリンと反応させることにより合成できかつ以下の構造(I)を有する、ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル(DGEBA)を含み得る。
【0052】
【化1】
【0053】
構造中、繰り返し単位の数であるXは、約2~約20又は約5~約15などの0~25であり得る。
【0054】
DGEBA樹脂は市販されており、オハイオ州コロンバスのHexion IncからのEpon(登録商標)828、Epon(登録商標)1001、Epon(登録商標)1004、Epon(登録商標)2004、Epon(登録商標)1510、Epon(登録商標)1310、及びミシガン州ミッドランドのDow Chemical Companyから入手可能なDER(登録商標)331、DER(登録商標) 332、DER(登録商標)334、及びDER(登録商標)439などの商標名で市販されている。
【0055】
他の適切なビスフェノールA型エポキシ樹脂は、ビスフェノールAプロポキシレートジグリシジルエーテルを含み、ここでそれも例えば、Sigma-Aldrich Incから市販されており、以下の構造(II)を有する。
【0056】
【化2】
【0057】
芳香族部分を含む他の適切なグリシジルエーテルエポキシ樹脂は、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン(ビスフェノールFと呼ばれる)及びブロモビスフェノールA(2,2-ビス(4-(2,3-エポキシプロポキシ)3-ブロモ-フェニル)プロパン)のジグリシジルエーテルを含む。ビスフェノールF系エポキシ樹脂は市販されており、例えば、ミシガン州ミッドランドのThe Dow Chemical Companyから入手可能なDER(登録商標)354及びDER(登録商標)354LVである。
【0058】
本発明の組成物とともに使用することができる芳香族部分を含むさらなるグリシジルエーテルエポキシ樹脂はフェノール及びクレゾールノボラックを含む。当該技術分野で知られているように、これらのエポキシは、フェノールノボラック樹脂を製造するために、酸性触媒の存在下で、フェノール又はクレゾールをホルムアルデヒドと過剰に反応させることによって調製し得る。次いで、触媒としての水酸化ナトリウムの存在下でフェノールノボラック樹脂をエピクロロヒドリンと反応させることによってノボラックエポキシ樹脂を合成する。代表的なフェノールノバラックを式(III)に示す。
【0059】
【化3】
【0060】
式中、「n」は0~5などの繰り返し単位の数である。
【0061】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態において、有用なエポキシビスフェノールAノボラック樹脂を含むエポキシフェノールノボラック樹脂の例は、ミシガン州ミッドランドのDow Chemical Companyから入手可能な商標名DER(登録商標)431及びDER(登録商標)438、又はオハイオ州コロンバスのHexion Specialty Chemicalsから入手可能なEPON(登録商標) SU-8を含む。
【0062】
芳香族基を含有する他の適切なエポキシ樹脂には、ビフェニルジオール及びトリフェニルジオール及びトリオールなどの芳香族アルコールとエピクロロヒドリンとの反応によって調製することができるものが含まれる。一つの代表的な化合物は、スイス・バーゼルのHuntaman CorporationからTACTIX(登録商標)742として入手可能なトリス-(ヒドロキシルフェニル)メタン系エポキシである。
【0063】
追加の適切なエポキシ樹脂としては、グリシドアミンが挙げられる。グリシドアミンはエピクロロヒドリンを芳香族アミンのようなアミンと反応させることによって形成される。適切なグリシドアミンの例は、構造(IV)によって表されるテトラグリシジルメチレンジアニリンである。
【0064】
【化4】
【0065】
追加の適切なエポキシ樹脂は脂肪族エポキシ樹脂を含む。脂肪族エポキシ樹脂は当該技術分野において既知であり、グリシジルエポキシ樹脂及び脂環式エポキシドを含む。グリシジル脂肪族エポキシ樹脂は、エピクロロヒドリンを脂肪族アルコール又はポリオールと反応させてグリシジルエーテルを得る、又は脂肪族カルボン酸と反応させてグリシジルエステルを得ることによって形成し得る。この反応は、中間体クロロヒドリンの脱塩化水素を容易にするために、水酸化ナトリウムのようなアルカリの存在下で行い得る。これらの樹脂は一般的には室温で低い粘度、例えば約10~約200mPa.sの範囲にある粘度を示す。本明細書に開示される導電性接着剤組成物に使用するための例示的なグリシジル脂肪族エポキシ樹脂は、Sigma- Aldrich Inc製の市販されているトリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、及びポリ(プロピレングリコール)ジグリシジルエーテルなどを含む。
【0066】
脂環式エポキシドも本発明の組成物に含まれ得る。脂環式エポキシドはエポキシド環が縮合している分子中に一つ又は複数の脂環式環を含有する。それらはシクロオレフィンと過酢酸のような過酸との反応によって形成される。本発明の組成物を調製するのに使用することに適した脂環式エポキシドは、例えば、Dow Chemical Companyの子会社であるテキサス州ヒューストンのUnion Carbide Corporationから市販されている、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキサンジオキシドなどを含む。
【0067】
本明細書に開示されている導電性接着剤組成物には、一つ又は複数のエポキシ樹脂を任意の適切な量又は望ましい量で提供することができる。特定の実施形態では、少なくとも一つのエポキシ樹脂は組成物の総重量に基づき、組成物中に約5~約35重量%、又は約10~約25重量%などの約0.01~約40重量%の範囲にある量で存在する。
【0068】
一つの実施形態では、希釈されていないエポキシ樹脂は約1cP~約16cPの粘度を有することができる。例えば、希釈されていないエポキシ樹脂は約1cP~約16cP、約3cP~約12cP、約5cP~約9cP、又は約8cPの粘度を有することができる。
【0069】
一つの実施形態では、エポキシ樹脂はSolder mask pasteなどの市販されているレジストであるか、又はそれを含み得る。市販されているソルダーマスクペーストの一例は、ビスフェノールAエポキシ樹脂を含む、ネバダ州カーソンシティのTaiyo America Incから市販されているTAIYO S-222NA(登録商標)を含み得る。このような従来の配合物は、それらの比較的高い粘度のために吐出用途(例えば、エアロゾル印刷)には容易に使用されないことが理解されるべきである。そのため、本明細書に記載の接着剤導電性組成物及び/又はエポキシ樹脂は、適切なレオロジーを達成するために、任意の相溶性溶媒及び/又は界面活性剤で希釈し得る。
【0070】
エポキシ樹脂は基板に対して任意の適切な温度で硬化し得る。例えば、エポキシ樹脂は、フレキシブル又は剛性フレキシブル基板などのポリマー又はプラスチック基板の融点よりも比較的低い温度で硬化し得る。少なくとも一つの実施形態では、エポキシ樹脂は約150℃未満、約140℃未満、約130℃未満、約120℃未満、又は約110℃未満の温度で熱硬化し得る。エポキシ樹脂は約4時間未満、約3時間未満、約2時間未満、又は約1時間未満の期間で硬化し得る。
【0071】
接着剤導電性組成物には、硬化後に適切な特性を最終レジストマスクにもたらす任意の適切な量のエポキシ樹脂を使用することができる。例えば、エポキシ樹脂は、接着剤導電性組成物中に、接着剤導電性組成物の総重量に対して約60又は65重量%~約75重量%などの約50重量%~約80重量%の量で存在し得る。別の例では、エポキシ樹脂は、接着剤導電性組成物中に、接着剤導電性組成物の総重量に対して、約10又は50重量%~約75重量%などの約10重量%~約80重量%の量で存在し得る。
【0072】
一つの実施形態では、接着剤導電性組成物又はその成分は有効量のポリ(ビニルフェノール)及び/又はポリ(ビニルブチラール)を含み得る。接着剤導電性組成物又はその成分中に存在するポリ(ビニルフェノール)及び/又はポリ(ビニルブチラール)の量は接着剤導電性組成物の接着性を改善するのに有効である。例えば、接着剤導電性組成物又はその成分中に存在するポリ(ビニルフェノール)及び/又はポリ(ビニルブチラール)の量は接着剤導電性組成物の総重量に基づき、約0.01重量%~約50重量%、約5重量%~約25重量%、約10重量%~約20重量%、又は約15重量%であり得る。
【0073】
溶媒
少なくとも一つの実施形態では、溶媒は非極性溶媒であるか又はそれを含み得る。別の実施形態では、溶媒は極性溶媒であるか又はそれを含み得る。例示的な溶媒はプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、1-シクロヘキシル-2-ピロリドン、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、イソプロパノール、1-メチル-2-ピロリドン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、メチルジエタノールアミン、ピラゾール、ベンジルアルコール、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノ-t-ブチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル及びそのアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールメチルエーテルアセテートなど、又はそれらの混合物であり得るがこれらに限定されない。例示的な実施形態では、溶媒はプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)又はその共溶媒である又はそれらを含み得る。
【0074】
溶媒は、エアロゾルジェット印刷のために十分にエポキシ樹脂の粘度を低下させ、許容可能な特性を有するパターン化ソルダーマスクの形成を可能にする、任意の適切な量で使用することができる。例えば、溶媒の量は接着剤導電性組成物の総重量に対して少なくとも20重量%であることができる。他の例では、溶媒の量は接着剤導電性組成物の総重量に対して、約30重量%~約40重量%又は45重量%などの約25重量%~約50重量%の範囲であることができる。
【0075】
電子デバイス
特定の実施形態において、本明細書は、基板、基板上の一組の導電端子、基板の反対側の電子部品、電子部品に取り付けられて基板を向く一組の導電端子、及び電子部品と基板との間に配置された異方性導電接着剤組成物などの導電性接着剤組成物を含む電子デバイスを開示する。導電性接着剤組成物は、絶縁媒体中に実質的に均一に分布した共晶金属合金ナノ粒子などの導電性粒子を含み得る。
【0076】
異方性導電接着剤組成物の例示的な用途は一群の導電性素子を含む。組成物は二組の導電端子間に配置し得る。電荷又は電場は可撓性であり得る基板によって生成される又は端子へ向けてそれを通過する。電場は異方性導電接着剤組成物を通して一つの端子から別の端子へ通過し得る。抵抗器のような電子部品のような最上層は、一組の導電性接触パッドを含み、異方性導電接着剤組成物及び端子を覆うことができる。
【0077】
導電性粒子を介して端子から電子部品への導電性を生じさせるために、異方性導電接着剤組成物を最上層と最下層との間、すなわち基板と電子部品との間に挟み得る。その間に挟まれると、共晶金属合金ナノ粒子のような導電性粒子は変形し、端子と導電性接触パッドが接触するより大きな導電性表面積を提供し得る。
【0078】
基板はシリコン、ガラス板、プラスチックフィルム、シート、布地、合成紙、又はそれらの混合物を含む任意の適切な基板であり得る。構造的に柔軟な装置に対しては、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミドシート、ポリエチレンテレフタレート(PET)シート、ポリエチレンナフタレート(PEN)シートなどのプラスチック基板、及びそれらの混合物を使用し得る。基板の厚さは、約10マイクロメートル~10ミリメートル以上の任意の適切な厚さであり得、特にフレキシブルプラスチック基板については、例示的な厚さは約50マイクロメートル~約2ミリメートルであり、ガラスまたはシリコンなどの硬質基板については、約0.4~約10ミリメートである。
【0079】
本開示の実施形態は導電性接着剤組成物を製造する方法を提供することができる。この方法は、一つ又は複数の共晶金属合金と一つ又は複数のアミンを適切な溶媒中で組み合わ、混合する、攪拌する、錯化する、又は他の方法で接触させて溶媒中に共晶金属合金の離散粒子を分散させることを含み得る。例えば、この方法は、PGMEA溶媒中でガリウム、インジウム、及び任意のスズの共晶金属合金、テトラエチレンペンタミンのようなアミンを互いに接触させ、共晶金属合金の離散粒子を溶媒中に分散させることを含み得る。溶媒中に共晶金属合金の離散粒子を分散させることは混合物を撹拌することを含み得る。例えば、溶媒中に共晶金属合金の離散粒子を分散させることは混合物を音波処理(例えばプローブ音波処理)することを含み得る。この方法は共晶金属合金の粒子をアミンで配位子官能化することをさらに含み得る。
【0080】
本開示の実施形態はまた、本明細書に開示される任意の導電性接着剤組成物と一つ又は複数の部品を互いに電気的又は導電的に結合するための方法を提供する。例えば、本開示の実施形態は、一つ又は複数の部品を互いに電気的に結合してプリント回路基板又はその部品(抵抗器など)を製造するための方法を提供し得る。本明細書で使用されるとき、語又は表現「プリント回路基板」は、所定の導電パターンを使用して共通の絶縁基板上の電子部品を相互に接続することができる、処理済の「プリント配線」の総称又は表現を表し得る。例示的なプリント回路基板は、リジッド、フレキシブル、及び/又はリジッド-フレキシブル材料で製造される片面、両面、及び多層の基板であり得る、又はそれを含み得るがこれらに限定されない。
【0081】
図1A~1Cは、開示される一つ又は複数の実施形態に基づく、基板104上で第一部品100と第二部品102とを互いに結合するための例示的な方法を示す。図1Aに示すように、方法は基板104(例えば、フレキシブル又はリジッド基板)上に第一部品100と第二部品102とを堆積することを含み得る。第一及び第二部品100、102は溶液堆積及び/又は吐出(例えば、インクジェット)などの任意の適切な方法によって基板104上に堆積し得る。本明細書で使用されるとき、語「溶液堆積すること」又は「溶液堆積」はそれによって液体が堆積される又は基板と接触するプロセスを指し得る。溶液堆積を利用してコーティング又はパターンを形成し得る。例示的な溶液堆積技術は、スピンコーティング、ディップコーティング、スプレーコーティング、スロットダイコーティング、フレキソ印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、インクジェット印刷、エアロゾルジェット印刷などを含むがこれらに限定されない。
【0082】
少なくとも一つの実施形態では、第一及び第二部品100、102はそれぞれ銀粒子又はナノ粒子ベースの導電性インクなどの導電性インクから製造された電極(例えばパッド)であり得る。この方法はまた、図1Aに示すように、溶液堆積又は吐出によって第一及び第二部品100、102のそれぞれの上に導電性接着剤組成物106を堆積させることを含み得る。図1Aに示すように、導電性接着剤組成物106はエポキシ樹脂110中に分散した共晶金属合金108の粒子を含み得る。
【0083】
この方法はまた、図1Bに示すように、導電性接着剤組成物106に隣接する抵抗器のような電子部品112を有する導電性接触パッド114を配置することを含み得る。この方法はまた、図1Cに示すように、導電性接着剤組成物106に導電性経路116を設ける又は形成するために外部刺激を加えることを含み得る。導電経路116を形成するために利用される外部刺激は、矢印118によって示されるように、導電性接着剤組成物106に対するバイアス力又は印加圧力を含み得る。図1Cに示すように、導電性接着剤組成物106に圧力又はバイアス力118を加えると、共晶金属合金の離散粒子108の表面張力が壊れ、それによって導電経路116が形成される。この方法はまた、電子部品112及び導電経路116を介して第一部品100を第二部品102に電気的に結合するために、エポキシ樹脂110を硬化させて導電経路116を維持することを含み得る。
【0084】
図2A~2Bは、開示される一つ又は複数の実施形態に基づいて基板104上に第一部品100と第二部品102とを互いに結合するための別の例示的な方法を示す。図2A~2Bは、いくつかの点で図1A~1Cに記載の方法と類似する可能性があり、したがって類似の数字が類似の部品を指定し得る図1A~1Cの説明を参照すると最もよく理解され得るため、ここでは詳細に説明しない。
【0085】
この方法はまた、図2Aに示すように、基板104上に第一部品100と第二部品102とを堆積することを含み得る。この方法はまた、図2Aに示すように、第一及び第二部品100、102上に導電性接着剤組成物106を堆積することを含み得る。この方法はまた、第一部品100と第二部品102との間に画定される間隙又は空間200内に導電性接着剤組成物106を堆積させることを含み得る。この方法はまた、図2Bに示すように、導電性接着剤組成物106に隣接して電子部品112を配置することと、導電性接着剤組成物106にバイアス力118を加えることによって導電経路116を形成することとを含み得る。この方法はまた、電子部品112及び導電経路116を介して第一部品100を第二部品102に電気的に結合するために、エポキシ樹脂110を硬化させて導電経路116を維持することを含み得る。図2Bに示すように、導電経路116は第一部品100と第二部品102との間に画定された隙間200内に配置された導電性接着剤組成物106中に形成されない。そのため、電子部品112を横切ることなく、第一部品100から第二部品102への直接的な導電性又は電気的な結合がない可能性がある。
【0086】
少なくとも一つの実施形態では、本明細書に開示されている方法は、導電性接着剤組成物を基板又は他の表面にインクジェット印刷することを含み得る。本明細書に開示される方法はまた、導電性接着剤組成物を基板上にエアロゾルジェット印刷することを含み得る。本明細書で使用されるとき、「エアロゾルジェット印刷」は、液体(導電性接着剤組成物など)を噴霧してミクロンスケール又はサブミクロンスケールで液体の液滴を生成するプロセス又は技術を指す。エアロゾルジェット印刷の噴霧した液滴は気体流に同伴されてプリントヘッドに送られ、そこでエアロゾル流の周りに環状のガス流が導入されて液滴を平行ビーム又は経路に集束させる。組み合わされたガス流は、エアロゾル流を比較的小さい直径(例えば、1~10μm)に圧縮することができる収束ノズルを通ってプリントヘッドによって推進され得る。吐出は基板上に堆積するようにプリントヘッドから推進され得る。
【0087】
基板は任意の好適な基板又は導電性接着剤組成物と適合性のある基板であり得る。例示的な基板は、シリコン、ガラス板、プラスチック又はポリマー材料(プラスチックフィルムなど)、シート、布地、合成紙などであり得る、又はそれを含み得るがこれらに限定されない。例示的なポリマー材料は、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミドシート、ポリエチレンテレフタレート(PET)シート、ポリエチレンナフタレート(PEN)シートなどであり得る、又はそれを含み得るがこれらに限定されない。
【0088】
少なくとも一つの実施形態では、導電性接着剤組成物又はその成分は加熱によって硬化し得る。本明細書で使用されるとき、語「加熱」は、水性インク組成物又はそのエポキシ樹脂を少なくとも部分的に硬化させるのに十分なエネルギーを付与することができる任意の技術を指し得る。例示的な加熱技術はサーマル加熱(例えば、ホットプレート、オーブン、バーナーなど)、赤外線(IR)放射、レーザービーム、フラッシュライト、マイクロ波放射、紫外線(UV)放射など、及びそれらの組み合わせであり得る、又はそれを含み得るがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、導電性接着剤組成物は、約100℃~約180℃、又は約120℃~約160℃などの約80℃~約200℃の温度、及び約0.5~約6時間、約1~約4時間、又は約2~約3時間の期間で硬化し得る。少なくとも一つの実施形態では、本組成物は約160℃で約6時間又は約200℃で約0.5時間で硬化し得る。
【実施例1】
【0089】
例示的な導電性接着剤組成物を溶媒中でさまざまな共晶合金をアミンと組み合わせることによって調製した。特に、約66%のGa、20.5%のIn、及び約13.5%のSnを含むガリウム-インジウム-スズ共晶合金をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)中のテトラエチレンペンタミンと混合して、第一の例示的な導電性接着剤組成物を調製し(試験1)、約78.6%のGa及び約21.4%のガリウム-インジウム共晶合金をPGMEA中のテトラエチレンペンタミンと混合して、第二の例示的な導電性接着剤組成物を調製した(試験2)。
【0090】
試験1及び試験2の導電性接着剤組成物をそれぞれ調製するために、約300mLのPGMEA溶媒を磁気攪拌棒を備えたビーカーに入れ、ホットプレートを有する水浴中で加熱した。約60gのアミン、テトラエチレンペンタミンを攪拌しながらPGMEAと混合した。次いで、約20.8gのそれぞれの共晶合金をPGMEAとアミンの混合物に添加し、そして約二分間撹拌した。撹拌後、各溶液を40℃未満の温度に維持した氷浴に入れ、プローブを100%の振幅/出力で約8~約15分間超音波処理した。各溶液を次に、灰色の懸濁液をもたらすように約10℃の温度に冷却した。次いで、各灰色の懸濁液を3000rpmで約15分間遠心分離し、次いで透明な上澄み液をデカントし、沈殿物を新しいPGMEAに分散させた。沈殿物をPGMEA中に分散させた後、混合物を3000rpmで約15分間再度遠心分離し、透明なPGMEA上清を再度デカントした。次いで、遠心分離管から得られた沈殿物又は粒子を一晩乾燥させた。各溶液中の粒子の最終収率が95%より大きかったことは理解されるべきである。
【実施例2】
【0091】
実施例1で調製した試験1及び試験2の導電性接着剤組成物のそれぞれの粒度分布をNANOTRAC U2275E粒度分析器を使用して分析した。試験1及び試験2の導電性接着剤組成物のそれぞれの粒度分布を表1にまとめる。
【0092】
【表1】
【実施例3】
【0093】
実施例1で調製した液体金属ナノ粒子を使用して導電性接着剤組成物を調製した。例えば、約12gのエポキシ樹脂を約12gのPGMEA溶媒で希釈した。樹脂を確実に溶解させるために、溶液を約3000rpmで約10秒間ボルテックスした。この溶液に、約16gの液体金属粒子(試験1)を添加した。導電性接着剤組成物の固形分は約40重量%であった。導電性接着剤混合物を約5分間超音波処理し、次いでモビルロッドローラー上で約36時間転がした。エアロゾルジェット印刷の前に、導電性接着剤混合物をバスソニケーター中で更に約5分間超音波処理した。
【0094】
実施例3の導電性接着剤組成物を、間に5mm幅の間隙を有する銀(Ag)電極でパターン化された硬質ポリカーボネート基板上にエアロゾルジェット印刷した。導電性接着剤組成物をエアロゾルプリンター、すなわちニューマチックエアロゾルモード(PA)に設定されたOPTOMECエアロゾルジェットシステムで印刷した。ノズルと基板との間に3mmのオフセット距離をあけて300μmのノズルを使用した。印刷速度を10mm/分に維持し、そして以下のガス流パラメータを使用した:シースガス=50cm/分、噴霧ガス=650cm/分、排気ガス=630cm/分。
【0095】
導電性接着剤組成物の抵抗を二つの調査で分析した。図1A~1Cに概略的に示す第一調査では、導電性接着剤組成物106を銀電極100、102のそれぞれの上(すなわち電極のパッドの上)に直接印刷し、次に導電性接着剤組成物106の間の間隙を埋めるように100オーム(Ω)の抵抗器112を導電性接着剤組成物106の上に配置し、そして、抵抗器112を介して導電性接着剤組成物106に共晶金属合金108の粒子が流動して導電経路116を形成することを可能にするように圧力118を加えた。図2A~2Bに概略的に示す第二調査では、導電性接着剤組成物106を銀電極100、102のそれぞれの上に直接印刷し、その間の5mmの間隙200に100Ωの抵抗器112を導電性接着剤組成物106上に配置し、そして、抵抗器112を介して導電性接着剤組成物106に共晶金属合金108の粒子が流動して導電経路116を形成することを可能にするように圧力118を加えた。次に、各調査の銀電極100、102間の抵抗を評価した。測定された抵抗が100Ωであれば、導電性接着剤組成物は十分に導電性であると考えられ、これは導電性接着剤が抵抗器の100Ωに対して追加の抵抗に寄与していないことを示すと理解されるべきである。第一調査では、測定された抵抗は約110オームであった。
【0096】
第二調査では、銀電極100、102の間の測定された抵抗もまた約110Ωであった。抵抗値は使用されている抵抗器の所定の値に近いため、導電性接着剤が回路に対して追加の抵抗値に大きく寄与することはなかった(約10オームの増加)。理論に縛られるものではないが、観察された追加の10Ωは、銀電極における抵抗、デジタルマルチメータのプローブと銀電極との間の接触抵抗、導電性接着剤組成物、又はそれらの任意の組み合わせによってもたらされると考えられる。抵抗が観察/測定されたため、接着剤が電極にまたがるギャップ内に配置されていたとしても、ギャップを横切る短絡(導電経路など)が観察されなかったため、導電性接着剤組成物は異方性に機能した。そのため、導電性を観察するためには、抵抗と電極のパッドとの間に加えられる圧力などの圧力が必要であった。
【0097】
導電性接着剤組成物における類似の傾向が、フレキシブル基板及びリジッド基板の両方について観察されたことは理解されるべきである。本明細書に開示される本発明の導電性接着剤組成物は、液体金属を流動させるために加熱する必要がないことがさらに観察された。驚くべきことに、Fieldの金属粒子は圧力を加える前に融点以上(室温以上)に加熱する必要があった。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕導電性接着剤組成物であって、共晶金属合金、アミン及び溶媒を含む、導電性接着剤組成物又は吐出可能なインク接着剤組成物。
〔2〕前記共晶金属合金が、ガリウム及びインジウムを含む、前記〔1〕に記載の導電性接着剤組成物。
〔3〕前記共晶金属合金が、約72%~約84%のガリウム、及び約15%~約27%のインジウムを含む、前記〔2〕に記載の導電性接着剤組成物。
〔4〕前記共晶金属合金がスズをさらに含む、前記〔2〕に記載の導電性接着剤組成物。
〔5〕前記共晶金属合金が、約60%~約72%のガリウム、約8%~約18%のインジウム、及び約14%~約26%のスズを含む、前記〔4〕に記載の導電性接着剤組成物。
〔6〕前記アミンが、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシルアミン、N,N-ジメチルアミン、N,N-ジプロピルアミン、N,N-ジブチルアミン、N,N-ジペンチルアミン、N,N-ジヘキシルアミン、N,N-ジヘプチルアミン、N,N-ジオクチルアミン、N,N-ジノニルアミン、N,N-ジデシルアミン、N,N-ジウンデシルアミン、N,N-ジドデシルアミン、メチルプロピルアミン、エチルプロピルアミン、プロピルブチルアミン、エチルブチルアミン、エチルペンチルアミン、プロピルペンチルアミン、ブチルペンチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、1,2-エチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、プロパン-1,3-ジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルプロパン-1,3-ジアミン、ブタン-1,4-ジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルブタン-1,4-ジアミン、3-メトキシプロピルアミン、ペンタエチレンヘキサミン、2,2-(エチレンジオキシ)ジエチルアミン、テトラエチレンペンタミン、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、前記〔1〕に記載の導電性接着剤組成物。
〔7〕前記アミンが、テトラエチレンペンタミンからなる、前記〔6〕に記載の導電性接着剤組成物。
〔8〕前記溶媒が、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含む、前記〔1〕に記載の導電性接着剤組成物。
〔9〕エポキシ樹脂をさらに含む、前記〔1〕に記載の導電性接着剤組成物。
〔10〕導電性接着剤組成物を調製するための方法であって、溶媒中で共晶合金をアミンと接触させて溶媒中に分散した共晶金属合金の液体金属粒子を調整することを含む、方法。
〔11〕前記共晶金属合金が、ガリウム及びインジウムを含む、前記〔10〕に記載の方法。
〔12〕前記共晶金属合金が、約72%~約84%のガリウム、及び約15%~約27%のインジウムを含む、前記〔11〕に記載の方法。
〔13〕前記共晶金属合金がさらにスズを含む、前記〔11〕に記載の方法。
〔14〕前記共晶金属合金が、約60%~約72%のガリウム、約8%~約18%のインジウム、及び約14%~約26%のスズを含む、前記〔13〕に記載の方法。
〔15〕前記アミンが、テトラエチレンペンタミンを含む、前記〔10〕に記載の方法。
〔16〕前記溶媒が、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含む、前記〔10〕に記載の方法。
〔17〕エポキシ樹脂と液体金属粒子を接触させることさらに含む、前記〔10〕に記載の方法。
〔18〕前記〔10〕に記載の方法に基づいて調製される、導電性接着剤組成物。
〔19〕プリンテッドエレクトロニクスであって、フレキシブル基板と、複数の導電性端子と、共晶金属合金、アミン及び溶媒を含み、導電性端子に隣接して配置される導電性接着剤組成物と、前記複数の導電端子が導電性接着剤組成物及び電子部品を介して互いに電気的に結合され、導電性接着剤組成物に隣接して配置される電子部品と、を含む、プリンテッドエレクトロニクス。
〔20〕前記複数の導電端子が導電性接着剤組成物及び電子部品を介してのみ互いに電気的に結合されている、前記〔19〕に記載のプリンテッドエレクトロニクス。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B