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特許7143276可撓性電極-セパレーター要素およびそれらの調製のためのプロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-16
(45)【発行日】2022-09-28
(54)【発明の名称】可撓性電極-セパレーター要素およびそれらの調製のためのプロセス
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/04 20060101AFI20220920BHJP
   H01M 4/139 20100101ALI20220920BHJP
   H01M 4/02 20060101ALI20220920BHJP
   H01M 4/13 20100101ALI20220920BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20220920BHJP
   H01M 4/48 20100101ALI20220920BHJP
   H01M 4/485 20100101ALI20220920BHJP
   H01M 4/58 20100101ALI20220920BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20220920BHJP
   H01M 4/525 20100101ALI20220920BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20220920BHJP
   H01M 10/0566 20100101ALI20220920BHJP
   H01M 10/0565 20100101ALI20220920BHJP
   H01M 10/058 20100101ALI20220920BHJP
   H01M 50/46 20210101ALI20220920BHJP
   H01M 50/417 20210101ALI20220920BHJP
   H01M 50/457 20210101ALI20220920BHJP
【FI】
H01M4/04 A
H01M4/139
H01M4/02 Z
H01M4/13
H01M4/62 Z
H01M4/48
H01M4/485
H01M4/58
H01M4/505
H01M4/525
H01M4/36 C
H01M10/0566
H01M10/0565
H01M10/058
H01M50/46
H01M50/417
H01M50/457
【請求項の数】 33
(21)【出願番号】P 2019503286
(86)(22)【出願日】2017-07-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-07-25
(86)【国際出願番号】 CA2017050881
(87)【国際公開番号】W WO2018014137
(87)【国際公開日】2018-01-25
【審査請求日】2020-06-26
(31)【優先権主張番号】62/365,450
(32)【優先日】2016-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513138072
【氏名又は名称】ハイドロ-ケベック
(73)【特許権者】
【識別番号】517409273
【氏名又は名称】トランスフェール プリュス, エス.ウー.セー.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ドゥラポルト, ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】オッソノン, ディビー ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】ザジブ, カリム
(72)【発明者】
【氏名】ベランンジェ, ダニエル
【審査官】宮田 透
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-239435(JP,A)
【文献】特開2013-191548(JP,A)
【文献】特表2015-533453(JP,A)
【文献】特開2016-004786(JP,A)
【文献】特表2017-533548(JP,A)
【文献】Guangmin Zhou et al.,A Flexible Sulfur-Graphene-Polypropylene Separator Integrated Electrode for Advanced Li-S Batteries,ADVANCED MATERIALS,Volume 27, Issue 4,2014年11月06日,pp.641-647
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/13- 4/1399
H01M 4/36- 4/62
H01M 10/05-10/0587
H01M 50/40-50/497
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラフェンを含む自立電極材料を含む可撓性電極-セパレーター要素を生成するプロセスであって、前記電極材料がセパレーター上にあり、ここで、集電体が必要とされず、前記プロセスが、
a)グラフェン粉末および電気化学的活物質を溶媒と混合して、懸濁物を形成させるステップと;
b)a)において得られた前記懸濁物を前記セパレーター上に塗布して、前記セパレーターの表面上の電極材料層を得るステップであって、ここで、前記電極材料層が、少なくとも10重量%のグラフェンを含みそしてバインダーを有さない、ステップと;
c)前記溶媒を除去して、前記可撓性電極-セパレーター要素を得るステップと
を含み、
ここで、ステップ(b)および(c)が、(a)において得られた前記懸濁物を、前記セパレーターを通して濾過して、前記セパレーターの表面上に前記電極材料の層を得ることを含み、そのことにより、前記電極-セパレーター要素を得る、
プロセス。
【請求項2】
ステップ(b)が、前記セパレーター上に前記懸濁物をコーティングするステップを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記グラフェン粉末が、グラファイト箔の剥離によって得られる、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記電気化学的活物質が、TiO、LiTiO、LiTi12、HTi11およびHTi、またはこれらの組合せ、LiM’PO(式中、M’は、Fe、Ni、Mn、Co、またはこれらの組合せである)、LiV、V、LiMn、LiM’’O(式中、M’’は、Mn、Co、Ni、またはこれらの組合せである)、Li(NiM’’’)O(式中、M’’’は、Mn、Co、Al、Fe、Cr、Ti、またはZrである)、ならびにこれらの組合せから選択される、請求項1からのいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記電気化学的活物質が、リチウムチタン酸塩またはリチウム金属リン酸塩である、請求項1からのいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記電気化学的活物質が、LiTi12、LiFePO、または炭素コーティングされたLiFePOである、請求項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記電極材料が、10重量%から30重量%の間のグラフェンを含む、請求項1からのいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記電極材料が、15重量%~20重量%のグラフェンを含む、請求項1からのいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記電極材料が、20重量%のグラフェンを含む、請求項1からのいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記溶媒が、N,N-ジメチルホルムアミド、水、アルコールまたはこれらの混合物である、請求項1からのいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
前記混合ステップが、超音波浴において前記懸濁物を処理することをさらに含む、請求項1から1のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記セパレーターが、ポリマーセパレーターである、請求項1から1のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項13】
前記ポリマーセパレーターが、ポリプロピレン、ポリエチレンまたはこれらの組合せの少なくとも1層を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項14】
前記ポリマーセパレーターが、ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレン三重層セパレーターである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項15】
ステップ(c)が、乾燥ステップを含み、そして前記乾燥が、少なくとも50℃の温度で行われる、請求項1から1のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項16】
ステップ(c)が、乾燥ステップを含み、そして前記乾燥が、最大で160℃の温度で行われる、請求項1から1のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項17】
前記温度が、最大で120℃の温度である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項18】
前記温度が、50℃~80℃の範囲内である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項19】
前記温度が、60℃である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項20】
ステップ(c)が、乾燥ステップを含み、前記乾燥が、真空下で行われる、請求項1から19のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項21】
セパレーター上にグラフェン粉末および電気化学的活物質を含む自立電極材料を含む、可撓性電極-セパレーター要素であって、前記電極材料がバインダーを有さず、そして少なくとも10重量%のグラフェンを含む、可撓性電極-セパレーター要素。
【請求項22】
前記電気化学的活物質が、TiO、LiTiO、LiTi12、HTi11、およびHTi、またはこれらの組合せ、LiM’PO(ここで、M’は、Fe、Ni、Mn、Co、またはこれらの組合せである)、LiV、V、LiMn、LiM’’O(ここで、M’’は、Mn、Co、Ni、またはこれらの組合せである)、Li(NiM’’’)O(ここで、M’’’は、Mn、Co、Al、Fe、Cr、Ti、またはZrである)、およびこれらの組合せから選択される、請求項2に記載の可撓性電極-セパレーター要素。
【請求項23】
前記電気化学的活物質が、リチウムチタン酸塩またはリチウム金属リン酸塩である、請求項2に記載の可撓性電極-セパレーター要素。
【請求項24】
前記電気化学的活物質が、LiTi12、LiFePO、または炭素コーティングされたLiFePOである、請求項2に記載の可撓性電極-セパレーター要素。
【請求項25】
前記電極材料が、10重量%から30重量%の間のグラフェンを含む、請求項2~2のいずれか一項に記載の可撓性電極-セパレーター要素。
【請求項26】
前記電極材料が、15重量%~20重量%のグラフェンを含む、請求項2に記載の可撓性電極-セパレーター要素。
【請求項27】
前記電極材料が、20重量%のグラフェンを含む、請求項2に記載の可撓性電極-セパレーター要素。
【請求項28】
前記セパレーターが、ポリマーセパレーターである、請求項2~2のいずれか一項に記載の可撓性電極-セパレーター要素。
【請求項29】
前記ポリマーセパレーターが、ポリプロピレン、ポリエチレンまたはこれらの組合せの少なくとも1層を含む、請求項2に記載の可撓性電極-セパレーター要素。
【請求項30】
前記ポリマーセパレーターが、ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレン三重層セパレーターである、請求項29に記載の可撓性電極-セパレーター要素。
【請求項31】
請求項2~3のいずれか一項に記載の可撓性電極-セパレーター要素、液体電解質またはゲル電解質、および対電極を含む、電気化学セル。
【請求項32】
アノード、カソードおよび液体電解質またはゲル電解質を含む電気化学セルであって、前記アノードおよび前記カソードのそれぞれが、請求項2~3のいずれか一項に記載の可撓性電極-セパレーター要素である、電気化学セル。
【請求項33】
電気自動車もしくはハイブリッド自動車、またはITデバイスにおける、請求項3または3に記載の電気化学セルの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2016年7月22日に出願された米国仮出願第62/365,450号の優先権を適用法の下、主張し、この米国仮出願の内容は、その全体があらゆる目的で本明細書に参照により組み込まれる。
【0002】
技術分野
本技術分野は概して、電極およびこれらの調製のためのプロセス、例えば、炭素源およびバインダーとしてグラフェンを使用する電極-セパレーター型可撓性要素に関する。本明細書はまた、電気化学セル、例えば、リチウムイオン電池における可撓性電極-セパレーター要素の使用について記載する。
【背景技術】
【0003】
背景
電極を調製するための従来のプロセスは一般に、例えば、抵抗性でコストのかかるバインダー(例えば、PVDF)、および有毒で高価な溶媒、例えば、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)の使用を必要とする。これらの方法は、多数のステップ、すなわち、成分(導電性添加物、バインダー、アノード/カソード材料)の粉砕、混合、懸濁物の調製、懸濁物のコーティング、溶媒除去などを含み、これによって、電極を製造するのに必要とされる時間が大いに増加する。さらに、アルミニウム集電体が一般に使用され、アルミニウム集電体は、それ自体で電極の総重量に対してほぼ50%に相当するため、電極のエネルギー密度を制限する。一例として、LiFePO/C(LFP)電極について、3.6mg/cmの荷重を伴う場合、アルミニウム集電体は、電極の重量の47%に相当する。この百分率は、より薄い電極について劇的に増加する。
【0004】
最近報告されたように(Danielら、J. Power Sources、2015年、275巻、234~242頁)、Liイオン電池の処理コストを低減させるために大きな努力がなされてきた。Danielらにおいて提示されるコストモデリングによると、Liイオン電池の価格の50%は、複合電極材料および集電体によってもたらされる。CMCについての0.5~1.4ドル/kgに対して、PVDF分散物のコストが18.9~23.1ドル/kgと推定されることがまた示されている。
【0005】
商業化されたLiイオン電池においてアノードとして広範に使用されているグラファイト電極に加えて、LiTi12(LTO)は、Liイオン電池における利用に対して重要である(Ohzukuら、J. Electrochem. Soc.、1995年、142巻、1431~1435頁;Zaghibら、J. Electrochem. Soc.、1998年、145巻、3135~3140頁)。LiTi12の主要な利点は、Li/Liに対して1.55Vのその高い作業電位によって、その表面においてサイクル動作時に固体電解質中間相(SEI)層が形成されないことである。さらに、この電極材料は、リチウムの挿入中に非常に安定であり、歪みがない材料であることが公知である(Zaghibら、J. Power Sources、2014年、248巻、1050~1057頁)。この材料を使用して、ある用途、例えば、スマートデバイスにおいて最終的に使用される電池を製造する場合がある。しかし、LiFePOと同様に、LTOアノードの電気化学的性能は、その低い電子伝導性によって限定される。したがって、高率の用途は、LTO粒子が薄い炭素層でコーティングされることを必要とする(Doiら、Chem. Mater.、2005年、17巻、1580~1582頁)。
【0006】
したがって、Liイオン電池の調製のために所要時間および/または製造コストを減少させることが必要とされている。増加したエネルギー密度および/または効率を有する電極もまた必要とされている。最終的に、有毒な溶媒、または高温および圧力条件の使用を制限するためにより環境に優しいプロセスが必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【文献】Danielら、J. Power Sources、2015年、275巻、234~242頁
【文献】Ohzukuら、J. Electrochem. Soc.、1995年、142巻、1431~1435頁
【文献】Zaghibら、J. Electrochem. Soc.、1998年、145巻、3135~3140頁
【文献】Zaghibら、J. Power Sources、2014年、248巻、1050~1057頁
【文献】Doiら、Chem. Mater.、2005年、17巻、1580~1582頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
概要
第1の局面によると、本技術は、グラフェンを含む電極材料およびセパレーターから構成される可撓性電極-セパレーター要素の作製のためのプロセスであって、前記プロセスが、
a)グラフェン粉末、および任意選択で電気化学的活物質を溶媒と混合して、懸濁物を形成させるステップと;
b)(a)において得られた懸濁物をセパレーター上に塗布して、セパレーターの表面上の電極材料層を得るステップと;
c)溶媒を除去して、電極-セパレーター要素を得るステップと
を含む、プロセスを含む。
【0009】
一実施形態によると、ステップ(b)は、セパレーター上に懸濁物をコーティングすること、例えば、ドクターブレードの方法を使用することを含む。一実施形態では、プロセスは、連続的様式(例えば、ロールツーロール)で行われる。別の実施形態では、ステップ(b)および(c)は、(a)において得られた懸濁物を、セパレーターを通して濾過して、セパレーターの表面上の電極材料層を得、これを任意選択で乾燥させて、電極-セパレーター要素を得るステップを含む。一実施形態では、懸濁物は、電気化学的活物質を含む。例えば、電気化学的活物質は、TiO、LiTiO、LiTi12、HTi11、およびHTi、またはこれらの組合せ、LiM’PO(式中、M’は、Fe、Ni、Mn、Co、またはこれらの組合せである)、LiV、V、LiMn、LiM’’O(式中、M’’は、Mn、Co、Ni、またはこれらの組合せである)、Li(NiM’’’)O(式中、M’’’は、Mn、Co、Al、Fe、Cr、Ti、またはZrである)、およびこれらの組合せから選択される。別の実施形態では、電気化学的活物質は、リチウムチタン酸塩またはリチウム金属リン酸塩である。例えば、電気化学的活物質は、LiTi12、LiFePO、または炭素コーティングされたLiFePOである。
【0010】
一実施形態では、グラフェン粉末は、グラファイト箔の剥離によって、例えば、化学的または電気化学的剥離によって得られる。例えば、電極材料は、少なくとも10%、または約10%~約30%、または約15%~約20%、または約20重量%のグラフェンを含む。
【0011】
別の実施形態では、溶媒は、N,N-ジメチルホルムアミド、水、アルコールおよびこれらの混合物から選択される。本プロセスにおける混合のステップは、懸濁物を超音波浴において処理することをさらに含み得る。
【0012】
さらなる実施形態では、セパレーターは、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンまたはこれらの組合せの少なくとも一層を含むポリマーセパレーターである。セパレーターはまた、多層(例えば、二重層または三重層)であり得る。ポリマーセパレーターの一例は、ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレン型三重層セパレーター、またはCelgard(登録商標)型セパレーターである。
【0013】
さらに別の実施形態では、上記プロセスは、乾燥ステップを含み、前記乾燥は、少なくとも50℃の温度、または最大で160℃もしくは最大で120℃の温度で、または50℃~80℃の範囲内の温度で、例えば、約60℃の温度で行われる。一実施形態では、乾燥ステップは、真空下で行われる。
【0014】
別の局面では、本技術は、本明細書において定義するようなプロセスによって生成される可撓性電極-セパレーター要素、ならびにこのような可撓性電極-セパレーター要素、液体電解質またはゲル電解質、および対電極を含む電気化学セルを含む。一実施形態では、電気化学セルは、アノード、カソードおよび液体電解質またはゲル電解質を含み、アノードおよびカソードのそれぞれは、本明細書において定義されるような可撓性電極-セパレーター要素である。さらに別の実施形態では、本技術は、電気自動車もしくはハイブリッド自動車における、またはITデバイス、例えば、スマートデバイスもしくはラップトップコンピューターにおける、本明細書において定義するような電気化学セルの使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、a)本出願の実施形態によるプロセス、およびb)従来のプロセスを使用した、Liイオン電極の調製ステップの概略図である。
【0016】
図2図2は、一実施形態による、電極のa)トップ部分(電極材料);b)トップおよびボトム部分の両方(折り畳まれた可撓性電極);ならびにc)ボトム部分(電池セパレーターの膜)を示す、可撓性LFP電極-セパレーター要素の写真を示す。
【0017】
図3図3は、a)サイクル動作の前(1000倍で得られた画像);b)サイクル動作の前(5000倍で得られた画像);c)サイクル動作の後(1000倍で得られた画像);およびd)サイクル動作の後(5000倍で得られた画像)の、一実施形態によるLFPcelgard電極要素の電極材料の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。
【0018】
図4図4は、従来のLFPalu(1.1mg/cm)電極と比較した、ある実施形態によるLFP電極の充電(中黒の記号)および放電(中白の記号)比容量(0.9mg/cmおよび1.3mg/cm)を示す。
【0019】
図5図5は、一実施形態によるLFP電極(15重量%のグラフェンおよび85重量%のLiFePO/C)の充電(中黒の記号)および放電(中白の記号)比容量を示す。
【0020】
図6図6は、従来のLFPalu電極と比較した、ある実施形態によるLFP電極についての電気化学的インピーダンス分光法測定を示す。
【0021】
図7図7は、本明細書に定義されているようなLTOCelgard電極の充電(中黒の記号)および放電(中白の記号)比容量(0.9mg/cmおよび1.8mg/cm、2.7mg/cm、3.6mg/cm);ならびに従来のLTOalu(3.6mg/cm)電極を示す。
【0022】
図8図8は、a)金属Liに対する、ある実施形態によるLiFePO/C(LFP)電極およびLiTi12(LTO)電極、ならびにb)一実施形態によるLFP/LTO重量比=1を有するLFP対LTO完全な電池についての、C/10のC速度での第5のサイクルについての充電および放電プロファイルを示す。
【0023】
図9図9は、LFP/LTO質量比=1を有するLFP対LTO完全な電池の充電(中黒の記号)および放電(中白の記号)比容量を示す。
【0024】
図10図10は、a)1000倍およびb)5000倍で得られた、従来のLFPalu電極のSEM画像を示す。
【0025】
図11図11は、Li/Liに対して開路電圧(OCV)~4Vの間に50mA/gでサイクル動作する、一実施形態による自立グラフェン電極(電極-セパレーター要素)について得られた比容量を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
詳細な説明
本明細書において、用語「約」は、その後に報告される測定値が続くとき、当業者が決定するような実験誤差の許容できる限度内を意味し、これは値がどのように測定または計算されるか、すなわち、測定装置の限度に一部依存する。この値はまた、表す有効桁数および値の丸めを考慮に入れる。代わりに、他に示さない限り、用語「約」が本明細書または特許請求の範囲において使用されるとき、これは、誤差限界、例えば、記載された値のおおよそ10%、またはおおよそ5%、またはおおよそ1%を想定しなければならないことを意味する。
【0027】
一局面によれば、本技術は、セパレーター上に電極材料を含む可撓性電極-セパレーター要素またはアセンブリーを生成するプロセスに関する。電極材料はセパレーターの表面上にあり、集電体は、電極材料(自立電極)のもう一方の側に必要とされない。
【0028】
一実施形態では、電極材料は、グラフェン粉末を含む。好ましくは、グラフェン粉末は、グラファイト箔の剥離によって、例えば、化学的または電気化学的剥離によって生成される。得られた剥離したグラフェン粉末は、電極-セパレーター要素の良好な可撓性を可能とする。例えば、グラフェン粉末は、グラファイト箔の電気化学的剥離によって生成され、グラファイト箔は、アノード(電源の正端子に接続されている)としての役割を果たし、カソードは、例えば、白金(例えば、白金メッシュ)である。電気化学的剥離は、両方の電極を硫酸電解質溶液に浸漬し、2つの電極の間にDC電圧を印加した(例えば、4Vから10V(両端を含む)の間の電圧)ときに、電気分解によって進行する。電気分解は、少なくとも30分間の期間、例えば、45分から1.5時間の間の期間で行われる。次いで、グラフェンシートを回収し(例えば、濾過によって)、超音波処理によって溶媒中に分散させ、グラファイトフレークが沈殿するように静置する。次いで、分散物の上側部分を集め、水素含有雰囲気下、例えば、水素および不活性ガスの混合物(例えば、アルゴン中5%H)下で熱処理する。熱処理は、700℃超の温度、例えば、800℃から1200℃の間、または約1000℃で行われる。
【0029】
別の実施形態では、電極材料は、電気化学的活物質、例えば、酸化物、複合酸化物、ホスフェート、またはシリケートをさらに含む。一実施形態では、電気化学的活物質は、チタネート、リチウムチタン酸塩、金属リン酸塩、リチウム金属リン酸塩、バナジウム酸化物、リチウム金属酸化物、およびこれらの組合せからなる群から選択される材料を含む。例えば、電気化学的活物質は、TiO、LiTiO、LiTi12、HTi11およびHTi、またはこれらの組合せ、LiM’PO(式中、M’は、Fe、Ni、Mn、Co、またはこれらの組合せである)、LiV、V、LiMn、LiM’’O(式中、M’’は、Mn、Co、Ni、またはこれらの組合せである)、Li(NiM’’’)O(式中、M’’’は、Mn、Co、Al、Fe、Cr、Ti、またはZrである)、ならびにこれらの組合せから選択され得る。一実施形態では、電気化学的活物質は、リチウムチタン酸塩およびリチウム金属リン酸塩、例えば、LiTi12またはLiFePOから選択される。一実施形態では、電気化学的活物質は、炭素コーティングされている。例えば、電気化学的活物質は、炭素コーティングされたリチウム金属リン酸塩粒子、例えば、炭素コーティングされたLiFePO(本明細書の下記でLiFePO/Cと称される)を含む。
【0030】
一実施形態では、ポリマーセパレーターは、微孔性ポリマーセパレーター、例えば、Celgard(登録商標)セパレーターである。ポリマーセパレーターは、液体電解質またはゲル電解質電池の生成における膜型セパレーターとしての使用に対して適合性のあることが公知である任意の材料を含む単層または多層セパレーターであり得る。セパレーターは、それが、電極-セパレーター要素の調製において使用される条件(例えば、溶媒、温度、粒径など)と適合性であるように選択されなければならない。選択されるセパレーターはまた、製造のスケールおよび方法、例えば、条件、例えば、紙プロセス(例えば、連続的ロールツーロール型装置を使用した)において使用されるものを使用した工業用設定に依存する。このような例では、温度および機械抵抗条件を考慮に入れなければならない。電池の調製において使用されるセパレーターの非限定的例は、無機の、有機のまたは天然に存在する材料、例えば、不織布繊維(例えば、綿、ナイロン、ポリエステル、ガラス)、ポリマーフィルム(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリ塩化ビニル)、および天然に存在する物質(例えば、ゴム、石綿、木材)の1つまたは複数を含む。好ましくは、セパレーターは、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)またはこれらの組合せの少なくとも1つの層を含むポリマーセパレーターである。セパレーターはまた、PE、PPまたは組合せの多層、例えば、PP/PE/PP三層ポリマーセパレーターを含み得る。
【0031】
別の実施形態では、グラフェン粉末は、電極材料の総重量の少なくとも10重量%に相当する。10重量%未満では、グラフェンの量は、良好な可撓性を可能とするのに十分ではない場合があり、それは、機械的応力下での電極材料の分解を伴う可能性がある。例えば、電極材料は、約10重量%~約30重量%、または約15重量%~約20重量%のグラフェンを含み得る。
【0032】
一実施形態では、上記プロセスは、グラフェン粉末、および任意選択で電気化学的活物質と、水性または非水性溶媒とを混合して、懸濁物を形成させるステップを含む。溶媒は、当業者には公知であり、セパレーターおよび活物質(存在する場合、グラフェンおよび電気化学的活性材料を含む)と適合性である、任意の水性または非水性溶媒であり得る。溶媒の非限定的例は、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、水、アルコール、例えば、メタノール、またはこれらの組合せを含む。
【0033】
一実施形態では、上記プロセスは、セパレーター上に懸濁物を塗布し、溶媒を除去するステップを含む。例えば、塗布は、方法、例えば、押出、裏面コーティング、ロール式ナイフ、ドクターブレード、スロットダイ、または任意の他の同様の方法によって、セパレーター上に懸濁物をコーティングすることを含む。一実施形態では、上記プロセスは、工業用設定において連続的様式(例えば、ロールツーロール)で行われる。
【0034】
別の実施形態では、塗布は、セパレーターを濾過膜として使用して電極懸濁物を濾過するステップを含む。懸濁物をセパレーター上に塗布し、それによって、その表面の1つ上に電極材料の層を形成させる。
【0035】
一実施形態では、懸濁物は、セパレーター上へのその塗布またはセパレーターを通したその濾過の前に、超音波浴において少なくとも10分間の期間にわたって処理される。例えば、懸濁物は、超音波浴において約10~約30分間、好ましくは、約20分間処理される。一実施形態では、セパレーター膜を通した濾過は、ブフナー型アセンブリーまたは当業者には公知の任意の他の膜濾過デバイスを使用して真空下で行われる。一実施形態では、溶媒(例えば、DMF)、グラフェンおよび電気化学的活物質を含む混合物を、均質なフィルムがフィルター上、すなわち、ポリマーセパレーター、例えば、Celgard(登録商標)膜であり得るセパレーター上で形成されるまで真空濾過する。
【0036】
一実施形態では、上記プロセスは、電極-セパレーター要素を乾燥させるステップをさらに含む。一実施形態では、乾燥ステップは、例えば、減圧下で、または当業者には公知の任意の他の乾燥技術によってオーブンにおいて行われる。一実施形態では、乾燥温度は、少なくとも50℃である。例えば、温度は、50℃から80℃の間、好ましくは、概ね60℃であり得る。好ましくは、オーブンは、乾燥プロセスを改善するために真空下にある。別の実施形態では、乾燥温度は、160℃未満または120℃未満である。例えば、温度は、50℃から160℃の間、または50℃から120℃の間、または80℃から160℃の間、または80℃から120℃の間に含まれ得る。
【0037】
別の局面によれば、本技術はまた、本明細書に記載されているプロセスによって生成される可撓性電極-セパレーター要素に関する。可撓性電極-セパレーター要素は、2つの反対の位置にある表面を有するセパレーターを含む。グラフェン、またはグラフェンおよび電気化学的活物質の混合物を含む電極材料層は、セパレーターの表面の1つ上に存在して、電極、例えば、自立電極を形成する。一実施形態では、電極材料層は、集電体としても作用する、グラフェンを含む極めて薄い自立層である。
【0038】
電極-セパレーター要素は、アノード-セパレーターまたはカソード-セパレーター要素であり得る。アノード-セパレーター要素の一例は、ポリマーセパレーター上で濾過され、それによって、ポリマーセパレーターの表面上に層を形成する、グラフェンおよび電気化学的活性アノード材料(例えば、LiTi12)の混合物を含む。ポリマーセパレーターの表面上に位置しているグラフェンおよび電気化学的活性アノード材料層は、アノードとして作用する。カソード-セパレーター要素の一例は、ポリマーセパレーター上で濾過され、それによって、ポリマーセパレーターの表面上で層を形成する、グラフェンおよび電気化学的活性カソード材料(例えば、LiFePOまたは炭素コーティングされたLiFePO)の混合物を含む。ポリマーセパレーターの表面上に位置しているグラフェンおよび電気化学的活性カソード材料層は、ひいてはカソードとして作用する。
【0039】
可撓性金属グリッドまたはプリントされた伝導フィルムはまた、集電体の代わりに、かつさらなるバインダーを添加せずに、セパレーターに対向する電極材料の表面上に使用し得る。
【0040】
別の局面によれば、本技術は、本明細書に定義されているような可撓性電極-セパレーター要素を含む電気化学セルに関する。電気化学セルは、可撓性電極-セパレーター要素、液体電解質またはゲル電解質、および対電極を使用して生成される。対電極は、セパレーターの反対の表面上に塗布される。用語「対電極」は一般に本技術において、グラフェン含有電極と反対の極性の電極を指し示すために使用される。例えば、グラフェン含有電極がアノードである場合、対電極はカソードである。同様に、グラフェン含有電極がカソードであるとき、対電極はアノードである。一実施形態では、電気化学セルは、電極-セパレーター要素をカソード-セパレーターとして、およびリチウムフィルムをアノードとして含み得る。別の実施形態では、電気化学セルは、アノードおよびカソードを含み、これらの両方は、電極-セパレーター要素、例えば、本明細書に記載されているものであり、各セパレーターの自由表面は、もう一方の自由表面に面しており、液体電解質またはゲル電解質を加えて、セパレーターを含浸させる。
【実施例
【0041】
下記の非限定的実施例は例示的であり、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。これらの実施例は、添付の図を参照することによってより良好に理解される。
【0042】
実施例1
電極および電気化学セルの調製
a)グラファイト箔の電気化学的剥離
グラフェン粉末は、グラファイト箔(Alfa Aesar、7.5cm×2cm×0.05cm)の電気化学的剥離によって得た(カナダ特許出願第2,803,772号明細書、National University of Singaporeを参照されたい)。より具体的には、このグラファイト箔は、アノード(DC電源の正端子に接続されている)として使用され、対電極は白金メッシュ(4cm)である。グラファイト箔および対電極の両方を0.1MのHSO電解液に浸漬し、4cmの一定の距離で分離する。2つの電極の間に4V、6V、8Vまたは10VのDC電圧を印加することによって電気化学的剥離を実施した。約1時間の電気分解の後、剥離したグラフェンシートを含有する溶液を、ブフナーアセンブリー、および0.47μmの孔径を有するポリテトラフルオロエチレン(PTFE)メンブランフィルターを使用して真空下で濾過した。次いで、本文書の図面においてEGと称される、得られた剥離したグラフェンの粉末を、Nanopure水で数回洗浄して、残留する酸を除去し、その後、10分間の超音波処理によってN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)中に分散させた。分散物を24時間静置し、静置後の時点で、いくらかの厚いグラファイトのフレークが沈殿していた。分散物の上側部分のみを集めた。得られた材料を5%水素化アルゴン下、1000℃で1時間処理し、その後、下記のようなアノードおよびカソードの作製に使用した。
【0043】
b)可撓性電極-セパレーター要素の調製
本明細書に記載し、かつ図1aにおいて例示する方法によると、80重量%の電気化学的活物質(LiFePO/CまたはLiTi12粉末)を、50mLのDMF(または水)中に分散させ、続いて20重量%の(a)において生成された剥離したグラフェン粉末を添加した。85重量%のLiFePO/Cを使用して、さらなる実験も行った。次いで、溶液を、超音波浴において20分間処理する。グラフェンおよび電気化学的活物質の混合物を、フィルターとしてCelgard(登録商標)-2320セパレーターを使用してブフナーアセンブリーで濾過した。30分後、グラフェンおよび電気化学的活物質混合物を含む層がセパレーター上で形成され、1時間静置し、その後、オーブン中、60℃にて真空下で乾燥させた。乾燥の後、電極-セパレーター要素を切って円形ディスクにした。これらの電極-セパレーター要素は、LFPcelgardおよびLTOcelgard電極と表示する。図2は、Celgard(登録商標)-2320セパレーターを有する薄く均質なLFPcelgard電極の一例を示す。図2bにおいて見ることができるように、電極は、フィルムの分解を伴わずに完全に可撓性であり、これは機械的応力下で無傷のままである。
【0044】
c)アルミ箔上での電極の調製(比較)
LiFePO/C(2~3重量%の炭素)およびLiTi12は、Hydro-Quebec(Montreal、Canada)によって提供された。従来の製造方法(図1bを参照されたい)を使用し、少量の溶媒中で電気化学的活物質を導電性添加物およびバインダーと混合して、懸濁物を得ることからなっていた。この場合、電気化学的活物質(LiFePO/CまたはLiTi12粉末)を、ポリ二フッ化ビニリデン(PVDF)および導電性アセチレンブラックと80:10:10の重量比で混合し、NMP(Alfa Aesar、99%)を溶媒として使用する。次いで、得られた懸濁物を、15μmの厚さを有するアルミ箔上にキャストした。50μm、85μm、185μmまたは235μmの厚さを有する層が形成された。次いで、電極材料層を含むアルミ箔を、80℃にて真空下で24時間乾燥させた。これらの電極は、LFPaluおよびLTOalu電極と表示する。次いで、このように得られた電極を、切って円形ディスクにする。
【0045】
d)電気化学セルの調製
従来のLFPaluおよびLTOalu電極を、組み立て、金属リチウム対電極、Celgard(登録商標)-2320セパレーター、および電解質として炭酸エチレン(EC)/炭酸ジエチル(DEC)/炭酸ジメチル(DMC)混合物(1:1:1の体積比)中のLiPF(1M)溶液を含む2電極電気化学的コインセルにおいて試験した。LFPcelgardおよびLTOcelgard電極は、Celgard(登録商標)-2320膜セパレーターを既に含むため、さらなるCelgard(登録商標)-2320は、これらの電極を含むセルに対して使用しなかった。セルは乾燥アルゴンを充填したグローブボックス中で組み立てた。
【0046】
実施例2
走査型電子顕微鏡による電極の特性決定
セパレーター上に堆積した電極の表面形態の走査型電子顕微鏡(SEM)による特性決定を行って、フィルム中の電気化学的活物質およびグラフェンの良好な分布を検証し、フィルムが、電池におけるサイクル動作の後に溶解することなく無傷のままであったことを立証した。
【0047】
形態学的研究は、Oxford Instruments X-Max 80 EDS検出器を備えたJEOL JSM-7600F走査型電子顕微鏡を用いて行った。
【0048】
図3は、サイクル動作の前(aおよびb)ならびに後(cおよびd)のLFPcelgard電極のSEM画像を提示する。低倍率(図3a)では、フィルムの表面は、グラフェンシート間およびグラフェンシート上の至る所に分散している、数百ナノメートルから1μmの範囲の小さなLiFePO/C粒子から構成される。したがって、本プロセスは、グラフェンおよび電気化学的活物質の良好な分散を有する均一で薄い電極層の調製を可能とする。比較すると、従来の方法で作製した電極は、図10において例示するように高い凝集率を有し、大きなクラスターは、LiFePO/C粒子から構成される。
【0049】
図3に示すように、LFPcelgard電極を調製するためにバインダーを使用しなかったが、カソードは、セルのサイクル動作およびその解体の後に無傷のままであった。図3cは、サイクル動作およびDMCでの洗浄の後の電極表面を示す。サイクル動作の前に電池を密封するために加えた圧力によってフィルムはより平坦であったが、図3dに示すようにより高い拡大率では、表面は、セルの組み立ての前に観察されたものと非常に似ていた。したがって、グラフェンおよびLiFePO/C粒子の両方は、電極材料層の溶解を伴わずに一緒に接続されたままであるようであり、それによって、本方法を使用してLiイオン電池の製造においてバインダーの使用を回避することができるという良好な証拠を提供する。
【0050】
上記のように、走査型電子顕微鏡によるLFPalu電極の特性決定は、図10に示すように、高レベルの凝集を明らかにする。低倍率(図10a)では、ランダムに分散した数マイクロメートルのいくつかのクラスターを電極表面において観察することができる。これらのクラスターは、バインダーと接触しているLiFePO/C凝集物から主に構成されるようである。カソードのこのような不均一性は、下記で説明し、図4および6において例示するようなLFPcelgard電極と比較して乏しい電気化学的性能をもたらす要因の1つである。
【0051】
実施例3
LiFePO電極の電気化学的特性
(a)充電/放電比容量
LFPcelgardおよびLFPalu電極の電気化学的性能を、半セルにおいて比較した。
【0052】
セルを、VMP3ポテンシオスタットでモニタし、開路電圧(OCV)での1時間の静置の後、異なる電流密度でLi/Liに対して2.0Vから4.0Vの間の定電流モードにて充電/放電サイクル動作手順を行った。次いで、C/10~5Cの範囲の各サイクル速度について、10サイクルを記録した。
【0053】
図4は、中程度の荷重の材料を有する、2つのLFPcelgard電極(0.9mg/cmおよび1.3mg/cm)ならびにLFPalu電極についての充電および放電比容量を提示する。低い電流密度(C/10)では、両方の型の電極についての放電容量は同様であり、約140mAh/gであった。このサイクル速度では、LFPcelgard電極についてのクーロン効率は、LFPalu電極の効率より低かった。これは、両方の型の電極において使用される異なる型の炭素に起因し得る。サイクル速度がC/2に増加したとき、より低い荷重(0.9mg/cm)を有するLFPcelgard電極については、放電容量は安定的なままであり、より高い荷重のLFPcelgard電極については僅かに減少したが、従来の方法によって製造された電極については、著しく減少して110mAh/gに達した。より高い容量は、2C速度でサイクル動作するLFPcelgard電極(0.9mg/cm)について得られた。LFPalu電極では、5Cのより高いサイクル速度で、最初の放電容量の15%だけが回収された。10Cまでの速度でかつより高い荷重を伴ってサイクル動作するとき、LFPcelgard電極についてより高い容量保持がまた得られた。このような改善は、テフロン(登録商標)加工されたアセチレンブラックバインダーを使用して、ナノ構造のグラフェンでカプセル化したLiFePOハイブリッドを使用して生成された電極に対して観察された(Praneethaら、RSC Adv.、2013年、3巻、25403~25409頁)。
【0054】
図11において例示するように、電極質量の最大で20重量%に相当するグラフェンは、LFPcelgard電極の比容量に有意に寄与しなかった。実際に、5mAh/g未満の容量は、Li/Liに対して同じ電位窓、すなわち、2Vから4Vの間において自立グラフェン電極をサイクル動作させることによって得られた(図11を参照されたい)。より具体的には、図11は、Li/Liに対して開路電圧(OCV)から4Vの間の、50mA/gでサイクル動作する自立グラフェン電極についての第1の定電流充電を示す。
【0055】
電極の重量に基づいて15重量%のグラフェンを含有するグラフェンをベースとする電極(LFPcelgard)についての充電および放電比容量を図5に示す。20重量%および15重量%のグラフェンを含有するLFPcelgard電極についての電気化学的性能は、高いサイクル速度においてさえ同様であった。この実験は、グラフェンの荷重を15重量%に低減させることができることを実証する。さらに、フィルムの機械抵抗は、有意に影響を受けなかった。より低いグラフェン含量(≦10重量%)は、フィルムについてより低い機械抵抗を示す。
【0056】
これらの結果は、バインダーを使用せずに複合電極を容易に製造する可能性を実証し、良好な電気化学的性能を提示する。SEM画像は、グラフェンおよびLiFePO/C粒子の間の良好な電気接触、および電気化学的活物質の大きな凝集物が存在しないことを示唆し、これは、特に、より高いサイクル速度で優れたサイクル動作性能をもたらす。
【0057】
(b)インピーダンスおよび伝導性
電気化学的インピーダンス分光法測定を、LFPcelgard(20重量%のグラフェン)およびLFPalu電極について行った。図6において提示するナイキストプロットは、高周波数において実軸上に切片を示し、これは電解質の抵抗に起因する。同じ電解質を同じ量で使用したため、この抵抗についての値は非常に類似していた。高-中周波数領域における半円が両方の電極に対して観察され、Zre軸上の直径は、電極/電解質界面によって電荷移動抵抗と概ね等しい(Delaporteら、ACS Appl. Mater. Interfaces、2015年、7巻、18519~18529頁)。これらの電気化学的インピーダンス分光法測定は、LFPcelgard電極(150Ω)と比較してLFPalu電極について電荷移動抵抗はより高い(410Ω)ため、図4において提示する定電流サイクル動作性能と一致した。LFPcelgard電極についてのインピーダンスの減少は、電極材料におけるLiFePO/C粒子およびグラフェンシートの間のより良好な電気接触、ならびに複合電極における電気化学的活物質のより均一な分布に起因した。
【0058】
実際、下記の表1において報告する電子伝導性測定は、LFPalu電極よりLFPcelgard電極の場合にそれが一桁高かったことを示す。さらに、2つのLFPcelgard電極についての値は、9%未満の変動で非常に類似した値であった。対照的に、LFPalu電極について、伝導性の変動は、より重大(25%)であった。この挙動はおそらく、Celgard(登録商標)セパレーター上に形成される電極材料層の改善された均一性に起因しており、材料はより小さな数の凝集物から構成される。
【0059】
【表1】
【0060】
LFPcelgardおよびLFPalu電極の伝導性は、DC精密電流源(Keithley6220TM、Signatone)を使用して4ポイントプローブ測定によって決定した。アルミニウム集電体の寄与を回避するために、LFPalu電極を調製するために使用されるインクを、スライドガラス上にキャストした。LFPcelgard電極について、伝導性は、Celgard(登録商標)膜上に形成された電極材料層上で直接測定した。DC電流-電圧電位走査は、100mV/sで記録し、直線的応答を生じさせた。カソードの電気伝導性を、下記のように計算した。
【数1】
式中、σは、電気伝導性(S/cm)であり、Rは、電流-電圧(I-V)曲線の逆スロープから決定したフィルム抵抗(Ω平方)であり、eは、フィルム厚さ(cm)である。
【0061】
実施例4
LiTi12電極の電気化学的特性
LTOcelgardおよびLTOalu電極の電気化学的性能を、半セルにおいて比較した。
【0062】
セルを、VMP3ポテンシオスタットで制御し、開路電圧(OCV)での1時間の静置の後、異なる電流密度でLi/Liに対して1.2Vから1.9Vの間の定電流モードにて充電/放電サイクル動作手順を行った。その後、C/10~5Cの範囲の各サイクル速度について、10サイクルを記録した。
【0063】
コーティングしていないLTO電極を、従来の方法(LTOalu)および本方法(LTOcelgard)を使用して実施例1において記載するように調製した。これらの電極の充電および放電比容量を、図7において提示する。0.9mg/cm、1.8mg/cm、2.7mg/cmおよび3.6mg/cmの荷重を伴う4つのLTOcelgard電極を試験した。
【0064】
LFPcelgardおよびLFPalu電極について図4において上記で観察されたものと同様に、低いC速度で、両方の方法によって同様の比容量が観察された。しかし、電極がC/2の電流でサイクル動作したとき、重大な容量減退が観察された。これは、コーティングされていないLTOの低い電子伝導性によるものである(Doiら)。より高い電流密度では、LiFePO電極に対して観察されたように、LTOcelgard電極の電気化学的性能は、LTOalu電極のそれより優れていた(図4および6を参照されたい)。したがって、本方法は、電気化学的性能に影響を与えることなく高い荷重を伴う電極を提供することができる。実際に、図7において示すように、LTOcelgard電極荷重を4倍に増加させることは、充電および放電比容量に悪影響を与えなかった。
【0065】
実施例5
LFPcelgard/LTOcelgard電池の電気化学的特性
LFP/LTO重量比=1のLFPcelgard/LTOcelgardセルもまた、C/10から5Cの範囲の異なるサイクル速度にて1.0Vから2.5Vの間で試験した。10mVの振幅および200kHz~0.01Hzの周波数範囲で電気化学的インピーダンス測定を行った。C/2速度での充電/放電の5サイクルの後、およびOCVでの4時間の後、電気化学的インピーダンス測定をそれぞれ行った。全ての電極を、電極の材料または厚さに依存して0.9~3.6mg/cmの範囲の重量荷重を有する円形ディスク(面積=1.767cm)に切った。
【0066】
LFPcelgardおよびLTOcelgard電極を組み合わせ(Celgard(登録商標)表面は互いに向き合っている)、完全なLiイオン電池を調製した。LTOアノードは脱リチオ化状態であり、3個のリチウムイオンを理論的に挿入することができた。セルについての反応を、下記の等式1によって示す。
3LiFePO4+Li4Ti5O12→3FePO4+Li7Ti5O12 (等式1)
【0067】
LTO電極の理論的容量(175mAh/g)(Zaghibら、J. Power Sources、1999年、81~82巻、300~305頁)は、LFP電極のそれ(170mAh/g)より僅かに高いため、1に近いLFP/LTO重量比をセルに使用した。図8aは、半セルにおいてC/10で金属Liに対してサイクル動作させた、LFPcelgardおよびLTOcelgard電極についての充電/放電プロファイルを示す。両方の電極についての実験上の比容量は、Liイオンセル、特に、研究型のセル、例えば、コインセルまたはパウチセルなどの様々な制限に起因して理論的容量より低い。LFPおよびLTO電極は、それぞれ、Li/Liに対して3.4Vおよび1.55Vで起こる二相反応によって平らなプラトーを提示する(Colbowら、J. Power Sources、1989年、26巻、397頁)。図8bは、その充電/放電プロファイルを図8aにおいて提示する電極を用いて製造した完全なLFPcelgard/LTOcelgardセルについての1.9Vの典型的な充電/放電プラトーを示す(Zaghibら、J. Power Sources、2014年)。125mAh/gの放電容量は、LTOcelgard電極のそれと非常に似ており、このことによって、この場合の電池全体の容量が限定されるようである。
【0068】
完全なLFPcelgard/LTOcelgard電池の充電および放電比容量を、図9に示す。それぞれの印可された電流についての比容量は、図7において提示するLTO電極のそれと同じ範囲内であった。したがって、この場合、電気化学的性能は、LTOアノードによって限定されるようである。例えば、5Cで、LFPcelgard電極についての比容量(図4を参照されたい)は、概ね80mAh/gであり、一方、LTOcelgard電極(図7)またはLFPcelgard/LTOcelgard電池(図9)については、40mAh/gに達したのみであった。
【0069】
概して、本明細書に記載されている可撓性電極-セパレーター要素を生成するプロセスは、グラフェンをLiイオン電池の製造において添加物としてかつバインダーとして使用することができることを実証する。このプロセスは、重く不活性なアルミ箔集電体の使用だけでなくバインダーおよび有毒な溶媒の使用も回避する可能性を示した。電極フィルムを、電池セパレーター上で直接形成させた。電極はまた可撓性であり、良好な機械抵抗を示す。共に本技術で製造したカソードおよびアノードの組み立ては、このように可撓性Liイオン電池の作製を可能とする。本プロセスのLiFePO/CおよびLiTi12電極と、従来の方法によって調製したものとの間の電気化学的性能の比較は、バインダーが存在しないことおよび導電性グラフェンの使用が改善された性能をもたらしたことを示している。さらに、アノードおよびカソードの両方が本プロセスによって製造されるLiFePO/LiTi12電池は、サイクル動作の間に優れた安定性を示している。
【0070】
本プロセスにおいて、懸濁物の調製のための成分(導電性添加物、バインダー、アノード/カソード材料)の細砕および混合のステップは、電池セパレーター(例えば、Celgard(登録商標))上に直接形成される薄く均質なフィルムをもたらす単一のステップで置き換えられる。このプロセスはまた、それがアルミニウム集電体の使用を回避するので、デバイスに関してエネルギー密度の増加を可能とし、アルミニウム集電体は、通常、それ自体で電極の総重量に対してほぼ50%に相当する。極めて薄い自立グラフェン層を伴う場合、可撓性金属グリッドまたはプリントされた伝導フィルム(Wuら、Energy Storage Materials、2015年、1巻、119~126頁)を集電体として使用し得ることを当業者は認識する。バインダーも集電体も必要なく、したがって電池の製造コストを相当低減させる。さらに、上記プロセスは、非常に急速で単純であり、これはまたより低いコストをもたらす。有毒でコストのかかるNMP溶媒は、非常により低い乾燥温度を有するより高価でない溶媒(例えば、DMFまたはアルコール、また水など)で置き換えられ、より環境に優しいプロセスがもたらされる。
【0071】
多数の改変を、本発明の範囲から逸脱することなしに上記の実施形態のいずれか1つに行うことができる。本明細書において参照される任意の特許、参考文献、または学術文献は、その全内容があらゆる目的で参照により本明細書に組み込まれる。
本発明の好ましい実施形態によれば、例えば、以下が提供される。
(項1)
セパレーター上にグラフェンを含む電極材料を含む可撓性電極-セパレーター要素を生成するプロセスであって、前記プロセスが、
a)グラフェン粉末、および任意で電気化学的活物質を溶媒と混合して、懸濁物を形成させるステップと;
b)a)において得られた前記懸濁物を前記セパレーター上に塗布して、前記セパレーターの表面上の電極材料層を得るステップと;
c)前記溶媒を除去して、前記可撓性電極-セパレーター要素を得るステップと
を含む、プロセス。
(項2)
ステップ(b)が、前記セパレーター上に前記懸濁物をコーティングするステップを含む、上記項1に記載のプロセス。
(項3)
ステップ(b)および(c)が、(a)において得られた前記懸濁物を、前記セパレーターを通して濾過して、前記セパレーターの表面上の電極材料層を得、これを任意で乾燥させて、前記電極-セパレーター要素を得るステップを含む、上記項1または2に記載のプロセス。
(項4)
前記グラフェン粉末が、グラファイト箔の剥離によって得られる、上記項1から3のいずれか一項に記載のプロセス。
(項5)
前記懸濁物が、電気化学的活物質を含む、上記項1から4のいずれか一項に記載のプロセス。
(項6)
前記電気化学的活物質が、TiO 、Li TiO 、Li Ti 12 、H Ti 11 およびH Ti 、またはこれらの組合せ、LiM’PO (式中、M’は、Fe、Ni、Mn、Co、またはこれらの組合せである)、LiV 、V 、LiMn 、LiM’’O (式中、M’’は、Mn、Co、Ni、またはこれらの組合せである)、Li(NiM’’’)O (式中、M’’’は、Mn、Co、Al、Fe、Cr、Ti、またはZrである)、ならびにこれらの組合せから選択される、上記項5に記載のプロセス。
(項7)
前記電気化学的活物質が、リチウムチタン酸塩またはリチウム金属リン酸塩である、上記項5に記載のプロセス。
(項8)
前記電気化学的活物質が、Li Ti 12 、LiFePO 、または炭素コーティングされたLiFePO である、上記項7に記載のプロセス。
(項9)
前記電極材料が、少なくとも10重量%のグラフェンを含む、上記項1から8のいずれか一項に記載のプロセス。
(項10)
前記電極材料が、約10重量%から約30重量%の間のグラフェンを含む、上記項9に記載のプロセス。
(項11)
前記電極材料が、約15重量%~約20重量%のグラフェンを含む、上記項9に記載のプロセス。
(項12)
前記電極材料が、約20重量%のグラフェンを含む、上記項9に記載のプロセス。
(項13)
前記溶媒が、N,N-ジメチルホルムアミド、水、アルコールまたはこれらの混合物である、上記項1から12のいずれか一項に記載のプロセス。
(項14)
前記混合ステップが、超音波浴において前記懸濁物を処理することをさらに含む、上記項1から13のいずれか一項に記載のプロセス。
(項15)
前記セパレーターが、ポリマーセパレーターである、上記項1から14のいずれか一項に記載のプロセス。
(項16)
前記ポリマーセパレーターが、ポリプロピレン、ポリエチレンまたはこれらの組合せの少なくとも1層を含む、上記項15に記載のプロセス。
(項17)
前記ポリマーセパレーターが、ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレン三重層セパレーターである、上記項16に記載のプロセス。
(項18)
ステップ(c)が、乾燥ステップを含み、前記乾燥が、少なくとも50℃の温度で行われる、上記項1から17のいずれか一項に記載のプロセス。
(項19)
ステップ(c)が、乾燥ステップを含み、前記乾燥が、最大で160℃または最大で120℃の温度で行われる、上記項1から18のいずれか一項に記載のプロセス。
(項20)
前記温度が、50℃~80℃の範囲内である、上記項18に記載のプロセス。
(項21)
前記温度が、約60℃である、上記項20に記載のプロセス。
(項22)
ステップ(c)が、乾燥ステップを含み、前記乾燥が、真空下で行われる、上記項1から21のいずれか一項に記載のプロセス。
(項23)
上記項1から22のいずれか一項に記載のプロセスによって生成される、可撓性電極-セパレーター要素。
(項24)
セパレーター上にグラフェン粉末、および任意で電気化学的活物質を含む自立電極材料を含む、可撓性電極-セパレーター要素であって、前記電極材料がバインダーを有さない、可撓性電極-セパレーター要素。
(項25)
上記項23または24に記載の可撓性電極-セパレーター要素、液体電解質またはゲル電解質、および対電極を含む、電気化学セル。
(項26)
アノード、カソードおよび液体電解質またはゲル電解質を含む電気化学セルであって、前記アノードおよび前記カソードのそれぞれが、上記項23または24に記載の可撓性電極-セパレーター要素である、電気化学セル。
(項27)
電気自動車もしくはハイブリッド自動車、またはITデバイスにおける、上記項25または26に記載の電気化学セルの使用。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11