(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-16
(45)【発行日】2022-09-28
(54)【発明の名称】可動要素を調整するためのアクチュエータ、使用方法、及び調整方法
(51)【国際特許分類】
G02B 21/06 20060101AFI20220920BHJP
G02B 7/198 20210101ALI20220920BHJP
G02B 7/00 20210101ALN20220920BHJP
【FI】
G02B21/06
G02B7/198
G02B7/00 B
(21)【出願番号】P 2019516580
(86)(22)【出願日】2017-09-27
(86)【国際出願番号】 EP2017074450
(87)【国際公開番号】W WO2018060223
(87)【国際公開日】2018-04-05
【審査請求日】2020-07-31
(31)【優先権主張番号】102016219055.5
(32)【優先日】2016-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】506151659
【氏名又は名称】カール ツァイス マイクロスコピー ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】CARL ZEISS MICROSCOPY GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】リートケ、ミルコ
(72)【発明者】
【氏名】カオフホルト、トビアス
(72)【発明者】
【氏名】ティッシャー、フランツィスカ
【審査官】瀬戸 息吹
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-095775(JP,A)
【文献】特開平11-225284(JP,A)
【文献】特表2009-531729(JP,A)
【文献】特開2012-042982(JP,A)
【文献】特開2005-313588(JP,A)
【文献】特開2002-277755(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0284475(US,A1)
【文献】特開平09-127398(JP,A)
【文献】特表2014-534462(JP,A)
【文献】特開2009-128726(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/00
G02B 7/18 - 7/24
G02B 7/02 - 7/16
G02B 19/00 - 21/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学構成(2)のビーム経路内においてセンサ要素を含む移動される要素(6)の作動のための移動を生じさせるアクチュエータ(1)であって、
前記移動される要素(6)と、キャリア(5)と、第1の形状記憶合金(SMA)要素と、第2のSMA要素とを備え、
前記第1のSMA要素及び前記第2のSMA要素は、前記移動される要素(6)に接続され、且つ前記キャリア(5)上に支持されるように構成され、それにより、複数の有向の力効果(F)は、前記第1のSMA要素及び前記第2のSMA要素の異なる方向への範囲の変化に基づいて、前記移動される要素(6)と前記キャリア(5)との間に生成されて前記移動される要素を前記センサ要素の一部に対応する距離だけ前記光学構成の光軸と交差する方向又は前記光学構成の光軸に沿った方向に移動さ
せ、
前記第1及び第2のSMA要素(7.1~7.4)は、前記第1及び第2のSMA要素(7.1~7.4)のそれぞれの有向の力効果(F)が少なくとも部品において相互に対して反対方向に向けられるように配置される、アクチュエータ(1)。
【請求項2】
前記第1及び第2のSMA要素(7.1~7.4)の少なくとも1つは、前記移動される要素(6)に間接的に接続されることを特徴とする請求項
1に記載のアクチュエータ(1)。
【請求項3】
前記第1及び第2のSMA要素(7.1、7.4)の少なくとも1つは、前記移動される要素(6)に直接的に接続されることを特徴とする請求項1
又は2に記載のアクチュエータ(1)。
【請求項4】
前記移動される要素(6)は、少なくとも1つの固定ベアリング(15)に接続されることを特徴とする請求項1~
3の何れか一項に記載のアクチュエータ(1)。
【請求項5】
請求項1~
4の何れか一項に記載のアクチュエータ(1)を含むフレクシャベアリング(12)。
【請求項6】
請求項1に記載のアクチュエータ(1)を含む対物レンズ(19)。
【請求項7】
複数のセンサ要素を含むセンサ(11)を含む移動される要素(6)の作動のための移動を生じさせるための装置であって、
請求項1~
4の何れか一項に記載のアクチュエータ(1)と、
現在の空間座標を評価する評価ユニット(9)と、
評価された前記現在の空間座標に応じて制御コマンドを生成する制御ユニット(10)と、を備える装置。
【請求項8】
複数のセンサ要素を含むセンサ(11)を含む移動される要素(6)の作動のための移動を生じさせるための方法であって、請求項1~
3の何れか一項に記載のアクチュエータ(1)によって前記作動のための移動を生じさせることを備える方法。
【請求項9】
複数のセンサ要素(11.n)を含むセンサ(11)のセンサ要素(11.n)の範囲の一部の分だけの作動のための移動を生じさせるための方法であって、請求項1~
3の何れか一項に記載のアクチュエータ(1)によって前記作動のための移動を生じさせることを備える方法。
【請求項10】
移動される要素(6)の作動のための移動を生じさせるための方法であって、
前記移動される要素(6)を、請求項1~
4の何れか一項に記載のアクチュエータ(1)によって所期の位置における所定の位置に移動させるステップと、
前記移動される要素(6)を、硬化されておらず且つ可逆的に硬化可能な固定材料(22)によって前記所期の位置に固定するステップと、を備え
前記硬化されていない固定材料(22)は、硬化された状態に変換される、方法。
【請求項11】
実際の位置にあり、且つ前記可逆的に硬化された固定材料(22)によって固定されている移動される要素(6)は、前記固定材料(22)が前記硬化されていない状態に変換された後に前記所期の位置における所定の位置に移動されることを特徴とする請求項
10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学構成のビーム経路内において、移動される要素を調整するためのアクチュエータ及び装置に関する。さらに、本発明は、調整用ドライブの使用方法及び調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特に光学構成内において、移動される要素を調整するために、モータ、ピエゾドライブ、又は他のソレノイドを使用することが知られている。これらは、顕微鏡等の(一部)自動化された光学構成内で移動を行うためにも使用され得る。そのため、例えば、焦点又は倍率が変更され、又はフィルタが交換され得る。
【0003】
特定の合金(形状記憶合金、SMA)が加熱された後にその当初の形態に復元する能力は、以前から知られている。このプロセス中に発生する力は、目標を定めた方法で可動要素を位置決めするのに適している。
【0004】
第一の手法は、特許文献1に既に記載されており、カメラ付き携帯電話において移動を生じさせるために実施されている。特許文献1は、特にSMA作動装置のための制御システムを開示している。SMA作動装置は、SMAアクチュエータを有し、これは、熱の効果によって収縮すると可動部品の移動を生じさせる。制御システムは、電流源を含む。SMAアクチュエータは、SMAアクチュエータに流れる電流によって加熱される。さらに、SMAアクチュエータの電気抵抗を検出するための検出回路と、電流源を制御するためのコントローラとが存在する。SMAアクチュエータがコントローラによって加熱される一方、SMAアクチュエータの電気抵抗がモニタされる。可動部品の位置が捕捉され、その位置に応じてSMAアクチュエータが更に加熱又は冷却されて可動部品の位置を設定する。アクチュエータの正確な位置決めは、形状記憶金属で製作された複数のワイヤの対向する配置によって可能である。同時に、現在位置は、使用されるワイヤの抵抗測定によって推定され得る。
【0005】
特許文献2には、形状記憶合金(SMA : shape memory alloy)に基づくアクチュエータが記載されている。このアクチュエータは、キャリアと、移動される要素と、キャリアと移動される要素との間の複数の弾性接続要素を備える保持装置とを含む。移動される要素は、保持要素の効果の結果として軸に沿って案内される。ワイヤの形態の少なくとも1つのSMA要素は、その長さが変わると、移動される要素に力を加える。
【0006】
特許文献3は、ワイヤの形態の4つのSMA要素と、キャリアと、移動される要素とを含むアクチュエータを開示している。各SMA要素について、一方の端は、キャリアに接続され、他方の端は、移動される要素に接続される。SMA要素によって生成される複数の力効果は、相互に対抗するように存在する。移動される要素は、目標を定めてSMA要素の長さを変更することにより、XY平面内で位置決めすることができる。
【0007】
特許文献4は、カメラレンズを移動させるためのアクチュエータに関する。アクチュエータは、キャリアと、カメラレンズと、カメラレンズの移動をその光軸に沿って案内する保持装置と、少なくとも1つの対のSMA要素とを含む。これは、カメラレンズとキャリアとの間に引張応力を受けた状態で配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】欧州特許第2140138号明細書
【文献】米国特許第8441749号明細書
【文献】国際公開第2013/121225号パンフレット
【文献】国際公開第2007/113478号パンフレット
【発明の概要】
【0009】
本発明は、別のアクチュエータ及び/又は先行技術を改良したアクチュエータを提供するという目的に基づく。さらに、本発明は、アクチュエータを利用する新たな装置、使用方法、及び方法を明示するという目的に基づく。
【0010】
アクチュエータに関して、目的は、特許請求の範囲の独立請求項1の主題によって達成される。装置に関して、目的は、請求項9の主題によって達成される。使用方法及び方法に関して、目的は、それぞれ請求項10~12並びに13及び14の主題によって達成される。
【0011】
有利な発展形態は、従属請求項の主題である。
目的は、作動のための移動を生じさせ、且つ移動される要素を光学構成のビーム経路内の所定の位置に移動させるためのアクチュエータによって達成される。アクチュエータは、移動される要素と、キャリアと、少なくとも1つのSMA要素とを含み、SMA要素は、移動される要素に接続され、且つキャリア上に支持されるように実装される。SMA要素の範囲が変化する場合、有向の力効果は、移動される要素とキャリアとの間に生成される。
【0012】
移動される要素の所定の位置への移動は、作動のための移動を生じさせることによって実現され、その結果、例えば、移動される要素は、所望の位置へ及び/又は所望の向き若しくは相対向きに移動する(所定の位置に移動する)。
【0013】
以下において、所定の位置への移動は、移動される要素を所期の位置、光軸に対して、及び/又はアクチュエータ若しくはアクチュエータを含む装置の他の要素に対して調整する可能性も意味すると理解される。調整は、作動のための移動の実現の可能性と考えられる。調整は、1回、複数回、又は連続的に実行され得る。
【0014】
本説明では、SMA要素は、実質的に形状記憶材料からなる要素と理解される。形状記憶材料は、形状記憶合金又は形状記憶ポリマ、すなわちSMP、及びそれらの組合せであり得る。さらに、形状記憶材料は、米国特許第7,591,834B2号明細書に記載されている材料であり得る。
【0015】
SMA要素と移動される要素との間の接続は、圧力嵌め、インターロッキング、及び/又は粘着接続によって実現できる。さらに、このような接続は、SMA要素が、移動される要素の上の少なくともその範囲の一部にわたって設置され、及び/又はSMA要素が、移動される要素を通るように案内され、機械的に移動される要素と相互作用する実施形態を意味すると理解される。
【0016】
SMA要素は、拘束されていない端を有するか、又はキャリアと圧力嵌め若しくは粘着接着されていない部分を有する状態でキャリア上に支持され得る。別の実施形態において、SMA要素は、キャリアに取り外し可能又は取り外し不能に接続され得る。
【0017】
例えば、接続は、ねじ接続、クランプ接続、又はプラグイン接続等、取り外し可能な接続、特に圧力嵌め及び/又はインターロッキング接続である。別の実施形態において、接続は、接着剤による結合接続、溶接接続、鋳造接続、又はプレスフィット接続等、取り外し不能な圧力嵌め、インターロッキング、及び/又は粘着接続であり得る。
【0018】
アクチュエータの1つの可能な実施形態において、SMA要素は、軸の周囲にらせん状に配置され、それにより、SMA要素のその長さ方向の範囲が変化する場合、有向の力効果が軸方向に、特に軸に沿って発生し、及び/又は軸の周囲のアクチュエータの回転が発生する。
【0019】
ここで、軸は、例えば、移動される要素の長さ方向軸であり得る。別の実施形態において、軸は、例えば、移動される要素に接続された別の構造の体軸である。このような場合、SMA要素と移動される要素との間に間接的な接続を形成することができる。
【0020】
別の実施形態において、少なくとも1つのSMA要素が軸の周囲にらせん状に配置される。2つ以上のSMA要素が軸の周囲にらせん状に配置される場合、前記SMA要素は、有利には、同じ構成を有する。移動される要素の移動を生じさせるために少なくとも2つのSMA要素が同時に同じ方向で使用される場合、SMA要素の同様の構成又は同じ構成がその作動において有利であり、なぜなら、制御パラメータをすべてのSMA要素について略同じ又は全く同じとなるように選択できるからである。
【0021】
このような実施形態の利点は、必要な空間が小さくて済むこと及びアクチュエータを堅牢に実現できることである。例えば、このような実施形態は、光軸に沿って光学レンズを移動させるために有益である。
【0022】
長い耐用年数を得るために、特に形状記憶材料で製作されたワイヤの形態のSMA要素は、1~2%より大きく引き伸ばされるべきではない。それでも十分な移動を得るために、比較的長さの長いワイヤを常に利用できるようにする。特に回転対称の部品における応用により、ワイヤの巻上げ及び緩和を繰り返すことができ、したがって省スペースの構成となる。
【0023】
摺動用コーティング、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含むコーティングがSMA要素に、例えば軸の周囲の本体に同軸状に、及び/又はSMA要素と本体との間に配置された摺動要素に適用される場合、発生する摩擦損失が低く保たれ得る。追加的又は代替的な実施形態において、SMA要素と本体との間の摩擦は、例えば、ローラ、ボール、又は研磨表面の形態の適当なベアリングによって軽減できる。
【0024】
アクチュエータの別の実施形態においてSMA要素が反対方向に動作する場合、少なくとも1つのSMA要素の力効果は、少なくとも1つの別のSMA要素の力効果によって部分的に補償され、その結果、所望の位置を越えて駆動されることを大幅に回避できる。
【0025】
反対方向に動作するSMA要素の代わりに又はSMA要素に加えて、少なくとも1つのSMA要素に対する拮抗力として作用する少なくとも1つのばね要素が提供され得る。
別の実施形態において、アクチュエータは、少なくとも2つのSMA要素を有することができ、少なくとも2つのSMA要素は、そのそれぞれの有向の力効果が少なくとも部分的に相互に対して向けられるように配置される。これらは、軸の周囲にらせん状に配置された少なくとも2つのSMA要素及び/又は例えば直線的な範囲で配置されたSMA要素であり得る。
【0026】
例えば、SMA要素は、移動される要素の対向する点に間接的又は直接的に接続できる。
対向するSMA要素は、好ましくは、反対方向に動作する。例えば、SMA要素の一方に収縮が起こった場合、補償として対向するSMA要素が伸長する。
【0027】
アクチュエータの別の実施形態において、らせん状に配置されたSMA要素及び直線的に配置された要素が組み合わされ、その結果、アクチュエータのより大きい設計自由度と、移動される要素の追加的な移動自由度とが得られる。
【0028】
前述のように、SMA要素は、移動される要素に間接的に接続され得る。例えば、別の構造が、移動される要素に形成されるか又は取り付けられ得る。SMA要素は、移動される要素にトランスミッションによっても有効に連結され得る。間接的な接続により、個別の部品の交換が容易となり、摩耗が減少する。
【0029】
アクチュエータの別の実施形態において、SMA要素は、移動される要素に直接接続され、例えばその要素にねじ留め、クランプ留め、又は接着剤で結合される。
直接接続の利点は、構成が単純化され、ほとんどスペースを必要としないことである。
【0030】
アクチュエータの別の実施形態の選択肢において、移動される要素は、少なくとも1つの固定ベアリングに接続される。ここで、移動される要素は、少なくとも1つのSMA要素、有利には少なくとも2つのSMA要素の動作の結果として、固定ベアリングの周囲で旋回可能及び/又は回転可能である。SMA要素が適当に配置された場合、移動される要素は、平面内又は空間内において固定ベアリングの周囲で旋回可能及び/又は回転可能である。
【0031】
上述の実施形態の選択肢の何れか1つによるアクチュエータは、フレクシャベアリングを含む装置内に存在し得る。例えば、移動される要素は、フレクシャベアリングの一部である。
【0032】
アクチュエータは、対物レンズ内において、その中で光学要素、例えば光学レンズを移動させるために配置できる。例えば、対物レンズは、シネマレンズ、カメラレンズ、眼鏡照準具、携帯用双眼鏡、及び/又は携帯用単眼鏡であり得る。
【0033】
アクチュエータを備える対物レンズにより、過去にその実装に対して非常に高い要求を課していた技術的問題が解決される。
先行技術によれば、光学部品の内部、例えば対物レンズ又は他の光学アセンブリ内の移動は、これまで例えば光学部品から外部に移動され、電気モータによって動作するドライブによってもたらされていた。
【0034】
アクチュエータが組み込まれた実施形態により、有利には、例えば多くのスペースを必要とする光学部品の実施形態が避けられる。さらに、本発明によるアクチュエータによって生成可能な作動力は、例えば、小型のピエゾドライブによって達成されるものより大きい。
【0035】
本発明の主題は、例えば、移動される要素を調整するために、移動される要素をアクチュエータによって所定の位置に移動させる装置にさらに関する。ここで、移動される要素は、ピンホールを含むことができ、ピンホールは、例えば、穴又はスロット等の開口である。特に、ピンホールは、光学構成、例えば共焦点顕微鏡のピンホールであり得る。
【0036】
別の実施形態において、移動される要素はセンサ及び/又は補正ミラーとすることができる。移動される要素は、1つ又は複数のレンズ、絞り、及び/又はプリズムシステム、特に偏向システムでもあり得る。また、例えば各々がアルバレスプレート(Alvarez plate)として具体化され、相互に関して移動されるべきである少なくとも2つの移動される要素が存在することも可能である。
【0037】
アルバレスプレートの移動は、特に、厳しく制約された据付けスペース内での非常に精密な移動を必要とする。
XY平面内の移動に加えて、回転方向の調整及び回転方向への作動のための移動も、適切に構成及び配置された、例えば移動される要素をワイヤの形態で取り囲むように案内されるベアリング及びSMA要素によって可能となる。
【0038】
移動される要素を所定の位置に移動させる装置は、移動される要素及び/又はSMA要素の空間内の座標と相対的な空間内の向きとを含む、現在の空間座標を評価するための評価ユニットを含む。さらに、評価された現在の空間座標に応じて制御コマンドを生成するための制御ユニットも存在する。例えば、空間座標は、例えば、移動される要素と、光学構成、例えば顕微鏡、測定器具、手術若しくは治療方法に使用される機器、照明装置、又は暴露装置の現在のビーム経路のプロファイルとの二次元座標、及び/又は空間内の座標、及び/又は相対的な空間内の向きであり得る。
【0039】
このような装置は、複数のセンサ要素を含むセンサを移動させるためにも使用され得る。ここで、センサは、センサ要素の範囲の一部(ピクセル間隔の一部、サブピクセル範囲)の分だけ移動させることができる。適切に移動されたセンサにより、少なくとも2つの画像が記録され、計算によって合成される。この概念は、「センサシフト」としても知られ、例えば色認識を改善するため及び/又は画像解像度を増大させるために役立つ。このような場合、センサは、例えば、カメラセンサ、例えばCCD又はCMOSチップである。そのため、X軸の方向及びY軸の方向に移動されたセンサ要素(ピクセル)は、センサ要素の例えば隙間に関するデータを供給し、このデータは、ソフトウェアによって重畳、計算、及び出力され得る。
【0040】
装置及び/又はアクチュエータは、格子を光学部品、例えば対物レンズ、若しくは光学構成のビーム経路内へ横方向に付勢するため、及び/又はビーム経路内で前記格子を調整するためにも使用され得る。顕微鏡の解像度は、このような格子により、物体の構造化照明によって高めることができる。
【0041】
アクチュエータ及び装置は、あらゆる種類の顕微鏡システム等の光学構成、例えばレーザ走査型顕微鏡、電子顕微鏡、及び広視野顕微鏡において使用され得る。
光学構成は、同じ実施形態又は異なる実施形態における本発明による複数のアクチュエータを有することができる。
【0042】
移動される要素を所定の位置に移動させるための装置により、例えば、アクチュエータが、移動される1つ又は複数の要素を補正のために調整する可能性が明示される。必要な位置決めのための移動は、半径方向、軸方向、及び回転方向にも実施できる。
【0043】
有利には、アクチュエータを光学部品の外部に移動させることが回避されている。光学部品に例えば培養構造の結果としてアクセスできない場合、先行技術による調整は、外部からモータによって駆動しなければならないが、本発明による、移動される要素を所定の位置に移動させる装置では、光学部品の内部での駆動が可能となる。
【0044】
有利には、その内部での駆動が可能なこれらの光学部品は、湿度又は腐食性媒質等の環境影響をより受けにくい。さらに、これらの光学部品は、外部にドライブが位置付けられる光学部品よりもクリーニングしやすく、必要な据付けスペースがより少なくて済む。
【0045】
アクチュエータは、対物レンズの部品を所定の位置に移動させるために使用され得る。このアクチュエータは、ピンホール、絞り、又は補正ミラーを含む、移動される要素を調整するためにも使用され得る。アクチュエータの他の可能な用途は、少なくとも2つのアルバレスプレートを相互に関して調整することにある。
【0046】
アクチュエータ及び/又は調整装置は、センサを調整するために使用され得る。
センサを所定の位置に移動させる方法において、センサは、複数のセンサ要素を含み、センサは、アクチュエータによって制御された方法で移動される。この方法を実行する際、光学構成内に存在するセンサの実際の測定値は、取得され、且つ実際の測定値を所期の測定値と比較することによって評価される。制御コマンドは、比較の結果に応じて生成される。
【0047】
例えば、測定値は、SMA要素の抵抗測定によって取得可能である。
アクチュエータの別の実施形態において、光学構成、例えば顕微鏡内の位置、補正値、又は他の光学パラメータを最適化するために制御ループが存在し得る。
【0048】
制御コマンドの生成を、所期の測定値からの実際の測定値のずれが容認可能な許容限界内にとどまっている場合に省略することができる。
センサ要素の範囲は、画素、すなわちピクセルと理解することができる。センサの所定の位置への移動は、センサ要素の寸法の1つである距離にわたって行うことが特に有利である。これは、センサを例えば半ピクセルだけ移動及び/又は回転させ得ることを意味する。
【0049】
このようなセンサの所定の位置への移動又は調整は、例えば、センサによる画像形成の解像度を高めるために使用できる。このような場合、センサは、例えば、カメラセンサ、例えばCCD又はCMOSチップである。
【0050】
さらに、目的は、移動される要素を調整するための方法によって達成され、これは、実行された場合、移動される要素をアクチュエータによって所期の位置の所定の位置に移動させる。別のステップでは、移動される要素は、硬化されておらず且つ可逆的に硬化可能な固定材料によって所定の位置に固定され、硬化されていない固定材料は、硬化された状態に変換される。
【0051】
例えば、ホットメルト接着剤が固定材料として使用され得る。ホットメルト接着剤は、その硬化状態では粘性が高いか又は固体であり、その硬化されていない状態ではほとんど粘性がないか又は液体である。固定材料は、それが複数回にわたってその硬化状態から硬化されていない状態またその逆にされ得る場合に可逆的に硬化可能である。例えば、状態を変化させるために、熱エネルギーを固定材料に供給するか又はそれから発散させることができる。
【0052】
実際の位置にあり、且つ可逆的に硬化された固定材料によって既に固定されている、移動される要素は、固定材料が硬化されていない状態に変換された後に所期の位置における所定の位置に移動される。
【0053】
この方法の別の構成では、移動される要素の永久的な固定があり得る。例えば、UV放射によって硬化可能な接着剤(UV接着剤)が固定材料として利用可能である。
提案されている方法により、例えば光学部品、例えば対物レンズのレンズ又はレンズ群の調整が容易となり、硬化部品の外部に配置されたドライブが不要となる。
【0054】
提案されている解決策、特にアクチュエータ、その使用方法、調整方法により、有利には、1つ又は複数の移動される要素を短い距離にわたって高い精度及び非常に良好な再現性で調整することが可能となる。記載されている解決策により、利用可能な据付けスペースがほとんどない場合、わずかな支出で構造的に難しい状況でのアクチュエータの使用が容易となる。
【0055】
本発明は、例示的実施形態及び図面に基づいて以下でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【
図1】本発明によるアクチュエータの第一の例示的実施形態の概略図を示す。
【
図2】本発明によるアクチュエータの第二の例示的実施形態の概略図を示す。
【
図3】本発明によるアクチュエータの第三の例示的実施形態の概略図を示す。
【
図4】本発明によるアクチュエータの第四の例示的実施形態の概略図を示す。
【
図5】本発明によるアクチュエータの第五の例示的実施形態及び本発明による装置の概略図を示す。
【
図6】本発明によるアクチュエータの第六の例示的実施形態及び本発明による装置の概略図を示す。
【
図7】本発明によるアクチュエータの第七の例示的実施形態及び本発明による装置の概略図を示す。
【
図8】本発明によるアクチュエータの第八の例示的実施形態及び本発明による装置の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0057】
例示的実施形態の概略図において、他の明確な断りがない限り、同じ技術的要素は、同じ参照符号によって表示される。図は、正しい縮尺によらない。
基本的部品として、アクチュエータ1は、移動される要素6と、キャリア(carrier)5と、少なくとも1つのSMA要素7.1~7.4とを含み、SMA要素7.1~7.4は、移動される要素6に接続され、且つキャリア5上に支持されるように実装される(
図1)。
【0058】
ここでは図示されていない光学構成2の構成部品である本発明によるアクチュエータ1の第一の例示的実施形態では、第一のSMA要素7.1、第二のSMA要素7.2、第三のSMA要素7.3、及び第四のSMA要素7.4がある。移動される要素6は、その中央に開口部を有するプレートとして具体化され、この開口部は、光学構成2、特に顕微鏡のピンホール8としての役割を果たす。移動される要素6は、デカルト座標系のX軸X及びY軸Yによって画定されるXY平面XYにおいて広がっている。
【0059】
アクチュエータ1の別の実施形態では、移動される要素6は、レンズ又はレンズ群等の光学要素のためのホルダとして具体化され、又は移動される要素6は、開口部が位置付けられる枠又はプレートのためのホルダとしての役割を果たし、前記開口部は、穴、スロット、クロススロット、円形リング、又はそれ以外として具体化される。
【0060】
移動される要素6は、フレームとして具体化されるキャリア5によって取り囲まれ、SMA要素7.1~7.4によってキャリア5に直接接続される。SMA要素7.1~7.4の各々は、移動される要素6の隅の1つに接続されるため、SMA要素7.1~7.4の長手方向軸は、実際にはXY平面XYと交差する。
【0061】
SMA要素7.1~7.4は、ワイヤ(wire)として具体化されるが、別の実施形態ではロッド又はバンドとしても具体化され得る。アクチュエータ1は、異なる形態のSMA要素を有することができる。
【0062】
SMA要素7.1~7.4の範囲がそれらの寸法の少なくとも1つにおいて、特にその長さ方向軸の方向に変化した結果として、有向の力効果Fは、移動される要素6に加えられ(両方の矢印によって示される)、有向の力効果により、移動される要素6は、XY平面XY内で移動可能となり、ピンホール8は、光学構造2のZ軸Zの方向に延びる光軸4に対して調整可能となる。
【0063】
SMA要素7.1~7.4のそれぞれ2つは、それらの対応する有向の力効果Fが少なくとも部分的に相互に対向して向けられるように配置される。
制御ユニット10により、SMA要素7.1~7.4は、相互に独立して作動され得る。ここで、作動は、例えば、SMA要素7.1~7.4の各々に流れる特定の振幅及び特定の電圧の電流によって実行される。SMA要素7.1~7.4の少なくとも1つの寸法の変化は、対応するSMA要素7.1~7.4のオーム抵抗及びプロセス中に生成される熱の結果としてもたらされる。
【0064】
SMA要素7.1~7.4の各々の現在の長さ及び現在のオーム抵抗は、当業者に知られている適当な測定回路(図示せず)によって取得可能である。処理中に得られる測定値は、評価ユニット9に送信され、評価ユニット9は、それ自体、データの送信に適した方法で制御ユニット10に接続される。評価ユニット9は、例えば、SMA要素7.1~7.4の現在の空間座標と、その現在の引き伸ばし状態、光学構成2のビーム経路の現在の空間位置及び/又は移動される要素6、特にピンホール8の現在のビーム経路に対する現在の相対的な向きとを評価するように構成される。
【0065】
アクチュエータ1、評価ユニット9、及び制御ユニット10は、移動される要素6を調整するための装置の基本的要素である。
制御ユニット10は、評価ユニット9によって送信された測定値及び/又は評価ユニット9の評価結果に応じて、且つ任意選択により例えば気温等の他の測定値を利用して、SMA要素7.1~7.4を作動させるための制御信号を生成し、出力する。光学構成2の光軸4は、現在のビーム経路又はその現在のプロファイルによって明示される。
【0066】
制御コマンドは、ここでは図示されていない装置において実行され、その制御コマンドに対応してSMA要素7.1~7.4の電流及び/又は温度の変化がもたらされる。
移動される要素6は、光軸4に対して調整可能である。追加的又は代替的に、光軸4の現在のプロファイルを例えばピンホール8の現在の位置に対応させるようにすることも可能である。
【0067】
上述の作動の選択肢及び装置の構成の選択肢は、以下の例示的実施形態にも等しく当てはまる。
移動される要素6を調整した後、例えばXY平面XYに関するその相対的な向き及びその位置の安定性は、特に重要である。したがって、その冷却後、SMA要素7.1~7.4は、機械的に力が釣り合った状態にある。特に重要な用途では、追加のブレーキを提供できる。このようなブレーキは、移動される要素6を、例えば、ばねによって静止した隣接部に押し付け、したがって固定させることによって実現できる。SMA要素は、したがって、ばねを弛緩させるために使用できる。磁気結合も有利に利用可能である。
【0068】
図2によるアクチュエータ1及び光学構成2は、
図1のそれらに対応するが、例外として、移動される要素6は、センサ11であり、センサ11は、その検出面上に複数のセンサ要素11.nを有する。センサ要素11.nの各々のX軸Xの方向及びY軸Yの方向への寸法は、ピクセル間隔に対応する。
【0069】
デジタル画像記録の解像度を増大させる手段は、センサ11をピクセル空間の一部の分だけ所定の位置に移動させることからなる。先行技術と比較して、SMA要素7.1、7.2を使用することにより、省スペース、省コストであり、非常に高精度で再現可能な選択肢が提供される。
【0070】
センサ11を調整する方法を実行する際、光学構成2内に存在するセンサ11の実際の測定値が取得され、評価ユニット9により、実際の値を所期の測定値と比較することによって評価される。制御ユニット10に送信される比較の結果に応じて、制御ユニット10は、制御コマンドを生成する。所期の測定値からの実際の測定値の差が容認可能な誤差限度内にある場合、制御コマンドの生成が行われないようにすることができる。センサ11の所定の位置への移動又は調整は、センサ要素11.nの寸法の1つ、すなわちピクセル間隔の一部である距離だけ実行される。ここで、調整は、幾つかのピクセルの距離だけ及び/又はピクセルの距離の一部だけ移動させることによっても実行できる。
【0071】
センサ11を所定の位置に移動させる方法の実施形態において、構成が、作動のための移動がセンサ要素11.nの範囲を超えないことが確実であるものである場合、測定信号のためのフィードバックをなくすことができる。精密な作動のための移動は、例えば、線形の作動のための移動を確実にするためにもモニタできる。作動のための移動のサイクルは、センサ11の記録のタイミングと同期させなければならない。センサ11の作動のための移動は、センサ要素11.nの寸法の1つ、すなわちピクセル間隔の一部である距離(センサシフト)だけ実行される。
【0072】
SMA要素7.1~7.4の1つ又は複数は、アクチュエータ1の別の可能な実施形態では、ばね要素に置き換えられ得る。アクチュエータ1の動的応用により、存在するSMA要素は、複数のばね要素に対抗するように動作できる。例えば、SMA要素7.1~7.4の2つ、例えば第一及び第四のSMA要素7.1、7.4を、適当に構成されたばね要素に置き換えることができる。
【0073】
図3は、アクチュエータ1を示し、そのキャリア5は、フレクシャベアリング(flexure bearing)12(ごく簡略化された状態でのみ示されている)によって形成され、その上に、移動される要素6が形成されるか又は取り付けられる。第一及び第二のSMA要素7.1、7.2は、相互に交差し、それらの長さ方向の範囲の領域にわたって接続要素16と接触するように実装される。SMA要素7.1、7.2は、接続要素16と接触し、該SMA要素7.1、7.2のそれぞれの長さ方向の範囲が変化する場合、接続要素16に力効果Fをかけ、前記接続要素自体は、移動される要素6上に形成されるか又はそれに取り付けられる。SMA要素7.1、7.2は、移動される要素6に接続要素16によって間接的に接続される。
【0074】
フレクシャベアリング12は、ばね要素として、SMA要素7.1、7.2によって発生された力効果Fに対して拮抗するように作用する。
図4に示されるアクチュエータ1の第四の例示的実施形態では、2つの移動される要素6があり、前記移動される要素は、アルバレスレンズとも呼ばれる第一のアルバレスプレート13.1及び第二のアルバレスプレート13.2として構成されている。第一及び第二のSMA要素7.1、7.2は、第一のアルバレスプレート13.1の端面に接続され、第三及び第四のSMA7.3、7.4は、第二のアルバレスプレート13.2の端面に接続される。2つのアルバレスプレート13.1、13.2は、SMA要素7.1~7.4によってXY平面XY内で相互に関して及び光軸4に対して移動可能である。
【0075】
別の例示的実施形態において、拮抗効果を有するSMA要素のそれぞれ1つは、ばね要素として具体化される。
図5は、アクチュエータ1の第五の例示的実施形態を示し、その移動される要素6は、補正ミラー14によって形成される。
【0076】
2つの接続要素16及びジョイント16.1を介して、補正ミラー14は、それぞれの場合にSMA要素7.1、7.2に間接的に接続される。
第三の接続要素16は、ジョイント16.1を介して固定ベアリング15を補正ミラー14に接続する。
【0077】
1つの可能な実施形態において、SMA要素7.1、7.2がXY平面XY内に広がっている場合、XY平面XY内において、固定ベアリング15のジョイント16の周囲で補正ミラー14の傾斜移動が生じられ得る。XY平面XY内の小さい回転移動も可能である。
【0078】
SMA要素7.1、7.2の少なくとも一方がXZ平面XZ内及び/又はYZ平面ZY内に延びて広がる場合、補正ミラー14は、XY平面XY及び光軸4に対して傾ける(回転させる)ことができる。
【0079】
SMA要素7.1、7.2の両方のX、Y、及びZ座標がその長さにわたって変化する場合、すべての平面内での移動及びすべての軸X、Y、及びZの周囲での傾斜(回転)並びにこれらの移動の組合せが実現可能である。
【0080】
レンズ、ミラー、及び/又は絞り等の光学要素が光学構成2のビーム経路内で変化すると、その整列は、わずかに変化するが、かく乱の原因となることが多い。これは、特にレーザ走査型顕微鏡(LSM : laser scanning microscope)の場合のようにビーム経路がピンホール8に当たらなければならない場合(
図1も参照されたい)に当てはまる。適当な直径の補正ミラー14は、ビームを補正するためにビーム経路内に導入できる。本発明によれば、この補正ミラー14は、SMA要素7.1、7.2により、選択された方向又はすべての方向に移動可能である。
【0081】
別の例示的実施形態において、SMA要素、この場合には第一及び第二のSMA要素7.1、7.2は、光学構成2の光学部品3の軸17の周囲にらせん状に延びるように配置できる。
【0082】
アクチュエータ1を含む光学部品3の実施形態において、SMA要素7.1、7.2は、長さ方向軸(軸17)の周囲で相互に平行に延び、対物レンズ19の筐体18の外面上に配置される(
図6)。SMA要素7.1、7.2の数回の巻きのみが例示的に示されている。図の例示的実施形態では、軸17は、光軸4と一致する。SMA要素7.1,7.2は、筐体18に接続され、且つキャリア5上に支持される。この場合、筐体18は、移動される要素6を表す。
【0083】
SMA要素7.1、7.2の長さが変化することにより、光学部品3は、光軸4に沿って制御された方法で移動される。
図6に概略的に示される実施形態の選択肢は、要素、例えば対物レンズ19内の光学レンズ20を補正するためにも使用可能である。
【0084】
このような例示的実施形態は、
図7に概略的に示されている。光学レンズ20のマウント21は、対物レンズ19の筐体18内で2つのSMA要素7.1、7.2によってらせん状に取り囲まれている。マウント21内に保持される光学レンズ20は、移動される要素6を表す。SMA要素7.1、7.2は、マウント21に接続され、且つ筐体18上に支持され、筐体18は、アクチュエータ1のためのキャリア5として機能する。
【0085】
マウント21は、光軸4に対してずらして配置され、そのため、軸17と光学部品3の光軸4とは、一致しない。
移動される要素6を調整する方法を
図8に基づいて説明する。この例示的実施形態において、移動される要素6は、光学レンズ20であり、この光学レンズ20は、対物レンズ19内で光軸4に沿って調整される。SMA要素7.1、7.2は、筐体18上に支持され、この筐体18は、アクチュエータ1のためのキャリア5として機能する。
【0086】
移動される要素6は、アクチュエータ1によって移動されることによって所期の位置へもたらされる。移動される要素6が所期の位置に到達すると、この移動される要素6は、硬化されておらず且つ可逆的に硬化可能な固定材料22によって固定される。プロセス中、硬化されていない固定材料22は、例えば、約20℃の室温まで冷却されることにより、硬化された状態に変換される。
【0087】
調整中、固定材料22は、電気式加熱ワイヤ23によって固定材料22に熱エネルギーを供給することにより、硬化されていない状態のままに保たれる。
アクチュエータ1の別の実施形態において、SMA要素7.1、7.2の少なくとも一方は、加熱ワイヤとして具体化され、この加熱ワイヤは、熱エネルギーを固定材料22に供給する役割を果たす。
【0088】
移動される要素6を再び調整する場合、固定材料22は、加熱ワイヤ23によって再び加熱され、移動される要素6は、前述のようにアクチュエータ1によって新たな所期の位置まで移動される。移動される要素6が新たな所期の位置における所定の位置に移動されると、加熱ワイヤ23の加熱パワーを低下させるか又は無効にする。固定材料22が再び実質的に硬化された状態に移行することにより、移動される要素6は、新たな所期の位置に保持される。
【符号の説明】
【0089】
1 アクチュエータ
2 光学構成
3 光学部品
4 光軸
5 キャリア
6 移動される要素
7.1 第一のSMA要素
7.2 第二のSMA要素
7.3 第三のSMA要素
7.4 第四のSMA要素
8 ピンホール
9 評価ユニット
10 制御ユニット
11 センサ
11.n センサ要素
12 フレクシャベアリング
13.1 第一のアルバレスプレート
13.2 第二のアルバレスプレート
14 補正ミラー
15 固定ベアリング
16 接続要素
16.1 ジョイント
17 軸
18 筐体
19 対物レンズ
20 光学レンズ
21 マウント
22 固定材料
23 加熱ワイヤ
F 力効果
X X軸
Y Y軸
Z Z軸
XY XY平面
XZ XZ平面
YZ YZ平面