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特許7143298水分散性フィルター構成要素を有するエアロゾル発生物品
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  • 特許-水分散性フィルター構成要素を有するエアロゾル発生物品 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-16
(45)【発行日】2022-09-28
(54)【発明の名称】水分散性フィルター構成要素を有するエアロゾル発生物品
(51)【国際特許分類】
   A24D 1/02 20060101AFI20220920BHJP
   A24D 3/06 20060101ALI20220920BHJP
【FI】
A24D1/02
A24D3/06
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019529887
(86)(22)【出願日】2017-12-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-21
(86)【国際出願番号】 EP2017084184
(87)【国際公開番号】W WO2018122115
(87)【国際公開日】2018-07-05
【審査請求日】2020-12-11
(31)【優先権主張番号】16207310.0
(32)【優先日】2016-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】カディリク アレン
(72)【発明者】
【氏名】パパキリロー ステファノス
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/188649(WO,A1)
【文献】特表2015-507937(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0374030(US,A1)
【文献】特表2013-514802(JP,A)
【文献】特開2013-255470(JP,A)
【文献】特表2015-536154(JP,A)
【文献】国際公開第2016/156219(WO,A1)
【文献】特表2009-545324(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D 1/02
A24D 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生物品であって、
エアロゾル発生基体と、
前記エアロゾル発生基体と軸方向で整列したフィルターであって、前記フィルターが少なくとも一つの水分散性フィルター構成要素を備え、前記フィルター構成要素がEN14987:2006の試験条件下で水分散性である、フィルターと、
前記フィルターの周囲および前記エアロゾル発生基体の少なくとも一部分の周囲に巻かれたチッピングラッパーであって、
前記チッピングラッパーの少なくとも一部分の周囲に延びる第一の脆弱線と、
前記少なくとも1本の脆弱線から下流に延び、かつ少なくとも部分的に前記水分散性フィルター構成要素の上にある取り外し可能なチッピングラッパー部分と、
前記第一の脆弱線から上流に延びる上流チッピングラッパー部分であって、前記エアロゾル発生基体の下流部分および前記フィルターの上流部分に取り付けられた前記上流チッピングラッパー部分と、を備える、チッピングラッパーと、を備え、
前記取り外し可能なチッピングラッパー部分の前記取り外しが、前記下にある水分散性フィルター構成要素を少なくとも部分的に露出する、エアロゾル発生物品。
【請求項2】
前記少なくとも一つの水分散性フィルター構成要素が、水分散性シート材料で形成されている、請求項1に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項3】
前記少なくとも一つの水分散性フィルター構成要素が、水分散性シート材料で形成されたプラグを備える、請求項2に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項4】
前記少なくとも一つの水分散性フィルター構成要素が、水分散性シート材料で形成されたラッパーを備える、これが前記フィルターの少なくとも一部分を囲む、請求項2または3に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項5】
前記水分散性シート材料が、セルロース系繊維および水溶性結合剤を含む、請求項2~4のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項6】
前記セルロース系繊維が、木材パルプ繊維、セルロースアセテート繊維、またはこれらの組み合わせを含む、請求項5に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項7】
前記セルロース系繊維が、40:60~70:30の比の木材パルプ繊維およびセルロースアセテート繊維を含む、請求項6に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項8】
前記水溶性結合剤が、カルボキシメチルセルロース(CMC)、またはCMCの塩もしくは誘導体を含む、請求項5、6、または7のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項9】
前記水溶性結合剤が、アニオン性ポリマーのアルカリ金属塩を含む、請求項5、6、または7のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項10】
前記少なくとも一つの水分散性フィルター構成要素が、水溶性結合剤と組み合わせられた複数の繊維で形成された繊維質トウセグメントを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項11】
前記少なくとも一つの水分散性フィルター構成要素が、土壌媒体中で少なくとも45パーセントの生分解性を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項12】
前記少なくとも一つの水分散性フィルター構成要素が、水性媒体中で少なくとも45パーセントの生分解性を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項13】
前記チッピングラッパーが少なくとも80度の水接触角を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項14】
前記チッピングラッパーが外表面上に疎水性被覆層を備える、請求項12に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項15】
前記チッピングラッパーが15ミリメートル当たり少なくとも2ニュートンの湿潤引張強さを有する、請求項1~14のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水分散性の高いフィルターを備えるエアロゾル発生物品に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルター付き紙巻たばこは典型的に、紙ラッパーで包囲されたたばこカットフィラーの円柱状のロッドと、巻かれたたばこロッドとの端と端とが隣接する関係で軸方向に整列した円柱状のフィルターとを備える。円柱状のフィルターは典型的に、紙プラグラップによって囲まれた濾過材料を含む。従来的には、巻かれたたばこロッドおよびフィルターは、フィルターの長さ全体および巻かれたたばこロッドの隣接部分を通常囲むチッピングラッパーの帯によって結合されている。従来のフィルター付き紙巻たばこは典型的に、たばこロッドが燃焼するようにフィルターと反対側の紙巻たばこの端に点火することによって喫煙される。
【0003】
たばこが燃焼するのではなく加熱される多くのエアロゾル発生物品もまた、当技術分野において提唱されてきた。加熱式エアロゾル発生物品では、エアロゾルは風味発生基体(たばこなど)を加熱することによって生成される。周知の加熱式エアロゾル発生物品としては、例えば電気加熱式エアロゾル発生物品、およびエアロゾルが可燃性燃料要素または熱源から、物理的に分離されたエアロゾル形成材料への熱の伝達によって生成されるエアロゾル発生物品が挙げられる。喫煙中、揮発性化合物は、燃料要素からの熱伝達によってエアロゾル形成基体から放出され、エアロゾル発生物品を通して引き出された空気中に同伴される。放出された化合物は冷めるにつれて凝縮してエアロゾルを形成し、これが消費者によって吸い込まれる。また、ニコチン含有エアロゾルが、燃焼を用いずに、また一部の場合には加熱を用いずに、例えば化学反応によって、たばこ材料、たばこ抽出物、またはその他のニコチン供与源から生成されるエアロゾル発生物品も周知である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エアロゾル発生物品が喫煙され、かつ処分された後、残りのフィルターセクションはできるだけ迅速に破壊されることが望ましい。水分散性または分解性材料を使用して、フィルター材料を形成することは周知である。しかしながら一方で、フィルターはフィルター構成要素の周囲にチッピングラッパーを有して損傷がないままであり、フィルター材料を環境内の水分に完全に露出することはできず、従って効率的に破壊しない。従って、チッピングラッパーは、フィルター材料と環境水との間のバリアの役割を果たし、これはフィルターの破壊を減速する。
【0005】
フィルターが処分された後、フィルター材料が水中でより効率的に分散することを可能にする配置でフィルターを有する新規のエアロゾル発生物品を提供することが望ましいことになる。最小限の修正を加えた既存の高速製造技法および装置を使用して容易に製造することができる、こうしたエアロゾル発生物品を提供することが特に望ましいことになる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によると、エアロゾル発生基体と、エアロゾル発生基体と軸方向で整列したフィルターであって、少なくとも一つの水分散性フィルター構成要素を含み、フィルター構成要素がEN14987:2006の試験条件下で水分散性である、フィルターと、フィルターの周囲およびエアロゾル発生基体の少なくとも一部分の周囲に巻かれたチッピングラッパーとを備えるエアロゾル発生物品が提供される。チッピングラッパーは、チッピングラッパーの少なくとも一部分の周囲に延びる第一の脆弱線と、少なくとも1本の脆弱線から下流に延び、かつ少なくとも部分的に水分散性フィルター構成要素の上にある取り外し可能なチッピングラッパー部分と、第一の脆弱線から上流に延びる上流チッピングラッパー部分とを備え、上流チッピングラッパー部分は、エアロゾル発生基体の下流部分およびフィルターの上流部分に取り付けられている。
【0007】
本明細書で使用される「エアロゾル発生基体」という用語は、加熱(燃焼を含む)されると揮発性化合物を放出する能力を有する基体であって、エアロゾルを形成することができるものを説明する。エアロゾル発生基体から発生されるエアロゾルは、可視であってもよくまたは不可視であってもよく、またベイパー(蒸気)(例えば、室温では通常、液体または固体である物質の気体状態にある微細な粒子)、ならびに気体および凝縮されたベイパーの液滴を含んでもよい。
【0008】
本明細書で使用される「上流」および「下流」という用語は、消費者がエアロゾル発生物品の使用中にそのエアロゾル発生物品を吸う方向に対する、そのエアロゾル発生物品の要素または要素の部分の相対的な位置を説明する。本明細書に記載のエアロゾル発生物品は、下流端(すなわち、口側端)および反対側の上流端を備える。使用時、消費者はエアロゾル発生物品の下流端を吸う。下流端は上流端の下流であり、これは遠位端として説明されてもよい。フィルターはエアロゾル発生基体の下流である。
【0009】
本明細書で使用される「長軸方向」という用語は、エアロゾル発生物品またはフィルターの長軸方向軸に対応する方向を指す。
【0010】
本明細書で使用される「水分散性」という用語は、材料が冷水と接触する時に物理的に破壊または分解する材料で形成されたフィルター構成要素を指す。本発明の目的のためには、フィルター構成要素は、EN14987:2006に説明された試験条件下で冷水中に溶解後90パーセントを超える分散性画分を生成する場合、「水分散性」であると考えられる。これらの試験条件下で、フィルター構成要素は、2リットルビーカー中で150rpmの攪拌条件下で1リットルの水道水の中に定置される。試験材料は、摂氏25度で16時間攪拌される。この期間後、懸濁液を10mmの篩を通過させ、篩を通過することができる材料の割合が決定される。この割合は、上記で「分散性画分」と呼ばれるものに対応する。
【0011】
従来のフィルターは一般的に、セルロースアセテートトウの一つ以上のセグメントを組み込み、これは典型的に10パーセント未満の分散性画分を有するため、上述の試験によると水分散性ではない。
【0012】
上記で画定される通り、本発明によるエアロゾル発生物品のフィルターは、フィルターが処分される前に消費者によって取り外されることが意図される取り外し可能なチッピングラッパー部分と組み合わせて、少なくとも一つの水分散性フィルター構成要素を組み込む。チッピングラッパー部分の取り外しは、下にある水分散性フィルター構成要素を露出し、フィルター構成要素を形成するフィルター材料が膨張、かつ潜在的に分解することを可能にする。結果として、フィルター材料は、より素早くかつ潜在的により大きい表面積にわたって環境水分と接触する。従って、取り外し可能なチッピングラッパー部分がフィルターから取り外されると、チッピングラッパーはフィルター材料と環境水との間の接触をもはや阻害しなくなり、これはフィルター材料の分散の速度を増加させる。水中での分散の結果としてのフィルター材料の物理的破壊は、露出の増加による材料の化学分解または生分解を追加的に補助する場合がある。
【0013】
本発明によるエアロゾル発生物品のフィルターは、水分散性である一つ以上のフィルター構成要素を含んでもよい。一つ以上の水分散性フィルター構成要素は、水分散性ではない他のフィルター構成要素と組み合わせられてもよいが、フィルター全体は上述の試験条件下で水分散性であることが好ましい。
【0014】
上述の通り、水中のフィルター構成要素の分散は、フィルター材料の物理的破壊を生じさせる。一部の実施形態において、水分散性フィルター構成要素は、水の存在下で経時的にフィルター構成要素が化学的に破壊するように、水中で追加的に分解性である場合がある。
【0015】
水分散性フィルター構成要素は追加的に、少なくとも部分的に生分解性であってもよい。水分散性フィルター構成要素は、ISO 17556に従って試験した時、少なくとも約45パーセントの土壌媒体中の生分解性を有することが好ましい。試験は、取り外し可能なチッピングラッパー部分がまだフィルター上の定位置にある水分散性フィルター構成要素上で実施される。従って、水分散性フィルター構成要素は、標準的なセルロースアセテートトウセグメントよりも少なくとも10パーセント高い土壌媒体中の生分解性のレベルを有し、これは典型的には約30~35パーセントの土壌媒体中の生分解性を有する。
【0016】
別の方法として、または追加的に、水分散性フィルター構成要素は、ISO 14851に従って試験した時、少なくとも45パーセントの水性媒体中の生分解性を有する。試験は、取り外し可能なチッピングラッパー部分がまだフィルター上の定位置にある水分散性フィルター構成要素上で実施される。従って、水分散性フィルター構成要素は、標準的なセルロースアセテートトウセグメントよりも少なくとも10パーセント高い水性媒体中の生分解性のレベルを有し、これは典型的には約30~35パーセントの水性媒体中の生分解性を有する。
【0017】
本発明によるエアロゾル発生物品のフィルターの水分散性フィルター構成要素は、水分散性フィルター材料で形成され、また様々な異なる形態を取ってもよい。
【0018】
本発明によるエアロゾル発生物品のフィルターは、水分散性シート材料で形成された少なくとも一つのフィルター構成要素を備えることが好ましい。本発明のある特定の好ましい実施形態において、水分散性フィルター構成要素は、水分散性シート材料で形成されたプラグを含む。水分散性シート材料は、プラグを形成するために集合されてもよく、または回旋状にされてもよい。別の方法として、水分散性シート材料は、その後一緒に集合されてプラグを形成するストランドを形成するために、切断されてもよく、または細かく切られてもよい。
【0019】
上述の通り、水分散性シート材料で形成されたプラグの使用の代替として、またはそれに加えて、水分散性フィルター構成要素は、フィルターの少なくとも一部分を囲む水分散性シート材料で形成されたラッパーを含んでもよい。例えば、フィルターは、水分散性シート材料で形成された一つ以上のプラグラップを備えてもよい。
【0020】
水分散性フィルター構成要素は、水分散性シート材料で形成された、および水分散性プラグラップによって囲まれたプラグを備えることが好ましい。水分散性材料のこの組み合わせは、水中のフィルター構成要素の分散性を最適化する。
【0021】
水分散性シート材料で形成されたフィルター構成要素を含む、説明された実施形態のうちのいずれかにおいて、水分散性シート材料は、水溶性結合剤と組み合わせられた任意の適切な繊維を含んでもよい。シート材料が水と接触する時、水溶性結合剤が溶解し、繊維は分散することができ、これがシートの分解をもたらす。
【0022】
水分散性シート材料は、セルロース系繊維および水溶性結合剤を含むことが好ましい。例えば、水分散性シート材料は、木材パルプなどのセルロース繊維、セルロースアセテート繊維などのセルロースエステル繊維、またはこれらの組み合わせを含んでもよい。一つの特に好ましい実施形態において、水分散性シート材料は、木材パルプ繊維(セルロース繊維)とセルロースアセテート繊維との組み合わせを含む。木材パルプ繊維とセルロースアセテート繊維の比は、水分散性シート材料の引張強さを修正するために調整されてもよい。木材パルプ繊維とセルロースアセテート繊維の比は、約30:70~約90:10であることが好ましく、約40:60~約70:30であることがより好ましく、約50:50であることが最も好ましい。これらの好ましい比率は、許容可能な引張強さが保持される一方で、分散性の程度を最適化することも確実にする。木材パルプ繊維とセルロースアセテート繊維との組み合わせを含む適切な水分散性シート材料は、欧州特許公開第2862456(A)号に説明されている。
【0023】
別の好ましい実施形態において、水分散性シート材料は、少なくとも約85重量パーセントの木材パルプ繊維を含み、少なくとも約90重量パーセントの木材パルプ繊維を含むことがより好ましく、少なくとも約95重量パーセントの木材パルプ繊維を含むことが最も好ましい。木材パルプ繊維は、長繊維パルプ、マーセル化パルプ、またはこれらの組み合わせを含むことが好ましい。こうした実施形態において、木材パルプ繊維は典型的に、セルロースエステル繊維と組み合わせられない。高比率の木材パルプ繊維を含む適切な水分散性シート材料が、米国特許出願公開第2015/173414(A)号に説明されている。
【0024】
シート材料を形成するための適切な水溶性結合剤は、当業者に周知である。一部の好ましい実施形態において、水溶性結合剤はセルロース系結合剤である。水溶性結合剤は、カルボキシメチルセルロース(CMC)、またはCMCの塩もしくは誘導体を含むことが特に好ましい。例えば、結合剤としてCMCを含む適切なシート材料は、米国特許出願公開第2015/173414(A)号に説明されている。
【0025】
その他の好ましい実施形態において、水溶性結合剤は、多糖類またはポリアクリル酸などの水溶性アニオン性ポリマーのアルカリ金属塩を含む。水溶性結合剤がカルボキシメチルセルロース(CMC)のアルカリ金属塩を含むことが特に好ましい。例えば、適切な水溶性結合剤は、欧州特許出願公開第2862456(A)号に説明されている。
【0026】
水分散性シート材料は、約5重量パーセント未満の水溶性結合剤を含むことが好ましく、約3重量パーセント未満の水溶性結合剤を含むことがより好ましく、約2重量パーセント未満の水溶性結合剤を含むことが最も好ましい。
【0027】
水分散性シート材料は、約10グラム/平方メートル(gsm)~約60gsmの坪量を有することが好ましく、約15gsm~約45gsmの坪量を有することがより好ましく、約20gsm~約40gsmの坪量を有することが最も好ましい。
【0028】
水分散性シート材料で形成されたフィルター構成要素の代替として、またはそれに加えて、本発明によるエアロゾル発生物品のフィルターは、トウセグメント内で繊維を一緒に保持するための可塑剤の役割を果たす水溶性結合剤と組み合わせられた複数の繊維で形成された繊維質トウセグメントを含む水分散性フィルター構成要素を組み込んでもよい。水分散性シート材料に関して上述の水溶性結合剤のうちのいずれかはまた、繊維質トウセグメントを含む実施形態での使用に適切であろう。
【0029】
水分散性シート材料と同様に、水溶性結合剤は水との接触に伴い溶解し、そうすることで繊維質トウセグメントを形成する繊維は分散でき、これがトウセグメントの分解をもたらす。繊維質トウセグメントは、水溶性結合剤と組み合わせられた任意の適切な繊維で形成されてもよい。例えば、繊維質トウセグメントは、木材パルプ繊維などのセルロース繊維、セルロースアセテート繊維、またはこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0030】
上述の通り、本発明によるエアロゾル発生物品は、フィルターの外側ラッパーに対応し、フィルターとエアロゾル発生基体の下流端とを囲む、修正されたチッピングラッパーを組み込む。チッピングラッパーは、エアロゾル発生基体の下流端をフィルターの上流端に取り付ける上流チッピングラッパー部分を含み、これは取り外し可能なチッピングラッパー部分の取り外しの後に、エアロゾル発生物品上の定位置に留まることが意図される。チッピングラッパーは、下流の取り外し可能なチッピングラッパー部分をさらに含む。当初、上流チッピングラッパー部分および取り外し可能なチッピングラッパー部分は第一の脆弱線に沿って接続されていて、消費者は取り外し可能なチッピングラッパー部分を取り外すために、チッピングラッパーを第一の脆弱線に沿って破くことができる。取り外し可能なチッピングラッパー部分は、喫煙前に、または喫煙中に、または喫煙後に、チッピングラッパー内の第一の脆弱線に沿って破断することによって消費者によって取り外されてもよい。
【0031】
上述の通り、取り外し可能なチッピングラッパー部分の組み込みは、下にあるフィルター構成要素の水中での分散の効率を向上するために、フィルターを廃棄する前にチッピングラッパーを部分的に取り外すことを可能にする。
【0032】
エアロゾル発生物品のチッピングラッパーの少なくとも一部分を取り外して、清浄な下にあるフィルターラッパーを露出させることはまた有利なことに、消費者にとっての衛生度を向上する場合がある。これは、例えばエアロゾル発生物品が容器の中ではなく、個別に輸送または保管されている場合に、特に有益である場合がある。さらに、取り外し可能なチッピングラッパー部分は、喫煙中に得られる感覚的な体験を変更する能力を消費者に提供するために使用されてもよい。例えば、フィルターには、取り外し可能なチッピングラッパー部分の取り外しに伴い放出される風味剤またはその他の添加物が提供されてもよい。別の実施例において、フィルターには、取り外し可能なチッピングラッパー部分が取り外された時に露出する追加的な通気が提供されてもよい。
【0033】
取り外し可能なチッピングラッパー部分は、水分散性フィルター構成要素の少なくとも一部の上にあるように位置付けられている。これは、水との接触時にフィルター構成要素が分散する能力を最適化するために、取り外し可能なチッピングラッパー部分の取り外しに伴い、水分散性フィルター構成要素が可能な最大の範囲まで露出されることを確実にする。
【0034】
取り外し可能なチッピングラッパー部分のエアロゾル発生物品の長軸方向での長さは、例えば下にあるフィルター構成要素の配置、および喫煙中のチッピングラッパーの一部分の取り外しの任意の意図される効果に依存して、調整されてもよい。取り外し可能なチッピングラッパー部分が取り外された時に、下にある水分散性フィルター構成要素の十分な面積が露出するのを確実にするために、取り外し可能なチッピングラッパー部分は、フィルターに沿って長軸方向に少なくとも12mm延びることが好ましい。
【0035】
本発明のある特定の実施形態において、第一の脆弱線の下流のチッピングラッパー全体が取り外されて、下にあるフィルター表面を露出するように、取り外し可能なチッピングラッパー部分はフィルターの下流端へと延びる。この配置は、例えば喫煙中の衛生を向上するために、取り外し可能なチッピングラッパー部分が提供されている場合、有利である場合がある。
【0036】
本発明の代替的な実施形態において、チッピングラッパーは、第一の脆弱線から下流方向に間隙を介した第二の脆弱線をさらに備えてもよく、取り外し可能なチッピングラッパー部分は、第一の脆弱線と第二の脆弱線の間に画定されている。こうした実施形態において、チッピングラッパーは、第二の脆弱線から下流に延び、かつフィルターの下流部分に取り付けられた下流チッピングラッパー部分をさらに備えることが好ましい。この配置は、例えば下にある添加物または通気を露出させるために、チッピングラッパーの細片が取り外し可能である場合に、好ましい場合がある。
【0037】
第一の脆弱線および第二の脆弱線(存在する場合)は、脆弱線をチッピングラッパーに提供するために任意の適切な形態を取ってもよく、これに沿ってチッピングラッパーが選択的に切り取られる。各々の脆弱線は、チッピングラッパーの周囲に延びる穿孔の列を形成するように円周方向に間隙を介した複数の切り込みを備えることが好ましい。こうした実施形態において、穿孔の列はチッピングラッパーの実質的に周囲全体の周りに延びることが好ましい。消費者がチッピングラッパーを穿孔の列に沿って切り取ることを補助するために、脆弱線はチッピングラッパーの継ぎ目におけるチッピングラッパーの縁と穿孔の列の中の第一の穿孔との間に延びる細長い切り込みを備えてもよい。
【0038】
穿孔の列が提供されている場合、穿孔の列は、連続した穿孔の間にチッピングラッパーの未切断のセグメントを含む。未切断のセグメントの全長は、穿孔の列の全長の約15パーセント~約30パーセントの保持率を定義することが好ましく、約18パーセント~約25パーセントであることがより好ましい。
【0039】
穿孔の列の「保持率」は、穿孔の列の強度を示すものとして使用でき、次の通り定義される。
各々の未切断のセグメントの長さは、隣接する穿孔間のチッピングラッパーに沿った最短距離であり、また各々の穿孔の長さは、穿孔の円周方向の二つの先端の間に引かれた直線の長さである。円形の穿孔の場合、穿孔の長さは円の直径である。
【0040】
従って、高い保持率は、穿孔間に大量の未切断の材料が残っている穿孔の列を表す。高い保持率を有する穿孔の列は概して、チッピングラッパーを穿孔の列に沿って破断するために、より大きい力を必要とする。
【0041】
有利なことに、15パーセント~30パーセントの保持率は、喫煙物品の製造中にチッピングラッパーが取り扱われる時に、穿孔の列に沿ったチッピングラッパーの偶発的な破断を防止するのに十分な高さの保持率である一方で、喫煙物品が構築された後でラッパーを穿孔の列に沿って意図的に破断するために中程度の破断力のみが必要とされるような十分低い保持率に留まっている。この範囲内の保持率を定義する穿孔の列に沿ってラッパーを破断するために必要とされる力は、喫煙物品用のラッパーを形成するために典型的に使用される異なるシート材料と比較して、チッピングラッパーを形成するために使用されるシート材料の坪量に主に依存しないことが分かっている。
【0042】
穿孔の列には、欧州特許出願公開第2 888 958(A)号に説明されている一つ以上の追加的な特徴が随意に提供されてもよい。
【0043】
上述の実施形態のうちのいずれかにおいて、エアロゾル発生物品は、取り外し可能なチッピングラッパー部分の取り外しを容易にするために、取り外し可能なチッピングラッパー部分と下にあるフィルター構成要素との間に接着剤を有しなくてもよい。別の方法として、エアロゾル発生物品は、取り外し可能なチッピングラッパー部分と下にあるフィルター構成要素との間に粘着性の低い接着剤を備えてもよい。
【0044】
チッピングラッパーは紙材料のシートで形成されることが好ましいが、その他の材料もまた適切であろう。チッピングラッパーは、約35グラム/平方メートル~約50グラム/平方メートルの坪量を有するシート材料で形成されることが好ましい。
【0045】
エアロゾル発生物品の外表面に沿って延びるチッピングラッパーの長軸方向の縁は、実質的に真っすぐであってもよい。しかしながら、本発明の代替的な実施形態において、チッピングラッパーの第一の長軸方向の縁は、第一の脆弱線の下流に切り取りタブを画定するチッピングラッパー突起部を備え、切り取りタブには接着剤がない。
【0046】
本明細書で使用される「チッピングラッパー突起部」という用語は、チッピングラッパーの縁で切り取りタブを画定するように、縁の残りの部分(複数可)から円周方向に離れるように突出する第一の長軸方向の縁の一部分を指す。切り取りタブは、取り外し可能なチッピングラッパー部分の中で第一の脆弱線の下流に提供されていて、消費者がチッピングラッパーの縁を把持するのを容易にする場合がある。切り取りタブはまた、取り外し可能なチッピングラッパー部分の位置、およびチッピングラッパーの縁のどこを把持するべきかを消費者に視覚的に示す。
【0047】
第一の直線部分はチッピングラッパー突起部から上流に延びる第一の長軸方向の縁に提供されることが好ましい。チッピングラッパーの第一の長軸方向の縁の「第一の直線部分」は、湾曲なしで直線状に、エアロゾル発生物品の長軸方向軸と実質的に平行に延びる。
【0048】
チッピングラッパー突起部は、円周方向に第一の直線部分を約2mm~約3mm越えて延びることが好ましく、約2mm~約2.5mm越えて延びることがより好ましい。これは、第一の直線部分と、高さが最大であるチッピングラッパー突起部の「上部」との間の円周方向の距離に対応し、これは長軸方向の縁の直線部に対する切り取りタブの高さを画定する。
【0049】
少なくとも2mmの高さを有する切り取りタブを提供することによって、切り取りタブは消費者が把持するために好都合なサイズのものとなる。一方で、従来の切断ナイフを使用して高速で、より大きい切り取りタブを切断することはより困難であり、切り取りタブの高さを3mm以下に保つことは典型的に、製造の観点から好ましい。
【0050】
チッピングラッパー突起部の長軸方向の幅は少なくとも約2.5mmであることが好ましい。別の方法として、または追加的に、チッピングラッパー突起部の長軸方向の幅は15mm未満である。チッピングラッパー突起部の「幅」は、チッピングラッパー突起部の長軸方向の最大寸法に対応する。
【0051】
第一の脆弱線に対するチッピングラッパー突起部の位置は、例えばチッピングラッパーが第一の脆弱線に沿わずに破けてしまうリスクを最小化するために変化してもよい。チッピングラッパー突起部は、第一の脆弱線の約0mm~約15mm下流に提供されることが好ましく、約5mm~約10mm下流に提供されることがより好ましい。これは第一の脆弱線とチッピングラッパー突起部の上流端との間の距離に対応する。
【0052】
本発明のある特定の実施形態において、エアロゾル発生物品は、チッピングラッパーがフィルターから水をはじくように、不透水性または疎水性であるチッピングラッパーを備えてもよい。こうした実施形態において、チッピングラッパーは、フィルター材料の完全性を保持することができるように、使用前に下にある水分散性フィルター構成要素を周囲水分から保護するバリアの役割を果たす。しかしながら、エアロゾル発生物品が使用された後、このタイプのチッピングラッパーは、下にある水分散性フィルター構成要素と環境水との間の接触をなおより大きい程度まで阻害する。チッピングラッパーの一部分の取り外しの結果としてのフィルター構成要素の水分散性の向上は従って、なおより著しい。
【0053】
「疎水性」という用語は水をはじく特性を呈する表面を指す。本発明の文脈において、疎水性のチッピングラッパーは、疎水性内表面および疎水性外表面のうちの少なくとも一つを提供する。疎水性を決定する有用な一つの方法は、下記により詳細に説明する通り、水接触角を測定することである。「水接触角」は、液体を通して従来的に測定される、液体/蒸気界面が固体表面と交わる所の角度である。これは液体による固体表面の湿潤性をヤングの式によって定量化する。
【0054】
本発明によるエアロゾル発生物品のチッピングラッパーの疎水性表面は、少なくとも約80度の水接触角を有することが好ましく、少なくとも約90度の水接触角を有することがより好ましく、少なくとも約95度の水接触角を有することがより好ましく、少なくとも約100度の水接触角を有することがより好ましい。疎水性はTAPPI T558 om-97試験を利用して決定され、そして結果は界面接触角として表されて「度」で報告され、ほぼ0度からほぼ180度の範囲でありうる。
【0055】
チッピングラッパーは任意の適切な疎水性材料で形成されてもよい。チッピングラッパーは、少なくとも一つの表面上に疎水性材料で被覆または印刷されることが好ましい。適切な疎水性チッピングラッパーは、国際特許公開公報2016/063182(A)号に説明されており、これはまた上記で参照されたTAPPI T558 om-97の試験方法の詳細を提供する。ある特定の実施形態において、チッピングラッパーは、ニトロセルロースまたはエチルセルロースなどのリップリリースラッカー被覆で被覆されてもよい。
【0056】
上記で画定される通り、疎水性チッピングラッパーを提供する代替として、またはそれに加えて、チッピングラッパーは、湿潤引張強さ試験に従って測定した時に15ミリメートル当たり少なくとも約2ニュートンの湿潤引張強さを提供する場合があり、より好ましくは15ミリメートル当たり少なくとも約2.5ニュートンの湿潤引張強さ、より好ましくは15ミリメートル当たり少なくとも約3ニュートンの湿潤引張強さ、最も好ましくは15ミリメートル当たり少なくとも約3.5ニュートンの湿潤引張強さを提供する場合がある。試験サンプルを摂氏22±2度および相対湿度60±5%にて少なくとも24時間調整した後に、および試験サンプルをある大きさに切断した後に、試験サンプルを2ミリリットルの液体の中に3秒間浸すことを除き、湿潤引張強さ試験はISO 1924-2の引張強さ試験方法と同一である。試験サンプルは、試験手順の引っ張り工程の直前に液体の中に浸される。
【0057】
こうしたチッピングラッパーは比較的高い湿潤引張強さを提供し、これはフィルターが水分と接触する時にチッピングラッパーがその構造を保持する可能性がより高いことを意味する。チッピングラッパーは従って、フィルター材料が保護されるように、使用前に大気中の水分が水分散性フィルター構成要素の中へと浸透することを防止する効果的なバリアの役割を引き続き果たすことができる。しかしながら、エアロゾル発生物品が使用された後、こうした実施形態のチッピングラッパーは物理的に破壊するのに時間がより長くかかることになり、これは下にある水分散性フィルター構成要素と環境水との間のあらゆる接触を遅くする。チッピングラッパーの一部分の取り外しの結果としてのフィルター構成要素の水分散性の向上は従って、なおより著しい。
【0058】
適切なチッピングラッパーは、国際特許公開公報2016/156219(A)号に説明されており、これはまた上記で参照されたISO 1924-2の試験方法の詳細を提供する。
【0059】
フィルターラッパーの外表面には、取り外し可能なチッピングラッパー部分が使用中に消費者によって取り外された時に、消費者に知らせる文字または図形が提供されてもよい。例えば、取り外し可能なチッピングラッパー部分の下に審美的な特徴を提供するために、フィルターラッパーの外表面はインクで印刷されてもよい。
【0060】
本発明のある特定の実施形態において、少なくとも一つの風味剤が、取り外し可能なチッピングラッパー部分と下にあるフィルター部分との間に提供されてもよい。本明細書で使用される「風味剤」という用語は、味覚および嗅覚のうちの少なくとも一つを消費者に生じさせるために使用されうる材料を説明するために使用される。風味剤を取り外し可能なチッピングラッパー部分の下に提供することによって、消費者には、風味剤がいつ送達されるかを制御する能力が提供されている。エアロゾル発生物品に組み込むための適切な風味剤は、当業者に周知である。
【0061】
少なくとも一つの風味剤は、下にあるフィルター部分に面する取り外し可能なチッピングラッパー部分の表面に、または下にあるフィルター部分の表面に、または両方に提供されてもよい。少なくとも一つの風味剤は被覆として沈着させてもよく、または取り外し可能なチッピングラッパー部分またはフィルター部分の表面の中へと含浸されてもよい。少なくとも一つの風味剤は、風味剤の移動を低減または防止するために、カプセル化されてもよく、例えば複数のマイクロカプセル内に含められてもよい。
【0062】
取り外し可能なチッピングラッパー部分と下にあるフィルター部分との間の風味剤の提供の代替として、またはそれに加えて、フィルターは、取り外し可能なチッピングラッパー部分の下にある少なくとも一つの表面形成を含んでもよい。本明細書で使用される「表面形成」という用語は、結果として表面を不均一にするフィルターの表面の異なりを説明する。取り外し可能なチッピングラッパー部分の下にあるフィルターの表面上に少なくとも一つの表面形成を提供することによって、エアロゾル発生物品の喫煙中または別の方法で使用中に消費者の唇に接触するエアロゾル発生物品の表面性状についての選択肢が消費者に提供されている。
【0063】
フィルターは上述の通り、フィルターラッパーを備えてもよく、フィルターラッパーは少なくとも一つの表面形成を含む。少なくとも一つの表面形成は、エンボス加工とデボス加工のうちの少なくとも一つを含んでもよい。別の方法として、または追加的に、少なくとも一つの表面形成は、フィルターラッパーの厚さの異なりを含んでもよい。別の方法として、または追加的に、少なくとも一つの表面形成は、フィルターラッパーの表面上に沈着された、または別の方法で提供された一つ以上の材料(例えば、インクやワニスのうちの少なくとも一つ)を含んでもよい。
【0064】
本発明によるエアロゾル発生物品は、燃焼して煙を形成するたばこ材料を含むエアロゾル発生基体が中に含まれているフィルター付き紙巻たばこまたは他の喫煙物品であってもよい。従って、上述の実施形態のいずれかにおいて、そのエアロゾル発生基体はたばこロッドを備えてもよい。
【0065】
別の方法として、本発明によるエアロゾル発生物品は、中のたばこ材料が燃焼するのではなく、加熱されてエアロゾルを形成する物品であってもよい。一つのタイプの加熱式エアロゾル発生物品において、たばこ材料は一つ以上の電気発熱体によって加熱されてエアロゾルを生成する。別のタイプの加熱式エアロゾル発生物品において、エアロゾルは、可燃性の熱源または化学的な熱源から、熱源の内部、周り、または下流に位置してもよい物理的に分離されたたばこ材料への熱の伝達によって生成される。本発明は、燃焼を経ずに、一部の場合では加熱を経ずに、例えば化学反応によって、たばこ材料、たばこ抽出物、または他のニコチン供給源からニコチン含有エアロゾルが生成されるエアロゾル発生物品をさらに包含する。
【0066】
ここで、例証としてのみであるが、以下の添付図面を参照しながらさらに本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0067】
図1図1は、本発明の第一の実施形態によるエアロゾル発生物品を示す。
【発明を実施するための形態】
【0068】
図1に示すエアロゾル発生物品10は、巻かれたたばこロッドの形態のエアロゾル発生基体12と、たばこロッドと軸方向に整列した単一のフィルターセグメント16を備えるフィルター14とを備える、フィルター付き紙巻たばこである。たばこロッドの下流端は、図1に示す線18に沿ってフィルター14の上流端に隣接する。
【0069】
フィルターセグメント16は、セルロース繊維、セルロースアセテート繊維およびカルボキシメチルセルロース(CMC)のアルカリ金属塩を含む水分散性シート材料の集合体で形成されたプラグを備える。プラグは、木材パルプおよびカルボキシメチルセルロース(CMC)を含むシート材料で形成された水分散性プラグラップによって囲まれている。フィルターセグメント16は全体として、プラグラップを定位置に有し、上述の通り、EN 14987の試験方法によると水分散性である。
【0070】
脆弱線22を形成する穿孔の列を備えるチッピングラッパー20は、上流チッピングラッパー部分24が脆弱線22から上流に延び、かつ取り外し可能なチッピングラッパー部分26が脆弱線22から下流に延びるようにフィルター14の周囲に、およびたばこロッドの一部分の周囲に巻かれている。上流チッピングラッパー部分24のみがたばこロッドおよびフィルター14の下にある部分に接着されている。取り外し可能なチッピングラッパー部分26は下にあるフィルター14に接着されず、また上流チッピングラッパー部分24に固定される場合に、脆弱線22に沿ってのみエアロゾル発生物品10に固定されている。
【0071】
チッピングラッパー20の長軸方向の縁28は、フィルター14に沿って長軸方向に延びる継ぎ目を形成する。湾曲した切り取りタブ30は、第一の脆弱線22のある距離下流の、ある距離で、長軸方向の縁28に提供されている。
【0072】
エアロゾル発生物品10の喫煙前に、喫煙中に、または喫煙後に、消費者は所望する場合、取り外し可能なチッピングラッパー部分26を取り外して、下にあるフィルターセグメント36を露出させることができる。取り外し可能なチッピングラッパー部分26を取り外すために、消費者は取り外し可能なチッピングラッパー部分26上の切り取りタブ30を把持することができ、次に脆弱線22を形成している穿孔の列を破断することによって、取り外し可能なチッピングラッパー部分26をフィルター14から剥がして取り去ることができる。
【0073】
このようにして取り外し可能なチッピングラッパー部分26を取り外すことは、フィルターセグメント16の下にある部分を露出させ、そうすることでフィルターセグメントはフィルターが処分された後に、より容易に環境水と接触することができる。従って、フィルターセグメント16が水中に分散する速度は、取り外し可能なチッピングラッパー部分26の取り外しによって著しく増大する。環境水との接触に伴い、水分散性プラグラップは当初破壊され、結果として水分散性シート材料の下にあるプラグが露出され、水と接触し、分散することになる。取り外し可能なチッピングラッパー部分26と組み合わせた水分散性フィルターセグメント16のこの効果は、以下の実施例で実証されている。
【0074】
実施例
土壌内でのフィルターの分解性を測定するための以下の試験が、以下の各紙巻たばこの10個のサンプルで行われた。
紙巻たばこA:従来のセルロースアセテートトウを有する紙巻たばこ
紙巻たばこB:図1に示す通り、また上述の通り、本発明による紙巻たばこであって、取り外し可能なチッピングラッパー部分に損傷がない、紙巻たばこ。
紙巻たばこC:図1に示す通り、また上述の通り、本発明による紙巻たばこであって、取り外し可能なチッピングラッパー部分が取り外された、紙巻たばこ。
【0075】
各サンプルについて、紙巻たばこが喫煙され、残っているたばこはすべてフィルターから取り除かれた。フィルターは、摂氏105度で3時間調整され、またそれに続いて摂氏約22度で、かつ相対湿度約60パーセントで48時間調整された。次いで、初期重量(t=0)を提供するためにサンプルを秤量し、土壌の容器内に定置し、金属のネットによって覆い、その後屋外に放置した。
【0076】
6カ月後、サンプルを土壌から取り出し、清浄し、次いで上述の通り調整した後、秤量した(t=6m)。次いで、サンプルをさらに6カ月間土壌に戻し、その後取り出し、清浄し、再度秤量した(t=12m)。
t=0での開始体重に対するt=6カ月およびt=12カ月の各サンプルの重量の比較を以下の表に示す。
【0077】
【表1】
【0078】
上記の表の結果は、セルロースアセテートトウのプラグを含む従来のフィルター、および本発明による喫煙物品のフィルターの土壌内での分解性の速度の間の比較を提供するために使用することができる。重量損失の割合が高いほど、試験期間中にフィルターがより分解し、従って分解性の速度がより高い。
【0079】
本発明による紙巻たばこのフィルターについて、紙巻たばこBおよびCではフィルターの重量が12カ月の試験期間で30パーセントを超えて減少していて、それと比べて紙巻たばこAの従来のフィルターでは19パーセントのみであることが分かる。
【0080】
取り外し可能なチッピングラッパー部分が試験の前に取り外される時、紙巻たばこCのフィルターに関して、重量損失の割合が50パーセントを超えて著しく増加することが分かる。これは、水分散性フィルター構成要素と取り外し可能なチッピングラッパー部分との組み合わせがフィルターの分解の速度にもたらす有利な効果を明瞭に実証する。特に、こうした組み合わせは従来のフィルターと比較してフィルターの分解の速度を著しく増加させることが分かる。
図1