(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-16
(45)【発行日】2022-09-28
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/768 20060101AFI20220920BHJP
H01L 23/532 20060101ALI20220920BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20220920BHJP
H01L 27/146 20060101ALI20220920BHJP
【FI】
H01L21/90 N
H01L21/88 R
H01L27/146 A
H01L27/146 D
(21)【出願番号】P 2019563944
(86)(22)【出願日】2018-11-30
(86)【国際出願番号】 JP2018044305
(87)【国際公開番号】W WO2019135333
(87)【国際公開日】2019-07-11
【審査請求日】2021-11-08
(31)【優先権主張番号】P 2018000630
(32)【優先日】2018-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川島 寛之
【審査官】佐藤 靖史
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-353303(JP,A)
【文献】特開2014-154886(JP,A)
【文献】国際公開第2016/158440(WO,A1)
【文献】特開平10-294316(JP,A)
【文献】特開2001-110745(JP,A)
【文献】特開2001-217312(JP,A)
【文献】特開2015-038931(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/768
H01L 21/3205
H01L 27/146
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の層間膜と複数の拡散防止膜とが交互に積層され、前記層間膜の内部に配線が設けられた多層配線層と、
前記多層配線層の一面に設けられたビア絶縁層を貫通して設けられ、前記多層配線層の前記配線と電気的に接続されたコンタクトビアと、
前記多層配線層の一面と対向する他面から前記層間膜及び前記拡散防止膜を少なくとも1つ以上貫通して設けられたスルーホールと、
前記スルーホールと接続し、前記コンタクトビアを露出させるように、少なくとも1つ以上の前記層間膜に設けられた空隙と、
を備え
、
前記ビア絶縁層の前記多層配線層が設けられた一面と対向する他面には、半導体基板がさらに設けられ、
前記半導体基板には、フォトダイオードが設けられ、
前記空隙は、前記フォトダイオードからの信号電荷の読み出しを制御する転送トランジスタのゲートと電気的に接続するTG制御線に接する領域にさらに設けられ、
前記コンタクトビアは、前記転送トランジスタのゲートと電気的に接続する、
半導体装置。
【請求項2】
前記空隙は、前記フォトダイオードから読み出された信号電荷を蓄積するFD配線に接する領域に設けられる、請求項
1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記空隙は、前記フォトダイオードから読み出された信号電荷を画素信号に変換する画素回路と電気的に接続する垂直信号線又は電源線に接する領域にさらに設けられる、請求項
1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記多層配線層の前記他面側には、前記半導体基板と対向する基板がさらに設けられる、請求項
1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記コンタクトビアは、前記多層配線層の前記ビア絶縁層側に設けられた前記層間膜の内部に突出して設けられる、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記空隙は、少なくとも1つ以上の前記層間膜にさらに設けられる、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記空隙は、複数の前記層間膜にさらに設けられ、
前記空隙が設けられた前記層間膜の間の前記拡散防止膜には、一部に開口が設けられる、請求項
6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記層間膜の各々は、第1材料又は前記第1材料よりも比誘電率が低い第2材料にて形成され、
前記空隙は、前記第1材料にて形成された前記層間膜に設けられる、請求項
7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記配線は、第1金属にて形成され、前記コンタクトビアは、前記第1金属と異なる第2金属にて形成される、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記層間膜の内部には、前記コンタクトビアと接続し、前記第2金属にて形成された配線がさらに設けられる、請求項
9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第1金属は、銅であり、前記第2金属は、タングステンである、請求項
9に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第2金属にて形成された前記コンタクトビア及び前記配線の表面は、保護層で覆われている、請求項
10に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記スルーホールの内側には、保護側壁がさらに設けられる、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記拡散防止膜及び前記保護側壁は、それぞれ前記層間膜よりもフッ素化合物に対するエッチング耐性が高い材料で形成される、請求項
13に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の微細化に伴って、半導体装置の動作速度を低下させる配線遅延が増大している。具体的には、半導体装置において、配線の断面積が小さくなることで配線抵抗が増加するため、配線抵抗と配線間容量との積に比例する遅延(RC遅延ともいう)が増大している。
【0003】
このような配線遅延を低減するために、配線間の層間膜をより低誘電率化することが検討されている。しかし、今のところ、十分な低誘電率を実現する層間膜材料は見出されていない。
【0004】
そこで、配線間の材料を除去し、配線間を比誘電率1の中空層(エアギャップともいう)とすることで、配線間の誘電率をより低減することが検討されている。
【0005】
例えば、以下の特許文献1には、配線間の絶縁膜を除去してエアギャップ構造を形成する際に、配線にダメージを与えない構造を設けることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に開示された技術では、エアギャップが形成された空間に機械強度の低い薄膜が突出するため、エアギャップに突出した薄膜が崩落する可能性があった。また、特許文献1に開示された技術では、配線間の間隔が広い場合、エアギャップによって、半導体装置全体の機械強度が低下するため、半導体装置の信頼性が低下する可能性があった。
【0008】
そこで、本開示では、機械強度及び信頼性を維持しつつ、配線間容量を低減することが可能な、新規かつ改良された半導体装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示によれば、複数の層間膜と複数の拡散防止膜とが交互に積層され、前記層間膜の内部に配線が設けられた多層配線層と、前記多層配線層の一面に設けられたビア絶縁層を貫通して設けられ、前記多層配線層の前記配線と電気的に接続されたコンタクトビアと、前記多層配線層の一面と対向する他面から前記層間膜及び前記拡散防止膜を少なくとも1つ以上貫通して設けられたスルーホールと、前記スルーホールと接続し、前記コンタクトビアを露出させるように、少なくとも1つ以上の前記層間膜に設けられた空隙と、を備える、半導体装置が提供される。
【0010】
本開示によれば、積層方向及び面内方向の所定の領域の層間膜を除去することで、半導体基板と配線とを接続するコンタクトビアの周囲の領域に空隙を形成することができる。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように本開示によれば、半導体装置の機械強度及び信頼性を維持しつつ、配線間容量を低減することが可能である。
【0012】
なお、上記の効果は必ずしも限定的なものではなく、上記の効果とともに、又は上記の効果に代えて、本明細書に示されたいずれかの効果、又は本明細書から把握され得る他の効果が奏されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示の第1の実施形態に係る半導体装置を積層方向に切断した断面図である。
【
図2A】同実施形態に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【
図2B】同実施形態に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【
図2C】同実施形態に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【
図2D】同実施形態に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【
図2E】同実施形態に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【
図2F】同実施形態に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【
図2G】同実施形態に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【
図3】同実施形態の第1の変形例に係る半導体装置を積層方向に切断した断面図である。
【
図4】同実施形態の第2の変形例に係る半導体装置を積層方向に切断した断面図である。
【
図5A】同実施形態の第3の変形例に係る半導体装置を積層方向に切断した断面図である。
【
図5B】同実施形態の第3の変形例に係る半導体装置を積層方向に切断した断面図である。
【
図5C】同実施形態の第3の変形例に係る半導体装置を積層方向に切断した断面図である。
【
図6】同実施形態の第4の変形例に係る半導体装置を積層方向に切断した断面図である。
【
図7】本開示の第2の実施形態に係る半導体装置を積層方向に切断した断面図である。
【
図8A】同実施形態に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【
図8B】同実施形態に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【
図8C】同実施形態に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【
図8D】同実施形態に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【
図8E】同実施形態に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【
図9】同実施形態の変形例に係る半導体装置を積層方向に切断した断面図である。
【
図10】本開示の第3の実施形態に係る半導体装置を積層方向に切断した断面図である。
【
図11】同実施形態の半導体装置の各配線の積層構造を示す模式図である。
【
図12】同実施形態の半導体装置の各配線の積層構造を示す模式図である。
【
図14】内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【
図15】カメラヘッド及びCCUの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図16】体内情報取得システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図17】車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図18】車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0015】
以下の説明にて参照する各図面では、説明の便宜上、一部の構成部材の大きさを誇張して表現している場合がある。したがって、各図面において図示される構成部材同士の相対的な大きさは、必ずしも実際の構成部材同士の大小関係を正確に表現するものではない。また、以下の説明では、基板又は層が積層される方向を上方向と表すことがある。
【0016】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.第1の実施形態
1.1.構成例
1.2.製造方法
1.3.変形例
2.第2の実施形態
2.1.構成例
2.2.製造方法
2.3.変形例
3.第3の実施形態
4.応用例
4.1.第1の応用例
4.2.第2の応用例
4.3.第3の応用例
【0017】
<1.第1の実施形態>
(1.1.構成例)
まず、
図1を参照して、本開示の第1の実施形態に係る半導体装置の構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る半導体装置を積層方向に切断した断面図である。なお、
図1は、本実施形態に係る半導体装置1の断面の一部を示したものであり、半導体装置1は、図示しない範囲にも延伸していることは言うまでもない。
【0018】
図1に示すように、半導体装置1は、ビア絶縁層600と、第1~第3層間膜110、120、130及び第1~第4拡散防止膜210、220、230、240を交互に積層した多層配線層101と、を備える。
【0019】
ビア絶縁層600には、コンタクトビア610及び第0配線620が設けられ、第1~第3層間膜110、120、130には、それぞれ第1~第3配線310、320、330が設けられる。第1~第3配線310、320、330は、互いに第2~第3貫通ビア420、430によって電気的に接続されている。
【0020】
以下では、第1~第3層間膜110、120、130をまとめて層間膜100とも称し、第1~第4拡散防止膜210、220、230、240をまとめて拡散防止膜200とも称する。また、第1~第3配線310、320、330をまとめて配線300とも称し、第2~第3貫通ビア420、430をまとめて貫通ビア400とも称する。
【0021】
すなわち、半導体装置1は、配線300及び貫通ビア400を含む層間膜100と、拡散防止膜200とを交互に積層した多層配線層101を含む。
【0022】
なお、
図1では、多層配線層101は、第1~第3層間膜110、120、130と、第1~第4拡散防止膜210、220、230、240とが交互に積層された構造を示したが、本開示に係る技術は、かかる例示に限定されない。例えば、多層配線層101は、4つ又は5つ以上の層間膜100を含んでもよい。また、多層配線層101は、同数の層間膜100及び拡散防止膜200にて構成されてもよい。
【0023】
層間膜100は、配線300を互いに電気的に絶縁し、半導体装置1を構成する主要な層部材である。層間膜100は、比較的エッチングが容易な(具体的には、後述する拡散防止膜200よりもエッチングが容易な)絶縁材料で構成され、例えば、SiO2等の絶縁材料で構成されてもよい。また、層間膜100は、有機樹脂、又はカーボンドープSiO2若しくは多孔質シリカなどのlow-k材料などで構成されてもよい。
【0024】
拡散防止膜200は、層間膜100の各々を挟持するように設けられ、配線300を構成する金属の表面拡散を抑制し、かつ上層の部材を加工する際のストッパーとして機能する。拡散防止膜200は、具体的には、層間膜100よりもエッチング耐性(例えば、フッ素化合物に対するエッチング耐性)が高い絶縁材料で構成され、例えば、SiNx、SiCN、SiON、SiC等の絶縁材料で構成されてもよい。
【0025】
なお、層間膜100及び拡散防止膜200を構成する材料は、拡散防止膜200に対する層間膜100のエッチング選択性が高くなるように選択されればよく、様々な組み合わせが考えられ得る。したがって、層間膜100及び拡散防止膜200を構成する材料は、上記に限定されず、他の材料の組み合わせを用いることも可能である。
【0026】
配線300は、半導体装置1に設けられた能動素子又は受動素子の間で電流又は電圧を伝達する。配線300は、導電材料で構成され、第1金属又は第1金属の合金などで構成されてもよい。第1金属は、低抵抗かつ加工が容易な金属であり、例えば、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、コバルト(Co)、又はこれらの金属の合金(CoWB等)などである。配線300がCuで構成される場合、ダマシン法等を用いることで、配線300を容易に形成することができる。また、配線300がAlで構成される場合、ハロゲンガスによるドライエッチングを用いることで、配線300を容易に形成することができる。
【0027】
貫通ビア400は、異なる層間膜100に設けられた配線300同士を電気的に接続する。具体的には、第2貫通ビア420は、第1配線310及び第2配線320を電気的に接続し、第3貫通ビア430は、第2配線320及び第3配線330を電気的に接続する。貫通ビア400は、導電材料で構成され、配線300と同様に、第1金属又は第1金属の合金で構成されてもよい。例えば、貫通ビア400は、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、コバルト(Co)、又はこれらの金属の合金(CoWB等)などで構成されてもよい。
【0028】
ビア絶縁層600は、多層配線層101の一面に絶縁材料で設けられ、コンタクトビア610の各々を電気的に絶縁する。ビア絶縁層600は、層間膜100と同様に、比較的エッチングが容易な(具体的には、拡散防止膜200よりもエッチングが容易な)絶縁材料で構成されてもよい。ビア絶縁層600は、例えば、SiO2等の絶縁材料で構成されてもよく、有機樹脂、又はカーボンドープSiO2若しくは多孔質シリカなどのlow-k材料などで構成されてもよい。
【0029】
コンタクトビア610は、ビア絶縁層600及び第1拡散防止膜210を貫通し、第1層間膜110の内部に突出して設けられ、図示しない半導体基板と、第1配線310とを電気的に接続する。具体的には、コンタクトビア610は、ビア絶縁層600の多層配線層101が設けられる一面と対向する他面に設けられた半導体基板(図示せず)又は該半導体基板上に設けられた電極等と、第1配線310とを電気的に接続する。例えば、コンタクトビア610は、導電材料で構成され、配線300等を構成する第1金属とは異なる第2金属又は第2金属の合金で構成されてもよい。第2金属は、半導体基板への金属原子の拡散が少ない、コンタクトビア610の形成時の埋め込み性が高い、及び耐熱性が高い等の特性を有する金属であり、例えば、タングステン(W)などであってもよい。
【0030】
なお、コンタクトビア610は、半導体装置1の機械強度を確保するために、ビア絶縁層600及び第1層間膜110にフローティング状態で設けられてもよい。このような場合、コンタクトビア610は、半導体装置1の層間を支持する柱状部材として機能する。
【0031】
第0配線620は、第1層間膜110の内部かつ第1拡散防止膜210の上に設けられ、半導体装置1に設けられた能動素子又は受動素子と、コンタクトビア610とを電気的に接続する。第0配線620は、導電材料で構成され、コンタクトビア610と同様に第2金属又は第2金属の合金で構成されてもよい。例えば、第0配線620は、タングステン(W)又はタングステン合金などで構成されてもよい。
【0032】
コンタクトビア610及び第0配線620は、配線300よりも半導体基板に近い位置に設けられるため、第1金属よりも半導体基板への影響が少ない第2金属で構成され得る。コンタクトビア610及び第0配線620が第2金属で形成される場合、コンタクトビア610及び第0配線620の表面には、原子に対するバリア性が高い金属で形成されたバリアメタル層が設けられてもよい。バリアメタル層は、例えば、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、ルテニウム(Ru)、コバルト(Co)若しくはマンガン(Mn)等の金属又はこれらの金属の窒化物又は酸化物にて構成されてもよい。
【0033】
ただし、バリアメタル層は、後述する空隙530を形成するエッチングの際に、ダメージを受けてしまう可能性がある。そのため、コンタクトビア610及び第0配線620の表面にバリアメタル層を設ける場合、バリアメタル層をさらに覆うように、拡散防止膜200と同様の材料で形成される保護膜を設けてもよい。
【0034】
本実施形態に係る半導体装置1には、スルーホール510、保護側壁520及び空隙530がさらに設けられる。空隙530は、コンタクトビア610を露出させるように第1層間膜110及び第2層間膜120に設けられる。スルーホール510は、第4拡散防止膜240、第3層間膜130及び第3拡散防止膜230を貫通して設けられ、空隙530と外部空間とを連通する。保護側壁520は、スルーホール510の内側の側面に設けられる。
【0035】
なお、
図1では図示しないが、第4拡散防止膜240の上には、スルーホール510による開口を塞ぐ封止層が設けられてもよい。封止層は、例えば、SiO
x、SiN
x、SiCN、SiON若しくはSiC等の無機絶縁材料又は有機樹脂で構成され、スルーホール510及び空隙530への水分等の侵入を防止することができる。
【0036】
スルーホール510は、多層配線層101のビア絶縁層600が設けられた一面と対向する他面に設けられた層間膜100、及び該層間膜100を挟持する拡散防止膜200を貫通して設けられる。具体的には、スルーホール510は、第3層間膜130と、第3層間膜130を挟持する第3拡散防止膜230及び第4拡散防止膜240とを貫通して設けられる。スルーホール510の開口は、任意の平面形状で形成されてもよい。例えば、スルーホール510の開口は、少なくとも一辺が50nm~300nmの略四角形形状、又は直径が50nm~300nmの略円形状にて形成されてもよい。
【0037】
保護側壁520は、スルーホール510の内部の側面に設けられ、スルーホール510によって露出した第3層間膜130の側面を保護する。保護側壁520は、例えば、層間膜100よりもエッチング耐性(例えば、フッ素化合物に対するエッチング耐性)が高い絶縁材料で構成され、例えば、SiNx、SiCN、SiON、SiOC又はSiC等の絶縁材料で構成されてもよい。また、保護側壁520は、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化チタン(TiO2)、五酸化二タンタル(Ta2O5)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化ジルコン(ZrO2)又は酸化ランタン(La2O3)などのhigh-k材料で形成されてもよく、金属材料で形成されてもよい。なお、保護側壁520が金属材料で形成される場合、保護側壁520は、フローティング状態となるように形成される。
【0038】
保護側壁520は、空隙530を形成する際に、第3層間膜130がエッチングされないように保護する機能を果たす。具体的には、空隙530は、スルーホール510を介してエッチング液又はエッチング蒸気を導入し、第1層間膜110及び第2層間膜120をエッチング(ウエットエッチング又はヴェイパーエッチング)することで形成される。このとき、保護側壁520は、エッチング液又はエッチング蒸気によって第3層間膜130がエッチングされることを防止する。このような内部の側面が保護側壁520で覆われたスルーホール510を形成することで、半導体装置1は、多層配線層101の内部に層間膜100に空隙530を形成することができる。なお、保護側壁520は、例えば、5nm~30nmの薄膜であってもよい。
【0039】
空隙530は、コンタクトビア610を露出させるように多層配線層101の少なくとも1つ以上の層間膜100に設けられ、コンタクトビア610又は配線300の各々の間の空間を比誘電率が1である中空にする。具体的には、空隙530は、第1層間膜110及び第2層間膜120に設けられ、コンタクトビア610の一部、第1配線310及び第2配線320の各々の間の空間を中空にする。これによれば、空隙530は、コンタクトビア610又は配線300の各々の間に形成される寄生容量を低減させることができる。
【0040】
本実施形態に係る半導体装置1では、空隙530は、少なくともコンタクトビア610を露出させるように第1層間膜110に設けられる。この構成によれば、半導体装置1は、トランジスタ等が形成される半導体基板に近い領域の配線間容量を低減させることができるため、信号の変換効率及びスイッチング特性等の半導体装置1の基本的な性能を向上させることができる。
【0041】
なお、空隙530は、例えば、ウエットエッチング又はヴェイパーエッチングを用いて、スルーホール510を介してエッチング液又はエッチング蒸気を導入し、第1層間膜110及び第2層間膜120をエッチングすることで形成することができる。
【0042】
このとき、多層配線層101の積層方向で空隙530が形成される領域は、拡散防止膜200で囲われた領域に制限される。これは、拡散防止膜200は、層間膜100よりもエッチング耐性が高く、エッチングが進行しにくいためである。また、多層配線層101の面内方向で空隙530が形成される領域は、エッチング量によって制御される。すなわち、スルーホール510から導入されたエッチング液又はエッチング蒸気は、スルーホール510の直下から等方的に広がって層間膜100をエッチングするため、空隙530の面内方向の領域は、エッチング量によって制御することができる。
【0043】
なお、層間膜100のエッチングは、コンタクトビア610、貫通ビア400及び配線300がエッチングされない条件で行われる。したがって、空隙530が形成される領域にコンタクトビア610、貫通ビア400又は配線300が存在する場合、これらの構成は、空隙530の内部にそのまま残存することになる。また、コンタクトビア610、貫通ビア400又は配線300によって、層間膜100が空間的に仕切られている場合、これらの構成によってエッチング液又はエッチング蒸気の進入が遮られ、空隙530が形成される領域は制限されることになる。
【0044】
ここで、空隙530が複数の層間膜100に設けられる場合、該複数の層間膜100の間の拡散防止膜200には、開口が形成される。具体的には、空隙530が第1層間膜110及び第2層間膜120に形成される場合、第1層間膜110及び第2層間膜120の間の第2拡散防止膜220には、開口が形成される。これにより、スルーホール510からエッチング液又はエッチング蒸気を導入した際に、開口を介してエッチング液又はエッチング蒸気が第2層間膜120から第1層間膜110まで拡散する。これにより、複数の層間膜100に亘って空隙530が形成される。
【0045】
このとき、拡散防止膜200の開口は、空隙530に対して突出し、かつ配線300の上に形成されていない領域が形成されないように形成される。これによれば、空隙530が形成された後に、空隙530に突出した拡散防止膜200が崩落することを防止することができる。
【0046】
なお、
図1では、スルーホール510が1つのみ形成された場合を示したが、本開示に係る技術は、上記例示に限定されない。例えば、スルーホール510は、複数形成されてもよい。このような場合、複数のスルーホール510は、同一の空隙530を形成してもよく、それぞれ別の空隙530を形成してもよい。
【0047】
以上にて説明した半導体装置1によれば、空隙530によって配線300の各々の間を中空とすることができるため、配線間容量を低減することができる。したがって、半導体装置1は、配線300における遅延を抑制することで、動作の高速化、及び低消費電力化を実現することができる。また、半導体装置1では、空隙530に突出する拡散防止膜200が生じないため、機械強度が低い拡散防止膜200が崩落することを防止することができる。
【0048】
(1.2.製造方法)
次に、
図2A~
図2Gを参照して、本実施形態に係る半導体装置1の製造方法について説明する。
図2A~
図2Gは、本実施形態に係る半導体装置1の製造方法の一工程を示す断面図である。
【0049】
まず、
図2Aに示すように、図示しない半導体基板の上に、CVD(Chemical Vapor Deposition)法によってビア絶縁層600、第1拡散防止膜210、第1層間膜110及び第2拡散防止膜220が順次積層される。また、ビア絶縁層600には、コンタクトビア610が設けられ、第1層間膜110には、第0配線620及び第1配線310が設けられる。
【0050】
具体的には、まず、シリコン(Si)等からなる半導体基板(図示せず)の上に、CVD法によってビア絶縁層600を形成する。次に、ビア絶縁層600の上に、CVD法によって第1拡散防止膜210を形成した後、所定の領域のビア絶縁層600及び第1拡散防止膜210をエッチングにて除去する。エッチングによって形成された開口に、スパッタ法によって窒化チタン(TiN)などのバリアメタル層を形成した後、タングステン(W)を埋め込むことで、コンタクトビア610及び第0配線620を形成する。
【0051】
続いて、第1拡散防止膜210の上に、CVD法によって第1層間膜110を形成した後、所定の領域の第1層間膜110をエッチングによって除去し、ダマシン法を用いて銅(Cu)などで埋め戻すことで、第1配線310を形成する。その後、第1層間膜110及び第1配線310上に、CVD法によって全面に亘って第2拡散防止膜220を形成する。
【0052】
なお、ビア絶縁層600及び第1層間膜110は、フッ化水素酸によるエッチングが容易なSiOx等で形成されてもよく、第1拡散防止膜210及び第2拡散防止膜220は、フッ化水素酸に対するエッチング耐性が高いSiC等で形成されてもよい。
【0053】
次に、
図2Bに示すように、フォトリソグラフィ法等を用いて、第2拡散防止膜220の一部が除去され、開口530Aが形成される。開口530Aは、後段の空隙530を形成する工程において、第2層間膜120から第1層間膜110へエッチング液を導入するための開口として機能する。
【0054】
続いて、
図2Cに示すように、第2拡散防止膜220の上に、CVD法によって第2層間膜120、第3拡散防止膜230、第3層間膜130及び第4拡散防止膜240が順次積層される。また、第2層間膜120には、第2配線320及び第2貫通ビア420が設けられ、第3層間膜130には、第3配線330及び第3貫通ビア430が設けられる。
【0055】
具体的には、第2拡散防止膜220の上に、CVD法によって第2層間膜120を形成した後、所定の領域の第2層間膜120をエッチングによって除去し、ダマシン法を用いて銅(Cu)などで埋め戻すことで、第2配線320及び第2貫通ビア420を形成する。次に、同様に、第2配線320及び第2層間膜120の上に、CVD法によって第3拡散防止膜230及び第3層間膜130を形成する。続いて、所定の領域の第3層間膜130をエッチングによって除去し、ダマシン法を用いて銅(Cu)などで埋め戻すことで、第3配線330及び第3貫通ビア430を形成する。その後、第3配線330及び第3層間膜130の上に、CVD法によって第4拡散防止膜240が形成される。
【0056】
なお、第2層間膜120及び第3層間膜130は、フッ化水素酸によるエッチングが容易なSiOx等で形成されてもよく、第3拡散防止膜230及び第4拡散防止膜240は、フッ化水素酸に対するエッチング耐性が高いSiC等で形成されてもよい。
【0057】
次に、
図2Dに示すように、エッチング等を用いて、一部領域の第4拡散防止膜240及び第3層間膜130を除去することで、第3拡散防止膜230を露出させるスルーホール510を形成する。なお、スルーホール510が形成される領域は、例えば、第2配線320及び第3配線330が形成されていない領域である。スルーホール510の開口の平面形状は、例えば、50nm~300nm四方の正方形としてもよい。なお、スルーホール510は、複数設けられてもよいことは言うまでもない。
【0058】
続いて、
図2Eに示すように、ALD(Atomic Layer Deposition)法を用いて、第4拡散防止膜240の上、及びスルーホール510の内部の側面に保護膜520Aが形成される。保護膜520Aは、例えば、フッ化水素酸に対するエッチング耐性が高く、層間膜100に対してエッチング選択比が確保できるSiC等にて、5nm~30nmの膜厚で形成されてもよい。なお、保護膜520Aは、ALD法を用いて成膜されるため、第4拡散防止膜240の上、及びスルーホール510の内部の側面に一様に(コンフォーマルに)形成される。
【0059】
次に、
図2Fに示すように、保護膜520Aを全面エッチバックすることによって、第4拡散防止膜240及び第3拡散防止膜230の上に形成されていた保護膜520Aを除去し、第4拡散防止膜240及び第2層間膜120を露出させる。
【0060】
全面エッチバックは、垂直異方性が高いエッチングにて行うことで、スルーホール510の内側に形成された保護膜520Aを残しつつ、第4拡散防止膜240及び第3拡散防止膜230の上に形成されていた保護膜520Aを除去することができる。これにより、スルーホール510の内部側面を覆う保護側壁520が形成される。第3層間膜130の上には第4拡散防止膜240が設けられるため、全面エッチバックによって第3層間膜130にダメージを与えることなく、保護側壁520を形成することができる。
【0061】
続いて、
図2Gに示すように、スルーホール510を介して、希フッ化水素酸の溶液又は蒸気を第2層間膜120及び第1層間膜110に導入することでエッチングを行い、空隙530を形成する。
【0062】
このとき、保護側壁520、第1~第4拡散防止膜210、220、230、240は、フッ化水素酸へのエッチング耐性が高いSiC等で形成されているため、ほとんどエッチングが進行しない。また、コンタクトビア610、第0配線620、第1~第2配線310、320及び第2貫通ビア420は、銅(Cu)又はタングステン(W)などの金属材料で構成され、フッ化水素酸へのエッチング耐性が高いため、ほとんどエッチングが進行しない。これによれば、エッチングによって第1層間膜110及び第2層間膜120のみを除去し、空隙530を形成することができる。
【0063】
したがって、半導体装置1の積層方向に空隙530が形成される領域は、第1拡散防止膜220及び第3拡散防止膜230にて挟持された領域に制御される。また、半導体装置1の面内方向に空隙530が形成される領域は、エッチング量によって制御される。ただし、コンタクトビア610、第0配線620、第1~第2配線310、320及び第2貫通ビア420が所定の領域を囲む壁状に形成されている場合は、空隙530が形成される領域は、これらの構成に囲まれる所定の領域に制御されてもよい。これによれば、半導体装置1は、配線間容量を低減したい領域のみに空隙530を形成することも可能である。
【0064】
なお、第2拡散防止膜220は、第1配線310が形成された領域を端部とする領域に形成されており、空隙530に突出していない。そのため、半導体装置1では、空隙530を形成した後に、第2拡散防止膜220が崩落することを防止することができる。
【0065】
以上の工程を経ることにより、本実施形態に係る半導体装置1を製造することができる。なお、空隙530への水分等の侵入を防ぐために、第4拡散防止膜240の上には、絶縁材料で構成される封止層がスルーホール510の開口を塞ぐために設けられてもよい。
【0066】
上記の製造方法では、エッチングにフッ化水素酸を用い、フッ化水素酸に対してエッチングが容易な材料として層間膜100にSiOxを用い、フッ化水素酸に対してエッチング耐性が高い材料として拡散防止膜200にSiCを用いた。しかしながら、本開示に係る技術は上記例示に限定されない。層間膜100及び拡散防止膜200に用いる材料の組み合わせは、拡散防止膜200に対する層間膜100のエッチング選択性が十分に確保できれば、任意の材料の組み合わせとすることが可能である。
【0067】
(1.3.変形例)
次に、
図3~
図6を参照して、本実施形態に係る半導体装置1の変形例について説明する。
図3は、第1の変形例に係る半導体装置11を積層方向に切断した断面図であり、
図4は、第2の変形例に係る半導体装置12を積層方向に切断した断面図であり、
図5A~
図5Cは、第3の変形例に係る半導体装置13A~13Cを積層方向に切断した断面図であり、
図6は、第4の変形例に係る半導体装置14を積層方向に切断した断面図である。なお、
図3~
図6は、半導体装置の断面の一部を示したものであり、半導体装置は、図示しない範囲にも面内方向に延伸していることは言うまでもない。
【0068】
(第1の変形例)
図3に示すように、第1の変形例に係る半導体装置11では、空隙530によって露出した面に保護膜540が形成されてもよい。具体的には、空隙530によって露出されたコンタクトビア610、第0配線620、層間膜100、拡散防止膜200、配線300及び貫通ビア400の各面には、保護膜540が形成されてもよい。なお、その他の構成については、
図1を参照して説明したとおりであるため、ここでの説明は省略する。
【0069】
保護膜540は、例えば、任意の絶縁材料で構成され、例えば、SiOx、SiNx、SiCN、SiON、SiOC又はSiC等の絶縁材料で構成されてもよい。保護膜540の膜厚は、例えば、2nm~50nmであってもよい。保護膜540は、配線300及び貫通ビア400において、エレクトロマイグレーション及び経時的絶縁破壊(Time Dependant Dielectric Breakdown:TDDB)を防止することで、配線信頼性を向上させることができる。このような保護膜540は、例えば、スルーホール510を介して空隙530の内部に原料ガスを導入し、ALD法を行うことで形成することができる。
【0070】
(第2の変形例)
次に、
図4に示すように、第2の変形例に係る半導体装置12では、層間膜100が複数の異なる材料で形成されてもよい。具体的には、ビア絶縁層600、第1層間膜110及び第2層間膜120は、第1材料で形成され、第3層間膜131は、第1材料とは異なる第2材料で形成されてもよい。例えば、ビア絶縁層600、第1層間膜110及び第2層間膜120は、SiO
xなどの第1材料で形成されてもよく、第3層間膜131は、第1材料のSiO
xよりも比誘電率が低い第2材料(いわゆる、上述したlow-k材料)で形成されてもよい。なお、その他の構成については、
図1を参照して説明したとおりであるため、ここでの説明は省略する。
【0071】
空隙530は、第2材料よりも比誘電率が高い第1材料で形成される層間膜100の内部に設けられることで、配線300の間に形成される寄生容量を効果的に低減することができる。ただし、空隙530は、第1材料よりも比誘電率が高い第2材料で形成される層間膜100の内部に設けられてもよいことは言うまでもない。
【0072】
また、第2材料(いわゆる、上述したlow-k材料)に対して、第1材料のエッチング選択性が高くなるように第1材料及び第2材料の組み合わせを選択する場合、保護側壁520を形成せずとも空隙530を形成することが可能になる。具体的には、空隙530を形成する際のエッチングによって、第2材料で形成された第3層間膜131がエッチングされなくなるため、保護側壁520を形成せずとも空隙530を形成することが可能になる。
【0073】
(第3の変形例)
続いて、
図5A~
図5Cに示すように、第3の変形例に係る半導体装置13A~13Cでは、4層以上の層間膜100及び拡散防止膜200が積層されてもよく、空隙530が1層~3層の層間膜100に形成されてもよい。
【0074】
ここで、第4層間膜140は、第1~第3層間膜110、120、130と同様の材料で構成されてもよい。第5拡散防止膜250は、第1~第4拡散防止膜210、220、230、240と同様の材料で構成されてもよい。第4配線340は、第1~第3配線310、320、330と同様の材料で構成されてもよい。第4貫通ビア440は、第2~第3貫通ビア420、430と同様の材料で構成されてもよい。また、その他の構成については、
図1を参照して説明したとおりであるため、ここでの説明は省略する。
【0075】
図5Aに示すように、空隙530は、1層の層間膜100に形成されてもよい。具体的には、空隙530は、第1層間膜110に形成されてもよい。このような場合、スルーホール510は、第2~第5拡散防止膜220、230、240、250及び第2~第4層間膜120、130、140を貫通して設けられることになる。
【0076】
また、
図5Bに示すように、空隙530は、2層の層間膜100に形成されてもよい。具体的には、空隙530は、第1層間膜110及び第2層間膜120に形成されてもよい。このような場合、スルーホール510は、第3~第5拡散防止膜230、240、250及び第3~第4層間膜130、140を貫通して設けられることになる。
【0077】
さらに、
図5Cに示すように、空隙530は、3層の層間膜100に形成されてもよい。具体的には、空隙530は、第1層間膜110、第2層間膜120及び第3層間膜130に形成されてもよい。このような場合、スルーホール510は、第4~第5拡散防止膜240、250及び第4層間膜140を貫通して設けられることになる。
【0078】
ただし、本変形例に係る半導体装置13A~13Cでは、いずれの場合でも、空隙530はコンタクトビア610及び第0配線620を露出させるように、少なくとも第1層間膜110に設けられる。これによれば、半導体装置13A~13Cは、トランジスタ等が形成される半導体基板に近い領域の配線間容量を低減させることができるため、信号の変換効率及びスイッチング特性等の半導体装置1の基本的な性能を向上させることができる。
【0079】
なお、本実施形態に係る半導体装置1の層間膜100及び拡散防止膜200の積層数は特に限定されない。すなわち、多層配線層101は、6層以上の層間膜100及び拡散防止膜200を積層することで形成されてもよい。空隙530が形成される層間膜100の数は、より多い方が半導体装置1全体での配線間容量を低減することができるが、一方で空隙530が形成される層間膜100の数は、より少ない方が半導体装置1全体での機械強度を維持することができる。したがって、空隙530が形成される層間膜100の数は、配線間容量及び機械強度のバランスを考慮して、適宜調整されてもよい。
【0080】
(第4の変形例)
さらに、
図6に示すように、第4の変形例に係る半導体装置14では、第1層間膜110の間にさらに拡散防止膜211が設けられてもよい。具体的には、第1層間膜110に設けられた第1配線310とコンタクトビア610との間には、拡散防止膜211がさらに設けられてもよい。
【0081】
なお、拡散防止膜211は、第1~第4拡散防止膜210、220、230、240と同様の材料で構成されてもよい。また、その他の構成については、
図1を参照して説明したとおりであるため、ここでの説明は省略する。
【0082】
この構成によれば、拡散防止膜211によって、空隙530が形成される領域をより細かく制御することが可能になる。例えば、第1配線310とコンタクトビア610とで空隙530が形成される平面領域を変更することが可能になる。
【0083】
<2.第2の実施形態>
(2.1.構成例)
次に、
図7を参照して、本開示の第2の実施形態に係る半導体装置2の構成について説明する。
図7は、本実施形態に係る半導体装置を積層方向に切断した断面図である。なお、
図7は、本実施形態に係る半導体装置2の断面の一部を示したものであり、半導体装置2は、図示しない範囲にも延伸していることは言うまでもない。
【0084】
図7に示すように、半導体装置2では、層間膜100及び拡散防止膜200を交互に積層した多層配線層101が一対の基板710、720に挟持され、スルーホール510は、基板710及びビア絶縁層600を貫通して設けられる。
【0085】
ここで、第4層間膜140は、第1~第3層間膜110、120、130と同様の材料で構成されてもよい。また、その他の構成については、
図1を参照して説明したとおりであるため、ここでの説明は省略する。
【0086】
本実施形態に係る半導体装置2では、層間膜100及び拡散防止膜200を交互に積層した多層配線層101を一対の基板710、720で挟持することにより、半導体装置2全体の機械強度を向上させることができる。
【0087】
基板710は、半導体基板であり、例えば、シリコン(Si)基板であってもよい。具体的には、基板710は、半導体装置1の主要機能を実現するための各種受動素子又は能動素子が設けられる基板である。例えば、基板710には、メモリ回路、ロジック回路、アンプ回路又はカラーセンサなどが設けられてもよい。
【0088】
基板720は、層間膜100及び拡散防止膜200が交互に積層された多層配線層101を接合することができれば、いかなる材質の基板も使用可能である。基板720は、例えば、石英などのガラス基板、ポリイミド若しくはポリエステルなどの樹脂基板、又はシリコン(Si)等の半導体基板であってもよい。
【0089】
さらに、基板710、720は、CMP(Chemical Mechanical Polishing)等によって、薄膜化されていてもよい。本実施形態に係る半導体装置2は、空隙530が形成された場合でも全体としての機械強度を維持することができるため、基板710、720を薄膜化した場合でも十分な機械強度を確保することが可能である。
【0090】
本実施形態に係る半導体装置2で示すように、スルーホール510は、層間膜100及び拡散防止膜200を交互に積層した多層配線層101のいずれの面から設けられてもよい。すなわち、スルーホール510は、第4層間膜140側から設けられてもよく、第1層間膜110側(すなわち、ビア絶縁層600側)から設けられてもよい。いずれの場合でも、半導体装置2は、第1の実施形態と同様にスルーホール510を介して、多層配線層101の内部にコンタクトビア610又は第0配線620を露出させるような空隙530を形成することが可能である。
【0091】
(2.2.製造方法)
続いて、
図8A~
図8Eを参照して、本実施形態に係る半導体装置2の製造方法について説明する。
図8A~
図8Eは、本実施形態に係る半導体装置2の製造方法の一工程を示す断面図である。
【0092】
まず、
図8Aに示すように、CVD法によってビア絶縁層600、第1拡散防止膜210、第1層間膜110及び第2拡散防止膜220が順次積層される。また、ビア絶縁層600には、コンタクトビア610が設けられ、第1層間膜110には、第0配線620及び第1配線310が設けられる。
【0093】
具体的には、まず、CVD法によってビア絶縁層600を形成する。次に、ビア絶縁層600の上に、CVD法によって第1拡散防止膜210を形成した後、所定の領域のビア絶縁層600及び第1拡散防止膜210をエッチングにて除去する。その後、エッチングによって形成された開口に、スパッタ法によって窒化チタン(TiN)などのバリアメタル層を形成した後、タングステン(W)を埋め込むことで、コンタクトビア610及び第0配線620を形成する。
【0094】
続いて、第1拡散防止膜210の上に、CVD法によって第1層間膜110を形成した後、所定の領域の第1層間膜110をエッチングによって除去し、ダマシン法にて銅(Cu)などで埋め戻すことで、第1配線310を形成する。その後、第1層間膜110及び第1配線310上に、全面に亘ってCVD法によって第2拡散防止膜220を形成する。
【0095】
なお、ビア絶縁層600及び第1層間膜110は、フッ化水素酸によるエッチングが容易なSiOx等で形成されてもよく、第1拡散防止膜210及び第2拡散防止膜220は、フッ化水素酸に対するエッチング耐性が高いSiC等で形成されてもよい。
【0096】
次に、
図8Bに示すように、フォトリソグラフィ法等を用いて、第2拡散防止膜220の一部が除去され、開口530Aが形成される。開口530Aは、後段の空隙530を形成する工程において、第2層間膜120から第1層間膜110へエッチング液を導入するための開口として機能する。
【0097】
続いて、
図8Cに示すように、第2拡散防止膜220の上に、CVD法によって第2層間膜120、第3拡散防止膜230、第3層間膜130及び第4拡散防止膜240が順次積層される。また、第2層間膜120には、第2配線320及び第2貫通ビア420が設けられ、第3層間膜130には、第3配線330及び第3貫通ビア430が設けられる。
【0098】
具体的には、第2拡散防止膜220の上に、CVD法によって第2層間膜120を形成した後、所定の領域の第2層間膜120をエッチングによって除去し、ダマシン法にて銅(Cu)などで埋め戻すことで、第2配線320及び第2貫通ビア420を形成する。次に、同様に、第2配線320及び第2層間膜120の上に、CVD法によって第3拡散防止膜230及び第3層間膜130を形成する。続いて、所定の領域の第3層間膜130をエッチングによって除去し、ダマシン法を用いて銅(Cu)などで埋め戻すことで、第3配線330及び第3貫通ビア430を形成する。その後、第3配線330及び第3層間膜130の上に、CVD法によって第4拡散防止膜240が形成される。
【0099】
なお、第2層間膜120及び第3層間膜130は、フッ化水素酸によるエッチングが容易なSiOx等で形成されてもよく、第3拡散防止膜230及び第4拡散防止膜240は、フッ化水素酸に対するエッチング耐性が高いSiC等で形成されてもよい。
【0100】
次に、
図8Dに示すように、第4拡散防止膜240の上に、CVD法によって第4層間膜140を積層した後、第4層間膜140の表面に基板720が接合され、ビア絶縁層600側にも基板710が接合される。これにより、多層配線層101は、基板710、720によって挟持されることになる。その後、基板710側にスルーホール510及び保護膜521が形成される。
【0101】
第4層間膜140は、フッ化水素酸によるエッチングが容易なSiOx等で形成されてもよい。第5拡散防止膜250は、フッ化水素酸に対するエッチング耐性が高いSiC等で形成されてもよい。また、基板710、720は、シリコン(Si)基板であってもよい。基板710、720は、多層配線層101を接合した後、CMP等によって薄膜化されてもよい。
【0102】
スルーホール510は、基板710及びビア絶縁層600の一部領域をエッチングで除去することで形成される。また、保護膜520Aは、ALD法によって、基板710、スルーホール510の内側に一様に(コンフォーマルに)形成される。なお、スルーホール510の開口の平面形状は、50nm~300nm四方の正方形であってもよい。保護膜520Aは、例えば、フッ化水素酸に対するエッチング耐性が高いSiC等にて、5nm~30nmの膜厚で形成されてもよい。
【0103】
次に、
図8Eに示すように、全面エッチバックすることによって、基板710上の保護膜520Aと、第1層間膜110上の保護膜520A及び第1拡散防止膜210とを除去する。その後、スルーホール510を介して、エッチング液又はエッチング蒸気を導入することで、第1層間膜110及び第2層間膜120のエッチングを行い、空隙530を形成する。なお、全面エッチバックは、例えば、垂直異方性が高いエッチングを行うことで実行することができる。
【0104】
ここで、第1層間膜110及び第2層間膜120のエッチングは、希フッ化水素酸を用いたウエットエッチング又はヴェイパーエッチングを用いることで行うことができる。このとき、保護側壁520、第1~第3拡散防止膜210、220、230は、フッ化水素酸へのエッチング耐性が高いSiC等で形成されているため、ほとんどエッチングが進行しない。また、コンタクトビア610、第0配線620、第1配線310、第2配線320及び第1貫通ビア410は、銅(Cu)又はタングステン(W)などの金属材料で構成され、フッ化水素酸へのエッチング耐性が高いため、ほとんどエッチングが進行しない。これによれば、半導体装置2では、第1層間膜110及び第2層間膜120を選択的にエッチングし、空隙530を形成することができる。
【0105】
以上の工程を経ることにより、本実施形態に係る半導体装置2を製造することができる。なお、空隙530への水分等の侵入を防ぐために、基板710の上には、絶縁材料で構成され、スルーホール510の開口を塞ぐ封止層が設けられてもよい。
【0106】
本実施形態に係る半導体装置2の製造方法では、空隙530の形成は、CMPによる基板710、720の薄膜化後に行うことができる。このため、半導体装置2は、機械的なストレスが加えられるCMP工程において、空隙530に起因するクラック等の発生を抑制することができる。
【0107】
(2.3.変形例)
さらに、
図9を参照して、本実施形態に係る半導体装置2の変形例について説明する。
図9は、本変形例に係る半導体装置21を積層方向に切断した断面図である。なお、
図9は、半導体装置の断面の一部を示したものであり、半導体装置は、図示しない範囲にも面内方向に延伸していることは言うまでもない。
【0108】
図9に示すように、本変形例に係る半導体装置21では、層間膜100が複数の異なる材料で形成されてもよい。具体的には、ビア絶縁層600及び第1層間膜の一部110は、第1材料で形成され、第1層間膜の残部111、第2層間膜121及び第3層間膜131は、第1材料とは異なる第2材料で形成されてもよい。例えば、ビア絶縁層600及び第1層間膜の一部110は、SiO
xなどの第1材料で形成されてもよく、第1層間膜の残部111、第2層間膜121及び第3層間膜131は、第1材料のSiO
xよりも比誘電率が低い第2材料(いわゆる、上述したlow-k材料)で形成されてもよい。なお、その他の構成については、
図7を参照して説明したとおりであるため、ここでの説明は省略する。
【0109】
空隙530は、第2材料よりも比誘電率が高い第1材料で形成される層間膜100の内部に設けられることで、配線300の間の容量を効果的に低減することができる。ただし、空隙530は、第1材料よりも比誘電率が高い第2材料で形成される層間膜100の内部に設けられてもよいことは言うまでもない。
【0110】
また、第2材料に対して、第1材料のエッチング選択性が高くなるように第1材料及び第2材料の組み合わせを選択する場合、第1材料で形成された層間膜100にのみ空隙530を形成することが可能になる。具体的には、空隙530を形成する際のエッチングによって、第1材料で形成された第1層間膜の一部110にのみ空隙530を形成することが可能になる。このような場合、半導体装置21では、空隙530が形成される領域をより簡易に制御することができる。
【0111】
<3.第3の実施形態>
続いて、
図10~
図13Cを参照して、本開示の第3の実施形態に係る半導体装置3の構成について説明する。
図10は、本実施形態に係る半導体装置を積層方向に切断した断面図である。
【0112】
図10に示すように、半導体装置3は、第1基板1100及び第2基板1200が積層されて構成される積層型の固体撮像装置である。
図10における破線は、第1基板1100及び第2基板1200の貼り合わせ面を示している。
【0113】
第1基板1100は、例えば、画素部が設けられる画素基板であり、第2基板1200は、半導体装置3の動作に係る各種の信号処理を行うための回路が設けられるロジック基板である。半導体装置3は、第1基板1100の一面から入射した光を画素部にて光電変換し、光電変換した信号電荷を第2基板1200で画素信号に変換する。半導体装置3は、いわゆる裏面照射型のCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)イメージセンサであってもよい。
【0114】
第1基板1100は、例えば、シリコン(Si)からなる半導体基板1170と、半導体基板1170上に形成される多層配線層1101とから主として構成される。半導体基板1170には、画素が所定の配置に並べられた画素部、及び画素信号を処理する画素信号処理回路が設けられる。画素は、観察対象からの光(観察光)を受光し光電変換するフォトダイオード(PD)、及びPDによって取得された観察光に対応する画素信号を読み出すためのトランジスタ等を有する駆動回路から主に構成される。画素信号処理回路では、読み出された画素信号に対して、例えばアナログ-デジタル変換(AD変換)等の各種の信号処理が実行される。
【0115】
画素部及び画素信号処理回路が形成された半導体基板1170の一面には、層間膜1110及び拡散防止膜1120が交互に積層される。層間膜1110の内部には、駆動回路のトランジスタを駆動するための駆動信号及び画素信号等の各種信号を伝達するための配線1130が形成される。これにより、多層配線層1101が形成される。多層配線層1101の最下層(最も半導体基板1170側の層)の配線は、例えばタングステン(W)等で形成されたコンタクトビア1160によって、画素部又は画素信号処理回路からの信号を取り出す電極1180等に電気的に接続される。本実施形態に係る半導体装置3では、コンタクトビア1160を露出させる領域に空隙1153、及び空隙1153を形成するためのスルーホール1151が設けられる。
【0116】
第2基板1200は、例えば、シリコンからなる半導体基板1270と、半導体基板1270上に形成される多層配線層1201とから主として構成される。半導体基板1270には、半導体装置3の動作に係る各種の信号処理が実行されるロジック回路が形成される。例えば、ロジック回路では、第1基板1100の画素部を駆動するための駆動信号の制御(すなわち、画素部の駆動制御)、及び外部との信号のやり取りの制御が実行され得る。
【0117】
ロジック回路が形成された半導体基板1270の一面には、層間膜1210及び拡散防止膜1220が交互に積層される。層間膜1210の内部には、ロジック回路の動作に係る各種信号を伝達するための配線層1230が形成される。これにより、多層配線層1201が形成される。多層配線層1201の最下層(最も半導体基板1270側の層)の配線は、例えばタングステン(W)等で形成されたコンタクトビア1260によって、ロジック回路からの信号を取り出す電極1280等と電気的に接続される。
【0118】
なお、多層配線層1201には、外部との間で各種信号のやり取りを行うための外部入出力部(I/O部)として機能するパッド1290が形成されてもよい。パッド1290は、例えば、アルミニウム(Al)などで形成されてもよい。
【0119】
ここで、多層配線層1101の最上層(最も半導体基板1170から離れた層)には、層間膜1110から金属面が露出するように電極が設けられる。また、多層配線層1201の最上層(最も半導体基板1270から離れた層)にも、同様に、層間膜1210から金属面が露出するように電極が設けられる。これらの電極は、第1基板1100及び第2基板1200を互いに貼り合わせる際に、互いの基板に設けられた信号線同士、グランド線同士及び電源線同士を電気的に接続するための電極接合構造1340を構成する。
【0120】
このような第1基板1100及び第2基板1200の積層構造体において、半導体基板1170の多層配線層1101が設けられた一面と対向する他面側に、絶縁膜等を介して、カラーフィルタ層1310及びマイクロレンズアレイ1330が設けられる。
【0121】
カラーフィルタ層1310は、複数のカラーフィルタが画素に対応するように配列されて構成される。マイクロレンズアレイ1330は、複数のマイクロレンズが画素に対応するように配列されて構成される。カラーフィルタ層1310及びマイクロレンズアレイ1330は、画素部の直上に形成され、1つの画素のPDに対して1つのカラーフィルタ及び1つのマイクロレンズが配設される。なお、各画素は、遮光性の画素定義膜1320にて互いに離隔される。
【0122】
カラーフィルタ層1310の各カラーフィルタは、例えば赤色、緑色及び青色のいずれかの色を有する。カラーフィルタを通過した観察光が画素のフォトダイオードに入射し、画素信号が取得されることにより、観察対象について、各色の成分の画素信号が取得される。なお、1つのカラーフィルタに対応する1つの画素が副画素として機能し、複数の副画素によって1つの画素が形成されてもよい。例えば、赤色のカラーフィルタが設けられる赤色画素、緑色のカラーフィルタが設けられる緑色画素、青色のカラーフィルタが設けられる青色画素、及びカラーフィルタが設けられない白色画素の4色の副画素によって、1つの画素が形成されてもよい。
【0123】
マイクロレンズアレイ1330は、各カラーフィルタの直上に各マイクロレンズが位置するように形成される。マイクロレンズアレイ1330が設けられることにより、マイクロレンズによって集光された観察光がカラーフィルタを介して画素のフォトダイオードに入射することとなる。これにより、マイクロレンズアレイ1330は、観察光の集光効率を向上させ、固体撮像装置の感度を向上させることができる。
【0124】
続いて、
図11~13Cを参照して、このような固体撮像装置である半導体装置3において、空隙1153が形成される具体的な位置について説明する。
図11及び
図12は、固体撮像装置である半導体装置3の各配線の積層構造を示す模式図である。なお、
図11及び
図12は、それぞれ紙面奥側が半導体基板1170側であり、
図11で示す平面構成の上に
図12で示す平面構成が配置される。
【0125】
また、
図13Aは、
図11で示すA-AA線で切断した断面を示す断面図である。
図13Bは、
図11で示すB-BB線で切断した断面を示す断面図である。
図13Cは、
図12で示すC-CC線で切断した断面を示す断面図である。
【0126】
図11に示すように、半導体基板1170には、画素ごとにフォトダイオードPDが設けられる。また、半導体基板1170には、所定の数の画素ごとに増幅トランジスタAMP、選択トランジスタSEL、及びリセットトランジスタ(図示せず)が設けられ、フォトダイオードPDで光電変換された信号電荷を画素信号に変換する。
【0127】
具体的には、フォトダイオードPD上には、転送ゲート3080が設けられる。転送ゲート3080は、フォトダイオードPDで光電変換された信号電荷をフローティングディフュージョン(FD)領域3083に転送する。フローティングディフュージョン(FD)領域3083に転送された信号電荷は、さらにFD配線3033に伝達され、後段の増幅トランジスタAMPのゲート電圧を制御する。なお、転送ゲート3080は、縦型トランジスタのゲート電極として機能し、転送ゲート3080のオンオフは、ビア3061、配線3031及びビア3062を介して、TG制御線3032によって制御される。
【0128】
増幅トランジスタAMPは、FD配線3033に蓄積された信号電荷によってオンオフが制御されるゲート電極3081を備える。増幅トランジスタAMPは、FD配線3033に蓄積された信号電荷をソース及びドレイン間に流れる電流に変換する。変換された電流は、例えば、配線3034、ビア3064、配線3035、ビア3065を介して、
図12に示す垂直信号線又は電源線3036に伝達される。
【0129】
選択トランジスタSELは、各画素の選択を制御する信号線からの信号によってオンオフが制御されるゲート電極3082を備える。選択トランジスタSELは、増幅トランジスタAMPと直列で設けられ、増幅トランジスタAMPのソース及びドレイン間に流れる電流を制御する。選択トランジスタSELのゲート電極3082への信号は、例えば、配線3038、ビア3067、配線3037及びビア3066を介して、伝達される。
【0130】
ここで、
図13Aに示すように、空隙1153は、フォトダイオードPDで光電変換された信号電荷が伝達されるFD配線3033の周囲に設けられてもよい。また、このような場合、空隙1153は、転送ゲート3080のオンオフを制御するビア3061の周囲に設けられてもよい。半導体装置3は、このような領域に空隙1153を設けることにより、FD配線3033の配線間容量を低減することで、信号電荷を画素信号に変換する変換効率を向上させることができる。
【0131】
また、
図13Bに示すように、空隙1153は、転送ゲート3080のオンオフを制御するTG制御線3032の周囲に設けられてもよい。半導体装置3は、このような領域に空隙1153を設けることにより、TG制御線3032の配線間容量を低減することで、アナログ信号の伝達速度を高速化することができる。
【0132】
さらに、
図13Cに示すように、空隙1153は、各画素に接続された垂直信号線又は電源線3036の周囲に設けられてもよい。半導体装置3は、このような領域に空隙1153を設けることにより、垂直信号線又は電源線3036の配線間容量を低減することで、アナログ信号の伝達速度を高速化することができる。
【0133】
なお、空隙1153は、半導体基板1170又は半導体基板1170の上に設けられた電極と電気的に接続するコンタクトビアを露出される領域に少なくとも設けられる。このとき、空隙1153に露出されるコンタクトビアは、同一の信号を伝達するコンタクトビアが複数設けられてもよい。すなわち、コンタクトビアには、冗長性の確保のために設けられたダミーコンタクトビアが含まれていてもよい。空隙1153が設けられた領域は、他の領域よりも機械強度が低下するため、層間を支える支持部材として機能するようにコンタクトビアを他の領域よりも多く配置してもよい。このような領域としては、例えば、FD配線3033の周囲領域、及び転送ゲート3080に接続する領域などを例示することができる。
【0134】
<4.応用例>
(4.1.第1の応用例)
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、内視鏡手術システムに適用されてもよい。
【0135】
図14は、本開示に係る技術(本技術)が適用され得る内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【0136】
図15では、術者(医師)11131が、内視鏡手術システム11000を用いて、患者ベッド11133上の患者11132に手術を行っている様子が図示されている。図示するように、内視鏡手術システム11000は、内視鏡11100と、気腹チューブ11111やエネルギー処置具11112等の、その他の術具11110と、内視鏡11100を支持する支持アーム装置11120と、内視鏡下手術のための各種の装置が搭載されたカート11200と、から構成される。
【0137】
内視鏡11100は、先端から所定の長さの領域が患者11132の体腔内に挿入される鏡筒11101と、鏡筒11101の基端に接続されるカメラヘッド11102と、から構成される。図示する例では、硬性の鏡筒11101を有するいわゆる硬性鏡として構成される内視鏡11100を図示しているが、内視鏡11100は、軟性の鏡筒を有するいわゆる軟性鏡として構成されてもよい。
【0138】
鏡筒11101の先端には、対物レンズが嵌め込まれた開口部が設けられている。内視鏡11100には光源装置11203が接続されており、当該光源装置11203によって生成された光が、鏡筒11101の内部に延設されるライトガイドによって当該鏡筒の先端まで導光され、対物レンズを介して患者11132の体腔内の観察対象に向かって照射される。なお、内視鏡11100は、直視鏡であってもよいし、斜視鏡又は側視鏡であってもよい。
【0139】
カメラヘッド11102の内部には光学系及び撮像素子が設けられており、観察対象からの反射光(観察光)は当該光学系によって当該撮像素子に集光される。当該撮像素子によって観察光が光電変換され、観察光に対応する電気信号、すなわち観察像に対応する画像信号が生成される。当該画像信号は、RAWデータとしてカメラコントロールユニット(CCU: Camera Control Unit)11201に送信される。
【0140】
CCU11201は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics
Processing Unit)等によって構成され、内視鏡11100及び表示装置11202の動作を統括的に制御する。さらに、CCU11201は、カメラヘッド11102から画像信号を受け取り、その画像信号に対して、例えば現像処理(デモザイク処理)等の、当該画像信号に基づく画像を表示するための各種の画像処理を施す。
【0141】
表示装置11202は、CCU11201からの制御により、当該CCU11201によって画像処理が施された画像信号に基づく画像を表示する。
【0142】
光源装置11203は、例えばLED(light emitting diode)等の光源から構成され、術部等を撮影する際の照射光を内視鏡11100に供給する。
【0143】
入力装置11204は、内視鏡手術システム11000に対する入力インタフェースである。ユーザは、入力装置11204を介して、内視鏡手術システム11000に対して各種の情報の入力や指示入力を行うことができる。例えば、ユーザは、内視鏡11100による撮像条件(照射光の種類、倍率及び焦点距離等)を変更する旨の指示等を入力する。
【0144】
処置具制御装置11205は、組織の焼灼、切開又は血管の封止等のためのエネルギー処置具11112の駆動を制御する。気腹装置11206は、内視鏡11100による視野の確保及び術者の作業空間の確保の目的で、患者11132の体腔を膨らめるために、気腹チューブ11111を介して当該体腔内にガスを送り込む。レコーダ11207は、手術に関する各種の情報を記録可能な装置である。プリンタ11208は、手術に関する各種の情報を、テキスト、画像又はグラフ等各種の形式で印刷可能な装置である。
【0145】
なお、内視鏡11100に術部を撮影する際の照射光を供給する光源装置11203は、例えばLED、レーザ光源又はこれらの組み合わせによって構成される白色光源から構成することができる。RGBレーザ光源の組み合わせにより白色光源が構成される場合には、各色(各波長)の出力強度及び出力タイミングを高精度に制御することができるため、光源装置11203において撮像画像のホワイトバランスの調整を行うことができる。また、この場合には、RGBレーザ光源それぞれからのレーザ光を時分割で観察対象に照射し、その照射タイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御することにより、RGBそれぞれに対応した画像を時分割で撮像することも可能である。当該方法によれば、当該撮像素子にカラーフィルタを設けなくても、カラー画像を得ることができる。
【0146】
また、光源装置11203は、出力する光の強度を所定の時間ごとに変更するようにその駆動が制御されてもよい。その光の強度の変更のタイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御して時分割で画像を取得し、その画像を合成することにより、いわゆる黒つぶれ及び白とびのない高ダイナミックレンジの画像を生成することができる。
【0147】
また、光源装置11203は、特殊光観察に対応した所定の波長帯域の光を供給可能に構成されてもよい。特殊光観察では、例えば、体組織における光の吸収の波長依存性を利用して、通常の観察時における照射光(すなわち、白色光)に比べて狭帯域の光を照射することにより、粘膜表層の血管等の所定の組織を高コントラストで撮影する、いわゆる狭帯域光観察(Narrow Band Imaging)が行われる。あるいは、特殊光観察では、励起光を照射することにより発生する蛍光により画像を得る蛍光観察が行われてもよい。蛍光観察では、体組織に励起光を照射し当該体組織からの蛍光を観察すること(自家蛍光観察)、又はインドシアニングリーン(ICG)等の試薬を体組織に局注するとともに当該体組織にその試薬の蛍光波長に対応した励起光を照射し蛍光像を得ること等を行うことができる。光源装置11203は、このような特殊光観察に対応した狭帯域光及び/又は励起光を供給可能に構成され得る。
【0148】
図15は、
図14に示すカメラヘッド11102及びCCU11201の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0149】
カメラヘッド11102は、レンズユニット11401と、撮像部11402と、駆動部11403と、通信部11404と、カメラヘッド制御部11405と、を有する。CCU11201は、通信部11411と、画像処理部11412と、制御部11413と、を有する。カメラヘッド11102とCCU11201とは、伝送ケーブル11400によって互いに通信可能に接続されている。
【0150】
レンズユニット11401は、鏡筒11101との接続部に設けられる光学系である。鏡筒11101の先端から取り込まれた観察光は、カメラヘッド11102まで導光され、当該レンズユニット11401に入射する。レンズユニット11401は、ズームレンズ及びフォーカスレンズを含む複数のレンズが組み合わされて構成される。
【0151】
撮像部11402を構成する撮像素子は、1つ(いわゆる単板式)であってもよいし、複数(いわゆる多板式)であってもよい。撮像部11402が多板式で構成される場合には、例えば各撮像素子によってRGBそれぞれに対応する画像信号が生成され、それらが合成されることによりカラー画像が得られてもよい。あるいは、撮像部11402は、3D(dimensional)表示に対応する右目用及び左目用の画像信号をそれぞれ取得するための1対の撮像素子を有するように構成されてもよい。3D表示が行われることにより、術者11131は術部における生体組織の奥行きをより正確に把握することが可能になる。なお、撮像部11402が多板式で構成される場合には、各撮像素子に対応して、レンズユニット11401も複数系統設けられ得る。
【0152】
また、撮像部11402は、必ずしもカメラヘッド11102に設けられなくてもよい。例えば、撮像部11402は、鏡筒11101の内部に、対物レンズの直後に設けられてもよい。
【0153】
駆動部11403は、アクチュエータによって構成され、カメラヘッド制御部11405からの制御により、レンズユニット11401のズームレンズ及びフォーカスレンズを光軸に沿って所定の距離だけ移動させる。これにより、撮像部11402による撮像画像の倍率及び焦点が適宜調整され得る。
【0154】
通信部11404は、CCU11201との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11404は、撮像部11402から得た画像信号をRAWデータとして伝送ケーブル11400を介してCCU11201に送信する。
【0155】
また、通信部11404は、CCU11201から、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を受信し、カメラヘッド制御部11405に供給する。当該制御信号には、例えば、撮像画像のフレームレートを指定する旨の情報、撮像時の露出値を指定する旨の情報、並びに/又は撮像画像の倍率及び焦点を指定する旨の情報等、撮像条件に関する情報が含まれる。
【0156】
なお、上記のフレームレートや露出値、倍率、焦点等の撮像条件は、ユーザによって適宜指定されてもよいし、取得された画像信号に基づいてCCU11201の制御部11413によって自動的に設定されてもよい。後者の場合には、いわゆるAE(Auto Exposure)機能、AF(Auto Focus)機能及びAWB(Auto White Balance)機能が内視鏡11100に搭載されていることになる。
【0157】
カメラヘッド制御部11405は、通信部11404を介して受信したCCU11201からの制御信号に基づいて、カメラヘッド11102の駆動を制御する。
【0158】
通信部11411は、カメラヘッド11102との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11411は、カメラヘッド11102から、伝送ケーブル11400を介して送信される画像信号を受信する。
【0159】
また、通信部11411は、カメラヘッド11102に対して、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を送信する。画像信号や制御信号は、電気通信や光通信等によって送信することができる。
【0160】
画像処理部11412は、カメラヘッド11102から送信されたRAWデータである画像信号に対して各種の画像処理を施す。
【0161】
制御部11413は、内視鏡11100による術部等の撮像、及び、術部等の撮像により得られる撮像画像の表示に関する各種の制御を行う。例えば、制御部11413は、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を生成する。
【0162】
また、制御部11413は、画像処理部11412によって画像処理が施された画像信号に基づいて、術部等が映った撮像画像を表示装置11202に表示させる。この際、制御部11413は、各種の画像認識技術を用いて撮像画像内における各種の物体を認識してもよい。例えば、制御部11413は、撮像画像に含まれる物体のエッジの形状や色等を検出することにより、鉗子等の術具、特定の生体部位、出血、エネルギー処置具11112の使用時のミスト等を認識することができる。制御部11413は、表示装置11202に撮像画像を表示させる際に、その認識結果を用いて、各種の手術支援情報を当該術部の画像に重畳表示させてもよい。手術支援情報が重畳表示され、術者11131に提示されることにより、術者11131の負担を軽減することや、術者11131が確実に手術を進めることが可能になる。
【0163】
カメラヘッド11102及びCCU11201を接続する伝送ケーブル11400は、電気信号の通信に対応した電気信号ケーブル、光通信に対応した光ファイバ、又はこれらの複合ケーブルである。
【0164】
ここで、図示する例では、伝送ケーブル11400を用いて有線で通信が行われていたが、カメラヘッド11102とCCU11201との間の通信は無線で行われてもよい。
【0165】
以上、本開示に係る技術が適用され得る内視鏡手術システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、例えば、カメラヘッド11102の撮像部11402等に適用され得る。具体的には、本開示の第3の実施形態に係る半導体装置(固体撮像装置)は、カメラヘッド11102の撮像部11402等に適用され得る。カメラヘッド11102の撮像部11402に本開示に係る技術を適用することにより、よりノイズが少なく、より鮮明な術部画像を得ることができるため、術者が術部を確実に確認することが可能になる。また、より低レイテンシで術部画像を得ることができるため、術者が術部を触接観察している場合と同様の感覚で処置を行うことが可能になる。
【0166】
なお、ここでは、一例として内視鏡手術システムについて説明したが、本開示に係る技術は、その他、例えば、顕微鏡手術システム等に適用されてもよい。
【0167】
(4.2.第2の応用例)
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、内視鏡手術システムに適用されてもよい。
【0168】
図16は、本開示に係る技術(本技術)が適用され得る、カプセル型内視鏡を用いた患者の体内情報取得システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
【0169】
体内情報取得システム10001は、カプセル型内視鏡10100と、外部制御装置10200とから構成される。
【0170】
カプセル型内視鏡10100は、検査時に、患者によって飲み込まれる。カプセル型内視鏡10100は、撮像機能及び無線通信機能を有し、患者から自然排出されるまでの間、胃や腸等の臓器の内部を蠕動運動等によって移動しつつ、当該臓器の内部の画像(以下、体内画像ともいう)を所定の間隔で順次撮像し、その体内画像についての情報を体外の外部制御装置10200に順次無線送信する。
【0171】
外部制御装置10200は、体内情報取得システム10001の動作を統括的に制御する。また、外部制御装置10200は、カプセル型内視鏡10100から送信されてくる体内画像についての情報を受信し、受信した体内画像についての情報に基づいて、表示装置(図示せず)に当該体内画像を表示するための画像データを生成する。
【0172】
体内情報取得システム10001では、このようにして、カプセル型内視鏡10100が飲み込まれてから排出されるまでの間、患者の体内の様子を撮像した体内画像を随時得ることができる。
【0173】
カプセル型内視鏡10100と外部制御装置10200の構成及び機能についてより詳細に説明する。
【0174】
カプセル型内視鏡10100は、カプセル型の筐体10101を有し、その筐体10101内には、光源部10111、撮像部10112、画像処理部10113、無線通信部10114、給電部10115、電源部10116、及び制御部10117が収納されている。
【0175】
光源部10111は、例えばLED(light emitting diode)等の光源から構成され、撮像部10112の撮像視野に対して光を照射する。
【0176】
撮像部10112は、撮像素子、及び当該撮像素子の前段に設けられる複数のレンズからなる光学系から構成される。観察対象である体組織に照射された光の反射光(以下、観察光という)は、当該光学系によって集光され、当該撮像素子に入射する。撮像部10112では、撮像素子において、そこに入射した観察光が光電変換され、その観察光に対応する画像信号が生成される。撮像部10112によって生成された画像信号は、画像処理部10113に提供される。
【0177】
画像処理部10113は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics
Processing Unit)等のプロセッサによって構成され、撮像部10112によって生成された画像信号に対して各種の信号処理を行う。画像処理部10113は、信号処理を施した画像信号を、RAWデータとして無線通信部10114に提供する。
【0178】
無線通信部10114は、画像処理部10113によって信号処理が施された画像信号に対して変調処理等の所定の処理を行い、その画像信号を、アンテナ10114Aを介して外部制御装置10200に送信する。また、無線通信部10114は、外部制御装置10200から、カプセル型内視鏡10100の駆動制御に関する制御信号を、アンテナ10114Aを介して受信する。無線通信部10114は、外部制御装置10200から受信した制御信号を制御部10117に提供する。
【0179】
給電部10115は、受電用のアンテナコイル、当該アンテナコイルに発生した電流から電力を再生する電力再生回路、及び昇圧回路等から構成される。給電部10115では、いわゆる非接触充電の原理を用いて電力が生成される。
【0180】
電源部10116は、二次電池によって構成され、給電部10115によって生成された電力を蓄電する。
図16では、図面が煩雑になることを避けるために、電源部10116からの電力の供給先を示す矢印等の図示を省略しているが、電源部10116に蓄電された電力は、光源部10111、撮像部10112、画像処理部10113、無線通信部10114、及び制御部10117に供給され、これらの駆動に用いられ得る。
【0181】
制御部10117は、CPU等のプロセッサによって構成され、光源部10111、撮像部10112、画像処理部10113、無線通信部10114、及び、給電部10115の駆動を、外部制御装置10200から送信される制御信号に従って適宜制御する。
【0182】
外部制御装置10200は、CPU、GPU等のプロセッサ、又はプロセッサとメモリ等の記憶素子が混載されたマイクロコンピュータ若しくは制御基板等で構成される。外部制御装置10200は、カプセル型内視鏡10100の制御部10117に対して制御信号を、アンテナ10200Aを介して送信することにより、カプセル型内視鏡10100の動作を制御する。カプセル型内視鏡10100では、例えば、外部制御装置10200からの制御信号により、光源部10111における観察対象に対する光の照射条件が変更され得る。また、外部制御装置10200からの制御信号により、撮像条件(例えば、撮像部10112におけるフレームレート、露出値等)が変更され得る。また、外部制御装置10200からの制御信号により、画像処理部10113における処理の内容や、無線通信部10114が画像信号を送信する条件(例えば、送信間隔、送信画像数等)が変更されてもよい。
【0183】
また、外部制御装置10200は、カプセル型内視鏡10100から送信される画像信号に対して、各種の画像処理を施し、撮像された体内画像を表示装置に表示するための画像データを生成する。当該画像処理としては、例えば現像処理(デモザイク処理)、高画質化処理(帯域強調処理、超解像処理、NR(Noise reduction)処理及び/又は手ブレ補正処理等)、並びに/又は拡大処理(電子ズーム処理)等、各種の信号処理を行うことができる。外部制御装置10200は、表示装置の駆動を制御して、生成した画像データに基づいて撮像された体内画像を表示させる。あるいは、外部制御装置10200は、生成した画像データを記録装置(図示せず)に記録させたり、印刷装置(図示せず)に印刷出力させてもよい。
【0184】
以上、本開示に係る技術が適用され得る体内情報取得システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、撮像部10112に適用され得る。具体的には、本開示の第3の実施形態に係る半導体装置(固体撮像装置)は、撮像部10112等に適用され得る。撮像部10112に本開示に係る技術を適用することにより、より鮮明な術部画像を得ることができるため、検査の精度が向上する。
【0185】
(4.3.第3の応用例)
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0186】
図17は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0187】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。
図17に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(Interface)12053が図示されている。
【0188】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0189】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0190】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0191】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0192】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0193】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0194】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0195】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0196】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。
図17の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0197】
図18は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0198】
図18では、撮像部12031として、撮像部12101、12102、12103、12104、12105を有する。
【0199】
撮像部12101、12102、12103、12104、12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102、12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0200】
なお、
図18には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0201】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0202】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0203】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0204】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0205】
以上、本開示に係る技術が適用され得る車両制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、撮像部12031等に適用され得る。具体的には、本開示の第3の実施形態に係る半導体装置(固体撮像装置)は、撮像部12031に適用することができる。撮像部12031に本開示に係る技術を適用することにより、より見やすい撮影画像を得ることができるため、ドライバの疲労を軽減することが可能になる。また、より低レイテンシで撮影画像を得ることができるため、ドライバが周囲を直接観察している場合と同様の感覚で車両の運転を行うことが可能になる。
【0206】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0207】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的又は例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、又は上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0208】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
複数の層間膜と複数の拡散防止膜とが交互に積層され、前記層間膜の内部に配線が設けられた多層配線層と、
前記多層配線層の一面に設けられたビア絶縁層を貫通して設けられ、前記多層配線層の前記配線と電気的に接続されたコンタクトビアと、
前記多層配線層の一面と対向する他面から前記層間膜及び前記拡散防止膜を少なくとも1つ以上貫通して設けられたスルーホールと、
前記スルーホールと接続し、前記コンタクトビアを露出させるように、少なくとも1つ以上の前記層間膜に設けられた空隙と、
を備える、半導体装置。
(2)
前記ビア絶縁層の前記多層配線層が設けられた一面と対向する他面には、半導体基板がさらに設けられる、前記(1)に記載の半導体装置。
(3)
前記半導体基板には、フォトダイオードが設けられる、前記(2)に記載の半導体装置。
(4)
前記空隙は、前記フォトダイオードから読み出された信号電荷を蓄積するFD配線に接する領域に設けられる、前記(3)に記載の半導体装置。
(5)
前記空隙は、前記フォトダイオードからの信号電荷の読み出しを制御する転送トランジスタのゲートと電気的に接続するTG制御線に接する領域にさらに設けられる、前記(3)又は(4)に記載の半導体装置。
(6)
前記コンタクトビアは、前記転送トランジスタのゲートと電気的に接続する、前記(5)に記載の半導体装置。
(7)
前記空隙は、前記フォトダイオードから読み出された信号電荷を画素信号に変換する画素回路と電気的に接続する垂直信号線又は電源線に接する領域にさらに設けられる、前記(3)~(6)のいずれか一項に記載の半導体装置。
(8)
前記多層配線層の前記他面側には、前記半導体基板と対向する基板がさらに設けられる、前記(2)~(7)のいずれか一項に記載の半導体装置。
(9)
前記コンタクトビアは、前記多層配線層の前記ビア絶縁層側に設けられた前記層間膜の内部に突出して設けられる、前記(1)~(8)のいずれか一項に記載の半導体装置。
(10)
前記空隙は、少なくとも1つ以上の前記層間膜にさらに設けられる、前記(1)~(9)のいずれか一項に記載の半導体装置。
(11)
前記空隙は、複数の前記層間膜にさらに設けられ、
前記空隙が設けられた前記層間膜の間の前記拡散防止膜には、一部に開口が設けられる、前記(10)に記載の半導体装置。
(12)
前記層間膜の各々は、第1材料又は前記第1材料よりも比誘電率が低い第2材料にて形成され、
前記空隙は、前記第1材料にて形成された前記層間膜に設けられる、前記(11)に記載の半導体装置。
(13)
前記配線は、第1金属にて形成され、前記コンタクトビアは、前記第1金属と異なる第2金属にて形成される、前記(1)~(12)のいずれか一項に記載の半導体装置。
(14)
前記層間膜の内部には、前記コンタクトビアと接続し、前記第2金属にて形成された配線がさらに設けられる、前記(13)に記載の半導体装置。
(15)
前記第1金属は、銅であり、前記第2金属は、タングステンである、前記(13)又は(14)に記載の半導体装置。
(16)
前記第2金属にて形成された前記コンタクトビア及び前記配線の表面は、保護層で覆われている、前記(14)又は(15)に記載の半導体装置。
(17)
前記スルーホールの内側には、保護側壁がさらに設けられる、前記(1)~(16)のいずれか一項に記載の半導体装置。
(18)
前記拡散防止膜及び前記保護側壁は、それぞれ前記層間膜よりもフッ素化合物に対するエッチング耐性が高い材料で形成される、前記(17)に記載の半導体装置。
【符号の説明】
【0209】
1、2、3、11、12、13A、13B、13C、14、21 半導体装置
100 層間膜
101 多層配線層
200 拡散防止膜
300 配線
400 貫通ビア
510 スルーホール
520 保護側壁
530 空隙
600 ビア絶縁層
610 コンタクトビア
620 第0配線
710、720 基板