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  • 特許-治癒を制御させる手術用ステープラ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-16
(45)【発行日】2022-09-28
(54)【発明の名称】治癒を制御させる手術用ステープラ
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/072 20060101AFI20220920BHJP
   A61B 17/115 20060101ALI20220920BHJP
   A61L 24/00 20060101ALI20220920BHJP
【FI】
A61B17/072
A61B17/115
A61L24/00 210
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2019568704
(86)(22)【出願日】2018-05-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-06
(86)【国際出願番号】 IB2018053439
(87)【国際公開番号】W WO2018229571
(87)【国際公開日】2018-12-20
【審査請求日】2021-02-24
(31)【優先権主張番号】15/621,572
(32)【優先日】2017-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517076008
【氏名又は名称】エシコン エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Ethicon LLC
【住所又は居所原語表記】#475 Street C, Suite 401, Los Frailes Industrial Park, Guaynabo, Puerto Rico 00969, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ウィデンハウス・タマラ・エス
(72)【発明者】
【氏名】シェルトン・ザ・フォース・フレデリック・イー
【審査官】宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/040144(WO,A1)
【文献】特開2011-231118(JP,A)
【文献】特表2014-502995(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/064 - A61B 17/072
A61B 17/115
A61L 24/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術用ステープラと共に使用するためのステープルカートリッジアセンブリであって、
複数のステープル空洞を有するカートリッジ本体であって、各ステープル空洞が、複数の手術用ステープルのうちの1つを内部に配置した、カートリッジ本体を含み、
前記複数の手術用ステープルの一部のうちの少なくとも1つが、組織内の創傷治癒中に、MMP媒介性の細胞外マトリックスの変性及び炎症の少なくとも一方を所定の様式で防止するのに有効である、有効量の少なくとも1種のマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)阻害剤を含
前記少なくとも1種のMMP阻害剤が、前記複数の手術用ステープルの少なくとも一部に配置されており、
前記少なくとも1種のMMP阻害剤が、前記複数の手術用ステープルの外側表面への前記少なくとも1種のMMP阻害剤の接着を可能にする又は向上させる物質を含み、
前記物質は吸収性ポリマーであり、前記吸収性ポリマーは多孔質である、ステープルカートリッジアセンブリ。
【請求項2】
前記少なくとも1種のMMP阻害剤及び前記吸収性ポリマーは、イオン電荷と共に配合されることによって、それらが静電吸引することを可能にしている、請求項1に記載のステープルカートリッジアセンブリ。
【請求項3】
前記少なくとも1種のMMP阻害剤が、前記複数の手術用ステープルの脚部の少なくとも遠位先端に配置されている、請求項1に記載のステープルカートリッジアセンブリ。
【請求項4】
前記カートリッジ本体に放出可能に保持され、前記カートリッジ本体内の前記複数の手術用ステープルの配備によって前記組織に送達されるように構成された生体適合性補助材を更に含み、有効量の前記少なくとも1種のMMP阻害剤が、前記補助材内に配置され、前記補助材から放出可能である、請求項1に記載のステープルカートリッジアセンブリ。
【請求項5】
前記補助材が、発泡構造を有する凍結乾燥物である、請求項4に記載のステープルカートリッジアセンブリ。
【請求項6】
前記補助材が、2つ以上の層を含むフィルムであり、前記2つ以上の層は互いに異なる分解速度を有する、請求項4に記載のステープルカートリッジアセンブリ。
【請求項7】
前記補助材が、1つ又は2つ以上の層を含むフィルムであり、前記フィルムは、前記少なくとも1種のMMP阻害剤を放出可能に内部に保持するリザーバを含む、請求項4に記載のステープルカートリッジアセンブリ。
【請求項8】
前記リザーバは、吸収性又は非吸収性ポリマーを含む、1つ又は2つ以上の異なるコーティング層を使用して封止されている、請求項7に記載のステープルカートリッジアセンブリ。
【請求項9】
前記少なくとも1種のMMP阻害剤が、MMP1、MMP2、MMP3、MMP7、MMP8、MMP10、MMP11、MMP12、MMP13、MMP14、MMP15、MMP16、MMP17、MMP19、MMP23A、MMP23B、MMP25、MMP25、MMP26、MMP27、及びMMP28のうちの1以上を阻害するように構成されている、請求項1に記載のステープルカートリッジアセンブリ。
【請求項10】
前記少なくとも1種のMMP阻害剤が、コラゲナーゼ、ゼラチナーゼ、ストロメリシン、又は膜型MMPを阻害するように構成されている、請求項1に記載のステープルカートリッジアセンブリ。
【請求項11】
前記少なくとも1種のMMP阻害剤が、MMP1を阻害するように構成されている、請求項1に記載のステープルカートリッジアセンブリ。
【請求項12】
前記少なくとも1種のMMP阻害剤が、MMP8を阻害するように構成されている、請求項1に記載のステープルカートリッジアセンブリ。
【請求項13】
前記少なくとも1種のMMP阻害剤が、MMP9を阻害するように構成されている、請求項1に記載のステープルカートリッジアセンブリ。
【請求項14】
前記少なくとも1種のMMP阻害剤が、メタロプロテイナーゼの組織阻害剤(TIMP)である、請求項1に記載のステープルカートリッジアセンブリ。
【請求項15】
前記TIMPが、TIMP1、TIMP2、TIMP3、及びTIMP4のうちの少なくとも1である、請求項14に記載のステープルカートリッジアセンブリ。
【請求項16】
前記少なくとも1種のMMP阻害剤が、ヒドロキシメート、カルボキシレート、カルバモイルホスホネート、ヒドロキシ尿素、ヒドラジン、β-ラクタム、スクアリン酸、窒素配位子、チオール、及びホスフィニルのうちの1以上である、請求項1に記載のステープルカートリッジアセンブリ。
【請求項17】
前記少なくとも1種のMMP阻害剤が、カルボキシレート、窒素配位子、及びホスフィニルのうちの1種以上である、請求項1に記載のステープルカートリッジアセンブリ。
【請求項18】
前記少なくとも1種のMMP阻害剤は、前記複数の手術用ステープルの配備後に、炎症誘発細胞が前記組織に誘引されることを防止するように構成されている、請求項1に記載のステープルカートリッジアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ステープル留めされた組織の治癒カスケードを制御することができる手術用ステープル留め器具及び方法が提供される。
【背景技術】
【0002】
手術用ステープラは、外科的処置において、組織、血管、導管、シャント、若しくは特定の処置に関連する他の対象物又は身体部位の開口の閉鎖に使用される。開口は、血管内又は胃のような内臓内の通路として自然に発生するものもあり、あるいは組織又は血管穿刺でバイパス又は吻合を形成することによって、又はステープリング処置中の組織切開によって、などの外科的処置中に外科医によって形成されることがある。
【0003】
ほとんどのステープラは、細長いシャフトを備えるハンドルを有し、シャフトはその端部に、その間でステープルを保持して成形するために形成された一対の移動可能な対向する顎部を有する。ステープルは典型的にはステープルカートリッジに収められ、そのステープルカートリッジは、ステープルの複数の列を収納することができ、2つの顎部のうちの1つ内に、手術部位へのステープルの放出のために配置されることが多い。使用中、顎部は、ステープルされるべき対象物が顎部の間に配置されるように位置決めされ、顎部が閉じて装置が作動されると、ステープルが放出されて成形される。ステープラによっては、ステープルカートリッジ内のステープルの列の間を移動し、ステープル留めされた列の間で、ステープル留めされた組織を長手方向に切開及び/又は開口するように構成されたナイフを含むものがある。
【0004】
手術用ステープラは何年にもわたって改良されてきたが、それ自体にはいまだに多くの問題が存在する。よく見られる問題の1つは、ステープルは、ステープルが配置される組織又は他の対象物を貫通するときに孔を形成するため、漏出が起こり得ることである。血液、空気、消化管液、及び他の液体が、ステープルが完全に成形された後でも、ステープルによって形成された開口を通してしみ出ることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、ステープル挿入部位での漏出を最小にするように、組織、血管、導管、シャント、又は他の対象物若しくは身体部位をステープル留めするための、改良された装置と方法に対する要求が依然として存在している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
概して、ステープル留めされた組織の治癒カスケードを制御することができる手術用ステープラ及びその構成要素が提供される。具体的には、手術用ステープル及びその構成要素は、ステープル部位を取り囲む組織に送達するための少なくとも1種の放出可能なマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)阻害剤を有する。
【0007】
一態様では、カートリッジ本体を含む手術用ステープラと共に使用するためのステープルカートリッジアセンブリが提供される。カートリッジ本体は、複数のステープル空洞を有する。各ステープル空洞は、内部に配置された手術用ステープルを有し得る。カートリッジ本体は、カートリッジ本体に解放可能に保持され、カートリッジ本体内のステープルの配備によって組織に送達されるように構成された生体適合性補助材も含み得る。ステープルカートリッジアセンブリは、ステープル留めされた組織内の治癒カスケードを制御し、組織内の創傷治癒中のMMP媒介性の細胞外マトリックスの変性を所定の様式で防止するのに有効である、有効量の少なくとも1種のマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)阻害剤を更に含み得る。
【0008】
一実施形態では、少なくとも1種のMMP阻害剤は、複数のステープルの少なくとも一部、例えば、複数のステープルの第1の脚部、第2の脚部(第1脚部及び第2脚部の遠位先端を含む)、及び冠部のうちの少なくとも1つに配置され得る。他の態様では、有効量の少なくとも1種のMMP阻害剤が、補助材内に配置され、補助材から放出可能である。MMP阻害剤は、MMP1、MMP2、MMP3、MMP7、MMP8、MMP9、MMP10、MMP11、MMP12、MMP13、MMP14、MMP15、MMP16、MMP17、MMP19、MMP23A、MMP23B、MMP25、MMP25、MMP26、MMP27、及びMMP28のうちの1つ以上を阻害するように構成することができる。MMP阻害剤は、コラゲナーゼ、ゼラチナーゼ、ストロメリシン、又は膜型MMPを阻害するように構成することができる。MMP阻害剤は、メタロプロテイナーゼの組織阻害剤(TIMP、例えばTIMP1、TIMP2、TIMP3又はTIMP4のいずれか)であり得る。MMP阻害剤は、ヒドロキシメート、カルボキシレート、カルバモイルホスホネート、ヒドロキシ尿素、ヒドラジン、β-ラクタム、スクアリン酸、窒素配位子、チオール、及びホスフィニルのうちの1つ以上であり得る。いくつかの実施形態では、MMP阻害剤は、ステープルの配備後に炎症誘発細胞が組織に誘引されることを防止することができる。
【0009】
別の態様では、手術用器具のためのエンドエフェクタが提供され、一実施では、エンドエフェクタは、内部にステープルを着座させるように構成された複数のステープル空洞を有するカートリッジ本体を有する第1の顎部と、組織対向面に形成された複数のステープル形成空洞を備えたアンビルを有する第2の顎部と、を含む。第1の顎部及び第2の顎部のうちの少なくとも一方は、他方に対して移動可能である。いくつかの実施において、エンドエフェクタは、カートリッジ本体に解放可能に保持され、カートリッジ本体内のステープルの配備によって組織に送達されるように構成された生体適合性補助材も含み得る。エンドエフェクタは、組織内の創傷治癒中のMMP媒介性の細胞外マトリックスの変性を所定の様式で防止するのに有効である、有効量の少なくとも1種のマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)阻害剤を含み得る。
【0010】
別の態様では、手術用ステープラによる組織の外科的ステープリング直後に手術部位における創傷治癒を一時的に阻害する方法が提供される。一実施形態において、本方法は、カートリッジアセンブリとエンドエフェクタのアンビルとの間に組織を係合させることと、エンドエフェクタを作動させて、カートリッジアセンブリから組織内へステープルを排出することと、を含み得る。本方法は、補助材を手術用ステープラのエンドエフェクタに付着させることと、補助材を通ってステープルを延在させて、補助材を手術部位に維持することと、を含み得る。複数のステープルの一部と、手術用ステープラのエンドエフェクタに付着させ得る任意の補助材とのうちの少なくとも1つは、有効量の少なくとも1種のマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)阻害剤を含むことができる。ステープル挿入部位を取り囲む組織へのMMP阻害剤の放出は、組織内の創傷治癒中のMMP媒介性の細胞外マトリックスの変性を所定の様式で防止することができる。
【0011】
一実施形態では、少なくとも1種のMMP阻害剤は、複数のステープルの少なくとも一部、例えば、複数のステープルの第1の脚部、第2の脚部(第1脚部及び第2脚部の遠位先端を含む)、及び冠部のうちの少なくとも1つに配置され得る。有効量の少なくとも1種のMMP阻害剤は、補助材内に配置され、補助材から放出可能である。MMP阻害剤は、MMP1、MMP2、MMP3、MMP7、MMP8、MMP9、MMP10、MMP11、MMP12、MMP13、MMP14、MMP15、MMP16、MMP17、MMP19、MMP23A、MMP23B、MMP25、MMP25、MMP26、MMP27、及びMMP28のうちの1つ以上を阻害するように構成することができる。MMP阻害剤は、コラゲナーゼ、ゼラチナーゼ、ストロメリシン、又は膜型MMPを阻害するように構成することができる。MMP阻害剤は、メタロプロテイナーゼの組織阻害剤(TIMP、例えばTIMP1、TIMP2、TIMP3又はTIMP4のいずれか)であり得る。MMP阻害剤は、ヒドロキシメート、カルボキシレート、カルバモイルホスホネート、ヒドロキシ尿素、ヒドラジン、β-ラクタム、スクアリン酸、窒素配位子、チオール、及びホスフィニルのうちの1つ以上であり得る。いくつかの実施形態では、MMP阻害剤は、炎症誘発細胞(例えば、好中球、ヘルパーT細胞、及びマクロファージのうちの少なくとも1つ)が、ステープルの配備後に組織に誘引されることを防止することができる。いくつかの態様では、組織は、腸組織、例えば、外科的切除直後の腸組織であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明は、以下の詳細な説明を添付図面と併せて読むことで、より完全に理解されるであろう。
図1】手術用ステープラの一実施形態の斜視図である。
図2図1の手術用ステープラの遠位部の分解図である。
図3図1の手術用ステープラの発射バーの斜視図である。この発射バーは、その遠位端にE-ビームを有する。
図4】手術用ステープラの別の実施形態の斜視図である。
図5】手術用ステープラの更に別の実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本明細書で開示する装置及び方法の構造、機能、製造、及び使用の原理の全体的な理解が得られるように、特定の例示的な実施形態を説明する。これらの実施形態のうちの1つ又は2つ以上の実施例が、添付の図面に例示されている。当業者であれば、本明細書で具体的に説明され、かつ添付の図面に例示される装置及び方法が、非限定的な典型的な実施形態であること、並びに本発明の範囲が、特許請求の範囲によってのみ定義されることを理解するであろう。1つの典型的な実施形態に関連して例示又は説明される特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせることができる。このような改変及び変形は、本発明の範囲内に含まれるものとする。
【0014】
更に、本開示においては、実施形態の同様の参照符合を付した構成要素は概して同様の特徴を有するものであり、したがって、特定の実施形態において、同様の参照符合を付した各構成要素の各特徴については必ずしも完全に詳しく述べることはしない。加えて、開示されるシステム、装置、及び方法の説明で直線寸法又は円寸法が使用される範囲において、かかる寸法は、かかるシステム、装置、及び方法と組み合わせて使用することができる形状の種類を限定しようとするものではない。当業者には、任意の幾何学的形状についてかかる直線寸法及び円寸法に相当する寸法を容易に決定することができる点が認識されるであろう。システム及び装置、並びにその構成要素のサイズ及び形状は、少なくとも、システム及び装置が内部で用いられる対象の解剖学的構造、システム及び装置が一緒に用いられる構成要素のサイズ及び形状、並びにシステム及び装置が用いられる方法及び手順に依存し得る。
【0015】
「近位」及び「遠位」という用語は、本明細書では、器具のハンドルを握っている臨床医などのユーザーを基準として使用されることが認識されるであろう。「前方」及び「後方」といった他の空間的用語は、同様に、遠位及び近位にそれぞれ対応する。便宜上、また説明を明確にするため、本明細書では「垂直」及び「水平」といった空間的用語が、図面に対して使用されている点も更に理解されるであろう。しかしながら、手術用器具は、多くの向き及び位置で使用されるものであり、これらの空間的用語は、限定的かつ絶対的なものであることを意図するものではない。
【0016】
外科的処置を行うための、様々な例示的な装置及び方法が提供される。いくつかの実施形態において、切開外科的処置のための装置及び方法が提供され、他の実施形態において、腹腔鏡下、内視鏡的、及び他の低侵襲的外科的処置のための装置及び方法が提供される。これらの装置は、人間のユーザーによって直接発射されるか、又はロボット若しくは類似の操作ツールの直接制御下でリモート発射されてよい。しかしながら、当業者は、本明細書に開示される様々な方法及び装置が、多数の外科的処置及び用途で用いられ得ることを理解するであろう。本明細書で開示される様々な器具が、例えば、自然開口部を通して、組織に形成された切開又は穿刺孔を通して、又はトロカールカニューレなどのアクセス装置を使用してなどの、何らかの方法で体内へ挿入され得ることを当業者は更に認識するであろう。例えば、これらの器具の作動部分、即ちエンドエフェクタ部分は、患者の体内に直接に挿入できる、又は手術用器具のエンドエフェクタ及び細長いシャフトを通過させることが可能な作業用チャネルを有するアクセス装置を介して挿入され得る。
【0017】
外科的処置の実行中に、患者の組織は、様々な様式のいずれかにおいて、傷つく場合がある(例えば、切除、引裂き、穿刺など)。創傷は、例えば、吻合術において、及び/又は組織が切断され、手術用装置、例えば、手術用ステープラを使用してファスナ留めされる場合、外科的処置の意図した態様である場合がある。傷ついた組織は、典型的には、全ての患者について一般的に同じ様式で経時的に治癒する。
【0018】
創傷治癒は、伝統的には、4つの段階:止血、炎症、増殖、及び再形成を含むと考えられている。止血段階は、一般的には、血液凝固、例えば、出血の停止を含む。一般的に、傷ついた血管は、収縮して血流を遅くし、血小板は凝集して、創傷部位を封止するのに役立ち、血小板は、フィブリンを活性化させて、創傷のシーリングを更に促進し、血餅が、創傷部位に形成される。炎症段階は、一般的には、創傷部位のクリーニングを含む。一般的に、免疫系が、創傷部位における可能性のある感染の恐れに対する応答を、防御型免疫細胞、例えば、好中球及びマクロファージに対するシグナル伝達を介して提供する。増殖段階は、一般的には、組織成長及び血管新生(血管成長)により、組織を再構築することを含む。一般的に、線維芽細胞が、創傷部位に到着し、コラーゲンを定着させ、上皮細胞を誘引する成長因子を放出し、上皮細胞が内皮細胞を誘引する。再形成段階(成熟段階とも呼ばれる)は、一般的には、創傷部位における瘢痕組織を増強することを含む。一般的に、コラーゲン繊維が整列し、架橋し、瘢痕が成熟して、最終的に消えていく。
【0019】
創傷治癒の4つの段階はそれぞれ、治癒プロセスの異なる態様を含むが、段階は、典型的には、互いに重なる。即ち、最後の3つの段階はそれぞれ、典型的には、それに先立つ段階と重なる。例えば、炎症は止血と重なり、増殖は炎症と重なり、再形成は増殖と重なる。段階間の遷移が生じる速度は、一般的には、創傷治癒全体の速度に影響を及ぼすため、一般的には、患者の回復時間、合併症を生じる恐れ、及び/又は患者の快適性に影響を及ぼす。同様に、4つの個々の段階それぞれの長さは、一般的には、創傷治癒全体の速度及び患者の全身回復に影響を及ぼす。
【0020】
マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)は、創傷治癒中に含まれる様々な生理学的及び病理学的条件下で、組織の細胞外マトリックス(ECM)の成分を分解するプロテアーゼ群である。これらの酵素は、死亡及び失活組織を除去し、ECMの下にある結合組織を再形成するのに役立ち、創傷部位への炎症細胞の移染を促進し、血管新生を支援する。
【0021】
創傷治癒の炎症段階の間、MMPは創傷の縁部に位置する損傷ECMを破壊する。これにより、新たなECM分子(例えば、コラーゲン、エラスチン、及びフィブロネクチンなど)が、創傷治癒の後期段階中に創傷部位に位置するか又は創傷部位に誘引される細胞によって合成され、最終的には、完全なECMに融合し、完全なECMの一部となることによって創傷閉鎖及び治癒をもたらし得る。更に、創傷の直後の特定のMMP(例えば、MMP1、MMP9、及びMMP8)の発現は、創傷形成部位への炎症誘発性免疫細胞(例えば、好中球、ヘルパーT細胞、及びマクロファージなどであるが、これらに限定されない)の動員並びに炎症誘発性物質及びタンパク質の発現に関連している。
【0022】
実施例の項でより詳細に論じられるように、組織ステープリング直後、創傷治癒の初期段階を促進するために、ステープル挿入放出型MMPの部位に存在する細胞(特に、ECMのコラーゲン成分)は、ステープル挿入によって引き起こされる創傷及びその近傍でECM(特にECMのコラーゲン成分)を分解するプロセスを開始する。しかしながら、理論に束縛されるものではないが、実施例で例示されるように、この自然なプロセスは、少なくとも最初に(即ち、ステープル挿入後約3日まで)、(例えば、ECMにおけるコラーゲン変性により)ステープル部位を取り囲む組織の弱化をもたらし、破断及び他の合併症(例えば、ステープルによって形成された開口部を通じた血液、空気、及び他の流体の漏出、並びに腸切除後の吻合漏れなど)にかかりやすくなる。したがって、理論に束縛されるものではないが、MMPをステープル挿入直後の組織(例えば、腸組織)内の創傷部位に阻害することができる物質を送達することで、創傷治癒の初期段階と関連付けられるECMの変性を防止又は最小化することによって、ステープル挿入部位を強化し、漏れ又は断裂の可能性を低下させることができる。
【0023】
したがって、外科手術の改善を助けるために、手術用ステープラなどの手術用器具と共に1つ以上のMMP阻害剤を使用することが望ましい場合がある。MMP阻害剤は、創傷部位におけるECM成分上のMMPのタンパク質分解活性を阻害又は減少させることができる分子である。加えて、創傷形成直後のMMP阻害は、追加の炎症促進免疫細胞が創傷部位に誘引されて、ECMの更なる構造的弱化をもたらすことを防止し得る。理論に束縛されるものではないが、ステープル挿入直後に生じる天然MMP媒介性のECM分解を防止することによって、MMP阻害剤は、創傷部位を取り囲む組織を強化することによって、組織ステープリングに関連する組織漏出合併症を防止することができる場合がある。場合によっては、本明細書で提供される方法に従って本明細書の装置によって組織ステープリング部位に送達されるMMP阻害剤は、瘢痕組織形成の発生率を増加させ、ステープリング後に生じる組織変形から生じ得るステープル穿刺部位内及びその周囲の組織の運動(例えば、肺膨張、消化管拡張など)を最小化することができる。当業者は、ステープル穿刺部位は応力集中部となることがあり、ステープルによって形成された孔の寸法は、その付近の組織が張力下に置かれると増大することを認識するであろう。したがって、ECMのMMP媒介性の分解(例えば、コラーゲンのMMP媒介性のタンパク質分解)を防止することによって、これらの穿刺部位の周囲組織の移動を制限することで、瘢痕組織形成を促進することができ、それにより、孔が張力下に成長し得る寸法及び漏出の可能性を最小限に抑えることができる。
【0024】
創傷治癒におけるMMP及びMMP阻害剤の使用に関する更なる臨床研究は、Argen et al.、Surgery、2006、140(1):72~82;Krarup et al.、Int J Colorectal Dis、2013、28:1151~1159;Bosmans et al.、BMC Gastroenterology(2015)15:180;Holte et al.、Brit J.Surg.,2009、96:650~54;Siemonsma et al.、Surgery,2002、133(3):268~276;Klein et al.、Eur.Surg.Res.、2011、46:26~31;Moran et al.、World J.Emergency Surgery,2007、2:13;Kaemmer et al.、J.Surg.Res.、2010、I63、e67~e72;Martens et al.、Gut、1991、32、1482~87;Fatouros et al.、1999、Eur.J.Surg.,165(10):986~92;Savage et al,1997、40(8):962~70 Oines et al.、World J.Gastroenterol、2014 20(35):12637~48;Kiyama et al.、Wound Repair and Regen、10(5):308~13;Raptis et al.、Int.J.Colorectal Dis.、2011;de Hingh et al.、Int.J.Colorectal.Dis.、2002、17:348~54;及びHayden et al.、2011、J.Surgical Res.、168:315~324,に見出すことができ、それぞれの開示は参照により全文を本明細書に組み込む。
【0025】
手術用ステープル留め器具
様々な手術用器具が、本明細書で開示された薬剤と共に使用され得る。手術用器具は、手術用ステープラを含み得る。様々な手術用ステープラ、例えば、線状手術用ステープラ及び輪状ステープラが使用され得る。概して、線状ステープラは長手方向ステープルラインを形成するように構成することができ、長手方向ステープル列を収容するカートリッジが結合される細長い顎部を含むことができる。細長い顎部は、顎部内に保持された組織に沿って、ステープル列間の切断を形成することができるナイフ又は他の切断部材を含むことができる。概して、輪状ステープラは、環状ステープルラインを形成するように構成され得、環状ステープル列を収容するカートリッジを有する輪状顎部を含むことができる。輪状顎部は、顎部内に保持された組織を貫通する開口部を画定するために、ステープルの列の内側に切断を形成することができるナイフ又は他の切断部材を含むことができる。ステープラは、様々な異なる外科的処置において、例えば、胸部手術又は胃部手術において、様々な組織に対する様々な異なる外科的処置に使用され得る。
【0026】
図1は、1つ以上の補助材及び/又は薬剤と共に使用するに適した線状手術用ステープラ10の一実施例を示す。ステープラ10は、一般に、ハンドルアセンブリ12と、ハンドルアセンブリ12の遠位端12dから遠位に延在するシャフト14と、シャフト14の遠位端14dにあるエンドエフェクタ30と、を含む。エンドエフェクタ30は、対向する下部顎部32及び上部顎部34を有するが、他の種類のエンドエフェクタを、シャフト14、ハンドルアセンブリ12、及びそれらに付随する構成要素と共に使用してもよい。下部顎部32は、ステープルカートリッジ40を支持するように構成されているステープルチャネル56を有し、上部顎部34は、下部顎部32に面し、ステープルカートリッジ40のステープル(ステープルは、図1及び図2において隠れている)を配備するのを支援するように、アンビルとして動作するように構成された、アンビル面33を有する。対向する下部顎部32及び上部顎部34の少なくとも一方は、それらの間に配置された組織及び/又は他の物体をクランプするために、他方の下部顎部32及び上部顎部34に対して移動可能である。いくつかの実施では、対向する下部顎部32及び上部顎部34の一方は、固定されるか、又は別の方法で移動不能であってよい。いくつかの実施では、対向する下部顎部32及び上部顎部34の両方が移動可能であってよい。発射システムの構成要素は、ステープルをクランプされた組織内に放出するために、エンドエフェクタ30の少なくとも一部を通過するように構成され得る。様々な実施において、ナイフブレード36又は他の切断部材は、発射システムに接続され、ステープリング処置中に組織を切開し得る。
【0027】
エンドエフェクタ30の作動は、ハンドルアセンブリ12での、例えば、臨床医、外科医などのユーザーからの入力によって開始され得る。ハンドルアセンブリ12は、それに連結されるエンドエフェクタ30を扱って操作するように設計された多くの異なる構成を有してもよい。図示した実施例では、ハンドルアセンブリ12は、器具10の多様な特徴部を操作するための様々な機械的構成要素及び/又は電気的構成要素が内部に配設されている、ピストルグリップ型のハウジング18を有している。例えば、ハンドルアセンブリ12は、ハンドルアセンブリ12に対する、シャフト14の長手方向軸線Lの周りでのシャフト14及び/又はエンドエフェクタ30の回転を促進し得る、その遠位端12dに隣接して取り付けられた回転ノブ26を含み得る。ハンドルアセンブリ12は、クランプトリガ22によって作動されるクランプシステムの一部としてクランプ構成要素と、発射トリガ24によって作動される発射システムの一部として発射構成要素と、を更に含み得る。クランプトリガ22及び発射トリガ24は、例えば、トーションばねによって、静止ハンドル20に対して開放位置に付勢され得る。静止ハンドル20に向けたクランプトリガ22の移動は、以下に記載のクランプシステムを作動させることができ、これにより、顎部32、34を互いに向けて倒し、それによって、それらの間に組織をクランプすることができる。発射トリガ24の移動は、以下に記載の発射システムを作動させることができ、これにより、その中に配置されたステープルカートリッジ40からステープルを放出させることができ、及び/又はナイフブレード36を前進させて、顎部32、34の間に捕捉された組織を切断することができる。当業者であれば、機械、油圧、空気圧、電気機械、ロボット、又はその他の発射システムの構成要素の様々な構成が、ステープルの放出及び/又は組織の切開に使用され得ることを認識するであろう。
【0028】
図2に示すように、図示した実施のエンドエフェクタ30は、カートリッジアセンブリ又はキャリアとして機能する下部顎部32と、アンビルとして機能する、対向する上部顎部34と、を有する。内部に複数のステープルを有するステープルカートリッジ40は、ステープルトレイ37内に支持され、次に、ステープルトレイ37は、下部顎部32のカートリッジチャネル内に支持される。上部顎部34は、複数のステープル形成ポケット(図示せず)を有し、ステープル形成ポケットの各々は、ステープルカートリッジ40内に収容される複数のステープルからの対応するステープルの上に位置付けられる。上部顎部34は、様々な方法で下部顎部32に接続され得るが、図示した実施では、上部顎部34は、シャフト14との係合部のすぐ遠位の、ステープルチャネル56の近位端56p内に枢動可能に受容される近位枢動端34pを有している。上部顎部34が下向きに枢動すると、上部顎部34は、アンビル面33を移動させ、その上に形成されているステープル形成ポケットが、対向するステープルカートリッジ40に向かって移動する。
【0029】
様々なクランプ構成要素を使用して顎部32、34の開放及び閉鎖をもたらして、それらの間に組織を選択的にクランプすることができる。図示するように、上部顎部34の枢動端34pは、ステープルチャネル56とのその枢動的な取り付け部より遠位に閉鎖機構34cを含む。したがって、その遠位端部に、閉鎖機構34cと係合する馬蹄形開口部46aを含む閉鎖管46は、クランプトリガ22に応じて、閉鎖管46の近位長手方向運動中に上部顎部34に対して開放運動を、及び閉鎖管46の遠位長手方向運動中に上部顎部34に対して閉鎖運動を、選択的に与える。上記のように、様々な実施において、エンドエフェクタ30の開閉は、上部顎部34に対する下部顎部32の相対運動、下部顎部32に対する上部顎部34の相対運動、又は互いに対する両方の顎部32、34の運動によってもたらされてよい。
【0030】
図示した実施の発射構成要素は、図3に示すように、その遠位端にEビーム38を有する発射バー35を含む。発射バー35は、シャフト14内、例えば、シャフト14の長手方向発射バースロット14s内に包含され、ハンドル12からの発射運動によって誘導される。発射トリガ24の作動は、エンドエフェクタ30の少なくとも一部を通るEビーム38の遠位運動に影響を与え、それによって、ステープルカートリッジ40内に収容されたステープルを発射させ得る。図示されるように、Eビーム38の遠位端から突出しているガイド39は、図2に示したウェッジスレッド47と係合し得る。次に、ウェッジスレッドは、ステープルカートリッジ40内に形成されたステープル空洞41を通ってステープルドライバ48を押し上げ得る。ステープルドライバ48の上向きの移動は、カートリッジ40内の複数のステープルの各々に上向きの力を加え、それによって上部顎部34のアンビル面33に対してステープルを上向きに押し、成形されたステープルを作り出す。
【0031】
ステープルを発射させることに加えて、Eビーム38は、顎部32、34の閉鎖、ステープルカートリッジ40からの上部顎部34の引き離し、及び/又は顎部32、34間に捕捉された組織の切断を促進するように構成され得る。具体的には、一対の頂部ピン及び一対の底部ピンは、上部顎部32及び下部顎部34の一方又は両方と係合して、発射バー35がエンドエフェクタ30を通って前進するときに、顎部32、34を互いに向けて圧迫し得る。同時に、頂部ピンと底部ピンとの間に延在するナイフ36は、顎部32、34の間に捕捉された組織を切断するように構成され得る。
【0032】
使用中、手術用ステープラ10は、カニューレ又はポート内に配置され、手術部位に配置され得る。切開されてステープル留めされる組織は、手術用ステープラ10の顎部32、34の間に定置されてもよい。ステープラ10の機構が、ユーザーによって望みどおりに操作され、顎部32、34に関する手術部位と組織において、顎部32、34の所望の位置を実現し得る。適切な位置決めを達成した後に、クランプトリガ22を静止ハンドル20に向けて引いて、クランプシステムを作動させ得る。トリガ22は、閉鎖管46が、シャフト14の少なくとも一部を通過して遠位方向に進んで、顎部32、34の少なくとも一方を他方に向かって倒し、これらの間に配置された組織をクランプするように、クランプシステムの構成要素を作動させ得る。その後、発射バー35及び/又はEビーム38が、エンドエフェクタ30の少なくとも一部を通って遠位方向に進んで、ステープルの発射をもたらし、任意追加的に、顎部32、34の間で捕捉された組織を切断するように、トリガ24を、静止ハンドル20に向けて引いて、発射システムの構成要素を作動させ得る。
【0033】
線状手術用ステープラ50の形態の手術用器具の別の実施例を、図4に図示する。ステープラ50は、概して、図1のステープラ10と同様に構成され、使用され得る。図1の手術用器具10と同様に、手術用器具50は、シャフト54を備えるハンドルアセンブリ52を備え、シャフトは手術用器具から遠位に延在し、組織を処置するためのエンドエフェクタ60を遠位端に有する。エンドエフェクタ60の上部顎部64及び下部顎部62は、それらの間に組織を捕捉し、下部顎部62内に配置されたカートリッジ66からステープルを発射することによって組織をステープル留めする、及び/又は組織に切開部を形成するように構成され得る。この実施において、シャフト54の近位端にある取り付け部67は、シャフト54及びエンドエフェクタ60をハンドルアセンブリ52に取り外し可能に取り付けられるように構成することができる。具体的には、取り付け部67の嵌合機構68は、ハンドルアセンブリ52の補助嵌合機構71と嵌合できる。嵌合機構68、71は、例えば、スナップフィット結合、バヨネット式結合などによって互いに連結するように構成され得るが、シャフト54をハンドルアセンブリ52に着脱可能に連結するために、任意の数の補助嵌合機構及び任意の種類の結合を使用することができる。図示した実施のシャフト54の全体は、ハンドルアセンブリ52から分離可能に構成されているが、いくつかの実施において、取り付け部67は、シャフト54の遠位部のみを取り外すことができるように構成され得る。シャフト54及び/又はエンドエフェクタ60の分離可能な連結は、特定の処置のための所望のエンドエフェクタ60の選択的な取り付け、及び/又は多数の異なる処置のためのハンドルアセンブリ52の再利用を可能にできる。
【0034】
ハンドルアセンブリ52は、エンドエフェクタ60を操作して作動させるための1つ又は2つ以上の機構をその上に有していてもよい。非限定例として、ハンドルアセンブリ52の遠位端に取り付けられた回転ノブ72は、ハンドルアセンブリ52に対するシャフト54及び/又はエンドエフェクタ60の回転を促進し得る。ハンドルアセンブリ52は、移動可能なトリガ74によって作動されるクランプシステムの一部としてのクランプ構成要素と、これもトリガ74によって作動され得る発射システムの一部としての発射構成要素と、を含み得る。したがって、いくつかの実施において、第1運動範囲を通る、静止ハンドル70に向けたトリガ74の移動は、クランプ構成要素を作動させて、対向する顎部62、64を互いに向けて閉鎖位置に近づけさせ得る。いくつかの実施において、対向する顎部62、24の一方のみが、顎部62、64に向けて閉鎖位置に移動し得る。静止ハンドル70に向けた、第2運動範囲を通るトリガ74の更なる移動は、発射構成要素を作動させて、ステープルカートリッジ66からステープルを放出させることができ、及び/又はナイフ若しくは他の切断部材(図示せず)を前進させて、顎部62、64の間に捕捉された組織を切断することができる。
【0035】
環状手術用ステープラ80の形態の手術用器具の一実施例を、図5に図示する。ステープラ80は、概して、図1及び図4の線状ステープラ10、50と同様に構成されて使用され得るが、一部の特徴は、その機能を輪状ステープラとして適応させている。手術用器具10、50と同様に、手術用器具80は、シャフト84を備えるハンドルアセンブリ82を備え、シャフト84は、手術用器具80から遠位に延在し、組織を処置するためのエンドエフェクタ90をその遠位端に有している。エンドエフェクタ90は、略円形の形状を有する、組織に接触する表面をそれぞれが有するカートリッジアセンブリ92及びアンビル94を含み得る。カートリッジアセンブリ92とアンビル94とは、ステープラ80のアンビル94からハンドルアセンブリ82まで延在するシャフト98を介して結合させることができ、ハンドルアセンブリ82上のアクチュエータ85を操作すると、シャフト98を後退及び前進させて、カートリッジアセンブリ92に対してアンビル94を移動させることができる。アンビル94及びカートリッジアセンブリ92は、様々な機能を行うことができ、それらの間に組織を捕捉する、カートリッジアセンブリ92のカートリッジ96からステープルを発射することにより組織をステープル留めする、かつ/又は、組織に切開を形成するように構成することができる。一般的に、カートリッジアセンブリ92は、ステープルを収容しているカートリッジを収納することができ、ステープルをアンビル94に対して配備することにより、円形のステープルパターンを形成し、例えば、管状体内臓器の外周の周りをステープル留めすることができる。
【0036】
1つの実施において、シャフト98は、アンビル94をカートリッジアセンブリ92から分離することができるように解放可能に互いに連結されるように構成された第1の部分及び第2の部分(図示せず)で形成することができ、これにより、アンビル94及びカートリッジアセンブリ92を、患者の体内に配置するのに、より高い柔軟性を与えることができる。例えば、シャフトの第1の部分は、カートリッジアセンブリ92の内部に配置され、遠位方向にカートリッジアセンブリ92の外部へと延在して、遠位嵌合機構において終端することができる。シャフト84の第2の部分は、アンビル94内に配置され、近位方向にカートリッジアセンブリ92の外へと延在して、近位嵌合機構において終端することができる。使用に際しては、近位嵌合機構と遠位嵌合機構とを互いに連結することにより、アンビル94とカートリッジアセンブリ92とを互いに対して動かすことができる。
【0037】
ステープラ80のハンドルアセンブリ82には、ステープラの動作を制御することができる様々なアクチュエータを配置することができる。例えば、ハンドルアセンブリ82には、回転によってエンドエフェクタ90の配置を容易にする回転ノブ86、及び/又はエンドエフェクタ90を作動させるためのトリガ85を配置することができる。第1の運動範囲によるトリガ85の静止ハンドル87に向かう運動によって、クランプシステムの構成要素を顎部に近づける(即ち、カートリッジアセンブリ92に向かってアンビル94を動かす)ように作動させることができる。第2の運動範囲によるトリガ85の静止ハンドル87に向かう運動によって、発射システムの構成要素を作動させて、ステープルをステープルカートリッジアセンブリ92から配備させ、かつ/又はカートリッジアセンブリ92とアンビル94との間に捕捉された組織を切断するためにナイフを前進させることができる。
【0038】
手術用ステープル留め器具10、50、及び80の図示した例は、多くの異なる構成及び関連する使用方法のうちのごく一部の例を提供するものであり、これらは本明細書で提供される開示と共に使用され得る。図示した実施例は、全て低侵襲処置で使用するように構成されているが、切開外科的処置で使用するように構成されている器具、例えば、米国特許第8,317,070号(発明の名称「Surgical Stapling Devices That Produce Formed Staples Having Different Lengths」、2007年2月28日付けで出願)に記載されているように切開線状ステープラを、本明細書で提供される開示と共に使用できることが理解されるであろう。図示した実施例の更なる詳細、並びに手術用ステープラ、その構成要素、及びその関連する使用方法の更なる実施例は、米国特許出願公開第2013/0256377号(発明の名称「Layer Comprising Deployable Attachment Members」、2013年2月8日付けで出願)、米国特許第8,393,514号(発明の名称「Selectively Orientable Implantable Fastener Cartridge」、2010年9月30日付けで出願)、米国特許第8,317,070号(発明の名称「Surgical Stapling Devices That Produce Formed Staples Having Different Lengths」、2007年2月28日付けで出願)、米国特許第7,143,925号(発明の名称「Surgical Instrument Incorporating EAP Blocking Lockout Mechanism」、2005年6月21日付けで出願)、米国特許出願公開第2015/0134077号(発明の名称「Sealing Materials For Use In Surgical Stapling」、2013年11月8日付けで出願)、米国特許出願公開第2015/0134076号(発明の名称「Hybrid Adjunct Materials for Use in Surgical Stapling」、2013年11月8日付けで出願)、米国特許出願公開第2015/0133996号(発明の名称「Positively Charged Implantable Materials and Method of Forming the Same」、2013年11月8日付けで出願)、米国特許出願公開第2015/0129634号(発明の名称「Tissue Ingrowth Materials and Method of Using the Same」、2013年11月8日付けで出願)、米国特許出願公開第2015/0133995号(発明の名称「Hybrid Adjunct Materials for Use in Surgical Stapling」、2013年11月8日付けで出願)、米国特許出願第14/226,142号(発明の名称「Surgical Instrument Comprising a Sensor System」、2014年3月26日付けで出願)、及び同第14/300,954号(発明の名称「Adjunct Materials and Methods of Using Same in Surgical Methods for Tissue Sealing」、2014年6月10日付けで出願)に提供される。これらの文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0039】
MMP阻害剤
MMPは、20超のメンバーのファミリーを含み、それらの活性部位にZn2+を使用して、コラーゲンなどのECM成分の加水分解に触媒作用を及ぼす。基質特異性に基づいて、それらは3つのサブファミリー、コラゲナーゼ、ストロメリシン、及びゼラチナーゼに大別することができる。MMPファミリーのタンパク質は、胚発生、生殖、血管新生、骨発育、創傷治癒、細胞遊走、学習、及び記憶などの正常な生理学的プロセスにおける細胞外マトリックスの破壊、並びに関節炎、脳内出血、及び転移などの病理学的プロセスに関与する。ほとんどのMMPは非活性プロタンパク質として分泌され、これは細胞外プロテイナーゼによって切断されたときに活性化される。この遺伝子によりコードされる酵素は、IV型及びV型コラーゲン及び他の細胞外マトリックスタンパク質を分解する。
【0040】
正常な生理学的条件下では、MMPは創傷治癒及び組織再形成において機能する。しかしながら、これらの酵素が活性化され過ぎると、ECMを過剰分解し、疾患状態をもたらす可能性がある。例えば、MMP-2及びMMP-9(両方がゼラチナーゼである)は、多くの器官における炎症性、感染性、及び腫瘍性疾患の病因に関与すると考えられる。コラゲナーゼ-2又は好中球コラゲナーゼとしても知られるMMP-8の過剰活性は、肺気腫及び変形性関節炎などの疾患に関連する。Balbin et al.、「Collagenase 2(MMP-8)expression in murine tissue-remodeling processes,analysis of its potential role in postpartum involution of the uterus」、J.Biol.Chem.、273(37):23959~23968(1998)を参照されたい。マクロファージエラスターゼ又はメタロエラスターゼとしても知られるMMP-12の過剰活性は、腫瘍浸潤、関節炎、アテローム性動脈硬化症、アルポート症候群、及び慢性閉塞性肺疾患(COPD)において重要な役割を果たす。MMP-1及びMMP-13は、コラーゲンのタンパク質分解に関与する。コラーゲンの過剰分解は、変形性関節炎を含む様々な疾患の発症に関連する。例えば、P.G.Mitchell et al.、「Cloning、expression、and type II collagenolytic activity of matrix metalloproteinase-13 from human osteoarthritic cartilage」、J Clin invest.1996年2月1日;97(3):761~768を参照されたい。
【0041】
本明細書で使用される場合、「マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤」又は「MMP阻害剤」は、哺乳動物において天然に存在する少なくとも1種のマトリックスメタロプロテイナーゼ酵素(例えば、創傷治癒中に自然に発現するMMPなど)のタンパク質分解活性の少なくとも5%(例えば、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%のいずれか)を阻害する任意の化学物質である。多くのMMP阻害剤が、当該技術分野において既知である。例えば、既存のMMP阻害剤は、ヒドロキサム酸誘導体、スフィロニルアミノ酸、及びスルホニルアミノヒドロキサム酸誘導体に基づくことができる。これらの阻害剤中のヒドロキサム酸部分は、MMP活性部位Zn2+に結合して、酵素活性を阻害する。更に、多数のペプチドは、既知のマトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤である。
【0042】
MMPのタンパク質分解活性を阻害又は減少させるマトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤の非限定的な具体例は、外因性MMP阻害剤、バチマスタット(BB-94)、イロマスタット(GM6001)、マリマスタット(BB2516)、チオール、ドキシサイクリン、スクアリン酸、BB-1101、CGS-27023-A(MMI270B)、COL-3(メタスタット;CMT-3)、AZD3342、ヒドロキシ尿素、ヒドラジン、内因性、カルバモイルホスフェート、ベータラクタン、テトラサイクリン、テトラサイクリンの類似物及び同族体、ミノサイクリン、3-(4-フェノキシフェニルスルホニル)プロピルチラン、ピリミジン-2,4-ジオン、BAY12-9566、プリノマスタット(AG-3340)、N-{1S-[4-(4-クロロフェニル)ピペラジン-1-スルホニルメチル]-2-メチルプロピル}-N-ヒドロキシホルムアミド、RO31-9790、3-(4-フェノキシフェニルスルホニルプロピルチラン、1,6-ビス[N’-(p-クロロフェニル)-N5-ビグアニド]ヘキサン、トロケード、1-(12-ヒドロキシ)オクタデカニル硫酸ナトリウム、ミノサイクリン(7-ジメチルアミノ-6-ジメチル-6-デオキシテトラサイクリン)、テトラペプチジルヒドロキサム酸、N-[(2R)-2-(カルボキシメチル)-4-メチルペンタノイル]-L-トリプトファン-(S)-メチル-ベンジルアミド、N-[(2R)-2-(ヒドロキシアミドカルボニルメチル)-4-メチルペンタノイル]-L-トリプトファンメチルアミド、N-ヒドロキシ-1,3-ジ-(4-メトキシベンゼンスルホニル)-5,5-ジメチル-[1,3]-ピペラジン-2-カルボキサミド、N-{1S-[4-(4-クロロフェニル)ピペラジン-1-スルホニルメチル]-2-メチルプロピル}-N-ヒドロキシホルムアミド、トリアリール-オキシ-アリールオキシ-ピリミジン-2,4,6-トリオン、4-ビアリールブチリン酸、5-ビアリールペンタン酸、フェンブフェン、ペプチドMMPI、ヒドロキサム酸、三環式酪酸、ビフェニル酪酸、複素環式置換フェニル酪酸、スルホンアミド、スクシアミド、FN-439(p-アミノベンゾイル-Gly-Pro-D-Leu-D-Ala-NHOH,MMP-Inh-1)、スルホン化アミノ酸、MMP9阻害剤I(CTK8G1150)、ONO-4817、Ro28-2653、SB-3CT、中和抗MMP抗体、及びタクロリムス(FK506)を含むが、これらに限定されない。
【0043】
MMP阻害剤はまた、MMP(TIMP)の組織阻害剤のファミリーも含む。本明細書で使用される場合、用語「TIMP」は、活性マトリックスメタロプロテアーゼの阻害、pro-MMP活性化の調節、細胞増殖、及び血管新生の調節を含む生理学的/生物学的機能に関与することが知られている、メタロプロテイナーゼの内因性組織阻害剤を意味する。ヒト「TIMPファミリー」は、4つのメンバー、TIMP-1、TIMP-2、TIMP-3、及びTIMP-4を含む。TIMP-1タンパク質は、TIMPファミリーの最も広く発現され、研究されているメンバーである。TIMPファミリーの他のメンバーには、TIMP-2、TIMP-3、及びTIMP-4が挙げられる。TIMPタンパク質は、天然タンパク質構造に必須のジスルフィド結合を形成する一連の保存されたシステイン残基を含め、共通の構造的特徴を共有するだけでなく(Brew et al.、2000)、広範に重複する生物学的活性も有する。TIMPタンパク質の保存されたN末端領域が機能的阻害活性に必要である一方、分岐C末端領域は、MMPに対する阻害剤の阻害及び結合効率の選択性を調節すると考えられる。しかしながら、MMP阻害剤として作用する能力とは別に、様々なTIMPファミリーメンバーは、血管新生及び炎症反応の調節に加えて、増殖及びアポトーシスの調節を含む追加の生物学的活性を発揮し得る。
【0044】
TIMP-1は、(MMP-2及び-14を除く)MMPの大部分を阻害し、MMP-8を優先的に阻害することが分かっている。TIMP-1は、様々な細胞型によって可溶性形態で生成及び分泌され、身体全体に広く分配される。これは、28.5kDaの分子量を有する広範なグリコシル化されたタンパク質である。TIMP-1は、MMPの活性形態を阻害し、MMP9のプロフォームとの複合体を形成する。MMP9と同様に、TIMP-1発現は多くの因子に敏感である。TIMP-1の合成の増強は、TGFB、EGF、PDGF、FGFb、PMA、全トランスレチノイン酸(RA)、IL1及びIL11を含む多種多様な試薬によって引き起こされる。
【0045】
TIMP-2は、様々な細胞型によって発現される21kDa糖タンパク質である。TIMP-2は、潜在性MMP及び活性MMPの両方を有する非共有結合性の化学量論的複合体を形成する。TIMP-2は、MMP-2の阻害を優先する。
【0046】
TIMP-3は、典型的にはECMに結合し、MMP-1、-2、-3、-9、及び13の活性を阻害する。TIMP-3は、TIMP-1との30%のアミノ酸相同性及びTIMP-2との38%のアミノ酸相同性を示す。TIMP-3は、ECMからの形質転換細胞の分離を促進し、細胞形質転換に関連する形態変化を加速することが立証されている。
【0047】
ECMへの高親和性結合により、TIMP-3はTIMPの中でも独特である。TIMP-3は、ECMからの形質転換細胞の分離を促進し、細胞形質転換に関連する形態変化を加速することが立証されている。TIMP-3は、細胞表面との結合を担うと考えられている6つのアミノ酸(Lys30、Lys26、Lys22、Lys42、Arg20、Lys45)を含むグルコサミノグリカン(GAG)結合ドメインを含有する。TIMP-3は、TACE(TNF-α-変換酵素)を通常阻害する唯一のTIMPであり、可溶性TNFを放出し、IL-6受容体の処理に関与することにより、創傷治癒プロセスにおいて中心的な役割を果たす唯一のTIMPである。
【0048】
TIMP-4は、全ての既知のMMPを阻害し、MMP-2及び-7を優先的に阻害する。TIMP4は、TIMP1との37%のアミノ酸相同性、並びにTIMP2及びTIMP3との51%のアミノ酸相同性を示す。TIMP4は、主に心臓及び脳組織において細胞外に分泌され、細胞外マトリックス(ECM)ホメオスタシスに関して組織特異的に機能すると思われる。
【0049】
いくつかの実施では、MMP阻害剤は、手術用ステープラ又はその構成要素の外側表面(例えば、ステープル(ステープル脚部若しくはステープル冠部など)の外側表面)又は補助材の外側表面へのMMP阻害剤の接着を可能にする又は向上させる物質を含み得る。物質は、任意に水溶性であり得る及び/又はイオン帯電され得る吸収性物質(吸収性ポリマー又は吸収性潤滑剤など)であり得る。
【0050】
MMP阻害剤の外側表面への接着を可能にすること又は向上させることができる好適な吸収性ポリマーは、合成及び/又は非合成材料を含んでもよい。非合成材料の例としては、凍結乾燥多糖類、糖タンパク質、ウシの心膜、コラーゲン、ゼラチン、フィブリン、フィブリノーゲン、エラスチン、プロテオグリカン、ケラチン、アルブミン、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース、酸化セルロース、酸化再生セルロース(ORC)、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、キチン、キトサン、カゼイン、アルギン酸、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。合成吸収性材料の例としては、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(L-乳酸)(PLLA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ(トリメチレンカーボネート)(TMC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、グリコリドとε-カプロラクトン(PGCL)とのコポリマー、グリコリドとトリメチレンカーボネートとのコポリマー、ポリ(セバシン酸グリセロール)(PGS)、ポリ(ジオキサノン)(PDS)、ポリエステル、ポリ(オルソエステル)、ポリオキサエステル、ポリエーテルエステル、ポリカーボネート、ポリアミドエステル、ポリ酸無水物、ポリサッカライド、ポリ(エステル-アミド)、チロシン系ポリアリーレート、ポリアミン、チロシン系ポリイミノポリカーボネート、チロシン系ポリカーボネート、ポリ(D,L-ラクチド-ウレタン)、ポリ(ヒドロキシ酪酸塩)、ポリ(B-ヒドロキシ酪酸塩)、ポリ(Eカプロラクトン)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ[ビス(カルボキシラートフェノキシ)ホスファゼン]ポリ(アミノ酸)、擬似ポリ(アミノ酸)、吸収性ポリウレタン、ポリ(ホスファジン)、ポリホスファゼン、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリヒドロキシエチルメチルアクリレート、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ(カプロラクトン)、ポリアクリル酸、ポリアセテート、ポリプロピレン、脂肪族ポリエステル、グリセロール、コポリ(エーテル-エステル)、ポリアルキレンオキザラート、ポリアミド、ポリ(イミノカーボネート)、ポリアルキレンオキザラート、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。様々な実施形態において、ポリエステルは、ポリラクチド、ポリグリコリド、トリメチレンカーボネート、ポリジオキサノン、ポリカプロラクトン、ポリブテステル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0051】
いくつかの実施形態では、MMP阻害剤は、合成又は非合成吸収性ポリマーに吸収され得る、又は封入され得る。更に、ポリマーは、MMP阻害剤でコーティングされたステープルの領域へのMMP阻害剤の接着を促進するために、阻害剤に関連する1つ以上の誘因的態様を有することができる。例えば、吸収性ポリマーは多孔質であり、MMP阻害剤を含有する液体を、液体が乾燥したときに保持される孔内に貯留及び回収することができる。加えて、MMP阻害剤又は吸収性ポリマーの一方又は両方は、イオン電荷と共に配合されることによって静電吸引させることができる。吸収性ポリマー(例えば、ポリウレタン)はまた、MMP阻害剤を共有結合させるように、ポリマー鎖自体へのペンダント要素として配合することもできる。最後に、ポリマー自体の水溶性を操作して、ポリマーとMMP阻害剤を混合させた後に水を構造体から除去し、薬物とポリマーとを混合させたままにすることができる。
【0052】
少なくともいくつかの実施において、吸収性潤滑剤を使用して、手術用ステープラ又はその構成要素の外側表面(例えば、ステープル(ステープル脚部又はステープル冠部など)の外側表面又は補助材の外側表面)へのMMP阻害剤の接着を可能にすること又は強化することができる。好適な吸収性潤滑剤は、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、粉末ステアリン酸、タルク、パラフィン、カカオバター、グラファイト、リコポジウム、又はこれらの組み合わせなどの任意の一般的な錠水不溶性潤滑剤を含むが、これらに限定されない。吸収性潤滑剤は、例えば、ステアリン酸塩、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、及びステアリン酸などの脂肪酸由来であり得る。
【0053】
植え込み可能な補助材
様々な植え込み可能な補助材が、手術用ステープル留め器具と共に使用するために提供される。「補助材」は、本明細書において、「補助材料」とも呼ばれる。補助材は、様々な構成を有することができ、様々な材料から形成され得る。概して、補助材は、1つ又は2つ以上のフィルム、発泡体、射出成形熱可塑性材料、真空熱成形材料、繊維性構造体、及びこれらのハイブリッドから形成され得る。また、補助材は、1つ又は2つ以上の生物由来材料及び1つ又は2つ以上の薬物も含み得る。これらの材料はそれぞれ、以下により詳細に検討される。
【0054】
補助材は、発泡体、例えば、独立気泡発泡体、連続気泡発泡体、又はスポンジから形成され得る。このような補助材を製造することができる方法の例は、動物由来コラーゲン、例えば、ブタの腱からのものであり、次いで、これが処理され、凍結乾燥されて、発泡構造を得ることができる。様々な発泡補助材の例は、先で言及された米国特許第8,393,514号(発明の名称「Selectively Orientable Implantable Fastener Cartridge」、2010年9月30日付けで出願)に更に記載されている。
【0055】
また、補助材は、以下で検討された任意の適切な材料又はその組み合わせから形成されたフィルムからも形成され得る。フィルムは、1つ又は2つ以上の層を含むことができ、これらの層はそれぞれ、異なる分解速度を有することができる。更に、フィルムは、内部に形成された様々な領域、例えば、多くの異なる形態の1種以上の薬剤(例えば、少なくとも1種のMMP阻害剤)を放出可能に内部に保持し得るリザーバを有することができる。内部に配置された少なくとも1種の薬剤を有するリザーバは、吸収性又は非吸収性ポリマーを含み得る、1つ又は2つ以上の異なるコーティング層を使用して封止され得る。フィルムは、様々な方法で形成され得る。例えば、フィルムは、押出しフィルム又は圧縮成形フィルムであり得る。
【0056】
また、補助材は、射出成形熱可塑性材料又は真空熱成形材料からも形成され得る。様々な成形補助材の例は、米国特許出願公開第2013/0221065号(発明の名称「Fastener Cartridge Comprising A Releasably Attached Tissue Thickness Compensator」、2013年2月8日付けで出願)に更に記載されている。同文献は、その全体が参照により組み込まれる。また、補助材は、ファイバベース格子であることもできる。同格子は、織布、編地、又は、メルトブロー、ニードルパンチ、若しくは熱構成ルーズ織布などの不織布であることができる。補助材は、多くの異なる方法で共に補助材を形成し得る、同じ種類の格子又は異なる種類の格子から形成され得る、複数の領域を有し得る。例えば、ファイバは、規則的又は不規則な構造を形成するために、織られ、編まれ、編み組まれ、又は他の方法で相互に結び付けられ得る。得られた補助材が比較的緩くなるように、ファイバは、相互に結び付けられ得る。あるいは、補助材は、密に相互に結び付けられたファイバを含み得る。補助材は、シート、チューブ、螺旋、又は柔らかい部分及び/若しくはより硬い補強部分を含み得る任意の他の構造の形態であり得る。補助材は、特定の領域がより密なファイバを有することができ、一方で、他の領域がより密でないファイバを有するように構成され得る。ファイバ密度は、補助材の1つ又は2つ以上の次元に沿って、補助材の意図した用途に基づいて、異なる方向で変わり得る。
【0057】
また、補助材は、積層複合材又はメルトロック相互結合ファイバなどのハイブリッド構造であることもできる。様々なハイブリッド構造補助材の例は、米国特許出願公開第2013/0146643号(発明の名称「Adhesive Film Laminate」、2013年2月8日付けで出願)及び米国特許第7,601,118号(発明の名称「Minimally Invasive Medical Implant And Insertion Device And Method For Using The Same」、2007年9月12日付けで出願)に更に記載されている。これらの文献は、その全体が参照により組み込まれる。
【0058】
補助材は、様々な物質から形成することができる。材料は、異なる目的のための様々な実施形態に使用され得る。材料は、組織内方成長を促進するために、組織に提供されるべき所望の治療に従って選択され得る。以下に記載された材料は、任意の所望の組み合わせで、補助材を形成するのに使用され得る。
【0059】
材料は、ホモポリマー及びコポリマーを含めた、生体吸収性及び生体適合性ポリマーを含み得る。ホモポリマー及びコポリマーの非限定例は、p-ジオキサノン(PDO又はPDS)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)(PLGA)、ポリカプロラクトン(PCL)、トリメチレンカーボネート(TMC)、及びポリ乳酸(PLA)、ポリ(グリコール酸-コ-乳酸)(PLA/PGA)(例えば、バイクリル、バイクリルラピッド、ポリゾーブ、及びバイオフィックスに使用されるPLA/PGA材料)、ポリウレタン(例えば、エラスタン、バイオスパン、テコフレックス、バイオネート、及びペレセン繊維)、ポリオルトエステル、ポリ酸無水物(例えば、グリアデル及びバイオデルポリマー)、ポリオキサエステル、ポリエステルアミド、及びチロシン系ポリエステルアミドを含む。また、コポリマーは、ポリ(乳酸-コ-ポリカプロラクトン)(PLA/PCL)、ポリ(L-乳酸-コ-ポリカプロラクトン)(PLLA/PCL)、ポリ(グリコール酸-コ-トリメチレンカーボネート)(PGA/TMC)((例えば、マクソン)、ポリ(グリコール酸-コ-カプロラクトン)(PCL/PGA)(例えば、モノクリル及びカプグリル)、PDS/PGA/TMC(例えば、バイオシン)、PDS/PLA、PGA/PCL/TMC/PLA(例えば、カプロシン)、及びLPLA/DLPLA(例えば、オポティマ)も含み得る。
【0060】
本明細書で記載された補助材は、内部に、少なくとも1種の薬剤を放出可能に保持し得る。同薬剤は、多数の異なる薬剤から選択され得る。薬剤としては、本明細書に開示されるMMP阻害剤のいずれかが挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
使用される他の薬剤は、例えば、抗菌剤及び抗生物質などの殺菌剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、抗炎症剤、成長因子、鎮痛薬、麻酔剤、組織マトリックス変性阻害剤、抗ガン剤、止血剤、並びに生物学的応答を引き起こす他の作用剤を含むが、これらに限定されない。
【0062】
また、補助材は、活性剤、例えば、活性な細胞培養物(例えば、ダイス状の自家組織、幹細胞療法に使用される作用剤(例えば、Biosutures及びCellerix S.L.)、止血剤、及び組織治癒剤も含み得る。止血剤の非限定例は、酸化再生セルロース(ORC)(例えば、サージセル及びインターシード)などのセルロース、フィブリン/トロンビン(例えば、トロンビン-JMI、タコシール、ティシール、フロシール、エヴィセル、タココンブ、ビボスタット、及びエベレスト)、自家血小板血漿、ゼラチン(例えば、ゲルフィルム及びゼルフォーム)、マイクロファイバ(例えば、ヤーン及び織物)などのヒアルロン酸若しくはヒアルロン酸に基づく他の構造物、又はヒアルロン酸ベースのヒドロゲルを含み得る。また、止血剤は、ポリマーシーラント、例えば、ウシ血清アルブミン及びグルタルアルデヒド、ヒト血清アルブミン及びポリエチレン架橋剤、並びにエチレングリコール及びトリメチレンカーボネートなども含み得る。ポリマー封止剤としては、Focal Inc.により開発されたFocalSeal手術用封止剤を挙げることができる。
【0063】
抗菌剤の非限定例は、銀イオン、アミノ配糖体、ストレプトマイシン、ポリペプチド、バシトラシン、トリクロサン、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、デメクロサイクリン、テトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、クロラムフェニコール、ニトロフラン、フラゾリドン、ニトロフラントイン、ベータ-ラクタム、ペニシリン、アモキシシリン、アモキシシリン+、クラブラン酸、アズロシリン、フルクロキサシリン、チカルシリン、ピペラシリン+、タゾバクタム、タゾシン、Biopiper TZ、ゾシン、カルバペネム、イミペネム、メロペネム、エルタペネム、ドリペネム、ビアペネム、パニペネム/ベタミプロン、キノロン、シプロフロキサシン、エノキサシン、ガチフロキサシン、ゲミフロキサシン、レボフロキサシン、ロメフロキサシン、モキシフロキサシン、ナリジクス酸、ノルフロキサシン、スルホンアミド、マフェニド、スルファセトアミド、スルファジアジン、銀スルファジアジン、スルファジメトキシン、スルファメチゾール、スルファメトキサゾール、スルファサラジン、スルフィソキサゾール、バクトリム、プロントシル、アンサマイシン、ゲルダナマイシン、ヘルビマイシン、フィダキソマイシン、グリコペプチド、テイコプラニン、バンコマイシン、テラバンシン、ダルババシン、オリタバンシン、リンコサミド、クリンダマイシン、リンコマイシン、リポペプチド、ダプトマイシン、マクロライド、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、テリスロマイシン、スピラマイシン、オキサゾリジノン、リネゾリド、アミノ配糖体、アミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、トブラマイシン、パロマイシン、パロモマイシン、セファロスポリン、セフトビプロール、セフトロザン、セフクリジン、フロモキセフ、モノバクタム、アズトレオナム、コリスチン、及びポリミキシンBを含む。
【0064】
抗真菌剤の非限定例は、トリクロサン、ポリエン、アムホテリシンB、カンジシジン、フィリピン、ハマイシン、ナタマイシン、ナイスタチン、リモシジン、アゾール、イミダゾール、トリアゾール、チアゾール、アリルアミン、アモロルフィン、ブテナフィン、ナフチフィン、テルビナフィン、エキノカンジン、アニデュラファンジン、カスポファンジン、ミカファンジン、シクロピロックス、及び安息香酸を含む。
【0065】
抗ウイルス剤の非限定例は、脱殻阻害剤、例えば、アマンタジン、リマンタジン、プレコナリルなど;逆転写阻害剤、例えば、アシクロビル、ラミブジン、アンチセンス、フォミビルセン、モルホリノ、リボザイム、リファンピシンなど;及び抗ウイルス薬、例えば、シアノビリン-N、グリフィスシン、シトビリン、α-ラウリル-L-アルギニンエチルエステル(LAE)、並びに銀イオンを含む。
【0066】
抗炎症剤の非限定例は、非ステロイド性抗炎症薬(例えば、サリチル酸塩、アスピリン、ジフルニサール、プロピオン酸誘導体、イブプロフェン、ナプロキセン、フェノプロフェン、及びロキソプロフェン)、酢酸誘導体(例えば、トルメチン、スリンダク、及びジクロフェナク)、エノール酸誘導体(例えば、ピロキシカム、メロキシカム、ドロキシカム、及びロルノキシカム)、アントラニル酸誘導体(例えば、メフェナム酸、メクロフェナム酸、及びフルフェナム酸)、選択的COX-2阻害剤(例えば、セレコキシブ(セレブレックス)、パレコキシブ、ロフェコキシブ(Vioxx)、スルホンアニリド、ニメスリド、及びクロニキシン)、免疫選択的抗炎症誘導体、副腎皮質ホルモン(例えば、デキサメタゾン)、及びiNOS阻害剤を含む。
【0067】
成長因子の非限定例は、細胞の成長、治癒、再形成、増殖、及び分化を刺激する細胞シグナル伝達分子である因子を含む。例示的な成長因子は、短い範囲(パラクリン)、長い範囲(エンドクリン)、又は自己刺激(オートクリン)であり得る。成長因子の更なる例は、成長ホルモン(例えば、組換え成長因子、ニュートロピン、ヒューマトロープ、ゲノトロピン、ノルディトロピン、サイゼン、オムニトロープ、及び生合成成長因子)、表皮成長因子(EGF)(例えば、阻害剤、ゲフィチニブ、エルロチニブ、アファチニブ、及びセツキシマブ)、へパリン結合EGF様成長因子(例えば、エピレグリン、ベタセルリン、アンフィレグリン、及びエピジェン)、変異成長因子アルファ(TGF-a)、ニューロレグリン1-4、線維芽細胞成長因子(FGF)(例えば、FGF-1-2、FGF2、FGF11-14、FGF18、FGF15/19、FGF21、FGF23、FGF7、又はケラチノサイト成長因子(KGF)、FGF10、又はKGF2、及びフェニトイン)、インスリン様成長因子(IGF)(例えば、IGF-1、IGF-2、及び血小板由来成長因子(PDGF))、血管内皮成長因子(VEGF)(例えば、阻害剤、ベバシズマブ、ラニビズマブ、VEGF-A、VEGF-B、VEGF-C、VEGF-D、及びベカプレルミン)を含む。
【0068】
成長因子の更なる非限定例は、サイトカイン、例えば、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)(例えば、炎症応答を阻害する阻害剤並びに組換えDNA技術を使用して及び組換え酵母由来ソースにより製造されたGM-CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)(例えば、フィルグラスティム、レノグラスティム、及びニューポジェン)、組織成長因子ベータ(TGF-B)、レプチン、及びインターロイキン(IL)(例えば、IL-1a、IL-1b、カナキヌマブ、IL-2、アルデスロイキン、インテルキング、デニロイキン、ジフチトックス、IL-3、IL-6、IL-8、IL-10、IL-11、及びオプレルベキン)を含む。成長因子の非限定例は、エリスロポエチン(例えば、ダルベポエチン、エポセプト、ダイネポ、エポマックス、ネオレコルモン、シラポ、及びレタクリット)を更に含む。
【0069】
鎮痛薬の非限定例は、麻酔剤、オピオイド、モルヒネ、コデイン、オキシコドン、ヒドロコドン、ブプレノルフィン、トラマドール、非麻酔剤、パラセタモール、アセトアミノフェン、NSAID、及びフルピルチンを含む。
【0070】
麻酔剤の非限定例は、局所麻酔剤(例えば、リドカイン、ベンゾカイン、及びロピバカイン)及び全身麻酔剤を含む。
【0071】
抗ガン剤の非限定例は、モノクローナル抗体、ベバシズマブ(アバスチン)、細胞/化学遊走剤、アルキル化剤(例えば、二官能性化合物、シクロホスファミド、メクロレタミン、クロラムブシル、メルファラン、単官能性化合物、ニトロソ尿素、及びテモゾロミド)、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、及びバルルビシン)、細胞骨格破壊剤(例えば、パクリタキセル及びドセタキセル)、微小管機能を阻害することにより細胞分裂を制限するエポチロン剤、細胞分裂又は特定の細胞機能に必要とされる様々な酵素をブロックする阻害剤、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤(例えば、ボリノスタット及びロミデプシン)、トポイソメラーゼI阻害剤(例えば、イリノテカン及びトポテカン)、トポイソメラーゼII阻害剤(例えば、エトポシド、テニポシド、及びタフルポシド)、キナーゼ阻害剤(例えば、ボルテゾミブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、イマチニブ、ベムラフェニブ、及びビスモデジブ)、ヌクレオチド類似体(例えば、アザシチジン、アザチオプリン、カペシタビン、シタラビン、ドキシフルリジン、フルオロウラシル、5-FU、アドルシル、カラック、エフジックス、エフデックス、フルオロプレックス、ゲムシタビン、ヒドロキシ尿素、メルカプトプリン、及びチオグアニン)、DNAを開裂させ、DNAの巻戻し/巻取りを中断させるペプチド抗生物質(例えば、ブレオマイシン及びアクチノマイシン)、DNAに架橋し、DNAの修復及び/又は合成を阻害するプラチナ系抗新生物剤(例えば、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、及びエロキサチン)、レチノイド(例えば、トレチノイン、アルトレチノイン、及びベクサロテン)、有糸分裂及び微小管形成を阻害するビンカアルカロイド剤(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン)、抗イレウス剤、運動促進剤、免疫抑制剤(例えば、タクロリムス)、血液アスペクト改変剤(例えば、血管拡張剤、バイアグラ及びニフェジピン)、3-ヒドロキシ-3-メチル-グルタリル-CoA(HMG CoA)還元酵素阻害剤(例えば、アトルバスタチン)、及び抗血管新生剤を含む。
【0072】
また、例示的な薬剤は、創傷治癒に受動的に寄与する作用剤、例えば、栄養、酸素排除剤、アミノ酸、コラーゲン合成剤、グルタミン、インスリン、ブチレート、及びデキストランなども含む。また、例示的な薬剤は、抗接着剤も含む。その非限定例は、ヒアルロン酸/カルボキシメチルセルロース(seprafilm)、酸化再生セルロース(Interceed)、及びイコデキストリン4%(Extraneal、Adept)も含む。
【0073】
記載された技術に基づく補助材は、例えば、組織内成長に対して、所望の様式で所望の効果を提供するために、多くの異なる方法で、少なくとも1種の薬剤(例えば、MMP阻害剤)と関連付けられ得る。少なくとも1種の薬剤は、施療部位において、所望の治癒プロセスをトリガするために、複数の空間的及び時間的パターンにおいて、補助材から放出されるように構成され得る。薬剤は、補助材内に配置され、補助材に結合し、補助材内に組み込まれ、補助材内に分散され、又は補助材と他の方法で関連付けられ得る。例えば、補助材は、内部に、1種以上の異なる薬剤を放出可能に保持している、1つ以上の領域を有し得る。この領域は、様々なサイズ及び形状の、様々な方法で内部に薬剤を保持する、別個のリザーバであるか、又は補助材内の他の別個の、若しくは連続した領域であることができる。いくつかの態様では、補助材の特定の構成により、1種の薬剤又は2種以上の異なる薬剤を、内部に放出可能に保持することができる。
【0074】
薬剤が補助材内に配置される方法に関わらず、有効量の少なくとも1種の薬剤が、容器、例えば、マイクロカプセル、マイクロビーズ、又は任意の他の容器の形態にあることができるペレット内に封入され得る。この容器は、生体吸収性ポリマーから形成され得る。
【0075】
補助材からの少なくとも1種の薬剤の標的化運搬及び放出は、様々な要因に応じた多くの方法において達成され得る。一般的に、少なくとも1種の薬剤は、薬剤が補助材料の組織への運搬後実質的に直ちに放出されるように、ボーラス投与量として、補助材料から放出され得る。あるいは、少なくとも1種の薬剤は、特定の期間にわたって、補助材料から放出され得るが、同期間は、数分、数時間、数日以上であり得る。タイミングを合わせた放出(timed release)の速度及び放出される薬剤量は、様々な要因、例えば、薬剤が放出される領域の分解速度、補助材内に薬剤を保持するのに使用される1つ以上のコーティング又は他の構造の分解速度、施療部位の環境条件、及び様々な他の要因により決まり得る。いくつかの態様では、補助材が内部に配置された2つ以上の薬剤を有する場合、第1の薬剤のボーラス投与量放出は、第1の薬剤が放出された後に放出し始めるように、第2の薬剤の放出を調節し得る。補助材は、複数の薬剤を含み得るが、同薬剤はそれぞれ、1種以上の他の薬剤の放出に、任意の適切な方法で影響を及ぼし得る。
【0076】
ボーラス投与量として又はタイミングを合わせた放出としての少なくとも1種の薬剤の放出は、補助材料の組織への運搬後実質的に直ちに生じてもよいし若しくは開始してもよいし、又は所定のタイミングまで遅延されてもよい。遅延は、補助材又は1つ以上のその領域の構造及び性質により決まり得る。
【0077】
創傷治癒の一時的な阻害
更なる態様では、本明細書では、手術用ステープラによる組織の外科的ステープリング直後に手術部位で創傷治癒を一時的に阻害するための方法が提供される。本方法は、補助材を手術用ステープラのエンドエフェクタに取り付けることと、カートリッジアセンブリとエンドエフェクタのアンビルとの間に組織を係合させることと、
エンドエフェクタを作動させて、カートリッジアセンブリから組織内へステープルを排出することと、を含み得る。ステープルは、補助材を通って延在して、補助材を手術部位に保持する。複数のステープル(例えば、ステープル脚部及び/又は冠部)の一部及び/又は補助材のうちの少なくとも1つは、放出可能な有効量の少なくとも1種のMMP阻害剤を含むことができる。本明細書の装置及び方法に従って放出されるMMP阻害剤に関して本明細書で使用される場合、「有効量」という用語は、組織ステープリング直後の1~4日間にわたって組織の強度を増加させる程度に少なくとも1種のMMPを阻害するのに十分なMMP阻害剤の量を意味する。組織内のステープリング部位におけるMMP阻害剤の放出は、組織内の創傷治癒中のMMP媒介性の細胞外マトリックスの変性を所定の様式で防止する。更に、ステープリング部位におけるMMP阻害剤の放出は、創傷部位における炎症を阻害することによって、創傷治癒の炎症段階の間に生じ得る免疫細胞(マクロファージ、好中球、又はT細胞など)の浸潤を減少させることができる。
【0078】
いくつかの実施では、MMP阻害剤は、ステープル及び/又は補助材から、ステープル挿入後2~3日間、周囲組織内に放出されるように構成することができる。例えば、MMP阻害剤は、組織内へのステープル挿入の約48時間後に分解し始め、次の24~36時間(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、又は36時間)その内容物を放出し始める吸収性ポリマー(本明細書に開示される吸収性ポリマーのいずれかなど)に封入することができる。
【0079】
十分な量のMMP阻害剤が、複数のステープル及び/又は補助材料から放出され、ステープル挿入直後に組織ステープリング部位において発現される1種以上のMMP阻害剤(例えば、MMP1、MMP2、MMP8、及び/又はMMP9など、組織ステープリング直後の1~4日間以内に発現されるMMP阻害剤)のタンパク質分解活性の少なくとも5%(5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%のいずれか)を阻害することができる。いくつかの実施では、十分な量のMMP阻害剤が、組織内へのステープル挿入後に、複数のステープル及び/又は補助材から放出され、ステープルを取り囲む創傷部位内の少なくとも約0.1nM~約500μM、例えば、約0.1nM、0.2nM、0.3nM、0.4nM、0.5nM、0.6nM、0.7nM、0.8nM、0.9nM、1nM、2nM、3nM、4nM、5nM、6nM、7nM、8v、9nM、10nM、11nM、12nM、13nM、14nM、15nM、1nM6nM、17nM、18nM、19nM、20nM、21nM、22nM、23nM、24nM、25nM、30nM、35nM、40nM、45nM、50nM、55nM、60nM、65nM、70nM、75nM、80nM、85nM、90nM、95nM、100nM、200nM、300nM、400nM、500nM、600nM、700nM、800nM、900nM、1μM、2μM、3μM、4μM、5μM、10μM、15μM、20μM、25μM、30μM、35μM、40μM、45μM、50μM、55μM、60μM、65μM、70μM、75μM、80μM、85μM、90μM、95μM、100μM、125μM、150μM、175μM、200μM、225μM、250μM、275μM、300μM、325μM、350μM、375μM、400μM、425μM、450μM、475μM、又は500μM以上のいずれか(これらの値の間に含まれる数を含む)のMMP阻害剤の濃度を確保する。
【0080】
更なる実施において、組織へのステープル挿入後、複数のステープル及び/又は補助材からMMP阻害剤が放出されると、ステープル挿入部位を直接取り囲むECM中のコラーゲン繊維の産生及び維持の増加により、創傷部位における組織の強度が増加する。いくつかの実施形態では、少なくとも1種のMMP阻害剤で放出可能にコーティングされたステープル及び/又は補助材を取り囲む組織は、少なくとも1種のMMP阻害剤で放出可能にコーティングされていないステープル及び/又は補助材を取り囲む組織と比較して、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%以上増加したコラーゲンを含有する。
【0081】
ステープル挿入直後、血塊周囲の細胞が、炎症性サイトカインと、創傷部位に様々な細胞を誘引する成長因子とを放出する。具体的には、組織損傷後、マクロファージ及び好中球が刺激されて、反応性酸素種(ROS)及びMMP(例えば、MMP2、MMP8、及び/又はMMP9)を生成し、細胞接着及びECM再形成を促進する。例えば、MMP2の発現は、創傷治癒における強化されたケラチノサイト移行中のラミニン-332の発現と一致する。MMP2及びMMP9の両方が、ラミニン-322のγ-2鎖を切断することができるため、それらは、EGF受容体に結合して、創傷マトリックスにおけるケラチノサイトの細胞移動を引き起こす遊走促進EGF様フラグメントをもたらす。
【0082】
創傷治癒の炎症段階の間、フィブロネクチン及び他のECMタンパク質フラグメントは、単球を血流から創傷部位に誘引することができる。創傷部位での相互作用により、単球は、ROS、MMP、及び血小板由来成長因子(PDGF)、トランスフォーミング成長因子-β(TGF-β)、血管内皮成長因子(VEGF)、及び線維芽細胞成長因子(FGF)などの複数の成長因子に分化される。マクロファージを刺激することができる因子の1つはアンジオテンシンII(AngII)である。レニン-アンジオテンシン系(RAS)は、ホルモンペプチドのアンジオテンシンを調節し、最終的に主要エフェクタ-AngIIを生成する経路である。このエフェクタは、マクロファージ、好中球、線維芽細胞、及び内皮細胞中に存在する。AngIIと結合すると、マクロファージなどの炎症性細胞は、ROS及びMMPを生成して、その後、ケラチノサイト及びその他の炎症促進創傷細胞の移動及び増殖を促進する。
【0083】
したがって、いくつかの態様では、十分な量のMMP阻害剤が、複数のステープル及び/又は補助材から放出されて、1つ以上の炎症促進免疫細胞(マクロファージ、好中球、又はT細胞)を、ステープル挿入部位を取り囲む創傷内への浸潤を防止するか又は(10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%のいずれかだけ)減少させる。更に、十分な量のMMP阻害剤が、複数のステープル及び/又は補助材から放出されて、創傷部位において、1つ以上の炎症促進物質又は酵素(例えば、ROS、PDGF、TGB、VEGF、FGF、又はAngIIのうちの1つ以上)の発現を防止するか又は(10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%のいずれかだけ)減少させる。
【0084】
更なる実施形態では、十分な量の1つ以上のMMP阻害剤が、ステープル及び/又は補助材から放出されて、ステープル挿入後1~4日(例えば、1、2、3又は4日間のいずれか)以内のECM中のコラーゲン分解を防止するか又は減少させる。例えば、本明細書に開示される手術用ステープリング装置及び方法によるMMP阻害剤の使用により、1種以上のMMP阻害剤が存在しない場合に生じるECMコラーゲン分解量よりも、ステープル挿入部位を直接取り囲むECM中のコラーゲン分解を5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%のいずれかだけ低減させ得る。
【0085】
本発明には従来の低侵襲性及び開放手術用器具における用途、並びにロボット支援手術における用途があることを当業者は認識するであろう。
【0086】
本明細書に開示される装置は、1回の使用後に廃棄されるように設計することができ、又は複数回使用されるように設計することができる。しかしながら、いずれの場合も、装置は、少なくとも1回の使用後に再使用のために再調整することができる。再調整には、装置の分解工程、それに続く洗浄工程又は特定の部品の交換工程、及びその後の再組み立て工程の任意の組み合わせを含むことができる。特に、装置は分解することができ、装置の任意の数の特定の部品又は部分を、任意の組み合わせで選択的に交換するか又は取り外すことができる。特定の部分を洗浄及び/又は交換した後、装置を後の使用のために、再調整施設で、又は外科手技の直前に外科チームによってのいずれかで再組み立てすることができる。当業者であれば、装置の再調整が、分解、洗浄/交換、及び再組み立てのための様々な技術を利用できることを理解するであろう。こうした技術の使用、及び結果として得られる再調整された装置は、全て本出願の範囲内にある。
【0087】
追加の例示的な構造及び構成要素は、米国特許出願第______号[47364-267F01US/END8225USNP]の「Surgical Stapler with End Effector Coating」、同第______号[47364-268F01US/END7353USNP]の「Inhibition of Matrix Metalloproteinases Following Tissue Stapling」、及び同第______号の[47364-269F01US/END7355USNP]の「Surgical Fastener with Broad Spectrum MMP Inhibitors」に記載されており、これらの出願は本願と同日付で提出されており、引用により全文を本願に組み込む。
【0088】
当業者には、上述の実施形態に基づいて本発明の更なる特徴及び利点が認識されよう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲によって示される場合を除き、具体的に示され説明される内容により限定されるものではない。本明細書において引用されている全ての刊行物及び参照文献は、それらの全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれている。
【0089】
〔実施の態様〕
(1) 手術用ステープラと共に使用するためのステープルカートリッジアセンブリであって、
複数のステープル空洞を有するカートリッジ本体であって、各ステープル空洞が、複数の手術用ステープルのうちの1つを内部に配置した、カートリッジ本体を含み、
前記複数のステープルの一部のうちの少なくとも1つが、組織内の創傷治癒中に、MMP媒介性の細胞外マトリックスの変性及び炎症の少なくとも一方を所定の様式で防止するのに有効である、有効量の少なくとも1種のマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)阻害剤を含む、ステープルカートリッジアセンブリ。
(2) 前記少なくとも1種のMMP阻害剤が、前記複数のステープルの少なくとも一部に配置されている、実施態様1に記載のアセンブリ。
(3) 前記カートリッジ本体に放出可能に保持され、前記カートリッジ本体内の前記ステープルの配備によって組織に送達されるように構成された生体適合性補助材を更に含み、有効量の少なくとも1種のMMP阻害剤が、前記補助材内に配置され、前記補助材から放出可能である、実施態様1に記載のアセンブリ。
(4) 前記MMP阻害剤が、MMP1、MMP2、MMP3、MMP7、MMP8、MMP9、MMP10、MMP11、MMP12、MMP13、MMP14、MMP15、MMP16、MMP17、MMP19、MMP23A、MMP23B、MMP25、MMP25、MMP26、MMP27、及びMMP28のうちの1つ以上を阻害するように構成されている、実施態様1に記載のアセンブリ。
(5) 前記MMP阻害剤が、コラゲナーゼ、ゼラチナーゼ、ストロメリシン、又は膜型MMPを阻害するように構成されている、実施態様1に記載のアセンブリ。
【0090】
(6) 前記MMP阻害剤が、MMP9を阻害するように構成されている、実施態様1に記載のアセンブリ。
(7) 前記MMP阻害剤が、メタロプロテイナーゼ(TIMP)の組織阻害剤である、実施態様1に記載のアセンブリ。
(8) 前記TIMPが、TIMP1、TIMP2、TIMP3、及びTIMP4のうちの少なくとも1つである、実施態様1に記載のアセンブリ。
(9) 前記MMP阻害剤が、ヒドロキシメート、カルボキシレート、カルバモイルホスホネート、ヒドロキシ尿素、ヒドラジン、β-ラクタム、スクアリン酸、窒素配位子、チオール、及びホスフィニルのうちの1つ以上である、実施態様1に記載のアセンブリ。
(10) 前記MMP阻害剤は、前記ステープルの配備後に、炎症誘発細胞が前記組織に誘引されることを防止するように構成されている、実施態様1に記載のアセンブリ。
【0091】
(11) 手術用ステープラによる組織の外科的ステープリング直後の手術部位における創傷治癒を一時的に阻害する方法であって、
カートリッジアセンブリとエンドエフェクタのアンビルとの間で組織を係合することと、
前記エンドエフェクタを作動させて、前記カートリッジアセンブリから前記組織内にステープルを排出することと、
を含み、
前記複数のステープルの一部と前記補助材のうちの少なくとも1つが、有効量の少なくとも1種のマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)阻害剤を含み、前記MMP阻害剤の放出が、前記組織内の創傷治癒中にMMP媒介性の細胞外マトリックスの変性を所定の様式で防止する、方法。
(12) 前記少なくともMMP阻害剤が、前記複数のステープルの少なくとも一部に配置されている、実施態様11に記載の方法。
(13) 前記MMP阻害剤が、MMP1、MMP2、MMP3、MMP7、MMP8、MMP9、MMP10、MMP11、MMP12、MMP13、MMP14、MMP15、MMP16、MMP17、MMP19、MMP23A、MMP23B、MMP25、MMP25、MMP26、MMP27、及びMMP28、のうちの少なくとも1つを阻害する、実施態様11に記載の方法。
(14) 前記MMP阻害剤が、コラゲナーゼ、ゼラチナーゼ、ストロメリシン、及び膜型MMPのうちの少なくとも1つを阻害する、実施態様13に記載の方法。
(15) 前記MMP阻害剤がMMP9を阻害する、実施態様13に記載の方法。
【0092】
(16) 前記MMP阻害剤が、メタロプロテイナーゼ(TIMP)の組織阻害剤である、実施態様13に記載の方法。
(17) 前記TIMPが、TIMP1、TIMP2、TIMP3、及びTIMP4のうちの少なくとも1つである、実施態様16に記載の方法。
(18) 前記MMP阻害剤が、ヒドロキシメート、カルボキシレート、カルバモイルホスホネート、ヒドロキシ尿素、ヒドラジン、β-ラクタム、スクアリン酸、窒素配位子、チオール、及びホスフィニルのうちの少なくとも1つである、実施態様13に記載の方法。
(19) 前記MMP阻害剤は、前記ステープルの配備後に、炎症誘発細胞が前記組織に誘引されることを防止する、実施態様13に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5