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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-16
(45)【発行日】2022-09-28
(54)【発明の名称】プログラム及び情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/00 20060101AFI20220920BHJP
   E04G 23/00 20060101ALI20220920BHJP
【FI】
E04G21/00
E04G23/00 ESW
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020144905
(22)【出願日】2020-08-28
(65)【公開番号】P2022039740
(43)【公開日】2022-03-10
【審査請求日】2021-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】318007535
【氏名又は名称】嘉山 亨
(74)【代理人】
【識別番号】100170070
【弁理士】
【氏名又は名称】坂田 ゆかり
(72)【発明者】
【氏名】嘉山 亨
【審査官】清水 督史
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-004349(JP,A)
【文献】特開2002-083017(JP,A)
【文献】特開2005-157550(JP,A)
【文献】特開平06-176172(JP,A)
【文献】特開2001-159238(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/00
E04G 23/00
G06Q 50/08
G06F 3/04842、3/0486
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
構造物の図面を表示させるとともに、前記構造物の不具合の種類ごとに異なるマークを複数含む凡例を表示させる表示制御手段、
前記凡例の表示領域上の指定に応じて複数の前記マークのうちの任意のマークである第1マークの選択を受け付け、前記図面上に前記第1マークを表示させるマーキング手段、
前記マーキング手段により選択を受け付けた前記第1マークが示す不具合の種類と、前記第1マークが示す不具合の数量と、前記第1マーク前記図面上の位置座標と、を取得する不具合状況取得手段、
前記図面と、前記構造物に想定される不具合の種類及び数量とを関連付けて記憶する記憶手段、
前記構造物に想定される不具合の種類及び数量と、前記不具合状況取得手段により取得された実際の不具合の種類及び数量と、を並列して表した増減比較表を生成する増減比較表生成手段、
として機能させるためのプログラム。
【請求項2】
前記マークは、不具合の種類及び数量ごとに異なり、
前記不具合状況取得手段は、前記第1マークに関連付けられた数量を前記第1マークが示す不具合の数量として取得する
ことを特徴とする請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記第1マークに隣接して、前記第1マークが示す不具合の数量を示す数値を表示し、
前記不具合状況取得手段は、入力を受け付けて前記第1マークに関連付けられた数量を編集し、
前記表示制御手段は、前記編集された後の数値を前記第1マークに隣接して表示する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記マーキング手段は、複数の前記マークのうちの前記編集された後の数値に対応付けられている前記第1マークとは別の第2マークに変更する
ことを特徴とする請求項3に記載のプログラム。
【請求項5】
前記記憶手段では、不具合の種類に応じた補修費用の単価を記憶し、
前記増減比較表生成手段では、前記単価に基づいて、前記想定される不具合に応じた補修費用の想定額と、前記実際の不具合に応じた補修費用の実際額と、前記想定額と前記実際額との差分と、を前記増減比較表に格納する
ことを特徴とする請求項に記載のプログラム。
【請求項6】
構造物の図面を表示させるとともに、前記構造物の不具合の種類ごとに異なるマークを複数含む凡例を表示させる表示制御手段と、
前記凡例の表示領域上の指定に応じて複数の前記マークのうちの任意のマークである第1マークの選択を受け付け、前記図面上に前記第1マークを表示させるマーキング手段と、
前記マーキング手段により選択を受け付けた前記第1マークが示す不具合の種類と、前記第1マークが示す不具合の数量と、前記第1マーク前記図面上の位置座標と、を取得する不具合状況取得手段と、
前記図面と、前記構造物に想定される不具合の種類及び数量とを関連付けて記憶する記憶手段と、
前記構造物に想定される不具合の種類及び数量と、前記不具合状況取得手段により取得された実際の不具合の種類及び数量と、を並列して表した増減比較表を生成する増減比較表生成手段と、
を備えたことを特徴とする情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム及び情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、マンションや家屋等の構造物の劣化した箇所を補修する補修工事において、補修を要する箇所及び不具合状況を目視確認した上で、図面に反映して管理していた。目視確認した不具合を図面に反映する作業は、煩雑であった。
【0003】
これに関して、例えば特許文献1には、設計図面の上に、種類に応じた形態のアイコンを重ねて表示することで、現場で検査を行いながら情報管理端末に入力を行う情報管理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-005380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1には、構造物の補修工事において、補修を要する箇所及び不具合の内容を効率よく管理することについては記載されていない。
【0006】
本発明はこのような事情を鑑みてなされたもので、構造物における不具合の状況を効率よく管理することができるプログラム及び情報処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係るプログラムは、例えば、コンピュータを、構造物の図面を表示させるとともに、前記構造物の不具合の種類ごとに異なるマークを複数含む凡例を表示させる表示制御手段、前記凡例の表示領域上の指定に応じて複数の前記マークのうちの任意のマークである第1マークの選択を受け付け、前記第1マークを前記図面上にドラッグアンドドロップする操作を受け付けるとともに、前記図面上の前記第1マークをドロップした位置に前記第1マークを表示させるマーキング手段、前記マーキング手段により選択を受け付けた前記第1マークが示す不具合の種類と、前記第1マークが示す不具合の数量と、前記第1マークをドロップした前記図面上の位置座標と、を実際の不具合の種類及び数量として取得する不具合状況取得手段、として機能させる。
【0008】
本発明のプログラムによれば、凡例に含まれる複数のマークのうちの任意のマークである第1マークを選択し、立面図上でドラッグアンドドロップする操作するだけで、構造物の実際の不具合の内容を簡便に記録することができる。これにより、構造物における不具合の状況を効率よく管理することができる。
【0009】
前記マークは、不具合の種類及び数量ごとに異なり、前記不具合状況取得手段は、前記第1マークに関連付けられた数量を前記第1マークが示す不具合の数量として取得してもよい。このように、同じ種類の不具合であっても、不具合の大きさに応じて異なるマークが対応づけられているので、不具合の大きさによらず1アクションで実際の不具合の入力が可能であり、簡便である。
【0010】
前記表示制御手段は、前記第1マークに隣接して、前記第1マークが示す不具合の数量を示す数値を表示し、前記不具合状況取得手段は、入力を受け付けて前記第1マークに関連付けられた数量を編集してもよい。これにより、不具合の数量のみ修正したい場合に、マークを差し替える操作が不要であり簡便である。
【0011】
前記マーキング手段は、複数の前記マークのうちの前記編集された後の数値に対応付けられている前記第1マークとは別の第2マークに変更してもよい。これにより、不具合の数量を修正した場合であっても、立面図に表示されたマークから不具合の位置及び数量の把握が容易である。
【0012】
前記コンピュータを、前記図面と、前記構造物に想定される不具合の種類及び数量とを関連付けて記憶する記憶手段、前記構造物に想定される不具合の種類及び数量と、前記不具合状況取得手段により取得された実際の不具合の種類及び数量と、を並列して表した増減比較表を生成する増減比較表生成手段、としてさらに機能させてもよい。この構成によれば、想定される不具合の状況と、実際の不具合の状況とが増減比較表により比較できるので、構造物が想定より劣化している、といった劣化の様子等を容易に把握できる。
【0013】
前記記憶手段では、不具合の種類に応じた補修費用の単価を記憶し、前記増減比較表生成手段では、前記単価に基づいて、前記想定される不具合に応じた補修費用の想定額と、前記実際の不具合に応じた補修費用の実際額と、前記想定額と前記実際額との差分と、を前記増減比較表に格納してもよい。この構成によれば、想定される補修の見積額と実際の発生費用を、ユーザに一見して把握させることができる。
【0014】
なお、コンピュータプログラムは、各種のデータ読取可能な記録媒体に格納して提供したり、インターネット等のネットワークを介してダウンロード可能に提供したりすることができる。
【0015】
上記課題を解決するために、本発明に係る情報処理システムは、例えば、構造物の図面を表示させるとともに、前記構造物の不具合の種類ごとに異なるマークを複数含む凡例を表示させる表示制御手段と、前記凡例の表示領域上の指定に応じて複数の前記マークのうちの任意のマークである第1マークの選択を受け付け、前記第1マークを前記図面上にドラッグアンドドロップする操作を受け付けるとともに、前記図面上の前記第1マークをドロップした位置に前記第1マークを表示させるマーキング手段と、前記マーキング手段により選択を受け付けた前記第1マークが示す不具合の種類と、前記第1マークが示す不具合の数量と、前記第1マークをドロップした前記図面上の位置座標と、を取得する不具合状況取得手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、構造物における不具合の状況を効率よく管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態に係る情報処理装置及び当該情報処理装置に接続されるクライアント端末のハードウェア構成の一例を概略的に示す図である。
図2】上記情報処理装置の機能手段の一例を概略的に示すブロック図である。
図3】補修箇所の記録処理の流れを示すフローチャートである。
図4】上記情報処理装置が入力端末に表示させる案件コードの入力画面の一例を示す図である。
図5】上記情報処理装置が入力端末に表示させる補修箇所入力画面の一例であって、不具合入力画面の一例を示す図である。
図6】上記情報処理装置が入力端末に表示させる補修箇所入力画面の一例であって、不具合入力画面に凡例画面が表示されている様子を示す図である。
図7】上記情報処理装置が入力端末に表示させる補修箇所入力画面の一例であって、1個のマークに対する不具合の数を入力するテンキー画面の様子を示す図である。
図8】上記情報処理装置が生成する増減比較表の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態(以下、「本実施形態」という。)を、図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
<ハードウェア構成>
図1は、本実施形態に係る情報処理装置10及び情報処理装置10に接続されるクライアント端末100の、ハードウェア構成の一例を概略的に示す図である。情報処理装置10及びクライアント端末100は、修繕工事支援システム1を構成する。
【0020】
修繕工事支援システム1は、マンションや家屋等の構造物の劣化した箇所を補修する補修工事において、要補修箇所の位置及び補修すべき不具合の内容の入力を受け付けるとともに、当該補修に要する費用を管理するものである。
【0021】
図1に示すように、情報処理装置10及びクライアント端末100は、ネットワークNWを通じて互いに接続されている。情報処理装置10は、例えばサーバである。情報処理装置10は、単一のハードウェア装置により構成されるものであっても、通信ネットワーク上に分散した複数の情報処理装置により構成されてるものであってもよい。また、情報処理装置10は、その機能の一部及び全部がクラウドサービス上で運営されているコンピュータ群により構成されていてもよい。また、図1は、情報処理装置10が有する主要なハードウェア構成の一部を示しているに過ぎず、情報処理装置10は、コンピュータが一般的に備える他の構成を備えることができる。
【0022】
ネットワークNWは、例えば、移動体通信網、Wi‐Fi、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、NFC等の無線通信手段である。なお、ネットワークNWは、USB接続などの有線通信手段など情報を送受信可能な適宜の構成であってよい。
【0023】
情報処理装置10は、制御装置20と、通信装置26と、記憶装置28と、を備える。制御装置20は、CPU(Central Processing Unit)22及びメモリ24を主に備えて構成されるコンピュータである。
【0024】
制御装置20では、CPU22が記憶装置28等に格納された管理プログラム28Aを実行することにより、各種の機能手段として機能する。この機能手段の詳細については後述する。
【0025】
通信装置26は、外部の装置と通信するための通信インターフェース等で構成される。
【0026】
記憶装置28は、ハードディスク等で構成される。記憶装置28は、本実施形態に係る管理プログラム28Aを含む、制御装置20における処理の実行に必要な各種プログラムや各種の情報、及び処理結果の情報を記憶する。
【0027】
クライアント端末100は、可搬性のある端末であり、例えばスマートホン又はタブレット端末である。クライアント端末100は、表示部101と、入力部102と、制御装置120と、通信装置126と、記憶装置128と、を備える。表示部101及び入力部102は、タッチパネルディスプレイで構成されていてもよい。
【0028】
制御装置120では、CPU122が記憶装置128等に格納されたプログラムを実行する。通信装置126は、外部の装置と通信するための通信インターフェース等で構成される。記憶装置128は、ハードディスク等で構成される。
【0029】
なお、情報処理装置10が有する機能の一部又は全部がクライアント端末100の構成により実現されてもよい。すなわち、例えば、制御装置20が実行する各種の機能手段は、制御装置120により実行されてもよい。また、情報処理装置10が全ての機能を実行する場合には、クライアント端末100が表示部101及び入力部102のみを有していてもよい。
【0030】
<機能手段>
図2は、情報処理装置10の機能手段の一例を概略的に示すブロック図である。情報処理装置10は、主として、記憶手段40と、表示制御手段41と、マーキング手段42と、不具合状況取得手段43と、増減比較表生成手段44と、出力手段45と、を備える。記憶手段40は、1又は複数の記憶装置28で実現される。記憶手段40以外の機能手段は、記憶装置28等に格納された管理プログラム28Aを制御装置20が実行することにより実現される。
【0031】
記憶手段40には、主として、図面データ40A、単価データ40B及び想定値データ40Cが記憶されている。図面データ40Aは、補修工事を行う構造物の図面である。構造物の図面は、1個の構造物に対して複数の立面図からなり、例えば東西南北それぞれから見た4枚の立面図により構成されている。構造物の図面は、情報処理装置10とは別のサーバ又は記録媒体から取得してもよい。
【0032】
単価データ40Bは、不具合の種類及び単位ごとに、補修費用が対応付けられているデータテーブルである。ここで、単位とは、不具合の大きさ(面積)、数、形状を含む概念であり、数量で表される。例えば、不具合の面積が5mである場合には、単位は面積であり、数量は5である。
【0033】
想定値データ40Cは、想定される構造物の不具合が、構造物の識別情報に対応付けられているデータテーブルである。想定値データ40Cは、例えば管理者が、不具合の種類及び数量ごとにその想定個数を入力することにより格納される。なお、情報処理装置10又はこれに接続される装置がマーキング手段42の機能を有し、想定される不具合の種類、数量、位置の入力を受け付け、これを想定値データ40Cに格納するようになっていてもよい。
【0034】
単価データ40B及び想定値データ40Cは、増減比較表生成手段44により参照され、増減比較表T100(図8参照)に反映される。
【0035】
表示制御手段41は、接続されるクライアント端末100の表示を制御する機能を有する。図5及び図6(後に詳述)に示すように、表示制御手段41は、クライアント端末100の表示部101に、構造物の立面図G111を表示させる。また、表示制御手段41は、不具合の種類及び不具合の数量(例えば、大きさ)ごとに異なるマークを対応付ける凡例画面G200を表示させる。
【0036】
マーキング手段42は、表示部101に表示される構造物の立面図G111上に、不具合に関する情報のマークを付する機能を有する。マーキング手段42は、図6(後に詳述)に示すように、凡例画面G200の表示領域上の指定に応じてマークの選択を受け付ける。マーキング手段42は、マークを構造物の図面上にドラッグアンドドロップする操作を受け付け、図面上のドロップ動作が行われた位置に、当該マークを表示させる。
【0037】
不具合状況取得手段43は、マーキング手段42によりマークされた不具合の状況を取得する機能を有する。不具合状況取得手段43は、マーキング手段42により選択を受け付けたマークに応じて不具合の種類及び数量を取得し、当該マークの図面上の位置座標と関連づけて、実際の不具合の種類、数量として記録する。また、不具合状況取得手段43は、不具合の種類及び数量ごとに、マークされた数を計数し、記録する。不具合状況取得手段43は、構造物の複数の立面図に含まれるマークの数を、不具合の種類及び数量ごとに計数してもよいし、立面図ごとに計数してもよい。立面図ごとに計数する構成によれば、どの面にどのような不具合があるかが明らかになり、構造物の各面における作業工数の見積が容易になる。
【0038】
増減比較表生成手段44は、想定される不具合及び当該不具合に応じた補修費用と、実際の不具合及び補修費用とを一覧する増減比較表T100(図8参照、後に詳述)を生成する機能を有する。
【0039】
出力手段45は、増減比較表T100を出力する機能を有する。出力手段45は、例えばクライアント端末100または情報処理装置10に接続される適宜のディスプレイに、増減比較表T100を表示させる。また、出力手段45は、増減比較表T100を、適宜の通信回線を介して他の装置に送信してもよい。出力手段45は、適宜接続される印刷機により増減比較表T100を印刷してもよい。例えば、情報処理装置10又は他の装置に見積書又は内訳書のフォーマットが用意されていて、増減比較表T100のデータを差し込むことで見積書や内訳書を表示及び印刷することができてもよい。この構成によれば、客先への書面提出も簡便である。
【0040】
通信制御部46は、入力部102からの入力等に基づいて、記憶手段40から必要なデータを取得し、情報処理装置10からクライアント端末100へ、又はクライアント端末100から情報処理装置10へデータを送信する。
【0041】
<処理の流れ>
ここで、補修箇所の記録処理の流れを、クライアント端末100に表示される画面の例とともに説明する。図3は、補修箇所の記録処理の流れを示すフローチャートである。図4図7は、記録処理に応じてクライアント端末100に表示される画面の例である。なお、以下のステップの内容及び順番は、適宜変更することができる。
【0042】
(ステップS1)
表示制御手段41は、表示部101に案件コードの入力画面G100を表示する。図4は、案件コードの入力画面G100の一例を示す図である。入力画面G100において入力部102により案件コードが入力されると、通信制御部46は、当該案件コードに対応する構造物の図面データ40Aをクライアント端末100に送信する。
【0043】
また、通信制御部46は、当該案件コードに対応する構造物の図面データ40Aに関連付けられた想定値データ40C及び単価データ40Bをクライアント端末100に送信する。
【0044】
(ステップS2)
表示制御手段41は、ステップS1で取得した図面データ40Aに基づいて不具合入力画面G110を表示部101に表示する。図5は、補修箇所を入力する不具合入力画面G110の一例を示す図である。表示部101には、ステップS1において受信される図面を含む不具合入力画面G110が表示される。不具合入力画面G110には、構造物の立面図G111、表示される立面図を切り替える矢印ボタンB112(向かって左側の立面図に切り替える矢印ボタンB112a、右側の立面図に切り替える矢印ボタンB112b)、不具合を示す複数のマークG113、マークG113の凡例を表示する凡例表示ボタンB114、ペン・手書きボタンB115、等が表示される。
【0045】
不具合入力画面G110に入力されているマークG113は、次に説明するステップS3で入力されるものである。マークG113は、不具合の種類ごとに異なるマークG113a~G113fを有する。また、マークG113dとマークG113eとは、不具合の種類は同じであるが、数量(ここでは、大きさ)が異なる。マークG113に隣接して表示されている数字は、不具合の数量を示すものである。
【0046】
(ステップS3)
表示制御手段41は、不具合入力画面G110において凡例表示ボタンB114が選択されると、表示部101に凡例画面G200が表示される。図6は、不具合入力画面G110に凡例画面G200が表示されている様子を示す図である。図6に示す例では、凡例画面G200は、不具合入力画面G110に一部重畳して表示されている。
【0047】
凡例画面G200は、立面図G111上に表示可能なマークG113を含む。凡例画面G200では、マークG113に隣接して、マークG113が示す不具合の種類が表示されている。
【0048】
また、凡例画面G200は、一部の不具合については、マークG113が示す不具合の種類及び数量を含む。図6に示す例では、「コンクリート・モルタル欠損箇所補修」という不具合の種類において、「少々」「小」「中」「大」それぞれに異なるマークG113が対応付けられている。ここでは、対応づけられるマークG113の大きさが異なり、不具合の大きさが大きいほど、マークG113も大きい。このように、同じ種類の不具合において、不具合の大きさに応じて異なるマークG113が対応づけられる構成によれば、マークG113を見ただけで不具合の大きさが把握できる。
【0049】
(ステップS4)
次いで、マーキング手段42は、入力部102からの入力に基づいて、凡例画面G200のマークG113の入力を受け付ける。そして、不具合状況取得手段43は、マーキング手段42により受け付けたマークG113の入力に応じて、不具合の種類及び不具合の数量を取得し、これらを当該マークの図面上の位置座標と関連づける。以下、ステップS4の処理について詳しく説明する。
【0050】
マーキング手段42は、凡例画面G200の表示領域において、立面図G111上に付するマークG113を選択する入力を受け付ける。また各マークG113を含む入力領域G210~G216上のクリック又はタップ、及び立面図G111上へのドラッグアンドドロップ操作を受け付ける。すなわち、凡例画面G200は、マークG113の意味内容を示す表示領域であるとともに、マークG113の入力操作子となっている。そして、マークG113をドロップした立面図G111上の位置座標を、ドロップされたマークG113の不具合の位置として、不具合とその位置とを関連付ける。
【0051】
図6においては、一部の不具合については、不具合の大きさに応じて異なるマークG113が対応づけられているため、様々な大きさの不具合に対し、1アクションで不具合の入力ができ、簡便である。
【0052】
また、マークG113の種類によっては、マークG113のドラッグアンドドロップ操作に替えて、仮想ペンによる描画入力が可能である。描画入力は、凡例画面G200上でマークG113を選択した後、立面図G111上を選択しながらスライドすることで、当該スライドさせた軌跡により不具合領域(位置及び大きさ)を特定する入力方法である。この構成によれば、立面図G111上に不具合領域の形状をより直感的に入力できる。不具合状況取得手段43は、図面上の不具合領域の位置座標に基づいて、不具合の位置及び大きさを取得する。
【0053】
描画入力可能なマークG113とドラッグアンドドロップ操作入力のマークG113は、凡例画面G200における表示が異なっていてもよい。例えば、図6に示す例においては、凡例画面G200上の形状が円形のマークG113は、ドラッグアンドドロップ操作により不具合の大きさが入力可能であり、凡例画面G200上の形状が矩形のマークG113は、描画入力により不具合の大きさが入力可能である。
【0054】
また、マークG113の種類によっては、マークG113のドラッグアンドドロップ操作に加えて、テンキー等により不具合の数量の入力を数値で受け付けてもよい。図7は、1個のマークに対する不具合の数を入力するテンキー画面G300の様子を示す図である。
【0055】
表示制御手段41は、立面図G111上に表示されたマークG113gを選択すると、表示部101にテンキー画面G300を表示する。図7に示す例では、テンキー画面G300は、不具合入力画面G110に一部重畳して表示されている。
【0056】
入力部102は、テンキー画面G300において、マークG113gの位置における不具合の数量の値を入力できる。入力された数量は、単価データ40Bに格納される単位が適用される。また、テンキー画面G300により入力される数値は、不具合の面積を示していてもよい。この構成によれば、ある領域において複数の不具合を入力する場合に、マークG113のドラッグアンドドロップ操作を繰り返すことなく数値を入力すれば足りるので、簡便である。
【0057】
(ステップS5)
マーキング手段42は、ステップS4において受け付けた操作に基づいて、立面図G111上のドロップ動作が行われた位置に、操作されたマークG113を立面図G111に重ねて表示する。図5に示す例においては、立面図G111上に複数のマークG113a乃至G113fが表示されている。この構成によれば、不具合の種類を簡便に選択できるとともに、補修箇所を直感的に入力し、表示させることができる。
【0058】
また、マーキング手段42は、マークG113のドラッグアンドドロップ操作により受け付けられた不具合の数量や、数値で受け付けられた不具合の数量を、各マークG113に隣接して表示する。
【0059】
なお、立面図G111上のマークG113が選択されることで、不具合の数量をテンキー等により編集可能であってもよい。例えば、表示制御手段41は、入力部102によりマークG113が選択されると、表示部101にテンキー画面G300を表示する。入力部102により数値が入力されると、マーキング手段42は、入力された数値を、選択されたマークに隣接して表示する。また、不具合状況取得手段43は、入力された数値を上書きすることで、マークG113の位置における不具合の数量を編集する。表示制御手段41は、編集された後の数値をマークに隣接して表示する。
【0060】
このとき、編集後の不具合の大きさが、凡例のおいて別のマークG113に対応付けられている場合には、マーキング手段42は、編集後に、立面図G111上のマークG113を、対応付けられている別のマークに変更してもよい。この構成によれば、不具合の数量のみ修正したい場合に、マークを差し替える操作が不要であり簡便である。また、不具合の数量を修正した場合であっても、立面図G111から不具合の位置及び数量の把握が容易である。
【0061】
(ステップS6)
次いで、不具合状況取得手段43は、ステップS4において取得した不具合の種類及び数量及びこれらに関連付けられた位置座標を記憶手段40に記録する。なお、ステップS3からステップS6の処理は、全ての不具合の入力が終わるまで繰り返し行われる。
【0062】
(ステップS7)
次いで、増減比較表生成手段44は、単価データ40Bと、想定値データ40Cと、取得された不具合状況と、を参照して、増減比較表T100を生成する。
【0063】
図8は、増減比較表の一例を示す図である。増減比較表T100は、不具合に関する情報T110と、想定値に関する情報T120と、実際の不具合に関する情報T130と、増減に関する情報T140と、が関連付けられたものである。不具合に関する情報T110は、不具合の名称T111、不具合の修理を行う仕様T112、単価T113、単位T114を含む。
【0064】
名称T111には、「不具合の名称(部位・寸法・形状他)」として、「コンクリート・モルタル欠損箇所補修」「モルタル浮き補修」「壁面旧土膜剥離箇所段差肌合せ補修」「天井面旧塗膜剥離箇所段差肌合せ補修」のように不具合の種類が羅列されている。そして、各不具合の種類に対して、当該部位の仕様T112と、単価T113が紐づけられて表示されている。
【0065】
また、「コンクリート・モルタル欠損箇所補修」に関しては、不具合の大きさが「少々」「小」「中」「大」に区別され、不具合の大きさの表示が示す具体的な数値が、合わせて表示されている。さらに、この不具合の大きさごとに、補修の単価が表示されている。補修の単価は、単価データ40Bを参照して生成される。通常、不具合の種類が同一であっても、不具合の大きさによって補修費用が異なる。また、不具合の総面積が同じであっても、小さい不具合が多数ある場合と、大きい不具合が1個ある場合とでは、補修費用が異なる。そこで、不具合の数量ごとに補修単価を紐づけて表示する構成によれば、補修費用をより正確に算出することができる。
【0066】
想定値に関する情報T120は、想定値データ40Cに含まれる想定値の内訳数量である。この想定値は、想定値データ40Cを参照して生成される。実際の不具合に関する情報T130は、不具合状況取得手段43により取得された実施数量である。
【0067】
このように、増減比較表T100においては、想定される不具合の種類、数量(大きさや数)と、不具合状況取得手段により取得される実際の不具合の種類、数量と、が並列して表されている。例えば、図8に示す例では、「コンクリート・モルタル欠損箇所補修(少々)」は、補修単価が1000円であり、想定数量は60箇所であるのに対し、実際の数量は50箇所であることが増減比較表T100により明らかである。増減比較表T100により、補修の種類及び費用の予実をユーザに容易に把握させることができる。
【0068】
増減に関する情報T140は、単価T113と想定値に関する情報T120とをかけ合わせた内訳金額T141と、単価T113と実際の不具合に関する情報T130とをかけ合わせた実施金額T142と、内訳金額T141と実施金額T142との差である増減金額T143と、を含む。
【0069】
増減比較表生成手段44は、補修費用の単価T113に基づいて、想定される不具合に応じた補修費用の想定額(内訳金額T141)と、実際の不具合に応じた補修費用の実際額(実施金額T142)とを不具合ごとに算出し、想定額と実際額の差分を増減金額T143として増減比較表T100に格納する。図8に示す例では、「コンクリート・モルタル欠損箇所補修(少々)」について、想定される補修費用は6万円であるところ、実際の補修費用は5万円であることが分かる。この構成によれば、想定される補修の見積額と実際の発生費用を、ユーザに一見して把握させることができる。
【0070】
なお、増減比較表生成手段44は、1個の構造物に対して紐づけられる複数の立面図に対して、立面図ごとに不具合状況を集計し、不具合の個数及び補修費用を算出して増減比較表T100に表してもよい。この構成によれば、構造物の壁面ごとに不具合の種類又は数を比較したり、さらに壁面ごとの作業工数を想定して作業計画を効率よく立案したりすることができる。
【0071】
(ステップS7)
出力手段45は、クライアント端末100の表示部101、接続される外部機器、接続される印刷装置等に、増減比較表T100を出力する。
【0072】
本実施の形態によれば、あらかじめ登録されている凡例を選択し、立面図上にドラッグアンドドロップ操作することで、構造物における不具合の状況を記録することができる。また、不具合の状況とその位置を関連付けて記憶することができる。
【0073】
また、本実施の形態によれば、単価データ、想定値データ及び入力された実際の不具合のデータに基づいて増減比較表を生成するため、増減比較表を生成する手間を省くことができる。また、増減比較表により、想定した不具合状況と、実際の不具合状況を容易に比較できるとともに、不具合を入力したその場で補修費用の予実を把握することができる。
【0074】
なお、本実施の形態では、想定される想定値データ40Cを立面図G111に表示しなかったが、立面図G111に想定値データ40Cに基づいたマークG113を表示してもよい。その場合には、表示制御手段41は、立面図G111上のマークG113aを選択することで表示部101にテンキー画面G300を表示し、入力部102が数値を入力すると、不具合状況取得手段43は、入力された数値を上書きすることで、マークG113aの位置における実際の不具合の種類や数量を取得してもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 :修繕工事支援システム
10 :情報処理装置
20 :制御装置
22 :CPU
24 :メモリ
26 :通信装置
28 :記憶装置
28A :管理プログラム
40 :記憶手段
40A :図面データ
40B :単価データ
40C :想定値データ
41 :表示制御手段
42 :マーキング手段
43 :不具合状況取得手段
44 :増減比較表生成手段
45 :出力手段
46 :通信制御部
100 :クライアント端末
101 :表示部
102 :入力部
120 :制御装置
122 :CPU
126 :通信装置
128 :記憶装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8