(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-16
(45)【発行日】2022-09-28
(54)【発明の名称】溶融紡糸装置
(51)【国際特許分類】
D01D 11/00 20060101AFI20220920BHJP
D01D 7/00 20060101ALI20220920BHJP
【FI】
D01D11/00 C
D01D7/00 C
(21)【出願番号】P 2020500188
(86)(22)【出願日】2018-06-12
(86)【国際出願番号】 EP2018065488
(87)【国際公開番号】W WO2019007645
(87)【国際公開日】2019-01-10
【審査請求日】2021-03-10
(31)【優先権主張番号】102017006432.6
(32)【優先日】2017-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】307031976
【氏名又は名称】エーリコン テクスティル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Oerlikon Textile GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Leverkuser Strasse 65, D-42897 Remscheid, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ライナルト フォス
(72)【発明者】
【氏名】マーク-アンドレ ヘアンドルフ
(72)【発明者】
【氏名】アブデラティ ハミド
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ファウルシュティヒ
【審査官】静野 朋季
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-536270(JP,A)
【文献】特開2017-082381(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第04402834(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D01D 1/00-13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の紡糸位置(1.1~1.6)と、自動操作装置(9)とを備えた、合成糸を製造するための溶融紡糸装置であって、前記紡糸位置(1.1~1.6)は、それぞれ1つの紡糸ノズルユニット(2)と、冷却ユニット(3)と、ゴデットユニット(6)と、巻取りユニット(7)とを有していて、前記自動操作装置(9)は、ガイドユニット(12)により、一列に配置された前記紡糸位置(1.1~1.6)に対して平行に案内されており、各紡糸位置(1.1~1.6)に、糸を掛けるために移動可能であり、前記自動操作装置(9)が、圧縮空気により運転する少なくとも1つのサクションインジェクタ(20)を前記紡糸位置(1.1~1.6)の1つにおける糸群をガイドするために有していて、該サクションインジェクタ(20)が、糸屑容器(10)に連結されている、溶融紡糸装置において、
前記糸屑容器(10)が、糸屑を収容するために、
前記糸屑容器(10)の内側の断面が上部から底部まで増加するように前記糸屑容器(10)の内側を横方向に包囲する円錐壁(10.5)と、
前記糸屑容器(10)の上部に配置された排気管片(10.3)と、
を有しており、これにより、前記糸屑を螺旋状に堆積させることができることを特徴とする、溶融紡糸装置。
【請求項2】
前記サクションインジェクタ(20)に接続された糸屑管路(14)が、接線方向に向けられた容器接続部(10.2)を介して前記糸屑容器(10)に接続されていて、前記容器接続部(10.2)が、前記糸屑容器(10)の上側領域に形成されている、請求項1記載の溶融紡糸装置。
【請求項3】
前記糸屑容器(10)の上面が、排気開口(10.4)を有している、請求項1または2記載の溶融紡糸装置。
【請求項4】
負圧源が前記排気開口(10.4)に接続されていて、該負圧源により前記糸屑容器(10)内に負圧が形成可能である、請求項3記載の溶融紡糸装置。
【請求項5】
前記糸屑容器(10)が、前記自動操作装置(9)のキャリアフレーム(9.1)に保持されていて、前記糸屑容器(10)の下面が、開閉するための可動の糸屑フラップ(10.6)を有している、請求項1から4までのいずれか1項記載の溶融紡糸装置。
【請求項6】
前記糸屑フラップ(10.6)に、制御可能なアクチュエータ(10.7)が対応配置されていて、該アクチュエータ(10.7)が、前記自動操作装置(9)の自動制御装置(11)に連結されている、請求項5記載の溶融紡糸装置。
【請求項7】
前記糸屑容器(10)に充填状態センサ(10.8)が対応配置されていて、該充填状
態センサ(10.8)により前記糸屑容器(10)内の充填度が検出可能であり、前記充填状態センサ(10.8)が前記自動制御装置(11)に接続されている、請求
項6記載の溶融紡糸装置。
【請求項8】
前記各紡糸位置(1.1~1.6)に、圧縮空気伝達のためのそれぞれ1つの圧縮空気接続部(13.1)を備えた複数の接続ステーション(13)の1つが対応配置されていて、該接続ステーション(13.1)が、前記自動操作装置(9)に配置された接続アダプタ(13.2)と協働する、請求項1から7までのいずれか1項記載の溶融紡糸装置。
【請求項9】
前記ガイドユニット(12)が、懸架軌道(12.1)により形成されていて、該懸架軌道(12.1)において前記自動操作装置(9)がガイドされていて、前記自動操作装置(9)が搬送手段(9.3)を有していて、該搬送手段(9.3)により前記自動操作装置(9)が前記懸架軌道(12.1)において走行可能である、請求項1から8までのいずれか1項記載の溶融紡糸装置。
【請求項10】
前記自動操作装置(9)が、制御可能なロボットアーム(9.2)を有していて、前記ロボットアーム(9.2)の自由端において前記サクションインジェクタ(20)を、前記紡糸位置(1.1~1.6)の1つの前記ゴデットユニット(6)および前記巻取りユニット(7)に糸群を掛けるために案内する、請求項1から9までのいずれか1項記載の溶融紡糸装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念部に記載の、合成糸を製造するための溶融紡糸装置に関する。
【0002】
合成糸の製造は、多数の紡糸位置を有している溶融紡糸装置により行われる。複数の紡糸位置は、相並んで設置されて、機械ホールにおいて機械の長手方向正面を形成する。各紡糸位置は、複数の糸を押し出すための複数の紡糸ノズルを備えた紡糸ノズルユニットを有している。1つの紡糸位置の糸は、糸群として一緒にゴデットユニットにより紡糸ノズルから引き出され、プロセスの最後に巻取りユニットの複数の巻取り箇所において平行に巻き取られてパッケージを形成する。紡糸位置の巻取りユニットは、1つの巻取りリボルバに保持された2つの巻取りスピンドルをそれぞれ備えているので、糸を紡糸位置において連続的に製造することができる。プロセス開始時またはプロセス中断時にのみ、紡糸位置の糸群を補助ユニットによりガイドし、たとえばゴデットユニットおよび巻取りユニットに掛けることが必要となる。このような補助ユニットは、好適には自動操作装置により形成される。自動操作装置は、機械の長手方向正面に沿って可動にガイドされていて、紡糸位置のうちの1つに糸を掛けるために選択式に供給可能である。このような溶融紡糸装置はたとえば欧州特許出願公開第3162748号明細書に開示されている。
【0003】
公知の溶融紡糸装置では、自動操作装置は、個別の紡糸位置に選択的に接近するように走行可能に形成されている。該当する紡糸位置の糸群をガイドし、糸掛けするために、自動操作装置はサクションインジェクタを有している。サクションインジェクタは糸群を連続的に収容し、糸屑容器へとガイドする。基本的に、サクションインジェクタと糸屑容器とを接続する種々異なる変化形が実施可能である。
【0004】
したがって、たとえば欧州特許出願公開第0803595号明細書から、サクションインジェクタを備えた走行可能な自動操作装置が公知である。この自動操作装置では、糸屑容器が自動操作装置に直接に配置されている。しかし、統合された糸屑容器を備えたこのような構成は、基本的に、糸屑を収容するための容量が制限されているという欠点を有している。
【0005】
しかし基本的には、欧州特許出願公開第0010772号明細書から、サクションインジェクタが糸屑管路を介して定置の糸容器に接続されている自動操作装置が公知である。しかし、このようなシステムは、基本的には、糸屑管路が大きな区間にわたっている必要があり、したがって、圧縮空気の比較的高い過圧が必要となるという大きな欠点を有している。これに関連する高い圧縮空気消費は、このようなシステムをエネルギに関して不経済的なものにしてしまう。
【0006】
したがって、本発明に課題は、冒頭で述べた形式の、合成糸を製造する溶融紡糸装置を改良して、自動操作装置により引き起こされる糸屑が出来るだけエネルギ効率的に収容され、溜められるようにすることにある。
【0007】
本発明の別の目的は、冒頭で述べた溶融紡糸装置の自動操作装置を改良して、統合された糸屑容器でも比較的長い運転時間を実現可能にすることにある。
【0008】
この課題は、本発明によれば、糸屑を収容するための糸屑容器が、糸屑を螺旋状に堆積させることができるサイクロン形の内側構造を有していることにより解決される。
【0009】
本発明の有利な変化形は、従属請求項に記載の特徴および特徴の組み合わせにより定義されている。
【0010】
本発明は、糸屑を糸屑容器内に極めてコンパクトに上下に重なった位置で堆積させることができるという特別な利点を有している。糸屑容器のサイクロン形の内側構造により、流入する糸屑流が予め規定されたガイド軌道で変向され、糸屑容器内に螺旋状に堆積されるように入れられる。これにより、糸屑容器内で乱雑に置かれ、ひいては糸が絡まることが阻止される。糸屑容器の極めてコンパクトな充填の他に、さらに、糸屑容器からの取出しおよび糸屑容器を空にすることが容易にされるという利点が生じる。
【0011】
糸屑流を対応する設定で糸屑容器内に導入することができるように、サクションインジェクタに接続された糸屑管路が接線方向に向けられた容器接続部を介して糸屑容器に接続されていて、容器接続部が、糸屑容器の上側領域に形成されている、本発明に係る溶融紡糸装置の変化形が好適に実施されている。したがって、糸屑を所望の糸屑流で糸屑容器内に導入するために、サクションインジェクタにより形成されたサクション流を有利に使用することができる。
【0012】
糸屑管路を介して糸屑容器内に導入された空気流は、有利には糸屑容器の上面に設けられた排出開口を介して導出される。
【0013】
糸屑容器内で形成された糸屑流は、糸屑容器内で負圧が形成可能である負圧源が排気開口に接続されていることによりさらに強化される。糸屑管路内におけるサクション作用は、糸群を収容し、糸屑容器内に導入するために高められる。
【0014】
糸屑を糸屑容器内でコンパクトに堆積させることによって、糸屑容器が自動操作装置のキャリアフレームに保持されていて、糸屑容器の下面が開閉するための可動の糸屑フラップを有している、溶融紡糸装置の変化形が好適には実施されている。これにより、糸屑を糸屑フラップの簡単な開放により出して糸屑容器を空にする可能性が生じる。
【0015】
このためには、糸屑フラップには制御可能なアクチュエータが対応配置されていて、アクチュエータは自動操作装置の自動制御装置に連結されている。
【0016】
糸屑容器内の糸屑の充填度を検出し、自動制御装置に接続されている充填状態センサを使用することにより、糸屑容器を空にするプロセスを自動化して実施することができる。したがって、自動操作装置は有利には、糸屑容器に捕集容器が対応配置されている待機位置へとガイドされる。
【0017】
自動操作装置の圧縮空気作動式のサクションインジェクタを各紡糸位置で運転することができるように、各紡糸位置に圧縮空気伝達のためのそれぞれ1つの圧縮空気接続部を備えた複数の接続ステーションの1つが対応配置されている本発明の変化形が特に有利である。これにより、自動操作装置は接続アダプタを介して圧縮空気伝達のために選択的に接続ステーションに接続される。これにより、自動操作装置は、有利には各紡糸位置において自動的に1つの圧縮空気供給部に接続される。
【0018】
自動操作装置が各紡糸位置に出来るだけ迅速に到達するために、ガイドユニットは懸架軌道により形成されている。懸架軌道において、自動操作装置は搬送手段により走行可能に保持されている。これにより、満管を搬出するためのフロアを走行可能なドッファユニットとの衝突は有利には回避される。
【0019】
自動操作装置が制御可能なロボットアームを有している、溶融紡糸装置の有利な変化形により、サクションインジェクタは高いフレキシビリティで紡糸位置の1つの糸群を案内し糸掛けするために操作可能である。ロボットアームの自由な可動性により、サクションインジェクタを案内するための極めて高い自由度が達成される。
【0020】
本発明に係る溶融紡糸装置は、合成糸の全自動の製造を実施するために特に適している。オペレータに対する作業手間は、著しく減じられ、実質的に制御機能および保守作業により規定される。
【0021】
本発明に係る溶融紡糸装置を以下に実施例につき添付の図面を参照しながら詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明に係る溶融紡糸装置の多数の紡糸位置の概略的な正面図である。
【
図2】
図1に示した本発明に係る溶融紡糸装置の自動操作装置の概略的な正面図である。
【
図3】
図2に示した自動操作装置の糸屑容器の概略的な横断面図である。
【
図4】
図1に示した本発明に係る溶融紡糸装置の紡糸位置の1つの概略的な側面図である。
【
図5】
図1に示した本発明に係る溶融紡糸装置の自動操作装置の概略的な側面図である。
【
図6】糸掛け時の紡糸位置の1つの概略的な側面図である。
【
図7】変化した運転状態における
図1に示した実施例の概略的な正面図である。
【0023】
図1および
図4には、複数の紡糸位置を備える本発明に係る溶融紡糸装置の実施例が正面図および側面図で図示されている。両図面のうちの1つに明確に関連付けが成されない限り、以下の説明は両方の図面に該当する。
【0024】
本発明に係る溶融紡糸装置の実施例は、複数の紡糸位置1.1~1.6を有している。これらの紡糸位置1.1~1.6は、相並んで列状の配置で並べられており、機械長手方向側を形成する。
図1に図示された紡糸位置の個数は単に例示的である。基本的には、このような種類の溶融紡糸装置は、同じ種類の多数の紡糸位置を含んでいる。
【0025】
図1に図示された紡糸位置1.1~1.6の構造は同一に形成されていて、
図4に図示された紡糸位置1.1において、詳しく説明される。
【0026】
図4の図面から判るように、各紡糸位置1.1~1.6、この場合は紡糸位置1.1は、紡糸ノズルユニット2を有している。紡糸ノズルユニット2は、紡糸ビーム2.2を含んでいて、この紡糸ビーム2.2の下面は複数の紡糸ノズル2.1を支持している。これらの紡糸ノズル2.1は、紡糸ポンプ2.3に連結されている。この紡糸ポンプ2.3は、好適にはマルチポンプとして形成されていて、各紡糸ノズル2.1に接続されている。紡糸ポンプ2.3は、溶融物流入通路2.4を介して押出し機または別の溶融物形成器(図示せず)に接続されている。
【0027】
紡糸ノズルユニット2の下側には、冷却ユニット3が配置されている。この冷却ユニット3は、この実施例では気体透過性の壁部を備えた冷却筒3.1をブローチャンバ3.3内に有している。各紡糸ノズルに対して、冷却筒3.1は、フィラメントを収容し冷却するために働く。冷却筒3.1の下方には、降下筒3.2が続いている。
【0028】
降下筒3.2の下方には、集合ユニット4が配置されている。この集合ユニット4は、複数の糸ガイド4.1を有している。糸ガイド4.1は、紡糸ノズル2.1に対応配置されていて、フィラメントを纏めて糸を形成する。この実施例では、紡糸ノズルユニット2が4本の糸を形成する。糸の本数は例示的である。したがって、このような紡糸ノズルユニット2は、紡糸位置1.1~1.6毎に32本までの糸を同時に形成することができる。
【0029】
集合ユニット4には、油剤供給ユニット5が対応配置されている。この油剤供給ユニット5により、1つの糸群8の個別の糸が湿らせられる。糸は、糸群8としてゴデットユニット6により引き出され、巻取りユニット7に供給される。この実施例では、駆動された2つのゴデット6.1によるゴデットユニット6が選択されている。ゴデット6.1の間には、交絡ユニット6.2が配置されていて、これにより糸群8の糸を別個に交絡させることができる。
【0030】
巻取りユニット7は、糸群8の糸毎にそれぞれ1つの巻取り箇所7.5を有している。全部で4つの巻取り箇所7.5は、巻取りスピンドル7.1に沿って延びている。巻取りスピンドル7.1は、巻取りリボルバ7.2に突出するように保持されている。巻取りリボルバ7.2は、2つの巻取りスピンドル7.1を支持している。これらの巻取りスピンドル7.1は、交互に巻取り領域と交換領域とにガイドされる。各巻取り箇所7.5には、糸群8を分割しかつ分離するために、複数の変向小型ローラ7.6のうちそれぞれ1つが対応配置されている。これらの変向小型ローラ7.6は、ゴデットユニット6に直接に後置されている。糸を巻き取り、敷設してパッケージを形成するために、各巻取り箇所7.5は綾振りユニット7.3を有している。この綾振りユニット7.3は、押圧ローラ7.4と協働し、この押圧ローラ7.4は、巻取りスピンドル7.1に対して平行に配置されていて、機械フレーム7.7に回転可能に支承されている。糸8を巻き取ってパッケージ19を形成する間に、押圧ローラ7.4はパッケージ19の表面に当て付けられている。
【0031】
図1および
図4に図示された状態では、紡糸位置1.1~1.6がその通常の運転状態で位置している。通常の運転状態では、各紡糸位置1.1~1.6において、複数の糸から成る糸群8が押し出され、引き出され、連続的に巻き取られてパッケージ19を形成する。
【0032】
紡糸位置1.1~1.6をプロセス開始時およびプロセス中断時に操作することができるようにするために、紡糸位置1.1~1.6には、自動操作装置9が対応配置されている。
図1において、自動操作装置9は待機位置で図示されている。自動操作装置9は、操作通路21の上方のガイドユニット12に保持されている。ガイドユニット12は、この実施例では、懸架軌道12.1により形成されている。この懸架軌道12.1は、紡糸位置1.1~1.6の機械長手方向側に対して平行に延びている。
【0033】
自動操作装置9を説明するために、以下では付加的に
図2、
図3および
図4を参照する。
図2には、
図1に示した紡糸ユニットにおいて図示されているような自動操作装置の正面図が拡大されて、部分的に断面で示されている。
図3には、自動操作装置9に統合された糸屑容器10の断面が図示されている。
図5には、
図4に図示されているような自動操作装置の側面図が同様に拡大されて図示されている。複数の図面の1つに明確に関連付けがなされない限り、以下の説明は全ての図面に該当する。
【0034】
自動操作装置9は、キャリアフレーム9.1を有している。このキャリアフレーム9.1は、懸架軌道12.1に保持されている。キャリアフレーム9.1は、走行フレーム9.4に結合されている。走行フレーム9.4は、懸架軌道12.1内でガイドされている。走行フレーム9.4には、搬送手段9.3が対応配置されている。この搬送手段9.3により、自動操作装置9は、懸架軌道12.1内で走行可能である。懸架軌道12.1は、このためには2つのガイドレール12.2を有している。搬送手段9.3は、自動制御装置11に連結されている。キャリアフレーム9.1の上面において概略的に図示された自動制御装置11は、機械制御装置(詳細に図示せず)に接続されている。
【0035】
キャリアフレーム9.1の下端部には、ロボットアーム9.2が保持されている。ロボットアーム9.2は、自由に突出したガイド端部を有している。このガイド端部において、サクションインジェクタ20が案内される。突出した多関節のロボットアーム9.2は、アクチュエータおよびセンサ(詳細に図示せず)により自由に運動可能であり、ロボットアーム9.2の運動は、自動制御装置11により制御される。自動操作装置9へのエネルギ供給は、好適には電流レールまたはエネルギチェーンにより行われる。
【0036】
サクションインジェクタ20を運転するためには、自動操作装置9は、各紡糸位置1.1~1.6において接続ステーション13と協働する。
図5には、紡糸位置1.1の接続ステーション13が図示されている。接続ステーション13の説明のために、付加的に
図6が参照される。
図6には、自動操作装置9が接続アダプタ13.2を介して接続ステーション13に接続されている状態が図示されている。
【0037】
図5および
図6から判るように、接続アダプタ13.2は、自動操作装置9のキャリアフレーム9.1に配置されている。接続アダプタ13.2は、アクチュエータ13.3に連結されている。アクチュエータ13.3は、接続アダプタ13.2を複数の接続ステーション13の1つに連結するために往復ガイドする。
図5には、自動操作装置9が待機位置に保持されていて、したがって接続ステーション13に接続していない状態が図示されている。
【0038】
図6には、接続アダプタ12.2が接続ステーション13に連結されている状態が図示されている。接続ステーション13は、圧縮空気接続部13.1を有している。この圧縮空気接続部13.1は、中央の圧縮空気管路16を介して、中央の圧縮空気源(図示せず)に接続されている。接続アダプタ13.2は、アクチュエータ12.3によって圧縮空気接続部13.1と連結される。アクチュエータ13.3は、自動制御装置11に接続されている。自動操作装置9に配置された圧縮空気管路15が圧縮空気接続部13.1にたとえば差込み連結部により接続されるように、接続アダプタ13.2は接続ステーション13に連結される。圧縮空気管路15は、サクションインジェクタ20に連結されているので、このサクションインジェクタ20は糸群を収容するために準備されている。サクションインジェクタ20に接続された糸屑管路14は、糸屑容器10に開口している。糸屑容器10は、このためには自動操作装置9のキャリアフレーム9.1に配置されている。
【0039】
糸屑容器10の詳細な説明のために
図2および
図3が参照される。
図2には、糸屑容器10の縦断面図が、
図3には横断面図が図示されている。両図面の一方に明確に関連付けされていない限り、以下の図面は両図面に該当する。
【0040】
糸屑容器10は、特に流入する糸屑流を螺旋状に流動させるために、サイクロン形の内側構造10.1を有している。このためには、糸屑容器10の上側領域に、接線方向に形成された容器接続部10.2が形成されている。この容器接続部10.2に糸屑管路14が接続されている。中心領域において、糸屑容器10は、内部に突入する排気管片10.3を有している。この排気管片10.3は、ケーシング端部において排気開口10.4を形成する。排気管片10.3の他に、サイクロン形の内側構造10.1は、糸屑容器10の僅かに円錐形の円筒壁10.5により形成される。
【0041】
特に
図2から判るように、糸屑容器10の下面は、可動の糸屑フラップ10.6により閉じられている。糸屑フラップ10.6は、旋回可能に形成されていて、アクチュエータ10.7により糸屑容器10を開閉するために運動する。アクチュエータ10.7は、自動制御装置11に接続されている。
【0042】
糸屑容器10の内部には、充填状態センサ10.8が配置されている。この充填状態センサ10.8は、自動制御装置11に接続されている。
【0043】
自動操作装置9の運転中に、紡糸位置1.1~1.6に供給される糸群は、糸屑管路14を介して容器接続部10.2に接線方向に糸屑流として糸屑容器10内に導入される。渦流状の流れにより、糸屑は螺旋状に糸屑容器内で複数に重なって置かれる。したがって、糸屑容器の極めてコンパクトな充填が可能である。糸屑容器10の充填状態は、充填状体センサ10.8により監視されるので、必要に応じて糸屑容器10を空にすることが可能である。
【0044】
図6には、紡糸位置1.1の糸群8がサクションインジェクタ20および自動操作装置9により案内されている状態が図示されている。サクションインジェクタ20は、自動操作装置9のロボットアーム9.2により糸群の糸をゴデットユニット6および巻取りユニット7に糸掛けし挿通するために案内される。この期間中に糸群は連続的に糸屑流として糸屑容器10内に導入される。紡糸位置1.1における操作工程が終了するや否や、自動操作装置9はたとえば
図1に示されているような待機位置に戻される。
【0045】
糸屑容器10内に含まれる糸屑を処分するために、自動操作装置9には、待機位置において捕集容器17が対応配置されている。
図7において、
図1に示した実施例の側面図において、糸屑容器10を空にすることがどのように実施され得るかが概略的に図示されている。
【0046】
図7に図示されている状態において、自動操作装置9は待機位置に位置している。この状態において、糸屑容器10には、捕集容器17が対応配置されている。捕集容器17は、たとえば搬送手段18を介して自動操作装置9内に供給される。捕集容器17が糸屑容器の下方の下側位置を占めるや否や、自動制御装置11を介してアクチュエータ10.7が糸屑フラップ10.6を開くために操作される。糸屑フラップ10.6の開放後に、糸屑は糸屑容器10から自動的に放出され、捕集容器17により収容される。糸屑容器10および円錐形の円筒壁10.5の僅かに下方に向かって拡大された容器横断面により、完全に空にすることは問題なしに可能である。
【0047】
ここで、糸屑容器10の容器横断面が楕円形に形成されていてもよいことを強調して言及しておく。
【0048】
さらに、吸引力を支援し、糸屑を収容するために、糸屑容器10の排出開口10.4を負圧源に接続する可能性も生じる。これにより、糸屑容器10内で僅かな負圧が形成されるので、糸屑を導出し収容するための強力なサクション流が形成可能である。
【0049】
本発明に係る溶融紡糸装置は、したがって、特に紡糸位置の1つのプロセス中断および各再開が自動化されて実施可能であることにより優れている。本発明に係る溶融紡糸装置の構造は、図示された実施例では単に例示的である。したがって、糸群を取り扱いガイドするための付加的なユニットが使用される。同様に、自動操作装置の構成も例示的である。したがって、自動操作装置は代替的にはフロア車両として形成されていてよい。