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特許7143458カウンターテーパード熱可塑性エラストマー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-16
(45)【発行日】2022-09-28
(54)【発明の名称】カウンターテーパード熱可塑性エラストマー
(51)【国際特許分類】
   C08L 95/00 20060101AFI20220920BHJP
   C09J 109/00 20060101ALI20220920BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20220920BHJP
   C09J 11/08 20060101ALI20220920BHJP
   C08L 53/02 20060101ALI20220920BHJP
   C08F 297/04 20060101ALI20220920BHJP
   E01C 7/26 20060101ALN20220920BHJP
【FI】
C08L95/00
C09J109/00
C09J11/06
C09J11/08
C08L53/02
C08F297/04
E01C7/26
【請求項の数】 48
(21)【出願番号】P 2021016481
(22)【出願日】2021-02-04
(62)【分割の表示】P 2018538745の分割
【原出願日】2017-01-26
(65)【公開番号】P2021080465
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2021-03-05
(31)【優先権主張番号】62/286,974
(32)【優先日】2016-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513240168
【氏名又は名称】ダイナソル エラストマーラ エス エー デ シー ブイ
【氏名又は名称原語表記】DYNASOL ELASTOMEROS, S.A. DE C.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】モクテスーマ エスピリクエト、セルヒオ アルベルト
(72)【発明者】
【氏名】メキシカーノ ガルシア、ヘスス アルベルト
(72)【発明者】
【氏名】ティエラブランカ マルドナド、エリサ
(72)【発明者】
【氏名】エルナンデス サモラ、ガブリエル
(72)【発明者】
【氏名】エスキベル デ ラ ガルサ、アレハンドロ クラウディオ
【審査官】横山 法緒
(56)【参考文献】
【文献】特許第6835857(JP,B2)
【文献】特表2009-530473(JP,A)
【文献】特表2007-511805(JP,A)
【文献】特開平07-173232(JP,A)
【文献】特開平07-252335(JP,A)
【文献】特開平07-252336(JP,A)
【文献】特開平09-143222(JP,A)
【文献】特開平09-124728(JP,A)
【文献】特開平11-171949(JP,A)
【文献】特開2009-127048(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08F 297/04
C09J 11/00-11/08
C09J 109/00-109/10
C09J 201/00-201/10
E01B 1/62-1/99
E01C 7/00-7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)アスファルト及び/又は瀝青、及び
(b)第1のカウンターテーパード熱可塑性エラストマー(第1のCTTE)組成物
を含むアスファルト組成物及び/又は瀝青組成物であって、第1のCTTE組成物は、アスファルト組成物及び/又は瀝青組成物中に0.5~25重量%で含まれ、第1のCTTE組成物は、カウンターテーパードジブロックA-[A/B]コポリマーを形成するように、少なくとも1種の共役ジエンモノマーBの単位と重合された少なくとも1種のモノビニル芳香族モノマーAの単位を含み、Aブロックはモノビニル芳香族モノマー単位のポリマーを含み、[A/B]ブロックはモノビニル芳香族モノマー単位と共役ジエンモノマー単位とのコポリマーであり、[A/B]ブロックは、Aに対するBの比が、Aブロックから遠い位置におけるAに対するBの比に対して、Aブロックに近い方が低くなるようにカウンターテーパードとされている、アスファルト組成物及び/又は瀝青組成物。
【請求項2】
共役ジエンモノマーBの単位の総量は、第1のCTTE組成物の55重量%を超える、請求項1に記載のアスファルト組成物及び/又は瀝青組成物。
【請求項3】
カウンターテーパードジブロックA-[A/B]コポリマー中のビニル含有量は、Aブロックから遠い位置におけるビニル含有量に対して、Aブロックに近い方が高い、請求項1に記載のアスファルト組成物及び/又は瀝青組成物。
【請求項4】
共役ジエンモノマーBの単位の総量は、第1のCTTE組成物の55重量%を超え、カウンターテーパードジブロックA-[A/B]コポリマー中のビニル含有量は、Aブロックから遠い位置におけるビニル含有量に対して、Aブロックに近い方が高い、請求項1に記載のアスファルト組成物及び/又は瀝青組成物。
【請求項5】
第1のCTTE組成物の[A/B]ブロックは、2~40重量%のモノビニル芳香族モノマーA及び60~98重量%の共役ジエンモノマーBを含む、請求項1に記載のアスファルト組成物及び/又は瀝青組成物。
【請求項6】
第2のカウンターテーパード熱可塑性エラストマー(第2のCTTE)組成物をさらに含み、第2のCTTE組成物は、
少なくとも1種のモノビニル芳香族モノマーAの単位及び少なくとも1種の共役ジエンモノマーBの単位を含み、かつ、線形構造(A-[A/B])-X-([B/A]-A)、及び/又は、カップリングされた放射状の及び/又はマルチアーム構造(A-[A/B])n-Xを有し、式中、Xはカップリング剤又は多官能性開始剤のいずれかの残分であり、nは2から30までの整数であり、
第2のCTTE組成物は、モノビニル芳香族モノマー単位Aのポリマーである外側ブロック及び/又は末端ブロックAを有し、
第2のCTTE組成物は、モノビニル芳香族モノマー単位A及び共役ジエンモノマー単位Bのコポリマーである中間ブロックを有し、前記中間ブロックは末端領域間に中央領域を有し、B/A比が前記末端領域よりも前記中央領域において高い、請求項1~5のいずれか一項に記載のアスファルト組成物及び/又は瀝青組成物。
【請求項7】
第2のCTTE組成物において、ビニル含有量は前記中央領域のビニル含有量に対して前記末端領域において高い、請求項6に記載のアスファルト組成物及び/又は瀝青組成物。
【請求項8】
0.5~25重量%の第1及び第2のCTTE組成物を含む、請求項6に記載のアスファルト組成物及び/又は瀝青組成物。
【請求項9】
2~8重量%の第1及び第2のCTTE組成物を含む、請求項6に記載のアスファルト組成物及び/又は瀝青組成物。
【請求項10】
第1のCTTE組成物と第2のCTTE組成物とが組み合わされたCTTE組成物において、第1のCTTE組成物:第2のCTTE組成物の比が1:5~5:1である、請求項6に記載のアスファルト組成物及び/又は瀝青組成物。
【請求項11】
第2のCTTE組成物の構造(A-[A/B])-X-([B/A]-A)又は(A-[A/B])n-Xは、[A/B]-X-[B/A]中間ブロック又は[A/B]n-X中間ブロックを含み、[A/B]-X-[B/A]中間ブロック又は[A/B]n-X中間ブロックは、2~40重量%のモノビニル芳香族モノマーA及び60~98重量%の共役ジエンモノマーBを含む、請求項6に記載のアスファルト組成物及び/又は瀝青組成物。
【請求項12】
ASTM D4402に準じて測定した135℃での動粘度が500~3000cPであり、伸び計による25℃での弾性回復が75%超である、請求項6に記載のアスファルト組成物及び/又は瀝青組成物。
【請求項13】
ASTM D4402に準じて測定した135℃での動粘度が1000cP未満であり、伸び計による25℃での弾性回復が75%超である、請求項6に記載のアスファルト組成物及び/又は瀝青組成物。
【請求項14】
乳化剤を更に含み、水中で乳化されてポリマー改質アスファルト(PMA)残分を形成している、請求項6に記載のアスファルト組成物及び/又は瀝青組成物。
【請求項15】
PMA残分は、ASTM D4402に準じて測定した135℃での動粘度が600cP未満であり、伸び計による10℃での弾性回復が75%超である、請求項14に記載のアスファルト組成物及び/又は瀝青組成物。
【請求項16】
4~8重量%の第1及び第2のCTTE組成物を含み、ASTM D4402に準じて測定した135℃での動粘度が3000cP未満であり、伸び計による25℃での弾性回復が90%超である、請求項6に記載のアスファルト組成物及び/又は瀝青組成物。
【請求項17】
2~4重量%の第1及び第2のCTTE組成物を含み、ASTM D4402に準じて測定した135℃での動粘度が1000cP未満であり、伸び計による25℃での弾性回復が75%超であり、相分離が0.2℃未満又は0.3%未満である、請求項16に記載のアスファルト組成物及び/又は瀝青組成物。
【請求項18】
(a)アスファルト及び/又は瀝青、及び
(b)カウンターテーパード熱可塑性エラストマー(CTTE)組成物
を含むアスファルト組成物及び/又は瀝青組成物であって、CTTE組成物は、アスファルト組成物及び/又は瀝青組成物中に0.5~25重量%で含まれ、CTTE組成物は、
(1)少なくとも1種の共役ジエンモノマーBの単位及び少なくとも1種のモノビニル芳香族モノマーAの単位を含むカウンターテーパードジブロックA-[A/B]コポリマーであって、
前記ジブロックコポリマーは、20,000~250,000のピーク分子量を有し、
モノビニル芳香族ホモポリマーブロックAは、少なくとも8,000のピーク分子量を有し、
[A/B]ブロックはカウンターテーパードとなっており、
[A/B]は、前記ジブロックコポリマー中の共役ジエン単位の量に基づいて少なくとも15重量パーセントのビニル含有量を有し、
ここで、前記カウンターテーパードとは、[A/B]ブロックにおけるAに対するBの比が、Aブロックから遠い位置におけるAに対するBの比に対して、Aブロックに近い方が低いことを意味する、カウンターテーパードジブロックA-[A/B]コポリマー、及び
(2)少なくとも2つの前記カウンターテーパードジブロックA-[A/B]コポリマーを含むブロックコポリマーであって、
前記ブロックコポリマーは、少なくとも2つのモノビニル芳香族ホモポリマーブロックA、及びモノビニル芳香族モノマー単位と共役ジエンモノマー単位との少なくとも1つのコポリマーブロックを有し、
前記コポリマーブロックは、前記カウンターテーパードジブロックコポリマーのピーク分子量の少なくとも1.5倍のピーク分子量を有する線形トリブロックコポリマー、前記カウンターテーパードジブロックコポリマーのピーク分子量の少なくとも2.5倍のピーク分子量を有するマルチアームカップリングブロックコポリマー、及びそれらの混合物からなる群から選択されるものであるブロックコポリマー
を含む、アスファルト組成物及び/又は瀝青組成物。
【請求項19】
CTTE組成物において、(1):(2)の比が1:5~5:1である、請求項18に記載のアスファルト組成物及び/又は瀝青組成物。
【請求項20】
前記ジブロックコポリマー中のビニル含有量は、Aブロックから遠い位置におけるビニル含有量に対して、Aブロックに近い方が高い、請求項18又は19に記載のアスファルト組成物及び/又は瀝青組成物。
【請求項21】
前記ジブロックコポリマー中の共役ジエンモノマーBの量は55重量%を超える、請求項18~20のいずれか一項に記載のアスファルト組成物及び/又は瀝青組成物。
【請求項22】
CTTE組成物中のモノビニル芳香族モノマー単位Aの量が、10~48重量%である、請求項21に記載のアスファルト組成物及び/又は瀝青組成物。
【請求項23】
CTTE組成物中のビニル含有量が、CTTE組成物中の共役ジエン単位Bの総量に基づいて、15~90重量%である、請求項22に記載のアスファルト組成物及び/又は瀝青組成物。
【請求項24】
カウンターテーパードジブロックA-[A/B]コポリマーの[A/B]ブロックは、2~40重量%のモノビニル芳香族モノマーA及び60~98重量%の共役ジエンモノマーBを含む、請求項18に記載のアスファルト組成物及び/又は瀝青組成物。
【請求項25】
ASTM D4402に準じて測定した135℃での動粘度が500~3000cPであり、伸び計による25℃での弾性回復が75%超である、請求項18に記載のアスファルト組成物及び/又は瀝青組成物。
【請求項26】
ASTM D4402に準じて測定した135℃での動粘度が1000cP未満であり、伸び計による25℃での弾性回復が75%超である、請求項18に記載のアスファルト組成物及び/又は瀝青組成物。
【請求項27】
乳化剤を更に含み、水中で乳化されてポリマー改質アスファルト(PMA)残分を形成している、請求項18に記載のアスファルト組成物及び/又は瀝青組成物。
【請求項28】
PMA残分は、ASTM D4402に準じて測定した135℃での動粘度が600cP未満であり、伸び計による10℃での弾性回復が75%超である、請求項27に記載のアスファルト組成物及び/又は瀝青組成物。
【請求項29】
4~8重量%のCTTE組成物を含み、ASTM D4402に準じて測定した135℃での動粘度が3000cP未満であり、伸び計による25℃での弾性回復が90%超である、請求項18に記載のアスファルト組成物及び/又は瀝青組成物。
【請求項30】
2~4重量%のCTTE組成物を含み、ASTM D4402に準じて測定した135℃での動粘度が1000cP未満であり、伸び計による25℃での弾性回復が75%超であり、相分離が0.2℃未満又は0.3%未満である、請求項29に記載のアスファルト組成物及び/又は瀝青組成物。
【請求項31】
(a)粘着付与樹脂、可塑剤、溶媒、カップリング剤、架橋剤、光開始剤、及び酸化防止剤からなる群から選択される少なくとも1つの添加剤、及び
(b)第1のカウンターテーパード熱可塑性エラストマー(CTTE)組成物
を含む接着剤組成物であって、第1のCTTE組成物は、接着剤組成物中に0.5~50重量%で含まれ、第1のCTTE組成物は、カウンターテーパードジブロックA-[A/B]コポリマーを形成するように、少なくとも1種の共役ジエンモノマーBの単位と重合された少なくとも1種のモノビニル芳香族モノマーAの単位を含み、Aブロックはモノビニル芳香族モノマー単位のポリマーを含み、[A/B]ブロックはモノビニル芳香族モノマー単位と共役ジエンモノマー単位とのコポリマーであり、[A/B]ブロックは、Aに対するBの比が、Aブロックから遠い位置におけるAに対するBの比に対して、Aブロックに近い方が低くなるようにカウンターテーパードとされている、接着剤組成物。
【請求項32】
共役ジエンモノマーBの単位の総量は、第1のCTTE組成物の55重量%を超える、請求項31に記載の接着剤組成物。
【請求項33】
カウンターテーパードジブロックA-[A/B]コポリマー中のビニル含有量は、Aブロックから遠い位置におけるビニル含有量に対して、Aブロックに近い方が高い、請求項31に記載の接着剤組成物。
【請求項34】
第1のCTTE組成物の[A/B]ブロックは、2~40重量%のモノビニル芳香族モノマーA及び60~98重量%の共役ジエンモノマーBを含む、請求項31に記載の接着剤組成物。
【請求項35】
第2のカウンターテーパード熱可塑性エラストマー(第2のCTTE)組成物をさらに含み、第2のCTTE組成物は、
少なくとも1種のモノビニル芳香族モノマーAの単位及び少なくとも1種の共役ジエンモノマーBの単位を含み、かつ、線形構造(A-[A/B])-X-([B/A]-A)、及び/又は、カップリングされた放射状の及び/又はマルチアーム構造(A-[A/B])n-Xを有し、式中、Xはカップリング剤又は多官能性開始剤のいずれかの残分であり、nは2から30までの整数であり、
第2のCTTE組成物は、モノビニル芳香族モノマー単位Aのポリマーである外側ブロック及び/又は末端ブロックAを有し、
第2のCTTE組成物は、モノビニル芳香族モノマー単位A及び共役ジエンモノマー単位Bのコポリマーである中間ブロックを有し、前記中間ブロックは末端領域間に中央領域を有し、B/A比が前記末端領域よりも前記中央領域において高い、請求項31~34のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項36】
0.5~50重量%の第1及び第2のCTTE組成物を含む、請求項35に記載の接着剤組成物。
【請求項37】
20~40重量%の第1及び第2のCTTE組成物を含む、請求項35に記載の接着剤組成物。
【請求項38】
第1のCTTE組成物と第2のCTTE組成物とが組み合わされたCTTE組成物において、第1のCTTE組成物:第2のCTTE組成物の比が1:5~5:1である、請求項35に記載の接着剤組成物。
【請求項39】
第2のCTTE組成物の構造(A-[A/B])-X-([B/A]-A)又は(A-[A/B])n-Xは、[A/B]-X-[B/A]中間ブロック又は[A/B]n-X中間ブロックを含み、[A/B]-X-[B/A]中間ブロック又は[A/B]n-X中間ブロックは、2~40重量%のモノビニル芳香族モノマーA及び60~98重量%の共役ジエンモノマーBを含む、請求項35に記載の接着剤組成物。
【請求項40】
(a)粘着付与樹脂、可塑剤、溶媒、カップリング剤、架橋剤、光開始剤、及び酸化防止剤からなる群から選択される少なくとも1つの添加剤、及び
(b)カウンターテーパード熱可塑性エラストマー(CTTE)組成物
を含む接着剤組成物であって、CTTE組成物は、接着剤組成物中に0.5~50重量%で含まれ、CTTE組成物は、
(1)少なくとも1種の共役ジエンモノマーBの単位及び少なくとも1種のモノビニル芳香族モノマーAの単位を含むカウンターテーパードジブロックA-[A/B]コポリマーであって、
前記ジブロックコポリマーは、20,000~250,000のピーク分子量を有し、
モノビニル芳香族ホモポリマーブロックAは、少なくとも8,000のピーク分子量を有し、
[A/B]ブロックはカウンターテーパードとなっており、
[A/B]は、前記ジブロックコポリマー中の共役ジエン単位の量に基づいて少なくとも15重量パーセントのビニル含有量を有し、
ここで、前記カウンターテーパードとは、[A/B]ブロックにおけるAに対するBの比が、Aブロックから遠い位置におけるAに対するBの比に対して、Aブロックに近い方が低いことを意味する、カウンターテーパードジブロックA-[A/B]コポリマー、及び
(2)少なくとも2つの前記カウンターテーパードジブロックA-[A/B]コポリマーを含むブロックコポリマーであって、
前記ブロックコポリマーは、少なくとも2つのモノビニル芳香族ホモポリマーブロックA、及びモノビニル芳香族モノマー単位と共役ジエンモノマー単位との少なくとも1つのコポリマーブロックを有し、
前記コポリマーブロックは、前記カウンターテーパードジブロックコポリマーのピーク分子量の少なくとも1.5倍のピーク分子量を有する線形トリブロックコポリマー、前記カウンターテーパードジブロックコポリマーのピーク分子量の少なくとも2.5倍のピーク分子量を有するマルチアームカップリングブロックコポリマー、及びそれらの混合物からなる群から選択されるものであるブロックコポリマー
を含む、接着剤組成物。
【請求項41】
CTTE組成物において、(1):(2)の比が1:5~5:1である、請求項40に記載の接着剤組成物。
【請求項42】
前記ジブロックコポリマー中の共役ジエンモノマーBの量は55重量%を超える、請求項40又は41に記載の接着剤組成物。
【請求項43】
CTTE組成物中のモノビニル芳香族モノマー単位Aの量が、10~48重量%である、請求項42に記載の接着剤組成物。
【請求項44】
CTTE組成物中のビニル含有量が、CTTE組成物中の共役ジエン単位Bの総量に基づいて、15~90重量%である、請求項43に記載の接着剤組成物。
【請求項45】
カウンターテーパードジブロックA-[A/B]コポリマーの[A/B]ブロックは、2~40重量%のモノビニル芳香族モノマーA及び60~98重量%の共役ジエンモノマーBを含む、請求項40に記載の接着剤組成物。
【請求項46】
20~40重量%の請求項35で定義される第1及び第2のCTTE組成物又は請求項40で定義されるCTTE組成物を含む、請求項35又は40に記載の接着剤組成物。
【請求項47】
130℃での溶融粘度が20,000cP未満であり、150℃での溶融粘度が7,000cP未満であり、180℃での溶融粘度が2,500cP未満である、請求項35又は40に記載の接着剤組成物。
【請求項48】
R&B軟化点温度が90℃を超える、請求項35又は40に記載の接着剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カウンターテーパード熱可塑性エラストマー、ポリマーを含む補強材料、及びその補強材料で作られた物品に関する。
【背景技術】
【0002】
アニオン重合は、エラストマーを製造するための周知の技法である。一般的にアニオン重合プロセスで作られている市販ポリマーとしては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、及びスチレン-ジエンゴム等のエラストマー、並びにサイズ及びブロック数が様々な、スチレン、ブタジエン、及び/又はイソプレンのブロックブロックコポリマー等の熱可塑性エラストマーが挙げられる。
【0003】
アニオン重合により調製されるポリマーの中でも、共役ジエン及びモノビニル芳香族モノマーのテーパードジブロックコポリマー等の、市販のスチレン-ジエンゴムは、多数の応用におけるその加工性能及びその独特な特性のため、長期にわたって商業的重要性を有している。高硬度、低収縮性、及び高耐摩耗性等の機械的特性と組み合わされた高い押出適性及び優れた流動性等の特殊な加工特徴は、多くの高生産性応用にとって望ましいポリマー特性バランスである。また、様々なマクロ及びマイクロ構造を有する、スチレン、ブタジエン、及び/又はイソプレンのトリブロックコポリマー等(SBn、SBS、SIS、SIBS等)の市販の熱可塑性エラストマーは、多くの応用におけるその補強性能及びその熱可塑性挙動のため、広範に使用されている。
【0004】
アニオン重合により調製されたポリマーは、タイヤ及び他の産業用エラストマー、接着剤、シーラント剤、及びコーティング剤として、それら自体が有用であり得る。加えて、アニオン重合により調製されたポリマーは、アスファルト、プラスチック、及びゴム等の種々の材料の特徴を改質するために使用することができる。例えば、アニオン重合により調製されたポリマーは、アスファルトの相溶化剤及び補強剤として使用することができる。しかしながら、アニオン重合により調製された多くのスチレン/ブタジエン系ポリマーは、相溶性が不十分であり、舗装及び屋根材に応用するためのアスファルトの補強には、成果が限定的である。スチレン/ブタジエン系ポリマーは、線形及び非線形の両方とも、アスファルトの補強に広く使用されているが、アニオン重合により調製されたポリマーの、アスファルト調製物中での分散性、及びその結果生じるポリマー改質アスファルト配合物の形態安定性に関連する問題は、最終的には、道路舗装の場合の性能等級PG及び屋根材への適用の場合の高温特性及び低温特性等の、改質アスファルトの保管及び長期性能に負の影響を及ぼす。同様の問題が、アニオン重合ポリマーを、テープ及びラベル、接触、並びに噴霧に応用するための、圧力感受性及び非圧力感受性ホットメルト及び溶媒系接着剤に使用する場合に生じる。
【0005】
アニオン重合により調製されたポリマーは、それらの意図されている応用のための特徴を向上させるために改質することができる。長年にわたって、多くの改質経路が開発されている。最も一般的な改質経路としては、以下のものが挙げられる:分子量;分子量分布;モノマー組成;ジエンマイクロ構造;モノマー配列長分布;立体化学;モノマー添加順序及び配列;多官能性種とリビングアニオンとの反応による鎖カップリングで、線形、放射状、櫛型、アーム様、分岐、又は超分岐構造を有するポリマーを合成すること;及び上記改質の組合せ。より洗練された改質経路としては、以下のものが挙げられる:末端キャッピング反応又は官能性開始剤により化学官能性を導入すること;多官能性開始剤による重合で、線形、放射状、櫛型、アーム様、分岐、又は超分岐構造を有するポリマーを直接合成すること;残留二重結合の水素添加;及び上記改質の組合せ。
【0006】
しかしながら、多くの応用において加工性と補強性能とのバランスを向上させるような様式で、テーパードジブロックコポリマーの独特な加工特性を、トリブロックコポリマーの熱可塑性挙動と組み合わせることは、更に非常に望ましい。更に、典型的にはポリマー特徴の中でも損なわれてしまう上記市販ポリマーの最良の特性を組み合わせるために、エラストマー組成物を開発し、それら組成物を調製するためのアニオン重合による経路を見出すことが望ましい。したがって、アニオン重合によりポリマーを調製して、より加工性がよく、分散性であり、アスファルト、接着剤、及びシーラント剤成分を含む幅広く様々な材料及び他の基材と相溶性であり、道路舗装、屋根材、屋根板、防水膜、接着テープ及びラベル、接触及び噴霧接着剤、並びにシーラント剤等の幅広い範囲の応用の補強要件を満たすのに好適であるエラストマー組成物を生産するための方法を開発することが望ましいであろう。
【0007】
本明細書では、驚くべきことに、種々のアスファルト、接着剤、及びシーラント剤に応用するための加工性と補強性能とのより良好なバランスが達成された新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物を見出した。新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物は、上記で言及されている応用に、短い分散時間、より高い相溶性、低い混合温度、低い粘性、優れた保管安定性等の易加工性利点と、高い弾性応答、広範な性能等級、高い接着性、より高い充填材負荷能力、優れた密着強度及び剪断抵抗、並びに高温特性と低温特性とのより良好な妥協等のより良好な補強利点とを提供する。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物、ポリマーを生産する方法、上記ポリマーを含むポリマー配合物及び混合物、上記ポリマーを含む補強材料、並びに上記補強材料で作られた物品を提供する。
【0009】
本発明の1つの態様は、共役ジエンモノマー(B)及びモノビニル芳香族モノマー(A)で作られている新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物を提供する。新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物は、(a)カウンターテーパードジブロックA-[A/B]コポリマー、及び(b)線形トリブロックコポリマー、マルチアームカップリングブロックコポリマー、及びそれらの混合物からなる群から選択されるブロックコポリマーを有し、(c)カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物中の(a)対(b)の比が、約1:5から約5:1までであることを特徴とする。新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物は、種々のアスファルト、接着剤、及びシーラント剤に応用するための、加工性と補強性能とのより良好なバランスを達成する。新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物は、上記で言及されている応用に、短い分散時間、より高い相溶性、低い混合温度、低い粘性、優れた保管安定性等の易加工性利点と、高い弾性応答、広範な性能等級、高い接着性、より高い充填材負荷能力、優れた密着強度及び剪断抵抗、並びに高温特性と低温特性とのより良好な妥協等のより良好な補強利点とを提供する。こうした加工性及び補強性利点により、新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物は、道路舗装、屋根材、屋根板、防水膜、接着テープ及びラベル、接触及び噴霧接着剤、並びにシーラント剤等の幅広い範囲の応用の要件を好適に満たす。
【0010】
本発明による新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物は、
(a)少なくとも1種の共役ジエンモノマー及び少なくとも1種のモノビニル芳香族モノマーを含むカウンターテーパードジブロックA-[A/B]コポリマーであり、上記ジブロックコポリマーが、20,000から250,000までのピーク分子量、少なくとも8,000のピーク分子量を有するモノビニル芳香族ホモポリマーブロックA、及び上記ジブロックコポリマー中の共役ジエン単位の量に基づいて少なくとも15重量パーセントのビニル含有量を有するカウンターテーパードコポリマーブロック[A/B]を有することにより更に特徴付けられるカウンターテーパードジブロックA-[A/B]コポリマー;及び
(b)少なくとも1種の共役ジエンモノマー及び少なくとも1種のモノビニル芳香族モノマーを含むブロックコポリマーであり、上記ブロックコポリマーが、モノビニル芳香族モノマーの少なくとも2つのホモポリマーブロック、並びにモノビニル芳香族モノマー及び共役ジエンモノマーの少なくとも1つのコポリマーブロックを有することにより更に特徴付けられ、上記ブロックコポリマーが、(a)に記載されているカウンターテーパードジブロックコポリマーのピーク分子量の少なくとも約1.5倍のピーク分子量を有する線形トリブロックコポリマー、(a)に記載されているカウンターテーパードジブロックコポリマーのピーク分子量の少なくとも約2.5倍のピーク分子量を有するマルチアームカップリングブロックコポリマー、及びそれらの混合物からなる群から選択され、各ブロックコポリマーが、少なくとも8,000のピーク分子量を有するモノビニル芳香族ホモポリマーブロックA、及び上記ブロックコポリマー中の共役ジエン単位の量に基づいて少なくとも15重量パーセントのビニル含有量を有するカウンターテーパードコポリマーブロック[A/B]を有するブロックコポリマーを含み、
(c)上記カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物中の(a)対(b)の比は、約1:5から約5:1までである。
【0011】
本発明による新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物は、
(a)上記カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物の重量平均分子量が、約30,000から約500,000g/molまでであること;
(b)上記カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物中のモノビニル芳香族モノマーの総量が、約10重量パーセントから約55重量パーセントまでであること;及び
(c)総ビニル構成含有量が、上記カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物中の共役ジエンの総量に基づいて、約15重量パーセントから約90重量パーセントまでであることにより特徴付けられる。
【0012】
本発明の別の態様は、カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物を製作する方法であって、好適な極性調節剤又は極性調節剤の組合せの存在下かつアニオン重合条件下で少なくとも1種の共役ジエンモノマー及び少なくとも1種のモノビニル芳香族モノマーを反応させること;並びに
(a)少なくとも1種の共役ジエンモノマー及び少なくとも1種のモノビニル芳香族モノマーを含むカウンターテーパードジブロックA-[A/B]コポリマーであり、上記ジブロックコポリマーが、20,000から250,000までのピーク分子量、少なくとも8,000のピーク分子量を有するモノビニル芳香族ホモポリマーブロックA、及び上記ジブロックコポリマー中の共役ジエン単位の量に基づいて少なくとも15重量パーセントのビニル含有量を有するカウンターテーパードコポリマーブロック[A/B]を有することにより更に特徴付けられるカウンターテーパードジブロックA-[A/B]コポリマー;及び
(b)少なくとも1種の共役ジエンモノマー及び少なくとも1種のモノビニル芳香族モノマーを含むブロックコポリマーであり、上記ブロックコポリマーが、モノビニル芳香族モノマーの少なくとも2つのホモポリマーブロック、並びにモノビニル芳香族モノマー及び共役ジエンモノマーの少なくとも1つのコポリマーブロックを有することにより更に特徴付けられ、上記ブロックコポリマーが、(a)に記載されているカウンターテーパードジブロックコポリマーのピーク分子量の少なくとも約1.5倍のピーク分子量を有する線形トリブロックコポリマー、(a)に記載されているカウンターテーパードジブロックコポリマーのピーク分子量の少なくとも約2.5倍のピーク分子量を有するマルチアームカップリングブロックコポリマー、及びそれらの混合物からなる群から選択され、各ブロックコポリマーが、少なくとも8,000のピーク分子量を有するモノビニル芳香族ホモポリマーブロックA、及び上記ブロックコポリマー中の共役ジエン単位の量に基づいて少なくとも15重量パーセントのビニル含有量を有するカウンターテーパードコポリマーブロック[A/B]を有するブロックコポリマーを含み、
(c)上記カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物中の(a)対(b)の比が、約1:5から約5:1までである本発明の組成物を形成することを含む方法を提供する。
【0013】
本発明の更なる実施形態は、カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物を製作する方法であって、溶媒、極性調節剤又は極性調節剤の組合せ、及びモノビニル芳香族モノマーを反応器に添加して、初期反応混合物を形成し、上記初期反応混合物中の上記極性調節剤の量が10重量%未満であること;有機リチウム開始剤化合物を上記反応器に添加し、上記モノマーをアニオン重合して、少なくとも8,000のピーク分子量を有するモノビニル芳香族ホモポリマーブロックAを形成すること;追加のモノビニル芳香族モノマーを添加し、同時に、所定の時間にわたる所定の投入速度での共役ジエンモノマーの反応器への投入を開始し、共重合させて、ジブロックコポリマー中の共役ジエン単位の量に基づいて少なくとも15重量パーセントのビニル含有量を有するカウンターテーパードコポリマーブロック[A/B]を形成し、20,000~250,000のピーク分子量を有するカウンターテーパードジブロックA-[A/B]コポリマーを得ること;及びカップリング剤又はカップリング剤の組合せを添加して、上記カウンターテーパードジブロックA-[A/B]コポリマーを部分的にカップリングして、線形トリブロックコポリマー、マルチアームカップリングブロックコポリマー、又はそれらの混合物のいずれかであるブロックコポリマーを形成することを含み、上記溶媒、上記極性調節剤、上記共役ジエンモノマー、及び上記モノビニル芳香族モノマーが、総反応混合物を構成しており、上記極性調節剤の量が、上記総反応混合物の5重量%未満であり、上記線形トリブロックコポリマーのピーク分子量が、上記カウンターテーパードジブロックA-[A/B]コポリマーのピーク分子量の少なくとも約1.5倍であり、上記マルチアームカップリングブロックコポリマーのピーク分子量が、上記カウンターテーパードジブロックA-[A/B]のピーク分子量の少なくとも約2.5倍であり、上記カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物中の上記カウンターテーパードジブロックA-[A/B]コポリマー対上記ブロックコポリマーの比が、約1:5から約5:1までである方法である。
【0014】
本発明の他の態様は、新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物で作られた組成物及び物品、新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物と、補強しようとする材料との混合物で作られた補強材料、及びその補強材料で作られた物品を提供する。本発明の他の態様は、新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物、及び特定の基材との接着性が増強された他のブロックコポリマーとの配合物、及び接着性が増強された材料で作られた物品を提供する。新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物は、種々のアスファルト、接着剤、及びシーラント剤に応用するための、加工性と補強性能とのより良好なバランスを達成する。新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物は、上記で言及されている応用に、短い分散時間、より高い相溶性、低い混合温度、低い粘性、優れた保管安定性等の易加工性利点と、高い弾性応答、広範な性能等級、高い接着性、より高い充填材負荷能力、優れた密着強度及び剪断抵抗、並びに高温特性と低温特性とのより良好な妥協等のより良好な補強利点とを提供する。こうした加工性及び補強性利点により、新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物は、道路舗装、屋根材、屋根板、防水膜、接着テープ及びラベル、接触及び噴霧接着剤、並びにシーラント剤等の幅広い範囲の応用の要件を好適に満たす。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】(A-[A/B])nカウンターテーパード熱可塑性エラストマーCTTE14の[A/B]中間ブロックのモノマー分布を示す図である。
図2】カウンターテーパード熱可塑性エラストマーCTTE16の[A/B]中間ブロックのモノマー分布を示す図である。
図3】本発明のカウンターテーパード熱可塑性エラストマーCTTE14及びCTTE16の[A/B]中間ブロックのモノマー分布を比較した図である。
図4】本発明のカウンターテーパード熱可塑性エラストマーCTTE17及びCTTE19の[A/B]中間ブロックのモノマー分布を比較した図である。
図5】本発明のCTTE20、37、及び38の[A/B]中間ブロック、並びにCD1及びCD2の比較[B/A]対照分布中間ブロック例のモノマー分布を比較した図である。
図6】2.3重量%のポリマーを用いて調製した幾つかのポリマー改質アスファルト(PMA)を、190℃での混合処理全体にわたってモニターした20×蛍光顕微鏡画像を示す図である。各矢印は、種々のPMA混合物で完全なポリマー分散が観察された際の混合時間に対応する画像を指す。PMA中でのCTTEプロトタイプDyne143Aの分散性能が、市販ポリマーのPMA混合物と比較されている。これは、実施例7に記載されている。
図7】6重量%のポリマーを用いて調製した幾つかのポリマー改質アスファルト(PMA)を、190℃での混合処理全体にわたってモニターした20×蛍光顕微鏡画像を示す図である。各矢印は、種々のPMA混合物で完全なポリマー分散が観察された際の混合時間に対応する画像を指す。PMA中でのCTTEプロトタイプDyne143Aの分散性能が、市販ポリマーのPMA混合物と比較されている。これは、実施例7に記載されている。
図8】2.3重量%のポリマーを用いて調製し、様々な温度(170~190℃)での混合処理全体にわたってモニターした幾つかのポリマー改質アスファルト(PMA)の最大性能等級(AASHTO基準PG)温度を示す図である。生産(混合)時間を増加させた場合のCTTEプロトタイプDyne143Aの破壊温度が、市販ポリマーのPMA混合物と比較されている。これは、実施例7に記載されている。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物、ポリマーを生産する方法、上記ポリマーを含むポリマー配合物及び混合物、上記ポリマーを含む補強材料、並びに上記補強材料で作られた物品を提供する。
【0017】
本発明の1つの態様は、共役ジエンモノマー(B)及びモノビニル芳香族モノマー(A)で作られている新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物を提供する。新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物は、(a)カウンターテーパードジブロックA-[A/B]コポリマー、並びに(b)線形トリブロックコポリマー、マルチアームカップリングブロックコポリマー、及びそれらの混合物からなる群から選択されるブロックコポリマーを有し、(c)上記カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物中の(a)対(b)の比が、約1:5から約5:1までであることを特徴とする。新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物は、種々のアスファルト、接着剤、及びシーラント剤に応用するための、加工性と補強性能とのより良好なバランスを達成する。新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物は、上記で言及されている応用に、短い分散時間、低い混合温度、低い粘性、優れた保管安定性等の易加工性利点と、高い弾性応答、広範な性能等級、高い接着性、より高い充填材負荷能力、及び高温特性と低温特性とのより良好な妥協等のより良好な補強利点とを提供する。こうした加工性及び補強性利点により、新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物は、道路舗装、屋根材、屋根板、防水膜、接着テープ及びラベル、接触及び噴霧接着剤、並びにシーラント剤等の幅広い範囲の応用の要件を好適に満たす。
【0018】
本発明による新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物は、
(a)少なくとも1種の共役ジエンモノマー及び少なくとも1種のモノビニル芳香族モノマーを含むカウンターテーパードジブロックA-[A/B]コポリマーであり、上記ジブロックコポリマーが、20,000から250,000までのピーク分子量、少なくとも8,000のピーク分子量を有するモノビニル芳香族ホモポリマーブロックA、及び上記ジブロックコポリマー中の共役ジエン単位の量に基づいて少なくとも15重量パーセントのビニル含有量を有するカウンターテーパードコポリマーブロック[A/B]を有することにより更に特徴付けられるカウンターテーパードジブロックA-[A/B]コポリマー;及び
(b)少なくとも1種の共役ジエンモノマー及び少なくとも1種のモノビニル芳香族モノマーを含むブロックコポリマーであり、上記ブロックコポリマーが、モノビニル芳香族モノマーの少なくとも2つのホモポリマーブロック、並びにモノビニル芳香族モノマー及び共役ジエンモノマーの少なくとも1つのコポリマーブロックを有することにより更に特徴付けられ、上記ブロックコポリマーが、(a)に記載されているカウンターテーパードジブロックコポリマーのピーク分子量の少なくとも約1.5倍のピーク分子量を有する線形トリブロックコポリマー、(a)に記載されているカウンターテーパードジブロックコポリマーのピーク分子量の少なくとも約2.5倍のピーク分子量を有するマルチアームカップリングブロックコポリマー、及びそれらの混合物からなる群から選択され、各ブロックコポリマーが、少なくとも8,000のピーク分子量を有するモノビニル芳香族ホモポリマーブロックA、及び上記ブロックコポリマー中の共役ジエン単位の量に基づいて少なくとも15重量パーセントのビニル含有量を有するカウンターテーパードコポリマーブロック[A/B]を有するブロックコポリマーを含み、
(c)上記カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物中の(a)対(b)の比が、約1:5から約5:1までである。
【0019】
本発明による新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物は、
(a)上記カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物の重量平均分子量が、約30,000から約500,000g/molまでであること、
(b)上記カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物中のモノビニル芳香族モノマーの総量が、約10重量パーセントから約55重量パーセントまでであること、及び
(c)総ビニル構成含有量が、上記カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物中の共役ジエンの総量に基づいて、約15重量パーセントから約90重量パーセントまでであることにより特徴付けられる。
【0020】
アニオン重合により調製されるポリマーとしては、熱可塑性、弾性、及び熱可塑性-弾性ポリマーが挙げられる。ポリマーは、テーパード、ランダム、及びブロックコポリマーを含むホモポリマー又はコポリマーであってもよい。アニオン重合により調製されるポリマーの中でも、共役ジエン及びモノビニル芳香族モノマーのテーパードジブロックコポリマーは、多数の応用におけるその性能及びその独特な特性のため、長期にわたって商業的重要性を有している。高硬度、低収縮性、及び高耐摩耗性等の機械的特性と組み合わされた高い押出適性及び優れた流動性等の特殊な加工特徴は、多くの高生産性応用にとって望ましいポリマー特性バランスである。また、様々なマクロ及びマイクロ構造を有する、スチレン、ブタジエン、及び/又はイソプレンのトリブロックコポリマー等(SBn、SBS、SIS、SIBS等)の市販の熱可塑性エラストマーは、多くの応用におけるその補強性能及びその熱可塑性挙動のため、広範に使用されている。しかしながら、多くの応用において加工性と補強性能とのバランスを向上させるような様式で、テーパードジブロックコポリマーの独特な加工特性をトリブロックコポリマーの熱可塑性挙動と組み合わせることは、更に非常に望ましい。
【0021】
極性添加剤の非存在下の炭化水素溶媒中での、共役ジエン及びモノビニル芳香族モノマーのアルキルリチウム開始共重合は、コポリマー鎖に沿った組成異質性を有する興味深いタイプの構造を産出する。これは、一般的には、テーパード、漸次、勾配ジブロックコポリマー構造として知られている。共役ジエン(1)及びモノビニル芳香族(2)モノマーに対応するカルバニオン鎖末端の安定性が同様であるにも関わらず、モノマー反応性比間には、比較的大きな違い(つまり、r>10及びr<0.1)が観察される。モノビニル芳香族モノマーの単独重合が、共役ジエンモノマーよりも迅速であることが観察されることとは反対に、共重合の初期段階では、それほど反応性ではない共役ジエンモノマーが、ほぼ消費され尽くされるまで優先的にコポリマー鎖に組み込まれ、組成が徐々に変化するジエン豊富なテーパードブロックBが形成され、その後、最終段階では、モノビニル芳香族モノマーのほとんどが、末端ポリスチレンブロックAを形成する。
【0022】
B-(B/A)-A
更に、極性添加剤の非存在下の炭化水素溶媒での共重合中に、組成が突然に変化する小さな急激で急峻な界面相-(B/A)-が形成される特徴的な中間段階が生じ、この界面相は、2つの大きなAブロック及びBブロック間のコポリマー鎖内の移行部として作用する。この小さな界面相の存在は、テーパードジブロックコポリマーの融解粘度が、同じ組成及び分子量の純粋なジブロックコポリマーよりも低いことに起因し、鎖内及び鎖間反発を弱め、非類似性隣接ブロック間の混合を増強する。上記条件下での共役ジエン及びモノビニル芳香族モノマーのアルキルリチウム開始共重合は、主にモノマー反応性比の違いが大きいことにより、モノマー単位がランダムに配置される傾向を示すように(つまり、r=約0.5)統計的に挙動し、ブロックB及び界面相-(B/A)-は両方とも、瞬間的な相対的モノマー濃度に正依存する、コポリマー鎖に沿った組成変動を示す。したがって、初期の比較的低い濃度のモノビニル芳香族モノマーは、ほとんどランダムに及び主に単離された芳香族単位として、ジエン豊富なテーパードブロックBに組み込まれる。これに反して、中間の比較的高い濃度のモノビニル芳香族モノマーは、迅速に芳香族豊富セグメントになるはずである長い芳香族配列として、残留単離ジエン単位と共に、小さな急激で急峻な界面相-(B/A)-へと統計的に及び主に組み込まれる。
【0023】
極性添加剤の非存在下でのアルキルリチウムによる共役ジエン及びモノビニル芳香族モノマーの共重合は、典型的には、低ビニル構成含有量(1,2-ジエンマイクロ構造)を有するテーパードジブロックコポリマーをもたらす。極性添加剤は、アルキルリチウム開始剤による共役ジエン及びモノビニル芳香族モノマーの共重合中、ランダム化剤及びマイクロ構造調節剤として同時に作用する。モノマー反応性比間の比較的大きな違いは、極性添加剤濃度が増加すると共に減少し、それにより、共重合挙動が、統計的なものからランダムなものへと徐々に変化し、モノマー配列長分布が、テーパードジブロックからランダムジブロックへと、次いで完全にランダムなコポリマー構造へと変換する。このランダム化効果には、典型的には、ビニル構成含有量を増加させる対応する改質効果が伴う。両効果とも極性添加剤濃度に正依存し、更に改質効果は重合温度に逆依存するが、各効果の範囲及び具体的な挙動は、極性添加剤のタイプ及び具体的な特性に特に依存する。極性添加剤を組み合わせて、幾つかの障害を克服し、モノマー配列長分布及び/又は1,2-ジエンマイクロ構造に対する相乗又は所望の差別化効果を得ることが可能である。
【0024】
モノマー添加順序、重合配列、供給速度、及び供給組成;極性添加剤の組合せ、タイプ、濃度、添加順序、及び供給速度;重合温度挙動及び条件;並びに相対的ブロックサイズ及び分子量を制御することにより、新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物の設計を、本発明による特徴及び特色を含むように、つまり(a)カウンターテーパードジブロックA-[A/B]コポリマー;及び(b)線形トリブロックコポリマー、マルチアームカップリングブロックコポリマー、及びそれらの混合物からなる群から選択されるブロックコポリマーを含み、(c)カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物中の(a)対(b)の比が、約1:5から約5:1までであるように調整することができる。こうした設計特徴は、アスファルト、接着剤、及びシーラント剤成分、ゴム、並びにプラスチックを含む、幅広く様々な材料及び他の基剤との配合物中で、所望の応用総合性能を達成するのに好適な特質である。所望の応用総合性能は、低溶融粘度、高分散性、高相溶性、高混和性、及び/又は高接着性、並びに良好な弾性及び熱可塑性特性等の、最大化された加工特性間のバランスである。本発明の新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物が良好に適している具体的な応用としては、アスファルト補強剤、改質剤、及び形態安定化剤が挙げられる。他の好適な応用としては、相溶化剤、粘性調節剤、流動調節剤、加工助剤、レオロジー制御剤、並びにプラスチック並びにプラスチック配合物及び混合物及び複合材の衝撃調節剤としての使用が挙げられる。また、新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物は、典型的な接着剤及びシーラント剤への適用に有用な極性基剤との最適な接着性を有する、高度に加工可能な接着剤を提供するために、調整された特徴を有するように設計することができる。新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物は、種々のアスファルト、接着剤、及びシーラント剤に応用するための、加工性と補強性能とのより良好なバランスを達成する。新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物は、上記で言及されている応用に、短い分散時間、低い混合温度、低い粘性、優れた保管安定性等の易加工性利点と、高い弾性応答、広範な性能等級、高い接着性、より高い充填材負荷能力、及び高温特性と低温特性とのより良好な妥協等のより良好な補強利点とを提供する。こうした加工性及び補強性利点により、新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物は、道路舗装、屋根材、屋根板、防水膜、接着テープ及びラベル、接触及び噴霧接着剤、並びにシーラント剤等の幅広い範囲の応用の要件を好適に満たす。
【0025】
本発明の別の態様は、カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物を製作する方法であって、好適な極性調節剤又は極性調節剤の組合せの存在下かつアニオン重合条件下で少なくとも1種の共役ジエンモノマー及び少なくとも1種のモノビニル芳香族モノマーを反応させること;並びに
(a)少なくとも1種の共役ジエンモノマー及び少なくとも1種のモノビニル芳香族モノマーを含むカウンターテーパードジブロックA-[A/B]コポリマーであり、上記ジブロックコポリマーが、20,000から250,000までのピーク分子量、少なくとも8,000のピーク分子量を有するモノビニル芳香族ホモポリマーブロックA、及び上記ジブロックコポリマー中の共役ジエン単位の量に基づいて少なくとも15重量パーセントのビニル含有量を有するカウンターテーパードコポリマーブロック[A/B]を有することにより更に特徴付けられるカウンターテーパードジブロックA-[A/B]コポリマー;及び
(b)少なくとも1種の共役ジエンモノマー及び少なくとも1種のモノビニル芳香族モノマーを含むブロックコポリマーであり、上記ブロックコポリマーが、モノビニル芳香族モノマーの少なくとも2つのホモポリマーブロック、並びにモノビニル芳香族モノマー及び共役ジエンモノマーの少なくとも1つのコポリマーブロックを有することにより更に特徴付けられ、上記ブロックコポリマーが、(a)に記載されているカウンターテーパードジブロックコポリマーのピーク分子量の少なくとも約1.5倍のピーク分子量を有する線形トリブロックコポリマー、(a)に記載されているカウンターテーパードジブロックコポリマーのピーク分子量の少なくとも約2.5倍のピーク分子量を有するマルチアームカップリングブロックコポリマー、及びそれらの混合物からなる群から選択され、各ブロックコポリマーが、少なくとも8,000のピーク分子量を有するモノビニル芳香族ホモポリマーブロックA、及び上記ブロックコポリマー中の共役ジエン単位の量に基づいて少なくとも15重量パーセントのビニル含有量を有するカウンターテーパードコポリマーブロック[A/B]を有するブロックコポリマーを含み、
(c)上記カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物中の(a)対(b)の比が、約1:5から約5:1までである本発明の組成物を形成することを含む方法を提供する。
【0026】
本発明の更なる実施形態は、カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物を製作する方法であって、溶媒、極性調節剤又は極性調節剤の組合せ、及びモノビニル芳香族モノマーを反応器に添加して、初期反応混合物を形成し、上記初期反応混合物中の上記極性調節剤の量が10重量%未満であること;有機リチウム開始剤化合物を上記反応器に添加し、上記モノマーをアニオン重合して、少なくとも8,000のピーク分子量を有するモノビニル芳香族ホモポリマーブロックAを形成すること;追加のモノビニル芳香族モノマーを添加し、同時に、所定の時間にわたる所定の投入速度での共役ジエンモノマーの反応器への投入を開始し、共重合させて、上記ジブロックコポリマー中の共役ジエン単位の量に基づいて少なくとも15重量パーセントのビニル含有量を有するカウンターテーパードコポリマーブロック[A/B]を形成し、20,000から250,000までのピーク分子量を有するカウンターテーパードジブロックA-[A/B]コポリマーを得ること;及びカップリング剤又はカップリング剤の組合せを添加して、上記カウンターテーパードジブロックA-[A/B]コポリマーを部分的にカップリングして、線形トリブロックコポリマー、マルチアームカップリングブロックコポリマー、又はそれらの混合物のいずれかであるブロックコポリマーを形成することを含み、上記溶媒、上記極性調節剤、上記共役ジエンモノマー、及び上記モノビニル芳香族モノマーが、総反応混合物を構成し、上記極性調節剤の量が、上記総反応混合物の5重量%未満であり、上記線形トリブロックコポリマーのピーク分子量が、上記カウンターテーパードジブロックA-[A/B]コポリマーのピーク分子量の少なくとも約1.5倍であり、上記マルチアームカップリングブロックコポリマーのピーク分子量が、上記カウンターテーパードジブロックA-[A/B]コポリマーのピーク分子量の少なくとも約2.5倍であり、上記カウンターテーパードジブロックA-[A/B]コポリマー対上記ブロックコポリマーの比が、上記カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物中で約1:5から約5:1までである方法を提供する。
【0027】
また、本発明は、新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物を調製する方法であって、好適な極性添加剤又は極性添加剤の組合せの存在下かつアニオン重合条件下で少なくとも1種の共役ジエンモノマー(B)及び少なくとも1種のモノビニル芳香族モノマー(A)を、カウンターテーパードジブロックコポリマーA-[A/B]が形成されるように反応させるステップ、及びその後、好適なカップリング剤を添加して、熱可塑性挙動を示すブロックコポリマーを形成し、最終的にカウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物を得るステップを含む方法を提供する。したがって、本発明の好ましい実施形態では、カウンターテーパードジブロックA-[A/B]コポリマーを逐次的に重合して、所望のカウンターテーパードコポリマーブロック[A/B]のサイズ、組成、及びマイクロ構造を独立して操作する。操作には、そのモノビニル芳香族モノマー配列長及び共役ジエンモノマービニル分布(1,2-ジエンマイクロ構造)を制御することが含まれる。また、逐次重合により、モノビニル芳香族ホモポリマーAの相対的サイズ、及びコポリマー中のブロックの相対的順序を調整することが可能になり、したがって、所望のカウンターテーパードジブロックA-[A/B]コポリマーを形成するために、モノビニル芳香族ホモポリマーブロックAを、まず、カウンターテーパードコポリマーブロック[A/B]に隣接するように重合する。
【0028】
カウンターテーパードコポリマーブロック[A/B]のモノビニル芳香族モノマー配列長及び共役ジエンモノマービニル分布は、重合の温度プロファイルを制御することにより操作することができる。この重合ステップは、予め確立されている滞留時間にわたって等温モードで、又はピーク温度まで疑似断熱モードでのいずれかで進行させることができる。等温モードを使用すると、コポリマー鎖に沿って均一なビニル分布を操作し、極性添加剤の添加量及び重合混合物の温度設定に関して最大化されたビニル含有量を達成することができ、結果的に、モノビニル芳香族モノマー配列長は、その瞬間の相対的モノマー濃度のみに依存する。疑似断熱のモードを使用すると、コポリマー鎖に沿ってビニル分布勾配を操作することができるため、モノビニル芳香族モノマー配列長は、その瞬間の相対的モノマー濃度だけでなく、実際の温度プロファイルにも依存する。ビニル分布勾配は、制御された温度プロファイルだけでなく、重合混合物の初期及び最終温度にも依存する。カウンターテーパードコポリマーブロック[A/B]は、所望のテーパー組成、並びに流動を増加させること及び融解粘度を低減させることにより加工特徴の最大化に寄与する制御されたビニル分布を調整するように、並びに所望の応用で使用される材料、成分、及び/又は基剤との相溶性を最適化するように操作される。
【0029】
本発明の別の実施形態では、カウンターテーパードコポリマーブロック[A/B]は、少なくとも1種の共役ジエンモノマー(B)及び少なくとも1種のモノビニル芳香族モノマー(A)の統計的分布コポリマーブロックであり、統計的分布とは、モノマー単位の配列分布が、既知の統計的法則に従うことを意味する。カウンターテーパードコポリマーブロック[A/B]は、組成が徐々に変化するマイクロ構造を有し、それは、重合混合物に添加される好適な極性添加剤の量、及び温度プロファイルに主に依存する。その代わりに又はそれと共に、カウンターテーパードコポリマーブロック[A/B]は、モノビニル芳香族モノマーの重合中に、共役ジエンモノマーを、制御された供給速度で重合混合物に添加することにより調製することができる。所定の時間にわたる所定の投入速度での共役ジエンモノマーの反応器への投与は、その瞬間の相対的モノマー濃度を制御するような様式で実施される。この重合ステップは、予め確立されている滞留時間にわたって等温モードで、又はピーク温度まで疑似断熱モードでのいずれかで進行させることができる。カウンターテーパードコポリマーブロック[A/B]は、極性添加剤の非存在下での共重合に典型的な小さな界面相-(B/A)-に対して拡大される。拡大されたカウンターテーパードコポリマーブロック[A/B]は、隣接するモノビニル芳香族ホモポリマーブロックAに対するその相対的サイズを調整して、反発の最少化、相溶性の最大化、界面混合の促進、並びに靭性及び破壊強度の向上に寄与するように操作される。最適なカウンターテーパードコポリマーブロック[A/B]は、カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物に組み込まれているものであり、加工性と補強性能との最良のバランスを各応用に提供する。当業者であれば、これら異なるカウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物の特徴、特性、及び適用可能性に違いがあることを理解する。
【0030】
本発明の更なる実施形態では、各Aブロックは、少なくとも1種のモノビニル芳香族モノマーのモノビニル芳香族ホモポリマーブロックである。各Aブロックは、カウンターテーパードコポリマーブロック[A/B]に対する相対的サイズを調整して、所望の応用性能の達成に寄与するように操作される。
【0031】
本発明で使用される新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物は、典型的には、約30,000から約500,000g/molまでの重量平均分子量を有する。この範囲は、好ましくは少なくとも約8,000g/molのピーク平均分子量を有するモノビニル芳香族ホモポリマーブロックA、好ましくは約20,000から250,000g/molまでのピーク平均分子量を有するカウンターテーパードジブロックA-[A/B]コポリマー、及び好ましくは約40,000から750,000g/molまでのピーク平均分子量を有するマルチアームカップリングブロックコポリマーを含む。本開示の全体にわたって、引用されている分子量は、線形ポリスチレン標準物質を用いて、ASTM D 3536に基づき、ゲル浸透クロマトグラフィーを使用して測定される。カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物中のビニル芳香族モノマーの組成は、好ましくは約10から約85重量パーセントまで、より好ましくは約10から約70重量パーセントまで、及び更により好ましくは約10から55重量パーセントまでの範囲である。新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物のビニル構成含有量は、カウンターテーパードコポリマーブロック[A/B]中の共役ジエンモノマーの総量に基づいて、好ましくは約15から約90重量パーセントまで、より好ましくは約15から約85の重量パーセントまで、及び更により好ましくは約15から80重量パーセントまでの範囲であってもよい。本発明は、好ましい分子量、組成、及びビニル構成範囲内に入るカウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物に限定されない。
【0032】
アニオン重合性モノマーから製作することができるカウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物の例としては、これらに限定されないが、ブロックのサイズ及び数が様々な、スチレン(S)、ブタジエン(B)、及び/又はイソプレン(I)のブロックコポリマー又はターポリマーから製作されるエラストマー及び熱可塑性エラストマーが挙げられる。そのようなエラストマー及び熱可塑性エラストマーの例としては、以下のものが挙げられる:S-[B/S]m、S-[B/S]m-S、S-[B/S]m-X-[S/B]m-S、S-[I/S]m、S-[I/S]m-S、S-[I/S]m-X-[S/I]m-S、S-[B/I/S]m、S-[B/I/S]m-S、S-[B/I/S]m-X-[S/I/B]m-S、(S-[B/S]m)n-X、(S-[I/S]m)n-X、(S-[B/I/S]m)n-X(式中、mは、整数であり、Xは、カップリング剤又は多官能性開始剤のいずれかの残分であり、nは、2から約30までの整数である)、これらは、カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物、並びにそれらの水素化された、選択的に水素化された、及び部分的に水素化された相当物を得るために、単独で又は配合物中で使用することができる。
【0033】
新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物は、カップリング剤及び/又は多官能性開始剤を用いた、原位置での部分的カップリング及び/又は部分的開始により得られるポリマー配合物であってもよく、又は完全なカップリング及び/又は完全な開始により得られるマルチアーム、分岐、又は放射状ポリマーと、別々に調製したジブロックコポリマーとのポリマー配合物であってもよい。カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物は、本発明のカウンターテーパードジブロックA-[A/B]コポリマーの重合終了時に、好適な量のカップリング剤を添加して、所望の(A-[A/B])n-X線形トリブロック及び/又はマルチアームカップリングブロックコポリマーを形成することにより原位置で調製された配合物であってもよい。部分的なカップリングは、リビングポリマーに対するカップリング剤の理論混合比を制御することにより達成される。また、カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物は、アルキルリチウム等の典型的な単官能性開始剤と組み合わせて好適な多官能性開始剤を使用して、本発明のカウンターテーパードジブロック[A/B]-Aコポリマーの重合を開始させ、所望のX-([A/B]-A)n線形トリブロック及び/又はマルチアームカップリングブロックコポリマーを形成することにより原位置で調製した配合物であってもよい。部分的な開始は、単官能性開始剤に対する多官能性開始剤の理論混合比を制御することにより達成される。本発明で使用される新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物は、開始剤又はカップリング剤の1分子当たり、2から30個までのアニオン重合ポリマー鎖(アーム)を有していてもよい。これら分岐及び放射状の線形トリブロック及びマルチアームカップリングブロックコポリマーは、約40,000から約750,000g/molまでのピーク平均分子量を有していてもよい。これは、好ましくは約30,000から500,000g/molまでの重量平均分子量を有するカウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物を含む。新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物の幾つかの実施形態では、ビニル芳香族モノマーの組成は、好ましくは約10から約85重量パーセントまで、より好ましくは約10から約70重量パーセントまで、更により好ましくは約10から55重量パーセントまでの範囲である。新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物のビニル構成含有量は、カウンターテーパードコポリマーブロック[A/B]中の共役ジエンモノマーの総量に基づいて、好ましくは約15から約90重量パーセントまで、より好ましくは約15から約85重量パーセントまで、更により好ましくは約15から80重量パーセントまでの範囲であってもよい。本発明は、好ましい分子量、組成、及びビニル構成範囲内に入るカウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物に限定されない。
【0034】
アニオン重合ポリマーは、米国特許第3,281,383号明細書及び第3,753,936号明細書に記載されているもの等の、当技術分野で公知の任意の好適な方法により製作することができる。これら文献は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。こうした方法では、アニオン重合ポリマーは、アニオン重合性モノマーを、開始剤としての有機リチウム化合物と接触させることにより製作される。こうした化合物の好ましいクラスは、式RLiにより表すことができ、式中、Rは、1~20個の炭素原子を含む脂肪族、脂環式、及び芳香族ラジカルからなる群から選択される炭化水素ラジカルであるが、より高分子量の開始剤を使用することができる。多くのアニオン重合開始剤が周知であり、市販されている。ブチルリチウム等の単官能性有機リチウム化合物は、一般的に用いられている開始剤の例である。こうした開始剤の具体的な例としては、以下のものが挙げられる:メチルリチウム、エチルリチウム、tert-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、n-ブチルリチウム、n-デシルリチウム、イソプロピルリチウム、エイコシルリチウム、シクロヘキシルリチウム等のシクロアルキルリチウム化合物、及びフェニルリチウム、ナフチルリチウム、p-トルイルリチウム、1,1-ジフェニルヘキシルリチウム等のアリールリチウム化合物等。保護極性官能基で置換された単官能性有機リチウム化合物も、アニオン重合の開始剤として使用することができる。
【0035】
開始剤の量は、アニオン重合ポリマーの所望の分子量に応じて様々である。100/(モノマーのMW)の係数で補正されたモノマーの1モル当たり約0.28~5.0ミリモルのRLi開始剤を添加することにより、約20,000~350,000の数平均分子量を得ることができる。
【0036】
また、多官能性有機リチウム開始剤を開始剤として使用して、1開始剤分子当たり2~約30個のアニオン重合ポリマー鎖(アーム)の所望の官能性範囲を有する分岐及び放射状の線形トリブロック又はマルチアームブロックコポリマーを調製してもよい。多官能性有機リチウム開始剤は、1,3-ジイソプロペニルベンゼン、1,3,5-トリイソプロペニルベンゼン、1,3-bis(1-フェニルエテニル)ベンゼン,1,3,5-tris(1-フェニルエテニル)ベンゼン、1,3-ジビニルベンゼン、及び1,3,5-トリビニルベンゼン等のポリビニル化合物に対する、化学論量の単官能性有機リチウム化合物の直接付加反応により容易に調製される。オリゴマーポリビニル化合物を使用して、高官能性を有する多官能性有機リチウム開始剤を調製することができる。ブチルリチウム等の単官能性有機リチウム化合物は、上記の付加反応に一般的に用いられる開始剤の例である。こうした一般的に使用される開始剤の具体的な例としては、tert-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、及びn-ブチルリチウムが挙げられる。また、保護極性官能基で置換された単官能性有機リチウム化合物を使用して、多官能性有機リチウム開始剤を調製してもよい。多官能性有機リチウム化合物は、互いに及び/又は単官能性有機リチウム化合物と組み合わせて、多官能性有機リチウム化合物によるアニオン重合を部分的に開始してもよい。部分的な開始は、単官能性開始剤に対する多官能性開始剤の理論混合比を制御することにより達成される。
【0037】
アニオン重合は、典型的には、重合反応の早期終了を防止するために、高度に精製された試薬を用いて、真空下又は不活性雰囲気下で比較的低温にて不活性炭化水素溶媒中で実施される。アニオン重合反応は、様々な有機溶媒中で生じさせることができる。好適な溶媒の例としては、これらに限定されないが、以下のものが挙げられる:ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、ベンゼン、ナフタレン、トルエン、キシレン、メチルエーテル、メチルエチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、及びそれらの混合物。特に、シクロヘキサンが、アニオン重合の溶媒としての使用に良好に適している。
【0038】
アニオン重合は、通常、-100℃から150℃まで、好ましくは-75℃~75℃の範囲の温度で実施される。通常、50~90重量%、好ましくは70~85%の反応溶媒を使用して、反応帯内部の粘性を制御する。アニオン重合の典型的な滞留時間は、反応温度及び開始剤レベルに応じて、0.1~5時間、好ましくは0.2から2時間までと様々である。
【0039】
当技術分野で公知であり、本発明のカウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物を調製するために使用することができる極性添加剤は、エーテル及び三級アミン等のルイス塩基、及びIa族アルカリ金属アルコキシド、及びそれらの組合せである。これら好適なエーテル極性添加剤の具体的な例としては、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチルメチルエーテル、エチルプロピルエーテル、ジ-n-プロピルエーテル、テトラメチレンオキシド(テトラヒドロフラン)、1,2-ジメトキシエタン、bis-テトラヒドロフラン、ジテトラヒドロフラニルプロパン(DTHFP)等の単官能性、多官能性、及びオリゴマーアルキル及び環状エーテル、並びにそれらの組合せ等が挙げられる。これら好適な三級アミン極性添加剤の具体的な例としては、ジメチルエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、N,N,N’,N’,N’’-ペンタメチルジエチルトリアミン等の、単官能性、多官能性、及びオリゴマーアルキル及び環状第三アミン、並びにそれらの組合せ等が挙げられる。これら好適なIa族アルカリ金属アルコキシド(リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、及びセシウム塩)の具体的な例としては、ナトリウムtert-ブトキシド、ナトリウムtert-アミラート、ナトリウムメントラート、カリウムtert-ブトキシド、カリウムtert-アミラート、カリウムメントラート等の、単官能性、多官能性、及びオリゴマーアルキル及び環状金属アルコキシド、並びにそれらの組合せ等が挙げられる。
【0040】
好適な極性添加剤の量は、総反応混合物の0.0005~50重量パーセントの範囲にあり、好ましくは総反応混合物の0.0005~10.0重量パーセントの範囲である。より好ましい範囲は、総反応混合物の約0.0005~約5.0重量%である。最も好ましいルイス塩基は、TMEDA、THF、及びDTHFPである。より好ましい組合せは、2つのルイス塩基(つまり、1つのエーテル及び1つの三級アミン)を組み合わせたものである。好ましい組合せは、2つのアルカリ金属アルコキシド(例えば、リチウム及びナトリウム、リチウム及びカリウム)を組み合わせたものである。極性添加剤又は極性添加剤の組合せの好ましい濃度は、1つ又は複数の極性添加剤のタイプ、並びにカウンターテーパードコポリマーブロック[A/B]の所望のモノマー配列長分布、マイクロ構造、及び特性に依存する。所望の特性は、次いで、カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物の意図されている応用に依存することになる。
【0041】
本発明のカウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物の構築に使用される好適な共役ジエンとしては、これらに限定されないが、以下のものが挙げられる:1,3-ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン、メチルペンタジエン、フェニルブタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2,4-ヘキサジエン、1,3-ヘキサジエン、1,3-シクロヘキサジエン、3,4-ジメチル-1,3-ヘキサジエン、1,3-オクタジエン、4,5-ジエチル-1,3-オクタジエン、及びそれらの組合せ。
【0042】
本発明の新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物の構築に使用される好適なモノビニル芳香族モノマーとしては、これらに限定されないが、以下のものが挙げられる:3-メチルスチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、α,4-ジメチルスチレン、t-ブチルスチレン、o-クロロスチレン、2-ブテニルナフタレン、4-t-ブトキシスチレン、3-イソプロペニルビフェニル、4-ビニルピリジン、2-ビニルピリジン、及びイソプロペニルナフタレン、4-n-プロピルスチレン等のスチレン及びスチレン誘導体、並びにそれらの組合せ。
【0043】
本明細書で提供される方法の幾つかの実施形態では、新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物は、完全な又は部分的なカップリングを起こし、分岐及び放射状の線形トリブロック又はマルチアームブロックコポリマーが調製される。部分的なカップリングは、総リビングアニオン重合ポリマー鎖末端の一部が、カップリング剤とのカップリングを起こすことを意味する。カップリング剤は、望ましくは、2~30個のアニオン重合ポリマー鎖(アーム)をカップリングするが、より多数の鎖をカップリングすることが可能なカップリング剤も使用することができる。完全な又は部分的なカップリングステップで使用される好適なカップリング剤としては、これらに限定されないが、以下のものが挙げられる:ハロゲン化スズ、ハロゲン化ケイ素、官能化スズ化合物、シラン化合物等の官能化ケイ素化合物、及び米国特許第7,517,934号明細書に列挙されているもの等の官能化オリゴマー化合物。米国特許第7,517,934号明細書の開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。四塩化ケイ素及び四塩化スズが、好適なカップリング剤の具体的な例であり、四塩化ケイ素が、本応用に特に良好に適している。部分的なカップリングは、リビングポリマーに対するカップリング剤の理論混合比を制御することにより達成される。部分的なカップリングは、所望の特性を有するポリマー配合物を提供することができる。
【0044】
マグネシウム、亜鉛、及びアルミニウムを含む、IIa族、IIb族、及びIIIa族に由来する異なる金属の有機金属化合物を、アルキルリチウム開始剤と混合すると、重合速度調節剤として使用することができる。好適な重合速度調節剤の具体的な例は、ジブチルマグネシウム、ジエチル亜鉛、トリエチルアルミニウム、及びそれらの組合せである。重合速度調節剤を使用して、重合の温度プロファイルを制御することができる。重合速度調節剤は、予め確立されている滞留時間にわたって等温モードでの、又はピーク温度まで疑似断熱モードでのいずれかでの重合ステップの制御に寄与する。
【0045】
本明細書で提供される方法の幾つかの実施形態では、新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物は、バッチプロセスで、プログラムされたバッチプロセスで、及び/又は半バッチプロセスで重合される。当業者であれば認識するように、カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物の記載されている合成は、記載の滞留時間及び化学量論条件に到達するのに必要な温度、溶媒比、及び流動流速で実施されるプロセスを含む反応設定で生じ得る。
【0046】
応用
本発明の他の態様は、新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物で作られた組成物及び物品、新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物と補強しようとする材料との混合物で作られた補強材料、及びその補強材料で作られた物品を提供する。本発明の他の態様は、新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物、及び特定の基剤との接着性が増強された他のブロックコポリマーとの配合物、及び接着性が増強された材料で作られた物品を提供する。新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物は、種々のアスファルト、接着剤、及びシーラント剤に応用するための、加工性と補強性能とのより良好なバランスを達成する。新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物は、上記で言及されている応用に、短い分散時間、低い混合温度、低い粘性、優れた保管安定性等の易加工性利点と、高い弾性応答、広範な性能等級、高い接着性、より高い充填材負荷能力、及び高温特性と低温特性とのより良好な妥協等のより良好な補強利点とを提供する。こうした加工性及び補強性利点により、新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物は、道路舗装、屋根材、屋根板、防水膜、接着テープ及びラベル、接触及び噴霧接着剤、並びにシーラント剤等の幅広い範囲の応用の要件を好適に満たす。
【0047】
所望の商業的応用の中でも、本明細書で提供される新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物の幾つかは、圧力感受性接着剤、非圧力感受性接着剤、ホットメルト接着剤、ホットメルト及び溶媒系マスチック、及びシーラント剤を含む、接着剤及びシーラント剤としての使用に良好に適している。また、カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物は、アスファルト及びポリマー配合物中の相溶化剤又は補強剤として使用するために設計されていてもよい。本明細書で提供される相溶化剤又は補強剤から利益を得ることができるアスファルトとしては、道路舗装、屋根材、及びシーラント剤への適用に一般的に使用されるものが挙げられる。舗装への適用としては、道路工事用のアスファルトコンクリートを製作するために使用されるアスファルトセメント/結合剤の補強、並びにチップシーリング、再シーリング、再舗装、及び再利用を含む、道路修復、補修、維持用の材料の改質が挙げられる。屋根材への適用としては、屋根板の補強、並びに屋根防水加工、補修、及び維持用の材料の改質が挙げられる。また、あるタイプのカウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物は、ゴム及びプラスチックの補強剤、粘性調節剤、流動調節剤、加工助剤、及び衝撃調節剤として使用することができる。カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物から利益を得ることができるプラスチックのタイプは、無極性プラスチックである。無極性プラスチックとしては、これらに限定されないが、ポリオレフィン、ポリスチレン、及びそれらのコポリマーが挙げられる。
【0048】
当業者であれば認識するように、カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物の最適な特徴及び特性は、意図されている応用に依存するであろう。カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物の幾つかの例示的な応用を、下記に提供する。これら応用は、説明のために提供されているに過ぎず、本発明の範囲を限定することは意図されていない。
【0049】
アスファルト補強
高分子量エラストマーによるアスファルト改質は、典型的には、未改質アスファルト結合剤よりも向上された性能を有する改質アスファルト結合剤を調製するために使用される。ポリマーを添加することで向上されるアスファルト産物の性能特性は、a)低温での柔軟性;b)高温での流動及び変形に対する耐性;c)温度感受性;d)引張り強度;e)高温での剛性係数;f)アスファルト骨材接着性;g)表面磨耗に対する耐性である。ポリマーによる改質から利益を得るアスファルト産物は、舗装結合剤、シールコート、幹線道路継手シーラント剤、防水膜、コーティング剤、パイプラインマスチック、及びパイプラインラッピングテープ等である。
【0050】
高分子量ポリマーは、アスファルトと不混和性である傾向を有するため、モノビニル芳香族及び共役ジエンモノマーに基づくエラストマーによるアスファルト改質は、相安定性が限定的であるため困難である。相安定性が限定的であることにより、アスファルト産物の性能特性に負の影響を及ぼすアスファルト-ポリマー分離がもたらされる。相安定性は、典型的には、アスファルト-ポリマー配合物の架橋、又はポリマーとアスファルトとの相溶性の増加のいずれかにより向上されてきた。また、高分子量ポリマーは、アスファルト-ポリマー配合物の融解粘度を著しく増加させることにより、改質アスファルト結合剤の加工特徴に有害な影響を及ぼす。従来技術のポリマー組成物及び/又は構造の改質は、加工特徴を向上させ、アスファルト-ポリマー配合物のコストを削減するために使用されているが、性能特性の改質は好ましくないことが多い。
【0051】
本発明者らは、本明細書で提供されるカウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物をアスファルトに添加することにより、従来技術のコポリマーで調合した改質アスファルトと比較して、改質アスファルトの性能特性を損なわずに、加工特徴が最大化されることを発見した。本発明のカウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物は、より低い融解粘度及び高い流動性;分散性及び相溶性の増加;より高い配合安定性;並びに良好な弾性及び熱可塑性特性を有するアスファルト配合物を提供する。また、本発明のカウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物は、相溶化剤又は補強剤として使用することができることを発見した。本明細書で提供される相溶化剤又は補強剤から利益を得ることができるアスファルトとしては、道路舗装、屋根材、及びシーラント剤への適用に一般的に使用されるものが挙げられる。舗装への適用としては、道路工事用のアスファルトコンクリートを製作するために使用されるアスファルトセメント/結合剤の補強、並びにチップシーリング、再シーリング、再舗装、及び再利用を含む、道路修復、補修、及び維持用の材料の改質が挙げられる。屋根材への適用としては、屋根板の補強、並びに屋根防水加工、補修、及び維持用の材料の改質が挙げられる。
【0052】
また、本発明者らは、本発明のカウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物で以前に改質されているアスファルトのエマルジョンは、道路修復、補修、及び維持に使用すると、骨材粒子へのアスファルト付着を向上させることを発見した。また、本明細書で提供される相溶化剤又は補強剤を、市販のブロックコポリマーに封入又は配合して、改質アスファルト配合物の相安定性及び加工特徴を向上させることができることを発見した。
【0053】
アメリカ合衆国等の国々では、改質アスファルトは、アスファルトを性能等級(PG)に従って等級化する米運輸交通担当者協会(AASHTO)の基準に従って評価されている。米国材料試験協会(ASTM)の基準も、アスファルト評価に使用されている。評価される改質アスファルト特性の中には、以下のものがある。
【0054】
a)環球式軟化点(RBSP)。これは、ASTM D 36に準拠して測定することができ、アスファルトが柔化し、目的応用に不適となる温度を示す。軟化点又は温度は、R&B装置としても知られている環球装置を使用して得られる。
【0055】
b)25℃での貫通性。これは、改質アスファルトの剛性と関連するパラメータである。貫通性は、ASTM D5に準じて、荷重されている針又はコーンが、設定期間中にアスファルトを沈下する距離として測定される。
【0056】
c)ブルックフィールド粘性。これはアスファルトの安定定常流に関連する特性である。ブルックフィールド粘性は、ASTM D4402に準じて測定することができる。
d)レジリエンスは、アスファルト材料の弾性の尺度となる特性である。レジリエンスは、ASTM D 113に準じて測定することができる。
【0057】
e)わだち掘れ係数(rutting factor):種々の温度におけるG/sinδ(式中、Gは、複素弾性率であり、δは位相角である)は、高温における改質アスファルトの性能を決定するために有用である。この係数は、舗装が高温での繰返荷重により経時的に、又は舗装が当初の設計で許容されている最大値よりも非常に大きな負荷に曝された際に生じる場合がある恒久的な変形に対してどの程度耐性であるかを示す。したがって、高温でのわだち掘れ係数値がより高いことは、アスファルトが、同じ試験温度でのわだち掘れ係数値がより低い材料よりも、より大きな変形に耐えることができることを示す。わだち掘れ係数は、AASHTO TP5に準じて測定することができる。
【0058】
f)上限温度。わだち掘れ係数を決定することにより、AASHTO基準に準拠して上限温度を決定することが可能である。上限温度は、アスファルトが、わだち掘れに抵抗するための適切な剛性を保持することができる最高温度に関する。
【0059】
g)下限温度。わだち掘れ係数を決定することにより、AASHTO基準に準拠して下限温度を決定することが可能である。下限温度は、アスファルトが、熱亀裂に抵抗する適切な柔軟性を保持することができる最低温度に関する。
【0060】
h)相分離は、前述した問題のため、エラストマーでアスファルトを改質する際の重要な要因である。相分離インデックスは、調合したアスファルトを含む密閉管の内部で製作し、撹拌せずに垂直に配置して163℃で48時間老化させ、30℃で凝固させた円柱状プローブの最上部表面及び底部表面で測定されるTRBSP間の差異パーセントとして測定される。TRBSPの差異パーセントは、アスファルト/ポリマー配合物中のアスファルト豊富な相とポリマー豊富な相との相溶性の尺度を提供する。
【0061】
補強アスファルトを使用することができる2つの具体的な応用は、道路舗装への適用及び屋根材/防水コーティング剤への適用である。補強アスファルトが道路舗装への適用に使用される幾つかの場合では、0.5~8部の、好ましくは2~5部の本発明のカウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物を、99.5~92部の、好ましくは98~95部のアスファルトと混合して、その性能特性を向上させることができる。補強アスファルトが屋根材又は防水コーティング剤への適用に使用される幾つかの場合では、3~25部の、好ましくは6~16部の本発明のカウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物を、97~75部の、好ましくは94~84部のアスファルトに混合して、その性能特性を向上させることができる。本発明のカウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物と共に使用するのに好適なアスファルトとしては、これらに限定されないが、以下のものが挙げられる:PG64-22アスファルト、又は天然岩石アスファルト、レーキアスファルト、石油アスファルト、エアブローンアスファルト(air-blown asphalt)、クラックドアスファルト(cracked asphalt)、及び残渣アスファルト(residual asphalt)等の、道路舗装及び屋根材への適用に広く使用されている他のアスファルト。
【0062】
本発明のある実施態様では、本明細書で提供されるカウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物を用いて調製されるアスファルト調合物の粘性が非常に低いことは、アスファルトへの分散向上に寄与することの他に、ポンプ送液能力を向上させることにより、及び/又はそれを施すために必要なエネルギーを減少させることにより、改質アスファルト配合物の加工、取り扱い、及び施行も容易にする。これは、重要なコスト削減であること及びより環境に優しいプロセスであることも意味する。本発明のカウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物で改質されたアスファルトの軟化点温度が高いことは、高温での流動及び変形に対する、更に良好な耐性を提供するはずである。驚くべきことに、本発明のカウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物で改質され、低ポリマー含有量で調合されたアスファルトは、従来技術の市販ポリマーで改質されたアスファルトと比較して、同様の性能特性(TRBSP)及びより低い粘性を提供する。これは、重要なコスト削減であること及び省エネルギープロセスであることも意味する。
【0063】
本発明のある実施態様では、本明細書で提供されるカウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物は、アスファルト組成物に、以下の特性の1つ又は複数を付与する:a)わだち掘れ係数又は動的剪断剛性(G/sinδ)が1.0KPaの値(AASHTO TP5に準じて測定)をとる温度として測定される、約50~100℃の最大適用温度;b)約40~110℃のTRBSP(ASTM D36に準じて測定);c)道路舗装への適用の場合は約30~75dmmの、屋根材及び防水コーティング剤への適用の場合は約50~100の、25℃でのアスファルト貫通性(ASTM D5に準ずる);及びd)道路舗装への適用の場合は、約500~3000cP及び望ましくは1000~2000cPの、135℃での動粘度、又は屋根材及び防水コーティング剤への適用の場合は、約1000~6000cP及び望ましくは1500~4000cP(ASTM D4402に準拠)の、190℃での動粘度。
【0064】
接着剤、シーラント剤、及びコーティング剤
高分子量エラストマーは、典型的には、密着力、及び接着特性と密着特性との間の各応用毎の適切なバランスを提供するように、接着剤、シーラント剤、及びコーティング剤として有用な配合物に調合される。モノビニル芳香族及び共役ジエンモノマーに基づくエラストマーは、圧力感受性接着剤、噴霧及び接触接着剤、パネル及び建築マスチック、シーラント剤、並びにコーティング剤として広範に使用されている。イソプレン含有エラストマーは、低コストで容易に粘着付与することができるため、ホットメルト圧力感受性接着剤に好ましい。ブタジエン含有エラストマーは、剛性及び密着力を提供することができるため、一般的に建築用又は積層用接着剤に好ましい。これらエラストマーの水素化型は、耐候性がより高いため、シーラント剤に好ましい。接着剤、シーラント剤、及びコーティング剤製品とエラストマーとの調合を成功させるために必要な性能特性は、以下の通りである:a)エラストマーとの粘着付与樹脂相溶性;b)密着力及び剪断抵抗のための連続的エラストマー相形態;c)粘着性発現及びエネルギー散逸のための柔軟で低モジュラス性のエラストマー;d)エラストマーの弾性相のガラス転移温度(Tg)を上昇させて、歪エネルギーの散逸を増加させる好適な粘着付与樹脂。
【0065】
従来技術の高分子量ポリマーは、こうした配合物の融解及び溶液粘性を著しく増加させることにより、接着剤、シーラント剤、及びコーティング剤調合物の加工特徴に有害な影響を及ぼす。従来技術のポリマー組成物及び/又は構造の改質は、加工特徴を向上させ、接着剤、シーラント剤、及びコーティング剤に応用するための調合物のコストを削減するために使用されているが、性能特性の改質は好ましくないことが多い。所望の商業的応用の中でも、本明細書で提供される新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物の幾つかは、圧力感受性接着剤、非圧力感受性接着剤、ホットメルト接着剤、ホットメルト及び溶媒系マスチック、シーラント剤、並びにコーティング剤を含む、接着剤、シーラント剤、及びコーティング剤としての使用に良好に適している。低溶融粘性及び低溶液粘性の発現は、圧力感受性接着剤、ホットメルト接着剤、及び溶媒系接着剤にとって特に重要である。本発明者らは、新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物を添加すると、接着剤、シーラント剤、及びコーティング剤製品の所望の性能特性に著しく影響を及ぼすことなく、調合物に優れた加工特徴が提供されることを発見した。注目すべきことには、これら新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマーで調製されたホットメルト圧力感受性接着剤は、種々の樹脂とのより高い相溶性、及び優れた密着力、及び非常に高い剪断抵抗を示す。また、本明細書で提供される相溶化剤又は補強剤を、市販のブロックコポリマーに封入及び配合して、接着剤配合物の相安定性及び加工特徴を向上させることができることを発見した。
【0066】
幾つかのそのような応用では、約10~40、望ましくは15~30、より望ましくは18~25重量部の新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物、又は市販のブロックコポリマーとのその混合物を、粘着付与樹脂、可塑剤、カップリング剤、架橋剤、光開始剤、充填剤、加工助剤、安定化剤、及び酸化防止剤等の他の従来の接着剤調合物成分/添加剤と混合して、そのような組成物に、好適な対照としての従来技術のエラストマーで調合された接着剤と比較して、向上された特性を付与する。好適な粘着付与剤の例としては、ポリマーと相溶性である高い及び低い軟化点を有する樹脂が挙げられる。そうした樹脂としては、水素化樹脂、ロジンエステル、ポリテルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、インデン-クマロン樹脂、及び脂肪族炭化水素樹脂が挙げられる。幾つかの例示的な実施形態では、組成物中の粘着付与樹脂の量は、約40から65重量%までの範囲である。一般的には伸展油として知られている可塑剤としては、鉱油、パラフィン系油、及びナフテン系油が挙げられる。幾つかの例示的な実施形態では、組成物中の可塑剤の量は、約15から35重量%までの範囲である。熱プロセス及びUV酸化プロセスを阻害するために酸化防止剤を使用してもよく、典型的には、約0.05~3重量%の量で接着剤組成物に添加される。酸化防止剤の例としては、フェノール化合物、亜リン酸エステル、アミン、及びチオ化合物が挙げられる。市販の接着剤成分/添加剤の幾つかの例は、下記の表Aに列挙されている。
【0067】
【表1-1】
【0068】
【表1-2】
【0069】
以下の例を参照して、本発明を更に説明するが、そうした例は、説明のために提示されているに過ぎず、本発明の範囲を限定することは意図されていない。
実施例
実施例1
カウンターテーパード熱可塑性エラストマー(CTTE)の調製
実施例1では、幾つかの新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー(CTTE1~19)を、本発明で特許請求されている方法に従って調製した。ポリマーCTTE1~14及び17は、(A-[A/B])n-Xブロックコポリマーであり、カップリング前のA-[A/B]ジブロックは、ポリスチレンブロック(PS)であるモノビニル芳香族ホモポリマーブロックAブロック、及びスチレン/ブタジエンコポリマーブロックであるカウンターテーパードコポリマーブロック[A/B]からなり、カップリング後は、スチレン単位豊富な末端領域及びブタジエン単位豊富な中央領域を有する[A/B]-X-[B/A]中間ブロックを形成した。CTTE15、16、18、及び19は、カップリング前の中間ブロックコポリマー鎖のモノマー分布を例示するために、スチレン/ブタジエンのカウンターテーパードコポリマーブロック[A/B]のみを用いて調製されたポリマーであった。
【0070】
新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー(CTTE)組成物を、GPC、H NMR、及びDSC法により特徴解析して、以下を決定した:線形ジブロック及びカップリングモードのピーク平均分子量(Mp)、重量平均分子量(Mw)、及びジブロックカップリング率(Diblock to Coupled Ratio)等の分子量平均及び分子量分布特徴;総スチレン、ブロックスチレン、及びビニルA/Bブロック含有量等のマイクロ構造特徴;並びにA/Bカウンターテーパードコポリマーブロックのガラス転移温度(Tg)。加えて、KRATON Polymers U.S.LLC社及びBeningらによる、2003年9月18日に公開された米国特許出願公開第2003/0176582A1号明細書に記載のCalc.Mid PSC及びCalc.Mid Blockyのような、ポリマー中間又は「B」ブロックを特徴付けるために使用される方法に従って、中間ブロックスチレン及び中間ブロックブロッキネス(Blockiness)の計算を実施した。表1~2には、分析的特徴解析結果が示されており、表3には、CTTE1~19の重合条件が示されている。下記には、これら新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー(CTTE)を調製し、スチレン/ブタジエン[S/B]カウンターテーパードコポリマーブロックに好適な極性調節剤及びランダム化剤としてのジテトラヒドロフラニルプロパン(DTHFP)の存在下での、1,3-ブタジエン(B)及びスチレン(S)のアニオン共重合におけるモノマー分布を制御するために使用した基本手順が説明されている。下記の表3で重合条件に使用された略語は、以下のように定義される:CHx=シクロヘキサン;STY=スチレン;及びBD=1,3ブタジエン。新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマーCTTE1~14及び17の場合、四塩化ケイ素(SiCl)をカップリング剤として使用した。
【0071】
本発明の新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー(CTTE1~19)組成物を、本発明の教示に従って不活性窒素雰囲気下にてバッチ及び/又は半バッチモードで操作した5.3リットル反応器系で調製した。反応器系への添加直前に、アルミナ及びモレキュラーシーブを充填した1セットのカラムに流すことにより、溶媒及びモノマーを徹底的に精製して、それらの水分含量を最大でも5ppmに減少させた。第1の重合ステップでは、適正量の精製した溶媒(CHx)を反応器に投入し、約60から約65℃までの初期反応温度(Ti)に加熱した。Tiに到達したら、ジテトラヒドロフラニルプロパン(DTHFP)等の好適な極性調節剤(ランダム化剤)を反応器に添加し、その後、総モノマー混合物の約0から約17.5重量%までのモノビニル芳香族モノマーの第1の添加分(第1のSTY)を添加した。CTTE15、16、18、及び19の場合、単離されたスチレン/ブタジエンカウンターテーパードコポリマーブロックを調製し、中間ブロックスチレン、中間ブロックブロッキネス、及び[A/B]カウンターテーパードコポリマーブロックのコポリマー鎖に沿ったモノマー分布を、CTTE1~14及び17中のモノビニル芳香族ホモポリマーブロックA(PSブロック)との干渉を除去するために必要な計算を行わずにH NMRにより直接的に分析するために、スチレンモノマーの第1の添加を行わなかった。このNMR分析は、共重合全体にわたって分割量を採取し、その後NMR特徴解析を実施することにより可能であった。この反応混合物を、Tiで安定化させた後、好適な溶媒溶液中のn-ブチルリチウム又は別の好適な開始剤を、少なくともリビングポリスチレンブロックのアニオン重合を効率的に開始するのに必要な量の極性調節剤を含む反応器混合物に直接添加した。開始剤の量は、所望の分子量を有する個々のブロックを形成し、残留不純物を補うために、文献に記載のように化学量的に計算した。その後、この第1の重合ステップを、完全転換まで断熱的に進行させ、約10,000の目標値のピーク平均分子量Mpを有するモノビニル芳香族ホモポリマーブロックAを形成した。
【0072】
第2の重合ステップでは、両モノマーの添加を同時に開始し、総モノマー混合物の約7.5~約9.1重量%の第2のモノビニル芳香族モノマー添加分(第2のSTY)を、約1分間の所定の投入時間にわたって指定の投入速度で、反応器に迅速に投入し、総モノマー混合物の約75.0~約90.9重量%の共役ジエンモノマー(BD)添加分を、約4分から約11分間までの所定の投入時間にわたって指定の投入速度で反応器にゆっくりと投入した。これらモノマーの添加は、プログラムされたバッチ及び/又は半バッチモードで実施し、極性調節剤(ランダム化剤)の量を、コポリマー鎖に沿った組成及びビニルマイクロ構造(1,2-付加)が徐々に変化する統計的に分布したテーパードS/Bコポリマーブロックの形成を促進するために、総反応混合物の約0.002から約0.013重量%までに調整した。その後、この第2の重合ステップを完全転換まで断熱的に進行させ、最終ピーク温度(Tp)を約100から約105℃までに増加させ、それにより、カウンターテーパードコポリマー[A/B]ブロックを形成し、したがって、約104,000から約122,000までの目標値のピーク平均分子量Mpを有するリビングカウンターテーパードA-[A/B]ジブロックコポリマーを得た。
【0073】
最後に、総反応混合物の約0.003から約0.008までの十分な量の四塩化ケイ素(SiCl)等の好適なカップリング剤を反応器に添加し、リビングカウンターテーパードA-[A/B]ジブロックコポリマーを部分的にカップリングして、カップリングされていない線形ジブロックA-[A/B]の、カップリングされた放射状の本発明の(A-[A/B])n-Xカウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物に対する所望の比率を得た。式中、Xは、カップリング反応プロセスの残留部分(Si)である。残りのリビングポリマー鎖は、最終反応混合物に、化学論量よりも10mol%過剰量の好適なアルコールを添加することにより終結させた。
【0074】
表1及び2には、新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物CTTE1~19の分析的特徴解析結果が示されている。平均分子量(Mp及びMw)は全て、単位が1000(k)で示されており、GPCによりポリスチレン標準物質に換算して算出した。CTTE1~14及び17のモノビニル芳香族ホモポリマーブロックA又はポリスチレンブロックのピーク平均分子量Mpは、約9.5から約11kg/molまでであった。CTTE1~14及び17のA-[A/B]ジブロックコポリマー又はS-[S/B]スチレン-ブタジエンジブロックコポリマーのピーク平均分子量Mpは、約104から約122kg/molまでである。CTTE15、16、18、及び19の[A/B]カウンターテーパードコポリマー又は[S/B]スチレン-ブタジエンコポリマーのピーク平均分子量Mpは、約94から約108kg/molまでである。CTTE1~14及び17の、カップリングされた放射状(A-[A/B])n-XのMpの、カップリングされていない線形ジブロックA-[A/B]のMpに対する比は、約3.3から約3.5までである。CTTE1~14及び17の重量平均分子量Mwは、約178から約267kg/molまでである。CTTE1~14及び17の、カップリングされていない線形ジブロックA-[A/B]の、カップリングされた放射状(A-[A/B])n-Xに対する比は、約0.6から約2.8までである。これは、GPC面積から決定したカップリング効率である。CTTE1~19のビニル[A/B]ブロック含有量は、総ブタジエン単位に基づいて約13.7から約33.0重量%までである。CTTE6、9、及び14~19の[A/B]カウンターテーパードコポリマーブロックのガラス転移温度は、約-82.0~約-71.9℃までである。CTTE1~14及び17について、以下の含有量をNMRにより決定した:総コポリマーに基づく総スチレンは、約23.2から約25.4重量%までであり;総スチレン単位に基づくブロックスチレンは、約68.8から約83.6重量%までであり;中間ブロックコポリマーに基づく中間ブロックスチレンは、約7.9から約10.7重量%までであり、中間ブロックスチレン単位に基づく中間ブロックブロッキネスは、約12.1から約55.1重量%までである。
【0075】
図1、2、3、及び4には、本発明のカウンターテーパードブロックコポリマーCTTE14、16、17、及び19のカップリング前の[A/B]中間ブロックセグメントのモノマー分布が示されている。これは、共重合全体にわたって分割量を採取し、その後NMR特徴解析を実施することにより可能であった。CTTE16及び19の場合、スチレン/ブタジエンカウンターテーパードコポリマーブロックを単離するために、及び[A/B]中間ブロックセグメントのコポリマー鎖に沿ったモノマー分布を、CTTE14及び17中のモノビニル芳香族ホモポリマーブロックA(PSブロック)を差し引くために必要な計算を行わずにH NMRにより直接的に分析するために、スチレンモノマーの第1の添加を行わなかった。KRATON Polymers U.S.LLC社及びBeningらによる、2003年9月18日に公開された米国特許出願公開第2003/0176582A1号明細書に記載の、ポリマー中間又は「B」ブロックを特徴付けるために使用される方法に従って、CTTE14及び17のモノマー分布の計算を実施した。
【0076】
図1及び2は、CTTE14及び16の[A/B]中間ブロックセグメント中の組み込まれたスチレンモノマーの累積組成が、ブタジエン/スチレン中間ブロック重合の転換が増加すると共に徐々に減少することを明らかに示している。カップリング後、この[A/B]中間ブロックセグメントは、従来技術の分布制御組成物とは正反対に、スチレンモノマー単位が豊富な(ブタジエン/スチレン累積比が低い)末端領域及びブタジエンモノマー単位が豊富な(ブタジエン/スチレン累積比が高い)中央領域を有する完全な[A/B]-X-[B/A]中間ブロックを形成する。これは、中間ブロックセグメント共重合中に比較的少量のスチレンモノマーしか存在せず(モノマー混合物の約10重量%)、中間ビニルスチレン/ブタジエンコポリマーを調製するための極性調節剤(ランダム化剤)を十分な量で(約30重量%ビニル)、これら共重合に使用したという事実を両方とも考慮すると、驚くべき予期しない結果である。加えて、本発明のカウンターテーパードA-[A/B]X-[B/A]-A熱可塑性エラストマー組成物は、モノビニル芳香族ホモポリマーブロックA又はポリスチレンブロックとの界面付近の完全な[A/B]X-[B/A]スチレン/ブタジエン中間ブロックの末端領域に高スチレン(低ブタジエン/スチレン比)及び高ビニルの独特な組合せを有する。たとえスチレン/ブタジエン中間ブロックの末端領域がスチレン豊富(低ブタジエン/スチレン累積比)であっても、低レベルの中間ブロックブロッキネスを達成することができることに留意することが重要である。また、カウンターテーパード[A/B]中間ブロックセグメントへのスチレン組み込みは、スチレンモノマー及びランダム化剤の量だけでなく、共重合の温度プロファイル及びモノマー投入時間にも依存することが示されている。図2及び3は、ブタジエンモノマーのより長い投入時間に応答して、CTTE16の[A/B]中間ブロックセグメントのコポリマー鎖へのスチレン組み込みがより漸進的に減少することを示す。図4は、極性調節剤(ランダム化剤)の量が比較的より少ない(より低ビニル)の場合、ブタジエンモノマー投入時間の変化に応答して、CTTE17とCTTE19との間で、[A/B]中間ブロックセグメントのスチレン組み込みがより劇的に変化することを示す。
【0077】
【表2】
【0078】
【表3】
【0079】
【表4】
【0080】
本発明の1つの実施形態は、カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物を製作する方法であって、溶媒、極性調節剤又は極性調節剤の組合せ、及びモノビニル芳香族モノマーを反応器に添加して、初期反応混合物を形成し、上記初期反応混合物中の上記極性調節剤の量が10重量%未満であること;有機リチウム開始剤化合物を上記反応器に添加し、上記モノマーをアニオン重合して、少なくとも8,000のピーク分子量を有するモノビニル芳香族ホモポリマーブロックAを形成すること;追加のモノビニル芳香族モノマーを添加し、同時に、所定の時間にわたる所定の投入速度での共役ジエンモノマーの反応器への投入を開始し、共重合させて、上記ジブロックコポリマー中の共役ジエン単位の量に基づいて少なくとも15重量パーセントのビニル含有量を有するカウンターテーパードコポリマーブロックA/Bを形成し、20,000から250,000までのピーク分子量を有するカウンターテーパードジブロックA-A/Bコポリマーを得ること;及びカップリング剤又はカップリング剤の組合せを添加して、上記カウンターテーパードジブロックA-A/Bコポリマーを部分的にカップリングして、線形トリブロックコポリマー、マルチアームカップリングブロックコポリマー、又はそれらの混合物のいずれかであるブロックコポリマーを形成することを含み、上記溶媒、上記極性調節剤、上記共役ジエンモノマー、及び上記モノビニル芳香族モノマーが、総反応混合物を構成し、上記極性調節剤の量が、上記総反応混合物の5重量%未満であり、上記線形トリブロックコポリマーのピーク分子量が、上記カウンターテーパードジブロックA-A/Bコポリマーのピーク分子量の少なくとも約1.5倍であり、上記マルチアームカップリングブロックコポリマーのピーク分子量が、上記カウンターテーパードジブロックA-A/Bコポリマーのピーク分子量の少なくとも約2.5倍であり、上記カウンターテーパードジブロックA-A/Bコポリマー対上記ブロックコポリマーの比が、上記カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物の約1:5から約5:1までである方法である。
【0081】
実施例1及び表3に基づく本発明の1つの実施形態は、バッチ又は半バッチモードのいずれかでカウンターテーパード熱可塑性エラストマーを製作する方法であって、
好ましくは及び任意選択で、溶媒及びモノマーを精製して、それらの水分含量を最大でも50ppmに、好ましくは25ppm未満に、より好ましくは5ppm未満に減少させること;
上記溶媒を反応器に入れ、上記溶媒を、50~75℃、場合によっては55~70℃、好ましくは55~70℃、より好ましくは60~66℃の初期反応温度(Ti)に加熱し、上記溶媒は、総反応混合物の75重量%を超えており、好ましくは80~90重量%、より好ましくは84~90重量%、最も好ましくは86~89重量%であり、86及び88重量%の値が典型的であり、上記溶媒が、好ましくはシクロヘキサンであること;
好ましくは、好適な極性調節剤を上記反応器に添加し、上記好適な極性調節剤が、好ましくはジテトラヒドロフラニルプロパン(DTHFP)又はテトラヒドロフラン(THF)であり、より好ましくはDTHFPであること;
モノビニル芳香族モノマーを上記反応器に添加し、上記モノビニル芳香族モノマーが、好ましくはスチレンであり、典型的には、総モノマー混合物の15~20重量%、好ましくは16~19重量%、より好ましくは17~18重量%であり、17.5重量%が最も好ましいこと;
好ましくは及び任意選択で、上記溶媒、極性調節剤、及びモノビニル芳香族モノマーの、上記温度Tiプラス又はマイナス10℃、好ましくはプラス又はマイナス5℃、より好ましくはプラス又はマイナス2℃での安定化を可能にし、Tiでの安定化が最も好ましいこと;
好適な溶媒溶液中のリチウム系開始剤、好ましくはn-ブチルリチウムを上記反応器混合物に添加し、好ましくは、上記開始剤の量が、個々のブロックを形成し、不純物を補うように化学量的に計算されていること;
反応が、好ましくは及び任意選択で、完全転換に、好ましくは少なくとも90%転換に、より好ましくは少なくとも95%以上の転換に進行することを可能にして、任意選択で、5~15kg/molのピーク平均分子量Mpを有する、好ましくは8~12kg/molのピーク平均分子量を有する、より好ましくは10~11kg/molのピーク平均分子量を有するモノビニル芳香族ホモポリマーブロックAを形成すること;
好ましくは、モノビニル芳香族モノマーの第2の添加分を、典型的には上記総モノマー混合物の5~15重量%、好ましくは6~12重量%、より好ましくは7~9.5重量%、最も好ましくは7.5~9.1重量%の好ましくはスチレンであって、上記総モノマー混合物の7.5重量%が好ましい値である好ましくはスチレンを、概して5分間の期間内に、好ましくは2分間未満で、上記反応器に添加すること;
共役ジエンモノマーBを、好ましくは共役ジエンモノマーの初期添加を行わずに及び好ましくは共役ジエンの初期添加後の待機時間を設定せずに、上記反応器に投入し、投入した上記共役ジエンモノマーの総量が、上記総モノマー混合物の55重量%を超えており、典型的には60~90重量%、概して65~85重量%、好ましくは70~80重量%であり、上記総モノマー混合物の75重量%が好ましい量であり、
上記共役ジエンモノマーが、20~75g/分の投入速度で、多くの場合は30~70g/分の投入速度で、概して45~68g/分の投入速度で、通常は47~67g/分の投入速度で、好ましくは54~67g/分の投入速度で投入され、
上記共役ジエンモノマーが投入される時間が、90、80、70、60、50、40、30、20、又は15分間未満であり、概して13分間未満であり、好ましくは4~12分間の期間内に、より好ましくは5~11分間以内に投入され、好ましくは、上記共役ジエンが、ブタジエン又はイソプレンであり、より好ましくは、1,3-ブタジエンであること;
反応が、少なくとも80%転換に、概して90%を超える転換に、好ましくは少なくとも98%転換に、より好ましくは少なくとも99%転換に、最も好ましくは完全転換に、好ましくは100℃を超える、より好ましくは103~106℃の又は103~105℃の最終ピーク温度Tpに進行することを可能にし、それにより、好ましくは単一の反応器にて、好ましくは2つの反応器を使用する必要なく、カウンターテーパードコポリマーブロックA/Bを形成し、リビングカウンターテーパードジブロックA-A/Bコポリマーを得、一般的には、上記カウンターテーパードジブロックA-A/Bコポリマーのピーク平均分子量が、70~140kg/molであり、好ましくは、上記カウンターテーパードジブロックA-A/Bコポリマーのピーク平均分子量が、80~130kg/molであり、より好ましくは、上記カウンターテーパードジブロックA-A/Bコポリマーのピーク平均分子量が、90~125kg/molであり、100~115kg/molの範囲が最も典型的であることを含む方法である。
【0082】
任意選択であるが好ましい次のステップは、好ましくは、第2の反応器に移すことなく同じ反応器で実施され、
好適なカップリング剤又はカップリング剤の組合せ、好ましくは四塩化ケイ素を、上記反応器に添加し、上記リビングカウンターテーパードジブロックA-A/Bコポリマーを部分的にカップリングして、カウンターテーパード熱可塑性エラストマーを形成することを含み、上記カップリング剤の量は、総反応混合物の0.0020~0.0100重量%、概して0.0025~0.0085重量%、好ましくは0.0030~0.0080重量%であり、
一般的には、カップリングされていない線形ジブロックA-[A/B]の、カップリングされた放射状(A-[A/B])n-Xカウンターテーパード熱可塑性エラストマーに対する比が、0.2~5.0であり、好ましくは上記比は、0.3~4.0であり、より好ましくは上記比は、0.5~3.0又は0.4~3.0であり、
一般的には、上記カウンターテーパード熱可塑性エラストマーの重量平均分子量Mwは、80~300kg/mol、概して85~275kg/mol、好ましくは90~270kg/mol、より好ましくは95~267kg/molであり、
一般的には、カップリング後に形成されるA/B-X-B/A中間ブロックは、ブタジエン単位対スチレン単位の最大比を有する中央領域を有し、最大累積B/S比は、少なくとも3、好ましくは少なくとも5、より好ましくは少なくとも10である。
【0083】
表2及び更に上述の実施形態を参照すると、カップリングされたCTTE1~14は、15~35重量%、概して20~30重量%、好ましくは22~28重量%、より好ましくは23~26重量%の含有量の総モノビニル芳香族モノマー、好ましくはスチレンを有し、残りは、共役ジエンモノマー、好ましくはブタジエンである。一般的には、カップリングされたCTTEは、20~30重量%のモノビニル芳香族モノマー単位及び70~80重量%の共役ジエンモノマー単位を含み、好ましくは、22~28重量%のモノビニル芳香族モノマー単位及び72~78重量%の共役ジエンモノマー単位を含み、より好ましくは、23~26重量%のモノビニル芳香族モノマー単位及び74~77重量%の共役ジエンモノマー単位を含む。更に上記の実施形態では、末端B部分がリビング性である線形ジブロックA-[A/B]が形成され、カップリング剤は、リビング末端B部分と結合し、線形ジブロックA-[A/B]単位の少なくとも2つが共にカップリングされて、(A-[A/B])-X-([B/A]-A)及び/又はカップリングされた放射状(A-[A/B])n-Xカウンターテーパード熱可塑性エラストマーが形成されている。カップリング後、CTTEは、モノビニル芳香族モノマー、好ましくはスチレン、及び共役ジエンモノマー、好ましくはブタジエンの両方の単位を含む中央ブロック、並びにモノビニル芳香族モノマー、好ましくはポリスチレンのホモポリマーである各末端のブロックを有する。中間ブロックは、[A/B]-X-[B/A]部分であり、この部分は、2つ以上の[A/B]単位がカップリング剤と結合するか否かに応じて、線形単位及び放射状単位の組合せであってもよい。表2のこの中間ブロック部分は、2~20重量%のモノビニル芳香族モノマー、好ましくはスチレン、及び80~98重量%の共役ジエンモノマー、好ましくはブタジエンであり、一般的には、5~15重量%のモノビニル芳香族モノマー、好ましくはスチレン、及び85~95重量%の共役ジエンモノマー、好ましくはブタジエンであり、好ましくは、6~12重量%のモノビニル芳香族モノマー、好ましくはスチレン、及び88~94重量%の共役ジエンモノマー、好ましくはブタジエンであり、7~11重量%のモノビニル芳香族モノマー、好ましくはスチレン、及び89~93重量%の共役ジエンモノマー、好ましくはブタジエンが最も好ましい。表2に示されているCTTE1~14の中間ブロックブロッキネスは、10から60重量%までの範囲であり、概して10~56重量%、好ましくは10~45重量%の範囲である。
【0084】
上記の実施形態に加え、図1~4及び表2、カップリングされたCTTE1~14及び17を参照すると、末端B部分がリビング性である線形ジブロックA-[A/B]が形成され、カップリング剤は、リビング末端B部分と結合し、線形ジブロックA-[A/B]単位の少なくとも2つが共にカップリングされて、(A-[A/B])-X-([B/A]-A)及び/又はカップリングされた放射状(A-[A/B])n-Xカウンターテーパード熱可塑性エラストマーが形成されている。カップリング後、CTTEは、モノビニル芳香族モノマー、好ましくはスチレン、及び共役ジエンモノマー、好ましくはブタジエンの両方の単位を含む中央ブロック、並びにモノビニル芳香族モノマー、好ましくはポリスチレンのホモポリマーである各末端のブロックを有する。中間ブロックは、[A/B]-X-[B/A]部分であり、この部分は、2つ以上の[A/B]単位がカップリング剤と結合するか否かに応じて、線形単位及び放射状単位の組合せであってもよい。図1~4は、CTTE14、16、17、及び19のカップリング前の中間ブロック[A/B]-X-[B/A]部分のコポリマー鎖に沿ったモノマー分布を示し、中間ブロックが、スチレンモノマー単位豊富な(ブタジエン/スチレン累積比が低い)末端領域及びブタジエンモノマー単位豊富な(ブタジエン/スチレン累積的比が高い)中央領域を有することが示されている。CTTE14は、約10.7重量%の中間ブロックスチレンの場合、約16.0mol/molの最大ブタジエン/スチレンB/S累積比を有し、CTTE16は、約11.3重量%の中間ブロックスチレンの場合、約15.1mol/molの最大ブタジエン/スチレンB/S累積比を有し、CTTE17は、約9.6重量%の中間ブロックスチレンの場合、約18.1mol/molの最大ブタジエン/スチレンB/S累積比を有し、CTTE14は、約10.3重量%の中間ブロックスチレンの場合、約16.7mol/molの最大ブタジエン/スチレンB/S累積比を有する。表2の中間ブロック部分のCTTE最大ブタジエン/スチレンB/S累積比は、5~30mol/molであり、概して8~25mol/molであり、好ましくは10~23mol/molであり、12~21mol/molが最も好ましい。一般的には、カップリング後に形成されるA/B-X-B/A中間ブロックは、ブタジエン単位対スチレン単位の最大比を有する中央領域を有し、最大累積B/S比は、少なくとも3、好ましくは少なくとも5、より好ましくは少なくとも10である。
【0085】
実施例2
道路舗装用ポリマー改質アスファルト(PMA)における応用
実施例1に記載のように調製した、表1及び2の低Mwカウンターテーパード熱可塑性エラストマー(CTTE1~7)を、道路舗装調合物用のポリマー改質アスファルト(PMA)のアスファルト改質剤又はアスファルト補強剤として使用した。この目的を達成するために、PG64-22無添加アスファルト(PEMEX社から提供)を、ホットミックス及び高剪断率プロセスにより調合した。このプロセスでは、三軸高剪断ミルを使用した。まず、無添加アスファルトを、撹拌せずに窒素雰囲気下で120℃に加熱して、アスファルトを軟化させた。この段階中は、非常にゆっくりとした撹拌を使用して、アスファルト過熱及び酸化を防止した。アスファルトが軟化したら、190℃+/-5℃まで加熱を継続し、ミキサー撹拌を2500RPMに増加した。190℃に到達したら、カウンターテーパード熱可塑性エラストマー(CTTE)組成物を、約10g/分の速度で徐々にアスファルトに添加した。補強剤としてのCTTEを効果的に完全に分散させるために、撹拌を、120~180分間維持した。同じレベルの分散が全ての調合物で達成されることを保証するために、Zeiss社製顕微鏡Axiotecy20X型を使用した蛍光顕微鏡法により、アスファルト中のCTTE分散をモニターした。
【0086】
このようにして得られたCTTEポリマー改質アスファルト(PMA)混合物を、ASTM D36に準拠して環球式軟化点温度(TRBSP)により特徴解析した。貫通性は、Koheler Penetrometer K95500型を使用し、ASTM D5に準拠して、25℃、10秒間、及び100グラムで測定した。最大適用温度(「最大使用T」)を、わだち掘れ係数又は動的剪断剛性(G/sinδ)が1.0kPaの値をとる温度として測定し、式中、Gは、複素弾性率であり、sinδは、Paar PhysicaレオメーターMCR-300-SP型を使用することによる、AASHTO TP5に準拠した位相角であり、AASHTO SUPERPAVE性能等級PGを決定した。135℃での動粘度を、ブルックフィールド粘度計モデルRDVS-II+を使用することにより、ASTM D4402に準拠して測定した。ねじりモードにおける25℃での弾性回復を、AASHTO-TF31Rに準拠して測定した。25℃での弾性回復及び4℃での延性を、伸び計を使用することにより測定した。
【0087】
CTTEポリマー改質アスファルト(CTTE1~7PMA)結果は、下記の表2aに示されており、総PMA混合物に基づき2.2重量%のCTTEポリマー含有量での、道路舗装用のアスファルト改質剤として新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物の性能が高いことが示されている。
【0088】
【表5】
【0089】
表2aを検討すると、これら結果は、顕著に低い粘性、高い弾性応答、広範なPGポリマー改質アスファルト、及び高温特性と低温特性との良好なバランスを示す。アスファルト調合物の粘性が非常に低いことは、アスファルトへのポリマーの分散を容易にし、混合に必要とされる時間を向上させることに寄与することの他に、ポンプ送液能力を向上させることにより、及び/又はそれを施すために必要なエネルギーを減少させることにより、改質アスファルト混合物の加工、取り扱い、及び施行も容易にする。これは、重要なコスト削減であること及びより環境に優しいプロセスであることも意味する。
【0090】
実施例3
道路舗装用ポリマー改質エマルジョン(PME)における応用
実施例1に記載のように調製した、表1及び2の低Mwカウンターテーパード熱可塑性エラストマー(CTTE3~6)を、道路舗装調合物用のポリマー改質エマルジョン(PME)のアスファルト改質剤又はアスファルト補強剤として使用した。まず、実施例2に記載されているように、各CTTE組成物のPMA混合物を調製した。次に、まず脱塩水を45℃に加熱し、その後およそ0.5重量%のポリアミン型乳化剤(Redicote E4819、Akzo Nobel社から市販されている)を、加温した水に穏やかに撹拌しながら添加し、その後およそ0.4重量%の濃鉱酸(HCl、37%)を添加することにより、水性乳化剤溶液を調製した。この水溶液を、乳化剤が完全に溶解するまで撹拌した。酸性度は、2.0±0.1のpH範囲であり、そのままでPMA混合物の乳化の準備が整っていた。最後に、IKAコロイドミルを使用することにより、大気中で乳化プロセスを実施した。150℃のPMA混合物及び40℃の水性乳化剤溶液(65:35重量:重量)を両方とも、90℃で操作されていたコロイドミルにポンプ送液して、ポリマー改質アスファルトエマルジョン(PME)を形成した。その後、新たに調製したPMEを、80℃のオーブンに16時間入れておいた。周囲温度に冷却した後に、PMEを、20メッシュ銅ふるいに通し、ふるい残分の量を試験した。その後、このようにして得られたポリマー改質アスファルトエマルジョン(PME)を処理して、水を分離し、残分PMA混合物を回収した。
【0091】
このようにして調製されたCTTEポリマー改質アスファルトエマルジョン(PME)を、20メッシュふるい残分、50℃でのセイボルトフロール粘度、及び5日間の保管安定性について試験した。PMEから水を分離したら、残分PMA混合物を、ASTM D36に準じて環球式軟化点温度(TRBSP)により特徴解析した。貫通性を、Koheler Penetrometer K95500型を使用し、ASTM D5に準拠して、25℃、10秒間、及び100グラムで測定した。25℃での弾性回復及び4℃での延性を、伸び計を使用することにより測定した。
【0092】
CTTEポリマー改質アスファルトエマルジョン(CTTE3~6 PME)結果は、下記の表3aに示されており、道路舗装用エマルジョンのアスファルト改質剤としての新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物の性能が高いことが示されている。
【0093】
【表6】
【0094】
表3aを検討すると、PMEの結果は、低い粘性、良好な保管安定性、及び許容可能なふるい残分を示す。また、PMAの結果は、乳化プロセスの前(元物質)及び後(残分)で同様の高い弾性応答、及び高温特性と低温特性との優れたバランスを示す。
【0095】
実施例4
カウンターテーパード熱可塑性エラストマー(CTTE)の調製
実施例4では、幾つかの新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー(CTTE20~38)を、本発明で特許請求されている方法に従って調製した。ポリマーCTTE20~38は、(A-[A/B])n-Xブロックコポリマーであり、カップリング前のA-[A/B]ジブロックが、ポリスチレンブロック(PS)であるモノビニル芳香族ホモポリマーブロックAブロック、及びスチレン/ブタジエンコポリマーブロックであるカウンターテーパードコポリマーブロック[A/B]からなり、カップリング後、スチレン単位豊富な末端領域及びブタジエン単位豊富な中央領域を有する[A/B]-X-[B/A]中間ブロックを形成した。CD1及びCD2は、KRATON Polymers U.S.LLC社及びBeningらによる、2003年9月18日に公開された米国特許出願公開第2003/0176582A1号明細書に記載されているものと類似する手順に従って調製した従来技術の分布制御ブロックコポリマーの比較例であった。CD2は、カップリング前の中間ブロックコポリマー鎖のモノマー分布を例示するために、スチレン/ブタジエンのカウンターテーパードコポリマーブロック[A/B]のみを用いて調製されたポリマーであった。
【0096】
これら新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー(CTTE20~38)組成物を、GPC、H NMR、及びDSC法により特徴解析して、以下を決定した:線形ジブロック及びカップリングモードのピーク平均分子量(Mp)、重量平均分子量(Mw)、及びジブロックカップリング率等の分子量平均及び分子量分布特徴;総スチレン、ブロックスチレン、及びビニルA/Bブロック含有量等のマイクロ構造特徴;A/Bカウンターテーパードコポリマーブロックのガラス転移温度(Tg);並びにCTTEカウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物のメルトフロー率(MFI)。加えて、KRATON Polymers U.S.LLC社及びBeningらによる、2003年9月18日に公開された米国特許出願公開第2003/0176582A1号明細書に記載のCalc.Mid PSC及びCalc.Mid Blockyのような、ポリマー中間又は「B」ブロックを特徴付けるために使用される方法に従って、中間ブロックスチレン及び中間ブロックブロッキネスの計算を実施した。表4~5には、分析的特徴解析結果が示されており、表6には、CTTE20~38及びCD1~2の重合条件が示されている。下記には、これら新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー(CTTE20~38)を調製し、スチレン/ブタジエン[S/B]カウンターテーパードコポリマーブロック用の好適な極性調節剤及びランダム化剤としてのジテトラヒドロフラニルプロパン(DTHFP)又はテトラヒドロフラン(THF)の存在下での1,3-ブタジエン(B)及びスチレン(S)のアニオン共重合におけるモノマー分布を制御するために使用した、実施例1に記載されているものに類似した基本手順が説明されている。下記の表6で重合条件に使用された略語は、以下のように定義される:CHx=シクロヘキサン;STY=スチレン;及びBD=1,3ブタジエン。新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマーCTTE20~32及び37~38及び更にCD1比較例には、四塩化ケイ素(SiCl)をカップリング剤として使用した。CTTE33~36には、米国特許第8,981,008号明細書に記載されているものに類似したアクリルオリゴマーをカップリング剤として使用した。
【0097】
本発明の新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー(CTTE20~38)組成物及び分布制御比較例CD1~2を、本発明の教示に従って不活性窒素雰囲気下にてバッチ及び/又は半バッチモードで操作した7.57リットル反応器系で調製した。反応器系への添加直前に、アルミナ及びモレキュラーシーブを充填した1セットのカラムに流すことにより、溶媒及びモノマーを徹底的に精製して、それらの水分含量を最大でも5ppmに減少させた。第1の重合ステップでは、適正量の精製した溶媒(CHx)を反応器に投入し、約50℃の初期反応温度(Ti)に加熱した。Tiは、CD1ポリマーの場合、約30℃のより低い温度に設定した。Tiに到達したら、ジテトラヒドロフラニルプロパン(DTHFP)又はテトラヒドロフラン(THF)等の好適な極性調節剤(ランダム化剤)を反応器に添加し、その後、総モノマー混合物の約17.5重量%から約30.0重量%までのモノビニル芳香族モノマーの第1の添加分(第1のSTY)を添加した。CD1の場合、総モノマー混合物の約27重量%のモノビニル芳香族モノマーの第1の添加分(第1のSTY)は、本発明者らの組成物/方法を従来技術と直接比較及び区別するために、CTTE37~38と同様であった。CD2の場合、単離されたスチレン/ブタジエンカウンターテーパードコポリマーブロックを調製し、中間ブロックスチレン、中間ブロックブロッキネス、及び[A/B]カウンターテーパードコポリマーブロックのコポリマー鎖に沿ったモノマー分布を、CTTE20~38及びCD1中のモノビニル芳香族ホモポリマーブロックA(PSブロック)との干渉を除去するために必要な計算を行わずにH NMRにより直接的に分析するために、スチレンモノマーの第1の添加を行わなかった。これは、共重合全体にわたって分割量を採取し、その後NMR特徴解析を実施することにより可能であった。この反応混合物を、Tiで安定化させた後、好適な溶媒溶液中のn-ブチルリチウム又は別の好適な開始剤を、少なくともリビングポリスチレンブロックのアニオン重合を効率的に開始するのに必要な量の極性調節剤を含む反応器混合物に直接添加した。開始剤の量は、所望の分子量を有する個々のブロックを形成し、残留不純物を補うために、文献に記載のように化学量的に計算した。その後、この第1の重合ステップを、完全転換まで断熱的に進行させて、約10,000から約20,000までの目標値のピーク平均分子量Mpを有するモノビニル芳香族ホモポリマーブロックAを形成した。
【0098】
第2の重合ステップでは、CTTE20~38の場合、両モノマーの添加を同時に開始し、総モノマー混合物の約6.3~約22重量%の第2のモノビニル芳香族モノマー(第2のSTY)添加分を、約1分間の所定の投入時間にわたって、約41から146g/分までの指定の投入速度で、反応器に迅速に投入し、総モノマー混合物の約50~約70重量%の共役ジエンモノマー(BD)添加分を、約6.5分間から約7分間までの所定の投入時間にわたって、約48から70g/分までの指定の投入速度で、反応器にゆっくりと投入した。これらモノマー添加は、プログラムされたバッチ及び/又は半バッチモードで実施し、極性調節剤(ランダム化剤)の量は、コポリマー鎖に沿った組成及びビニルマイクロ構造(1,2-付加)が徐々に変化する統計的に分布したテーパードS/Bコポリマーブロックの形成を促進するために、総反応混合物の約0.01から約0.20重量%までに調整した。その後、この第2の重合ステップを完全転換まで断熱的に進行させ、最終ピーク温度(Tp)を約96から約107℃までに増加させ、それにより、カウンターテーパードコポリマー[A/B]ブロックを形成し、したがって、約70,000から約213,000までの目標値のピーク平均分子量Mpを有するリビングカウンターテーパードA-[A/B]ジブロックコポリマーを得た。分布制御比較例CD1~2の第2の重合ステップでは、スチレンモノマーの添加を、ブタジエンモノマーの添加を開始した1分後に開始し、したがって、総モノマー混合物の約22~約30重量%の第2のモノビニル芳香族モノマー(第2のSTY)添加分を、約15から約16分間までの所定の投入時間にわたって、約9から10g/分までの指定の投入速度で、反応器にゆっくりと投入し、総モノマー混合物の約50~約70重量%の共役ジエンモノマー(BD)添加分を、約31分間から約33分間までの所定の投入時間で、約10から約11g/分までの指定の投入速度で、反応器に非常にゆっくりと投入した。これらモノマーの添加は、プログラムされたバッチ及び/又は半バッチモードで実施し、極性調節剤(ランダム化剤)の量は、コポリマー鎖に沿った組成及びビニルマイクロ構造(1,2-付加)が徐々に変化する統計的に分布したテーパードS/Bコポリマーブロックの形成を促進するために、総反応混合物の約0.047から約0.048重量%までに調整した。その後、この第2の重合ステップを完全転換まで断熱的に進行させ、最終ピーク温度(Tp)を約80から約82℃までに増加させ、それにより、分布制御[B/A]ブロックを形成し、したがって、約95,000から約124,000までの目標値のピーク平均分子量Mpを有するリビング分布制御A-[B/A]ジブロックコポリマーを得た。
【0099】
最後に、総反応混合物の約0.0027から約0.032までの十分な量の四塩化ケイ素(SiCl)又はアクリルオリゴマー等の好適なカップリング剤を反応器に添加し、リビングカウンターテーパードA-[A/B]ジブロックコポリマーを部分的にカップリングして、カップリングされていない線形ジブロックA-[A/B]の、本発明のカップリングされた放射状の(A-[A/B])n-Xカウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物に対する所望の比を得た。式中、Xは、カップリング反応プロセスの残留部分である。残りのリビングポリマー鎖は、最終反応混合物に、化学論量よりも10mol%過剰量の好適なアルコールを添加することにより終結させた。CD1比較例の分布制御スチレン/ブタジエンコポリマージブロックのカップリングは、同様の手順に従った。
【0100】
表4及び5には、新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物CTTE20~38の分析的特徴解析結果が示されている。平均分子量(Mp及びMw)は全て、単位が1000(k)で示されており、GPCによりポリスチレン標準物質に換算して算出した。CTTE20~38のモノビニル芳香族ホモポリマーブロックA又はポリスチレンブロックのピーク平均分子量Mpは、約10.2から約19.8kg/molまでである。CTTE20~38のA-[A/B]ジブロックコポリマー又はS-[S/B]スチレン-ブタジエンジブロックコポリマーのピーク平均分子量Mpは、約70から約213kg/molまでである。CD1~2の[B/A]分布制御コポリマー又は[B/S]スチレン-ブタジエンコポリマーのピーク平均分子量Mpは、約95から約124kg/molまでである。CTTE20~38の、カップリングされた放射状(A-[A/B])n-XのMpの、カップリングされていない線形ジブロックA-[A/B]のMpに対する比は、約3.1から約11.9までである。CTTE20~38の重量平均分子量Mwは、約179から約521kg/molまでである。CTTE20~38の、カップリングされていない線形ジブロックA-[A/B]の、カップリングされた放射状(A-[A/B])n-Xに対する比は、約0.2から約3.2までである。これは、GPC面積から決定したカップリング効率である。CTTE20~38のビニル[A/B]ブロック含有量は、総ブタジエン単位に基づいて約18.5から約54.0重量%までである。CTTE20~38の[A/B]カウンターテーパードコポリマーブロックのガラス転移温度は、約-81.9から約-47.8℃までである。CTTE20~38組成物のメルトフロー率(MFI)は、約0(NF)から約94.9g/10分までである。CTTE20~38について、以下の含有量をNMRにより決定した:総コポリマーに基づく総スチレンは、約14.1から約49.5重量%までであり;総スチレン単位に基づくブロックスチレンは、約53.2から約91.0重量%までであり;中間ブロックコポリマーに基づく中間ブロックスチレンは、約5.2から約34.4重量%までであり、中間ブロックスチレン単位に基づく中間ブロックブロッキネスは、約6.6から約73.8重量%までである。
【0101】
図5には、本発明のカウンターテーパードブロックコポリマーCTTE20、37、及び38のカップリング前の[A/B]中間ブロックセグメントのモノマー分布、及び比較分布制御例CD1及び2のカップリング前の[B/A]中間ブロックセグメントのモノマー分布が示されている。これらは、共重合全体にわたって分割量を採取し、その後NMR特徴解析を実施することにより可能であった。CD2の場合、スチレン/ブタジエン分布制御コポリマーブロックを単離するために、及び[B/A]中間ブロックセグメントのコポリマー鎖に沿ったモノマー分布を、CTTE37~38及びCD1中のモノビニル芳香族ホモポリマーブロックA(PSブロック)を差し引くために必要な計算を行わずにH NMRにより直接的に分析するために、スチレンモノマーの第1の添加を行わなかった。KRATON Polymers U.S.LLC社及びBeningらによる、2003年9月18日に公開された米国特許出願公開第2003/0176582A1号明細書に記載の、ポリマー中間又は「B」ブロックを特徴付けるために使用される方法に従って、CTTE37~38及びCD1のモノマー分布の計算を実施した。
【0102】
図5は、CTTE37~38の[A/B]中間ブロックセグメント中の組み込まれたスチレンモノマーの累積組成が、ブタジエン/スチレン中間ブロック重合の転換が増加すると共に徐々に減少することを明らかに示している。カップリング後、この[A/B]中間ブロックセグメントは、スチレンモノマー単位が豊富な(ブタジエン/スチレン累積比が低い)末端領域及びブタジエンモノマー単位が豊富な(ブタジエン/スチレン累積比が高い)中央領域を有する完全な[A/B]-X-[B/A]中間ブロックを形成する。これは、従来技術の分布制御組成物とは全く正反対であり、分布制御組成物の本発明者らの比較例CD1及びCD2ではそれがより顕著である。これは、中間ブロックセグメント共重合中に比較的多量のスチレンモノマーが存在し(モノマー混合物の約30重量%)、低ビニルスチレン/ブタジエンコポリマー(約20重量%ビニル)を調製するための極性調節剤(ランダム化剤)を比較的低い量で、こうした共重合に使用したという事実を両方とも考慮すると、驚くべき予期しない結果である。また、たとえスチレン/ブタジエン中間ブロックの末端領域がスチレン豊富(低ブタジエン/スチレン累積比)であっても、低レベルの中間ブロックブロッキネスを達成することができることに留意することが重要である。また、カウンターテーパード[A/B]中間ブロックセグメントへのスチレン組み込みは、スチレンモノマーの量並びにランダム化剤の量及びタイプだけでなく、共重合の温度プロファイル及びモノマー投入時間にも依存することが示されている。図5は、CTTE37及び38の[A/B]中間ブロックセグメントのコポリマー鎖へのスチレンの組み込みが、CTTE20と比較して一般的により高いことを示す。また、図5には、極性調節剤(ランダム化剤)の量が比較的少ない(低ビニルである)場合、より低い温度でのランダム化剤としてのTHFの使用と組み合わせた、ブタジエン及びスチレンモノマーの両方の投入時間の著しい増加に応答して、CD1及びCD2の[B/A]中間ブロックセグメントへのスチレン組み込みが、より劇的な反対の変化を示すことが示されている。
【0103】
【表7】
【0104】
【表8】
【0105】
【表9】
【0106】
実施例4及び表6に基づく本発明の1つの実施形態は、バッチ又は半バッチモードのいずれかでカウンターテーパード熱可塑性エラストマーを製作する方法であって、
好ましくは及び任意選択で、溶媒及びモノマーを精製して、それらの水分含量を、最大でも50ppmに、好ましくは25ppm未満に、より好ましくは5ppm未満に減少させること;
上記溶媒を反応器に入れ、上記溶媒を、40~65℃、場合によっては45~55℃、好ましくは47~53℃、より好ましくは48~52℃及び約50℃の初期反応温度(Ti)に加熱し、上記溶媒が、総反応混合物の75重量%を超えており、好ましくは80~95重量%、より好ましくは84~90重量%、最も好ましくは85~87重量%であり、約85又は86重量%の値が典型的であり、上記溶媒が、好ましくはシクロヘキサンであること;
好ましくは、好適な極性調節剤を上記反応器に添加し、上記好適な極性調節剤が、好ましくはジテトラヒドロフラニルプロパン(DTHFP)又はテトラヒドロフラン(THF)であり、より好ましくはDTHFPであること;
モノビニル芳香族モノマーを上記反応器に添加し、上記モノビニル芳香族モノマーが、好ましくはスチレンであり、典型的には、総モノマー混合物の10~35重量%、好ましくは15~33重量%、より好ましくは16~31重量%であり、17.5、27.0、及び30.0重量%が考え得る量であること;
好ましくは及び任意選択で、上記溶媒、極性調節剤、及びモノビニル芳香族モノマーの、上記温度Tiプラス又はマイナス10℃、好ましくはプラス又はマイナス5℃、及びより好ましくはプラス又はマイナス2℃での安定化を可能にし、Tiでの安定化が最も好ましいこと;
好適な溶媒溶液中のリチウム系開始剤、好ましくはn-ブチルリチウムを上記反応器混合物に添加し、好ましくは、開始剤の量が、個々のブロックを形成し、不純物を補うように、化学量的に計算されていること;
上記反応が、好ましくは及び任意選択で、完全転換に、好ましくは少なくとも90%転換に、より好ましくは95%以上の転換に進行することを可能にして、任意選択で、5~25kg/molのピーク平均分子量Mpを有する、好ましくは8~22kg/molのピーク平均分子量を有する、より好ましくは10~20kg/molのピーク平均分子量を有するモノビニル芳香族ホモポリマーブロックAを形成すること;
好ましくは、モノビニル芳香族モノマーの第2の添加分を、典型的には上記総モノマー混合物の5~25重量%、好ましくは6~22重量%の好ましくはスチレンであって、上記総モノマー混合物の6.3、12.4、16.5、及び22.1重量%が考え得る好適な値である好ましくはスチレンを、概して5分間の期間内に、好ましくは2分間未満で、より好ましくは約1分間の期間内に、上記反応器に添加すること;
共役ジエンモノマーBを、好ましくは共役ジエンモノマーの初期添加を行わずに、及び好ましくは共役ジエンの初期添加後の待機時間を設定せずに、好ましくは、モノビニル芳香族モノマーの第2の添加分の投与と同時に開始して、上記反応器に投入し、投入した上記共役ジエンモノマーの総量が、上記総モノマー混合物の40重量%を超えており、典型的には上記総モノマー混合物の45~90重量%、概して45~80重量%、好ましくは50~72重量%であり、
上記共役ジエンモノマーが、30~90g/分の投入速度で、多くの場合は35~80g/分の投入速度で、概して45~75g/分の投入速度で、好ましくは48~70g/分の投入速度で投入され、
上記共役ジエンモノマーが投入される時間が、90、80、70、60、50、40、30、20、又は15分間未満であり、概して13分間未満であり、概して4~12分間の期間内に、好ましくは5~9分間以内に、より好ましくは6.5~7分間以内に投入され、好ましくは、上記共役ジエンが、ブタジエン又はイソプレンであり、より好ましくは1,3-ブタジエンであること;
上記反応が、少なくとも80%転換に、概して90%を超える転換に、好ましくは少なくとも98%転換に、より好ましくは少なくとも99%転換に、最も好ましくは完全転換に、好ましくは、90℃を超える、より好ましくは95~110℃の又は100~105℃の最終ピーク温度Tpに進行することを可能にし、それにより、好ましくは単一の反応器にて、好ましくは2つの反応器を使用する必要なく、カウンターテーパードコポリマーブロックA/Bを形成し、リビングカウンターテーパードジブロックA-A/Bコポリマーを得、一般的には、上記カウンターテーパードジブロックA-A/Bコポリマーのピーク平均分子量が、60~230kg/molであり、好ましくは、上記カウンターテーパードジブロックA-A/Bコポリマーのピーク平均分子量が、65~220kg/molであり、より好ましくは、上記カウンターテーパードジブロックA-A/Bコポリマーのピーク平均分子量が、70~215kg/molであり、100~130kg/molの範囲が最も典型的であることを含む方法である。
【0107】
任意選択であるが好ましい次のステップは、好ましくは、第2の反応器に移すことなく同じ反応器で実施され、
好適なカップリング剤又はカップリング剤の組合せ、好ましくは四塩化ケイ素又はアクリルオリゴマーを、上記反応器に添加し、上記リビングカウンターテーパードジブロックA-A/Bコポリマーを部分的にカップリングして、カウンターテーパード熱可塑性エラストマーを形成することを含み、上記カップリング剤の量は、総反応混合物の0.0020~0.050重量%、概して0.0023~0.040重量%、好ましくは0.0025~0.0350重量%であり、
一般的には、カップリングされていない線形ジブロックA-[A/B]の、カップリングされた放射状(A-[A/B])n-Xカウンターテーパード熱可塑性エラストマーに対する比は、0.1~4.5であり、好ましくは上記比は、0.1~4.0であり、より好ましくは上記比は、0.2~2.7であり、
一般的には、上記カウンターテーパード熱可塑性エラストマーの重量平均分子量Mwは、100~500kg/mol、概して150~400kg/mol、より好ましくは170~375kg/molであり、
一般的には、カップリング後に形成されるA/B-X-B/A中間ブロックは、ブタジエン単位対スチレン単位の最大比を有する中央領域を有し、最大累積B/S比は、少なくとも3、好ましくは少なくとも5、より好ましくは少なくとも10である。
【0108】
表5及び更に上述の実施形態を参照すると、カップリングされたCTTE20~38は、10~55重量%、概して14~50重量%、好ましくは17~45重量%、より好ましくは20~40重量%の含有量の総モノビニル芳香族モノマー、好ましくはスチレンを有し、残りは、共役ジエンモノマー、好ましくはブタジエンである。一般的に、カップリングされたCTTEは、14~50重量%のモノビニル芳香族モノマー単位及び50~86重量%の共役ジエンモノマー単位を含み、好ましくは、17~45重量%のモノビニル芳香族モノマー単位及び55~83重量%の共役ジエンモノマー単位を含み、より好ましくは、20~40重量%のモノビニル芳香族モノマー単位及び60~80重量%の共役ジエンモノマー単位を含む。更に上記の実施形態では、末端B部分がリビング性である線形ジブロックA-[A/B]が形成され、カップリング剤は、リビング末端B部分と結合し、線形ジブロックA-[A/B]単位の少なくとも2つが共にカップリングされて、(A-[A/B])-X-([B/A]-A)及び/又はカップリングされた放射状(A-[A/B])n-Xカウンターテーパード熱可塑性エラストマーが形成されている。カップリング後、CTTEは、モノビニル芳香族モノマー、好ましくはスチレン、及び共役ジエンモノマー、好ましくはブタジエンの両方の単位を含む中央ブロック、並びにモノビニル芳香族モノマー、好ましくはポリスチレンのホモポリマーである各末端のブロックを有する。中間ブロックは、[A/B]-X-[B/A]部分であり、この部分は、2つ以上の[A/B]単位がカップリング剤と結合するか否かに応じて、線形単位及び放射状単位の組合せであってもよい。表5のこの中間ブロック部分は、4~40重量%のモノビニル芳香族モノマー、好ましくはスチレン、及び60~96重量%の共役ジエンモノマー、好ましくはブタジエンであり、一般的には、5~35重量%のモノビニル芳香族モノマー、好ましくはスチレン、及び65~95重量%の共役ジエンモノマー、好ましくはブタジエンであり、好ましくは、5~32重量%のモノビニル芳香族モノマー、好ましくはスチレン、及び68~95重量%の共役ジエンモノマー、好ましくはブタジエンであり、5~30重量%のモノビニル芳香族モノマー、好ましくはスチレン、及び70~95重量%の共役ジエンモノマー、好ましくはブタジエンが最も好ましい。表5に示されているCTTE20~38の中間ブロックブロッキネスは、5~80重量%までの範囲であり、概して6~75重量%、好ましくは6~45重量%の範囲である。
【0109】
上記の実施形態に加え、図5及び表4、カップリングされたCTTE20~38を参照すると、末端B部分がリビング性である線形ジブロックA-[A/B]が形成され、カップリング剤は、リビング末端B部分と結合し、線形ジブロックA-[A/B]単位の少なくとも2つが共にカップリングされ、(A-[A/B])-X-([B/A]-A)及び/又はカップリングされた放射状(A-[A/B])n-Xカウンターテーパード熱可塑性エラストマーが形成されている。カップリング後、CTTEは、モノビニル芳香族モノマー、好ましくはスチレン、及び共役ジエンモノマー、好ましくはブタジエンの両方の単位を含む中央ブロック、並びにモノビニル芳香族モノマー、好ましくはポリスチレンのホモポリマーである各末端のブロックを有する。中間ブロックは、[A/B]-X-[B/A]部分であり、この部分は、2つ以上の[A/B]単位がカップリング剤と結合するか否かに応じて、線形単位及び放射状単位の組合せであってもよい。図1~4は、CTTE37及び38のカップリング前の中間ブロック[A/B]-X-[B/A]部分のコポリマー鎖に沿ったモノマー分布を示し、中間ブロックが、スチレンモノマー単位豊富な(ブタジエン/スチレン累積比が低い)末端領域及びブタジエンモノマー単位豊富な(ブタジエン/スチレン累積比が高い)中央領域を有することが示されている。CTTE37は、約34.4重量%の中間ブロックスチレンの場合、約3.7mol/molの最大ブタジエン/スチレンB/S累積比を有し、CTTE38は、約34.3重量%の中間ブロックスチレンの場合、約3.7mol/molの最大ブタジエン/スチレンB/S累積比を有する。表4の中間ブロック部分のCTTE最大ブタジエン/スチレンB/S累積比は、2~30mol/molであり、概して3~25mol/molであり、好ましくは3~23mol/molであり、3~21mol/molが最も好ましい。一般的に、カップリング後に形成されるA/B-X-B/A中間ブロックは、ブタジエン単位対スチレン単位の最大比を有する中央領域を有し、最大累積B/S比は、少なくとも3、好ましくは少なくとも5、より好ましくは少なくとも10である。
【0110】
実施例5
道路舗装用ポリマー改質アスファルト(PMA)における応用
実施例1に記載のように調製した、表1及び2の高Mwカウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物(CTTE8~13)を、道路舗装調合物用のポリマー改質アスファルト(PMA)のアスファルト改質剤又はアスファルト補強剤として使用した。CTTE8~13 PMA調合物を、実施例2に記載の手順に従って調製及び特徴解析した。
【0111】
CTTEポリマー改質アスファルト(CTTE8~13 PMA)結果は、下記の表5aに示されており、総PMA混合物に基づき2.2重量%のCTTEポリマー含有量での、道路舗装用のアスファルト改質剤としての新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物の性能が高いことが示されている。
【0112】
【表10】
【0113】
表5aを検討すると、これら結果は、低い粘性、より高い弾性応答、広範なPGポリマー改質アスファルト、及び高温特性と低温特性との優れたバランスを示す。CTTE組成物を有するアスファルト調合物の低い粘性及び高い弾性応答の組合せは、加工性と補強性能との望ましいバランスを提供する。
【0114】
実施例6
屋根材及び防水膜用ポリマー改質アスファルト(PMA)における応用
実施例1に記載のように調製した、表1及び2の高Mwカウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物(CTTE8~13)を、屋根材及び防水膜調合物用のポリマー改質アスファルト(PMA)のアスファルト改質剤又はアスファルト補強剤として使用した。CTTE8~13 ポリマー改質アスファルト(PMA)調合物を、実施例2に記載の手順に従って調製した。
【0115】
このようにして得られたCTTE8~13 ポリマー改質アスファルト(PMA)混合物を、ASTM D36に準拠して環球式軟化点温度(TRBSP)により特徴解析した。貫通性は、Koheler Penetrometer K95500型を使用し、ASTM D5に準拠して、60℃、10秒間、及び100グラムで測定した。160及び190℃での動粘度を、ブルックフィールド粘度計モデルRDVS-II+を使用することにより、ASTM D4402に準拠して測定した。低温での柔軟性は、BDA冷間曲げ温度の測定により決定した。
【0116】
CTTEポリマー改質アスファルト(CTTE8~13 PMA)結果は、下記の表6aに示されており、総PMA混合物に基づき8重量%のCTTEポリマー含有量での、屋根材及び防水膜用のアスファルト改質剤としての新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物の性能が高いことが示されている。
【0117】
【表11】
【0118】
表6aを検討すると、これら結果は、低い粘性、高い軟化点、低温での柔軟性向上、及び高温特性と低温特性との優れたバランスを示す。CTTE組成物を有するアスファルト調合物の低い粘性及び高い軟化点の組合せは、加工性と補強性能との非常に望ましいバランスを提供する。
【0119】
実施例7
道路舗装及び屋根材膜用ポリマー改質アスファルト(PMA)における応用
高Mwカウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物を、本発明の教示に従って不活性窒素雰囲気下にてバッチ又は半バッチモードで操作した180リットル反応器系で調製した。CTTEプロトタイプDyne143Aを、実施例1に記載されている手順に従って得、道路舗装及び屋根材膜調合物用のポリマー改質アスファルト(PMA)のアスファルト改質剤又はアスファルト補強剤として使用した。CTTEプロトタイプDyne143A PMA調合物を、実施例2及び実施例6に記載の手順に従って調製及び特徴解析した。
【0120】
CTTEプロトタイプDyne143A PMA結果は、下記の表7に示されており、総PMA混合物に基づき、道路舗装用の場合は2.3重量%の、屋根材膜の場合は6及び12重量%のCTTEポリマー含有量での、アスファルト改質剤としての新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物の性能が高いことが示されている。CTTEプロトタイプDyne143A PMA加工性能を、2つの市販のブロックコポリマー、Solprene(登録商標)411及びSolprene(登録商標)1205のPMA混合物と比較する。Solprene(登録商標)411は、純粋なブロックとして約30重量%の総スチレン含有量を有し、テーパー特徴を有していない、マルチアームの高度にカップリングされたブロックコポリマーである(ラジアルSBn熱可塑性エラストマーとしても知られている)。Solprene(登録商標)1205は、約25重量%の総スチレン含有量及び約17.5重量%のブロックスチレン含有量を有する、通常のテーパードジブロックB/S-Sコポリマーである(グラジュアルSBRとしても知られている)。
【0121】
【表12】
【0122】
表7に加えて、図6及び7は、190℃での混合プロセス全体にわたってモニターし、それぞれ2.3及び6重量%のポリマーで調製した、CTTEプロトタイプDyne143A PMAの20×蛍光顕微鏡画像を示す。各矢印は、各PMA混合物で完全なポリマー分散が観察された際の混合時間に対応する画像を指す。PMA中のCTTEプロトタイプDyne143Aの分散性能を、市販のポリマー、Solprene(登録商標)411及びSolprene(登録商標)1205のPMA混合物と比較する。蛍光顕微鏡画像により、ポリマー豊富な相及びアスファルト豊富な相の両方の形態を観察することが可能である。ポリマー豊富な相は、より明るい領域として観察され、アスファルト豊富な相は、より暗色の領域として観察される。CTTEプロトタイプDyne143Aの対応するPMA混合時間の、図6に示されている蛍光顕微鏡画像を、Solprene(登録商標)411及びSolprene(登録商標)1205に対して定性的に比較すると、2.3重量%では、CTTEプロトタイプDyne143A PMA中のポリマー豊富な相は、180分間で完全に分散したことが明らかになった。これは、Solprene(登録商標)411 PMAでの分散時間よりも非常に短く(約25%)、Solprene(登録商標)1205 PMAで必要とされる分散時間と同じである。粒子サイズの低減は、アスファルトとの相溶性増強の証拠であり、これは、L.H.Lewandowski(1994年)、Rubber Chemistry and Technology,Rubber Reviews、67巻、3号、447~480頁の知見と一致する。6重量%のPMAに対応する図7の画像を定性的に比較すると、混合挙動は比較的類似しているが、分散時間がより長いことが明らかになった。6重量%では、CTTEプロトタイプDyne143A PMA中のポリマー豊富な相は、240分で完全に分散した。これは、Solprene(登録商標)411 PMAでの分散時間よりも更に非常に短く(約33%)、Solprene(登録商標)1205 PMAで必要とされる分散時間と同じである。CTTEプロトタイプDyne143Aは、Solprene(登録商標)1205と同様の、ポリマー濃度に対するPMA分散性能依存性を有する。
【0123】
表7を検討すると、これら結果は、2.3重量%では、CTTEプロトタイプDyne143A PMAの135℃での粘性は低く、より高い(約30%)Solprene(登録商標)411 PMAの粘性と、より低い(約30%)Solprene(登録商標)1205 PMAの粘性との中間であることを示す。驚くべきことに、12重量%でも、CTTEプロトタイプDyne143A PMAの160℃での粘性は、更に高い(約70%)Solprene(登録商標)411 PMAの粘性と、更に近い(約10%)Solprene(登録商標)1205 PMAの粘性との中間である。CTTEプロトタイプDyne143Aは、Solprene(登録商標)1205と同様の、ポリマー濃度に対するPMA粘性発現依存性を有する。また、粘性が低いことは、道路舗装に使用されるホットミックスアスファルトの混合及び圧縮に利点を提供する。
【0124】
図8には、様々な温度での混合処理全体にわたってモニターし、2.3重量%のポリマーを用いて調製した幾つかのポリマー改質アスファルト(PMA)の最大性能等級(AASHTO基準PG)温度が示されている。170、180、及び190℃で混合したCTTEプロトタイプDyne143A PMAの補強性能を、185℃で混合した市販のブロックコポリマーSolprene(登録商標)411 PMAと比較する。図8を検討すると、これら結果は、CTTEプロトタイプDyne143A PMAの破壊温度(最大性能等級温度)が、全ての混合温度で、15℃低い混合温度(170℃)で混合した場合であっても、混合プロセス全体にわたってSolprene(登録商標)411 PMAよりも高いことを示す。驚くべきことに、CTTEプロトタイプDyne143A PMAは、重要なコスト的及び/又は加工的利点を併せ持つ、Solprene(登録商標)411 PMAと同様の補強性能を提供する。
【0125】
要約すると、実施例7に記載されている結果は、新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物が、新規ポリマー改質アスファルトCTTEプロトタイプDyne143A PMAに、Solprene(登録商標)1205と同様の、ポリマー濃度に対する分散性能依存性;Solprene(登録商標)1205と同様の、ポリマー濃度に対する粘性発現依存性;及び驚くべきことに、重要なコスト的及び/又は加工的利点を併せ持つ、Solprene(登録商標)411 PMAと同様の補強性能を提供することを示す。このCTTEプロトタイプDyne143A PMA加工性及び補強性能の驚くべき組合せは、アスファルト改質産業に、道路舗装及び屋根材膜への適用の両方に、非常に望ましいバランスを提供する。また、得られるPMA混合物の補強性能が優れていることに加えて、アスファルト調合物の粘性が非常に低いことは、アスファルトへのポリマーの分散を容易にし、混合に必要とされる時間を向上させることに寄与することの他に、ポンプ送液能力を向上させることにより、及び/又はそれを施すために必要なエネルギーを減少させることにより、及び/又は熱保管安定性を促進することにより、より低い温度であっても、改質アスファルト混合物の加工、取り扱い、及び施行を容易にする。これは、重要なコスト削減であること及びより環境に優しいプロセスであることも意味する。
【0126】
実施例8
道路舗装用ポリマー改質アスファルト(PMA)における応用
実施例7に記載されている高Mw CTTEプロトタイプDyne143Aを、道路舗装調合物用のポリマー改質アスファルト(PMA)のアスファルト改質剤又はアスファルト補強剤として使用した。CTTEプロトタイプDyne143A PMA調合物を、実施例2に記載の手順に従って調製及び特徴解析した。
【0127】
CTTEプロトタイプDyne143A PMA結果は、下記の表8に示されており、総PMA混合物に基づき2.3、2.5、及び2.8重量%のCTTEポリマー含有量では、道路舗装用アスファルト改質剤としての新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物の性能が高いことが示されている。CTTEプロトタイプDyne143A PMA補強性能を、2つの市販のブロックコポリマー、Solprene(登録商標)411及びSolprene(登録商標)1205のPMA混合物と比較する。
【0128】
【表13】
【0129】
表8を検討すると、驚くべきことに、これら結果は、2.5重量%では、CTTEプロトタイプDyne143A PMAの25℃での弾性応答が高く、Solprene(登録商標)411 PMAの25℃での弾性応答と同様であり、Solprene(登録商標)1205 PMAの25℃での弾性応答よりも非常に高い(約35%)ことを示す。また、驚くべきことに、2.3及び2.8重量%では、広範な性能等級PGが、CTTEプロトタイプDyne143A PMA混合物で達成されており、これは、Solprene(登録商標)411 PMA及びSolprene(登録商標)1205 PMAの範囲よりも更に広範である。CTTEプロトタイプDyne143Aは、道路舗装への適用の場合、Solprene(登録商標)411及びSolprene(登録商標)1205の両方よりも、より良好なPMA補強性能及び向上された高温特性を提供する。これは、塑性変形耐性が高く、耐疲労性が高く、及び熱亀裂がより低いと言い換えられる。
【0130】
実施例9
屋根材及び防水膜用ポリマー改質アスファルト(PMA)における応用
実施例7に記載されている高Mw CTTEプロトタイプDyne143Aを、屋根材及び防水膜調合物用のポリマー改質アスファルト(PMA)のアスファルト改質剤又はアスファルト補強剤として使用した。CTTEプロトタイプDyne143A PMA調合物を、実施例2及び実施例6に記載の手順に従って調製及び特徴解析した。
【0131】
CTTEプロトタイプDyne143A PMA結果は、下記の表9に示されており、20及び30重量%の石灰充填剤含有量で負荷した総PMA混合物に基づき6重量%のCTTEポリマー含有量では、屋根材及び防水膜用のアスファルト改質剤としての新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物の性能が高いことが示されている。CTTEプロトタイプDyne143A PMA加工性能を、市販のブロックコポリマー、Solprene(登録商標)411のPMA混合物の加工性能と比較する。
【0132】
【表14】
【0133】
表9を検討すると、これら結果は、20重量%の石灰充填材を負荷したCTTEプロトタイプDyne143A PMAの160及び190℃での粘性が低く、同じ充填材を負荷したSolprene(登録商標)411 PMAの粘性よりも非常に低い(約35~45%)ことを示す。また、20重量%の充填材を負荷したSolprene(登録商標)411 PMAの粘性と同様の160及び190℃での粘性は、より高い(約50%)充填材負荷量(30重量%石灰充填材)を負荷したCTTEプロトタイプDyne143A PMAで発現されている。CTTEプロトタイプDyne143Aは、Solprene(登録商標)411よりも良好な充填PMA加工性能を提供し、それにより、より高い充填剤負荷量のPMA調合物が可能になり、したがって、屋根材、屋根板、及び防水膜への適用では、重要なコスト削減及びより高い変形耐性を提供する。
【0134】
実施例10
屋根材及び防水膜用ポリマー改質アスファルト(PMA)における応用
実施例7に記載されている高Mw CTTEプロトタイプDyne143Aを、屋根材及び防水膜調合物用のポリマー改質アスファルト(PMA)のアスファルト改質剤又はアスファルト補強剤として使用した。CTTEプロトタイプDyne143A PMA調合物を、実施例2及び実施例6に記載の手順に従って調製及び特徴解析した。
【0135】
CTTEプロトタイプDyne143A PMA結果は、下記の表10に示されており、総PMA混合物に基づき4及び5重量%のCTTEポリマー含有量で、屋根材及び防水膜用のアスファルト改質剤としての新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物の性能が高いことが示されている。CTTEプロトタイプDyne143A PMA補強性能を、市販のブロックコポリマー、Solprene(登録商標)411のPMA混合物の補強性能と比較する。
【0136】
【表15】
【0137】
表10を検討すると、これら結果は、CTTEプロトタイプDyne143A PMAの高温性能(軟化点)と低温性能(冷間曲げ)とのバランスが向上されていることを示す。これは、同じ(4重量%)ポリマー含有量のSolprene(登録商標)411 PMAのバランスよりも、低温ではより良好であり、高温では許容可能である。驚くべきことに、CTTEプロトタイプDyne143A PMAの高温性能(軟化点)と低温性能(冷間曲げ)との優れたバランスは、約20%より高い(5重量%)ポリマー含有量で達成される。これは、より低い(4重量%)ポリマー含有量で調製したSolprene(登録商標)411 PMAのバランスよりも、低温ではより良好であり、高温では同様である。新規の高Mw CTTEプロトタイプDyne143Aは、Solprene(登録商標)411よりも向上されたPMA補強性能を提供し、屋根材、屋根板、及び防水膜への適用では、高温での良好な作業性及び低温でのより良好な柔軟性(破壊抵抗の向上)を可能にする。
【0138】
実施例11
道路舗装用ポリマー改質アスファルト(PMA)における応用
低Mwカウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物を、本発明の教示に従って不活性窒素雰囲気下にてバッチ/又は半バッチモードで操作した180リットル反応器系で調製した。低Mw CTTEプロトタイプDyne143Cを、実施例1に記載されている手順に従って得、道路舗装調合物用のポリマー改質アスファルト(PMA)のアスファルト改質剤又はアスファルト補強剤として使用した。CTTEプロトタイプDyne143C PMA調合物を、実施例2に記載の手順に従って調製及び特徴解析した。
【0139】
CTTEプロトタイプDyne143C PMA結果は、下記の表11に示されており、総PMA混合物に基づき2.3、2.5、及び2.8重量%のCTTEポリマー含有量では、道路舗装用のアスファルト改質剤としての新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物の性能が高いことが示されている。CTTEプロトタイプDyne143C PMA加工性能及び補強性能を、2つの市販のブロックコポリマー、Solprene(登録商標)1205及びKraton(登録商標)D1192のPMA混合物と比較する。前者は、実施例7で既に説明されている。後者は、テーパー特徴を有しておらず、純粋なポリスチレンブロックとして約30重量%の総スチレンを有する完全連続トリブロックコポリマー高ビニルSBSと記述される。
【0140】
【表16】
【0141】
表11を検討すると、これら結果は、2.3重量%では、CTTEプロトタイプDyne143C PMAの135℃での粘性が非常に低く、Solprene(登録商標)1205及びKraton(登録商標)D1192 PMA混合物の両方の粘性と驚くほど類似していることを示す。より驚くべきことには、2.5重量%では、CTTEプロトタイプDyne143C PMAの25℃での弾性応答は、Solprene(登録商標)1205及びKraton(登録商標)D1192PMA混合物の両方の弾性応答よりも高い(約20~40%)。CTTEプロトタイプDyne143Cは、Solprene(登録商標)1205及びKraton(登録商標)D1192 PMA混合物と同様の、ポリマー濃度に対するPMA粘性発現依存性を提供することが予想される。これは、アスファルト産業におけるPMA濃縮物の加工及び取り扱いにとって、並びに道路舗装に使用されるホットミックスアスファルトの混合及び圧縮にとって有利である。
【0142】
また、驚くべきことに、2.3及び2.8重量%では、広範な性能等級PGが、CTTEプロトタイプDyne143C PMA混合物で達成されており、これは、Solprene(登録商標)1205及びKraton(登録商標)D1192 PMA混合物の範囲と同じ範囲である。新規CTTEプロトタイプDyne143Cは、道路舗装への適用では、Solprene(登録商標)1205及びKraton(登録商標)D1192 PMA混合物と同様の、加工性及び補強性能バランスをPMAに提供する。これは、塑性変形耐性が高く、耐疲労性が高く、及び熱亀裂がより低いと言い換えられる。
【0143】
実施例12
道路舗装用ポリマー改質アスファルト(PMA)における応用
実施例11に記載されている低Mw CTTEプロトタイプDyne143Cを、道路舗装調合物用のポリマー改質アスファルト(PMA)のアスファルト改質剤又はアスファルト補強剤として使用した。CTTEプロトタイプDyne143C PMA調合物を、実施例2に記載の手順に従って調製した。標準温度及び湿度実験室条件で、Stable Micro Systems社製のTA.XTPlusテクスチャ分析器を使用することにより、接着強度を測定した。
【0144】
CTTEプロトタイプDyne143C PMA結果は、下記の表12に示されており、総PMA混合物に基づき2.3重量%のCTTEポリマー含有量では、道路舗装用のアスファルト改質剤としての新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物の性能が高いことが示されている。CTTEプロトタイプDyne143C PMA補強性能を、2つの市販のブロックコポリマー、Solprene(登録商標)411及びSolprene(登録商標)1205のPMA混合物と比較する。
【0145】
【表17】
【0146】
表12を検討すると、驚くべきことに、これら結果は、CTTEプロトタイプDyne143C PMAの平均接着強度を示し、それは、Solprene(登録商標)1205 PMAの接着強度と非常に類似しており、Solprene(登録商標)411 PMAの接着強度よりも非常に高い(約70%)ことを示す。CTTEプロトタイプDyne143Cは、PMA補強性能に、Solprene(登録商標)1205 PMA混合物と同様の接着特性の向上を提供する。これは、道路舗装への適用では、アスファルト骨材表面相互作用に重要な特徴である。
【0147】
実施例13
道路舗装用ポリマー改質アスファルトエマルジョン(PME)における応用
実施例11に記載されている低Mw CTTEプロトタイプDyne143Cを、道路舗装調合物用のポリマー改質アスファルトエマルジョン(PME)のアスファルト改質剤又はアスファルト補強剤として使用した。CTTEプロトタイプDyne143C PME調合物を、米国標準規格RS-1Pに準拠して調製し、実施例3に記載の手順に従って特徴解析した。元のCTTEプロトタイプDyne143C PMAを、乳化プロセス前に170℃で混合した。
【0148】
CTTEプロトタイプDyne143C PME結果は、下記の表13に示されており、総PMA残分及び5%芳香族融剤で流動化されたPG64-22ベースアスファルトに基づき3重量%のCTTEポリマー乾燥ベース含有量では、道路舗装用エマルジョンのアスファルト改質剤としての新規カウンターテーパード熱可塑性エラストマー組成物の性能が高いことが示されている。CTTEプロトタイプDyne143C PMEの加工性及び補強性能を、2つの市販のブロックコポリマー、Solprene(登録商標)4318及びSolprene(登録商標)1205のPME、並びに市販の高固型分水性ポリマー分散系である24重量%スチレン含有量のSBRラテックスButonal(登録商標)4190のPMEと比較する。
【0149】
【表18】
【0150】
表13を検討すると、これら結果は、ポリマー改質アスファルトエマルジョンCTTEプロトタイプDyne143C PMEは、粘性が低く、保管安定性が優れており、ふるい残分が優れていることを示す。150℃での乳化プロセス前にCTTEプロトタイプDyne143C PMAを低温(170℃)で混合することは、必要とされるPMA冷却時間を、約6~8時間から約3~4時間へと半分に低減することにより、重要な加工利点を提供する。また、これら結果は、ポリマー改質アスファルト残分CTTEプロトタイプDyne143C PMAは、10℃での弾性応答が高く、高温特性(軟化点)と低温特性(延性)とのバランスがより良好であることを示す。CTTEプロトタイプDyne143Cは、特性のバランスが向上したPME加工性及びPMA補強性能を提供し、市販のポリマーを用いて調製されたPMEよりも非常に優位であり、また、チップシール、タックコート、及び低温混合等の、PME道路舗装応用の米国標準規格RS-1Pを満たす。実施例12に記載の接着強度が向上されたCTTEプロトタイプDyne143C PMAは、ポリマー改質アスファルトエマルジョン(PME)に、チップシール応用等の表面処理に必要な接着性を提供することが予想される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8