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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-16
(45)【発行日】2022-09-28
(54)【発明の名称】紙材料を接合するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   B31F 5/00 20060101AFI20220920BHJP
   B29C 65/56 20060101ALI20220920BHJP
【FI】
B31F5/00
B29C65/56
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021551856
(86)(22)【出願日】2020-02-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-08
(86)【国際出願番号】 EP2020054278
(87)【国際公開番号】W WO2020178024
(87)【国際公開日】2020-09-10
【審査請求日】2021-08-31
(31)【優先権主張番号】102019202850.0
(32)【優先日】2019-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521077576
【氏名又は名称】シンテゴンテクノロジー ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Syntegon Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Stuttgarter Strasse 130, 71332 Waiblingen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ウルリッヒ ヴィードゥヴィルト
【審査官】田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-126249(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0165718(US,A1)
【文献】特表2009-537347(JP,A)
【文献】特開2006-283232(JP,A)
【文献】特表2001-523595(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B31F 5/00
B29C 65/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙材料(2,3)を第1の接合領域(20)と第2の接合領域(30)とにおいて接合するための方法であって、
- 前記第1の接合領域(20)および/または前記第2の接合領域(30)に給湿するステップと、
- 前記第1の接合領域(20)と前記第2の接合領域(30)とを超音波摩擦溶着装置(6)のホーン(60)とアンビル(63)との間で超音波摩擦溶着によって接合するステップであって、前記ホーン(60)の振動方向(A)が、前記アンビル(63)の接合力の接合力方向(B)に対して平行でない、ステップと、
を含む方法において、
前記方法は、前記第1の接合領域(20)および/または前記第2の接合領域(30)を粗面化するステップ含む、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第1の接合領域および/または前記第2の接合領域を粗面化する前記ステップを、給湿する前記ステップの前に実施する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第1の接合領域および/または前記第2の接合領域を粗面化する前記ステップを、給湿する前記ステップの後で実施する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記振動方向(A)は、前記接合力方向(B)に対して垂直である、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記方法を連続的に実施し、これによって、線状に接合された結合部(11)を前記紙材料に製作する、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
点状の凸部と凹部との間に0μm帯域幅の粗さが達成されるように、粗面化を実施する、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
粗面化された前記接合領域の幅が、給湿された前記接合領域の幅に等しい、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
接合を完全に付加材料なしに施する、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
接合すべき前記紙材料は、プラスチックおよび接着剤を含まない、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
粗面化の前記ステップを超音波によって行う、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
粗面化を連続的にまたは断続的に行う、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
紙材料(2,3)を該紙材料の複数の接合領域(20,30)において接合するための装置であって、
- 前記接合領域(20,30)に給湿するための給湿装置(5)と、
- 超音波振動を発生させるためのホーン(60)および接合力を発生させるためのアンビル(63)を有する超音波摩擦溶着装置(6)であって、前記超音波振動は、前記アンビルの前記接合力の力方向(B)に対して平行でない第1の方向(A)に向けられている、超音波摩擦溶着装置(6)と、
を備える装置において、
前記装置は、前記紙材料の1つの接合領域(20,30)を粗面化するための粗面化装置(4)備える、ことを特徴とする装置。
【請求項13】
前記アンビルは、ローラまたはドラムとして形成されている、請求項12記載の装置。
【請求項14】
前記粗面化装置(4)は、超音波によって作業する、請求項12または13記載の装置。
【請求項15】
前記粗面化装置(4)は、0μm帯域幅の粗さを発生させる、請求項12から14までのいずれか1項記載の装置。
【請求項16】
前記粗面化装置(4)のホーン(60)は、面状に形成されていて、粗面化された表面を有する、請求項14または15記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
従来技術
本発明は、紙材料、特に紙、厚紙またはボール紙またはこれに類するものを接合するための方法および装置に関する。接合工程は、追加的な補助材料、特にプラスチックおよび/または接着剤なしに実施することができる。
【0002】
欧州特許出願公開第0340334号明細書に基づき、紙製品を超音波で接合する装置が公知である。同明細書では、使用される紙が、熱可塑性のコーティングを有する。この熱可塑性のコーティングが、接合プロセス中に溶融する。次いで、冷却および完全硬化後に、紙層の接合領域は互いに結合されている。さらに、独国特許出願公開第102013225745号明細書に基づき、紙材料を結合するための超音波接合法が公知であり、この公知の接合法では、超音波摩擦溶着が実施される。これらの公知の方法は基本的にその有効性が実証されているが、特に環境規定の厳格化に基づき、例えば包装体を完全に、リサイクル可能な、かつ環境負荷を招く恐れがある他の付加的な構成成分、特にプラスチックまたは接着剤またはこれに類するものを含まない紙材料から製造することへの喫緊の需要がある。
【0003】
発明の開示
請求項1の特徴を有する、紙材料を接合するための本発明に係る方法には、従来のものに比べて、例えばパッケージを製造するために、未処理の紙材料を使用することができるという利点を有している。この利点は、本発明によれば、第1の接合領域と第2の接合領域とを有する紙材料を接合するための方法が、第1の接合領域および/または第2の接合領域を粗面化するステップと、第1の接合領域および/または第2の接合領域に給湿するステップと、第1の接合領域と第2の接合領域とを超音波ユニットのホーン(Sonotrode)とアンビル(Amboss)との間で超音波摩擦溶着によって接合するステップであって、ホーンの振動方向が、接合力の接合力方向に対して平行でない、ステップとを含む方法によって達成される。このとき、第1の接合領域と第2の接合領域とは、ただ1つの紙材料に設けられていてもよいし、それぞれ1つの接合領域が、それぞれ別個の紙材料に設けられていてもよい。接合領域の粗面化によって、接合面において、この接合面の三次元的な増大が達成されることが保証される。接合面に水を付加的に与えることによって、接合工程中に水素結合が可能になる。このとき、接合工程は、圧力と超音波作用とによって行われる。
【0004】
紙表面を粗面化するという優れた思想によって、形成された結合部の強度が高められる。粗面化時に、個々の紙繊維が紙複合材から解離され、接合領域の表面に引き出される。これによって、接合面の粗さが高められる。
【0005】
本発明に係る方法は、種々様々な形態で実施することができる。
【0006】
好ましくは、第1のステップで、紙材料の接合領域が粗面化され、次いで粗面化された接合領域に水またはその他の液体が給湿される。第2の接合領域は、未処理のままである。次に接合工程を行うことができる。
【0007】
代替的に、第1の接合領域は粗面化され、第2の接合領域は給湿される。次いで、粗面化された接合領域と、給湿された第2の接合領域とが互いに接合される。
【0008】
代替的な別の実施形態によれば、まず、紙材料の第1の接合領域への給湿が行われ、次いで、給湿された第1の接合領域の粗面化が行われる。第2の接合領域は未処理のままであるか、または代替的に粗面化されるかまたは代替的に給湿されるだけである、またはさらに代替的に粗面化されかつ給湿される。
【0009】
超音波摩擦溶着中に加えられる熱によって、給湿によって加えられた水は蒸発し、両紙材料の間の安定した結合部を得ることができる。
【0010】
本発明は、特に好ましくは、第1の接合領域においてだけ実施され、さらに好ましくは、まず粗面化され、次いで給湿される。これによって、第2の接合領域を未処理のままにすることができ、次いで接合工程を実施することができる。
【0011】
したがって、接合ステップの前に粗面化を実施することによって、紙材料の両接合領域の間における著しく改善された結合部が得られる。好ましくは、粗面化のステップは、機械式に実施され、これによって、常に接合領域の均一な粗面化が達成される。
【0012】
従属請求項には、本発明の好適な発展形態が開示されている。
【0013】
好ましくは、ホーンの振動方向が、接合力方向に対して垂直であるかまたは実質的に垂直であると、特に良好な超音波摩擦溶着工程が保証される。これによって、接合領域への高いエネルギ供給が保証され、その結果、接合時間を有意に短くすることができる。
【0014】
好ましくは、方法は連続的に実施される。これによって、例えば、特にパッケージまたはこれに類するもので使用される閉鎖されたシームを生じさせることができる。方法の連続的な実施は、接合領域での線状の接合結合をも保証する。代替的に、例えば閉鎖された接合結合部を形成することが望まれていない場合には、方法は断続的に実施される。
【0015】
第1の接合領域および/または第2の接合領域の粗面化が、紙材料の中心平面を中心として±20μm、特に±10μmの範囲内の粗さが得られるように実施されると、特に良好な接合結果が得られる。これによって、接合領域の表面の実質的に一定の粗面化を達成することができ、これによって、優れた接合結果が得られる。
【0016】
さらに好ましくは、粗面化された接合領域の幅が、給湿された接合領域の幅と同じである。さらに好ましくは、接合の方法は完全に付加材料なしに、特に熱可塑性のプラスチックまたは接着剤またはこれに類するものなしに実施される。特に、接合すべき紙材料は、プラスチックおよび接着剤なしである。さらに、紙材料は、如何なるプラスチック被覆層またはこれに類するものも有していない。
【0017】
方法を実施するための特にコンパクトな装置は、粗面化のステップが同様に超音波によって行われる場合に得られる。このような場合には、2つの超音波ユニットを相前後して配置することができ、第1の超音波ユニットは、少なくとも1つの接合領域を粗面化するために働き、第2の超音波ユニットは、接合ステップを実施するために働く。
【0018】
粗面化は、好ましくは連続的にまたは代替的に断続的に実施される。粗面化を超音波によって実施することが望まれている場合には、好ましくは、1つの超音波ユニットのホーンは、このホーンが、紙材料に向けられたフラットなホーン面を有しているように形成されている。これによって、予め設定された帯域範囲内の優れた粗面化を達成することができる。
【0019】
さらに、本発明は、紙材料を接合するための装置であって、
- 紙材料の少なくとも1つの接合領域を粗面化するための粗面化装置と、
- 紙材料の少なくとも1つの接合領域に給湿するための給湿装置と、
- 超音波振動を発生させるためのホーンおよび接合力を発生させるためのアンビルを有する超音波摩擦溶着装置であって、接合力は、ホーンの超音波振動の方向と異なる、平行でない方向に向けられている、超音波摩擦溶着装置とを備える、装置に関する。
【0020】
したがって、超音波摩擦溶着装置は、ホーンの振動方向と接合力の接合力方向とが互いに平行でなく、これにより、高められた入熱が超音波摩擦溶着工程によって達成されることを保証する。
【0021】
アンビルは、好ましくはローラまたはドラム(Rolle oder Walze)である。これによって、接合力または粗面化力と振動方向との間における種々異なる方向を簡単に得ることができる。
【0022】
さらに好ましくは、粗面化装置は、超音波発生器である。このとき、好ましくは、別個の超音波発生器が使用される。
【0023】
本発明の別の好適な構成によれば、粗面化装置は、±20μm、好ましくは±10μmの帯域幅(Bandbreite)の粗さを保証する。
【0024】
さらに、本発明は、本発明に係る方法により製造された紙パッケージに関する。この紙パッケージは、特に好ましくは食品パッケージである。紙パッケージは、プラスチックなしに、かつ他の異物もなしに製造することができるので、紙パッケージの完全なリサイクル可能性が与えられている。
【0025】
本発明の好適な実施形態
次に、添付の図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の第1の実施例による、接合するための装置を概略的に示す図である。
図2】第1の実施例の粗面化装置を概略的に示す図である。
図3】第1の実施例の粗面化された接合領域の粗さを概略的に示す線図である。
図4】第1の実施例による超音波溶着装置を概略的に示す図である。
図5】第1の実施例による、接合するための方法を概略的に示す図である。
図6】第2の実施例による、接合するための方法を概略的に示す図である。
図7】第3の実施例による、接合するための方法を概略的に示す図である。
図8】第4の実施例による、接合するための方法を概略的に示す図である。
図9】第5の実施例による、接合するための方法を概略的に示す図である。
図10】第6の実施例による、接合するための方法を概略的に示す図である。
【0027】
本発明の好適な実施形態
次に、図1図5を参照しながら、本発明の第1の実施例による、紙材料を接合するための装置1および方法について詳説する。
【0028】
図1には、紙材料を接合するための装置1の構造が概略的に示してある。図1から分かるように、装置1は、粗面化装置4、給湿装置5および超音波摩擦溶着装置6を含んでいる。
【0029】
この実施例では、第1の紙材料2と第2の紙材料3とが、接合領域、特に紙材料の縁部領域で互いに接合されることが望まれている。紙材料は、例えば無端物品としてのロールから引き出すことができる。紙材料は、プラスチックおよび接着剤を含んでおらず、如何なる被覆層も有していない。
【0030】
第1の紙材料2には、第1の接合領域20が設けられている。第2の紙材料3には、第2の接合領域30が設けられている。このことは、図5における第1の実施例による本発明に係る方法の図に概略的に示してある。
【0031】
第1の実施例では、第1の接合領域20だけが複数の方法ステップで処理され、これに対して、第2の接合領域30は、処理なしのままである。すなわち、第2の接合領域30は、面状の紙材料の表面に相当している。
【0032】
図1および図5から分かるように、第1の紙材料2はロールから引き出され、粗面化装置4に供給される。この粗面化装置4で第1の接合領域20は粗面化される。
【0033】
この実施例では、粗面化装置4は、図2に詳細に示した超音波粗面化装置である。粗面化装置4は、ダブルコンバータ71によって振動させられる面状のホーン70を含んでいる。さらに、粗面化装置4は、面状のアンビル73を含んでいる。面状のホーン70は、水平方向の振動方向Aを有している。アンビル63は、ホーン振動Aに対して垂直方向である接合力方向Bにおける接合力を提供する。見易くするために図2では、第1の接合領域20が粗面化される第1の紙材料2は図示しない。
【0034】
図3には、粗面化工程後の第1の接合領域20の粗さを示す線図が示してある。この線図では、超音波粗面化によって、約20μmの高さ分布を有する粗面化が行われ、この高さ分布が、+10μm~-10μmの点状の凸部と凹部とを有していることが明らかである。線図は、第1の紙材料2の走行長さLに関する粗さRを示している。
【0035】
粗面化装置4を用いた粗面化時に、振動時間と振動振幅とによって、第1の接合領域20の表面の粗さに合目的的に影響を及ぼすことができる。振動時間が長ければ長いほど、第1の接合領域20の表面は強く変化させられ、粗面化される。ホーンの振動の振幅が低減されると、接合された結合部の剥離強さが低減する。
【0036】
第1の紙材料2に対するホーン70の接触面は、例えばガラスビーズブラストによって幾分粗面化されており、これによって、粗面化工程時における比較的良好な結果が得られる。
【0037】
図4には、超音波摩擦溶着装置6が示してある。この超音波摩擦溶着装置6では、ドラム状のアンビル63が設けられている。ここではホーン70の振動方向Aが、ドラム状のアンビル63の接合力方向Bに対して垂直である。これによって、大きな熱を生じさせることができ、その結果、接合工程を超音波摩擦溶着によって実施することができる。ここで付言しておくと、図4に示した装置は、粗面化装置の変化形態としても使用することができる。
【0038】
図1および図5からさらに分かるように、第1の接合領域20は、本来の接合工程の前でさらに給湿装置5によって給湿される。給湿のための媒体としては、好ましくは水が使用される。第1の接合領域20は、給湿の前に粗面化装置4によって粗面化されているので、接合面は三次元的に増大させられている。これによって、給湿による水の存在時には、粗面化されていない表面に対して、改善された水素結合が接合時に可能になる。
【0039】
特に粗面化工程によって、紙材料2,3の付加材料またはプラスチック被覆層またはこれに類するものは不可能である。接合工程のためには未処理の紙材料を使用することができる。これによって、本発明に係る方法は普遍的に使用することができる。
【0040】
図5にはさらに、第1の紙材料2および第2の紙材料3の接合工程の方法経過が概略的に示してある。第1のステップで、第1の接合領域20は粗面化装置4によって粗面化され、これによって、粗面化された第1の接合領域201が発生する。第2の接合領域30は未処理のままである。
【0041】
次のステップで、粗面化された第1の接合領域201は、給湿装置5によって給湿される。これによって、粗面化され給湿された第1の接合領域202が発生する。第2の接合領域30は引き続き未処理のままである。
【0042】
次いで、両紙材料2,3は超音波摩擦溶着装置6に供給され、第1の紙材料と第2の紙材料との間の結合部11が、超音波摩擦溶着によって形成される。第1の接合領域20の粗面化と給湿とによって、紙材料の優れた結合が可能となる。この際に第2の接合領域30はまったく加工される必要がない。これによって、この本発明に係る方法は、特に安価に実施することができる。
【0043】
図6には、本発明の第2の実施例による、紙材料を接合するための方法が概略的に示してある。等しい部材および等しい機能を有する部材には、等しい符号が付されている。第1の実施例とは異なり、第2の実施例では第2の接合領域30も加工される。図6から分かるように、第1の接合領域20は第1のステップで粗面化装置4によって粗面化される。同時に第2の接合領域30は給湿装置5によって給湿される。次に、第1の紙材料2および第2の紙材料3は、超音波摩擦溶着装置6に供給され、互いに接合される。この構造では、第1の接合領域20と第2の接合領域30とを互いに並行して処理することができるので、特にコンパクトな接合装置1が可能である。
【0044】
図7には、本発明の第3の実施例による方法が示してある。第3の実施例による第1の紙材料2の第1の接合領域20のための方法は、第1の実施例に相当しているので、第1ステップではまず第1の接合領域20が粗面化され、次いで、給湿される。しかしながら、第1の実施例とは異なり、第3の実施例では第2の接合領域30も処理される。図7から分かるように、第2の接合領域30は第2の粗面化装置4’によって粗面化され、これによって、粗面化された第2の接合領域302が形成される。最後のステップで、粗面化された第2の接合領域302と、粗面化され給湿された第1の接合領域202とは、超音波摩擦溶着装置6において互いに結合される。
【0045】
図8には、第4の実施例による方法が示してある。この第4の実施例では、第1の接合領域20は、第1の実施例におけるように粗面化と給湿とによって加工され、第2の接合領域30は、まず、第2の給湿装置5’によって給湿され、次いで、第2の粗面化装置4’によって粗面化される。これによって、第1の接合領域20と第2の接合領域30とにおける粗面化と給湿との順序が逆転される。その後、最後のステップで、第1の紙材料2および第2の紙材料3の両接合領域は、超音波摩擦溶着装置6によって接合され、接合された紙材料10が形成される。ここで付言しておくと、粗面化と給湿との順序は、図8に概略的に示すように、逆転されてもよい。
【0046】
図9には、本発明の第5の実施例による方法が示してある。第5の実施例では、第1の接合領域20と第2の接合領域30とが共に加工される。図9から分かるように、第1の接合領域20および第2の接合領域30は、第1ステップで共に給湿装置5,5’によって給湿され、次いで、第2のステップで粗面化装置4,4’によって粗面化される。最後のステップで、接合工程が超音波摩擦溶着装置6によって実施される。これによって、第1の接合領域20がまず給湿されるので、給湿された第1の接合領域203が発生し、この第1の接合領域203は次いで粗面化され、これによって、給湿されかつ粗面化された第1の接合領域202が発生する。同様に第2の接合領域30もまず給湿され、これによって、給湿された第2の接合領域301が発生し、次いで、粗面化され、これによって、給湿され粗面化された第2の接合領域303が生じる。次に、両接合領域は再び接合され、接合された紙材料10が形成される。
【0047】
図10には、本発明の第6の実施例による方法が示してある。この第6の実施例では、第1の接合領域20と第2の接合領域30とが、ただ1つの紙材料2に設けられていて、接合されて、長手方向シーム210を備えた筒状袋200が形成される。この場合、第1の接合領域20が粗面化され、第2の接合領域30が給湿される。
【0048】
筒状袋を製造することに関して付言しおくと、図6図9に記載した変化形態は、単にただ1つの紙材料だけに第1の接合領域20および第2の接合領域30を備えて形成することができる。
【0049】
すべての実施例に対してさらに付言しておくと、少なくとも1回の給湿ステップおよび粗面化ステップが、紙材料2,3の一方の接合領域においてまたは両方の接合領域20,30において実施される限り、本発明によれば、本発明の種々様々な変化形態を実施できることが可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10