(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-20
(45)【発行日】2022-09-29
(54)【発明の名称】回転ロック式安全インスリン注射針
(51)【国際特許分類】
A61M 5/32 20060101AFI20220921BHJP
【FI】
A61M5/32 510P
(21)【出願番号】P 2020573520
(86)(22)【出願日】2019-06-29
(86)【国際出願番号】 CN2019094029
(87)【国際公開番号】W WO2020001655
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2021-03-05
(31)【優先権主張番号】201810694473.4
(32)【優先日】2018-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520512823
【氏名又は名称】蘇州沙力医療器械有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】特許業務法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】施 国平
(72)【発明者】
【氏名】ホーストマン アンソニー スコット
【審査官】上石 大
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-502317(JP,A)
【文献】中国実用新案第204995929(CN,U)
【文献】特表2005-510308(JP,A)
【文献】特表2013-500745(JP,A)
【文献】国際公開第2009/154131(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前端が注射部であり、後端が接続部である針本体(6)と、
シリンダ構造であり、前端には貫通孔が設けられ、後端にはインスリンペンに接続される構造が接続又は設置されているミドルスリーブ(3)と、
針本体(6)の注射部を保護するのに用いられ、本体構造がチューブ体である前スリーブ(4)と、
前スリーブ(4)を針本体(6)の注射部の保護位置に押し込むのに用いられる前スプリング(7)と、を含む回転ロック式安全インスリン注射針であって、
本体構造がチューブ体であり、前部には、上部にフランジ(55)が設けられ、前端面が前阻止面(56)であるチューブ体の外側へ突起する前保護ストッパ(54)が設けられた、弾性アーム(53)が設けられ、チューブ体の外縁にチューブ体の軸線に対して傾斜する斜面又はガイド面とするらせん面により構成される斜面レール(51)が設けられた、回転チューブ(5)を含み、
前記回転チューブ(5)における前保護ストッパ(54)に対応して、前スリーブ(4)の内縁には、前スリーブ(4)のチューブ体の軸方向に沿って配置され、後端に前記前保護ストッパ(54)の前阻止面(56)に対応してブロッキング面(42)が設けられた、位置限定溝(44)が設けられ、
前記回転チューブ(5)における斜面レール(51)に対応して、前スリーブ(4)の内縁には斜面作用部(45)が設けられ、
使用する前の組立状態で、針本体(6)はミドルスリーブ(3)内に位置し、ミドルスリーブ(3)に対して位置決め及び固定され、回転チューブ(5)はミドルスリーブ(3)内に位置し、ミドルスリーブ(3)に対して軸方向に位置決められるように接続されると同時に周方向に回転するように接続され、前スリーブ(4)の後部はミドルスリーブ(3)内に突入し、回転チューブ(5)外側に嵌設され、前スリーブ(4)の前部はミドルスリーブ(3)の前端の貫通孔から伸び出し、前スリーブ(4)とミドルスリーブ(3)は軸方向に摺動可能に接続され、前スリーブ(4)にはミドルスリーブ(3)に対して前へ移動する前端位置限定が設けられ、回転チューブ(5)における前保護ストッパ(54)と前スリーブ(4)の内縁における位置限定溝(44)は周方向にずれるように配置され、前スリーブ(4)の内縁における斜面作用部(45)は斜面レール(51)に位置し、前スプリング(7)は回転チューブ(5)の外側に嵌設され、ミドルスリーブ(3)内に位置し、前スプリング(7)の後端はミドルスリーブ(3)に対して位置決めされ、前スプリング(7)の前端は前スリーブ(4)に当接し、
使用状態において、インスリン注射針を押し込む時、前スリーブ(4)はミドルスリーブ(3)に対して軸方向に後へ移動し、前スリーブ(4)の内縁における斜面作用部(45)は回転チューブ(5)の外縁における斜面レール(51)に嵌合され、回転チューブ(5)を前スリーブ(4)に対して周方向に回転させ、回転チューブ(5)における前保護ストッパ(54)は前スリーブ(4)の内縁から位置限定溝(44)内に横方向に滑動し、インスリン注射針を抜き出す時、前スプリング(7)は前スリーブ(4)を前へ移動するように押し付け、前スリーブ(4)がミドルスリーブ(3)に対して前端位置に移動した時、前保護ストッパ(54)は位置限定溝(44)の後端位置にて跳ね上がり、この時、前スリーブ(4)がミドルスリーブ(3)に対して軸方向に位置決めされ、前端保護状態に入るように、前保護ストッパ(54)における前阻止面(56)は前スリーブ(4)のブロッキング面(42)に当接する、
ことを特徴とする安全インスリン注射針。
【請求項2】
前記前スリーブ(4)の内縁にはガイド溝(43)が設けられ、ガイド溝(43)と位置限定溝(44)は前スリーブ(4)のチューブ体の軸方向に平行するように配置され、前スリーブ(4)のチューブ体の周方向に間隔をあけて配置され、使用する前の組立状態において、回転チューブ(5)における前保護ストッパ(54)は前スリーブ(4)の内縁におけるガイド溝(43)内に位置し、前保護ストッパ(54)は上部のフランジ(55)によりガイド溝(43)と接触することを特徴とする請求項1に記載の安全インスリン注射針。
【請求項3】
前記ガイド溝(43)と位置限定溝(44)との間には円弧形又は平面である遷移面(46)が設けられ、前記ガイド溝(43)の溝底から前スリーブ(4)の中心軸までの距離は位置限定溝(44)の溝底から前スリーブ(4)の中心軸までの距離より大きいことを特徴とする請求項2に記載の安全インスリン注射針。
【請求項4】
前記回転チューブ(5)のチューブ体の外縁にはチューブ体の軸線に対して平行である直面をガイド面として構成された直面レール(52)が設けられ、斜面レール(51)はチューブ体の前部に位置し、直面レール(52)はチューブ体の後部に位置し、斜面レール(51)の尾部は直面レール(52)のヘッド部に接続されることを特徴とする請求項1に記載の安全インスリン注射針。
【請求項5】
ガイド溝(43)の後端には前記前保護ストッパ(54)の後阻止面(57)に対応してリバースフック(41)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の安全インスリン注射針。
【請求項6】
前記斜面レール(51)は回転チューブ(5)の外縁におけるガイド面により形成され、該ガイド面に対応する斜面作用部(45)はバンプであり、前スリーブ(4)のミドルスリーブ(3)の軸方向に対する後への移動を回転チューブ(5)のミドルスリーブ(3)に対する周方向への回転に変換するために、バンプはガイド面に対して摺動可能に接触するように嵌合されることを特徴とする請求項1に記載の安全インスリン注射針。
【請求項7】
前記斜面レール(51)は回転チューブ(5)の外縁におけるガイド溝を構成する2つのガイド面により形成され、該ガイド溝に対応する斜面作用部(45)はバンプであり、前スリーブ(4)のミドルスリーブ(3)の軸方向に対する後への移動を回転チューブ(5)のミドルスリーブ(3)に対する周方向への回転に変換するために、バンプはガイド溝内に位置し、ガイド溝に摺動可能に接触するように嵌合されることを特徴とする請求項1に記載の安全インスリン注射針。
【請求項8】
前記ミドルスリーブ(3)内には、針ハブ(21)とスリーブ(22)により構成されたスレッドスリーブ(2)が固設され、針ハブ(21)はスリーブ(22)の前端に固定するように接続され、スリーブ(22)の内縁にはインスリンペンを接続するための雌螺が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の安全インスリン注射針。
【請求項9】
テールカバー(1)と後スプリング(8)を含み、
前記テールカバー(1)は、針本体(6)の接続部を保護するための部品であり、エンドカバー又は環状体であるナットキャップ(14)と弾性脚(15)により構成され、ナットキャップ(14)の中央には針本体(6)の接続部のみを挿入させる針進入孔(16)が設けられ、弾性脚(15)の後部はナットキャップ(14)に固定するように接続され、弾性脚(15)の前部には後保護ストッパ(11)が設けられ、後保護ストッパ(11)の前端面は後ストッパ前阻止面(12)であり、
前記テールカバー(1)における後保護ストッパ(11)に対応して、回転チューブ(5)のチューブ体の内縁には、回転チューブ(5)のチューブ体の軸方向に平行するように配置され、回転チューブ(5)のチューブ体の周方向に間隔をあけて配置された、第1レール溝(58)と第2レール溝(59)が設けられ、第1レール溝(58)と第2レール溝(59)両者の前方にはチューブ体の内縁の周方向に横方向のチャネル(512)が設けられ、
前記後スプリング(8)はテールカバー(1)を針本体(6)の接続部の保護位置に押し込み、
使用する前の組立状態において、テールカバー(1)はミドルスリーブ(3)内に位置し、針本体(6)の接続部はテールカバー(1)の針進入孔(16)内に挿入され、テールカバー(1)における後保護ストッパ(11)は回転チューブ(5)の第1レール溝(58)内に位置し、後スプリング(8)はミドルスリーブ(3)内に位置し、その前端はミドルスリーブ(3)に対して位置決められ、その後端はテールカバー(1)に当接し、
使用状態において、インスリン注射針を押し込む時、前スリーブ(4)は軸方向に沿って後へ移動し、回転チューブ(5)を回転するように駆動し、テールカバー(1)の弾性脚(15)における後保護ストッパ(11)は横方向のチャネル(512)に沿って第2レール溝(59)の位置に横方向に滑動し、インスリンペンがミドルスリーブ(3)を離れる時、後スプリング(8)はテールカバー(1)を後へ移動するように押し付けると同時に、テールカバー(1)の弾性脚(15)における後保護ストッパ(11)は第2レール溝(59)に沿って後へ移動し、後保護ストッパ(11)が第2レール溝(59)に沿って後端位置まで後へ移動した時、後保護ストッパ(11)が跳ね上がり、この時、テールカバー(1)がミドルスリーブ(3)に対して軸方向に位置決めされ、後端保護状態に入るように、後保護ストッパ(11)における後ストッパ前阻止面(12)は第2レール溝(59)の後端面に当接する、
ことを特徴とする請求項1に記載の安全インスリン注射針。
【請求項10】
前記第2レール溝(59)の後部には、第2レール溝(59)内に位置し、前斜面と後当接面により構成された、後階段(511)が設けられ、前記第2レール溝(59)の後端面は後当接面であり、
前記第1レール溝(58)の前部には、第1レール溝(58)内に位置し、後斜面と前当接面により構成された、前階段(510)が設けられ、前当接面に対応して、後保護ストッパ(11)には後ストッパ後阻止面(13)が設けられ、後保護ストッパ(11)が回転チューブ(5)の第1レール溝(58)に沿って前へ移動する過程に、後保護ストッパ(11)は後斜面を登って前階段(510)を超え、テールカバー(1)が後スプリング(8)の作用により後退できないように、後保護ストッパ(11)における後ストッパ後阻止面(13)は前階段(510)における前当接面に当接することを特徴とする請求項9に記載の安全インスリン注射針。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医療用インスリン注射ツールに関し、特に、回転ロック式安全インスリン注射針に関する。このような注射針はインスリンペンと組み合わせて使用する場合、自己投薬又は他人による投薬に使用することができる。インスリンペンは繰り返して使用することができる一方、注射針は使い捨ての針である。本発明の注射針は穿刺動作で回転部品を回転させてロックすることにより使用後の針先を安全に保護することを特徴とする。
【背景技術】
【0002】
糖尿病は高血糖を特徴とする代謝性疾患であり、現在のところ根治療法はないが、患者にインスリンを注射することにより効果的に病態を抑えることができる。
【0003】
インスリンの注射ツールは様々であり、本発明に記載のインスリン注射針はインスリンペンと組み合わせて使用する注射ツールである。インスリンペンは所定量のインスリン薬液を携帯し、繰り返し使用可能であるが、注射針は安全保護装置付きの使い捨ての針である。
【0004】
中国特許CN204395141U明細書では「安全型インスリンペン」という名称の実用新案に特許権が授与された。該特許はインスリン注射針に関し、構造が簡単であるが、以下の欠点がある。1)構造が簡単過ぎるため、その動作の安定性と信頼性を保証できない;2)製品は使用された後、前端が保護されているのみで、後端保護を実施されることができず、後端保護を設けても、前端保護との連動が実現できない;3)前端保護構造のロックには方向性があるため、そのロックの安定性と信頼性が高くない。
【0005】
そのため、本発明では、インスリン注射針の使用安全性及び信頼性の観点から、構造が簡単であり、動作が安定しており、ロックによる保護が信頼できるインスリン注射針の設計が取り組まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来技術の指摘された欠点に鑑みて、本発明は回転ロック式安全インスリン注射針を提供する。その目的は、構造が簡単であり、動作が安定していながらロックによる保護が信頼できる注射針を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は回転ロック式安全インスリン注射針を提供する技術的解決手段を採用する。回転ロック式安全インスリン注射針は、前端が注射部であり、後端が接続部である針本体と、シリンダ構造であり、前端に貫通孔が設けられ、後端にインスリンペンを接続するための構造が接続され又は設置されているミドルスリーブと、針本体の注射部を保護するのに用いられ、本体構造がチューブ体である前スリーブと、前スリーブを針本体の注射部の保護位置に押し込む前スプリングと、を含む。
【0008】
その新規性は、本体構造がチューブ体であり、前部にチューブ体の外側へ突起する前保護ストッパが設けられた弾性アームが設けられ、前保護ストッパの上部にはフランジが設けられ、前保護ストッパの前端面が前阻止面である回転チューブを含み、回転チューブのチューブ体の外縁には斜面レールが設けられ、斜面レールはチューブ体の軸線に対して傾斜する斜面又はらせん面をガイド面とする部分から構成されることである。
【0009】
回転チューブにおける前保護ストッパに対応して、前スリーブの内縁には前スリーブのチューブ体の軸方向に沿って配置され、後端には前記前保護ストッパの前阻止面に対応してブロッキング面が設けられた、位置限定溝が設けられている。前記回転チューブにおける斜面レールに対応して、前スリーブの内縁には斜面作用部が設けられている。
【0010】
使用する前の組立状態において、針本体はミドルスリーブ内に位置し、ミドルスリーブに対して位置決め及び固定されて、回転チューブはミドルスリーブ内に位置し、ミドルスリーブに対して軸方向に位置決められ接続されると同時に周方向に回転するように接続されて、前スリーブの後部はミドルスリーブ内に突入し、回転チューブ外に嵌設され、前スリーブの前部はミドルスリーブの前端の貫通孔から伸び出し、前スリーブとミドルスリーブは軸方向に摺動可能に接続され、前スリーブはミドルスリーブに対して前へ移動する前端位置限定が設けられて、回転チューブにおける前保護ストッパと前スリーブの内縁における位置限定溝は周方向にずれるように配置されて、前スリーブの内縁における斜面作用部は斜面レールに位置し、前スプリングは回転チューブの外側に嵌設され、ミドルスリーブ内に位置し、前スプリングの後端はミドルスリーブに対して位置決めされ、前スプリングの前端は前スリーブに当接する。
【0011】
使用状態において、インスリン注射針を押し込む時、前スリーブはミドルスリーブの軸方向に対して後へ移動し、前スリーブの内縁における斜面作用部は回転チューブの外縁における斜面レールに嵌合され、回転チューブを前スリーブに対して周方向に回転させ、回転チューブにおける前保護ストッパは前スリーブの内縁から位置限定溝に横方向に滑動し、インスリン注射針を抜き出す時、前スプリングは前スリーブを前へ移動するように押し付け、前スリーブがミドルスリーブに対して前端位置に移動した時、前保護ストッパは位置限定溝の後端位置から跳ね上がり、この時、前スリーブがミドルスリーブに対して軸方向に位置決めされ、前端保護状態に入るように、前保護ストッパにおける前阻止面は前スリーブのブロッキング面に当接される。
【0012】
上記技術的解決手段に関する内容については下記のように説明する。
【0013】
1.上記技術的解決手段において、前記「前端」、「前部」、「前端面」、「前へ」のうちの「前」は本発明の安全インスリン注射針の注射部の針先が指す方向を指す。前記「後端」、「後部」、「後へ」のうちの「後」は「前」の逆方向を指す。
【0014】
2.上記技術的解決手段において、前記ミドルスリーブの外側には、一般的に、前記インスリン注射針全体を保護するためのスリーブ構造である外側スリーブがさらに設けられている。本発明において、外側スリーブは新規性と無関係であるため、文字説明及び図面における記載を省略する。
【0015】
3.上記技術的解決手段において、針本体の接続部を保護するためのテールカバーをさらに含むことができる。
【0016】
本発明の設計原理と効果は、次の通りである。本発明はインスリンペンと組み合わせて使用する必要がある安全インスリン注射針に関する。構造が簡単であり、動作が安定するという特徴を維持すると同時に、ロック保護が信頼できるという課題を解決するために、本発明の技術的構想は以下の通りである。
【0017】
第1に、ミドルスリーブ内に回転チューブが設置され、回転チューブの外縁には斜面レールが設けられ、斜面レールに対応して、前スリーブの内縁には斜面作用部が設けられている。インスリン注射針が前へ押し込まれると共に、前スリーブの後端が移動し回転チューブを回転するように駆動する。
【0018】
第2に、回転チューブの前部には前保護ストッパが設置された弾性アームが設けられ、前保護ストッパに対応して、前スリーブの内縁には軸方向に沿って前スリーブのチューブ体の周方向に間隔をあけて配置されたガイド溝と位置限定溝が設けられている。使用する前の組立状態において、回転チューブにおける前保護ストッパは前スリーブの内縁におけるガイド溝に位置する。使用状態において、インスリン注射針を押し込む時、前スリーブは後へ移動し、回転チューブが回転するように、前スリーブの内縁における斜面作用部は回転チューブの外縁における斜面レールに作用し、この時、回転チューブにおける前保護ストッパはガイド溝から位置限定溝に横方向に滑動し、インスリン注射針を抜き出す時、前スプリングは前スリーブを前へ移動するように押し付け、前スリーブが前端位置に移動した時、前保護ストッパが跳ね上がり、前スリーブが軸方向に位置決めされ、前端保護状態に入るように、前阻止面は前スリーブのブロッキング面に当接される。
【発明の効果】
【0019】
要するに、本発明は、インスリン注射針を押し込む時、前スリーブの後への移動を利用して、回転チューブを回転するように駆動し、回転チューブにおける前保護ストッパと前スリーブにおけるガイド溝及び位置限定溝との嵌合によって前スリーブと回転チューブとの嵌合関係を変えることにより、使用後の前スリーブのロック保護を信頼できるものとするという課題を効果的に解決する。本技術的解決手段の構想は巧みであり、設計が合理的であり、優れた実質的特徴と著しい技術進歩性を有し、インスリン注射針の安全保護構造設計の簡単性、安定性と信頼性を充分に反映している。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施例の安全インスリン注射針の斜視図である。
【
図2】本発明の実施例の安全インスリン注射針の斜視分解図である。
【
図3】本発明の実施例のミドルスリーブの第1視角の斜視図である。
【
図4】本発明の実施例のミドルスリーブの第2視角の斜視図である。
【
図5】本発明の実施例の前スリーブの第1視角の斜視図である。
【
図6】本発明の実施例の前スリーブの第2視角の斜視図である。
【
図7】本発明の実施例の前スリーブの第3視角の斜視図である。
【
図9】本発明の実施例の回転チューブの第1視角の斜視図である。
【
図10】本発明の実施例の回転チューブの第2視角の斜視図である。
【
図11】本発明の実施例の回転チューブの第3視角の拡大斜視図である。
【
図12】本発明の実施例のスレッドスリーブの斜視図である。
【
図13】本発明の実施例のテールカバーの第1視角の斜視図である。
【
図14】本発明の実施例のテールカバーの第2視角の斜視図である。
【
図15】本発明の実施例の初期状態における斜視断面図である。
【
図16】本発明の実施例の初期状態における断面図(明瞭に表示するために、この図の後の図面はいずれも前スプリング7と後スプリング8を隠す)である。
【
図17】本発明の実施例の初期状態における別の斜視断面図である。
【
図20】本発明の実施例のインスリンペンをねじ込み前スリーブを押圧する状態における斜視断面図である。
【
図23】本発明の実施例の前スリーブを針が皮膚に差し込まれるまで持続的に押圧する状態における斜視断面図である。
【
図26】本発明の実施例の皮膚から抜き出されてからインスリンペンを離れた状態における斜視断面図である。
【
図29】本発明の実施例の皮膚から抜き出されてからインスリンペンを離れた状態における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、図面と実施例に合わせて本発明についてさらに詳しく説明する。
【0022】
実施例1は、回転ロック式安全インスリン注射針(前端針先保護と後端針先保護付き)である。
【0023】
図1~14に示すように、該インスリン注射針は、針本体6、ミドルスリーブ3、前スリーブ4、前スプリング7、回転チューブ5、後スプリング8、スレッドスリーブ2及びテールカバー1を含む(
図2参照)。完全な製品として、インスリン注射針には、一般的に、スリーブ構造であり、一般的に前記インスリン注射針全体を保護するためにミドルスリーブ3の外側に被されている外側スリーブ(「大保護スリーブ」ともいう)がさらに設けられている。本実施において、外側スリーブは本発明の新規性と無関係であるため、以下の文字説明及び図面における記載を省略する。
【0024】
以下に、本実施例のインスリン注射針の各部品の構造を順番に説明する。
【0025】
1.針本体6
【0026】
前記針本体6はインスリンを注射するためのチューブ針であり、前端方向に延在する注射部、後端方向に延在する接続部、及び注射部と接続部との間に位置する固定部を有する。
【0027】
2.ミドルスリーブ3とスレッドスリーブ2
【0028】
前記ミドルスリーブ3とスレッドスリーブ2両者は一体に固定するように組み合わせられる(
図15及び
図16を参照)。該一体物はインスリン注射針においてメインハウジングに相当し、その他の部品を収納するのに用いられる(
図16参照)。前記ミドルスリーブ3はシリンダ構造であり(
図3と
図4を参照)、ミドルスリーブ3の前端には貫通孔が設けられ、ミドルスリーブ3の後端はスレッドスリーブ2の外側に固定するように嵌設される。即ち、ミドルスリーブ3には、針ハブ21とスリーブ22により構成される(
図12参照)スレッドスリーブ2が固設され、針ハブ21はスリーブ22の前端に固定するように接続され、針ハブ21は針本体6を固定するのに用いられる。即ち、針本体6の固定部は針ハブ21に固定され、針本体6の注射部は針ハブ21の前端から伸び出し、針本体6の接続部は針ハブ21の後端から伸び出す。スリーブ22の内縁にはインスリンペンに接続される雌螺が設けられている。実際に、スレッドスリーブ2の後端はインスリンペンに接続され、その接続構造はスレッド接続方式を採用してもよく、プラグイン接続方式を採用してもよく、プラグイン回転係合方式などを採用してもよい。本実施例において、スレッドスリーブ2にはスレッド接続方式が採用されている。
【0029】
3.回転チューブ5
【0030】
前記回転チューブ5の本体構造はチューブ体である(
図9~
図11参照)。回転チューブ5の前部にはチューブ体の外側へ突起する前保護ストッパ54が設けられた弾性アーム53が設けられ、前保護ストッパ54の上部にはフランジ55が設けられ(
図9と
図10参照)、前保護ストッパ54の前端面は前阻止面56であり(
図9参照)、前保護ストッパ54の後端面は後阻止面57である(
図10参照)。
【0031】
前記回転チューブ5のチューブ体の外縁には斜面レール51と直面レール52が設けられ(
図9と
図10参照)、斜面レール51はチューブ体の軸線に対して傾斜する斜面又はガイド面とするらせん面により構成され、直面レール52はチューブ体の軸線に対して平行である直面によりガイド面として構成され、斜面レール51はチューブ体の前部に位置し、直面レール52はチューブ体の後部に位置し、斜面レール51の尾部は直面レール52のヘッド部に接続されている。
【0032】
前記回転チューブ5のチューブ体の内縁には第1レール溝58と第2レール溝59が設けられている(
図11参照)。第1レール溝58と第2レール溝59は回転チューブ5のチューブ体の軸方向に平行するように配置され、回転チューブ5のチューブ体の周方向に間隔をあけて配置されている。第1レール溝58と第2レール溝59両者の前方はチューブ体の内縁の周方向に横方向のチャネル512が設けられている。
【0033】
前記第1レール溝58の前部には、第1レール溝58内に位置し、後斜面と前当接面により構成される前階段510が設けられている(
図11参照)。
【0034】
前記第2レール溝59の後部には、第2レール溝59内に位置し、前斜面と後当接面により構成される後階段511が設けられ(
図11参照)、前記第2レール溝59の後端面は後当接面である。
【0035】
4.前スリーブ4と前スプリング7
【0036】
前記前スリーブ4は針本体6の注射部を保護するのに用いられる(
図5~
図8参照)。前スリーブ4の本体構造はチューブ体である。
【0037】
前記回転チューブ5における前保護ストッパ54に対応して、前スリーブ4の内縁にはガイド溝43と位置限定溝44が設けられている(
図8参照)。ガイド溝43と位置限定溝44は前スリーブ4のチューブ体の軸方向に平行するように配置され、前スリーブ4のチューブ体の周方向に間隔をあけて配置されている。ガイド溝43と位置限定溝44との間には円弧形又は平面である遷移面46が設けられている(
図8参照)。ガイド溝43の溝底から前スリーブ4の中心軸までの距離は位置限定溝44の溝底から前スリーブ4の中心軸までの距離より大きい。ガイド溝43の後端には前記前保護ストッパ54の後阻止面57に対応してリバースフック41が設けられている(
図8参照)。位置限定溝44の後端には前記前保護ストッパ54の前阻止面56に対応してブロッキング面42が設けられている(
図8参照)。
【0038】
前記回転チューブ5における斜面レール51に対応して、前スリーブ4の内縁には斜面作用部45が設けられている(
図8参照)。
【0039】
前記前スプリング7は前スリーブ4に嵌合され、前スリーブ4を針本体6の注射部の保護位置に押し込む。
【0040】
5.テールカバー1と後スプリング8
【0041】
前記テールカバー1は針本体6の接続部を保護するための部品である(
図13~
図14参照)。テールカバー1はエンドカバー又は環状体であるナットキャップ14と弾性脚15により構成され、ナットキャップ14の中央には針本体6の接続部のみを挿入させる針進入孔16が設けられ、弾性脚15の後部はナットキャップ14に固定するように接続され、弾性脚15の前部には後保護ストッパ11が設けられ、後保護ストッパ11の前端面は後ストッパ前阻止面12である。前階段510の前当接面に対応して、後保護ストッパ11には後ストッパ後阻止面13が設けられている。
【0042】
前記後スプリング8はテールカバー1に嵌合され、テールカバー1を針本体6の接続部の保護位置に押し込む。
【0043】
上記部品の使用される前の組立状態での接続関係と位置関係は以下のように説明する。
【0044】
使用する前の組立状態において、
図15と
図16(この2つの図はインスリンペンに捩じ込まれた状態を示し、実際に、使用する前の本当の組立状態はインスリンペンがねじ込まれていない状態である)に示すように、スレッドスリーブ2はミドルスリーブ3に固定され、針本体6はミドルスリーブ3に位置し、固定部を介してスレッドスリーブ2の針ハブ21に固定される。回転チューブ5はミドルスリーブ3に位置し、ミドルスリーブ3に対して軸方向に位置決められるように接続されると同時に周方向に回転するように接続される。具体的な実施形態は、回転チューブ5の尾部は2つのフック体513(
図9参照)がスレッドスリーブ2における2つの円弧形孔23に挿入されるように取り付けられ(
図12と
図16参照)、この時、回転チューブ5は軸方向に位置決められ周方向に回転できる。前スリーブ4の後部はミドルスリーブ3内に突入し、回転チューブ5の外部に嵌設され、前スリーブ4の前部はミドルスリーブ3の前端の貫通孔から伸び出す。前スリーブ4とミドルスリーブ3は軸方向に摺動可能に接続される。具体的な実施形態は、前スリーブ4の外縁において軸方向に沿って摺動溝47が開設され(
図5と
図6参照)、前スリーブ4がミドルスリーブ3に対して軸方向に摺動可能に接続されるように、該摺動溝47はミドルスリーブ3の内縁における突起(未図示)に嵌合される。前スリーブ4はミドルスリーブ3に対して前へ移動する前端位置限定が設けられている。具体的な実施形態は、前スリーブ4におけるリバースフック41は回転チューブ5における前保護ストッパ54に嵌合され前端位置限定を形成する。回転チューブ5における前保護ストッパ54は前スリーブ4の内縁におけるガイド溝43に位置し、前保護ストッパ54は上部におけるフランジ55を介してガイド溝43と接触する。前スリーブ4の内縁における斜面作用部45は斜面レール51に位置する。前スプリング7は回転チューブの外側に嵌設されてミドルスリーブ3に位置し、前スプリング7の後端はスレッドスリーブ2のスリーブ22の前端面に当接し(
図16参照)、前スプリング7の前端は前スリーブ4の端面に当接する(
図16参照)。テールカバー1はスレッドスリーブ2内に位置し、針本体6の接続部はテールカバー1の針進入孔16に挿入される。テールカバー1における弾性脚5はスレッドスリーブ2に設置された細長い溝穴24を介して伸び出す(
図12と
図16参照)。テールカバー1における後保護ストッパ11は回転チューブ5の第1レール溝58に位置する。後スプリング8はミドルスリーブ3に位置し、後スプリング8の前端は回転チューブ5の内縁における突起部(未図示)に当接し、後スプリング8の後端はテールカバー1の弾性脚15の前端面に当接する(
図16参照)。
【0045】
以下に、本実施例の使用過程について説明する。
【0046】
1.初期状態
【0047】
図15は本発明の実施例の状態における斜視断面図を示す。
図16は本発明の実施例の初期状態における断面図を示す。
図17は本発明の実施例の初期状態における別の斜視断面図を示す。
図15~
図17から分かるように、テールカバー1は、この状態で前端に位置する。
図18は
図17におけるA-A断面図を示し、該図は回転チューブ5における前保護ストッパ54と前スリーブ4におけるガイド溝43、遷移面46及びブロッキング面42との間の位置関係と嵌合関係を示す。
図18から分かるように、このような状態で、前保護ストッパ54はガイド溝43内に位置する。
図19は
図17におけるB-B断面図を示し、該図はテールカバー1における後保護ストッパ11と回転チューブ5における第1レール溝58及び第2レール溝59との間の位置関係と嵌合関係を示す。
図19から分かるように、このような状態で、後保護ストッパ11は第1レール溝58内に位置する。
【0048】
2.外側スリーブを取り除いた状態
【0049】
本発明は、既に外側スリーブに対する説明を省略したため、ここで省略する。
【0050】
3.インスリンペンをねじ込みインスリン注射針を押し込んだ状態
【0051】
図20は本発明の実施例のインスリンペンがねじ込まれ前スリーブを押圧する状態における斜視断面図を示す。先に、ミドルスリーブ3の後端にインスリンペン(ねじ込まれたインスリンペンは
図20では隠されている)をねじ込み、この状態で、インスリン注射針を押し込む場合、前スリーブ4が人の皮膚と接触する時、前スリーブ4はミドルスリーブ3に対して軸方向に後へ移動し、前スリーブ4の内縁における斜面作用部45は回転チューブ5の外縁における斜面レール51に嵌合され、回転チューブ5を前スリーブ4に対して周方向に回転させ、回転チューブ5における前保護ストッパ54は前スリーブ4のガイド溝43から遷移面46を経由して位置限定溝44内に横方向に滑動する。同時に、テールカバー1の弾性脚15における後保護ストッパ11は第1レール溝58位置から横方向のチャネル512に沿って第2レール溝59位置に横方向に滑動する。
図21は
図20におけるC-C断面図を示し、該図は回転チューブ5における前保護ストッパ54と前スリーブ4におけるガイド溝43、遷移面46及びブロッキング面42との間の位置関係と嵌合関係を示す。
図21から分かるように、この状態で、回転チューブ5における前保護ストッパ54は前スリーブ4におけるガイド溝43を離れて位置限定溝44に滑動する。
図22は
図20におけるD-D断面図を示し、該図はテールカバー1における後保護ストッパ11と回転チューブ5における第1レール溝58及び第2レール溝59との間の位置関係と嵌合関係を示す。
図22から分かるように、この状態で、テールカバー1における後保護ストッパ11は回転チューブ5における第1レール溝58を離れ第2レール溝59へ滑動する。
【0052】
4.人の皮膚に差し込まれた状態
【0053】
図23は本発明の実施例の前スリーブを針が皮膚に差し込まれるまで持続的に押圧する状態における斜視断面図を示す。この状態で、継続してインスリン注射針を押し込み、前スリーブ4における斜面作用部45は回転チューブ5における直面レール52と接触し、この時回転チューブ5は回転せず、そのため回転チューブ5における前保護ストッパ54は位置限定溝44内にて後へ滑動する。インスリン注射針が底まで押し込まれた場合、前スリーブ4の前端はミドルスリーブ3の前端と位置合わせられ、差し込み動作が完了したことを示す。
図24は
図23におけるE-E断面図を示す。
図24から分かるように、この状態で、回転チューブ5における前保護ストッパ54は位置限定溝44内に位置する。
図25は
図23におけるF-F断面図を示す。
図25から分かるように、この状態で、テールカバー1における後保護ストッパ11は既に第2レール溝59に位置する。
【0054】
5.インスリンを注射した後の針本体を皮膚から抜き出した後の状態
【0055】
図26は本発明の実施例の皮膚から抜き出した後の状態における斜視断面図を示す。この状態で、前スプリング7は前スリーブ4を前へ移動するように押し付け、前スリーブ4がミドルスリーブ3に対して前端位置限定位置に移動した時、前保護ストッパ54は跳ね上がり、この時、前スリーブ4がミドルスリーブ3に対して軸方向に位置決めされ、前端保護状態に入るように、前保護ストッパ54における前阻止面56は前スリーブ4のブロッキング面42に当接する。
図27は
図26におけるG-G断面図を示し、
図27から分かるように、この状態で、前スリーブ4における前保護ストッパ54が跳ね上がり、前保護ストッパ54における前阻止面56は前スリーブ4のブロッキング面42に当接し、前スリーブ4は前端保護状態に入るため、ミドルスリーブ3内に圧入されない。
【0056】
6.インスリンペンを離れた状態
【0057】
図26はインスリンペンを離れた状態の斜視断面図である。インスリンペンが回転してインスリン注射針を離れた場合、後スプリング8はテールカバー1を後へ移動するように押し付けると同時に、テールカバー1の弾性脚15における後保護ストッパ11は第2レール溝59に沿って後へ移動し、後保護ストッパ11が第2レール溝59に沿って後端位置限定位置まで後へ移動した時、後保護ストッパ11は後階段511の前斜面を登って後階段511を超え、後保護ストッパ11が跳ね上がり、この時、テールカバー1がミドルスリーブ3に対して軸方向に位置決めされ、後端保護状態に入るように、後保護ストッパ11における後ストッパ前阻止面12は第2レール溝59の後端の後階段511における後当接面に当接する。
図28は
図27におけるH-H断面図を示す。
図28から分かるように、この状態で、テールカバー1における後保護ストッパ11は回転チューブ5における第2レール溝59に位置する。
図29は本発明の実施例の注射針を皮膚から抜き出した後且つインスリンペンを離れた状態における断面図である。
【0058】
実施例2は、回転ロック式安全インスリン注射針(前端針先保護付きであるが、後端針先保護付きでない)である。
【0059】
該インスリン注射針は針本体6、ミドルスリーブ3、前スリーブ4、前スプリング7、回転チューブ5、及びスレッドスリーブ2を含む。
【0060】
実施例2の実施例1との相違点は、テールカバー1と後スプリング8を無くし、前端針先保護構造のみ付きで、後端針先保護構造付きでないことである。その他は実施例1とほぼ同じであるため、ここで繰り返して説明しない。
【0061】
以上の実施例における関連内容及び変化については以下のように説明する。
【0062】
1.以上の2つの実施例において、前記斜面レール51は回転チューブ5の外縁におけるガイド面により形成され、該ガイド面に対応する斜面作用部45はバンプであり、バンプはガイド面に対して摺動可能に接触するように嵌合され、前スリーブ4のミドルスリーブ3の軸方向に対する後への移動を回転チューブ5のミドルスリーブ3に対する周方向への回転に変換する。しかし、本発明はこれに限定されず、前記斜面レール51は回転チューブ5の外縁における2つのガイド面により形成されてもよく、2つのガイド面はガイド溝を構成し、該ガイド溝に対応する斜面作用部45はバンプであり、バンプはガイド溝内に位置しガイド溝と摺動可能に接触するように嵌合され、前スリーブ4のミドルスリーブ3の軸方向に対する後への移動を回転チューブ5のミドルスリーブ3に対する周方向への回転に変換する。これは当業者であれば理解できるものである。
【0063】
2.以上の2つの実施例において、ミドルスリーブ3とスレッドスリーブ2は分割構造であり、組み合わせにより一体となり、このような設計は加工技術を考慮したものである。構造と構成から見て、ミドルスリーブ3とスレッドスリーブ2は一体構造に設計されてもよく、本発明の技術的効果にも影響せず、これは、当業者であれば、理解できるものである。
【0064】
3.以上の2つの実施例において、図面から分かるように、回転チューブ5における斜面レール51、直面レール52、弾性アーム53、前保護ストッパ54、第1レール溝58及び第2レール溝59等の構造の数はいずれも2つが周方向に対称するように配置されてなるが本発明はこれに限定されず、これらの構造の数は1つ、3つ、4つ、5つ、又はそれ以上に設計されてもよく、2つが最適な設計であるのみである。全てのこれらの構造は回転チューブ5の周方向に均一に分布される。これは当業者であれば、理解できるものである。
【0065】
4.以上の2つの実施例において、図面から分かるように、前スリーブ4におけるリバースフック41、ブロッキング面42、ガイド溝43、位置限定溝44、斜面作用部45、遷移面46、及び摺動溝47等の構造の数はいずれも2つが周方向に対称するように配置されてなるが、本発明はこれに限定されず、これらの構造の数は1つ、3つ、4つ、5つ、又はそれ以上に設計されてもよく、2つが最適な設計であるのみである。全てのこれらの構造は前スリーブ4の周方向に均一に分布される。これは当業者であれば、理解できるものである。
【0066】
5.以上の2つの実施例において、図面から分かるように、テールカバー1における弾性脚15、後保護ストッパ11等の構造の数はいずれも2つが周方向に対称するように配置されてなるが、本発明はこれに限定されず、これらの構造の数は1つ、3つ、4つ、5つ、又はそれ以上に設計されてもよく、2つが最適な設計であるのみである。全てのこれらの構造はテールカバー1の周方向に均一に分布される。これは当業者であれば、理解できるものである。
【0067】
6.以上の2つの実施例において、
図15~
図17から分かるように、インスリンペンを取り付ける前に、テールカバー1は前端に位置する。本発明はこれに限定されず、さらにインスリンペンを取り付ける前に、テールカバー1は中間位置又は後端位置に位置してもよい。テールカバー1が後端に位置する条件で、インスリンペンがミドルスリーブ3の後端からスレッドスリーブ2にねじ込まれる場合、インスリンペンのヘッド部はテールカバー1をミドルスリーブ3に対して軸方向に前へ移動するように押し付け、この時、テールカバー1の弾性脚15における後保護ストッパ11は回転チューブ5の第1レール溝58に沿って前へ移動し、後保護ストッパ11が第1レール溝58の前端に移動した時、後保護ストッパ11は前階段510の後斜面を登って前階段510を超えることにより、横方向のチャネル512に到達し、この時、テールカバー1が後スプリング8の作用により後退できないように、後保護ストッパ11における後ストッパ後阻止面13は前階段510における前当接面に当接する。
【0068】
上記実施例は本発明の技術的構想及び特徴を説明するためのものであり、その目的は、当業者に本発明の内容を理解させた上実施できるようにすることであり、本発明の保護範囲を限定するものではない。本発明の精神と実質によりなされたあらゆる等価の変更又は修飾はいずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0069】
1 テールカバー
11 後保護ストッパ
12 後ストッパ前阻止面
13 後ストッパ後阻止面
14 ナットキャップ
15 弾性脚
16 針進入孔
2 スレッドスリーブ
21 針ハブ
22 スリーブ
23 円弧形孔
24 細長い溝穴
3 ミドルスリーブ
4 前スリーブ
41 リバースフック
42 ブロッキング面
43 ガイド溝
44 位置限定溝
45 斜面作用部
46 遷移面
47 摺動溝
5 回転チューブ
51 斜面レール
52 直面レール
53 弾性アーム
54 前保護ストッパ
55 フランジ
56 前阻止面
57 後阻止面
58 第1レール溝
59 第2レール溝
510 前階段
511 後階段
512 横方向のチャネル
513 フック体
6 針本体
7 前スプリング
8 後スプリング