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特許7143557橋脚の中心位置を決定する構造及び中心位置の決定方法
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  • 特許-橋脚の中心位置を決定する構造及び中心位置の決定方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-20
(45)【発行日】2022-09-29
(54)【発明の名称】橋脚の中心位置を決定する構造及び中心位置の決定方法
(51)【国際特許分類】
   G01C 15/02 20060101AFI20220921BHJP
【FI】
G01C15/02
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021561920
(86)(22)【出願日】2020-07-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-13
(86)【国際出願番号】 CN2020103619
(87)【国際公開番号】W WO2021000965
(87)【国際公開日】2021-01-07
【審査請求日】2021-10-18
(31)【優先権主張番号】201911221359.0
(32)【優先日】2019-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521052838
【氏名又は名称】中▲鉄▼九局集▲団▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】CHINA RAILWAY NO.9 GROUP CO., LTD
【住所又は居所原語表記】No.3-1 Jingbin Street, Shenhe District, Shenyang city, Liaoning 11013 P.R.China
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】弁理士法人キュリーズ
(72)【発明者】
【氏名】高 岩
(72)【発明者】
【氏名】何 ▲長▼江
(72)【発明者】
【氏名】孟 ▲慶▼一
(72)【発明者】
【氏名】▲孫▼ 雷
(72)【発明者】
【氏名】▲銭▼ 坤
(72)【発明者】
【氏名】尹 子涛
(72)【発明者】
【氏名】▲矯▼ 永岩
(72)【発明者】
【氏名】李 ▲徳▼柱
(72)【発明者】
【氏名】▲孫▼ ▲天▼佐
(72)【発明者】
【氏名】▲孫▼ ▲天▼佑
(72)【発明者】
【氏名】李 明哲
【審査官】櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106092013(CN,A)
【文献】特開2018-124226(JP,A)
【文献】特開2014-145683(JP,A)
【文献】特開平10-111130(JP,A)
【文献】国際公開第2021/000965(WO,A1)
【文献】登録実用新案第3219614(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 1/00- 1/14
G01C 5/00-15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
橋脚の側の地面に位置し、ガイドレールが傾斜して設置され、前記ガイドレールに角度調整可能な測距装置が設置される地面スタンドと、
前記地面スタンドの上方の橋桁に固定接続され、上端面に反射体が固定接続される橋桁スタンドと、
を備え、
前記橋桁スタンドの前記反射体は、水平面との挟角βが45°で傾斜して固定され、
前記測距装置は、
逆T型構造の支え端であって、前記ガイドレールは、前記逆T型構造の支え端に適合する溝構造であり、前記支え端は、上端面に固定ボルトが貫通して接続され、前記固定ボルトのスクリュー部が前記ガイドレールの溝端面に接触しており、前記ガイドレールに相対的に摺動移動する支え端と、
ロックボルトにより前記支え端にヒンジ接続される挟持端と、
前記挟持端に挟持されるレーザ距離計と、を更に備え、
前記測距装置は、前記レーザ距離計から橋脚にレーザを発射して橋桁の下方の橋脚の中心位置を測定するように構成され、
前記測距装置と前記反射体とは、前記レーザ距離計から前記反射体にレーザを発射させ、前記反射体でレーザを反射させて、水平に射出させることによって、橋桁上で橋脚の中心位置を測定するように構成されている、
ことを特徴とする橋脚の中心位置を決定する構造。
【請求項2】
前記地面スタンドは、
地面に垂直に固定される第1縦棒と、
前記第1縦棒の上端に傾斜して固定される第1横棒と、を備え、前記ガイドレールが前記第1横棒に傾斜して設置される、
ことを特徴とする請求項1に記載の橋脚の中心位置を決定する構造。
【請求項3】
前記橋桁スタンドは、
橋桁に垂直に固定される第2縦棒と、
前記第2縦棒の上端に傾斜して固定される第2横棒と、を備え、前記第2横棒に反射体が傾斜して固定され、前記第1横棒が前記第2横棒の延長線と交差する、
ことを特徴とする請求項2に記載の橋脚の中心位置を決定する構造。
【請求項4】
地面スタンドとガイドレールとの接触面と、水平面との挟角が45°である、
ことを特徴とする請求項1に記載の橋脚の中心位置を決定する構造。
【請求項5】
前記第1横棒と水平面との挟角がαであり、α=45°である、
ことを特徴とする請求項2に記載の橋脚の中心位置を決定する構造。
【請求項6】
前記第2横棒と水平面との挟角がβであり、β=45°である、
ことを特徴とする請求項3に記載の橋脚の中心位置を決定する構造。
【請求項7】
前記反射体は鏡面である、
ことを特徴とする請求項1に記載の橋脚の中心位置を決定する構造。
【請求項8】
前記第2横棒は、断面が矩形の鋼板であり、幅は3~8cmであり、長さは2~5mであり、厚さは0.5~1cmである、
ことを特徴とする請求項3に記載の橋脚の中心位置を決定する構造。
【請求項9】
前記第縦棒は、横梁及び複数の鉄筋を含み、複数の鉄筋は横梁に溶接され、横梁は鉄筋と斜交し、横梁の頂面は橋の一側に向き、第縦棒は橋の周囲の地面内に垂直に打ち込まれる、
ことを特徴とする請求項2に記載の橋脚の中心位置を決定する構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は橋、建築解体の技術分野に属し、具体的には橋脚の中心位置を決定する構造及び中心位置の決定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
橋、建物の耐用年数が長く又は施工品質に問題がある場合、解体する必要があり、解体は機械解体及び爆破解体という二種類の方法を含み、機械解体は、安全性が高いが、施工の速度が遅い。爆破解体は、一定のリスクが存在するが、施工の速度が速く、現在中国の多くの橋や建物の解体は爆破解体という方法を採用することが多い。爆破解体をする時に、重要なのは、下方の橋脚の爆破解体であり、橋脚を爆破して解体時に、橋桁の上方に垂直に下向きに穿孔を打設する必要があり、穿孔が橋桁構造を貫通し、橋脚の中心軸芯位置に入り、そして爆薬を橋脚の穿孔の内部に入れ、爆薬が爆発する時に、橋脚を爆破する。橋脚の中心軸線位置の正確な決定は爆破の実施に対して非常に重要なものであり、橋桁の上部から橋脚の位置を直接観測しにくい。橋脚の中心位置は一般的にトータルステーションの配置点を採用して決定され、該方法は橋桁で反射鏡の位置を調整し続けて橋脚の中心位置を決定する必要があり、このような方法は非常に時間がかかり、かつ作業者に対して技術的要求が高い。
例えば出願番号がCN201610608553.4の出願にはスタンドを利用して橋脚の中心位置を決定する方法が開示されたが、該方法は実施が煩雑であり、操作しにくい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、上記従来技術の不足に対する改善された技術案を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の目的は上記従来技術における橋脚の中心位置を測定する時にプログラムが煩雑で、操作しにくく、測定が正確でないという欠陥を克服することである。
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の技術案を提供する。
橋脚の側の地面に位置し、ガイドレールが傾斜して設置され、前記ガイドレールに角度調整可能な測距装置が設置される地面スタンドと、
地面スタンドの上方の橋桁に固定接続され、上端面に反射体が固定接続される橋桁スタンドと、を備え、
前記橋桁スタンドの前記反射体は、水平面との挟角βが45°で傾斜して固定され、
前記測距装置は、
逆T型構造の支え端であって、前記ガイドレールは、T型構造に適合する溝構造であり、前記支え端は、上端面に固定ボルトが貫通して接続され、前記固定ボルトのスクリュー部が前記ガイドレールの溝端面に接触しており、前記ガイドレールに相対的に摺動移動する支え端と、
ロックボルトにより前記支え端にヒンジ接続される挟持端と、
前記挟持端に挟持されるレーザ距離計と、を更に備え、
前記測距装置は、前記レーザ距離計から橋脚にレーザを発射して橋桁の下方の橋脚の中心位置を測定するように構成され、
前記測距装置と前記反射体とは、前記レーザ距離計から前記反射体にレーザを発射させ、前記反射体でレーザを反射させて、水平に射出させることによって、橋桁上で橋脚の中心位置を測定するように構成されている、橋脚の中心位置を決定する構造である。

【0006】
従来技術に比べ、本発明の技術案の優れた効果は以下のとおりである。
本発明におけるレーザ測距装置の挟持端はレーザ測距装置を挟持した後にガイドレールに摺動し、レーザ測距装置がガイドレールに沿って支え端を連続的に移動し、距離を連続的に測定することを保証し、距離が最小となるとき、このときレーザがちょうど橋脚の中心位置を通過し、レーザ測距装置の発射口が垂直に上向きさせ、このときレーザが反射体により反射された後、水平に射出し、さらに錘鉛を利用し、錘鉛が橋桁の中心線に見当合せ、橋桁の中心線位置に沿って移動させ、レーザが錘鉛のロープに到達する時、この時の錘鉛の直下方が橋脚の中心位置であり、本発明は橋脚の中心位置を便利で迅速に確定することができ、位置決めが正確で、操作しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施例の橋脚の中心位置を決定する構造の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に本発明の実施例における技術的解決手段を明確で、完全に説明し、明らかにするが、説明された実施例は本発明の一部の実施例だけであり、全ての実施例ではない。本発明における実施例に基づいて、当業者が取得した全ての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0009】
以下に図面及び実施例を参照しながら本発明を詳細に説明する。なお、衝突しない場合に、本発明における実施例及び実施例における特徴は互いに組み合わせることができる。
【0010】
図1に示すように、本発明は、地面スタンド1と、橋桁スタンド5と、を備える橋脚の中心位置を決定する構造を提供する。
【0011】
地面スタンド1は、橋脚11の右側の地面9に位置し、ガイドレール2が傾斜して設置され、ガイドレール2に角度調整可能な測距装置が設置される。地面スタンド1は鋼材製のものである。
【0012】
橋桁スタンド5は、地面スタンド1の上方の橋桁に固定接続され、上端面に反射体6が固定接続され、具体的に実施する時に反射体6が鏡面であってもよく、他の反射効果が高くかつ本発明を実現できる他の部材も本発明の保護範囲内にある。
【0013】
測距装置と反射体6は互いに協同して橋脚の中心位置を測定する。
【0014】
好ましい方案として、地面スタンド1は、地面9に垂直に固定される第1縦棒101と、第1縦棒101の上端に傾斜して固定される第1横棒102と、を備え、ガイドレール2が第1横棒102に傾斜して設置され、第1横棒102と水平面との挟角がαであり、α=45°である。第一縦棒101は横梁及び複数の鉄筋を含み、複数の鉄筋は横梁に溶接され、横梁は鉄筋と斜交し、横梁の頂面は橋10の一側に向き、第一縦棒101は橋10の周囲の地面9内に垂直に打ち込まれる。
【0015】
好ましい方案として、橋桁スタンド5は、橋桁に垂直に固定される第2縦棒501と、第2縦棒501の上端に傾斜して固定される第2横棒502と、を備え、第2横棒502に反射体6が傾斜して固定され、第1横棒102が第2横棒502の延長線と交差し、すなわち第1横棒102が上向きに傾斜し、第2横棒502が下向きに傾斜し、第2横棒502と水平面との挟角がβであり、β=45°である。第1横棒102と第2横棒502の水平面に対する傾斜は、計算しやすいために、いずれも45°である。第2横棒502は、横断面が矩形である鋼板であり、幅が3~8cm(例えば、3cm、4cm、4.5cm、5cm、6cm、7cm、7.8cm、8cm)、長さは2~5m(例えば、2m、2.5m、3m、3.5m、4m、4.5m、5m)であり、厚さは0.5~1cm(例えば、0.5cm、0.6cm、0.7cm、0.8cm、0.9cm、1cm)である。
【0016】
好ましい方案として、測距装置は、逆T型構造の支え端7であって、ガイドレール2は、T型構造に適合する溝構造であり、即ち支え端7は、T型構造のガイドレール2の内に設けられて相対的に摺動することができ、上端面に固定ボルト701が貫通して接続され、固定ボルト701のスクリュー部がガイドレール2の溝端面に接触しており、ガイドレール2に相対的に摺動移動する支え端7と、ロックボルト3により支え端7にヒンジ接続される挟持端8であって、即ちロックボルト3に対して回転できると同時に、ロックボルト3の締緩により回転とロックが行われる挟持端8と、挟持端8に挟持されるレーザ距離計4と、を備える。
【0017】
本発明は、橋脚の中心位置を決定する構造の中心位置の決定方法をさらに提供し、それは、以下のステップを含む。
【0018】
ステップS1は、地面スタンド1を固定することであり、まず、地面スタンド1を橋脚11の一側の地面9に打設し、橋桁の縁部の下方から橋の外側に僅かに向き、且つ測定装置により、地面スタンド1と橋10の走行方向を平行にする。
【0019】
ステップS2は、橋桁スタンド5を取り付けることであり、橋桁の縁部に橋桁スタンド5を取り付けることにより、鏡面が橋桁の縁部から突出する。
【0020】
ステップS3は、橋桁の中心線位置を測定することであり、メジャーを利用して橋桁の中心線位置を測定し、赤色ペンキで標識する。
【0021】
ステップS4は、ガイドレール2及びレーザ距離計4を取り付けることであり、ガイドレール2を第一横棒102に溶接し、測距位置決め装置をガイドレール2に配置し、レーザ距離計4を挟持端8に入れる。
【0022】
ステップS5は、レーザ距離計4を調整することであり、挟持端8を回転することにより、レーザ距離計4が水平状態になり、レーザ距離計4のレーザ発射口が橋10側に向き、且つロックボルト3を締め付ける。
【0023】
ステップS6は、レーザ距離計4が橋脚11の中心位置を測定することであり、レーザ距離計4を起動することにより、レーザ発射点が橋脚11に位置し、ガイドレール2に沿って支え端7を連続的に移動し、且つ距離を連続的に測定し、測定距離が最小となるとき、このときレーザがちょうど橋脚11の中心位置を通過する。
【0024】
ステップS7は、支え端7を調整することであり、支え端7の固定ボルト701を締め付けることにより、支え端7をガイドレール2に沿って移動することができないようにする。
【0025】
ステップS8は、錘鉛を利用して橋脚11の中心位置を測定することであり、ヒンジ接続箇所のロックボルト3を緩め、挟持端8を回転させ、レーザ距離計4の発射口を垂直に上向きにさせ、このときレーザが鏡面で発射された後、水平に射出し、さらに錘鉛を利用し、錘鉛を橋桁の中心線に見当合せ、かつ橋桁の中心線位置に沿って移動させ、レーザが錘鉛のロープに到達する時、この時の錘鉛の直下方が橋脚11の中心位置である。
【0026】
要するに、本発明は橋脚の中心位置を決定する構造に関し、地面スタンド1を備え、地面スタンド1の上端面にガイドレール2が固定接続され、地面スタンド1とガイドレール2との接触面と水平面との挟角が45°であり、ガイドレール2に測距位置決め装置が接続され、測距位置決め装置の角度が調整可能であり、橋桁の上端に橋桁スタンド5が固定接続され、橋桁スタンド5の上端面に反射体6が固定接続される。地面スタンド1は鋼材製のものであり、横棒は断面が矩形の鋼板であり、幅は3~8cmであり、長さは2~5mであり、厚さは0.5~1.0cmである。縦棒は複数の鉄筋であり、横梁と溶接され、横梁は縦棒と斜交し、横梁の頂面は橋の一側に向き、縦棒は橋周囲の地面内に垂直に打ち込まれる。摺動、測距、レーザ測距によりビームを発射し、さらに錘鉛ーを利用して、橋脚の中心位置を決定し、橋脚の中心位置を便利で迅速的に決定し、位置決めが正確であり、操作しやすい。
【0027】
上記のように、本発明の全体的構造は製造しやすく、組み立てしやすく、同時に迅速で正確的に測定するように橋脚の中心位置を決定することができる。支え端7はガイドレール2に対して摺動し、複数組のデータを測定しやすく、それにより測定の正確性を向上させる。レーザ距離計4は支え端7に対して回転することができ、回転する時にロックボルト3によりロックされ、便利で迅速的に調整することができる。同時に本発明の中心位置の決定方法も現場操作で行いやすい。本発明の全体が操作しやすいとともに、測定の精度を保証することもできる。
【0028】
以上は本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明を限定するものではなく、当業者にとって、本発明は様々な修正及び変更を有することができる。本発明の主旨及び原則内で、行われたいかなる修正、同等置換、改善等は、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるものである。
【符号の説明】
【0029】
1 地面スタンド
101 第1縦棒
102 第1横棒
2 ガイドレール
3 ロックボルト
4 レーザ距離計
5 橋桁スタンド
501 第2縦棒
502 第2横棒
6 反射体
7 支え端
701 固定ボルト
8 挟持端
9 地面
10 橋
11 橋脚
図1