(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-20
(45)【発行日】2022-09-29
(54)【発明の名称】燃料タンクの開閉装置
(51)【国際特許分類】
B60K 15/04 20060101AFI20220921BHJP
F02M 37/00 20060101ALI20220921BHJP
F16K 15/03 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
B60K15/04 E
F02M37/00 301Q
F16K15/03 F
(21)【出願番号】P 2019022208
(22)【出願日】2019-02-12
【審査請求日】2021-05-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保 智裕
(72)【発明者】
【氏名】石原 徳彦
(72)【発明者】
【氏名】柴▲崎▼ 哲也
(72)【発明者】
【氏名】坂本 考史
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0079296(US,A1)
【文献】特開2017-114272(JP,A)
【文献】国際公開第2018/193883(WO,A1)
【文献】特開2009-202836(JP,A)
【文献】実開昭57-137789(JP,U)
【文献】実開昭64-48479(JP,U)
【文献】特開2012-202485(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0154768(US,A1)
【文献】独国実用新案第202017100715(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 11/00- 15/10
F02M 37/00
F16K 15/03
E05D 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料タンクの開閉装置(20)であって、
給油ノズル(FN)のノズル挿入通路(100N)を取り囲むように形成された通路周壁(22a)と、前記通路周壁(22a)に形成されて前記ノズル挿入通路(100N)を大気開放する第1開口(41)とを有するハウジング(22)と、
前記ハウジング(22)が組み込まれるカバー本体(21)であって、前記ハウジング(22)を取り囲むように形成された周壁(21a)と、前記周壁(21a)に形成されて前記第1開口(41)と対向する大気開放の第2開口(42)とを有し、前記周壁(21a)の天井壁(21b)に前記給油ノズル(FN)のノズル挿入口(104)を有する前記カバー本体(21)と、
前記ノズル挿入口(104)を開閉する挿入口開閉機構(10)と、
前記第1開口(41)と連続するように前記ハウジング(22)に装着されて、前記カバー本体(21)と前記ハウジング(22)との間に位置する排液機構(40)とを有し、
前記排液機構(40)は、
前記第1開口(41)から前記第2開口(42)に至るまでの排液通路(48d)であって、前記ノズル挿入通路(100N)から前記第1開口(41)に向けて流れる液体の排液口(46a)を前記第1開口(41)に連続させて備える前記排液通路(48d)と、
弁本体(47c)と、前記弁本体(47c)よりも前記ノズル挿入通路(100N)の中心軸(OL)側に位置するように保持された回動軸(47a)とを備え、前記回動軸(47a)を基点とした前記弁本体(47c)の回動により前記排液口(46a)を開閉する排液弁(47)と、
前記排液口(46a)を閉鎖した前記排液弁(47)の前記弁本体(47c)と向き合い、前記排液口(46a)を開放するよう前記弁本体(47c)が回動すると、前記弁本体(47c)の弁本体上面の一部に当接して前記弁本体(47c)の回動を規制する開弁規制部(43a)とを備
え、
前記排液機構(40)は、
前記回動軸(47a)を基点とした前記弁本体(47c)の回動が起きるように、前記排液弁(47)の前記回動軸(47a)を保持する保持部材(48)を備え、
前記保持部材(48)に、前記開弁規制部(43a)として、前記弁本体(47c)の前記弁本体上面側に突出した凸部(43a)を備える、燃料タンクの開閉装置(20)。
【請求項2】
請求項1に記載の燃料タンクの開閉装置(20)であって、
前記凸部(43a)は、前記排液通路(48d)における前記液体の排液方向に沿って延びるよう形成されている、燃料タンクの開閉装置(20)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料タンクの開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の燃料タンクの開閉装置は、特許文献1に記載されているように、燃料通路と装置外部とを連通する排液路に流路を開閉する排液弁を備えている。そして、この特許文献1は、排液路を通常は排液弁により閉鎖することで、外部からの塵等の浸入を防止している。また、燃料通路に雨水などの液体が入り込めば、その入り込んだ液体を、排液弁により排液路を開放することにより、外部に排出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された燃料タンクの開閉装置では、排液路の形成部位がアウターボディーから外側に突出しており、その突出部位は、開閉装置が装着される給油室において露出する。排液路を開閉する排液弁は、この突出部位に配設されているので、外部からの影響、例えば給油ノズルの接触に伴う外力の加わりなどを受けやすい。外部からの影響を少なくするには、排液弁を排液路の形成部位内に収納するようにすればよい。しかしながら、開閉装置には、車両の給油室における設置スペースの制約から、省スペース化が求められるので、排液弁の収容域において、排液弁を取り囲む周辺部材に近づけて排液弁を配設せざるを得ない。そうすると、排液路の開放のために開弁駆動した排液弁がこれを取り囲む周辺部材の間隙に入り込んだりして、排液弁の可動性が損なわれることが有り得る。排液弁が開弁駆動したままであると、排液路からの塵等の浸入が防止できないので、排液弁の可動性を確保することが要請されるに至った。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
(1)燃料タンクの開閉装置の一形態によれば、燃料タンクの開閉装置が提供される。この燃料タンクの開閉装置は、給油ノズルのノズル挿入通路を取り囲むように形成された通路周壁と、前記通路周壁に形成されて前記ノズル挿入通路を大気開放する第1開口とを有するハウジングと、前記ハウジングが組み込まれるカバー本体であって、前記ハウジングを取り囲むように形成された周壁と、前記周壁に形成されて前記第1開口と対向する大気開放の第2開口とを有し、前記周壁の天井壁に前記給油ノズルのノズル挿入口を有する前記カバー本体と、前記ノズル挿入口を開閉する挿入口開閉機構と、前記第1開口と連続するように前記ハウジングに装着されて、前記カバー本体と前記ハウジングとの間に位置する排液機構とを有し、前記排液機構は、前記第1開口から前記第2開口に至るまでの排液通路であって、前記ノズル挿入通路から前記第1開口に向けて流れる液体の排液口を前記第1開口に連続させて備える前記排液通路と、弁本体と、前記弁本体よりも前記ノズル挿入通路の中心軸側に位置するように保持された回動軸とを備え、前記回動軸を基点とした前記弁本体の回動により前記排液口を開閉する排液弁と、前記排液口を閉鎖した前記排液弁の前記弁本体と向き合い、前記排液口を開放するよう前記弁本体が回動すると、前記弁本体の弁本体上面の一部に当接して前記弁本体の回動を規制する開弁規制部とを備える。
この形態の燃料タンクの開閉装置では、ハウジングが形成するノズル挿入通路から第1開口に向けて流体が流れると、この液体は、カバー本体とハウジングとの間の排液機構の排液口に到達する。そして、排液口が排液弁により開放されると、液体は、排液口を通過して、ハウジングの第1開口と対向するカバー本体の第2開口に流れる。第2開口は、ハウジングを取り囲む周壁に形成されて大気開放されていることから、第2開口まで流れた液体を、この第2開口から装置外部に支障なく排液できる。
第1開口から第2開口までの液体排液に関与する排液機構は、カバー本体とこれに組み込まれるハウジングとの間、即ちハウジングの組込領域に配設される。よって、燃料タンクの開閉装置のアウターボディーとなるカバー本体では、周壁に大気開放の第2開口が形成されていれば良く、排液通路の形成部位を装置外部に突出させて設ける必要がない。これにより、省スペース化の要請に応えることができる。
これに加え、この形態の燃料タンクの開閉装置では、回動軸を基点とした弁本体の回動により排液口を開閉する排液弁を、回動軸をノズル挿入通路の中心軸側に位置させて保持することで、保持する。こうして保持された排液弁は、液体が排液口に達していない状態において、排液口を閉鎖し、液体が排液口に到達すると、その液体に押されて排液口を開放する。この排液口の開放の際、弁本体は、回動軸を基点として回動し、弁本体上面の一部に開弁規制部が当接して弁本体の回動が規制されると、回動停止状態となる。この回動停止状態において、弁本体上面の一部に開弁規制部が当接していることから、排液弁を取り囲む周辺部材の間隙に排液弁が入り込んだりしないようにできる。この結果、この形態の燃料タンクの開閉装置によれば、ノズル挿入通路に入り込んだ液体を確実に排液できるようにした上で、排液口を開放する排液弁の可動性を確保できる。
(2)上記形態の燃料タンクの開閉装置において、前記排液機構は、前記回動軸を基点とした前記弁本体の回動が起きるように、前記排液弁の前記回動軸を保持する保持部材を備え、前記保持部材に、前記開弁規制部として、前記弁本体の前記弁本体上面側に突出した凸部を備えるようにしてもよい。こうすれば、排液弁の保持と開弁規制部による回動規制とを、保持部材により達成できるので部材の成形性や組み付け性が高まると共に、凸部により確実な弁本体上面の一部への当接を図ることができる。
(3)上記形態の燃料タンクの開閉装置において、前記凸部は、前記排液通路における前記液体の排液方向に沿って延びるように形成されているようにしてもよい。こうすれば、多量の液体が排液通路に流れ込んでも、排液方向に沿って延びる凸部の傾斜面で液体を案内しつつ、液体を第2開口に導くことができ、排液性を確保できる。
【0007】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能である。例えば、燃料タンクの開閉装置を有する燃料タンクの形態や、燃料タンクの開閉装置を有するフィラーネックの形態の他、燃料タンクの開閉装置の製造方法等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態にかかる燃料タンクの開閉装置を含む給油装置の概要を示す説明図である。
【
図2】実施形態にかかる燃料タンクの開閉装置が組み込まれたフィラーネックを概略視した斜視図である。
【
図3】フィラーネックの要部を
図2の3-3線に沿って断面視して示す説明図である。
【
図5】
図3における排液機構の周辺領域を拡大断面視して示す説明図である。
【
図6】排液機構を構成する排液口形成部材を
図3における矢印A方向から見て示す説明図である。
【
図7】排液口形成部材を
図6における矢印B方向から見て示す説明図である。
【
図8】排液機構を構成する保持部材により保持される排液弁を
図3における矢印A方向からの正面図とその右側面図で示す説明図である。
【
図9】排液機構を構成する保持部材を
図4における矢印C方向から見て示す説明図である。
【
図10】開閉装置の要部部品の組み付けの状態を
図4における矢印D方向から見て示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は本発明の実施形態にかかる燃料タンクの開閉装置20を含む給油装置FSの概要を示す説明図である。給油装置FSは、車両に装着され、給油ノズルFNから供給される燃料を燃料タンクFTに導く。
図1以降の各図には、鉛直方向を示す矢印Gが記載されている。給油装置FSは、フィラーネック100と、燃料蒸気ポート102と、フィラーパイプFPと、逆止弁TVと、燃料蒸気チューブNTと、ガス放出弁BVと、装着部材FEと、を備えている。フィラーネック100は、装着部材FEにより車両の給油室FRに装着され、ノズル挿入口104への給油ノズルFNの挿入を受け付ける。なお、図示する装着部材FEに代わり、中央にフィラーネック100の一部が挿入される円孔が形成された円板状の基板を用いて、フィラーネック100を給油室FRに装着してもよい。
【0010】
フィラーネック100は、燃料タンクFTと、フィラーパイプFPおよび燃料蒸気チューブNTにより接続されている。そして、フィラーネック100は、ノズル挿入口104に挿入された給油ノズルFN(
図1参照)からガソリンなどの液体燃料を、フィラーパイプFPを介して接続される燃料タンクFTへと導く。フィラーパイプFPは、例えば、2箇所に蛇腹構造を有する樹脂製のチューブであり、一定の範囲において、伸縮し、湾曲可能である。このフィラーパイプFPは、逆止弁TVを介して、燃料タンクFTと接続されている。ノズル挿入口104に挿入された給油ノズルFNから吐出された燃料は、フィラーネック100が形成する後述の燃料流路とフィラーパイプFPを経て、逆止弁TVから、燃料タンクFTに導かれる。なお、逆止弁TVは、燃料タンクFTからフィラーパイプFPへの燃料の逆流を防止する。
【0011】
燃料蒸気チューブNTは、一端がガス放出弁BVを介して燃料タンクFTと接続され、他端がフィラーネック100から突出した燃料蒸気ポート102に接続されている。ガス放出弁BVは、燃料蒸気チューブNTを燃料タンクFTに接続する継手として機能する。燃料蒸気が含まれるタンク内エアーは、ガス放出弁BVから、燃料蒸気チューブNTに流れ込む。燃料蒸気は、給油ノズルFNからの給油時に、供給された燃料と共にフィラーパイプFPを通って燃料タンクFTに導かれる。以下、フィラーネック100について詳述する。
【0012】
図2は実施形態にかかる燃料タンクの開閉装置20が組み込まれたフィラーネック100を概略視した斜視図である。
図3はフィラーネック100の要部を
図2の3-3線に沿って断面視して示す説明図である。
図4は燃料タンクの開閉装置20の分解斜視図である。なお、以降の説明において部材の位置関係を述べる場合には、燃料タンクFTに近い側を、適宜、「燃料タンク側」と称し、ノズル挿入口104に近い側を、適宜、「挿入側」と称する。また、
図3では、構成部材の明確な図示のため、適宜な内部構成部材については断面端面視して示している。
【0013】
図3と
図4に示すように、フィラーネック100は、挿入口開閉機構10と、開閉装置20と、タンク側開閉機構30と、排液機構40とを備える。開閉装置20は、給油ノズルFN(
図1参照)が挿入されるノズル挿入口104を有するアウターボディー21と、給油ノズルFNのノズル挿入通路100Nを有するインナーボディー22と、燃料タンク側でタンク側開閉機構30をインナーボディー22に組み付けるアンダーボディー23と、給油ノズルFNから供給された液体燃料を燃料タンクFTへと導く燃料通路100Pを形成する燃料通路形成部25とを備える。なお、各ボディーは、ほぼ円筒状の形状とされている。
【0014】
アウターボディー21は、インナーボディー22が組み込まれるカバー本体であって、インナーボディー22を取り囲む周壁21aに大気開放の第2開口42を有する。この第2開口42は、後述のインナーボディー22が有する第1開口41と対向する。また、アウターボディー21は、周壁21aの天井壁21bに給油ノズルFNのノズル挿入口104を有する。ノズル挿入口104は、略円形の孔形状をなす給油口周壁104sにテーパー状のノズル挿入側周壁104tが連続するように形成されている。なお、アウターボディー21は、PA(ポリアミド)等の耐油性樹脂を用いた樹脂成形品である。
【0015】
インナーボディー22は、ノズル挿入通路100Nを取り囲む通路周壁22aに第1開口41を有するハウジングであって、この第1開口41によりノズル挿入通路100Nを大気開放する。
図3と
図4に示すように、インナーボディー22は、通路周壁22aの一部領域をノズル挿入通路100Nの径方向に沿って外側に突出した突出壁部22bとする。その上で、インナーボディー22は、この突出壁部22bに形成した第1開口41をノズル挿入通路100Nに連続させ、第1開口41の開口底部側の通路周壁22aを傾斜壁部22cとする。インナーボディー22は、通路周壁22aを補強するため、ボディー上下のフランジ間に複数のリブを有する他、下方フランジにアウターボディー21に対する保持力の発揮のための突出片を有する。これら部材は、本発明の要旨と直接関係しないので、その説明は省略する。
【0016】
傾斜壁部22cは、フィラーネック100が車両に装着済みの装着姿勢、より詳しくは、
図3に示すように、鉛直方向に対して所定の傾斜角θ1(30~50°)で傾斜した傾斜姿勢にある時に、第1開口41側がノズル挿入通路100N側より少なくとも鉛直下方側に位置するように傾斜する。傾斜壁部22cの機能については、後述する。インナーボディー22と後述のアンダーボディー23は、PA(ポリアミド)等の耐油性樹脂を用いた樹脂成形品である。なお、傾斜角θ1は、鉛直方向に対するノズル挿入通路100N或いは燃料通路100Pの中心軸OLの傾斜角である。
【0017】
挿入口開閉機構10は、アウターボディー21の天井壁21b側に配設され、ノズル挿入口104を開閉する。つまり、この挿入口開閉機構10は、ノズル挿入口104への給油ノズルFNの挿入に伴って挿入口開放位置に移動してノズル挿入口104を開き、給油ノズルFNが挿入されない状態では、ノズル挿入口104の開口底部をノズル挿入通路100N側から閉じる。
【0018】
挿入口開閉機構10は、ノズル挿入口104の開閉用の挿入口開閉部材11と、インナーボディー22に固定されて挿入口開閉部材11を閉める方向に付勢する挿入側スプリング12と、挿入口開閉部材11を取り囲むようアウターボディー21の天井壁21bに装着される環状体15とを備える。環状体15は、多孔質のスポンジゴムの成形品であり、天井壁21bに加わる衝撃を緩和すると共に、燃料蒸気が大気へ流出することを制限する。挿入口開閉部材11は、アウターボディー21よりも疎水性の高い材料、例えばPPS(ポリフェニレンサルファイド)を用いた成形品であり、中央部がノズル挿入通路100N側に窪んだ円板状に形成されている。この挿入口開閉部材11は、
図4に示すように、その上面に陥没凹所11aを備える。この陥没凹所11aは、ノズル挿入通路100Nをノズル挿入口104の周壁において大気に連通する連通口として機能する。
【0019】
挿入側スプリング12は、インナーボディー22に固定端12Lで固定され、固定端12Lと反対側の自由端で挿入口開閉部材11に固定されている。挿入側スプリング12は、固定端12Lを中心に所定の角度の範囲で回動し、挿入口開閉部材11を燃料通路100Pが閉まる方向に付勢している。よって、挿入口開閉部材11は、非給油時において、ノズル挿入口104における給油口周壁104sの開口下端側端面に押し付けられて、ノズル挿入口104を閉鎖する。なお、挿入口開閉機構10を、給油ノズルFNの挿入に伴いノズル挿入口104が挿入口正面視で左右、或いは上下に開閉する一対のフラップ弁タイプとしてもよい。
【0020】
上記した挿入口開閉機構10の挿入口開閉部材11との関係において、アウターボディー21は、給油口周壁104sの下端側端面を、挿入口開閉部材11の着座端面とする。そして、このアウターボディー21は、給油口周壁104sの下端側端面に、
図4に示すように、連通口21cを有する。この連通口21cは、給油口周壁104sの下端側端面を切り欠いて形成されている。そして、連通口21cは、既述した挿入口開閉機構10の挿入口開閉部材11がノズル挿入口104を閉じている状況において、挿入口開閉部材11の陥没凹所11aと重なり、陥没凹所11aと共に、ノズル挿入通路100Nをノズル挿入口104の周壁において大気に連通する。なお、陥没凹所11aと連通口21cは、いずれか一方が形成されればよい他、両者が異なる位置に形成されて個別にノズル挿入通路100Nをノズル挿入口104の周壁において大気に連通するようにしてもよい。
【0021】
燃料通路形成部25は、アウターボディー21の下端側に組み付けられ、燃料通路100Pを、後述のタンク側開閉機構30を介在させて、インナーボディー22のノズル挿入通路100Nに連続させる。
【0022】
タンク側開閉機構30は、
図3に示すように、燃料通路形成部25が形成した燃料通路100Pとノズル挿入通路100Nとが連続した部位に配設され、ノズル挿入通路100Nを燃料タンク側で開閉する。このタンク側開閉機構30の組み付け対象部材はアンダーボディー23であり、アンダーボディー23は、シール部材を介してアウターボディー21とインナーボディー22に対して液密・気密に装着されている。そして、タンク側開閉機構30は、燃料通路形成部25を介してアンダーボディー23に組み付けられ、ノズル挿入通路100Nを開閉するタンク側開閉部材31と、燃料通路形成部25に固定されてタンク側開閉部材31を閉める方向に付勢するタンク側スプリング32と、を備える。タンク側開閉部材31は、燃料タンク側から挿入側への液体燃料の漏洩を防止するフラップ弁である。タンク側スプリング32は、燃料通路形成部25に固定端32Lで固定され、固定端32Lと反対側の自由端でタンク側開閉部材31に固定されている。タンク側スプリング32は、固定端32Lを中心に所定の角度の範囲で回動し、タンク側開閉部材31をノズル挿入通路100Nが閉まる方向に付勢している。タンク側スプリング32は、フィラーネック100が
図3に示す傾斜姿勢で車両に装着済みの際、タンク側開閉機構30が閉まっている状態で、固定端32Lが自由端よりも重力方向の上側になるように配置されている。タンク側開閉機構30は、タンク側開閉部材31に調圧機構を備えており、燃料タンクFT内の燃料蒸気圧(タンク内圧)を調圧している。つまり、タンク内圧が規定圧力よりも正圧となったり負圧となる内圧異常時において、タンク側開閉機構30は、タンク内エアーのノズル挿入通路100N側への放出やノズル挿入通路100Nからタンク内への大気導入により、タンク内圧を調整する。
【0023】
排液機構40は、アウターボディー21とインナーボディー22との間に位置するよう、インナーボディー22に装着されて、インナーボディー22の第1開口41と連続する。この排液機構40は、
図4に示すように、インナーボディー22側から、矩形の環状シール体45と、排液口形成部材46と、排液弁47と、保持部材48とを備える。環状シール体45は、耐油性ゴムの成形品であり、インナーボディー22の第1開口41に装着された排液口形成部材46の押圧力を受けて、第1開口41をその開口領域に亘って液密にシールする。
【0024】
図5は
図3における排液機構40の周辺領域を拡大断面視して示す説明図である。
図6は排液機構40を構成する排液口形成部材46を
図3における矢印A方向から見て示す説明図である。
図7は排液口形成部材46を
図6における矢印B方向から見て示す説明図である。
図8は排液機構40を構成する保持部材48により保持される排液弁47を
図3における矢印A方向からの正面図とその右側面図で示す説明図である。
図3と
図4に示すように、排液口形成部材46は、第1開口41に装着される。こうして装着された排液口形成部材46は、第1開口41側からノズル挿入通路100Nの中心軸OL側に突出して第1開口41側で窪んだ凹所壁46cに排液口46aを有する。この凹所壁46cは、第1開口41側から窪んで囲まれた凹所の領域を、アウターボディー21の第2開口42に連続した排液通路48dとする。また、排液口形成部材46は、
図3の断面図および
図5の拡大断面図に示すように、排液口46aをテーパー状の台座部46dの取り囲み、後述の排液弁47における弁本体47cを排液口46aの開口上端面で受け止める。
図3と
図5の断面図に示すように、排液通路48dには、後述の保持部材48の構成部材も位置し、凹所壁46cには、後述の排液弁47が保持される。よって、排液通路48dと凹所壁46cについては、保持部材48や排液弁47の構成と合わせて、後述する。
【0025】
図3における矢印A方向は、排液口46aの開口面に直交する開口軸線の方向と一致している。よって、
図6では、排液口46aの正面視図が示されていることになる。この
図6に示すように、排液口46aは、正面視において楕円形の開口である。
【0026】
楕円開口の排液口46aを開閉する排液弁47は、
図8に示すように、回動軸47aと弁本体47cを有する。弁本体47cは、正面視において楕円形状であり、回動軸47aに平行な長辺の長さが回動軸47aに垂直な短辺の長さよりも長い。本実施形態の排液弁47は、回動軸47aに平行な長辺の長さが回動軸47aに垂直な短辺の長さに対して1.1~1.5倍の寸法に形成された弁本体47cを有する。そして、排液弁47の弁本体47cで閉鎖される排液口46aも、弁本体47cの楕円形状に対応した楕円開口である。排液口46aは、インナーボディー22における傾斜壁部22cの第1開口41側の一端に位置し、傾斜壁部22cと連続している。このため、ノズル挿入通路100Nに入り込んだ液体は、ノズル挿入通路100Nから傾斜壁部22cに導かれて第1開口41に向けて流れ、この排液口46aに自ずから到達する。また、排液口形成部材46は、保持部材48側に凸部46bを有する。この凸部46bについては、後述の保持部材48の構成と関連付けて説明する。
【0027】
図9は排液機構40を構成する保持部材48を
図4における矢印C方向から見て示す説明図である。
図10は開閉装置20の要部部品の組み付けの状態を
図4における矢印D方向から見て示す説明図である。保持部材48は、枠体の中央域に第3開口43を備え、
図4および
図10に示すように、第3開口43の上端に、凸部43aを有する。第3開口43は、排液通路48dを経て外部に排出する液体の通過面積を確保するため、開口上端を
図10における上方側に延ばして形成されている。そして、第3開口43は、後述の保持片48cを第3開口43側から支えるため、開口上端側が正面視左右方向に狭くされ、狭くされた部位に開口肩部48fを形成する。第3開口43の上端から突出した凸部43aは、その両側の開口肩部48fより、
図10における下方、即ち弁本体47cの弁本体上面に向かって突出している。そして、凸部43aは、排液口46aを閉鎖した排液弁47の弁本体47cと向き合う。また、凸部43aは、排液口46aを開放するよう弁本体47cが回動すると、弁本体47cの弁本体上面の一部、詳しくは弁本体47cのほぼ中央上面に当接して弁本体47cの回動を規制する。つまり、凸部43aは、本発明における開弁規制部として機能する。凸部43aは、
図5において断面視して示されており、保持部材48前面側の第3開口43から開口奥側に筋状に延びるよう形成されている。保持部材48の開口奥側から前面側の第3開口43に向かう方向は、排液方向であることから、凸部43aは、排液通路48dにおける排液方向に沿って延びることになる。
【0028】
この他、保持部材48は、第3開口43の枠体から2本の係合腕48aを排液口形成部材46に向けて突出して備える。係合腕48aは、向かい合う間隔が広がるよう可撓性を備え、係合腕基部から先端側まで、一対の長形の係合孔48bを有する。この係合腕48aは、インナーボディー22が第1開口41の周囲、具体的には第1開口41を取り囲む突出壁部22bに有する凸状の係合突起22dを係合孔48bに入り込ませることで、この係合突起22dに係合する。つまり、保持部材48は、インナーボディー22が係合部として有する係合突起22dに係合腕48aを係合させるので、この係合腕48aを、被係合部として機能させる。保持部材48は、インナーボディー22の第1開口41に既述したように装着済みの排液口形成部材46を、この装着状態が保持されるように、インナーボディー22に装着される。具体的には、保持部材48は、係合腕48aの係合孔48bにインナーボディー22の係合突起22dが係合するよう、インナーボディー22に装着され、排液口形成部材46が第1開口41に装着された状態を保持する。本実施形態では、係合孔48bは、係合腕48aの基部を切り欠くよう形成されている。よって、保持部材48がインナーボディー22に装着された状態において、保持部材48の基部側で、係合孔48bに既述した排液口形成部材46の凸部46bが係合する。
【0029】
保持部材48は、
図9に示すように、排液口形成部材46側に一対の保持片48cを有する。この保持片48cは、排液口形成部材46の排液口46aを開閉する排液弁47を排液口形成部材46の凹所壁46cに対して保持するための部材である。つまり、保持片48cは、排液口形成部材46が既述したようにインナーボディー22に装着された状態において、回動軸47aの軸表面に向き合って湾曲した湾曲面部位48eで、回動軸47aを保持する。回動軸47aは、弁本体47c側が円柱形状であり、その反対側、即ち中心軸OL側に円柱を切り欠いた平坦部47bを有する。保持片48cは、排液弁47における回動軸47aを、平坦部47bと逆側の円柱形状部側で湾曲面部位48eにより受け止める。湾曲面部位48eは、その曲率が回動軸47aの円柱形状部の曲率より小さくなるように形成されている。排液弁47の回動軸47aは、その円柱形状部側で湾曲面部位48eの曲面に沿って摺動可能に保持された上で、弁本体47cの回動の基点となる。つまり、弁本体47cは、回動軸47aを基点に回動自在であり、この弁本体47cの回動の過程において、回動軸47aは、円柱形状部側で湾曲面部位48eの曲面に沿って摺動し得る。なお、保持片48cによる回動軸47aの保持は、弁本体47cより回動軸47aがノズル挿入通路100Nの中心軸OL側に位置するようになされる。
【0030】
排液口形成部材46における凹所壁46cに組み込まれて一対の保持片48cにより保持された排液弁47は、自重により排液口46aを弁本体47cで閉鎖する。この閉鎖状態において、排液弁47の弁本体47cは、
図5に示すように、テーパー状の台座部46dにおける排液口46aの開口上端面に接触している。また、排液口形成部材46の凹所壁46cは、
図5および
図6に示すように、排液口46aの閉鎖状態において凹所壁46cの内周壁46eが排液弁47の回動軸47aと接触しないように、凹み形成されている。この他、
図5および
図6に示すように、排液口形成部材46は、台座部46dのテーパー状斜面に溝部46daを有する。この溝部46daは、
図6のように正面視した排液口46aの両端に陥没して形成されている。既述したように保持片48cで保持された排液弁47との関連で説明すると、溝部46daは、排液弁47の回動軸47aの軸方向両端の側で台座部46dのテーパー状斜面に陥没して形成されており、凹所壁46cの内周壁46eに対する回動軸47aの非接触領域を拡大する。この非接触領域の拡大により、弁本体47cは、回動軸47aを基点として支障なく回動する。より詳しく説明すると、回動軸47aが既述したように円柱形状部側で一対の保持片48cにおけるそれぞれの湾曲面部位48eの曲面に沿って摺動する場合、回動軸47aの一方端側と他方端側とでは、摺動の状況が相違することが有り得る。こうなると、回動軸47aは、軸方向の一方端が他方端より台座部46dのテーパー状斜面に近くなって、傾斜する。こうして回動軸47aが傾斜しても、台座部46dのテーパー状斜面に近くなった回動軸端部は、溝部46daにより、凹所壁46cの内周壁46eに接触しない。よって、弁本体47cは、既述したように、回動軸47aを基点として支障なく回動する。
【0031】
その一方、既述したようにノズル挿入通路100Nから傾斜壁部22cを経て第1開口41まで液体が流れると、この流体に弁本体47cが押されて回動軸47aを基点に回動することで、排液口46aを開放する。流体に押されて排液口46aを開放した排液弁47は、保持部材48の第3開口43における凸部43aに弁本体47cが近づくよう回動する。つまり、排液弁47の弁本体47cは、凸部43aとの接触箇所が回動端となるように回動し、凸部43aは排液弁47のストッパとして機能して弁本体47cの回動を規制する。
【0032】
また、保持部材48は、排液口形成部材46を保持するよう既述したようにインナーボディー22に装着された状態において、
図3に示すように、第3開口43をアウターボディー21の第2開口42に連続させる。その上で、保持部材48は、第3開口43と排液口形成部材46における排液口46aとの間における凹所壁46cの既述した凹所領域を、排液口46aから流れ出る液体の第2開口42までの排液通路48dとする。これに加え、保持部材48は、この保持部材48が既述したようにインナーボディー22に装着される過程において、排液口形成部材46の凸部46bを係合孔48bに係合腕48aの先端側から入り込ませる。インナーボディー22への保持部材48の装着が進むにつれて、凸部46bは、係合孔48bに入り込んだまま係合孔48bの基部側に達する。これにより、この凸部46bは、保持部材48がインナーボディー22に係合する際の保持部材48の姿勢を決める位置決め部として機能する。また、保持部材48は、凸部46bと係合突起22dを係合孔48bにおける異なる位置で係合孔48bに係合させる。このため、凸部46bと係合突起22dの係合相手を一つにすることができ、保持部材48の形状を簡素化できる。
【0033】
図10に示すように、排液口形成部材46と保持部材48は、排液口46a(
図4参照)を排液弁47で閉鎖した状態で、インナーボディー22に既述したように組み付け装着される。そして、インナーボディー22は、排液口形成部材46と保持部材48とが排液弁47を保持していわゆる仮組み付けされた状態で、挿入口開閉機構10および環状体15と共に、アウターボディー21に組み込まれる。詳しくは、
図9に示す保持部材48の第3開口43がアウターボディー21の第2開口42に重なるように、インナーボディー22がアウターボディー21に組み込まれる。つまり、排液口形成部材46と保持部材48の仮組み付けができればよいことから、これら部材には厳格な強度設計等が不要となり、製品設計を簡素化することができる。
【0034】
以上説明した本実施形態の開閉装置20を有するフィラーネック100では、インナーボディー22が形成するノズル挿入通路100Nから第1開口41に向けて流体が流れると、この液体は、アウターボディー21とインナーボディー22との間に組み込まれた排液機構40の排液口46aに到達する。この場合、本実施形態の開閉装置20を有するフィラーネック100は、
図3に示すように、車両に装着済みの装着姿勢において、鉛直方向に対して所定の傾斜角θ1(30~50°)で傾斜した傾斜姿勢であり、傾斜壁部22cを第1開口41側がノズル挿入通路100N側より鉛直下方側となるよう傾斜させる。よって、開閉装置20は、陥没凹所11aおよび連通口21cからノズル挿入通路100Nに入り込んだ雨水等の液体を、既述したように傾斜した傾斜壁部22cにより第1開口41に向けて液体自体の自重を利用して流し出し、排液口46aに到達させる。本実施形態の開閉装置20を有するフィラーネック100は、第1開口41側が鉛直下方側となるように傾斜させた傾斜壁部22cの水平方向に対する傾斜角θ2を、
図3に示すように、水平方向から下方側に向けて2~5°とした。これにより、ノズル挿入通路100Nから傾斜壁部22cを経た第1開口41への液体の流れ込みを確保できる。よって、ノズル挿入通路100Nに入り込んだ液体の排液の効率が高まる。また、傾斜壁部22cは、仮にその傾斜角θ2が0°であっても、車両振動等により液体をノズル挿入通路100Nから第1開口41に流して排液するので、傾斜壁部22cの傾斜角θ2は、水平方向から下方側に向けて2~5°が好ましい。
【0035】
本実施形態の開閉装置20を有するフィラーネック100は、排液口46aまで到達した液体に排液弁47が押されると、この排液弁47により排液口46aを開放する。そうすると、排液弁47を押し開いた液体は、凹所壁46cにおける凹所領域の排液通路48dを通過して、保持部材48の第3開口43に至った上で、この第3開口43に連続するアウターボディー21の第2開口42に流れる。第2開口42は、インナーボディー22を取り囲む周壁21aに形成されて大気開放されていることから、第2開口42まで流れた液体は、この第2開口42から開閉装置20の外部に排液される。
【0036】
インナーボディー22の第1開口41からアウターボディー21の第2開口42までの液体排液に関与する排液機構40は、アウターボディー21とこれに組み込まれるインナーボディー22との間、即ちインナーボディー22の組込領域に配設されるに過ぎない。よって、開閉装置20のアウターボディー21では、周壁21aに大気開放の第2開口42が形成されていれば良く、液体排液のための排液通路の形成部位を装置外部に突出させて設ける必要がない。これに加え、本実施形態の開閉装置20では、排液弁47は、回動軸47aを基点とした弁本体47cの回動により排液口46aを開閉する。そして、この回動軸47aをノズル挿入通路100Nの中心軸OL側に位置させて保持することで、排液弁47が保持される。こうして保持された排液弁47は、液体が排液口46aに達していない状態において、排液口46aを閉鎖し、液体が排液口46aに到達すると、その液体に押されて排液口46aを開放する。この排液口46aの開放の際、弁本体47cは、回動軸47aを基点として回動する。弁本体上面の一部に凸部43aが当接して弁本体47cの回動が規制されると、弁本体47cは、回動停止状態となる。この回動停止状態において、弁本体上面の一部に凸部43aが当接していることから、排液弁47を取り囲む周辺部材の間隙、具体的には、
図10に示す凸部43a両側の開口肩部48fの間隙に排液弁47の弁本体47cが入り込まない。この結果、本実施形態の開閉装置20によれば、ノズル挿入通路100Nに入り込んだ液体を確実に排液できるようにした上で、排液口46aを開放する排液弁47の可動性を確保できる。
【0037】
本実施形態の開閉装置20を有するフィラーネック100は、回動軸47aを基点とした弁本体47cの回動が起きるように、保持部材48により排液弁47の回動軸47aを保持した上で、この保持部材48に弁本体47cの弁本体上面側に向けて突出した凸部43aを有する。よって、本実施形態の開閉装置20を有するフィラーネック100によれば、排液弁47の保持と凸部43aによる回動規制とを、保持部材48により達成できるので部材の成形性や組み付け性が高まると共に、凸部43aにより確実な弁本体上面の一部への当接を図ることができる。
【0038】
本実施形態の開閉装置20を有するフィラーネック100は、凸部43aを、排液通路48dにおける液体の排液方向に沿って延びる形状に形成している。よって、本実施形態の開閉装置20を有するフィラーネック100によれば、多量の液体が排液通路48dに一度に流れ込んでも、排液方向に沿って延びる凸部43aの傾斜面で液体を案内しつつ、凸部43aと開口肩部48fとの間において液体を第2開口42に導くことができ、排液性を確保できる。
【0039】
本実施形態の開閉装置20を有するフィラーネック100は、排液口46aを開閉する排液弁47を、第1開口41側からノズル挿入通路100Nの中心軸OL側に突出して窪んだ凹所壁46cの凹所領域の排液通路48dに保持片48cにより保持する。排液弁47の保持領域が第1開口41側からアウターボディー21側に広がるほど、排液機構40の組込領域はアウターボディー21側に広がる。本実施形態の開閉装置20では、排液弁47をノズル挿入通路100Nの中心軸OL側に突出して窪んだ凹所壁46cの凹所領域の排液通路48dに保持しているので、排液機構40の組込領域の広がりを抑制できる。この結果、本実施形態の開閉装置20を有するフィラーネック100によれば、ノズル挿入通路100Nに入り込んだ液体を確実に排液できるようにした上で、開閉装置20のアウターボディー21が装置外部に突出しないようにできる、或いは、突出の程度をより確実に抑制できる。
【0040】
本実施形態の開閉装置20を有するフィラーネック100は、排液弁47の回動軸47aを、この回動軸47aの軸表面に向き合うよう湾曲した一対の保持片48cの湾曲面部位48eで保持する。よって、本実施形態の開閉装置20を有するフィラーネック100によれば、排液弁47を回動軸47aを基点に円滑に回動させることができる。しかも、回動軸47aが一対の保持片48cにおけるそれぞれの湾曲面部位48eの曲面に沿って摺動して傾斜したとしても、溝部46daにより、回動軸47aを排液口形成部材46における凹所壁46cの内周壁46eに接触させない。つまり、回動軸47aが摺動により傾斜しても、弁本体47cは、回動軸47aを基点に支障なく円滑に回動する。これらの結果、ノズル挿入通路100Nに入り込んだ液体の排液性がより高まる。
【0041】
本実施形態の開閉装置20を有するフィラーネック100は、排液口形成部材46の凹所壁46cにおける排液通路48dにおいて、排液弁47の弁本体47cを、台座部46dが形成した排液口46aの開口上端面で受け止める。その上で、フィラーネック100は、排液弁47を、その回動軸47aが凹所壁46cの内壁面に接触しないように、保持する。よって、本実施形態の開閉装置20を有するフィラーネック100によれば、弁本体47cを回動軸47aを基点により一層と円滑に回動させることができるので、排液性をより高めることができる。
【0042】
本実施形態の開閉装置20では、ノズル挿入通路100Nの中心軸OL側に位置する回動軸47aを基点として排液口46aの開閉のために回動する弁本体47cを、正面視において、回動軸47aに垂直な辺が短辺となる楕円形状とした。回動軸47aに垂直な方向の弁本体長さは、ノズル挿入通路100Nの中心軸OLからの排液機構40の組込領域の広がりを規定する。本実施形態の開閉装置20では、回動軸47aに垂直な方向の弁本体長さを回動軸47aに平行な方向の弁本体長さに比べて短くすることで、排液機構40の組込領域の広がりを抑制できる。また、排液口46aを弁本体47cに対応した楕円開口とすることで、ノズル挿入通路100Nに入り込んだ液体を確実に排液可能な開口面積を確保できる。これらの結果、本実施形態の開閉装置20を有するフィラーネック100によれば、ノズル挿入通路100Nに入り込んだ液体を確実に排液できるようにした上で、開閉装置20のアウターボディー21が装置外部に突出しないようにできる、或いは、突出の程度をより確実に抑制できる。これに加え、本実施形態の開閉装置20を有するフィラーネック100によれば、排液機構40への外部からの接触を回避、若しくは抑制できる。
【0043】
本実施形態の開閉装置20を有するフィラーネック100は、排液弁47の回動軸47aを、回動軸47aの中心に対して中心軸OL側に平坦部47bを有する回動軸としたので、平坦部47bとするために回動軸47aが切り欠かれた分だけ、ノズル挿入通路100Nの中心軸OLからの排液機構40の組込領域の広がりをより抑制できる。よって、本実施形態の開閉装置20を有するフィラーネック100によれば、開閉装置20のアウターボディー21の装置外部への突出をより一層、抑制できると共に、排液機構40への外部からの接触をより確実に回避、若しくは抑制できる。
【0044】
本実施形態の開閉装置20を有するフィラーネック100は、排液弁47の弁本体47cを、回動軸47aに平行な長辺の長さが回動軸47aに垂直な短辺の長さよりも1.1~1.5倍の楕円形状とした。その上で、インナーボディー22に第1開口41に向けて液体を導く傾斜壁部22cを、既述したように、フィラーネック100が傾斜して車両に装着された状態において、第1開口41側が鉛直下方側となるように、水平方向に対して所定の傾斜角θ2(2~5°)で傾斜させた。よって、本実施形態の開閉装置20を有するフィラーネック100によれば、排液機構40の組込領域の広がりをより確実に抑制できると共に、ノズル挿入通路100Nに入り込んだ液体を傾斜した傾斜壁部22cを経て確実に排液できる。
【0045】
本実施形態の開閉装置20を有するフィラーネック100は、インナーボディー22の組み付け対象であるアウターボディー21により、排液機構40を外側からインナーボディー22に対して保持する。よって、本実施形態の開閉装置20を有するフィラーネック100によれば、排液機構40を装置外部の側から確実に保持できると共に、排液機構40に外力が直に及ばないようにすることができる。
【0046】
本実施形態の開閉装置20を有するフィラーネック100は、排液口形成部材46に、保持部材48の係合腕48aがインナーボディー22の係合突起22dに係合する際の保持部材48の姿勢を決める凸部46bを有する。よって、本実施形態の開閉装置20を有するフィラーネック100によれば、排液口形成部材46や保持部材48で構成される排液機構40をインナーボディー22の第1開口41に容易に組み付けることができる。
【0047】
本実施形態の開閉装置20を有するフィラーネック100は、インナーボディー22に係合突起22dを備え、排液口形成部材46に係合突起22dが係合孔48bに入り込んで係合する係合腕48aを備える。よって、本実施形態の開閉装置20を有するフィラーネック100によれば、排液口形成部材46や保持部材48で構成される排液機構40を、アウターボディー21へのインナーボディー22の装着前の状態において、インナーボディー22の第1開口41により容易に組み付けることができる。
【0048】
本実施形態の開閉装置20を有するフィラーネック100は、給油ノズルFNから供給された液体燃料を燃料タンクFTへと導く燃料通路100Pを燃料通路形成部25で形成し、この燃料通路形成部25を、燃料通路100Pがインナーボディー22のノズル挿入通路100Nに連続するようにして、アンダーボディー23を介してインナーボディー22に備える。これに加え、本実施形態の開閉装置20は、燃料通路100Pとノズル挿入通路100Nとが連続した部位に、ノズル挿入通路100Nを開閉するタンク側開閉機構30を有し、アウターボディー21と挿入口開閉機構10に、ノズル挿入通路100Nをノズル挿入口104の周壁において大気に連通する連通口21cや陥没凹所11aを有する。よって、本実施形態の開閉装置20によれば、給油ノズルFNから供給される燃料を燃料タンクFTに導くフィラーネック100を開閉装置20を備えた状態で提供できるほか、燃料タンクFTの内圧異常時においては、タンク側開閉機構30が閉弁状態を解放し、タンク内エアーをノズル挿入口104の周壁の連通口21cや挿入口開閉部材11の陥没凹所11aから大気に放出できる。
【0049】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能である。例えば、燃料タンクの開閉装置を有する燃料タンクの形態や、燃料タンクの開閉装置を有するフィラーネックの形態の他、燃料タンクの開閉装置の製造方法等の形態で実現することができる。
【0050】
他の実施形態:
上記の実施形態では、排液弁47を、回動軸47aの軸表面に向き合う保持片48cの湾曲面部位48eで保持したが、湾曲面部位48eに代えて、V字状に窪んだ凹壁面部位で回動軸47aを保持するようにしてもよい。
【0051】
上記の実施形態では、弁本体47cを受け止める台座部46dをテーパー状としたが、回動軸47aが凹所壁46cの内壁面に接触しないのであれば、テーパー状に限らない。例えば、排液口46aの開口部にて環状に隆起した環状凸部を有する台座部46dとしてもよい。
【0052】
上記の実施形態では、排液弁47の弁本体47cを、回動軸47aに平行な方向を長辺とする楕円形状としたが、回動軸47aに平行な方向の弁本体長さが回動軸47aに垂直な方向の弁本体長さよりも長ければ楕円形状に限らない。例えば、弁本体47cを、回動軸47aに平行な方向の弁本体長さが回動軸47aに垂直な方向の弁本体長さよりも長い長方形状の弁本体としもよい。
【0053】
上記の実施形態では、排液口46aを、楕円形状の弁本体47cに対応した楕円形状の開口としたが、弁本体47cで開閉可能な形状の開口であれば、楕円形状に限らない。例えば、排液口46aを、長方形状の弁本体47cに対応した長方形状の開口としたり、楕円形状の弁本体47cで開閉可能な長方形状の開口としてもよい。
【0054】
上記の実施形態では、排液口形成部材46に凸部46bを設け、この凸部46bを、保持部材48をインナーボディー22に装着する際に、係合孔48bに入り込んで保持部材48の姿勢を決めるものとしたが、これに限らない。例えば、保持部材48における係合腕48aの間隔を排液口形成部材46の幅方向の寸法に合わせて規定することで、保持部材48をインナーボディー22に装着する際の姿勢を決めるようにしてもよい。
【0055】
上記の実施形態では、給油ノズルFNから供給された液体燃料を燃料タンクFTへと導く燃料通路100Pを形成する燃料通路形成部25と、ノズル挿入通路100Nを開閉するタンク側開閉機構30とを有するようにしたが、これに限らない。例えば、タンク側開閉機構30だけを有する開閉装置20とすることもできる。具体的には、開閉装置20に加えてタンク側開閉機構30や燃料通路形成部25を有するフィラーネック100としての形態ではなく、開閉装置20としての形態としてもよい。
【0056】
本発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部または全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部または全部を達成するために、適宜、差し替えや組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0057】
10…挿入口開閉機構、11…挿入口開閉部材、11a…陥没凹所、12…挿入側スプリング、12L…固定端、15…環状体、20…開閉装置、21…アウターボディー、21a…周壁、21b…天井壁、21c…連通口、22…インナーボディー、22a…通路周壁、22b…突出壁部、22c…傾斜壁部、22d…係合突起、23…アンダーボディー、25…燃料通路形成部、30…タンク側開閉機構、31…タンク側開閉部材、32…タンク側スプリング、32L…固定端、40…排液機構、41…第1開口、42…第2開口、43…第3開口、43a…凸部、45…環状シール体、46…排液口形成部材、46a…排液口、46b…凸部、46c…凹所壁、46d…台座部、46da…溝部、46e…内周壁、47…排液弁、47a…回動軸、47b…平坦部、47c…弁本体、48…保持部材、48a…係合腕、48b…係合孔、48c…保持片、48d…排液通路、48e…湾曲面部位、48f…開口肩部、100…フィラーネック、100N…ノズル挿入通路、100P…燃料通路、102…燃料蒸気ポート、104…ノズル挿入口、104s…給油口周壁、104t…ノズル挿入側周壁、BV…ガス放出弁、FE…装着部材、FN…給油ノズル、FP…フィラーパイプ、FR…給油室、FS…給油装置、FT…燃料タンク、NT…燃料蒸気チューブ、OL…中心軸、TV…逆止弁