IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 豊田合成株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-無線給電システム 図1
  • 特許-無線給電システム 図2
  • 特許-無線給電システム 図3
  • 特許-無線給電システム 図4
  • 特許-無線給電システム 図5
  • 特許-無線給電システム 図6
  • 特許-無線給電システム 図7
  • 特許-無線給電システム 図8
  • 特許-無線給電システム 図9
  • 特許-無線給電システム 図10
  • 特許-無線給電システム 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-20
(45)【発行日】2022-09-29
(54)【発明の名称】無線給電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/10 20160101AFI20220921BHJP
   A47J 36/24 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
H02J50/10
A47J36/24
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019120575
(22)【出願日】2019-06-27
(65)【公開番号】P2021007276
(43)【公開日】2021-01-21
【審査請求日】2021-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】特許業務法人あいち国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100087723
【弁理士】
【氏名又は名称】藤谷 修
(74)【代理人】
【識別番号】100165962
【弁理士】
【氏名又は名称】一色 昭則
(74)【代理人】
【識別番号】100206357
【弁理士】
【氏名又は名称】角谷 智広
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 真
(72)【発明者】
【氏名】今井 純
(72)【発明者】
【氏名】菅藤 徹
【審査官】羽鳥 友哉
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-514748(JP,A)
【文献】特開2012-075199(JP,A)
【文献】特開2002-353050(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1665247(KR,B1)
【文献】韓国登録特許第10-1604432(KR,B1)
【文献】中国特許出願公開第103517473(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/10
A47J 36/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料容器または電子機器を収容するための収容部と、
送電コイルと、
金属を有する金属部材を配置可能な金属部材配置部と、
を有し、
前記金属部材配置部は、前記収容部と前記送電コイルとの間の位置に配置されており、前記収容部が前記飲料容器を収容している場合には、前記金属部材を配置した状態にあり、
前記送電コイルは、前記金属部材に渦電流を発生させることにより前記金属部材を発熱させる
ことを含む無線給電システム。
【請求項2】
飲料容器または電子機器を収容するための収容部と、
送電コイルと、
金属を有する金属部材を配置可能な金属部材配置部と、
を有し、
前記金属部材配置部は、前記収容部と前記送電コイルとの間の位置に配置されており、
加熱部を有し、
前記金属部材は、受電コイルを有し、
前記受電コイルは、前記加熱部に電力を供給する
ことを含む無線給電システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の無線給電システムにおいて、
前記金属部材配置部は、前記収容部が前記電子機器を収容している場合には、前記金属部材を配置しない状態にあり、
前記送電コイルは、前記電子機器を充電する
ことを含む無線給電システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の無線給電システムにおいて、
前記金属部材を移動させる金属部材移動部を有し、
前記金属部材移動部は、前記送電コイルが囲む領域と対面する第1位置と、前記送電コイルが囲む領域と対面しない第2位置と、
の間で前記金属部材を移動させる
ことを含む無線給電システム。
【請求項5】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の無線給電システムにおいて、
前記金属部材は、金属箔であり、
前記金属箔を収容する金属箔収容部を有し、
前記金属箔収容部は、前記送電コイルが囲む領域と対面する第1位置と、前記送電コイルが囲む領域と対面しない第2位置と,に前記金属箔を配置可能である
ことを含む無線給電システム。
【請求項6】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の無線給電システムにおいて、
前記金属部材は、第1金属部材と第2金属部材とを有し、
前記第1金属部材を移動させる第1金属部材移動部と、
前記第2金属部材を移動させる第2金属部材移動部と、
を有し、
前記第1金属部材移動部および前記第2金属部材移動部は、前記送電コイルが囲む領域と対面する位置に前記第1金属部材と前記第2金属部材とを接触させた状態で前記第1金属部材と前記第2金属部材とを並べて配置する第1状態と、前記送電コイルが囲む領域と対面する位置から前記第1金属部材と前記第2金属部材とを退避させる第2状態と、をとる
ことを含む無線給電システム。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の無線給電システムにおいて、
前記収容部は、温度センサーを有する
ことを含む無線給電システム。
【請求項8】
請求項7に記載の無線給電システムにおいて、
制御回路を有し、
前記制御回路は、前記温度センサーから測定温度を受信するとともに、前記測定温度が予め定めた閾値温度より高い場合に、前記送電コイルに流す電流を停止する
ことを含む無線給電システム。
【請求項9】
請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の無線給電システムにおいて、
フェライトを有することを含む無線給電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の技術分野は、無線給電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
飲料を保温または加熱する器具としてポットがある。ポットは商用電源から電力の供給を受けてポット内部の水を加熱する。このように飲料を加熱するためには、飲料を収容する容器と電力供給源と、これらを電気的に接続する配線が必要である。しかし、配線があると容器を自由に持ち運ぶことが困難である。
【0003】
そのため、配線を必要とすることなく飲料を保温する技術が開発されてきている。例えば、特許文献1には、アルカリマンガン電池等の蓄電素子12と発熱抵抗体13とを有する容器が開示されている(特許文献1の段落[0044]および図1等参照)。この容器は、保温可能であり持ち運び可能である。特許文献1の図9-2のマイクロ波発生器を用いて充電を行う技術が開示されている(特許文献1の図9-1、図9-2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-312932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、自動車の室内にはユーザーが飲むための飲料を保持するためのドリンクホルダーが設けられることがある。通常、ドリンクホルダーは、飲料を保温する機能を備えていない。そのため、自動車内のドリンクホルダーが保温機能を備えていることが好ましい。
【0006】
一方、スマートフォンなどの携帯電話を非接触充電する技術が開発されてきている。いうまでもなく、自動車内でも、携帯電話等の電子機器を充電できることが好ましい。
【0007】
本明細書の技術が解決しようとする課題は、自動車の室内において電子機器の充電機能と飲料容器等の保温機能とを兼ね備える無線給電システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様における無線給電システムは、飲料容器または電子機器を収容するための収容部と、送電コイルと、金属を有する金属部材を配置可能な金属部材配置部と、を有する。金属部材配置部は、収容部と送電コイルとの間の位置に配置されている。そして、収容部が飲料容器を収容している場合には、金属部材を配置した状態にあり、送電コイルは、金属部材に渦電流を発生させることにより金属部材を発熱させる。
第2の態様における無線給電システムは、飲料容器または電子機器を収容するための収容部と、送電コイルと、金属を有する金属部材を配置可能な金属部材配置部と、を有し、金属部材配置部は、収容部と送電コイルとの間の位置に配置されており、さらに、加熱部を有し、金属部材は、受電コイルを有し、受電コイルは、加熱部に電力を供給することを含む無線給電システムである。
【0009】
この無線給電システムは、電子機器を充電することができるとともに飲料容器を加熱することができる。そのため、電子機器を充電していない期間に飲料容器を保温することができる。収容部がドリンクホルダーを兼ねているため、省スペース効果が期待される。また、無線給電システムは、送電コイルの電力を、充電電力と、保温用電力と、のいずれかに振り分ける。
【発明の効果】
【0010】
本明細書では、自動車の室内において電子機器の充電機能と飲料容器等の保温機能とを兼ね備える無線給電システムが提供されている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態の自動車内の無線給電システムを示す図である。
図2】第1の実施形態の無線給電システムの概略構成を示す模式図である。
図3】第1の実施形態の無線給電システムの第1の使用状態を示す図である。
図4】第1の実施形態の無線給電システムの第2の使用状態を示す図である。
図5】第1の実施形態の無線給電システムにおける送電コイルおよび受電コイルを示す図である。
図6】第1の実施形態の無線給電システムの回路を模式的に示す図である。
図7】第1の実施形態の変形例における無線給電システムを示す図(その1)である。
図8】第1の実施形態の変形例における無線給電システムを示す図(その2)である。
図9】第1の実施形態の変形例における無線給電システムを示す図(その3)である。
図10】第1の実施形態の変形例における無線給電システムを示す図(その4)である。
図11】第1の実施形態の変形例における無線給電システムを示す図(その5)である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、具体的な実施形態について、無線給電システムを例に挙げて説明する。しかし、本明細書の技術はこれらの実施形態に限定されるものではない。
【0013】
(第1の実施形態)
1.自動車内の無線給電システム
図1は、第1の実施形態の自動車内の無線給電システム100を示す図である。図1に示すように、自動車の運転席の正面にはインストルメントパネルIPがある。インストルメントパネルIPには、複数の無線給電システム100が配置されている。無線給電システム100は、スマートフォン等の携帯電話を充電することができる。また、無線給電システム100は、ドリンクを加熱することができる。
【0014】
2.無線給電システム
図2は、第1の実施形態の無線給電システム100の概略構成を示す模式図である。無線給電システム100は、磁界共鳴方式の無線給電を行う。図2に示すように、無線給電システム100は、送電コイル110と、送電回路130と、保持部150と、温度センサー160と、制御回路170と、を有する。
【0015】
保持部150は、充電の対象である携帯電話と、加熱の対象である飲料容器と、を保持する。保持部150は、底部151と、壁部152と、壁部153と、壁部154と、底部155と、を有する。底部151は、スマートフォンまたはドリンクを支持する部分である。壁部152および壁部153は、スマートフォンまたはドリンクを支持する部分である。壁部153と壁部154と底部155とは、後述するように金属部材を挿入することが可能な凹部を構成している。保持部150の各部は、熱伝導性の高い部材であるとよい。
【0016】
図2に示すように、保持部150は、収容部A1と、金属部材配置部B1と、を有する。収容部A1および金属部材配置部B1は、これらの間に壁部153を挟んだ状態で隣接して配置されている。
【0017】
収容部A1は、無線給電の対象である携帯電話または加熱対象である飲料容器を収容するための収容部である。収容部A1は、携帯電話と飲料容器との一方のみを収容することができる。収容部A1は、携帯電話と飲料容器との両方を同時に収容することはできない。収容部A1は、底部151と壁部152と壁部153と温度センサー160とを有する。
【0018】
金属部材配置部B1は、金属部材を配置可能な金属部材配置部である。金属部材配置部B1は、収容部A1と送電コイル110との間に配置されている。金属部材配置部B1は、収容部A1に隣接して配置されている。金属部材配置部B1は、壁部153と壁部154と底部155とを有する。
【0019】
温度センサー160は、ドリンクを注がれた飲料容器の温度を測定する。そして温度センサー160は、測定した温度を制御回路170に送信する。
【0020】
制御回路170は、送電回路130を制御する。例えば、制御回路170は、送電コイル110のオンオフを制御する。つまり、制御回路170は、送電コイル110に流す電流の値を制御する。また、制御回路170は、受電側に受電すべき機器が存在するか否かを判断するネゴシエーションを実行できる。
【0021】
制御回路170は、温度センサー160から測定温度を受信する。このため、制御回路170は、温度センサー160の測定温度に基づいて、送電コイル110のオンオフを制御する。具体的には、温度センサー160の測定温度が予め定めた閾値温度より高い場合に、制御回路170は、送電コイル110に流す電流を停止する。
【0022】
3.無線給電システムの使用状態
3-1.第1の使用状態(スマートフォン)
図3は、第1の実施形態の無線給電システム100の第1の使用状態を示す図である。図3に示すように、第1の使用状態においては、無線給電システム100は、スマートフォンSP1を充電する。
【0023】
収容部A1は、充電対象であるスマートフォンSP1を収容している。金属部材配置部B1は、何も収容していない状態である。スマートフォンSP1は、受電コイル120と、受電回路140と、バッテリーパックBP1と、を有する。送電コイル110が形成する磁界が受電コイル120に電流を発生させる。その電力を受電回路140を介してバッテリーパックBP1に供給する。
【0024】
このように金属部材配置部B1は、収容部A1が携帯電話を収容している場合に、金属部材180を配置しない状態にある。そして、送電コイル110は、携帯電話を充電する。
【0025】
3-2.第2の使用状態(ドリンク)
図4は、第1の実施形態の無線給電システム100の第2の使用状態を示す図である。図4に示すように、第2の使用状態においては、無線給電システム100は、ドリンクを注がれた飲料容器D1を加熱する。このとき、無線給電システム100は、給電をするわけではない。
【0026】
収容部A1は、加熱対象であるドリンクを注がれた飲料容器D1を収容している。金属部材配置部B1は、金属部材180を収容している。送電コイル110が形成する磁界が金属部材180の内部に渦電流を発生させる。金属部材180は、この電流により発熱する。金属部材180が発生する熱は、壁部153等を介して飲料容器D1に伝わる。
【0027】
このように金属部材配置部B1は、収容部A1が飲料容器D1を収容している場合に、金属部材180を配置した状態にある。送電コイル110は、金属部材180に渦電流を発生させることにより金属部材180を発熱させる。そして、飲料容器D1を保温する。
【0028】
4.送電コイルおよび受電コイル
4-1.送電コイル
図5は、第1の実施形態の無線給電システム100における送電コイル110および受電コイル120を示す図である。送電コイル110は、耐熱性、断熱性、絶縁性を備える部材によりインストルメントパネルIPに固定されている。送電コイル110は1巻である。送電コイル110が囲む面は平面である。つまり、送電コイル110は、1つの平面上に位置する平面形状である。送電コイル110が囲む面を、xy平面にとる。そして、送電コイル110が囲む面に直交する向きにz軸をとる。
【0029】
送電コイル110のx軸方向の長さは、例えば、10mm以上400mm以下である。80mm以上350mm以下であるとよい。送電コイル110のy軸方向の長さは、例えば、10mm以上400mm以下である。50mm以上100mm以下であるとよい。送電コイル110のz軸方向の長さは、例えば、0.5mm以上10mm以下である。これらの数値範囲は目安であり、上記以外の数値であってもよい。
【0030】
4-2.受電コイル
受電コイル120は、送電コイル110から給電されるコイルである。受電コイル120は、一捲きである。
【0031】
受電コイル120の1周分が囲む面の面積は、送電コイル110の1周分が囲む面の面積に比べて十分に小さい。送電コイル110が囲む面の面積に対する受電コイル120が囲む面の面積の比は、1/200以上1/10以下の程度である。あくまで目安であり、上記以外の数値であってもよい。
【0032】
5.金属部材
金属部材180は、送電コイル110が形成する磁界により誘導電流を発生させることができる材料であればよい。金属部材180の材料は、鉄、ステンレス、琺瑯等、磁性金属であると好ましい。
【0033】
金属部材180の縦横の大きさは、送電コイル110が囲む面よりも大きい。金属部材180の縦横の大きさは、収容部A1の受電コイル120から視て、送電コイル110が視えない大きさである。金属部材180の厚みは、渦電流の浸透深さよりも厚いとよい。
【0034】
なお、送電コイル110と金属部材180との間の距離は、例えば、2mm以上8mm以下であるとよい。
【0035】
6.無線給電システムの回路
図6は、第1の実施形態の無線給電システム100の回路を模式的に示す図である。図6に示すように、送電コイル110は、コンデンサーC1とともにLC直列回路を構成する。受電コイル120は、コンデンサーC2とともにLC直列回路を構成する。前述のように、送電コイル110側のLC直列回路の共振周波数と、受電コイル120側のLC直列回路の共振周波数とは、等しくなるように回路設計されている。そのため、無線給電システム100は、磁界共鳴式により無線給電する。
【0036】
無線給電システム100における送電出力は、例えば、5W以上50W以下である。共振周波数は、例えば、500kHz以上15MHz以下である。1MHz以上10MHz以下であってもよい。
【0037】
共振周波数が6.78MHzの場合を例に挙げて説明する。無線給電システム100の共振周波数は、6.78MHzである。そのため、送電コイル110および受電コイル120に流れる電流の周波数は6.78MHzである。送電コイル110のLC回路の共振周波数も6.78MHzである。受電コイル120のLC回路の共振周波数も6.78MHzである。送電回路130が送電コイル110に流す電流の周波数も6.78MHzである。実際には、狙った周波数からわずかにずれる場合がある。また、例示として6.78MHzを挙げたが、例えば、500kHz以上15MHz以下の共振周波数を採用してもよい。また、上記以外の共振周波数を用いてもよい。
【0038】
送電コイル110は、受電コイル120の周囲に磁界を形成するためのコイルである。送電コイル110は、受電コイル120に給電する。送電コイル110は、前述のようにコンデンサーC1と直列に接続されている。送電コイル110は、線材からなる。線材として、例えば、単線、リッツ線が挙げられる。送電コイル110の材質は、例えば、銅が挙げられる。送電コイル110は、2つの四辺形を囲むような形状をしている。送電コイル110は、空芯である。送電コイル110の巻き数は1以上3以下であるとよい。もちろん、この数値範囲に限らない。なお、図2では、送電コイル110の巻き数は1である。
【0039】
受電コイル120は、スマートフォンSP1に電力を供給するためのものである。受電コイル120は、送電コイル110が形成する磁界により電流を発生させる。このように受電コイル120は、送電コイル110から給電される。受電コイル120は、前述のようにコンデンサーC2と直列に接続されている。受電コイル120は、線材からなる。線材として、例えば、単線、リッツ線が挙げられる。受電コイル120の材質は、例えば、銅が挙げられる。受電コイル120は、四角形に近い形状をしている。受電コイル120の巻き数は1以上3以下であるとよい。もちろん、この数値範囲に限らない。なお、図2では、受電コイル120の巻き数は1である。
【0040】
送電回路130は、送電コイル110に流す交流電圧を発振するための回路である。送電回路130は、例えば、6.78MHzの交流電流を発生させる。
【0041】
受電回路140は、受電コイル120に流れる電流を充電または加熱に適した電流に変換するための回路である。受電回路140は、例えば、受電コイル120の交流電圧を直流電圧に変換する。受電回路140は、整流回路等その他の機能を備えていてもよい。
【0042】
なお、図6では、コンデンサーC1は、送電回路130の外にあるように描かれている。図6は概念的なものであり、コンデンサーC1は、送電回路130の中にあってもよい。同様に、コンデンサーC2は、受電回路140の中にあってもよい。
【0043】
7.第1の実施形態の効果
第1の実施形態の無線給電システム100は、スマートフォンSP1を充電することができるとともにドリンクの飲料容器D1を加熱することができる。そのため、スマートフォンSP1を充電していない期間にドリンクを保温することができる。保持部150がドリンクホルダーを兼ねているため、省スペース効果が期待される。また、無線給電システム100は、送電コイル110の電力を、充電電力と、保温用電力と、のいずれかに振り分ける。
【0044】
8.変形例
8-1.受電部材
図7は、第1の実施形態の変形例における無線給電システム200を示す図(その1)である。図7に示すように、無線給電システム200では、受電部材280を金属部材配置部B1に挿入する。受電部材280は、受電コイル120と、受電回路140と、配線281と、を有する。無線給電装置250は、第1の実施形態の構成の他に、加熱部290と、配線291と、アタッチメント292と、を有する。受電部材280を金属部材配置部B1に挿入することにより、受電部材280はアタッチメント292を介して無線給電装置250に機械的に接続される。この際に、受電部材280の配線281と、無線給電装置250の配線291と、が電気的に接続される。
【0045】
このように、無線給電システム200は、加熱部290を有する。受電部材280は、受電コイル120を有する。受電コイル120は、加熱部290に電力を供給する。ここで、受電部材280は、金属製の受電コイル120を有する金属部材である。また、制御回路170が、温度センサー160の測定温度に基づいて、加熱部290の加熱のオンオフを制御してもよい。
【0046】
8-2.スライド機構
図8は、第1の実施形態の変形例における無線給電システム300を示す図(その2)である。図8に示すように、無線給電システム300は、金属部材180を移動させる金属部材移動部381、382を有する。金属部材移動部381、382は、送電コイル110が囲む領域と対面する第1位置と、送電コイル110が囲む領域と対面しない第2位置と、の間で金属部材180を移動させる。図8では、金属部材180は、送電コイル110が囲む領域と対面しない第2位置に配置されている。
【0047】
8-3.金属箔
図9は、第1の実施形態の変形例における無線給電システム300を示す図(その3)である。ここで、金属部材は、金属箔480である。無線給電システム300は、金属箔480を収容する金属箔収容部481と、ガイド482と、を有する。金属箔収容部481は、送電コイル110が囲む領域と対面する第1位置と、送電コイル110が囲む領域と対面しない第2位置と、に金属箔480を配置可能である。また、金属箔480は、ガイド482により、金属部材配置部B1に案内される。
【0048】
なお、この場合には、金属部材配置部B1は、ポケット形状である必要は無い。
【0049】
8-4.分割配置
図10は、第1の実施形態の変形例における無線給電システム400を示す図(その4)である。金属部材580は、第1金属部材581と第2金属部材582とを有する。無線給電システム400は、第1金属部材581を移動させる第1金属部材移動部583と、第2金属部材582を移動させる第2金属部材移動部584と、を有する。
【0050】
第1金属部材移動部583および第2金属部材移動部584は、送電コイル110が囲む領域と対面する位置に第1金属部材581と第2金属部材582とを接触させた状態で第1金属部材581と第2金属部材582とを並べて配置する第1状態と、送電コイル110が囲む領域と対面する位置から第1金属部材581と第2金属部材582とを退避させる第2状態と、をとる。図10は、第1金属部材581と第2金属部材582とを並べて配置する第1状態を示している。
【0051】
図11は、第1の実施形態の変形例における無線給電システム400を示す図(その5)である。図11は、第1金属部材581と第2金属部材582とを退避させる第2状態を示している。
【0052】
8-5.フェライトの配置
無線給電システム100は、フェライトを有してもよい。フェライトは、送電コイル110が囲む面に対面する位置に配置されているとよい。フェライトが、送電コイル110が形成する磁界を小さくするからである。
【0053】
8-6.縦置きおよび横置き
図3では、スマートフォンSP1を収容部A1に斜めに立てかけている。しかし、スマートフォンSP1を縦置きまたは横置きにしてもよい。その場合には、保持部150の底部151の側に送電コイル110を配置するようにするとよい。
【0054】
8-7.ネゴシエーションの切断
金属部材180を発熱させる場合に、制御回路170は、ネゴシエーションを一時的に切断する。このとき、収容部A1には充電対象となる携帯電話等が存在しないが、送電コイル110における磁界の形成を問題無く実行できる。
【0055】
8-8.電磁誘導方式
磁界共鳴方式の代わりに、電磁誘導方式を用いてもよい。
【0056】
8-9.多孔質
金属部材180は多孔質であってもよい。多孔質の金属部材180は、発熱しやすいからである。
【0057】
8-10.無線給電装置の設置場所
第1の実施形態では、保持部150は、インストルメントパネルIPと対面する位置に配置されている。保持部150は、その他の位置に配置されていてもよい。例えば、保持部150は、センターコンソールに配置されていてもよい。または、後部座席の前方に配置されていてもよい。
【0058】
8-11.携帯電話以外の電子機器
無線給電システム100は、携帯電話以外の電子機器類を充電してもよい。例えば、携帯ゲーム機器、タブレット型コンピュータ等が挙げられる。もちろん、収容部A1に収容可能な大きさである必要がある。
【0059】
8-12.送電コイルおよび受電コイルの巻き数
送電コイル110および受電コイル120の巻き数は、第1の実施形態で説明した巻き数以外であってもよい。
【0060】
8-13.組み合わせ
上記の変形例を自由に組み合わせてもよい。
【0061】
(付記)
第1の態様における無線給電システムは、飲料容器または電子機器を収容するための収容部と、送電コイルと、金属を有する金属部材を配置可能な金属部材配置部と、を有する。金属部材配置部は、収容部と送電コイルとの間の位置に配置されている。
【0062】
第2の態様における無線給電システムにおいては、金属部材配置部は、収容部が飲料容器を収容している場合に、金属部材を配置した状態にある。送電コイルは、金属部材に渦電流を発生させることにより金属部材を発熱させる。
【0063】
第3の態様における無線給電システムにおいては、金属部材配置部は、収容部が電子機器を収容している場合に、金属部材を配置しない状態にある。送電コイルは、電子機器を充電する。
【0064】
第4の態様における無線給電システムは、金属部材を移動させる金属部材移動部を有する。金属部材移動部は、送電コイルが囲む領域と対面する第1位置と、送電コイルが囲む領域と対面しない第2位置と、の間で金属部材を移動させる。
【0065】
第5の態様における無線給電システムにおいては、金属部材は、金属箔である。無線給電システムは、金属箔を収容する金属箔収容部を有する。金属箔収容部は、送電コイルが囲む領域と対面する第1位置と、送電コイルが囲む領域と対面しない第2位置と、に金属箔を配置可能である。
【0066】
第6の態様における無線給電システムは、金属部材は、第1金属部材と第2金属部材とを有する。無線給電システムは、第1金属部材を移動させる第1金属部材移動部と、第2金属部材を移動させる第2金属部材移動部と、を有する。第1金属部材移動部および第2金属部材移動部は、送電コイルが囲む領域と対面する位置に第1金属部材と第2金属部材とを接触させた状態で第1金属部材と第2金属部材とを並べて配置する第1状態と、送電コイルが囲む領域と対面する位置から第1金属部材と第2金属部材とを退避させる第2状態と、をとる。
【0067】
第7の態様における無線給電システムは、加熱部を有する。金属部材は、受電コイルを有する。受電コイルは、加熱部に電力を供給する。
【0068】
第8の態様における無線給電システムにおいては、収容部は、温度センサーを有する。
【0069】
第9の態様における無線給電システムは、制御回路を有する。制御回路は、温度センサーから測定温度を受信するとともに、測定温度が予め定めた閾値温度より高い場合に、送電コイルに流す電流を停止する。
【0070】
第10の態様における無線給電システムは、フェライトを有する。
【符号の説明】
【0071】
100…無線給電システム
110…送電コイル
120…受電コイル
130…送電回路
140…受電回路
150…保持部
A1…収容部
B1…金属部材配置部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11