(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-20
(45)【発行日】2022-09-29
(54)【発明の名称】生体センサ
(51)【国際特許分類】
A61B 5/00 20060101AFI20220921BHJP
A61B 7/04 20060101ALI20220921BHJP
A61B 5/02 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
A61B5/00 101R
A61B7/04 D
A61B5/02 350
(21)【出願番号】P 2017231154
(22)【出願日】2017-11-30
【審査請求日】2020-09-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100206391
【氏名又は名称】柏野 由布子
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 幸俊
【審査官】▲高▼原 悠佑
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-070702(JP,U)
【文献】国際公開第2012/165427(WO,A1)
【文献】特開2008-006095(JP,A)
【文献】国際公開第2016/096391(WO,A1)
【文献】特開2000-346230(JP,A)
【文献】特表2009-517129(JP,A)
【文献】国際公開第2014/181467(WO,A1)
【文献】特表2017-500076(JP,A)
【文献】特開2013-103040(JP,A)
【文献】特開2016-028659(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00-5/0538
A61B 5/06-5/398
A61B 7/00-7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物の振動を検出するセンサ部と、
前記対象物に粘着可能な粘着部と、
前記粘着部によって前記対象物に粘着され、前記センサ部を前記対象物
側に押し付ける弾性部と
を有
し、
前記弾性部は、前記センサ部を覆うキャップ部を備え、
前記キャップ部は、前記センサ部に対する周囲音を遮断する生体センサ。
【請求項2】
前記キャップ部は、前記粘着部によって前記対象物に粘着されており、
前記キャップ部と前記センサ部との間にスプリングが介在されている
請求項1に記載の生体センサ。
【請求項3】
前記キャップ部は、前記粘着部によって前記対象物に粘着されており、
前記キャップ部と前記センサ部との間にエアバッグが介在されている
請求項1に記載の生体センサ。
【請求項4】
前記弾性部は、前記キャップ部における前記センサ部を収容する空間に形成された空気バネである
請求項1に記載の生体センサ。
【請求項5】
対象物の振動を検出するセンサ部と、
前記対象物に粘着可能な粘着部と、
前記粘着部によって前記対象物に粘着され、前記センサ部を前記対象物
側に押し付ける弾性部と
を有
し、
前記弾性部は、前記センサ部を覆うキャップ部を備え、
前記キャップ部は、前記粘着部によって前記対象物に粘着されており、
前記キャップ部と前記センサ部との間にエアバッグが介在されている生体センサ。
【請求項6】
対象物の振動を検出するセンサ部と、
前記対象物に粘着可能な粘着部と、
前記粘着部によって前記対象物に粘着され、前記センサ部を前記対象物
側に押し付ける弾性部と
を有
し、
前記弾性部は、前記センサ部を覆うキャップ部を備え、
前記弾性部は、前記キャップ部における前記センサ部を収容する空間に形成された空気バネである生体センサ。
【請求項7】
前記弾性部と前記センサ部との間に、プレート部が設けられている請求項1
~6のうちいずれか1項に記載の生体センサ。
【請求項8】
前記弾性部は、フレーム部に取り付けられ、
前記フレーム部は、
前記弾性部を介して前記粘着部によって前記対象物に粘着される請求項1~7のうちいずれか1項に記載の生体センサ。
【請求項9】
前記フレーム部に取り付けられ、前記センサ部を前記対象物に押し付ける板バネを備える
請求項8に記載の生体センサ。
【請求項10】
前記弾性部における前記センサ部を前記対象物に対して押し付ける力を調整する弾性力調整部が設けられている請求項1~
9のうちのいずれか1項に記載の生体センサ。
【請求項11】
前記対象物から前記センサ部へ伝達される振動の減衰を抑制する弾性スペーサが前記センサ部と前記対象物との間に設けられている請求項1~
10のうちのいずれか1項に記載の生体センサ。
【請求項12】
対象物の振動を検出するセンサ部と、
表裏に配置される第1面及び第2面を備え、前記第1面側に前記センサ部が設けられる弾性フィルムと、
前記第1面側に設けられ、平面視で前記センサ部の周囲で前記対象物に前記弾性フィルムを粘着させる粘着部と、
前記弾性フィルムの前記第2面のうち、前記粘着部に対応する領域を含むように設けられ、前記弾性フィルムが前記センサ部を前記対象物側に押し付けさせる弾性力を発する状態で前記弾性フィルムを保持するフレーム部と
を有する生体センサ。
【請求項13】
前記フレーム部の厚さ方向の寸法は、前記センサ部の厚さ方向の寸法及び前記弾性フィルムの厚さ方向の寸法の和よりも長い請求項12に記載の生体センサ。
【請求項14】
前記フレーム部は、前記センサ部を覆うキャップ部に設けられている請求項12または13に記載の生体センサ。
【請求項15】
前記センサ部の厚さ方向の寸法は、前記粘着部の厚さ方向の寸法よりも大きい請求項1~14のうちのいずれか1項に記載の生体センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体センサに関する。
【背景技術】
【0002】
物体の振動を検出するセンサとして、従来、対象物に接触させて使用するピエゾフィルムセンサがある。このようなピエゾフィルムセンサには、生体の振動を検出する生体センサとして使用するコンタクトマイクがある(例えば、非特許文献1参照)。コンタクトマイクは、例えば、生体に押し付けて使用される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】「PIEZO FILM -PRODUCT INFORMATION-」、株式会社東京センサ、2012年4月、p1-29
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記非特許文献1に開示されたコンタクトマイクは、生体に押し付けて使用されるが、例えば、コンタクトマイクを腕に取付ける場合、人の力でコンタクトマイクを押さえたり、あるいは、腕の周方向に巻き付ける固定器具を用いる必要がある。そして、コンタクトマイクをある程度の長い時間において使用しようとすると、人の力で押さえる場合には、押さえる人にとって負担がかかり、また、固定器具を用いると、生体が拘束されるため生体への負担がかかるという問題がある。そのため、常時や長時間のモニター、あるいは複数個所を同時に測定するような場合には、負担が少ない状態で利用することが望ましい。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、人の力や固定器具等を用いることなく、負担を低減させて生体に押し付けることができる生体センサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明の一態様は、対象物の振動を検出するセンサ部と、前記対象物に粘着可能な粘着部と、前記粘着部によって前記対象物に粘着され、前記センサ部を前記対象物側に押し付ける弾性部とを有し、前記弾性部は、前記センサ部を覆うキャップ部を備え、前記キャップ部は、前記センサ部に対する周囲音を遮断する生体センサである。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る生体センサによれば、人の力や固定器具等を用いることなく、負担を低減させて生体に押し付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態の生体センサの分解斜視図ある。
【
図3】(A)は、第1実施形態の生体センサの生体への貼り付け前の断面図、(B)は、貼り付け後の断面図である。
【
図9】(A)は、第7実施形態の生体センサの断面図、(B)~(D)は、弾性加工フィルムの平面図である。
【
図10】第8実施形態の生体センサの断面図である。
【
図11】(A)は、第9実施形態の生体センサの生体への貼り付け前の断面図、(B)は、貼り付け後の断面図、(C)は、(A)のC-C線断面図である。
【
図12】第10実施形態の生体センサの断面図である。
【
図13】第11実施形態の生体センサの断面図である。
【
図14】第12実施形態の生体センサの断面図である。
【
図15】第13実施形態の生体センサの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を適用した生体センサの実施形態について、図面を参照して説明する。なお、各実施形態において、共通する要素、部材等について、同一の符号を付し、その説明を省略または簡略化することがある。また、各構成要素の厚さや寸法の比率は適宜調整されている。
【0010】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、第1実施形態に係る生体センサ1Aの分解斜視図、
図2は、第1実施形態に係る生体センサ1Aの断面図である。本実施形態に係る生体センサ1Aは、生体の一例である人体Hの一部に貼り付けられて使用され、人体Hの振動を検出する。生体センサ1Aは、エレクトレットセンサ10、弾性フィルム11、粘着部12、フレーム部13、弾性スペーサ14を備えている。エレクトレットセンサ10は、扁平な気孔を多数含む多孔質をなしており、厚み方向の圧力を検出する。
【0011】
エレクトレットセンサ10に用いる高分子材料としては、厚み方向に感度を有するものであれば任意であってよいが、より好ましくは内部に多孔質構造を有するポリプロピレン(PP)が挙げられる。エレクトレットセンサ10は、平坦状をなしており、例えば人体Hの心臓の位置に対応する部位の生体表面に貼り付けられる。このとき、肺動脈弁、大動脈弁、三尖弁、僧房弁などのそれぞれの位置に対応させて、エレクトレットセンサ10をそれぞれ設けた場合には、各エレクトレットセンサ10は、自身が設けられた位置に対応する弁の振動を生体信号として検出することができる。
【0012】
弾性フィルム11は、例えば、平面視して円形状をなしている。弾性フィルム11は、第1面と第2面を備えており、人体H側に向く面が第1面11Aであり、人体H側とは逆に向く面(外部に向く面)が第2面11Bである。エレクトレットセンサ10は、弾性フィルム11の第1面11A側において、弾性フィルム11を平面視したときの略中央位置に設けられている。なお、弾性フィルム11を平面視したときの形状は、円形状以外の形状でもよく、例えば、長方形や正方形などの矩形、楕円形、長円形などでもよい。弾性フィルム11を平面視した場合における外周は、エレクトレットセンサ10の外周よりも外側になるような寸法に設定される。
【0013】
弾性フィルム11の第1面11A側におけるエレクトレットセンサ10が配置された位置の周囲、例えば外周には、粘着部12が設けられている。粘着部12とエレクトレットセンサ10は、面方向において間隔を空けて配置される。粘着部12は、弾性フィルム11と人体Hとの間に介在されており、人体Hに粘着することで、弾性フィルム11を人体Hに貼り付ける(固定する)。
【0014】
フレーム部13は、第1面11A側に設けられた粘着部12の厚み方向において対応する、第2面11B側の位置に貼り付けられている。フレーム部13は、粘着部12が設けられた平面方向における領域を含む領域に設けられる。フレーム部13は、例えば金属製であり、弾性フィルム11よりも高い剛性を有している。なお、フレーム部13は、金属以外の材料で構成されていてもよく、例えば、ある程度の剛性を有する他の材料、例えば樹脂、木材等で構成されていてもよい。
【0015】
弾性スペーサ14は、例えば、ゲル状の材料で構成されており、体積がほぼ不変のまま変形する部材である。弾性スペーサは、ゲルのように人体に近い機械特性を有する。弾性スペーサ14は、エレクトレットセンサ10における弾性フィルム11が取付けられる面とは反対側の面に取付けられることで、エレクトレットセンサ10と人体Hとの間に配置される。弾性スペーサ14の、弾性変形する前の平面視した形状が、エレクトレットセンサ10の外周形状と略同一の外周形状とされている。例えば、エレクトレットセンサ10を平面視した形状が円形状であるときには、弾性スペーサ14の形状も円形状に設定される。なお、弾性スペーサ14を平面視した形状がエレクトレットセンサ10を平面視した形状と異なるようにしてもよい。また、弾性スペーサ14は、平面方向において、粘着部12との間に間隔があけられるように配置されている。このため、弾性スペーサ14に対して厚み方向に力が加えられた場合、弾性スペーサ14が厚み方向に変形しつつ略平面方向に広がるように変形したとしても、弾性スペーサ14の一部が弾性フィルム11に接触しないようにすることができる。このため、弾性スペーサ14が略平面方向に広がるように変形することが規制されないため、弾性スペーサ14の厚み方向への変形が規制されないようにすることができる。
【0016】
次に、生体センサ1Aを人体Hに取り付ける際の手順について説明する。生体センサ1Aを人体Hに取り付ける際には、
図3(A)に示すように、エレクトレットセンサ10が人体Hにおける振動を測定する対象の位置であって、弾性スペーサ14が人体H側と対向するようにして配置し、フレーム部13の外部に向く面側(第2面11B側の方向)から指等でフレーム部13を人体H側に押し付ける。これにより、
図3(B)に示すように、フレーム部13を押し付けることにより、弾性フィルム11の中央部分によってエレクトレットセンサ10及び弾性スペーサ14が人体H側に押し付けられる。このとき、エレクトレットセンサ10及び弾性スペーサ14の弾性、伸縮性によって変形することにより、弾性フィルム11における中央部分は、エレクトレットセンサ10及び弾性スペーサ14が変形する前の位置よりも下方にオフセットしている。さらには、粘着部12が人体Hに接触し、粘着部12によって弾性フィルム11の平面方向における外周部分が人体Hに貼り付けられることで、弾性フィルム11が人体Hに対して貼り付けられた状態となる。
【0017】
弾性フィルム11が貼り付けられた状態となると、弾性フィルム11が弾性的に伸張するので、エレクトレットセンサ10には、その膜厚方向に弾性フィルム11の付勢力(弾性力)に基づく荷重がかかる。そして、この膜厚方向の荷重によって、弾性スペーサ14が人体Hに密着する。人体Hにおいて発生する振動は、弾性スペーサ14を介してエレクトレットセンサ10に伝わり、エレクトレットセンサ10によって電気信号に変換される。
【0018】
第1実施形態に係る生体センサ1Aでは、弾性フィルム11を粘着部12によって人体Hに粘着させることでエレクトレットセンサ10を人体Hに押しつけた状態で取付けることができるため、人の力や固定器具等を用いることなく、生体に押し付けることができる。また、生体センサ1Aは、人の力や固定器具等を用いることなく、生体に押し付けることができるので、常時や長時間のモニター、あるいは複数個所の同時検出にも好適に用いることができる。
【0019】
また、第1実施形態に係る生体センサ1Aでは、粘着部12の厚さ方向の寸法は、エレクトレットセンサ10及び弾性スペーサ14を重ね合わせたときの厚さ方向(膜厚方向)の寸法よりもX分だけ短くされている。このため、エレクトレットセンサ10を人体H側に押しつける力(弾性力)を弾性フィルム11に生じさせることができるので、エレクトレットセンサ10を確実に人体Hに押し付けることができる。
【0020】
また、第1実施形態に係る生体センサ1Aでは、フレーム部13の厚さ方向の寸法は、弾性フィルム11、エレクトレットセンサ10及び弾性スペーサ14を重ね合わせたときの厚さ方向(膜厚方向)の寸法よりも、粘着部12、弾性フィルム11及びフレーム部13を重ね合わせたときの厚さ方向の寸法の方が
図3(B)に示す長さS分だけ長くなるように設定されている。このため、フレーム部13全体を指の腹等で人体H側に押し付けたとしても、指の腹が弾性フィルム11に触れにくくすることができる。したがって、フレーム部13を人体Hに対して指で押しつける際に、その押しつける力をフレーム部13に集中させることができ、粘着部12を人体Hに対して確実に粘着させることができる。
【0021】
また、第1実施形態に係る生体センサ1Aでは、フレーム部13によって粘着部12を人体Hに押し付けている。このため、粘着部12の端部が人体Hから剥離することを抑制することができる。したがって、エレクトレットセンサ10を人体Hに押し付けた状態を好適に維持することができる。
【0022】
また、エレクトレットセンサ10と人体Hとの間に介在される弾性スペーサ14は、弾性フィルム11の弾性力によって人体H側に押しつけられる荷重によって人体Hに密着することにより、人体Hの振動が弾性スペーサ14を介してエレクトレットセンサ10に伝わりやすくなるようにすることができる。さらには、弾性スペーサ14が人体Hに近い機械物性を有することにより、人体Hの振動がほとんど減衰することなくエレクトレットセンサ10に伝達される。したがって、エレクトレットセンサ10によって人体Hの振動を精度よく検出することができる。
【0023】
また、弾性スペーサ14が弾性を有することにより、人体Hの表面形状の変化に追従することができる。すなわち、人体Hの表面に凹凸があったとしても、例えばろっ骨や脇などの体表の凹凸に追従して生体センサ1Aを貼り付けることができる。このとき、弾性スペーサ14が凹凸を吸収して変形するので、エレクトレットセンサ10に、大きな形状の変化が生じることなく、脈波センサを人体Hに貼り付けることができる。
【0024】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図4は、第2実施形態に係る生体センサ1Bの断面図である。
図4に示すように、第2実施形態に係る生体センサ1Bは、エレクトレットセンサ10と弾性フィルム11との間に慣性プレート21が介在されている点において、第1実施形態に係る生体センサ1Aとは異なる。慣性プレート21は、平面視した外周の形状がエレクトレットセンサ10の外周の形状と略同一形状の円形をなしている。慣性プレート21は、例えば金属によって構成されており、ある程度の重みを有している。また、慣性プレート21は、弾性フィルム11や弾性スペーサ14よりも高い剛性を有する。これにより、慣性プレート21は、弾性フィルム11や弾性スペーサ14が変形したとしても変形しにくい。
【0025】
第2実施形態に係る生体センサ1Bは、上記第1実施形態と同様、弾性フィルム11を粘着部12によって人体Hに粘着させた後、人の力や固定器具等を用いることなく、エレクトレットセンサ10を生体に押し付ける状態を維持することができる。また、常時や長時間のモニター、あるいは複数個所の同時検出にも好適に用いることができるといった作用効果を奏する。
【0026】
また、例えば、人体Hからの振動と一緒にエレクトレットセンサ10が厚み方向に移動してしまうと、エレクトレットセンサ10が厚み方向に圧縮されにくいため、エレクトレットセンサ10に人体Hからの振動が伝達されにくくなり、エレクトレットセンサ10の検出精度が低下してしまう。この点、第2実施形態に係る生体センサ1Bでは、エレクトレットセンサ10と弾性フィルム11との間に慣性プレート21が介在されている。このため、エレクトレットセンサ10には、慣性プレートの重みが加わるので、慣性を働かせることによって、人体Hの表面(皮膚)の振動と一緒にエレクトレットセンサ10が移動し難くなるので、人体Hからの振動に応じてエレクトレットセンサ10が厚み方向に圧縮されやすくなり、エレクトレットセンサ10の検出精度を高めることができる。特に、人体Hから高い周波数の振動が伝達される場合により効果的である。
【0027】
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
図5は、第3実施形態に係る生体センサ1Cの断面図である。
図5に示すように、第3実施形態に係る生体センサ1Cは、エレクトレットセンサ10と弾性フィルム11との間に剛性プレート21Bが介在されている点において、第1実施形態に係る生体センサ1Aとは異なる。剛性プレート21Bは、平面視した外周の形状がエレクトレットセンサ10の外周の形状と略同一形状の円形をなしている。剛性プレート21Bは、例えば金属製であり、弾性フィルム11や弾性スペーサ14よりも高い剛性を有する。なお、フレーム部13は、金属以外の材料で構成されていてもよく、例えば、ある程度の剛性を有する他の材料、例えば樹脂、木材等で構成されていてもよい。これにより、剛性プレート21Bは、弾性フィルム11や弾性スペーサ14が変名したとしても変形しにくい。
【0028】
第3実施形態に係る生体センサ1Cは、剛性プレート21Bが設けられていることにより、エレクトレットセンサ10における弾性フィルム11側の面(人体Hと反対側の面)が変形しにくくなる。このため、人体Hに振動が生じたときに、エレクトレットセンサ10の面方向において均一に力がかかりやすくなる。このため、エレクトレットセンサ10における感度をさらに高めることができる。
【0029】
なお、第3実施形態では、慣性プレート21Bをエレクトレットセンサ10と弾性フィルム11との間に介在させているが、エレクトレットセンサ10の表側の面または裏側の面に面する他の位置に配置してもよい。例えば、エレクトレットセンサ10と弾性スペーサ14との間に介在させてもよいし、エレクトレットセンサ10と弾性フィルム11との間及びエレクトレットセンサ10と弾性スペーサ14との間にそれぞれ介在させてもよい。また、例えば弾性スペーサ14を設けない場合には、エレクトレットセンサ10と人体Hとの間に介在させてもよい。
【0030】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
図6は、第4実施形態に係る生体センサの断面図である。
図6に示すように、第4実施形態に係る生体センサ1Dは、第1実施形態に係る生体センサ1Aに示すフレーム部13が設けられていない点において上記第1実施形態と異なる。その他の点については、上記第1実施形態と共通である。
【0031】
第4実施形態に係る生体センサ1Dでは、フレーム部が設けられていない。このため、生体センサ1Dを人体Hに粘着させる際には、弾性フィルム11における第1面11Aに粘着部12が設けられた領域に対応する第2面11Bの部位を指等によって、人体H側に押し付けることによって、弾性フィルム11を人体Hに粘着させることができる。粘着部12が粘着して弾性フィルム11が人体Hに粘着されることにより、弾性フィルム11の付勢力(弾性力)によって、エレクトレットセンサ10が人体Hに押し付けられる。
【0032】
第4実施形態に係る生体センサ1Dは、上記第1実施形態と同様、弾性フィルム11を人体Hに粘着させた後、人の力や固定器具等を用いることなく、生体に押し付ける状態を維持することができる。また、常時や長時間のモニター、あるいは複数個所の同時検出にも好適に用いることができるといった作用効果を奏する。
【0033】
また、第4実施形態に係る生体センサ1Dは、フレーム部が設けられていない。このため、生体センサを構成する部材を少なくすることができるので、製造工程等の削減に寄与することができる。また、フレーム部が設けられてないことから、その分、生体センサ1Dの厚み方向における寸法が小さくなり、人体Hに貼り付けられた生体センサ1Dを目立ちにくくすることができる。
【0034】
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態について説明する。
図7は、第5実施形態に係る生体センサ1Eの断面図である。
図7に示すように、第5実施形態に係る生体センサ1Eは、第1実施形態におけるフレーム部13及び弾性スペーサ14が設けられていない点において上記第1実施形態と異なる。その他の点については、上記第1実施形態と共通である。
【0035】
第5実施形態に係る生体センサ1Eでは、フレーム部13及び弾性スペーサ14が設けられていない。このため、生体センサ1Eを人体Hに粘着させる際には、弾性フィルム11における第1面11Aに粘着部12が設けられた領域に対応する第2面11Bの部位を指等によって人体H側に押し付けることによって、弾性フィルム11を人体Hに粘着させることができる。エレクトレットセンサ10の膜厚方向の寸法は、粘着部12の厚さ方向の寸法よりも長くされている。このため、粘着部12が粘着して弾性フィルム11が人体Hに粘着されることにより、弾性フィルム11の付勢力によって、エレクトレットセンサ10が人体Hに押し付けられる。
【0036】
第5実施形態に係る生体センサ1Eは、上記第1実施形態と同様、弾性フィルム11を人体Hに粘着させた後、人の力や固定器具等を用いることなく、生体に押し付ける状態を維持することができる。また、常時や長時間のモニター、あるいは複数個所の同時検出にも好適に用いることができるといった作用効果を奏する。
【0037】
また、第5実施形態に係る生体センサ1Eは、フレーム部及び弾性スペーサが設けられていない。このため、生体センサ1Eを構成する部材を少なくすることができるので、製造工程等の削減に寄与することができる。また、フレーム部及び弾性スペーサが設けられてないことから、その分、生体センサ1Eの厚み方向における寸法を小さくすることができ、人体Hに貼り付けられた生体センサ1Eを目立ちにくくすることができる。なお、第5実施形態に係る生体センサ1Cでは、フレーム部13が設けられていないが、フレーム部13が設けられていてもよい。
【0038】
[第6実施形態]
次に、本発明の第6実施形態について説明する。
図8は、第6実施形態に係る生体センサ1Fの断面図である。
図8に示すように、第6実施形態に係る生体センサ1Fは、第1実施形態におけるフレーム部13及び弾性スペーサ14が設けられていない点において上記第1実施形態と異なる。また、ある程度の弾性を有するエレクトレットセンサ22が設けられている点、及び弾性フィルム11に代えて塑性フィルム23を有する点において、上記第1実施形態と異なる。その他の点については、上記第1実施形態と共通である。
【0039】
第6実施形態に係る生体センサ1Fでは、塑性フィルム23の第1面23Aの平面方向における中央部分にエレクトレットセンサ22が設けられ、その外周に粘着部12が設けられている。また、粘着部12を人体Hに粘着させることにより、塑性フィルム23は塑性変形するが、塑性フィルム23を人体Hに押し付ける際に、エレクトレットセンサ22が、収縮変形し、塑性フィルム23を付勢する方向に対する弾性力の反力によって、人体Hに押し付けられる。
【0040】
第6実施形態に係る生体センサ1Fは、塑性フィルム23を人体Hに粘着させた後、人の力や固定器具等を用いることなく、生体に押し付ける状態を維持することができる。また、常時や長時間のモニター、あるいは複数個所の同時検出にも好適に用いることができるといった作用効果を奏する。
【0041】
また、第6実施形態に係る生体センサ1Fは、ある程度の弾性を有するエレクトレットセンサ22が塑性フィルム23によって人体Hに押し付けられている。このため、エレクトレットセンサ22自体の弾性を利用してエレクトレットセンサ22を人体Hに押し付けることができるので、弾性フィルムを用いることなくエレクトレットセンサ22を人体Hに押し付けることができる。したがって、エレクトレットセンサ22を覆うフィルムとして用いることができるフィルム材料の種類を増やすことができる。また、フレーム部材や弾性スペーサが設けられておらず、生体センサ1Fを構成する部材を少なくすることができるので、製造工程等の削減に寄与することができる。また、フレーム部及び弾性スペーサが設けられてないことから、その分、生体センサ1Fが小さくなり、人体Hに貼り付けられた生体センサ1Fが目立ちやすくならないようにすることができる。なお、第6実施形態に係る生体センサ1Fでは、フレーム部13及び弾性スペーサ14が設けられていないが、フレーム部13及び弾性スペーサ14のいずれか一方または両方が設けられていてもよい。
【0042】
[第7実施形態]
次に、本発明の第7実施形態について説明する。
図9(A)は、第7実施形態に係る生体センサ1Fの断面図、
図9(B)は、第7実施形態に係る弾性加工フィルム24の平面図である。
図8に示すように、第7実施形態に係る生体センサ1Gは、第1実施形態における弾性フィルム11に代えて、弾性加工フィルム24が設けられている点において上記第1実施形態と異なる。その他の点については、上記第1実施形態と共通である。
【0043】
図9(A)に示すように、第7実施形態に係る生体センサ1Gでは、弾性加工フィルム24によってエレクトレットセンサ10が人体Hに押し付けられている。弾性加工フィルム24では、
図9(B)に示すように、弾性加工フィルム24の平面方向においてエレクトレットセンサ10が設けられる領域の外周側に切欠き部24Aが形成されている。切欠き部24Aは、弾性加工フィルム24の中心点を中心とした複数の円形に沿ってそれぞれ断続的に複数形成されている。
【0044】
第7実施形態に係る生体センサ1Gは、上記第1実施形態と同様、弾性フィルム11を人体Hに粘着させた後、人の力や固定器具等を用いることなく、生体に押し付ける状態を維持することができる。また、常時や長時間のモニター、あるいは複数個所の同時検出にも好適に用いることができるといった作用効果を奏する。
【0045】
また、第7実施形態に係る生体センサ1Gにおいては、弾性加工フィルム24の中央部分に複数の切欠き部24Aが設けられている。複数の切欠き部24Aが設けられていることにより、エレクトレットセンサ10に付加される弾性加工フィルム24の弾性力に基づく荷重の大きさを調整することができる。なお、切欠き部24Aの切り欠き(破断)を減らすほどエレクトレットセンサ10に付加される荷重を大きくすることができ、切欠き部24Aの切り欠き(破断)が多くなるほどエレクトレットセンサ10に付加される荷重を小さくすることができる。
【0046】
弾性加工フィルム24の平面方向における中央部分には、切欠き部24Aを設ける加工以外の加工が行われていてもよい。例えば、
図9(C)に示すように、弾性加工フィルム24の中央部分がメッシュ部24Bとなるようにメッシュ加工が行われていてもよいし、
図9(D)に示すように、弾性加工フィルム24の中央部分がらせん状に切り込みが入れられた(破断された)螺旋部24Cとなる加工が行われていてもよい。
【0047】
[第8実施形態]
次に、本発明の第8実施形態について説明する。
図10は、第8実施形態に係る生体センサの断面図である。
図10に示すように、第8実施形態に係る生体センサ1Hは、第1実施形態におけるフレーム部13に代えて、慣性キャップ26が設けられている点で第1実施形態と異なる。その他の点は、上記第1実施形態と共通である。
【0048】
慣性キャップ26の断面形状は、慣性キャップ26の平面方向における周縁部において、中央部よりも厚みの寸法が大きくなるように形成された脚部26Aが設けられており、中央部は天板部26Bとして構成されている。慣性キャップ26の脚部26Aが、第1実施形態におけるフレーム部13として機能する。また、脚部26A及び天板部26Bに囲まれた中央下位置(内部側の領域)に、下方が開口してエレクトレットセンサ10が収容される収容部26Cが設けられている。慣性キャップ26は、例えば金属製であり、ある程度の重みを有しており、エレクトレットセンサ10を囲んで設けられている。
【0049】
弾性フィルム11は、脚部26Aの下面(人体H側)に貼り付けられている。脚部26Aは、弾性フィルム11の第1面11Aにおける粘着部12が設けられた位置に対応する第2面11Bに貼り付けられている。
【0050】
第8実施形態に係る生体センサ1Hは、上記第1実施形態と同様、弾性フィルム11を人体Hに粘着させた後、人の力や固定器具等を用いることなく、生体に押し付ける状態を維持することができる。また、常時や長時間のモニター、あるいは複数個所の同時検出にも好適に用いることができるといった作用効果を奏する。
【0051】
また、第8実施形態に係る生体センサ1Hでは、弾性フィルム11が人体Hに貼り付けられたときに、エレクトレットセンサ10が慣性キャップ26と人体Hで囲まれた閉空間に収容されている。さらにいうと、慣性キャップ26は、ある程度の重さを有していることにより、周囲から音が到来しても、慣性キャップ26の重みにより、音の振動がエレクトレットセンサ10に伝達せずに遮音することができる。したがって、生体センサ1Hにおける周囲音(外部環境の振動)がエレクトレットセンサ10に伝達しないように遮断することができるので、エレクトレットセンサ10の検出精度を高めることができる。
【0052】
[第9実施形態]
次に、本発明の第9実施形態について説明する。
図11(A)は、第9実施形態の生体センサの生体への貼り付け前の断面図、
図11(B)は、貼り付け後の断面図、
図11(C)は、
図11(A)のC-C線断面図である。
図11(A)に示すように、第9実施形態に係る生体センサ1Iは、
図10に示す第7実施形態に係る弾性フィルム11に代えて、弾性リングスペーサ27が設けられている。また、エレクトレットセンサ10と弾性リングスペーサ27との間に剛性プレート28が介在されており、慣性キャップ26における脚部26Aの底面には、粘着部12が設けられている。その他の点については、上記第8実施形態と共通である。
【0053】
図11(A)に示す弾性リングスペーサ27は、例えば、弾性スペーサ14と同様に、ゲル状の材料にて構成されている。弾性リングスペーサ27は、慣性キャップ26における脚部26Aとの間が離間して設けられている。このため、弾性リングスペーサ27における外側部に空間が形成されている。また、弾性リングスペーサ27は、中空円筒形状をなしており、
図11(C)に示すように、平断面が円環形状をなしている。このため、弾性リングスペーサ27における内側部にも空間が形成されている。
【0054】
第9実施形態に係る生体センサ1Iを人体Hに取り付ける際には、
図11(A)に示す状態から慣性キャップ26を人体Hに向けて相対的に移動させ、
図11(B)に示すように、慣性キャップ26における脚部26Aの底面に設けられた粘着部12を人体Hに粘着させる。このとき、慣性キャップ26の相対的な移動により、慣性キャップ26の天板部26Bによって弾性リングスペーサ27が押し潰される。弾性リングスペーサ27が押し潰されると、その弾性力が慣性キャップ26に働く。慣性キャップ26は、脚部26Aにおいて人体Hに粘着されているので、慣性キャップ26に働いた弾性力の反力が荷重となって、剛性プレート28を介して、エレクトレットセンサ10に付加され、エレクトレットセンサ10が人体Hに押し付けられる。
【0055】
第9実施形態に係る生体センサ1Iは、上記第1実施形態と同様、慣性キャップ26を人体Hに粘着させた後、人の力や固定器具等を用いることなく、生体に押し付ける状態を維持することができる。また、常時や長時間のモニター、あるいは複数個所の同時検出にも好適に用いることができるといった作用効果を奏する。
【0056】
また、第9実施形態に係る生体センサ1Iでは、弾性リングスペーサ27によってエレクトレットセンサ10に荷重を付加している。このため、弾性フィルムを用いることなく、エレクトレットセンサ10に対して荷重を付加することができる。特に、弾性スペーサ14を設ける場合には、弾性スペーサ14と弾性リングスペーサ27とを共通の材料で設けることができるので、部材の多様化を抑制することができる。
【0057】
また、弾性リングスペーサ27は、慣性キャップ26によって押し潰されるが、弾性リングスペーサ27の外側及び内側には空間が形成されている。この空間が弾性リングスペーサ27の変形を許容するスペースとなるので、弾性リングスペーサ27が変形する際に、弾性リングスペーサ27が逃げる領域を広く確保することができる。さらには、弾性リングスペーサ27は、外側と内側の双方に向けて均一に変形できる領域を確保することができる。なお、弾性リングスペーサ27の形状は、どのような形状でもよく、例えば、断面が円環形状以外の形状でもよい。あるいは、棒状の部材を離間して並列させるようにしてもよい。また、弾性リングスペーサ27は、剛性プレート28の一部に押し付けられているが、剛性プレート28が設けられていることにより、エレクトレットセンサ10に付加される荷重をエレクトレットセンサ10の面方向に均一にすることができる。
【0058】
[第10実施形態]
次に、本発明の第10実施形態について説明する。
図12(A)は、第10実施形態の生体センサの生体への貼り付け前の断面図、
図12(B)は、貼り付け後の断面図である。
図12(A)に示すように、第10実施形態に係る生体センサ1Jは、第1実施形態における弾性フィルム11に代えて、片持ち梁29が設けられている点で第1実施形態と異なる。また、フレーム部13の底面には、粘着部12が設けられている。その他の点については、上記第1実施形態と共通である。
【0059】
図12(A)に示すように、第10実施形態に係る生体センサ1Jにおける片持ち梁29は、板バネ部29A及び押え部29Bを備えている。板バネ部29Aは、フレーム部13に固定されており、フレーム部13に固定されている部分よりも先端部側が屈曲している。板バネ部29Aの先端部に押え部29Bが取り付けられている。
【0060】
第10実施形態に係る生体センサ1Jを人体Hに取り付ける際には、
図12(A)に示す状態からフレーム部13を人体Hに向けて相対的に移動させ、
図12(B)に示すように、フレーム部13の底面に設けられた粘着部12を人体Hに粘着させる。このとき、フレーム部13の相対的な移動により、エレクトレットセンサ10の上に設けられた剛性プレート28に押え部29Bが当接し、片持ち梁29の板バネ部29Aが屈曲した状態から直線状に変形する。片持ち梁29の板バネ部29Aが変形することにより、板バネ部29Aの先端に設けられた押え部29Bから下方に向けて付勢力が発生し、この付勢力による荷重が剛性プレート28を介してエレクトレットセンサ10に付加されてエレクトレットセンサ10が人体Hに押し付けられる。
【0061】
第10実施形態に係る生体センサ1Jは、上記第1実施形態と同様、フレーム部13を人体Hに粘着させた後、人の力や固定器具等を用いることなく、生体に押し付ける状態を維持することができる。また、常時や長時間のモニター、あるいは複数個所の同時検出にも好適に用いることができるといった作用効果を奏する。
【0062】
また、第10実施形態に係る生体センサ1Jでは、片持ち梁29の板バネ部29Aによってエレクトレットセンサ10に荷重を付加している。このため、弾性フィルムを用いることなく、エレクトレットセンサ10に対して荷重を付加することができる。また、片持ち梁29の押え部29Bは、剛性プレート28の一点に押し付けられているが、剛性プレート28が設けられていることにより、エレクトレットセンサ10に付加される荷重をエレクトレットセンサ10の面方向に均一にすることができる。
【0063】
[第11実施形態]
次に、本発明の第11実施形態について説明する。
図13(A)は、第11実施形態の生体センサの生体への貼り付け前の断面図、
図13(B)は、貼り付け後の断面図である。
図13(A)に示すように、第11実施形態に係る生体センサ1Kは、第1実施形態における弾性フィルム11に代えて、スプリング部30及びフレーム部13の間におけるスプリング部30の上方に設けられた天板部31が設けられている点で第1実施形態と異なる。その他の点については、上記第1実施形態と共通である。
【0064】
図13(A)に示すように、第11実施形態に係る生体センサ1Kにおけるスプリング部30は、例えばらせん状の板バネであり、
図13(B)に示すように、収縮されることにより、拡張する方向に付勢する。スプリング部30の上端部は天板部31の底面に当接され、スプリング部30の下端部は剛性プレート28の上面に当接している。
【0065】
第11実施形態に係る生体センサ1Kを人体Hに取り付ける際には、
図13(A)に示す状態からフレーム部13及び天板部31を人体Hに向けて相対的に移動させ、
図13(B)に示すように、フレーム部13の底面に設けられた粘着部12を人体Hに粘着させる。このとき、フレーム部13の相対的な移動により、スプリング部30が天板部31及び剛性プレート28に挟まれて収縮する。スプリング部30が収縮することにより、スプリング部30が拡張する方向、すなわち上下方向に付勢力が発生し、この付勢力による荷重が剛性プレート28を介してエレクトレットセンサ10に付加されてエレクトレットセンサ10が人体Hに押し付けられる。
【0066】
第11実施形態に係る生体センサ1Kは、上記第1実施形態と同様、フレーム部13を人体Hに粘着させた後、人の力や固定器具等を用いることなく、生体に押し付ける状態を維持することができる。また、常時や長時間のモニター、あるいは複数個所の同時検出にも好適に用いることができるといった作用効果を奏する。
【0067】
また、第11実施形態に係る生体センサ1Kでは、スプリング部30によってエレクトレットセンサ10に荷重を付加している。このため、弾性フィルムを用いることなく、エレクトレットセンサ10に対して荷重を付加することができる。また、スプリング部30は、剛性プレート28の一点に押し付けられているが、剛性プレート28が設けられていることにより、エレクトレットセンサ10に付加される荷重をエレクトレットセンサ10の面方向に均一にすることができる。
【0068】
[第12実施形態]
次に、本発明の第12実施形態について説明する。
図14(A)は、第12実施形態の生体センサの生体への貼り付け前の断面図、(B)は、貼り付け後の断面図である。
図14(A)に示すように、第12実施形態に係る生体センサ1Lは、
図11に示す第9実施形態における弾性リングスペーサ27に代えて、エアバッグ部材32が設けられている点で第9実施形態と異なる。その他の点については、上記第9実施形態と共通である。
【0069】
図14(A)に示すエアバッグ部材32は、弾性膜32Aを備えており、弾性膜32A内にエアが密封されて構成されている。エアバッグ部材32は、荷重を受けることによって弾性膜32A内のエアが圧縮され、外方に向けた押圧力を発生する。エアバッグ部材32は、慣性キャップ26における天板部26B及び剛性プレート28にそれぞれ当接している。
【0070】
第12実施形態に係る生体センサ1Lは、上記第1実施形態と同様、慣性キャップ26を人体Hに粘着させた後、人の力や固定器具等を用いることなく、生体に押し付ける状態を維持することができる。また、常時や長時間のモニター、あるいは複数個所の同時検出にも好適に用いることができるといった作用効果を奏する。
【0071】
また、第12実施形態に係る生体センサ1Lでは、エアバッグ部材32によってエレクトレットセンサ10に荷重を付加している。このため、弾性フィルムを用いることなく、エレクトレットセンサ10に対して荷重を付加することができる。また、エアバッグ部材32では、エアによって荷重を発生するものであるため、軽量である。したがって、生体センサ1Lの全体についての軽量化に寄与することができる。
【0072】
[第13実施形態]
次に、本発明の第13実施形態について説明する。
図15(A)は、第13実施形態の生体センサの生体への貼り付け前の断面図、
図15(B)は、貼り付け後の断面図である。
図15(A)に示すように、第13実施形態に係る生体センサ1Mは、
図11に示す第13実施形態における慣性キャップ26及び弾性リングスペーサ27に代えて、密閉キャップ33及び弾性密閉フィルム34を備えている点で第9実施形態と異なる。また、剛性プレート28が設けられていない点で第9実施形態と異なるが、設けられていてもよい。その他の点については、上記第9実施形態と共通である。
【0073】
なお、密閉キャップ33は、第9実施形態における慣性キャップ26と同様の構成を有している。また、弾性密閉フィルム34は、非通気性を有する弾性のフィルムであり、密閉キャップ33の中央に形成された空間の開口を閉鎖している。密閉キャップ33における中央の空間は、開口部が弾性密閉フィルム34で閉鎖されることによって密閉され、空間に存するエアが空気バネ35を構成する。密閉キャップ33における脚部33Aの底面に弾性密閉フィルム34が密着状態で粘着され、弾性密閉フィルム34における密閉キャップ33の脚部33Aが粘着された面の裏面には、粘着部12が設けられている。
【0074】
第13実施形態に係る生体センサ1Mを人体Hに取り付ける際には、
図15(A)に示す状態から密閉キャップ33を人体Hに向けて相対的に移動させ、
図15(B)に示すように、密閉キャップ33における脚部33Aの底面に設けられた粘着部12を人体Hに粘着させる。このとき、密閉キャップ33の相対的な移動により、密閉キャップ33に粘着された弾性密閉フィルム34がエレクトレットセンサ10によって密閉キャップ33における中央の空間に押し込まれる。弾性密閉フィルム34が密閉キャップ33における中央の空間に押し込まれると、この空間の容積が減少し、空間に存するエアが圧縮され、空気バネ35が形成される。空気バネ35は、エレクトレットセンサ10の方向に付勢力を発生しこの付勢力が荷重となってエレクトレットセンサ10に付加され、エレクトレットセンサ10が人体Hに押し付けられる。
【0075】
第13実施形態に係る生体センサ1Mは、弾性密閉フィルム34を人体Hに粘着させた後、人の力や固定器具等を用いることなく、生体に押し付ける状態を維持することができる。また、常時や長時間のモニター、あるいは複数個所の同時検出にも好適に用いることができるといった作用効果を奏する。
【0076】
また、第13実施形態に係る生体センサ1Mでは、密閉キャップ33の中央の空間に形成された空気バネ35によってエレクトレットセンサ10に荷重を付加している。このため、弾性フィルムを用いることなく、エレクトレットセンサ10に対して荷重を付加することができる。また、空気バネ35を形成するために設けられる弾性密閉フィルム34は、空気バネ35とともにエレクトレットセンサ10に荷重を付与している。このため、弾性密閉フィルム34として小さな弾性力のフィルムを用いたとしても、十分な荷重をエレクトレットセンサ10に付与することができる。
【0077】
[第14実施形態]
上記第1~第13実施形態に係る生体センサ1A~1Mは、人体Hにおける所望の位置に取り付けて使用される。生体センサ1A~1Mを取り付ける位置は、任意の方法で定めることができるが、例えば以下の方法で定めることができる。例えば、生体センサ1A~1Mを心臓の弁の位置に対応させて装着する場合には、Tシャツ等の上半身に着用する衣服の内側において、心臓の弁に対応する場所に生体センサ1A~1Mを取り付けて置いてもよい。このとき、人体Hの大きさに合わせた衣服とすることで、体の大きさに応じた心臓の弁の位置にセンサを取付けることができる。なお、心臓には、肺動脈弁、大動脈弁、三尖弁、僧房弁の4つの弁があるので、いずれか1つの弁に対応する位置にセンサを設けてもよいし、これらの弁のうち、複数の弁に設けてもよい。
【0078】
また、生体センサ1A等は、粘着部12によって人体Hに取り付けられているが、粘着部12による粘着を補強する固定具などを用いてもよい。例えば、生体センサ1A等を胴部に取付ける場合、胴部の周方向にバンドを取付け、このバンドにて生体センサ1A等を押さえるようにしてもよい。この場合、生体センサ1A等は人体Hに対して粘着力によって取付けられているため、粘着せずにバンドのみで取付ける場合に比べて締め付け力を低減させることができるため、人体に対する負担は従来に比べて低減することができる。また、粘着部12の粘着力のみで生体センサ1A等を人体Hに固定した状態では、例えば、汗等の影響で粘着部12の粘着性が低下し、人体Hから剥がれてしまう可能性がある。この点、このような固定具を用いることにより、生体センサ1A等の人体Hからの脱落を防止することができる。
【0079】
また、例えばスマートフォンなどの情報端末に生体センサの使用者自らが自身の体を撮影する自撮モードを設け、自身の上半身を撮影しておいてもよい。この場合、情報端末には、位置決め等のアプリをインストールしておき、自撮した際に、ユーザの体の輪郭を抽出し、抽出された輪郭を元に、取付け位置(心臓の弁の位置)を示すマークを、自分の体の画像に重ねるように合成して表示するようにしてもよい。このようなマークを表示することにより、使用者は、自撮しつつ、マークを手がかりにしてセンサを装着することができる。自撮モードであるため、鏡を見ているような感覚でセンサを装着することができる。この場合、例えば入浴等の際に使用者が装着していた生体センサ1A等を取り外した後、再び生体センサ1A等を装着するときに、容易にかつ適切な位置に装着することができる。
【0080】
以上、本発明の実施形態について、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0081】
例えば、上記の各実施形態では、生体センサ1A等を設ける部位は、心臓が設けられた位置の表面側の皮膚以外の部位であっても、生体の振動を検出する対象の部位であればいずれの部位に取り付けられてもよく、例えば、人体の頭部、手首、腕部、足首、脚部等の部位としてもよい。また、生体センサ1A等は、心臓が設けられた位置の表面側の皮膚に1つのみ設けているが、生体センサ1Aを複数本取り付けて使用してもよい。また、上記の各実施形態において、人体Hの振動を検出するセンサは、エレクトレットセンサ10であるが、他のセンサでもよく、例えば、ピエゾ等の振動検出センサなどでもよいし、他の圧力センサなどでもよい。
【0082】
また、上記の第1実施形態、第2実施形態等では、弾性フィルム11がフレーム部13の下方位置まで延在しているが、他の態様としてもよい。例えば、弾性フィルム11は、フレーム部13の下端部にまで届いておらず、弾性フィルム11がフレーム部13の内側の側面で取り付けられているようにしてもよい。同様に、第13実施形態等では、弾性密閉フィルム34が密閉キャップ33の下方位置まで延在しているが、他の態様としてもよく、例えば、弾性密閉フィルム34は、密閉キャップ33の下端部にまで届いておらず、弾性密閉フィルム34が密閉キャップ33の内側の側面で取り付けられているようにしてもよい。
【符号の説明】
【0083】
1A~1M…生体センサ、10、22…エレクトレットセンサ、11…弾性フィルム、11A…第1面、11B…第2面、12…粘着部、13…フレーム部、14…弾性スペーサ、21…慣性プレート、23…塑性フィルム、24…弾性加工フィルム、24A…切欠き部、24B…メッシュ部、24C…螺旋部、26…慣性キャップ、26C…収容部、27…弾性リングスペーサ、28…剛性プレート、29…片持ち梁、29A…板バネ部、29B…押え部、30…スプリング部、31…天板部、32…エアバッグ部材、32A…弾性膜、33…密閉キャップ、33A…脚部、34…弾性密閉フィルム、35…空気バネ、