(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-20
(45)【発行日】2022-09-29
(54)【発明の名称】コンデンサの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01G 9/00 20060101AFI20220921BHJP
H01G 2/02 20060101ALI20220921BHJP
H01G 11/84 20130101ALI20220921BHJP
【FI】
H01G9/00 290Z
H01G2/02 101C
H01G11/84
(21)【出願番号】P 2018071477
(22)【出願日】2018-04-03
【審査請求日】2021-04-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000228578
【氏名又は名称】日本ケミコン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083725
【氏名又は名称】畝本 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100140349
【氏名又は名称】畝本 継立
(74)【代理人】
【識別番号】100153305
【氏名又は名称】畝本 卓弥
(74)【代理人】
【識別番号】100206933
【氏名又は名称】沖田 正樹
(72)【発明者】
【氏名】井上 竜太
(72)【発明者】
【氏名】仲田 光一
(72)【発明者】
【氏名】橋本 庸平
【審査官】菊地 陽一
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-099427(JP,U)
【文献】特開2011-077368(JP,A)
【文献】特開平06-338439(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 9/00
H01G 2/02
H01G 11/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子リードと該端子リードが貫通している封口部材を含むコンデンサ本体と、該コンデンサ本体の封口部材側に設置される台座と、前記台座と前記封口部材の間に樹脂層を備えるコンデンサの製造方法であって、
挿通孔
、樹脂注入孔
および貫通孔を備える台座を形成する工程と、
前記端子リードを前記挿通孔に挿入するとともに前記台座を前記コンデンサ本体の封口部材側に設置し、前記端子リードを前記台座の外側に配置するとともに前記台座と前記封口部材の間に隙間を形成する工程と、
前記台座の外側で前記端子リードを折曲げ
て台座とコンデンサ本体を固定する工程と、
前記端子リードを折曲げ
て台座とコンデンサ本体を固定する工程の後に、樹脂を前記樹脂注入孔から前記隙間に注入する工程と、
前記貫通孔により樹脂の充填状態を確認し、樹脂の充填状態が確認された場合に樹脂の注入をとめる工程と、
を含むことを特徴とするコンデンサの製造方法。
【請求項2】
前記樹脂注入孔は、前記挿通孔を含む二つの挿通孔を結ぶ仮想線から離れた位置に形成されることを特徴とする請求項1に記載のコンデンサの製造方法。
【請求項3】
前記台座を形成する工程において、前記台座にガイド溝またはガイド突起が形成され、
前記端子リードを折曲げる工程において、前記端子リードは前記ガイド溝または前記ガイド突起に沿って折曲げられることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコンデンサの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プリント基板等の配線板に実装されるコンデンサに関し、たとえば、金属製外装ケースを封止する封口部材側に台座が配置されたコンデンサの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンデンサを配線板に実装するには、たとえばコンデンサが台座を備え、台座の外側面に引き出されて折曲げられた端子リードを配線板にはんだ付けする実装手段が用いられる。このような実装に用いられるコンデンサは、表面実装型のコンデンサと呼ばれている。この表面実装型のコンデンサの汎用性は高く、たとえば自動車に用いられる。
【0003】
コンデンサが自動車内などの屋外に設置されると、コンデンサの設置周囲の環境温度が上昇する。このため、コンデンサは、高温度環境に耐える必要がある。たとえば、コンデンサの封口部材と台座の間に樹脂層を形成し、コンデンサの密閉性が高められる。このコンデンサの樹脂層は、たとえば次のように形成される。台座の中央部に円形の大きな貫通孔が形成され、この貫通孔からリード線を引き出した状態で、貫通孔の中央部分から注入したエポキシ樹脂を加熱し、硬化する(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平6-338439号公報(段落[0012]、[0013])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
コンデンサの樹脂層は、たとえば台座設置後の樹脂注入により形成される。このような樹脂注入では、注入された樹脂が封口部材および台座を押し、台座がコンデンサの本体部から離れるという課題がある。台座がコンデンサの本体部から離れると、封口部材と台座の間の隙間を埋めるために必要な樹脂の量が増加する。また、コンデンサの高さのばらつきが大きくなる。特許文献1には、斯かる課題の開示や示唆はない。
【0006】
そこで、本開示は、上記課題に鑑み、樹脂注入にともなう封口部材と台座の間の距離変動を抑制することを第1の目的とする。
【0007】
また、本開示は、上記課題に鑑み、注入される樹脂の量を抑制することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一側面は、端子リードと端子リードが貫通している
封口部材を含むコンデンサ本体と、コンデンサ本体の封口部材側に設置される台座と、台
座と封口部材の間に樹脂層を備えるコンデンサの製造方法である。コンデンサの製造方法
は、挿通孔、樹脂注入孔および貫通孔を備える台座を形成する工程と、端子リードを挿通孔に挿入するとともに台座をコンデンサ本体の封口部材側に設置し、端子リードを台座の外側に配置するとともに台座と封口部材の間に隙間を形成する工程と、台座の外側で端子リードを折曲げて台座とコンデンサ本体を固定する工程と、端子リードを折曲げて台座とコンデンサ本体を固定する工程の後に、樹脂を樹脂注入孔から隙間に注入する工程と、貫通孔により樹脂の充填状態を確認し、樹脂の充填状態が確認された場合に樹脂の注入をとめる工程とを含む。
【0009】
上記樹脂注入孔は、挿通孔を含む二つの挿通孔を結ぶ仮想線から離れた位置に形成されてもよい。
【0010】
上記台座を形成する工程において、台座にガイド溝またはガイド突起が形成されてもよく、上記端子リードを折曲げる工程において、端子リードはガイド溝またはガイド突起に沿って折曲げられてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、端子リードを折曲げた後に樹脂を注入するので、コンデンサ本体からの台座の離間が抑制される。
【0012】
台座と封口部材との間の距離の増大が抑制され、注入される樹脂の量が抑制される。
【0013】
台座がコンデンサ本体からの移動を規制するため、樹脂が注入されても台座とコンデンサ本体との間の平行が維持され、コンデンサの基板への載置性が向上する。
【0014】
端子リードを折り曲げた後、樹脂を注入するため、樹脂の硬化のために静置する時間を設ける必要がなく、製造時間の短縮化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施の形態に係るコンデンサの製造工程のうち、台座の取付け以降の製造工程の一例を示す図である。
【
図2】コンデンサの製造工程うち、コンデンサ本体の形成までの製造工程の一例を示す図である。
【
図6】樹脂の注入工程において生じる圧力の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して実施の形態を説明する。
実施の形態
【0017】
実施の形態について、
図1ないし
図5を参照して説明する。
図1は実施の形態に係るコンデンサの製造工程の一例を示している。このコンデンサの製造工程は、本発明のコンデンサの製造方法の一例である。この製造工程により製造されるコンデンサ2は、電子部品の一例であり、たとえば電解コンデンサや電気二重層コンデンサであって、コンデンサ本体4、台座6および樹脂層8を含む。コンデンサ本体4は、外装ケース10、コンデンサ素子12および封口部材14を含み、コンデンサ素子12は、端子リード16-1、16-2を含む。台座6は、コンデンサ本体4の封口部材14側に設置され、樹脂層8は、コンデンサ本体4の封口部材14と台座6の間に形成される。コンデンサの製造工程は、コンデンサ本体4の形成工程、台座6の形成工程、台座6をコンデンサ本体4に取付ける取付工程、端子リード16-1、16-2を折曲げる工程、および樹脂の注入工程を含む。
図1において、コンデンサ本体4の形成工程および台座6の形成工程は省略されている。
図1では、上下方向に2分割したコンデンサ2の端面が示されている。
【0018】
コンデンサ本体4の形成工程では、コンデンサ本体4が形成される。外装ケース10は、たとえば有底筒状のアルミニウムケースであり、外装ケース10の開放端は、カーリング処理されている。封口部材14は絶縁性ゴムなどのゴムで形成されている。
【0019】
台座6の形成工程では、台座6が形成される。台座6は、たとえば射出成形などの樹脂成形や三次元プリントにより形成され、挿通孔18-1、18-2、ガイド溝19-1、19-2および樹脂注入孔38(
図3、
図4)などを含む。台座6は絶縁合成樹脂などの絶縁板で形成される。この絶縁合成樹脂は、配線板に実装する際の加熱に耐える程度の耐熱性を有していればよく、たとえばポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、およびポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル系樹脂、ナイロンなどのポリアミド系樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ユリア樹脂、液晶ポリマー(LCP)、フェノール樹脂、またはエポキシ樹脂である。
【0020】
台座6の取付け工程では、
図1のAに示すように、台座6をコンデンサ本体4の封口部材14側に取付ける。この取付け工程では、コンデンサ本体4の封口部材14の一部または外装ケース10が台座6に接触し、コンデンサ本体4の封口部材14と台座6の間に隙間SPが形成される。また、コンデンサ本体4の端子リード16-1、16-2は、台座6に形成された挿通孔18-1、18-2にそれぞれ挿入される。端子リード16-1、16-2の一部は、台座6の外側に配置され、配線板44(
図5)に実装される端子部を形成する。
【0021】
端子リード16-1、16-2の折曲げ工程では、
図1のBに示すように、台座6の外側に突出している端子リード16-1、16-2の端子部が、台座6の外側面に形成されているガイド溝19-1、19-2に沿って相反方向に折曲げられる。折曲げられた端子リード16-1、16-2の端子部は、台座6のガイド溝19-1、19-2に配置される。端子部は、ガイド溝19-1、19-2に接触し、台座6をコンデンサ本体4に固定する。これにより、端子リード16-1、16-2と外装ケース10の先端部が台座6を挟み込むとともに台座6を固定して、台座6が移動し難い構造が得られる。
【0022】
樹脂の注入工程は、端子リード16-1、16-2の折曲げ工程後に実施される。樹脂の注入工程では、コンデンサ本体4の移動が規制されるとともに、ディスペンサなどの樹脂吐出装置の樹脂吐出部20が台座6の樹脂注入孔38に押当てられる。そして、樹脂が樹脂注入孔38から隙間SPに注入され、樹脂層8が形成される。コンデンサ本体4の移動は、たとえばコンデンサ本体4を固定台21に配置することで規制される。コンデンサ本体4の移動が規制されているので、樹脂吐出部20を樹脂注入孔38に押当てることにより、樹脂注入孔38の近傍において台座6がコンデンサ本体4に押付けられ、台座6がコンデンサ本体4に固定される。
【0023】
注入される樹脂は、台座6、外装ケース10および封口部材14に対して親和性があり、気体の遮断性を有すればよく、アルミニウムの線膨張係数(約23×10-6/℃)に近い線膨張係数を有し、硬化する際の収縮量が少なく、非吸湿性を有することが好ましい。樹脂は、たとえばエポキシ樹脂、アルキッド系樹脂、ウレタン樹脂、熱硬化性樹脂、または紫外線硬化樹脂であればよい。また、エポキシ樹脂は、たとえば酸無水物を用いた二液混合型やアミン系二液混合型のエポキシ樹脂であってもよいし、一液型のエポキシ樹脂であってもよい。
【0024】
図2は、コンデンサの製造工程のうち、コンデンサ本体の形成までの製造工程の一例を示している。
【0025】
コンデンサ本体4の形成工程では、
図2のAに示すように、端子リード16-1を接続した陽極箔と端子リード16-2を接続した陰極箔の間にセパレータを介在させて巻回して、コンデンサ素子12を形成する。端子リード16-1、16-2は導電性のよい金属から形成されている。端子リード16-1は陽極側端子であって、コンデンサ素子12の陽極箔から引き出されるリード部と配線板44(
図5)に実装される端子部とを備え、これらが溶接等により接続されて一体化したものである。端子リード16-2は陰極側端子であって、コンデンサ素子12の陰極箔から引き出されるリード部と配線板44に実装される端子部とを備え、端子リード16-1と同様に、これらが溶接等により接続されて一体化したものである。リード部はたとえば円柱状であり、端子部は、たとえば配線板44への実装面側で平坦化され、矩形形状の断面、または角丸長方形などのオーバル形状の断面を有している。端子リード16-1、16-2は、コンデンサ素子12の同一素子面より導出される。このコンデンサ素子12に電解液を含浸させ、
図2のBに示すように、コンデンサ素子12の端子リード16-1、16-2に封口部材14の貫通孔を貫通させ、封口部材14をコンデンサ素子12に取り付ける。
図2のCに示すように、コンデンサ素子12を外装ケース10に封入後、外装ケース10の外側面での加締めにより、外装ケース10の開口部に封口部材14を固定し、コンデンサ本体4が形成される。カーリング処理された外装ケース10の開放端と封口部材14により、コンデンサ本体4の封口部が形成される。
【0026】
本実施の形態では、コンデンサ素子12に電解液を含浸して電解コンデンサを形成したが、これに限らず、導電性高分子を含浸させて固体電解質層を形成したコンデンサ素子12を用いて固体電解コンデンサとしてもよいし、導電性高分子を含浸したコンデンサ素子12に電解液を含浸させるハイブリッド型コンデンサとしてもよい。
【0027】
図3および
図4は、台座6の形成工程で形成される台座6の一例を示している。
図3のAは、台座6の平面図であり、コンデンサ本体4に設置される本体設置面であって、台座6の封口部材側の面部を示している。
図3のBは、
図3のAにおけるB-B線断面を示している。
図3のCは、台座6の底面図であり、本体設置面の対向面であって、台座6の外側面を示している。
図4は、台座6の斜視図である。
図5は、コンデンサの製造工程で製造されるコンデンサの一例を示している。
図3のCに示されている円形の破線は、樹脂吐出装置の樹脂吐出部20が押当てられる場所の一例を示している。
【0028】
台座6は、挿通孔18-1、18-2と、ガイド溝19-1、19-2と、突出部22と、周壁23と、支持突部24とを備える。
【0029】
挿通孔18-1、18-2は、コンデンサ本体4から突出している一対の端子リード16-1、16-2を挿通する。つまり、台座6の取付けにおいて、一対の端子リード16-1、16-2は、一対の挿通孔18-1、18-2を貫通し、台座6の外側に引き出される。挿通孔18-1、18-2は、たとえば端子リード16-1、16-2の端子部に合わせて矩形形状またはオーバル形状を有する。また、挿通孔18-1、18-2の径は、たとえば端子リード16-1、16-2を挿通できる程度に、端子リード16-1、16-2の外径よりもわずかに大きい。挿通孔18-1、18-2が、端子リード16-1、16-2の端子部に合わせた形状や大きさを有するので、挿通孔18-1、18-2および端子リード16-1、16-2が台座6をコンデンサ本体4における適切な取付け位置に導くことができる。
【0030】
ガイド溝19-1、19-2は台座6の外側面に形成されている。ガイド溝19-1は挿通孔18-1と台座6の縁部との間に形成された溝であり、ガイド溝19-2は挿通孔18-2と台座6の縁部との間に形成された溝であり、ガイド溝19-1、19-2は、たとえば一直線上に形成されている。ガイド溝19-1、19-2は、これらの溝により端子リード16-1、16-2の配置をそれぞれ規制する。
【0031】
突出部22は、挿通孔18-1、18-2に向かう樹脂を遮る遮断壁の一例であり、挿通孔18-1、18-2の周囲に配置され、挿通孔18-1、18-2を囲う。突出部22は、
図5に示すように、コンデンサ2において、封口部材14に対向し、突出部22に隣接する樹脂層8と挿通孔18-1、18-2とを隔てる。
【0032】
図3のAに示すように、突出部22は、挿通孔18-1および挿通孔18-2を囲う端部と、これらの端部間、つまり挿通孔18-1と挿通孔18-2の間に配置される中央部を備える。突出部22の中央部は、突出部22の端部よりも狭い幅を有し、くびれている。このくびれにより、樹脂層8の形成領域が拡大され、コンデンサの密閉性が高められている。突出部22の中央部は、溝部34を含んでいる。この溝部34は、台座6と封口部材14の間に充填される樹脂の流路を形成する。突出部22の各端部は、たとえば二本の溝部36を含んでいる。各溝部36は、挿通孔18-1、18-2のいずれかに接続している。溝部36は、通気路を形成し、樹脂注入により押し出される空気を、溝部36を通して外部に排出する。溝部36の幅、深さ、設置間隔または設置個数を変更することにより、各通気路の開口面積および通気路全体の開口面積を管理および調整することができ、空気の通過を許容しつつ樹脂の侵入を容易に抑制することができる。溝部36の幅、深さ、設置間隔および設置個数は、空気の通過および樹脂の侵入抑制を考慮して適宜設定すればよい。たとえば、樹脂注入孔38側の突出部22には溝部36を形成せず、樹脂注入孔38側に対して反対側の突出部22のみに溝部36を形成する。この反対側の突出部22のみに溝部36を形成する場合、樹脂の流れの上流に溝部36が形成されていないので、樹脂が溝部36を通じて挿通孔18-1、18-2から出る可能性が低下するとともに、溝部36を通じて挿通孔18-1、18-2から空気を排出することができる。
【0033】
突出部22の高さは、
図5に示すように、たとえば封口部材14の外表面と外装ケース10の開放端の高低差に支持突部24の高さを加えて得られる高さHに設定される。突出部22が高さHを有すると、外装ケース10の開放端と台座6の支持突部24が接触するとともに、台座6の突出部22と封口部材14とが接触する。外装ケース10および突出部22が支持部として機能することにより、台座6の設置が安定するとともにコンデンサ本体4が周囲部と中央部の両方で支持される。また、封口部材14に接触する突出部22は、樹脂層8を形成する樹脂が挿通孔18-1、18-2に侵入するのを高い水準で抑制することができる。
【0034】
突出部22は、高さHよりも低くてもよく、高くてもよい。高さHよりも低い突出部22は、樹脂層8を形成する樹脂が挿通孔18-1、18-2に侵入するのを抑制することができる。高さHよりも高い突出部22は、封口部材14と接触し、樹脂層8を形成する樹脂が挿通孔18-1、18-2に侵入するのを高い水準で抑制することができる。
【0035】
周壁23は、
図5に示すように、コンデンサ2において、外装ケース10の開放端の外側に配置されるとともに、外装ケース10の開放端を囲う。周壁23の内側面は、有底筒状の外装ケース10の外周に沿わせるため、
図3のAに示すように、円形状を有する。周壁23の内側面は、外装ケース10の外周より大きくてもよい。また、周壁23は、
図3のBに示すように、突出部22より低くてもよく、突出部22と同じ高さまたは突出部22より高くてもよい。
【0036】
支持突部24は、外装ケース10の先端部を支持する突出部の一例であって、不連続に形成される。支持突部24は、
図5に示すように、コンデンサ2において、樹脂層8に隣接し、外装ケース10の先端部に接触する。支持突部24の形成部分では、外装ケース10の先端部の第1部分が台座6の支持突部24に接触し、支持突部24の分断部分では、外装ケース10の先端部の第2部分が台座6から離間し、外装ケース10の先端部と台座6の間に隙間が形成される。この外装ケース10の先端部と台座6の間の隙間は、台座6の周壁23と外装ケース10の外周面の間に樹脂を流入するための樹脂経路26を形成する。支持突部24を備えることで、樹脂が外装ケース10と台座6の間の隙間を通り、周壁23と外装ケース10の外周面の間に到達する。周壁23と外装ケース10の間および台座6と外装ケース10の先端部の間に樹脂が充填され、樹脂によるコンデンサ2の密閉性を高めることができる。
【0037】
図3のAに示すように、挿通孔18-1と挿通孔18-2を結ぶ仮想線L1と挿通孔18-1と挿通孔18-2の中間点Oを想定する。台座6は、さらに、この中間点Oを通り仮想線L1に直交する中心線L2上に樹脂注入孔38、貫通孔40および突出部42を含む。樹脂注入孔38および貫通孔40は互いに離れ、中間点Oは樹脂注入孔38と貫通孔40の間に配置される。つまり、樹脂注入孔38および貫通孔40は仮想線L1から離れた位置に形成されている。また、樹脂注入孔38および貫通孔40は、いずれも挿通孔18-1、18-2から等距離に形成されている。
【0038】
樹脂注入孔38は、挿通孔の一例であり、樹脂の注入に用いられる。
【0039】
貫通孔40は、たとえば注入された樹脂が最後に流れ込む終端部に形成される。貫通孔40は、たとえば終端部に到達した樹脂の確認に用いられるほか、樹脂の注入により押出される空気の排出に用いられる。この貫通孔40により樹脂の充填状態の確認が容易になるとともに、空気の排出が容易になる。
【0040】
突出部42は、貫通孔40の縁部に沿うように配置され、貫通孔40の周囲を部分的に囲っている。この突出部42は、貫通孔40の部分的な包囲により、樹脂注入孔38から注入される樹脂が封口部材14と台座6との間に充填される前に、貫通孔40が塞がることを抑制する。つまり、貫通孔40に樹脂が最後に流れ込むように突出部42で貫通孔40を囲うことで、空気の残留を抑制しつつ、封口部材14と台座6の間に樹脂を充填することができる。また、突出部42が貫通孔40の縁部に隣接し、この縁部から離れていないので、貫通孔40と突出部42の間に気泡が残留することが抑制される。
【0041】
樹脂注入孔38から注入された樹脂は、樹脂注入孔38を中心とする同心円状に広がる。突出部22に向かう樹脂は、樹脂注入孔38と突出部22の間を埋めるとともに、溝部34または突出部22と周壁23の間を通って流れる。その他の樹脂は、樹脂注入孔38の周りを埋めるとともに、突出部22と周壁23の間を通って流れる。樹脂は、台座6と封口部材14の間の空間を埋めながら下流に進み、最終的には、貫通孔40に到達する。
【0042】
樹脂の一部が溝部34を通って突出部22と突出部42の間の空間に到達するので、突出部22の周りを通る樹脂が二方向からこの空間に到達する前にこの空間を樹脂で埋めることができ、二方向からの樹脂の到達による空気の残留を抑制することができる。
【0043】
樹脂の注入工程において、
図3のCに示されている樹脂注入孔38の周囲の破線位置PPは、樹脂吐出装置からの押付け圧力を受け、台座6がコンデンサ本体4に押付けられるとともにコンデンサ本体4に固定される。また、ガイド溝19-1には端子リード16-1が接触し、ガイド溝19-2には端子リード16-2が接触し、台座6がコンデンサ本体4に固定されるので、台座6は、三箇所でコンデンサ本体4に固定される。しかも、樹脂注入孔38の周囲の破線位置PPは、仮想線L1から離れているので、台座6は二次元的(平面的)にコンデンサ本体4に固定され、高い安定性が得られる。
【0044】
図6は、樹脂の注入工程において生じる圧力の一例を示している。
図6のAでは、
図3のAに示す中心線L2を通る面で上下方向に2分割したコンデンサ2の端面が示され、
図6のBでは、
図3のAに示す仮想線L1を通る面で上下方向に2分割したコンデンサ2の端面が示されている。
図6のAおよび
図6のBにおける矢印は、圧力を表している。
【0045】
樹脂の注入工程において、台座6をコンデンサ本体4から離すように、樹脂が台座6を押している。しかしながら、
図6のAに示すように、樹脂吐出装置の樹脂吐出部20が樹脂とは反対方向に台座6を押返し、
図6のBに示すように、端子リード16-1、16-2の端子部が、樹脂とは反対方向に台座6を押返す。樹脂吐出部20および端子リード16-1、16-2により、台座6がコンデンサ本体4から離れることが抑制される。台座6と封口部材14との間の距離の増大が抑制され、注入される樹脂の量が抑制され、規定量の樹脂によって台座6と封口部材14の間の隙間SPを埋めることができる。
【0046】
この実施の形態には、さらに次の特徴事項や利点がある。また、この実施の形態について、変形例等を以下に列挙する。
【0047】
(1) 台座6に突出部22が形成されるので、挿通孔18-1、18-2への樹脂の侵入が妨げられ、挿通孔18-1、18-2からの樹脂流出を抑制することができる。樹脂充填量の低下やばらつきが抑制され、コンデンサの品質を一様にすることができる。突出部22は、挿通孔18-1、18-2を囲えばよく、既述の形状に限定されることなく、適宜変更してもよい。たとえば、台座6は、挿通孔18-1、18-2の両方を囲む突出部22を含む代わりに、挿通孔18-1を囲う第1の突出部と挿通孔18-2を囲う第2の突出部を含んでいてもよい。この場合、台座6は、第1の突出部と第2の突出部の間に形成される樹脂通路を備える。このような台座6を用いた形態においても、樹脂が挿通孔18-1、18-2に向かうことが妨げられるとともに、樹脂が樹脂通路を通って流れることができ、隙間SPを樹脂で埋めることができる。また、たとえば、突出部が挿通孔18-1、18-2および貫通孔を囲ってもよい。
【0048】
(2) 挿通孔18-1、18-2が、端子リード16-1、16-2の端子部に合わせた形状や大きさを有するので、挿通孔18-1、18-2および端子リード16-1、16-2が台座6を適切な取付け位置に導くことができる。挿通孔18-1、18-2は、端子部とは異なる形状であってもよく、端子部よりも十分に大きくてもよい。また、端子部の断面および挿通孔18-1、18-2は、矩形形状およびオーバル形状以外の形状であってもよい。端子部が挿通孔18-1、18-2を通過できれば、端子部を台座6の外側に配置させることができる。
【0049】
(3) この実施の形態では、樹脂注入孔38は仮想線L1から離れた位置に形成されているが、たとえば仮想線L1上に形成されていてもよい。樹脂注入孔38の形成位置に関わらず、樹脂吐出部20の押当ておよび端子リード16-1、16-2の折曲げにより一定の台座6の離間抑制効果が得られる。
【0050】
(4) 実施の形態に示した台座6は一例であり、突出部22、周壁23、支持突部24、貫通孔40、突出部42などの要素は省略してもよい。台座6が樹脂注入孔38を有していれば、台座6をコンデンサ本体4に取付け後に樹脂を注入することができる。
【0051】
(5) 台座6のガイド溝19-1、19-2は省略されてもよい。この場合、端子リード16-1、16-2の端子部は、台座6の外側面に沿って折曲げ、この外側面に接触すればよい。また、台座6は、ガイド溝19-1、19-2に代えて、ガイド突起を含んでいてもよい。この場合、端子リード16-1、16-2の端子部は、台座6に形成されたガイド突起に沿って相反方向に折曲げられる。ガイド突起は、端子リード16-1、16-2の端子部をガイドし、折曲げられた端子リード16-1、16-2の周囲に設けられることで、実装時のコンデンサ2の安定性を確保することができる。
【0052】
(6) 台座6のガイド溝19-1、19-2の幅を端子リード16-1、16-2の幅より小さくし、端子リード16-1、16-2をガイド溝19-1、19-2に嵌入させてもよい。端子リード16-1、16-2をガイド溝19-1、19-2に嵌入させることで、端子リード16-1、16-2と台座6の固定強度を高くすることができる。
【0053】
(7) この実施の形態に示した製造工程とは異なり、樹脂を注入した後であって樹脂の硬化前に端子リード16-1、16-2を折り曲げると、樹脂が硬化していないため、端子リード16-1、16-2の折り曲げの動きにより台座6が移動し、樹脂が漏れ出たり、台座6とコンデンサ本体4との間の平行が維持できず、コンデンサ2の基板への載置性に問題が生じる場合がある。そのため、樹脂を注入した後に端子リード16-1、16-2を折り曲げる場合、たとえば樹脂注入後に樹脂を硬化させ、樹脂の硬化後に端子リード16-1、16-2を折り曲げる必要がある。または、たとえば台座6を保持する治具を用いる必要がある。しかし、この実施の形態においては、樹脂が注入される時に、端子リード16-1、16-2によって、台座6がコンデンサ本体4に固定されているため、製造工程において、コンデンサ本体4から台座6が離間しないように別途治具を使用する必要がなく、製造方法を簡略化できたり、製造時間の短縮化が可能となる。
【0054】
(8) 端子リード16-1、16-2によって、台座6がコンデンサ本体4に固定されているため、台座6と封口部材14との間の隙間が一定であり、該隙間を充填するために必要な樹脂の量を一定にすることができる。そのため、定量の樹脂を吐出して充填する方法や、貫通孔40により樹脂の充填状態を確認し、充填状態が確認された場合に樹脂の注入をとめる方法などの樹脂の注入方法が選択可能となり、製造方法が制限されないという利点がある。
【0055】
(9) 台座6の外側面から樹脂で挿通孔18-1、18-2を埋めるようにしてもよい。挿通孔18-1、18-2と端子リード16-1、16-2の間が樹脂で埋まり、密閉性を更に高めることができる。
【0056】
(10) この実施の形態では、突出部42の形状は、樹脂注入孔38の中心と貫通孔40の中心を結ぶ中心線に対して左右対称であるが、左右非対称であってもよい。左右非対称であっても樹脂が封口部材14と台座6の間に行き渡る前に、貫通孔40が樹脂で埋まることを抑制することができる。
【0057】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施の形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、または明細書に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明のコンデンサの製造方法およびコンデンサは、広く電子機器に利用でき、有用である。
【符号の説明】
【0059】
2 コンデンサ
4 コンデンサ本体
6 台座
8 樹脂層
10 外装ケース
12 コンデンサ素子
14 封口部材
16-1、16-2 端子リード
18-1、18-2 挿通孔
19-1、19-2 ガイド溝
20 樹脂吐出部
21 固定台
22、22-1、22-2、42 突出部
23 周壁
24 支持突部
26 樹脂経路
34、36 溝部
38 樹脂注入孔
40 貫通孔
44 配線板