(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-20
(45)【発行日】2022-09-29
(54)【発明の名称】2つの回転方向においてオイルを捕集する手段を有する差動減速機
(51)【国際特許分類】
F16H 57/04 20100101AFI20220921BHJP
【FI】
F16H57/04 J
F16H57/04 N
(21)【出願番号】P 2021516983
(86)(22)【出願日】2019-09-20
(86)【国際出願番号】 EP2019075404
(87)【国際公開番号】W WO2020069887
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2021-06-10
(32)【優先日】2018-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】ルループ ウィルフリード
(72)【発明者】
【氏名】シャベール ヴィルジニー
(72)【発明者】
【氏名】モーデ フレディック
【審査官】畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-203493(JP,A)
【文献】特開2013-224720(JP,A)
【文献】国際公開第2015/58788(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/175876(US,A1)
【文献】特開昭63-158357(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第10359505(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/171838(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 57/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用差動減速機であって、
下部が潤滑オイルに浸されることが意図されているリングギヤを少なくとも一つ含む、実質的に長手方向に延びる差動機構と、
二次シャフトと一次シャフトとを備え、前記一次シャフトのピニオンは前記二次シャフトのピニオンを介して前記リングギヤによって駆動される減速機構と、
前記差動機構と前記減速機構とを収容するケースであって、前記差動機構と前記
一次及び二次シャフトは関連する一対の対向する軸受によって前記ケース内にそれぞれ支持され、横断方向内壁が各対の第1の軸受をそれぞれ受ける三つのハウジングを備える第1ハーフケースを一方に有し、横断方向内壁が各対の第2の軸受をそれぞれ受ける三つのハウジングを備える第2ハーフケースを他方に有するケースと、
を備え、
前記リングギヤが第1回転方向に回転することで、前記リングギヤの頂部から前記
一次及び二次シャフトの方向へ実質的に横断方向にオイルが飛散し、各横断方向内壁は、前記第1回転方向に回転する前記リングギヤから飛散した前記オイルを捕集して
前記ハウジングへ案内する第1手段を有する、自動車用差動減速機であって、
各内壁は、前記リングギヤが第2回転方向に回転することで前記リングギヤの底部から前記
一次及び二次シャフトの方向へ実質的に横断方向に飛散した前記オイルを捕集する第2手段を備えることを特徴とする自動車用差動減速機。
【請求項2】
前記
第2手段は、前記潤滑オイルを案内するために、前記
第1及び第2ハーフケースの少なくとも一方の前記横断方向内壁に形成され、前記リングギヤの底部から前記一次シャフトの前記ピニオンに向かって飛ばされたオイルを案内する下部傾斜路を備えることを特徴とする
請求項1に記載の差動減速機。
【請求項3】
前記二次シャフトの前記ピニオンは、前記下部傾斜路を流れるオイルの流れから離れた位置に配置されていることを特徴とする
請求項2に記載の差動減速機。
【請求項4】
前記二次シャフトは、前記一次シャフトの高さより鉛直方向上方にオフセットされていることを特徴とする
請求項2に記載の差動減速機。
【請求項5】
前記
下部傾斜路は、前記横断方向内壁から突出して長手方向に延びるリブによって作られていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の差動減速機。
【請求項6】
前記一次シャフトの前記軸受の前記ハウジングは、その軸方向面に、前記リングギヤが前記第2回転方向に回転したときに、前記下部傾斜路から前記一次シャフトの前記ピニオンによってかき上げられた前記オイルを捕集して案内する開口部を少なくとも一つ備えることを特徴とする請求項2乃至5のいずれか一項に記載の差動減速機。
【請求項7】
前記二次シャフトの前記軸受の前記ハウジングの周辺部は、前記リングギヤが前記第2回転方向に回転したときに、前記下部傾斜路から前記一次シャフトの前記ピニオンによってかき上げられた前記オイルを捕集して案内するダクトを少なくとも一つ備え、前記ダクトは前記オイルを前記ハウジングに案内することを特徴とする請求項2乃至6のいずれか一項に記載の差動減速機。
【請求項8】
前記二次シャフトの前記軸受の前記ハウジングの周辺部は、前記リングギヤが前記第2回転方向に回転するときに、前記一次シャフトの前記ピニオンによって飛散した前記オイルを捕集して案内する面を少なくとも一つ備え、前記面は前記オイルを前記ハウジングに案内することを特徴とする請求項2乃至6のいずれか一項に記載の差動減速機。
【請求項9】
前記差動機構の前記第1の軸受の前記ハウジングの周辺部は、前記リングギヤが前記第2回転方向に回転するときに、前記リングギヤによって飛散した前記オイルを捕集して案内する面を少なくとも一つ備えることを特徴とする請求項2乃至8のいずれか一項に記載の差動減速機。
【請求項10】
前記ダクトの少なくとも一つは、前記横断方向内壁から突出して長手方向に延びる少なくとも一つのリブによって形成されていることを特徴とする
請求項7に記載の差動減速機。
【請求項11】
前記
第1手段は、前記
第1及び第2ハーフケースの前記内壁に直接形成されていることを特徴とする
請求項2乃至10のいずれか一項に記載の差動減速機。
【請求項12】
前記面の少なくとも一つは、前記横断方向内壁から突出して長手方向に延びる少なくとも一つのリブによって形成されていることを特徴とする請求項8又は9に記載の差動減速機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、以下を備える自動車用差動減速機に関する:
-下部が潤滑オイルに浸されることが意図されているリングギヤを少なくとも一つ含む、実質的に長手方向に延びる差動機構と、
-二次シャフトと一次シャフトとを備え、前記一次シャフトのピニオンは前記二次シャフトのピニオンを介して前記リングギヤによって駆動される、減速機構と、
-前記差動機構と前記減速機構とを収容するケースであって、前記差動機構と前記シャフトは関連する一対の対向する軸受によって前記ケース内にそれぞれ支持され、横断方向内壁が各対の第1の軸受をそれぞれ受ける三つのハウジングを備える第1ハーフケースを一方に有し、横断方向内壁が各対の第2の軸受をそれぞれ受ける三つのハウジングを備える第2ハーフケースを他方に有するケースと、を備え、
前記リングギヤが第1回転方向に回転することで、前記リングギヤの頂部から前記減速機シャフトの方向へ実質的に横断方向にオイルが飛散し、各横断方向内壁は、前記第1回転方向に回転する前記リングギヤから飛散した前記オイルを捕集して前記軸受ハウジングへ案内する第1手段を有する。
【背景技術】
【0002】
この種の差動減速機の多数の例が知られている。以下の説明、及び特許請求の範囲において、差動減速機は、減速機及び差動機構を含むケースと、この減速機の一次シャフトピニオンと噛み合う差動機構のリングギヤとを含むアセンブリとして定義される。
【0003】
従来は、差動減速機構を二つのハーフケースに搭載し、二つのハーフケースを接合してケースを形成した後、ケース内に潤滑オイルを充填し、ピニオンのケージと転がり軸受とをスプラッシュ潤滑で潤滑可能にしていた。
【0004】
このため、ケース内のオイルレベルは、潤滑オイルレベルを最も低い回転体の高さに設定することを規定した規則にしたがって、差動減速機構の軸、又はリングギヤの回転軸の高さに実質的に設定されている。
【0005】
差動装置が所定の速度より遅い速度で回転する限り、ピニオンのケージはスプラッシュ潤滑によって潤滑され、ピニオンのケージは潤滑オイルに浸される。この目的のために、ケージはオイルがピニオンを浸すことができるように開いたケージである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような設計は、差動装置が高速で回転すると不利である。具体的には、所定の速度を超えると、潤滑オイルにはリングギヤによって遠心力が作用し、ケースの壁、特にハーフケースの壁に飛散し、そこからゆっくりと滴りながら流れ、ハウジングの底に向かってゆっくりと戻る。
【0007】
その結果、ピニオンのケージを収容するハウジング内に存在するオイルレベルが不十分となり、ピニオンのケージのスプラッシュ潤滑を確実に行うことができなくなる。この潤滑不足は、たとえオイルレベルが静止時に十分であるように見えても、遅かれ早かれ、オイル不足による差動装置の回転要素の破壊につながる可能性がある。
【0008】
そこで、転がり軸受やピニオンケージの方向に飛散したオイルを捕集して案内するためのダクトを設けることが知られている。
【0009】
これらの捕集ダクトは、リングギヤが第1方向に回転するときにリングギヤによって飛散した潤滑オイルを捕集するように軸受ハウジングに対して実質的に接線方向に向けられている。
【0010】
しかし、オイルを捕集して案内するダクトは、第1回転方向とは反対の第2回転方向に回転するリングギヤによって飛散したオイルを捕集するようには設計されていない。
【0011】
ここで、一つの車両モデルから他の車両モデルへと、例えば、差動減速機の利用可能なスペースに応じて、リングギヤを一方向、又は他方向に回転させなければならないことがある。
【0012】
回転要素を確実に良好に潤滑するためには、リングギヤの回転方向に応じて異なるケースを設ける必要があった。
【0013】
しかし、差動リングギヤの回転方向とは無関係に車両の製造コストを低減する解決策を見出すことができれば有利である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、
-下部が潤滑オイルに浸されることが意図されているリングギヤを少なくとも一つ含む、実質的に長手方向に延びる差動機構と、
-二次シャフトと一次シャフトとを備え、前記一次シャフトのピニオンは前記二次シャフトのピニオンを介して前記リングギヤよって駆動される、減速機構と、
-前記差動機構と前記減速機構とを収容するケースであって、前記差動機構と前記シャフトは関連する一対の対向する軸受によって前記ケース内にそれぞれ支持され、横断方向内壁が各対の第1の軸受をそれぞれ受ける三つのハウジングを備える第1ハーフケースを一方に有し、他方にその横断方向内壁が各対の第2の軸受をそれぞれ受ける三つのハウジングを備える第2ハーフケースを他方に有するケースと、を備え、
前記リングギヤが第1回転方向に回転することで、前記リングギヤの頂部から前記減速機シャフトの方向へ実質的に横断方向にオイルが飛散し、各横断方向内壁は、前記第1回転方向に回転する前記リングギヤから飛散した前記オイルを捕集して前記軸受ハウジングへ案内する第1手段を有する自動車用差動減速機であって、
各内壁は、前記リングギヤが第2回転方向に回転することで、前記リングギヤの底部から前記減速機シャフトの方向へ実質的に横断方向に飛散した前記オイルを捕集する第2手段を備えることを特徴とする自動車用差動減速機を提案する。
【0015】
本発明の他の特徴によれば、
-前記第2捕集手段は、前記潤滑オイルを案内するために、前記ハーフケースの少なくとも一方の前記横断方向内壁に形成され、前記リングギヤの底部から前記一次シャフトの前記ピニオンに向かって飛ばされたオイルを案内する下部傾斜路を備え、
-前記二次シャフトの前記ピニオンは、前記下部傾斜路を流れるオイルの流れから離れた位置に配置され、
-前記二次シャフトは、前記一次シャフトの高さより鉛直方向上方にオフセットされ、
-前記傾斜路は、前記横断方向内壁から突出して長手方向に延びるリブによって作られ、
-前記一次シャフトの前記軸受の前記ハウジングは、その軸方向面に、前記リングギヤが前記第2回転方向に回転したときに、前記下部傾斜路から前記一次シャフトの前記ピニオンによってかき上げられた前記オイルを捕集して案内する開口を少なくとも一つ備え、
-前記二次シャフトの前記軸受の前記ハウジングの周辺部は、前記リングギヤが前記第2回転方向に回転したときに、前記下部傾斜路から前記一次シャフトの前記ピニオンによってかき上げられた前記オイルを捕集して案内するダクトを少なくとも一つ備え、前記ダクトは前記ハウジングに前記オイルを案内し、
-前記二次シャフトの前記軸受の前記ハウジングの周辺部は、前記リングギヤが前記第2回転方向に回転するときに、前記一次シャフトの前記ピニオンによって飛散した前記オイルを捕集して案内する面を少なくとも一つ備え、前記面は前記オイルを前記ハウジングに案内し、
-前記差動機構の前記第1軸受の前記ハウジングの周辺部は、前記リングギヤが前記第2回転方向に回転するときに、前記リングギヤによって飛散した前記オイルを捕集して案内する面を少なくとも一つ備え、
-前記ガイドダクトの少なくとも一つ、又は前記ガイド面の少なくとも一つは、前記横断方向内壁から突出して長手方向に延びる少なくとも一つのリブによって形成され、
-前記第1オイル捕集手段は、前記ハーフケースの前記内壁に直接形成されている。
【0016】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明を読むことによって明らかになり、添付図面を参照することによって理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、
図2の切断線1-1に沿った切取り断面図であり、本発明の教示にしたがって製造された差動減速機を概略的に示す。
【
図2】
図2は、本発明の教示にしたがって製造された
図1の差動減速機の第1ハーフケースの内壁を示す正面図であり、リングギヤが第2回転方向に回転するときの潤滑オイルの経路を示す。
【
図3】
図3は、
図2と同様の図であり、本発明の教示にしたがって製造された
図1の差動減速機の第2ハーフケースと、第1ハーフケースの内壁とを示し、リングギヤが第1回転方向に回転するときの潤滑オイルの経路を示す。
【
図4】
図4は、
図3と同一の図であり、リングギヤが第2回転方向に回転するときの潤滑オイルの経路を示す。
【
図5】
図5は、
図2と同一の図であり、リングギヤが第1回転方向に回転するときの潤滑オイルの経路を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の説明において、同一の番号又は参照符号は、同一又は類似の機能を有する部分を示す。
【0019】
「長手方向」は、差動機構の軸に対応する方向を示す。
「鉛直方向」は、潤滑オイル面と直交する重力方向を示す。
「横断方向」は、長手方向及び鉛直方向に垂直な方向を示す。
「径方向」は、シャフトの長手方向軸に垂直な方向を示す。
「接線方向」は、径方向及び長手方向に垂直な方向を示す。
「内側」によって、差動機構の回転軸に近い要素が示される。
「外側」によって、差動機構の回転軸から離れた要素が示される。
【0020】
図1は、自動車用の差動減速機10を概略的に示す。これは、例えば、リアトランスミッションアクスルである。
【0021】
差動減速機は、実質的に長手方向に延びる差動機構12を備え、この差動機構12は、垂直横断面内に延びるリングギヤ14を少なくとも一つ備える。
【0022】
リングギヤ14は、プラネットピニオン18を収容するケージ16に隣接する。ピニオンのケージ16は開いており、潤滑オイルをその中に浸透させるための開口部(図示せず)を備えている。
【0023】
公知の方法では、差動機構は、第1ハーフケース20A及び第2ハーフケース20Bからなる二つのハーフケースによって形成されたケース20内に封入されている。
【0024】
差動機構12は、差動軸受22と呼ばれる二つの対向する軸受22によって、二つのハーフケース20A,20Bの間に、軸A周りに回転可能に収容されている。
【0025】
また、ケース20は、軸Bの二次シャフト26と軸Cの一次シャフト28とからなる減速機構24を備えている。
【0026】
一次シャフト28は一次ピニオン30と呼ばれるピニオン30を備え、このピニオンは、横断垂直面に延び、二次シャフト26の二次ピニオン32と呼ばれる横断垂直ピニオン32と噛み合う。
【0027】
二次ピニオン32は、その一部がリングギヤ14と噛み合う。これにより、一次ピニオン30は、二次ピニオン32を介してリングギヤ14によって回転駆動される。
【0028】
図1から分かるように、二次減速機シャフト26は差動機構12に対して横オフセット方向、ここでは左方向にオフセットされており、一次シャフト28もまた二次シャフト26に対して横オフセット方向にオフセットされている。
【0029】
一次シャフト28は、一次軸受34と呼ばれる、関連する一対の対向する軸受34によってケース20内に支持されている。
【0030】
同様に、二次シャフト26は、二次軸受36と呼ばれる、関連する一対の対向する軸受36によってケース20内に支持される。
【0031】
ここで、軸受22,34,36は、例えば、玉軸受で形成された転がり軸受である。
【0032】
第1ハーフケース20Aは、横断方向内壁21Aを備え、この横断方向内壁21Aは、一対の差動軸受22のうちの第1の軸受22と、一対の二次軸受36のうちの第1の軸受36と、一対の一次軸受34のうちの第1の軸受34とをそれぞれ収容する三つのハウジング38A,40A,42Aを備える。
【0033】
第2ハーフケース20Bは、横断方向内壁21Bを備え、この横断方向内壁21Bは、一対の差動軸受22のうちの第2の軸受22と、一対の二次軸受36のうちの第2の軸受36と、一対の一次軸受34のうちの第2の軸受34とをそれぞれ収容する三つのハウジング38B,40B,42Bを備える。
【0034】
差動機構12及び減速機24は、従来、オイルにより潤滑され、オイルは
図2の破線で示す線44で表したレベルまでケース20を満たしている。
【0035】
このレベル44は、差動機構12の回転軸Aに実質的に対応し、差動機構12がスプラッシュ潤滑により潤滑されるように、一般に差動機構12の回転軸Aの近傍に位置する。このため、リングギヤ14の下部は、潤滑オイルに浸されることが意図されている。
【0036】
リングギヤ14が、
図2を参照して時計回りである、第1回転方向に回転している間、リングギヤ14の歯は、リングギヤの頂部から減速機シャフト26,28の方向へ実質的に横断方向にオイルをはね散らす。
【0037】
差動機構12が高速で回転している間、したがって、リングギヤ14が高速で回転している間、差動機構12、特にリングギヤ14は、オイルがケース20の内壁、特にハーフケース20A,20Bの横断方向内壁21A,21Bから滴下するまで、オイルに遠心力を作用させ得る。
【0038】
この結果、ハウジング、特にプラネットピニオン18のケージ16において、潤滑オイルの飛散が不足し、これが、ピニオン18及び軸受22,34,36の劣化につながり得る。これにより、差動機構12が高速で作動しているときには、オイル面が軸Aを下回る可能性がある。
【0039】
軸受22,34,36の劣化防止のためにオイルを確実に連続的に供給するために、各横断方向内壁21A,21Bは、第1回転方向に回転するリングギヤ14によって軸受22,34,36のハウジング38A,38B,40A,40B,42A,42Bに向けて飛散したオイルを捕集して案内する第1手段を有する。
【0040】
これら第1案内捕集手段は、ここではハーフケース20A,20Bと一体的に形成され、例えば、内壁21A,21Bに対して凸状に配置されたリブ、及び/又は内壁21A,21Bに凹設されたダクトである。
【0041】
従来のケースでは、リングギヤの一回転方向においてのみ、潤滑オイルを捕集し案内することができる。
【0042】
ここで、複数の車両構成に対して一つの同じケースを使用することができることは経済的に有利であろう。これにより、複数の車種に一つの同じケースモデルを用いることができる。
【0043】
この構成によれば、リングギヤは回転方向の一方、又は他方に回転することができる。しかし、リングギヤが逆方向に回転すると、第1捕集案内手段によって軸受を正確に潤滑することができなくなる。このため、従来はリングギヤの回転方向に応じて二つの異なるケースを用意する必要があった。
【0044】
本発明は、リングギヤ14の回転方向に関わらず、内壁から滴下する潤滑オイルを捕集して軸受に案内することができる汎用性の高いケースを提案する。
【0045】
このため、ハーフケース20A,20Bの内壁21A,21Bは、リングギヤ14が第2回転方向に回転することで、リングギヤの底部から減速機シャフト方向へ、実質的に横断方向に飛散したオイルを捕集する第2手段を備えている。
【0046】
図3及び
図4は、第1ハーフケース20Aの内壁21Aを示している。
【0047】
この内壁は、ピニオンのケージ16を収容することを意図したベル46を備えている。このベル46の周辺部には、リングギヤ14によって飛散したオイルを受けることを意図した上側凹部48が配置されている。この凹部48がオイル溜まりとなる。
【0048】
凹部48は、互いに対向する第1の長手方向かつ径方向に延びる面50及び第2の長手方向かつ径方向に延びる面52によって円周方向に画成されている。
【0049】
第2の径方向面52は、横断方向に一次及び二次シャフト26,28へ向けられている。
【0050】
第1の径方向面50は、第1オイル捕集手段の一部を形成し、リングギヤ14が第1方向に回転するときのオイルの捕集を可能にし、第2の径方向面52は、第2オイル捕集手段の一部を形成し、リングギヤ14が第2方向に回転するときのオイルの捕集を可能にしている。
【0051】
差動ダクト54と呼ばれる径方向ダクト54がハウジング38Aの周辺部に配置されることにより、オイルの流れを下向きに第1の差動軸受22のハウジング38Aへ案内することが可能になる。
【0052】
差動ダクト54は、ハウジングの軸方向壁の開口56へ通じており、差動軸受22と鉛直方向に並んで、差動軸受22の良好な潤滑を可能にする。
【0053】
ここで、差動ダクト54は、第1ハーフケース20Aの内壁21Aに凹設されている。
減速機構24の各ハウジング40A,42Aは、第1オイル捕集手段の一部をなすダクトも備えている。
【0054】
このように、ダクト58は、二次ダクト58と呼ばれ、横断方向内壁21Aに対して突出する二つのリブ60により画成されている。
【0055】
二次ダクト58は、第1の二次軸受36のハウジング40Aの周辺部に延びている。二次ダクト58は、入口から出口に向かって、リングギヤ14の歯の軌道に対して、全体的に接線方向に延び、出口は第1の二次軸受36のハウジング40Aの軸方向壁に形成された開口部62に開口する。
【0056】
二次ダクト58の入口は出口よりも広く、二次ダクト58は漏斗状になっており、多量のオイルを集めて第1の二次軸受36を潤滑することができる。
【0057】
この二次ダクト58は、リングギヤ14に対して接線方向を向いているため、リングギヤ14が第2回転方向に回転したときにオイルを捕集することができない。
【0058】
同様に、ダクト64は、一次ダクト64と呼ばれ、横断方向内壁21Aに対して突出する二つのリブ66によって画成されている。
【0059】
一次ダクト64は、第1の一次軸受34のハウジング42Aの周辺部に延びている。一次ダクト64は、リングギヤ14の上部に全体的に向けられた入口から、第1の二次軸受36のハウジング40Aの軸方向壁に形成された開口部68に開口する出口に向かって全体的に延びる。
【0060】
一次ダクト64の入口は出口よりも広く、一次ダクト64は漏斗形状になっており、多量のオイルを集めて第1の一次軸受34を潤滑することができる。
【0061】
この一次ダクト64は、リングギヤ14に向いているため、リングギヤ14が第2回転方向に回転したときにオイルを捕集することができない。
【0062】
また、第1ハーフケース20Aは、
図4に示すように、リングギヤ14が第2回転方向に回転したときに潤滑オイルを捕集する第2手段を備えている。
【0063】
第2捕集手段は、リングギヤ14の底部から飛散した潤滑オイルを一次ピニオン30に案内するために、第1ハーフケース20Aの横断方向内壁21Aに形成されたオイルを案内する下部傾斜路70を備える。
【0064】
ここで、傾斜路70は、横断方向内壁21Aに対して突出するリブによって形成されている。傾斜路70は、ケース20の上部に向けられている。
【0065】
傾斜路70の第1端部は、
図4の右側に示すように、リングギヤ14の下方に配置され、円弧状を有する。この第1端部は、リングギヤ14の歯と径方向に対向してその近傍に配置されている。
【0066】
したがって、リングギヤ14が矢印R2で示すように第2方向に回転すると、リングギヤ14は油圧ホイールとして作用し、傾斜路70をその第2端部に向かって昇るオイルの流れを生成する。
【0067】
傾斜路70の第2端部は、
図4の左側に位置し、一次ピニオン30の下方に配置され、第1の一次軸受34のハウジング42Aの周辺部の一部を囲む円弧形状を有する。この第2端部は、一次ピニオン30の歯と径方向に対向してその近傍に配置されている。
【0068】
一次ピニオン30がリングギヤ14と同方向に回転することにより、その歯は、リングギヤ14によって傾斜路70の頂部に向かって押し出されたオイルを、開口部68まで上方に運び、第1の一次軸受34を潤滑する。
【0069】
傾斜路70の第1端部は、第2端部よりも低い。したがって、傾斜路70は、第2端部から第1端部に向かって下降する傾斜を有する。
【0070】
傾斜路70に沿って潤滑オイルを一次ピニオン30まで循環させるために、二次ピニオン32は、下部傾斜路70に沿って循環するオイルの流れから離れた位置に配置される。これにより、オイルの大部分が二次ピニオン32によって途中で遮られるのを防止する。
【0071】
この目的のために、二次シャフト26は、ここでは一次シャフト28の高さよりも鉛直上方にオフセットされている。これにより、二次軸受36のハウジング40Aは、一次軸受34のハウジング42Aに対して鉛直上方にオフセットされている。
【0072】
ダクト72は、第1の二次軸受36のハウジング40Aの周辺部に配置される。
【0073】
ダクト72は、一次ピニオン30の上部に位置する入口から、第1の二次軸受36のハウジング40Aの軸方向壁の開口部74に通じる出口開口まで、一次ピニオン30の歯の軌道に対し接線方向に延び、リングギヤ14が第2方向に回転するときに第1の二次軸受36に潤滑オイルを供給する。
【0074】
このダクト72は、横断方向内壁21Aに対して突出する二つのリブにより画成されている。
【0075】
リングギヤ14が
図3の矢印R1で示す第1方向に回転している間、潤滑オイルはリングギヤ14の歯に取り込まれ、矢印F1で示すようにケース20の頂部に向かって上昇する。
【0076】
潤滑オイルの一部は、凹部48の第1の径方向面50に向けて飛散する。そして、凹部48に収容された潤滑オイルは、差動ダクト54によって、第1の差動軸受22の潤滑のためにそのハウジング38Aまで案内される。
【0077】
潤滑オイルの別の一部は、リングギヤ14の上部から一次及び二次シャフト26,28の方向に全体的に横断方向に飛散する。
【0078】
矢印F2で示すように、この飛散した潤滑オイルの一部は、その接線方向の向きによって二次ダクト58内に入り、二次軸受36の潤滑のためにそのハウジング40Aに案内される。
【0079】
矢印F3で示すように、この飛散した潤滑オイルの別の一部は、その接線方向の向きによって一次ダクト64に入り、一次軸受34の潤滑のためにそのハウジング42Aに案内される。
【0080】
次いで、潤滑オイルは重力によって下部傾斜路70に流れる。オイルは、重力によって下部傾斜路70の傾斜に沿ってリングギヤ14の底部に流れ、その後、潤滑サイクルを再開する。
【0081】
リングギヤ14が
図4の矢印R2で示す第2方向に回転している間、リングギヤ14は矢印F4で示す潤滑オイルの流れを生成し、その流れは傾斜路70の傾斜面を昇り、一次ピニオン30に達する。
【0082】
そして傾斜面は、潤滑オイルを矢印F5で示すように開口部68まで持ち上げ、第1の一次軸受34を潤滑するとともに、矢印F6で示すように二次ダクト72まで運び、第1の二次軸受36を潤滑する。
【0083】
第1の差動軸受22は、矢印F7で示すように、リングギヤ14によって直接かき上げられ、凹部48を画成する第2の径方向面52に向けて飛散する潤滑オイルによって、その一部が潤滑される。
【0084】
図2及び
図5は、第2ハーフケース20Bの内壁21Bを示している。
【0085】
この第2ハーフケース20Bでは、第1オイル捕集手段は、全体的に鉛直に方向づけられ、関連する軸受ハウジングの上方に延びるリブの面のみによって形成されている。
【0086】
リブの下端は、関連するハウジングの軸方向面に形成された開口部に一致するように配置され、上記面によって集められたオイルを関連するハウジング内に流し込むことを可能にする。
【0087】
リブは、ハーフケース20Bと一体に形成されている。よって、差動リブ76と呼ばれる第1リブ76は、横断方向内壁21Bに対して突出するように延びている。
【0088】
差動リブ76は、第2の差動軸受22のハウジング38Bの上方に配置されている。差動リブ76は、全体的に鉛直に延びており、
図2と
図5に示す例では、わずかに傾いている。リブ76は、ここではハーフケース20Bの上部内壁に配置された上端から自由下端部78まで延びている。
【0089】
ハウジング38Bは、その上部に、差動リブ76の自由下端部78に合わせて形成された径方向開口部80を含む。
【0090】
差動リブ76は、第1側面82と第2側面84とで画成されている。第1側面82は、
図5に示すように、リングギヤ14が第1回転方向R1に回転するときに、リングギヤ14から飛散するオイルを捕捉することができる。
【0091】
第2側面84は、
図2に示すように、リングギヤ14が第2回転方向R2に回転するときに、リングギヤ14から飛散するオイルを捕捉することができる。これにより、第1側面82が第1オイル捕集手段の一部を形成し、第2側面84が第2オイル捕集手段の一部を形成する。
【0092】
図示しない本発明の変形例では、第1収集手段に属する第1側面は第1関連リブによって支持され、第2収集手段に属する第2側面は第2関連リブによって支持される。
【0093】
第1リブと第2リブは、先端がハウジングの開口に合うように配置されたV字を形成するように配置される。
【0094】
同様に、二次リブ86と呼ばれる第2リブ86は、横断方向内壁21Bに対して突出するように延びている。
【0095】
第2リブ86は、第2の二次軸受36のハウジング40Bの上方に配置されている。二次リブ86は、全体的に鉛直に延び、
図2と
図5に示す例では、わずかに傾いている。
【0096】
リブ86は、ここでハーフケース20Bの上部内壁に配置された上端から自由下端部88まで延びている。
【0097】
ハウジング40Bは、その上部に、二次リブ86の自由下端部88に一致するように形成された径方向開口部90を有する。
【0098】
二次リブ86は、第1側面92と第2側面94とで画成されている。第1側面92は、
図5に示すように、リングギヤ14が第1回転方向R1に回転するときに、リングギヤ14から飛散するオイルを捕捉することができる。
【0099】
第2側面84は、
図2に示すように、リングギヤ14が第2回転方向R2に回転するときに、一次ピニオン30によって飛散したオイルを捕捉することができる。これにより、第1側面92が第1オイル捕集手段の一部を形成し、第2側面94が第2オイル捕集手段の一部を形成する。
【0100】
ここで、第2の一次軸受34のハウジング42Bには、溝95によって潤滑オイルが供給される。溝95は、上向きの面に形成され、ハーフケース20Bの横断方向内壁に位置する端部からハウジング42Bの軸方向面に形成された開口部96まで傾斜面状に延びる。
【0101】
ここでは、この溝95は、リングギヤ14の回転方向R1,R2を問わず、潤滑オイルを捕集して第2の一次軸受34に案内することができるため、第1オイル捕集手段と第2オイル捕集手段とに共通である。
【0102】
第2ハーフケース20Bは、第1ハーフケース20Aと同様に、リングギヤ14の底部から飛散した潤滑オイルを一次ピニオン30まで案内するために、第2ハーフケース20Bの横断方向内壁21Bに形成されたオイルを案内する下部傾斜路70を備えている。
【0103】
傾斜路70は、ここでは肩面によって形成されている。傾斜路70は、ケース20の上部に向けられている。
【0104】
傾斜路70の第1端部は、
図2及び
図5の左側に示すように、リングギヤ14の下方に配置され、円弧状を有する。この第1端部は、リングギヤ14の歯に径方向に対向してその近傍に配置されている。
【0105】
したがって、リングギヤ14が矢印R2で示すように第2方向に回転すると、リングギヤ14は油圧ホイールとして作用し、傾斜路70をその第2端部に向かって昇るオイルの流れを生成する。
【0106】
傾斜路70の第2端部は、
図2及び
図5の左側に位置し、一次ピニオン30の下方に配置され、第2の一次軸受34のハウジング42Bの周辺部の一部を囲む円弧形状を有する。この第2端部は、一次ピニオン30の歯と径方向に対向してその近傍に配置されている。
【0107】
一次ピニオン30がリングギヤ14と同方向に回転することにより、その歯は、リングギヤ14によって傾斜路70の頂部に向かって押し出されたオイルを、開口部96まで上方に運び、第1の一次軸受34を潤滑する。
【0108】
傾斜路70の第1端部は、第2端部よりも低い。したがって、傾斜路70は、第2端部から第1端部に向かって下降する傾斜を有する。
【0109】
傾斜路70に沿って潤滑オイルを一次ピニオン30まで循環させるために、二次ピニオン32は、下部傾斜路70に沿って循環するオイルの流れから離れた位置に配置される。これにより、オイルの大部分が二次ピニオン32によって途中で遮られるのを防止する。
【0110】
この目的のために、二次シャフト26は、ここでは一次シャフト28の高さの鉛直上方にオフセットされている。これにより、二次軸受36のハウジング40Bは、一次軸受34のハウジング42Bに対して鉛直上方にオフセットされている。
【0111】
リングギヤ14が
図5の矢印R1で示す第1方向に回転している間に、潤滑オイルはリングギヤ14の歯に取り込まれ、矢印F’1で示すようにケース20の上部に向かって上昇する。
【0112】
潤滑オイルの一部は、矢印F’2で示すように差動リブ76の第1側面82に向けて飛散する。
【0113】
差動リブ76で捕集された潤滑オイルは、自由下端部78まで流れ、そこ後、第2の差動軸受22の潤滑のために開口部80を介して第2の差動軸受22のハウジング38Bに流れこむ。
【0114】
潤滑オイルの別の一部は、リングギヤ14の上部から一次及び二次シャフト26,28の方向に全体的に横断方向に飛散する。
【0115】
矢印F’3で示すように、この潤滑オイルは、二次リブ86の第1側面92によって集められる。
【0116】
二次リブ86に捕集された潤滑オイルは、自由下端部88まで流れ、その後、第2の二次軸受36の潤滑のために開口部90を介して第2の二次軸受36のハウジング40Bに流れこむ。
【0117】
矢印F’4で示すように、潤滑オイルは、二次ピニオン32及び一次ピニオン30によって、横断方向内壁21Bのうち溝95の上方に位置する部分に向けて飛散する。
【0118】
このオイルは、溝95によって捕集され、溝95はオイルを第2の一次軸受34の潤滑のためにそのハウジング42Bの開口部96に案内する。
【0119】
次いで、潤滑オイルは重力によって下部傾斜路70に流れる。オイルは、重力によって下部傾斜路70の傾斜に沿ってリングギヤ14の底部まで流れ、その後、潤滑サイクルを再開する。
【0120】
リングギヤ14が
図2の矢印R2で示す第2方向に回転している間、リングギヤ14は、矢印F’5で示す潤滑オイルの流れを生成し、その流れは傾斜路70の傾斜面を昇り、一次ピニオン30に到達する。
【0121】
そして傾斜面は、潤滑オイルを矢印F’6で示すように開口部96まで持ち上げ、第1の一次軸受34を潤滑する。
【0122】
潤滑オイルの一部は、一次ピニオン30により二次リブ86の第2面94に飛散する。
【0123】
二次リブ86に捕集された潤滑オイルは、自由下端部88まで流れ、その後、第2の二次軸受36の潤滑のために開口部90を介して第2の二次軸受36のハウジング40Bに流れこむ。
【0124】
第2の差動軸受22は、リングギヤ14によって直接かき上げられ、矢印F’7で示すように差動リブ76の第2面84に飛散する潤滑オイルによって、その一部が潤滑される。
【0125】
差動リブ76で捕集された潤滑オイルは、自由下端部78まで流れ、その後、第2の差動軸受22の潤滑のために開口部80を介して第2の差動軸受22のハウジング38Bに流れこむ。
【0126】
したがって、本発明の教示によって実現されるケース20は、リングギヤ14が一方向又は他方向に回転する車両に適合することができる。これにより、リングギヤの回転方向に応じて異なる2つのケースを設計する必要がなくなり、差動減速機の製造コストを大幅に低減することができる。
【0127】
より具体的には、本発明によれば、リングギヤの回転方向に応じた2つの潤滑オイルの経路を実現することができる。各潤滑経路は、差動減速機10の各軸受を潤滑するように設計されている。