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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-20
(45)【発行日】2022-09-29
(54)【発明の名称】ウォーターサーバー
(51)【国際特許分類】
   B67D 3/00 20060101AFI20220921BHJP
   B67D 1/07 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
B67D3/00 J
B67D1/07
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018117871
(22)【出願日】2018-06-21
(65)【公開番号】P2019218115
(43)【公開日】2019-12-26
【審査請求日】2021-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】316003276
【氏名又は名称】株式会社コスモライフ
(73)【特許権者】
【識別番号】518194682
【氏名又は名称】佛山市順徳区美的飲水機制造有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】512237419
【氏名又は名称】美的集団股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】MIDEA GROUP CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】B26-28F, Midea Headquarter Building, No.6 Midea Avenue, Beijiao, Shunde, Foshan, Guangdong 528311 China
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(72)【発明者】
【氏名】荒川 眞吾
(72)【発明者】
【氏名】兪 国強
(72)【発明者】
【氏名】甘 植盛
(72)【発明者】
【氏名】高 勇
【審査官】北村 一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04597423(US,A)
【文献】特開2013-018500(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0289666(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第101273843(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 1/00- 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体(1)と、前記筐体(1)の上部に設けられ、水ボトル(4)がセットされるボトルホルダ(5)とを備え、
前記水ボトル(4)は、有底中空筒状の胴部(6)と、その胴部(6)の一端に肩部(7)を介して設けられた首部(8)とを有し、前記首部(8)の先端に水出口(9)が形成されており、
前記ボトルホルダ(5)は、上方に開口し、前記水ボトル(4)の首部(8)が下向きの姿勢で差し込まれるカップ状のボトル差込口(15)と、前記ボトル差込口(15)の周囲に設けられ、前記ボトル差込口(15)に首部(8)を差し込んだ状態の水ボトル(4)の肩部(7)を支持するボトル支持部(16)と、前記ボトル差込口(15)内に上向きに設けられ、前記ボトル差込口(15)に首部(8)を差し込んだ状態の水ボトル(4)の水出口(9)に嵌合する通水ロッド(18)とを有するものであるウォーターサーバーにおいて、
前記ボトルホルダ(5)のボトル支持部(16)が前記筐体(1)の上部に固定され、そのボトル支持部(16)に対して、前記ボトル差込口(15)が通水ロッド(18)と一体に着脱自在に取り付けられていることを特徴とするウォーターサーバー。
【請求項2】
前記ボトル支持部(16)の内周部に、前記ボトル差込口(15)が嵌まり込むカップ部(17)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のウォーターサーバー。
【請求項3】
前記ボトル支持部(16)の内周部と前記ボトル差込口(15)の外周部の一方に係合溝が設けられ、他方に前記係合溝に挿入される係合突起が設けられており、
前記係合溝は、その一部が水平方向に沿って延び、上下方向で前記係合突起と係合するものであることを特徴とする請求項1または2に記載のウォーターサーバー。
【請求項4】
前記ボトル差込口(15)に、ボトル差込口(15)の着脱を行う人の指が陥入可能な操作凹部(15c)が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のウォーターサーバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ミネラルウォーター等の飲料水を充填した交換式の水ボトルから飲料水を供給するウォーターサーバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、主にオフィスや病院などでウォーターサーバーが利用されてきたが、近年、水の安全や健康への関心の高まりから、一般家庭にもウォーターサーバーが普及しつつある。このようなウォーターサーバーとして、筐体の上部に設けられたボトルホルダに交換式の水ボトルをセットして用いるものが一般に知られている。
【0003】
また、ウォーターサーバーに用いられる水ボトルは、有底中空筒状の胴部の一端に肩部を介して首部が設けられ、その首部の先端に水出口が形成されたものが多く用いられている。この水ボトルをボトルホルダにセットする際には、通常、水ボトルの首部を下向きにしてボトルホルダの上面中央部に設けたボトル差込口に差し込み、首部の水出口をボトル差込口内に上向きに設けた中空の通水ロッドに嵌合させる。通水ロッドは、水ボトルの首部内に入り込む部分に通水孔が設けられ、水ボトル内の飲料水を通水孔から中空部を介して下方に配置された水タンクへ導くようになっている。
【0004】
ところで、上記のように水ボトルの首部の水出口をボトルホルダの通水ロッドに嵌合させて使用するウォーターサーバーでは、水ボトル内の飲料水が通水ロッドに接触している時間が比較的長いため、衛生面から水ボトル交換時等に適切な頻度で通水ロッドを清掃することが望ましい。
【0005】
通水ロッドの清掃方法としては、通水ロッドをボトル差込口に対して着脱自在としておき、清掃時に通水ロッドをボトル差込口から取り外して洗浄する方法がある。この清掃方法によれば、ボトル差込口と一体形成した通水ロッドの外側面を布等で拭くだけの場合に比べて、通水ロッドの内側面を確実に清掃できる利点がある。しかし、洗浄後の通水ロッドをボトル差込口に取り付ける際に、手で通水ロッドに触れることにより通水ロッドの外側面が汚染されるおそれがある。
【0006】
一方、特許文献1には、水ボトルを支持するボトル支持部とボトル差込口とが一体形成され、そのボトル差込口に通水ロッドが取り付けられたボトルホルダを、筐体の上部に設けられたカバーおよび嵌合部に対して着脱自在に取り付け、そのボトルホルダ全体を筐体から取り外して清掃できるようにしたウォーターサーバーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2007-254022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1に開示されているウォーターサーバーでは、ボトルホルダ全体を筐体から取り外して、通水ロッドを取り付けたまま洗浄するようにすれば、通水ロッドの内外両面が清掃できるし、ボトルホルダを取り付ける際にも、手で通水ロッドに触れる必要がないので、通水ロッドの外側面が汚染されるおそれがない。
【0009】
しかしながら、清掃後のボトルホルダを筐体に取り付ける際の取付位置精度が低いと、ボトルホルダに水ボトルをセットするときに、ボトルホルダがガタつくことにより、水ボトルの首部をボトル差込口に差し込むのに手間取ったり、水ボトルを落したりするおそれがある。また、ボトルホルダにセットされた水ボトルが人との接触等によりガタついて、そのウォーターサーバーのメーカーに対するイメージダウンとなることも考えられる。
【0010】
したがって、実際には、製造時にボトルホルダとボトルホルダが取り付けられる筐体側部材との接触部の寸法精度を厳しく管理することにより、使用時にボトルホルダの筐体への取り付けが毎回精度よく行われて、ボトルホルダのガタつきが生じないようにすることが必要となる。そして、このことがボトルホルダおよび筐体側部材の製作にかかる手間とコストを増大させ、ウォーターサーバー全体のコストアップの一因となる。
【0011】
そこで、この発明は、筐体上部のボトルホルダに水ボトルをセットするタイプのウォーターサーバーにおいて、低コストでボトルホルダの通水ロッドの清潔性を確保でき、かつボトルホルダのガタつきを防止できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、この発明は、筐体と、前記筐体の上部に設けられ、水ボトルがセットされるボトルホルダとを備え、
前記水ボトルは、有底中空筒状の胴部と、その胴部の一端に肩部を介して設けられた首部とを有し、前記首部の先端に水出口が形成されており、
前記ボトルホルダは、前記水ボトルの首部が下向きの姿勢で差し込まれるボトル差込口と、前記ボトル差込口の周囲に設けられ、前記ボトル差込口に首部を差し込んだ状態の水ボトルの肩部を支持するボトル支持部と、前記ボトル差込口内に上向きに設けられ、前記ボトル差込口に首部を差し込んだ状態の水ボトルの水出口に嵌合する通水ロッドとを有するものであるウォーターサーバーにおいて、
前記ボトルホルダのボトル支持部が前記筐体の上部に固定され、そのボトル支持部に対して、前記ボトル差込口が通水ロッドと一体に着脱自在に取り付けられている構成を採用した。
【0013】
すなわち、水ボトルがセットされるボトルホルダとして、筐体の上部に固定されて水ボトルの肩部を支持するボトル支持部に対して、水ボトルの首部が差し込まれるボトル差込口が通水ロッドと一体に着脱自在に取り付けられた構造のものを採用することにより、通水ロッドの清掃時には通水ロッドをボトル差込口と一体にボトル支持部から取り外して洗浄することができ、しかも、ボトル差込口が水ボトルの荷重を受けず、ボトル差込口とボトル支持部との接触部の寸法精度を厳しく管理しなくてもボトルホルダにガタつきが生じないようにしたのである。
【0014】
ここで、前記ボトル支持部の内周部に、前記ボトル差込口が嵌まり込むカップ部が設けられている構成とすれば、ボトル差込口と通水ロッドを一体にボトル支持部から取り外した際にも、カップ部が筐体の上方と内部とを仕切る蓋の役割を果たすので、埃等の異物やねじ等の小さな物品が筐体内に落下するおそれがなく、ボトル差込口の下方に配置される水タンクへの雑菌の侵入も防止できるようになる。
【0015】
また、前記ボトル支持部の内周部と前記ボトル差込口の外周部の一方に係合溝が設けられ、他方に前記係合溝に挿入される係合突起が設けられており、前記係合溝は、その一部が水平方向に沿って延び、上下方向で前記係合突起と係合するものである構成とすれば、水ボトルを交換する際に、使用済みの水ボトルをボトルホルダから取り外すために上方へ引き上げても、ボトル差込口および通水ロッドがボトル支持部から上方へ抜け出すことがなく、効率よく交換作業を行うことができる。
【0016】
また、前記ボトル差込口に、ボトル差込口の着脱を行う人の指が陥入可能な操作凹部が設けられている構成とすれば、通水ロッドを清掃する際のボトル差込口の着脱作業がより簡単に行えるようになる。
【発明の効果】
【0017】
この発明のウォーターサーバーは、上述したように、ボトルホルダのボトル支持部を筐体の上部に固定し、そのボトル支持部に対してボトル差込口を通水ロッドと一体に着脱自在に取り付けたものであるから、通水ロッドをボトル差込口と一体にボトル支持部から取り外して洗浄することにより通水ロッドの清潔性を確保することができる。しかも、筐体に対して着脱しないボトル支持部で水ボトルを支持することによってボトルホルダのガタつきを防止できる構造であるため、ボトル差込口とボトル支持部との接触部の寸法精度を厳しく管理する必要がなく、ボトルホルダ全体を筐体に対して着脱するものに比べて低コストで製作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】この発明の実施形態のウォーターサーバーを示す側面断面図
図2図1のボトルホルダを拡大して示す側面断面図
図3図1のボトルホルダの分解斜視図
図4】aは図3のボトル差込口およびの通水ロッドの平面図、bはaの正面図
図5図3のボトル差込口を分解した状態を示す側面断面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1に、この発明の実施形態のウォーターサーバーを示す。このウォーターサーバーは、縦長の筐体1と、筐体1の上部に組み込まれた冷水タンク2と、筐体1の外部から操作可能な冷水コック3と、冷水コック3と並ぶように筐体1前面側の凹部に設置される電気ケトル(図示省略)と、筐体1の上端に設けられ、交換式の水ボトル4がセットされるボトルホルダ5とを備えている。
【0020】
筐体1は、略方形の外周をもつ有底角筒状の部材であり、その上端の開口を塞ぐようにボトルホルダ5が取り付けられている。なお、この図1の例では、筐体1上端の開口をボトルホルダ5で塞ぐようにしているが、ボトルホルダ5とは別体の天板で開口を塞ぎ、その天板の上にボトルホルダ5を設けるようにしてもよい。
【0021】
水ボトル4は、有底中空筒状の胴部6と、その胴部6の一端に肩部7を介して設けられた首部8とを有している。そして、その首部8の先端に水出口9が形成されており、首部8を下向きにした姿勢でボトルホルダ5にセットされる。この水ボトル4は、内部の残水量の減少に伴って収縮するように柔軟性をもたせて形成されている。
【0022】
ボトルホルダ5と冷水タンク2とは、水ボトル4の水出口9から出た飲料水を冷水タンク2へ導入する原水導入管10と、冷水タンク2内の空気を水ボトル4の水出口9へ導入する空気導入管11とで接続されている。その原水導入管10の冷水タンク2側の端部には、冷水タンク2内の水位に応じて開閉するフロートバルブ12が設けられている。
【0023】
なお、水ボトル4として、内部の残水量が減少しても変形しないように剛性をもたせて形成したタイプのものを採用する場合は、フロートバルブ12は不要である。その場合、冷水タンク2内の水位が原水導入管10の冷水タンク2側の端部と同じ高さとなる。
【0024】
また、冷水タンク2はボトルホルダ5よりも下側に配置されており、これにより冷水タンク2内の飲料水が減少したときに、水ボトル4内の飲料水がその自重で原水導入管10を通って冷水タンク2に導入されるようになっている。
【0025】
この冷水タンク2には、冷水タンク2内の飲料水を冷却する冷却装置13が取り付けられている。冷却装置13は、冷水タンク2の外周に巻き付けられた冷媒管を図示省略したコンプレッサの作動により冷却して、冷水タンク2内の飲料水を低温に保つようになっている。
【0026】
そして、冷水タンク2の底面に一端を接続された冷水注出管14の他端が冷水コック3に接続され、冷水コック3を開くことによって冷水タンク2から低温の飲料水をカップ等に注出できるようになっている。ここで、冷水コック3を開いたときに、冷水タンク2内の飲料水がその自重で冷水注出管14を通って筐体1の外部に注出されるように、冷水注出管14の他端は冷水タンク2の底面よりも下側に配置されている。
【0027】
また、図示は省略するが、電気ケトルは、筐体1の冷水コック3とほぼ同じ高さ位置に設けられた逆止弁付きの給水装置の下方に配置されており、その給水装置は冷水タンク2と配管で接続されている。そして、給水装置から供給される飲料水をケトル本体に収容した状態で、ケトル本体が載置される電源ベースの電源を入れることによりケトル本体内の飲料水を加熱でき、ケトル本体を電源ベースから取り外して傾けることにより、ケトル本体内の飲料水をカップ等に注出できるようになっている。
【0028】
なお、上記の給水装置および電気ケトルに代えて、冷水タンクと配管で接続された温水タンクを設け、その温水タンク内に収容された飲料水をシースヒーターやバンドヒーター等の加熱装置で加熱・保持するようにしてもよい。その場合は、温水タンクと温水注出管で接続した温水コックを開くことによって、温水タンクから高温の飲料水を注出できるようにすればよい。
【0029】
図1乃至図3に示すように、ボトルホルダ5は、水ボトル4の首部8が下向きの姿勢で差し込まれるボトル差込口15と、そのボトル差込口15の周囲に設けられるボトル支持部16と、ボトル支持部16の内周部にボトル差込口15が嵌まり込むように一体形成されたカップ部17と、ボトル差込口15内に上向きに設けられる通水ロッド18とからなり、そのボトル支持部16およびカップ部17に対して、ボトル差込口15が通水ロッド18と一体に着脱自在に取り付けられている。そのボトル支持部16は後述するように水ボトル4の肩部7を支持するものであり、ボトル差込口15が水ボトル4の荷重をほとんど受けないようになっている。
【0030】
このボトルホルダ5のボトル差込口15は、図4(a)、(b)にも示すように、上方に開口するカップ状の部材であり、底部の中央に通水ロッド18が上方に延びる状態で設けられており、側壁15aの上端にフランジ部15bが形成されている。その側壁15aの上端部には、径方向で対向する位置に、径方向内側に向かって略扇状に陥没し、フランジ部15bに開口して人の指が陥入可能な一対の操作凹部15cが形成されている。そして、各操作凹部15cの外側面に、略水平方向に延び、後述するようにカップ部17と係合する係合突起15dが設けられている。また、側壁15aの下端部の外周には、組立状態においてカップ部17との間をシールするOリング19が嵌め込まれている。
【0031】
ボトル支持部16は、図2および図3に示すように、ボトル差込口15に向かって深くなる傾斜をもち、ボトル差込口15に水ボトル4の首部8を差し込んだ状態で水ボトル4の肩部7を支持する凹円錐面状のボトル支持面16aと、ボトル支持面16aの外周縁から水平方向に広がり、外周が矩形状に形成された外縁部16bと、外縁部16bの外周縁から垂下する周壁16cとを有し、ボトル支持面16aの内周部に連続するようにカップ部17が上方に開口する状態で設けられている。そして、その周壁16cの下端部が筐体1上端の開口縁部に固定されて、筐体1の開口を塞ぐようになっている(図1参照)。
【0032】
カップ部17は、下方ほど小径となる三段形状の側壁17aを有しており、底部の中央から外れた位置に原水導入管10に接続される送水短管20が、底部の中央に空気導入管11に接続される送気短管21が、それぞれ下方に延びる状態で設けられている。また、側壁17aの上端部(ボトル支持部16の内周部)には、径方向で対向する位置に、上方および径方向内側に開口して略水平方向に延び、ボトル差込口15の係合突起15dと係合する一対の係合溝17bが形成されている。
【0033】
ここで、カップ部17の係合溝17bとボトル差込口15の係合突起15dとは、それぞれの一部が水平方向に沿って延び、上下方向で互いに係合するようになっているので、水ボトル4を交換する際に、使用済みの水ボトル4をボトルホルダ5から取り外すために上方へ引き上げても、ボトル差込口15および通水ロッド18がボトル支持部16およびカップ部17から上方へ抜け出すことがなく、効率よく交換作業を行うことができる。
【0034】
通水ロッド18は、図2および図5に示すように、上端が閉じられて下方に開口するようにボトル差込口15の底部に一体形成された外筒部22と、外筒部22の内側へ下方から着脱自在に挿入された内筒部23とからなり、ボトル差込口15に首部8を差し込んだ状態の水ボトル4の水出口9に嵌合するものである。
【0035】
外筒部22は、外径が水ボトル4の水出口9の内径と同径または僅かに大径に形成され、水出口9に嵌合した状態でその嵌合面間からの飲料水の漏れが生じないようになっている。また、外筒部22の半球形上端部の近傍には、厚み方向に貫通する第1貫通孔22aおよび第2貫通孔22bが設けられ、下端部の径方向で対向する位置には、内筒部23を係止するための係止孔を有する一対の係止部22cが設けられている。
【0036】
一方、内筒部23は、外筒部22と同様に上端が閉じられて下方に開口しており、上端部に厚み方向に貫通する通気孔23aが設けられ、下端部近傍の外周面の径方向で対向する位置に、径方向に沿って斜め下方へ延びる一対の係止爪23bが設けられている。また、内筒部23の軸方向中央部の外周には、軸方向に沿って延びる複数の位置決めリブ23cが周方向に間隔をおいて設けられている。また、内筒部23の下端部の外周には、組立状態において送気短管21との間をシールするOリング24が嵌め込まれている。
【0037】
そして、内筒部23を外筒部22内に挿入すると、内筒部23の各位置決めリブ23cが外筒部22の内周面に当接し、内筒部23の各係止爪23bが弾性変形してその先端部が外筒部22の係止部22cの係止孔に入り込むことにより、内筒部23が外筒部22に対して安定した状態で取り付けられるようになっている。なお、各位置決めリブ23cの上端には径方向の内側から外側に向かって低くなる傾斜面が形成され、内筒部23を外筒部22に対してスムーズに挿入できるようになっている。
【0038】
このウォーターサーバーは、上記の構成であり、筐体1の上部に設けられたボトルホルダ5に水ボトル4をセットする際には、水ボトル4の首部8を下向きにしてボトルホルダ5のボトル差込口15に差し込み、その首部8の先端の水出口9をボトル差込口15の底部中央の通水ロッド18に嵌合させるとともに、水ボトル4の肩部7をボトルホルダ5のボトル支持部16で支持するようにする。
【0039】
上記のように水ボトル4をセットすると、水ボトル4内の飲料水が、水出口9から通水ロッド18の外筒部22の第1、第2貫通孔22a、22bを通って、外筒部22の内周面と内筒部23の外周面との間に流れ込んだ後、ボトル差込口15の底部下面とカップ部17の底部上面との間へ広がり、送水短管20および原水導入管10を通って冷水タンク2内に導入される。なお、このとき、通水ロッド18の外筒部22の内周面と内筒部23の外周面との間に流れ込んだ飲料水のごく一部は、内筒部23の通気孔23aから内筒部23内に入り込み、送気短管21および空気導入管11を通って冷水タンク2内に導入される。
【0040】
ここで、水ボトル4内の残水量が多い段階では、水ボトル4内の飲料水の減少に伴い、大気圧によって水ボトル4が収縮するので、水ボトル4内への空気の流入は生じない。一方、水ボトル4内の残水量が少なくなった段階では、水ボトル4の収縮が進んで剛性を生じ、それ以上の収縮を生じにくくなっているので、水ボトル4内の減圧によって、冷水タンク2内の空気が、空気導入管11および送気短管21を通って通水ロッド18の内筒部23の内側へ入り込み、内筒部23の通気孔23aおよび外筒部22の第1貫通孔22aを通って水ボトル4内に流入する。そして、冷水タンク2内の空気は、図示省略したオゾン発生装置等の殺菌手段によって殺菌されているので、水ボトル4内に流入しても飲料水を汚染することはない。
【0041】
次に、このウォーターサーバーにおいて、水ボトル4内の飲料水の汚染防止のために通水ロッド18の清掃を行う際の手順について説明する。
【0042】
通水ロッド18の清掃を行う際は、まず、水ボトル4をボトルホルダ5から取り外した状態で、ボトル差込口15の一対の操作凹部15cに指をかけて、ボトル差込口15を略水平方向に回転させることにより、ボトル差込口15の係合突起15dをカップ部17の係合溝17bの一端部(上方に開口する部分)まで移動させて、係合溝17bとの上下方向の係合を解除する。その後、ボトル差込口15を上方に引き上げることにより、通水ロッド18と一体にボトル支持部16およびカップ部17から取り外す。そして、取り外したボトル差込口15とともに通水ロッド18を洗浄すれば、通水ロッド18の外面および内部を同時に清掃することができる。
【0043】
なお、上記の洗浄を行うときに通水ロッド18の外筒部22から内筒部23を取り外しておけば、通水ロッド18の内部をより確実に清掃できるが、その場合は、洗浄後に内筒部23を外筒部22に取り付ける際に、清潔な手袋を着用する等、通水ロッド18を汚染しないように注意する必要がある。
【0044】
その後、洗浄したボトル差込口15と通水ロッド18をボトル支持部16およびカップ部17に取り付ける。その取り付けは、取り外しの際とは逆に、ボトル差込口15を通水ロッド18と一体にカップ部17に上方から挿入し、ボトル差込口15の係合突起15dがカップ部17の係合溝17bの一端部に入り込んだ時点で、ボトル差込口15の操作凹部15cに指をかけてボトル差込口15を略水平方向に回転させ、係合突起15dを係合溝17bに係合させればよい。この取付作業の際には、通水ロッド18に触れる必要がないので、通水ロッド18が汚染されるおそれがなく、清潔性が確保される。
【0045】
このウォーターサーバーでは、上述したように、水ボトル4をセットするボトルホルダ5として、筐体1の上部に固定されて水ボトル4の肩部7を支持するボトル支持部16に対して、水ボトル4の首部8が差し込まれるボトル差込口15を通水ロッド18と一体に着脱自在に取り付けたものを組み込んでおり、通水ロッド18をボトル差込口15と一体にボトル支持部16から取り外して洗浄し、手で触れることなくボトル支持部16へ取り付けることができるので、通水ロッド18の清潔性を確保できる。
【0046】
しかも、ボトル差込口15が水ボトル4の荷重を受けず、筐体1に対して着脱しないボトル支持部16で水ボトル4を支持するようになっているので、ボトルホルダ5のガタつきが生じにくい。したがって、ボトル差込口15とボトル支持部16との接触部の寸法精度を厳しく管理する必要がなく、ボトルホルダ全体を筐体に着脱するものに比べて低コストで製作することができる。
【0047】
また、ボトル支持部16の内周部に、ボトル差込口15が嵌まり込むカップ部17を設けているので、ボトル差込口15と通水ロッド18を一体にボトル支持部16から取り外した際に、カップ部17が筐体1の上方と内部とを仕切る蓋の役割を果たし、埃等の異物やねじ等の小さな物品が筐体1内に落下するおそれがないし、冷水タンク2への雑菌の侵入も防止できる。
【0048】
さらに、ボトルホルダ5のボトル差込口15には、ボトル差込口15の着脱を行う人の指が陥入可能な操作凹部15cを設けているので、通水ロッド18を清掃する際のボトル差込口15の着脱作業を簡単に行うことができる。
【0049】
なお、上述した実施形態では、ボトルホルダ5のボトル差込口15に係合突起15dを設け、係合突起15dと係合する係合溝17bをカップ部17に設けたが、この係合突起と係合溝の配置は逆にしてもよい。
【0050】
また、ボトルホルダ5のカップ部17は、ボトル差込口15を取り外した際の蓋の役割を果たすため、実施形態のように設けることが望ましいが、カップ部を省略したボトル支持部の内周部にボトル差込口を着脱自在に取り付け、通水ロッドを原水導入管および空気導入管に直接接続される構造として、製作コストの低減を図ることもできる。
【符号の説明】
【0051】
1 筐体
2 冷水タンク
4 水ボトル
5 ボトルホルダ
6 胴部
7 肩部
8 首部
9 水出口
15 ボトル差込口
15c 操作凹部
15d 係合突起
16 ボトル支持部
17 カップ部
17b 係合溝
18 通水ロッド
22 外筒部
23 内筒部
図1
図2
図3
図4
図5