(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-20
(45)【発行日】2022-09-29
(54)【発明の名称】作業工具支持装置
(51)【国際特許分類】
H02G 1/02 20060101AFI20220921BHJP
【FI】
H02G1/02
(21)【出願番号】P 2017198680
(22)【出願日】2017-10-12
【審査請求日】2020-07-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000141060
【氏名又は名称】株式会社関電工
(73)【特許権者】
【識別番号】591083772
【氏名又は名称】株式会社永木精機
(74)【代理人】
【識別番号】100167689
【氏名又は名称】松本 征二
(72)【発明者】
【氏名】大田和 健
(72)【発明者】
【氏名】小倉 隆
(72)【発明者】
【氏名】岩田 伸也
【審査官】木村 励
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-289426(JP,A)
【文献】特開昭63-57497(JP,A)
【文献】国際公開第2011/081209(WO,A1)
【文献】特開2016-8103(JP,A)
【文献】中国実用新案第205804442(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アーム部と、
前記アーム部よりも先端側に配置され、作業工具を着脱自在に支持する把持部と
を具備し、
前記アーム部は、
第1アームと、
前記第1アームに揺動自在、かつ、前記第1アームに対して角度固定可能に接続される第2アームと、
前記第1アームと前記第2アームとの間に配置され、前記第1アームと前記第2アームとの間の角度を変更する角度変更部材と
を備え、
前記角度変更部材は、
前記第1アームに揺動自在に接続される第1部分と、
前記第2アームに揺動自在に接続され、かつ、前記第1部分に対してスライド自在な第2部分と、
前記第2部分を前記第1部分に対してロック状態にする第1スライドロック部材と、
前記第1スライドロック部材による前記ロック状態を解除する第1ロック解除部材と
を備え
、
前記第1アームと、前記第2アームと、前記角度変更部材とは、三角形構造を構成している
作業工具支持装置。
【請求項2】
前記第1スライドロック部材を、ロック方向に付勢する付勢部材を更に具備する
請求項1に記載の作業工具支持装置。
【請求項3】
前記第1アームと前記第2アームとの間に配置されるロータリダンパを更に具備する
請求項1または2に記載の作業工具支持装置。
【請求項4】
前記第1ロック解除部材を操作するフットペダルと、
第1端部が前記第1ロック解除部材に接続され、第2端部が前記フットペダルに接続されるワイヤ部材と
を更に具備する
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の作業工具支持装置。
【請求項5】
前記アーム部は、
前記第2アームに揺動自在、かつ、前記第2アームに対して角度固定可能に接続される第3アームと、
前記第2アームと前記第3アームとの間に配置され、前記第2アームと前記第3アームとの間の角度を変更する第2角度変更部材と
を備え、
前記第2角度変更部材は、
前記第2アームに揺動自在に接続される第2角度変更部材第1部分と、
前記第3アームに揺動自在に接続され、かつ、前記第2角度変更部材第1部分に対してスライド自在な第2角度変更部材第2部分と、
前記第2角度変更部材第2部分を前記第2角度変更部材第1部分に対してロック状態にする第2スライドロック部材と、
前記第2スライドロック部材による前記ロック状態を解除する第2ロック解除部材と
を備え、
前記ワイヤ部材の第3端部は、前記第2ロック解除部材に接続され、
前記フットペダルは、前記第1スライドロック部材のロック解除と、前記第2スライドロック部材のロック解除とを同時に実行可能である
請求項4に記載の作業工具支持装置。
【請求項6】
前記アーム部よりも基端側に配置され、高所作業車のバケットに着脱自在な取付部と、
前記アーム部に直接的または間接的に取り付けられ、前記アーム部と一体的に水平移動するスライド部と、
前記スライド部を前記取付部に対してロック状態にする水平移動ロック部材と、
前記スライド部に取り付けられた水平移動操作部と
を更に具備し、
前記水平移動操作部を水平第1方向に向けて押圧すると、前記水平移動ロック部材による前記ロック状態が解除されて、前記スライド部および前記アーム部が前記水平第1方向に移動し、
前記水平移動操作部を前記水平第1方向とは反対の方向である水平第2方向に向けて押圧すると、前記水平移動ロック部材による前記ロック状態が解除されて、前記スライド部および前記アーム部が前記水平第2方向に移動する
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の作業工具支持装置。
【請求項7】
前記水平移動操作部は、膝によって操作可能なように前記バケットの内側に向かって突出する
請求項6に記載の作業工具支持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業工具支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
活線の切断作業、皮剥作業等を行うのに使用されるスティック、ヤットコ等の作業工具を支持する作業工具支持装置が知られている。当該作業工具支持装置は、高所作業車のバケットに固定される取付部と、作業工具を把持する把持部とを有する。
【0003】
関連する技術として、特許文献1には、作業用工具の自在ヘルパーが記載されている。特許文献1に記載の作業用工具の自在ヘルパーは、作業用工具を取り外し可能に固定するクランプと、第1腕部と、第2腕部と、第1腕部の他端と第2腕部の一端とを回動可能に連結する第1関節部と、第1関節部の回動状態及びロック状態を制御するロック状態制御機構とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の作業用工具の自在ヘルパーでは、ギアと係止部材との間の係合により第1関節部がロックされる。このため、第1関節部がロックされた状態で、バケットが意図せずに移動した場合、第1関節部に、面外方向(第1腕部と第2腕部とによって規定される面に交差する方向)の力が作用し、ギアと係止部材との間の係合が外れたり、ギアまたは係止部材が欠けたりする可能性がある。その場合、関節部のロック機能が失われることから、腕部は重力により降下し、自在ヘルパーは使用不能となる。
【0006】
そこで、本発明の目的は、第1アームと第2アームとの間の連結部の強度が高い作業工具支持装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下に示す、作業工具支持装置に関する。
【0008】
(1)アーム部と、
前記アーム部よりも先端側に配置され、作業工具を着脱自在に支持する把持部と
を具備し、
前記アーム部は、
第1アームと、
前記第1アームに揺動自在、かつ、前記第1アームに対して角度固定可能に接続される第2アームと、
前記第1アームと前記第2アームとの間に配置され、前記第1アームと前記第2アームとの間の角度を変更する角度変更部材と
を備え、
前記角度変更部材は、
前記第1アームに揺動自在に接続される第1部分と、
前記第2アームに揺動自在に接続され、かつ、前記第1部分に対してスライド自在な第2部分と、
前記第2部分を前記第1部分に対してロック状態にする第1スライドロック部材と、
前記第1スライドロック部材による前記ロック状態を解除する第1ロック解除部材と
を備える
作業工具支持装置。
(2)前記第1スライドロック部材を、ロック方向に付勢する付勢部材を更に具備する
上記(1)に記載の作業工具支持装置。
(3)前記第1アームと前記第2アームとの間に配置されるロータリダンパを更に具備する
上記(1)または(2)に記載の作業工具支持装置。
(4)前記第1ロック解除部材を操作するフットペダルと、
第1端部が前記第1ロック解除部材に接続され、第2端部が前記フットペダルに接続されるワイヤ部材と
を更に具備する
上記(1)乃至(3)のいずれか一つに記載の作業工具支持装置。
(5)前記アーム部は、
前記第2アームに揺動自在、かつ、前記第2アームに対して角度固定可能に接続される第3アームと、
前記第2アームと前記第3アームとの間に配置され、前記第2アームと前記第3アームとの間の角度を変更する第2角度変更部材と
を備え、
前記第2角度変更部材は、
前記第2アームに揺動自在に接続される第2角度変更部材第1部分と、
前記第3アームに揺動自在に接続され、かつ、前記第2角度変更部材第1部分に対してスライド自在な第2角度変更部材第2部分と、
前記第2角度変更部材第2部分を前記第2角度変更部材第1部分に対してロック状態にする第2スライドロック部材と、
前記第2スライドロック部材による前記ロック状態を解除する第2ロック解除部材と
を備え、
前記ワイヤ部材の第3端部は、前記第2ロック解除部材に接続され、
前記フットペダルは、前記第1スライドロック部材のロック解除と、前記第2スライドロック部材のロック解除とを同時に実行可能である
上記(4)に記載の作業工具支持装置。
(6)前記アーム部よりも基端側に配置され、高所作業車のバケットに着脱自在な取付部と、
前記アーム部に直接的または間接的に取り付けられ、前記アーム部と一体的に水平移動するスライド部と、
前記スライド部を前記取付部に対してロック状態にする水平移動ロック部材と、
前記スライド部に取り付けられた水平移動操作部と
を更に具備し、
前記水平移動操作部を水平第1方向に向けて押圧すると、前記水平移動ロック部材による前記ロック状態が解除されて、前記スライド部および前記アーム部が前記水平第1方向に移動し、
前記水平移動操作部を前記水平第1方向とは反対の方向である水平第2方向に向けて押圧すると、前記水平移動ロック部材による前記ロック状態が解除されて、前記スライド部および前記アーム部が前記水平第2方向に移動する
上記(1)乃至(5)のいずれか一つに記載の作業工具支持装置。
(7)前記水平移動操作部は、膝によって操作可能なように前記バケットの内側に向かって突出する
上記(6)に記載の作業工具支持装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、第1アームと第2アームとの間の連結部の強度が高い作業工具支持装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1の実施形態における作業工具支持装置の概略側面図である。
【
図2】
図2は、第2部分を第1部分に対してロックするメカニズムの一例を示す模式図である。
【
図3】
図3は、第2部分を第1部分に対してロックするメカニズムの他の一例を示す模式図である。
【
図4】
図4は、第2の実施形態における作業工具支持装置の概略側面図である。
【
図5】
図5は、第2角度変更部材第2部分を第2角度変更部材第1部分に対してロックするメカニズムの一例を示す模式図である。
【
図6】
図6は、第2の実施形態における作業工具支持装置の概略側面図である。
【
図7】
図7は、第2の実施形態における作業工具支持装置の概略側面図である。
【
図8】
図8は、第2の実施形態における作業工具支持装置の概略正面図である。
【
図9】
図9は、スライド部を第2ガイド部に対してロックするメカニズムの一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、実施形態における作業工具支持装置1について、詳しく説明する。なお、本明細書において、同種の機能を有する部材には、同一または類似の符号が付されている。そして、同一または類似の符号の付された部材について、繰り返しとなる説明が省略される場合がある。
【0012】
(第1の実施形態)
図1乃至
図3を参照して、第1の実施形態における作業工具支持装置1Aについて説明する。
図1は、第1の実施形態における作業工具支持装置1Aの概略側面図である。
図2は、第2部分452を第1部分451に対してロックするメカニズムの一例を示す模式図である。
図3は、第2部分452を第1部分451に対してロックするメカニズムの他の一例を示す模式図である。
【0013】
第1の実施形態における作業工具支持装置1Aは、高所作業車のバケットに着脱自在な取付部2と、作業工具Tを着脱自在に支持する把持部3と、取付部2と把持部3との間に配置されるアーム部4とを具備する。アーム部4の先端側には、把持部3が配置され、アーム部4の基端側には、取付部2が配置される。
【0014】
取付部2は、例えば、ベース部21と、ベース部21に対して近接および離間可能な移動部22とを備える。ベース部21と移動部22とによってバケットの壁部を挟持することにより、取付部2は、バケットに固定される。なお、アーム部4と取付部2とは着脱自在であってもよい。この場合において、取付部2として既存の取付部を用いる場合には、作業工具支持装置1A自体に取付部2が設けられる必要はない。換言すれば、作業工具支持装置1Aのアーム部4が、既存の取付部2に装着されてもよい。
【0015】
把持部3は、例えば、第1把持部材31と第2把持部材33とを備える。第1把持部材31と第2把持部材33とによって作業工具Tを挟持することにより、作業工具Tが把持部3に固定される。
【0016】
アーム部4は、第1アーム41と、第2アーム42と、第1アーム41と第2アーム42との間の角度を変更する角度変更部材45とを備える。
図1に記載の例では、第1アーム41は、取付部2側のアームであり、第2アーム42は、把持部3側のアームである。また、第1アーム41および第2アーム42は、例えば、FRP製である。
【0017】
第2アーム42は、第1アーム41に揺動自在(より具体的には、揺動軸AT1まわりに揺動自在)に接続されている。また、第2アーム42は、第1アーム41に対して角度固定可能に接続されている。より具体的には、後述の第2部分452を第1部分451に対してロック状態にすることにより、第1アーム41に対する第2アーム42の角度が固定される。
【0018】
角度変更部材45は、第1アーム41と第2アーム42との間に配置される。角度変更部材45は、後述の第1揺動軸AX1と後述の第2揺動軸AX2との間の距離を変更することにより、第1アーム41と第2アーム42との間の角度を変更する。角度変更部材45は、第1部分451と、第2部分452と、第1スライドロック部材455(
図2等を参照)と、第1ロック解除部材456とを備える。
【0019】
第1部分451は、第1揺動軸AX1において第1アーム41に揺動自在に接続される。
図1に記載の例では、第1アーム41は、第1アーム41の側方に突出する突出部411を備え、当該突出部411に第1揺動軸AX1が配置されている。なお、第1揺動軸AX1は、例えば、突出部411の孔部と第1部分451の孔部とに挿入されるピンの中心軸である。
【0020】
第2部分452は、第2揺動軸AX2において第2アーム42に揺動自在に接続される。
図1に記載の例では、第2アーム42は、第2アーム42の側方に突出する突出部421を備え、当該突出部421に第2揺動軸AX2が配置されている。なお、第2揺動軸AX2は、例えば、突出部421の孔部と第2部分452の孔部とに挿入されるピンの中心軸である。
【0021】
第2部分452は、第1部分451に対してスライド自在である。第2部分452が第1部分451に対してスライドすることにより、第1揺動軸AX1と第2揺動軸AX2間の距離が変更される。その結果、第1アーム41と第2アーム42との間の角度が変更される。
【0022】
図2を参照して、第2部分452を第1部分451に対してロックするメカニズムの一例について説明する。
【0023】
図2に記載の例において、角度変更部材45は、第1部分451、第2部分452、第1スライドロック部材455、第1ロック解除部材456、荷重伝達部材457、および、付勢部材459を備える。
【0024】
図2に記載の例では、第1スライドロック部材455が、第1部分451の内表面および第2部分452の外表面の両方に圧接されると、第2部分452が第1部分451に対してロックされる。より具体的には、第1ロック解除部材456に力が作用していない状態では、第1スライドロック部材455aが、ばね等の第1付勢部材459aの付勢力によって、第1部分451および第2部分452に押し付けられる。また、第1スライドロック部材455bが、ばね等の第2付勢部材459bの付勢力によって、第1部分451および第2部分452に押し付けられる。こうして、第2部分452が第1部分451に対してロックされる。
【0025】
他方、第1ロック解除部材456が、矢印AR1によって示される方向に力を受けると、荷重伝達部材457が移動(回転移動)する。そして、荷重伝達部材457が移動(回転移動)すると、第1スライドロック部材455aが、第1部分451の内面(より具体的には、テーパ面)から離れる方向に移動し、第1スライドロック部材455bが、第1部分451の内面(より具体的には、テーパ面)から離れる方向に移動する(
図2に記載の状態)。こうして、第1スライドロック部材455によるロック(すなわち、第1部分451に対する第2部分452のロック状態)が解除される。
【0026】
なお、
図2には、第1スライドロック部材455が、複数の球である例が例示されているが、第1スライドロック部材455の数および形状は、
図2に記載の例に限定されない。
【0027】
第1部分451と第2部分452とを、スライド自在かつロック可能に接続する機構として、
図2に記載の機構とは異なる公知の機構が採用されてもよい。例えば、トークシステム株式会社製のクイッククランパー(登録商標)、より具体的には、トークシステム株式会社製のレバーユニット(型番:TUWL08またはTUWL16)が採用されてもよい。あるいは、特開2014-66365号公報の各実施例または各参考例に記載の機構が採用されてもよい。
【0028】
図1および
図2に記載の例では、第1ロック解除部材456を操作することにより、荷重伝達部材457が移動(回転移動)し、第1部分451に対する第2部分452のロック状態が解除される。そして、ロック解除状態において、第1アーム41と第2アーム42との間の角度を変更して、把持部3の位置を調整することが可能である。
【0029】
また、第1ロック解除部材456に操作力を作用させない状態(ノーマル状態)では、第2部分452が第1部分451に対してロック状態となる。こうして、第1アーム41と第2アーム42との間の角度を固定し、把持部3の位置を固定することが可能である。
【0030】
特許文献1に記載の自在ヘルパーでは、ギアと係止部材との間の係合により第1関節部がロックされるため、第1腕部と第2腕部との間の固定角度は、ギアの歯の間隔に依存する。換言すれば、第1腕部と第2腕部との間の固定角度は段階的に変化し、当該固定角度を連続的に変化させることはできなかった。一方、第1の実施形態における作業工具支持装置1Aは、第1アーム41と第2アーム42との間の角度を変更する角度変更部材45を備え、当該角度変更部材45は、第1部分451と、第1部分451に対してスライド自在な第2部分452と、第2部分452を第1部分451に対してロック状態にする第1スライドロック部材455と、第1スライドロック部材455によるロック状態を解除する第1ロック解除部材456とを備える。このため、第1アーム41と第2アーム42との間の固定角度を連続的に変化させることができる。
【0031】
また、第1の実施形態における作業工具支持装置1Aでは、第1アーム41と第2アーム42とが揺動自在に接続され、角度変更部材45(より具体的には、第1部分451)と第1アーム41とが揺動自在に接続され、角度変更部材45(より具体的には、第2部分452)と第2アーム42とが揺動自在に接続されている。換言すれば、第1アーム41と、第2アーム42と、角度変更部材45とが、三角形構造(トラス構造の単位ユニット)を構成している。そのため、第1アーム41と第2アーム42とによって規定される面に交差する方向に意図しない力が作用したとしても、当該力は第1アーム41と第2アーム42の接続部分のみでなく、角度変更部材45(第1部分451)と第1アーム41(突出部411)との接続部分および角度変更部材45(第2部分452)と第2アーム42(突出部421)との接続部分にも分散される。よって、第1アーム41と第2アーム42との間の連結部の強度が高くなる。そのため、第1アーム41と第2アーム42の厚みを薄くしても強度が維持できることから、作業工具支持装置1Aを軽量化できる。
【0032】
更に、特許文献1に記載の作業用工具の自在ヘルパーでは、ギアと係止部材との間の係合が外れたり、ギアまたは係止部材が欠けた場合には、ロック機能が失われ腕部は重力により降下し、自在ヘルパーは使用不能となる。一方、第1の実施形態における作業工具支持装置1Aでは、第1アーム41と第2アーム42がロックした状態でバケットが意図せずに移動し、第1アーム41と第2アーム42とによって規定される面にオーバー荷重が掛かったとしても、角度変更部材45の第1部分451と第2部分452に滑りが生じ荷重を逃がすことができる。そして、荷重を逃がした後は、第1部分451と第2部分452は再度係止することから、第1アーム41と第2アーム42が重力により降下する範囲は限定的である。そのため、荷重が無くなった後は、第1部分451と第2部分452が再度係止した位置から作業を再開できるので、作業の利便性が向上する。また、第1部分451と第2部分452に滑りが生じることから、作業工具支持装置1Aが破損しにくくなる。
【0033】
以上のとおり、第1の実施形態における作業工具支持装置1Aでは、角度変更部材45が、第1アーム41と第2アーム42との間の角度を連続的に調整する角度調整機能と、第1アーム41と第2アーム42との間の角度を固定する角度固定機能と、第1アーム41と第2アーム42との間の連結部の強度を高める強化機能及び軽量化と、オーバー荷重が掛かった際の作業の利便性の向上及び破損防止、の複数の異なる機能(効果)を備える。また、第1アーム41と第2アーム42との間の角度固定の解除は、第1ロック解除部材456を操作するだけでよく、作業負担が少ない。
【0034】
また、
図2に記載の例では、角度変更部材45は、第1スライドロック部材455を、ロック方向に付勢する付勢部材459を備える。第1スライドロック部材455を、ロック方向に付勢する付勢部材459を備える場合には、第1ロック解除部材456に操作力を作用させない状態(すなわち、ノーマル状態)において、第1アーム41と第2アーム42との間の角度が維持される。このため、作業工具支持装置1Aに何らかの故障が生じた場合であっても把持部3が急下降することがない。よって、作業者の安全性が確保される。
【0035】
(一方向ロック)
図2に記載の例では、第2部分452の第1部分451に対するロックは、双方向ロックである。代替的に、第2部分452の第1部分451に対するロックは、一方向ロックであってもよい。換言すれば、第1スライドロック部材455によるロック状態において、第2部分452は、第1部分451に対して、第1方向には移動できないものの、当該第1方向と反対の方向である第2方向には移動できるようにしてもよい。例えば、
図3に記載の例では、第2部分452を第1方向に引っ張ると、第1スライドロック部材455に対する第1部分451および第2部分452の挟持力が増加するため、第2部分452は第1方向に移動することができない。これに対し、第2部分452を第2方向に引っ張ると、第1スライドロック部材455に対する第1部分451および第2部分452の挟持力が減少するため、第2部分452は第2方向に移動可能である。
【0036】
図1を参照して、第2部分452を第1部分451に対して第2方向に移動することは、把持部3を上方に移動させることに対応する。すなわち、第1部分451に対する第2部分452のロックとして、一方向ロックを採用する場合には、ロック状態においても、把持部3を上方に移動させることが可能である。よって、把持部3の上方への移動作業が容易となる。なお、一方向ロックを採用する場合であっても、ロック状態では、把持部3が下降することはないため、把持部3の位置固定に支障は生じない。
【0037】
(第1ロック解除部材456を操作するための機構)
図1を参照して、第1ロック解除部材456を操作するための機構について説明する。作業工具支持装置1Aは、第1ロック解除部材456を操作するフットペダル7と、第1端部81が第1ロック解除部材456に接続され、第2端部82がフットペダル7に接続されたワイヤ部材8とを備える。
【0038】
図1に記載の例では、フットペダル7を踏むと、ワイヤ部材8が引っ張られ、第1ロック解除部材456が操作される。そして、第1ロック解除部材456が操作されると、第1スライドロック部材455によるロック状態(第1部分451に対する第2部分452のロック状態)が解除される。なお、ワイヤ部材8は、チューブ85内に配置され、ワイヤ部材8が、チューブ85によってスライド移動可能に支持されることが好ましい。
【0039】
作業工具支持装置1Aが、フットペダル7を備える場合には、第1ロック解除部材456の操作を足により行うことができる。よって、作業者が作業工具Tを両手又は片手によって支持した状態で、第1スライドロック部材455によるロック状態を解除することが可能である。このため、作業者の負担が軽減される。これに対して、第1ロック解除部材456の操作を手によって行う場合には、作業者は、片手で、作業工具T(或いは、把持部3またはアーム部4)を支持する必要がある。あるいは、第1ロック解除部材456を解除する別の作業者が必要となる。
【0040】
また、フットペダル7に作用する力を、ワイヤ部材8を用いて、第1ロック解除部材456に伝達する場合には、伝達機構の構造がシンプルで信頼性が高い。これに対し、油圧を用いた伝達機構を用いる場合には、作業工具支持装置1Aの重量が増加し、作業工具支持装置1Aの構造が複雑化する。また、油漏れのリスクもある。
【0041】
フットペダル7は、例えば、トグル形式のフットペダルである。この場合、フットペダル7を1度踏み込むと、第1スライドロック部材455によるロック状態が解除され、フットペダルをもう1度踏み込むと、第1スライドロック部材455により、第2部分452が第1部分451に対してロックされる。なお、フットペダル7を1度踏み込んだ後、足をフットペダル7から離してもロック解除状態が維持されることが好ましい。この場合、作業者は、両足を床面につけた状態で、把持部3の位置の調整作業を行うことができる。
【0042】
代替的に、フットペダル7は、トグル形式以外のフットペダルであってもよい。例えば、フットペダル7を踏み込んだ状態では、第1スライドロック部材455によるロック状態が解除され、フットペダル7から足を離した状態では、第1スライドロック部材455によるロック状態が維持されるようにしてもよい。
【0043】
更に、フットペダル7を途中まで踏み込んだ状態では、第1スライドロック部材455が、ロック状態と非ロック状態との間の中間状態になるようにしてもよい。この場合、作業工具T(或いは、把持部3またはアーム部4)に力を作用させることにより作業工具Tの位置を微調整することができる。
【0044】
(ロータリダンパ49)
第1の実施形態における作業工具支持装置1Aは、第1アーム41と第2アーム42との間に配置されるロータリダンパ49を備えていてもよい。ロータリダンパ49は、第2アーム42が第1アーム41に対して揺動する際に、抵抗力を付与する。このため、第1スライドロック部材455によるロック状態が解除されたときに、把持部3および第2アーム42が急激に下降することがない。よって、ロック状態が解除された時に、作業工具Tを保持している作業者に、作業工具T、把持部3および第2アーム42の重力が急激に掛かることがない。そのため、作業者の利便性が向上する。
【0045】
また、作業工具支持装置1Aが、ロータリダンパ49を備える場合には、仮に、角度変更部材45が破損して、ノーマル状態(第1ロック解除部材456に操作力を作用させない状態)における第1アーム41と第2アーム42との間の角度維持機能が喪失した場合であっても、把持部3および第2アーム42が急激に下降することがない。この場合、作業工具支持装置1Aは、角度変更部材45によるノーマル状態での角度維持機能、および、ロータリダンパ49による抵抗力付与機能を有することとなり、両機能により作業者の安全性が二重に確保される。
【0046】
(取付部2)
図1に記載の例では、取付部2は、ベース部21と、ベース部21に対して近接および離間可能な移動部22と、移動部操作部23とを備える。
図1に記載の例では、ベース部21は、側面視で、第1脚部211と、第2脚部212と、第1脚部211と第2脚部212とを連結する連結部213とを有する。第1脚部211は、バケットの側壁の第1面(例えば、内面)に対向配置され、第2脚部212は、バケットの側壁の第2面(例えば、外面)に対向配置される。
【0047】
移動部操作部23は、第2脚部212に取り付けられており、移動部操作部23を操作することにより、移動部22が、第1脚部211に対して近接移動する。こうして、バケットの壁部が、移動部22と第1脚部211との間で挟持され、取付部2がバケットの壁部に固定される。
【0048】
なお、
図1に記載の例では、ベース部21が、側面視で、逆U字形状を備える。このため、取付部2のバケット壁部への固定が不十分で、取付部2が下方にずり落ちる場合でも、逆U字形状の上部(すなわち、連結部213)が、バケット壁部の上縁に引っ掛かる。よって、取付部2がバケット壁部から脱落することがない。
【0049】
(第2の実施形態)
図4乃至
図9を参照して、第2の実施形態における作業工具支持装置1Bについて説明する。
図4、
図6および
図7は、第2の実施形態における作業工具支持装置1Bの概略側面図である。なお、
図4は、作業工具支持装置1Bのアーム部4を所定量だけ延ばした状態を示し、
図6は、作業工具支持装置1Bのアーム部4を
図4に示される状態よりも更に延ばした状態を示し、
図7は、作業工具支持装置1Bのアーム部4を折り畳んだ状態を示す。
図5は、第2角度変更部材第2部分552を第2角度変更部材第1部分551に対してロックするメカニズムの一例を示す模式図である。
図8は、第2の実施形態における作業工具支持装置1Bの概略正面図である。
図9は、スライド部92を第2ガイド部29に対してロックするメカニズムの一例を示す模式図である。
【0050】
第2の実施形態における作業工具支持装置1Bは、アーム部4が、第1アーム41および第2アーム42に加え、第3アーム53を備える。また、アーム部4が、角度変更部材45に加え、第2アーム42と第3アーム53との間の角度を変更する第2角度変更部材55を備える。第3アーム53は、例えば、FRP製である。
【0051】
第2の実施形態では、第1の実施形態と異なる点を中心に説明し、第1の実施形態において説明済みの事項についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0052】
図4に記載の例では、第1アーム41の基端部が取付部2(より具体的には、ベース部21の上面)に連結されている。第1アーム41の基端部と取付部2との間の連結は、第1アーム41が取付部2に対して水平移動することを許容する水平移動可能な連結であってもよいし、第1アーム41が第1アーム41の長手方向軸回りに旋回することを許容する旋回可能な連結であってもよいし、水平移動不能かつ旋回不能な連結であってもよい。
【0053】
図4に記載の例では、第2アーム42の基端部が第1アーム41の先端部に連結され、第2アーム42と第1アーム41との間に角度変更部材45が配置されている。第1アーム41、第2アーム42、角度変更部材45についは、第1の実施形態において説明済みであるので、繰り返しとなる説明は省略する。
【0054】
図4に記載の例では、第3アーム53の基端部が第2アーム42の先端部に連結され、第3アーム53と第2アーム42との間に第2角度変更部材55が配置されている。
【0055】
第3アーム53は、第2アーム42に対して、揺動自在(より具体的には、揺動軸AT2まわりに揺動自在)に接続されている。また、第3アーム53は、第2アーム42に対して角度固定可能に接続されている。より具体的には、後述の第2角度変更部材第2部分552を第2角度変更部材第1部分551に対してロック状態にすることにより、第2アーム42に対する第3アーム53の角度が固定される。
【0056】
第2角度変更部材55は、第2アーム42と第3アーム53との間に配置される。第2角度変更部材55は、後述の第3揺動軸AX3と後述の第4揺動軸AX4との間の距離を変更することにより、第2アーム42と第3アーム53との間の角度を変更する。第2角度変更部材55は、第2角度変更部材第1部分551と、第2角度変更部材第2部分552と、第2スライドロック部材555(
図5を参照)と、第2ロック解除部材556とを備える。
【0057】
第2角度変更部材第1部分551は、第3揺動軸AX3において第2アーム42に揺動自在に接続される。第3揺動軸AX3は、例えば、第2アーム42の孔部と第2角度変更部材第1部分551の孔部とに挿入されるピンの中心軸である。
【0058】
第2角度変更部材第2部分552は、第4揺動軸AX4において第3アーム53に揺動自在に接続される。第4揺動軸AX4は、例えば、第3アーム53の孔部と第2角度変更部材第2部分552の孔部とに挿入されるピンの中心軸である。
【0059】
第2角度変更部材第2部分552は、第2角度変更部材第1部分551に対してスライド自在である。第2角度変更部材第2部分552が第2角度変更部材第1部分551に対してスライドすることにより、第3揺動軸AX3と第4揺動軸AX4間の距離が変更される。その結果、第2アーム42と第3アーム53との間の角度が変更される。
【0060】
第2角度変更部材第2部分552を第2角度変更部材第1部分551に対してロックするメカニズムについては、第2部分452を第1部分451に対してロックするメカニズムと同様であるため、繰り返しとなる説明は省略する。なお、上述の「第2部分452を第1部分451に対してロックするメカニズム」の説明において、「角度変更部材45」、「第1部分451」、「第2部分452」、「第1スライドロック部材455、455a、455b」、「第1ロック解除部材456」、「荷重伝達部材457」、「付勢部材459」、「第1付勢部材459a」、「第2付勢部材459b」、「
図1」、「
図2」、「第1アーム41」、および、「第2アーム42」を、それぞれ、「第2角度変更部材55」、「第2角度変更部材第1部分551」、「第2角度変更部材第2部分552」、「第2スライドロック部材555、555a、555b」、「第2ロック解除部材556」、「荷重伝達部材557」、「付勢部材559」、「第1付勢部材559a」、「第2付勢部材559b」、「
図4」、「
図5」、「第2アーム42」、および、「第3アーム53」に読み替えれば、第2角度変更部材第2部分552を第2角度変更部材第1部分551に対してロックするメカニズムの説明となる。なお、第2角度変更部材第2部分552の第2角度変更部材第1部分551に対するロックは、双方向ロックであってもよいし、一方向ロックであってもよい。
【0061】
第2の実施形態における作業工具支持装置1Bは、第1の実施形態における作業工具支持装置1Aと同様の効果を奏する。加えて、第2の実施形態における作業工具支持装置1Bのアーム部4は、3個のアーム(第1アーム41、第2アーム42、第3アーム53)を備える。このため、作業工具Tの位置決めの自由度、および、作業工具Tを所望の位置に移動させる際のアプローチ経路の自由度が高い。なお、第2の実施形態における作業工具支持装置1Bのアーム部4が備えるアームの数は、4個以上であってもよい。
【0062】
また、第2の実施形態における作業工具支持装置1Bは、第2アーム42と第3アーム53との間の角度を変更する第2角度変更部材55を備え、当該第2角度変更部材55は、第2角度変更部材第1部分551と、第2角度変更部材第1部分551に対してスライド自在な第2角度変更部材第2部分552と、第2角度変更部材第2部分552を第2角度変更部材第1部分551に対してロック状態にする第2スライドロック部材555と、第2スライドロック部材555によるロック状態を解除する第2ロック解除部材556とを備える。このため、第2アーム42と第3アーム53との間の固定角度を連続的に変化させることができる。
【0063】
また、第2の実施形態における作業工具支持装置1Bでは、第2アーム42と、第3アーム53と、第2角度変更部材55とが、第1の実施形態と同様に三角形構造(トラス構造の単位ユニット)を構成している。よって、第2アーム42と第3アーム53との間の連結部の強度が高い。
【0064】
第2の実施形態において、作業工具支持装置1Bは、第1ロック解除部材456および第2ロック解除部材556を操作するフットペダル7と、第1端部81が第1ロック解除部材456に接続され、第2端部82がフットペダル7に接続され、第3端部83が第2ロック解除部材556に接続されたワイヤ部材8とを備えることが好ましい。
【0065】
図4に記載の例では、フットペダル7を踏むと、ワイヤ部材8が引っ張られ、第1ロック解除部材456および第2ロック解除部材556が操作される。そして、第1ロック解除部材456および第2ロック解除部材556が操作されると、第1スライドロック部材455によるロック状態、および、第2スライドロック部材555によるロック状態が同時に解除される。なお、ワイヤ部材8において、第1ロック解除部材456とフットペダル7とを接続するワイヤと、第2ロック解除部材556とフットペダル7とを接続するワイヤとは、別々のワイヤであってもよい。代替的に、第1ロック解除部材456とフットペダル7とを接続するワイヤと、第2ロック解除部材556とフットペダル7とを接続するワイヤとは、一部が共通化されていてもよい。
【0066】
作業工具支持装置1Bが、フットペダル7、第1ロック解除部材456および第2ロック解除部材556に接続されたワイヤ部材8を備える場合には、第1ロック解除部材456および第2ロック解除部材556によるロック解除操作を足により同時に行うことができる。よって、ロック解除操作を個別に行う必要がないため、作業効率が高い。なお、第2の実施形態におけるフットペダル7としては、第1の実施形態におけるフットペダル7と同様のフットペダルを採用することが可能である。
【0067】
(ロータリダンパ59)
第2の実施形態における作業工具支持装置1Bは、第2アーム42と第3アーム53との間に配置されるロータリダンパ59を備えていてもよい。ロータリダンパ59は、第3アーム53が第2アーム42に対して揺動する際に、抵抗力を付与する。このため、第2スライドロック部材555によるロック状態が解除されたときに、把持部3および第3アーム53が急激に下降することがない。よって、第1の実施形態と同様に、作業者の利便性が向上する。
【0068】
(首振部6)
図4に記載の例では、作業工具支持装置1Bは、アーム部4(より具体的には、第3アーム53)に揺動自在に接続された首振部6を備える。
【0069】
首振部6は、第3アーム53の先端部に連結されている。また、首振部6と第3アーム53との間には、第3角度変更部材65が配置されている。
【0070】
首振部6は、第3アーム53に対して、揺動自在(より具体的には、揺動軸AT3まわりに揺動自在)に接続されている。また、首振部6は、第3アーム53に対して角度固定可能に接続されている。より具体的には、第3角度変更部材第2部分652を第3角度変更部材第1部分651に対してロック状態にすることにより、第3アーム53に対する首振部6の角度が固定される。
【0071】
第3角度変更部材65は、第3アーム53と首振部6との間に配置される。第3角度変更部材65は、後述の第5揺動軸AX5と後述の第6揺動軸AX6との間の距離を変更することにより、第3アーム53と首振部6との間の角度を変更する。第3角度変更部材65は、第3角度変更部材第1部分651と、第3角度変更部材第2部分652と、第3スライドロック部材(図示省略)と、第3ロック解除部材656とを備える。
【0072】
第3角度変更部材第1部分651は、第5揺動軸AX5において第3アーム53に揺動自在に接続される。また、第3角度変更部材第2部分652は、第6揺動軸AX6において首振部6に揺動自在に接続される。
【0073】
第3角度変更部材第2部分652は、第3角度変更部材第1部分651に対してスライド自在である。第3角度変更部材第2部分652が第3角度変更部材第1部分651に対してスライドすることにより、第5揺動軸AX5と第6揺動軸AX6間の距離が変更される。その結果、第3アーム53と首振部6との間の角度が変更される。
【0074】
第3角度変更部材第2部分652を第3角度変更部材第1部分651に対してロックするメカニズムについては、第2部分452を第1部分451に対してロックするメカニズムと同様であるため、繰り返しとなる説明は省略する。
【0075】
作業工具支持装置1Bが、首振部6を備える場合には、フットペダル7に接続されるワイヤ部材8は、第3ロック解除部材656に接続される第4端部84を備えることが好ましい。
【0076】
図4に記載の例では、フットペダル7を踏むと、ワイヤ部材8が引っ張られ、第1ロック解除部材456、第2ロック解除部材556、および、第3ロック解除部材656が操作される。そして、第1ロック解除部材456、第2ロック解除部材556、および、第3ロック解除部材656が操作されると、第1スライドロック部材455によるロック状態、第2スライドロック部材555によるロック状態、および、第3スライドロック部材によるロック状態が同時に解除される。
【0077】
なお、アーム部4が備えるアームの数がN個(Nは、2以上の自然数)である場合には、首振部6は、末端のアーム、すなわち、第Nアームに揺動自在に接続される。
【0078】
図4に記載の例では、第1アーム41と第2アーム42との間の揺動軸AT1と、第2アーム42と第3アーム53との間の揺動軸AT2とが平行であるが、揺動軸AT1と揺動軸AT2とは非平行であってもよい。また、
図4に記載の例では、第2アーム42と第3アーム53との間の揺動軸AT2と、第3アーム53と首振部6との間の揺動軸AT3とが平行であるが、揺動軸AT2と揺動軸AT3とは非平行であってもよい。
【0079】
第2の実施形態において、アーム部4が伸長した状態では、第1アーム41と第2アーム42との間のなす角度は90度より大きく、第2アーム42と第3アーム53との間のなす角度は90度より大きいことが好ましい(
図6を参照)。この場合、把持部3を、バケットから大きく離間した位置に到達させることができる。また、第2の実施形態において、アーム部4が折り畳まれた状態では、第1アーム41と第2アーム42との間のなす角度は90度以下であり、第2アーム42と第3アーム53との間のなす角度は90度以下であることが好ましい(
図7を参照)。この場合、アーム部4をコンパクトに折り畳むことができる。なお、
図7に記載の例では、アーム部4が折り畳まれた状態において、第2アーム42と第3アーム53とが平行である。
【0080】
(把持部3)
把持部3は、首振部6または末端のアーム(例えば、第3アーム53)に接続される。把持部3と、首振部6または末端のアームとの間の接続は、旋回可能な接続であってもよいし、旋回不能な接続であってもよい。
【0081】
把持部3は、作業工具Tを把持できれば特に制限はないが、
図4に示す例では、把持部3は、第1把持部材31(固定部材)と、左右2本のガイドロッド32を介して、第1把持部材31に対し平行移動可能な第2把持部材33(可動部材)とを有する。第1把持部材31の長手方向から垂直上方に固定されているガイドロッド32は、平行移動可能な第2把持部材33のガイド孔(図示省略)に挿通されている。また、ガイドロッド32には、第2把持部材33を第1把持部材31に対し適当間隔に保持して作業工具の挿入を容易にするためのコイルバネ34が嵌装されている。そして、これら第1把持部材31と第2把持部材33との対向面には、作業工具を挟持する断面略V字状の挟持部(図示省略)が形成されている。また、第2把持部材33には、締付部材36が接続され、当該締付部材36には、締付部材36による締付動作および締付解除動作を操作する操作部37が取り付けてある。
【0082】
把持部3による作業工具Tの把持に際しては、第1把持部材31と第2把持部材33との間に作業工具Tを挿入し、操作部37を操作して、締付部材36を動作させることにより、第2把持部材33を第1把持部材31に接近させる。こうして、作業工具Tが、第1把持部材31と第2把持部材33との間で挟持される。
【0083】
(アーム部4の水平移動機構)
図8を参照して、アーム部4は、水平第1方向、および、水平第1方向と反対の方向である水平第2方向に移動可能なように取付部2に接続されていてもよい。この場合、アーム部4を、取付部2に対して、水平方向に位置調整することができる。
【0084】
図8に記載の例では、作業工具支持装置1Bは、アーム部4に直接的または間接的に取り付けられ、アーム部4と一体的に水平移動するスライド部92と、スライド部92を取付部2に対してロック状態にする水平移動ロック部材95(
図9を参照)と、スライド部92に取り付けられた水平移動操作部90とを備える。
【0085】
なお、作業工具支持装置1Bは、アーム部4または取付部2のアーム部受容部の水平移動を案内するガイド部を備えていてもよい。ガイド部28は、例えば、取付部2に設けられた案内レール281である。案内レール281は、取付部2の幅方向(換言すれば、水平方向、かつ、バケットの壁面に平行な方向)に延在する。
図8に記載の例では、案内レール281が、取付部2のベース部21の上面上に配置されている。このため、アーム部4の移動が、バケット内にいる作業者と干渉することがない。
【0086】
スライド部92は、アーム部4(より具体的には、第1アーム41)に直接的または間接的に取り付けられ、アーム部4と一体的に水平移動する。水平移動ロック部材95(
図9を参照)は、第2ガイド部29に対してスライド部92をロック状態にする。
図8に記載の例では、第2ガイド部29は、取付部2に設けられている。このため、水平移動ロック部材95は、取付部2に対するアーム部4(より具体的には、第1アーム41)の水平移動を禁止可能なロック部材であるということもできる。なお、第2ガイド部29は、例えば、ガイド部28(案内レール281)と平行な方向に延在する第2案内レール291である。
【0087】
図9に記載の例では、作業工具支持装置1Bは、第2ガイド部29と、第2ガイド部29に対してスライド移動可能なスライド部92と、水平移動ロック部材95と、付勢部材99と、水平移動操作部90とを備える。なお、付勢部材99は、水平移動ロック部材95をロック方向に付勢する部材である。
【0088】
図9に記載の例では、水平移動ロック部材95が、スライド部92の内表面および第2ガイド部29の外表面の両方に圧接されると、スライド部92が第2ガイド部29に対してロックされる。より具体的には、水平移動操作部90に力が作用していない状態(すなわち、水平移動操作部90の中立状態)では、第1の水平移動ロック部材95aが、ばね等の第1付勢部材99aの付勢力によって、スライド部92および第2ガイド部29に押し付けられる。また、第2の水平移動ロック部材95bが、ばね等の第2付勢部材99bの付勢力によって、スライド部92および第2ガイド部29に押し付けられる。こうして、スライド部92が第2ガイド部29に対してロックされる。
【0089】
図9に記載の例において、水平移動操作部90を水平第1方向に向けて押圧すると、水平移動ロック部材95によるロックが解除されるとともに、水平移動操作部90への押圧力がスライド部92に作用するため、アーム部4がスライド部92とともに水平第1方向に移動する。より具体的には、水平移動操作部90が、矢印AR2によって示される方向に力を受けると、荷重伝達部材97が移動(回転移動)する。そして、荷重伝達部材97が移動(回転移動)すると、第1の水平移動ロック部材95aが、スライド部92の内面(より具体的には、テーパ面)から離れる方向に移動し、第2の水平移動ロック部材95bが、スライド部92の内面(より具体的には、テーパ面)から離れる方向に移動する(
図9に記載の状態)。こうして、水平移動ロック部材95によるロック(すなわち、第2ガイド部29に対するスライド部92のロック状態)が解除される。スライド部92には、水平移動操作部90を介して、矢印AR2によって示される方向に力が作用しているため、スライド部92およびアーム部4は、矢印AR2によって示される方向に移動する。
【0090】
また、
図9に記載の例において、水平移動操作部90を水平第2方向に向けて押圧すると、水平移動ロック部材95によるロックが解除されるとともに、水平移動操作部90への押圧力がスライド部92に作用するため、アーム部4がスライド部92とともに水平第2方向に移動する。より具体的には、水平移動操作部90が、矢印AR3によって示される方向に力を受けると、荷重伝達部材97が移動(回転移動)する。そして、荷重伝達部材97が移動(回転移動)すると、第1の水平移動ロック部材95aが、スライド部92の内面(より具体的には、テーパ面)から離れる方向に移動し、第2の水平移動ロック部材95bが、スライド部92の内面(より具体的には、テーパ面)から離れる方向に移動する。こうして、水平移動ロック部材95によるロック(すなわち、第2ガイド部29に対するスライド部92のロック状態)が解除される。スライド部92には、水平移動操作部90を介して、矢印AR3によって示される方向に力が作用しているため、スライド部92およびアーム部4は、矢印AR3によって示される方向に移動する。
【0091】
図9に記載の例では、水平移動操作部90を水平第1方向(または、水平第2方向)に向けて押圧すると、水平移動ロック部材95によるロック状態が解除されて、アーム部4が水平第1方向(水平第2方向)に移動する。このため、ロック解除と、アーム部4の水平移動とを単一の操作によって実現することができる。このため、アーム部4を水平方向に位置調整する際の作業者の負担が軽減され、作業者の作業効率が向上する。
【0092】
なお、水平移動操作部90は、作業者の膝によって操作可能なようにベース部21からバケットの内側に向かって突出するように配置されていることが好ましい。膝で操作できる位置に水平移動操作部90を配置することで、両手が塞がっている状態でも、作業工具支持装置1Bをバケットに対して左右に移動できる。また、水平移動操作部90は、作業者の膝によって操作可能なようにベース部21の上面に近い高さ、例えば、ベース部21の上面よりも60cm低い位置からベース部21の上面よりも10cm高い位置の範囲内に配置されることが好ましい。
【0093】
図9には、水平移動ロック部材95が、複数個の球である例が例示されているが、水平移動ロック部材95の数および形状は、
図9に記載の例に限定されない。
【0094】
また、スライド部92と第2ガイド部29とを、スライド自在かつロック可能に接続する機構として、
図9に記載の機構とは異なる公知の機構が採用されてもよい。例えば、トークシステム株式会社製のクイッククランパー(登録商標)、より具体的には、トークシステム株式会社製のレバーユニット(型番:TUWL08またはTUWL16)が採用されてもよい。代替的に、特開2014-66365号公報の各実施例または各参考例に記載の機構が採用されてもよい。
【0095】
本発明は上記各実施形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施形態は適宜変形または変更され得ることが明らかである。また、各実施形態で用いられる任意の構成要素を、他の実施形態に組み合わせることが可能であり、また、各実施形態において任意の構成要素を省略することも可能である。
【0096】
例えば、第2の実施形態において説明されたガイド部(28、29)、水平移動ロック部材95、水平移動操作部90の構成は、第1の実施形態において採用されてもよい。
【0097】
また、第2の実施形態において、アーム部4または取付部2のアーム部受容部24がガイド部28によって案内され、スライド部92が第2ガイド部29によって案内される例が説明された。代替的に、アーム部4または取付部2のアーム部受容部24が案内されるガイド部と、スライド部92が案内されるガイド部とが同一のガイド部であっても構わない。
【0098】
また、上述の実施形態では、第1部分451が外管部材であり、第2部分452が第1部分451に挿入される内側シャフトである例が説明された。代替的に、第2部分452が外管部材であり、第1部分451が第2部分452に挿入される内側シャフトであってもよい。
【0099】
また、上述の実施形態では、第1アーム41、第2アーム42、第3アーム53の材質が、それぞれ、FRP(繊維強化プラスチック)である例が説明された。代替的に、第1アーム41、第2アーム42、第3アーム53の材質が、それぞれ、アルミニウム合金等の軽量金属であってもよい。
【0100】
さらに、第1の実施形態または第2の実施形態において、作業工具支持装置1には、作業工具支持装置1をクレーン等で吊り上げるためのウインチフック11(
図1、
図5を参照)が設けられてもよい。
図1、
図5に記載の例では、ウインチフック11が、アーム部4に設けられている。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明の作業工具支持装置を用いると、第1アームと第2アームとの間の連結部の強度が向上する。したがって、作業工具支持装置の製造業者、作業工具支持装置に作業工具を支持させて作業を行う業者にとって有用である。
【符号の説明】
【0102】
1、1A、1B…作業工具支持装置、2…取付部、3…把持部、4…アーム部、6…首振部、7…フットペダル、8…ワイヤ部材、11…ウインチフック、21…ベース部、22…移動部、23…移動部操作部、24…アーム部受容部、28…ガイド部、29…第2ガイド部、31…第1把持部材、32…ガイドロッド、33…第2把持部材、34…コイルバネ、36…締付部材、37…操作部、41…第1アーム、42…第2アーム、45…角度変更部材、49…ロータリダンパ、53…第3アーム、55…第2角度変更部材、59…ロータリダンパ、65…第3角度変更部材、81…第1端部、82…第2端部、83…第3端部、84…第4端部、85…チューブ、90…水平移動操作部、92…スライド部、95…水平移動ロック部材、95a…第1の水平移動ロック部材、95b…第2の水平移動ロック部材、97…荷重伝達部材、99…付勢部材、99a…第1付勢部材、99b…第2付勢部材、211…第1脚部、212…第2脚部、213…連結部、281…案内レール、291…第2案内レール、411…突出部、421…突出部、451…第1部分、452…第2部分、455、455a、455b…第1スライドロック部材、456…第1ロック解除部材、457…荷重伝達部材、459…付勢部材、459a…第1付勢部材、459b…第2付勢部材、551…第2角度変更部材第1部分、552…第2角度変更部材第2部分、555、555a、555b…第2スライドロック部材、556…第2ロック解除部材、557…荷重伝達部材、559…付勢部材、559a…第1付勢部材、559b…第2付勢部材、651…第3角度変更部材第1部分、652…第3角度変更部材第2部分、656…第3ロック解除部材、T…作業工具