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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-20
(45)【発行日】2022-09-29
(54)【発明の名称】ヒートシール装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 51/10 20060101AFI20220921BHJP
   B65B 51/14 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
B65B51/10 200
B65B51/14
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021556861
(86)(22)【出願日】2021-02-19
(86)【国際出願番号】 JP2021006318
(87)【国際公開番号】W WO2021220592
(87)【国際公開日】2021-11-04
【審査請求日】2021-09-21
(31)【優先権主張番号】P 2020081395
(32)【優先日】2020-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000110192
【氏名又は名称】トタニ技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】戸谷 幹夫
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-505024(JP,A)
【文献】特開2009-234643(JP,A)
【文献】特開2012-1211(JP,A)
【文献】特開2007-50934(JP,A)
【文献】特開2018-172122(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0101198(US,A1)
【文献】特開2007-307880(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 51/10
B65B 51/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製袋機用のヒートシール装置であって、
第1ヒートシール部材と、
前記第1ヒートシール部材と対向する第2ヒートシール部材と、
前記第1ヒートシール部材および前記第2ヒートシール部材のうち少なくともいずれか一方を加熱するためのヒータと、
前記第1ヒートシール部材を前記第2ヒートシール部材に向けて付勢するためのチャージバネ、および、前記第1ヒートシール部材を移動させるためのかつ前記チャージバネを圧縮するためのポールを含み、前記ポールを前記第1および第2ヒートシール部材の対向方向に往復動させることで、前記第1ヒートシール部材を前記第2ヒートシール部材に対して前記対向方向に近接および離間させ、かつ、前記チャージバネを圧縮するための駆動機構と、を備え、
前記駆動機構は、
ウェブを前記第1および第2ヒートシール部材で挟持開始し、それから前記チャージバネを圧縮して当該ウェブの前記第1および第2ヒートシール部材による挟持の間に前記ウェブを加圧するように、前記ポールを、前記対向方向のうち前記第1ヒートシール部材が前記第2ヒートシール部材に近接する方向に移動させ、次いで、前記ウェブの前記第1および第2ヒートシール部材による挟持を解除するように、前記ポールを、前記対向方向のうち前記第1ヒートシール部材が前記第2ヒートシール部材から離間する方向に移動させるように構成されており、
前記駆動機構は、さらに、
前記ポールの前記対向方向の往復動において、前記ウェブの前記第1および第2ヒートシール部材による挟持の開始の際に前記第1ヒートシール部材の加速度に第1ピークを生じさせ、かつ、前記ウェブの前記第1および第2ヒートシール部材による挟持の解除の際に前記第1ヒートシール部材の前記加速度に第2ピークを生じさせるように構成されており、
前記ヒートシール装置は、さらに、
前記第2ヒートシール部材に対して前記対向方向に近接および離間している前記第1ヒートシール部材の前記加速度を検出するために設けられた加速度センサと、
前記加速度センサによって検出された前記第1ピークから前記加速度センサによって検出された前記第2ピークまでの時間を、挟持時間として演算する測定部と、を備える、
ことを特徴とするヒートシール装置。
【請求項2】
前記挟持時間が所定の条件に該当するか否かを判定する判定部と、
前記挟持時間が前記所定の条件に該当すると前記判定部によって判定されたときに警告を出力する警告装置と、をさらに備える、
請求項1に記載のヒートシール装置。
【請求項3】
前記所定の条件は、前記挟持時間が所定の範囲から外れていることを含む、
請求項に記載のヒートシール装置。
【請求項4】
前記所定の条件は、前記挟持時間が所定の閾値より大きいまたは小さいことを含む、
請求項に記載のヒートシール装置。
【請求項5】
前記駆動機構は、前記第1ヒートシール部材を支持するための支持部材をさらに含み、
前記加速度センサは、前記支持部材に取り付けられている、
請求項1に記載のヒートシール装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、製袋機用のヒートシール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、製袋機は、2枚以上の連続する胴材(ウェブ)を互いに重ね合わせ、その長さ方向に間欠搬送する搬送装置を備える。製袋機は、さらに、胴材の間欠搬送の度に、胴材をヒートシールする少なくとも1つのヒートシール装置を備える。製袋機は、さらに、胴材の間欠搬送の度に、胴材をその幅方向にクロスカットするクロスカット装置をヒートシール装置の下流に備える。胴材がクロスカットされる度に、プラスチック袋のような袋が製造される。
【0003】
特許文献1,2に開示の通り、ヒートシール装置は、一般的に、互いに対向する第1ヒートシール部材および第2ヒートシール部材を備える。第1および第2ヒートシール部材の少なくともどちらか一方は、ヒータによって加熱される。ヒートシール装置は、さらに、第1ヒートシール部材を第2ヒートシール部材に対して近接および離間させる駆動機構を備える。
【0004】
駆動機構は、第1ヒートシール部材を第2ヒートシール部材に近接させて、胴材を両ヒートシール部材で挟持する。それによって、胴材はヒートシールされる。それから、駆動機構は、第1ヒートシール部材を第2ヒートシール部材から離間させて、胴材の挟持を解除する。
【0005】
ヒートシールの品質に影響を与える要因は、シール圧など様々である。その要因の1つとして、シール時間、すなわち、胴材がヒートシール部材で挟持されている挟持時間がある。挟持時間は、適切に調整および管理されるべきである。ヒートシール装置では、一般的に、ユーザがヒートシール動作を目視して挟持時間を確認し、そして、駆動機構の構成要素を操作して挟持時間を調整している。しかし、目視による確認では正確性に欠くこともあり、調整不良をもたらし得る。結果、ヒートシールの質にバラツキをもたらし得る。
【0006】
本願は、ウェブがヒートシール部材によって挟持される挟持時間を正確に検出する構成を有するヒートシール装置を提供することを目的とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】国際公開WO2019/225266号公報
【文献】特開2018-76090号公報
【発明の概要】
【0008】
本願の一態様によれば、製袋機用のヒートシール装置が提供され、
第1ヒートシール部材と、
前記第1ヒートシール部材と対向する第2ヒートシール部材と、
前記第1ヒートシール部材および前記第2ヒートシール部材のうち少なくともいずれか一方を加熱するためのヒータと、
ウェブを前記第1および第2ヒートシール部材で解除可能に挟持するために、前記第1ヒートシール部材を前記第2ヒートシール部材に対して近接および離間させる駆動機構と、
前記第1ヒートシール部材の加速度を検出するために設けられたセンサと、
前記ウェブが前記第1および第2ヒートシール部材で挟持されている挟持時間を、前記センサからのデータに基づいて測定する測定部と、を備える。
【0009】
前記測定部は、前記加速度の第1ピークから前記加速度の第2ピークまでの時間を挟持時間として演算してよい。ここで、前記第1ピークは、前記第1および第2ヒートシール部材による前記ウェブの挟持の開始により生じるものであり、前記第2ピークは、前記第1および第2ヒートシール部材による前記ウェブの挟持の解除により生じるものである。
【0010】
前記ヒートシール装置は、さらに、
前記挟持時間が所定の条件に該当するか否かを判定する判定部と、
前記挟持時間が前記所定の条件に該当すると前記判定部によって判定されたときに警告を出力する警告装置と、をさらに備えてよい。
【0011】
前記所定の条件は、前記挟持時間が所定の範囲から外れていることを含んでよい。
【0012】
前記所定の条件は、前記挟持時間が所定の閾値より大きいまたは小さいことを含んでよい。
【0013】
前記駆動機構は、前記第1ヒートシール部材を支持するための支持部材を含んでよい。前記センサは、前記支持部材に取り付けられてよい。
【0014】
前記駆動機構は、前記ウェブが前記第1および第2ヒートシール部材で挟持されている間に前記第1ヒートシール部材を前記第2ヒートシール部材に向けて付勢するように設けられたチャージバネを含んでよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、例示のヒートシール装置を概略的かつ部分的に示す。
図2図2は、ヒートシール装置の動作を説明する。
図3図3は、ヒートシール装置の動作を説明する。
図4図4は、ヒートシール動作のプロファイルをウェブの搬送状態と関連付けて示す。
図5図5Aは、例示の製袋機の概略的な平面図であり、図5Bは、図5Aの側面図であり、図5Cは、図5Aの領域T内の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本願の実施形態に係るヒートシール装置が説明される。ヒートシール装置は、製袋機に、例えば図5A図5Bの例示の製袋機に組み込まれる。
【0017】
図1は、例示のヒートシール装置1の要部を概略的に示す。図1の通り、ヒートシール装置1は、第1シールユニット2、第2シールユニット3、駆動機構4、および、退避機構5を備える。
【0018】
少なくとも2枚のウェブ60,61が、製袋機の搬送装置(例えば、図5Bの搬送装置7)によって互いに重ね合わされ、その長さ方向に間欠搬送される。第1および第2シールユニット2,3は、ウェブ60,61を間にして互いに対向する。ウェブ60,61が水平に送られており、シールユニット2,3の対向方向は、上下方向である。第1シールユニット2はウェブ60,61に対して上側に位置し、第2シールユニット3はウェブ60,61に対して下側に位置する。
【0019】
第1シールユニット2は、第1ヒートシール部材20と、第1ヒートシール部材20を加熱するための第1ヒータ21とを含む。第2シールユニット3は、第2ヒートシール部材30と、第2ヒートシール部材30を加熱するための第2ヒータ31とを含む。
【0020】
第1および第2ヒートシール部材20,30は、後述の通り、少なくとも2以上のウェブ60,61を挟んでヒートシールするために用いられる。第1および第2ヒートシール部材20,30は、ウェブ60,61を間にして上下方向に互いに対向するように第1および第2ヒータ21,31にそれぞれ取り付けられている。第1および第2ヒータ21,31は、それぞれ、その内部にヒータカートリッジを有する。電力がヒータカートリッジに供給されると、ヒータカートリッジは発熱する。その熱がヒートシール部材20,30に伝達される。
【0021】
駆動機構4は、ウェブ60,61を第1および第2ヒートシール部材20,30で解除可能に挟持するために、第1ヒートシール部材20を第2ヒートシール部材30に対して近接および離間させるように構成されている。実施形態の駆動機構4は、第1シールユニット2全体を第2シールユニット3に対して近接および離間させる。
【0022】
駆動機構4は、例えば、支持部材40、ポール41、調整ナット42、チャージバネ43、および、ポール作動機構44を含んでよい。
【0023】
支持部材40は、上梁として構成されており、第1シールユニット2を、したがって第1ヒートシール部材20を支持している。
【0024】
ポール41は、シールユニット2,3(第1および第2ヒートシール部材20,30)の対向方向に、すなわち上下方向にのびている。ポール41は、支持部材40の貫通穴400に挿通されている。ポール41は、その外周にフランジ状のストッパ410を有する。ストッパ410は、貫通穴400に対して一側(下側)に位置する。ストッパ410は、ポール41に対して上下方向に位置を調整できるように構成されている。ストッパ410として、例えば、公知のダブルナットが用いられてよい。すなわち、2つのナットが、ポール41のねじが形成された外周面に嵌められている。ポール41の貫通穴400に対する他側(上側)には、外周面にねじが形成されたボルト部分411が設けられている。
【0025】
調整ナット42は、ポール41のボルト部分411に嵌められ、ねじ係合している。したがって、調整ナット42を操作する(回す)ことで、ボルト部分411に対してボルト部分411に沿って移動させることができる。
【0026】
チャージバネ43が、後述の通り、ウェブ60,61が第1および第2ヒートシール部材20,30に挟まれているときに第1ヒートシール部材20を第2ヒートシール部材30に向けて付勢するために設けられている。チャージバネ43は、支持部材40と調整ナット42の間でこれら40,42の間に渡って配置され、支持部材40をストッパ410に向けて付勢している。ポール41(ボルト部分411)は、チャージバネ43に挿通されている。なお、チャージバネ43の付勢力は、調整ナット42を操作することで調整することができる。
【0027】
ポール作動機構44は、ポール41に当該ポール41の下端において動作可能に連結されており、ポール41を、シールユニット2,3の対向方向、すなわち上下方向に移動させるように構成されている。実施形態のポール作動機構44は、製袋機の搬送装置(例えば、図5Bの搬送装置7)によるウェブ60,61の間欠搬送と連動して、ポール41を移動させるように構成されている。ポール作動機構44は、特許文献1,2などに開示の周知の構成が採用されてよい。
【0028】
なお、図1は、ヒートシール装置1を支持部材40の一端側においてのみ示しているが、ポール41およびこれに関連する構成要素は、支持部材40の両端にある。
【0029】
退避機構5は、第2シールユニット3を、その第2ヒートシール部材30がウェブ60,61の搬送高さ62から、ある程度、退避した位置(図1)と、第2ヒートシール部材30が当該搬送高さ62に達する位置(図2)との間で移動させるように構成されている。第2ヒートシール部材30が図1の通り搬送高さ62から下方に退避していることで、ヒートシール装置1の待機の間、ウェブ60,61がヒートシール部材30から伝達される熱によってあぶられることが防止される。
【0030】
退避機構5は、例えば支持部材50、アーム51、および、シリンダ52を含んでよい。
【0031】
支持部材50は、下梁として構成されており、第2(下側の)シールユニット3を、したがって第2ヒートシール部材30を支持している。長穴500が、支持部材50に形成されて水平にのびている。
【0032】
アーム51は、その中央部に位置する回動軸510の周りに回動可能に不図示のフレームに支持されている。アーム51は、その第1端にスライダ511を含む。スライダ511は、長穴500に沿ってスライド可能に長穴500内に位置している。
【0033】
シリンダ52は、チューブ520とロッド521とを含む。チューブ520は、不図示のフレームに取り付けられている。ロッド521の先端は、アーム51の第2端512に取り付けられている。
【0034】
上記構成により、退避機構5はシリンダ52を作動させることで第2シールユニット3を上下方向に移動させることができる。退避機構5は、ロッド521を伸張させてアーム51を回動軸510の周りに回転させ、それによって、支持部材50および第2シールユニット3を上方に移動させることが、すなわち、第2ヒートシール部材30を搬送高さ62に位置させることができる(図2参照)。一方、退避機構5は、ロッド521を収縮させることで、支持部材50および第2シールユニット3を下方に移動させることが、すなわち、第2ヒートシール部材30を搬送高さ62から退避させることができる。
【0035】
駆動機構4および退避機構5は例示にすぎない。様々な構成が採用されてよい。
【0036】
以下、ヒートシール動作が説明される。図1は、待機状態のヒートシール装置1を示す。第1および第2シールユニット2,3は駆動機構4および退避機構5によってそれぞれウェブ60,61(したがって搬送高さ62)から退避している。そして、ヒートシール装置1は、ウェブ60,61の間欠搬送の停止の間に、以下の通り、ウェブ60,61をヒートシールする。
【0037】
図1図2の通り、退避機構5は、第2シールユニット3をウェブ60,61に向かって上方に移動させて、第2ヒートシール部材30を搬送高さ62に位置させる。次いで、駆動機構4は、ポール41を下方に移動させて、支持部材40および第1シールユニット2をウェブ60,61に向かって下方に移動させ、それにより、第1ヒートシール部材20も搬送高さ62に位置させる。その結果、ウェブ60,61が、第1および第2ヒートシール部材20,30(それぞれ第1および第2ヒータ21,31で加熱されている)で挟まれ、かつ、加熱される。
【0038】
駆動機構4は、ポール41を下方に移動させ続けている。第1ヒートシール部材20は既に第2ヒートシール部材30と共にウェブ60,61を挟んでいるので、第1シールユニット2および支持部材40はそれ以上、下方に移動しない。したがって、図2図3の通り、ポール41だけがチャージバネ43を圧縮しながら下方に移動する。
【0039】
そして、圧縮されたチャージバネ43は、支持部材40を介して第1ヒートシール部材20を第2ヒートシール部材30に向けて付勢する。すなわち、チャージバネ43の付勢圧が、ウェブ60,61に印加される。それによって、ウェブ60,61が加圧される。ウェブ60,61は、加熱および加圧されることでヒートシールされる。
【0040】
その後、駆動機構4は、ポール41を上方に移動させて第1ヒートシール部材20をウェブ60,61から離間させる。ヒートシール部材20,30によるウェブ60,61の挟持が解除される。すなわち、ヒートシールが終了する。一連の運転動作が続いている間は、退避機構5が図2の位置を維持し続ける一方で、第1ヒートシール部材20はウェブ60,61の間欠搬送に連動して上下動を繰り返す。一連の運転動作が終了し、しばらく機械を稼動させない時は、退避機構5が第2ヒートシール部材30をウェブ60,61から離間させ、ヒートシール装置1は、図1の待機状態に戻る。機械を再度稼動させる時、ウェブ60,61の搬送が再開され、上記動作が繰り返される。
【0041】
ウェブ60,61が第1および第2ヒートシール部材20,30に挟持されている時間(以下、挟持時間とする)、すなわちヒートシール時間は、図3の通り、ウェブ60,61の加圧時にだけストッパ410と支持部材40との間に生じる隙間45を目視することで、確認することができる。後述するとおり、ポール41が最下端まで下がった状態における隙間45が大きければヒートシール時間が長く、隙間45が小さければヒートシール時間が短いことになる。これに加えて、実施形態のヒートシール装置1は、以下の通り、挟持時間を目視によらず正確に検出する構成を提供する。
【0042】
図1のみに示される通り、ヒートシール装置1は、センサ10、測定部11、判定部12、および、警告装置13をさらに備える。
【0043】
センサ10は、第1ヒートシール部材20の加速度を検出するために設けられている。センサ10は、加速度計であり、加速度を示す検出信号を測定部11へ出力する。センサ10は、実施形態では、支持部材40に取り付けられ、具体的には貼り付けられている。支持部材40および第1ヒートシール部材20は一体的に移動するので、センサ10は第1ヒートシール部材20の加速度を検出する。したがって、センサ10からのデータ(検出信号で構成される)は、ヒートシール部材20の加速度の経時的変化を示す。
【0044】
測定部11は、センサ10からのデータに基づいて、挟持時間を測定するように構成されている。以下、測定原理が説明される。
【0045】
図4は、ヒートシール動作における第1ヒートシール部材20の高さ(h)、速度(v)、および、加速度(a)の時間変化を示す。横軸は時間(t)を表す。また、図4は、ヒートシール動作とウェブ60,61の搬送状態とを互いに関連付けて示す。高さ(h)は、搬送高さ62を基準とする。速度(v)および加速度(a)は上向きを正とする。
【0046】
図4の通り、駆動機構4は、高さ(h)を略サインカーブで変化させる。第1ヒートシール部材20は、搬送高さ62まで下降して第2ヒートシール部材30と共にウェブ60,61を挟むと(t=t1参照)、瞬時に停止する(v=0)。したがって、加速度(a)の第1ピークが、第1および第2ヒートシール部材20,30によるウェブ60,61の挟持の開始により、すなわちヒートシールの開始により生じる。
【0047】
それから、前述の通り、ポール41がさらに下降することにより、チャージバネ43の付勢圧が、一定期間、ウェブ60,61に印加され続ける。ヒートシールの継続中(t1≦t≦t2)、隙間45(図3)が生じる。ポール41に対して、ストッパ410の位置がより上にあれば、第1ヒートシール部材20が搬送高さ62に達する時間(t1)はより遅くなり、より下にあれば、時間(t1)はより早くなる。
【0048】
それから、ポール41の移動が下方から上方に反転して隙間45が小さくなる。隙間45がなくなるまでポール41が上方に移動した瞬間(t=t2)、付勢圧の印加が終了する。支持部材40および第1シールユニット2がポール41と共に一体的に上方への移動を開始して、第1ヒートシール部材20がウェブ60,61から離れ始める。この瞬間(t=t2)、速度(v)が瞬時に上昇する。したがって、加速度(a)の第2ピークが、第1および第2ヒートシール部材20,30によるウェブ60,61の挟持の解除、すなわちヒートシールの終了により生じる。この時、ポール41に対して、ストッパ410の位置が、より上にあれば、第1ヒートシール部材20が搬送高さ62から離れる時間(t2)はより早くなり、より下にあれば、時間(t2)はより遅くなる。つまり、ストッパ410をポール41に対し上昇させるとヒートシール時間(t2-t1)は短くなり、下降させるとヒートシール時間(t2-t1)は長くなる。
【0049】
第1および第2ピークがセンサ10によって検出される。そして、測定部11は、センサ10から受信したデータを解析して、検出された第1ピークから検出された第2ピークまでの時間を、挟持時間として演算する。こうして、センサ10および測定部11により、挟持時間(すなわち、ヒートシール時間)を正確に測定することが可能になる。
【0050】
判定部12は、測定された挟持時間が所定の要件に該当するか否かを判定するように構成されている。例えば、所定の要件は、挟持時間が所定の範囲外であること、挟持時間が第1の閾値より小さい、または、挟持時間が第2の閾値より大きいことを含んでよい。判定部12によって、挟持時間(ヒートシール時間)が所望の時間よりも長いまたは短いことを判定することができる。ここで、挟持時間は、複数のヒートシール動作に渡って測定された挟持時間の平均値であってもよい。
【0051】
なお、機能部(測定部11および判定部12)は、例えば、プロセッサが、記憶媒体に記憶されたプログラムを実行することによって実現されてよい。
【0052】
警告装置13は、挟持時間が所定の要件に該当するときに警告を出力するように構成されている。例えば、短すぎる挟持時間は、ウェブ60,61への不十分な付勢圧の印加とみなすことができる。したがって、警告装置13は、挟持時間が所定の範囲の下限または第1の閾値より小さいと判定されたとき、警告を出力してよい。一方、長すぎる挟持時間は、ウェブ60,61への過度な付勢圧の印加とみなすことができる。したがって、警告装置13は、挟持時間が所定の範囲の上限または第2の閾値より大きいとき、警告を出力してよい。
【0053】
警告装置13は、LED、ランプ、ディスプレイなどの視覚装置、及び/又は、スピーカーなどの聴覚装置を含んでよい。したがって、警告の出力は、光の放射、及び/又は、音の発生によって実行されてよい。
【0054】
これに加えて及び/これに代えて、警告装置13は、ヒートシール装置1またはこれを含む製袋機を停止させる緊急停止装置を含んでよい。挟持時間が長すぎると、ウェブ60,61が第1および第2ヒートシール部材20,30によって挟持されたまま、製袋機の搬送装置によって搬送され得る。これは、搬送不良をもたらし得る。したがって、警告の出力は、ヒートシール装置1またはこれを含む製袋機の緊急停止によって実行されてよい。
【0055】
その他、ヒートシール装置1は、測定された挟持時間を表示するディスプレイをさらに備えてもよい。ディスプレイは、測定された挟持時間と、挟持時間の設計値を併せて表示してもよい。
【0056】
以上の構成によれば、挟持時間、したがってヒートシール時間が正確に測定されるので、ユーザはこれを適切に調整および管理することができる。ユーザは、挟持時間がヒートシールまたは製袋にとって好ましくないとき、挟持時間(ヒートシール時間)を調整することができる。挟持時間の調整は、実施形態では、ポール41に対するストッパ410の位置の上下を調整することで可能である。具体的には、ストッパ410をポール41に対して上方に調整すれば、挟持時間を短く、下方に調整すれば、挟持時間を長くすることができる。こうして、調整不良をすぐに是正できることで、ヒートシールの質をばらつきなく安定させることができる。
【0057】
実施形態のセンサ10は、支持部材40の両端にあるポール41のうち、一方のポール41の近傍に位置しているが、支持部材40上の任意の位置に、例えば支持部材40の中央部に取り付けられてもよい。
【0058】
2本のポール41の間で、ストッパ410のポール41上での調整位置に微妙な差異があれば、一方のポール41の近傍の位置と他方のポール41の近傍の位置とで、第1ピークおよび第2ピークがセンサ10によって検出される時間に差異が生じ得る。そこで、1つのセンサ10が支持部材40の一端に取り付けられ、一方のポール41の近傍に位置し、別の1つのセンサ10が支持部材40の他端に取り付けられて、他方のポール41の近傍に位置してもよい。そして、ユーザは、これらの2つのセンサ10のデータを参考にしながら両ストッパ410の位置を調整することで、両ポール41の近傍位置における上記ピーク検出時間の差異を解消し得る。これは、ヒートシール部材20/30の長手方向に渡って等しいヒートシール時間を提供し、したがって高品質なヒートシールを提供する。
【0059】
センサ10が支持部材40の近傍に配置された少なくとも1つの機構要素の振動を検出する可能性がある。そこで、ヒートシール装置1は、さらに、機構要素の固有振動数を除去するフィルター回路(図示略)を備え、センサ10の検出信号を当該フィルター回路に通すことにより、第1ピークおよび第2ピークでの検出信号をより際立たせてもよい。
【0060】
上記実施形態では、ヒートシール動作の際に、第1および第2ヒートシール部材20,30が第1および第2ヒータ21,31によってそれぞれ加熱されている。ヒートシール動作の際に、ヒートシール部材20,30の一方だけが加熱され、他方が加熱されていなくてもよい。すなわち、ヒートシール装置1は、ヒートシール動作の際に、一方の内臓のヒータカートリッジを非加熱状態にしてもよい。これに代えて、ヒートシール装置1は、ヒータ21,31のどちらか一方だけを備えてもよい。ヒートシール部材20,30の一方または双方のどちらを加熱するかは、ウェブ60,61の性質や、製造される袋の種類によって決定される。
【0061】
以下、図5A図5Cを参照して、ヒートシール装置1を含む製袋機の一例が説明される。
【0062】
製袋機は、胴材としてのウェブ60,61をその長さ方向に間欠搬送する搬送装置7(図5B)を備える。符号Xは、ウェブ60,61の搬送方向を示す。搬送装置7は、例えば、ウェブ60,61を案内して互いに重ね合わせるためのローラ70と、ウェブ60,61を間欠搬送するために駆動される搬送ローラ対71とを含んでよい。
【0063】
実施形態では、1枚の大幅のウェブが連続的に原反6から繰り出され、スリットされて、ウェブ60,61に分割される。ダンサー装置8が、ウェブ60,61の搬送を、連続搬送から間欠搬送に適切に変換している。ウェブ60,61は、例えば、プラスチックのフィルムでよい。代わりに、ウェブ60,61は、紙のベースと、当該ベースに部分的にまたは全体的にラミネートされたフィルムまたは樹脂材とからなってもよい。
【0064】
製袋機は、さらに、ヒートシール装置1の一例として縦ヒートシール装置1aを備える。縦ヒートシール装置1aは、ダンサー装置8の下流に配置されて、ウェブ60,61の間欠搬送の停止の間に、ウェブ60,61を、その長さ方向においてヒートシールするように構成されている。縦ヒートシール装置1aは、間欠搬送の度に、ウェブ60,61をヒートシールするように構成されている。
【0065】
実施形態の縦ヒートシール装置1aは、ウェブ60,61をその両側でヒートシールするために、第1および第2シールユニット2,3の対を2つ備える。図5Cは、図5Aの領域Tを拡大して説明する。図5Cの通り、2つの支持部材40が、それぞれ、ウェブ60,61の幅方向に渡ってのび、2つの第1シールユニット2をウェブ60,61の幅方向に移動可能に支持している。第2シールユニット3も、同様に、ウェブ60,61の幅方向に移動可能に支持部材50(図5A図5Cでは図示されない)に支持されている。したがって、第1および第2シールユニット2,3の対の位置をウェブ60,61の幅方向に調整することができる。ポール41およびそれに関連する構成要素が、2つの支持部材40の両端に設けられている。2つの支持部材40及び支持部材50は公知の構成によりウェブ60,61の長さ方向に移動可能に設けられている。
【0066】
製袋機は、さらに、ヒートシール装置1の一例として横ヒートシール装置1bを備える。横ヒートシール装置1bは、縦ヒートシール装置1aの下流に配置されて、ウェブ60,61の間欠搬送の停止の間に、ウェブ60,61を、その幅方向においてヒートシールするように構成されている。横ヒートシール装置1bは、間欠搬送の度に、ウェブ60,61をヒートシールするように構成されている。実施形態の横ヒートシール装置1bは、第1および第2シールユニット2,3の対を複数備えている。
【0067】
ヒートシール装置1a,1bの第1および第2シールユニット2,3の対の数および配置は、1列製袋、2列製袋や袋の構造などに応じて適宜決定される。
【0068】
製袋機は、さらに、クロスカット装置9を備える。クロスカット装置9は、ウェブ60,61の間欠搬送の度に、ウェブ60,61をその幅方向においてクロスカットするように構成されている。クロスカットの度に、袋が製造される。
【0069】
上記製袋機は、例示にすぎない。ヒートシール装置1(1a,1b)は、様々な製袋機に組み込まれてよい。例えば、ヒートシール装置1は、胴材としてのウェブ60,61に加え、サイドガセット材、底ガセット材などの追加の構成要素を含む袋を製造する製袋機に組み込まれてよく、ウェブ60,61に加えて、任意で、追加の構成要素をヒートシールしてよい。
【0070】
ヒートシール装置1によって、ヒートシール品質を大きく左右する要因の一つであるヒートシール時間を高精度に調整することが可能となり、ヒートシールの質のばらつきが抑えられることは上記の通りである。したがって、ヒートシール装置1を含む製袋機は、高品質なヒートシールにより生産ロスを抑えることができる。
【符号の説明】
【0071】
1 ヒートシール装置
1a 縦ヒートシール装置
1b 横ヒートシール装置
10 センサ
11 測定部
12 判定部
13 警告装置
2 第1シールユニット
20 第1ヒートシール部材
21 第1ヒータ
3 第2シールユニット
30 第2ヒートシール部材
31 第2ヒータ
4 駆動機構
40 支持部材
43 チャージバネ
60,61 ウェブ
図1
図2
図3
図4
図5