IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 山口 敏明の特許一覧

特許7144040環形動物門、扁形動物門、刺胞動物門に属する動物の駆除剤
<>
  • 特許-環形動物門、扁形動物門、刺胞動物門に属する動物の駆除剤 図1
  • 特許-環形動物門、扁形動物門、刺胞動物門に属する動物の駆除剤 図2
  • 特許-環形動物門、扁形動物門、刺胞動物門に属する動物の駆除剤 図3
  • 特許-環形動物門、扁形動物門、刺胞動物門に属する動物の駆除剤 図4
  • 特許-環形動物門、扁形動物門、刺胞動物門に属する動物の駆除剤 図5
  • 特許-環形動物門、扁形動物門、刺胞動物門に属する動物の駆除剤 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-20
(45)【発行日】2022-09-29
(54)【発明の名称】環形動物門、扁形動物門、刺胞動物門に属する動物の駆除剤
(51)【国際特許分類】
   A01N 59/06 20060101AFI20220921BHJP
   A01N 25/04 20060101ALI20220921BHJP
   A01P 15/00 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
A01N59/06 Z
A01N25/04 102
A01P15/00
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018158307
(22)【出願日】2018-08-27
(65)【公開番号】P2020033270
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-07-01
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)以下の日付及びURLにおける電気通信回線を通じた公開平成30年6月8日 https://www.youtube.com/watch?v=7AYE-cgKYE&t=223s平成30年7月4日 https://www.youtube.com/watch?v=bqS3sTNDQDE&t=30s平成30年6月10日 https://medakacom.seesaa.net/article/459917528.html平成30年6月12日 https://medakacom.seesaa.net/article/459953427.html平成30年6月14日 https://medakacom.seesaa.net/article/88966.html平成30年7月4日 https://medakacom.seesaa.net/article/460339917.html平成30年7月15日 https://medakacom.seesaa.net/article/460532629.html平成30年8月25日 https://medakacom.seesaa.net/article/461278865.html(2)以下の日付及び場所における販売、配布による公開平成30年7月30日 BeeQuest平成30年7月22日 アクアヒーリング平成30年7月23日 株式会社阿蘇熱帯魚平成30年7月25日 株式会社エムピージェー平成30年7月27日 株式会社水槽 等
(73)【特許権者】
【識別番号】518299312
【氏名又は名称】山口 敏明
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(74)【代理人】
【識別番号】100196313
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 大輔
(72)【発明者】
【氏名】山口 敏明
【審査官】三須 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-223984(JP,A)
【文献】特開2017-121776(JP,A)
【文献】特開2002-255713(JP,A)
【文献】特開2019-055922(JP,A)
【文献】特開2000-72610(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N
A01P
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貝殻、卵殻、珊瑚殻から選ばれる1又は2以上の焼成破砕物からなり、
環形動物門、扁形動物門、刺胞動物門に属する水棲の動物から選ばれる1又は2以上を駆除対象とし、
60Lの水量に対し、0.5g~1.2gの前記焼成破砕物を、水中に投与するための、
動物駆除剤。
【請求項2】
前記焼成破砕物が貝殻の焼成破砕物である、請求項1に記載の動物駆除剤。
【請求項3】
前記駆除対象が、プラナリア、ヒル、ヒドラ、コウガイビル、ミズミミズ、ザリガニミミズから選ばれる1又は2以上であり
前記焼成破砕物を含む液体を、注入器を用いて投与する形態の、請求項1又は2に記載の動物駆除剤。
【請求項4】
前記駆除対象と、甲殻類、水草及び/又は魚類の共存する水中に投与するための、請求項1~3の何れか1項に記載の動物駆除剤。
【請求項5】
前記駆除対象が淡水に生息する動物である、請求項1~4の何れか1項に記載の動物駆除剤
【請求項6】
前記の焼成破砕物を、水のpHをpH7.5以上、pH13以下となるよう適用する、請求項1~5の何れか1項に記載の動物駆除剤。
【請求項7】
貝殻、卵殻、珊瑚殻から選ばれる1又は2以上の焼成破砕物を、
環形動物門、扁形動物門、刺胞動物門に属する水棲の動物から選ばれる1又は2以上を駆除対象とし、
60Lの水量に対し、0.5g~1.2gの前記焼成破砕物を、水中に投与する、動物駆除方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環形動物門、扁形動物門、刺胞動物門に属する動物の駆除剤に関する。
【背景技術】
【0002】
熱帯魚、エビ等の水棲生物は、鑑賞用として広く家庭等において飼育されている。
【0003】
アカムシなどのエサの投入、水草の設置、水棲生物の投入時に、ヒルやプラナリアなどの生物が水槽中に混入することがある。ヒルやプラナリア等が水槽中に混入すると、ヒルやプラナリアが餌に群がりエビが餌を食べることが出来ない、プラナリアがエビの体に吸着し栄養分を吸い取るなどの問題があった。また、混入したヒルやプラナリアは観賞用の水槽の景観を損ねるといった問題もあった。
以上の理由から、ヒルやプラナリアを駆除する技術が求められていた。
【0004】
ここで、水槽中に混入したヒルやプラナリアを駆除するためには、水槽中の水を交換する必要があった。
【0005】
ところで、貝殻焼成カルシウムは、従来、抗菌作用があることが知られている(特許文献1 段落0029 参照)。
【0006】
また、特許文献2には、酸化マグネシウムと酸化カルシウムとの焼結体粒子が、棘皮動物(ヒトデやウニ)を駆除する作用を奏することが記載されている(特許文献2)。
【0007】
また、貝殻を高温で焼いた後粉末にした粉を混合した線香が知られている(特許文献3)。
【0008】
特許文献4にあるように、焼成カルシウムとしては、牡蠣殻、ホタテ貝殻、ホッキ貝殻、卵殻又は珊瑚殻の焼成物などが広く知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】国際公開2016/002790号パンフレット
【文献】特開2002-255713号公報
【文献】特開2007-001903号公報
【文献】国際公開2010/150850号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述の先行技術のあるところ、本発明は、環形動物門、扁形動物門、刺胞動物門に属する動物を駆除できる手段を提供することを課題とする。
特に、本発明の好ましい実施の形態では、甲殻類、魚類といった生物に害がなく、環形動物門、扁形動物門、刺胞動物門に属する動物を駆除できる手段を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決する本発明は、貝殻、卵殻、珊瑚殻から選ばれる1又は2以上の焼成破砕物からなる、環形動物門、扁形動物門、刺胞動物門に属する動物から選ばれる1又は2以上を駆除対象とする、動物駆除剤である。
貝殻、卵殻、珊瑚殻の焼成破砕物といった天然由来成分を有効成分とすることで、環形動物門、扁形動物門、刺胞動物門に属する動物を効率よく駆除することができる。
【0012】
本発明の好ましい形態では、前記焼成破砕物が貝殻の焼成破砕物である。
焼成破砕物として貝殻の焼成破砕物を用いることで、環形動物門、扁形動物門、刺胞動物門に属する動物を効率よく駆除することができる。
【0013】
また、本発明の好ましい形態では、前記駆除対象が、プラナリア、ヒル、ヒドラ、コウガイビル、ミズミミズ、ザリガニミミズから選ばれる1又は2以上である。
【0014】
また、本発明の好ましい形態では、水中に投与するための動物駆除剤である。
【0015】
また、本発明は、貝殻、卵殻、珊瑚殻から選ばれる1又は2以上の焼成破砕物を適用することを特徴とする、環形動物門、扁形動物門、刺胞動物門に属する動物から選ばれる1又は2以上を駆除対象とする、動物駆除方法でもある。
【0016】
また、本発明の動物駆除方法の好ましい実施の形態では、前記焼成破砕物を水中に投与することを特徴とする。
【0017】
本発明の動物駆除方法の好ましい実施の形態では、60Lの水量に対し、0.5g~1.2gの前記焼成破砕物を投与することを特徴とする。
【0018】
60Lの水量に対し、0.5g~1.2gの前記焼成破砕物を投与することで、環形動物門、扁形動物門、刺胞動物門に属する動物を効率よく駆除することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、環形動物門、扁形動物門、刺胞動物門に属する動物を効率よく駆除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】(A) 貝殻の焼成している様子を示す、参考模式図である。(B) 焼成した貝殻を粉砕する様子を示す、参考模式図である。
図2】(A) 本発明のキットを示す、参考模式図である。(B) 貝殻の焼成破砕物を水に混合させる工程を示す、参考模式図である。(C) 水に混合させた貝殻の焼成破砕物を注射器で吸い上げる工程を示す、参考模式図である。
図3】(A) 実施例1における、ミナミヌマエビ、ヒル、プラナリアの共存する水槽を示す、参考模式図である。(B) 実施例1における、貝殻の焼成破砕物の注入方法を示す、参考模式図である。
図4】(A) 実施例1における、貝殻の焼成破砕物の注入直後のヒル、プラナリアの様子を示す、参考模式図である。(B) 実施例1における、貝殻の焼成破砕物注入後の水槽の様子を示す、参考模式図である。
図5】(A) 実施例4における、ミナミヌマエビ、ミズミミズの共存する水槽を示す、参考模式図である。(B) 実施例4における、貝殻の焼成破砕物注入後の水槽の様子を示す、参考模式図である。
図6】(A) ミナミヌマエビ、ヒドラの共存する水槽での実施の形態(実施例5)を示す、参考模式図である。(B) メダカ、プラナリアの共存する水槽での実施の形態(実施例6)を示す、参考模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されず、本発明の範囲内で自由に変更することができる。
【0022】
本発明は、貝殻、卵殻、珊瑚殻の焼成破砕物を有効成分とする。中でも、本発明の有効成分は、貝殻の焼成破砕物であることが好ましい。
貝殻、卵殻、珊瑚殻の焼成破砕物を有効成分とすることで、環形動物門、扁形動物門、刺胞動物門に属する動物を効率よく駆除することができる。
【0023】
ここで、貝殻の種類には、特に制限はない。貝殻の種類としては、ホタテの貝殻を特に好ましく挙げることができる。
【0024】
有効成分は、好ましくは500℃以上、より好ましくは700℃以上、さらに好ましくは900℃以上、特に好ましくは950℃以上の条件で焼成したものであることが好ましい。
焼成破砕物の製造時の焼成温度を下限以上とすることで、環形動物門、扁形動物門、刺胞動物門に属する動物をより効率よく駆除することができる。
【0025】
また、有効成分は、好ましくは2000℃以下、より好ましくは1500℃以下、さらに好ましくは1200℃以下、特に好ましくは1100℃以下の条件で焼成したものであることが好ましい。
焼成破砕物の製造時の焼成温度を上限以下とすることで、環形動物門、扁形動物門、刺胞動物門に属する動物をより効率よく駆除することができる。
【0026】
また、有効成分は、好ましくは30分以上、より好ましくは40分以上、さらに好ましくは50分以上の条件で焼成したものであることが好ましい。
焼成破砕物の製造時の焼成時間を下限以上とすることで、環形動物門、扁形動物門、刺胞動物門に属する動物をより確実に駆除することができる。
【0027】
また、有効成分は、好ましくは5時間以下、より好ましくは4時間以下、さらに好ましくは2時間以下、特に好ましくは1.5時間以下の条件で焼成したものであることが好ましい。
焼成破砕物の製造時の焼成時間を上限以下とすることで、環形動物門、扁形動物門、刺胞動物門に属する動物をより効率よく駆除することができる。
【0028】
ここで、焼成の手段に特に制限はなく、例えば、焼成機を用いる方法を好ましく挙げることができる(図1 (A) 参照)
【0029】
また、破砕の手段に特に制限はなく、破砕方法としては、例えば、手作業による粉砕(図1 (B) 参照)、粗砕機、粉砕機等を用いる方法等を、好ましく挙げることができる。
【0030】
ここで、本発明に用いる焼成破砕物は、貝殻、卵殻、珊瑚殻を焼成、破砕をした後に、洗浄、濾過などの方法により精製したもの(焼成カルシウム)であることがより好ましい。
【0031】
以下、本発明の駆除対象について、より好ましい実施の形態を説明する。
【0032】
貝殻、卵殻、珊瑚殻の焼成破砕物を有効成分とすることで、環形動物門、扁形動物門、刺胞動物門に属する動物を効率よく駆除することができる。
【0033】
ここで、環形動物門に属する動物としては、ヒル、ミズミミズ、ザリガニミミズ、アブラミミズ、ヤマビル、チューブワーム、オヨギゴカイ、ウィワクシア、チンチロフサゴカイ、ハナビル、ケヤリムシ、トロコフォア、コオリミミズ、サツマハオリムシ、ミクロカエトゥス・ラピ、イバラカンザシ、ホネクイハナムシ、ウミケムシ、カニビルを好ましく挙げることができる。中でも、駆除対象は、ヒル、ミズミミズ、ザリガニミミズであることが好ましい。
【0034】
また、扁形動物門に属する動物としては、プラナリア、セルカリア肝蛭、ミヤマウズムシ、コウガイビル、多包条虫、ナミウズムシ、大条虫、無鉤条虫、コラシジウム、ヒラムシ、マクロギロダクティルス・ポリプティ、単包条虫、ウェステルマン、肺吸虫等を挙げることができる。中でも、駆除対象は、プラナリア、コウガイビルであることが好ましい。
【0035】
また、刺胞動物門に属する動物としては、ヒドラ,シロガヤ,カツオノエボシ,オトヒメノハナガサ,アナサンゴモドキを挙げることができる。中でも、駆除対象は、ヒドラであることが好ましい。
【0036】
また、本発明の実施の形態では、水棲の動物を駆除対象とすることが好ましい。特に淡水に生息する動物を駆除対象とすることが好ましい。
【0037】
ここで、本発明は、前述した本発明の環形動物門、扁形動物門、刺胞動物門に属する動物駆除剤の有効成分を許容され得る賦形剤等、任意の添加剤を用いて製剤化することができる。
【0038】
製剤化するときの、剤型としては、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤などの固形製剤、溶液剤、シロップ剤、懸濁剤、乳剤、噴霧剤などを好ましく挙げることができる。
【0039】
また、製剤担体、添加剤については、製剤化するときの剤形に応じ、慣用の各種有機又は無機の担体を用いることができる。
ここで、固形製剤の場合には、添加剤として、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤等を好ましく挙げることができる。
また、液剤の場合には、添加剤として、水などの溶剤等を好ましく挙げることができる。
【0040】
また、本発明は、前述の有効成分を含むアクアリウム用品の形態とすることもできる。
ここで、「アクアリウム用品」とは、観賞魚用の水槽用、水槽周り用の物品を意味する。
「アクアリウム用品」としては、例えば、現在、日本において、海水魚用アクアリウム用品、熱帯魚用アクアリウム用品、淡水魚用アクアリウム用品、金魚用アクアリウム用品の態様で販売される物品を挙げることができる。
【0041】
また、本発明の有効成分を含むアクアリウム用品には、「環形動物門、扁形動物門、刺胞動物門に属する動物駆除のため」の用途の表示が付された形態とすることも好ましい。
【0042】
前記「表示」は、需要者に対して前記用途を知らしめる機能を有する全ての表示を含む。すなわち、前記用途を想起・類推させうるような表示であれば、表示の目的、表示の内容、表示する対象物・媒体等の如何に拘わらず、全て前記「表示」に該当する。
また、前記「表示が付された」とは、前記表示と、アクアリウム用品(製品)を関連付けて認識させようとする表示行為が存在していることをいう。
【0043】
表示行為は、需要者が前記用途を直接的に認識できるものであることが好ましい。具体的には、本発明のアクアリウム用品に係る商品又は商品の包装への前記用途の記載行為、商品に関する広告、価格表もしくは取引書類(電磁的方法により提供されるものを含む)への前記用途の記載行為が例示できる。
【0044】
また、アクアリウム用品は、前述の有効成分と、注入器と、を含むキットの形態とすることが好ましい。また、該キットは、さらに、計量器を含むことが好ましい。
【0045】
ここで、本発明は、前述の有効成分を用いる、環形動物門、扁形動物門、刺胞動物門に属する動物の駆除方法でもある。
以下、環形動物門、扁形動物門、刺胞動物門に属する動物に対する、前述の有効成分の適用に関し、より好ましい実施の形態を説明する。
【0046】
本発明の駆除方法においては、水中の環形動物門、扁形動物門、刺胞動物門に属する動物に対し、上述の有効成分を適用することが好ましい。特に、淡水中の環形動物門、扁形動物門、刺胞動物門に属する動物に対し、上述の有効成分を適用することが好ましい。
【0047】
特に、水の存在する環境に、上述の有効成分を投与する形態とすることが好ましい。
ここで、有効成分を投与する環境としては、水槽、貯水池、ダム、プールなどを挙げることができる。中でも、有効成分を投与する環境としては、水槽を好ましくあげることができる。
【0048】
水中の環形動物門、扁形動物門、刺胞動物門に属する動物に対し、上述の有効成分を適用する場合には、水のpHを好ましくはpH7.5以上、より好ましくはpH7.7以上、さらに好ましくはpH8以上とするよう、前述の有効成分を適用することが好ましい。
水中のpHが下限以上となるよう、前述の有効成分を適用することで、環形動物門、扁形動物門、刺胞動物門に属する動物をより確実に駆除することができる。
【0049】
水中の環形動物門、扁形動物門、刺胞動物門に属する動物に対し、上述の有効成分を適用する場合には、水のpHを好ましくはpH13以下、より好ましくはpH12以下、さらに好ましくはpH10以下となるよう、前述の有効成分を適用することが好ましい。
水中のpHが上限以下となるよう前述の有効成分を適用することで、環形動物門、扁形動物門、刺胞動物門に属する動物をより効率よく駆除することができる。
【0050】
なお、水のpHの値は、pH測定器を用いて計測した値を用いることができる。
【0051】
また、有効成分の投与量の下限は、有効成分の剤形及び駆除対象動物の数等によって異なるが、60Lの水に対し、好ましくは0.1g以上、より好ましくは0.5g以上、さらに好ましくは1g以上である。
有効成分の投与量を下限以上とすることで、環形動物門、扁形動物門、刺胞動物門に属する動物をより確実に駆除することができる。
【0052】
また、有効成分の投与量の上限は、60Lの水に対し、好ましくは1.6g以下、より好ましくは1.4g以下、さらに好ましくは1.3g以下、特に好ましくは1.2g以下である。
有効成分の投与量を上限以下とすることで、環形動物門、扁形動物門、刺胞動物門に属する動物をより効率よく駆除することができる。
【0053】
また、有効成分の投与は1日に1回又は数回に分けて行うことができ、投与期間は継続して行うことが好ましい。
ここで、上記の量の有効成分の投与を1日に1回行う場合の、投与の継続期間は好ましくは3日以上、より好ましくは1週間以上、より好ましくは1か月以上、さらに好ましくは3か月以上である。
有効成分の投与を継続して行うことで、環形動物門、扁形動物門、刺胞動物門に属する動物の発生を抑えることができる。
また、上記の期間、有効成分を継続して投与をした場合であっても、甲殻類、魚類といった他の生物に対しては、害がない。
【0054】
また、水中に有効成分を投与する手段に特に制限はなく、例えば、貝殻の焼成破砕物を含む液体を、注入器を用いて投与する方法(図2図3 参照)を、好ましく挙げることができる。
ここで、液体としては、水を好ましく挙げることができる。
【実施例
【0055】
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0056】
[製造例1]貝殻の焼成破砕物の製造
天日干ししたホタテ貝殻1の不純物を取り除き、該ホタテ貝殻1を1000℃、1時間の条件で焼成し、破砕することで、貝殻の焼成破砕物1b(以下、単に「有効成分」という)を製造した(図1 参照)。
【0057】
[実施例1]
プラナリア7、ヒル8(個体数計算不可)、及び、ミナミヌマエビ9約200匹の共存する、以下の条件の水槽6を用意した。
・水槽の大きさ:寸法60cm×30cm×36cm
・水量:57L
・生育条件:水替えは無し、足し水は1ヶ月に2L
・生育環境:水草有、ソイル有
・水温:23.5℃
・有効成分投与前のpH:7
・室温:24.5℃
【0058】
用意した水槽6に対し、製造例1で製造した有効成分1.2gを投与した。
ここで、有効成分の投与は、有効成分1.2gを水150mLに混合し、有効成分を含む水を注入器を用いて注入することにより、行った(図2図3 参照)。
【0059】
有効成分を投与した直後の水槽6では、プラナリア7、ヒル8が有効成分に反応し、死亡した(図4 参照)。ここで、有効成分を投与した直後の水槽6のpHを計測したところ、pHは8であった。また、投与後5時間経過後の水槽6のpHは7.7であり、投与後24時間経過後の水槽6のpHは7に戻っていた。
【0060】
以上より、有効成分はプラナリア7(扁形動物門に属する動物)、ヒル8(環形動物門に属する動物)を駆除する作用を有することが分かった。また、天然由来成分を有効成分とすることで、ミナミヌマエビ9(甲殻類)に害がないことがわかった。
また、水槽中にある水草にも害はなかった。
【0061】
[実施例2]
実施例1の水槽に対して、24時間経過ごとに、有効成分(1.2g)を前述の方法で、4か月間投与した(図2図3 参照)。
4か月経過までに、プラナリア7(扁形動物門に属する動物)、ヒル8(環形動物門に属する動物)の発生はなかった。
4か月経過までに死亡したミナミヌマエビ9は、200匹中2匹であった。ここで、4か月間での2匹のミナミヌマエビ9の死亡は、自然なものである(有効成分の影響ではないもの)と考えられる。また、水槽6中にある水草(図示せず)も、有効成分による影響はなかった。
【0062】
以上より、有効成分の複数回かつ継続的な投与によって、プラナリア7(扁形動物門に属する動物)、ヒル8(環形動物門に属する動物)の発生を抑制することができることがわかった。
また、複数回かつ継続的な有効成分の投与によっても、ミナミヌマエビ9(甲殻類)に影響はないことが分かった。
【0063】
[実施例3]
プラナリア7、ヒル8(個体数計算不可)、及び、ミナミヌマエビ9約200匹の共存する、寸法120cm×30cm×30cm、水量120Lの水槽6を用意した。ここで、水槽6の寸法及び、水量以外は、実施例1と同様の条件である。
【0064】
上記の水槽6に対し、水(300mL)に混合した有効成分(2.4g)を、実施例1の方法で投与した(図2図3 参照)。有効成分を投与した直後の水槽では、プラナリア7、ヒル8が有効成分に反応し、死亡することが確認できた。
【0065】
以上より、水槽の容量に関係なく、有効成分によって、プラナリア7、ヒル8を駆除することができることがわかった。
【0066】
[実施例4]
ミナミヌマエビ9とミズミミズ10の共存する、実施例1と同条件の水槽に対し、実施例1と同条件の量、方法で、有効成分を投与した。有効成分を投与した直後の水槽では、ミズミミズ10のみが有効成分に反応し、死亡することが確認できた。
以上より、有効成分がミズミミズ10(環形動物門に属する動物)を駆除する作用を有することが分かった。
【0067】
[実施例5]
ミナミヌマエビ9とヒドラ11の共存する、実施例1と同条件の水槽に対し、実施例1と同条件の量、方法で、有効成分を投与した。有効成分を投与した直後の水槽では、ヒドラのみが有効成分に反応し、死亡することが確認できた。
以上より、有効成分がヒドラ11(刺胞動物門に属する動物)を駆除する作用を有することが分かった。
【0068】
[実施例6]
プラナリア7、ヒル8、及びメダカ12の共存する、実施例1と同条件の水槽に対し、実施例1と同条件の量、方法で、有効成分を投与した。有効成分を投与した直後の水槽では、ヒル、プラナリアのみが有効成分に反応し、死亡することが確認できた。
以上より、有効成分は、メダカ12(魚類)に対しては、害を及ぼさないことがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、アクアリウム用品に応用することができる。
【符号の説明】
【0070】
1 ホタテ貝殻
1a 貝殻の焼成物
1b 貝殻の焼成破砕物
2 焼成機
3 キット
31 容器
32 注入器
33 スプーン
4 水
5 計量器
6 水槽
7 プラナリア
8 ヒル
9 ミナミヌマエビ
10 ミズミミズ
11 ヒドラ
12 メダカ

図1
図2
図3
図4
図5
図6