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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-20
(45)【発行日】2022-09-29
(54)【発明の名称】目地カバー装置及びその取り付け方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/68 20060101AFI20220921BHJP
【FI】
E04B1/68 100A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020202848
(22)【出願日】2020-12-07
(65)【公開番号】P2022090442
(43)【公開日】2022-06-17
【審査請求日】2020-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000127639
【氏名又は名称】株式会社エービーシー商会
(74)【代理人】
【識別番号】110000707
【氏名又は名称】弁理士法人市澤・川田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】力丸 真也
【審査官】荒井 隆一
(56)【参考文献】
【文献】実開昭55-116106(JP,U)
【文献】特開2002-021202(JP,A)
【文献】特開2018-021436(JP,A)
【文献】特開2005-330656(JP,A)
【文献】特許第3854626(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/62-1/99
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の屋根や屋上に設けられた間隙の開口を覆う目地カバー装置において、
間隙を挟んで相対する一方の躯体に取り付けられていて当該躯体から他方の躯体の上方に亘って張り出したカバー本体と、
前記他方の躯体の上部に取り付けられていて前記カバー本体の先端側下面に当接する受け体からなり、
前記カバー本体は、両側部に相互に接続可能な接続部がそれぞれ設けられたアルミ形材からなる複数のカバー材を、前記間隙の長さ方向に沿って並列させ、且つ隣接したカバー材の側部同士を接続して一体に継ぎ合わせて形成されているとともに、カバー本体の下面の先端部側に、当該カバー本体の長手方向に沿って伸びた縁補強体が取り付けられ、
この縁補強体の下面に前記受け体に取り付けられた止水部材が当接するように設けられた構成を有することを特徴とする目地カバー装置。
【請求項2】
カバー本体の長さ方向端部部分の下部に、間隙に設けられた外壁用の目地装置との取り合い部分での干渉を避けるための、下面が平らな枠体が一体に設けられた構成を有することを特徴とする請求項1に記載の目地カバー装置。
【請求項3】
カバー本体が取り付けられた側の躯体と、カバー本体の上面又は下面とが、支持アームで接続された構成を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の目地カバー装置。
【請求項4】
建物の屋根や屋上に設けられた間隙の開口を覆う目地カバー装置において、
前記間隙を挟んで相対する一方の躯体に取り付けられていて当該躯体から他方の躯体の上方に亘って張り出したカバー本体と、
前記他方の躯体の上部に取り付けられていて前記カバー本体の先端側下面に当接する受け体からなり、
前記カバー本体は、両側部に相互に接続可能な接続部がそれぞれ設けられたアルミ形材からなる複数のカバー材を、前記間隙の幅方向に沿って並列させ、且つ隣接したカバー材の側部同士を接続して一体に継ぎ合わせた構成を有することを特徴とする目地カバー装置。
【請求項5】
建物の屋根や屋上に設けられた間隙の開口を覆う目地カバー装置であって、前記間隙を挟んで相対する一方の躯体に取り付けられていて当該躯体から他方の躯体の上方に亘って張り出したカバー本体と、前記他方の躯体の上部に取り付けられていて前記カバー本体の先端側に当接する受け体からなる目地カバー装置の取り付け方法において、
前記カバー本体は、両側部に相互に接続可能な接続部がそれぞれ設けられたアルミ形材からなる複数のカバー材が、互いに両側部同士を一体に継ぎ合わせて形成されるものであり、
前記一方の躯体の端面に間隙の長さ方向に沿って前記カバー材の根元部が接続する接続部のアンカーベースを取り付ける工程と、
前記アンカーベースに前記各カバー材の根元部を宛がって接続部に固定し、各カバー材をその根元部側から先端部側へ向けて下方傾斜する勾配を付けて支持する工程と、
間隙の長さ方向の全体に亘って一体に継ぎ合わせたカバー材の先端部に沿って先端フレーム材を取り付ける工程と、
前記他方の躯体に止水部材が取り付けられた受け体を取り付ける工程と、
を有する目地カバー装置のカバー本体の取り付け方法。
【請求項6】
一体に継ぎ合わせたカバー材の先端部下面に沿って縁補強体を一体に取り付ける工程を含む請求項5に記載の目地カバー装置の取り付け方法。
【請求項7】
一体に継ぎ合わせたカバー材の長さ方向の両端部に側部フレーム材を取り付ける工程を含む請求項5又は6に記載の目地カバー装置の取り付け方法。
【請求項8】
カバー本体の長さ方向端部部分の下部に、間隙に設けられた外壁用の目地装置との取り合い部分での干渉を避けるための、下面が平らな枠体を一体に取り付ける工程を含む請求項5から7の何れかに記載の目地カバー装置の取り付け方法。
【請求項9】
建物の軒部に面した間隙の開口を覆う目地カバー装置であって、前記間隙を挟んで相対する一方の躯体に取り付けられていて当該躯体から他方の躯体の下方に亘って張り出したカバー本体と、前記カバー本体の先端部上面に取り付けられていて前記他方の躯体の下面に当接する止水部材からなる目地カバー装置の取り付け方法において、
前記カバー本体は、両側部に相互に接続可能な接続部がそれぞれ設けられたアルミ形材からなる複数のカバー材が、互いに両側部同士を一体に継ぎ合わせて形成されるものであり、
前記一方の躯体の端面に間隙の長さ方向に沿って前記カバー材の根元部が接続する接続部のアンカーベースを取り付ける工程と、
前記アンカーベースに前記各カバー材の根元部を宛がって接続部に固定して支持する工程と、
間隙の長さ方向の全体に亘って一体に継ぎ合わせたカバー材の先端部に沿って先端フレーム材を取り付ける工程と、
前記カバー本体の先端部上面に他方の躯体の下部に当接する止水部材を取り付ける工程と、
を含む目地カバー装置の取り付け方法。
【請求項10】
カバー本体の端部に配置されたカバー材をその長さ方向に沿って切断し、この切断部を含む当該カバー材の外面に、側部フレーム材を覆い被せる工程を含む請求項9に記載の目地カバー装置の取り付け方法。
【請求項11】
カバー材が取り付けられた側の躯体と、カバー材の上面又は下面とを、支持アームで接続する工程を含む請求項5から10の何れかに記載の目地カバー装置の取り付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の屋上などに設けられた目地部を覆う目地カバー装置の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
大型の建物は、これを構成する躯体の温度変化や地震のときなどにかかる荷重の影響を避けるため、構造物を複数の躯体に分割して躯体間に間隙を設けて建てられており、間隙を挟んだ躯体の壁や床、天井はエキスパンションジョイントを介して一体に接続され、建物の屋根や屋上に臨む間隙の開口は躯体間に架設した目地カバー装置で覆われている。
【0003】
従来の屋根用の目地カバー装置としては、例えば図18に示されるように、間隙100を挟んで相対する一方の躯体101の外壁に間隙100よりも幅広のカバー本体103を取り付け、他方の躯体102のパラペットに設けた水切り部材104をカバー本体103の下面に当接させて間隙100を塞いだ構成のものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
前記カバー本体103は、図19に示されるように、鋼製下地材103aとステンレス製のパネル103bにより構成されたものであるが、これに代えて、薄肉のホルダーとパネルにより構成されたものや、鋼製ブロックから切り出してハニカム加工がされた芯材の周囲を枠板と蓋板で囲った複合ハニカムパネルにより構成されたものも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平8-232351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記従来の目地カバー装置において、カバー本体がホルダーとパネルにより構成されたものは、製作コストが安価であるという利点はあるものの、風荷重に対する耐性が小さい。この構成は、大規模建築物の躯体間隙を覆う、大型の目地カバー装置には適していない。
一方、前記図示した鋼製下地103aとパネル103bでカバー本体103を構成したものや、複合ハニカムパネルにより構成したものは、風荷重に対する耐性が高く、製品幅も大きく設定することが可能であるが、これらは加工工程数が多くて製作費用が高額となるという欠点がある。
【0007】
また、後の二つのものは、工場で全体を一体型に製作したものを施工現場に運び入れて組み付けるようにしているが、製品幅を含めてカバー本体自体のサイズが大きいと、建物の屋上である施工現場への運搬が困難になるとともに、全体の重量が増すため取り回しも不便となって施工性が悪いという問題があった。
【0008】
さらに、後の二つのものは、間隙の長さ方向の寸法が大きい施工場所には、間隙上に沿って複数のカバー本体を並べて一体に接続し、接続部位にはシーリング材を充填して接続部の防水性を確保しているが、経年によりシーリング材が劣化したときに、ひび割れや破断、剥離が生じ、そのような部分から目地カバー装置の内側に雨水が浸入することがあった。
【0009】
本発明は、従来技術の有するこのような問題点に鑑み、運搬が容易であり、強度が大きく、施工性に優れた目地カバー装置を構成することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため本発明は、建物の屋根や屋上に設けられた間隙の開口を覆う目地カバー装置において、
間隙を挟んで相対する一方の躯体に取り付けられていて当該躯体から他方の躯体の上方に亘って張り出したカバー本体と、前記他方の躯体の上部に取り付けられていて前記カバー本体の先端側下面に当接する受け体からなり、
前記カバー本体は、両側部に相互に接続可能な接続部がそれぞれ設けられたアルミ形材からなる複数のカバー材を、前記間隙の長さ方向又は幅方向に沿って並列させ、且つ隣接したカバー材の側部同士を接続して一体に継ぎ合わせた構成を有することを特徴とする。
【0011】
これによれば、目地カバー装置のカバー本体は、アルミ形材からなる複数のカバー材を一体に継ぎ合わせて形成されている。カバー材はアルミ押出形材により成形されているので剛性が高く、これを複数継ぎ合わせて構成されるカバー本体も全体として剛性が十分に高くなる。カバー本体は強度が大きく、建物の屋上に取り付けても風荷重に対して強いので、大きな風圧を受けても変形したり破損したりすることはなく、製品幅を大きく設定することが可能である。
アルミ形材からなるカバー材は軽量で持ち運びや取り扱いが容易であり、施工現場において、間隙の長さ方向に沿ってカバー材を並べつつ、逐次、隣り合うカバー材の側部同士を接続して継ぎ合わせるという簡単な作業でカバー本体を形成して取り付けることが可能である。予め工場でカバー本体を製作しなくても現場対応で施工が可能なので、加工コストが安価に抑えられ、また、安全への配慮が必要なこの種の高所の施工場所における工事の施工性を向上させることができる。
【0012】
前記構成の目地カバー装置において、カバー本体を構成するカバー材は、その一側の側部に篏合部、他側の側部に他のカバー材の前記篏合部が篏合する被篏合部をそれぞれ設けて形成し、前記カバー材の被篏合部に他のカバー材の篏合部を篏合することでカバー材同士が一続きに継ぎ合わさるように構成することができる。
前記カバー本体は、複数のカバー材の側部同士を継ぎ合わせて構成され、カバー本体の表面は一続きのカバー面となるので、カバー材の継ぎ足しにより間隙の長さに応じた長さのカバー本体を簡単な作業で組み付けて形成することができ、カバー材同士の接続部位にシーリング材を充填する操作も不要であり、カバー材同士の継ぎ合わせによるカバー本体の防水性を確保することが可能である。
また、カバー本体は、間隙の幅方向に沿ってカバー材を並べ、隣り合うカバー材の側部同士を接続して継ぎ合わせて構成することもできる。
【0013】
屋上に臨む間隙の開口面に沿って取り付けられた前記目地カバー装置には、台風発生時に大きな風圧力がかかり、地震発生時にも躯体の揺れが伝わって振動する。製品幅と風荷重が大きい場合、カバー本体の躯体との接続部にかかる負荷も大きく、前記台風や地震により受ける外力の大きさによっては、接続部が破損する虞もある。
このような事態の招来を防ぐべく、前記構成の目地カバー装置において、躯体と、該躯体に取り付けられたカバー本体の上面部又は下面部とを支持アームで接続して補強した構成とすることができる。
【0014】
カバー本体に支持アームを接続して支持する場合、前記外力を受けたときにカバー本体に作用する応力が偏在しないようにするため、カバー本体の幅方向中央よりも先端部側に寄った位置に支持アームの端部が接続されていることが好ましいが、間隙を挟んで向き合う躯体同士の取り合いによっては、躯体の可動量を確保するため、支持アームのカバー本体への接続位置が制限を受ける場合がある。
例えば間隙を挟んで向き合うパラペットにカバー本体を架け渡して目地カバー装置を取り付ける態様では、支持アームの接続位置はパラペットの可動量を確保するためにカバー本体下面の根元部寄りとなる。このような場合、支持アームの接続位置からは遠い、カバー本体の先端部や出隅コーナー部などでは強度が低下し、前記外力を受けたときに作用する応力により材料が曲がったり躯体との接続部が破損したりすることがある。
そこで、カバー本体の先端部側の強度を高めるため、カバー本体の下面の少なくとも先端部側に、カバー本体の長手方向に沿って伸びた縁補強体を取り付けた構成とすることができる。カバー本体全体の強度を高めるため、カバー本体の先端部とよりも元端部側に、一つ又は間隔を開けて複数列に縁補強体を取り付けてもよい。
【0015】
前記構成の目地カバー装置において、カバー本体の上面を雨水が伝い落ちるように、カバー本体は、その根元部側から先端部側に向けて下方傾斜した勾配を与えて取り付けられるが、目地カバー装置が外壁用の目地装置の取り合い部分に設置されていた場合、地震発生にともなって両装置が可動したときに、外壁用の目地装置と干渉し支障を来す虞がある。
また、屋根側端部の下面又は外壁用の目地装置の上部に緩衝材を設けた場合、先端側と根元部側で高さが大きく変わり、可動したときに緩衝材への負荷が大きく、損傷を生じさせる虞がある。
そこで、外壁用の目地装置との取り合い部分での干渉を避けるため、前記カバー本体の長さ方向端部部分の下部に、下面が平らな枠体を一体に設けることが好ましい。
【0016】
前記構成の目地カバー装置は、建物の屋根や屋上に設けられた間隙の開口を塞ぐ態様に適用される他、建物の軒部に面した間隙の開口を塞ぐ態様にも適用可能である。
建物の軒部に面した間隙の開口を覆う目地カバー装置の態様としては、間隙を挟んで相対する一方の躯体に取り付けられていて当該躯体から他方の躯体の下方に亘って張り出したカバー本体を備え、当該カバー本体が、両側部に相互に接続可能な接続部がそれぞれ設けられたアルミ形材からなる複数のカバー材を、前記間隙の長さ方向又は幅方向に沿って並列させ、且つ隣接したカバー材の側部同士を接続して一体に継ぎ合わせた構成のものとすることができる。軒部に面した間隙に設置された目地カバー装置は、間隙がカバー本体で塞がれて軒天井を構成する。
また、前記軒部に面した間隙の開口を塞ぐ目地カバー装置において、間隙の長さ方向に沿ってカバー材を並列させてカバー本体が形成された態様のものでは、カバー本体の端部に配置されたカバー材をその長さ方向に沿って切断し、この切断部を含む当該カバー材の外面に、側部フレーム材を覆い被せて、カバー本体の側端部を収めることで、カバー本体を適宜な長さに調節することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態の目地カバー装置の側部フレーム材を外した状態の概略側面図である。
図2図1の目地カバー装置のカバー本体の要部横断面である。
図3図1の目地カバー装置の一方の躯体とカバー本体の根元部の接続部位を拡大して示した図である。
図4図1の目地カバー装置の他方の躯体とカバー本体の先端部位を拡大して示した図である。
図5図1の目地カバー装置のカバー本体の要部上面図(A)と、同図中のB-B線に沿った要部拡大端面図である。
図6図1の目地カバー装置のカバー本体を取り付ける手順を示した図である。
図7】他の実施形態の目地カバー装置の側部フレーム材を外した状態の概略側面図である。
図8】さらに他の実施形態の目地カバー装置の側部フレーム材を外した状態の概略側面図である。
図9】建物の屋上に設置される目地カバー装置と、その下方であって軒部に面した間隙を塞ぐ目地カバー装置の配置の態様を示した図である。
図10図9の軒部の目地カバー装置の側部フレーム材を外した状態の概略側面図である。
図11図10の目地カバー装置の一方の躯体とカバー本体の根元部の接続部位を拡大して示した図である。
図12図10の目地カバー装置のカバー本体の先端部位を拡大して示した図である。
図13図10中のXIII-XIII線に沿ったカバー本体端部部分の要部拡大端面図である。
図14】(A)はカバー本体の端部から側部フレーム材を分離した状態の端面図、(B)は端部を切断したカバー本体に側部フレーム材を装着した状態の端面図である。
図15】他の形態のカバー材同士を接続した状態の端面の外観を示した図である。
図16図15のカバー材を継ぎ合わせてカバー本体を構成する手順を示した図である。
図17】本発明の他の実施形態の目地カバー装置であって間隙幅方向に沿って並べたカバー材を接続してカバー本体を構成した目地装置の概略側面図である。
図18】従来の目地カバー装置の一例の概略側面図である。
図19図18の目地カバー装置の構成部材の概略外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明の技術的思想は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
【0019】
図1は本発明の一実施形態の目地カバー装置の側部フレーム材を外した状態の概略側面を示しており、同図に示されるように、本形態の目地カバー装置1は、建物の屋根であって建物の外壁である躯体Aと、屋上のパラペットである躯体Bの間に設けられた間隙Gの開口に沿って設置されている。
【0020】
目地カバー装置1は、間隙Gを挟んで相対する一方の躯体Aに取り付けられていて躯体Aから他方の躯体Bの上方に亘って張り出したカバー本体2と、前記躯体Bの上部に取り付けられていてカバー本体2の先端側下面に接する受け体3とにより構成されている。
【0021】
前記カバー本体2は、間隙Gの幅方向の寸法よりも長く形成されていて間隙Gの長さ方向に沿って側端部同士を継ぎ合わせて並列に配置された複数のカバー材21と、カバー材21の根元部を躯体Aに固定する接続部22と、一体に継ぎ合わせたカバー材21の先端に取り付けられた先端フレーム材23と、カバー材21の上面と躯体Aの側面とを接続した支持アーム24と、一体に継ぎ合わせたカバー材21の両側部に取り付けられた側部フレーム材25との各部材により形成されている。
【0022】
カバー材21は、図2に示されるように、平坦な上下両面間に仕切面を配置して内部が矩形断面の三つの中空部に区画されていて、間隙Gの幅方向の寸法よりも長く成形されたアルミ形材により形成してある。
図2に示されるように、カバー材21の両側部には、その一方に篏合部21a、他方に被篏合部21bがそれぞれ形成されており、カバー材21の篏合部21aを他のカバー材21の被篏合21bに篏合させてカバー材21,21の側部同士を連結し、且つ前記篏合部位に留めネジなどの固定部材4を螺合して固定することで、カバー材21,21同士を一体に継ぎ合わせて接続することができるように設けてある。同図に示されるように、一体に継ぎ合わされた複数のカバー材21の上面は、一続きの凹凸のない平面となる。
【0023】
接続部22は、図3に示されるように、間隙Gに面する躯体Aの端面にアンカーボルトなどの固定部材4でアンカーベース22aを固定し、このアンカーベース22aの間隙G内に突出したカバー受部と、カバー受部の上方に形成された凹部に端部を係合させたホルダー板22bとの間でカバー材21の根元部の上下両面を挟み込み、挟み込んだ両部材とカバー材21の根元部にボルトなどの固定部材4を通し、且つ端部をナット締めすることで、カバー材21を間隙G上に支持して躯体Aに接続するようになっている。接続部22に取り付けられたカバー材21は、その根元部側から先端部側へ向けて下方傾斜する勾配が付けられて支持される。
図3中、符番22cは接続部22の上部を覆う化粧カバー、22dはシール部材である。化粧カバー22cとシール部材22dの組付けは、カバー本体2を構成する全てのカバー材21の取り付け後に行われる。
【0024】
先端フレーム材23は、図4に示されるように、その高さ(厚み)Hを、カバー材21の高さよりも大きな寸法に設定して形成された、略々矩形の中空断面を呈するアルミ形材からなる長尺な筒材である。
同図に示されるように、一体に継ぎ合わされた複数のカバー材21の先端に接続板23aが取り付けられ、この接続板23aの外面に先端フレーム材23がその上面をカバー材21の上面と面一に揃えて固定部材4で取り付けてある。
【0025】
支持アーム24は、図1に示されるように、その一端側の端部を躯体Aの端面に設けられた前記接続部22よりも上方に形成されたアーム接続部A1に、他側の端部をカバー材21の上面に形成された連結突部21cにそれぞれ軸着して取り付けてある。
【0026】
側部フレーム材25は、カバー材21と同じ大きさに形成された枠材であり、図6に示されるように、並列させて一体に継ぎ合わされた複数のカバー材21の側面に取り付けられる。カバー材21の側面に側部フレーム材25が取り付けられた後、両部材の先端に先端フレーム材23が取り付けられる。
【0027】
また、図4に示されるように、一体に継ぎ合わされた複数のカバー材21の先端部側下面には、L字形鋼板同士を向かい合わせに組み付けて中空箱形に形成された縁補強体26を、各カバー材と直交させてカバー本体2の長手方向に沿って接合し、且つ縁補強体26にブラインドナットからなる固定部材4をカバー材21の下面に固着して取り付け、カバー本体2の先端部側下面の全域に亘って一体に取り付けられた縁補強体26でカバー本体2の先端部側を補強してある。
【0028】
さらに、図5に示されるように、カバー本体2の長さ方向端部部分の外壁用の目地装置との取り合い部分には、カバー本体2の下部に、下面が平らで躯体A側から水平に突出した枠体5を一体に取り付け、地震などによる躯体変動時に枠体5の平らな端面が前記外壁用の目地装置の端部6に接触することで、外壁用の目地装置との干渉が生じないように設けてある。
【0029】
また、受け体3は、躯体Bの上面上で間隙Gの長手方向に沿って取り付けられており、図4に示されるように、躯体Bの上端に笠木31とともに上面で止水部材33を支持する支持板32,32を一体に取り付けて、支持板32,32の上面に取り付けられた止水部材33が、前記縁補強体26の下面長手方向に沿って帯状に接合するように設けてある。
【0030】
前記構成の目地カバー装置1のカバー本体2の取り付けは、例えば次のような作業手順で行うことができる。
先ず、躯体Aの端面に間隙Gの長さ方向に沿って接続部22のアンカーベース22aを取り付ける。
【0031】
次いで、図6(A)に示されるように、カバー材21の根元部をアンカーベース22aに宛がって接続部22に固定する。固定したカバー材21が支持アーム24によりカバー本体2を支持する位置のものであるときは、支持アーム24を取り付ける。
そして、前記接続部22に固定されたカバー材21の側面に他のカバー材21を重ねて、両カバー材21,21の側部同士を篏合するとともに篏合部位を固定部材4で固定してカバー材21,21同士を継ぎ合わせ、当該継ぎ合わせた他のカバー材21の根元部を接続部22に固定する。
【0032】
図6(B)に示されるように、引き続き前記と同様に、接続部22に固定されたカバー材21に他のカバー材21を継ぎ合わせるとともに、新たに継ぎ合わせたカバー材21の根元部を接続部22に固定し、支持アーム24の支持位置で支持アーム24を躯体Aとカバー材21に接続して、間隙Gの長さ方向に全体に亘ってカバー材21を並列に取り付ける。
【0033】
間隙Gの長さ方向の全体に亘りカバー材21が取り付けられたならば、図6(C)に示されるように、一体に継ぎ合わせたカバー材21の先端部に沿って先端フレーム材23を取り付ける。また、継ぎ合わせたカバー材21の先端部下面に沿って縁補強体26を一体に取り付ける。
【0034】
そして、図6(D)に示されるように、一体に継ぎ合わされたカバー材21の長さ方向の両端部に側部フレーム材25を取り付け、外壁用の目地装置との取り合いがあるときには、端部のカバー材21の下部に枠体5を一体に取り付けてカバー本体2の取り付けが完了する。
躯体Bの上端に設ける受け体3の取り付けは、躯体Aにカバー本体2を取り付ける前に、或いはカバー本体2の取り付け作業と平行して行うことができる。
なお、カバー本体2の全体の強度を高めるため、図5に破線で示すように、カバー本体2の先端部よりも元端部側に、一つ又は間隔を開けて複数列に縁補強体27を取り付けてもよい。
【0035】
図7及び図8は本発明の目地カバー装置1の他の設置態様を示している。
図7に示された目地カバー装置1は、前記図示した形態と同様の建物の外壁である躯体Aと、屋上のパラペットである躯体Bの間に設けられた間隙Gの開口に沿って、支持アーム24を用いずに設置したものである。
また、図8に示された目地カバー装置1は、対面する屋上のパラペット同士である躯体Aと躯体Bの間に設けられた間隙Gの開口に沿って設置したものである。
図8の態様では、躯体Aの端面とカバー本体2の下面間に取り付けられる支持アーム24のカバー本体2との取り付け位置が、躯体A,B間が変位した場合を考慮して、カバー本体2の根元部側に寄った位置となることから、縁補強体26のカバー本体2への取り付けはカバー本体2の先端部側を補強する上で有効である。
【0036】
図9は、建物の屋根に臨む、躯体A,B間の間隙Gを目地カバー装置1で塞ぎ、その下方で躯体A,B間の軒部に面した間隙Gを、目地カバー装置1Aで塞いだ態様を示しており、目地カバー装置1Aは、建物の軒部に面した部分の間隙Gの開口を塞ぐように設置して軒天井を構成している。
【0037】
詳しくは、図10から図12に示されるように、目地カバー装置1Aは、前述の形態と同様に、カバー本体2は複数のカバー材21を間隙Gの長さ方向に沿って一体に継ぎ合わせて並列させてなり、各カバー材21は図10及び図11に示さるように躯体Aに設けた接続部22に固定してある。
また、カバー本体2の先端部上面に止水部材33が取り付けられ、これが躯体Bの端部下面に当接するように設けてある。
【0038】
前記目地カバー装置1Aのカバー本体2の側端部は、図13に示されるように、カバー本体2の端部のカバー材21の外面に側部フレーム材25Aを留めネジなどの固定部材4で固定して取り付けてあり、この側部フレーム材25Aの上面に外壁用の目地装置の端部6が当接するように設けてある。
図14に示されるように、側部フレーム材25Aは、カバー材21と同様にアルミ形材により形成されており、カバー材21の側端部の外面に被さって装着するようになっている。そして、カバー材21の端部を、その長手方向に沿って同図中の符号Cで示される幅だけ切断し、この切断部を含むカバー材21の外面に側部フレーム材を覆い被せて取り付けることで、カバー本体2の長さを適宜な長さに調節することができるようになっている。
【0039】
図15は、目地カバー装置1,1Aのカバー本体2を構成するカバー材21の他の形態の端面を示している。
図示したカバー材21は、前記と同様にアルミ形材により形成され、その両側部に篏合部21aと被篏合部21bがそれぞれ設けられており、長手方向を揃えて並べたカバー材21,21の前記篏合部21a及び被篏合部21bを篏合することで側部同士が接続し、留めネジなどの固定部材4を用いずに、カバー材21,21同士を一体に継ぎ合わせることができるように形成されたものである。
図16に示されるように、この場合のカバー本体2の組み立ては、間隙Gに沿って躯体Aに取り付けられた接続部22の略中央にカバー材21の根元部を固定して取り付け、このカバー材22の被篏合部22bにその先端部側から、これに並べる他のカバー材22の篏合部22aをスライド篏合させて側部同士を接続するとともに、当該他のカバー材22の根本部を接続部22に固定し、以降、隣接するカバー材21を順次取り付けて、カバー材21,21同士を一体に継ぎ合わせることで行うことができる。
【0040】
また、図17は、建物の外壁である躯体Aと屋上のパラペットである躯体Bの間に設けられた間隙Gの開口に沿って設置した目地カバー装置1の他の形態を示しており、これは、間隙Gの幅方向に沿って複数のカバー材21,21を並列に配置し、互いに側端部同士を一体に継ぎ合わせてカバー本体2を構成したものである。
【0041】
なお、図示した目地カバー装置1の形態及び同装置を構成する各部材の形態は一例であり、本発明は図示した形態に限定されず、他の適宜な形状で構成することができる。
カバー材21は、複数の中空部に区画した形状に形成したが、アルミ形材により成形されたものであれば形状は問わない。また、縁補強体は、L字型鋼を組み合わせて形成したが、任意の形状のアルミ形材その他の鋼材を用いて形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 目地カバー装置、2 カバー本体、21 カバー材、22 接続部、23 先端フレーム材、24 支持アーム、25 側部フレーム材、26,27 縁補強体、3 受け体、4 固定部材、5 枠体、6 目地装置、A,B 躯体、G 間隙
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