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特許7144100発光装置、電波発信装置及び制御システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-20
(45)【発行日】2022-09-29
(54)【発明の名称】発光装置、電波発信装置及び制御システム
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/19 20200101AFI20220921BHJP
   H05B 45/20 20200101ALI20220921BHJP
   H05B 47/105 20200101ALI20220921BHJP
   H05B 47/16 20200101ALI20220921BHJP
【FI】
H05B47/19
H05B45/20
H05B47/105
H05B47/16
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021519941
(86)(22)【出願日】2019-05-21
(86)【国際出願番号】 JP2019020115
(87)【国際公開番号】W WO2020235000
(87)【国際公開日】2020-11-26
【審査請求日】2021-10-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000232287
【氏名又は名称】日本電業工作株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149113
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 謹矢
(72)【発明者】
【氏名】丸山 央
(72)【発明者】
【氏名】萩原 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】川田 めぐみ
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-49843(JP,A)
【文献】特許第6473544(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/19
H05B 45/20
H05B 47/105
H05B 47/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電波を発信する発信機から、発光色を指示する指示情報を取得する指示情報取得手段と、
自装置の周囲にある他の発光装置から、当該他の発光装置の発光色の情報である発光色情報を取得する発光色情報取得手段と、
取得した前記指示情報と取得した前記発光色情報とにより、自装置の発光部を制御する制御手段とを備え
前記制御手段は、
予め定められた規則に従って、前記指示情報で指示された発光色で発光するように前記発光部を制御する処理、又は、前記発光色情報から特定される色で発光するように当該発光部を制御する処理の何れかの処理を行い、
前記指示情報で指示された発光色と前記発光色情報から特定される色との違いが予め定められた条件を満たす場合、当該発光色情報から特定される色で発光するように前記発光部を制御すること
を特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記発信機からの指示に基づいて、前記予め定められた規則を変更すること
を特徴とする請求項に記載の発光装置。
【請求項3】
電波を発信する発信機から、発光色を指示する指示情報を取得する指示情報取得手段と、
自装置の周囲にある他の発光装置から、当該他の発光装置の発光色の情報である発光色情報を取得する発光色情報取得手段と、
取得した前記指示情報と取得した前記発光色情報とにより、自装置の発光部を制御する制御手段と、を備え、
前記発光色情報取得手段は、前記他の発光装置から前記発光色情報を含む電波を受信し、
前記制御手段は、前記発光色情報を含む電波の強度が閾値以下の場合、当該発光色情報を除外して、前記発光部を制御すること
を特徴とする発光装置。
【請求項4】
発光装置の発光色を指示する指示情報を含む電波を発信する発信手段と、
発光装置から、当該発光装置の発光色の情報である発光色情報を取得する取得手段とを備え、
前記発信手段は、前記指示情報と取得した前記発光色情報とにより、発信する電波の特性を変更すること
を特徴とする電波発信装置。
【請求項5】
前記発信手段は、前記指示情報で指示した発光色と前記発光色情報から特定される色とが予め定められた条件を満たす場合、発信する電波の特性を変更すること
を特徴とする請求項に記載の電波発信装置。
【請求項6】
前記発信手段は、前記指示情報で指示した発光色と前記発光色情報から特定される色との違いが予め定められた基準を超える場合、発信する電波の特性を変更すること
を特徴とする請求項に記載の電波発信装置。
【請求項7】
前記取得手段は、複数の発光装置の各々から前記発光色情報を取得し
前記発信手段は、前記指示情報で指示した発光色と特定の関係を有する色で発光している発光装置の数が予め定められた条件を満たす場合、発信する電波の特性を変更すること
を特徴とする請求項に記載の電波発信装置。
【請求項8】
前記指示情報で指示した発光色と特定の関係を有する色で発光している発光装置の数を特定する特定手段を更に備え、
前記発信手段は、一のタイミングで前記特定手段が特定した発光装置の数と他のタイミングで当該特定手段が特定した発光装置の数との違いが予め定められた基準を超える場合、発信する電波の特性を変更すること
を特徴とする請求項に記載の電波発信装置。
【請求項9】
前記取得手段は、前記発光装置から前記発光色情報を含む電波を受信し、
前記発信手段は、前記発光色情報を含む電波の強度が閾値以下の場合、当該発光色情報を除外して、発信する電波の特性を変更すること
を特徴とする請求項に記載の電波発信装置。
【請求項10】
電波を発信する発信機について、発光装置の発光色を指示する指示情報を含む電波を発信するように制御する発信制御手段と、
前記発信機が発光装置から取得した当該発光装置の発光色の情報を、当該発信機から取得する取得手段と、
前記指示情報と取得した前記発光色の情報とにより、前記発信機が発信する電波の特性を変更するように制御する変更制御手段と
を備える制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置、電波発信装置及び制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、引用文献1には、複数の発光装置と制御システムとによって実行される照明演出方法であって、制御システムが、複数の発光装置のそれぞれが配置される位置に関する位置情報を、発光装置の識別情報に関連付けて位置データ記憶手段に登録し、発光データ記憶手段には、発光装置の配置される位置に応じて異なる複数の発光データが記憶されており、発光データを送信する工程において、制御システムは、位置データ記憶手段に登録されている位置情報と識別情報に基づいて、複数の発光装置ごとに、発光データ記憶手段から読み出して送信する発光データを決定する照明演出方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-11981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えばコンサートやライブなどの各種イベントの会場では、様々な演出が行われる。例えば、観客が携帯する発光装置を発光させるような演出で、発信機から受信した電波に基づいて発光装置を発光させる場合がある。このような演出では、例えば、発信機からの電波が障害物によって遮断されたために周囲の発光装置とは異なる色で発光装置が発光したり、発信機が発信する電波の特性が原因で、発光装置が所望の発光色に発光しなかったりすることが生じ得る。
本発明の目的は、発信機から発光色を指示する情報とともに周囲の発光装置の発光色の情報も考慮して、発光装置の発光部又は発信機の電波の特性を制御することを可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、電波を発信する発信機から、発光色を指示する指示情報を取得する指示情報取得手段と、自装置の周囲にある他の発光装置から、当該他の発光装置の発光色の情報である発光色情報を取得する発光色情報取得手段と、取得した前記指示情報と取得した前記発光色情報とにより、自装置の発光部を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、予め定められた規則に従って、前記指示情報で指示された発光色で発光するように前記発光部を制御する処理、又は、前記発光色情報から特定される色で発光するように当該発光部を制御する処理の何れかの処理を行い、前記指示情報で指示された発光色と前記発光色情報から特定される色との違いが予め定められた条件を満たす場合、当該発光色情報から特定される色で発光するように前記発光部を制御することを特徴とする発光装置である。
請求項に記載の発明は、前記制御手段は、前記発信機からの指示に基づいて、前記予め定められた規則を変更することを特徴とする請求項に記載の発光装置である。
請求項に記載の発明は、電波を発信する発信機から、発光色を指示する指示情報を取得する指示情報取得手段と、自装置の周囲にある他の発光装置から、当該他の発光装置の発光色の情報である発光色情報を取得する発光色情報取得手段と、取得した前記指示情報と取得した前記発光色情報とにより、自装置の発光部を制御する制御手段と、を備え、前記発光色情報取得手段は、前記他の発光装置から前記発光色情報を含む電波を受信し、前記制御手段は、前記発光色情報を含む電波の強度が閾値以下の場合、当該発光色情報を除外して、前記発光部を制御することを特徴とする発光装置である。
請求項に記載の発明は、発光装置の発光色を指示する指示情報を含む電波を発信する発信手段と、発光装置から、当該発光装置の発光色の情報である発光色情報を取得する取得手段とを備え、前記発信手段は、前記指示情報と取得した前記発光色情報とにより、発信する電波の特性を変更することを特徴とする電波発信装置である。
請求項に記載の発明は、前記発信手段は、前記指示情報で指示した発光色と前記発光色情報から特定される色とが予め定められた条件を満たす場合、発信する電波の特性を変更することを特徴とする請求項に記載の電波発信装置である。
請求項に記載の発明は、前記発信手段は、前記指示情報で指示した発光色と前記発光色情報から特定される色との違いが予め定められた基準を超える場合、発信する電波の特性を変更することを特徴とする請求項に記載の電波発信装置である。
請求項に記載の発明は、前記取得手段は、複数の発光装置の各々から前記発光色情報を取得し前記発信手段は、前記指示情報で指示した発光色と特定の関係を有する色で発光している発光装置の数が予め定められた条件を満たす場合、発信する電波の特性を変更することを特徴とする請求項に記載の電波発信装置である。
請求項に記載の発明は、前記指示情報で指示した発光色と特定の関係を有する色で発光している発光装置の数を特定する特定手段を更に備え、前記発信手段は、一のタイミングで前記特定手段が特定した発光装置の数と他のタイミングで当該特定手段が特定した発光装置の数との違いが予め定められた基準を超える場合、発信する電波の特性を変更することを特徴とする請求項に記載の電波発信装置である。
請求項に記載の発明は、前記取得手段は、前記発光装置から前記発光色情報を含む電波を受信し、前記発信手段は、前記発光色情報を含む電波の強度が閾値以下の場合、当該発光色情報を除外して、発信する電波の特性を変更することを特徴とする請求項に記載の電波発信装置である。
請求項10に記載の発明は、電波を発信する発信機について、発光装置の発光色を指示する指示情報を含む電波を発信するように制御する発信制御手段と、前記発信機が発光装置から取得した当該発光装置の発光色の情報を、当該発信機から取得する取得手段と、前記指示情報と取得した前記発光色の情報とにより、前記発信機が発信する電波の特性を変更するように制御する変更制御手段とを備える制御システムである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、発信機から発光色を指示する情報とともに周囲の発光装置の発光色の情報も考慮して、発光装置の発光部又は発信機の電波の特性を制御することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施の形態が適用される演出システムの概念を説明する図である。
図2】アンテナのハードウェア構成例を示す図である。(A)は、複数のアンテナの平面図、(B)は、個々のアンテナの平面図、(C)は、(B)のIIC-IIC線でのアンテナの断面図である。
図3】ペンライトのハードウェア構成例を示す図である。
図4】ホストコンピュータのハードウェア構成例を示す図である。
図5】ペンライトの制御部の機能構成例を示したブロック図である。
図6】ホストコンピュータの機能構成例を示したブロック図である。
図7】ペンライトの発光処理の手順の一例を示したフローチャートである。
図8】ペンライトが発光色を補正する処理の手順の一例を示したフローチャートである。
図9】(A)、(B)は、演出システムで行われる処理の流れを説明するための具体例を示す図である。
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0009】
<演出システムの全体構成>
図1は、本実施の形態が適用される演出システム1の概念を説明する図である。本実施の形態に係る演出システム1は、イベント会場などの予め定められたエリア内(即ち、予め定められた領域内)にあるペンライト20を用いて演出を行うためのシステムである。演出システム1は、アンテナ10(図示の例では、5台)、ペンライト20(図示の例では、15台)、及びホストコンピュータ30を備える。
【0010】
以下では、5台のアンテナ10をそれぞれ区別する場合には、アンテナ10-1~10-5と表記する。また、15台のペンライト20をそれぞれ区別する場合には、ペンライト20-1~20-15と表記する。ただし、本実施の形態において、アンテナ10の台数は図示の5台には限定されない。同様に、ペンライト20の台数は図示の15台には限定されない。また、演出システム1が構成される予め定められたエリアは、屋内に限らず、屋外であってもよい。
【0011】
アンテナ10は、予め定められたエリア内に電波を照射するアンテナである。図1に示す例では、アンテナ10-1~10-5のそれぞれは互いに異なる設置位置に配置され、壁面に貼るようにして、イベント会場内の舞台の幅方向に並べて設置される。アンテナ10は、特定の方向に対して電波の放射を集中させる(即ち、特定の方向に対して電波を照射する)指向性を有しており、例えば、平面アンテナやパラボラアンテナ、八木アンテナ、セクターアンテナなどが例示される。
また、アンテナ10が電波によって送信する信号には、ペンライト20の発光色を指示する情報(以下、色指示情報と称する)が含まれる。この色指示情報は、ペンライト20の発光色を制御して外観を変化させるものであり、電波の照射領域に存在するペンライト20に対して外観を変化させることを指示するものである。なお、本実施の形態では、指示情報の一例として、色指示情報が用いられる。
【0012】
さらに説明すると、アンテナ10は、Bluetooth(登録商標)LE(Low Energy)の通信方式の1つであるブロードキャスト通信方式を使用する。Bluetooth LEのブロードキャスト通信方式は、接続する機器を探索するための信号であるアドバタイズパケットを利用することで、特定の機器との間で接続を確立することなく、不特定の対象に向けて信号を送信する方式である。アドバタイズパケットはペイロード部を有しており、このペイロード部に、上述した色指示情報のデータが格納される。
【0013】
なお、本実施の形態では、アンテナ10が、ホストコンピュータ30から送信された制御信号に基づいて色指示情報を生成するのではなく、例えば、ホストコンピュータ30等が色指示情報を生成してもよい。この場合、ホストコンピュータ30は、色指示情報をアンテナ10に送信し、アンテナ10は、送信された色指示情報をアドバタイズパケットに格納する。
【0014】
また、アンテナ10は、隣接する他のアンテナ10とデータ線で接続されており、データ線を介してアンテナ10間でデータの送受信が行われる。ただし、アンテナ10間のデータの送受信は、データ線を介して行う構成に限られず、例えば、無線通信によってデータの送受信を行ってもよい。
さらに、アンテナ10には、不図示のAC給電部や電池給電部によって電力が供給される。例えば、AC給電部は、交流電源(即ち、AC電源)のコンセントであって、接続されることにより交流電源からアンテナ10に電力が供給される。また、例えば、電池給電部は、電池を内蔵し、接続されることにより電池からアンテナ10に電力が供給される。さらに、アンテナ10には、バスパワー方式として、ホストコンピュータ30等のコンピュータ装置から通信ケーブルを経由して電力を供給してもよい。例えば、ホストコンピュータ30からUSB(Universal Serial Bus)ケーブルを介して、アンテナ10に電力が供給される。
【0015】
ペンライト20は、携帯可能な発光器具であり、例えばコンサートやライブなどの各種イベントの会場で観客が手で持ち、発光して利用される。このペンライト20は、アンテナ10からの電波を受信し、電波によって送信された色指示情報に基づいて発光する。ここで、ペンライト20は、1つのアンテナ10から電波を受信した場合には、受信した電波に含まれる色指示情報で指示された発光色にて発光する。また、ペンライト20は、複数のアンテナ10から電波を受信した場合、受信した各々の電波の強度に基づいて、各々の電波の色指示情報で指示された発光色を混合して発光する。さらに、詳細は後述するが、ペンライト20は、発光色を補正する処理を行う。
【0016】
ホストコンピュータ30は、アンテナ10による電波の照射を制御するコンピュータ装置である。ホストコンピュータ30は、例えば、電波に含まれる色指示情報の内容を制御したり、アンテナ10による電波の照射領域を制御したりする。電波の照射領域の制御は、例えば、電波の照射及び停止、電波の強度、電波の照射方向、電波のビーム幅(即ち、指向性)等を制御することにより行われる。また、ホストコンピュータ30は、アンテナ10-5に接続される。そして、ホストコンピュータ30は、各アンテナ10に対する制御信号をまとめてアンテナ10-5に送信する。
付言すると、ホストコンピュータ30からの制御信号は、アンテナ10-5、アンテナ10-4、アンテナ10-3、アンテナ10-2、アンテナ10-1の順番で、各アンテナ10に送信される。ただし、ホストコンピュータ30が制御信号を送信する手法は、このような構成に限られない。例えば、ホストコンピュータ30と各アンテナ10とを有線で接続して、ホストコンピュータ30が各アンテナ10のそれぞれに対して、直接、制御信号を送信してもよい。また、ホストコンピュータ30が各アンテナのそれぞれに対して、無線通信により、制御信号を送信してもよい。
【0017】
本実施の形態において、アンテナ10は、発信機、電波発信装置の一例として用いられる。また、ペンライト20は、発光装置の一例として用いられる。さらに、ホストコンピュータ30は、制御システムの一例として用いられる。
【0018】
<アンテナのハードウェア構成>
次に、アンテナ10のハードウェア構成について説明する。図2は、アンテナ10のハードウェア構成例を示す図である。図2(A)は、複数のアンテナ10-1~10-5の平面図、図2(B)は、個々のアンテナ10の平面図、図2(C)は、図2(B)のIIC-IIC線でのアンテナ10の断面図である。
なお、図2は平面アンテナのハードウェア構成例であるが、上述したように、本実施の形態に係るアンテナ10は平面アンテナに限られない。
【0019】
アンテナ10-1~10-5のそれぞれは、可撓性(即ち、フレキシビリティ性)を有する配線板40に列状に配列されて接続されている。
配線板40は、例えばフレキシブルプリント配線板(FPC:Flexible Printed Circuits)である。配線板40内には、電力供給線とデータ線とが設けられており、電力供給線によってアンテナ10-1~10-5に電力が供給されるとともに、データ線によって隣接するアンテナ10間でデータの送受信が行われる。
また、アンテナ10は、図2(B)に示すように、アンテナ部110と通信制御部120とを備えている。なお、図2(B)は、アンテナ10-2~10-4のように、両隣に他のアンテナ10がある場合の例を示している。
【0020】
アンテナ部110は、図2(C)に示すように、絶縁基板111、絶縁基板111の一方の面(裏面)に設けられた接地(GND)電極112、絶縁基板111の他方の面(表面)に設けられた複数(図示の例では、4個)の放射電極113、放射電極113と通信制御部120とを接続する信号分配配線114を備える。放射電極113は、外形が正方形である。なお、4個の放射電極113をそれぞれ区別する場合には、放射電極113-1、113-2、113-3、113-4と表記する。また、絶縁基板111の表面側は、アンテナ部110の表面側であり、アンテナ10の表面側である。絶縁基板111の裏面側は、アンテナ部110の裏面側であり、アンテナ10の裏面側である。
【0021】
絶縁基板111は、例えば、基材がポリイミドなどの樹脂フィルムで構成され、接地電極112、放射電極113及び信号分配配線114が基材上に設けられた銅層(銅箔)、銀層(銀箔)などの電導性材料で構成されている。そして、放射電極113及び信号分配配線114は、1つの電導性材料の層から構成され、連続している。
そして、アンテナ部110は、絶縁基板111の裏面に設けられた接地電極112と絶縁基板111の表面に設けられた放射電極113とで構成される。即ち、アンテナ部110は、接地電極112と、放射電極113-1、113-2、113-3、113-4のそれぞれとで構成される4個の平面アンテナ(平面アンテナI、II、III、IV)で構成されていることになる。
【0022】
通信制御部120は、アンテナ部110との間で信号の送受信を行うとともに、データの処理や、他のアンテナ10、ペンライト20、ホストコンピュータ30との間でデータのやり取りを行う。通信制御部120は、例えば、Bluetooth LEの機能を搭載した1チップの半導体部品を含む。即ち、通信制御部120は、データを処理するマイクロプロセッサ、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などを備えている。そして、Bluetooth LEの機能を実現するためのプログラムに加えて、アプリケーション開発者が開発したプログラムが実装されている。アプリケーション開発者が開発したプログラムは、ホストコンピュータ30から送信された制御信号に基づく処理を行うためのものである。付言すると、通信制御部120は、色指示情報を生成し、Bluetooth LEのブロードキャスト通信によって、色指示情報を含む電波を照射するように制御する。
【0023】
そして、通信制御部120は、CSP(Chip Size Package)などの技術により、アンテナ部110の絶縁基板111上に搭載されている。通信制御部120は、複数の端子を有しており、アンテナ部110との信号の送受信を行う端子は、絶縁基板111の表面に設けられたアンテナ部110の信号分配配線114に接続されている。また、通信制御部120に電力を供給するための電源電圧(+側)と接地電圧(GND)とを供給する端子、他のアンテナ10、ペンライト20、ホストコンピュータ30との間でデータのやり取りを行う端子は、絶縁基板111を貫いて設けられた配線(不図示)の一方の端子に接続される。この配線の他方の端子は、絶縁基板111の裏面において、配線板40の電力供給線及びデータ線に接続するための端子となっている。そして、絶縁基板111の裏面に設けられたこれらの端子が、配線板40の電力供給線及びデータ線に設けられた端子と接続される。これにより、アンテナ10が配線板40に固定される。
なお、アンテナ10には、アンテナ10を識別するための識別子(ID)が付されており、アンテナ10から照射される電波(又は、データ)は、識別子によりアンテナ10毎に識別可能である。
本実施の形態において、アンテナ部110、通信制御部120は、発信手段、取得手段、特定手段の一例として用いられる。
【0024】
<ペンライトのハードウェア構成>
次に、ペンライト20のハードウェア構成について説明する。図3は、ペンライト20のハードウェア構成例を示す図である。
【0025】
本実施の形態に係るペンライト20は、利用に際して把持される把持部21と、複数の発光色を発光することのできる発光部22と、ペンライト20全体を制御する制御部23と、外部からデータを受信するデータ受信部24と、電力を供給する電源25と、把持部21に取り付けられて、発光部22から発光された光を外部に向けて透過させる透光部26とを備える。
【0026】
把持部21には、制御部23と、データ受信部24と、電源25とが内蔵される。
発光部22は、透光部26に内蔵されており、発光素子から透光部26を通じて外部に発光できるように設けられる。発光部22としては、例えば、フルカラーLED(Light Emitting Diode)が例示される。フルカラーLEDは、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色(RGB)のLED素子を備え、各色のLED素子の明るさが制御されることにより、複数の発光色で発光する。
制御部23は、プログラム(基本ソフトウェアを含む)の実行を通じてペンライト20全体を制御するCPU(Central Processing Unit)、各種プログラムを格納する記憶領域であるROM、プログラムの実行領域であるRAM、LEDの制御回路を有している。制御部23により、発光部22の発光色が制御される。
【0027】
データ受信部24は、Bluetooth LEの機能を備えており、アンテナ10から照射された電波を受信可能なアンテナを有している。データ受信部24が受信したアドバタイズパケット等のデータは制御部23に出力され、制御部23によって処理される。
電源25は、制御部23等のペンライト20内の各部に電力を供給する。電源25は、例えば、繰り返しの使用に対応できるように、バッテリーや乾電池等の充電又は交換可能な駆動源が用いられる。
透光部26は、例えばポリエチレンテレフタレート等の透光性を有する材料から形成される。
【0028】
<ホストコンピュータのハードウェア構成>
次に、ホストコンピュータ30のハードウェア構成について説明する。図4は、ホストコンピュータ30のハードウェア構成例を示す図である。
【0029】
本実施の形態に係るホストコンピュータ30は、演算手段であるCPU31と、BIOS(Basic Input Output System)等のプログラムを格納する記憶領域であるROM32と、プログラムの実行領域であるRAM33とを備える。また、ホストコンピュータ30は、OS(Operating System)やアプリケーション等の各種プログラム、各種プログラムに対する入力データ、各種プログラムからの出力データ等を記憶する記憶領域であるHDD(Hard Disk Drive)34を備える。
さらに、ホストコンピュータ30は、外部との通信を行うための通信インタフェース(通信I/F)35と、ディスプレイ等の表示機構36と、キーボードやマウス、タッチパネル等の入力デバイス37とを備える。
【0030】
<ペンライトの機能構成>
次に、ペンライト20の制御部23の機能構成について説明する。図5は、ペンライト20の制御部23の機能構成例を示したブロック図である。本実施の形態に係るペンライト20の制御部23は、電波情報取得部231と、自発光色決定部232と、自発光色送信部233と、他発光色収集部234と、発光色制御部235とを有する。
【0031】
電波情報取得部231は、アンテナ10から受信した電波について、電波に含まれる色指示情報、電波の強度の情報を取得する。ここで、電波情報取得部231は、複数のアンテナ10から電波を受信した場合には、複数のアンテナ10から受信した電波の各々について、電波に含まれる色指示情報、電波の強度の情報を取得する。
【0032】
自発光色決定部232は、アンテナ10から受信した電波に含まれる色指示情報に基づいて、発光色を決定する。以下では、自発光色決定部232が決定する発光色を、「自発光色」と称する。
ここで、自発光色決定部232は、1つのアンテナ10から電波を受信した場合には、受信した電波に含まれる色指示情報で指示された発光色を、自発光色として決定する。
また、自発光色決定部232は、複数のアンテナ10から電波を受信した場合には、受信した各々の電波の強度と、各々の電波に含まれる色指示情報とに基づいて、自発光色を決定する。より具体的には、自発光色決定部232は、複数のアンテナ10から受信した各々の電波の強度を比較する。そして、自発光色決定部232は、各々の電波の強度に基づいて、各々の電波の色指示情報で指示された発光色を混合した混合色を、自発光色として決定する。
【0033】
例えば、アンテナ10-1~10-3から電波を受信した場合に、電波の強度の比が60%:10%:30%であるとする。また、アンテナ10-1~10-3からの色指示情報にはそれぞれ、発光色を赤色、緑色、青色にする指示が含まれているとする。この場合、自発光色決定部232は、赤色、緑色、青色の割合を60%:10%:30%に混合した混合色を、自発光色として決定する。
【0034】
なお、色指示情報には、発光色の指示として、例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)のそれぞれの成分の割合が、0%~100%の範囲の値で表現されている。より具体的には、例えば、(R100%,G0%,B0%)、(R0%,G100%,B100%)など、それぞれの成分の最大値を100%としたときの割合で表現される。また、例えば、各色を0~255の256段階(例えば、R180、G200、B80)で表現してもよい。
【0035】
ここで、自発光色決定部232は、アンテナ10から受信した電波の強度が予め定められた閾値(以下、電波強度閾値と称する)を超える場合に、その電波に含まれる色指示情報を用いることとしてもよい。即ち、自発光色決定部232は、アンテナ10から受信した電波の強度が電波強度閾値以下の場合、その電波に含まれる色指示情報を用いないこととしてもよい。
例えば、自発光色決定部232は、複数のアンテナ10から電波を受信した場合、受信した各々の電波のうち、電波の強度が電波強度閾値を超える電波の色指示情報に基づいて、自発光色を決定する。具体的には、電波の強度が電波強度閾値を超える電波の強度を比較して、各々の電波で指示された発光色を混合した混合色を自発光色とする。一方、受信した各々の電波のうち、電波の強度が電波強度閾値以下の電波は除外され、その電波に含まれる色指示情報は使用されない。
なお、電波強度閾値は、例えば、予め設定されたデフォルト値(即ち、初期設定の値)が用いられる。また、例えば、ホストコンピュータ30の制御によってアンテナ10からペンライト20に指示して、電波強度閾値を設定したり変更したりしてもよい。
【0036】
自発光色送信部233は、例えば予め定められた時間間隔で、自装置の周囲にある他のペンライト20に対して、自装置の発光部22の発光色の情報を送信する。ここで、自発光色送信部233は、Bluetooth LEのブロードキャスト通信によって、発光色の情報を含む電波を照射する。また、自発光色送信部233は、発光部22が発光する前に、自発光色決定部232が決定した自発光色の情報を送信してもよい。なお、発光色の情報には、ペンライト20を識別するための識別子(ID)が含まれている。
【0037】
他発光色収集部234は、自装置の周囲にある他のペンライト20から、他のペンライト20の発光色の情報を収集する。
ここで、他発光色収集部234は、1又は複数の他のペンライト20から、発光色の情報を含む電波を受信する。そして、他発光色収集部234は、収集した情報を基に、1又は複数の他のペンライト20の発光色を把握する。そして、他発光色収集部234は、1又は複数の他のペンライト20の発光色に基づいて、補正の候補となる発光色(以下、「補正発光色」と称する)を特定する。本実施の形態では、発光色情報から特定される色の一例として、補正発光色が用いられる。補正発光色の詳細については後述する。
【0038】
発光色制御部235は、電波情報取得部231が取得した色指示情報と、他発光色収集部234が収集した他のペンライト20の発光色の情報とにより、発光部22を制御する。
より具体的には、発光色制御部235は、まず、自発光色にて発光するように発光部22を制御する。その後、発光色制御部235は、自発光色決定部232が決定した自発光色と他発光色収集部234が特定した補正発光色とに基づいて、発光部22の発光色を補正する。発光色を補正する処理の詳細については後述する。
【0039】
また、Bluetooth LEにおける2つの機器間では、通常、アドバタイズチャネルにて機器間でデータのやり取りをして接続を確立するが、本実施の形態では、ペンライト20の発光色を制御するにあたり、アンテナ10とペンライト20との間で接続を確立しなくてもよい。アンテナ10とペンライト20との間で接続を確立するか否かに関わらず、ペンライト20は、アドバタイズパケットに含まれる色指示情報により、発光部22の発光色を制御する。
【0040】
さらに、本実施の形態では、ペンライト20の発光色を制御するにあたり、ペンライト20が配置される位置の位置情報とペンライト20の識別子(ID)とを事前に登録しなくてもよい。よって、例えば、観客が別のイベントで使用したペンライト20を持ち込んでもよい。また、例えば、観客の位置が固定されていないようなイベントにおいても、特定の領域毎にペンライト20の発光色を分けるような演出が可能である。
【0041】
そして、ペンライト20を、例えば図3に示したハードウェア構成にて実現した場合、制御部23において、ROM等に記憶された各種プログラムがRAMに読み込まれてCPUに実行されることにより、図5に示す電波情報取得部231、自発光色決定部232、自発光色送信部233、他発光色収集部234、発光色制御部235等の機能部が実現される。
また、本実施の形態において、電波情報取得部231は、指示情報取得手段の一例として用いられる。他発光色収集部234は、発光色情報取得手段の一例として用いられる。発光色制御部235は、制御手段の一例として用いられる。
【0042】
<ホストコンピュータの機能構成>
次に、ホストコンピュータ30の機能構成について説明する。図6は、ホストコンピュータ30の機能構成例を示したブロック図である。本実施の形態に係るホストコンピュータ30は、制御信号生成部301と、制御信号送信部302とを有する。
【0043】
制御信号生成部301は、アンテナ10による電波の照射を制御するための制御信号を生成する。この制御信号には、色指示情報の内容を制御する制御信号や、アンテナ10による電波の照射領域を制御する制御信号が含まれる。
色指示情報の内容を制御する制御信号は、ペンライト20の発光色を指示するものである。この制御信号により、アンテナ10が電波の照射を開始し、指示された発光色でペンライト20が発光するように制御される。また、ペンライト20がすでに発光している場合には、発光を維持したり、発光色を変更したりするように制御される。
また、電波の照射領域を制御する制御信号は、例えば、電波の照射を停止することを指示する制御信号(即ち、ペンライト20を消灯させることを指示する制御信号)や、電波の強度、電波の照射方向、電波のビーム幅等を指示する制御信号である。この制御信号により、アンテナ10の電波の照射領域が制御される。
【0044】
さらに説明すると、電波の強度を指示する制御信号は、例えば、アンテナ10から照射する電波の強度を指示したり、電波の強度を変更するように指示したりする制御信号である。電波の強度を変更する場合には、例えば、変更後の電波強度を指示したり、電波強度を増加させる度合又は減少させる度合を指示したりすることにより行われる。
ここで、アンテナ10が照射する電波の強度を高くすると、電波の照射領域が大きくなる。即ち、電波によって発光色が制御される領域が大きくなる。他方、アンテナ10が照射する電波の強度を低くすると、電波の照射領域が小さくなる。即ち、電波によって発光色が制御される領域が小さくなる。
【0045】
また、電波の照射方向を指示する制御信号は、例えば、アンテナ10の向きを物理的に変化させることを指示したり、アンテナ10内部の複数のアンテナ(図2の例では、4個の平面アンテナ)の位相を変更することを指示したりする制御信号である。アンテナ10は、この制御信号に基づいて、不図示のモータ等によりアンテナの向きを変化させたり、不図示の移相器等により内部の複数のアンテナのそれぞれの位相を変更したりして、電波の照射方向を変化させる。電波の照射方向を変更すると、アンテナ10による電波の照射領域が変化し、電波によって発光色が制御される領域が移動することになる。
【0046】
さらに、電波のビーム幅を指示する制御信号は、例えば、アンテナ10における変更後のビーム幅を指示したり、ビーム幅を増加させる度合又は減少させる度合を指示したりする制御信号である。アンテナ10は、この制御信号に基づいて、例えば、アンテナ10内部の複数のアンテナ(図2の例では、4個の平面アンテナ)のうち、外側の2つのアンテナからの電波の照射を停止したり、外側のアンテナの電波強度と内側のアンテナの電波強度との間に差分を設けたりして、電波のビーム幅を変化させる。電波のビーム幅を広くすると、電波の照射領域が大きくなり、電波のビーム幅を狭くすると、電波の照射領域が小さくなる。
【0047】
また、制御信号生成部301は、アンテナ10が色指示情報を送信する送信間隔を調整するための制御信号を生成してもよい。ここで、色指示情報を送信する送信間隔を、アンテナ10毎に変えてもよい。
【0048】
制御信号送信部302は、ペンライト20による演出に応じて、制御信号生成部301が生成した制御信号を各アンテナ10に送信する。例えば、制御信号送信部302は、色指示情報の内容を制御する制御信号、電波の照射領域を制御する制御信号をアンテナ10に送信することにより、アンテナ10に対して、電波を照射して電波の照射領域に存在するペンライト20を発光させるように指示する。
【0049】
そして、ホストコンピュータ30には、イベント会場でペンライト20による演出を行うためのプログラム(以下、演出用プログラムと称する)が格納されている。ホストコンピュータ30を、例えば図4に示したハードウェア構成にて実現した場合、HDD34等に記憶された演出用プログラムが、RAM33に読み込まれてCPU31に実行されることにより、図6に示す制御信号生成部301、制御信号送信部302等の機能部が実現される。
なお、ホストコンピュータ30が演出用プログラムを実行することによってアンテナ10に対する制御信号を生成するのではなく、例えば、ホストコンピュータ30以外のコンピュータ等により生成された制御信号をホストコンピュータ30に格納してもよい。
【0050】
<ペンライトの発光処理の手順>
次に、ペンライト20の発光処理の手順について説明する。図7は、ペンライト20の発光処理の手順の一例を示したフローチャートである。図7に示す処理は、例えば、予め定められた時間間隔で繰り返し実行される。なお、以下では、処理のステップを記号の「S」と表記する。
【0051】
電波情報取得部231は、アンテナ10から電波を受信したか否かを判定する(S101)。S101で否定の判断(NO)がされた場合、本処理フローは終了する。この場合、発光色制御部235による発光色の制御は行われない。即ち、発光部22は発光せずに、ペンライト20は消灯した状態である。
一方、S101で肯定の判断(YES)がされた場合、電波情報取得部231は、複数のアンテナ10から電波を受信したか否かを判定する(S102)。
【0052】
S102で肯定の判断(YES)がされた場合、電波情報取得部231は、複数のアンテナ10から受信した電波に含まれる色指示情報を取得する(S103)。次に、自発光色決定部232は、複数のアンテナ10から受信した電波の強度を比較する(S104)。次に、自発光色決定部232は、S103で取得された色指示情報と、S104の比較結果とに基づいて、自発光色を決定する(S105)。
次に、発光色制御部235は、自発光色で発光するように発光部22を制御する(S106)。発光色制御部235の制御により、発光部22は、複数のアンテナ10から受信した各々の電波の強度に基づいて、各々の電波で指示された発光色を混合して発光する。次に、自発光色送信部233は、自装置の周囲にある他のペンライト20に対して、自装置の発光部22の発光色の情報を送信する(S107)。そして、本処理フローは終了する。
【0053】
また、S102で否定の判断(NO)がされた場合、電波情報取得部231は、1つのアンテナ10から受信した電波に含まれる色指示情報を取得する(S108)。次に、自発光色決定部232は、S107で取得された色指示情報で指示された発光色を、自発光色として決定する(S109)。S109の後、S106に移行する。S106では、発光色制御部235の制御により、発光部22は、1つのアンテナ10から受信した電波に含まれる色指示情報で指示された発光色にて発光する。
【0054】
<ペンライトが発光色を補正する処理の手順>
次に、ペンライト20が発光色を補正する処理の手順について説明する。図8は、ペンライト20が発光色を補正する処理の手順の一例を示したフローチャートである。図8に示す処理は、自発光色決定部232が自発光色を決定し、発光色制御部235が自発光色で発光するように発光部22を制御した後に行われる。また、図8に示す処理は、例えば、予め定められた時間間隔で繰り返し実行される。なお、以下では、処理のステップを記号の「S」と表記する。
【0055】
他発光色収集部234は、自装置の周囲にある1又は複数の他のペンライト20から、発光色の情報を収集する(S201)。次に、他発光色収集部234は、収集した情報を基に、1又は複数の他のペンライト20の発光色を把握する(S202)。次に、他発光色収集部234は、1又は複数の他のペンライト20の発光色に基づいて、補正発光色を特定する(S203)。次に、発光色制御部235は、自発光色決定部232が決定した自発光色と、S203で特定された補正発光色とに基づいて、発光部22の発光色を補正するか否かを判定する(S204)。
【0056】
S204で肯定の判断(YES)がされた場合、発光色制御部235は、発光部22の発光色を補正し、補正後の色で発光するように制御する(S205)。そして、本処理フローは終了する。ここで、自発光色決定部232は、発光色が補正された後、例えば一定時間、補正後の発光色を自発光色として、発光色の情報を周囲に送信してもよい。
一方、S204で否定の判断(NO)がされた場合、発光色制御部235は、発光部22の発光色を補正せずに、そのままの発光色で発光するように制御する(S206)。そして、本処理フローは終了する。
【0057】
ここで、S203で特定される補正発光色は、1又は複数の他のペンライト20から収集された発光色の情報に基づいて特定される色であれば、どのような色でもよい。
例えば、他発光色収集部234は、1又は複数の他のペンライト20の発光色の平均の色を補正発光色とする。また、例えば、他発光色収集部234は、受信した電波の強度が高いほど係数が大きくなるようにして発光色に係数を掛けて、平均した色を補正発光色としてもよい。
【0058】
また、他発光色収集部234は、上述した電波強度閾値と同様に、他のペンライト20から受信した電波の強度が閾値以下の場合、その電波に含まれる発光色の情報を用いないこととしてもよい。例えば、他発光色収集部234は、1又は複数の他のペンライト20の発光色の情報のうち、閾値を超える強度の電波によって収集した発光色の情報を基に、補正発光色を特定する。このように、電波の強度が閾値以下の発光色の情報を除外することにより、自装置に近い他のペンライト20を対象にして、発光色の補正が行われるようになる。
さらに、他のペンライト20の数に閾値を設けてもよい。例えば、閾値以上の数のペンライト20から発光色の情報を収集した場合には補正発光色を特定し、閾値以上の数のペンライト20から発光色の情報を収集できなかった場合には補正発光色を特定しないこととしてもよい。補正発光色を特定しない場合には、発光色の補正は行われない。
【0059】
また、S204で行われる補正の判断は、自発光色と補正発光色とに基づいて、発光色の補正の規則(以下、「発光色補正規則」と称する)に従って行われる。そして、発光色補正規則に従って、自発光色で発光するように発光部22を制御する処理、又は、補正発光色で発光するように発光部22を制御する処理の何れかの処理が行われる。本実施の形態において、発光色補正規則は、予め定められた規則の一例として用いられる。
例えば、発光色補正規則は、自発光色と補正発光色とが異なる場合には補正発光色で発光する、という規則である。
また、例えば、発光色補正規則は、自発光色と補正発光色との違いが予め定められた条件を満たす場合には補正発光色(又は自発光色)で発光する、という規則であってもよい。より具体的には、例えば、自発光色と補正発光色との違いが予め定められた基準を超える場合には補正発光色で発光する、という規則が定められる。また、例えば、自発光色と補正発光色との違いが予め定められた基準を超える場合には自発光色で発光する、という規則を定めてもよい。なお、自発光色と補正発光色との違いは、例えば、自発光色と補正発光色との色差である。
また、例えば、発光色補正規則として、自発光色に関わらず、補正発光色で発光する、という規則を定めてもよい。さらに、例えば、発光色補正規則として、補正発光色に関わらず、自発光色で発光する、という規則を定めてもよい。
【0060】
なお、自発光色又は補正発光色の何れかの色で発光させる構成に限られない。発光部22は、自発光色及び補正発光色とは異なる色で発光してもよい。例えば、発光色制御部235は、発光色補正規則に従って、自発光色と補正発光色との中間の色で発光するように制御してもよい。また、例えば、発光色制御部235は、発光色補正規則に従って、自発光色と補正発光色との中間よりも補正発光色に近い色で発光するように制御してもよい。
また、補正発光色は、1つの色に限られない。補正発光色を複数の色にしてもよい。例えば、他発光色収集部234は、自装置の周囲にある複数の他のペンライト20の発光色を補正発光色とする。この場合、例えば、発光色制御部235は、発光色補正規則に従って、自発光色と複数の他のペンライト20の発光色との全ての発光色の平均の色で発光するように制御してもよい。
【0061】
なお、発光色補正規則の内容は、例えば、予め設定されたデフォルトの規則が用いられる。また、例えば、アンテナ10又はホストコンピュータ30の制御によってアンテナ10からペンライト20に指示して、発光色補正規則を設定したり変更したりしてもよい。また、例えば1分後に変更する等、発光色補正規則を変更するタイミングをペンライト20に指示してもよい。
例えば、自発光色と補正発光色との違いが予め定められた基準を超える場合には補正発光色で発光する、という規則が定められているとする。ここで、補正発光色を重視する場合には、予め定められた基準を小さくするように変更する。その結果、変更前と比較して、補正発光色に補正され易くなる。他方、自発光色を重視する場合には、予め定められた基準を大きくするように変更する。その結果、変更前と比較して、自発光色で発光され易くなる。
【0062】
また、アンテナ10やペンライト20に応じて、発光色補正規則の内容を変えてもよい。例えば、ホストコンピュータ30は、アンテナ10-1及びアンテナ10-2に対して異なる発光色補正規則を指示する。この場合、アンテナ10-1の電波を受信するペンライト20と、アンテナ10-2の電波を受信するペンライト20とでは、異なる発光色補正規則が設定される。また、ペンライト20が複数のアンテナ10から電波を受信する場合、電波の強度が高い方の発光色補正規則など、特定の規則に従って何れか1つの発光色補正規則を使用する。また、アンテナ10に応じて発光色補正規則の内容を変える場合には、例えば、アンテナ10が照射する電波の強度や指向性、色指示情報で指示する発光色等に応じて、発光色補正規則の内容を変えてもよい。
【0063】
<アンテナの電波特性の設定>
イベント会場などの予め定められたエリアでは、アンテナ10が照射する電波によってペンライト20の演出が行われる。ここで、アンテナ10は、予め定められたエリア内の特定の一部の領域(又は全部の領域)に向けて電波を照射するように電波特性を設定可能であり、この電波特性に基づいて電波を照射して、一部(又は全部)の領域内にあるペンライト20を発光させる。電波特性としては、電波の強度、電波の照射方向、指向性(即ち、電波のビーム幅)等が設定される。
なお、アンテナ10は、指向性によって特定の領域(言い換えると、特定の方向)に向けて電波を照射するが、電波自体は、強弱はありながらも全空間に広がることになる。即ち、アンテナ10は、予め定められたエリアにおいて、特定の領域に対して最も強い(即ち、電波強度の高い)電波を照射する。言い換えると、アンテナ10は、予め定められたエリアの特定の領域に対して、予め定められたエリアの特定の領域を除く他の領域よりも強い電波を照射する。
【0064】
さらに説明すると、予め定められたエリア内に設置するアンテナ10の電波特性は、使用する通信方式の周波数、エリアの広さ、観客の数、演出内容等によって調整される。例えば、Bluetooth LEのブロードキャスト通信方式を使用する場合、2.4GHzの周波数帯が用いられる。また、エリアの広さや観客の数、演出内容等によって、アンテナ10の設置される場所や、電波の強度、電波の照射方向、指向性などの電波特性が決定される。
【0065】
より具体的には、例えば、演出の内容により、予め定められたエリアをどのような照射領域に区切って演出を行うかが決定される。例えば、予め定められたエリアを10箇所に区切り(以下、区切られた領域を単位領域と称する)、10箇所の単位領域毎に色の演出を行う場合には、例えば、10個のアンテナ10が用意される。そして、単位領域毎にアンテナ10を割り当てて、各アンテナ10のそれぞれから単位領域に対して電波を照射して、演出が行われる。
なお、単位領域の境界では複数の電波が照射されるため、単位領域の境界にあるペンライト20は、複数の電波によって指示された発光色を混合して発光する。また、単位領域に対して、複数のアンテナ10から電波を照射してもよい。この場合も、単位領域にあるペンライト20は、複数の電波によって指示された発光色を混合して発光する。よって、単位領域内のペンライト20の位置に応じて、ペンライトの発光色が次第に変化するようになる。
【0066】
さらに、用意するアンテナ10の数は、単位領域の大きさや単位領域内の観客の数も考慮される。例えば、アンテナ10が照射する電波が垂直偏波、電波強度が0dBm、ビーム幅が30~40度という条件で、観客の持つペンライト20までの距離が1mで、観客の密度が2.5人/m2の単位領域に向けて電波を照射する場合、アンテナ10は、単位領域の大きさに対して3m間隔で配置される。また、観客の数が少なくなり密度が小さくなるほど電波は届き易くなるため、例えば単位領域の観客の密度が2.5人/m2の1/2になれば、アンテナ10は6m間隔で配置される。
【0067】
そして、アンテナ10は、単位領域に対して電波を照射可能な範囲であって、アンテナ10を設置可能な場所に設置される。Bluetooth LEの場合、電波の強度に応じて、通信可能距離は1mから数10mに設定可能である。また、アンテナ10を設置した後には、電波特性の詳細な設定が行われる。ここでは、アンテナ10が割り当てられた単位領域に応じて、電波の強度、電波の照射方向、指向性などの調整が行われる。
【0068】
<演出システムで行われる処理の具体例>
次に、演出システム1で行われる処理の流れについて、具体例を挙げて説明する。図9は、演出システム1で行われる処理の流れを説明するための具体例を示す図である。
図9に示す例では、アンテナ10-1、10-2、ペンライト20-1~20-10を用いて説明する。ここで、アンテナ10-1、10-2からの色指示情報にはそれぞれ、発光色を青色、赤色にする指示が含まれている。
【0069】
ホストコンピュータ30は、演出用プログラムを実行して、アンテナ10毎に、アンテナ10に対する制御信号を生成し、生成した制御信号をアンテナ10-1、10-2に送信する。
例えば、アンテナ10-1は、ホストコンピュータ30から制御信号を受信すると、自身を宛先とする制御信号に基づく処理を行う。より具体的には、アンテナ10-1は、ホストコンピュータ30から、色指示情報の内容を制御する制御信号を受信した場合、この制御信号に基づいて、青色に発光するように指示する色指示情報を生成する。そして、アンテナ10-1は、特定の方向に向けて、ブロードキャスト通信方式により、生成した色指示情報を含むアドバタイズパケットを送信する。ここで、アンテナ10-1は、定期的に(例えば、1秒間に10回)、色指示情報を含むアドバタイズパケットを送信する。アドバタイズパケットには、自身(ここでは、アンテナ10-1)の識別子(ID)など、アンテナ10の機器情報も含まれる。また、アドバタイズパケットには、演出システム1における信号であることを示す情報(例えば、演出システム1のID)も含まれる。
アンテナ10-2も、アンテナ10-1と同様に、自身を宛先とする制御信号に基づいて、色指示情報を生成する。例えば、アンテナ10-2は、赤色に発光するように指示する色指示情報を生成する。そして、アンテナ10-2は、特定の方向に向けて、ブロードキャスト通信方式により、生成した色指示情報を含むアドバタイズパケットを送信する。
【0070】
付言すると、Bluetooth LEでは、2.400GHzから2.4835GHzまでの周波数帯域を2MHz毎に区切った40チャネルを切り替えることで通信が行われる。この40チャネルのうち、3チャネル(チャネルインデックス37、38、39)が、アドバタイズパケットの送信に用いられるアドバタイズチャネルである。チャネルインデックス37は中心周波数が2.402GHz、チャネルインデックス38は中心周波数が2.426GHz、チャネルインデックス39は中心周波数が2.480GHzに設定されている。つまり、Bluetooth LEが使用する2.400GHzから2.4835GHzまでの周波数帯域の上限、下限及びほぼ中央に設定されている。なお、他のチャネルは、データチャネルである。
そして、アンテナ10は、ブロードキャスタとして、アドバタイズチャネルを用いてアドバタイズパケットを送信する。ここで、アンテナ10は、例えば、アドバタイズパケットを中心周波数の異なる3つのアドバタイズチャネルに順に送信する。ただし、使用するアドバタイズチャネルによって電波の周波数が変わるため、ホストコンピュータ30からの指示等に基づいて、3つのアドバタイズチャネルのうち1つ又は2つのアドバタイズチャネルを用いるようにしてもよい。
【0071】
図9(A)に示すように、アンテナ10-1は、領域401に電波を照射する。よって、領域401に存在するペンライト20-1~20-3、20-5は、アンテナ10-1からの電波を受信して、青色に発光する。ここで、ペンライト20-4は、領域401に存在するが、障害物501があるため、アンテナ10-1からの電波が遮断される。
また、アンテナ10-2は、領域402に電波を照射する。よって、領域402に存在するペンライト20-7~20-10は、アンテナ10-2からの電波を受信して、赤色に発光する。ここで、アンテナ10-2が照射する電波の強度は高いため、天井で反射して、ペンライト20-4に照射される。その結果、ペンライト20-4は赤色に発光する。
なお、ペンライト20-6は、領域401と領域402との境界に存在し、アンテナ10-1及びアンテナ10-2の両方から電波を受信する。その結果、受信した各々の電波の強度に基づいて、各々の電波で指示された発光色を混合して、紫色に発光する。
【0072】
ここで、ペンライト20-4は、図9(B)に示すように、周囲にある他のペンライト20(例えば、ペンライト20-1~20-3、20-5)から、発光色の情報を収集する。そして、ペンライト20-4は、補正発光色を特定する。この例では、ペンライト20-1~20-3、ペンライト20-5の発光色は青色である。そこで、ペンライト20-4は、例えば、ペンライト20-1~20-3、ペンライト20-5の発光色の平均の色として、青色を補正発光色とする。
次に、ペンライト20-4は、自発光色(この例では、赤色)と補正発光色(この例では、青色)とに基づいて、発光色を補正する。例えば、発光色補正規則として、自発光色と補正発光色との違いが予め定められた基準を超える場合には補正発光色で発光する、という規則が定められているとする。ここで、赤色と青色との違いが予め定められた基準を超える場合、ペンライト20-4は、補正発光色である青色に発光する。このような処理により、ペンライト20-4は、領域401に存在するにも関わらず、赤色で発光していたところ、領域401に存在する他のペンライト20と同様に青色に発光するようになる。
【0073】
なお、ペンライト20-4以外のペンライト20も、ペンライト20-4と同様に、発光色を補正するか否かを判断する。例えば、ペンライト20-1は、周囲にある他のペンライト20(例えば、ペンライト20-2、20-3)から、発光色の情報を収集する。そして、ペンライト20-1は、補正発光色を特定する。この例では、ペンライト20-2、20-3の発光色は青色である。そこで、ペンライト20-1は、例えば、ペンライト20-2、20-3の発光色の平均の色として、青色を補正発光色とする。次に、ペンライト20-1は、自発光色(この例では、青色)と補正発光色(この例では、青色)とに基づいて、発光色を補正する。例えば、発光色補正規則として、自発光色と補正発光色との違いが予め定められた基準を超える場合には補正発光色で発光する、という規則が定められているとする。ここで、自発光色と補正発光色とは同一のため、ペンライト20-1は、自発光色の青色で発光したままになる。
【0074】
<アンテナの電波特性を補正する処理>
本実施の形態では、アンテナ10が電波特性を補正してもよい。ここで、アンテナ10は、ペンライト20に対して電波を照射するだけでなく、ペンライト20から、ペンライト20の自発光色送信部233が送信する発光色の情報を収集する。そして、アンテナ10は、自装置から送信する色指示情報と、収集したペンライト20の発光色の情報とにより、発信する電波特性を補正するか否かを判断し、電波特性を補正する。
この補正の判断は、色指示情報とペンライト20の発光色の情報とに基づいて、電波特性の補正の規則(以下、「電波特性補正規則」と称する)に従って行われる。なお、補正する電波特性は、例えば、電波の強度、電波の照射方向、指向性等である。
【0075】
電波の強度を補正する場合を例に挙げて説明する。
例えば、電波特性補正規則は、色指示情報で指示した発光色とペンライト20の発光色の情報から特定される色とが予め定められた条件を満たす場合、電波の強度を変更する、という規則である。より具体的には、例えば、色指示情報で指示した発光色とペンライト20の発光色の情報から特定される色との違いが予め定められた基準を超える場合、電波の強度を高くする、という規則が定められる。ここで、両者の色の違いに応じて、電波の強度を変更する度合を決めてもよい。例えば、両者の色の違いが大きいほど、電波の強度を高くする補正がなされる。
なお、ペンライト20の発光色の情報から特定される色とは、例えば、1又は複数のペンライト20の発光色の平均の色である。また、ペンライト20の発光色の情報から特定される色は、1つの色に限られず、複数の色であってもよい。
【0076】
また、例えば、電波特性補正規則は、色指示情報で指示した発光色と特定の関係を有する色で発光しているペンライト20の数が予め定められた条件を満たす場合、電波の強度を変更する、という規則であってもよい。より具体的には、例えば、色指示情報で指示した発光色と特定の関係を有する色で発光しているペンライト20の数が閾値以下の場合、電波の強度を高くする、という規則が定められる。また、例えば、このようなペンライトの数を特定して一のタイミングと他のタイミングで比較した場合に、その数の差分が予め定められた基準を超える場合、電波の強度を高くする(又は低くする)、という規則を定めてもよい。この規則では、例えば、特定したペンライト20の数が一定数以上減った場合、電波の強度を高くする補正がなされる。また、特定したペンライト20の数が一定数以上増えた場合、電波の強度を低くする補正がなされる。ここで、特定したペンライト20の数に応じて、電波の強度を変更する度合を決めてもよい。
なお、色指示情報で指示した発光色と特定の関係を有する色とは、例えば、色指示情報で指示した発光色と比べて、一定の色差以内の色である。より具体的には、例えば、色指示情報で指示した発光色が赤色の場合、赤色、赤紫色、橙色等は、色指示情報で指示した発光色と特定の関係を有する色とされる。
【0077】
また、アンテナ10は、上述した電波強度閾値と同様に、ペンライト20から受信した電波の強度が閾値以下の場合、その電波に含まれる発光色の情報を用いないこととしてもよい。例えば、通信制御部120は、1又は複数のペンライト20の発光色の情報のうち、閾値を超える強度の電波によって収集した発光色の情報を基に、電波特性を補正するか否かを判断する。このように、電波の強度が閾値以下の発光色の情報を除外することにより、自装置に近いペンライト20を対象にして、電波特性の補正が行われるようになる。
さらに、アンテナ10は、受信する電波の強度が閾値を超えるペンライト20等、特定のペンライト20の識別子(ID)を記録しておき、そのペンライト20の発光色の情報を基に電波特性を補正してもよい。例えば、色指示情報で指示する発光色を変更した場合に、特定のペンライト20の発光色が指示した通りの発光色に変わっていない場合、電波の強度を高くしてもよい。
【0078】
また、電波特性補正規則の内容は、例えば、予め設定されたデフォルトの規則が用いられる。さらに、例えば、ホストコンピュータ30からアンテナ10に指示して、電波特性補正規則を設定したり変更したりしてもよい。また、例えば1分後に変更する等、電波特性補正規則を変更するタイミングをアンテナ10に指示してもよい。
また、電波特性補正規則に従って、電波の照射方向や指向性等を補正してもよい。この場合の電波特性補正規則も、上述したように、電波の強度を補正する場合のものと同様のものを用いることが可能である。
なお、電波特性を補正する際に、ペンライト20の発光色の情報から特定される色を用いたり、色指示情報で指示した発光色と特定の関係を有する色で発光しているペンライト20の数を用いたりするのは処理の一例である。アンテナ10は、このような処理を行わずに、色指示情報と、収集したペンライト20の発光色の情報とにより、電波特性を補正してもよい。
【0079】
また、アンテナ10は、ペンライト20に向けて電波を照射する処理とペンライト20から電波を受信する処理とを並行に行ってもよいし、並行に行わなくてもよい。例えば、電波の照射と電波の受信とを切り替えて行ったり、電波の照射及び電波の受信を並行に行いつつ特定のタイミングでは何れか一方のみを行ったりしてもよい。より具体的には、例えば、アンテナ10は、電波の照射を常時行うが、ペンライト20からの電波の受信は常時行わず、ペンライト20に指示する発光色を変更した場合に限り、ペンライト20からの電波を受信する。そして、電波特性の補正が終了すると、ペンライト20からの電波の受信も終了し、引き続き、電波の照射のみ行う。また、例えば、アンテナ10は、電波の照射を常時行うとともに、定期的(例えば、10分毎)にペンライト20からの電波を受信してもよい。
また、電波を照射する専用のアンテナ10を設けたり、ペンライト20からの電波を受信する専用のアンテナ10を設けたりしてもよい。
【0080】
なお、アンテナ10の電波特性を補正するか否かの判断をホストコンピュータ30が行ってもよい。ここで、ホストコンピュータ30は、アンテナ10がペンライト20から取得したペンライト20の発光色の情報をアンテナ10から取得する。そして、アンテナ10の色指示情報とペンライト20の発光色の情報とにより、アンテナ10の電波特性を補正するか否かを判断する。また、電波特性を補正する場合には、そのための制御信号を生成して、アンテナ10に送信する。この場合、発信制御手段、取得手段、変更制御手段の一例として、制御信号生成部301、制御信号送信部302が用いられる。
【0081】
<演出システムの他の構成例>
次に、本実施の形態に係る演出システム1の他の構成例について説明する。
上述した例では、ペンライト20の発光色制御部235は、自発光色で発光するように発光部22を制御した後、発光色を補正するか否かを判断したが、このような構成に限られない。例えば、発光色制御部235は、自発光色で発光する前に、自発光色と補正発光色とに基づいて発光色を決定し、決定した発光色で発光するように発光部22を制御してもよい。
【0082】
また、上述した例では、発光色制御部235は、自発光色と補正発光色とに基づいて、発光部22の発光色を制御したが、自発光色を特定したり、補正発光色を特定したりしなくてもよい。自発光色と補正発光色とに基づいて発光色を制御する処理は一例であり、発光色制御部235は、アンテナ10から取得した色指示情報と他のペンライト20の発光色の情報とにより、発光部22の発光色を制御すればよい。例えば、ペンライト20が複数のアンテナ10から電波を受信した場合、発光色制御部235は、自発光色や補正発光色を特定せずに、複数の色指示情報と他のペンライト20の発光色の情報とにより、発光部22の発光色を制御してもよい。
【0083】
また、上述した例では、ペンライト20は、複数のアンテナ10から電波を受信した場合、受信した電波の強度の比と同じ割合で発光色を混合した混合色を自発光色としたが、このような構成に限られない。例えば、ペンライト20は、受信した電波の強度を基に2次関数や3次関数、指数関数等で算出した値の割合で発光色を混合して、自発光色を決定してもよい。より具体的には、例えば、2次関数を用いる場合、ペンライト20は、受信した電波の強度の比が60%:40%(即ち、3:2)であれば、9:4の割合で発光色を混合した混合色を自発光色としてもよい。
さらに、例えば、ペンライト20は、複数のアンテナ10から電波を受信した場合、最も強度の高い電波に含まれる色指示情報で指示された発光色を、自発光色としてもよい。また、例えば、ペンライト20は、複数のアンテナ10から電波を受信した場合、受信した何れかの電波に含まれる色指示情報で指示された発光色を、自発光色としてもよい。
【0084】
また、本実施の形態では、アドバタイズチャネルのチャネル毎(即ち、アンテナ10が照射する電波の周波数帯域毎)に、電波の照射方向や指向性を変えてもよい。この場合、アンテナ10において、個々のチャネル毎に、電波の照射方向や指向性が設定される。そして、例えば、電波特性補正規則に従って電波の照射方向や指向性を変える場合には、使用するチャネルが変更される。
より具体的には、例えば、アンテナ10に信号分配器(不図示)を設けて、一の放射電極113からチャネルインデックス37のチャネル(中心周波数が2.402GHz)の電波を送信し、他の放射電極113からチャネルインデックス38のチャネル(中心周波数が2.426GHz)の電波を送信するように構成する。そして、一の放射電極113では、チャネルインデックス37のチャネルで、アンテナ10の正面方向に電波を強く出すような指向性を持たせる。また、他の放射電極113では、チャネルインデックス38のチャネルで、アンテナ10の正面から左右の双方向に割れるような指向性を持たせる。ここで、一の放射電極113により、チャネルインデックス37のチャネルで電波を照射したところ、指向性を補正しない場合には、そのままのチャネルで照射領域を維持すればよい。一方、照射領域が想定よりも小さく、指向性を補正する場合には、チャネルインデックス37からチャネルインデックス38に変更される。その結果、他の放射電極113からチャネルインデックス38のチャネルで電波が照射されるようになり、電波の照射領域が大きくなる。
なお、アンテナ10に信号分配器を設けなくてもよい。この場合には、放射電極113について、特定のチャネルのみに対応し、特定の照射方向や指向性を持たせるように構成するとよい。
【0085】
また、本実施の形態において、アンテナ10は、ペンライト20に対して電波を照射可能な位置であればどのような位置に配置されてもよく、例えば、天井や床に配置してもよい。
さらに、人がアンテナ10を携帯してもよい。例えば、コンサートの演者がアンテナ10を携帯して任意の方向に向けると、アンテナ10を向けた方向に電波が照射され、照射された範囲に存在するペンライト20が発光する。なお、人がアンテナ10を携帯する場合、例えば、無線通信により、ホストコンピュータ30からアンテナ10に対して制御信号が送信される。また、アンテナ10に、電波の照射開始・停止を受け付けるボタンや、電波強度の変更を受け付けるボタン、色指示情報で指示する発光色の変更を受け付けるボタン等を設けてもよい。演者がこれらのボタンを押下することにより、電波の照射開始・停止や、電波強度の変更、色指示情報で指示する発光色の変更等が行われる。
【0086】
また、本実施の形態では、ペンライト20が発光するタイミングを、ペンライト20の存在する領域毎に異ならせてもよい。例えば、複数のアンテナ10の各々が順番に色指示情報を送信すると、ペンライト20が順番に発光し、ウェーブのような演出が行われる。また、アンテナ10の数を増やして、アンテナ10による電波の照射領域を細かく区切ることにより、観客のペンライト20によって絵を描くような演出が可能である。
【0087】
また、本実施の形態では、1つのアンテナ10に複数のアンテナ部110を設けて、それぞれのアンテナ部110から特定の領域に向けて同一の色指示情報を送信して、ペンライト20の発光精度を高めることも可能である。これは、いわゆるダイバーシティ効果を利用するものであり、例えば、人の密度が高い環境や、壁が多かったり天井が低かったりするために電波の反射が発生し易い環境において、複数のアンテナ部110のそれぞれから性質の異なる電波を照射する。より具体的には、例えば、複数のアンテナ部110のそれぞれから、偏波面の異なる電波を照射する手法(偏波ダイバーシティ)、周波数の異なる電波を照射する手法(周波数ダイバーシティ)が例示される。
【0088】
また、本実施の形態では、ペンライト20の発光色を制御することとしたが、制御の対象は、アンテナ10からの電波を受信可能な受信装置であればよく、ペンライト20に限られない。例えば、アンテナ10から送信される色指示情報により、備え付けの照明装置の発光色を制御したり、スマートフォン等の携帯情報端末の画面の色を制御したりしてもよい。
【0089】
さらに、本実施の形態では、アンテナ10とペンライト20との間の通信をBluetooth LEにより行うこととしたが、このような構成に限られない。アンテナ10は、電波によって信号を送信すればよく、国際標準規格であるIEEE 802.11規格に基づいたWi-Fi(登録商標)など、Bluetooth LE以外の無線の通信方式により信号を送信してもよい。
【0090】
また、本実施の形態では、アンテナ10が指向性を有することとしたが、アンテナ10は無指向性であってもよい。アンテナ10が無指向性の場合、アンテナ10から周囲360度の全方向に向けて同じレベルで電波が照射される。
【0091】
また、本実施の形態では、ホストコンピュータ30の機能を実現するプログラムをアンテナ10に実行させて、アンテナ10がホストコンピュータ30として機能してもよい。例えば、アンテナ10が演出用プログラムを実行することにより、色指示情報を生成したり、電波の照射領域を制御したりする。
【0092】
また、本発明の実施の形態を実現するプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD-ROM等の記録媒体に格納して提供することも可能である。
【0093】
なお、上記では種々の実施形態および変形例を説明したが、これらの実施形態や変形例どうしを組み合わせて構成してももちろんよい。
また、本開示は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施することができる。
【符号の説明】
【0094】
1…演出システム、10…アンテナ、20…ペンライト、22…発光部、23…制御部、30…ホストコンピュータ、110…アンテナ部、120…通信制御部、231…電波情報取得部、232…自発光色決定部、233…自発光色送信部、234…他発光色収集部、235…発光色制御部、301…制御信号生成部、302…制御信号送信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9