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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-20
(45)【発行日】2022-09-29
(54)【発明の名称】照明器具及び光源ユニット
(51)【国際特許分類】
   F21V 5/04 20060101AFI20220921BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20220921BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20220921BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20220921BHJP
   F21Y 115/15 20160101ALN20220921BHJP
   F21Y 103/10 20160101ALN20220921BHJP
【FI】
F21V5/04 650
F21S2/00 230
F21V5/00 510
F21Y115:10 300
F21Y115:10 500
F21Y115:15
F21Y103:10
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019204338
(22)【出願日】2019-11-12
(65)【公開番号】P2021077548
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2021-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000140269
【氏名又は名称】株式会社遠藤照明
(72)【発明者】
【氏名】春田 昌也
(72)【発明者】
【氏名】上野 眞人
【審査官】竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-129473(JP,A)
【文献】特開2008-145509(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 5/04
F21S 2/00
F21V 5/00
F21Y 115/10
F21Y 115/15
F21Y 103/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明器具であって、
光源と、
前記光源からの出射光を一の方向に進行するよう光学制御を行うレンズとを備え、
前記レンズは、出射面に、自己相似では無い形状で自己相似な形状のレンズと同じ光学制御を行うファセットを備える
照明器具。
【請求項2】
前記ファセットは、凸状の曲面に沿って複数配されている
請求項1記載の照明器具。
【請求項3】
前記複数のファセットの1つは、他のファセットを所定角度回転したものである
請求項2記載の照明器具。
【請求項4】
前記一の方向は、前記光源の光軸に対し所定角度を成す方向である
請求項1記載の照明器具。
【請求項5】
前記ファセットは、前記ファセットに自己相似的な形状のサブファセットを備える
請求項1記載の照明器具。
【請求項6】
前記照明器具は、ウォールウォッシャー型の照明器具である
請求項1から5のいずれか1項記載の照明器具。
【請求項7】
光源ユニットであって、
光源と、
前記光源からの出射光を一の方向に進行するよう光学制御を行うレンズを備え、
前記レンズは、出射面に、自己相似では無い形状で自己相似な形状のレンズと同じ光学制御を行うファセットを備える
光源ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウォールウォッシャー型の照明器具、及びこの照明器具に用いられる光源ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
照明器具の中には、天井、床などの取付対象に取り付けられ、取付対象に対し垂直に立設する壁面、看板などの対象物を照らす、いわゆるウォールウォッシャー型の照明器具がある。この種の照明器具で使用される配光レンズは、軸対称ではない非対称のものであるため、照度ムラの制御が重要となる。特許文献1の照明器具では、配光レンズに略半円柱状のファセットを設けて光を拡散することにより照度ムラを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-49748
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の照明器具によれば、照度ムラをある程度抑制できるものの、ファセットの断面が略半円柱状であることから光学制御は難しく、出射光中に意図しない方向へ進行してしまう光が含まれてしまい、光の利用効率が低下するという問題がある。
【0005】
本発明は、係る問題に鑑みてなされたものであり、従来よりも光の利用効率の低下を抑制できる照明器具及び光源ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明に係る照明器具は、照明器具であって、光源と、前記光源からの出射光を一の方向に進行するよう光学制御を行うレンズとを備え、前記レンズは、出射面に、自己相似な形状のレンズと同じ光学制御を行うファセットを備える。
【発明の効果】
【0007】
上述の構成により、本発明に係る照明器具は、従来よりも光の利用効率の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態に係る照明器具の外観を示す斜視図
図2】(a)図1の照明器具のA-A断面を模式的に示す図、(b)照明器具が備えるレンズの構成を模式的に示す図
図3】(a)基本レンズ部の構成及び光の光路を模式的に示す図、(b)自己相似な形状の光学制御部分を備えるレンズ部の構成及び光路を模式的に示す図
図4】(a)照明器具が備えるレンズの、基本レンズ部と同じ光学制御を行うファセットを複数並べるよう構成された出射面について模式的に表す図、(b)1個のファセットに係る光学制御について模式的に示す図、(c)ファセット表面のカーブの回転を模式的に表す図
図5】(a)データ測定のための照明器具の設置環境について説明するための図、(b)各種形状のファセットを備えるレンズそれぞれの配光曲線を表す図
図6】照度確認面におけるRファセットレンズ及びフラクタルレンズによる照度分布を比較するための図
図7】本発明の第2の実施形態に係る、自己相似な形状のファセットが設けられたファセットを模式的に示す図
図8】(a)本発明の変形例に係る、レンズ部を備えた光源ユニットと器具本体とが分離可能に構成された照明器具について説明するための図、(b)光源ユニットの構成を模式的に示す図
図9】本発明の一変形例に係る、入射面及び反射面による光の進行を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
<1.第1の実施形態>
<1.1.構成>
以下、本発明の一実施形態に係る照明器具1について図面を参照しながら説明する。図1は、第1の実施形態に係る照明器具1の外観を示す斜視図である。図2(a)は、照明器具1のA-A断面を模式的に示す図である。図2(b)は、照明器具1が備えるレンズ部12の構成を模式的に示す図である。
【0010】
照明器具1は、一例として、天井面3aと垂直な壁面3bなどの照射対象を照らすウォールウォッシャー型の照明器具であり(図5(a)参照)、長尺箱状の外観を有しており、取付対象の一例としての天井面3aに直付け又は埋め込みで取り付けられる。以下の説明では、上下方向に関し、図1図2(a)及び図2(b)に矢印で示すように、便宜上、天井面3aに照明器具1が取り付けられる場合における、床面3dからみて天井面3aの方向を「上」、天井面3aからみて床面3dの方向を「下」という(図5(a)参照)。
【0011】
照明器具1は、図1に示すように、器具本体部11、レンズ部12、接続線部15a、入力側コネクタ部15b、接続線部16a、出力側コネクタ部16b、エンドキャップ17a及びエンドキャップ17bを備える。
【0012】
器具本体部11は、図2(a)に示すように、下面が開口した長尺箱状の部材であり、レンズ部12、基板13、光源14及び電源部(図示せず)を収容する。器具本体部11は、押出加工や板金を曲げ加工等して形成され、図1に示すように、端部にエンドキャップ17a及び17bが嵌め込まれる。
【0013】
基板13は、長尺状の回路基板であり、下面に光源14が配される。
【0014】
光源14は、図2(a)に示すように、光軸LA方向を中心として光を発する光源であり、基板13の下面に、長手方向に沿い、複数、列状に配される。光源14は、一例として表面実装型LED(Light Emitting Diode)であるが、これに限らず、他のタイプのLED、例えばCOB(Chip On Board)型のLEDで構成してもよい。また、光源14は、LEDに限らず、他の種類の発光デバイス、例えば有機EL(Electro Luminescence)などで構成することとしてもよい。
【0015】
接続線部15aは、一端が電源部に接続され、他端が入力側コネクタ部15bに接続される。入力側コネクタ部15bは、外部から供給される電力の入力に用いられる。接続線部16aは、一端が電源部に接続され、他端が出力側コネクタ部16bに接続される。出力側コネクタ部16bは、他の照明器具に対する電力の出力に用いられる。接続線部15a、入力側コネクタ部15b、接続線部16a及び出力側コネクタ部16bは、いわゆる送り配線機構を構成する。
【0016】
レンズ部12は、光源14から発せられる光を屈折及び反射させて、光軸LAに対し壁面3b側へ所定角度傾いた方向へ出射されるよう光学制御する光学部材である。所定角度は、一例として10度とするが、これに限るものではない。レンズ部12は、図1図2(a)及び図2(b)に示すように長尺状の形状を有し、一例としてポリカーボネイトで構成され、押出成形により製造される。ここで、レンズ部12は、構成の基本となる図3(a)に示す基本レンズ部31に、基本レンズ部31と自己相似な形状の光学制御部材と同じ光学制御を行う光制御部分(一例として図2(b)に示すファセットF1)を設けたレンズ(以下「フラクタルレンズ」という)である。
【0017】
<基本レンズ部31>
図3(a)は、基本レンズ部31の構成及び基本レンズ部31に入射される光の光路を模式的に示す図である。基本レンズ部31は、光源14から入射される光が、基本レンズ部31内を通り、全体として、光軸LAに対して壁面3b側へ所定角度(一例として10度)傾いた方向へ出射されるよう光学制御する。
【0018】
基本レンズ部31は、図3(a)に示すように、平坦部12a、凸レンズ部12b及び平坦部12cを備える。平坦部12a及び平坦部12cが、器具本体部11の凹部の側壁面に形成された溝部分に嵌め込まれることで、レンズ部12が器具本体部11に固定される。
【0019】
基本レンズ部31は、軸対称ではない非対称のレンズであり、光源14から入射する光を、照射対象の一例である壁面3b又は看板などの対象物に近づくよう傾いた方向に出射するよう光学制御する。
【0020】
基本レンズ部31は、図3(a)に示すように、出射面S11~S13、反射面部S14、入射面部S15~S17、及び反射面部S18を備える。
【0021】
光源14から出射されて入射面S17に入射される光L1aは、入射面S17で屈折して進み(光L1b)、反射面S18で反射され(光L1c)、さらに出射面S11で屈折して出射される(光L1)。光L1は、主に、壁面3bに対し下に伸びる光となる。
【0022】
また、光源14から出射されて入射面S15に入射される光L3aは、入射面S15で屈折して進み(光L3b)、反射面S14で反射され(光L3c)、出射面S13で屈折して出射される(光L3)。光L3は、主に、壁面3bに対し上側を照らす光となる。
【0023】
また、光源14から出射されて入射面S16に入射される光L2aは、入射面S16で屈折して進み(光L2b)、出射面S31で屈折して出射される(光L2)。光L2は、主に、壁面3bに対し光L3aが照らす領域と光L2aが照らす領域の間の領域、及びこれらの領域とオーバーラップする領域を照らす光となる。
【0024】
ここで、光学制御のためのレンズを構成する場合、色むら制御のために、小さなファセットを出射面S31に付す必要がある。ファセットとして、十分に色むらが消える大きさの半径を有する半円柱状のファセットが用いられることがあるが、このようなファセットでは、光の制御が難しく、意図しない方向へ進行する光が含まれてしまう。
【0025】
<レンズ部12A>
レンズ部12Aは、図3(b)に示すように、基本レンズ部31の出射面S31に、半円柱状のファセットではなく、基本レンズ部31と自己相似な形状の光学制御部材をファセットF11として複数設けたものである。基本レンズ部31とファセットF11とは、一体成型されている。複数のファセットF11のそれぞれが、基本レンズ部31と同様に、入射される光を光軸に対し壁面3b側へ所定角度傾いた方向に出射されるよう光学制御するので、半円柱状のファセットを設けるときのように、意図しない方向へ光が進行してしまう場合は少なく、壁面3bをより明るく照らすことができ、光の利用効率の低下を避けることができる。レンズ部12Aは、長尺状の部材であり、一例として、ポリカーボネイトで構成される。
【0026】
なお、図3(b)において、レンズ部12Aを、ファセットF11を4個設けた例で示しているが、これは、単に、レンズ部12Aの技術思想を分かりやすく例示するために示したものであり、この態様に限るものではなく、ファセットF11を3個以下、5個以上設けてもよいし、ファセットF11の大きさ、並べ方など適宜変更してもよい。
【0027】
また、レンズ部12Aについて、基本レンズ部31を縮小した光学制御部材をファセットF11として備えることは、押出加工による製造面などを考慮すると現状では難しい場合がある。そこで、レンズ部12では、ファセットF11に代えて、図2(b)及び図4(a)に示すように基本レンズ部31と自己相似な形状の光学制御部材と同じ光学制御を行うファセットF1a~F1jを設けている。
【0028】
<レンズ部12>
レンズ部12は、図1図2(a)及び図2(b)に示すように、長尺状の部材であり、一例として、ポリカーボネイトで構成され、押出成形により製造される。レンズ部12は、図2(b)及び図4(a)に示すように、基本レンズ部31と自己相似な形状の光学制御部材と同じ光学制御を行う光学制御部分であるファセットF1a~F1j(以下「ファセットF1」と総称する)を備えるレンズである。基本レンズ部31とファセットF1とは一体成型されている。また、レンズ部12は10個のファセットF1を備えるが、ファセットF1の数はこれに限るものではなく適宜変更してもよい。
【0029】
ファセットF1は、図4(b)に示すように、入射される光(平行光)が、光軸(入射方向)に対し壁面3b側へ所定角度θ1(本実施形態では10度)傾いた方向に出射されるよう光学制御する部位である。この光学制御は、基本レンズ部31が全体として行う光学制御と同じである。ファセットF1から出射される光は、基本レンズ部31と同様の光学制御がされたものとなるため、半円柱状のファセットを通過する場合に比べ、意図しない方向へ出射する光が含まれている割合は低減する。
【0030】
レンズ部12は、基本レンズ部31の出射面S31の構成を出射面S12としたものなので、以下、出射面S12を中心に説明する。
【0031】
図4(a)は、出射面S31の上に、基本レンズ部31と同じ光学制御を行うファセットF1を複数並べるよう構成された出射面S31を模式的に表す図である。
【0032】
出射面S12は、図4(a)に示すように、凸状のレンズ部分の表面に相当する出射面S31に、複数、一例として10個のファセットF1a~F1jを並べて設けられた構造となっている。出射面S12に設けるファセットF1の個数は、多いほど詳細な光学制御が可能となるが、ファセットの個数が多くなるほど押出成形によりレンズ部12を製造するのが難しくなるので、製造技術などを勘案して適宜決定してよい。
【0033】
<ファセットF1>
ファセットF1a~F1jのそれぞれは、断面が半円柱状ではなく、図4(a)に示すように表面部分がカーブFSa~FSjを描く凸状の部位となっている。カーブFSa~FSj(以下「カーブFS」と総称する」)は、図4(b)に示す基本カーブLS1を、カーブFSa~FSjそれぞれについて定められた回転角だけ回転させたものである。
【0034】
基本カーブLS1は、図4(b)に示すように、入射される平行光(光L21a)を、所定角度θ1(一例として10度)曲げて出射する(光L21b)機能を有するよう演算により決定されたカーブである。カーブの形状は、レンズ部12の素材における屈折率、空気の屈折率、出射角θ1、入射角(0度)によりスネルの法則に基づき算出される。
【0035】
また、各回転角は、一例として、図4(a)に示すような出射面S31のカーブにおける、各ファセットF1が設けられる範囲の中心位置での垂線が、鉛直方向と成す角とする。図4(c)には、基本カーブLS1を回転角θ2(ROは回転中心)だけ回転させる例を示している。
【0036】
<1.2.効果>
以下、レンズ部12(「フラクタルレンズ」ともいう)を用いた場合の効果を、図5(a)及び図6を用い、ファセットを設けないレンズ(以下「無ファセットレンズ」という)、及び半円柱状のファセットを設けたレンズ(以下「Rファセットレンズ」という)を用いた場合と比較しつつ説明する。
【0037】
図5(a)は、図5(b)及び図6に示すデータ測定のための照明器具の設置環境について説明するための図である。図5(a)に示すように、天井面3a、壁面3b及び照度確認面3cは相互に垂直であり、天井高Y3は2.7mであり、照度確認面3cの幅Y4は3.6mである。
【0038】
図5(b)に断面を模式的に表したようなフラクタルレンズ63、無ファセットレンズ61及びRファセットレンズ62の各々を備えた照明器具Xは、その中心位置が図5(a)に示すように、天井面3aにおける、壁面3bから距離Y1(具体的には0.9m)、照度確認面3cから距離Y2離した位置に固定される。
【0039】
図5(b)に、無ファセットレンズ61を用いた場合の配光曲線データ71及び器具効率81、Rファセットレンズ62を用いた場合の配光曲線データ72及び器具効率82、並びにフラクタルレンズ63を用いた場合の配光曲線データ73及び器具効率83を示す。ここで、グラフ71a、グラフ72a及びグラフ73aは、管軸に直交方向の配光を表し、グラフ71b、グラフ72b及びグラフ73bは、管軸に平行方向の配光を表している。また、グラフ71a、グラフ72a及びグラフ73aにおいて、紙面に向かって左側が壁面3bに近づく側を表す。
【0040】
グラフ71a、72a及び73aを比較すると、グラフ73aの部分73aaは、グラフ72aの部分72aa及びグラフ71aの部分71aaと比べて、平らで膨らみがなく、光が壁面3bから離れる方向ではなく、壁面3b側に多く出射されていることが分かる。
【0041】
また、フラクタルレンズ63を用いた場合、器具効率83は53.0%であり、無ファセットレンズ61を用いた場合の器具効率81(58.0%)よりは劣るものの、Rファセットレンズ62を用いた場合の器具効率82(46.0%)より大きく、ファセットを設けたことによる光束の低下率が抑えられており効率がよいといえる。このように、効率の低下が抑えられているのは、フラクタルレンズ63において意図しない方向への光が生まれにくいためと考えられる。
【0042】
図6は、照度確認面3cにおける、Rファセットレンズ62及びフラクタルレンズ63を用いた場合の初度分布を表す図である。図6中の数値の単位はlx(ルクス)である。曲線FF11~FF17がフラクタルレンズ63についての等照度曲線であり、曲線RF12~RF17がRファセットレンズ62についての等照度曲線である。
【0043】
5.00lxを表すFF14及びRF14、2.00lxを表すFF15及びRF15、1.00lxを表すFF16及びRF16に着目すると、フラクタルレンズ63に係るFF14、FF15及びFF16がそれぞれ、RF14、RF15及びRF16よりも紙面で左側、すなわち壁面3bに近くなっている。以上のように、フラクタルレンズ63によれば、Rファセットレンズ62に比べ、光が壁面3bから離れる方向に広がるのを抑えることができ、効率のよいレンズであるといえる。
【0044】
<2.第2の実施形態>
上述の実施形態では、出射面S31の上にファセットF1を複数設けていたが、図7に示すように、ファセットF1の上に、さらに、ファセットF1と自己相似な形状の光学制御部材としてのファセット(以下、ファセットの上に設けられたファセットを「サブファセット」ともいう)F11a~F11j(以下「サブファセットF11」と総称する)を設けることとしてもよい。これにより、さらに、光束の低下率が抑えられ、効率がよいレンズを構成することができる。また、サブファセットF11の上に、さらに、サブファセットF11と自己相似な形状の光学制御部材としてのファセットを設けることとしてもよい。
【0045】
上述のように、ファセットの上に、自己相似な形状の光学制御部材としてのファセットを設けることを繰り返していくことで、さらに効率のよいレンズが構成可能となる。
【0046】
<3.第3の実施形態>
上述の実施形態では、レンズ部12は、照明器具1に直接的に組み込まれていたが、これに限らない。例えば、図8(a)に示すように、照明器具を、光源ユニット111と器具本体121とが分離可能な照明器具101のように構成し、レンズ部12が、光源ユニット111において光源14を覆うカバー部材112の一部として構成されていてもよい。具体的には、図8(b)に示すように、光源ユニット111内部には、図2(a)に示した場合と同様に、基板13及び光源14が配されており、光源ユニット111の下面には、図2(a)に示した場合と同様の出射面S12を備えたレンズ部12が組み込まれている。
【0047】
なお、光源ユニット111には、レンズ部12に代えてレンズ部12Aが組み込まれていてもよい。
【0048】
<4.変形例その他>
以上、本発明に係る照明器具の実施形態を説明したが、例示した照明器具を例えば以下のように変形することも可能であり、本発明が上述の実施形態で示した通りの照明器具に限られないことは勿論である。
【0049】
(1)上述の実施形態では、照明器具及びレンズが長尺状のものとして説明したが、これに限らず、照明器具が筒状であり、レンズが円板状のものであるなど、上述の発明の技術的思想を具現化する他の形状であってもよい。
【0050】
(2)本発明の各部構成は上記実施形態及び変形例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。例えば、上記照明器具の各部構成は、LEDに係る照明器具に限定されていない様々な照明器具に適用することが出来る。
【0051】
(3)上述の実施形態では、基本レンズ部31による光の光路として、L1、L2、L3などの光路を示し、L1及びL2はクロスしないような表現となっていたが、入射面S17に入射され、入射面S17で屈折して進み、反射面S18で反射され、さらに出射面S11で屈折して出射される光の中には、図9に示す光L101のように、光L2と交差する光も含まれていてよい。このL101のような光が光L2、光L3となじんで光のムラが低減し、壁面下部から中部にかけて均一に照らすことになる。
【0052】
(3)上述の実施形態及び各変形例を、部分的に組み合せてもよい。
【0053】
<5.発明の抽出>
上記の実施形態および変形例から抽出される発明として、例えば、以下の発明を挙げることができる。
【0054】
(1)本発明の一実施形態に係る照明器具は、照明器具であって、光源と、前記光源からの出射光を一の方向に進行するよう光学制御を行うレンズとを備え、前記レンズは、出射面に、自己相似な形状のレンズと同じ光学制御を行うファセットを備える。
【0055】
前記ファセットは、凸状の曲面に沿って複数配されていることとしてもよい。
【0056】
前記複数のファセットの1つは、他のファセットを所定角度回転したものであるとしてもよい。
【0057】
前記一の方向は、前記光源の光軸に対し所定角度を成す方向であるとしてもよい。
【0058】
この構成によれば、従来よりも光の利用効率の低下を抑制できる。
【0059】
(2)前記ファセットは、前記ファセットに自己相似的な形状のサブファセットを備えることとしてもよい。
【0060】
この構成によれば、光の利用効率の低下をさらに抑制できる。
【0061】
(3)前記照明器具は、ウォールウォッシャー型の照明器具であることとしてもよい。
【0062】
この構成によれば、照度ムラの少ない光を壁面に、光を効率良く利用して照射できる。
【0063】
(4)本発明の一実施形態に係る光源ユニットは、光源と、前記光源からの出射光を一の方向に進行するよう光学制御を行うレンズとを備え、前記レンズは、出射面に、自己相似な形状のレンズと同じ光学制御を行うファセットを備える。
【0064】
この構成によれば、従来よりも光の利用効率の低下を抑制できる。
【符号の説明】
【0065】
1、101、X 照明器具
3a 天井面
3b 壁面
3c 照度確認面
3d 床面
11 器具本体部
12、12A レンズ部
12a 平坦部
12b 凸レンズ部
12c 平坦部
13 基板
14 光源
15a、16a 接続線部
15b 入力側コネクタ部
16b 出力側コネクタ部
17a、17b エンドキャップ
31 基本レンズ部
61 無ファセットレンズ
62 Rファセットレンズ
63 フラクタルレンズ
71、73、74 配光曲線データ
81、82、83 器具効率
111 光源ユニット
112 カバー部材
121 器具本体
F1a~F1j、F11 ファセット
LA 光軸
LS1 基本カーブ
S11~S13、S31 出射面
S14、S18 反射面
S15~S17 入射面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9