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  • 特許-クラッチアセンブリ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-20
(45)【発行日】2022-09-29
(54)【発明の名称】クラッチアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   F16D 25/0638 20060101AFI20220921BHJP
   F16D 48/02 20060101ALI20220921BHJP
   F16D 55/40 20060101ALI20220921BHJP
   F16H 59/42 20060101ALI20220921BHJP
   F16H 59/44 20060101ALI20220921BHJP
   F16H 61/00 20060101ALI20220921BHJP
   F16H 61/02 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
F16D25/0638
F16D48/02 640L
F16D55/40 F
F16H59/42
F16H59/44
F16H61/00
F16H61/02
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017074228
(22)【出願日】2017-04-04
(65)【公開番号】P2017194155
(43)【公開日】2017-10-26
【審査請求日】2020-03-19
【審判番号】
【審判請求日】2021-12-16
(31)【優先権主張番号】16166127.7
(32)【優先日】2016-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】517118445
【氏名又は名称】オートリングハウス-ウェルケ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】ランジェンベック,ベルナルド
(72)【発明者】
【氏名】アルブレヒト,マルクス
(72)【発明者】
【氏名】プレディグケイト,カイ
【合議体】
【審判長】平田 信勝
【審判官】段 吉享
【審判官】平瀬 知明
(56)【参考文献】
【文献】特開昭57-86643(JP,A)
【文献】特開2013-227999(JP,A)
【文献】特開平3-248929(JP,A)
【文献】特開2004-42801(JP,A)
【文献】特開平6-144377(JP,A)
【文献】実開平4-108499(JP,U)
【文献】特開2009-202732(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 67/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作機械(25)への機関(20)の機械的な接続のための運転アセンブリであって、船舶推進駆動装置用の運転アセンブリであり、動的に制御可能なマルチプレートクラッチ(4)によって接続される駆動シャフトユニット(2)及び出力シャフトユニット(3)を備えるとともに、該出力シャフトユニット(3)に対して作用する抑速ブレーキ(7)、及び、制御ユニットを備え、前記マルチプレートクラッチ(4)は、駆動と出力側との間に同期運転が行われない動作状態で運転することができ、前記抑速ブレーキ(7)は動的に制御可能なブレーキであり、
前記制御ユニットは、分離と全出力伝達との間で前記マルチプレートクラッチ(4)に対する油圧を無段調節するユニット、及び、自由な運転と固定との間で前記抑速ブレーキ(7)に対する油圧を無段調節するユニットを備え、前記制御ユニットは、前記マルチプレートクラッチ(4)に対する圧力、及び、前記抑速ブレーキ(7)に対する圧力をそれぞれ独立して調節し、
出力速度は、前記マルチプレートクラッチ(4)及び前記抑速ブレーキ(7)の双方の制御によって調節され、前記マルチプレートクラッチ(4)において生じるドラグトルクを、前記抑速ブレーキ(7)を制御することによって相殺することを特徴とする、運転アセンブリ。
【請求項2】
前記マルチプレートクラッチ(4)及び前記抑速ブレーキ(7)は共通のハウジング内に一体化されることを特徴とする、請求項1に記載の運転アセンブリ。
【請求項3】
補助駆動装置(28)を備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の運転アセンブリ。
【請求項4】
必要な動力、潤滑剤及び/又は冷却油の流れへの油圧供給のためのポンプを、前記補助駆動装置(28)によって駆動することができることを特徴とする、請求項3に記載の運転アセンブリ。
【請求項5】
電動ポンプを備えることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の運転アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動作機械への機関の機械的な接続のための運転アセンブリに関する。そのような運転アセンブリは、現行の技術水準において十分に知られている。機関は通常、駆動シャフトユニットに接続され、動作機械は通常、出力シャフトユニットに接続される。例えば、駆動シャフトユニットと出力シャフトユニットとの間に油圧操作マルチプレートクラッチを介装することが知られている。特定の状況下では、マルチプレートクラッチは、それぞれの装置の動作状態に応じて、不所望のドラグトルクも伝達する(これは特に油潤滑マルチプレートクラッチの場合である)ことが知られているため、動作機械を確実に停止させるために、必要であれば、出力シャフトユニット又は出力シャフトの領域において、抑速ブレーキが挿入される。
【背景技術】
【0002】
そのようなユニットは、様々な用途、例えば、ディーゼル発電機セットとプロペラシステムとの間に配置されるが、電流発生器ユニット等にも配置される船舶用途に使用される。
【0003】
マルチプレートクラッチも良く知られたアセンブリであり、駆動シャフトに直接的又は間接的に接続されるプレートが、ハウジング上に固定されるプレートに対して回転する。これらのプレートパックは、例えば油圧力によって、ばね力又は任意の他のプレロードに抗して軸方向に移動することができ、それによって、回転プレートと静止プレートとの間の距離は可変である。完全に接触すると、力の伝達(回転速度×トルク)が生じ、完全な離脱の場合には、駆動及び出力は、十分な距離を提供する端位置において互いから分離される。中間の段階は、圧力媒体の対応する制御によって、通常の設備において制御することができる。
【0004】
駆動が開始して駆動シャフトを回転させるとすぐに、クラッチユニットの駆動シャフトは回転される。マルチプレートクラッチは、圧力媒体、例えば圧力油による対応する加圧によって係合され、したがって、対応する回転の伝達が可能となる。
【0005】
クラッチピストンに対する圧力を変えることのみによって、駆動速度に対する出力側の本質的に連続的な速度調整が、駆動速度に影響を与えることさえなく生じることができることが知られている。潤滑油、冷却油媒体等を提供する補助ユニットが当然ながら設けられる。
【0006】
燃焼機関の低速範囲では、この速度調整がその限度を有することが知られている。モータのアイドル速度を下回る速度は通常、可能ではない。しかし、調整可能なマルチプレートクラッチの使用は、これを低係合圧力で動作させることを可能にし、これは「スリップクラッチ」と呼ばれる。この動作状態では、駆動と出力側との間には同期運転がない。これは例えば、他の理由から機関が対応して高い速度範囲内で動作されなければならない場合である。そのような理由は、消火活動等のための安全装置への動力の提供であり得る。
【0007】
クラッチのスリップは動力の損失につながる。
【0008】
冷却能力は、対応してかなり重要である。スリップ動作において生じる動力損失は、内部で供給される量の油によってクラッチから消散される。このエネルギー入力は、冷却器によってシステムから消散されなければならない。通常、これは、水-油熱交換器によって実現される。供給される冷却媒体の量及び冷却媒体の進入温度とは別に、クラッチの側において利用可能になる油の量が、対応して決定的である。高い動力損失を消散させるために、多量の油が必要とされる。しかし、ユニットの実際の動作において、最大の動力損失が生じるときを予測することは不可能であるため、対応して大量の冷却油が費やされなければならない。しかし、クラッチが開いている場合、この大量の油によって、出力側における対応して速い速度につながり得る高いドラグトルクが発生する。しかし、これらの速度は通常、クラッチが開いている場合には望まれない。目的は、ゼロになるまでの連続的な速度調整である。
【0009】
可能性のある改善措置は、抑速ブレーキであり、これによって、出力側が当然ながら固定される。しかし、制御不可能な速度範囲が残る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
記載した現行の技術水準に基づいて、本発明の目的は、包括的なタイプの運転アセンブリを提供することであり、これによって、より大きい速度範囲、特により遅い速度をはっきりと制御することができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この問題の技術的な解決策のために、請求項1の特徴を有する運転アセンブリが提案される。他の利点及び特徴が従属項から生じる。
【0012】
本発明による方法の提案は、請求項7の特徴から生じる。他の利点及び特徴が従属項から生じる。
【0013】
本発明によると、抑速ブレーキとして動的に制御することができるブレーキを使用することが提供される。この措置のおかげで、抑速ブレーキを動的に制御することができ、適切な制動トルクを設定することができる。
【0014】
クラッチ及びブレーキの双方を異なる媒体によって作動することができる。概して、補助エネルギーに言及する。本願の範囲内で、油圧、油圧の制御、油圧クラッチ、油圧ブレーキ等に例示的に言及する場合、これは限定的ではない。対応するクラッチ及びブレーキを作動するのに用いることができる全ての他の可能性のある補助エネルギーも含まれる。
【0015】
その限りにおいて、一方では、マルチプレートクラッチに対する油圧を、他方では抑速ブレーキに対する油圧を同時に制御することによって、マルチプレートクラッチにおけるドラグトルクを相殺することが可能である。
【0016】
本発明による運転アセンブリのおかげで、駆動速度のほぼ0%~100%において出力速度を調整及び制御することが可能である。
【0017】
本発明の有利な提案に従って、マルチプレートクラッチ及び抑速ブレーキを1つのハウジング内に一体化することができる。この提案のおかげで、かなり小型のユニットを実現することができ、これは、特にカルダンシャフトを含むことができるシャフトラインに挿入することができる。対応する運転アセンブリは、本発明の別の提案に従って、必要な動力の流れ、潤滑剤の流れ及び/又は冷却油の流れへの油圧供給に使用することができる補助装置を含むことができる。そのような補助装置は、例えば駆動シャフトユニットに接続することができる。
【0018】
本発明によると、運転アセンブリは制御ユニットを備える。これは、マルチプレートクラッチに対する油圧を無段調節するユニットを備えるように設計され、それによって、マルチプレートクラッチは、一方では、全出力伝達と、他方では完全な分離との間で調整することができる。制御ユニットは、自由な運転と固定との間で設定することができるように、抑速ブレーキに対する油圧を調整するユニットを更に備える。
【0019】
本発明による解決策は、容易に組み立てて挿入することができる運転アセンブリを提供する。本発明の有利な提案によると、これは例えば、ディーゼル機械と船舶推進駆動装置のプロペラとの間に挿入される。本発明による装置の使用は、出力速度を操作者によって所望される値に設定することができるように、ブレーキピストンに対する圧力を変えることによってクラッチのドラグトルクを相殺することができる。ドラグトルクが低すぎる場合、ブレーキは完全に開き、スリップクラッチは通常、出力速度を所望の値まで上昇させることができる。速度調節は、駆動と出力速度との間の速度整合、及び、例えば比例弁によって速度整合に関連付けられる圧力の適合によって実現される。本発明は、ブレーキにしっかりとした圧力を印加することも可能にし、これは遅い出力速度の範囲であり、この圧力は、最大に生じるドラグトルクが完全に相殺されるほど高い。圧力の生成に失敗する場合、抑速ブレーキは、装置によって手動で係合されることができる。
【0020】
この方法に関して、本発明は、マルチプレートクラッチに対する圧力及び抑速ブレーキに対する圧力の双方をそれぞれ調節することを提案する。このために、本発明によって提案されるような制御可能な油圧ブレーキを使用しなければならない。このように、本発明に従って、抑速ブレーキに印加される油圧の調節によって、マルチプレートクラッチにおいて生じるドラグトルクを制御することが可能である。調節はしたがって、機関の速度とは完全に独立した方法で出力速度を設定することを可能にする。本明細書では、言うまでもなく、機関は、対応してより速い速度を提供する。
【0021】
本発明によると、機関が最低速度で動作されることが提供される。このように、緊急機能、例えば、安全設備の緊急動作、又は、例えば船の動作状態、特に港湾エリアにおける逆行する遅い移動における位置の保持、消化ポンプの動作、及び、逆流の相殺等も維持することができる。
【0022】
本発明によると、クラッチ及びブレーキはこのように双方が制御される。これは、本発明によると、動的に制御可能なブレーキの使用を必要とする。装置はしたがって、低速でさえも、制御可能な出力速度を設定して維持することができるように、双方が動的に制御されることができるクラッチ及びブレーキを備える。
【0023】
本発明の他の利点及び特徴は、図面によって以下の記載から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明による運転アセンブリの切断概略図である。
図2】機能群及び調節プロセスの概略図である。
図3】船舶推進駆動装置における本発明による運転アセンブリの使用の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図面において、同じ要素には同じ参照符号が与えられる。
【0026】
図1に示されているように、例示的な実施形態は、駆動シャフトユニット2が、マルチプレートクラッチ4及び抑速ブレーキ7にわたって出力シャフトユニット3にガイドされる、一体的なアセンブリからなる。油圧油が油だめ5から提供され、油は、接続されたポンプ6を介して送達される。
【0027】
抑速ブレーキ7及びマルチプレートクラッチ4は、動的に制御可能なアセンブリである。
【0028】
図2によると、機関20によって駆動される駆動シャフト21の速度、及び、動作機械25に伝達される出力シャフト24の速度が比較される。目的の設定に応じて、制御ユニット(図示せず)が、対応するトルクが設定されることを確実にし、これは31で示される。したがって、一方では、対応する圧力が、マルチプレートクラッチ22に印加され、それとは独立して、これが存在する必要があれば、抑速ブレーキ23に印加される。
【0029】
図3は、適用の場合を例示的に示しており、船用ディーゼル10が、その動力を駆動シャフト11に伝達する。運転ユニット1は、必要性に基づいた方法で動力を出力シャフト13に伝達する。プロペラ群12のプロペラ15が、ギア14によって対応して駆動される。
【0030】
記載した例示的な実施形態は、専ら説明に役立ち、限定するものではない。言うまでもなく、必要性に基づいた方法で、温度、圧力、速度、油レベル等を求めるとともに、制御ユニットに対してこれらを利用可能にするために、対応するセンサが設けられる。
【符号の説明】
【0031】
1 運転アセンブリ
2 駆動シャフトユニット
3 出力シャフトユニット
4 マルチプレートクラッチ
5 油だめ
6 ポンプ
7 抑速ブレーキ
10 船用ディーゼル
11 駆動シャフト
12 プロペラアセンブリ
13 出力シャフト
14 ギア
15 プロペラ
20 機関
21 駆動シャフト
22 クラッチ
23 ブレーキ
24 出力シャフト
25 動作機械
28 補助駆動装置
29 補助ユニット
30 速度の比較
31 圧力制御
図1
図2
図3