(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-20
(45)【発行日】2022-09-29
(54)【発明の名称】構造ヘルスモニタリングシステム
(51)【国際特許分類】
G01N 27/20 20060101AFI20220921BHJP
B64F 5/60 20170101ALI20220921BHJP
G01M 99/00 20110101ALI20220921BHJP
G01N 27/00 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
G01N27/20 B
B64F5/60
G01M99/00 Z
G01N27/00 L
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017252962
(22)【出願日】2017-12-28
【審査請求日】2020-12-21
(32)【優先日】2017-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100161274
【氏名又は名称】土居 史明
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー エム.ミッチェル
(72)【発明者】
【氏名】ジョン マイケル フッド
(72)【発明者】
【氏名】デボン アレキサンダー ボーエン
【審査官】村田 顕一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-256596(JP,A)
【文献】特開2015-097453(JP,A)
【文献】特開2016-138751(JP,A)
【文献】特開2002-071616(JP,A)
【文献】特開2004-061251(JP,A)
【文献】特表2005-523494(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0170535(US,A1)
【文献】特開2008-140178(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/00-27/10
G01N 27/14-27/24
B64F 5/00-5/60
G01M 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機のための構造ヘルスモニタリング装置であって、
前記航空機の対象部分に取り付け可能な一対の電極に通信可能に連結された処理回路を含む測定回路であって、オンボード通信及びオフボード通信を可能にするように構成されたアンテナを有する無線回路と通信する測定回路と、
前記航空機が置かれた環境からエネルギーを回収して、前記測定回路に電力を供給するように構成されたエネルギーハーベスター回路と、を含み、
前記測定回路は、前記航空機の前記対象部分のインピーダンスを測定するように構成されており、
前記処理回路は、前記航空機の構造健全性の変化を示す前記対象部分のインピーダンスの変化を判定するように構成されており、
前記無線回路は、前記対象部分について前記測定回路によって測定されたインピーダンスをリーダ装置に送信するように構成されているとともに、前記リーダ装置は、前記航空機のオンボード・ネットワーク・システムの無線アクセスポイントを含む、構造ヘルスモニタリング装置。
【請求項2】
前記エネルギーハーベスター回路は、熱電発電機に連結されたエネルギーハーベスティング集積回路を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記リーダ装置は、遠隔リーダ装置をさらに含む、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記測定回路は、オンボードの記憶装置に通信可能に連結されている、請求項1~3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
航空機のための構造ヘルスモニタリング装置を含む構造ヘルスモニタリングシステムであって、前記構造ヘルスモニタリング装置は、
前記航空機の対象部分に取り付け可能な一対の電極に通信可能に連結された処理回路を含む測定回路であって、オンボード通信及びオフボード通信を可能にするように構成されたアンテナを有する無線回路と通信する測定回路と、
前記航空機が置かれた環境からエネルギーを回収して、前記測定回路に電力を供給するように構成されたエネルギーハーベスター回路と、を含み、
前記測定回路は、前記航空機の前記対象部分のインピーダンスを測定するように構成されており、
前記処理回路は、前記航空機の構造健全性の変化を示す前記対象部分のインピーダンスの変化を判定するように構成されており、
前記対象部分のインピーダンスの変化に関する情報を取得するために、前記構造ヘルスモニタリング装置と無線通信するように構成されたリーダ装置をさらに含み、前記リーダ装置は、前記リーダ装置は、前記航空機のオンボード・ネットワーク・システムの無線アクセスポイントを含む、構造ヘルスモニタリングシステム。
【請求項6】
前記リーダは、前記構造ヘルスモニタリング装置の前記アンテナ及び前記無線回路と通信するように構成された可搬型近距離無線通信自動認識(RFID)リーダをさらに含む、請求項5に記載の
システム。
【請求項7】
航空機のための構造ヘルスモニタリング方法であって、
前記航空機の構造健全性を、前記ワークピースに連結された構造ヘルスモニタリング装置を用いて監視し、前記構造ヘルスモニタリング装置は、前記航空機の対象部分に取り付けられた一対の電極に通信可能に連結された処理回路含む測定回路を含んでおり、前記測定回路は、前記航空機の前記対象部分のインピーダンスを測定するように構成されており、前記処理回路は、前記航空機の構造健全性の変化を示す前記対象部分の前記測定インピーダンスの変化を判定するように構成されており、
前記構造ヘルスモニタリング装置に電力を供給するために、前記構造ヘルスモニタリング装置のエネルギーハーベスティング回路を用いて、前記航空機が置かれた環境から環境エネルギーを捕集し、
前記対象部分の前記測定インピーダンスに関する情報を、前記構造ヘルスモニタリング装置において前記測定回路と通信可能な無線回路を用いて、前記航空機のオンボード・ネットワーク・システムの無線アクセスポイントを含むリーダ装置に送信する、構造ヘルスモニタリング方法。
【請求項8】
さらに、前記ワークピースの前記対象部分の前記測定インピーダンスを、予測インピーダンス範囲と比較する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
さらに、前記測定インピーダンスを、前記測定回路の記憶装置に保存する、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
環境エネルギーを捕集するに際し、エネルギーハーベスターICに連結された光起電力セルを用いて太陽光エネルギーを捕集する、請求項7~9のいずれか記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、構造ヘルスマネジメントのためのシステム及び方法に関し、より具体的には、ワークピースを監視するとともに、ワークピースの構造健全性に関する情報を提供するための装置、システム、及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な構造物を定期的に検査することによって、当該構造物の健全性が判定されたり、さらなる検査、メンテナンス又は修理を必要とする問題が特定されたりする。例えば、ビルや橋などでは、構造物の強度が低下したり、最終的に意図した使用が出来なくなったりする原因となる問題が発生する場合があり、これらの問題の発生を特定するために、定期的に検査が行われる場合がある。また、輸送体(例えば、飛行機、列車、船舶など)も、同様に、さらなる処置を行うべき問題を特定すべく、定期的に検査される場合がある。
【0003】
例えば、民間航空機に対しては、定期検査が行われうる。このような検査期間中は、集中的な目視検査が行えるよう、一般的に当該航空機を運航から外されなければならない。これに関し、航空機の検査の少なくともいくつかは、種々の部品を目視検査するため、航空機の実質的な解体を伴う。例えば、航空機におけるアクセスが難しい部分における腐食や疲労損傷を検査したり亀裂の広がりを特定したりするためには、航空機の解体が必要な場合がある。
【0004】
さらなる例として、フロア支持構造や、フィンと胴体又は主翼と胴体の連結部分などの、アクセスが難しく且つ損傷を受けやすい航空機部分を目視検査するためには、大規模な解体及び隣接機器の取り外しが必要となる場合がある。航空機のこのような部分を目視検査するには、相当な時間と労力が必要であり、従って、かなりの期間、航空機を運航から外す必要が生じうる。また、ある種の部品は、取り外しや解体を行うと、航空機を最初に製造した際と同程度の無欠性(integrity)にて当該部品を再シールしたり取り付けたりすることが困難な場合もある。さらに、解体そのものによって、構造物や取り外される部品に、誤って損傷を与えてしまい、追加のメンテナンス又は修理作業が必要となる場合もある。
【0005】
定期的な検査には、目視検査を行うために必要な時間及び労力以外にも不利な点がある。すなわち、定期的な検査では、例えば航空機に何ら構造的問題が無く、何ら修理が必要でないと判断される場合などにも、航空機が一時的に運航から外されることになる。反対に、構造の問題が進行している場合には、定期検査の実施が遅すぎる場合もある。このような場合には、定期検査の合間の期間に、構造の問題が拡大したり、周囲の構造物にダメージを与えたりする恐れがある。この場合、構造の問題をより早く特定した場合よりも、大規模な修理が必要となりうる。
【0006】
従って、より効率的で費用対効果が高く、且つ時宜を得た方法で監視及び検査を行うためのより良い手法を提供することが、望ましいであろう。この点に関し、構造物を長期間使用から除外することなく、構造疲労、亀裂、腐食、又はその他の構造上の問題を、発生後の適切なタイミングで特定するための、より良い検査手法を提供することが望ましいであろう。また、従来の目視検査では必要であった解体を減らすことができる、より良い構造物の監視及び検査手法を提供することが、望ましいであろう。
【発明の概要】
【0007】
本開示による構造ヘルスモニタリングシステム及び方法は、構造物の選択された対象部分に取り付けられた状態を維持し、定期的に電気インピーダンスを測定することにより当該対象部分の構造健全性を監視し、その情報を、ホスト航空機のオンボード・ネットワーク・システムなどの遠隔リーダ装置に無線通信することによって、上述の問題を克服する。このようなモニタリングシステムは、電気的測定及び/又は情報送信のための電力を供給するように構成された周囲エネルギーハーベスティング回路を含みうる。
【0008】
いくつかの実施形態において、構造ヘルスモニタリング装置は、ワークピースの対象部分に取り付け可能な一対の電極に通信可能に連結された処理回路を含む測定回路であって、オフボード通信を可能にするように構成されたアンテナを有する無線回路と通信する測定回路と、前記測定回路に電力を供給するように構成されたエネルギーハーベスター回路と、を含み、前記測定回路は、前記ワークピースの前記対象部分のインピーダンスを測定するように構成されており、前記処理回路は、前記ワークピースの構造健全性の変化を示す前記対象部分のインピーダンスの変化を判定するように構成されている。
【0009】
いくつかの実施形態において、構造ヘルスモニタリングシステムは、構造ヘルスモニタリング装置を含み、前記構造ヘルスモニタリング装置は、ワークピースの対象部分に取り付け可能な一対の電極に通信可能に連結された処理回路を含む測定回路であって、オフボード通信を可能にするように構成されたアンテナを有する無線回路と通信する測定回路と、前記測定回路に電力を供給するように構成されたエネルギーハーベスター回路と、を含み、前記測定回路は、前記ワークピースの前記対象部分のインピーダンスを測定するように構成されており、前記処理回路は、前記ワークピースの構造健全性の変化を示す前記対象部分のインピーダンスの変化を判定するように構成されており、構造ヘルスモニタリングシステムは、前記対象部分のインピーダンスの変化に関する情報を取得するために、前記構造ヘルスモニタリング装置と無線通信するように構成されたリーダをさらに含む。
【0010】
いくつかの実施形態において、構造ヘルスモニタリング方法は、ワークピースの構造健全性を、前記ワークピースに連結された構造ヘルスモニタリング装置を用いて監視し、前記構造ヘルスモニタリング装置は、前記ワークピースの対象部分に取り付けられた一対の電極に通信可能に連結された処理回路含む測定回路を含んでおり、前記測定回路は、前記ワークピースの前記対象部分のインピーダンスを測定するように構成されており、前記処理回路は、前記ワークピースの構造健全性の変化を示す前記対象部分の前記測定インピーダンスの変化を判定するように構成されており、前記構造ヘルスモニタリング装置に電力を供給するために、前記構造ヘルスモニタリング装置のエネルギーハーベスティング回路を用いて、環境エネルギーを捕集し、前記対象部分の前記測定インピーダンスに関する情報を、前記構造ヘルスモニタリング装置において前記測定回路と通信可能な無線回路を用いて、オフボードのリーダに送信する。
【0011】
特徴、機能、及び、利点は、本開示の様々な実施形態によって個別に達成することができ、あるいは、さらに他の実施形態と組み合わせてもよく、そのさらなる詳細は、以下の記載及び図面を参照することによって明らかになるものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の側面による例示的な構造ヘルスモニタリングシステムの概略図である。
【
図2】本手法による、例示的なワークピースの構造ヘルスモニタリング方法の工程を示すフローチャートである。
【
図3】例示的な航空機の製造及び保守方法の工程を示すフローチャートである。
【
図5】本開示の1つ又は複数の態様で使用すること及び/又は態様に包含されることに適した例示的なデータ処理システムの概略図である。
【
図6】本開示の1つ又は複数の態様で使用すること及び/又は態様に包含されることに適した例示的な分散型データ処理システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
遠隔式の構造ヘルスモニタリングシステムならびに関連する方法の様々な態様及び実施例を、以下に説明するとともに、関連図面に示す。特に指定のない限り、構造ヘルスモニタリングシステム及び/又はその様々なコンポーネントは、本明細書に記載、説示、及び/又は組み込みがなされた構造、コンポーネント、機能、及び/又は変形例のうちの少なくとも1つを含みうるが、これは必須ではない。また、具体的に除外しない限り、本開示に関連させて本明細書に記載、説示、及び/又は組み込みがなされたプロセス工程、構造、コンポーネント、機能、及び/又は変形例は、他の同様の装置及び方法に包含させることができ、開示の実施形態間でも入れ替えが可能である。以下の様々な実施例の説明は、単に例示的な性質のものであり、本開示やその適用例又は用途をなんら限定することを意図したものではない。また、実施例及び実施形態によってもたらされる以下に記載の利点は、例示的な性質のものであり、すべての実施例や実施形態が、同じ利点又は同程度の利点をもたらすとは限らない。
[定義]
【0014】
別段の示唆が無い限り、本明細書では、以下の定義が適用される。
【0015】
「実質的に」とは、この用語によって修飾される特定の寸法、範囲、形、概念などに、ほぼ一致していることを意味し、ある特徴又はコンポーネントが必ずしも厳密に一致している必要はない。例えば、「実質的に円筒形」の物体とは、当該物体が円筒に疑似していることを意味し、真円筒に対して1つ又は複数のずれを有していてもよい。
【0016】
「備える(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」(及びこれらの活用型)は、いずれも同義で「含むが、必ずしもこれに限定されない」ことを意味するために用いられ、記載されていない追加の要素又は方法の工程を除外することを意図しない非排他的(open-ended)用語である。
【0017】
「第1」「第2」「第3」などの用語は、1つのグループ等の各要素を区別又は特定するために用いられており、順序や数を限定することを意図したものではない。
[大要]
【0018】
概して、本開示による構造ヘルスモニタリングシステムは、ワークピースの対象部分に連結された構造ヘルスモニタリング装置と、構造ヘルスモニタリング装置と無線通信することにより、当該対象部分の電気的特性の変化に関する情報を取得するリーダとを含みうる。構造ヘルスモニタリング装置は、測定回路を含み、当該測定回路は、ワークピースの対象部分に取り付ける一対の電極に通信可能に連結された処理回路を含む。測定回路は、さらに、オフボード通信を可能にするように構成されたアンテナを有する無線回路と通信する。構造ヘルスモニタリング装置は、例えば、熱エネルギー、太陽光エネルギー又はその他の周囲エネルギーを捕集することによって、測定回路に電力を提供するように構成されたエネルギーハーベスター(harvester)回路も含みうる。いくつかの例において、測定回路は、ワークピースの対象部分の電気インピーダンス(例えば抵抗)を測定するように構成されている。当該装置の処理回路は、ワークピースの構造健全性の変化を示す、対象部分の電気的特性(例えばインピーダンス)の変化を、判定するように構成されている。例えば、対象部分における疲労誘因応力(fatigue-induced stress)や腐食は、そのインピーダンスの変化に表れることがある。
【0019】
本明細書に記載の遠隔構造ヘルスモニタリングシステムの態様は、コンピュータ遂行方法、コンピュータシステム、又はコンピュータプログラム製品として具現化することができる。従って、構造ヘルスモニタリングシステムの態様は、全体がハードウェアの実施形態、全体がソフトウェアの実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコード等を含む)、又は、ソフトウェアとハードウェアの態様を組み合わせた実施形態などの形態を取ることができ、これらすべてを本明細書では概して「回路」「モジュール」又は「システム」と呼ぶ場合がある。また、構造ヘルスモニタリングシステムの態様は、コンピュータ可読プログラムコード/命令を包含するコンピュータ可読媒体として実施されるコンピュータプログラム製品の形態をとることができる。
【0020】
コンピュータ可読媒体の任意の組み合わせを用いることができる。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読信号媒体及び/又はコンピュータ可読記憶媒体とすることができる。コンピュータ可読記憶媒体は、電子、磁気、光学、電磁、赤外線、及び/又は半導体のシステム、装置、もしくはデバイス、あるいは、これらの任意の適当な組み合わせを含みうる。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例には、以下のもの、すなわち、1つ又は複数のワイヤを含む電気的接続、可搬型のコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、光ファイバー、可搬型のコンパクトディスクリードオンリーメモリ(CD-ROM)、光学記憶装置、磁気記憶装置、及び/又はこれらの任意の適当な組み合わせなどがある。本開示において、コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行システム、装置、又はデバイスによって使用したり、これらに関連させて使用したりするためのプログラムを含有及び/又は格納することができる任意の適当な有形の媒体を含みうる。
【0021】
コンピュータ可読信号媒体は、例えば、ベースバンドにおいて又は搬送波の一部としてコンピュータ可読のプログラムコードを包含する伝搬データ信号を含みうる。このような伝播信号は、限定するものではないが、電磁的形態、光学的形態、又はこれらの任意の適切な組み合わせを含む様々な形態のうちの任意の形態をとることができる。コンピュータ可読信号媒体は、命令実行システム、装置、又はデバイスによって使用する又はこれらに関連して使用するためのプログラムを伝達、伝播、又は転送することができる、コンピュータ可読記憶媒体ではない任意のコンピュータ可読媒体を含みうる。
【0022】
コンピュータ可読媒体に組み込まれたプログラムコードは、限定するものではないが、無線、有線、光ファイバーケーブル、RFなど、又はこれらの任意の適当な組合せを含む任意の適当な媒体を用いて送信することができる。
【0023】
構造ヘルスモニタリングシステムの態様の動作を行うためのコンピュータプログラムコードは、ジャバ(Java)、スモールトーク、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語及び「C」などの従来の手続き型プログラミング言語を含むプログラミング言語のうちの1つ又は任意の組み合わせによって書かれたものであってよい。モバイルアプリケーションは、前述したもの、ならびに、Objective-C、Swift、C#、HTML5などを含め、任意の適当な言語を用いて開発することができる。プログラムコードは、全体をユーザのコンピュータで実行してもよいし、一部を、スタンドアローンソフトウェアパッケージとしてユーザのコンピュータで実行してもよいし、一部をユーザのコンピュータで実行し一部をリモートコンピュータで実行してもよいし、全体をリモートコンピュータ又はサーバで実行してもよい。後者の場合、リモートコンピュータを、ローカルエリアネットワーク(LAN)又はワイドエリアネットワーク(WAN)を含む任意の種類のネットワークを介してユーザのコンピュータに接続してもよいし、これに加えて又は代えて、(例えば、インターネットサービスプロバイダを用いたインターネットを介して)外部コンピュータに接続してもよい。
【0024】
構造ヘルスモニタリングシステムの態様を、方法、装置、システム、及び/又はコンピュータプログラム製品のフローチャート及び/又はブロック図を参照して、以下に説明する。フローチャート及び/又はブロック図における各ブロック及び/又はブロックの組み合わせは、コンピュータプログラム命令によって実施することができる。コンピュータプログラム命令は、マシーンを製造するための、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサに提供され、コンピュータのプロセッサ又は他のプログラム可能なデータ処理装置を介して実行される命令が、フローチャート及び/又は概略ブロック図のブロックに明記された機能/動作を実施するための手段を形成することができる。
【0025】
これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータ、プログラム可能な他のデータ処理装置及び/又はその他の装置に指示して特定の態様で機能させることが可能なコンピュータ可読媒体に格納することもできる。これにより、命令を格納したコンピュータ可読媒体により、フローチャート及び/又はブロック図のブロックに記載された機能/動作を実施する命令を含む製品が形成される。
【0026】
また、コンピュータプログラム命令を、コンピュータ、その他のプログラム可能なデータ処理装置、及び/又は、その他の装置にロードして、当該装置で一連の動作ステップを実行させることによって、コンピュータ実施プロセスを作製することもでき、この場合、コンピュータ又は他のプログラム可能な装置で実施される命令が、フローチャート図及び/又は概略ブロック図のブロックに明記された機能/動作を実施するためのプロセスを提供する。
【0027】
図に示したフローチャート及び/又はブロック図は、いずれも、構造ヘルスモニタリングシステムの態様によるシステム、方法、及びコンピュータプログラム製品の可能な実施態様の構成、機能、及び/又は動作を示すことを意図したものである。この点において、各ブロックは、モジュール、セグメント、又はコードの一部を表すこともあり、これらは、特定された論理機能を実現するための1つ又は複数の実行可能な命令を構成する。実施態様によっては、ブロックに示した機能が、図に示した順序とは異なる順序で行われてもよい。例えば、関連する機能によっては、連続して示されている2つのブロックを、実際には実質的に同時に実行してもよいし、ブロックを時には逆の順序で実行してもよい。また、各ブロック及び/又はブロックの組み合わせは、特定の機能若しくは動作を実行する特定用途のハードウェアベースのシステム(又は特定用途のハードウェアとコンピュータ命令の組み合わせ)よって実施することができる。
[実施例:コンポーネント及びその代替手段]
【0028】
以下のセクションでは、例示的な構造ヘルスモニタリングシステム、ならびに関連するシステム、装置、及び/又は方法の選択されたいくつかの態様を説明する。これらのセクションにおける実施例は、例示を目的とするものであり、本開示の全体の範囲を限定するものであると解釈されるべきではない。各セクションは、1つ又は複数の個別の実施形態又は実施例、及び/又は、背景的又は関連の情報、機能及び/又は構造を含みうる。
[例示的な構造ヘルスモニタリングシステム]
【0029】
図1に示すように、本セクションでは、例示的な構造ヘルスモニタリングシステム100を説明する。システム100は、上記の「大要」で説明した構造ヘルスモニタリングシステムの一例である。
【0030】
システム100は、環境106内に配置されたワークピース104に連結された1つ又は複数の構造ヘルスモニタリング装置102を含む。ワークピース104は、構造ヘルスモニタリングが望まれる任意の適当なホスト構造物であってよい。例えば、ワークピース104は、航空機、輸送体、橋、船舶、宇宙船など、又はそれらの任意の部分又は部品を含みうる。ワークピース104は、環境106内で動作するか、及び/又は、当該環境と相互作用するか、及び/又は、当該環境内に存在するものであり、当該環境は、自然環境又は人工環境を含み、太陽光、風、大気圧、湿気、水、騒音、振動、温度勾配、又はこれらの任意の組み合わせなどの周囲因子(ambient features)を含みうる。
【0031】
引き続き
図1を参照すると、各構造ヘルスモニタリング装置102は、ワークピース104における対応する対象モニタリング部分110の電気的特性108を測定するとともに、要求に応じて当該特性に関する情報を遠隔のリーダ装置112に無線送信するように構成された任意の適当な回路又はインターフェースを含みうる。
図1に示した例における装置102は、本体114を含み、当該本体は、プリント回路基板及び/又は当該装置のハウジング又はケース、測定回路116、無線回路118、及び、測定回路及び無線回路に電力を供給するように構成されたエネルギーハーベスティング回路120を含みうる。
【0032】
測定回路116は、対象モニタリング部分110の1つ又は複数の電気的特性を測定するように構成された任意の適当な回路及び/又はモジュールを含みうる。本実施例においては、測定回路116は、導電線又はリード126A及び126Bによって其々処理回路124に接続された一対の電極122A及び122Bを含む。電極122A及び122Bは、其々、センサー又はハーフセンサーと称される場合もある。
【0033】
処理回路124は、電極122A及び122Bからセンサー入力を受け取るとともに、これらの電極から対象モニタリング部分110の電気的測定値を判定するように構成された、任意の適当な回路及び/又はモジュールを含みうる。いくつかの例において、処理回路124は、シグナルコンディショニングを行う。いくつかの例において、処理回路124は、マイクロプロセッサを含む。いくつかの例において、処理回路124は、選択された方法又はアルゴリズム(例えば以下に述べる方法200)の1つ又は複数のステップを行うように構成されている。処理回路124は、記憶装置128と通信し、また、当該記憶装置を含みうる。記憶装置128は、処理回路の機能を行うための(例えばマイクロプロセッサによって実行可能な)命令を含みうる。いくつかの例において、対象モニタリング部分110の電気的特性の測定値に対応するデータが、その後の抽出、傾向分析、装置外への送信、予測値又は予測範囲との比較などのために、記憶装置128に保存される。
【0034】
無線回路118は、例えば測定データを受信するために、処理回路124と通信する。当該無線回路は、アンテナ130を介して、変調された電磁信号を無線で送受信するように構成された任意の回路及び/又はモジュールを含みうる。無線回路118は、遠隔リーダ装置112と通信するように構成されている。例えば、無線回路118及びリーダ112は、いずれも、低電力無線パーソナルエリアネットワーク用IPv6通信プロトコル(IPv6 over Low power Wireless Personal Area Networks、すなわち、6LoWPAN)などの標準プロトコルのもとで動作する。いくつかの例において、無線回路118は、ZigBee装置であってもよい。いくつかの例において、無線回路118は、Bluetooth LE(すなわちBluetooth Smart)装置であってもよい。いくつかの例において、無線回路118は、近距離無線通信自動認識(radio-frequency identification:RFID)システムとして構成され、リーダ112はRFIDリーダであってもよい。
【0035】
エネルギーハーベスティング回路120は、測定回路116及び/又は無線回路118に電力を供給するように構成されている。エネルギーハーベスティング回路120は、環境106及び/又はワークピース104のエネルギー源132から周囲エネルギーを収集するとともに当該エネルギーを使用又は保存用の電気に変換するように構成された、任意の適当な回路及び/又はモジュールを含みうる。本実施例において、エネルギーハーベスティング回路120は、エネルギーハーベスティング集積回路(IC)136に連結された発電装置134、及び、エネルギー貯蔵装置138を含みうる。発電装置134は、エネルギー源132から周囲エネルギー(例えば温度勾配エネルギー、振動、光、音など)を収集するとともにこれを電力に変換するように構成された、熱電発電機(TEG)又は圧電もしくは光起電力(PV)セルなどの任意の適当な装置を含みうる。いくつかの例において、無線回路118がRFIDシステムのように構成されている場合などには、アンテナ130が、発電装置134として補助又は機能する。
【0036】
エネルギーハーベスティングIC136は、発電装置134によって生成された少量(μW~mWの範囲)の電力を効率的に捕捉及び管理するように構成された任意の適当な装置を含みうる。例えば、現在、BQ25504、BQ25505及びBQ25570という名称で販売されている、Texas Instruments社から入手可能なエネルギーハーベスティングIC(超低電力昇圧コンバータとも称される)が、回路120での使用に適しているであろう。
【0037】
回路120によって収集されたエネルギーは、装置102の他の回路に直接供給されたり、エネルギー貯蔵装置138に貯蔵されたりする。エネルギー貯蔵装置138は、充電式リチウムイオン(Li-ion)電池、ウルトラキャパシタ、鉛蓄電池、ニッケルカドミウム電池(NiCad)など、又はこれらの組み合わせを含みうる。いくつかの例において、交流(AC)電力を、例えば、回路120によって、電力変換器を介して、測定回路に供給してもよい。これによれば、周波数応答やインダクタンスなどの、交流電力に関連する電気的測定が容易となる。
【0038】
当該1つ又は複数の構造ヘルスモニタリング装置102は、検出器又は検出装置とも称することができる。リーダ装置112は、検出器102とは別個の装置であり、対象モニタリング部分110に関する検出器102から測定情報を送受信するよう、検出器102と通信接続された任意の適当な無線通信装置を含みうる。いくつかの例において、リーダ装置112は、ワークピース104の様々な部分に配置された1つ又は複数の検出器102と通信を行うために技術者によって携行される、携帯電子装置などの可搬型のリーダである。いくつかの例において、ワークピース104は、航空機の一部であり、リーダ装置112は、当該航空機のオンボード・ネットワーク・システム(ONS)142の無線アクセスポイント(WAP)140を含む。いずれの場合も、リーダ装置112は、1つ又は複数のワークピース104に設けられた1つ又は複数の検出装置102からの測定データをさらに集約、分析、及び報告するために、データプロセッサ144と通信状態とすることができる。
[例示的な構造ヘルスモニタリング方法]
【0039】
本セクションでは、ワークピースの構造健全性をモニタリングするための例示的な方法の工程を説明する。上述した構造ヘルスモニタリングシステム及び装置の態様を、以下に説明する方法の工程において用いることができる。必要に応じて、各工程を行うために用いられうるコンポーネント及びシステムに言及する場合がある。このような言及は、例示のためのものであり、当該方法の何らかの特定の工程を行う態様を限定するものではない。
【0040】
概して、例示的な構造ヘルスモニタリング方法の工程は、ワークピース(例えばワークピース104)の健全性を、当該ワークピースに連結された構造ヘルスモニタリング装置(例えば装置102)を用いて監視することを含みうる。当該構造ヘルスモニタリング装置は、ワークピースの対象部分(例えば対象モニタリング部分110)に取り付けられた一対の電極(例えば電極122A、122B)に通信可能に連結された処理回路(例えば処理回路124)を含む測定回路(例えば測定回路116)を含んでいる。測定回路は、ワークピースの対象部分のインピーダンスを測定するように構成されている。処理回路は、ワークピースの構造健全性の変化を示す対象部分の測定インピーダンスの変化を判定するように構成されている。当該方法は、構造ヘルスモニタリング装置に電力を供給するために、構造ヘルスモニタリング装置のエネルギーハーベスティング回路(例えばエネルギーハーベスティング回路120)を用いて、環境エネルギー(例えばエネルギー源132)を捕集することをさらに含みうる。対象部分の測定インピーダンスに関する情報は、測定回路と通信する、構造ヘルスモニタリング装置の無線回路(例えば無線回路118)を用いて、オフボードのリーダ(例えばリーダ装置112)に送信することができる。
【0041】
いくつかの例において、ワークピースの対象部分の測定インピーダンスは、予測インピーダンス範囲と比較される。測定インピーダンスが予測インピーダンス範囲外であった場合には、(例えば無線回路118によって)オフボードのリーダに警告信号を送信してもよい。
【0042】
いくつかの例において、測定インピーダンスは、測定回路の記憶装置(例えば記憶装置128)に保存される。いくつかの例において、環境エネルギーを捕集することは、エネルギーハーベスター集積回路(IC)に連結された熱電発電機(TEG)及び/又は光起電力(PV)セルを用いて熱エネルギーを捕集することを含む。
【0043】
いくつかの例において、ワークピースは、航空機の一部を含み、オフボードのリーダは、当該航空機のオンボード・ネットワーク・システム(ONS)を含む。
【0044】
次に
図2を参照すると、同図には、別の例示的なワークピースの構造ヘルスモニタリング方法で実行される例示的な工程のフローチャートが示されている。
図2のフローチャートが、当該方法の完全なプロセス又はすべての工程を示していない場合もあり得る。
図2は、概括的に符号200で示す方法の、構造ヘルスモニタリングシステム100及び装置102を用いて行われ得る複数の工程、ならびに、上述した一般的な方法の1つ又は複数の工程を示している。方法200の様々な工程を以下に説明するとともに
図2に示すが、これらの工程を、必ずしもすべてを行う必要はなく、また、場合によっては、示した順序とは異なる順序で行ってもよい。
【0045】
工程202において、ワークピースにおける関心対象部分を特定する。例えば、航空機のある特定の部分又は区域は、しばしば、腐食や疲労破損をより生じやすい。これらの関心対象部分が、
図1を参照して説明した対象モニタリング部分に対応する。関心対象部分の特定は、以前の経験、そのワークピースの種類(例えば航空機のモデル)で高リスクとして知られている部分、ワークピースの年数など、又はこれらの組み合わせに基づいて、行うことができる。
【0046】
工程204において、構造ヘルスモニタリング装置(例えば装置102)が、関心対象部分に配置される。例えば、当該装置は、その電極又はセンサーが対象モニタリング部分に取り付けられた状態で、ワークピースに連結される。当該装置は、ボルト締結又は接着などによって、着脱可能又はその他の態様でワークピースに取り付けることができる。いくつかの例において、取り付けは、監視する部分の各側に1つずつ電極を配置し、関心対象部分を跨ぐ電気的特性を測定できるようにすることを伴う。一般的に、装置は、ワークピースの運転使用の間、確実に取り付け状態が維持されるように、耐久的にワークピースに連結される。換言すれば、本実施例において、当該装置は、一回の測定や一時的な測定に用いる可搬型の装置ではなく、長期的又は半永久的なモニタリング装置であることが意図されている。
【0047】
工程206において、環境及び/又はワークピースからの周囲エネルギーが捕集され、装置で用いるための電力に変換される。しばしばアクセスが困難な位置に配置される長期モニタリング装置であるため、直接の電力供給や交換可能バッテリなどの従来の方法で、構造ヘルスモニタリング装置に電力供給することは、困難な場合がある。このため、周囲環境からエネルギーを捕集するが、これは例えば、振動による圧電エネルギー、光又は太陽光による光起電性エネルギー、温度変動及び/又は勾配による熱電エネルギー、局所的な空気の移動及び/又は水分移動による流体エネルギーなど、又はこれらの組み合わせである。リチウムイオン電池などのオンボードの蓄電装置を用いて、捕集されたエネルギーを貯蔵することができる。
【0048】
工程208において、関心対象部分の1つ又は複数の電気的特性が、モニタリング装置によって捕捉(すなわち測定)される。例えば、装置の2つの電極間の抵抗又はインピーダンスが、当業者には周知の抵抗測定技術などによって、測定される。
【0049】
工程210において、工程208で測定された特性が、モニタリング装置内に保存される。例えば、測定された特性に関する情報が、オンボードの記憶装置(例えば永続記憶装置)に保存される。
【0050】
工程212において、測定された特性が、予測値又は値の予想範囲と比較される。この予測値又は予測範囲は、例えば、同様のワークピースの過去のデータ、ワークピースの年数又はサイクル数、ワークピースの位置などに基づいて求めるなど、任意の適当な方法によって、求めることができる。
【0051】
測定された特性が予測範囲外であった場合、工程214において、モニタリング装置に対する通信及び調査をさらに行うべきであることを示す警告信号が発信される。いくつかの例において、一連の測定値(例えば連続する3回)が、仕様外の状態への傾向を示している場合に、警告信号が送信される。
【0052】
工程216において、工程214の警告信号に応じて、又は選択された周期ベースで、又は必要に応じて、又はユーザの要求に応じて、関心対象部分の測定電気的特性に関する保存情報が、要求側リーダ装置に無線送信される。上述したように、リーダ装置は、可搬型のリーダであってもよいし、あるいは、航空機のオンボード・ネットワーク・システム(ONS)の無線アクセスポイントなど、ワークピースと一体化されたものであってもよい。
【0053】
工程218において、電気的測定に関する情報が、データ処理システム(例えばコンピュータ又はコンピュータネットワーク)によって、照合及びコンパイルされる。
【0054】
工程220において、例えば時間経過ごと、又はワークピースの種類もしくはモデルごとの測定値を分析して傾向を求めるとともに、関連データ(例えば、温度、既知の事象)と照合する。この分析は、さらに、1つ又は複数の予測モデルに用いることができる。いくつかの例において、複数のワークピース(例えば一群の航空機)に関連付けられた構造ヘルスモニタリング装置からの腐食及び/又は疲労関連の測定値が、分析される。例えば、航空機のモデル、種類、年数、及び/又は、熱サイクルに関連する共通点及び傾向を求めるために、分析が行われる。いくつかの例において、分析は、複数のワークピースに共通の、選択された対象モニタリング部分又は関心対象部分(例えば航空機の翼と胴体の連結部分)に関連する。
[例示的な航空機及び関連する方法]
【0055】
本開示の例は、
図3に示す例示的な航空機の製造及び保守方法300ならびに
図4に示す例示的な航空機302に当てはめて説明することができる。例えば、航空機302は、上述したように、ワークピースである。1つ又は複数の構造ヘルスモニタリング装置が、例えばシステムインテグレーション中に、航空機の対象モニタリング部分に取り付けられうる。いくつかの例において、航空機のオンボード・ネットワーク・システムを用いて、モニタリング装置との通信を行う。
【0056】
生産開始前の工程として、方法300は、航空機302の仕様決定及び設計(ブロック304)、及び、材料調達(ブロック306)を含みうる。生産中の工程としては、航空機302の部品及び小組立品の製造(ブロック308)及びシステムインテグレーション(ブロック310)が行われる。その後、航空機302は、認可及び納品(ブロック312)の工程を経て、使用(ブロック314)に入る。使用中は、航空機302は、定例の整備及び保守(ブロック316)に組み込まれうる。定例の整備及び保守は、航空機302の1つ又は複数のシステムの改良、再構成、改修なども含みうる。
【0057】
方法300の各工程は、システムインテグレータ、第三者、及び/又はオペレータ(例えば顧客)によって実行又は実施することができる。説明のために言及すると、システムインテグレータは、航空機メーカ及び主要システム下請業者をいくつ含んでいてもよいが、これに限定されない。第三者は、売主、下請業者、供給業者をいくつ含んでいてもよいが、これに限定されない。オペレータは、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス組織などであってもよい。
【0058】
図4に示すように、例示的な方法300によって製造される航空機302は、複数の高水準システム320及び内装322を備えた機体318を含みうる。高水準システム320の例としては、推進系324、電気系326、油圧系328、及び、環境系330のうちの1つ又は複数が挙げられる。また、その他のシステムをいくつ含んでもよい。また、航空宇宙産業に用いた場合を例として説明したが、本明細書において開示した原理は、例えば自動車産業などの他の産業に適用してもよい。従って、航空機302に加えて、本明細書に記載の原理は、他の輸送体、例えば、陸上車両、船舶、宇宙船などに適用してもよい。
【0059】
本明細書において図示又は説明した装置及び方法は、製造及び保守方法300の任意の1つ又は複数の段階において用いることができる。例えば、部品及び小組立品の製造(ブロック308)に対応する部品又は小組立品は、航空機302の使用中(ブロック314)に製造される部品又は小組立品と同様の方法で製造することができる。また、装置、方法、又はそれらの組み合わせの1つ又は複数の実施例を、製造工程308及び310で用いることによって、例えば、航空機302の組み立て速度を大幅に速めたりコストを削減したりすることができる。同様に、装置又は方法の実施の1つ又は複数の例又はそれらの組み合わせを、航空機302の使用期間中(ブロック314)及び/又は整備及び保守中(ブロック316)に用いてもよいが、これに限定されない。
[例示的なデータ処理システム]
【0060】
図5に示すように、本実施例では、本開示の態様によるデータ処理システム400(コンピュータとも称する)を示している。本実施例において、データ処理システム400は、本開示の側面による構造ヘルスモニタリングシステムの態様を実施するのに適した、例示的なデータ処理システムである。より具体的には、いくつかの例において、データ処理システムの実施形態である装置(例えば、サーバ、コンピュータ)を用いて、システム100によって取得された電気的測定値に関連する情報を照合及び分析することができる。いくつかの例において、データ処理システム400の態様は、構造ヘルスモニタリング装置102の処理回路(例えば回路124)に用いることができる。
【0061】
この例示的な実施例では、データ処理システム400は、通信フレームワーク402を含む。通信フレームワーク402は、プロセッサユニット404と、メモリ406と、永続記憶装置408と、通信ユニット410と、入出力(I/O)ユニット412と、表示部414との間の通信を実現する。メモリ406、永続記憶装置408、通信ユニット410、入出力(I/O)ユニット412、及び、表示部414は、プロセッサユニット404が通信フレームワーク402を介してアクセス可能なリソースの例である。
【0062】
プロセッサユニット404は、メモリ406にロードされた命令を実行する役割を行う。プロセッサユニット404は、具体的な実施態様によって、複数のプロセッサ、マルチプロセッサコア、またはその他の種類のプロセッサで構成されうる。さらに、プロセッサユニット404は、複数の異種プロセッサシステムを用いて実現可能であり、このようなシステムにおいては、主プロセッサが二次プロセッサと共に単一のチップ上に設けられている。別の例として、プロセッサユニット404は、同種のプロセッサを複数個含む対称型マルチプロセッサシステムであってもよい。
【0063】
メモリ406及び永続記憶装置408は、記憶装置416の例である。記憶装置は、例えば、限定するものではないが、データ、関数形式のプログラムコード、及び、他の適当な情報を、一時的又は永続的に保存可能な任意のハードウェアである。
【0064】
記憶装置416は、これらの例においては、コンピュータ可読記憶装置とも称される場合がある。メモリ406は、これらの例では、例えば、ランダムアクセスメモリ、又は、任意の他の適切な揮発性又は不揮発性の記憶装置であってもよい。永続記憶装置408は、具体的な実施形態によって、様々な形態をとることができる。
【0065】
例えば、永続記憶装置408は、1つ又は複数のコンポーネント又は装置を含みうる。例えば、永続記憶装置408は、ハードドライブ、フラッシュメモリ、書き換え可能光ディスク、書き換え可能磁気テープ、又は、これらの適当な組合せであってもよい。永続記憶装置408により用いられる媒体は、着脱可能であってもよい。例えば、着脱可能なハードドライブを、永続記憶装置408に使用することができる。
【0066】
これらの実施例において、通信ユニット410は、他のデータ処理システムや装置との通信を行う。これらの実施例において、通信ユニット410は、ネットワークインタフェースカードである。通信ユニット410は、物理的な通信リンク及び無線通信リンクのいずれか一方又は両方を用いて、通信を行うことができる。
【0067】
入出力(I/O)ユニット412は、データ処理システム400に接続可能な他の装置とのデータの入出力を可能にする。例えば、入出力(I/O)ユニット412は、キーボード、マウス、及び/又は他の適当な入力装置を用いたユーザ入力用の接続手段を提供する。また、入出力ユニット(I/O)412は、プリンタに出力を送信することができる。表示部414は、ユーザに情報を表示する機構を提供する。
【0068】
オペレーティングシステム、アプリケーション及び/又はプログラムを構成する命令は、記憶装置416に格納することができ、当該記憶装置は、通信フレームワーク402を介して、プロセッサユニット404と通信を行う。これらの例においては、命令は、永続記憶装置408に関数形式で保存される。これらの命令は、メモリ406にロードされて、プロセッサユニット404によって実行することができる。各実施形態の処理は、コンピュータにより実行可能な命令を用いてプロセッサユニット404により実行することが可能であり、これらの命令は、メモリ406などのメモリに格納可能である。
【0069】
これらの命令は、プログラム命令、プログラムコード、コンピュータ使用可能プログラムコード、又はコンピュータ可読プログラムコードと称され、プロセッサユニット404内のプロセッサによって読み取り及び実行することができる。各種実施形態におけるプログラムコードは、メモリ406や永続記憶装置408などの各種の物理的媒体またはコンピュータ可読媒体において具現化することができる。
【0070】
プログラムコード418は、取り外し可能なコンピュータ可読媒体420に関数形式で格納されており、データ処理システム400にロードまたは転送して、プロセッサユニット404により実行することができる。これらの実施例では、プログラムコード418及びコンピュータ可読媒体422は、コンピュータプログラム製品422を構成する。一例では、コンピュータ可読媒体420は、コンピュータ可読の記憶媒体424であっても、コンピュータ可読の信号媒体426であってもよい。
【0071】
コンピュータ可読記憶媒体424は、例えば、光ディスク又は磁気ディスクを含み、このようなディスクは、永続記憶装置408の一部であるドライブ又は他の装置に挿入又は配置されて、永続記憶装置408の一部である、ハードドライブなどの記憶装置にデータ転送が行われる。コンピュータ可読記憶媒体424は、データ処理システム400に接続されるハードドライブ、サムドライブ、又は、フラッシュメモリなどの永続記憶装置の形態をとってもよい。場合によっては、コンピュータ可読記憶媒体424は、データ処理システム400から取り外し可能でなくてもよい。
【0072】
これらの例において、コンピュータ可読記憶媒体424は、プログラムコード418を伝播又は伝送する媒体というよりはむしろ、プログラムコード418を記憶するために用いられる物理的すなわち有形の記憶装置である。コンピュータ可読記憶媒体424を、コンピュータ可読有形記憶装置又はコンピュータ可読物理的記憶装置ともいう。換言すれば、コンピュータ可読記憶媒体424は、人が触れることができる媒体である。
【0073】
他の例として、プログラムコード418は、コンピュータ可読の信号媒体426を用いてデータ処理システム400に転送されてもよい。コンピュータ可読の信号媒体426は、例えば、プログラムコード418を含む搬送データ信号であってもよい。例えば、コンピュータ可読信号媒体426は、電磁信号、光信号、及び/又は他の適当な種類の信号であってもよい。これらの信号は、無線通信リンク、光ファイバーケーブル、同軸ケーブル、ワイヤ、及び/又は、他の適当な種類の通信リンクなどの通信リンクを介して送信可能である。換言すれば、通信リンク及び/又は接続は、例示的な実施例において、有形であっても無線であってもよい。
【0074】
いくつかの例示的な実施形態において、プログラムコード418を、ネットワーク経由でコンピュータ可読信号媒体426を介して別の装置又はデータ処理システムから永続記憶装置408にダウンロードし、データ処理システム400内で使用してもよい。例えば、サーバのデータ処理システム内のコンピュータ可読記憶媒体に格納されているプログラムコードを、ネットワーク経由でサーバからデータ処理システム400にダウンロードしてもよい。プログラムコード418を提供するデータ処理システムは、サーバコンピュータ、クライアントコンピュータ、又は、プログラムコード418を格納し、送信することができる他のデバイスであってもよい。
【0075】
データ処理システム400について図示した各コンポーネントは、異なる実施形態を実施しうる態様について何ら構造的な限定を課すものではない。データ処理システム400について例示したものに対する追加のコンポーネント及び/又はこれらに代わるコンポーネントを含むデータ処理システムにおいても、様々な例示の実施形態を実施することができる。
図5に示したその他のコンポーネントは、図示した実施例から改変することも可能である。各種の実施形態は、プログラムコードを実行可能な任意のハードウェア装置やシステムにより実施可能である。一例として、データ処理システム400は、無機コンポーネントと組み合わされた有機コンポーネントを含んでいてもよいし、人間を除く有機コンポーネントによって全体が構成されていてもよい。例えば、記憶装置は、有機半導体を含んで構成されていてもよい。
【0076】
別の例示的な実施例において、プロセッサユニット404は、特定の用途のために製造又は構成された回路を有するハードウェアユニットの形態を有していてもよい。この種のハードウェアは、操作を実行する構成とするために記憶装置からメモリにプログラムコードを読み込む必要なく、操作を実行することができる。
【0077】
例えば、プロセッサユニット404がハードウェアユニットの形態をとる場合、プロセッサユニット404は、回路システム、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックデバイス、又は、いくつかの操作を行うように構成された他の適切なタイプのハードウェアであってもよい。プログラマブルロジックデバイスの場合、当該デバイスは、所定数の操作を行うように構成される。そのようなデバイスは、所定数の操作を行うように、後に再構成してもよいし、永久的に構成してもよい。プログラマブルロジックデバイスの例としては、例えば、プログラマブルロジックアレイ、フィールドプログラマブルロジックアレイ、フィールドプログラマブルゲートアレイ、及び、他の適切なハードウェア装置がある。この種の実施態様においては、各種の実施形態のためのプロセスをハードウェアユニットにおいて実施することができるので、プログラムコード418を省いてもよい。
【0078】
さらに別の実施例において、プロセッサユニット404は、コンピュータ及びハードウェアユニット内のプロセッサの組み合わせを用いて実施してもよい。プロセッサユニット404は、プログラムコード418を実行するように構成された複数のハードウェアユニット及び複数のプロセッサを含みうる。この図示の例では、プロセスのいくつかを、複数のハードウェアユニットにおいて実行し、他のプロセスを、複数のプロセッサにおいて実行することができる。
【0079】
別の例において、バスシステムを用いて通信フレームワーク402を実現してもよく、バスシステムは、システムバス又は入出力バスなどの1つ又は複数のバスで構成されたものであってもよい。当然ながら、バスシステムは、バスシステムに連結された様々なコンポーネント間のデータ転送を実現する任意の適当な種類のアーキテクチャーを用いて実施することができる。
【0080】
さらに、通信ユニット410は、データ送信、データ受信、又はデータ送受信の両方を行う複数のデバイスを含んでいてもよい。通信ユニット410は、例えば、モデム又はネットワークアダプター、2つのネットワークアダプター、又はこれらの適当な組み合わせであってもよい。また、メモリは、例えば、メモリ406であってもよく、あるいは、通信フレームワーク402に存在するインターフェース及びメモリコントローラハブに含まれるようなキャッシュであってもよい。
【0081】
本明細書に記載したフローチャート及びブロック図は、様々な例示的な実施形態によるシステム、方法、及びコンピュータプログラム製品の可能な実施態様の構成、機能、及び動作を示すものである。この点において、フローチャート又はブロック図における各ブロックは、モジュール、セグメント、又はコードの一部を表すこともあり、これらは、特定の論理機能を実行するための1つ又は複数の実行可能な命令である。いくつかの代替の実施態様において、ブロックに記載した機能を、図示した順序とは異なる順序で実行してもよい。例えば、連続して示されている2つのブロックの機能を、その機能によっては、実質的に同時に行ってもよいし、時には逆の順序で行ってもよい。
[例示的な分散型データ処理システム]
【0082】
図6に示すように、本実施例では、一般的なネットワークデータ処理システム500を説明するが、当該システムは、互換的に、ネットワーク、コンピュータネットワーク、ネットワークシステム、分散型データ処理システム、又は分散型ネットワークと称することができ、その態様は、構造ヘルスモニタリングシステム及び方法の1つ又は複数の例示的な実施形態に含まれうる。例えば、構造ヘルスモニタリング装置は、コンピュータネットワークを介して、リーダと通信しうる。モニタリング装置は、ネットワークのノード又はクライアントであってもよい。コンピュータネットワークの態様を用いて、1つ又は複数のモニタリング装置からの測定データを分析又は照合してもよい。いくつかの例において、ホスト航空機に搭載のリーダコンピュータが、ネットワークを介して他のコンピュータと通信する。
【0083】
なお、
図6は、1つの実施態様の例示として示したものであり、種々の実施形態が実施される環境についての限定を示唆するものではない。図示の環境に対して、多くの改変が可能である。
【0084】
ネットワークデータ処理システム500は、其々がデータ処理システム400の一例であるコンピュータとその他のコンポーネントとのネットワークである。ネットワークデータ処理システム500は、ネットワーク502を含み、当該ネットワークは、ネットワークデータ処理システム500内で互いに接続される種々の装置及びコンピュータ間に通信リンクを提供するように構成された媒体である。ネットワーク502は、有線又は無線の通信リンク、光ファイバーケーブル、及び/又は、ネットワーク装置間でデータを送信及び/又は通信するための他の適当な媒体、又はそれらの適当な組み合わせなどの接続手段を含みうる。
【0085】
図示の例において、第1ネットワーク装置504及び第2ネットワーク装置506が、ネットワーク502に接続しており、電子記憶装置508も同様に接続している。ネットワーク装置504及び506の其々は、上述したデータ処理システム400の例である。図示の例において、装置504及び506は、サーバコンピュータとして示されている。しかしながら、ネットワーク装置は、限定されることなく、1つ又は複数のパーソナルコンピュータ、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)やタブレットやスマートフォンなどのモバイルコンピューティング装置、携帯ゲーム機、ウェアラブルデバイス、タブレットコンピュータ、ルータ、スイッチ、ボイスゲート(voice gates)、サーバ、電子記憶装置、イメージングデバイス、及び/又は、機械的機能又はその他の機能を実行しうる他のネットワーク対応ツールを含みうる。これらのネットワーク装置は、有線通信、無線通信、光通信、及び他の適当な通信リンクによって、相互接続することができる。
【0086】
さらに、クライアントコンピュータ510、クライアントラップトップ又はタブレット512、及び/又は、クライアントスマートデバイス514などのクライアント電子デバイスが、ネットワーク502に接続しうる。これら各装置は、
図5に関して上述したデータ処理システム400の例である。いくつかの例において、1つ又は複数の航空機516の通信対応データ処理システムが、ネットワーク502に接続しうる。クライアント電子デバイス510、512、514、516は、例えば、1つ又は複数のパーソナルコンピュータ、ネットワークコンピュータ、及び/又は、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)やスマートフォンや携帯ゲーム機やウェアラブルデバイスやタブレットコンピュータなどのモバイルコンピューティング装置などを含みうる。図示の例において、サーバ504は、ブートファイル、オペレーティングシステムイメージ、及びアプリケーションなどの情報を、クライアント電子デバイス510、512、514及び516のうちの1つ又は複数に提供する。クライアント電子デバイス510、512、514及び516を、サーバコンピュータ504などのサーバに対して、「クライアント」と称することもある。ネットワークデータ処理システム500は、より多い又はより少ないサーバ及びクライアントを含んでいてもよいし、サーバ又はクライアントを含んでいなくてもよいし、図示しない他の装置を含んでいてもよい。
【0087】
クライアントスマートデバイス514は、スマートフォンやタブレットなどの、無線通信及びソフトウェアの実行が可能な任意の適当な可搬型の電子デバイスを含みうる。一般的に、「スマートフォン」とは、一般的な携帯電話よりも高度なコンピューティング能力及びネットワーク接続性を有する、任意の適当な可搬型の電子デバイスのことをいう。スマートフォンは、(例えばセルラーネットワークを介して)電話をかけることに加えて、Eメール、テキスト、及びマルチメディアメッセージの送受信、インターネットへのアクセス、及び/又は、ウェブブラウザとしての機能を行うことが可能である。スマートデバイス(例えばスマートフォン)は、メディアプレイヤー、パーソナルデジタルアシスタント、デジタルカメラ、ビデオカメラ、及び/又は全地球測位システムなどの他の既知の電子デバイスの機能も含みうる。スマートデバイス(例えばスマートフォン)は、近距離通信(NFC)、ブルートゥース、WiFi、又は、モバイルブロードバンドネットワークを介するなどして、他のスマートデバイス、コンピュータ、又は電子デバイスと、無線接続が可能でありうる。スマートデバイス、スマートフォン、コンピュータ、及びその他のデバイス間で無線接続を確立することにより、情報交換が可能なモバイルネットワークを形成することができる。
【0088】
システム500に配置されたプログラムコードは、上述した永続記憶装置408などのコンピュータ記録可能記憶媒体に格納し、データ処理システム又はその他のデバイスにダウンロードして使用することができる。例えば、プログラムコードは、サーバコンピュータ504上のコンピュータ記録可能記憶媒体に格納され、ネットワーク502を介してこれをクライアント510にダウンロードして、クライアント510で使用することができる。
【0089】
ネットワークデータ処理システム500は、複数の様々な種類のネットワークのうちの1つ又は複数として実施することができる。例えば、システム500は、イントラネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、又は、パーソナルエリアネットワーク(PAN)を含みうる。いくつかの例において、ネットワークデータ処理システム500は、インターネットを含み、この場合、ネットワーク502は、トランスミッション・コントロール・プロトコル/インターネット・プロトコル(TCP/IP)スイートを用いて互いに通信する世界中のネットワーク及びゲートウェイの集まりである。インターネットの中心には、主要なノード又はホストコンピュータ間の高速データ通信回線のバックボーンがある。何千もの民間、行政、教育、及びその他のコンピュータシステムが、データ及びメッセージを送信するために用いられる。場合によっては、ネットワーク500は、「クラウド」とも称される。このような場合、各サーバ504は、クラウド・コンピューティング・ノードと称される場合があり、クライアント電子デバイスは、クラウドコンシューマと称される場合がある。
図6は、例として示したものであり、何らかの例示的な実施形態の構造的限定を意図したものではない。
[付記]
【0090】
さらに、本開示は、以下の付記による実施形態を含む。
【0091】
付記1:ワークピースの対象部分に取り付け可能な一対の電極に通信可能に連結された処理回路を含む測定回路であって、オフボード通信を可能にするように構成されたアンテナを有する無線回路と通信する測定回路と、前記測定回路に電力を供給するように構成されたエネルギーハーベスター回路と、を含み、前記測定回路は、前記ワークピースの前記対象部分のインピーダンスを測定するように構成されており、前記処理回路は、前記ワークピースの構造健全性の変化を示す前記対象部分のインピーダンスの変化を判定するように構成されている、構造ヘルスモニタリング装置。
【0092】
付記2:前記エネルギーハーベスター回路は、熱電発電機に連結されたエネルギーハーベスティング集積回路を含む、付記1に記載の装置。
【0093】
付記3:前記エネルギーハーベスター回路は、エネルギー貯蔵装置を含む、付記1に記載の装置。
【0094】
付記4:前記エネルギー貯蔵装置は、充電式リチウムイオン電池を含む、付記3に記載の装置。
【0095】
付記5:前記測定回路は、オンボードの記憶装置に通信可能に連結されている、付記1に記載の装置。
【0096】
付記6:前記測定回路は、前記ワークピースの前記対象部分の少なくとも2つの異なる電気的特性を測定するように構成されている、付記1に記載の装置。
【0097】
付記7:構造ヘルスモニタリング装置を含む構造ヘルスモニタリングシステムであって、前記構造ヘルスモニタリング装置は、ワークピースの対象部分に取り付け可能な一対の電極に通信可能に連結された処理回路を含む測定回路であって、オフボード通信を可能にするように構成されたアンテナを有する無線回路と通信する測定回路と、前記測定回路に電力を供給するように構成されたエネルギーハーベスター回路と、を含み、前記測定回路は、前記ワークピースの前記対象部分のインピーダンスを測定するように構成されており、前記処理回路は、前記ワークピースの構造健全性の変化を示す前記対象部分のインピーダンスの変化を判定するように構成されており、前記対象部分のインピーダンスの変化に関する情報を取得するために、前記構造ヘルスモニタリング装置と無線通信するように構成されたリーダをさらに含む、構造ヘルスモニタリングシステム。
【0098】
付記8:前記エネルギーハーベスター回路は、熱電発電機に連結されたエネルギーハーベスティング集積回路を含む、付記7に記載のシステム。
【0099】
付記9:前記エネルギーハーベスター回路は、エネルギー貯蔵装置を含む、付記7に記載のシステム。
【0100】
付記10:前記ワークピースは、航空機の一部を含み、前記リーダは、前記航空機のオンボード・ネットワーク・システムを含む、付記7に記載のシステム。
【0101】
付記11:前記リーダは、前記構造ヘルスモニタリング装置の前記アンテナ及び前記無線回路と通信するように構成された可搬型近距離無線通信自動認識(RFID)リーダを含む、付記7に記載のシステム。
【0102】
付記12:前記測定回路は、オンボードの記憶装置に通信可能に連結されている、付記7に記載のシステム。
【0103】
付記13:ワークピースの構造健全性を、前記ワークピースに連結された構造ヘルスモニタリング装置を用いて監視し、前記構造ヘルスモニタリング装置は、前記ワークピースの対象部分に取り付けられた一対の電極に通信可能に連結された処理回路含む測定回路を含んでおり、前記測定回路は、前記ワークピースの前記対象部分のインピーダンスを測定するように構成されており、前記処理回路は、前記ワークピースの構造健全性の変化を示す前記対象部分の前記測定インピーダンスの変化を判定するように構成されており、前記構造ヘルスモニタリング装置に電力を供給するために、前記構造ヘルスモニタリング装置のエネルギーハーベスティング回路を用いて、環境エネルギーを捕集し、前記対象部分の前記測定インピーダンスに関する情報を、前記構造ヘルスモニタリング装置において前記測定回路と通信可能な無線回路を用いて、オフボードのリーダに送信する、構造ヘルスモニタリング方法。
【0104】
付記14:さらに、前記ワークピースの前記対象部分の前記測定インピーダンスを、予測インピーダンス範囲と比較する、付記13に記載の方法。
【0105】
付記15:さらに、前記測定インピーダンスが前記予測インピーダンス範囲外であった場合、前記オフボードのリーダに警告信号を送信する、付記14に記載の方法。
【0106】
付記16:さらに、前記測定インピーダンスを、前記測定回路の記憶装置に保存する、付記13に記載の方法。
【0107】
付記17:環境エネルギーを捕集するに際し、エネルギーハーベスター集積回路(IC)に連結された熱電発電機(TEG)を用いて熱エネルギーを捕集する、付記13に記載の方法。
【0108】
付記18:環境エネルギーを捕集するに際し、エネルギーハーベスターICに連結された光起電力セルを用いて太陽光エネルギーを捕集する、付記13に記載の方法。
【0109】
付記19:前記ワークピースは、航空機の一部を含み、前記オフボードのリーダは、前記航空機のオンボード・ネットワーク・システム(ONS)を含む、付記13に記載の方法。
【0110】
付記20:前記エネルギーハーベスティング回路は、電力貯蔵装置を含む、付記13に記載の方法。
[追加の実施例及び例示的な組み合わせ]
【0111】
本セクションでは、構造ヘルスモニタリングシステムの追加の態様及び特徴を、一連の項として説明するが、これらは限定的なものでなはない。明確さと効率のために、これらの一部又はすべてに、英数字の符号を付している。これらの項の其々は、1つ又は複数の他の項、及び/又は、本出願の開示の任意の部分と、任意の適当な方法で組み合わせることが可能である。以下の項のいくつかは、他の項に明示的に言及してさらなる限定を加えているが、これは適切な組み合わせのいくつかの例を提示しているにすぎず、限定するものではない。
【0112】
A0. ワークピースの対象部分に取り付け可能な一対の電極に通信可能に連結された処理回路を含む測定回路であって、オフボード通信を可能にするように構成されたアンテナを有する無線回路と通信する測定回路と、
前記測定回路に電力を供給するように構成されたエネルギーハーベスター回路と、を含み、
前記測定回路は、前記ワークピースの前記対象部分のインピーダンスを測定するように構成されており、
前記処理回路は、前記ワークピースの構造健全性の変化を示す前記対象部分のインピーダンスの変化を判定するように構成されている、構造ヘルスモニタリング装置。
【0113】
A1. 前記エネルギーハーベスター回路は、熱電発電機に連結されたエネルギーハーベスティング集積回路を含む、項A0に記載の装置。
【0114】
A2. 前記エネルギーハーベスター回路は、エネルギー貯蔵装置を含む、項A0~A1のいずれかに記載の装置。
【0115】
A3. 前記エネルギー貯蔵装置は、充電式リチウムイオン電池を含む、項A2に記載の装置。
【0116】
A4. 前記測定回路は、オンボードの記憶装置に通信可能に連結されている、項A0~A3のいずれかに記載の装置。
【0117】
A5. 前記測定回路は、前記ワークピースの前記対象部分の少なくとも2つの異なる電気的特性を測定するように構成されている、項A0~A4のいずれかに記載の装置。
【0118】
B0. 構造ヘルスモニタリング装置を含む構造ヘルスモニタリングシステムであって、
前記構造ヘルスモニタリング装置は、ワークピースの対象部分に取り付け可能な一対の電極に通信可能に連結された処理回路を含む測定回路であって、オフボード通信を可能にするように構成されたアンテナを有する無線回路と通信する測定回路と、
前記測定回路に電力を供給するように構成されたエネルギーハーベスター回路と、を含み、
前記測定回路は、前記ワークピースの前記対象部分のインピーダンスを測定するように構成されており、
前記処理回路は、前記ワークピースの構造健全性の変化を示す前記対象部分のインピーダンスの変化を判定するように構成されており、
前記対象部分のインピーダンスの変化に関する情報を取得するために、前記構造ヘルスモニタリング装置と無線通信するように構成されたリーダをさらに含む、構造ヘルスモニタリングシステム。
【0119】
B1. 前記エネルギーハーベスター回路は、熱電発電機に連結されたエネルギーハーベスティング集積回路を含む、項B0に記載の装置。
【0120】
B2. 前記エネルギーハーベスター回路は、エネルギー貯蔵装置を含む、項B0~B1のいずれかに記載の装置。
【0121】
B3. 前記ワークピースは、航空機の一部を含み、前記リーダは、前記航空機のオンボード・ネットワーク・システムを含む、項B0~B2のいずれかに記載の装置。
【0122】
B4. 前記リーダは、前記構造ヘルスモニタリング装置の前記アンテナ及び前記無線回路と通信するように構成された可搬型RFIDリーダを含む、項B0~B3のいずれかに記載の装置。
【0123】
B5. 前記測定回路は、オンボードの記憶装置に通信可能に連結されている、項B0~B4のいずれかに記載の装置。
【0124】
C0. ワークピースの構造健全性を、前記ワークピースに連結された構造ヘルスモニタリング装置を用いて監視し、前記構造ヘルスモニタリング装置は、前記ワークピースの対象部分に取り付けられた一対の電極に通信可能に連結された処理回路含む測定回路を含んでおり、前記測定回路は、前記ワークピースの前記対象部分のインピーダンスを測定するように構成されており、前記処理回路は、前記ワークピースの構造健全性の変化を示す前記対象部分の前記測定インピーダンスの変化を判定するように構成されており、
前記構造ヘルスモニタリング装置に電力を供給するために、前記構造ヘルスモニタリング装置のエネルギーハーベスティング回路を用いて、環境エネルギーを捕集し、
前記対象部分の前記測定インピーダンスに関する情報を、前記構造ヘルスモニタリング装置において前記測定回路と通信可能な無線回路を用いて、オフボードのリーダに送信する、構造ヘルスモニタリング方法。
【0125】
C1. さらに、前記ワークピースの前記対象部分の前記測定インピーダンスを、予測インピーダンス範囲と比較する、項C0に記載の方法。
【0126】
C2. さらに、前記測定インピーダンスが前記予測インピーダンス範囲外であった場合、前記オフボードのリーダに警告信号を送信する、項C1に記載の方法。
【0127】
C3. さらに、前記測定インピーダンスを、前記測定回路の記憶装置に保存する、項C0~C2のいずれかに記載の方法。
【0128】
C4. 環境エネルギーを捕集するに際し、エネルギーハーベスター集積回路(IC)に連結された熱電発電機(TEG)を用いて熱エネルギーを捕集する、項C0~C3のいずれかに記載の方法。
【0129】
C5. 環境エネルギーを捕集するに際し、エネルギーハーベスターICに連結された光起電力セルを用いて太陽光エネルギーを捕集する、項C0~C4のいずれかに記載の方法。
【0130】
C6. 前記ワークピースは、航空機の一部を含み、前記オフボードのリーダは、前記航空機のオンボード・ネットワーク・システム(ONS)を含む、項C0~C5のいずれかに記載の方法。
【0131】
C7. 前記エネルギーハーベスティング回路は、電力貯蔵装置を含む、項C0~C6のいずれかに記載の方法。
【0132】
C8. 環境エネルギーを捕集するに際し、前記オフボードのリーダから受信した電磁通信信号からエネルギーを捕集する、項C0~C7のいずれかに記載の方法。
【0133】
C9. さらに、前記測定インピーダンスに関する送信された情報を集約し、前記集約情報の傾向分析を行う、項C0~C8のいずれかに記載の方法。
[結び]
【0134】
上述の開示は、独自の有用性を持つ複数の別個の例を包含しうる。これらの其々を、その好ましい形態で開示しているが、本明細書に開示及び図示されたそれらの具体的な実施形態は、限定的な意味でとらえられるべきではなく、多くの変形例が存在しうる。本開示においてセクションに見出しが付されている場合、そのような見出しは、単に、編成の用途に用いられているに過ぎない。本開示の要旨は、本明細書に開示された様々な要素、特徴、機能、及び/又は特性の、すべての新規且つ非自明の組み合わせ及びサブコンビネーションを含む。以下の特許請求の範囲は、新規且つ非自明とみなされる、いくつかの組み合わせ及びサブコンビネーションを特に示している。特徴、機能、要素、及び/又は特性の、その他の組み合わせ及びサブコンビネーションは、本願又は関連出願に基づく優先権を主張する出願において、特許請求の範囲に記載されうる。そのような特許請求の範囲は、元の特許請求の範囲よりも広いもの、狭いもの、均等のもの、又は異なるもの、のいずれであろうとも、本開示の要旨に含まれるものとみなされる。