(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-20
(45)【発行日】2022-09-29
(54)【発明の名称】改善された凝乳特性を有するキモシンのブレンド
(51)【国際特許分類】
A23C 19/02 20060101AFI20220921BHJP
A23C 19/032 20060101ALI20220921BHJP
A23C 19/04 20060101ALI20220921BHJP
A23C 19/068 20060101ALI20220921BHJP
A23K 10/10 20160101ALI20220921BHJP
A23K 10/20 20160101ALI20220921BHJP
A23K 20/189 20160101ALI20220921BHJP
C12N 9/64 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
A23C19/02
A23C19/032
A23C19/04
A23C19/068
A23K10/10
A23K10/20
A23K20/189
C12N9/64 ZNA
(21)【出願番号】P 2017539425
(86)(22)【出願日】2016-02-10
(86)【国際出願番号】 EP2016052842
(87)【国際公開番号】W WO2016128476
(87)【国際公開日】2016-08-18
【審査請求日】2019-02-07
【審判番号】
【審判請求日】2020-09-25
(32)【優先日】2015-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503260310
【氏名又は名称】セーホーエル.ハンセン アクティーゼルスカブ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【氏名又は名称】胡田 尚則
(72)【発明者】
【氏名】マルク フェーブレイ
(72)【発明者】
【氏名】シルバン ブロッシュレ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-ポール ポワナン
(72)【発明者】
【氏名】ステファーヌ ドゥ ラモット
(72)【発明者】
【氏名】セバスチャン ルステル
【合議体】
【審判長】▲吉▼澤 英一
【審判官】植前 充司
【審判官】奥田 雄介
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2002/36752(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23C 19/02
A23C 19/032
A23C 19/04
A23C 19/068
A23K 10/10
A23K 10/20
A23K 20/189
C12N 9/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる凝固比活性/タンパク質分解活性(C/P)比を有する2つ以上の凝固剤を含有する、
ソフトチーズを製造するために使用される凝乳のための組成物であって、前記組成物が、5IMCU/mU超の凝固比活性/タンパク質分解活性(C/P)比を有する少なくとも70w/w%の1つの凝固剤と、0.05~1.5IMCU/mUの範囲内の凝固比活性/タンパク質分解活性(C/P)比を有する少なくとも15w/w%の第2の凝固剤とを含有し、ここで、w/w%は凝固剤の総量に対する1つの凝固剤の濃度を示
し、前記1つの凝固剤が、ラクダキモシンであり、前記第2の凝固剤が、ウシキモシンである、組成物。
【請求項2】
異なる起源を有する2つ以上の凝固剤を含有する、
ソフトチーズを製造するために使用される凝乳のための組成物であって、前記組成物が、5IMCU/mU超の凝固比活性/タンパク質分解活性(C/P)比を有する少なくとも70w/w%の1つの凝固剤と、0.05~1.5IMCU/mUの範囲内の凝固比活性/タンパク質分解活性(C/P)比を有する少なくとも15w/w%の第2の凝固剤とを含有し、ここで、w/w%は凝固剤の総量に対する1つの凝固剤の濃度を示
し、前記1つの凝固剤が、ラクダキモシンであり、前記第2の凝固剤が、ウシキモシンである、組成物。
【請求項3】
前記2つ以上の凝固剤が、異なる一般的なタンパク質分解活性を有する、請求項1
又は2に記載の組成物。
【請求項4】
2つ以上の異なる動物又は微生物種又は属に由来する2つ以上の凝固剤のブレンドを含有する、請求項1から
3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
5IMCU/mU超の凝固比活性/タンパク質分解活性(C/P)比を有する80w/w%の1つの凝固剤と、0.05~1.5IMCU/mUの範囲内の凝固比活性/タンパク質分解活性(C/P)比を有する20w/w%の第2の凝固剤とを含有し、ここで、w/w%は凝固剤の総量に対する1つの凝固剤の濃度を示す、請求項1から
4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
2つ以上の異なる凝固剤の少なくとも1つが
、バッファロー
、ブタ、ラット、ヒツジ及び/又はケカビ(mucor)由来の凝固剤に由来する、請求項1から
5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
乳を含有する、請求項1から
6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記乳が牛乳である、請求項
7に記載の組成物。
【請求項9】
前記乳が、約3%~約5%のタンパク質を含む、請求項
7又は
8に記載の組成物。
【請求項10】
前記乳が、約1.5%~5%の脂肪を含む、請求項
7から
9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
ウシ凝固剤と非ウシ凝固剤とのブレンドであるか、あるいは、ラクダ凝固剤と非ラクダ凝固剤とのブレンドである、請求項1から1
0のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
請求項1から1
1のいずれか一項に記載の2つ以上の凝固剤のブレンドを含有する、食品又は飼料組成物。
【請求項13】
ソフトチーズである、請求項1
2に記載の食品又は飼料組成物。
【請求項14】
前記ソフトチーズが表面熟成ソフトチーズである、請求項1
3に記載の食品又は飼料組成物。
【請求項15】
ソフトチーズの製造方法における、請求項1から1
1のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項16】
請求項1から1
1のいずれか一項に記載の組成物が、1つ又は複数のスターター培養物の添加後、20分以内に、乳に添加される、請求項1
5に記載の使用。
【請求項17】
乳ベースの製品の製造方法であって、請求項1から1
1のいずれか一項に記載の組成物の有効量を添加すること、を含む、方法。
【請求項18】
発酵乳製品の製造方法であって、以下のステップ:
(a)スターター培養物を乳に添加し、そして培養物を28~42℃の温度で少なくとも5分間インキュベートし;
(b)請求項1から1
1のいずれか一項に記載の組成物を、2000IMCU/100l~3500IMCU/100lの総濃度で添加し;
(c)培養物を28~42℃の温度で少なくとも3時間さらにインキュベートし;
(d)乳清を分離してチーズを得ること、
を含む、方法。
【請求項19】
請求項1から1
1のいずれか一項に記載の組成物が、1つ又は複数のスターター培養物の添加後、20分以内に、添加される、請求項1
8に記載の方法。
【請求項20】
ソフトチーズを製造するために使用される、請求項1
8又は
19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、改善されたチーズ製造特性を有する凝固剤のブレンド及び/又はその混合物に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
凝乳酵素、例えばキモシン及びペプシンによる乳の酵素的凝固は、チーズの製造における最も重要な工程の1つである。酵素的な乳の凝固は次の2相工程である:タンパク質分解酵素であるキモシン又はペプシンが、κ-カゼインを攻撃し、カゼインミセル構造の準安定状態をもたらす第1相、及び、続いて乳が凝固し、凝固物を形成する第2相。
【0003】
キモシン(EC3.4.23.4)及びペプシン(EC3.4.23.1)、すなわち哺乳類の胃の凝乳酵素は、広いクラスのペプチダーゼに属するアスパラギン酸プロテアーゼである。
【0004】
胃粘膜細胞で産生される場合、キモシン及びペプシンはそれぞれ、酵素的に不活性なプレ-プロキモシン及びプレ-ペプシノーゲンとして生じる。キモシンが分泌されると、N末端ペプチドフラグメントである、プレ-フラグメント(シグナルペプチド)が切断され、プロ-フラグメントを含むプロキモシンが得られる。プロキモシンは酵素の実質的に不活性な形態であるが、プロ-フラグメントの自己触媒除去により活性キモシンへと酸性条件下で活性化される。この活性化は、適切なpH条件下で胃管腔においてイン・ビボで、又は酸性条件下でイン・ビトロで起こる。
【0005】
ウシ、すなわちボス・タウラス(Bos taurus)の、プレ-プロキモシン、プロキモシン及びキモシンの構造的及び機能的特性は広く研究されてきた。ウシプレ-プロキモシン分子のプレ-部分は16個のaa残基を含み、対応するプロキモシンのプロ-部分は42個のaa残基の長さを有する。323個のaaを含む活性ウシキモシンは、A及びBの2つの形態の混合物であり、それらのいずれも活性である。
【0006】
キモシンは哺乳類種、例えばウシ、ラクダ、ヤギ(caprines)、バッファロー、ヒツジ、ブタ、ヒト、サル、ラットにおいて、天然に生成される。
【0007】
ウシキモシンは長年にわたって酪農業界に市販されてきた。
国際公開第02/36752A2号(Chr.Hansen)は、ラクダキモシンの組換え生成を記載している。
国際公開第2013/174840A1号(Chr.Hansen)は、ウシ及びラクダキモシンの突然変異体/変異体を記載している。
国際公開第2013/164479A2号(DSM)は、ウシキモシンの突然変異体を記載している。
【0008】
以下に列挙した参考文献は、本文脈において、キモシンの突然変異体を記載する参考文献として参照される:
- Suzuki et al: Alteration of catalytic properties of chymosin by site-directed mutagenesis, Protein Engineering, vol. 2, May 1989, pages 563-569;
- van den Brink et al: Increased production of chymosin by glycosylation, Journal of biotechnology, vol. 125, September 2006, pages 304-310;
- Pitts et al: Expression and characterisation of chymosin pH optima mutants produced in Tricoderma reesei, Journal of biotechnology, vol. 28, March 1993, pages 69-83;
- M.G. Williams et al: Mutagenesis, biochemical characterization and X-ray structural analysis of point mutants of bovine chymosin, Protein engineering design and selection, vol. 10, September 1997, pages 991-997;
- Strop et al: Engineering enzyme subsite specificity: preparation, kinetic characterization, and x-ray analysis at 2.0 ANG resolution of Val111phe site mutated calf chymosin, Biochemistry, vol. 29, October 1990, pages 9863-9871;
- Supannee et al: Site-specific mutations of calf chymosin B which influence milk-clotting activity, Food Chemistry, vol. 62, June 1998, pages 133-139;
- Zhang et al: Functional implications of disulfide bond, Cys45-Cys50, in recombinant prochymosin, Biochimica et biophysica acta, vol. 1343, December 1997, pages 278-286.
【0009】
上述の先行技術文献は、キモシンの分子構造、及びその特異性又は性能への影響に焦点を当てている。参考文献のいずれも、異なる特性及び異なる起源を有する異なるキモシンの複合効果を開示していない。
【発明の概要】
【0010】
発明の概要
本発明の発明者らは、特定の凝固剤及び/又はその混合物が、チーズ形成中の細菌の酸性化率及び酸性化エンドポイントの制御に適用できることを発見した。
【0011】
さらに、本発明者らは、本発明が、特定のキモシンのブレンドを提供することによって、熟成及び貯蔵中のソフトチーズの構造発現の実現可能な制御を可能にすることを発見した。
【0012】
本明細書の実施例で論じたように、本発明者らはまた、商業的に魅力的な特性、例えば期待される性能を超えた促進されたカード硬度発現を示す、多数の凝固剤ブレンドを同定した。
【0013】
凝固剤ブレンドの比較分析に基づいて、本発明者らは、ブレンドを作製することにより改善された優れた凝固剤特性を得ることができるという意味で、本明細書において重要な多数のブレンドを同定した。
【0014】
定義
本明細書において関連する用語の全ての定義は、本明細書で関連する技術的文脈に関して当業者により理解されることになるものに従う。
【0015】
用語「凝固剤」とは、チーズ製造工程において凝乳に使用される酵素に関する。完全性のために、キモシンが凝固剤として考えられるべきである。
【0016】
用語「高C/P凝固剤」又は「高C/P比凝固剤」とは、C/P>4.5、例えばC/P>5、例えばC/P>6、例えばC/P>7又は6~12のC/Pを有する、凝固剤、例えばキモシンに関する。市販されている高C/P凝固剤の例は、ChyMax M又はChyMax M1000(Chr.Hansen A/S)及びMaxirenXDS(DSM)を含む。
【0017】
用語「低C/P凝固剤」又は「低C/P比凝固剤」とは、C/P<4,5、例えばC/P<4、例えばC/P<3、例えばC/P<2、例えばC/P<1.5、例えばC/P<1、例えばC/P<0.5又はC/P<0.1を有する、凝固剤、例えばキモシンに関する。市販されている低C/P凝固剤の例は、Hannilase L(登録商標)、Hannilase XP(登録商標)、Thermolase(登録商標)及びNaturen(登録商標)を含み、全てChr.Hansen A/Sから入手可能である。
【0018】
用語「凝固剤ブレンド」とは、例えばチーズ製造工程において、凝乳に使用される酵素のブレンドに関する。
【0019】
用語「キモシン」とは、EC3.4.23.4クラスの酵素に関する。キモシンは高い特異性を有し、カゼインのカッパ-鎖における単一の105-Ser-Phe-|-Met-Ala-108結合の切断により、乳を凝固させる。当該技術分野において使用される別の名称はレンニンである。
【0020】
用語「キモシン活性」とは、本文脈において当業者によって理解されるキモシン酵素のキモシン活性に関する。当業者は本明細書において関連するキモシン活性を決定する方法を知っている。
本明細書の実施例2において、特定のキモシン活性(他方では凝固活性又は凝乳活性とも呼ばれる)を決定するための標準的な方法の例が提供される。一例として凝固活性は、国際酪農連盟によって開発された標準的な方法(IDF法)である、REMCAT法を用いて決定することができる。
【0021】
用語「単離された変異体」とは、人工的に変更された変異体を意味する。
【0022】
用語「成熟ポリペプチド」とは、翻訳及び任意の翻訳後修飾、例えばN末端プロセシング、C末端切断、グリコシル化、リン酸化などの後の、最終形態のペプチドを意味する。本文脈において、本明細書で関連する成熟キモシンポリペプチドは、活性キモシンポリペプチド配列、すなわちプレ-部分及び/又はプロ-部分の配列を有さない配列として見られる。
【0023】
用語「親」又は「キモシン活性を有する親ポリペプチド」とは、本発明の酵素変異体を生成するために改変が行われるポリペプチドを意味する。親は、天然に存在する(野生型)ポリペプチド又はその変異体であり得る。
【0024】
用語「配列同一性」とは、2つのアミノ酸配列間又は2つのヌクレオチド配列間の関連性に関し、当業者に利用可能な方法に従って計算することができる。
【0025】
用語「変異体」とは、1つ又は複数の(いくつかの)位置に改変、すなわち、置換、挿入、及び/又は欠失を含む、キモシン活性を有するペプチドを意味する。置換とは、ある位置を占めるアミノ酸の異なるアミノ酸での置き換えを意味し;欠失とは、ある位置を占めるアミノ酸の除去を意味し;そして挿入とは、ある位置を占めるアミノ酸に隣接して1~3個のアミノ酸を付加することを意味する。
【0026】
用語「野生型」キモシンペプチドとは、天然に存在する生物、例えば天然で見られる哺乳類(例えばラクダ又はウシ)によって発現される、キモシンを意味する。
【0027】
用語「異なる起源を有する凝固剤」とは、異なる生物由来、あるいは代わりに遺伝子改変による凝固剤に関する。したがって、ウシ野生型キモシン及び遺伝子改変ウシキモシンは、本発明の文脈において、異なる起源を有する凝固剤としてみなされることになる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本明細書において関連する異なるキモシン配列のアラインメント。示される「Bos_bovis_ chymosin_B」は、本明細書における配列番号1のウシキモシンであり、示される「Camelus_dromedarius」は本明細書における配列番号
5のラクダキモシンである。本明細書に記載された参照配列としての配列番号1のウシキモシンを使用すると、例えば、ウシキモシンが位置10で「V」を有し、そしてラクダキモシンが同じ位置10で「A」を有することがわかる。また、例えば、ウシ/ラット(Rat)は位置352で「Q」を有し、及びラクダ/フタコブラクダ(C._bactrianus)は同じ位置352で「E」を有することもわかる。
図1に示されたキモシン配列に関して、ヒツジ(Sheep)はウシ配列番号1と94.5%の配列同一性を有し;フタコブラクダ(C._bactrianus)はウシ配列番号1と83.2%の配列同一性を有し;ヒトコブラクダ(Camelus_dromedarius)(配列番号
5のラクダキモシン)はウシ配列番号1と84%の配列同一性を有し;ブタ(Pig)はウシ配列番号1と80.3%の配列同一性を有し、そしてラットはウシ配列番号1と71.9%の配列同一性を有する。本文脈において当業者により理解されるように、配列番号1の成熟ポリペプチド(ウシキモシン、すなわち配列番号1のアミノ酸位置59~381)との、例えばヒツジ、フタコブラクダ(C._bactrianus)、ラクダ、ブタ又はラットキモシンの成熟ポリペプチド配列の本明細書において関連する配列同一性パーセンテージは、上述の配列同一性パーセンテージに比較的類似している。
【
図2】異なる凝固剤ブレンドで作られたブリ―タイプチーズの硬度。
【
図3】異なる凝固剤ブレンドで作られたブリ―タイプチーズの粘着性。
【
図4】異なる凝固剤ブレンドで作られたブリ―タイプチーズの脱型(demolding)工程時のpH。
【
図5】異なる凝固剤ブレンドで作られたブリ―タイプチーズの脱型工程時の乾物(DM)。
【
図6】本発明において特に関心のある選択された凝固剤の相対的なタンパク質分解特異性。
【
図7】3つの異なる凝固剤溶液の凝固速度及び硬度発現:赤の実線で印したラクダキモシン(Chymax(登録商標)M1000)、緑の破線で印したウシキモシン(Chymax(登録商標)+)、及び青の点線で印したラクダ/ウシキモシン80/20比でのブレンド(Chymax(登録商標)soft)。
【発明を実施するための形態】
【0029】
発明の詳細な説明
本明細書で詳細に例示されるように、本発明は、2つ以上の異なる凝固剤を含有する組成物に関する。
【0030】
関連する態様において、本発明は、異なる起源を有する2つ以上の凝固剤のブレンドを含有する、凝乳のための組成物に関する。
【0031】
関連する態様において、本発明は、前記2つ以上の凝固剤が、異なるC/P比及び/又は凝固活性、例えば少なくとも3倍の相違を有する、本明細書に開示された組成物に関する。
【0032】
関連する態様において、凝乳活性は、0.5g/リットル(pH≒6.5)の塩化カルシウム溶液での、低温、低脂肪粉乳から調製された標準乳基質の目視可能な凝集に必要とされる時間から決定される。レンネット試料の凝固時間を、既知の凝乳活性を有し、かつIDF標準110Bによって当該試料と同一の酵素組成を有する、参照標準の凝固時間と比較する。試料及び参照標準を同一の化学的及び物理的条件下で測定する。変異体試料を、84mMの酢酸pH5.5緩衝液を用いて約3IMCU/mlに調製する。以後、200μlの酵素を、一定の撹拌下で32℃±1℃の一定温度を維持することができる水浴中に置いたガラス試験管中で10mlの予熱した乳(32℃)に加える。
【0033】
レンネットの総凝乳活性(強度)を、以下の式に従って、試料と同一の酵素組成を有する標準に対して国際凝乳単位(IMCU)/mlで計算する:
【0034】
【数1】
S標準: レンネットについての国際参照標準の凝乳活性
T標準: 標準希釈について得られた秒での凝固時間
D試料: 試料についての希釈係数
D標準: 標準についての希釈係数
T試料: 酵素の添加から凝集の時間までの希釈されたレンネット試料について得られた秒での凝固時間
【0035】
総タンパク質含有量の決定
総タンパク質含有量を、Thermo ScientificからのPierce BCAタンパク質アッセイキットを使用し、提供者の指示に従って決定した。
【0036】
凝固比活性の計算
凝固活性(IMCU/ml)を総タンパク質含有量(ml当たりのmg総タンパク質)で割ることによって、凝固比活性(IMCU/mg総タンパク質)を決定した。
【0037】
本明細書の実施例3では、タンパク質分解活性を決定するための標準的な方法の一例が提供される。
【0038】
一例として、一般的なタンパク質分解活性は、基質として蛍光標識したBodipy-FLカゼイン(EnzChek; Molecular Bioprobes、E6638)を用いて測定することができる。pH-非感受性緑色蛍光Bodipy-FLで強く標識されたカゼイン誘導体は、コンジュゲートの蛍光のほぼ完全な消失をもたらす。プロテアーゼ触媒加水分解は蛍光Bodipy-FLを放出する。高C/P凝固剤はしばしば、低C/P凝固剤と比較して一般的な低いタンパク質分解活性を有するので、この方法は非常に高感度であり、それは本実験に必須である。
【0039】
アッセイを、0.04mg/mlの最終基質濃度で所望のpHに調整した0.2Mリン酸緩衝液中で行った。1部の基質と1部の酵素とを混合する前に、両方をリン酸緩衝液中で調製し、全ての酵素変異体を50IMCU/mlに標準化した(実施例2に従う)。基質及び酵素を、96ウェルのNunc Fluoroマイクロタイタープレート中で混合し、密閉して、32℃で60分間インキュベートした。インキュベーション後、シーリングを除去し、蛍光を蛍光光度計で記録した。
【0040】
当該技術分野で知られるように、本明細書において関連するいわゆるC/P比は、凝固比活性(C)(IMCU/ml)をタンパク質分解活性(P)(mU/ml)で割ることによって決定される。
【0041】
当該技術分野で知られるように、より高いC/P比は、一般に、非特異的タンパク質分解による例えばチーズ製造中のタンパク質の損失が低減されること、すなわちチーズの収率が向上されること、並びに、熟成中のチーズの苦味の発生を低減することを意味する。
【0042】
本発明の別の態様は、2つ以上の異なるキモシンを含有する組成物であって、カード硬度及び凝固速度に有益な特性を伴う、組成物に関する。
【0043】
これを測定する方法にはCHYMOgraph(登録商標)を用いる。CHYMOgraph(登録商標)は、チーズ製造における乳凝集時間並びにカード硬度展開の評価を可能にする。このソフトウェアはカード中のタンパク質ネットワークの構築速度を測定する。乳密度及びカード粘弾性の変化は、ユーザーフレンドリーなグラフデータに変換され、凝固剤の特性化のため、又は最適なカード切断時間を決定するために使用することができる。CHYMOgraph(登録商標)は、乳凝集時間、カード硬度及びその展開、並びにタンパク質ネットワークの構築速度を測定する。
【0044】
乳の調製のために、乳組成物の目標に従った500gの乳の容器を準備し、レンネットを添加する1時間前に、水浴中で38℃のレンネッティング(renneting)温度に加熱した。乳の使用前に、pHを調整し、記録した。好ましい乳組成物の例は以下のとおりである:
90℃で30秒間高熱処理した、3.8%のタンパク質を有する、強化乳
レンネッティング時のpH:38℃で6.18及び(4℃)で6.28。
レンネッティング温度:38℃。この乳タイプは、ソフトチーズ乳タイプを製造する際に使用される乳組成物に対応する。
【0045】
好ましい凝固剤を以下のとおり調製する:3つの凝固剤溶液を試験する:ラクダキモシン(ChyMax(登録商標)M1000)、ウシキモシン(ChyMax(登録商標)+)及びChyMaxM soft(80%ラクダキモシン(ChyMax(登録商標)M1000)と20%ウシキモシン(ChyMax(登録商標)+)とのブレンド)。各凝固剤溶液は、温水で20IMCU/mL希釈の強度で調製され得る。この希釈は乳試料の十分な凝固をもたらすことを目的とし、その分散を促進する。
各凝固剤溶液を乳に添加し得る(500gの乳に対して1ml、すなわち40IMCU/1L)。凝固剤添加後、試料を回転することにより30秒混合した。回転後、10mlの各凝固剤溶液をChymographに加えた。
【0046】
当該技術分野で知られるように、異なる哺乳類種(例えば、ウシ、ラクダ、ヒツジ、ブタ、又はラット)から得られた異なる天然野生型キモシンポリペプチド配列は、比較的高い配列類似性/同一性を有している。
【0047】
本明細書の
図1において、これは、本明細書において関連する異なるキモシン配列のアラインメントによって例示されている。
【0048】
本文脈において、
図1に示された、天然に得られる野生型キモシン(例えばウシキモシン又はラクダキモシン)は本明細書において、親ポリペプチド、すなわち本発明の変異体キモシンポリペプチドを産生するように改変が成された親ポリペプチドの例で有り得る。
【0049】
さらに関連する態様では、本発明は、前記2つ以上の凝固剤が異なる比率でαS1及び/又はβ-カゼインを形成させる、本明細書に開示された組成物に関する。
【0050】
さらなる関連態様では、本発明は、前記2つ以上の凝固剤が、異なる一般的なタンパク質分解活性、例えば少なくとも3倍の相違を有する、本明細書に開示された組成物に関する。
【0051】
従って一態様では、本発明は、5IMCU/mU超のC/P比を有する少なくとも1つの凝固剤と、0.05~1.5IMCU/mUの範囲内のC/P比を有する少なくとも第2の凝固剤とを含有する、上述された組成物を提供する。
【0052】
例えば、前記組成物は、5IMCU/mU超のC/P比を有する少なくとも50w/w%の1つの凝固剤と、0.05~1.5IMCU/mUの範囲内のC/P比を有する少なくとも15w/w%の第2の凝固剤とを含有してもよく、ここで、w/w%は凝固剤の総量に対する1つの凝固剤の濃度を示す。さらなる態様では、本発明は、5IMCU/mU超のC/P比を有する少なくとも70w/w%の1つの凝固剤と、0.05~1.5IMCU/mUの範囲内のC/P比を有する15~30w/w%の第2の凝固剤とを含有する組成物を提供し、ここで、w/w%は凝固剤の総量に対する1つの凝固剤の濃度を示す。
【0053】
さらなる関連態様では、本発明は、2つ以上の異なる動物又は微生物種又は属に由来する2つ以上の凝固剤のブレンドを含有する、本明細書に開示された組成物に関する。
【0054】
さらなる関連態様では、本発明は、同じ親の凝固剤の変異体である、2つ以上の凝固剤のブレンドを含有する、本明細書に開示された組成物に関する。
【0055】
さらなる関連態様では、本発明は、2つ以上の異なる属又は種が、以下:ウシ、バッファロー、ラクダ、ブタ、ラット、ヒツジ又はケカビ(mucor)、からなるリストから選択される、本明細書に開示された組成物に関する。
【0056】
さらなる関連態様では、本発明は、2つ以上の異なる凝固剤の少なくとも1つが、ウシ、バッファロー、ラクダ、ブタ、ラット、ヒツジ及び/又はケカビ由来の凝固剤に由来する、本明細書に開示された組成物に関する。
【0057】
さらなる関連態様では、本発明は、乳、例えばヒツジ乳、ヤギ乳、バッファロー乳、ヤク乳、ラマ乳、ラクダ乳又は牛乳を含有する、本明細書に開示された組成物に関する;そして
【0058】
さらなる関連態様では、本発明は、ウシ凝固剤と非ウシ凝固剤とのブレンドであるか、あるいはラクダ凝固剤と非ラクダ凝固剤とのブレンドである、本明細書に開示された組成物に関する。
【0059】
さらなる関連態様では、本発明は、凝固剤の総量に対して、10~50%、例えば20%の非ウシ又は非ラクダ凝固剤を含有する、本明細書に開示された組成物に関する。
【0060】
さらなる関連態様では、本発明は、高C/P比凝固剤及び低C/P比凝固剤を含有する、本明細書に開示された組成物に関する。さらなる関連態様では、本発明は、凝固剤の総量に対して、10~50%、例えば20%の低C/P比凝固剤を含有する、本明細書に開示された組成物に関する。
【0061】
さらなる実施形態では、本発明は、上述された2つ以上の凝固剤のブレンドを含有する、食品又は飼料組成物を提供する。前記食品又は飼料組成物は、ソフトチーズ、例えばブリ―又はカマンベールで有り得る。
【0062】
さらなる関連態様では、本発明は、ソフトチーズ、例えばブリ―又はカマンベールの製造のための、本明細書に開示された組成物に関し、場合により、前記ソフトチーズは表面熟成ソフトチーズである。
【0063】
さらに、本発明は、ソフトチーズの製造方法における、本明細書の態様のいずれか1つに記載の組成物の使用に関する。本明細書の態様に記載された組成物は、1つ又は複数のスターター培養物の添加後、20分以内、例えば15分以内、例えば10分以内、例えば5分以内に、添加され得る。
【0064】
適用可能であれば、乳ベースの製品を得るためのさらなる製造工程が追加される。
【0065】
例えば、本発明は、発酵乳製品の製造方法であって、以下のステップ:
(a)スターター培養物を乳に添加し、そして培養物を28~42℃の温度で少なくとも5分間インキュベートし;
(b)2つ以上の異なる凝固剤を含有する組成物を、2000IMCU/100l~3500IMCU/100lの総濃度で添加し;
(c)培養物を28~42℃の温度で少なくとも3時間さらにインキュベートし;
(d)乳清を分離してチーズを得ること、
を含む、方法を提供する。
【0066】
当該方法は、有利には、ソフトチーズ、例えばブリ―又はカマンベールを製造するために使用することができる。
【0067】
また、本明細書の態様のいずれか1つに記載された組成物は、関連する実施形態として、1つ又は複数のスターター培養物の添加後、20分以内、例えば15分以内、例えば10分以内、例えば5分以内に、添加され得る。
【0068】
目的のキモシンのアミノ酸位置の決定
上記で論じたように、本明細書において関連する目的のキモシンポリペプチド(例えばラクダ、ヒツジ、ウシ等)のアミノ酸位置の決定のための参照配列として、本明細書で使用されるのは、本明細書において配列番号1として開示される公知のウシキモシン配列である。
【0069】
上述のよく知られたコンピュータープログラムを使用することによって、対応するキモシンにおいて本明細書において関連する目的のキモシンポリペプチド(例えばラクダ、ヒツジ、ウシ等)のアミノ酸位置を決定することは、当業者にとって日常的な作業である。
【0070】
単離されたキモシンポリペプチド変異体の作製方法
上記で論じられ、当該技術分野において知られているように、当業者は、彼らの共通する一般的知識に基づいて、キモシン及びキモシン変異体を日常的に産生及び精製し得る。言い換えれば、当業者が本明細書において関連する目的のキモシン活性を有する親ポリペプチド(例えばウシ、ラクダ、ヒツジ、ブタ、又はラット由来)を有していれば、そのような目的の親キモシンの変異体を作製することは当業者にとって日常的な作業である。
【0071】
キモシン(変異体又は親)を産生及び単離するのに適した方法の一例は、よく知られた、例えば、国際公開第02/36752A2号(Chr. Hansen)に記載されたような、真菌組換え発現/産生に基づく技術によるもので有り得る。
【0072】
当該技術分野で知られるように、キモシン活性は、凝固比活性(C)をタンパク質分解活性(P)で割ることによって決定される、いわゆるC/P比によって決定され得る。
【0073】
本明細書の実施例2において、凝固比活性(C)を決定するための適切な方法を記載し、本明細書の実施例3において、タンパク質分解活性(P)を決定するために適切な方法を記載している。
【0074】
上記で論じたように、本明細書において関連する目的のキモシンポリペプチド(例えばラクダ、ヒツジ、ウシ等)のアミノ酸位置を決定するための参照配列として、本明細書で使用されるのは、本明細書において配列番号1として開示される、公知のウシキモシン配列である。
【0075】
上記で論じたように、例えば本明細書で論じられたコンピューター配列アラインメントプログラムに基づいて、本明細書において関連する目的のキモシンポリペプチド(例えばラクダ、ヒツジ、ウシ等)の本明細書において関連するアミノ酸位置を決定することは、当業者にとって日常的な作業である。
【0076】
本文脈において当業者により理解されるように、本明細書において関連するキモシン活性を有する親ポリペプチドは、既に、例えば対応する野生型キモシンなどの、変異体であり得る。例えば、配列番号5の野生型ラクダキモシンポリペプチドと比較して例えば5~10の改変(例えば置換)を有する、ラクダキモシン変異体は、依然として、例えば本明細書の第1の態様で要求された、配列番号1(ウシ)の成熟ポリペプチドと少なくとも65%の配列同一性を有する親ポリペプチドであろう。
言い換えれば、本明細書において関連する単離されたキモシンポリペプチド変異体は、例えば本明細書の第1の態様の位置以外の位置における、改変(例えば置換)を含んでもよい。
【0077】
一実施形態は、当該改変が、例えば本明細書の第1の態様の位置のいずれかに対応する少なくとも1つのアミノ酸位置における、置換、欠失又は挿入を含む、単離されたキモシンポリペプチド変異体に関する。
【0078】
ペプチドの少なくとも1つの改変に存在するキモシンにおける相違が置換であることが好ましい場合がある、すなわち、本明細書において関連する凝固剤は、単離されたウシキモシンポリペプチド変異体、例えば、改変が、成熟ウシキモシン親配列における位置51及び/又は221、好ましくはA51V及びK221Mのいずれかに対応する少なくとも1つのアミノ酸位置における置換を含んでいる、変異体に関する。
【0079】
好ましくは、親ポリペプチドは、配列番号1(ウシキモシン)の成熟ポリペプチドと少なくとも70%の配列同一性を有し、より好ましくは、親ポリペプチドは、配列番号1(ウシキモシン)の成熟ポリペプチドと少なくとも75%の配列同一性を有する。
【0080】
一例として、本明細書において好適な関連する親ポリペプチドは、例えばウシキモシンAで有り得る。当該技術分野で知られるように、ウシキモシンAは本明細書の配列番号1のウシキモシンBと比較して1つのアミノ酸の差異のみを有し得る。
【0081】
上記で論じたように、本明細書の実施例では、親ポリペプチドとして配列番号1(ウシ)のポリペプチドを用いて変異体が作製された。そのような変異体は、本明細書においてウシキモシン変異体と呼ばれ得る。
【0082】
従って、好ましい実施形態では、親ポリペプチドは、配列番号1(ウシキモシン)の成熟ポリペプチドと少なくとも90%の配列同一性を有し、より好ましくは、親ポリペプチドは、配列番号1(ウシキモシン)の成熟ポリペプチドと少なくとも95%の配列同一性を有し、そしてさらにより好ましくは、親ポリペプチドは、配列番号1(ウシキモシン)の成熟ポリペプチドと少なくとも97%の配列同一性を有する。親ポリペプチドは配列番号1(ウシキモシン)の成熟ポリペプチドであることが好ましい場合がある。
【0083】
本文脈において当業者によって理解されるように、本明細書において関連するキモシン活性を有する親ポリペプチドは、既に、例えば対応する野生型キモシンの、例えば変異体で有り得る。
【0084】
乳ベースの製品の製造方法
上記で論じたように、本明細書に記載された2つ以上の異なる凝固剤を含有する組成物は、例えば目的の乳ベースの製品(例えばチーズ製品)を製造するために、当該技術に従って使用され得る。
【0085】
上記で論じたように、本発明の一態様は、食品又は飼料製品の製造方法であって、本明細書に記載された凝固剤ブレンドの有効量を食品又は飼料成分(複数)に添加し、そしてさらなる製造工程を実施して食品又は飼料製品を得ること、を含む、方法に関する。
【0086】
好ましくは、前記食品又は飼料製品は乳ベースの製品であり、ここで、前記方法は、本明細書に記載された凝固剤ブレンドの有効量を乳に添加し、そしてさらなる製造工程を実施して乳ベースの製品を得ることを含む。
【0087】
前記乳は、例えばヒツジ乳、ヤギ乳、バッファロー乳、ヤク乳、ラマ乳、ラクダ乳又は牛乳であってもよい。
【0088】
前記乳ベースの製品は、例えば発酵乳製品、クワルク(quark)又はチーズで有り得る。
【0089】
本発明はさらに、以下の関連する要約態様に関する:
態様1.異なるC/P比を有する2つ以上の凝固剤のブレンドを含有する、凝乳のための組成物。
【0090】
態様2.異なる起源を有する2つ以上の凝固剤のブレンド、例えばラクダキモシン及びウシキモシンを含有する、凝乳のための組成物。
【0091】
態様3.前記2つ以上の凝固剤が、異なる一般的なタンパク質分解活性、例えば少なくとも3倍の相違を有する、態様1又は2に記載の組成物。
【0092】
態様4.5IMCU/mU超のC/P比を有する少なくとも1つの凝固剤と、0.05~1.5IMCU/mUのC/P比を有する少なくとも第2の凝固剤とを含有する、態様1から3のいずれか1つに記載の組成物。
【0093】
態様5.5IMCU/mU超のC/P比を有する少なくとも50w/w%の1つの凝固剤と、0.05~1.5IMCU/mUの範囲内のC/P比を有する少なくとも15w/w%の第2の凝固剤とを含有し、ここで、w/w%は凝固剤の総量に対する1つの凝固剤の濃度を示す、態様1から4のいずれか1つに記載の組成物。
【0094】
態様6.2つ以上の異なる動物又は微生物種又は属に由来する2つ以上の凝固剤のブレンドを含有する、態様1から5のいずれか1つに記載の組成物。
【0095】
態様7.5IMCU/mU超のC/P比を有する少なくとも70w/w%の1つの凝固剤と、0.05~1.5IMCU/mUの範囲内のC/P比を有する15~30w/w%の第2の凝固剤とを含有し、ここで、w/w%は凝固剤の総量に対する1つの凝固剤の濃度を示す、態様1から6のいずれか1つに記載の組成物。
【0096】
態様8.2つ以上の異なる凝固剤の少なくとも1つが、ウシ、バッファロー、ラクダ、ブタ、ラット、ヒツジ及び/又はケカビ由来の凝固剤に由来する、態様1から7のいずれか1つに記載の組成物。
【0097】
態様9.乳、例えばヒツジ乳、ヤギ乳、バッファロー乳、ヤク乳、ラマ乳、ラクダ乳又は牛乳を含有する、態様1から8のいずれか1つに記載の組成物。
【0098】
態様10.前記乳が牛乳である、態様9に記載の組成物。
【0099】
態様11.前記乳が、約3%~約5%のタンパク質、例えば3.5%~4.5%のタンパク質、例えば3.8%のタンパク質を含む、態様9又は10に記載の組成物。
【0100】
態様12.前記乳が、約1.5%~5%の脂肪、例えば2.5%~4%の脂肪、例えば3.5%の脂肪を含む、9から11のいずれか1つに記載の組成物。
【0101】
態様13.ウシ凝固剤と非ウシ凝固剤とのブレンドであるか、あるいは、ラクダ凝固剤と非ラクダ凝固剤とのブレンド、例えばラクダとウシキモシンとのブレンドである、態様1から12のいずれか1つに記載の組成物。
【0102】
態様14.態様1から13のいずれか1つに記載の2つ以上の凝固剤のブレンドを含有する、食品又は飼料組成物。
【0103】
態様15.ソフトチーズ、例えばブリ―又はカマンベールである、態様14に記載の食品又は飼料組成物。
【0104】
態様16.前記ソフトチーズが表面熟成ソフトチーズである、態様15に記載の食品又は飼料組成物。
【0105】
態様17.ソフトチーズの製造方法における、態様1から13のいずれか1つに記載の組成物の使用。
【0106】
態様18.態様1から13のいずれか1つに記載の組成物が、1つ又は複数のスターター培養物の添加後、20分以内、例えば15分以内、例えば10分以内、例えば5分以内に、乳に添加される、態様17に記載の使用。
【0107】
態様19.乳ベースの製品の製造方法であって、態様1から13のいずれか1つに記載の組成物の有効量を添加し、そしてさらなる製造工程を実施して乳ベースの製品を得ること、を含む、方法。
【0108】
態様20.発酵乳製品の製造方法であって以下のステップ:
(a)スターター培養物を乳に添加し、そして培養物を28~42℃の温度で少なくとも5分間インキュベートし;
(b)態様1から13のいずれか1つに記載の組成物を、2000IMCU/100l~3500IMCU/100lの総濃度で添加し;
(c)培養物を28~42℃の温度で少なくとも3時間さらにインキュベートし;
(d)乳清を分離してチーズを得ること、
を含む、方法。
【0109】
態様21.態様1から13のいずれか1つに記載の組成物が、1つ又は複数のスターター培養物の添加後、20分以内に、例えば15分以内、例えば10分以内に、添加される、態様20に記載の方法。
【0110】
態様22.ソフトチーズ、例えばブリ―又はカマンベールを製造するために使用される、態様20又は21に記載の方法。
【実施例】
【0111】
実施例1:キモシンタンパク質配列及び変異体配列のアラインメント及び番号付け
キモシンタンパク質配列を、EBIにより提供され(EBI、ツール、多重配列アラインメント、CLUSTALW”、http://www.ebi.ac.uk/Tools/msa/clustalw2/)、そして、Larkin MA、Blackshields G、Brown NP、Chenna R、McGettigan PA、McWilliam H、Valentin F、Wallace IM、Wilm A、Lopez R、Thompson JD、Gibson TJ、Higgins DG(2007).Bioinformatics 23(21)、2947-2948に記載された、ClustalWアルゴリズムを用いて整列した。
【0112】
多重配列アラインメントのためのClustalW2設定は、タンパク質重量マトリックス=BLOSUM、ギャップオープン=10、ギャップ伸長=0.05、ギャップ距離=8、末端ギャップなし、ITERATION=なし、NUMITER=1、CLUSTERING=NJであった。
【0113】
参照配列として、ウシキモシンBプレプロキモシンを使用し(Genbank受託番号P00794、配列番号1として本明細書に開示される)、ここで、N末端メチオニンが番号1を有し(MRCL……)、そしてC末端イソロイシン(タンパク質配列において…LAKAI)が番号381を有する。変異体をウシBプレ-プロ-キモシンに対して整列し、残基を対応するウシキモシン残基に従って番号付けした。
【0114】
実施例2:特定のキモシン活性の決定
2.1凝固活性の決定
凝乳活性を、国際酪農連盟によって開発された標準的な方法(IDF法)である、REMCAT法を用いて決定した。凝乳活性は、0.5g/リットル(pH≒6.5)の塩化カルシウム溶液での、低温、低脂肪粉乳から調製された標準乳基質の目視可能な凝集に必要とされる時間から決定される。レンネット試料の凝固時間を、既知の凝乳活性を有し、かつIDF標準110Bによって当該試料と同一の酵素組成を有する、参照標準の凝固時間と比較する。試料及び参照標準を同一の化学的及び物理的条件下で測定した。変異体試料を、84mMの酢酸pH5.5緩衝液を用いて約3IMCU/mlに調製した。以後、200μlの酵素を、一定の撹拌下で32℃±1℃の一定温度を維持することができる水浴中に置いたガラス試験管中で10mlの予熱した乳(32℃)に加えた。
【0115】
レンネットの総凝乳活性(強度)を、以下の式に従って、試料と同じ酵素組成を有する標準に対して国際凝乳単位(IMCU)/mlで計算した:
【0116】
【数2】
S標準: レンネットについての国際参照標準の凝乳活性
T標準: 標準希釈について得られた秒での凝固時間
D試料: 試料についての希釈係数
D標準: 標準についての希釈係数
T試料: 酵素の添加から凝集の時間までの希釈されたレンネット試料について得られた秒での凝固時間
【0117】
2.2総タンパク質含有量の決定
総タンパク質含有量を、Thermo ScientificからのPierce BCAタンパク質アッセイキットを使用し、提供者の指示に従って決定した。
【0118】
2.3凝固比活性の計算
凝固活性(IMCU/ml)を総タンパク質含有量(ml当たりのmg総タンパク質)で割ることによって、凝固比活性(IMCU/mg総タンパク質)を決定した。
【0119】
実施例3:タンパク質分解活性の決定
一般的なタンパク質分解活性を、基質として蛍光(fluoresecently)標識したBodipy-FLカゼイン(EnzChek; Molecular Bioprobes、E6638)を用いて測定した。pH-非感受性緑色蛍光Bodipy-FLで強く標識されたカゼイン誘導体は、コンジュゲートの蛍光のほぼ完全な消失をもたらす。プロテアーゼ触媒加水分解は蛍光Bodipy-FLを放出する。CHYMAX Mは今日までに知られている全ての凝固剤のなかで最も低い一般的なタンパク質分解活性を有するので、この方法は非常に高感度であり、それは本実験に必須であった。
【0120】
アッセイを、0.04mg/mlの最終基質濃度で所望のpHに調整した0.2Mリン酸緩衝液中で行った。1部の基質と1部の酵素とを混合する前に、両方をリン酸緩衝液中で調製し、全ての酵素変異体を50IMCU/mlに標準化した(実施例2に従う)。基質及び酵素を、96ウェルのNunc Fluoroマイクロタイタープレート中で混合し、密閉して、32℃で60分間インキュベートした。インキュベーション後、シーリングを除去し、蛍光を蛍光光度計で記録した。
【0121】
実施例4:2種類の凝固剤ブレンドの評価:ラクダ-ウシキモシンブレンド及びラクダ-ムコール・ミエヘイ(Mucor miehei)凝固剤
ソフトチーズ技術において、高C/P比凝固剤、例えばChyMax(登録商標)Mを使用することはいくつかの利益を有する。より重要な一部は:増加した貯蔵寿命、減少した苦味、カッティング時により高い硬度による増加した脂肪回復(fat recovery)、特にファストストレイン(fast strains)を使用する場合における減少した後酸性化(post-acidification)、である。
しかしながら、ある場合にはデフォルトとみなされる一般的な変更は、より高いチーズ硬度である。
高C/P比、例えばChyMax(登録商標)Mの利益を維持し、チーズの硬度を低減するために、ChyMax(登録商標)Mとより低いC/P比を有する他の凝固剤とのブレンドが定義されている。
【0122】
ブリ―タイプ安定化ソフトチーズは異なる凝固剤比で製造されている。チーズは脱型(demolding)時及び貯蔵寿命中に分析された。
【0123】
乳:(全ての試験について同じ)
- タンパク質:36.2g/L(添加された乳清タンパク質なし)
- 脂肪:61.7g/L
- 脂肪/タンパク質比:1.7
- 低温殺菌:72℃/20秒
- 総体積/試験:500L(100Lの5つのバット)
- 添加されたCaCl2:15g/100L
- 凝固剤添加時の温度:40℃
- 凝固剤添加時のpH:6.3
- 凝固剤用量:3000IMCU/100Lの乳(8287IMCU/gのタンパク質に対応する)。
【0124】
凝固剤ブレンド:
- ブレンドの第1のタイプを試験した:ChyMax(登録商標)Mと、20%、30%又は50%のChyMax(登録商標)(低C/Pを有するウシ凝固剤)、
図2~5に正方形のマーカーと赤線で示した。
- ブレンドの第2のタイプを試験した:ChyMax(登録商標)Mと、20%又は30%のHannilase(登録商標)(低C/P比を有するムコール・ミエヘイ(Mucor miehei)凝固剤)、
図2~5にひし形マーカーと青色の線で示した。
- 同じ用量及びパラメーターでの純粋ChyMax(登録商標)M試験を参照として行った。この参照は、0%の非ChyMax(登録商標)M成分を有するブレンドである、両方のタイプのブレンドに使用され、
図2~5に含まれる表の最初の列に示される。
【0125】
結果:
(値は5つのバットの平均である)
- 脱型時のpH(
図4):低C/P比成分が増加すると脱型時のpHが低くなるわずかな傾向が、使用された両方のタイプの低C/P比凝固剤について観察された:純粋ChyMax(登録商標)M試験についてのpH5.06から、pHは、20%のHannilase(登録商標)を有するブレンドについて5.03であり、20%のChyMax(登録商標)では依然として5.06であった。pHメーターの精度を考えても、5つのバットの平均としてこの変動は依然として顕著である。次に30%では、pHは、Hannilase(登録商標)とのブレンドについて5.03、すなわち20%のブレンドと同様であり、そしてChyMax(登録商標)とのブレンドについて5.02、すなわちHannilase(登録商標)20%及び30%ブレンドによる結果と同様である。次に、50%のChyMax(登録商標)ブレンドでは、pHは30%のブレンドと同様である。このことは、高C/P比凝固剤、例えばChyMax(登録商標)Mと、低C/P比、例えばChyMax(登録商標)又はHannilase(登録商標)とのブレンドを使用することは、ブリ―タイプソフトチーズにおける脱型時のpH値を減少させる傾向があることを示している。この傾向は20%のHannilaseで既に有効であり、ChyMax(登録商標)については、この傾向は30%超でのみ見られる。
- テクスチャー:テクスチャー測定を、ギロチンツールを有するTAXT2針入度計(penetrometer)を用いて貯蔵寿命の25日後のチーズに実施した。
- 硬度(
図2):硬度は、ブレンド中の低C/P凝固剤のパーセンテージが上昇するにつれて明らかに減少し、その後、より高いパーセンテージでは安定した。ChyMax(登録商標)ブレンドについては、硬度は、純粋ChyMax(登録商標)M試験についての1325gから、20%のブレンドについての1180gに、次に30%のブレンドについての1022gへと減少した。Hannilase(登録商標)ブレンドについては、硬度は、20%で既に1050に減少し、次に30%のブレンドでほぼ同じ値である1053gを維持している。
- 粘着性(
図3):粘着性は、ChyMax(登録商標)Mと低C/P比凝固剤とをブレンドした場合に明らかに増加している。20%の両方のタイプの低C/P比凝固剤について、粘着性をわずかに増加している:純粋ChyMax(登録商標)Mについての50g/秒の値から、20%のChyMax(登録商標)での試験は72g/秒に達し、20%のHannilase(登録商標)ブレンドでの試験は59g/秒に達した。これらの値は、まだ許容されるチーズの粘着性に相当する。次に、30%で両方のタイプのブレンドは、95に近い値に達している(ChyMax(登録商標)について96及びHannilase(登録商標)について92)。これらの値は明らかに、粘着性に関して許容されないチーズに結びついている。
- テクスチャーの最適条件:本実験の目的は硬度を低減することであった;しかしながら、粘着性は所望の特性ではない。それゆえ、テクスチャー改善のための最適なブレンドは、両方のタイプの低C/P比凝固剤について20%であった。
- 脱型時の乾物(DM)(
図5):乾物は、純粋ChyMax(登録商標)M試験と比較してブレンドで増加している。両方のタイプのブレンドについて、脱型時の乾物は20%及び30%で増加しており、純粋ChyMax(登録商標)M試験の48.2%から、20%のブレンドでの乾物は、ChyMax(登録商標)ブレンドについて49%、Hannilase(登録商標)ブレンドについて50.5%であり、そして30%の試験については、乾物は、ChyMax(登録商標)ブレンドについて52%、Hannilase(登録商標)ブレンドについて52.5%であった。
- 乾物対硬度:これらの乾物の結果とテクスチャー測定を比較すると、チーズが、純粋ChyMax(登録商標)M試験と比較して、ブレンドでは脱型時により乾燥していても、テクスチャーはさらにやわらかいことがわかる。このことは、ChyMax(登録商標)Mと低C/P凝固剤とをブレンドすることが、乾物を増加させながらも、硬度を低減するのに強く有効であるということを示している。
- 最適な結果:これらの異なる結果を用いると、ChyMax(登録商標)MとChyMax(登録商標)とのブレンドについて、並びに、ChyMax(登録商標)MとHannilase(登録商標)とのブレンドについて、最適な比率は、高C/P比凝固剤の利点を維持し、かつ硬度が望まれない場合に硬度を低減するために、20%に近いことがわかる。
【0126】
実施例5:ウシ、ラクダ及びブレンドされたキモシンの凝固挙動の決定
凝固挙動を追うために、本発明者らはCHYMOgraph(登録商標)(特許取得済みChr. Hansen tool)を使用した。CHYMOgraph(登録商標)は、チーズ製造における乳凝集時間並びにカード硬度展開の評価を可能にする。このソフトウェアはカード中のタンパク質ネットワークの構築速度を測定する。乳密度及びカード粘弾性の変化は、ユーザーフレンドリーなグラフデータに変換され、凝固剤の特性化のため、又は最適なカード切断時間を決定するために使用することができる。CHYMOgraph(登録商標)は、乳凝集時間、カード硬度及びその展開、並びにタンパク質ネットワークの構築速度を測定する。
【0127】
乳調製
乳組成物の目標に従った500gの乳の容器を準備し、レンネットを添加する1時間前に、水浴中で38℃のレンネッティング温度に加熱した。乳の使用前に、pHを調整し、記録した。
【0128】
乳組成物
3.8%のタンパク質を有する強化乳、高熱処理:90℃30秒間
レンネッティング時のpH:38℃で6.18及び(4℃)で6.28。
レンネッティング温度:38℃。この乳タイプは、ソフトチーズ乳タイプを製造する際に使用される乳組成物に対応する。
【0129】
凝固剤調製
3つの凝固剤溶液を試験した:ラクダキモシン(ChyMax(登録商標)M1000)、ウシキモシン(ChyMax(登録商標)+)及びChyMaxM soft(80%ラクダキモシン(ChyMax(登録商標)M1000)と20%ウシキモシン(ChyMax(登録商標)+)とのブレンド)。各凝固剤溶液を、温水で20IMCU/mL希釈の強度で調製した。この希釈は乳試料の十分な凝固をもたらすことを目的とし、その分散を促進する。
各凝固剤溶液を乳に添加した(500gの乳に対して1ml、すなわち40IMCU/1L)。凝固剤添加後、試料を回転することにより30秒混合した。回転後、10mlの各凝固剤溶液をChymographに加えた。
【0130】
結果
図7に示されるように、ウシとラクダキモシンとのブレンド(ChyMax soft)を使用した場合の凝固の速度は、ラクダキモシン(ChyMax(登録商標)M1000)又はウシキモシン(ChyMax+)を単独で使用した場合の凝固の速度を上回る。熟練した科学者はブレンド中に含まれる2つの成分の加重平均に相当するブレンドの性能を期待することになるので、このことは非常に驚くべきことである。
【0131】
参考文献:
1:国際公開第02/36752A2号(Chr. Hansen)
2:Suzuki et al: Site directed mutagenesis reveals functional contribution of Thr218, Lys220 and Asp304 in chymosin, Protein Engineering, vol. 4, January 1990, pages 69-71
3:Suzuki et al: Alteration of catalytic properties of chymosin by site-directed mutagenesis, Protein Engineering, vol. 2, May 1989, pages 563-569
4:van den Brink et al: Increased production of chymosin by glycosylation, Journal of biotechnology, vol. 125, September 2006, pages 304-310.
5:Pitts et al: Expression and characterisation of chymosin pH optima mutants produced in Tricoderma reesei, Journal of biotechnology, vol. 28, March 1993, pages 69-83
6:M.G. Williams et al: Mutagenesis, biochemical characterization and X-ray structural analysis of point mutants of bovine chymosin, Protein engineering design and selection, vol. 10, September 1997, pages 991-997
7:Strop et al: Engineering enzyme subsite specificity: preparation, kinetic characterization, and x-ray analysis at 2.0 ANG resolution of Val111phe site mutated calf chymosin, Biochemistry, vol. 29, October 1990, pages 9863-9871
8:Supannee et al: Site-specific mutations of calf chymosin B which influence milk-clotting activity, Food Chemistry, vol. 62, June 1998, pages 133-139
9:Zhang et al: Functional implications of disulfide bond, Cys45-Cys50, in recombinant prochymosin, Biochimica et biophysica acta, vol. 1343, December 1997, pages 278-286.
10:国際公開第2013/174840A1号(Chr. Hansen)
11:国際公開第2013/164479A2号(DSM)
【配列表】